全社横断的なオペレーション改善を実現させた - Strategy

この文書は旧ブーズ・アンド・カンパニーが PwCネットワークのメンバー、Strategy& になった
2014 年 3 月 31 日以前に発行されたものです。詳細は www.strategyand.pwc.com. で
ご確認ください。
特集 ◎ 勝ち続ける組織
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全社横断的な
オペレーション改善を
実現させた
コ
ン
グ
ロマ
リ
ッ
ト
ユナイテッド テクノロジーズが
した
・
成功
理由
著者:ジョージ・L・ロス
監訳:松本 陽
一つの部署における好事例を横展開することで、組織全体の
本稿では、世界的なコングロマリットであるユナイテッド・テク
生産性を向上させる試みは広く行われているが、
リーダーシッ
ノロジーズ( UTC )がいかにして一部署における好事例を進化・
プの欠如やプログラムの継続性のなさから、あまり成果を上げ
組織化させ、グループ企業全体に展開・定着させていったかを
られていないケースが多い。
紹介する。
(松本陽)
そのサービスコールは、そもそもただのサービスコールで
ていた。1 年 前には、松 下 の 品 質 担 当 副 社 長である伊 藤 譲と
はなかった。オーチス・エレベータで一番優秀なフィー ルドエ
取締役 1 名がコネチカットのオーチス本社を訪問し、ジョージ・
ンジニア 2 人が、松 下 電 器 産 業( 現パナソニック)の 故 障した
デビッド社長に品質問題について苦情を申し入れていたが、
エレベータ 2 基を修理するためにコネチカット州ハートフォー
品質は改善されなかった。
ドの米国本社から大阪に派遣されたとき、彼らは問題の起き
さて、話を会議室に戻そう。当惑し、不安になったフィー ル
た現場ではなく会議室に連れて行かれたのだった。テーブル
ドエンジニアたちは慌てて本社のデビッド社長に電話をかけ
の向こうには顧客である松下の幹部の面々が苦虫を噛み潰
た。オーチスの社長は回答を先送りするか、あるいは問題を
したような顔で座っていた。
否定するかと思いきや、逆に熱心に話を聞いた。それから何
そ れは 1 9 8 6 年 のことだった。完 成したばかりの 大 阪 本 社
カ月間か、デビッド社 長はオーチスに似 つかわしくな い 行 動
に設置された最新型のオーチス・エレベータは故障続きであ
をとった。それはユナイテッド・テクノロジーズ( UTC )の他の
り、合弁会社の共同設立者である松下の信用を大きく傷つけ
子会社や大半のメーカーのやり方とも大きく異なっていた。
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ジョージ・L・ロス
松本 陽(まつもと・あきら)
([email protected])
マサチューセッツ工科大学(MIT)スロー
ブーズ・アンド・カンパニー 東京オフィスの
ン 経営 大 学 院 のリサーチアソシエート、
シニア・アソシエイト。10 年以上のコンサ
ニューハンプシャー大学経営学客員准教
ルティング経験を有し、ITサービス、製造
授。ピーター・センゲらとの共著書に The
業、エネルギー、製薬、消費財、金融などの
Dance of Change: The Challenges
多岐にわたる業界において、成長戦略立
to Sustaining Momentum in Learning
案、オペレーション改善、組織変革などを
Organizations(Doubleday、1999)が
実施している。
ある。
図表1 : UTCの好業績( 2000 ∼2011年)
ターサ ービスを行う巨 大なコングロマリットである。UTC は
2000年代、UTCの業績は多くの面で他社を凌駕した。UTCと同様に企業価値が3桁の
伸びを記録したのはキャタピラーと3Mだけである。大手米国企業から構成される
S&P500はこの11年間で10%下落している。
オーチス・エレベ ータをはじめ、プラット・アンド・ホイットニー
200
( 航 空エンジンとガスタービンのメーカー 。以 下 、P&W )、シ
コルスキー・エアクラフト(初めて大量生産を導入したヘリコ
セグメント
営業利益
インデックス(UTCとS&P500の比較)
ム)、チャブ(セキュリティ)、ハミルトン・サンドストランド(航空
150
セグメント
売上高
100
機)といった主要な工業ブランドで知られる。UTC はグループ
全体で約 20 万人を雇用し、その時価総額は 750 億米ドルを超
え、売上高( 2012 年)は 577 億米ドルにのぼる。フォーチュン
50
従業員
0
生産床面積
(平方フィート)
‒50
2000
プター会社)、キヤリア(エアコン・暖房)、キッデ(制御システ
2005
2010
注) セグメント売上高および営業利益については、再編その他1回限りの事象に関して調整を加え
た。セグメント売上高には「共同契約に関する会計処理」の影響が含まれる。データには非継
続事業が含まれる。グッドリッチはデータから除外した。
出所:トムソン・ロイターのファイナンシャル・サービス・データ。業績指標グラフはバークレイズ・キャ
ピタル・インダストリアル・セレクト・カンファレンス(2012年2月23日、
フロリダ州マイアミにて
開催)におけるUTCのプレゼンテーションから引用
100 社では 44 位につけている。
UTC のトップが、伊藤らに教えられた方式を徹底的に開発
し、これらを自分のものにし、結果として生まれたアプローチ
は後に「 Achieving Competitive Excellence( ACE )」と命
名された。UTC はこの ACE を会社全体と他のバリューチェー
ンに広めるまでに 10 年を要した。UTC は今なお、競争優位性
を支える重 要な要 素である ACE に投 資し、これを精 緻 化し、
刷新し続けている。何が会社に推進力を与えているかを問わ
れたとき、UTC の経営陣は ACE を第一に挙げることが多い。
ACE は単なるプログラムや品質管理法の集合ではなく、会社
伊 藤ら松 下 の 社 員に助けを求めたのである。そ れから 20 年
全体を包み込む事業運営法だと言うのである。
の間にデビッドと伊藤は非常に親しくなり、最終的に伊藤はデ
ビッドにとって「第二の父」と呼べるほどの存在になった。
方式から規律へ
この電話とその顛末は、UTC の仕事に対する姿勢とやり方
の根本的変革を起こしたきっかけの一つとして、UTC 全体で
UTC のサクセスストーリーでおそらく一 番 重 要な 転 換 点
語り継がれている。長い年月の間に、この変革が UTC の管理
は、19 8 6 年 の 松下電 器との対 峙 の直後にやってきた。それ
職、社員、提携先、サプライヤー、そして顧客の実質上全員に
は、ジョージ・デビッドが伊藤譲に連絡をとり、日本オーチス
影響を及ぼすことになり、最終的に UTC をもっとも好業績の
の品質問題解決に手を貸してもらえないかと要請したときで
フォーチュン 50 社へ( 2000 年∼ 2011 年)、さらには多角化企
ある。伊藤は同意し、日本オーチスの工場で従 業 員に 2 つの
業の成功として成功し続ける数少ないコングロマリットの一
方 式を教えることからスタートした。伊藤はまず、工場チー
つへと変身させた(図表 1 参照)。
ムに 統 計 的 分析を 利 用して生 産 上の問 題を診 断し、根本 的
UTC はエアコン、エレベ ータ、ジェットエンジン、ヘリコプ
原因(必ずしも明らかなわけではない)を推 測する方法を教
ターを含む多 様なエンジニアリング製 品 の 設 計 、製 造 、アフ
えた。たとえば、エレベータの制御モジュール故障を統計的
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に分析することによって、はんだ付け部品の所定の順序に欠
だけでなく全世界から他社メーカーまでが、工場のオペレー
陥があり、エレベータが間違った階に停止していたことが明
ションをベンチマークとして取り入れるためにノース・バー
らかになる可能性がある。この順 序を変えることによって、
ウィックを訪問するようになった。
チ ームは 故 障を止め ることが で きるか もしれ ない 。伊 藤 は
次に、品質クリニックの立ち上げ 方を 示した。これは病 院 の
1部門から全部門へ
チームによる診 断を製 造 の 舞 台に移し替えたものである。
これらの方 法 が 功を 奏し、日本 オー チスは困った存 在 から
P&W の 他部門もノース・バーウィックに続いて実績を上げ
誇らしい存 在へと変 身した。
たいと考えた。ノース・バーウィックのチームから 2 名のメン
一方 で日本 以 外に目を向けると、UTC は深 刻な 競 争上の
バーが、コネチカット州イースト・ハートフォードの本 社で 3
問題に直面していた。とくに1990 年代前半には、P&W が全
名のエキス パートとチ ームを組むよう要 請され た。P&W 全
部 門 で 苦 戦していた。ベルリンの 壁 の崩 壊 後、米 国 政 府 の
社のため のフレキシブル 生 産 計 画 の立 案に携 わるチームで
軍 事 支 出は 縮 小された。同 時に景 況 悪 化で民 生 用ジェット
あ る。彼らは他 社をベ ンチマー クとして いくつ か の 技 法 を
エンジン需要も落ち込 んでしまった。航 空エンジンメーカー
加え、で きあがったプ ログラムを 近 隣 の工場でテストした。
である P&W は 1,10 0 万平方フィートあった 工場 面 積 の 25%
「 ACE( Achieving Competitive E xcellence)」という名
を削減した。
称が生まれたのはそのときだった。
閉鎖予定の施設の一つがメイン州ノース・バーウィックにあ
P&W は 19 9 6 年 6 月に全社 的 な ACE プ ログラムを 開 始し
るタービン部品工場だった。同社は、工場の上層部に対し、段
た。オペレーション担当副社 長のマーク・コランが先頭に立
階的閉鎖に向けて6 カ月の期間を与えた。ところが、工場の上
ち、P&W のカール・クラペック社 長の支持を得たトップ主導
層部は閉鎖の準備をするのではなく、この時間を使って何が
のプ ログラム だった。P&W は全 部 門 を セ ル方 式 に再 編し、
できるかを見せてやろうと決めた。工場内で学んだすべての
チームのメンバー全 員が 変革を提 案・実 施し、自分たち自身
ことを一つにまとめ、実行に移そうと考えたのである。
の 明 確 な 基 準 を 定め るよう促した。ゼネラルマネジャーが
当時、この工場の顕著な成果のほとんどは、工場内のいく
各施 設から数 人を
「 ACE パイロット」に指名した。これはノー
つ か の 優 秀 部 署 が 単 独 でもたらしたも の だった 。そ れらの
ス・バーウィックのリーダーたちを全社的に広げた呼称であ
部 署では、セル生 産 方 式を導 入したり、5 ∼ 10 人 の自己 管 理
る。指名を受けたスペシャリストたちは、1週間の定 期トレー
チームを編 成したりしてから素 晴らしい 実 績を上げていた。
ニングに出席した。これらのトレーニングは、ハンズオン・プ
このセル生産方式は非常に有効と思われたので、工場上層部
ロジェクトのほか、クオリティ・コントロールやマネジメント
はこの 方 式を取り組 み の 中 心に据えることとし、全 社タスク
に関する授 業などで構成される(囲み「ターンバック・ファク
フォースを編成した。
ター」参照)。自分の職場に戻った ACE パイロットたちには、
リー ダー の 素 質 が あ ると特 定 さ れ た 8 人の 生 産 スタッフ
さらなる 変 革 の 指 導、実 施、主 導 という使 命 が 課 さ れ た。
に、生産システムの分析・改善法を教え込んだ。彼らは午前中
ACE には、パ フォーマンス 向 上の 認 定といった 新しいアイ
のセミナーで工場内の専門家から生産の概念を学び、午後は
デ アが追 加された。スキル、オペレーション改善、従 業 員の
チーム内で同僚を指導して、それらの考え方をどう実践する
満足 度、安 全 性、品質、財務面での成果といった指 標に基づ
かを示した。
いて、各セルをブロンズ、シルバー、ゴールドとして認 定する
まもなく目に見えて生 産性が向上し、オペレーションが改
のであ る。目を 見 張 るような 改 善が 起きた。セ ル の 業 績 だ
善された ため、P&W のオペレーション 担 当副 社 長 がこれに
けで なく、改 善に 取り組む 従 業 員の 意 欲もまた高 まったの
気づいた。副社長は閉鎖計画を延期し、その後この計画を取
だった。
りやめた。この工場は品質と生産性の向上で知られるように
なった。実際に、労働力が 2,100人から1,500人に減少したに
1社からコングロマリットへ
もかかわらずユニットの 生 産 量は変 化しなかった。さらに、
この工場はより高品質で価値の高い部品の生産に挑戦し、結
ACE の 価 値を認 識した UTC のジョージ・デビッドと経営
果として売上を 5 倍に伸ばした。1996 年には、UTC の各部門
幹部たちは、UTC 全体でこれを機能させることにした。彼ら
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ターンバック・ファクター
他の成 功したマネジメント・イニシ
UTC では、それぞれの作業エリアで
することによって UTC は多くの組織で
ア ティブ の 多 くと 同 じ よ う に、UTC
社員がターンバックを速やかにかつ容
学習を妨げている根本的問題に対応し
の「 ACE( Achieving Competitive
易に発見し、報告できるように努力が
ている。その根本的問題とは、ビジネ
Excellence)」プログラムの決め手は、
払われている。同じくらい重要なのは、
スマンがミスや過ちについて話したが
画期的なコンセプトをかなり大きな規
会社がターンバックを速やかに評価し、
らないことである。ミスは話題にでき
模で日々の業務に移し換えて実践した
これに対応できるように組織されてい
ないと考えたとき、人は自分を守るた
ことだった。ACE の 重 要なコンセプト
ることである。ワークチームが、トレー
めに防衛的に行動する。それが知識や
の一つが「ターンバック」である。ター
ニングの強化もしくは指示の改善、ま
アイデアの共有を妨げる。ターンバッ
ンバックとは、たとえば故 障が起きる
たは設備のレイアウト変更、あるいは
ク・プロセスは、ミスから学ぶことを当
前の症状のようなまだ起きていないミ
そ の 両 方を通じて潜 在 的 な 安 全 上 の
然と感じるように仕向ける。また、顧客
ス、オペレーションの非効率、あるいは
危険に対処する。ターンバック解消の
が潜在的問題に気づく前に、あるいは
( UTC の 公 式な定 義によれば)「 職 務
最善策は、短期的な予防策と、より根
潜在的問題が損害を引き起こす前にこ
を期待通り完了することを妨げる要因
本 的な長 期 改 善 の 組 み 合わせである
れらの問題を防止するのに役立つ。さ
すべて」を指す。ターンバックの例とし
ことが多かった。たとえば、UTC の 監
らに、ターンバックの発生とターンバッ
ては、署名漏れの作業指示書、不完全
査グループは手 順 仕 様 書 の 改 善( 短
クへの対応の追跡は、UTCにとって社
もしくは不正確な指示、社員のトレー
期)と「 Auditor Assistant 」ソフトウェ
員 のエンゲージメントと各 ユニットの
ニングが不十分であるという認識、予
アの変更(長期)によってターンバック
学習環境を評価するためのシンプルで
定していた部品や材料の到着遅れ、あ
のいくつかに対処した。
手早い方法である。
るいは潜 在 的な安 全 上 の 危 険 の 発 見
ターンバックを発見し、まとめると同
などが挙げられる。
時に、これを改善の出発点として重視
は事 業 部 門 横 断委 員 会を立ち上げ、それらの 委 員 会 の上位
が 別 々のアプ ロ ー チをとっても 伊 藤 が 教 えてくれ たことは
に「プレジデント委員会」
( CEO 、CFO 、部門の責任者、その
絶対に持続できない」と答えた。この出来事を経て、デビッ
他部門のリーダーで構成されるグループ)を設 立した。プレ
ドは 新しいポジションを 設 けることを 決 断した。UTC の 品
ジデント委員会は毎月1回、1日がかりで開かれる。ときには
質 担当副社 長である。
社 員やチームが 招かれ、プレジデ ント 委 員 会 へ のプレゼン
UTC 全 体 で品 質 向 上を 制 度化する仕事 を 任され たのは、
テーションを行う。
P&W の品質 担当副社 長テスファイ・アクリルだった。アクリ
あ の重 要な 松下との 電 話 から約 12 年 経った 19 97 年 の 末
ル は、2 年 前にゼ ロックス から 転 職して以 来、P&W の ACE
に、1つの画期的な出来事が起きた。ジョージ・デビッド社 長
プ ログラム 確 立に 大 きく貢 献して い た。アクリル は、P&W
がある質問を投げかけるために、各 部門 の品 質 担 当副 社 長
の ACE プ ログラムに 必 要なトレーニング を加 え た、コング
を次回のプレジデント委員会に呼んだのである。それは「伊
ロマリット全 体のアプローチを提 案した。しかし、各 部門は
藤 から学んだことすべてを UTC 全 体に浸 透させるにはどう
それぞ れの 事 業 の 優 先 順 位に合わせたプログラムを要求し
すればよいか」という問いかけだった。そこで、プレジデン
た。それは、カリキュラムやトレーニング 方法にほとんど一
ト委員 会 の 会 合で、副 社 長らは各担 当部門の計画をそれぞ
貫 性 が なくなることを 意 味して い た。デ ビッド は 納 得しな
れ発 表した。デビッドはそれらの発 表を聞いた後で「各部門
かった。全 体的な考え方についてようやく合意が形成され、
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詳 細について合 意 が成 立し、UTC 全 体 の 共 通プログラムを
これまでの 統 合 の 経 験が、つ いに社 長たちを納 得させたの
採択するまでに 3 カ月かかった。
である。
共 通 の 理 解 を 得 るま で に 時 間 は かかった が ACE はそ の
「オペレーションズ・
トランスフォーメーション」は 4 つの要素
後、瞬く間にコングロマリット全体で実施された。5 日間のト
を 含 ん で い る 。そ れ はリー ン 生 産 フロ ー 、高 生 産 性 設 計 、
レーニングクラスは「伊藤ユニバーシティ」と呼ばれ、UTC の
戦 略 的 調 達 、人 材 開 発 で ある。
「オペレーションズ・トランス
何千人もの管理職が受講した。ジョージ・デビッド自身も数人
フォーメーション」が 何 をするかを 定 め 、A C E がどうやって
の傘下企業の社長とともに第1回セッションに参加した。
そ れを実 行 するかを規 定 する。2 0 0 3 年 1 月、イー スト・ハ ー
この 新しい 全社プ ログラムを 運 営していくためにアクリ
トフォードの 航 空 機 格 納 施 設で行われた 2 日間 の 会 議で、こ
ルが 採 用したのが、オーチスのフィールドオペレーション出
の戦略が UTC のトップリーダー 350 人に伝えられた(その後、
身 のサービスプログラム・マネージャー、トニー ・ブラック
同様の会議が欧州とアジアでも開かれた)。ジョージ・デビッド
だった(グループが結合するためには、P&W 以 外の出身であ
は開会の挨拶で「 UTC の営業利益を 4% から 14% に押し上げ
ることが 重 要 だった)。ブラックは、各 部 門 のマネージャー
たのは ACE と品質、そしてサプライ・マネジメントだ」と述 べ
で 構 成 さ れ る 新 し い ACE 委 員 会 の 委 員 長 に 就 任 し た。
た。各部門の社長とオペレーション担当副社長が各部門の実
ACE 委員会は広報 用資 料、トレーニング・カリキュラムのほ
績 を 発 表し、2 日 間 の 会 議 が 幕 を 閉じるとき 、デビッドは 再
か、セルをブロンズ、シルバーまたはゴールドとして認 証す
び次 のように述 べた。
「 向こう6 年 以 内に UTC の 営 業 利 益が
る際 の 基 準 も 作成した。この 頃になると、認 証 基 準 は生 産
20%に、在庫回転率が 2 倍になることを期待している」
性や業 績改善にとどまらず、従 業 員のやる気とスキル、顧客
より大 規 模 な 改 善 を 促 すため 、U T C はこれ以 外に 2 つ の
のエンゲージメントと満 足 度、各セ ル のプ ロセ スの成 熟 度
徹 底 的 な 変 革 を 行った 。第 一 に 、約 3 0 0 人 の マ ネジャー に
を含む 総合的な指 標へと広がっていた。
サプライヤ ー 改 善 の 任 務を与 えた 。任 命されたマネジャー
は、ACE の 概 念とメソッドに基づいた専 門トレー ニングを受
ビジネス・オペレーティング・システムへの昇華
けた 。U T C の サ プ ライヤ ー 改 善プログラムは 、すぐに日 本
企 業と同じレベ ル の 効 果を上げるようになった。第 二に、全
2 0 0 0 年 代に入るころには 、U TC 全 体 で の A C E 普 及 がい
世 界 の U T C 施 設 を 再 編した 。経 営 陣 はコングロマリットを
くつ か の 手 段によって 加 速 され 、本 格 化して い た 。彼らは 、
約 1 , 0 0 0 の サ イトに分 割し、そ れぞ れに独 自 の 業 績 改 善 目
複 数 のセ ルにまたがる改 善を示 すバリュー ストリーム・マッ
標を持たせた。一 般にこれらのサイトには少なくとも 700 人
ピングなどの 活 動に力 を 入 れ 、サプライヤ ーとの 関 係によ
の 従 業 員がいた。これらの 従 業 員が A CE 認 証 の 中 心になっ
り大 き な 注 意 を 払った 。ま た 、グ ル ー プ 全 体 にわ たるオ ペ
た 。リーダ ーシップ 、セ ル 内 の 改 善 活 動 、セ ル 全 体 の 業 績と
レーション戦 略も視 野に入 れるようになった。全 部 門におい
相 互 関 係 、環 境・衛 生・安 全に関 する問 題 の 防 止 などの 基 準
て 質 の 高 い 、改 良されたプロセスと在 庫 削 減を統 合 する戦
に基 づ い て 評 価 が 行 われた 。A C E のツー ルセットに新 たな
略である。この戦略で年間 50 億ドル以上のコスト削減が可能
メソッドが 加 えられ、新しいコー スが 開 発された 。A C E のカ
と見積もった。
リキュラムは 拡 大され、ビジネスオペレーションやこれらの
しかし、各 部 門 の 社 長 は 共 通プログラムとして の A C E に
分 野 の 専 門 家 の ための エンジニアリング・トラックも 含まれ
賛 同したも の の 、これをグ ル ープ 全 体 の 戦 略とする案には
るようになった。
反 対した 。各 部 門 は 異 なるマ ー ケットで活 動してい たため、
ACEメソッドと認証プロセスは全部門でようやく完全に標
これ以 上 統 合を進 めれば 、官 僚 主 義 が 強まると社 長 たちは
準化された。エンジニアリングのように伝統的に独立型の部
考 えた の で ある。2 0 0 2 年 1 0 月まで の 6 カ月、毎 回 のプレジ
署においてすらそ の 影 響がみられた。これらの 部 署は、改 善
デント委 員 会 会 議 で( また 多 数 の 非 公 式 な 立 ち 話 で も )議
プログラムなど余分だとか不要だとかと言って拒絶すること
論が続けられた。そして、各 部 門 の 社 長たちは最 終 的に「オ
が 多 かった 。エンジニアリング部 門 の 幹 部 たちが A C E を受
ペレーションズ・トランスフォーメーション」と呼ばれる U TC
け入れると、それは予算に劇的な効果を及ぼした。
全 体 の 戦 略に同 意した。U TC システム全 体でシナジー 効 果
を 実 現 するという目 標 が 掲 げられた 。推 進 者 の 粘り強 さと
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ストレッチ目標
満足度は 35% 改善されている。
しかし、この U TC の 公 約を聞 い たとき、各 部 門 の A C E 担
A C E による業 績 へ のインパクトは目を見 張るほどだった
当 者 は 途 方に暮 れた 。な ぜ なら、7 0 % の 目 標を達 成 するた
ので、2004 年になるとジョージ・デビッドは、四 半 期 のアナリ
めには 、最 初 の 1 8 0 工 場 で 9 年 かかったことを 、2 年 半 の 間
スト向 けアップデ ートやグ ル ープ の 年 次 報 告 で そ の 成 果に
に 5 0 0 工 場 で達 成しなければならな い からだ。A C E 委 員 会
触れるようになった。ACE は、社内で UTC の「ビジネス・オペ
は 、こうした 意 欲 に 応 えるた め 専 任 者 を 急 い で 動 員しな け
レーティング・システム」あるいは単に「 UTC 方 式 」と呼ばれ
ればならなかった。工 場 査 定 者 の 認 定も必 要だった。1,000
るようになった。
件 以 上 の 評 価 を 行 わ な け れ ば なら な かった から で あ る 。
2007年3月、
( C E O としてジョー ジ・デビッドを 引 き 継ぐ
ACE スキ ル・トレーニング、改 善につなげるための 人 員 の 指
とされて い た )ルイス・シェネバ ートが 、A C E に対 する U T C
導 の 必 要 性が高まった。2006 年には、ACE スキ ル認 定プロ
の 積 極 的 姿 勢をさらに一 歩 進 めた 。シェネバ ートは A C E 開
グラムに 1 , 0 0 0 人が申し込 んだ。このプログラムは、座 学と
始 以 来 、そ の 中 心 的 な 支 持 者で あった。P & W ではオペレー
実 地 体 験を組 み 合わせたものだった。2008 年 末までに 2 万
ション担 当 副 社 長 および 社 長として 、また U T C では 最 高 執
人 の UTC アソシエートが参 加した。
トレーニングと評 価 の 規
行 責 任 者として 、このプログラムを推 進し、普 及を後 押しし
模がこれだけ拡 大したのは、A C E 委 員 会 のこれまでの 体 験
て き た 。証 券 ア ナリスト向 け 四 半 期 アップ デ ート・ミー ティ
が 基 盤として あったからこそ だった 。他 の 社 員にメソッドの
ングにお い て 、彼 は A C E 拡 大 計 画 の み を 根 拠として 利 幅 、
使い方を指導する資格を持つ者が十分に揃った。
収 益 性 、キャッシュフロ ー の 飛 躍 的 上 昇 を 約 束した 。当 時 、
しかし、もう一 つ の 問 題が生じた。工 場が不 合 格になった
A C E ゴ ー ルドまたはシ ル バ ー の 認 定 を 受 けた U T C 工 場 は
場 合 、そ の 原 因 はや はりサ プ ライヤ ー の パフォー マンスに
わ ず か 1 8 % だった 。シェネ バ ートは 、2 0 0 9 年 末までにこの
関 係していることが多かったのである。平 均すると、UTC の
数 字を 70% に引き上げると宣 言した。ACE 委 員 会 の 記 録を
製 品 原 価 の 約 7 5 % を サ プ ライ ヤ ー が 占 め て い た 。そこで
見ると、現 場がブロンズ認 定からゴー ルド認 定に昇 格すると
U TC は 、よりよい 調 達 関 係を構 築 するためにもう一 つ の 対
売 上は 3 5 % 、在 庫 回 転 率は 6 0 % 、納 期 順 守 率は 2 4 % 、顧 客
策 を 講じた 。そ れまで の サプライヤ ー 改 善プログラムを 土
図表 2 : UTCとそのACE 活動の歴史
ロバート・ダニエル
ジョージ・デビッド
1986∼1994年
1994∼2008年
CEO
ビジネスに関連する出来事
1975年 ユナイテッド・エアクラ
フトがユナイテッド・テクノロ
ジーズ・コーポレーション
(UTC)
に社名変更
1976年 UTCがオーチス・エレ
ベータを買収
1986
1988
CEO
1992
1990
1986年 オーチスが松下の方
式を学ぶ
1988年
を実証
岩田良樹が「カイゼン」
1993
1995
1996
1997
1998
U T C、自動 車 事
業部門を売却
新技術研究所が
プラット・アンド・
ホ イ ット ニ ー
(P&W)のコンサ
ルティングを開始
ACE
オペレーティング・
システム
の進化
U T C 全 体で
ACEがスター
ト
閉鎖寸前だったP&W
ノース・バーウィック工
場がフレキシブル生
産により復活
1992
18
1994
1993
P & W 全 体で
ACEがスター
ト
伊藤譲が
UTCコネチ
カット本社
に移る
1994
1995
1996
Booz & Company
M a n a g e m e n t J o u r n a l Vo l . 2 5 2 0 1 3 A u t u m n
伊藤ユニバー
シティがスタ
ート
1997
1998
特集 ◎ 勝ち続ける組織
2
台として、2007 年に開始されたのが UTC の「サプライヤー・
とサプライヤ ー の 目 標 をともに達 成した 。時 価 総 額 7 5 0 億
ゴ ー ルド・プログラム」で ある。これは 、A C Eトレー ニングと
ドルの同社にとって意義深い偉業であった。
A C E に 準じた 評 価 基 準 を サ プ ライ ヤ ー にも 適 用 するも の
リーダーシップと学習
だった。このプログラムは任 意だったが、UTC の 年 間 支 出 の
50% にあたる 1,500 社のサプライヤーが重要サプライヤー
と認 定 され、これらの サプライヤ ー へ の 積 極 的 な 働きかけ
リサ ー チと本 稿 執 筆 に 4 年 を 費 や す 間 に 、私 は 米 国 、欧
が行われた。U TC は独自の サイト認 定 手 続き制 度で用 いら
州 、アジアにある 2 0 カ所 の U TC 工 場を自分 の 足で訪ねた。
れる測 定 基 準で、主 要 サプライヤ ー の 品 質 、納 品 、リーン生
どの 子 会 社 、どの 地 域 が 関 わって い て も 、そ の 空 気 は 同じ
産 成 熟 度 、顧 客 満 足 度に関 するデ ータをすでに収 集して い
だった 。
トップダウンの ル ー ルにが んじがらめにされて いる
た。同 社は、この 情 報をパフォーマンス・スコアカードにして
と社 員が愚 痴をこぼすのは、ほとんど聞 いたことがな い。む
サプライヤ ー 自 体に提 示 することにした 。2 0 0 7 年 末には 、
しろ企 業 家 的な活 動や改 善に向けた継 続 的 意 欲を目にする
主 要 サプライヤ ー の 2 2 % が「ゴ ー ルド」または「 パフォーミ
ことのほうが多かった。
ング 」レベ ル( A C E の ゴ ー ルドおよびシ ル バ ー で 使 用 さ れ
U T C が A C E で 成 功した 要 因 は 何 だった の だろう。私 は 、
認定基 準にほぼ匹 敵 )となった。
同 様 の 全 社 的 取り組 みに多くの 場 合 欠けている要 素をいく
UTC の 能 力に自信を持った経 営 陣はここでさらに目標を
つか見 つけた。そ れは、U TC が A C E とそ れ以 前 の 取り組 み
引き上げた。2009 年 2 月、協 議 のうえ、各 部 門 社 長 のコンセ
を 取り入 れた 2 8 年 間 の 歴 史 を 経 て 初 めて 生まれた 要 素 で
ン サ スを 取りつ け た C E O の シェネ バ ートは 、2 0 1 1 年 末 ま
ある( 図 表 2 参 照 )。第 一に、全レベ ルのリーダーが明 確に特
でに U TC サプライヤ ー の 7 0 % に「 サプライヤ ー・ゴー ルド」
定され、つねに積 極 的に関わったことが挙げられる。上 層 部
または「 サプライヤ ー・パフォーミング」の 評 価( 上 位 2 つ の
ではシェネバートとデビッドが、ACE と ACE が意 味する事 柄
評 価 )を取らせると発 表した 。これはサプライヤ ーにとって
の す べ てを自 分 た ち が バックアップして い ることに 社 員 が
チャレンジ目標だったが、UTC が 2009 年 末に自社 工 場 の目
疑 いを差し挟 む 余 地 がな いように振る舞った 。二 人 は A C E
標を達 成するためにはそ れが必 要だった。U TC は自社 工 場
を通じて目 標を設 定し、A C E のメソッドを使 用し、自 分 たち
ルイス・シェネバート
CEO
2008年∼現在
1999
2000
UTCがサンドストラ
ンドを買収し、ハミ
ルトン・サンドスト
ランドを設立
2001
2002
2003
2004
フォーチュンが航空
宇宙業界で最も称
賛に値する企業と
してUTCを挙げる
2005
UTCがキッデ
を買収
「オペレーションズ・
トランスフォメーショ
ン」によりUTCの全
業務にACEが根づく
ACEを再評価
1999
2000
2001
2006
2002
2003
2007
2008
2006
2007
2011
UTCがグッド
リッチを買収
CEOが2009年12月までに
全工場の70%をACEゴー
ルドまたはシルバーに引き
上げるとする目標を設定
CEO自らがACEに
よる成果の公表を
開始
2005
2010
UTCがチャブ
を買収
「サプライヤー・
ゴールド・プラグ
ラム」がスタート
2004
2009
2008
CEOが、2011年12
月までに全 サプラ
イヤーの70%をゴ
ールドまたはパフォ
ーミングに引き上
げるとする目 標 を
設定
2009
Booz & Company
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伊藤ユニバーシ
ティに 5 万 人 以
上が入学
2010
2011
19
が 相 手に対して 期 待 する水 準を自 分 たちも 守った 。全 部 門
が 学 ん だことに基 づ い て 行 動 するように後 押しして いるこ
を通じて ACE を支 持するリーダーたちが現れた。彼らは、自
とで あ る。数 多くあ る事 例 の1つ が 、大 学 の 講 座 を 受 講 す
分 の 職 場で新しいアプリケーションや 画 期 的メソッドをいく
る U T C 社 員 の 授 業 料 や 書 籍 代 、各 種 費 用 を 全 額 負 担 する
つも編み出していった。
「 U T C 社 員 奨 学 金プログラム 」で ある。講 座 の 分 野 に 制 限
第 二に、強 制 では なく対 話 を 通じてコンセンサ スが 形 成
は設けられてい な い 。この ほか U TC は学 士と修 士 の 学 位を
された。UTC 傘 下 企 業 の 全リーダーが参 加 の 意 思を進 んで
取 得した 社 員を認 定し、ストックオプションで 報 奨を与 えて
表 明 するまで 待 つことによって 、この 活 動 は 彼らの 全 面 的
いる。2011 年 の 時 点で、同 社は 10 億ドル以 上をこのプログ
な 参 加を得 た。リーダ ー たちが 反 対したり、懸 念を持ったり
ラムに支 出している。1996 年 の 開 始 以 来 、50 カ国 以 上 の 社
したときは 十 分に議 論 が 尽くされ 、ある程 度 の 合 意 が 形 成
員が延べ 3 万 2,500 の学位を取得している。
されるまで 実 行に移 さな かった 。議 論 が 交 わされる委 員 会
U T C は 、自ら学 び 続 けるコングロマリットで ある。3 つ の
は事 実 上 、公 式 な 意 思 決 定 のヒエラルキ ーと並 立 する構 造
レベ ルで学 習を結びつける方 法がそ の 秘 訣で ある。すなわ
になって い た 。十 分に時 間をかけて 非 常に包 括 的 な 議 論 が
ち社員一人ひとりの行動、日々の職場、そして委員会が立案
交 わされたため、社 員 は懸 念を口に出し、とことんまで 話し
した 会 社 の 戦 略 的 方 向 性 で ある。こうしたやり方 が 、プラッ
合 い 、全 面 的 に 協 力 することが できた 。思 慮 深く慎 重 な 委
トフォー ムからプ ラットフォー ム へ 、会 社 から会 社 へ 、チ ー
員 会 のトーンとスタイ ルも 、他 の 場 面 で 社 員 の 行 動 の 見 本
ムからチ ームへと組 織 全 体 で 継 続 的に育まれ、一 体 化され
になっている。
る。つまるところ、この 一 体 化が U TC の 個 性 な ので ある。こ
第 三に、A C E は U T C がオ ペレーションの 管 理・改 善 の 経
れこそ が U T C の 好 業 績 を 支 える継 続 的 改 善 を 可 能 にして
験 を 積 み 、自ら学 ぶことを 可 能 にした 。U T C は 独 自 の 特 徴
いる。
的 なやり方で A C E を実 践し、多 数 のチームや 事 業 部 門 間で
コミュニケーションの 継 続を要 求しながら、社 員による ACE
("An Uncommonly Cohesive Conglomerate," by George
L. Roth, strategy+business, Autumn 2013, sb72.)
の 修 正 や 拡 大 を 奨 励し、当 事 者 意 識 を 与 えて いる。す べ て
の 施 設を A C E 認 証 のために評 価するにあたって、査 定 者は
優 良 実 践 例 を 特 定し、U T C 内 の 多 数 の 組 織 の 間 で そ れを
共 有したり、指 導 の なかでケーススタディとして使 用したり
する。そ の 方 法や指 導 資 料は継 続 的にアップデートされる。
また、ACE の 評 価 基 準も経 験を反 映させるために変 更され
る。このように絶え間なく続く丁 寧なアプローチはグループ
内で、そしてサプライヤ ー 、パートナー 、顧 客とともに学び、
改善し、変革する能 力を UTC に与える。
第 四 の 要 素 は 、U T C が 非 公 式 な 集 団 対 話 や 公 式 な 学
習 機 会 を 通じて 一 人 ひ とりの 学 び を 明 確 に 奨 励し 、各 人
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