参考:フランスの飲用牛乳市場 1.飲用牛乳の消費動向 - J-milk

参考:フランスの飲用牛乳市場
1.飲用牛乳の消費動向
表 1 に 、フ ラ ン ス に お け る 牛 乳 類 の 生 産・消 費 動 向 を 示 し た 。こ れ に よ る と 、
2000 年 の 牛 乳 類 の 年 間 生 産 量 は 、 3,756,640Kl、 対 前 年 比 1.5% 減 と な っ て い
る 。 う ち 、 パ チ ャ ラ イ ズ タ イ プ は 、 119,769KL、 高 温 殺 菌 タ イ プ 258,435KL、
UHT タ イ プ 3,325,950KL、 乳 飲 料 ( フ レ ー バ ー 牛 乳 ) 52,486KL で あ っ た 。
日 本 で い う 牛 乳 の 生 産 量( 乳 飲 料 を 除 く )は 3,704,154KL で 、日 本 の 飲 用 牛
乳 ( 牛 乳 及 び 加 工 乳 ) 生 産 量 の 81.0% の 水 準 と な っ て い る 。
な お 、E U 域 内 に お け る 商 品 の 流 通 が 活 発 化 し 、酪 農 製 品 の 貿 易 も 増 加 傾 向
に あ る な か で 、2000 年 の 牛 乳 類 の 輸 入 量 は 384,585KL( 前 年 比 -10.8% )、一 方 、
輸 出 量 は 前 年 比 9.8% 増 の 367,219KL と な っ て い る 。CNIER の Mr.Philippe de
Guenin の 説 明 に よ る と 、 こ れ ら の 輸 出 入 の 多 く は 、 ス ペ イ ン 、 イ タ リ ア 、 ベ
ル ギ ー 等 の 国 境 に 隣 接 す る 地 域 で の 牛 乳 の 移 出 入 が ほ と ん ど で あ り 、特 に 牛 乳
の輸入量は最近、減少傾向にあるという。
表 1 :フ ラ ン ス に お け る 牛 乳 類 の 生 産 ・ 消 費 動 向
製品
単 位 KL
1999年
*低 温 殺 菌 牛 乳
*ロ ン グ ラ イ フ ミ ル ク
−
高温殺菌牛乳
−
超高温殺菌牛乳
−
乳飲料(フレーバー牛乳)
牛乳総生産量
2000年
%
131 426
119 769
-8.9
3 684 142
3 636 871
-1.3
259 202
258 435
-0.3
3 372 745
3 325 950
-1.4
52 195
52 486
+0.6
3 815 568
3 756 640
-1.5
414 937
367 219
-11.5
16 352
17 366
+6.2
−
牛乳輸出
−
乳飲料輸出
−
輸出総計(国土外)
431 289
384 585
-10.8
−
牛乳輸入
315 732
342 885
+8.6
−
乳飲料輸入
35 624
42 998
−
輸入総計
351 356
385 883
79 933
-1 298
3 735 635
3 757 938
*輸 出 入 収 支
*国 内 総 消 費 量
+20.7
+9.8
+0.6
Source: enquete mensuelle de production(S.C.E.E.S)
次 に 、図 1 で 、過 去 2 0 年 間 の 国 民 1 人 当 た り の 牛 乳 消 費 量 の 推 移 を 示 し た
が 、 こ れ に よ る と 、 フ ラ ン ス に お け る 1 人 当 た り の 消 費 量 は 、 1991 年 の 66.3
l を ピ ー ク に 徐 々 に 減 少 し 、 2000 年 は 63.8l と な っ て い る 。 な お こ の 消 費 量
56
は 日 本 人 の 1 人 当 た り 消 費 量 36.0l 1 の 約 1.8 倍 の 水 準 に あ る 。フ ラ ン ス で は
酪 農 製 品 の 中 で も 、飲 用 牛 乳 の 消 費 は 低 年 齢 層 が 主 体 で 、成 人 に な る に し た が
っ て チ ー ズ へ の 消 費 に シ フ ト す る と 一 般 に い わ れ て い る が 、そ れ に も か か わ ら
ず、飲用牛乳の消費量は日本より相当高水準にあるといって良いだろう。
図1 国民1人当たりの年間消費量の推移
リットル
70
66.3
63.8
64.1
64.3
64.6
64.8
65.1
64.9
63.7
63.7
63.8
2000
65
65.9
65.2
1999
65.7
65.0
62.9
61.5
60.8
60
59.2
57.8
58.2
55
出典:ONILAIT-SCEES
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
1991
1990
1989
1988
1987
1986
1985
1984
1983
1982
1981
1980
50
そ れ で は 、酪 農 製 品 全 体 の 消 費 量 は ど の よ う な 構 造 と な っ て い る の で あ ろ う
か 。 表 2 に 、 1980 年 ( 一 部 1983 年 ) 及 び 2000 年 の 牛 乳 乳 製 品 の 品 目 別 生 産
量 を 示 し た 。も ち ろ ん 生 産 量 イ コ ー ル 消 費 量 と は な ら な い が 、在 庫 の で き な い
フレッシュな製品ではその生産量を消費量の目安と考えることが可能であろ
う 。ま た フ ラ ン ス で は 酪 農 製 品 の 輸 入 量 に 比 率 は 極 め て 低 率 で あ る の で 、国 内
生 産 量 で 消 費 量 の 水 準 を 推 定 で き る 。こ の デ ー タ に よ る と 、フ ラ ン ス に お け る
2000 年 の 牛 乳 乳 製 品 の 生 産 量 は 、 飲 用 牛 乳 を 除 く と 、 チ ー ズ が 1,767 千 ト ン
と 最 も 多 く 、 次 い で ヨ ー グ ル ト が 1,334 千 ト ン と な っ て い る 。
こ れ ら を 、 2000 年 の 生 産 量 に つ い て 日 本 と 比 較 す る と 、 日 本 の 生 産 量 に 対
し て 、飲 用 牛 乳 は 8 4.4% 、ヨ ー グ ル ト は 163% 、生 ク リ ー ム は 412% 、チ ー ズ
は 1402% 、 バ タ ー は 509% 、 粉 乳 は 267% 、 練 乳 は 89% の 水 準 と な っ て お り 、
特 に 生 ク リ ー ム 、チ ー ズ 、バ タ ー 等 の 生 産 量 が 際 立 っ て 多 い 。な お 、飲 用 牛 乳
の 数 値 か ら 国 民 1 人 当 た り の 消 費 量 に お け る 日 本 と の 対 比 を 推 測 す る と 、ヨ ー
グ ル ト で 3.4 倍 、 生 ク リ ー ム で 8.7 倍 、 チ ー ズ 27.8 倍 、 バ タ ー ( 直 接 消 費 の
み ) で 35.5 倍 と 、 何 れ も わ が 国 の 消 費 量 に 比 較 す る と 極 め て 多 い こ と が わ か
る .中 で も チ ー ズ 、 バ タ ー の 消 費 量 が 多 い 。 2
1
2
日 刊 酪 農 乳 業 速 報 ・ 資 料 特 集 58 P234
飲 用 牛 乳 の 生 産 量 対 比 が 84.4% で 、そ の 場 合 の 1 人 当 た り 消 費 量 対 比 が 177% で
あ る こ と か ら 、177% /84.4% = 2.1 倍 を そ れ ぞ れ の 生 産 量 対 比 に 乗 じ た 数 値 。な お 、
57
表 2 : 過 去 20 年 間 に お け る 牛 乳 乳 製 品 の 生 産 量 の 変 化
1980年
2000年
日 本 ( 2000
増減率
年)
3,047KL
3,757KL
23.3%
4,449KL
ヨーグルト
509 千 ト ン
1,334 千 ト ン
162.1%
695KL
乳製品デザート
164 千 ト ン
519 千 ト ン
216.5%
生クリーム
104 千 ト ン
301 千 ト ン
189.4%
73 千 ト ン
1,231 千 ト ン
1,767 千 ト ン
43.5%
126 千 ト ン
1,062 千 ト ン
1,624 千 ト ン
52.9%
622 千 ト ン *
448 千 ト ン
− 28.0%
532 千 ト ン
372 千 ト ン
− 30.1%
965 千 ト ン *
566 千 ト ン
− 41.3%
(内、直接消費)
114 千 ト ン
124 千 ト ン
8.8%
練乳
119 千 ト ン
32 千 ト ン
− 73.1%
飲用牛乳
チーズ
*
(内、直接消費)
バター
(内、直接消費)
粉乳
88 千 ト ン
212 千 ト ン
36 千 ト ン
* : 1983 年 の 数 量
Source: S.C.E.E.S( CNIEL)、 牛 乳 乳 製 品 統 計
ま た 、20 年 前 と の 生 産 量 の 変 化 を み る と 、ヨ ー グ ル ト 、フ レ ッ シ ュ チ ー ズ 、
デ ザ ー ト 、 生 ク リ ー ム に つ い て は 、 2.5∼ 3 倍 の 増 加 と な っ て い る 一 方 で 、 飲
用牛乳及びチーズ、粉乳は若干の増加、バター及び練乳は減少となっており、
同じ牛乳乳製品のなかでも、消費の構造が大きく変化していることがわかる。
な お 、ヨ ー グ ル ト 、フ レ ッ シ ュ チ ー ズ の 消 費 量 の 伸 び 及 び バ タ ー の 消 費 の 落 ち
込 み は 健 康 志 向 を 、デ ザ ー ト の 消 費 の 伸 び は 牛 乳 乳 製 品 の 多 様 化 を 、生 ク リ ー
ムの消費の伸びは高級化志向を反映したものと思われる。3
表3:家計における酪農製品の支出額
支 出 額( 1000 フ ラ
支出割合
ン)
飲用牛乳
10.0
13.9%
フレッシュ乳製品
22.9
31.9%
2.6
3.6%
チーズ
30.8
42.8%
バター
5.6
7.7%
クリーム
3
チ ー ズ は CNIEL の 統 計 に よ る 年 間 9 万 ト ン の 輸 出 分 を 生 産 量 か ら 除 外 し 、バ タ ー に
つ い て は 、 日 本 の 消 費 量 の う ち 25% が 家 庭 向 け 消 費 で あ る と し て 推 算 し た 。
Carrefour.Fr の Mr.Laurent Waill は 、 今 後 の 消 費 傾 向 と し て 、 子 供 は 牛 乳 か ら
ヨ ー グ ル ト 、デ ザ ー ト へ と 消 費 を シ フ ト さ せ 、女 性 は ダ イ エ ッ ト 指 向 か ら 、チ ー ズ
の消費量を減少させていくのではないかとみている。
58
合
7 1.8
計
1 00%
Source: SECOD IP/CIDIL
表 3 では、家計における酪農製品への支出水準を示したが、フランスの一般
家 庭 に お け る 牛 乳 乳 製 品 へ の 支 出 の う ち 、 飲 用 牛 乳 へ の 支 出 は 13.9% に 過 ぎ
な い 。デ ザ ー ト や フ レ ッ シ ュ チ ー ズ 、ヨ ー グ ル ト な ど の フ レ ッ シ ュ 乳 製 品 へ の
支 出 は 31.9% と 非 常 に 高 い 比 率 で あ り 、 最 も 高 い 支 出 割 合 で あ る の は チ ー ズ
で 、 42.8% で あ る 。
日 本 に お け る 牛 乳 乳 製 品 の 消 費 に お い て 、飲 用 牛 乳 の 消 費 が そ の 大 部 分 を 占
め て い る こ と を 考 え る と 、フ ラ ン ス に お け る 牛 乳 乳 製 品 の 消 費 構 造 が 日 本 と は
基本的に異なっていることがわかる。
2、飲用牛乳の製品タイプ別生産動向
次に、フランスにおける飲用牛乳の生産量を製品タイプ別に見てみよう。
ま ず 図 2 に 、1984 年 か ら 2000 年 ま で の 飲 用 牛 乳 の 殺 菌 温 度 別 生 産 割 合 の 推
移 を 示 し た 。こ の 図 か ら も 明 ら か な よ う に 、フ レ ッ シ ュ タ イ プ の 高 温 殺 菌 牛 乳
及 び 低 温 殺 菌 牛 乳 の 生 産 割 合 が 減 少 を 続 け 、 2000 年 で は 、 そ れ そ れ 、 6.9% 、
3.2% 、 両 者 を 合 わ せ て も 、 1984 年 当 時 で 32.9% で あ っ た の が 10.1% と 1 割
程 度 に ま で 減 少 し て い る 。一 方 、超 高 温 殺 菌 牛 乳 い わ ゆ る ロ ン グ ラ イ フ ミ ル ク
は 、 毎 年 増 加 傾 向 に あ り 、 1984 年 当 時 66.1% で あ っ た も の が 2000 年 に は
83.4% と な っ て い る 。こ れ は 、英 国 の ロ ン グ ラ イ フ ミ ル ク の 消 費 量 が 全 体 の 1
割程度であることと対照的である。
59
図2 飲用牛乳の殺菌温度別生産割合の推移
1.0%
1.0
1.0
1.0
1.0
1.0
1.0
1.0
1.0
1.0
11.3
10.0
9.8
9.0
10.0
9.0
11.0
10.5
10.3
1.0
1.0
1.2%
1.1%
1.2%
1.4%
1.4%
7.0
6.4%
6.9%
6.3%
6.8%
6.9%
8.5%
8.4%
7.8%
5.1%
5.2%
79.7%
79.8%
81.0%
83.3%
83.4%
100%
12.6%
8.2
80%
60%
66.1%
69.7
73.0
75.2
79.0
79.0
82.0
81.0
82.5
83.4
85.8
87.5
40%
20%
20.3%
18.0
16.0
14.0
11.0
10.0
8.0
7.0
6.0
5.3
5.0
4.5
4.2%
3.8%
3.5%
3.4%
3.2%
1990
1991
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
0%
1984
1985
1986
1987
出典:SCEES、Syndilait
1988
1989
低温殺菌牛乳
超高温滅菌牛乳
栄養強化牛乳
高温殺菌牛乳
乳飲料
な お 、栄 養 強 化 牛 乳 及 び 乳 飲 料 は 、い ず れ も 極 め て 低 い 割 合 で あ り 、ま た 増
加傾向にはない。4
図3では、飲用牛乳のパッケージタイプ別生産割合の推移を示した。
フ ラ ン ス に お け る 飲 用 牛 乳 の パ ッ ケ ー ジ タ イ プ 別 生 産 割 合 は 、 2000 年 に お
い て 、 紙 容 器 ( ブ リ ッ ク タ イ プ ) が 78.7% 、 プ ラ ス チ ッ ク 容 器 ( ボ ト ル タ イ
プ ) が 21.3% と な っ て い る 。 1994 年 以 降 の 推 移 を み る と 、 紙 容 器 が 8 割 、 プ
ラ ス チ ッ ク 容 器 が 2 割 と い う 大 ま か な 比 率 に は 変 化 は な い が 、最 近 で は 、プ ラ
スチック容器の割合が増加傾向にあるという。なお、すでに報告したように、
英 国 で は い ま や 、プ ラ ス チ ッ ク 容 器 が 全 体 の 8 割 弱 を 占 め る に 至 っ て お り 、こ
うした傾向は将来的にフランスでも予測されている。
4
CNIEL の Mr. Philippe de Guenin は 、 超 高 温 殺 菌 牛 乳 の シ ェ ア が 極 め て 高 い こ と
に 対 し て 、 次 の よ う な コ メ ン ト を 述 べ た 。「 UHT 牛 乳 は 糖 分 が 変 化 し て キ ャ ラ メ ル
の 味 が す る よ う に な り 、ま た 、長 期 保 存 の た め に 脂 肪 を ホ モ ゲ ナ イ ズ し て 脂 肪 球 が
小 さ い 。そ の 結 果 、 フ ラ ン ス 人 は 、 パ ス チ ャ ラ イ ズ 牛 乳 の 味 を き つ く 感 じ 、 全 乳 タ
イ プ の 牛 乳 を 飲 ま な く な っ て い る 。学 校 給 食 で も UHT の 低 脂 肪 牛 乳 を 供 給 し て お り 、
子 供 達 が 全 乳 タ イ プ の 牛 乳 を 飲 め な く な っ て い る 。そ れ ら の 影 響 が あ る 。」
60
図3 飲用牛乳のパッケージタイプ別生産割合の推移
100%
90%
19.4
19.9
18.5
19.0
19.2
20.1
21.3
80.6
80.1
81.5
81.0
80.8
79.9
78.7
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
紙容器
10%
プラスチック容器
0%
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
出典:Syndilait(18社)
図4に、飲用牛乳の脂肪タイプ別生産量の推移を示した。
こ の デ ー タ に よ る と 、 1999 年 に お い て は 、 全 乳 タ イ プ 12.2% 、 半 脱 脂 タ イ
プ 81.7% 、脱 脂 タ イ プ 6.1% で 、生 産 さ れ る 飲 用 牛 乳 の 8 割 強 が 部 分 脱 脂 乳 タ
イ プ と な っ て い る 。 1980 年 か ら の 推 移 を み る と 、 1980 年 当 時 は 、 全 乳 タ イ プ
44.7% 、半 脱 脂 タ イ プ 50.8% 、脱 脂 タ イ プ 4.5% で 、全 乳 タ イ プ と 半 脱 脂 タ イ
プ が ほ ぼ 半 々 と い っ た 状 況 で あ っ た が 、 1980 年 代 に 全 乳 タ イ プ が 減 少 し 逆 に
半脱脂タイプが増加、その後も同様のトレンドをたどってきたが、最近では、
そ の 変 化 率 は 緩 や か と な っ て お り 、脂 肪 タ イ プ 別 の 飲 用 牛 乳 の 消 費 構 造 は や や
安 定 的 と な っ た 感 が 強 い 。 な お 、 脱 脂 タ イ プ は 1980 年 当 時 も 4.5% と 僅 か な
比率で、最近若干の増加傾向にあるものの、全体に占める比率は依然少ない。
61
図4 飲用牛乳の脂肪タイプ別生産量の推移
10億リットル
全ての牛乳における割合
3.6
全乳タイプ
3.3
半脱脂タイプ
脱脂タイプ
3.0
81.7%
2.7
2.4
2.1
1.8
50.8%
1.5
1.2
44.7%
0.9
12.2%
0.6
4.5%
0.3
6.1%
0.0
1980
1981
1982
1983
1984
1985
1986
1987
1988
1989
1990
1991
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
図 5 で は 、フ ラ ン ス の 飲 用 牛 乳 に つ い て 、そ の ブ ラ ン ド 特 性 を 構 成 比 で 示 し
た 。 2000 年 に お い て 、 フ ラ ン ス の 上 位 18 乳 業 者 が 製 造 す る 飲 用 牛 乳 の う ち 、
い わ ゆ る 全 国 あ る い は 広 域 な 地 域 で 販 売 さ れ る ブ ラ ン ド( 日 本 で は 一 般 に「 ナ
シ ョ ナ ル ブ ラ ン ド 」 と い わ れ る こ と が 多 い 。) の 販 売 比 率 は 全 体 の 35.3% で 、
ス ー パ ー マ ー ケ ッ ト な ど の ス ト ア ブ ラ ン ド( 日 本 で は 一 般 に プ ラ イ ベ ー ト ブ ラ
ン ド と い わ れ る こ と が 多 い 。)で の 販 売 比 率 は 全 体 の 28.0% 、そ れ 以 外 の ブ ラ
ン ド の 販 売 比 率 は 全 体 の 36.7% で あ っ た 。 こ れ を 前 年 ( 1999 年 ) と 比 較 す る
と 、ナ シ ョ ナ ル ブ ラ ン ド が 18.1% 減 少 し た の に 対 し 、ス ト ア ブ ラ ン ド は 12.9%
増 加 し て お り 、ブ ラ ン ド の 構 成 が 大 き く 変 化 し て い る 。こ の よ う に 、牛 乳 の ス
ト ア ブ ラ ン ド 化 が 急 速 に 進 ん で い る こ と が 、フ ラ ン ス に お け る 牛 乳 市 場 の 特 筆
すべき変化のひとつである。5
5
ナ シ ョ ナ ル ブ ラ ン ド の 商 品 に は 、フ レ ー バ ー や 栄 養 強 化 、オ ー ガ ニ ッ ク の 商 品 が
多 い 。し か し 、一 般 的 に み て 、ナ シ ョ ナ ル ブ ラ ン ド 製 品 は 年 々 減 少 し て い る と い う 。
例 え ば 、大 手 商 系 乳 業 で あ る ダ ノ ン 社 は 依 然 は メ ー カ ー ブ ラ ン ド し か 製 造 し て い な
か っ た が 、だ ん だ ん 売 れ な く な り 、現 在 で は ス ト ア ブ ラ ン ド の 製 造 に 踏 み 切 っ て い
る 。生 産 者 の 協 同 組 合 系 の 乳 業 者 は ナ シ ョ ナ ル ブ ラ ン ド が 多 く 、 そ の 代 表 的 な ブ ラ
ン ド と し て Sodial の Candia が あ る 。( Mr. Philippe de Guenin)
な お 、広 域 地 域 に 商 圏 を も つ メ ー カ ー ブ ラ ン ド で あ る ナ シ ョ ナ ル ブ ラ ン ド の 減 少
傾 向 は 、小 売 業 社 の 商 品 戦 略 の 変 化 に よ る と こ ろ が 大 き い が 、そ の 直 接 的 な 動 機 の
一 つ と し て 、新 し い ナ シ ョ ナ ル ブ ラ ン ド の 販 売 時 に 発 生 す る「 協 賛 金 」の 負 担 が あ
る よ う だ 。大 手 ス ー パ ー マ ー ケ ッ ト が ス ト ア ー ブ ラ ン ド 主 体 の 商 品 展 開 に な れ ば な
る ほ ど 、メ ー カ ー ブ ラ ン ド の 新 商 品 展 開 時 に お け る ス パ ー か ら の「 協 賛 金 」請 求 は
一 般 化 し て い く 。そ の 実 態 に つ い て 、 Mr.Laurent Waill( Carrefour.Fr) は 、 次 の
よ う に 説 明 し て い る .「 乳 業 社 が 新 製 品 の 販 売 を 要 望 し て き た 時 に は 、 そ の 商 品 の
替わりに何かを陳列棚から外すこととなるので、一定の経済的な見返りを求める.
新製品によって売り場面積当たりの利益を確保することができない場合は乳業者
62
図5 飲用牛乳のブランド構成(2000年)と前年比
-1.4%
-18.1%
全国的または地域的に流
通しているブランド
35.3%
その他
36.7%
販売業者のブランド
28.0%
前年比 12.9%
出典:Syndilait(18社)
3.飲用牛乳価格の推移
次に、フランスにおける飲用牛乳の価格水準とその推移を見てみよう。
ま ず 、 表 4 に 、 2002 年 2 月 第 2 週 段 階 の 主 要 な 食 品 小 売 業 に お け る 店 舗 販
売価格を示した。
ギ ャ ラ リ ー ラ フ ァ イ エ ッ ト は 、わ が 国 で 言 う デ パ ー ト で 、全 体 の 品 揃 え は 高
級 品 が 多 く 価 格 も 高 い 。カ ル フ ー ル は フ ラ ン ス で 最 大 の 売 上 を 誇 る 小 売 企 業 で 、
そ の 大 規 模 な 店 舗 形 態 は ハ イ パ ー マ ー ケ ッ ト 呼 ば れ る 。オ ー シ ャ ン は カ ル フ ー
ル に 次 ぐ 売 上 の あ る 小 売 企 業 で 、大 規 模 な 店 舗 展 開 を 行 っ て い る 。イ ノ は カ ル
フールやオーシャンより小さい規模のスーパーマーケットの展開を図る小売
企 業 で あ る 。シ ョ ッ ピ ー は 、チ ェ ー ン 展 開 の ミ ニ ス ー パ ー で 、日 本 で い え ば コ
ンビニエンス・ストアとよく似た業態である。
は 協 賛 金 が 重 大 な 負 担 に な る か も 知 れ な い .な お 、 他 社 ( 他 店 ) で 販 売 し て い な い
商 品 で あ れ ば 、 協 賛 金 等 は 減 額 さ れ る .」
63
全 て が 1L も の の 価 格 で あ る が 、最 も 一 般 的 な 価 格 は 、最 大 の シ ェ ア を も つ
カ ル フ ー ル や オ ー シ ャ ン 等 の ハ イ パ ー マ ー ケ ッ ト で 、パ ス チ ャ ラ イ ズ 牛 乳( メ
ー カ ー ブ ラ ン ド ) が 全 乳 タ イ プ で 0.99 ユ ー ロ 6 、 半 脱 脂 タ イ プ で 0.93 ユ ー ロ
で あ る 。ロ ン グ ラ イ フ( 超 高 温 殺 菌 )タ イ プ の 牛 乳 は 、在 庫 や 流 通 経 費 が 低 く
抑 え ら れ る こ と も あ り 、パ ス チ ャ ラ イ ズ 牛 乳 よ り 1 ∼ 3 割 安 く 、メ ー カ ー ブ ラ
ン ド が 全 乳 タ イ プ で 0.89 ユ ー ロ 、半 脱 脂 タ イ プ で 0.87 ユ ー ロ 、ス ト ア ブ ラ ン
ド が メ ー カ ー ブ ラ ン ド よ り さ ら に 安 価 で 、 全 乳 タ イ プ で 0.82 ユ ー ロ 、 半 脱 脂
表4:主要な店舗の牛乳価格(2002年2月第2週)
単位:ユーロ/L
殺菌タイプ
パスチャラ
イズ牛乳
超高温殺菌
牛乳
ブランド
脂肪タイプ
ストア
ブランド
全乳
1/2脂肪
(メーカー名)
全乳
1/2脂肪
全乳
1/2脂肪
1/2脂肪
(メーカー名)
全乳
1/2脂肪
メーカー
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ブランド
メーカー
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ギャラリー
カルフール オーシャン
ラファイエット
(ソシエテ)
1.25
1.19
0.80
0.69
(ファーストプライス)
(CANDIA)
0.88
イノ
ショッピー
1.46*
1.46*
(LOCTEL) (LOCTEL) (CANDIA) (CANDIA)
0.99
0.99
1.08
1.30
0.93
0.93
1.06
1.25
0.82
0.80
0.81
0.65
0.69
0.53
(LOCTEL) (LOCTEL)
(CANDIA)
0.89
0.89
1.05
0.87
0.87
*:山岳地域で生産される原料乳を限定的に使用した牛乳
タ イ プ で 0.65 ユ ー ロ で あ る 。
販 売 チ ャ ネ ル に よ る 価 格 差 は 、特 に パ ス チ ャ ラ イ ズ タ イ プ の 牛 乳 に そ の 傾 向
が 顕 著 で 、ロ ン グ ラ イ フ 牛 乳 で の 格 差 は ほ と ん ど な い 。こ れ は 、冷 蔵 流 通 で か
つ 毎 日 配 送 が 必 要 な パ ス チ ャ ラ イ ズ 牛 乳 の 場 合 は 、輸 送 ロ ッ ト に よ っ て 輸 送 経
費に大きな差が生じるためだと考えられる。
な お 、カ ル フ ー ル は 、他 の 企 業 と 異 な り 、独 自 の ス ト ア ブ ラ ン ド の 販 売 を 行
っている。一つはパスチャライズ牛乳のストアブランドである。他の企業は、
取り扱いが難しく安全性などの面でリスクが大きいパスチャライズ牛乳では
メ ー カ ー ブ ラ ン ド し か お い て い な い が 、カ ル フ ー ル の 場 合 は 、山 岳 地 域 の 原 料
を使って品質に強くこだわった独自ブランドを高価格で販売している。一方、
牛 乳 販 売 量 の 多 く を 占 め る ロ ン グ ラ イ フ 牛 乳 で は 、フ ァ ー ス ト プ ラ イ ス と い う
他 の 比 べ て 極 め て 安 価 な ス ト ア ブ ラ ン ド を 販 売 し て お り 、パ ッ ケ ー ジ な ど の 原
材料費を抑えることによって低価格を実現しているという。
6
2002 年 2 月 段 階 。 1 ユ ー ロ = 4.63 フ ラ ン 、 1 フ ラ ン = 0.22 ユ ー ロ
64
図 6 に 1992 年 か ら 2000 年 ま で の 飲 用 牛 乳 価 格 の 推 移 を 、最 も 消 費 量 の 多 い
ロ ン グ ラ イ フ( UHT 殺 菌 )で 半 脱 脂 タ イ プ の 牛 乳 で 示 し た 。こ れ を み る と 、1992
リッター当たり価格
(フラン)
3.6
図6 飲用牛乳(超高温殺菌・半脱脂タイプ)の小売価格の推移
3.5
3.4
3.3
3.2
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
出典:Panel Secodip/Cidil
年 か ら 1995 年 ま で は 、1 L 当 た り 3.3∼ 3.5 フ ラ ン の 狭 い 範 囲 で 上 下 に 変 化 し
た が 、 1995 年 を ピ ー ク に 1996∼ 1998 年 の 3 年 間 は 33 フ ラ ン で 低 位 安 定 し た
後 、 1999 年 以 降 、 小 売 価 格 は 上 昇 に 転 じ 、 2000 年 に は 年 平 均 で 3.53 フ ラ ン 、
1992 年 比 で 6 % 程 度 上 昇 し て お り 、こ の 傾 向 は 2001∼ 2002 年 に か け て 一 層 顕
著なものとなっているという。
な お 、1999 年 以 降 の こ う し た 飲 用 牛 乳 小 売 価 格 の 上 昇 の 主 な 背 景 に つ い て 、
前 出 の Mr. Philippe de Guenin( CNIEL) は 、 石 油 価 格 の 上 昇 、 国 際 市 場 に お
け る 乳 製 品 需 要 の 増 加 に よ る 脱 脂 粉 乳 ・ バ タ ー 価 格 の 上 昇 、 労 働 時 間 が 週 40
時 間 か ら 35 時 間 に な っ た こ と に よ る 企 業 の 人 件 費 の 上 昇 を 挙 げ た . 7
た だ 、 1999 年 以 降 の 小 売 価 格 の 上 昇 は 、 1997 年 に フ ラ ン ス 全 土 で 起 こ っ た
ら生乳生産者による価格闘争及びとこれを契機にして導入された新たな原料
乳 の 価 格 形 成 ル ー ル 8と 無 関 係 で あ る と は 思 え な い 。
少 な か ら ず 、 1997 年 の 酪 農 家 の ス ー パ ー マ ー ケ ッ ト へ の 示 威 行 動 は 、 牛 乳
7
8
Mr. Philippe de Guenin に よ れ ば 、 最 近 に お け る 牛 乳 価 格 の 上 昇 に も か か わ ら ず
牛 乳 の 消 費 量 自 体 が 全 く 変 化 し て い な い こ と に 、酪 農 乳 業 界 が 強 い 興 味 を 示 し て い
る ら し い .「 氏 は 、 最 近 の 牛 乳 市 場 の 動 向 は 、 牛 乳 が 消 費 者 に と っ て 必 需 品 で あ る
こ と か ら 価 格 弾 力 性 が 低 く 価 格 が 上 昇 し て も 消 費 量 が 下 が ら な い こ と 、さ ら に は こ
の こ と は 、ス ー パ ー マ ー ケ ッ ト が こ れ ま で 必 要 以 上 の 低 価 格 で 牛 乳 を 販 売 し て き た
こ と を 示 唆 し て い る 。」 と 述 べ た 。
前 田 浩 史 「 生 乳 需 給 調 整 ・ 生 乳 取 引 調 査 報 告 書 」( 第 5 章 中 央 畜 産 会 2000 年 3
月)を参照のこと。
65
の 小 売 価 格 問 題 へ の 国 民 的 な 関 心 を 高 め 、原 料 乳 段 階 に 対 す る 小 売 業 者 の 配 慮
を 促 し た こ と は 間 違 い な い で あ ろ う 。 ま た 、 Mr. Philippe de Guenin( CNIEL)
が 、小 売 価 格 上 昇 の 主 な 要 因 を 、い く つ か の コ ス ト 上 昇 と 結 び つ け て 明 確 に 説
明しきったことに、ある種のヒントが隠されているように思える。すなわち、
フ ラ ン ス に お け る 新 た な 原 料 乳 の 価 格 形 成 ル ー ル の 導 入 は 、牛 乳 乳 製 品 の 小 売
価格の形成に対する合理性を小売業界に求める効果を生み出したのではない
だろうか。今後のフランスにおける小売価格の推移が注目されるところだ。
さ て 、図 7 − 1 及 び 図 7− 2 で は 、飲 用 牛 乳 の 原 料 乳 価 格 、乳 業 者 出 荷 価 格 、
小売価格について、その変化推移を関連付けて示したものである。
1991∼ 2000 年 ま で の 10 年 間 に つ い て 、 図 7 − 1 で は 、 実 価 格 を 1990 年
= 100 と し て 指 数 化 し て 示 し て あ る 。ま た 図 7 − 2 で は 、イ ン フ レ 率 を 相 殺 し
た実質価格を、同様に示してある。
これらの図から次のような特徴が読み取れる。
第 1 に 、 物 価 上 昇 率 は 、 1990 年 以 降 、 毎 年 2 ∼ 3 % 前 後 で 連 続 し て 緩 や か
な 上 昇 を 続 け て い る が 、 図 7-1 で も 明 ら か な よ う に 、 飲 用 牛 乳 の 原 料 乳 価 格 、
出荷価格、小売価格ともに、物価変動と連動せず、独自の動きを示している。
第 2 に 、 図 7-1 か ら 、 名 目 価 格 の 推 移 を み る と 、 特 に 小 売 価 格 に つ い て は 、
一 般 的 な 物 価 上 昇 に も か か わ ら ず 、 1998 年 ま で は 、 1990 年 の 水 準 を 継 続 的 に
下 回 っ た が 、 1999 年 以 降 上 昇 に 転 じ た 。
第 3 に 、 出 荷 価 格 の 名 目 価 格 は 、 1993 年 ま で は 上 昇 傾 向 に あ っ た が 、 1994
年に急落し、それ以降、低水準で推移している。
図7-1 飲用牛乳関連価格(名目)の推移(1990年対比)
1990年度対比
119.5
120
117.5
118
116.0
115.2
116
113.8
114
112
109.5
110
107.5
108
105.9
106
104
102
105.5
105.7
105.5
104.2
102.9
102.9
100.8
100.6
100.4
100.2
100.3
100
99.4
98
96
101.5
101.2
99.9
99.4
99.4
97.1
96.8
97.1
96.5
96.5
95.3
94
103.1
98.3
97.6
95.1
93.6
92
92.3
90
92.0
90.8
91.6
88
1991
1992
小売物価
1993
1994
原料乳価格(INSEE調べ)
1995
1996
1997
乳業者出荷価格(INSEE調べ)
出典:INSEE及び消費者パネル(基準100=1990年)
66
1998
1999
小売価格(消費者パネル調べ)
2000
図7-2 飲用牛乳関連価格(実質)の推移(1990年対比)
1990年度対比%
5
-2.0
1.6
-5
-4.6
-5.2
-15.5
0.0
0
-20.1
-18.9
-21.0
-19.1
-13.7
-4.6
-6.8
-7.4
-14.5
-6.8
-8.2
-10
-8.3
-10.2
-9.2
-11.5
-11.9
-12.8
-13.3
-15
-14.7
-16.2
-13.6 -13.9
-15.3 -15.4
-20
-25
1991
1992
1993
1994
原料乳価格(INESS調べ)
1995
1996
乳業者出荷価格(INESS調べ)
1997
1998
1999
2000
小売価格(消費者パネル)
出典:INSEE及び消費者パネル(基準100=1990年)
第 4 に 、図 7-2 に は 、イ ン フ レ 率 で デ フ レ ー ト し て 実 質 価 格 に 置 き 換 え た デ
ー タ が 示 さ れ て い る が 、こ れ に よ る と 、原 料 乳 の 実 質 価 格 は 1991 年 以 降 毎 年 、
安 定 的 な 低 下 を 示 し 、 2000 年 に な っ て 若 干 の 低 下 幅 が 小 さ く な っ た も の の 、
依 然 、 1990 年 の 86% の 水 準 に あ る 。
第 5 に 、乳 業 者 の 実 質 出 荷 価 格 は 、1993 年 ま で は 安 定 的 に 推 移 す る が 、1994
年 か ら 大 幅 に 低 下 し 原 料 乳 及 び 小 売 価 格 よ り 低 い 水 準 と な り 、 さ ら に 、 1998
年 ま で 毎 年 低 下 を 続 け 、 1999 年 以 降 若 干 の 回 復 を 示 し 、 2000 年 段 階 で 、 1990
年 の 86% の 水 準 と な っ た 。
第 6 に 、飲 用 牛 乳 の 実 質 小 売 価 格 は 、1991 年 以 降 1997 年 ま で 毎 年 低 下 し つ
づ け 、 実 質 卸 売 価 格 の 回 復 を 追 う 形 で 、 1998 年 か ら 回 復 に 転 じ 、 2000 年 段 階
で は 、 1990 年 の 88% の 水 準 と な っ て い る 。
以 上 の よ う に 、過 去 10 年 間 、特 に 1994 年 以 降 は 、原 料 乳・出 荷 価 格・小 売
価 格 が 明 ら か に 相 互 補 完 的 に 変 動 し て お り 、 2000 年 段 階 で 、 こ れ ら の 低 下 率
は 、1990 年 対 比 で 、ほ ぼ 同 水 準 に 収 斂 し て い る 。こ の よ う な 、飲 用 牛 乳 に 関 連
す る 各 流 通 レ ベ ル で の 価 格 の 変 化 を ど の よ う に 解 釈 す る か は 、さ ら に 詳 細 な 検
証 が 求 ま ら れ る が 、 Mr. Philippe de Guenin( CNIEL) は 、 ハ イ パ ー マ ー ケ ッ
ト に よ る 出 荷 価 格 引 き 下 げ に よ り 乳 業 者 の 利 益 率 が 大 幅 に 減 少 に 、こ れ が 飲 用
牛 乳 市 場 の 再 編 を 促 し た 。過 去 一 連 の 各 レ ベ ル の 価 格 の 動 き は そ の 反 映 で あ る
と指摘している。
(酪農乳業情報センター
67
事務局長
前田浩史)