本レポートは、キャピタル・パートナーズ証券の提携先であるベトナム大手証券会社とキャピタル・パートナーズ証券子会社のキャピタル・パートナーズ・ベトナム・ コンサルティングが共同で作成・翻訳したものです。 ビングループ(VIC)[マーケットパフォーム -2%] 作成日 20162011 年 5 月 19 日 18 March 時価 VND53,500 売上高伸び率 目標株価 VND52,500 EPS 伸び率 前回の目標株価 VND54,500 売上総利益率 目標株価までの上昇率 配当利回り 株式投資収益率 業種 時価総額 外国人保有比率上限までの残り 30 日間平均日次売買代金 更新版 2015 2016F 22.8% 45.9% 2017F 63.1% -63.9% 60.0% 189.7% 40% 34.4% 34.7% 34.2% 20% 純利益率 3.6% 3.9% 7.0% -1.9% EPS(VND) 673 1,076 3,118 0.0% 純資産/株 12,802 13,879 16,997 4.2x 3.8x 3.1x (VND) -1.9% PBR VN-INDEX 0% (20%) Apr-15 Jul-15 中期傾向/下値抵抗線 Oct-15 Jan-16 上昇/VND54,500 VIC *同業他社 VNI ビングループは現在、総面積 8100 ヘクタールの広大な USD4,297mn PER(実績) 80.0x 11.1x 11.9x 土地を有し、ベトナム最大の不動産デベロッパーである。 USD761mn PBR(予測) 4.2x 0.9x 1.7x VIC は 住宅、個人向け不動産、オフィスとホスピタリティ 0.3x N/A 等、不動産全般を開発・運営している。VIC は小売事業に 不動産 USD1.5 mn 純負債/資本比 率 0.4x も参入しており、スーパーマーケット、コンビニエンススト 0% ROE 5.6% 10.0% 14.2% 発行済み株式数(百万株) 1,807 mn ROA 1.3% 4.6% 2.5% 完全希薄化後株式数(百万株) 1,807 mn 政府の保有率 VIC VN ア、電子機器や電子商取引において一定の存在感を示し ている。 *住宅不動産デベロッパー *F は当社予測 VIC のジレンマ:(供給)能力と市場力学との不一致 当社は VIC に対して投資格付けを「買い」から「マーケットパフォーム(M-PF)」に変更する。その理由 は株価が急騰して前回の目標株価に達した一方、小売事業の損失が不動産開発事業の利益の足を 引っ張っているためである。 供給が増え続ける中、高級住宅の需要は頭打ちになっている。2015 年に取引件数が 160%急増した後、 高級住宅市場はピークに達したと考えられる証拠があり、2016 と 2017 年は徐々に低下することが予 想される。しかしながら、供給は 2015 年対比でさらに急増が予想されるため、供給過剰圧力が高まる ことになる。市場シェアが 50%に達しており、VIC は現在、同等の競争相手の増加と市場の取引件数の 減少の狭間にある。 大規模がデメリットをもたらす可能性がある。規模の大きさと確かな知名度によって、一等地の獲得が 可能になる一方、規模の大きさゆえに回避することが困難なマクロ経済的、政治的なリスクにも VIC が 晒されることがある。最近の政府による不動産向け融資引き締めの動きは 2016~2017 年の期間の同 社にとって最初の障害となる。前回のサイクルに見られるように、巨大プロジェクトモデルと不動産投機 家及び投資家に大きく依存していることも、VIC に市場の変動に対して柔軟に適応できなくさせている。 消費者向け小売事業は永久に利益の減少をもたらすかもしれない。VIC はスーパーマーケット、ミニマ ート事業の積極的な店舗拡大により、小売市場を支配する決意を維持している。機会があるのに、今 日までの出店不足は 2015 年の重大な損失に繋がり、今後に大きな不安を残した(2016 年第 1 四半期 EBIT 利益率-35%)。消費者向け小売事業の損失は 2016 年の不動産事業の利益の半分を食い潰す と予測している。 土地への大型投資と消費者向け小売事業の急拡大は資本収益率の低下を招くだろう。2014-15 年に 大成功を収めた後、VIC は用地買収と小売(事業)拡大に重点的に投資してきた(2014 年に 10 億米ド ルと 2015 年に 17 億米ドル)。土地面積が販売見通しを上回っており、競争の激しい小売業界において は同社のスキルが乏しく、この投資の収益率は低下すると見込まれる。言い換えれば、VIC は凋落中 の不動産市場において盤石な優位性を確保する一方で、成長段階にあるが競争が激しい小売セクタ ーにおいて苦戦している。このジレンマは 2016 年末から 2018 年まで続く可能性がある。その間には不 動産市場では新しい周期が始まり、VIC は小売セクター戦略と実践について修復することができるかも しれない。 直近の力強い株価の動きで一気に目標株価に到達した。当社の 2015 年 12 月 10 日付けの前回のレ ポート以来、VIC の株価は 29.5%上昇して 53,500 ドンに達したが、当社の前回の目標株価に 1.8%及ば なかった。VIC の株価はこの水準で十分に評価されていると当社では考えている。 1/23 高級住宅:供給過剰のリスクの中、高まる競争圧力 2015 年は高級物件活況の年であった。取引件数は過去 2 年で 10 倍に増え、2015 年は前回のサイク ルのピークを大きく上回った(図表 1)。 図表 1:高級物件の取引件数(の推移)(戸) 20,600 18,000 7,800 6,300 4,100 5,500 3,500 3,300 800 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2,000 2013 2014 2015 2016F 出所:ハノイ及びホーチミン市での CBRE データ 市場は 2015 年に短期的なピークに達したと考えられる明確な証拠がある 1.投資家と投機家による取引件数は高級物件の総取引件数の 50%~80%を占め、記録的な数に達し た。2016 年の第 1 四半期の CBRE の販売数に対して、投機家と投資家の取引件数は総取引件数の 54%と 28%を占めており、これは市場がいかに投機的なものになったかを示すものである。 2.高級物件の供給戸数は過去 4 年間、総供給戸数に占める割合で見て一貫して増え続けており、 2015 年には前回のサイクルと同様な水準に達した(図表 2)。ホーチミン市において、高級物件は 2015 年の総供給戸数の 50%に達している。 図表 2:総供給戸数に対する高級物件の割合 42% 36% 25% 36% 37% 2015 2016F 23% 19% 18% 9% 2008 2009 2010 2011 2012 出所:ハノイ及びホーチミン市に関する CBRE データ、当社 2/23 2013 2014 3.殆どのベトナム人購入者は低、中級のアパートしか買えず(図表 3)、外国人の購入件数は総取引 件数の 5%~10%の低水準に留まっているため、高級物件の供給数は実需を上回っている。 図表 3:ベトナム成人の正味財産 低 87.9% 中 高 11.9% 0.2% Under 10,000$ 10,000$ - 100,000$ Over 100,000$ 出所:クレディ・スイス、世界銀行 4.金利は底入れし、銀行の不動産向け融資はより厳しくなっている。 図表 4:12 ヶ月の貸出金利 21% 20% 18% 16% 14% 12% 10% 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 8% 2015 10% 2016F 出所:ベトナム国立銀行 図表 5:中・長期の融資残高に対する短期預金の比率は通達第 36 号/2014 の改正草案に明示された 上限の 40%に届く。 37% 34% 25% 21% Jun-13 Oct-13 Feb-14 Jun-14 Oct-14 State owned banks 国有銀行 出所:ベトナム国立銀行 3/23 Feb-15 Jun-15 Commercial 商業銀行 banks Oct-15 高級物件の供給過剰圧力は 2016 年と 2017 年に高まる見通し 高級物件の供給戸数は引き続き急増すると見込まれている。その要因は次の通りである。①現存する 開発案件の進捗状況から見て、2015 年対比で 20%~30%の供給増が示唆される。②大部分の主要プ レーヤーは今年の販売数増加を目指すと述べている。③今後融資の引き締めがあっても、高級物件の 供給はさほど影響を受けない。というのは、高級物件市場が主要プレーヤー数社(健全な財務状況、銀 行からの支援、資本市場へのアクセス権を持つ)に支配されているためである。事実、市場シェアの 40%超を占める、ホーチミン市における VIC の最大の競争相手であるノバランド(Novaland)は、今年販 売数を 20%増大させることを目指している。 図表 6:ノバランド社の販売数の推移(戸) 8,000 6,700 3,300 1,100 100 300 2011 2012 2013 2014 2015 2016F 出所:ノバランド 一方、新規分譲の需要は減る可能性が高い。その要因は以下の通り。 1.投資家は 2016 年においてはそれほど活発ではないだろう。その理由は預金金利の上昇、プロジェ クト引渡し後にやって来る賃貸利回りの低下、コンドミニアムホテル・海辺の別荘(ビラ)分野の魅力的 な保証利回りである(図表 8)。2014 年と 2015 年の急回復によって多額の投資資金が集まった模様だ が、2016 年と 2017 年における余地は少ないだろう。 2.投機家もそれ程積極的にはなれないだろう。というのは、金利上昇や建設(工事)の急速な進展によ って、レバレッジをかけたポジションへの圧力が生じるためである。更に、高級住宅市場に迫りくる供給 過剰状態も、投機家にとって不動産市場を魅力の少ない市場にしている。 3.実需の買い手は新規分譲市場よりも、中古物件市場により集中する見込みである。外国人の購入 による後押しはプラス要因だが、政府による更なる緩和措置がなければ意味あるものにならないだろう。 図表 7:高級物件の供給過剰により高まる圧力(戸数) 年間ベースで取引件数を上回る新規供給戸数 6,200 4,400 3,300 3,300 2,000 800 300 0 2007 2008 2009 2010 2011 出所:ハノイ及びホーチミン市に関する CBRE データ 4/23 2012 600 500 2013 2014 2015 2016F 図表 8:高級アパートに投資する魅力は 2016 年と 2017 年に低下する見通し 10% 7% 7% Rental Yield 賃貸利回り Deposit Rate 預金金利 Condotel Guaranteed Yield コンドテル保証利回り 出所:当社 VIC の事業 2015 年は住宅開発事業が大当たりだった。高級住宅市場でのシェア 50%、販売率 80%(市場全体の 55%に対し)を達成した。この要因は1等地に大規模プロジェクトを建設するという独自のモデル、優れた 販売戦略と投資家の多大な関心を呼ぶ有利な支払いパッケージにある。市場の流動性の高まりと相ま って、VIC は 2014 年比 3 倍増に相当する 22 億米ドルの住宅販売契約価値を 2015 年にもたらした。 新しい計上サイクルが 2015 年第 4 四半期に始まった。2014 年と 2015 年に販売が急速に伸びた後、 引渡しの進捗に基づく売上高計上が可能になっている。主にヴィンパールヴィラ、セントラルパークとタ イムズシティから進捗の認識を得て 2016 年、特に 2017 年に不動産事業売上が急増することを当社で は予想している。ヴィンパールヴィラとセントラルパークを含む利益率の高いプロジェクトにより、2014 年と 2015 年よりも利益率は改善する見込みである。 図表 9:VIC の不動産事業の EBIT 利益率と売上高 Revenue 売上高(10(VNDbn) 億 VND) 18,000 16,000 EBIT EBIT margin 利益率 40% 35% 31% 14,000 29% 31% 27% 28% 27% 12,000 32% 22% 30% 10,109 10,542 10,000 25% 20% 8,000 6,000 35% 6,303 4,871 6,144 15% 4,454 4,000 4,285 3,445 3,340 10% 5% 2,000 - 0% Q1 2014 Q2 2014 Q3 2014 Q4 2014 Q1 2015 Q2 2015 Q3 2015 Q4 2015 Q1 2016 出所:VIC 5/23 2016 年と 2017 年に試練に立たされる見込み。それは拮抗する競争相手と不動産市場の取引件数の 減少による。VIC は一等地に大規模プロジェクトを開発できるというたぐいまれなる能力により、2013 年 以来、驚異的な成功を収めた。しかしながら、ケッペル・ランドやロッテなど類似の開発モデルを持つ有 力な競争相手が現れる 2016 年からこの優位性は縮小するだろう。これら2社は 2016 年と 2017 年早 期に最初の大規模プロジェクト建設を開始し、VIC のホーチミン市での支配的な地位を直接張り合うこ とになるだろう。注目すべきはこの2つのプロジェクトがともにトゥーティエム新都心の一等地に位置して いることである。 図表 10:ホーチミン市の代表的な大規模なプロジェクト Investment value億米ドル) (USDbn) 投資額金額(10 Units 戸数 4,500 8 5,000 7 6 3,000 3,000 3,000 3,000 3,000 5 4 4 2,000 3 2 4,000 2.3 1.3 1 1,000 1.2 0 1 0 -1,000 VIC - Saigon Port VIC - Golden River Keppel Land Empire City Lotte - Eco Smart Weidner Holdings* City 出所:VIC、オンラインメディア、当社の予測、*計画に基づく そのため、VIC は 2016 年に住宅プロジェクトに柔軟に着手するだろう。現在、広大な土地を有している が、VIC は市場の潜在需要に基づいて発売することを目指している。当社はこの戦略を歓迎する。その 理由は VIC の大規模プロジェクト開発モデルは市場が冷え込むと流動性リスクに晒される可能性があ り、継続的な発売は各プロジェクト間の共食いを発生させかねないからである。同社は 2016 年第 1 四 半期にハノイにビンホーム・ガーデニアプロジェクト(3000 戸、総開発費 3.5 億米ドル)を、このほどホー チミン市にビンホーム・ゴールデン・リバープロジェクト(4500 戸、総開発費 13 億米ドル)を発売した。今 後の新規発売は既存プロジェクトの販売進捗次第となろう。 図表 11:VIC の主要プロジェクトの販売進捗状況 Units launched 発売戸数 Unit solds 販売済み戸数 10,455 8,678 5,723 4,178 1,296 596 Gardenia Times City - Park Hill 出所: 2016 年 4 月の VIC のデータ 6/23 Central Park 消費者向け小売:VIC、(店舗)展開経験不足に有名プレーヤー の圧力高まる ベトナムの小売売上高は健全な成長を続けるだろう。2011 年-2015 年を通じ、年平均 8%の割合で伸 びた後、現代的な取引形態での潜在成長性が高いからである。市場は現在、生鮮市場と独立系食料 品店により支配(85%)されている。将来的には、現代的取引形態(特に都心部で)が所得の増加及び 利便性と食品の安全性に対する選好により、より急速に伸びそうである。 図表 12:ベトナムの小売売上高の伸びは 2016 年~2020 年の期間、勢いを保つだろう(10 億米ドル) 年平均成長率 7% 年平均成長率 8% 62 2011 76 69 2012 2013 95 83 85 88 2014 2015 2016F 2017F 117 110 103 2018F 2019F 2020F 出所:エコノミスト・インテリジェンス・ユニット スーパーマーケット:VIC の野心的な目標は、有名な競合相手の強力な関与によって厳しい試練に立 たされている。主要なプレーヤーは全て、ベトナム小売市場で機会を捉える明確な決意を示している (図表 13)。市場の潜在成長性と新規供給を比較すると、2016 年~2020 年の期間では、供給が需要を 上回る可能性があるように思われる。また、ミニマートとコンビニエンスチェーンの急速な発展も同事業 の将来の成長に圧力を掛けることは言うまでもないだろう。事実、近年の中国や東南アジアの大型スー パーマーケットやスーパーマーケット事業の成長が、小規模店舗形態の台頭に伴って減速している(図 15、16)。VIC は現在、新規参入者として周囲から激しい圧力を受けている。ビッグ C やサイゴンコープ 等の地位を確立したプレーヤーはベトナムで強力なブランド名と足跡(実績)を有する一方、新規参入 組は全て、先進国市場における現代的な小売業で実証済みの実績を手にしている。大規模、確固たる ブランド、これまでのベトナムにおける事業の成功を踏まえると、これらの競合他社の内、VIC の野望に 大きく立ちはだかるのは AEON、サイゴンコープ、ビッグ C であると当社は考えている。明らかな優位性 がないと、VIC がこれらの相手と競争するのは困難であろう。 図表 13:主要プレーヤーのスーパーマーケットの目標件数 2015 200 2020 120 100 77 50 60 50 32 37 11 AEON VIC 60 Saigon Coop Lotte 1 E-Mart Central Group Big C 19 24 BJC Metro 1 20 Marks & Spencer 1 20 Auchan 出所:エコノミスト・インテリジェンス・ユニット、オンラインメディア、当社。AEON の数字はシティーマートとフィビマー トを含む。 7/23 ミニマート:VIC の市場区分の選択は正しかったが、出店不足 ベトナムミニマート市場は強い潜在成長力があり、2009 年当時のインドネシアと非常によく似ている (図表 14、15)。2009 年のインドネシアと同じ所得水準と取引普及率があり、ベトナムのミニマート分野 は、同様の過程を経て発展する態勢を整えている。所得の向上と消費者の洗練さの高まりによって、利 便性・製品の品質・ショッピング体験に対するより高い要求に拍車がかかる傾向を考えると、長期的に は大都市の小売市場はミニマート分野に収束すると予測している。その理由はスーパーマーケットより 利便性に優れ、生鮮市場の食品安全の問題を解決できるからである。事実、インドネシア小売業者協 会によると、インドネシアのスーパーマーケットの数は、2008 年~2011 年の期間に 17%減少した。この 動向は東南アジアにおいてミニマート/コンビニエンスストア分野がスーパーマーケット分野よりもはる かに速く成長しているという事実によって証明される(図表 16)。ベトナムのミニマート事業者は合理的 な価格水準を維持しつつも物流問題を解決し、新鮮な肉を供給し、生鮮市場やスーパーマーケットに代 えて日々の需要を捕らえることができれば、インドネシア市場の成功を再現できるだろう。 図表 14:ベトナムとインドネシアとの比較 2014 年時点のベトナム 2009 年時点のインドネシア 国民 1 人当たり GDP(USD) 2,100 2,200 2000~2014 年の国民 1 人当たり GDP の CAGR 小売売上高全体に占める現代的な小売業の割 合(%) 都市化率 12% 13% 15% 20% 33% 49% コンビニエンスストアの店舗数 350 300 スーパーマーケットの数 800 1,500 1,500 12,000 ミニマートの数 出所:世界銀行、ニールセン、USDA、当社 図表 15:2009 年~2014 年のミニマート/コンビニエンスストア分野の CAGR 31% 19% 21% Malaysia Philippines 15% 7% Singapore Thailand Indonesia 出所:Euromonitor 図表 16:2015~2019 年のスーパーマーケットとミニマート/コンビニエンスストアの CAGR スーパーマーケット Supermarket ミニマート/コンビニエンスストア Minimart/Convenience 14% 8% 4% -3% Singapore 5% 10% 5% 6% Thailand Indonesia 7% 2% Malaysia 出所:Euromonitor 8/23 Philippines VIC の無計画な拡大は 2015 年に多額の損失を発生させ、今後も懸念事項となる。VIC は消費者関連 の洞察力、店舗拡大の経験あるいは IT やサプライチェーンの管理能力が欠如している小売セグメント の新規プレーヤーであるにもかかわらず、同社は熟慮した市場試験期間を経ずに、強引に店舗を拡大 し、その結果多額の損失を被ることになった。これはミニマートセグメントにおける MWG のアプローチと は著しく異なっている。現在、MWG はホーチミン市郊外地域に 15 のパイロット店舗を運営し、いち早く ポジティブなマージンを達成しているが、一方で VIC の 2016 年第 1 四半期の消費財小売部門の EBIT マージンは-35%であった(図表 17、ミニマート、スーパーマーケット及びその他小売の構成比は不明)。 更なる市場試験を行った後、MWG は 2018 年~2020 年までにミニマートを 8000 店舗開店するという意 欲的な目標を掲げる見込みで、事実上 VIC の積極経営への最大の脅威となるだろう。 小規模店舗モデル(VIC)であるため将来の機会は少ない。消費者が日常の食品消費のために、生鮮 市場やスーパーマーケットからミニマートにシフトする局面で、面積が 100 ㎡以下である VIC の小規模 店舗ストアでは新鮮な肉を提供する機会を失するだろう。一方、MWG は面積が 100 ㎡~250 ㎡である ストアを展開する戦略があり、これは MWG の売上に対する販売費及び一般管理費の比率を低下させ、 新鮮な肉を販売するスペースを確保することに資するだろう。現時点で、MWG は物流関係の問題があ り、店舗で新鮮な肉を提供する計画はない。 2016 年、VIC はストア数を 2015 年 12 月時点の 650 から 3000 店舗に増加させるという積極的な拡大 路線を維持するだろう(図表 18)。効率性向上の兆しが見えていないため、VIC はさらに膨大な損失を 計上する可能性が高いと当社は見ている。2016 年第1四半期の EBIT マージンは-35%で当社の見方 を再確認する結果になっている。 図表 17:VIC 消費財小売セグメントの EBIT マージン及び売上高 Revenue (VNDbn) 売上高(10 億ドン) 4,000 33% 3,500 3,000 EBIT EBITmargin マージン (19%) (43%) (73%) (50%) (44%) (32%) (35%) 2,500 2,191 2,000 1,712 (126%) 1,325 1,500 796 1,000 500 473 133 79 72 137 Q1 2014 Q2 2014 Q3 2014 Q4 2014 Q1 2015 Q2 2015 Q3 2015 Q4 2015 Q1 2016 出所:VIC 図表 18: 2016 年の VIC 店舗拡大計画 3,000 650 50 60 Vinmart 20 Vinmart+ Vinpro 2015 出所:VIC 9/23 25 2016 100 200 Vinpro+ 100% 50% 0% (50%) (100% (150% (200% (250% (300% (350% (400% ホスピタリティ:台頭する競争相手に比べ、実行力のある VIC に 一日の長がある VIC の強力なポジションは新規プレーヤーの挑戦を受ける。先発者の優位性を活かし、VIC は 2012 年~2015 年に売上高 CAGR の 34%を達成するなど急速に確固たる地位を確立した。しかしながら、ベ トナムの観光市場は魅力的で多くの競合相手が参入しているため、今後 VIC にとって脅威となる可能 性がある;その典型的な例としてフーコック島が挙げられる(図表 19)。とは言うものの、VIC は強いブ ランド力や同分野での長年にわたる折り紙つきの実績があるため、当面はその地位を維持できると当 社は考えている。 直近 2 四半期に大幅に低下した EBIT マージンは、増加に転じる見通し(図表 20)。EBIT マージンは 大幅に低下したが、その理由は大規模修繕のためヴィンパールニャチャンを一時休業したことや新ホ テルの開業とで減価償却費と販売費及び一般管理費が高水準になったことである。ヴィンパールニャ チャンが業務を再開し、新ホテルも高い客室稼働率を達成すれば、2016 年第 2 四半期以降に EBIT マージンは回復すると予想している。競争相手は台頭するものの、最近国際観光客数が急増している ことや VIC のしっかりした実績が、同事業における同社の拡大路線の後押し材料となるであろう(図表 21)。 図表 19:フーコック島における高級ホテル客室(室) 2015 1,500 1,200 1,000 2016- 2017 1,000 500 VIC Sun Group Thai Group LDG 400 400 CEO Group 250 BIM MIK 出所:オンラインメディア、当社 図表 20:ホスピタリティ事業での VIC の EBIT マージン及び売上高 Revenue 売上高(10(VNDbn) 億ドン) 2,000 47% 29% (21%) 1,500 1,000 494 EBIT EBITmargin マージン 41% 581 569 470 500 3% 642 11% 9% 915 759 50% (63%) (32%) 984 532 0% (50% (100% (150% - (200% Q1 2014 Q2 2014 Q3 2014 Q4 2014 Q1 2015 Q2 2015 Q3 2015 Q4 2015 Q1 2016 出所: VIC 図表 21:ベトナムへの国際観光客数の推移 20 32% 観光客数(百万人) Visitors (Million) 20% 13% 12% 15 10 5 6 6.8 7.6 伸び率 Growth 20% 4% 0% 7.9 7.9 40% (10%) 2.4 5 0 (60%) 2010 2011 2012 出所:ベトナム文化スポーツ観光省 10/23 2013 2014 2015 Q1 2016 投資不動産リース:ポテンシャルは高いが、デベロッパーは差別 化する必要がある ハノイ市場 改善する 2015 年業績。稼働率は低水準であった 2014 年の 78%から 2015 年は 87%に上昇した。これ は大規模な新規プロジェクトであるビンコム・グェンチータインとイオンロンビエン 2 件の稼働率が 100% になったのと、既存のモールが僅かながらも改善したことが寄与した。2015 年の賃貸料金は 2014 年と 比べて安定した。 今後は競争激化。総面積 20 万平方メートルの新しい小売スペース(ほとんどはショッピングモール分 野、前年比+30%)が運営を開始するため、2016 年は既存モールの賃貸料金には重荷になるだろう。こ のセクターは急速に変化を遂げているため、斬新な発想で専門的に管理された新しいモールは既存の モールの市場シェアを獲得することができる(特に、ハノイの若者は新しく、魅力的でかつ手ごろな娯楽 の場所を常に求めている)。 魅力的な構想、顧客中心のアプローチと適切な市場ポジショニング戦略が成功の秘訣である。2015 年 10 月に運営を開始したハノイ三大ショッピングモールの一つであるイオンロンビエンは一大センセ ーションを巻き起こしたが、その要因には優れた PR プログラム、異なる年齢層に対応した各種施設を 備える魅力的なフロアレイアウト、あるいは有望な中間所得層市場に焦点を合わせたことがある。同モ ールは、郊外にあるにも拘らず、早々に 100%の稼働率を達成し、運営開始 11 日で 100 万人の顧客を 集めたと言われている。対照的にベトナムの最大のショッピングモールであるビンコム・ロイアル・シティ は、ハノイのリース可能総面積の 25%を占め、市内に位置しているにも拘わらず、稼働率(70%)の改善 は見られずまた賃貸料金も 8%下落した(サヴィルズによる)。それは、過剰なリース可能面積、上流中 産階級や高所得者層を対象にした小規模な市場、さらに魅力のないフロアレイアウトに起因している。 激しい競争の中でも差別化を進めればデベロッパーは成功できることを、これらの対照的なケースは 端的に示している。 図表 22:ハノイの代表的なショッピングモールの稼働率(*) 2014 2015 100% 50% 0% Vincom Vincom Vincom Vincom Vincom Ba Vincom Ba Aeon Long Melinh Melinh Royal City Times City Nguyen Long Bien Trieu Trieu Bien Plaza Plaza Ha Chi Thanh Tower Tower C Dong Anh Dong A&B 出所:サヴィルズ (*)ハノイにある VIC の全ショッピングモール6か所を含む 11/23 Savico Indochina ホーチミン市場 2015 年の業績は好調に推移した。2015 年にリース可能総面積が 33%増加したにも拘わらず(図表 23)、稼働率が過去最高の 94%に達したことは、一貫して強い需要があることを如実に現わしている。 2011 年~2014 年に中位成長した後、2015 年のリース総面積が急増したのはサイゴン・パール・プラ ザ、SC ヴィヴォシティと 3 つのビンコムモールが運営を開始したためである。これらの大規模なプロジ ェクトの平均稼働率は 92%で、市場全体の平均稼働率をやや下回ったが、素晴らしい水準だと言える。 図表 23:ホーチミン市のショッピングモール部門のリース可能面積 NLA ('000 m2) Growth 33% 700 16% 600 20% 5% -2% 490 500 360 400 370 350 310 40% 0% -20% 300 -40% 200 -60% 100 -80% 0 -100% 2011 2012 2013 2014 2015 出所:サヴィルズ ハノイよりホーチミン市の方に機会が多い。所得水準、人口、消費性向のいずれにおいても上回るホー チミン市での需要がより速く伸びると予想されている。一方、ホーチミン市のリース可能総面積はハノイ の 76%に過ぎず、その平均稼働率と賃貸料金もまたハノイより高くなっている(図表 24)。 図表 24:2014 年・2015 年のハノイ及びホーチミン市のショッピングモール市場 リース可能総面積 (㎡) 年 賃貸料金(米ドル/月/ ㎡) 稼働率 VIC のシェア 2015 2014 2015 2014 2015 2014 2015 2014 ホーチ ミン市 487,964 367,464 72 78 94% 91% 29% 17% ハノイ 643,328 504,600 41 38 87% 78% 56% 58% 出所:サヴィルズ、当社の試算 12/23 VIC の営業状況 ハノイでの激しい競争を相殺するために、ホーチミン市と中堅都市でモールの展開を加速。2015 年に ハノイにおける VIC のほとんどのショッピングモールは改善の兆しを見せたが(図表 25)、ロイアルシテ ィは稼働率が 70%で賃貸料金も 8%減少するなど低調なままである。新規のグェンチータインモールが 高い賃貸料金と稼働率 100%で運営を開始し好調な業績を達成したにも拘わらず、低調なロイアルシテ ィの影響により、VIC の平均稼働率は過去 2 年連続で市場平均を下回った。ハノイと対照的に、3 つの 新規モールの稼働率が高く、リース可能面積の市場シェアが 2014 年の 17%から 2015 年には 29%に急 上昇するなど VIC は初期段階ではホーチミン市での拡大に成功した。しかし、高い販売・管理費及び 減価償却費により、モールの急速な拡大は 2016 年第 1 四半期の利益率を圧迫した(図表 26)。VIC が 2016 年にハノイ、ホーチミン市及び中堅都市で 15~20 の新規モールを開店する計画であるため、 当社は 2016 年利益率が 2014 年及び 2015 年と比べて低水準になると見ている。 図表 25:ハノイ及びホーチミン市における VIC の代表的なショッピングモール(*) リース可能 総面積 2015 年賃貸料金 2014 年賃貸料金 2015 年 2014 年 USD/月/㎡ USD/月/㎡ 稼働率 稼働率 70% 70% 87% 80% (㎡) ハノイ ロイアルシティ 161,317 35 38 タイムズシティ 72,950 31 30 グェンチータイン 65,328 85 ロンビエン 29,000 20 20 86% 71% バチエウ A&B 17,506 110 100 100% 100% バチエウ C 100% 10,974 80 80 100% 100% 合計・平均値 357,075 47 40 83% 76% ハノイ市場 643,328 41 38 87% 78% ビンコム B 57,700 100 100 90% 80% タオディエン 47,500 50 95% クアンチューン 14,500 40 86% トゥドゥック 23,000 40 合計・平均値 142,700 68 100 92% 80% ホーチミン市の市場 487,964 72 78 94% 91% ホーチミン市 95% 出所:サヴィルズ、当社の試算 (*)2015 年末に、VIC は他の都市で 6 つのモールを展開する。 図表 26:VIC の投資不動産分野の EBIT マージンと売上高 Revenue (VNDbn) 売上高(10億ドン) 1,500 EBIT margin EBITマージン 150% 112% 1,300 1,100 57% 54% 50% 50% 71% 37% 900 700 529 532 536 597 41% 869 700 515 571 100% 29% 50% 802 0% 500 (50%) 300 (100% 100 (100) (150% Q1 2014 Q2 2014 Q3 2014 出所:VIC 13/23 Q4 2014 Q1 2015 Q2 2015 Q3 2015 Q4 2015 Q1 2016 深刻なジレンマにより投資利益が減少している VIC は過去 5 年間で積極的に投資を拡大し、比類なき成功を収めた。2011 年と 2012 年の経済危機 後、経済回復過程の機会を捉えるために、同社は積極的に投資を行った。この戦略は高級セグメント での優れた業務展開と相まって、住宅販売額を 2014 年の 7 億米ドルから 2015 年の 22 億米ドルへと 3 倍に増加させることとなった(図表 27)。 しかし、VIC が重要な過渡期にあるため、当社は 2015 年の大規模な投資からのリターンに関して用 心深くなっている。第一に、上記分析の通り高級セグメントは 2015 年に短期的なピークに達した。ホー チミン市場では主要プレーヤーから激しい競争圧力がある一方で、ハノイでは 2016 年と 2017 年に 30%の取引減少が見通されている(CBRE による)。第二に、VIC の消費者リテール分野への投資は、 高い業務遂行能力、強いブランド力や良好な財務状況に恵まれた競争者の挑戦に厳しく晒されている。 VIC はこの分野で多額の損失を被っており、当社は VIC が少なくとも今後 2 年間は損失を出し続ける と予想している。一方、ホスピタリティと投資不動産分野は拡大中であるが利益率は低下している。従 って、当社は 2016 年と 2017 年に全体の投資収益率が低下することと、その程度が今後の業界の状 況や VIC の業務執行能力の改善次第であることを考えている。 図表 27:VIC の住宅販売契約額(10 億米ドル) 2.2 1.4 1.1 0.7 2013 2014 7M 2015 2015 出所:VIC 図表 28:VIC の資本投資総額(百万米ドル)(*) 1,700 900 400 100 2011 200 2012 2013 2014 出所:VIC の財務諸表 (*)投資からのキャッシュフローを資本投資として計算 14/23 2015 2015 年業績:生活消費関連が利益を引き下げた 2015 年に、生活消費関連分野と郊外住宅管理サービスの急増により、VIC の売上高は 23%増加した。 住宅関連の売上高は 3%減少したが、2014 年と 2015 年に契約販売額が大幅に増加した後、2016 年に は新しい計上サイクルを開始することになるだろう。主にヴィンパールニャチャンが大規模修繕のため 休業することにより、2015 年ホスピタリティ部門は損失を計上した。税引き後利益は当社の予測値を 25%下回ったが、これは 2015 年に 1.6 兆ドンの損失を計上した生活消費関連分野の急拡大が原因で ある。これは VIC が年初に設定した税引き後利益の通年目標の 50%しか達成しなかった理由でもある。 図表 29:2015 年業績 2015 年 前年比 当社の予測値 との比較 (%) 売上高 34,048 22.8% 112.7% 住宅関連 21,179 -2.7% 107.0% 小売スペースリース 2,655 21.0% 115.5% ホスピタリティ 2,848 34.7% 92.5% ヴィンパールフークオックが通年 で運営、ヴィンパールニャチャン 港が 2015 年 5 月に運営開始した リテールサービス 4,306 922.7% 121.7% 低ベース効果及び予想を上回る急 拡大 その他 3,060 150.2% 202.9% 低ベース効果及び予想を上回る教 育・郊外住宅管理からの売上高の 伸び EBIT 6,646 -17.3% 120.4% 住宅販売 6,175 -1.0% 107.2% 小売スペースリース 1,368 -10.2% 144.2% ホスピタリティ -141 -126.4% -65.5% -1,611 477.4% 102.2% 855 3,462.5% 492.2% EBIT マージン 19.5% 29.0% 18.3% 住宅販売 29.2% 28.6% 29.1% 小売スペースリース 51.5% 69.5% 41.3% (10 億ドン) リテールサービス その他 ホスピタリティ -5.0% 25.3% 7.0% -37.4% -66.3% -44.6% その他 27.9% 2.0% 11.5% 税引き前利益 2,852 -47.3% 85.1% 税引き後利益 1,501 -60.2% 74.7% 税引き後純利益(少数 株主持分を除く) 1,216 -61.5% 72.3% リテールサービス 出所:VIC、当社 15/23 コメント ロイアルシティ、タイムズシティ とヴィンパールヴィラからの譲渡 予想を上回る高い税率及び生活消 費関連分野での多額の損失 2016 年第 1 四半期業績:不動産が他の分野の落ち込みを補完 した VIC は、2016 年第 1 四半期の連結売上高が前年同期比 137%増の 15 兆 1600 億ドン(7 億 6400 万米 ドル)、売上総利益が同 92%増の 4 兆 3000 億ドン(1 億 9100 万米ドル)という目覚ましい業績を発表し た。しかし、その好業績は主に不動産開発により支えられ、他の分野は振るわなかった。2015 年に販 売が大幅に伸びたこともあり、不動産売上高の計上は高水準であると思われる。一方、他の主要分野 では利益率が落ち込む結果となった(図表 30)。 図表 30:2016 年第 1 四半期業績 2016 年 第1四 半期 前年同期比 2016 年予 測値との比 較(%) 売上高 15,159 137% 30.5% 住宅関連 10,542 146% 39.1% 2016 年と 2017 年に多額の売上高を計上 するとの予想通り 小売スペースリース 802 56% 26.6% 2015 年第 4 四半期に新しいモールの運営 開始により高い伸び ホスピタリティ 984 54% 19.3% 新ホテルの運営がヴィンパールニャチャ ンの修繕による休業を相殺した 2,191 363% 17.8% 急速な売上高の伸びは主に 2015 年末の 積極的な店舗拡大に起因する 640 33% 28.0% EBIT 2,534 122% 42.1% 住宅販売 3,399 260% 43.7% 231 -9% 18.5% ホスピタリティ -315 -1,532% -166.8% リテールサービス -770 775% 22.1% その他 -11 -238% -3.9% EBIT マージン 17% 18% 12.1% 住宅販売 32% 22% 28.8% 小売スペースリース 29% 50% 41.4% 2015 年第 4 四半期に新モールが運営を開 始したため利益率が圧迫された ホスピタリティ -32% 3% 3.7% ヴィンパールニャチャンの一時的な休業 と新ホテルの高水準の販売・管理費及び 減価償却費 リテールサービス -35% -19% -28.2% -2% 2% 12.3% 税引き前利益 1,907 152.2% 47.7% 税引き後利益 1,038 190.4% 43.2% 610 42.5% 31.4% (10 億ドン) リテールサービス その他 小売スペースリース その他 税引き後純利益(少 数株主持分を除く) 出所:VIC、当社 16/23 コメント 2016 年見通し:不動産により高い伸び 2016 年に、VIC は売上高を前年比 32%増の 45 兆ドン(20 億米ドル)、税引き後利益を同 100%増の 3 兆ドン(1 億 3300 万米ドル)にする目標をもっている。高水準の不動産関連の計上があるため、当社は VIC が売上高の通年計画は達成できると考えるが、生活消費関連が利益の足かせとなり 2016 年の税 引き後利益として 2.4 兆ドン(1 億 700 万米ドル)を暫定予想とする(これは前年比 60%の増加で十分に 素晴らしい水準ではある)。2016 年、VIC は複数の郊外住宅を含む住宅プロジェクト(主にセントラルパ ークとヴィンパールヴィラ)からの売上を計上する予定である。積極的な店舗拡大により、生活消費関 連からの売上高は大幅に増加するだろう。当社は、投資不動産リース及びホスピタリティ分野の利益率 が圧迫されると予想するが、それは VIC がこれらの分野を拡大し、初期段階では販売・管理費や減価 償却費の上昇を伴うからである。 図表 31:2016 年見通しの概要 2016 年 当社の予 測値 前年比 前回の予 測との比 較(%) 49,684 45.9% 100.0% 26,965 27.3% 89.9% 3,017 13.6% 100.6% 5,087 78.6% 100.0% 総ホテル客室が 2014 年の 1000 室から 2016 年第 1 四半期は 5000 室に増加した ため、売上高が急増。 12,326 186.3% 125.4% 2015 年に開店したビンマート・スーパー マーケットの販売の改善と 2016 年にビ ンマートプラスの急拡大 2,289 -25.2% 129.7% EBIT 6,023 -9.4% 73.4% 住宅販売 7,779 26.0% 90.7% 小売スペースリース 1,250 -8.6% 100.6% 189 -233.9% 40.9% -3,477 115.8% 152.4% その他 282 -67.0% 134.8% EBIT マージン 12% 19.5% 17% 住宅販売 29% 29.2% 29% 小売スペースリース 41% 51.5% 41% 4% -5.0% 9% -28% -37.4% -23% 12% 27.9% 12% 税引き前利益 4,002 40.3% 64.2% 税引き後利益 2,401 60.0% 55.2% 税引き後純利益(少 数株主持分を除く) 1,945 (10 億ドン) 売上高 住宅関連 小売スペースリース ホスピタリティ リテールサービス コメント 主にセントラルパークとヴィンパールヴ ィラからの売上。また、VIC はロイアル シティとタイムズシティからの売上の計 上を継続。 その他 ホスピタリティ リテールサービス ホスピタリティ リテールサービス その他 60.0% 出所:VIC、当社 17/23 53.4% 生活消費関連分野が急拡大したため販 売・管理費が上昇し利益が下方修正され た。 評価バリュエーション 当社は、ゴールデンリバー、タンロン及びとサイゴンポートの 3 つの新規不動産プロジェクトを評価に加 えたが、その際、地域内同業他社を参考に生活消費関連分野に対して同じ PSR を適用した(ビンマー トとビンマートプラスが 0.9 倍、ビンプロとビンプロプラスが 0.4 倍)。生活消費関連分野の多額の損失を 受けて、当社は同部門の評価を 30%ディスカウントした。新しい株式リスクプレミアム 8.4%及び金利上昇 を反映し、加重平均資本コストを前回の 11.3%から 12.7%に上げている。ウォーバーグピンカス所有のビ ンコムリテール株式(VIC 株式に転換可能)について VIC に確認したところ、この転換権が行使される 可能性は低いことが判明した。従って、当社は株価のバリュエーション評価からこの問題を除いた。 図表 32:評価バリュエーションの概要 プロジェクト 評価方法 プロジェクトの 純資産価値 (10 億ドン) 実効保有率 実効純資産価値 (10 億ドン) 73,050 2,548 5,454 12,372 3,683 6,323 3,317 7,294 5,212 5,053 7,129 4,315 5,747 4,602 VINHOMES Royal City Times City Central Park Golden River Saigon Port Thang Long Riverside 2 Dan Phuong Smart City Garden City River Park Dream City Hung Yen Others DCF DCF DCF DCF DCF DCF DCF DCF DCF DCF DCF DCF DCF 2,590 5,728 16,562 19,386 14,052 3,317 7,294 5,212 5,241 7,661 8,805 5,747 98.4% 95.2% 74.7% 19.0% 45.0% 100.0% 100.0% 100.0% 96.4% 93.1% 49.0% 100.0% VINCOM RETAIL LEASING VincomCenter DK Vincom Towers BT Royal City Mega Mall Times City Mega Mall VincomCenter CP Others DCF DCF DCF DCF DCF DCF 3,792 2,433 4,221 2,826 2,602 80.0% 80.0% 80.0% 80.0% 74.7% 18,786 3,034 1,947 3,377 2,261 1,944 6,224 VINPEARL VPL NT + VPL Land VPL Da Nang VPL PhuQuoc VPL Nha Trang Bay VPL Ha Long Bay Others DCF DCF DCF DCF DCF DCF 5,460 740 7,416 3,708 2,592 92.9% 92.9% 51.1% 92.9% 100.0% 18,162 5,070 688 3,788 3,443 2,592 2,581 生活消費関連 PSR 4,895 その他 PSR 4,342 総純資産価値 +現金・現金同等物 -総負債 純資産価値 発行済み株式総数(百万株) 1 株当たり純資産価値(ドン) 119,235 15,168 -39,390 95,013 1,807 52,500 出所:VIC、当社 18/23 推奨履歴 図表 33:時価に対する当社の目標株価の履歴 VND/株 買い 54,500 60,000 買い 54,500 買い 54,500 買い 54,500 マーケットパフォーム 52,500 40,000 Actual 時価 Price 20,000 Feb-15 Apr-15 Jun-15 出所:ブルームバーグと当社 19/23 Aug-15 Oct-15 Dec-15 Target Price 目標株価 Feb-16 テクニカル分析 見解 株価チャートは急速に上昇し、2011 年から現時点まで形成されている長期上昇帯の中で取引されてい る。一方、株価は 54,500 ドンの上値抵抗線でもみ合いとなっているが、この上値抵抗線を突き抜けた 場合、株価は 58,000 ドンの上値抵抗線に向けて動く可能性がある。 テクニカル指標システムによると、株価チャートは反落のシグナルが形成されていないため、中期上昇 傾向は維持され中期的リスクは非常に低いと思われる。 当社の傾向指標システムは中期下値支持線が 49,000 ドンで中期傾向の上昇が維持されることを示し ている。つまり、中期傾向は上昇を維持し反落シグナルは出されていない。 推奨 中期投資家は、49,000 ドンをストップロスの水準として保有を継続し、54,500 ドンの上値抵抗線を突き 抜けた場合には 58,000 ドンを目標株価として買い増しすることを推奨する。 2016 年 5 月 19 日 (VND/株) 中期分析時間軸 3 ヶ月から 6 ヶ月 中期上値抵抗線 54,500 中期下値支持線 49,000 中期傾向 上昇 出所:VCSC 20/23 年次財務諸表 損益計算書(10 億ドン) 2015A 34,048 2016F 49,684 2017F 81,033 売上原価 -22,339 -32,465 -53,335 売上総利益 11,709 17,218 販売費 -2,958 一般管理費 -3,923 4,828 売上高 支払金利前税引前利益(EBIT) 貸借対照表(10 億ドン) 現金及び現金同等物 2015A 2016F 2017F 9,439 6,938 9,250 短期投資 11,143 10,142 6,142 27,698 売掛金・受取手形 13,848 13,848 13,848 -5,078 -6,040 棚卸資産 28,027 38,960 31,739 -6,118 -7,158 その他流動資産 7,743 7,743 7,743 6,023 14,500 流動資産総額 67,699 79,943 68,910 1,932 1,426 2,034 有形固定資産総額 57,771 78,428 89,196 金融費用 -3,282 -3,479 -4,974 -減価償却 -3,066 -3,714 -4,783 その内支払利息 -2,403 -2,952 -4,724 有形固定資産(減価償却後) 54,705 74,715 84,413 39 32 33 9,598 9,598 9,598 -665 0 0 無形固定資産 13,493 12,476 11,678 金融収益 持分法投資損益 その他の損益 長期投資 2,852 4,002 11,593 固定資産総額 -1,351 -1,601 -4,637 資産合計 少数株主持分前税引後利益 1,501 2,401 6,956 少数株主持分 少数株主持分控除後の純利益 (会社発表) 少数株主持分控除後の純利益 (調整済)(1) -285 -456 -1,321 1,216 1,945 5,635 1,216 1,945 5,635 EBITDA 税引き前利益 法人税 買掛金 短期借入金 その他流動負債 77,796 96,788 105,689 145,495 176,731 174,599 4,579 5,067 5,673 1,425 1,425 1,425 58,845 81,163 64,944 7,044 7,468 16,367 流動負債総額 64,849 87,655 72,042 基本 EPS(会社発表値、VND) 673 1,076 3,118 長期借入金 35,505 40,942 48,097 基本 EPS(調整済(1)、VND) 673 1,076 3,118 その他長期負債 7,564 5,953 5,324 完全希薄化後 EPS(VND) 673 1,076 3,118 負債合計 107,918 134,551 125,463 2015A 2016F 2017F 優先株式 比率 成長性 払込資本金・発行済み資本金 0 0 0 18,682 19,399 19,399 7,285 22.8% 45.9% 63.1% 追加株式資本・資本剰余金 5,799 7,285 支払金利前税引前利益成長率 % -35.9% 24.7% 140.8% 利益剰余金 1,600 3,545 9,180 税引き前利益成長率% -47.3% 40.3% 189.7% その他持分 (2,946) (2,946) (2,946) EPS 伸び率%(調整済) -63.9% 60.0% 189.7% 少数株主持分 14,442 14,898 16,219 自己資本合計 37,576 42,180 49,136 145,494 176,731 174,599 2015A 2016F 2017F 7,608 6,938 9,250 1,216 1,945 5,635 2,216 1,445 1,867 18,714 11,874 -8,393 売上成長率% 収益性 総資本(負債+資本) 売上総利益率% 34.4% 34.7% 34.2% EBIT マージン% 14.2% 12.1% 17.9% キャッシュフロー(10 億ドン) EBITDA マージン% 20.7% 15.0% 20.2% 現金の期首残高 少数株主持分控除後純利益率(調 整済)% 3.6% 3.9% 7.0% ROE % 5.6% 8.1% 20.2% ROA % 1.3% 1.5% 4.0% 効率性 純利益 減価償却費 運転資本の増減 その他の調整 -1,850 -3,537 692 営業活動によるキャッシュフロー 27,903 11,727 -199 -14,476 -20,657 -10,767 364.6 376.6 241.9 売掛金回収日数 78.7 101.7 62.4 純資本支出 買掛金支払日数 33.6 40.6 42.5 純投資 -24,622 1,220 4,000 現金循環化日数 409.7 437.7 261.8 投資活動によるキャッシュフロー -39,098 -19,437 -6,767 -974 0 0 流動比率(倍) 1.0 0.9 1.0 ∆ 株式資本 0 0 当座比率(倍) 0.5 0.4 0.4 ∆ 長期負債 現金比率(倍) 0.3 0.2 0.2 在庫日数 流動性 配当金の支払額 23.7% 25.2% 29.6% 負債比率% 47.9% 52.7% 52.4% ∆ 短期負債 その他の財務活動によるキャッシュフ ロー 財務活動によるキャッシュフロー 純負債/純資産比率% 43.8% 1.3 63.0% 1.3 77.0% 2.5 総資産負債比率% インタレスト・カバレッジ・レシオ 0 0 3,954 0 0 10,022 7,155 7,544 0 0 10,524 10,022 7,155 現金の増減額 -671 2,313 188 現金の期末残高 6,938 9,250 9,439 出所:VIC の財務諸表、F は当社の予測。(1)比率は会社発表の利益に基づいて計算。調整済の EPS は、特別利益を除き標準化しまた通達 200 号に従い従業員賞与基金への拠出引き当て を調整した利益に基づく。 21/23 格付けと評価方法 絶対的で長期的な格付け:当社の推奨は、市場との相関評価ではなく、(目標株価-時価)/時価+配当利回りという計 算式で定義された株式のトータルリターンに基づいている。 格付け 買い アウトパフォーム(O-PF) マーケットパフォーム(M-PF) アンダーパフォーム(U -PF) 売り 格付け無し 格付け中断 定義 今後 12 ヶ月間におけるトータルリターン(配当を含む)が+20%以上であると予想 する場合。 今後 12 ヶ月間におけるトータルリターン(配当を含む)が+10%から+20%の間で あると予想する場合。 今後 12 ヶ月間におけるトータルリターン(配当を含む)が-10%から+10%の間で あると予想する場合。 今後 12 ヶ月間におけるトータルリターン(配当を含む)が-10%から-20%の間で あると予想する場合。 今後 12 ヶ月間におけるトータルリターン(配当を含む)が-20%以下であると予想 する場合。 対象銘柄は調査部より分析される可能性があるが、自発的な理由、または当社 が企業に対し合併や戦略的取引の助言を行うなどの特定条件下で法令や社内規 定の遵守の観点から格付けや目標株価の設定を行わない場合。 格付けや目標株価の設定を行うための基本的な情報が不十分な場合。前回の格 付けと目標株価(ある場合)は同銘柄に対して無効になる。 別段の定めがない限り、株価変動のパラメーターは資本の増加を反映するものであり、有効期限は 12 ヶ月である。将来に おける株価変動は一時的に時価と目標株価に、上方または下方に差異を引き起こす可能性もある。そのため、株価変動の パラメーターは柔軟に解釈される必要がある。 目標株価:殆どの場合では、目標株価はアナリストの評価による当該株式の現在の適正価値に等しい。目標株価はアナリ ストの予想した状況が現実となりカタリストが機能し、市場がそれを認識した時に取引される価格である。しかしながら、カタ リストが欠けているために市場が期間内に評価をしないとアナリストが考えた場合、目標株価は適正株価と異なることがあ る。従って、殆どの場合では、当社の推奨は現在の市場の株価と当社の現在の適正株価の差異の評価である。 評価方法論:目標株価を算出するために、アナリストは割引フリー・キャッシュフロー及び比較分析など様々な評価方法を駆 使している(但し、これらの方法に限定することではない)。評価方法の選択は当該業界、当該企業、当該株式の特徴および 他の条件に依存する。企業の評価は下記の一つ、または複数の方法の組み合わせによって行われる。(1)倍数に基づくモデ ル(P/E, P/キャッシュフロー, EV/売上, EV/EBIT, EV/EBITA, EV/EBITDA)、類似企業との比較と歴史的な評価のアプロー チ、(2)割引モデル(DCF, DVMA, DDM)、(3)価値の分割アプローチまたは資産に基づく評価方法、(4)経済利益アプローチ (残存収益、EVA)などである。評価モデルは GDP 成長、金利、為替レート、原料価格とその他の経済に対する仮定と当該 企業の特定のリスクなどに依存している。また、市場の心理も企業の評価に影響を与える可能性がある。株式の評価はま た期待感に基づいて、期待感は予告なく、素早く変化し、それぞれの業界の特定の技術開発に依存している。 リスク:過去のパフォーマンスは必ずしも将来の結果を示すものではない。為替レートはこのレポートに記載された証券 または関連の投資商品のバリュー・価格または収入に悪影響を与える可能性がある。 本レポートは、キャピタル・パートナーズ証券の提携先であるベトナム大手証券会社とキャピタル・パートナーズ証 券子会社のキャピタル・パートナーズ・ベトナム・コンサルティングが共同で作成・翻訳したものです。本レポート は、信頼できると考えられる公開情報に基づき作成されたものですが、その内容の正確性及び完全性を保証す るものではありません。本レポートに記載された内容等は作成時点のものであり、今後予告なく変更されることが あります。本レポートは投資の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を意図するものではありませ ん。本レポートに含まれる情報のご利用にあたっては、投資家ご自身の判断と責任でご利用下さい。 キャピタル・パートナーズ証券株式会社 調査部 [email protected] 22/23 商 号 等 キャピタル・パートナーズ証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 62 号 加入協会 日本証券業協会 http://www.capital.co.jp/ [事業所] 本社・本店 〒101-0047 東京都千代田区内神田 1-13-7 四国ビルディング 電話番号:03-3518-9300(代表) 大阪支店 〒530-0057 大阪府大阪市北区曽根崎 2-5-10 梅田パシフィックビルディング 電話番号:06-6232-8370(代表) 名古屋支店 〒460-0003 愛知県名古屋市中区綿 2-19-19 広小路センタープレイス 電話番号:052-220-3690(代表) 福岡支店 〒810-0801 福岡県福岡市博多区中洲 5-5-13 KDC 福岡ビル 電話番号:092-272-0873(代表) 23/23
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