琉球銀行様 預かり資産保存帳票電子化システム (Azukari アーカイブ)活用事例 お客様の要望に応じて保険・投信の説明を充実するには、 その後の営業バック事務をどう極小化するかが肝でした。 投資信託・個人保険の窓口販売における事務手続きの煩雑さに より、営業事務効率の低下や保管書類の増加、監査・書類調査へ の対応時間の増大などを課題視され、預かり資産の保存帳票を 電子化し運用する仕組みを導入された琉球銀行様。 銀行における保険・投資信託の事務手続きの課題や、運用準備 の課題、導入後の効果をご担当者様から伺ってまいりました。 本 店 所 在 地 : 那覇市久茂地1丁目11番1号 設 立 : 昭和23年5月1日 店 舗 数 : 本支店 59カ店 出張所 17カ店(ローンセンター 7カ店含む) 従 業 員 数 : 1,243名 資 本 金 : 541億27百万円 総 資 産 : 21,671億円 預 金 残 高 : 19,672億円 貸 出 金 残 高 : 13,992億円 左:調査役 志良堂様 中:常務取締役 川上様 右:西原支店長 菊地様 ● インタビュー ● 琉球銀行 営業統括部 リテール業務課 調査役 志良堂 猛史様 保険・投信の重要性は年々増しています 目減りします。お客 様 満足 度を高める ー 貴行において、投資信託(以下、投信)や保険業務はどの ためには、今後のライフイベントに備え ような位置づけでしょうか? た金融商品のご提案が 不可欠です。投 信・保 険はその役 割を果たすのに適し 志良堂様 無担保ローンに並ぶリテール分野での中心的業務 ています。 です。預金 金利ではお客 様の満足を満たせない中、預かり資 産の主力商品として金融資産の運 用・形成に欠かせない業務 ー 投信・保険は銀行提案において重 となっています。 要な位置を占めるということですね。 預金金利が上がらず物価が上昇すれば、実質的に金融資産は 富士ゼロックスシステムサービス 1 志良堂様 今後ますます重要な位置づけになります。 銀行・証券会社・保険会社がある中でお客様が当行を選ぶの 特に証券会社や保険会社で直接お申込みをするのではなく、 は、 「親切でしっかり相談に乗ってくれる」と期待しているから 「投信や保険に興味はあるが実際よくわからない。銀行であれ です。お客様のその期待・要望に応えるためには、後処理も含 ば安心して相談ができる」と考えるお客様が銀行の場合大半で めた事務処理をどう極小化するかが肝要です。 す。適合性を重視した提案力がますます重要となります。 行員にとっても、提案後の事務処理負担が減ればゆっくりと会 話も出来るし、場合によってはお茶をしながらご家族も含めた ー 重要度が増してきたのですね。では、貴行における投信・ ライフプランの相談も出来ます。しかし実態は、業務時間が制 保険業務における課題を教えてください。 限されており、 「発注に間に合わせないといけない」 「申込書類 を整備して持ち出さなければならない」と時間に余裕はなく、 志良堂様 投信や保険は、その商品特性から各種リスクを内 焦って対応しているケースが少なくないのです。そのことでお客 包しているため、お客様の保有金融資産や投資経験を勘案し 様の真のニーズをつかむ時間が少なくなる懸念があります。 た適切な商品提案が求められます。そのため元本保証がある 預金とは違い、細かい商品内容説明やリスク説明等を行う必 ー お客様は慣れていないからこそ、信頼のおける銀行に相談さ 要があり相当な時間を要します。また、それら商品の申込書だ れているため、その信頼に応えるためにも営業の事務処理の煩雑 けでなく金商法(金融商品取引法:H18.6.14)対応の書面や さを解消して、より丁寧な提案を行う必要があったのですね。 保険における非公開金融情報利用の同意書面等、さまざまな 徴求書類があります。お客 様ご提案後もそれら書類を整える 志良堂様 待ち時間等で来店を嫌がったり、面倒くさい手続き 作業やファイリング等の事務負担も大きく、かつ申込手続き終 を嫌 がるお客 様は手軽にダイレクトチャネルでお申込みしま 了後も適切な書類管理、または顧客照会時や追加折衝時発生 す。お客様がわざわざ窓口にお越しになり、営業担当者をご自 の際の検索負荷、等 相当な事務負担が発 生しており、営業時 宅に呼ぶのはやはり丁寧な説明を期待されている証拠です。 間を圧迫しています。 当行では経営計画でも、預かり資産取引を今まで以上に拡大 する計画を立てています。一方で事務量が従来のままでは処理 事務負担を軽減して営業時間を 創出するために解決策を検討しました に限界が来ますし、品質低下を招く懸念もあります。同時に申 込書類等の物理的な保管スペースについてもいずれ限界が来ま す。当行ではそれらの書類は金庫内で保管しており、実際、物 ー その事務負担について具体例を教えていただけますか? 理的キャパシティは限界を迎えていました。 志良堂様 状況や商品にもよりますが、1件毎の取引事務処理 ー「事務処理時間の圧縮」 「営業店保管スペースの限界」とい は「申込手続きに約60分」 「面談記録に約60分」 「書類整備に う課題について、改善の緊急度は高かったのでしょうか? 約30分」 「書類転送や確認作業に約30〜50分」 「文書引継や 廃棄作業で約30分」と言ったところでしょうか。どの銀行でも 志良堂様 中期経営計画で掲げる「営業力の強化」に密接に関 預かり資産関連業務の事務は相当な負担があると思いますし、 わる課題でした。営業力強化のために「提案力の強化」 「セール どうにかこれらの時間を圧縮したいと考えているはずです。 ス時間の創出」「販 売 体 制の構築」を柱に施 策を展開してお 私が営業店にいた時は2件のお申込みがあれば、担当者は事務 り、課題は「セールス時間の創出」に直結します。対応は急務で 処理で実際、1日が潰れました。 あったと認識しました。 投信はインターネットバンキングでのお取引が可能ですが、保 険はそのような環境はないため依然として申込書類等のやりと ー 対応が急務の中、どのような解決方針を採ったのでしょうか? りがあり、外訪先でお申込みいただいた場合は帰店後の処理と なります。 志良堂様 申込書類等の紙媒体を電子化することで、スムーズ な情報 連携と保管スペースの確保を、当時の営業統括部長で ー 具体的には「事務処理に時間がかかる点を効率化したい」 あった川上の指示により行いました。川上は、元々当行で活用 ということでしょうか? していた富士ゼロックス社製のエビデンスマネージャーに、幾 つかの 機 能を加え 拡 張したいと考えました。そこで、富士 ゼ 志良堂様 事務処理の時間よりもお客様に時間を使いたい。 ロックスシステムサービス(FXSS)様に、従来の仕組みに「プ お客様とのリレーション構築に時間を使いたいのです。多くの ロセス管理機能」と「電子文書保存識別機能」を付加したシス 2 富士ゼロックスシステムサービス テムを開発して頂きました。それを当行では「Azukariアーカイ ブ」と名付け、エビデンスマネージャーと連携することで当行の 文書管理システムの幅を広げました。 業務帳票の電子化を機会と捉え、 さらに運用を大きく変更しました ー 電子化にあたって従来と変更された点を教えてください。 志良堂様 今回の電子化を機会と捉え、従来、営業店で保管し る会社がある中で、ご決断は的確というか、素早く実施されてい ていた「金商法フォルダ(※外貨債・国債は除く)」「投信フォ る印象は強かったですね。 ルダ」 「保険フォルダ」を全廃しました。 「金商法フォルダ」は主に面談記録を保管していたものです。 志良堂様 決して無謀に変えたのではございません。リーガル 当行では「フロントコンプライアンスシステム」を導入してお チェックは徹底的に行いましたし、保険会社各社の見解も尊重し り、その中に面談記録を残していますが、依然としてフォルダ内 ました。監督指針にも十分耐えうるものと判断したので実践致し に面談記録を綴り込んでいました。そのダブりを帳票電子化を ました。 機になくしました。 「保険フォルダ」については、これまで申込書類等の写しを保 ー 実際に運用を開始されて、手元に代理店控えがなくて困っ 管しておりましたが「電子化データを原本」と定め、従来保管し たという声はありましたか? ていた各 種 帳 票は電子 化後1年間、営業 店で 保管し、その 後 「廃棄」としました。但し、電子化対象帳票は「当行制定帳票の 志良堂様 ございません。先ほど申し上げたように、保険につ み」とし、保険会社制定帳票(代理店控え等)はバックオフィス いてはシステムにて取引照会が出来ます。皮肉なことですが、シ である琉球総合保険サポート保管として、営業店からは紙媒体 ステムを活用するより金庫内キャビネットまで行って、 「現物を の保管を一掃しました。 見る方が楽」と考えている行員が少なからずいたことに初めて 気づきました。これではITリテラシーはいつまで経っても上が ー 大きな変貌ですね。考え方や運用の大きな変更は、貴行内 りません(笑) では議論があったと思われますが…。 ー 他にも運用を変更された点はございますか? 志良堂様 議論にはなりました。しかし、保険会社に調査した ところ保険会社制定帳票について「業法上、 (銀行に)保存義 志良堂様 投信については、申込書類等は法定帳簿のため電 務はない」ことがわかりましたし、そもそも営業店で大量に保 子化後も一定期間紙媒体での保存が必要になります。しかし、 管されていた帳 票 類は「(申込等の)写し」です。原本は保 険 電子化データと紙媒体の両方を営業店で保存・保管する必要 会社が保管していますし、バックオフィスには代理店控えを保 はございませんので、紙 媒体については営業 店で1年保管後 管しています。監督指針等で求められているお客 様の問合 せ 「書庫センター管理」とし、営業店保管を一掃しました。 に速やかに対応するには「保 険 窓 販 支 援システム」の照会で 十分可能であり、写しを廃棄することに何ら問題はございませ ー 新たな取引の帳票を電子化に移行する一方、過去分の書 んでした。 類はどう対応されましたか? ー 営業店の皆さまはどのような反応でしたか? 志良堂様 全店に保管されていた投信・保険に係る帳票類は 実に100万枚以上ありましたが、全てを電子化し営業店のフロ 志良堂様 怖がっていました(笑) 「そうは言っても控えを アキャパシティを確保しました。これが今回の取組みで一番の 営業店に保管しなくていいのか?」という声は少なからずあり 功績です(笑) ました。 ー100万枚の電子化は膨大ですね。 五十嵐(FXSS構築担当) 決められないから残すと判断され 富士ゼロックスシステムサービス 3 志良堂様 最も苦労したところです。膨大な量の帳票を、厳密な かり愕然としました。人間は自分の見たい物しか見ないと言う 管理体制の下で、かつ個人情報漏洩もなく全てをスキャンする必 ことがよく解りました(笑) 要があります。帳票は「個人情報の塊」ですからね。アウトソース また、フロントコンプライアンスシステムの改修や保険業法改 するにあたり当行内の調整が一番大変でした。 正対応の繁忙感と相まって、具体的に目に見える改善効果が出 その点でFXSS様は、 「戸籍」というこれまた個人情報の塊の電子 ているという訳ではございません。しかし、ステータス管理が 化を取扱われているので、そのノウハウは非常に役立ちました。 出来ることや検索速度が速まったことは大きな改善だと捉えて います。 五十嵐(FXSS構築担当) 離島など本店から離れた地域に 稼働の中で課題も見えてきました。今後はそれらを改善し、更 も営業店がありますので、情報の搬送に関しても弊社のノウハ なる利便性の向上を図りたいと考えます。 ウをご提供出来たと思います。 ー 今後の展望を教えてください。 徐々に改善効果を感じ始めました 志良堂様 今回のソリューションで私たちが対応したのは、限 ー「Azukariアーカイブ」を活用されて1年。ご感想を教えてく 定的なものです。 ださい。 預かり資産というフィールドで電子化を行ったことにより、行員 全体に電子化の概念が伝わりました。今後は更に、物理的に、 志良堂様 正直な感想、当初は大変でした(笑) バラバラに存在していた紙媒体情報を電子化し、当行CRMと このシステムをきっかけに当行の日常 業 務 で「ステータス」 連携させていくことが必要だと考えます。どの場所にいても行 「ワークフロー」 「QRコード」といった言葉が、使われはじめ問 員がお客様情報を立体的に把握することで、質の高いサービス 合せ等で会話が噛み合わないという事象が頻発しました。しか ができるよう体制を整えていきたいです。 しながら、よく確認すると、当行には既に御社のシステムが幾 一方で電子申込構築の動きも全国的に加速しています。従前の つか先行しており、QRもステータスも既に使っていることがわ 紙媒体情報は早く電子化し、今後の動きに備えてまいります。 Azukari アーカイブ 1 全営業店 電子化エントリー 【リスト表示】 預り資産保存帳票 電子化管理システム 出力 ・商 品 を 選 択して エントリーシート を出力 3 営業店・本部 履歴検索 ・CIF、 商 品 名、 ステ ー タス等で検索が可能 【履歴検索】 電子 文書 ・行内帳票スキャン 取込み 込 QR コードに て格納先を 自動振り分け 取 【エントリーシート】 み ・取込後、属性をワ ンクリックで付与 2 本部 ワークフロー 【詳細表示】 【行内帳票】 スキャニング ワークフロー機能により営業店~本部間の情報共有&承認 営業本部 預かり資産BPO営業部 Tel 03-3525-8867 http://www.fxss.co.jp/ Xerox、Xeroxロゴ、およびFuji Xeroxロゴは、米国ゼロックス社の登録商標または商標です。 本書の内容は2016年3月現在のものです。
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