2016 年 11 月 25 日 複合材料学 I 期末レポート課題(2016 年度) 提出期限(厳守) : 2016 年 12 月 5 日(月) .担当教員のメールボックス(機械工学科事務室前)に投函 問 1 表 1 に示すそれぞれの材料を用いて,水平な地面に対して垂直に一様断面(断面積 A = 1 m2)の 柱を建てる.座屈や種々の原因によって柱に働く曲げを考えない場合,柱の高さ H がある限界を 越えると,柱の最下部において自重による圧縮応力が限界に達して破損する.それぞれに材料に ついて高さ H の限界値を答えなさい.また,その結果をもとに,建築材料としての CFRP や GFRP の長所について考察しなさい.ただし簡単のため,大気圏は無限に高いものとし,重力加速度は 高さ方向の位置に依らず g = 9.8 m/s2 で一定と見なす. 表1 材 各種材料の密度と限界圧縮応力 料 軟鋼 高張力鋼 アルミニウム合金 (高強度) エポキシ CFRP (一方向強化,繊維方向) GFRP (一方向強化,繊維方向) 問2 密度 (kg/m3) 限界圧縮応力の大きさ c (MPa) 7.87×103 200 7.87×10 3 1500 2.70×10 3 500 1.3×10 3 60 1.5×10 3 1600 1.8×10 3 700 図 1(a), (b)に示すように, 円柱状の芯材を同じ長さの被覆材で覆ったハイブリッド繊維を用いて, 図 1(c)に示すような一方向強化の複合材料を作製し,繊維方向に引張応力を与える場合を考える. 以下の問いに答えなさい. (1) ハイブリッド繊維について,その全体積に占める芯材の体積の割合 Vc,および被覆材の体積の割 合 VL を,与えられた記号を用いて表しなさい.ただし 0 < n < 1 である. (2) ハイブリッド繊維の軸方向のヤング率 Ef が,芯材(ヤング率 Ec)の体積率と被覆材(ヤング率 EL)の体積率に応じた複合則で与えられるものとして,Ef を Ec,EL,n を用いて表しなさい. (3) このハイブリッド繊維を用いた一方向強化複合材料に,図 1(c)に示すように繊維方向の巨視的な 引張応力を与える.複合材料の繊維方向巨視的ヤング率 E1 が,ハイブリッド繊維と母材のヤング 率を用いて,講義資料の 2.2.1 項で解説されている平板モデルで評価できるものとする.複合材料 中のハイブリッド繊維の体積含有率を Vf,母材のヤング率を Em とするとき,(2)の結果を利用し て,E1 を Ec,EL,Em,Vf,n を用いて表しなさい.また,その E1 の式をもとに,(i) Vf = 0.6,Ec = 350 GPa,EL = 70 GPa,Em = 3 GPa の場合における n の変化 (0~1)に対する E1 の変化,および, (ii) Vf = 0.6,Ec = 350 GPa,Em = 3 GPa,n = 0.8 の場合における EL の変化( 0~350 GPa) に対する E1 の変化をグラフで表しなさい. 問 3 直交異方性の一方向強化ラミナを重ねた対称積層板[0a /452/90b]S について,講義資料 4.2.1 項で述 べた積層理論を用いて以下の問いに答えなさい.ただし,上記の積層構成において a は学籍番号 の数字の下 1 桁目,b は下 2 桁目とし,該当する数字が 0 の場合は 10 とみなしなさい.一方向強 化ラミナの各層の厚さは tp = 0.2 mm,主軸座標系 123 での巨視的な弾性スティフネスは C11 = 130 GPa,C22 = 8 GPa,C12 = 3 GPa,C66 = 5 GPa とする. (1) この対称積層板の面内剛性の成分 A11,A22,A12,A66,A16,A26 を求めなさい. (2) この対称積層板に x 方向の一様な平均引張応力 x = 100 MPa を与えたとき,生じる面内の垂直・ せん断ひずみx,y,xy を求めなさい.ただし,講義資料の図 4.7(c)にも示したように,x 方向の 平均引張応力 x に積層板の厚さを乗じたものが x 方向の合応力 Nx である. (3) (2)のとき,主軸座標系における繊維垂直方向の引張圧縮応力22 の最大値とそれがどの層に生じる か,およびせん断応力12 の絶対値の最大値とそれがどの層に生じるかを答えなさい. なお,本問の解答にプログラムを使用した場合はそのソースプログラム,Excel 等の表計算ソフト を用いた場合はシートのプリントアウトを付録として必ず添付すること.ただし少なくとも最終的な 解答の数値はレポート本文に書くこと.なお,プログラムや表計算シートを用いる場合は必ず自作の ものとし,他人の作成したものを使用することは認めません(採点時にチェックします) .
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