韓日鉄鋼産業の比較優位分析 - 長崎県立大学学術リポジトリ

長崎県立大学東アジア研究所
『東アジア評論』
第3号
(2
0
1
1.
3)
〈研究論文〉
韓日鉄鋼産業の比較優位分析
韓
基早*
大きいと言えよう。
!.はじめに
韓国鉄鋼産業は1
9
7
3年に初めて1
0
0万トン以
1
8世紀産業革命共に鉄鋼産業はイギリスで発
上を生産して以来2
0
0
9年まで年平均1
1%以上の
展しはじめ、イギリスとドイツを中心にヨー
高い成長を達成してきた。ところが、既存の研
ロッパが主導してきた。その後2
0世紀には米国
究によれば、中国に対しては2
0
0
5年を境にして
に主導権が移り、1
9
7
0年代末以後には日本に主
競争力が弱くなり始め2
0
0
8年現在比較劣位に置
導権が移動した。また1
9
8
0年代に入っては韓
かれており、また日本に対しても依然として比
国、中国などの開発途上国において鉄鋼産業の
較劣位に置かれているという(Shin、2
0
0
4;
発展が早い。そして1
9
9
0年代に鉄鋼の需要が再
Kim・Suh、
2
0
0
6;Im、
2
0
0
7;韓・金、
2
0
0
8等)
。
び増加した米国や市場統合によるシナジー効果
これらの研究は主に貿易特化係数や顕示比較優
を期待したヨーロッパなどの地域において主導
位指数などの貿易競争力指数を用いて韓中日鉄
権を握るための争いが激しくなってきた。しか
鋼産業の輸出競争力を計っている。したがって
し2
0
0
0年代に入ってから世界市場において中国
必然的にこれらの分析は輸出部門のみを考慮す
が浮上し、中国を含めた韓国、日本の三カ国が
ることになり、そのため輸出競争力を計るには
2
0
0
9年現在世界鉄鋼の約6
0%以上を生産し、ま
限界があると言われている。
たその半分以上を消費している。
しかし、本稿では輸入部門をも含めた産業内
工業化の米とも言われまた工業化の象徴でも
貿易による輸出競争力の分析は別の機会にゆず
ある鉄鋼産業は他の産業に基礎素材を供給する
り、先にそうした限界を補完する形で貿易特化
ことによって国家産業競争力を支えまた経済成
係数や顕示比較優位指数を応用した新たな分析
長に重要な役割を果たしてきた。韓国鉄鋼産業
モデルを用いて韓国鉄鋼産業の対日本競争力に
の生産誘発効果は全産業の平均よりも高く前後
ついて分析を試みたい1)。こういった分析を通
方連関効果が高い産業として今まで国家建設お
じて韓日鉄鋼産業の比較優位がどう変化して来
よび重化学工業化の成長に決定的に貢献してき
ているのか、そして韓国鉄鋼産業の対日本競争
た。このような鉄鋼産業の多大な経済波及効
力は果たして弱くなっているのか、を実証して
果、国家経済寄与度、そして韓中日鉄鋼産業の
みたい。そして本研究では韓日鉄鋼産業の貿易
世界市場におけるポジションからして韓中日鉄
構造を分析する際に HS9
2コードの4桁に分類
鋼産業についての研究の必要性と研究の意義は
されている UN COMTRADE の貿易統計データ
*
韓国東義大学貿易学科副教授
−1
8
1−
長崎県立大学東アジア研究所
『東アジア評論』
第3号
(2
01
1.
3)
を 利 用 す る。分 析 期 間 は、1
9
9
5年 以 前 の UN
(2
0
0
5)は日本鉄鋼産業の比較優位、韓国およ
COMTRADE のデータは不完全なので、1
9
9
5年
び中国鉄鋼産業の競争力と発展可能性などにつ
から2
0
0
9年までとした。
いて分析している。
以上のような既存の研究は、Im(2
0
0
7)と
Kim・Suh(2
0
0
6)を除いて主に韓中日三国の
!.先行研究の検討
間の鉄鋼産業の貿易現況と競争力について分析
韓中日鉄鋼産業についての最近の研究として
するか、あるいは韓中日の間の FTA 締結が各
・黄(2
0
0
7)、
国の鉄鋼産業に及ぼす影響について分析してお
Kim・Suh(2
0
0
6)、金博洙他8人(2
0
0
5)、Nam
り、そしてその影響に対する対応策や発展戦略
(2
0
0
4)などが挙げられる。Im(2
0
0
7)と Kim・
を提示している研究が大部分である。これらの
Suh(2
0
0
6)は貿易特化係数や顕示比較優位指
研究結果によれば、韓国は、現在中国および日
数などを用いて韓国鉄鋼産業の對中国および對
本の間に挟まれたナット・クラッ カ ー(nut-
日本競争力を分析しており、韓国鉄鋼産業が中
cracker)状態で、比較劣位に置かれている。し
国と日本の間に挟まれたナット・クラッカー
かし、前章で先述したように本稿では単純に貿
(nutcracker)状態を確認している。この他の
易特化係数や顕示比較優位指数をそのまま用い
研究は主に韓中日三国の鉄鋼産業の競争力の分
るのではなく、これらの指数を応用した新たな
析あるいは韓中日の FTA の締結が各国の鉄鋼
分析モデルを用いて韓日鉄鋼産業を中心に韓日
産業に及ぼす影響を分析している。それから韓
鉄鋼産業の比較優位の変遷を鉄鋼品目別に詳し
国鉄鋼産業の競争力の向上や発展方案に関する
く分析する。
は韓・金(2
0
0
8)、Im(2
0
0
7)、
研究としては、Sohn・You(2
0
0
5)、金(2
0
0
6)、
Kim(2
0
0
0)などがあり、#(2
0
0
1)は中国鉄
鋼産業の分析を通じて韓国鉄鋼産業への示唆点
".競争力の分析方法
本章では各商品を対日競争力により次のよう
を導出している。
また中国鉄鋼産業についての研究としては、
に五つの品目群に分類する。すなわち競争力絶
0
0
3)
趙・徐・"(2
0
0
5)、李(2
0
0
4)、!・ (2
対優位(第1品目群)
、競争力優位(第2品目
などが挙げられる。これらの研究は中国政府の
群)
、競争的(均衡)(第3品目群)
、競争力劣
産業政策の変化が鉄鋼産業の発展方向に及ぼし
位(第4品目群)
、競争力絶対劣位(第5品目
得る影響に関する研究や中国鉄鋼産業の世界市
群)に分ける。段階別の分け方は次のようにな
場でのポジションと現況の分析を通じて中国鉄
る。
鋼産業の発展戦略を提示している。最後に日本
1.第1段階:韓国の対世界貿易特化係数で
鉄鋼産業についての研究としては佐藤(2
0
0
7)
、
分類
川端(2
0
0
5)などが挙げられ、佐藤(2
0
0
7)で
は生産、需要および供給、貿易などの基礎デー
第一段階での品目群の分類は、対世界貿易特
タを用いて世界鉄鋼産業の発展と変容の下で占
化係数(Trade Specification Index; TSI)を用い
める日本、中国、韓国を含めたアジア鉄鋼産業
る。TSI は韓国の特定鉄鋼製品の対世界純輸出
の ポ ジ シ ョ ン を 検 討 し て い る。そ し て 川 端
を当該製品の交易規模で割った値で輸出入の相
−1
8
2−
韓日鉄鋼産業の比較優位分析
2.第2段階:韓国の対世界輸出伸び率で調
対的な大きさを通じて当該品目の世界市場にお
整
ける競争力を間接的に表わす。
第2段階では、第1段階において「競争力絶
i
i
TSI = Xkwi −Mkwi
Xkw + Mkw
i
kw
対劣位品目群」に分けられた第5品目群の中で
Xkwi :i 品目の韓国の対世界輸出,Mkwi :i 品目の
最近5年間の対世界輸出伸び率が韓国鉄鋼産業
全体の対世界輸出伸び率の2倍以上である品目
韓国の対世界輸入
を、将来成長可能性が高いと判断し、同品目の
対世界 TSI の値が0.
3
4以上の品目は「競争力
品目群を一段階アップして「競争力劣位品目
絶対優位品目」に、0.
0
3以上0.
3
4未満のものは
群」に再配置する。すなわち第2段階では、第
「競争力優位品目」に、−0.
0
3より大きく0.
0
3
1段階において第5品目群に分けられた品目の
未満のものは「競争的(均衡)品目」に、−0.
3
4
中で最近5年(あるいは4年間)の間における
より大きく−0.
0
3以下のは「競争力劣位品目」
韓国の鉄鋼 i 品目の対世界輸出伸び率(rateikw)
に、そして−0.
3
4以下のは「競争力絶対劣位品
が韓国の鉄鋼 産 業 全 体 の 対 世 界 輸 出 伸 び 率
2)
(mrateikw)の2倍以上である場合、その品目を
目」に分類する(表1を参照) 。
第4品目群に再分類する(表2を参照)
。
表1 第1段階:対世界貿易特化係数での品目群の分類
品目群
!明
基準
第1品目群
0.
3
4! TSI
競爭力絶對優位品目群
第2品目群
0.
0
3! TSI <0.
3
4
競爭力優位品目群
第3品目群
−0.
0
3<TSIkwi <0.
0
3
競爭的(均衡)品目群
第4品目群
0
3
−0.
3
4<TSI !−0.
競爭力劣位品目群
第5品目群
TSI ! −0.
3
4
i
kw
i
kw
i
kw
i
kw
競爭力絶對劣位品目群
注:TSIkwi は韓国鉄鋼産業の對世界貿易特化係数の平均
表2 第2段階:輸出伸び率での調整
変化基準
第1段階
第2段階
n. a.
第1品目群
第1品目群
n. a.
第2品目群
第2品目群
n. a.
第3品目群
第3品目群
n. a.
第4品目群
第4品目群
rate " 2・mratekw
第5品目群
第4品目群
i
kw
i
kW
注:! rate は最近4年または5年の間の韓国の鉄鋼 i 品目の対世界輸出伸び率
" mratekW は最近4年または5年の間の韓国鉄鋼産業の対世界輸出伸び率
−1
8
3−
長崎県立大学東アジア研究所
『東アジア評論』
第3号
(2
01
1.
3)
表3 第3段階:対日本 TSI での調整
第2段階
第3段階
i
kj
変化基準
第1品目群
第4品目群
i
kj
第2品目群
第4品目群
i
kj
TSI が第3または第4品目群に分類された場合
第3品目群
第3品目群
TSIkji が第1または第2品目群に分類された場合
第4品目群
第2品目群
第5品目群
第2品目群
TSI が第5品目群に分類された場合
TSI が第4または第5品目群に分類された場合
i
kj
TSI が第1目群に分類された場合
注:i は品目を、j は相手国を表す。
3.第3段階:韓国の対日本貿易特化係数で
よって〈表3〉のように再分類する。
調整
4.第4段階:顕示比較優位指数で調整
第1段階および第2段階では、品目を対世界
競争力によって分けたが、第3段階では韓国の
第4段階では、顕示比較優位指数(Revealed
対日本貿易特化係数を用いて品目の競争力を再
Comparative Advantage:以下、RCA と表記する)
分類する。このように相手国に対する競争力の
を用いる。RCA 指数は、特定の品目の世界全
分析において対世界競争力をも考慮するのは韓
体輸出にある一国の占める比重を世界総輸出に
国の特定品目の対日本競争力が対世界競争力と
その国の総輸出の占める比重で割った値であ
必ずしも一致するのではないからである。即ち
る。もし特定品目の RCA 指数が1より大きけ
韓国が生産する特定品目が日本に対して競争力
ればその品目は世界市場において比較優位にあ
優位であるが、世界に対して競争力劣位にある
り、1より小さければ比較劣位に置かれている
場合もあり、その反対の場合もあり得る。従っ
と判断することができる。
て特定品目の相手国に対する競争力を分析する
i
i
RCAki = Xk / Xw
際対世界競争力を一緒に考慮することで競争力
Xk / Xw
分析に客観性を与える。
i
k
X は i 品目の韓国の輸出、Xiw は i 品目の世界
第3段階では、まず対日本 TSI を用いて前の
総輸出
第1段階において分類に使用された臨界値に
Xk は韓国の総輸出、Xw は世界総輸出
よって五つの品目群に分類する。そして第2段
階において第1品目に分類された品目の中で対
第3段階では第2、3、4、5品目群に分け
日 TSI を基準によって第5品目群に分けられた
られた品目の中でその品目の RCA 指数が鉄鋼
品目は第4品目群に再配置する。第2段階にお
産業の RCA 指数の2倍以上である場合、その
いて第2品目群に分類された品目の中で対日
品目を各々一段階アップ調整する。
TSI を基準で第4または第5品目群に分けられ
た品目は第4品目群に移動させる。そしてこの
ような仕方で第2段階で第3、第4、第5品目
群に分類された品目の中で対日 TSI を基準に
−1
8
4−
5.第5段階:対日本顕示比較優位指数(市
場顕示比較優位指数)で調整
TSI による分類と同じく RCA 指数による相
韓日鉄鋼産業の比較優位分析
手国に対する競争力の分析においても対世界競
争力を考慮してから相手国の RCA 指数によっ
!.分析結果
て各品目を分類する。この最後の第5段階で
1.韓国鉄鋼産業の対日本競争力の推移
は、韓国の特定品目の対世界競争力(RCA)
先述した分析方法を用いて1
9
9
5年から2
0
0
9年
が低くても対日競争力(RCA)が高い場合も
まで韓国鉄鋼産業の対日本競争力の推移を競争
あり得るので、韓日間の競争力を客観的に判断
力別(品目群別)に輸出入額および品目数につ
するために対日顕示比較優位指数(Revealed
いて検討してみよう3)。
Comparative Advantage: RCAikj)を用いる。
まず、〈表4〉でみるように、韓国鉄鋼産業
RCA 指数は先述したように世界総輸出に占
の対日輸出入は5
5品目で1
9
9
5年に2
1億2
2
1
8万ド
めるある一国(例え、韓国)の輸出比重に対し
ルを日本に輸出したが、その後減少と増加を繰
てある一産業の世界総輸出に占めるある一国の
り返しながら2
0
0
9年には2
5億2
7
1
1万ドルを輸出
その産業の輸出比重がどれ位占めるかを表わす
し、年平均1.
3%の緩やかな対日輸出伸び率を
指数で、この値が1より大きければその産業に
見せている。しかし同期間に日本からの輸入は
比較優位があることを意味する。この指数を対
年平均7.
0%の高い伸び率で増加し、2
7億6
3
1万
日競争力について調べるために次のように変形
ドルから9
1億6
4
1
4万ドルに増加した。このよう
する。
な鉄鋼産業の対日輸入依存的な貿易構造を反映
して対日貿易収支は1
9
9
5年からずっと赤字を出
i
i
RCA = Xkj / Xkw
Xkj / Xkw
しており、2
0
0
9年には6
6億3
7
0
4万ドルの赤字を
i
kj
Xikj は i 品目の韓国の対日本輸出、Xikw は i 品目
記録している。このように韓国鉄鋼産業は対日
輸出入額だけをみると対日輸入依存的で競争力
の韓国の対世総界輸出
Xkj は韓国の対日本輸出、Xkw は韓国の対世界
が弱いと言わざるをえない。
次に品目群別対日本競争力について考えてみ
総輸出
よう。第一に、競争力(品目群)別の品目数で
これは、韓国の総輸出の中で対日総輸出が占
みると、まず、競争力優位である「第1品目群
める比重と i 産業において韓国の総輸出の中で
+第2品目群」に分類された品目数は1
9
9
5年:
対日輸出が占める比重とを比率で表わす。した
2
0→2
0
0
0年:2
3→2
0
0
5年:2
5→2
0
0
9年:2
5と増
がってこの値が1より大きければ日本に輸出す
加したが、競争力劣位である「第4品目群+第
る品目の中でもその品目の輸出が特に多いとい
5品目群」に分類された品目数は1
9
9
5年:3
2→
うことを意味し、これは対日貿易においてその
2
0
0
0年:3
0→2
0
0
5年:2
6→2
0
0
9年:2
6と減って
品目に比較優位があることを意味する。
きた。また競争的である「第3品目群」の品目
第4段階で第2、3、4、5品目に分けられ
数も同期間に3→2→4→4と増加してきた。
た品目の中で RCA 指数が鉄鋼産業の RCA 指
したがって品目数で見た場合、韓国鉄鋼産業の
数の2倍以上の品目を各々一段階アップ調整す
対日競争力は1
9
9
5年以来少しずつ改善してきた
る。
といえる。
第二に、1
9
9
5年韓国鉄鋼産業の対日競争力優
位である「第一品目群」と「第二品目群」は対
−1
8
5−
長崎県立大学東アジア研究所
『東アジア評論』
第3号
(2
01
1.
3)
表4 韓国鉄鋼産業の対日本競争力の推移
輸出
1
9
9
5
輸入
貿易収支
品目数
輸出
2
0
0
0
輸入
貿易収支
品目数
輸出
2
0
0
5
輸入
貿易収支
品目数
輸出
2
0
0
9
輸入
貿易収支
品目数
(単位:1万ドル、%)
第1品目群
第2品目群
第3品目群
第4品目群
第5品目群
合計
1
1
9,
5
2
6
6
2,
7
6
5
8
0
1
1
9,
1
3
7
9,
9
9
0
2
1
2,
2
1
8
5
6.
3
2
9.
6
0.
4
9.
0
4.
7
1
0
0.
0
5
7,
4
5
8
5
3,
1
4
4
5,
7
3
5
1
0
8,
5
8
2
4
5,
7
1
3
2
7
0,
6
3
1
2
1.
2
1
9.
6
2.
1
4
0.
1
1
6.
9
1
0
0.
0
6
2,
0
6
7
9,
6
2
1
−4,
9
3
4
−8
9,
4
4
5
−3
5,
7
2
3
−5
8,
4
1
3
16
4
3
23
9
55
9
6,
2
5
6
9,
4
1
6
3
8,
8
9
1
9,
7
9
1
2,
3
6
3
1
5
6,
7
1
7
6
1.
4
6.
0
2
4.
8
6.
2
1.
5
1
0
0.
0
5
4,
7
3
3
1
0,
7
4
9
1
1
5,
7
1
3
9
4,
8
3
8
2
6,
8
2
3
3
0
2,
8
5
6
1
8.
1
3.
5
3
8.
2
3
1.
3
8.
9
1
0
0.
0
4
1,
5
2
3
−1,
3
3
3
−7
6,
8
2
3
−8
5,
0
4
7
−2
4,
4
6
0
−1
4
6,
1
4
0
18
5
2
20
10
55
1
9
5,
2
9
1
1
1,
6
0
8
8,
7
8
2
2
1,
7
9
4
5
5,
9
8
1
2
9
3,
4
5
7
6
6.
5
4.
0
3.
0
7.
4
1
9.
1
1
0
0.
0
1
0
9,
2
6
1
3,
7
6
5
8,
7
4
2
1
4
8,
4
7
5
4
2
4,
9
6
1
6
9
5,
2
0
5
1
5.
7
0.
5
1.
3
2
1.
4
6
1.
1
1
0
0.
0
8
6,
0
3
0
7,
8
4
3
4
0
−1
2
6,
6
8
1
−3
6
8,
9
8
0
−4
0
1,
7
4
8
21
4
4
14
12
55
1
3
4,
8
9
1
1
7,
0
2
6
1
0,
8
3
9
4
3,
8
8
0
4
6,
0
7
5
2
5
2,
7
1
1
5
3.
4
6.
7
4.
3
1
7.
4
1
8.
2
1
0
0.
0
7
5,
9
2
8
3,
6
5
8
4
0,
1
1
6
3
7
4,
5
6
7
4
2
2,
1
4
6
9
1
6,
4
1
4
8.
3
0.
4
4.
4
4
0.
9
4
6.
1
1
0
0.
0
5
8,
9
6
3
1
3,
3
6
8
−2
9,
2
7
7
−3
3
0,
6
8
6
−3
7
6,
0
7
1
−6
6
3,
7
0
4
18
7
4
19
7
55
資料:UN COMTRADE の統計データを用いて筆者が作成。
日鉄鋼産業総輸出の約8
5%の1
1億9
5
2
6万ドルと
の約4
0%の5億7
4
5
8万ドルと5億3
1
4
4万ドルも
6億2
7
6
5万ドルを輸出し、競争力の弱い「第4
輸入されている。すなわち競争力の高い品目を
品目群」および「第5品目群」は1
4%ほどを輸
輸出しながらも同時に競争力の高い品目を高い
出しており、1
9
9
5年の対日鉄鋼品目の輸出は主
比重で輸入している。これは当時韓国国内鉄鋼
に競争力の高い品目群の鉄鋼製品が輸出されて
産業の需給関係の歪み、すなわち需要と供給の
いる。しかし輸入の場合、約6
0%の「第4品目
不均衡を表している。
群」と「第5品目群」が各々1
0億8
5
8
2万ドルと
第三に、しかしこのような対日鉄鋼産業の輸
4億5
7
1
3ドルが輸入されただけではなく、競争
出入構造はその以降改善してきて、2
0
0
9年現
力優位にある「第1品目群」と「第2品目群」
在、競争力優位の「第1、2品目群」を6
0%ほ
−1
8
6−
韓日鉄鋼産業の比較優位分析
ど(第1品目群;1
3億4
8
9
1万ドル、第2品目群;
他鋳物用品)
、棒形鋼類の7
2
1
7(線)
、7
2
2
9(其
1億7
0
2
6万ドル)を輸出し、競争力劣位の「第
の他合金鋼の線)
、7
3
0
1(鋼矢板・溶接形鋼)
4、5品目群」も3
5%ほど(第4品目群;4億
など、そして鉄鋼製品類の7
3
0
8(構造物とその
3
8
8
0万ドル、第5品目群;4億6
0
7
5万ドル)を
部分品)
、7
3
1
0(各種材料用の貯蔵槽・タンク
輸出した。ところが、競争力優位の「第1、2
等−大)
、7
3
2
3(食卓・台所用品)などの2
0品
品目群」は約9%(第1品目群;7億5
9
2
8万ド
目がランクされている。この中で貿易黒字が
ル、第2品目群;3
6
5
8万ドル)を輸入しただけ
1
0
0
0万ドル以上で、特に競争力が強い品目を順
で、競争力劣位にある「第4、5品目群」を約
番に並べると、7
2
0
9、7
2
0
8、7
3
0
6、7
3
0
8、7
3
2
5、
9
0%(第4品目群;2
9億8
6
3
1万ドル、第5品目
7
2
1
0、7
3
0
1、7
2
1
7、7
2
2
9、7
3
1
0、7
3
2
3である。
群;4
1億8
0
3
8万ドル)も輸入している。このよ
さらに、7
2
1
0は黒字が1
0
0
0万ドルに近く、黒字
うに2
0
0
9年の輸出入構造は、1
9
9
5年の輸出入構
が5
0
0
0万ドル以上なのは、7
2
0
9、7
2
0
8、7
3
0
6、
造と違って輸出は主に競争力優位にある品目群
7
3
0
8、7
3
2
5で、7
2
0
9は2億7
0
0
0万ドル、7
2
0
8は
だけではなく競争力劣位にある品目群も輸出す
1億に近い黒字を出している。これらの品目が
る構造に変わったが、輸入においてはほとんど
日本に対して競争力が強い。そして競争的な「第
競争力劣位にある品目群だけを輸入する構造に
3品目」には素材類と板類が入っているが、貿
変わった。つまりこのような構造の変化が起き
易収支は赤字で対世界あるいは對日本 RCA が
てきたのは、一つは韓国国内における鉄鋼需給
高いから競争的な品目に分けられている。
不均衡の改善とある程度の技術の向上があった
次に競争力劣位品目(第4品目群+第5品目
こと、そしてもう一つはこういった周辺国の変
群)
には、素材類の7
2
0
1
(銑鉄及びスピーゲル)
、
化に伴って日本の相対的な鉄鋼競争力の弱化が
7
2
0
2(Ferro Alloys)
、7
2
0
4(古鉄及び再溶解用
あったからであると考えられる。
のインゴット)
、7
2
1
8(STS の一次形状と半製
品)
、板類の7
2
2
5
(ケイ素電気鋼の鋼板−広幅)
、
2.韓 国 鉄 鋼 産 業 の 品 目 別 對 日 本 競 争 力
(1
9
9
5年)
7
2
1
2(鍍金鋼板−狭幅)
、7
2
1
9(STS の熱間圧
延鋼板−広幅)
、7
2
2
0(STS の熱間圧延鋼板−
ここからは各品目がどの品目群に分類され、
狭幅)
、7
2
2
6(ケイ素電気鋼の鋼板−狭幅)
、棒
どれ位の競争力をもっているのかを調べるため
形鋼類の7
2
1
6
(形鋼)、7
2
1
3
(熱延圧延した棒)
、
に、競争力優位品目である「第1、2品目群」
7
2
1
5(其の他の棒)
、7
3
0
2(軌条)など、鋼管
と競争力劣位品目である「第4、5品目群」に
類の7
3
0
4(鋼管−seamless)
、7
3
0
5(その他の管
分けて競争力優位および劣位品目などの特徴を
−円形・広幅)など、鉄鋼製品の7
3
2
0(ばね及
考察する。
びばね板)、7
3
2
6
(その他の製品)
、7
3
2
1
(ストー
〈表5〉は1
9
9
5年度の競争力(絶対)優位品
ブ、レンジ・炉、調理用加熱容器)
、7
3
1
5(鎖
目を表している。まず、競争力優位品目(第1
とその部分品)などの3
2品目がランクされてい
品目群+第2品目群)には、板類の7
2
0
9(冷間
る。この中で赤字が1
0
0
0万ドル以上また1
0
0
0万
圧延鋼板−広幅)
、7
2
0
8(重厚版・熱延鋼板−
ドルに近い品目を順番に並べると、
7
2
1
9、
7
3
0
4、
広幅)
、7
2
1
0(鍍金鋼板−広幅)
、鋼管類の7
3
0
6
7
2
1
6、7
2
2
5、7
2
0
4、7
2
2
0、7
2
0
1、7
2
2
8、7
2
2
6、
(電気溶接鋼管)
、7
3
0
3(鋳鉄管)
、7
3
2
5(其の
7
2
1
3、7
2
1
8、7
2
2
1、7
3
2
6、7
3
2
0、7
2
0
2、7
2
1
2、
−1
8
7−
長崎県立大学東アジア研究所
『東アジア評論』
第3号
(2
01
1.
3)
表5 1
9
9
5年度競争力優位品目
品目
群
HS
9
2
対日本 対日本
輸出
輸入
貿易
収支
対世界 対日 対世界 対日本
TSI
TSI RCA RCA
(単位:1万ドル)
品目名
用度別
分類
1
720
9 37,
820 1
0,
2
34 2
7,
5
8
7 0.
8
0 0.
5
7 3.
3
0 3.
0
0 冷間圧延鋼板(広幅)
板類
1
7
210 31,
665 26,
7
5
5 4,
91
1 0.
4
6 0.
0
8 1.
9
0 2.
9
0 鍍金鋼板(広幅)
板類
1
7
217 4,
231 1,
1
04 3,
1
2
7 0.
7
3 0.
5
9 1.
8
0 2.
4
6 線
棒形鋼類
1
7
223
棒形鋼類
1
72
29 4,
26
4 1,
5
6
3 2,
7
0
1 0.
5
0 0.
4
6 4.
3
8 4.
44 その他合金鋼の線
棒形鋼類
1
7
30
1 4,
273
棒形鋼類
1
7
303
1
7
306 11,
8
23 5,
9
8
1 5,
8
4
3 0.
6
4 0.
3
3 2.
1
4 2.
09 電気溶接鋼管
鋼管類
1
73
08 6,
99
3 1,
3
9
2 5,
60
1 0.
9
0 0.
6
7 4.
5
4 0.
4
0 構造物とその部分品
鉄鋼製品
1
731
0 4,
960 3,
0
6
9 1,
8
91 0.
2
6 0.
2
4 1.
2
2 4.
27 各種材料用の貯蔵槽・タンク等(大) 鉄鋼製品
1
7
312 2,
629 3,
78
5 ‐1,
1
5
6 0.
5
6‐
0.
1
8 4.
2
9 0.
8
1 より線、ロープ、ケーブル等(電気絶縁除外) 鉄鋼製品
1
7
3
13
2
4
19
1
7
3
17
9
8
5
66
1
7
3
18 1,
4
6
8 1,
52
8
1
7
3
23 1,
8
8
9
73
9 1,
1
5
0 0.
7
9 0.
4
4 2.
9
8 0.
5
2 食卓・台所用品
鉄鋼製品
1
7
32
5 5,
5
06
2
4
9 5,
2
5
7 0.
4
0 0.
9
1 1.
8
2 3.
29 其の他鋳物用品
鋼管類
2
7
20
8 61,
3
12 5
1,
7
34 9,
5
7
7‐
0.
0
4 0.
0
8 2.
9
5 3.
1
7 重厚板・熱延鋼板(広幅)
2
7
30
9
7
04
7
47
2
7
31
4
6
28
5
56
7
2 0.
1
9 0.
0
6 0.
6
3 1.
7
1 ワイヤクロス、ワイヤグリル、網・柵等
2
7
3
22
1
2
2
10
7
1
5‐
0.
2
4 0.
0
7 0.
1
0 1.
9
3 セントラルヒーティング用のラジエーター等 鉄鋼製品
3
7
2
06
2
5
2
99
7
3
7
2
11
5
2
4 3,
31
7 ‐2,
7
9
3 0.
0
2‐
0.
7
3 0.
6
5 0.
7
8 熱延冷延鋼板(狭幅)
3
7
2
24
9
37
57
5
1
3
4
2
4 0.
8
1 0.
2
9 3.
6
3 0.
92 STS 鋼の線
4
1
6 3,
8
5
8 0.
7
8 0.
8
2 3.
7
7 4.
0
0 鋼矢板、溶接形鋼
46
1
1 0.
4
7 0.
1
0 0.
5
5 0.
46 鋳鉄管
5 0.
7
0 0.
1
2 0.
4
8 1.
1
8 有刺線、帯、平線等
鋼管類
鉄鋼製品
9
1
9 0.
9
2 0.
8
7 4.
8
2 0.
6
8 釘、びょう、波釘、また釘
鉄鋼製品
‐
6
0 0.
3
5‐
0.
0
2 0.
6
7 0.
75 ねじ、ボルト、ナット、リベット等
鉄鋼製品
板類
‐
4
3 0.
2
5‐
0.
0
3 1.
0
0 1.
5
8 各種材料用の貯蔵槽・タンク等(小) 鉄鋼製品
‐
7
4
5‐
0.
8
0‐
0.
6
0 0.
4
1 7.
3
4 鉄塊、卑合金鋼(7
20
3を除く)
2
5 1,
42
0 ‐1,
3
9
6‐
0.
9
7‐
0.
9
7 0.
0
1 5.
8
5 インゴットその他の一次形状の物
鉄鋼製品
素材類
板類
素材類
資料:UN COMTRADE のデータを利用して筆者が計算。
7
3
1
5、7
2
1
5、7
3
0
2である。さらに赤字が5
0
0
0万
7、板類が5、棒形鋼類が9、鋼管類が3、そ
ドル以上であるものは、
7
2
1
9、
7
3
0
4、
7
2
1
6、
7
2
2
5、
して鉄鋼製品が8品目で、合わせて3
2品目であ
7
2
0
4、7
2
2
0で、7
2
1
9は4億以上、7
3
0
4は2億以
る。特に鉄鋼製品は1
8品目の中で1
0品目を占め
上、7
2
1
6は1億7
0
0
0万ドルを超えている。特に
て相対的に競争力が強い。また鋼管類は6品目
これらの品目において韓国は日本に対して競争
の中で3品目を占めて競争的である。ほかの鉄
力が弱いといえよう(表6を参照)
。
鋼類は相対的に日本に対して競争力が弱いとい
そして〈表7〉で示すように競争力優位品目
えよう。
は、板類が3、棒形鋼類が4、鋼管類が3、そ
次に〈表8〉
は品目別輸出およびその比重を、
して鉄鋼製品が1
0品目で、合わせて2
0品目であ
〈表9〉は品目別輸入およびその比重を示して
る。これに対して競争力劣位品目は、素材類が
いる。まず、先述したように鉄鋼産業の総輸出
−1
8
8−
韓日鉄鋼産業の比較優位分析
表6 1
9
9
5年度競争力劣位品目
対日本 対日本
輸出
輸入
貿易
収支
(単位:1万ドル)
用度別
分類
品目
群
HS
9
2
4
720
2
4
7
204 1,
70
5 7,
5
52 ‐
5,
84
8‐
0.
9
6‐
0.
6
3 0.
10 6.
4
2 古鉄及び再溶解用のインゴット
素材類
4
72
05
素材類
4
721
2
45
2 1,
4
9
9 ‐
1,
0
4
7‐
0.
6
1‐
0.
5
4 1.
57 0.
4
1 鍍金鋼板(狭幅)
板類
4
7
214
9
9
5 1,
0
7
7
棒形鋼類
4
7
215
1
0
2
4
7
219 4,
2
9
1 4
1,
2
6
2‐
3
6,
9
7
1‐
0.
1
9‐
0.
8
1 1.
3
7 0.
71 STS 鋼の熱間圧延鋼板(広幅)
板類
4
72
20
板類
4
722
1 1,
24
4 3,
2
6
6 ‐
2,
0
2
2 0.
1
8‐
0.
4
5 2.
50 1.
4
9 STS 鋼の棒
棒形鋼類
4
7
222
6
5
9 1,
44
5
棒形鋼類
4
7
226
2
1
5 3,
9
2
9 ‐
3,
7
1
3‐
0.
5
5‐
0.
9
0 0.
55 0.
8
2 ケイ素電気鋼の鋼板(狭幅)
4
7
227
4
72
28
55
1 4,
6
9
6 ‐
4,
1
4
5‐
0.
5
3‐
0.
7
9 0.
2
2 2.
17 其の他合金鋼の其の他棒・形鋼
棒形鋼類
4
7
30
2
25
2 1,
14
5
棒形鋼類
4
7
304
5
5
9 2
1,
1
1
5‐
2
0,
5
5
6‐
0.
8
0‐
0.
9
5 0.
1
9 0.
98 鋼管(seamless)
鋼管類
4
73
05
27
0
‐
4
8
2 0.
5
4‐
0.
4
7 0.
90 0.
3
9 その他の管(円形、広幅)
鋼管類
4
730
7 2,
35
8 2,
7
4
1
‐3
8
3‐
0.
1
1‐
0.
0
8 0.
7
5 1.
85 管用継手
鋼管類
4
7
311
7
4
0
8
9
5
‐1
5
5 0.
0
5‐
0.
0
9 2.
07 1.
0
1 容器(圧縮または液化ガス用のもの) 鉄鋼製品
4
7
316
1
6
4
73
19
9
4
2
3
0
4
732
1
4
7
324
4
7
326 4,
15
9 6,
1
02 ‐
1,
94
3‐
0.
1
6‐
0.
1
9 0.
55 2.
1
5 其の他製品
鉄鋼製品
5
7
201
素材類
5
72
03
5
7
20
7 5,
46
2 2,
8
4
5
5
7
213 3,
12
1 6,
82
4 ‐
3,
7
0
3‐
0.
6
1‐
0.
3
7 0.
50 3.
8
5 棒(熱延圧延したもの)
棒形鋼類
5
7
216
棒形鋼類
5
72
18
1
9 2,
1
6
1 ‐
2,
1
4
2‐
0.
9
6‐
0.
9
8 0.
05 0.
4
7 STS 鋼の一次形状と半製品
5
722
5
70
8 9,
5
5
0 ‐
8,
8
4
2‐
0.
6
7‐
0.
8
6 0.
27 1.
8
3 ケイ素電気鋼の鋼板(広幅)
5
7
315
7
4 1,
0
7
3
5
7
320
5
9 1,
2
9
5 ‐
1,
2
3
6‐
0.
6
1‐
0.
9
1 0.
12 0.
6
1 ばね及びばね板
対世界 対日 対世界 対日本
TSI
TSI RCA RCA
品目名
61 1,
2
1
8 ‐
1,
1
5
7‐
0.
9
7‐
0.
9
1 0.
0
4 0.
66 Ferro Alloys
9
8
7
1
7
9
9
7
‐6
20‐
0.
7
7‐
0.
7
6 0.
2
9 2.
08 鉄鋼の粒と粉
‐
8
2‐
0.
2
1‐
0.
0
4 0.
6
2 0.
89 その他の棒(少し加工)
‐8
9
6‐
0.
1
3‐
0.
8
2 0.
35 0.
6
3 其の他の棒
2
1 5,
6
5
6 ‐
5,
6
3
5‐
0.
4
4‐
0.
9
9 0.
41 0.
0
6 STS 鋼の熱間圧延鋼板(狭幅)
1
8
7
9
7
5
2
21
2 1,
0
6
2
9
8
3
3
9
‐7
8
6 0.
6
0‐
0.
3
7 1.
74 0.
5
0 STS 鋼の其の他棒および形鋼
‐
8
7
9‐
0.
7
9‐
1.
0
0 0.
09 0.
0
3 其の他合金鋼の棒1
‐
8
9
3 0.
1
4‐
0.
6
4 0.
76 0.
8
3 軌条
‐
5‐
0.
1
1‐
0.
8
0 0.
5
7 0.
04 アンカーとその部分品
13
棒形鋼類
板類
棒形鋼類
鉄鋼製品
‐
1
3
6‐
0.
1
9‐
0.
4
2 0.
88 1.
7
8 安全ピン、手縫針、手編針等
鉄鋼製品
‐8
5
0 0.
0
4‐
0.
6
7 0.
6
6 0.
37 ストーブ、
レンジ、
炉、
調理用加熱器等
鉄鋼製品
‐2
4
1 0.
3
9‐
0.
5
5 0.
94 0.
3
4 衛生用品とその部分品
鉄鋼製品
2
5 4,
7
2
3 ‐
4,
6
98‐
1.
0
0‐
0.
9
9 0.
0
1 3.
40 銑鉄およびスビーゲル
0
素材類
‐1
3‐
1.
00‐
1.
0
0 0.
00 0.
0
0 直接還元鉄
2,
6
1
7‐
0.
7
4 0.
32 0.
6
9 3.
18 鉄或いは非合金鋼の半製品
5
2
2 17,
2
3
0‐
1
6,
7
0
8‐
0.
4
3‐
0.
9
4 0.
97 0.
2
3 形鋼
‐9
9
9‐
0.
3
6‐
0.
8
7 0.
3
2 0.
37 鎖及びその部分品
素材類
素材類
素材類
板類
鉄鋼製品
鉄鋼製品
資料:UN COMTRADE のデータを利用して筆者が計算。
は主に競争力優位品目(絶対優位;5
6.
3%、優
億6
3
1万ドルの中で、板類が6
4.
6%、鉄鋼製品
位;2
9.
6%)が輸出されている。また総輸出2
7
が1
2.
2%、棒形鋼類が1
0.
0%輸出されていて板
−1
8
9−
長崎県立大学東アジア研究所
『東アジア評論』
第3号
(2
01
1.
3)
表7 1
9
9
5年度競争力別品目数の現況
年度
素材類
板類
棒形鋼類
鋼管類
鉄鋼製品
合計
!競争力
絶対優位
"競争力
優位
!+"
#競争的
$競争力
劣位
%競争力
絶対劣位
$+%
合計
0
2
4
3
7
0
1
0
0
3
0
3
4
3
1
0
2
1
0
0
0
3
4
7
3
6
4
1
2
0
2
7
5
9
3
8
9
9
1
3
6
1
8
1
6
4
2
0
3
2
3
9
3
2
5
5
資料:〈表5〉および〈表6〉より作成。
表8 品目別輸出およびその比重(1
9
9
5年度)
(単位:上段;1万ドル、下段2行;%)
競争力
絶対優位
素材類
板類
棒形鋼類
鋼管類
鉄鋼製品
合計
競争力
優位
競争的
(均衡)
競争力
劣位
競争力
絶対劣位
合計
0
0
2
7
7
1,
8
6
3
5,
5
0
7
7,
6
4
6
0.
0
0.
0
3.
6
2
4.
4
7
2.
0
1
0
0.
0
0.
0
0.
0
34.
6
9.
7
55.
1
3.
6
6
9,
4
8
6
6
1,
3
1
2
5
2
4
4,
9
7
9
7
0
8
1
3
7,
0
0
9
5
0.
7
4
4.
8
0.
4
3.
6
0.
5
1
0
0.
0
58.
1
97.
7
65.
4
26.
0
7.
1
64.
6
1
3,
7
0
5
0
0
3,
8
0
4
3,
6
4
2
2
1,
1
5
1
6
4.
8
0.
0
0.
0
1
8.
0
1
7.
2
1
0
0.
0
11.
5
0.
0
0.
0
19.
9
36.
5
10.
0
1
7,
3
8
6
0
0
3,
1
8
7
0
2
0,
5
7
3
8
4.
5
0.
0
0.
0
1
5.
5
0.
0
1
0
0.
0
0.
1
0.
0
0.
0
0.
2
0.
0
0.
1
1
8,
9
4
9
1,
4
5
3
0
5,
3
0
4
1
3
3
2
5,
8
3
9
7
3.
3
5.
6
0.
0
2
0.
5
0.
5
1
0
0.
0
15.
9
2.
3
0.
0
27.
7
1.
3
12.
2
1
1
9,
5
2
6
6
2,
7
6
5
8
0
1
1
9,
1
3
7
9,
9
9
0
2
1
2,
2
1
8
5
6.
3
2
9.
6
0.
4
9.
0
4.
7
1
0
0.
0
100.
0
100.
0
100.
0
100.
0
100.
0
100.
0
資料:〈表5〉および〈表6〉より作成。
類の輸出が半分以上を占めている。そして板類
は、輸出額2億5
8
3
9万ドルの中で競争力優位品
の輸出額、1
3億7
0
0
9万ドルの中で競争力優位品
目が約8
0%、劣位品目が2
0%を占めている。し
目が9
5%以上を占めている。鉄鋼製品の場合
かし棒形鋼類の場合、輸出(2億1
1
5
1万ドル)
−1
9
0−
韓日鉄鋼産業の比較優位分析
表9 品目別輸入およびその比重(1
9
9
5年度)
(単位:上段;1万ドル、下段2行;%)
競争力
絶対優位
素材類
板類
棒形鋼類
鋼管類
鉄鋼製品
合計
競争力
優位
競争的
(均衡)
競争力
劣位
競争力
絶対劣位
合計
0
0
2,
4
1
7
9,
4
8
7
9,
7
4
1
2
1,
6
4
6
0.
0
0.
0
1
1.
2
4
3.
8
4
5.
0
1
0
0.
0
0.
0
0.
0
42.
2
8.
7
21.
3
8.
0
3
6,
9
8
8
5
1,
7
3
4
3,
3
1
7
5
2,
3
4
7
9,
5
5
0
1
5
3,
9
3
7
2
4.
0
3
3.
6
2.
2
3
4.
0
6.
2
1
0
0.
0
64.
4
97.
3
57.
8
48.
2
20.
9
56.
9
3,
5
9
5
0
0
1
3,
5
0
7
2
4,
0
5
4
4
1,
1
5
6
8.
7
0.
0
0.
0
3
2.
8
5
8.
4
1
0
0.
0
6.
3
0.
0
0.
0
12.
4
52.
6
15.
2
6,
2
7
6
0
0
2
4,
6
0
8
0
3
0,
8
8
4
2
0.
3
0.
0
0.
0
7
9.
7
0.
0
1
0
0.
0
10.
9
0.
0
0.
0
22.
7
0.
0
11.
4
1
0,
5
9
9
1,
4
0
9
0
8,
6
3
3
2,
3
6
8
2
3,
0
0
9
4
6.
1
6.
1
0.
0
3
7.
5
1
0.
3
1
0
0.
0
18.
4
2.
7
0.
0
8.
0
5.
2
8.
5
5
7,
4
5
8
5
3,
1
4
4
5,
7
3
5
1
0
8,
5
8
2
4
5,
7
1
3
2
7
0,
6
3
1
2
1.
2
1
9.
6
2.
1
4
0.
1
1
6.
9
1
0
0.
0
100.
0
100.
0
100.
0
100.
0
100.
0
100.
0
資料:〈表5〉および〈表6〉より作成。
の中で、競争力優位品目が約6
5%、劣位品目が
されている。そして板類と鉄鋼製品は競争力劣
3
5%を占めている。ほとんど競争力劣位品が輸
位品目だけではなく、優位品目も多く輸入され
出されている素材類を除いて全体的に競争力優
ている。板類の輸入の中で競争力劣位品目が
位品目が主に輸出されている。
4
0%ほど、優位品目が約6
0%を占めている。ま
続いて〈表9〉が示すように品目別輸入の特
た鉄鋼製品は競争力劣位品目と優位品目が各々
徴を見ると、まず、鉄鋼製品の輸入は競争力劣
5
0%ほど輸入されている。しかし他の鉄鋼製品
位品目だけではなく、競争力優位品目も多く輸
の場合は競争力劣位品目が多く輸入されてい
入されている。鉄鋼産業総輸入、2
7億6
3
1万ド
る。
ルの中で競争力劣位品目が5
7%、競争力優位品
以上、鉄鋼産業の輸出および輸入の特徴をみ
目が約4
0%を占めている。また総輸入の中で、
たが、輸出は主に板類と鉄鋼製品、棒形鋼類が
板類が5
6.
9%、棒 形 鋼 類 が1
5.
2%、鋼 管 類 が
輸出され、輸入は主に板類と棒形鋼類、鋼管類
1
1.
4%、鉄鋼製品が8.
5%、素材類が8.
0%を占
が輸入されている。そして輸出は主に競争力優
めて、主に板類と棒形鋼類、鋼管類が多く輸入
位品目が輸出されているが、輸入の場合は競争
−1
9
1−
長崎県立大学東アジア研究所
『東アジア評論』
第3号
(2
01
1.
3)
力劣位品目だけではなく、優位品目もかなり大
世界競争力(TSI、RCA)が強く、将来の成長
きい比重で輸入されている。特に板類と鉄鋼製
可能性が考慮されたからである。
品の場合がそうである。これは韓国国内におけ
そして競争的な「第3品目」に素材類と棒形
る板類や鉄鋼製品の一部品目の供給不足、つま
鋼類の4品目が入っているが、すべて貿易赤字
り需給が不均衡であることを物語っている。
で対世界あるいは對日本のどちらかの競争力が
以上の1
9
9
5年韓国鉄鋼産業の対日本競争力に
強いために第3品目に分類されている。
関する品目別競争力および鉄鋼産業の輸出入の
次に、〈表1
1〉は対日本競争力が弱い劣位品
分析に基づいて1
9
9
5年の韓国鉄鋼産業の競争力
目を表している。まず、競争力劣位品目(第4
を考えると、鉄鋼製品を除いて全体的に日本に
品目+第5品目)は2
6の品目だが、これには素
対して競争力劣位に置かれている。特に板類と
材類の7
2
0
4
(古鉄及び再溶解用のインゴット)
、
素材類、そして棒形鋼類において競争力が劣る。
7
2
0
5(鉄の粒と粉)
、7
2
0
7(鉄・非合金鋼の半
製品)
、7
2
2
4(インゴット・その他の一次形状
3.韓 国 鉄 鋼 産 業 の 品 目 別 對 日 本 競 争 力
(2
0
0
9年)
の物)など、板類の7
2
0
8(重厚版・熱延鋼板−
広幅)
、7
2
2
6
(ケイ素電気鋼の鋼板−狭幅)
、7
2
1
2
まず、〈表1
0〉でみるように競争力優位品目
(鍍金鋼板−狭幅)
、7
2
1
9(STS の熱間圧延鋼
(第1品目+第2品目)には、板類の7
2
0
9(冷
板−広幅)、7
2
2
5
(ケイ素電気鋼の鋼板―広幅)
間圧延鋼板−広幅)
、7
2
1
0(鍍金鋼板−広幅)
、
など、棒形鋼類の7
2
1
3
(棒−熱延圧延した物)
、
7
2
1
1(熱延冷延鋼板−狭幅)など、棒形鋼類の
7
2
1
4(その他の棒−若干加工)
、7
2
1
6(形鋼)
、
7
2
1
7(線)
、7
2
2
3(STS の線)
、7
2
2
9(その他合
7
2
2
7(その他合金鋼の棒)
、7
2
2
8(その他合金
金鋼の線)
など、鋼管類の7
3
0
6
(電気溶接鋼管)
、
鋼の其の他棒・形鋼)
、7
2
1
5(其の他の棒)な
7
3
0
7(管用継手)
、7
3
2
5(その他鋳物用品)な
ど、鋼管類の7
3
0
4(seamless 鋼管)
、そ し て 鉄
ど、その他の鉄鋼製品である7
3
1
0(各種材料用
鋼製品の7
3
1
5(鎖及びその部分品)
、7
3
1
9(安
の貯蔵貯蔵槽・タンク)
、7
3
1
1(圧縮または液
全ピン、手縫針、手編針等)などがランクされ
化ガス用の容器)
、
7
3
0
8
(構造物とその部分品)
、
ている。この中で貿易赤字が1
0
0
0万ドル以上な
7
3
2
6(其の他製品)などの2
5品目がランクされ
のは、7
2
2
8、7
2
1
3、7
2
2
4、7
2
0
5、7
3
1
5、7
2
1
2で、
ている。この中で貿易黒字が1
0
0
0万ドル以上ま
赤 字 が5
0
0
0万 ド ル 以 上 な の は、7
2
2
7、7
2
2
5、
たは1
0
0
0ドルに近い品目を貿易収支の大きい順
7
2
2
6、また赤字が2億ドルに近い物は7
2
1
4と
に並べると、7
2
0
9、7
2
0
8、7
2
1
7、7
3
2
6、7
3
1
2、
7
2
1
9であり、赤字が3億5
0
0
0万ドル以上なのは
7
3
2
5、7
3
0
7、7
3
0
6、7
2
2
9、7
2
2
3、7
3
1
1、7
3
1
0で
7
3
0
4と7
2
1
6である。さらに7
2
0
7と7
2
0
4は貿易赤
ある。さらにこの中で貿易黒字が5
0
0
0万ドル以
字が1
1億以上、7
2
0
8は3
3億以上を記録してい
上なのは7
2
0
9、7
2
0
8、7
2
1
7、7
3
2
6、7
3
1
2、7
3
2
5
る。特にこれらの鉄鋼品目において韓国は競争
で、7
3
2
6は7
0
0
0ドル以上、7
2
0
8と7
2
1
7は1億ド
力劣位に置かれている。
ル以上、7
2
0
9は2億以上の黒字を出している。
そして〈表1
2〉で示すように競争力優位品目
これらの品目が特に日本に対して競争力優位に
は、1
9
9
5年より板類と鋼管類は1品目増えて板
ある。ところが、貿易赤字の大きい7
2
1
0(鍍金
類が4、鋼管類が4で、棒形鋼類は1
9
9
5年と同
鋼板−広幅)が競争力優位に入っているのは対
じく4品目、そして鉄鋼製品は3品目増えて1
3
−1
9
2−
韓日鉄鋼産業の比較優位分析
表1
0 2
0
0
9年度競争力(絶対)優位品目
品目
群
HS
92
対日本 対日本
輸出
輸入
貿易
収支
対世界 対日 対世界 対日本
TSI
TSI RCA RCA
(単位:1万ドル)
品目名
用度別
分類
1
720
9 31,
00
1 8,
8
8
0 2
2,
1
2
1 0.
9
0 0.
5
5 6.
0
7 2.
1
1 冷間圧延鋼板(広幅)
板類
1
7
210 19,
13
4 25,
2
2
9 ‐
6,
0
9
5 0.
8
0‐
0.
1
4 3.
62 0.
9
4 鍍金鋼板(広幅)
板類
1
7
211
板類
1
7
217 10,
8
2
3
1
72
20 1,
27
9 2,
2
2
2
1
722
3 2,
83
0
1
7
229 4,
56
2 1,
62
3
1
7
301
6
1
7
1
7
305
3
6
7
1
73
06 4,
98
5 1,
3
1
5
3,
6
7
0 0.
7
6 0.
5
8 1.
5
8 1.
13 電気溶接鋼管
鋼管類
1
730
7 5,
26
3 1,
5
1
2
3,
7
5
1 0.
3
7 0.
5
5 1.
9
8 1.
1
2 管用継手
鋼管類
1
7
310 2,
92
4 1,
9
4
6
9
7
8 0.
0
5 0.
2
0 0.
5
0 7.
0
4 各種材料用の貯蔵槽・タンク等(大) 鉄鋼製品
1
7
311 6,
98
8 5,
0
03
1,
98
4 0.
0
9 0.
1
7 2.
45 5.
5
8 容器(圧縮または液化ガス用のもの) 鉄鋼製品
5,
5
0
3 0.
5
2 0.
5
8 3.
51 2.
3
8 より線、ロープ、ケーブル等(電気絶縁除外)
鉄鋼製品
16
2 0.
4
0 0.
1
3 0.
3
4 1.
66 ストーブ、
レンジ、
炉、調理用加熱器等
鉄鋼製品
7
1
8
6
82
3
6 0.
6
7 0.
0
3 1.
38 0.
8
4 熱延冷延鋼板(狭幅)
6
3
1 1
0,
1
9
1 0.
6
2 0.
8
9 2.
55 4.
8
6 線
7
9
0
‐
9
4
2 0.
3
4‐
0.
2
7 1.
66 1.
2
5 STS 鋼の熱間圧延鋼板(狭幅)
棒形鋼類
板類
2,
0
3
9 0.
5
4 0.
5
6 3.
66 3.
4
2 STS 鋼の線
棒形鋼類
2,
9
3
9 0.
5
3 0.
4
8 3.
28 6.
09 その他合金鋼の線
棒形鋼類
7
0
7
‐9
0 0.
8
4‐
0.
0
7 3.
02 0.
69 鋼矢板、溶接形鋼
棒形鋼類
2
1
4
152 0.
9
3 0.
2
6 0.
9
7 0.
15 その他の管(円形、広幅)
鋼管類
1
7
312 7,
4
8
9 1,
9
8
6
1
7
3
21
6
9
2
53
0
1
7
3
22
3
0
17
1
7
3
25 6,
27
5 1,
21
2
5,
0
6
3 0.
1
4 0.
6
8 1.
2
6 5.
54 其の他鋳物用品
鋼管類
1
7
3
26 28,
91
6 21,
42
8
7,
4
8
8‐
0.
1
3 0.
1
5 1.
0
7 5.
1
5 其の他製品
鉄鋼製品
2
7
3
08 13,
2
8
6
2
7
3
13
5
1
5‐
0.
2
1 0.
7
6 0.
08 2.
15 有刺線、帯、平線等
鉄鋼製品
2
7
31
6
22
1
1
11‐
0.
6
4 0.
3
3 0.
49 0.
8
9 アンカーとその部分品
鉄鋼製品
2
7
31
7
88
22
6
6 0.
1
8 0.
6
0 0.
6
7 0.
4
2 釘、びょう、波釘、また釘
鉄鋼製品
2
7
31
8 2,
5
85 2,
3
65
2
2
0‐
0.
0
9 0.
0
4 0.
44 1.
77 ねじ、ボルト、ナット、リベット等
鉄鋼製品
2
7
32
3
7
46
3
62
3
8
5‐
0.
4
5 0.
3
5 0.
22 2.
8
3 食卓、台所用品
鉄鋼製品
2
73
2
4
29
3
1
45
14
8‐
0.
1
3 0.
3
4 0.
30 2.
72 衛生用品とその部分品
鉄鋼製品
3
72
0
1
44
2 3,
07
8 ‐
2,
6
3
6‐
0.
9
7‐
0.
7
5 0.
04 14.
1
4 銑鉄およびスピーゲル
3
7
2
02 8,
27
1 1
1,
96
7 ‐
3,
6
9
6‐
0.
6
4‐
0.
1
8 0.
6
1 4.
7
5 Ferro Alloys
素材類
3
7
2
21 1,
1
7
5 3,
51
1 ‐
2,
3
3
6 0.
1
2‐
0.
5
0 4.
23 1.
73 STS 鋼の棒
棒形鋼類
3
7
3
09
1
3 0.
6
8 0.
2
8 0.
2
6 0.
2
1 セントラルヒーティング用のラジエーター等 鉄鋼製品
75
3 1
2,
5
3
3 0.
1
8 0.
8
9 2.
18 0.
88 構造物とその部分品
鉄鋼製品
素材類
9
5
1 21,
5
6
0 ‐2
0,
6
0
9 0.
4
1‐
0.
9
2 6.
00 0.
25 各種材料用の貯蔵槽・タンク等(小) 鉄鋼製品
資料:UN COMTRADE のデータを利用して筆者が計算。
品目であり、全体的には5品目増えて2
5品目が
あり、全体的には6品目減って2
6品目が競争力
競争力優位にある。これに対して競争力劣位品
劣位にある。品目数でみた場合、1
9
9
5年より競
目は、素材類と板類は1
9
9
5年と同じく、7、5、
争力は徐々に上昇してきているように見える。
棒形鋼類と鋼管類は1品目減って8、2、そし
特に鉄鋼製品は1
8品目の中で1
0品目を占めて相
て鉄鋼製品は1
9
9
5年より4品目減って4品目で
対的に競争力が強い。また鋼管類は6品目の中
−1
9
3−
長崎県立大学東アジア研究所
『東アジア評論』
第3号
(2
01
1.
3)
表1
1 2
0
0
9年度競争力(絶対)劣位品目
対日本 対日本
輸出
輸入
用度別
分類
品目
群
HS
9
2
4
7
203
4
7
204 8,
119 1
2
0,
8
12‐
1
12,
6
9
3‐
0.
7
3‐
0.
8
7 0.
4
5 3.
3
0 古鉄及び再溶解用のインゴット
素材類
4
7
205
6
26
素材類
4
72
06
24
4
4
7
207
6
05 1
2
0,
4
1
7‐
1
1
9,
8
1
2‐
0.
9
0‐
0.
9
9 0.
2
1 0.
74 鉄或いは非合金鋼の半製品
素材類
4
7
212
5
68
板類
4
7
213 6,
2
95 1
0,
7
9
6 ‐
4,
5
0
2‐
0.
0
3‐
0.
2
6 1.
4
4 3.
22 棒(熱延圧延したもの)
棒形鋼類
4
72
14
棒形鋼類
4
721
6 2,
585 3
5,
8
9
4 ‐
3
3,
3
0
9 0.
1
1‐
0.
8
7 2.
7
0 0.
5
4 形鋼
棒形鋼類
4
7
218
素材類
4
7
219 20,
255 3
8,
1
6
7 ‐
1
7,
9
1
3 0.
1
5‐
0.
3
1 2.
9
0 2.
2
2 STS 鋼の熱間圧延鋼板(広幅)
板類
4
7
224
3,
5
1
3 ‐
3,
5
0
8‐
0.
7
9‐
1.
0
0 0.
1
2 0.
17 インゴットその他の一次形状の物
素材類
4
72
25 1,
2
86
7,
73
7 ‐
6,
4
51 0.
5
9‐
0.
7
2 1.
4
5 0.
27 ケイ素電気鋼の鋼板(広幅)
板類
4
722
7
97
1
6,
26
2 ‐
5,
2
91‐
0.
4
0‐
0.
7
3 0.
7
5 3.
71 其の他合金鋼の棒1
棒形鋼類
4
7
228
4
61
5,
1
8
2 ‐
4,
7
2
1‐
0.
1
6‐
0.
8
4 0.
7
3 0.
5
7 其の他合金鋼の其の他棒・形鋼
棒形鋼類
4
7
302
2
03
4
7
303
5
1
2
4
73
14
90
63
1
‐
5
41‐
0.
2
8‐
0.
7
5 0.
1
3 1.
18 ワイヤクロス、
ワイヤグリル、
網・柵等 鉄鋼製品
4
732
0
421
8
3
8
‐
4
17‐
0.
1
8‐
0.
3
3 0.
3
5 1.
65 ばね及びばね板
5
7
208 42,
587 3
7
4,
0
6
8‐
3
3
1,
48
2‐
0.
3
6‐
0.
8
0 2.
8
0 2.
1
2 重厚板・熱延鋼板(広幅)
板類
5
7
215
42
7
2
7
‐
6
8
4‐
0.
4
4‐
0.
8
9 0.
6
0 0.
2
5 其の他の棒
棒形鋼類
5
7
222 1,
9
45
2,
2
9
3
‐
34
8‐
0.
4
7‐
0.
0
8 0.
4
3 6.
9
6 STS 鋼の其の他棒および形鋼
棒形鋼類
5
72
26
6,
9
0
5 ‐
6,
78
1‐
0.
5
4‐
0.
9
6 0.
8
0 0.
4
0 ケイ素電気鋼の鋼板(狭幅)
5
730
4 1,
000 3
6,
1
1
4 ‐
3
5,
1
1
5‐
0.
6
2‐
0.
9
5 0.
3
0 0.
69 鋼管(seamless)
鋼管類
5
7
315
3
01
鉄鋼製品
5
7
319
76
0
7
5
貿易
収支
(単位:1万ドル)
対世界 対日 対世界 対日本
TSI
TSI RCA RCA
品目名
‐
75‐
1.
0
0‐
1.
0
0 0.
0
1 0.
00 直接還元鉄
2,
3
0
5 ‐
1,
67
9‐
0.
7
2‐
0.
5
7 0.
5
8 7.
0
3 鉄鋼の粒と粉
1
8
6
5
8‐
0.
6
9 0.
1
3 0.
4
31
1.
1
6 鉄塊、卑合金鋼(7
2
0
3を除く)
1,
9
3
2 ‐
1,
3
6
4 0.
6
4‐
0.
5
5 1.
9
3 0.
51 鍍金鋼板(狭幅)
87
9 1
9,
2
7
3 ‐1
8,
3
9
4‐
0.
0
6‐
0.
9
1 0.
9
9 0.
3
7 その他の棒(少し加工)
2
61
6
12
4
1
5
3
2
2
6
0‐
0.
4
8 0.
9
9 0.
2
8 4.
45 STS 鋼の一次形状と半製品
‐
3
2
9 0.
1
8‐
0.
45 0.
9
1 0.
3
5 軌条
‐7‐
0.
5
0‐
0.
4
3 0.
0
8 0.
23 鋳鉄管
1,
8
1
5 ‐
1,
5
1
4‐
0.
5
6‐
0.
7
2 0.
2
6 2.
0
1 鎖及びその部分品
2
2
3
‐
1
4
7‐
0.
5
2‐
0.
4
9 0.
8
8 1.
8
7 安全ピン、手縫針、手編針等
素材類
素材類
棒形鋼類
鋼管類
鉄鋼製品
板類
鉄鋼製品
資料:UN COMTRADE のデータを利用して筆者が計算。
で3品目を占めて競争的である。ほかの鉄鋼類
約6
0%で、競争力劣位(競争力絶対劣位+競争
は相対的に日本に対して競争力が弱いといえよ
力劣位)品目が約4
0%を占めている。また総輸
う。
出の中 で4
6.
3%が 板 類、2
6.
1%が 鉄 鋼 製 品、
続いて品目別輸出とその特徴をみよう。〈表
1
3.
2%が棒形鋼類で、素材類と鋼管類の輸出は
1
3〉でみるように2
0
0
9年韓国鉄鋼産業の対日総
7%ほどを占めている。輸出比重が一番大きい
輸出は2
5億2
7
1
1万ドルで、その中で競争力優位
板類の輸出は1
1億6
9
5
1万ドルで、競争力優位品
(競争力絶対優位+競争力優位)品目の輸出が
目が約4
5%、劣位品目が約5
6%を占めている。
−1
9
4−
韓日鉄鋼産業の比較優位分析
表1
2 2
0
0
9年度競争力別品目数の現況
年度
素材類
板類
棒形鋼類
鋼管類
鉄鋼製品
合計
!競争力
絶対優位
"競争力
優位
!+"
#競争的
$競争力
劣位
%競争力
絶対劣位
$+%
合計
0
4
4
4
6
0
0
0
0
7
0
4
4
4
1
3
2
0
1
0
1
7
3
6
1
2
0
2
2
1
2
7
5
8
2
4
9
9
1
3
6
1
8
1
8
7
2
5
4
1
9
7
2
6
5
5
資料:〈表10〉および〈表1
1〉より作成。
表1
3 品目別輸出およびその比重(2
0
0
9年度)
(単位:上段;1万ドル、下段2行;%)
競争力
絶対優位
素材類
板類
棒形鋼類
鋼管類
鉄鋼製品
合計
競争力優位
競争的
(均衡)
競争力
劣位
競争力
絶対劣位
合計
0
0
8,
7
1
3
9,
8
6
2
0
1
8,
5
7
5
0.
0
0.
0
4
6.
9
5
3.
1
0.
0
1
0
0.
0
0.
0
0.
0
80.
4
22.
5
0.
0
7.
4
5
2,
1
3
2
0
0
2
2,
1
0
8
4
2,
7
1
1
1
1
6,
9
5
1
4
4.
6
0.
0
0.
0
1
8.
9
3
6.
5
1
0
0.
0
38.
6
0.
0
0.
0
50.
4
92.
7
46.
3
1
8,
8
3
1
0
1,
1
7
5
1
1,
3
9
4
1,
9
8
8
3
3,
3
8
8
5
6.
4
0.
0
3.
5
3
4.
1
6.
0
1
0
0.
0
14.
0
0.
0
10.
8
26.
0
4.
3
13.
2
1
6,
8
9
0
0
0
5
1,
0
0
0
1
7,
8
9
4
9
4.
4
0.
0
0.
0
0.
0
5.
6
1
0
0.
0
12.
5
0.
0
0.
0
0.
0
2.
2
7.
1
4
7,
0
3
8
1
7,
0
2
6
9
5
1
5
1
1
3
7
7
6
5,
9
0
3
7
1.
4
2
5.
8
1.
4
0.
8
0.
6
1
0
0.
0
34.
9
100.
0
80.
8
1.
2
0.
8
26.
1
1
3
4,
8
9
1
1
7,
0
2
6
1
0,
8
3
9
4
3,
8
8
0
4
6,
0
7
5
2
5
2,
7
1
1
5
3.
4
6.
7
4.
3
1
7.
4
1
8.
2
1
0
0.
0
100.
0
100.
0
100.
0
100.
0
100.
0
100.
0
資料:〈表10〉および〈表1
1〉より作成。
次に輸出比重の大きい鉄鋼製品の輸出は6億
ドル)も鉄鋼製品と同じくほとんど競争力優位
5
9
0
3万ドルで、ほとんど競争力優位品目が輸出
にある品目が輸出されている。そして三番目に
されている。また鋼管類(輸出額;1億7
8
9
4万
輸出比重の大きい棒形鋼類(輸出;3億3
3
8
8万
−1
9
5−
長崎県立大学東アジア研究所
『東アジア評論』
第3号
(2
01
1.
3)
ドル)の場合、競争力優位品目が約5
7%、劣位
の輸入が約6
0%を占めている。すなわち鉄鋼製
品目が4
0%ほど輸出されている。
品は競争力優位品目を輸出しまた輸入してい
そして〈表1
4〉が示すように鉄鋼産業総輸入
る。
(9
1億6
4
1
4万ドル)の中で競争力の弱い品目は
以上の輸出入を整理すると、鉄鋼産業の輸出
約9
0%輸入されている。また総輸入の中で板類
は競争力優位品目だけではなく競争力劣位品目
が5
0.
8%、素材類が2
8.
6%、棒形鋼類が9.
6%
も4
0%ほど輸出されているが、輸入の場合は主
を占めている。これら品目の輸入はほとんど競
に競争力の弱い品目が輸入されている。また板
争力劣位品目であり、うえの分析において競争
類と鉄鋼製品、棒形鋼類が主に輸出され、板類
力が弱い品目であった。またこれらの品目は鉄
と素材類、棒形鋼類が主に輸入されている。そ
鋼産業の総貿易赤字(6
6億3
7
0
4万ドル)におい
してこれらの主な輸出品目は競争力優位品目だ
てこの位の大きさでこの順番で赤字が大きい。
けではなく競争力劣位品目も輸出されている
そしてうえの分析で競争力の強い鉄鋼製品の場
が、板類と棒形鋼類は主に競争力劣位品目が輸
合、競争力劣位品目の輸入はわずかで強い品目
入され、素材類は競争力劣位品目と競争的な品
表1
4 品目別輸入およびその比重(2
0
0
9年度)
(単位:上段;1万ドル、下段2行;%)
競争力
絶対優位
素材類
板類
棒形鋼類
鋼管類
鉄鋼製品
合計
競争力優位
競争的
(均衡)
競争力
劣位
競争力
絶対劣位
合計
0
0
1
5,
0
4
5
2
4
7,
3
1
0
0
2
6
2,
3
5
5
0.
0
0.
0
5.
7
9
4.
3
0.
0
1
0
0.
0
0.
0
0.
0
37.
5
66.
0
0.
0
28.
6
3
7,
0
1
3
0
0
4
7,
8
3
6
3
8
0,
9
7
4
4
6
5,
8
2
2
7.
9
0.
0
0.
0
1
0.
3
8
1.
8
1
0
0.
0
48.
7
0.
0
0.
0
12.
8
90.
2
50.
8
3,
7
5
2
0
3,
5
1
1
7
7,
9
3
9
3,
0
2
0
8
8,
2
2
2
4.
3
0.
0
4.
0
8
8.
3
3.
4
1
0
0.
0
4.
9
0.
0
8.
8
20.
8
0.
7
9.
6
4,
2
5
3
0
0
1
2
3
6,
1
1
4
4
0,
3
8
0
1
0.
5
0.
0
0.
0
0.
0
8
9.
4
1
0
0.
0
5.
6
0.
0
0.
0
0.
0
8.
6
4.
4
3
0,
9
1
0
3,
6
5
8
2
1,
5
6
0
1,
4
6
9
2,
0
3
9
5
9,
6
3
6
5
1.
8
6.
1
3
6.
2
2.
5
3.
4
1
0
0.
0
40.
7
100.
0
53.
7
0.
4
0.
5
6.
5
7
5,
9
2
8
3,
6
5
8
4
0,
1
1
6
3
7
4,
5
6
7
4
2
2,
1
4
6
9
1
6,
4
1
4
8.
3
0.
4
4.
4
4
0.
9
4
6.
1
1
0
0.
0
100.
0
100.
0
100.
0
100.
0
100.
0
100.
0
資料:〈表10〉および〈表1
1〉より作成。
−1
9
6−
韓日鉄鋼産業の比較優位分析
目が輸入されている。
に置かれている。また板類も2品目が競争力優
以上の2
0
0
9年韓国鉄鋼産業の対日本競争力に
関する品目別競争力および鉄鋼産業の輸出入の
位に変わったが、1品目は競争力劣位に転落
し、依然として競争力は弱い。
分析に基づいて韓国鉄鋼産業の競争力を考える
そして品目数では板類と棒形鋼類の場合、競
と、鉄鋼製品と鋼管類を除いて全体的に日本に
争力優位にある品目もかなりあるが、韓国鉄鋼
対して競争力劣位に置かれている。特に板類と
品目の輸出入単価比を計算してみると、鉄鋼産
素材類、そして棒形鋼類において競争力が劣る。
業全体が2.
8倍で、素材類が2.
8、板類が2.
2、
棒形鋼類が1.
6、鋼管類が1.
8、そして鉄鋼製品
4.品目別競争力の変化推移
が3.
4倍であり、板類や棒形鋼類のみならず、
〈表1
5〉は1
9
9
5年から2
0
0
9年へと競争力の変
競争力優位にあると判断される鉄鋼製品や鋼管
化の推移を示している。鉄鋼製品と鋼管類の場
類さえも輸出入単価差が大きい。これは鉄鋼産
合は、2
0
0
9年現在1
9
9
5年の競争力劣位から8品
業全体において韓国は相対的に品質の劣る安い
目が競争力優位に転換して相対的に日本に対し
品目を日本に輸出し、日本からは品質の優る高
て競争力優位にある。しかし素材類と棒形鋼類
い品目を輸入していることを示している。以上
はほとんど変化がなく日本に対して競争力劣位
のように確かに韓国鉄鋼産業は去る1
4年の間に
表1
5 品目別競争力の変化推移
1
9
9
5→2
0
0
9
板類
棒形鋼類
鋼管類
鉄鋼製品
絶対優位優位
→
絶対優位優位
7
2
0
9 7
2
1
0
7
2
1
7 7
2
2
3 7
2
2
9
7
3
0
1
7
3
0
6 7
3
2
5
7
3
1
0 7
3
2
2 7
3
0
8
7
3
1
3 7
3
1
7 7
3
1
8
7
3
2
3
絶対劣位劣位
→
絶対優位優位
7
2
2
0
7
3
0
5 7
3
0
7
7
3
1
1 7
3
1
2 7
3
2
1
7
3
2
4 7
3
2
6 7
3
1
6
均衡→
絶対優位優位
7
2
1
1
7
3
0
4
7
3
1
5 7
3
2
0 7
3
1
9
7
3
0
3
7
3
1
4
絶対劣位劣位
→
絶対劣位劣位
素材類
7
2
0
3 7
2
0
4
7
2
0
5 7
2
0
7
7
2
1
8
絶対優位優位
→
絶対劣位劣位
均衡→
絶対劣位劣位
7
2
1
2 7
2
1
9
7
2
2
5 7
2
2
6
7
2
1
3 7
2
1
4 7
2
1
5
7
2
1
6 7
2
2
2 7
2
2
7
7
2
2
8 7
3
0
2
7
2
0
8
7
2
0
6 7
2
2
4
絶対優位優位
→均衡
絶対劣位劣位
→均衡
7
3
0
9
7
2
0
1 7
2
0
2
7
2
2
1
資料:〈表5、6〉、
〈表1
0、1
1〉より作成。
−1
9
7−
長崎県立大学東アジア研究所
『東アジア評論』
第3号
(2
01
1.
3)
ある程度の技術や品質の向上による競争力の改
競争力劣位に置かれている。特に板類と素材
善はあったけれども依然として日本に対して競
類、そして棒形鋼類において競争力が劣る。そ
争力が弱いとしかいえない。
して1
9
9
5年から1
4年が経った2
0
0
9年度の韓国鉄
鋼産業の対日本競争力はほんとんど改善がな
く、鉄鋼製品と鋼管類を除いて全体的に日本に
!.おわりに
対して競争力劣位に置かれている。特に板類と
本稿では貿易特化係数および顕示比較優位指
数などの各種貿易競争力指数を援用した新しい
素材類、そして棒形鋼類において競争力が劣
る。
分析枠を用いて1
9
9
5年から2
0
0
9年までの韓国鉄
第五に、2
0
0
9年韓国鉄鋼品目の対日本輸出入
鋼産業の対日競争力の変化について分析した。
単価比を計算してみると、平均2.
8倍で、板類
その結果を纏めると次のようになる。
や棒形鋼類のみならず、競争力優位にあると判
まず、第一に、韓国鉄鋼産業の日本との輸出
断される鉄鋼製品や鋼管類さえも輸出入単価差
入の全体的な特徴は、去る1
4年間對日本輸出は
が大きい。これは鉄鋼産業全体において韓国は
年平均1.
3%の低い伸び率で増加してきたが、
相対的に品質の劣る安い品目を日本に輸出し、
輸入は年平均7.
0%の高い伸び率で増加してき
日本からは品質の優る高い品目を輸入している
た結果、日本に対して研究期間中ずっと貿易赤
ことを示している。
字を出しており、2
0
0
9年現在6
6億3
7
0
0万ドルに
上る巨額の赤字を出している。
以上のように確かに韓国鉄鋼産業は去る1
4年
の間にある程度の技術や品質の向上による競争
第二に、1
9
9
5年韓国鉄鋼産業の輸出は主に板
類と鉄鋼製品、棒形鋼類が輸出され、輸入は主
力の改善はあったけれども依然として日本に対
して競争力が弱いといえよう。
に板類と棒形鋼類、鋼管類が輸入されていた。
また輸出は主に競争力優位品目が輸出されてい
注
たが、輸入の場合は競争力劣位品目だけではな
1)韓基早・金玲瑾(2
00
8)は「中国鉄鋼産業の対韓
国および対日本競争力分析」
『Journal of the Korean
Data Analysis Society』第1
0巻、第1B 号、37
9
‐
397
ページにおいて、Im, Hye Joon(2
0
0
7)
、「韓国鉄鋼
産業の対日本及び対中国競争力分析」『貿易學會
誌』第3
2巻、第1号、韓国貿易学会、263
‐
2
82ペー
ジと Kim, Gene Uhc and Young Suhk Suh(2
00
6)
、
「韓・中・日鉄鋼産業の競争力変化に関する研究」
『国際通商研究』第1
1巻、第1号、韓国国際通商学
会、1‐
2
4ページによる貿易特化係数および顕示比
較優位指数を用いた輸出競争力の分析方法を修正し
て新たな分析モデルを提示した。
2)こういう分類は、奥村和久(1
9
96)が「日本の対
世界貿易―高度成長終焉後の日本貿易構造の変貌!
―」『経済論集』龍谷大学経済学会、第3
3巻第1号
で、国際分業を輸出特化型垂直分業、黒字基調水平
分業、均衡、赤字基調水平分業、輸入特化型垂直分
業に分けたのを援用して、競争力絶対優位、競争力
優位、競争的(均衡)
、競争力劣位、競争力絶対劣
位に分けたものである。
3)本稿では紙面の制約上韓日鉄鋼産業の貿易の特徴
く、優位品目もかなり大きい比重で輸入され
た。特に板類と鉄鋼製品の場合がそうである。
第三に、2
0
0
9年韓国鉄鋼産業の輸出は板類と
鉄鋼製品、棒形鋼類が主に輸出されたが、輸入
は1
9
9
5年度と違って板類と素材類、棒形鋼類が
主に輸入されている。また1
9
9
5年度と違って輸
出は競争力優位品目だけではなく競争力劣位品
目も輸出されたが、輸入の場合は主に競争力の
弱い品目が輸入されている。
第四に、韓国鉄鋼産業の対日本競争力に関す
る品目別競争力および鉄鋼産業の輸出入の分析
に基づて1
9
9
5年の韓国鉄鋼産業の競争力を考え
ると、鉄鋼製品を除いて全体的に日本に対して
−1
9
8−
韓日鉄鋼産業の比較優位分析
を簡略に述べておきたい。1
9
8
5年から2
0
09年まで世
界の粗鋼生産の年平均伸び率は2.
2%で、韓国と中
国は各々5.
5%と1
1.
0%と高いが、日本は同期間に
−0.
8%と粗鋼生産が減少趨勢にある。また2
00
9年
世界粗鋼生産に占める比重も同期間に日本は1
4.
6%
から7.
2%に下落したが、韓国と中国は各々1.
9%か
ら4.
0%、6.
5%から4
6.
6%と増加した。そして日本
の鉄鋼製品の対世界輸出は1
98
8年の1
76億1
60
0万ド
ルから2
0
09年の38
9億ドルに増加したが、世界市場
占有率は同期間に3
8.
9%から8.
6%に下落して2
0
09
年の中国の同占有率1
0.
5%より低い。また韓国も同
期間に対世界輸出は4
4億48
00万ドルから2
34億8
60
0
万ドルに増加したが、市場占有率は9.
8%から5.
2%
に下落した(UN COMTRADE のデータを用いて筆
者が計算)。
参考文献
コ経営研究所、韓国。
Shin, Hyun Gon(2
0
0
4)
、「韓・中・日鉄鋼輸出
競争力の比較分析と示唆点」『POSRI 経営研
究』第4巻、第1号、ポスコ経営研究所、韓
国。
Sohn, Soo Suk and You, Seung Lok(2
0
0
5)
、「韓
川端望(2
0
0
5)
、『東アジア鉄鋼業の構造とダイ
日 FTA が韓国鉄鋼産業に及ぼす影響に関す
ナミズム』
、ミネルヴァ書房。
る研究」『経済研究』第2
3巻、第2号、韓国
奧村和久(1
9
9
6)
、「日本の對世界貿易―高度成
長終焉後の日本貿易構造の変貌!」『経
経済通商学会。
Im, Hye Joon(2
0
0
7)
、「韓国鉄鋼産業の対日本
集』第3
3卷、第1号、龍谷大学経済学会。
及び対中国競争力分析」『貿易學會誌』第3
2
佐藤創(2
0
0
7)
、『アジアにおける鉄鋼業の発展
と変容』(調査
究書)
、アジア経濟
巻、第1号、韓国貿易学会。
究所。
金 博 洙 他8人(2
0
0
5)
、「韓 中 日 FTA:製 造 業
分門の対応戦略−敏感な品目の分析を中心
に」『経済・人文社会研究会協同研究叢書0
5
‐
0
4
‐
0
2』
、韓国対外経済政策研究院。
Kim, Sae Young(2
0
0
0)
、「韓国鉄鋼産業の国際
競争力の提高方案」『貿易学会誌』第2
5卷、
第3号、韓国貿易学会。
韓基早・金玲瑾(2
0
0
8)
、「中国鉄鋼産業の対韓
Kim, Gene Uhc and Young Suhk Suh(2
0
0
6)
、
「韓・
国および対日本競争力分析」『Journal of the
中・日鉄鋼産業の競争力変化に関する研究」
Korean Data Analysis Society』第1
0巻、第1B
『国際通商研究』第1
1巻、第1号、韓国国際
号、韓国資料分析学会。
通商学会。
UN COMTRADE, http://comtrade.un.org
Nam, Si Kyung(2
0
0
4)
、「重力モデルを通じた
韓中日鉄鋼産業の貿易自由化の効果分析」
『POSRI 経 営 研 究』第4巻、第2号、ポ ス
−1
9
9−