頸城商工会景況調査報告書 83 組織番号 商工会名 頸城商工会 報告者名 飯田利也 1.調査要領 (1)調査対象 ア 対象地区 イ 対象企業数 ウ 回答企業数 地区内小規模事業者 23 事業所 23 事業所 (回答率 100 %) (2)調査対象期間 平成27年7月~平成27年12月 (調査時点 平成27年12月1日) (3)調査方法 経営指導員等による巡回または窓口によるヒアリング調査 (4)調査対象と回答企業の構成 調査対象 企業数 構成比 4 17 製 造 業 9 39 建 設 業 5 22 卸・小売業 5 22 サービス業 23 100 合 計 有効回答 企業数 構成比 4 17 9 39 5 22 5 22 23 100 2.地域内産業全体の景況概要 地区内景況のコメントする プレミアム商品券事業実施中は、消費者の購買意欲の喚起や目的買い等で、売上 低下を抑制し区内の消費拡大につながったが、事業終了後は以前と同様、旧市郊外 立地の大型店や量販店への消費が流出している状況である。参加店舗では、プレミ アム商品券を活用した売上増加に向けた取組みが見られず、商品券を利用されない 加盟店もあり、加盟店数も固定化されてきて伸び悩んでいるのが課題である。区内 には県営南部工業団地を有し、ガスエンジン発電所の新規進出企業もあり雇用人口 の増加はあるが地域経済活性化には結び付いていない。区内小規模事業者は高齢化 や後継者不足、不況等の影響で廃業に伴う減少が近年増加している。区内景況にお いては全体的に低迷傾向にあり、景気の回復に期待している。 【後継者の状況】 後継者状況をコメントする 後継者が無く、自分の代で終わりといった事業所が多く、今後の廃業は増えて いくと思われる。 後継者 あり 8事業所 後継者 なし 15事業所 34.8% 65.2% 【売上高】 地区内事業者の売上に関するコメントする 製造業は一部の事業所以外は消費税増税後、売上の減少が著しい。新商品の開 発や新規取引先の開拓や、新事業展開に取組んでいる事業者もあり、補助金等の 活用も視野に入れた販促活動を推進する。 建設業は来年の消費税引き上げに伴う駈込み需要が予想されるが、その後は不 透明であり懸念する事業者が多い。公共事業の減少や消費税の適正な転嫁ができ ない、販売価格の低下、冬期間の工事量の減少等売上は減少傾向にある。 卸小売業は旧市郊外立地の大型店や量販店への影響が強く、地元購買力は減少 している。消費税の適正な転嫁や販売競争の激化、コンビニの進出等課題は多 い。 サービス業は固定客の減少や高齢化に伴い減少傾向にある。安価な同業者の進 出や店舗設備の老朽化、経費の増加問題が目立つ。個店のできるサービス等で販 売促進への取組みを働きかける。全業種に売上げが減少傾向にある。 前年同期比 増加 不変 5 9 減少 9 前期比 増加 3 不変 12 減少 8 今後の見通し 増加 不変 4 6 減少 13 【採 算】 地区内事業者の採算性についてコメントする 仕入単価の上昇や、燃料価格の高騰、固定費等の経費も増加しているうえ、価 格への転嫁が困難であり収益を圧迫している。借入金等の利息も多く経常利益が 減少傾向にあり、今後の見通しは悪化すると判断した事業所が大半である。 前年同期比 好転 不変 1 13 悪化 9 前期比 好転 2 不変 14 悪化 7 今後の見通し 好転 不変 3 8 悪化 12 【仕入単価】 地区内事業者の仕入状況をコメントする 全業種に商品・資材等の仕入単価は上昇している。品切れを防ぎ、過剰在庫に ならない適正な在庫管理が必要である。顧客の求める商品や季節的商品、顧客の 必要とするタイミング等を調整し商品を仕入れする。また資材置き場所等の管理 や仕入の受注方法等、コストのかからない安い仕入方法等見直す事も必要であ る。 前年同期比 前期比 今後の見通し 上昇 不変 低下 上昇 不変 低下 上昇 不変 低下 10 9 1 9 10 1 10 9 1 【販売(客)単価】 地区内事業者の客単価等をコメントする 半数以上の業種で販売単価が不変と低下の状態が多い。仕入単価が上昇してい るため利益率が少ないと思われる。一部では受注件数が大幅に減少し、価格設定 も低く見積もるため利益率が少ない。このような状況が続けば、廃業・倒産する 事業者も出てくるのではと危惧している。 前年同期比 上昇 不変 4 14 低下 4 前期比 上昇 3 不変 15 低下 4 今後の見通し 上昇 不変 4 12 低下 6 【資金繰り】 地区内事業者の資金繰り状況についてコメントする。 不変が多いが運転資金の借入金が増加傾向にある。また、借替等で返済条件変 更も多くなってきている。返済に無理の無いよう返済計画をたてる。マル経資金 の制度や設備資金貸付利率特例制度や上越市利子補給制度を周知する。 前年同期比 好転 不変 1 18 悪化 4 前期比 好転 2 不変 19 悪化 2 今後の見通し 好転 不変 1 16 悪化 6 【雇用動向】 地区内の雇用動向をコメントする 従業員の高齢化の影響で生産増量のできない製造業や、建設業関係で若手労働 者を望んでいる事業所が多い。また建築業では職人不足が問題で若手の職人が育 たない現状である。在職者向け訓練制度や各種職業訓練制度等を紹介する。 前年同期比 増加 不変 2 15 減少 2 前期比 増加 1 不変 17 減少 1 今後の見通し 増加 不変 2 15 減少 2 【景況判断】 地区内の景況判断についてコメントする 好転の事業者は販売促進や営業努力の結果である。ほとんどの事業者が不変、 悪化を選択している。景況は全体的に低迷傾向にあり、景気の回復に期待してい る。 前年同期比 好転 不変 2 11 悪化 10 前期比 好転 3 不変 11 悪化 9 今後の見通し 好転 不変 2 9 悪化 12 【経営上の問題点】 地区内事業者の経営上の問題点についてコメントする 全業種において「需要の停滞」を選択しており、消費の流出、公共事業の減 少、受注・売上不振が目立つ。仕入単価の上昇や設備等の老朽化の問題点を掲 げる事業者も多いが、後継者不足や人材不足の回答も多くなっている。消費税 増税に伴う先行き見通し難で、設備投資等に踏み切る事業者が少ないように見 受けられる。又税負担の増加等で借入金の増加により資金繰りも懸念される。 今後も明るい材料は少ないと感じられるが、経営者の意識改革と強い自立意識 を持つことが必要不可欠と思われる。 14 15 11 10 9 10 5 6 5 5 3 0 0 1 1 0 4 0 0 3.産業別景況概要 (1)製造業 地区内製造業に係る景況状況をコメントする 区内製造業は県営南部産業団地があり、毎年一社程度は新規進出があり、雇用 は増加している様に思えるが、同時に毎年撤退事業所もある。会員事業所では、 金型製造業の受注は現在安定している状況である。電子部品製造は単価が低く なってきているため、加工量を増やしているが従業員が高齢化のため限界を感じ ている。雇用は事業所都合の解雇は無いが、自己都合の退職が増加に伴う若手従 業員の確保が心配の材料である。後継者も無い状況である。建物、設備等の老朽 化の問題点も多いが先行きが不透明のため設備投資に踏み切れない状況である。 (2)建設業 地区内建設業に係る景況状況をコメントする 来年の消費税引き上げに伴う駈込み需要が予想されるが、その後は不透明であ り懸念する事業者が多い。公共事業の減少や消費税の適正な転嫁ができない事業 所、職人不足や大手企業参入による受注価格と販売価格の低下、冬期間の工事量 の減少や税負担の増加などの問題点が多い。その中で独自のサービスを取組み経 営方針を立て、集客や販促強化をしている事業所や、リフォーム工事を重視した 業務転換、ハウスメーカーの管理・修繕等の資格を取得した事業者や、工事のみ ならず物販等にも手掛ける業者が増え、生き残りを展開する事業所も増えてきて いる。市の住宅リフォーム事業に加え、商工会独自の住宅・店舗等リフォーム事 業を検討中である。 (3)卸・小売業 地区内卸、小売業に係る景況状況をコメントする 旧市街の大型店やスーパーの影響が強く消費が流れている。プレミアム商品券 事業もあったが一過性であり、その後は以前と同様消費は低迷している。個店の 販売促進も見られず、全体的に売上が減少傾向にある。コンビニ等の出店による 売上減少や、店舗・設備の老朽化、経営者の高齢化や後継者不足による廃業もあ る。 店舗販売の売上減少に代わり、学校や社会福祉施設等への卸部門を強化する事 業者や、ネット販売に力を入れているところもある。また、高齢者世帯対象に御 用聞き販売や配達等の取組みを強化する。持続化補助金等を活用し新商品、新規 販路開拓等支援する。 (4)サービス業 地区内サービス業等に係る景況状況をコメントする 飲食業が少ない当地区には景況にバラつきがあり、好調と不調の格差が見られ る。地産地消の取組みや付加価値をつけた商品・サービスの提供、顧客名簿の管 理やリピーター向け販促、期間限定や固定客向けのイベントの実施等、他店との 差別化を図ることにより売上増加を支援する。理美容業においては低料金の店舗 も増え、高齢化による固定客の減少、来店サイクルの長期化で来客が減少傾向に ある。お客の送迎や出張サービス等、個店のできる販売促進への取組みを働きか ける。
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