CSRレポート

荏原グループ
CSRレポート
2008
EBARA Group CSR Report 2008
荏原グループ CSR レポート編集方針
荏原グループ CSR レポート 2008 について
発 行 年 月 日 :2008 年 8 月 11 日
制 作 :荏原グループ CSR レポート制作委員会
荏原グループ環境レポート 2007 に寄せられた
皆様の声の反映
● 社外から 8 名、荏原グループ従業員 160 名からアンケート回答を得
発 行 :㈱荏原製作所 CSR 統括部
報 告 期 間 :2007 年 4 月 1 日 ~2008 年 3 月 31 日
ました。ご意見は、CSR レポートに反映するよう努めました。
● 荏原グループと、地域、社会、産業やくらしとの関わりが分かった、
この期間以外は注釈記載
あるいはもっと分るようにした方が良い、といったご意見が複数寄
報 告 範 囲 :㈱荏原製作所と国内連結子会社
せられました。CSR レポートではこのご意見を反映させるよう努め
報 告 内 容 :荏原グループの CSR 活動について
ました。
次号発行予定 :2009 年 8 月
● 子どもが描いた絵は、多くの読者から好評を得ました。「次世代に
本レポートでの社名表記について
豊かな環境を引き継ぐ」メッセージとして、CSR レポートにも採用
荏 原 :㈱荏原製作所単体を指します。
荏原グループ:荏原およびその子会社・関連会社を指します。
しました。
● 第三者所感でいただいたご意見に関し、CO2 や化学物質の増加につ
いては、改善策を検討しました。当面は業務改善などで対応して参
荏原グループ CSR レポート発行にあたって
ります。コンプライアンス意識向上のために、教育やリエゾン制度
● CSR レポート第 1 号を発行します。
の導入などを行いました。コンプライアンス意識の浸透調査の回答
● 人と社会にやさしい企業グループを目指す荏原グループの今をお知
率が更に上がり、自由記述回答にも多くの意見が寄せられました。
らせします。
23 ページ〜25 ページをご覧ください。
● 1997 年から環境レポートで公表してきた環境情報は、CSR レポート
の「環境と荏原グループ」で報告いたします。
荏原グループの情報提供
CSR レポート以外にも様々な情報を荏原ホームページで公表していま
荏原グループが皆様にお伝えしたいこと
す。本レポートと合わせてご覧ください。
● 荏原グループは、産業機械メーカとして、社会インフラ、建築、水
荏原ホームページ http://www.ebara.co.jp/
処理、ガス処理、廃棄物処理、半導体製造装置などの様々な分野で
・エバラ時報
:荏原の技術、研究開発の最新情報。
社会、産業、くらしを支えています。普段目にすることの少ない
「事業・製品」でご覧ください。
荏原グループの製品・サービスと皆様との関わりをお伝えします。
・Annual Report
:株主・投資家様向け情報。(英文)
● 荏原グループが「より良い会社になるために」、現在取り組んでい
ることをお伝えします。
● 主要なステークホルダーに対する荏原グループの考え方をお伝えし
ます。
「株主・投資家情報」でご覧ください。
・事業報告書
:株主様への情報。「株主・投資家情報」で
ご覧ください。
・グループ会社の情報:「企業情報」でご覧ください。
荏原グループ CSR レポート 2008 が
視野にしている読者
荏原グループが CSR レポートを通じて
皆様にお願いしたいこと
● 荏原グループと関わりの深いステークホルダーに読んでいただき、
様々な立場の皆様にご理解いただけるよう一般的且つ平易な言葉でお伝
荏原グループが社会に果たしている役割や、荏原グループが目指し
えするよう努めました。分かりにくいところ、もっと知りたいことをど
ている方向を、より深くご理解いただきたいと考えています。
うぞお知らせください。荏原グループの CSR 活動や CSR レポートの改善
● 初めての CSR レポートはまず荏原グループ従業員に読んで欲しいと
に生かせるよう努力して参ります。
考えています。従業員が会社の CSR の現状を理解し、それぞれの職
[email protected] FAX.03-5736-3103 務を通じて CSR 活動を推進することが目的です。
CSRレポート制作委員会事務局宛
お寄せいただいたご意見、お問合せ等の取り扱い
個人情報保護方針
http://www.ebara.co.jp/terms/に準拠します。
http://www.ebara.co.jp/privacy/ に基づきます。
本レポートのご利用について
印刷物やインターネット上での無断複製・転載はご遠慮ください。
EBARA Group CSR Report 2008
目次
表紙について
荏原グループについて
荏原女子バスケットボールチーム
社長メッセージ……………………………………… 4〜5
“ エバラヴィッキーズ ”
荏原グループについて……………………………… 6〜7
髙木美恵選手
社会、産業、くらしを支える荏原グループ… …… 8〜9
(2008 年 4 月よりアシスタントコーチ)
2007 年度 トピックス … …………………………… 10〜15
(羽田事業所環境管理グループ所属)
1 クリーンエネルギー… ………………………… 10
photograph Yoshihiro KOIKE
2 都市の防災… ………………………………… 11
エバラヴィッキーズは、日本リーグで活躍するほか、地域や遠征先の小中
3 ライフラインを守る… ………………………… 12
学生を中心にバスケットボールの指導を行うなど、地域活動にも積極的に
4 地球温暖化防止… …………………………… 13
協力しています。
5 芸術振興… …………………………………… 14〜15
http://www.ebara.co.jp/csr/basketball/
CSR 担当役員メッセージ… ………………………… 16
企業理念・行動基準……………………………… 17
チームワークで果敢に攻め、ゴールを目指す。荏原グループの今の姿勢
と重ねました。
荏原グループ行動基準……………………………… 18〜19
信頼される会社を目指して… ……………………… 20
コーポレート・ガバナンス… ……………………… 21
プロテニスプレーヤー
内部統制・リスク管理… …………………………… 22
高岸知代選手(ダンロップ所属)
コンプライアンス… ………………………………… 23〜25
裏表紙について
荏原湘南スポーツセンター ジュニアテニス
アカデミー(選手育成コース)卒業生
社会と荏原グループ
2007 年度全日本ランキング 19 位
お客様のために……………………………………… 26
風水力機械カンパニー…………………………… 27
の上位進出を目指す選手や、国際級プレーヤーを目指すジュニア選手を
環境事業カンパニー……………………………… 28
育成しています。テニスを通じて、健全で社会性豊かな人格を形成する
精密・電子事業カンパニー……………………… 29
ことを目的としています。
お取引先様とともに… ……………………………… 30〜31
http://www.ebarassc.co.jp/
株主・投資家のために……………………………… 32
情報セキュリティ… ………………………………… 33
地域・社会のために………………………………… 34
㈱荏原湘南スポーツセンターは、テニスの世界大会、国内メジャー大会
各ページの絵画について
従業員とともに… …………………………………… 36〜39
環境と荏原グループ゚
中長期環境ビジョンと2007 年度活動成果………… 40〜41
荏原グループの事業活動と環境への影響………… 42
環境マネジメント… ………………………………… 43
環境リスク・マネジメント… ……………………… 44
環境教育、環境法規制遵守……………………… 45
環境会計、グリーン調達…………………………… 46
子どもに自然の美しさや大切さを理解してもらいたいという願いから、
環境保全活動……………………………………… 47
1998 年より毎年、
「荏原グループ世界の子ども環境絵画展」を開催して
環境データ…………………………………………… 48〜49
います。
荏原グループは子どもたちの目に映る環境がいつまでも豊かで美しいも
第三者所感
のであるよう、絵にこめられたメッセージを受け止め、環境への思いを
地域の皆様から……………………………………… 50
立命館大学経済学部教授 島田幸司様から……… 51
新たに活動しています。
EBARA Group CSR Report 2008
社長メッセージ
心のベクトルを一つにして
信頼される企業へと
成長していきたい
荏原グループについて
内部統制の浸透を徹底します
行こうということに尽きます。荏原グループ1万6千人の考
え方は人それぞれで、完全に一致することはありません。
この1年、私が最も力を入れてきたのは、内部統制を社内
そうした多様性を前提とした上で、4つのこだわりを掲げ
に根づかせることでした。
て組織のベクトルを結集させたいと考えています。
内部統制環境作りはコーポレートガバナンスの大前提です。
1つ目は機械メーカとしてのこだわり、2つ目は環境改善
経営陣を含む全ての従業員が法令や社会的規範に反する
へのこだわり、3つ目は内部統制と業務改善へのこだわり、
行動を起こしえない内部統制の仕組みを作りました。こ
4つ目は“ 顧客と共に歩む荏原”のこだわりです。
れが十分に機能するかどうかは、内部統制環境の重要さ
荏原は産業機械メーカとして、お客様が求めるものを、高
をみんなが意識できているかで決まります。そこで、一人
性能と高品質を満足させた上でお客様が納得できる価格
ひとりが自らを律することができるよう、コンプライアン
と納期で提供していきます。環境に対してはお客様や社
スや内部統制環境の大切さを意識してもらうことに多くの
会が環境負荷低減を実現することができる製品、サービ
時間をかけてきました。1万6千人の従業員にその意識を
スを提供していきます。そして、お客様、社会、環境のた
浸透させるにはまだ時間を要しますが、私自身が基本姿
めに高品質、環境負荷低減、安全性、緊急時のサポート
勢を崩すことなく、わかりやすいメッセージを発信し続け
など、
お客様と荏原グループ双方のメリットを産業機械メー
ていきたいと考えています。
カの立場で追求していきたいと考えています。
また、もうひとつの環境として、職場環境をしっかり整備
4つのこだわりで
より良い会社を目指します
していきます。社員食堂をはじめとする外形的な環境を
整備すると同時に、自由闊達な意見を交わせる職場環境
を提供していくことで、ハラスメントや差別等の無い職場
荏原グループは、
2008 年度を初年度とする
「中期経営計画」
環境を作っていきたいと考えます。
を策定し、経営基盤の再構築とさらなる成長への準備を
事業活動のあらゆる面において、この4つのこだわりを持
開始しています。この計画を通じて私が達成したいことは
つことで、荏原グループが社会から信頼され支持される企
きわめてシンプルで、内部統制、財務基盤の強化によっ
業であると認めていただけるよう、努力し続けます。
て利益率を上げ、負債を減らして、より良い会社になって
EBARA Group CSR Report 2008
荏原グループについて
荏原グループの多彩な
社会との関わりをお伝えしたい
このたび、
荏原グループCSRレポートを初めて発行しました。
2007年までは、環境レポートにCSR 的な内容を含めてい
ましたが、CSRレポートとして、荏原グループが社会とい
かに関わり、貢献しているのかを皆様にきちんとお示しす
るべきだと考えました。初のCSRレポートは、まず従業員
に読んでもらいたいと考えています。従業員自らが、荏原
グループという組織を通じて社会に対する責任を果たして
いるということを今まで以上に自覚して欲しいのです。そ
して、仕事を通じて接するステークホルダー、すなわちお
客様やお取引先様、株主や投資家様、地域、社会に対して、
荏原グループの存在価値を伝え高めていく努力をして欲し
いと考えています。
荏原グループが提供している製品やサービスは普段目に触
れることの少ないものが殆どですが、世の中に無くてはな
らないものだと自負しています。又、畠山記念館の運営
支援活動やバスケットボールを通じた地域交流活動、荏
原湘南スポーツセンターにおけるテニスのジュニア選手育
成事業など、荏原グループは様々な形で社会と接している
ことを皆様に知っていただきたいと思います。
皆様の忌憚なきご意見を賜りますよう、心よりお願い申し
上げる次第です。
株式会社荏原製作所
代表取締役社長
EBARA Group CSR Report 2008
荏原グループについて
荏原は風水力機械カンパニー、環境事業カンパニー、精密・電子事業カンパニーをコアカンパニーとして各分野で事業を
展開しています。また、本社機能を果たすコーポレートの主要な役割の一つとして新規事業の創出・育成があり、現在イ
ンキュベート事業として燃料電池事業などに取り組んでいます。事業フィールドは、荏原の羽田、藤沢、袖ヶ浦、鈴鹿の
4事業所をはじめ、支社・支店など全国に展開し、また、海外の現地駐在員事務所及び 17 カ国に広がる子会社・関連会社
など、グローバルに事業を展開しています。
荏原グループの概要
荏原グループは、荏原、子会社 108 社(うち連結子会社55社)及び関連会社16社より構成されています。
荏原グループについて
(株)荏原電産
荏原テクノサーブ(株)
(株)荏原由倉ハイドロテック
荏原冷熱システム
(株)
荏原機電(株)
(株)荏原エリオット
Elliott Company 他
風水力機械
カンパニー
連結子会社
国内12社 海外21社
その他
国内18社 海外21社
コーポレート
(株)荏原総合研究所
(株)荏原エージェンシー
荏原バラード
(株) 他
連結子会社
国内5社 海外1社
環境事業
カンパニー
荏原エンジニアリングサービス
(株)
荏原環境エンジニアリング(株)
青島荏原環境設備有限公司 他
その他
国内4社
精密・電子事業
カンパニー
連結子会社
国内7社 海外3社
連結子会社
国内2社 海外4社
その他
国内14社 海外10社
その他
海外2社
(株)荏原フィールドテック
(株)荏原九州
Ebara Technologies
Incorporated 他
荏原グループの主な製品群
■ 風水力機械カンパニー
大型ポンプ・高圧ポンプ・プロセスポンプ、大型送風機・ブロワ、コンプレッサ・タービン、汎用ポンプ・
送風機、冷熱機器、エネルギー関連装置、風水力プラント、その他関連機器類
■ 環境事業カンパニー
水処理施設・装置、廃棄物リサイクル利用施設・装置、バイオマス利用施設・装置、VOC処理・脱臭装置、
水処理薬品・工業薬品、汚染土壌・地下水浄化システム
■ 精密・電子事業カンパニー
真空機器(ドライ真空ポンプ・ターボ分子ポンプ)
、半導体製造装置・機器(CMP装置・実装用めっき装置・
ベベル研磨装置・排ガス処理装置・オゾン水製造装置・超高濃度クリーンオゾナイザ・各種クリーンポンプ)
EBARA Group CSR Report 2008
荏原グループの概況* 1(2008 年 3 月末現在)
創業 1912 年11 月 (ゐのくち式機械事務所)
設立 1920 年5 月 (株式会社荏原製作所)
資本金 612 億 8406 万 5423 円
従業員 連結 16,074 人 荏原単体 2,649 人
売上構成比* 1
荏原グループ従業員構成* 1
1,803人
11.2%
107,295
18.9%
連結
連結
141,445
24.9%
風水力事業
5,525人
34.4%
318,449
56.2%
567,190
エンジニアリング事業
8,315人
51.7%
16,074 人
環境事業カンパニー
コーポレート
風水力機械カンパニー
精密・電子事業カンパニー
精密・電子事業
売上高* 1
海外売上高
(百万円)
荏原単体
600,000
連結
567,190
538,097
514,957
500,000
(百万円)
150,000
268,366
251,520
246,704
海外売上高
250,000
200,000
400,000
300,000
荏原グループについて
431人
2.7%
(単位:百万円)
海外売上高比率
40%
37.5%
31.0%
26.7%
35%
212,771
30%
167,061
25%
137,614
20%
100,000
15%
200,000
0
第141期
第142 期
第143 期
(06/3)
(07/3)
(08/3)
0
営業利益* 1
5%
第141期
第142 期
第143 期
(06/3)
(07/3)
(08/3)
0%
当期純利益* 1
(百万円)
荏原単体
15,000
連結
10,902
連結
荏原単体
7,608
8,000
6,016
2,990
(百万円)
10,000
13,249
10,000
5,000
10%
50,000
100,000
3,427
5,446
6,000
4,000
3,015 3,349
3,525
2,000
0
0
-5,000
-6,205
-10,000
第141期
第142 期
第143 期
(06/3)
(07/3)
(08/3)
-2,000
-4,000
-1,988
第141期
第142 期
第143 期
(06/3)
(07/3)
(08/3)
*1 連結会社は海外を含みます。
EBARA Group CSR Report 2008
社会、産業、くらしを支える荏原グループ
荏原グループの製品、技術、サービスは、社会、産業、くらしの様々な場面で “ 縁の下のちからもち ” としてお役に立っ
ています。
A
荏原グループについて
B
C
G
E
D
F
H
I
J
K
A
B
C
D
E
F
G
H
I
J
K
水力発電所の水車
水環境浄化
浄水場
トンネル換気施設
雨水排水施設
家庭用燃料電池
農業用水施設
ビルの給排水・換気設備、空調システム
下水処理場
廃棄物リサイクル利用施設・装置
工場のポンプ、水処理施設
1
2
3
4
5
6
EBARA Group CSR Report 2008
H:
ビルの給排水・換気設備
空調システム
冷却塔(空調システム)
換気ファン
FPD 製造のための高真空を作るドライ真空ポンプ
コンピューターの心臓部 “半導体 ” の製造装置
冷凍機・冷温水機(空調システム)
給排水ポンプ・消火ポンプ 1
2
3
5
6
4
社会を支える荏原グループ
社会生活に不可欠な上水道・下水道の施設では、荏原グ
ループの水処理・汚泥処理施設、ポンプ、送風機などが
活躍しています。大雨のとき、洪水から社会を守る施設
で荏原のポンプが役立っています。家庭やオフィスなど
から出される廃棄物を処理する施設では、焼却技術やリ
サイクル・再資源化技術、焼却灰の減容化技術、ごみ発
電技術が使われています。普段目にする機会は少ないか
は、広く社会インフラを支えています。
荏原グループについて
もしれませんが、荏原グループの製品、技術、サービス
大型ポンプ
汚泥処理施設
廃棄物焼却施設
廃棄物処理施設
コンプレッサ
CMP 装置*3
発電用バイオマスボイラ
ドライ真空ポンプ・排ガス処理装置
一体型装置
ターボ冷凍機
ファン
消火ポンプユニット
家庭用燃料電池コージェネレーション
システム(左:ガス仕様、右:灯油仕様)
産業を支える荏原グループ
電力、鉄鋼、化学、石油化学などをはじめ、半導体、
FPD * 1、機械、金属、製紙、食品、飲料などあらゆる産
業の分野で、荏原グループのポンプ、コンプレッサ、ター
ビン、冷凍機、水処理装置、半導体製造装置、真空機器
など多数の製品・技術が使われています。また、地球温
暖化ガスの一つで、半導体製造過程などで発生する PFC
ガス* 2 などプロセスガスの処理装置や、有機性廃棄物
などのバイオマス資源からメタンを回収する技術、廃棄
物から有価ガスを抽出する内部循環型流動床ガス化炉な
ど、地球温暖化対策や循環型社会の実現に役立つ製品・
技術開発も行っています。荏原グループの製品、技術、
サービスが、様々な産業を支えています。
くらしを支える荏原グループ
ビルやマンションなど建築物の高層階まで水道水を届け
るポンプユニットや、火災に備える消火ポンプユニット。
オフィスビルや公共施設、ショッピングセンターなど大
規模建築物の冷暖房を担う冷凍機や冷温水機。高層ビル
や地下街など密閉された空間の換気を行うファン。都市
ガス・灯油から水素を取り出し、空気中の酸素と反応さ
せて、電気とお湯を同時に作る家庭用燃料電池コージェ
ネレーションシステム。目立つことはありませんが、く
らしの様々な場面を支えているのも、荏原グループの製
品、技術、サービスです。
*1【FPD】 液晶ディスプレイやプラズマディスプレイパネルなどの画面が平面になっ
ているディスプレイ機器。
*2【PFC ガス】 パーフルオロコンパウンド。半導体の製造過程でエッチングや洗浄
に用いられる代替フロンガスの一種。京都議定書の規制対象となっている温室効果
ガス。
*3【CMP 装置】 半導体デバイスの平坦化を行うために用いられる研磨装置。
EBARA Group CSR Report 2008
クリーンエネルギー
地球温暖化防止の切り札
家庭用燃料電池
荏原グループは、クリーンでエネルギー効率の高
い燃料電池を社会へ提供することにより、地球温
暖化の防止に寄与しています。2005 年度に世界
初の家庭用燃料電池を導入して以来、これまで約
700 台以上のシステムを納入しました。
家庭の二酸化炭素排出削減に貢献する燃料電池
荏原バラード㈱は PEFC * 1 燃料電池ユニットを、荏原は
荏原グループについて
PEFC コージェネレーション全体システムを担当し、大
手のガス会社、石油会社と 1kW 級の家庭用燃料電池の
共同開発を進めてきました。2005年4月には東京ガス㈱
様と共同開発した都市ガス仕様タイプ限定商用機「ライ
都市ガス仕様タイプ限定商用機「ライフエル」* 2
フエル」* 2 を世界で初めて市場投入し、2006 年 3 月には
新日本石油㈱様と共同開発した灯油仕様タイプ限定商用
機「ENEOS ECOBOY」*2 を市場投入しました。
燃料電池は、水の電気分解と逆の原理で電気を作り、発
電時の排出物は水だけ、同時に発生する熱も利用できる
クリーンで高効率な発電装置で、次世代のクリーンエネ
ルギーの本命とされています。
現在、地球温暖化防止に向けて、各国で国際的な取り組
みの推進が求められています。日本では年々増加する家
庭部門の二酸化炭素排出量削減が課題となっています
が、燃料電池はその切り札となる可能性を秘めています。
世界が注目する日本の燃料電池
日本政府は、2005 年度からガス会社や石油会社などエ
ネルギー事業者に助成金を交付する定置用燃料電池大規
模実証事業を進めており、世界でも最先端の取り組みと
灯油仕様タイプ限定商用機「ENEOS ECOBOY」* 2
■家庭用燃料電池の使用例
して諸外国から注目されています。
荏原グループでは、今後も、システムの効率性、耐久性、
だく一人ひとりのお客様に快適な生活を提供するのみな
照明
エアコン
信頼性の向上に取り組み、家庭用燃料電池をお使いいた
系統連系
商用電源
給湯
給湯
らず、地球環境にも配慮したものづくりに注力していき
ます。
温熱
(排熱回収)
冷蔵庫
風呂追炊
*1【PEFC】 固体高分子形燃料電池
*2 2008 年 6月25日「燃料電池実用化推進協議会(FCCJ)」より各社の家庭用燃
料電池商品名は「エネファーム(ENE・FARM)」に統一することが発表されました。
家庭用燃料電池は水素と酸素から電気と熱をつくります。水と大地で農作物をつく
ることと似ており、このイメージを表現したのが「エネルギー」と「ファーム=農場」
の造語である新名称の「エネファーム」です。
10
EBARA Group CSR Report 2008
都市ガス等
燃料
発電
(循環利用)
バックアップ熱源機利用
床暖房(循環利用)
燃料電池
ユニット
都市の防災
洪水から街を守る施設に
荏原の技術
台風や集中豪雨の際、浸水の被害を解消又は軽減
し、洪水に強い都市づくりを実現するのが地下河川
です。その排水機場で、
荏原の技術が活躍しています。
洪水に強い都市づくりの一翼を担う
首都圏の北 30 〜 40km に位置する中川・綾瀬川流域は、
低平な地形で都市化・住宅化が進んだことから台風など
による洪水の浸水被害に悩まされてきました。この被害
荏原グループについて
を低減し解消を図るために、地下トンネル方式の 「首都圏
外郭放水路」 が 2006 年におよそ 13 年の歳月を経て完成
しました。
首都圏外郭放水路は、埼玉県春日部市の国道 16 号線の
地下約 50m に位置する延長約 6.3km、直径 10m の地下
河川です。洪水が起こると、中川など中小河川で増水し
た水が巨大な 4 つの立坑と地下トンネルを通り、最後の
立坑とつながった調圧水槽へ送られます。調圧水槽は広
さがサッカーグラウンドほど、高さが 5 階建てビルに相
当する巨大な施設です。ここで水は勢いを弱められて江
戸川へ排水されます。この立坑と地下トンネル内の水量
を調整し、江戸川へスムーズに放水する役割を担う庄和
排水機場で、荏原の技術が活躍しています。
排水機場には排水量50m3/sという国内最大級のポンプが
合計4台設置されており、最大で1秒間におよそ25mプー
排水機場に設置されているポンプ回転体(外径 3,757mm)
ル1杯分の水を排水することができます。荏原の最新技
術はこのポンプの高流速化・小形化、排水能力の信頼性
向上などを実現し、首都圏の防災に役立っています。
■首都圏外郭放水路の全体イメージ図
洪水時の水の流れ
大落古利根川
春日部市
倉松川
第5立坑
旧庄和町
中川
幸松川
18号水路
調圧水槽
第4 立坑
第3立坑
第2立坑
排水機場
第1立坑
各中小河川から洪水を取り込み庄和排水機場から江戸川に排水します。
[国土交通省関東地方整備局江戸川河川事務所 提供]
EBARA Group CSR Report 2008
11
ライフラインを守る
ライフラインを
災害から迅速に復旧する
事故や集中豪雨、地震などの自然災害に見舞われた水処理施設や廃棄物処理施設などを迅速・確実に復旧し、
正常な社会生活が再開できるよう力を尽くすことも、荏原グループの重要な責務です。
ここでは、2007 年に荏原グループが行った災害復旧活動のうち 2 例をご紹介します。
荏原グループについて
水処理施設の復旧
廃棄物処理施設の復旧
2007 年 8 月 20 日、1 時間あたり 44mm という未曾有の
2007 年 7 月 16 日に発生した新潟県中越沖地震は、新潟
局地的な雷雨により、石川県金沢市企業局城北水質管理
県上中越沖を震源とするマグニチュード 6.8、震度 6 強
センター様の下水処理場の一部が浸水し、機能が停止す
の規模でした。柏崎市のクリーンセンターかしわざき様
る災害が発生しました。
ではこの地震によって、ごみ焼却施設の煙突や工場棟内
荏原グループでは、金沢市からの災害復旧の応援要請を
の一部機器に被害を受けました。荏原グループでは、
受けて直ちに災害復旧チームを編成。金沢市のご指導の
柏崎市からの災害応急工事等の要請を受けて直ちに災害
下、プラント機械設備駆動部の分解整備、モーターの絶
対策プロジェクトチームを発足し、復旧にあたりました。
縁抵抗測定と分解・乾燥、使用不能と診断された機器の
地上から約18mの高さで破断して、余震や台風による二
撤去・手配・据付などの作業を進め、当初半年程度はか
次災害の恐れのある煙突の倒壊防止対策を柏崎市と連携
かると思われた復旧作業を2ヶ月でほぼ完了しました。
して早急に行いました。
一日も早く施設の運転を再開するには、煙突をいったん
解体し、建設しなおさなければなりません。プロジェク
トチームは、余震がおさまった直後から、万全の公害防
止対策の下で破断した煙突の解体工事を開始。高さ35m
の鋼製仮設煙突設置工事を進め、施設内の機器の点検・
補修などの復旧工事を経て、地震発生から約4ヵ月後の
11月15日、
ごみ処理の運転を再開することができました。
水没した第 2 水処理管廊
地上約 18m(建物最上階付近)で 鋼製仮設煙突が取り付けられた建物
破断した煙突(災害直後)
(災害復旧後)
復旧作業(モータの点検・据付作業)
12
EBARA Group CSR Report 2008
地球温暖化防止
地球環境を守る
PFC ガス処理技術
私たちの生活に今や不可欠な半導体や液晶パネルの製造過程で使用されている PFC ガスは、一方で温室効
果の高さから地球温暖化の一因となっています。荏原の PFC ガス処理装置は、このガスの排出量を削減す
ることで地球温暖化防止対策に寄与しています。
電子部品メーカの地球温暖化防止対策に応える
携帯電話やパソコン、薄型テレビなどの急速な普及とと
荏原グループについて
もに半導体や液晶パネルなどの需要が拡大し、その製造
過程でエッチングや洗浄用として使われる PFC ガス*1 の
使用量が増加しています。PFC ガスは、性質が安定して
いて、健康への影響も少ないガスですが、その温室効果
が二酸化炭素の数百~1万倍以上であることから、電子
部品メーカでは、地球温暖化防止対策としてその排出削
減に積極的に取り組んでいます。
荏原は PFC ガスを 99%以上分解し、排出する前に無害
化する排ガス処理装置を製品化し、電子部品メーカの環
境対策にお応えしています。
燃焼式排ガス処理装置の特殊バーナー
■燃焼式排ガス処理装置
燃焼式ガス処理装置は、燃料ガスと酸素で火炎を形成し、
PFC ガスを燃焼酸化によって分解するもので、様々な種
類のガスを大量に処理することができます。この装置は、
独自に開発した特殊バーナー(右上写真)からの旋回火
炎の効果により、少ない燃料で高効率なガス処理が可能
です。現在世界の電子部品工場で 500 台以上が稼動して
います。
■F 固定式排ガス処理装置
従来の排ガス処理装置では、PFC ガスを分解処理した際
に発生するフッ素を水に溶け込ませて回収し、排水処理
設備で分離処理していました。
荏原が開発した F 固定式排ガス処理装置は、PFC ガスを
触媒作用によって分解するとともに、発生したフッ素を
フッ化カルシウムとして処理剤に固定します。
このため、水に溶け込ませる過程や排水処理設備は不要
F 固定式排ガス処理装置 外観
で、処理水を河川等へ放流する必要もなくなり、既存の
工場でも容易に設置できるメリットがあります。こうし
た特長により、多くの電子部品メーカから注目を集めて
います。
*1【PFC ガス】パーフルオロコンパウンド。半導体の製造過程でエッチングや洗
浄に用いられる代替フロンガスの一種。京都議定書の規制対象となっている温室
効果ガス。
EBARA Group CSR Report 2008
13
「熱と誠」の精神を次世代へ
即翁衆と愛玩す
荏原の創業者で、荏原グループの礎を築いた畠山一清は、
「即翁」と号して能楽と茶の湯を嗜み、長年にわたり美
術品の蒐集に努めました。所蔵茶道具の愛蔵印「即翁與
衆愛玩」には、
「蒐集品を独占するのでなく、共に楽しむ」
という数奇者即翁の精神が込められています。その精神
に基づいて 1964 年 10 月に開館した財団法人畠山記念館
には、
現在、
国宝6点、
重要文化財32点を含む総点数1,300
荏原グループについて
にのぼる茶器を中心に、書画、陶磁、漆芸、能装束が収
蔵され、季節ごとに展示品を入れ替えて、多くの皆さま
にご鑑賞いただいています。荏原は、この畠山記念館の
運営を支援しています。
愛蔵の光悦茶碗「雪峯」で茶を点てる畠山一清
畠山記念館
建物は、畠山即翁自身の発案により、鉄筋コンク
リート造りの近代建築に、日本建築を巧みに取入
れた造りになっています。2 階展示室内には、四
畳半の茶室「省庵」と茶庭が設けられ、茶室にい
る雰囲気の中でゆっくりと作品をご鑑賞いただけ
畠山記念館の支援を通じて「熱と誠」の根底
を伝える
能と茶の奥義を極め、いずれも宗匠、師匠の域に達した
趣味人一清が企業経営に茶の湯の精神を生かしたこと
は、今も語り継がれています。一清が常に口にした「熱
と誠」の根底を成すものは茶の湯の精神、
「一期一会」
。
著書「熱と誠」の中で、一清はこう語っています。
「茶
会に限らず、人世万事、何をするにも、一期一会の心掛
けがなくては叶わぬ道理であろう。だからといって、真
ます。また附属施設として庭内には茶室が点在し、
剣勝負にも似たこの心得が、そのまま一座にみなぎって
年 1 回一般公開を行うとともに、茶会、花会など
いては、風雅の道にふさわしくないと思う。主客ともさ
の貸席としてご利用いただいています。
りげなくごく自然にふるまう中に、言い知れぬ “ 味 ” が
うまれるのである。そして、“ 只今 ”、“ 現在 ”は、二度と
【国宝】
離洛帖 藤原佐理 筆(平安)
平安
http://www.ebara.co.jp/csr/hatakeyama/
畠山記念館ホームページ
14
EBARA Group CSR Report 2008
【国宝】
蝶螺鈿蒔絵手箱(鎌倉)
鎌倉
【重要文化財】
名家家集切
伝 紀貫之 筆(平安)
【重要美術品】
蔦の細道蒔絵硯箱(室町)
芸術振興
めぐってくることがない、だから一生懸命大切にする、とい
うゆかしい心根を持つようになれば、“ 一期一会 ” の真髄にふ
VOICE
れ得たことになると思う。
」荏原グループではこの一期一会の
心をお客様重視の企業経営に活かすとともに、数々の名品を
大切にし、多くの皆さまにご覧いただくことを通じて、社会
主任学芸員
に果たすべき役割、責任を常に肝に銘じ続けて行きたいと考
水田至摩子様
えています。
子どもたちが日本の伝統文化や芸術に興味を持ち、
体験し、これらを継承していくことの大切さを学
ぶ機会を提供することも美術館の使命と考えてい
ます。畠山記念館では、教育普及活動の一環とし
て学校教育との連携に取り組んでいます。また、
テレビや雑誌など様々なメディアを通して畠山記
念館を広く知っていただくことに努めています。
一連の活動はホームページ上にて随時お知らせし
ています。
荏原グループについて
伝統芸術の価値を共有する
一人でも多くのお客様におこしいただき、
リピーターになっていただきたい。
畠山記念館では、美術品を鑑賞するにはその
「場」も重要な要素であると考えています。す
なわち、展示室の雰囲気、茶室や石畳、樹木
や鳥のさえずりに至るまで、すべて当館の所蔵
品を鑑賞するために用意された一つの空間であ
るという考え方です。当館全体の雰囲気を味
わっていただき、ご満足いただけるようにと心
がけています。
2008 年で開館 44 年目を迎えますが、今後も幅
広い世代の方々にお越しいただき、さらには、
リピーターになっていただけることを期待し、
茶道や茶道に関する美術に関心を持つ人々の集
展示室の畳に座って
掛軸を鑑賞する子ど
もたち
まりとして
「友の会」活動にも力を入れています。
【重要文化財】
染付龍濤文天球瓶
(明 15世紀)
古瀬戸肩衝茶入 銘 畠山(室町)
【重要文化財】
赤楽茶碗 銘 雪峯 本阿弥光悦 作
(桃山)
色絵藤透鉢 尾形乾山 作(江戸)
江戸
室町
2008 年度展覧会
【重要文化財】
竹林七賢図屏風
雪村周継 筆(室町)
春季展「細川井戸と名物茶道具—天下三井戸とよばれた茶碗」
夏季展「赤のやきもの—金襴手・万暦赤絵・古赤絵・南京赤絵」
秋季展「数寄者 益田鈍翁—心づくしの茶人」
冬季展「日本の春—華やぎと侘び」
EBARA Group CSR Report 2008
15
CSR 担当役員メッセージ
人と社会にやさしい企業づくりが
荏原グループの CSR のミッションです
社会から真に信頼される
企業グループを目指します
荏原は2007年度に「CSR統括部」を設置し、この1年、
「人と社会にやさし
い企業作り」をCSR統括部のミッションとして活動してきました。
現在、CSR統括部は7つの機能を持っています。①コンプライアンスの確保、
②人権の確保、③環境保全の推進、④社会貢献の推進、⑤貿易ルールの遵守、
⑥取引先様との適正取引の確保、⑦製品の品質や安全性の確保です。これら
の活動は、
企業倫理委員会*1で報告され、
委員会の審議を経て推進しています。
荏原グループについて
2007年度のCSR活動では、社会から真に信頼される企業グループを目指し、
コンプライアンス体制の充実に特に注力し、新たな取り組みとして「コンプ
ライアンス・リエゾン制度」を導入しました。これは、職場からコンプライ
アンス関連の相談に応じるメンバーを30数名選出し、従来の社外相談窓口
では捕捉できなかった身近な問題の早期解決を目指す制度です。
又、人権が尊重される職場づくりのために、労動基準法や労働組合法など
の労働諸法の遵守のみならず、世界人権宣言や ILO 国際労働基準の中核的
労働基準、すなわち「結社の自由及び団体交渉権」
、
「強制労働の禁止」
、
「児
童労働の実効的な廃止」
、
「雇用及び職業における差別の排除」など、人権、
労働に関する国際基準を支持し、事業活動に注力しています。具体的には、
海外グループ会社を含めた従業員教育の実施や CSR 調達の推進などに取り
組んでいます。
CSR レポートを通じて
社内に CSR 意識の浸透を図ります
荏原は2012年に創立100周年を迎えます。皆様からの信頼を高め、今後も
社会に存在価値を認めていただける企業であり続けるためには、社内にCSR
意識の浸透を図ることが不可欠だと考えています。
今回初めて発行したCSRレポートは、会社のCSR活動の現状を先ず従業員が
理解することを目的に制作しました。
例えば、CO2 排出量削減目標の達成が非常に厳しい状況にあること、また、
2000年に荏原の藤沢事業所で起きたダイオキシン流出事故の原因となった
流動床焼却炉の撤去工事が2008年5月に完了したことなど、
CSRに関する様々
な情報や課題を社内で共有して欲しいと考えています。そしてその課題解決
に向けて、仕事を通じて関わる皆様と共に一歩一歩改善を図ったり、事故や
事件の再発防止のために何をするべきかを考えたりするためのツールとして
CSRレポートを利用して行きたいと考えています。
もちろん、従業員のみならず多くの皆様にお読みいただき、荏原グループの
CSR意識の浸透、向上、活動推進につながるようご意見をいただきたいと思
います。
より良い社会作りのために、より良い会社作りのために、荏原グループが考
えていること、実行していることをこのレポートによってご理解いただけれ
ば幸いです。
*1【企業倫理委員会】 3ヶ月に1度定例開催。23 ページをご覧ください。
*2【流動床焼却炉の撤去工事】 http://www.ebara.co.jp/dioxin/ をご覧ください。
16
EBARA Group CSR Report 2008
株式会社荏原製作所
取締役専務執行役員
CSR 担当
企業理念・行動基準
荏原グループが広く社会に受け入れられ、社会の発展に
行動基準
貢献し社会とともに成長し続けていくために、創業の精
ステークホルダーに信頼され、満足してもらうために、
神、企業理念、行動基準がその礎となっています。
コンプライアンスは欠かせません。荏原では 1991年に
行動基準を制定し、2004年3月からは関係会社を含めて適
創業の精神 “ 熱と誠 ”
用される荏原グループ行動基準を制定しました。
与えられた仕事をこなすだけではなく、
「自ら創意工夫
する熱意と誠の心」をもって仕事をすることが、技術の
会社としての根本精神です。何事も熱意と誠心をもって
荏原グループについて
人に接することによって、ステークホルダーから安心さ
れ、信頼されるという創業者であり初代社長の畠山一清
の想いが今も荏原グループの従業員に脈々と受け継がれ
荏原グループ
行動基準 表紙
ています。
この行動基準は、社内規定の最上位である根本規定のひ
とつとして、事業活動を行うにあたっての基本となる基
準であり、社内規定、マニュアル等の社内ルールは、全
てこの行動基準に従って作成され、運用しています。法
令遵守はもちろんのこと、社内規定、各職場での決め事、
そして社会規範などを誠実に守り、日々の言動を自ら
チェックするために活用されています。また、コンプラ
創業者
畠山一清
イアンス違反がないように自浄作用を促すための改善指
企業理念
示を行う企業倫理委員会やコンプライアンス相談窓口な
水と空気と環境に係る最良の製品、技術、サービスを提
どについても定めています。
供することによって、社会に貢献することが荏原グルー
国内の関係会社は、各社の取締役会で荏原グループ行動
プの使命です。この荏原グループ企業理念を実現するた
基準を採用することを承認し、適用しています。海外グ
めに、国内外においてさまざまな活動を行っています。
ループ会社は、荏原グループ行動基準を参考に各国の法
これからの更なるグローバルな事業展開にも、この企業
令、社会規範、慣習等を考慮し、各々の行動基準を定め
理念が羅針盤になっています。
ています。
創業の精神『熱と誠』
国際的ルール
企業理念
「水と空気と環境の分野で、優れた技術と最良のサービス
を提供することにより、広く社会に貢献する。
」
企業の
社会的責任
荏原グループ行動基準
関連諸法令・
規則・社会規範
行動基本原則 5 か条
1. いかなる些細な行動も重大な結果につながることを自覚する
2. 行動する前に、その目的及び意味を確認する
3. 行動にあたっては、定められた手順・ルールに従う
4. 行動を振り返り、確認するとともに、行動の結果に責任を持つ
5. 視野を広くとり、自己の担当部分以外にも配慮しつつ行動する
経済・業界団体等
の憲章
EBARA Group CSR Report 2008
17
荏原グループ行動基準
荏原グループがあらゆる企業活動を推進する上で、行動のよりどころとして定められています。本レポートは、この行動
基準に沿って報告いたします。
行動基準の章
私たち=役員(取締役および執行役員)と従業員(理
事、正社員、顧問、パート・アルバイト、出向受
入者など、会社と雇用関係にあるすべての者。
)
第1章
企業活動と私たち
各章の目的
荏原グループとしての企業活動に関する基本姿勢を表明し、これに沿って
行動することを宣言しています。
私たちの責務(各章の基準概要)
6〜7 ページ
8〜9 ページ
2 企業倫理を十分認識し、法令を遵守し、社会規範を尊重し、良識と責任を持って
行動する。
23〜25 ページ
3 事業活動に起因する環境汚染の予防に取り組みながら、循環型社会形成に貢献す
る技術・製品の開発に努める。
40〜49 ページ
4 ステークホルダーと公正で良好な関係を保ち、必要な情報を適切に開示する。
2 ページ(荏原グループの情報提供)
5 経営トップおよび役員は、率先垂範してこの行動基準を実践する。
21 ページ(取締役会コンプライアンス行動計画)
6 従業員は、グループの企業価値を高めるために、各人に与えられた責務を果たす。
就業規則(非公開)に定めています。
法令・社会規範などの
遵守と私たち
法令・社会規範等の遵守に関する具体的な基準を定めています。ここでは、
行動基本原則5か条なども掲載されています。
法令・社会規範、社内ルールを遵守することの宣言。
「行動基本原則 5 か条」及び「行
動自己チェックリスト」により行動をチェックする。
17 ページ
第3章
環境保全と私たち
日常業務における環境保全活動、事業活動を通しての環境保全への貢献お
よび環境マネジメントへの取り組みについて定めています。
日常業務における環境保全活動、事業活動における環境保全への貢献、環境マネジ
メントの運用についての宣言。
40〜49 ページ
1 社会に貢献する。
34〜35 ページ
2 各種業法を遵守する。
22 ページ
3 寄付行為・政治献金は、事前に社内規定に基づく承認を得て行う。
権限規定(非公開)に定めています。
4 反社会的勢力との関係を絶つ。
22 ページ
5 国際社会のルールを遵守し、文化を尊重する。
安全保障貿易管理規定(非公開)に定めています。
第5章
社会と私たち
顧客・株主などと私たち
社会一般との関わり方・行動について定めています。
ビジネス上の関係者である顧客・購入先・競合会社および株主・投資家な
ど利害関係者との関わり方・行動について定めています。
1 顧客・購入先・競合会社に対して
(1)品質および安全性を確保する
(2)独占禁止法を遵守する
(3)代理店と良きパートナーシップを築き、公正な取引を行う
(4)接待・贈答は行わない
(5)賄賂授受を禁止する
(6)不正競争を防止する
(7)他社等の権利を尊重する
(1)27〜29ページ
(2)24 ページ
(3)30〜31ページ
(4)
(5)
(6)22〜25ページ
(7)知的財産権管理規定(非公開)に定めています。
2 株主、投資家に対して
(1)株主の権利を保護し、利益を尊重する。
(2)経営情報を開示する。
(3)インサイダー取引等を禁止する。
(1)32 ページ
(2)http://www.ebara.co.jp/ir/
(3)荏原グループ内部情報管理及び内部者取引規制
1 経営トップおよび役員は、コンプライアンスはもとより、高い志をもって会社運
営にあたり、企業の経済的責任とともにその他の社会的責任を果たす。
第6章
荏原グループと私たち
荏原グループで働く私たち自身について、経営者のリーダーシップ、個々
人の職場における行動、会社財産の管理について定めています。
運用体制
この行動基準を実効あるものにするための運用体制について定めています。
(1)
(2)
(3)
(4)36〜39ページ
(5)http://www.ebara.co.jp/privacy/
(6)就業規則(非公開)に定めています。
3 会社財産の管理
(1)適正な会計処理を行う
(2)利益相反を禁止する
(3)会社の有形・無形資産を保護する
(4)知的財産を適切に利用し、保護する
(5)企業秘密を適切に管理する
(6)情報システムのセキュリティを守り、適切に使用する
(7)退職時には会社の各種資産を返却する
(1)
(2)
(3)経理規定(非公開)等に定めています。
(4)知的財産権管理規定(非公開)に定めています。
(5)
(6)33 ページ
(7)就業規則(非公開)に定めています。
2 コンプライアンス、本行動基準に関連することの社内・社外窓口を設置する。
3 本行動基準に違反した場合は処罰する。
EBARA Group CSR Report 2008
に関する規則(非公開)に定めています。
4〜5 ペ ー ジ、16 ペ ー ジ、21 ペ ー ジ、
27〜29 ページ
2 職場でのルール
(1)誠実に職務に取り組む
(2)人権を尊重し働きやすい職場環境の維持・改善に努める
(3)差別・嫌がらせを禁止する
(4)セクシュアル・ハラスメントを禁止する
(5)個人情報を保護する
(6)政治・宗教活動を禁止する
1 企業倫理委員会の設置と企業倫理の担当部署を設置する。
第7章
荏原グループについて
荏原グループについて
1 水と空気と環境・エネルギーに関わる社会の様々な問題を解決するために、優れ
た製品とサービスをグローバルに提供する。
第2章
第4章
18
本レポートでの報告ページ又は、
関係
情報の参照先
22〜25 ページ
就業規則(非公開)に定めています。
EBARA Group CSR Report 2008
19
信頼される会社を目指して
荏原グループは、株主、顧客、従業員などあらゆるステークホルダーから信頼されることを最優先の課題と認識し、
これを実現するための基盤として、健全なコーポレート・ガバナンス及び内部統制の構築に努めています。
コーポレート・ガバナンス模式図(2008 年 4 月 1 日現在)
社外取締役の導入や社外監査役の増員等により、客観性・妥当性を強化しています。
株主総会
荏原グループについて
報告
報告
選任・解任
選任・解任
監査・報告
取締役(会)
情報交換・意見交換
監査
意見交換
選任・解任・監視
監査役(会)
補助
監査役室
内部監査
指示
内部監査
報告
代表取締役社長
経営監査室
報告
会計監査人
監査
経営会議
経営計画委員会
経営・業務執行支援
リスク・マネジメント・
パネル
執行役員(会)
リスク管理
重要なリスクを審議
全社的なリスク分析と評価の結果をもとに、
必要なリスク対策を図っています。
コンプライアンス
コンプライアンス室
内部統制整備
推進統括部
選任・解任
指示・
情報伝達
関係会社
法令遵守、社内規定遵守などに向けた
方針と施策の徹底
対策の指導からマインドの醸成まで、あらゆ
る活動に取り組んでいます。
内部統制推進
情報交換・意見交換
有効な内部統制の確立に向けて
業務の信頼性確保に向けて、改めて社内の
ルール・運用を見直し、改善しています。
20
EBARA Group CSR Report 2008
コーポレート・ガバナンス
荏原は、ステークホルダーから信頼され、社会に認めら
業務執行に関わる意思決定の迅速性や事業の効率性を高
れた企業となる上で、コーポレート・ガバナンスの強化が
めるため、2002 年から執行役員制度を導入するととも
不可欠と認識し、継続的改善に取り組んでいます。
に、2005年より社内カンパニー制に移行しています。
現在は、
「風水力機械カンパニー」
、
「環境事業カンパニー」
、
コーポレート・ガバナンス体制
「精密・電子事業カンパニー」が取締役会で指名された各
カンパニー・プレジデントの下、事業特性に対応した自立
行の監督を行う一方、監査役会を設置し取締役の職務執
的な立場から事業を展開しています。
行などを監督しています。
さらに、全社の経営方針・経営戦略の策定や経営上の重
こうした中で荏原では、2007 年度株主総会で社外取締
要課題への対応については、
「経営会議」を設置して十
役 2 名を選任しました。
分な審議を行い、取締役会での審議を通じてその決定事
社外取締役の導入は、外部の視点から取締役会を監視し、
項などについては、
「執行役員会」を活用する等の方法
かつコンプライアンス重視の経営を実践することを目的
により会社内部への効率的な情報伝達を図っています。
荏原グループについて
荏原では、取締役会が経営上の重要な意思決定と業務執
としています。
その人選にあたっては、独立性を考慮し、当社と利害関
取締役会コンプライアンス行動計画
係がないことを条件とし、1 名は会社経営について経験
荏原グループの重要方針であるコンプライアンスの徹底
豊富な元会社経営者、もう 1 名は、企業法務について造
を取締役会が率先垂範するために、2007 年度より「取
詣が深い会社法専門家としました。
締役会コンプライアンス行動計画」を策定し、それに基
社外取締役は、取締役会の場などを通じて客観的な立場
づき年間を通じて計画的な活動を行っています。
からの意見で意思決定の妥当性を高めるほか、
「指名委
員会」の委員として、取締役や執行役員の選任プロセス
グループ・マネジメント
の適切性・透明性確保のために関与します。
荏原グループでは、各社の自立性と自主性を尊重しつつ、
また、2007 年度には社外監査役を 1 名増員し、5 名中 3
内部統制の整備、コンプライアンス教育、リスク・マネ
名を社外監査役とすることにより、その客観性を高めま
ジメント、環境マネジメントなどグループ最適経営に欠
した。更に監査役をサポートする「監査役室」を設置し、
かせない経営基盤の連携を図っています。また、事業運
専任スタッフを配置することで、監査役による監査の支
営面では各関係会社をカンパニーの管理下に位置づけ、
援強化に努めています。
各種の経営計画を統合的に管理することにより、グルー
プ経営の強化に努めています。
社長懇談会
荏原では、従業員有志が社長と直接対話する「社長懇談会」を開催していま
す。その目的は、
「社長の考えを直接聞いてみたい」という従業員の声に応え、
情報交換の場として従業員の建設的な意見を広く取り入れて経営に活かすこ
とにあります。2007 年度は 5 回開催され、70 人を越える従業員が参加して、
会社・事業の方向性や女性が働きやすい環境整備などについて活発な議論が
食事をしながら社長と従業員が意見を交わす
展開されました。
EBARA Group CSR Report 2008
21
内部統制・リスク管理
荏原グループについて
荏原グループは、コンプライアンスを最優先とする方針
■金融商品取引法への対応
の下、業務の適正を確保するために内部統制システムを
金融商品取引法に基づく財務報告にかかる内部統制の構
構築・整備し、持続的発展と企業価値の向上を目指して
築(いわゆるJ-SOX対応)について、2008年度からの運
います。
用開始に向け、整備・改善を進めました。
内部統制システム構築・整備とグループ展開
■反社会的勢力との関係遮断
■内部統制推進体制
荏原グループは、反社会的勢力に資金やその活動のため
荏原では、
「内部統制整備推進統括部」が、会社法と金
の社会基盤を提供しないことを企業の責務と認識してい
融商品取引法に基づく内部統制システムを構築・整備し
ます。荏原グループ行動基準にて反社会的勢力との関係
ています。
を断つことを宣言し、内部統制基本方針に基づいて、反
社会的勢力との一切の関係遮断のための全社的体制整備
を行っています。
内部統制推進体制図
社長
リスク管理
内部統制整備推進統括部
■リスク管理体制
会 社 法・金 融
商品取引法に
係る内部統制
の評価
内部監査
経営監査室
内部統制整備室
内部統制推進室
内部統制システムの中核はリスク管理です。荏原は、荏
金融商品取引法に
係る内部統制シス
テムの構築・整備
会社法に係る内部
統制システムの構
築・整備
原グループのリスク管理を統括する組織として、社長を
議長、全常勤取締役を委員とする「リスク・マネジメン
精密・電子事業
カンパニー
環境事業
カンパニー
風水力機械
カンパニー
コーポレート
ト・パネル」を設置しています。グループに関わるリス
クについて、包括的なリスク管理活動内容の決定、個別
事案審査の実施、クライシス発生時対応の統括を行い、
荏原グループ全体のリスク管理を推進しています。
また、その下部組織として各カンパニー及びコーポレー
トに「リスク・マネジメント委員会」を設け、カンパニー
■内部統制基本方針
及びコーポレートのリスク管理活動を展開しています。
荏原では、会社法施行を受け、2006 年 5 月の取締役会で
さらに、特定のリスクテーマについては、組織横断的な
内部統制システムの構築を基本方針として決議し、
委員会を設置し、対応しています。
2007 年度までに、国内連結子会社すべてが、それぞれ
内部統制システム構築の基本方針について取締役会決議
■グループリスク管理
を行いました。荏原グループは、これらの基本方針をふ
荏原グループでは、グループ各社に内部統制の専門部署
まえ、業務の適正を確保するための体制整備を行うとと
を置き、荏原とグループ各社の間の連絡会を通じて、特
もに内部統制システムが有効に機能しているかを検証
定のリスク、各社固有のリスク、各社共通のリスク、さ
*1
し、PDCA サイクル
22
の徹底により常に内部統制システ
らにグループ全体のリスクを把握し、情報を共有するこ
ムを改善していきます。
とによって、グループのリスク管理体制の充実に努めて
*1【PDCAサイクル】 Plan-Do-Check-Act 事業活動のマネジメントサイクル
います。
EBARA Group CSR Report 2008
コンプライアンス
荏原グループは、ステークホルダーから信頼される良き
企業倫理委員会
企業市民であるために、法令のみならず、社内規定その
企業倫理委員会は、荏原グループ行動基準に準拠したコ
他のルールを遵守し、社会規範、常識・良識に従って、
ンプライアンスを全社に浸透させ、コンプライアンス経
誠実に行動することをコンプライアンスと定義しています。
営を推進することを目的として、2005年5月に設けられ
ました。
ここでは、適正取引、内部統制、環境保全、内部通報、
荏原グループのコンプライアンス体制は、
「企業倫理委
人権啓発など、荏原グループの企業倫理・コンプライア
員会」を頂点として体系的に構築されています。
ンスに関わる事項について部門責任者から報告を受け、
企業倫理委員会で決定される諸施策の運用・展開を確実
委員が情報を共有して審議するとともに、必要な改善指
にグループ全体で徹底するため、2007 年度に関係会社
示を行います。改善指示が出された場合、当該部門は次
で構成される「グループ・コンプライアンス連絡会」を
回の委員会までに対処し、報告することになっています。
設置しました。また、従業員一人ひとりへのコンプライ
委員会は、社長を委員長、常勤取締役と常勤監査役を委
アンスマインドの浸透を目的とした「コンプライアンス・
員とし、コンプライアンス相談窓口運営を委嘱している
リエゾン制度」も設けました。
社外弁護士をアドバイザーとしています。社外弁護士は、
このネットワークに加え、個別の相談に対応する「コン
専門家の立場から、世の中の動向や、委員会の対応につ
プライアンス相談窓口」の運営などを通して不正行為を
いてのアドバイスを行います。委員会は、原則として年
未然に防止し、再発を防止するための情報交換を行って
4 回開催され、必要に応じて委員長が臨時委員会を招集
います。いずれも、コンプライアンス室が事務局を担当
します。
し、情報や活動の一元化を図っています。
荏原グループ・コンプライアンス連絡会
荏原グループ・コンプライアンス体制図
企業倫理委員会:委員長 社長
委員
2008年2月、荏原グループ会社の企業倫理担当部門の交
流を通じてグループ全体のコンプライアンス経営を推進
することを目的として「荏原グループ・コンプライアン
ス連絡会」を設けました。2008 年 2 月に第 1 回の会議を
常勤取締役
開催し、すべての国内関係会社の代表者や企業倫理責任
者等が参加しました。
常勤監査役
アドバイザー:
コンプライアンス相談窓口担当弁護士
事務局:コンプライアンス室
荏原グループ・
コンプライアンス連絡会
関係会社各社の企業
倫理責任者及び担当
者で構成
荏原・コンプライアンス
リエゾン委員会
全国の事業所、
支社、
支
店など各拠点にコン
プライアンスリエゾ
ンを配置
荏原グループ・コンプライアンス連絡会(社長矢後による主旨説明)
コンプライアンス
相談窓口
社外弁護士
EBARA Group CSR Report 2008
23
荏原グループについて
コンプライアンスの徹底
コンプライアンス
コンプライアンス・リエゾン制度
コンプライアンス相談窓口
コンプライアンス重視の社風を形成し、自律機能を高め
ることを目的としてコンプライアンス・リエゾン
*1
制
組織や個人による法令違反や社内規定違反があった場
合、その事実を速やかに認識し、早期に改善・解決を図
荏原グループについて
度を 2007 年度に導入しました。
ることが必要です。コンプライアンス違反が疑われると
これは本社及び全国の拠点に当面、従業員 100 名当り
きは、上司や専門部署などに相談するのが基本ですが、
1 名の割合で「リエゾン委員」を配置し、日常業務の中
様々な事情で社内で相談するのがためらわれる場合もあ
で生じるコンプライアンス関連問題の身近な相談窓口と
ります。荏原グループでは社外に「コンプライアンス相
する制度です。問題を早期に発見して解決を図るととも
談窓口」を設置し、
公益通報者保護法(2006年4月施行)
にコンプライアンス・リスクを拾い上げ、自浄能力を向
も視野に入れて運用しています。
上させる一方、リエゾン委員の育成によりコンプライア
窓口に相談が寄せられた際、相談者と窓口との間で解決
ンス意識を社内に浸透させることがこの制度の目的です。
する場合と、相談者と窓口、会社が一体となって解決す
今後は、関係会社にもその活動を広げていく予定です。
る場合があります。後者の場合、会社には相談者個人が
特定できる情報は伝えられず、相談者のプライバシーは
コンプライアンス・リエゾン体制
企業倫理委員会
事務局(コンプライアンス室)
カンパニーリエゾン
保護される仕組みになっています。
2003年3月の開設以来、2008年3月末現在で約150件の
相談を受け、適切に対応しています。
“ コンプライアンス相談窓口 ” 運用フロー
コンプライアンス相談窓口
(社外弁護士)
支社・支店リエゾン
*1【リエゾン】
フランス語「Liaison」橋渡しの意味を持ちます。
相談
報告
独占禁止法違反の再発防止に向けて
2006 年に荏原は、地方自治体からの「し尿処理施設建
助言
回答
調査
回答
相談
報告・照会
助言・勧告
相談者
会社側
荏原グループ従業員
コンプライアンス室
関係者
当該関連部門
設工事」の受注に関し、独占禁止法違反(談合)の容疑
により、また、これに関与した元従業員 2 名が独占禁止
法違反(談合)及び贈賄容疑により起訴されました。
2007 年 3 月、大阪地方裁判所より有罪判決を受け、当社
は罰金 2 億円、元社員 2 名は執行猶予付懲役の刑が確定
しました。
荏原グループでは、コンプライアンスがどれほど従業員
企業のコンプライアンスが厳しく求められる中でこのよ
の意識の中に定着し、実行されているかを調査・評価す
うな事件を起こしたことを深く反省し、二度と起こさな
るため、2005年より毎年1回、アンケート調査を実施し
いよう、社長自らがコンプライアンス最優先の決意を発
ています。そのねらいは以下のとおりです。
信し続けるとともに、適正取引管理のための監査部門に
1)従業員のコンプライアンスに対する理解度(コンプ
よるモニタリングの実施、営業担当者に対する専門家に
ライアンス相談窓口などの認知度も含む)を把握し、
よるコンプライアンス研修の実施など、再発防止のため
コンプライアンス実践における問題点・課題を抽出
の施策を講じています。今後も、これらの活動を継続・
する。
強化し、信頼の回復に努めます。
24
コンプライアンス意識の浸透調査
(アンケート)
EBARA Group CSR Report 2008
2)定期的な調査により、コンプライアンス推進活動の
有効性と効果を評価し、活動の改善につなげる。
3)従業員に倫理的行動への気づきと、コンプライアン
スマインドの向上を促す。
元経営幹部による会社資金の不正支出の
概要と再発防止対策
■不正支出の概要
2008 年 1 月〜2 月に、4 回目の調査を荏原グループ従業
員約 12,000 人を対象に行いました。回答率は年々上昇
しており、会社のコンプライアンス実践への取組みに対
また、アンケートには自由記入欄を設けており、2008年
は、コンプライアンス方針や教育・啓発活動への要望な
どについての意見が多く見られました。これらをまとめ
て、今後のコンプライアンス活動に反映させていきます。
締役の一人が、過去の業務執行において会社資金の不
正支出をしていた事実を公表しました。
その後、信頼の早期回復を図る観点から事件の正確な
荏原グループについて
する評価は上昇しています。
荏原は、2007 年 4 月 3 日に、以前に退任した元代表取
把握に努め、これに関与した当時の取締役の責任を公
正に評価するため外部弁護士 3 名で構成する評価委員
会を発足させるなど、速やかに対応に当たりました。
その結果、2007 年 12 月 17 日に調査報告を公表し、事
件の行為責任者 1 名に対する損害賠償請求の提訴、監
督責任を問われた当時の取締役 11 名による一部損害金
コンプライアンスアンケート回答率
の填補(全損害金 3.2 億円の約 8 割相当分)、並びに再
50%
発防止対策の実施について明らかにしました。
46%
40%
30%
好な企業風土の実現に努めます。
33%
20%
今後は、このような事件を再発させないよう誠実で良
22%
◎不正支出問題に関する詳細は、以下の URL をご参照
10%
ください。
0%
05年度
06年度
07年度
http://www.ebara.co.jp/ir/2007/pdf/news20071217a.pdf
■再発防止対策
会社はコンプライアンス実践に
熱心に取り組んでいると思いますか
荏原では、外部有識者を含めた再発防止対策委員会を
設けて再発防止策を策定し、順次実行しています。
100%
80%
そう思う
60%
概ねそう
思う
40%
あまりそう
思わない
全くそう思
わない
20%
(空白)
0%
05年度
06年度
07年度
その一部は次の通りです。
【Ⅰ . コーポレート・ガバナンスにおける改善】
① 社外取締役の導入
② 取締役候補者の指名プロセス透明化
③ 役員、顧問などの任期制度内規の改正
④ 取締役会コンプライアンス行動計画の実行
⑤ 監査役による牽制機能の強化
【Ⅱ . 内部環境における改善】
① 風土改革に向けた企業理念再構築の取り組み
② 販売手数料などに対する業務プロセスにおける審
査機能改善
③ コンプライアンス・リエゾン制度の発足
④ コンプライアンス評価の人事施策への取り入れ
EBARA Group CSR Report 2008
25
お客様のために
荏原グループの事業活動の原点は
「顧客ニーズの実現」
です。そのために品質の向上、
技術・製品の開発やサービスネットワー
クの拡充などに努めています。時代とともに変化する顧客ニーズを的確かつ先見的に把握し、それに応えることで顧客満
足度の向上に努めていきます。
風水力機械カンパニー
社会と荏原グループ
創業以来の主力製品であるポンプをはじめ、風
水力機械製品・システムを事業の中核とし、優
れた技術と豊富な経験をもとに、顧客・社会の
ニーズに応えています。
風水力機械
事業
コーポレート
環境事業
環境事業カンパニー
水処理技術、燃焼・ガス化技術を核とする
先進的な環境・エネルギー関連技術をベー
スとして、顧客ニーズに即応したトータル
ソリューションを提供しています。
26
EBARA Group CSR Report 2008
精密・電子
事業
精密・電子事業カンパニー
ナノテクノロジー時代の顧客ニーズに応じ
た半導体製造装置、コンポーネント機器を
市場投入し、更に次世代に対応する各種装
置を開発・製造しています。
お客様のために
風水力機械カンパニー
世界に誇れる製品を生み出し続けるため、機械メーカの
るとともに、マンツーマンでしか継承できない技能を短
原点である「モノづくり」
、
「現場力」の強化に取り組ん
期間に受け継ぐ製造技術者・高度技能後継者を育成する
でいます。
制度です。
(38ページ参照。
)
また、海外の生産工場では拠点間での最適地生産、国際
分業を、市場別、部品・製品別に展開しています。これ
たカスタムメイドの製品や、多くの汎用製品を国内外の
までにアジアを中心とする海外生産現場の技術技能者
拠点で製造しています。これらの製品は、荏原グループ
100人余を対象に日本国内での研修を実施し、2003年か
が長年にわたって培ってきた伝統の技術の結実です。
らは技術技能の評価システムの普及を図っています。
高度熟練技能・技術を持った団塊世代が一線から退く
2007 年には技の競い合いと友好親善を目的とした「アジ
2012 年頃までに、技能・技術、そしてこれらを統合す
ア技能競技会」を荏原インドネシアで実施し、グローバ
る現場力を継承するため、制度、グローバル生産分業、
ルでの人材育成と技術継承に取り組んでいます。
社会と荏原グループ
様々な業種の企業や自治体など、お客様の仕様に合わせ
伝達手法という 3 つの視点から対策を講じ、製品の品質
維持・向上に努めています。
アジア技能競技会参加者
グローバルに展開する生産拠点のために、現場の技能・
技術を確実に伝達するツールとして動画を活用した作業
マニュアル「デジタルマイスター」を作成しました。作
大型蒸気タービンの組立作業
業手順、動作などを映像でわかりやすくまとめ、作業の
現場力強化のための 3 つの取り組み
効率化と品質向上のために活用しています。
製造現場のノウハウは、最高の効率と正確さを目指して
風水力機械カンパニーはお客様にご満足いただけるよ
技能者一人ひとりが困難を乗り越えながら積み重ねてき
う、変化の早い事業環境に対応し今後も確かな技術に裏
た改善の結果です。荏原グループではこのノウハウを継
付けられた製品を世界のお客様に提供し続けます。
承するため、2005 年に「製造技術職」という職種を創
設しました。これは、技能を技術として形式知化* 1 す
*1【形式知化】 ここでは一般に形に表しにくいノウハウ等を共有化できる形にする
ことを指しています。
私たちはお客さまに役立つ「モノづくり」を地道に進めます。
風水力機械カンパニー
プレジデント
鈴木 厚郎
風水力機械カンパニーは 3カンパニーのなか
1つの部品、1つの工程そして1つの作業を
で最も古い歴史と伝統を持ち、国内外の工
大事にモノづくりを進めており、お客様のご
場でポンプ、送風機、圧縮機、冷凍機等を
要望を真摯に受け止めて、製品・サービス
生産しています。それぞれの製品は生活や
に反映しています。私たちは、お客様から
産業、社会インフラを支えています。
「お客
信頼され続ける『荏原ブランド』を目指し、
様に当社製品を提供することによって社会
世界のお客様とともに発展し、輝かしい未
に貢献する」ことを最優先に考え、機械メー
来に貢献できるよう、人づくり、モノづくり
カとして、風水力機械のトップメーカとして、
に一層精進します。
EBARA Group CSR Report 2008
27
お客様のために
環境事業カンパニー
環境事業カンパニーは、環境施設のエンジニアリングか
お客様への提案活動
らアフターサービスまで一貫して行っています。
EES では、管理事務所の職場環境改善、省エネルギー、
コスト縮減などについて日常の工夫を募集・表彰する「創
社会と荏原グループ
環境事業カンパニーは、自治体や企業を主なお客様とし、
意工夫提案制度」を設けており、毎年多数の応募があり
水処理、廃棄物処理などの環境施設を正常に機能させる
ます。一例として、北海道帯広市他 7 町村で構成される
ことを使命としています。
十勝環境複合事務組合様が所有するごみ焼却場でトラブ
子会社の荏原エンジニアリングサービス㈱
(以下EES)
は、
ルが頻発していたコンベヤに改善提案を行いました。こ
環境施設の補修工事や運転維持管理などのアフターサー
の提案は、同組合様に採用いただき、安価で適切な改造
ビスを行っています。補修工事は、予防保全や経年劣化、
により故障の発生を抑え、施設の安定稼動に寄与したこ
災害による施設損傷の対応が主体で、運転維持管理は、
とから、2005 年、帯広市
運転状況の監視、巡視点検、異音、振動など異常の対応
長 よ り 表 彰 さ れ ま し た。
などが主体となります。EES が運転維持管理を受託して
こうした優れた提案を他
いる環境施設(管理事務所)は、2007 年 12 月現在、日
の管理事務所にも展開し、
本国内 380 箇所で、その管理は 4,000 人体制で臨んでい
お客様の満足向上に努め
ます。
帯広市から贈られた表彰状
ています。
EES では、維持管理支援体制の充実を目指した組織作り
や維持管理事務所の内部監査を定期的に行い、品質とお
維持管理ネットワークによる情報共有
客様満足度の向上を目指しています。
EES 本社の専用サーバーで本社・支店、全国の管理事務
所をネットワークで結び、安全衛生、維持管理上の工夫、
お客様へのサービス・技術の向上
スケジュール管理、災害時の連絡などの効率化を図って
お客様へのサービス・技術の全社的な底上げを図るため、
います。
EES では 2007 年 4 月、従来各部で分散して行っていた教
育を一貫して実施する「維持管理教育研修部」を設立し
ました。ここでは、新人からベテラン所長までの階層別
教育(初級研修、プロジェクトマネージャー研修等)
、
地区別技術研修会等のプログラムを策定し、各種教育を
実施しています。
運転維持管理作業の一例(雪中の水中ポンプ故障対応)
お客様の環境施設の正常運営を維持します
環境事業カンパニー
プレジデント
廣瀬 政義
28
EBARA Group CSR Report 2008
水処理施設や廃棄物処理施設などの環境施
フターサービス事業は当カンパニー売上高
設整備は、新設からアフターサービス(維
の 50%を占める屋台骨へと成長してきま
持管理・更新)の時代を迎えつつあります。
した。今後も、お客様満足度向上を第一に
1977 年に設立した荏原エンジニアリング
アフターサービスの品質向上に努め、環境
サービス㈱は、30 余年にわたりお客様と
施設の安定操業を通じて、お客様と社会に
ともに現場における日々の研鑚を重ね、ア
貢献していきます。
お客様のために
精密・電子事業カンパニー
お客様の生産性向上を目指しています。
全性への配慮を徹底しています。
化学物質の受入時には、受入室で一括受入を行い、化学
物質情報、購入量、使用量、保管場所等をコンピュータ
情報化社会の担い手である半導体メーカ、電子機器、電
登録してより管理精度を向上させています。また、化学
子部品メーカなどです。これらの業界では日進月歩の技
物質を使用する職場では、パトロールを実施し、特定の
術革新が続いており、お客様のニーズに対応した装置を
化学物質を「重点管理薬品」と定めて事業部長など責任
安定供給することが、精密・電子事業カンパニーの重要
者による管理を徹底するなど、事故や紛失防止に努めて
な使命です。
います。更に廃棄時には、廃液の組成や量、排出方法等
その使命を果たす上で、荏原グループ内の開発・製造・
の管理を厳密に行い、環境や安全面で問題がないことを
メンテナンスの工程が、不具合や事故によって滞ること
確認しています。
は許されません。精密・電子事業カンパニーは、
「安全
化学物質の一元管理は、安全管理の徹底だけでなく、使
はすべてに優先する」を基本理念とし、設計、製造、据
用量や廃液量の削減による環境負荷の低減も目指すもの
付、立上げ、運転の各段階での安全確保に配慮しています。
です。
更に、事故災害やヒヤリハット
*1
社会と荏原グループ
精密・電子事業カンパニーの主なお客様は、今日の高度
に関する情報の積極
的な収集と分析により再発防止を図るだけでなく、安全
教育、安全パトロール、化学物質管理、リスクアセスメ
ントなどにより、事故災害件数ゼロを目指しています。
また、㈱荏原九州、㈱荏原フィールドテックなど関係会
社との連携を強化するため、定期的な連絡会や電子媒体
による緊急連絡体制を構築し、情報を共有して、お客様
の要請に迅速に応えられる体制を整えています。
*1【ヒヤリハット】ヒヤリとしたり、ハッとするなど事故寸前の危険な状況のこと。
現場パトロールによる化学物質保管状況確認の様子
化学物質管理の徹底
当カンパニーでは、事業の様々な過程で多種・多様な化
学物質を使用しており、これらには人体に有害なものも
含まれています。作業者の安全性確保と、事故による製
造活動の滞りを防ぐため、化学物質の保管や使用時の安
安全は顧客満足の原点
精密・電子事業カンパニー
プレジデント
中尾 幸蔵
お客様の現場で作業する場合にも、荏原グ
す。ひいてはそれがお客様に製品を安定供
ループの規則のみならず、お客様の定めら
給するための基礎となることを従業員に自
れた安全規則を遵守し、事故などによって
覚させるよう努めています。精密・電子事
お客様の事業を妨げることのないよう注意
業カンパニーは、「安全はすべてに優先す
しています。近年、企業が効率の最大化を
る」という安全衛生管理の基本的考え方に
求める中で、安全な作業に向けて心のゆと
基づいて定められた規則をよく理解・実践
りを持つことが極めて重要になっており、
し、各国の安全管理ルールを学びながら、
CSR の面からも、従業員の安全と健康の確
この精神をグローバルに展開していきます。
保を第一に考えることが大切になっていま
EBARA Group CSR Report 2008
29
お取引先様とともに
荏原グループは以下の調達方針のもと、お取引先様(製
荏原グループの調達部門員は社内外の関係する部門と常
品材料、資材、役務の調達先)とのパートナーシップを
に良好な関係を保ち、相互に協力的で創造的な活動をす
築き、公正な取引を行っています。
べきとの心得をもち、業務全体を円滑で、効率よく機能
できるよう努めています。
公正/公平な機会の提供
社会と荏原グループ
ISO 9001 に基づいて、すべてのお取引先様に、競争の機
社会的信頼・遵法精神
会を提供しています。
国内外の法令遵守、人権尊重、製品・役務の安全、品質
ISO9001 に基づく当社の認定制度に則って技術的評価と
保証、労働安全衛生や企業倫理等に配慮したCSR調達を
商業的評価を行い、基本取引契約・工事基本取引契約を
行います。また社会の健全な発展に寄与することを常に
結んだ上でお取引を開始しています。
念頭に置いています。
経済合理性
グリーン調達
お取引先様の選定は、資材の品質・信頼性・納期・価格・
地球環境の保全を考慮した製品づくりを有効に促進でき
技術開発力・提案力、並びにお取引先様の経営安定性等
るよう、お取引先様と協力し、環境に配慮した調達を推
を十分に評価して行います。
進します。荏原グループグリーン調達ガイドラインは、
但し、製品やお客様との契約条件によって、この評価基
荏原ホームページで公開しています。
準の重み付けが変わる場合もあります。
h t t p : // w w w . e b a r a . c o . j p / c s r / m a n a g e m e n t /
green_procure.html
機密保持
取引を通じて知り得た機密事項については、お取引先様
新規の取引
の承諾なしに第三者に開示しません。
以上の調達方針に基づき、新規取引を開始するには下図
手順で調達部門と品質保証部門の審査を行います。
相互信頼
お問い合わせはホームページ
お取引先様との信頼関係・パートナーシップを築くと共
http: //www.ebara.co.jp/contact/ の「お問い合わせ」
に、相互の発展を目指しています。
で受け付けています。
新規お取引までの流れ
(b) 業界における地位及び過去の実績
(d) 価格、品質、性能及び技術水準
(e) 納期の確実性、クレーム対応能力及
びアフタサービス体制
(f) 当社に対する経営者の協力意欲又は
度合
(g) 第三者の工業所有権に抵触しないこと
(h) 環境保全水準又は能力
書類審査や製造工場のサーベイ
30
EBARA Group CSR Report 2008
取引の開始
(c) 長期的かつ安定的な供給能力
基本取引契約・工事基本取引契約の締結
(a) 経営状況及び社会的信用度
認定購入先として登録
調達部門と品質保証部門による審査
新規取引先
見積の依頼
等による技
術的要件の
確認
認定購入先とするための供給者の要件
お取引先様との協力体制
各カンパニーでは、品質の向上、コストダウン、安定的
定期研修会参加者の 感想より(抜粋)
な資材供給を行うために、事業部単位で調達活動を行っ
■モノづくりの基本は人
ています。風水力機械カンパニー羽田工場調達部門では、
中国のとてつもない発展、進歩に直面し本当に驚きま
任意のお取引先様と VE
*1
協力会を運営しています。こ
した。高層ビル、高速道路、デパート、空港、マンショ
ンそして工場等、また人の多さにも改めて心底脅威で
ナーシップを結んでおり、会員から選ばれた 8 社からな
した。やはり、モノづくりの基本は人だと思います。
る理事会によって運営され、
定期的に総会・研修会を行っ
指導、教育をし、いかにして優秀な技術者を育成する
ています。また VE に関る事柄だけでなく、荏原グルー
かが大事だと実感しました。荏原の中国での教育の仕
プの経営状況・生産体制・製造技術や市場情勢など様々
な情報の開示と共有化を図りお互いの技術の向上と発展
に努めています。2007 年度の定期研修会では、希望者
を募り荏原の中国の生産工場を訪問しました。日本の会
社会と荏原グループ
の会は、互いに発展していくことを目的としたパート
方を見聞し本当にありがたかったです。中国やその他
の国々に負けない日本の製品(当社は鋳物鋳造品)を
製造する為に、今まで以上に研鑚しお客様に喜んでも
らえるよう最大限の努力をしていく所存です。
員だけでなく、韓国からの参加もあり有意義な研修会と
なりました。
■パートナーシップを更に強化したい
今回の視察では荏原の不動の世界的なスタンスとマー
ケット、そしてそれを支える充実したネットワークに
改めて感心させられたのが正直な感想です。具体的に
は ①青島荏原の高い技術力 ②荏原博ポンプの注文
の多さから見える信頼性の高さ ③荏原機械のフル回
転のラインと砲金加工の厳しい品質管理 です。我々
協力工場も荏原のパートナーとして、その役割をしっ
かりと認識しなければいけないと感じました。
青島荏原環境設備有限公司:製缶工場を見学
■技術力とマネジメント力を兼ね備えたい
当社のような中小企業も世界経済の渦の真っ只中にい
る事を改めて実感しました。今後、
日本国内で生き残っ
ていく為には、我が社も中期、長期計画を立て、弱い
所は何か、強い所は何かを的確に認識し、特に弱い所
の人材をいつまでに教育するか、または 「補強」 する
荏原機械(中国)有限公司:中国ビジネス展開の講演
か、どの時点で設備をいれるか、社員一同ベクトルを
合わせて進んでいく事がベストではないかと考えまし
た。物を作る技術だけではなくマネジメントを含めた
管理能力を兼ね備えた人材をより多く育てたところが
生き残って行けると再認識しました。また、荏原が世
界を相手に仕事をしている事を自分の目で認識するこ
とができました。今後は世界の荏原がどのように進む
のかを的確に捉え、我が社の経営判断の参考にしたい
荏原博叡叡業有限公司:大型・高圧ポンプの製品を確認
と考えています。
*1【VE:Value Engineering】 製品やサービスの「価値」をそれが果たすべき機
能とそのためにかける「コスト」との関係を把握し、システム化された手順によって
価値の向上を図る手法のこと。
EBARA Group CSR Report 2008
31
株主・投資家のために
荏原グループは、広く社会に受け入れられ、社会の発展
IR 活動の取り組み
に寄与し、社会と共に成長することによって長期的に企
荏原ホームページに適時開示情報や株式関連情報を掲
業価値向上を図り、株主・投資家の皆様の期待に応えて
載しているほか、株主向け報告書、アナリスト向け説
いきます。
明会資料等の掲載、金融庁の有価証券報告書閲覧用サ
イト「EDINET」へのリンク等、IR 情報提供の充実に努
IR 活動の基本指針
めています。
荏原グループでは、関連法規を遵守し、継続的かつ適時
適正に情報を開示することをIR活動の基本方針としてい
社会と荏原グループ
ます。また、事業活動状況などの正確な経営情報を、迅
速かつ公正公平に開示するとともに、企業理念・経営方
針等を明確に開示することで、経営の透明性を高めてい
きます。
荏原ホームページトップ画面
http://www.ebara.co.jp/
情報開示の考え方
上場金融商品取引所の規則上開示が求められる、適時開
アナリスト・機関投資家とのコミュニケーションとし
示基準に該当する会社情報は、
「TDnet」
(東京証券取引
ては、年 2 回の決算説明会に加え、個別ミーティング
所が運営する適時開示情報伝達システム)で開示してお
を行っています。また欧米を中心に、個別機関投資家
り、同じ情報を荏原ホームページにも速やかに掲載して
を社長自らが訪問して説明を行っています。さらに、
います。
これらの説明会や個別ミーティングなどを通じていた
適時開示基準に該当しない情報については、株主・投資
だいたご意見を社内にフィードバックし、経営に反映
家の皆様に正確かつ平等にご覧いただけるよう、プレス
するよう努めています。
リリース、ホームページへの掲載などを行っていきます。
株式情報
配当について
荏原グループは、株主に対する利益還元を経営の最も重
発行済株式の総数 422,725,658株
要な施策の一つとして位置づけ、当該期及び将来の業績、
株主数 55,894名
財政状態等を勘案して、継続的・安定的な配当を行うこ
(2008年3月末時点)
ととしています。
外国人 298名
110,203千株 26.1%
また、内部留保については、中長期的な展望に立ち、新
規事業の開発と競争力強化、経営の効率化を目的とする
投資等に有効活用していきます。
その他国内法人
597名
27,172千株
6.4%
SRI インデックスへの採用
個人・その他
54,847名
163,275千株
38.6%
企業責任基準を満たす企業活動を評
価した上で、社会的責任投資(SRI)
対象として適確であることを示す世
界的な SRI 指数「FTSE4Good Index」
に、継続して採用されています。
32
EBARA Group CSR Report 2008
証券会社 70名
14,521千株 3.4%
金融機関
82名
107,522千株
25.5%
情報セキュリティ
今日の企業活動にはコンピュータとインターネットが不
ワークである「EC/NET」を構築することにより、外部
可欠ですが、その安全な運用は企業にとって大きな責務
インターネットとの接続点を 1 箇所に集約しています。
です。荏原グループでは情報セキュリティを経営の重要
そこには、外部からの侵入防止としてファイアウォール
課題の一つとしてとらえ、さまざまな取り組みを進めて
を導入し、
コンピュータウイルス対策ソフト、
スパム(迷
います。
惑)
メール対策ソフトを活用しています。また、
Webフィ
ルタリング技術を採用し、不正なホームページなどへの
アクセスを制限するなどの対策を順次講じてきました。
荏原グループは、
「荏原グループ行動基準」を規範とし
それに加えて、以下のようなグループ共用の情報基盤を
て情報セキュリティ関連規定を整備し、情報資産の保護
整備し、情報セキュリティ対策の一層の強化を実施して
と活用を推進しています。荏原グループの目指す事業戦
います。
社会と荏原グループ
情報セキュリティのガバナンス
略と IT 戦略を共有する場として「荏原グループ IT 戦略委
員会」を設けており、セキュリティ普及活動の中心的役
割を果たしています。また、荏原の各カンパニーにIT戦
略推進部門を設置し、情報戦略の立案と実施、管轄する
関係会社の情報戦略を調整しています。
●グループ全体のパソコンおよびサーバに対するコン
ピュータウイルス対策
●人事管理データベースと連携した統合 ID 管理システ
ムと情報資産へのアクセス制御
●災害時等の事業継続を考慮したデータセンターの設立
情報セキュリティの取り組み
とサーバの集約
人的・組織的対策としては、情報セキュリティ関連規定
を整備し、それらをグループのイントラネットに掲載す
今後はIT戦略の中期計画に基づいて情報セキュリティマ
ることで、情報資産保護の重要性についての啓発を行っ
ネジメントを進め、重要な情報を扱う社員一人ひとりが
ています。また、社員の理解を一層深めるために『荏原
ルール遵守の意識を高めていくための人的・組織的対策
グループ IT だより』を定期発行し、身近な情報セキュリ
をさらに強化していきます。
ティについての情報を発信しています。
技術的・物理的対策としては、荏原グループ通信ネット
「荏原グループITだより」の記事
EBARA Group CSR Report 2008
33
地域・社会のために
荏原グループは、事業を通じて社会的責任を果たすと共
に、社会の良き一員として、地域交流をはじめ、文化、
スポーツ、技術振興や環境保全を通じた社会貢献活動に
コース名
実施国
持続的発展のためのエネルギーシステム
モンゴル
6/14,15
33
フィリピン
7/9,10
43
タイ
8/20〜31
30
産業用流体機械の応用技術
マレーシア
10/23〜25
10/29〜31
50
エネルギー問題と流体機械
タイ
12/6
60
カンボジア
12/11,12
60
かんがい
灌漑設備用ポンプと水力タービン
ポンプ設備の計画と設計(国際研修)
も積極的に取り組んでいます。
社会貢献活動の基本方針
荏原グループは、芸術・技術振興、環境保全、スポーツ
振興、地域交流、社会福祉を社会貢献活動の 5 つの柱と
社会と荏原グループ
しています。荏原では、その中心的な組織として「社会
開催日 月/日 参加者数
流体機械と再生可能エネルギー
産業用流体機械のエネルギー保全応用技術
インドネシア
2/5〜7
40
再生可能エネルギーの有効利用
インドネシア
3/17,18
30
流体機械の省エネルギー応用技術
タイ
3/20
8
貢献室」を設置しており、荏原グループ各社・各部門等
も自発的な取り組みを行っています。また「ボランティ
■畠山記念館の運営支援
ア休暇制度」を設け、従業員自らが行う社会的な活動を
14~15ページをご覧ください。
会社が支援しています。
今後もこれらの活動を継続すると同時に、その成果を評
環境保全
価し、内容の充実と発展を図っていきます。
■環境展示会
http://www.ebara.co.jp/csr/
持続可能な社会の形成に寄与することをビジョンに掲げる
荏原グループの技術や社会貢献活動をより多くの市民の皆
芸術・技術振興
さまに知っていただくことと、コミュニケーションを深める
日本の伝統芸術の公開
日本の“モノづくり”の伝承
地域との良好な
関係の維持
ことを目的として、各種環境展示会に参加しています。
環境保全
地域交流
社会貢献活動
5つの柱
次世代に豊かな
環境を引き継ぐ
社会福祉
スポーツ振興
人道的な活動・支援
健全な心身の育成
国内では2003年より毎年「エコプロダクツ展」に出展して
おり、2007年度は燃料電池の仕組みを学べる展示を行い
ました。また、子どもたちが楽しみながら環境について学
べることを目的に東京都大田区が開催している「エコフェ
スタ ワンダーランド」にも出展しています。2007年度は、
子どもたちにオリジナル・エコロジーバッグづくりを体験し
芸術・技術振興
てもらいました。
■畠山清二記念荏原基金
海外では、
2008 年3月にベトナム・ハノイ市で開催された
「エ
主に東南アジア諸国との相互理解と友好関係を深める目
コプロダクツ国際展」に荏原グループのエバラ・ベトナム、
的で 1989 年に設立されて以来 19 年にわたって、技術支
エバラ・ハイズンと共に参加し、水環境の改善に寄与する
援 ・ 適正技術開発 ・ 奨学金の提供など草の根的な国際協
荏原グループの製品や技術を紹介しました。
力活動を継続しています。
2007 年度は、8 月に(財)海外技術者研修協会主催によ
る「ポンプ設備の計画と設計」の研修コースをアジア工
科大学(タイ)と共催しました。スリランカ、インド、
マレーシア、タイなど東南アジア 10 カ国から 30 名の研
エコプロダクツ2007
エコフェスタ ワンダーランド
修生が参加しました。また、マレーシア、インドネシア
での「産業用流体機械の応用技術」研修、モンゴルでの
「持続的発展のためのエネルギーシステム」研修など計
10 回の研修コースを提供しました。
34
EBARA Group CSR Report 2008
エコプロダクツ国際展
■森林保全
地域交流
地球温暖化防止や自然の尊さについて学ぶ活動として、
■地域交流
「荏原グリーン基金」と「荏原環境基金」による国内外
工場のある事業所が夏に行っている納涼祭に地域の人々
の緑化活動や人工林・里山の保全活動等を行っています。
をお招きしています。また、2007 年度は、財団法人畠
2007 年度は「かながわ水源の森林づくり事業」に参画し、
山文化財団が企画した学校教育活動助成に協力し、東京
「やどりき水源林」内の約 0.3ha を「水と空気と環境の森」
都大田区と神奈川県藤沢市の小学校児童 420 名の工場見
と定め、5 年間、森林整備を行うことになりました。
学を受け入れて、荏原の製品と生活の関わりを知ってい
2007 年 11 月には、荏原グループ従業員と家族、東京都
ただきました。
立つばさ総合高等学校、合計 31 名が参加し、檜の間伐
羽田工場: 1月22日
(火)
大田区立東糀谷小学校
6 年生 77名
24日
(木)
大田区立糀谷小学校
5 年生 127名
藤沢工場:12 月12日
(水)
藤沢市立大鋸小学校
5 年生 97名
1月25日
(金)
藤沢市立鵠南小学校
3 年生 119 名
作業と植生を知る森林探検を行いました。
檜間伐作業、森林探検
松沢神奈川県知事(写真左)より感
謝状授与
(写真右は荏原顧問 島川)
社会と荏原グループ
ひのき
■清掃・緑化
㈱荏原電産や、荏原藤沢事業所等では、事業所と最寄り
駅の間の通勤路清掃活動を定期的に行っています。また
スポーツ振興
全国各地の荏原グループの事務所では、毎年 6 月の「環
■テニススクール(㈱荏原湘南スポーツセンター)
境の日」や「環境月間」に事務所周辺地域の清掃活動や
毎年 9 月 23 日の「テニスの日」に初心者向け無料テニ
緑化活動を行っています。
ススクールを開講し
ています。2007 年度
は、子ども 24 名、大
人 9 名にご参加いた
だきました。
荏原テクノサーブ㈱東東京営業所による近隣公園の花壇作り・地域清掃活動
■バスケットボール・クリニック
社会福祉
女子バスケットボール部「エバラヴィッキーズ」は、
■衣類、コイン、磁気カード、カレンダー等の収集
2003年から東京都大田区内の小学校の体育授業特別講師
衣類やコイン、磁気カード、カレンダー等を従業員に呼
として、バスケットボールの基礎技術を指導しています。
びかけて収集し、物資の不足している地域、難民キャン
2007年度は学校授業への講師派遣が10回を数え、大田
プなどへの援助活動を行う NGO や社会福祉団体に送っ
区のミニバスケットボール連盟の活動支援や神奈川県
ています。
藤沢市、熊本県玉名市
でのクリニック実施、
■災害復興支援
その他の地域イベン
大規模な自然災害が発生した際には、従業員に呼びかけて
トへの参加などを通
義捐金を集め、災害復興に協力しています。
じて約1万4千人の
2007年度は、中越沖地震復興のために義捐金を送りました。
方々と交流しました。
EBARA Group CSR Report 2008
35
従業員とともに
事業の持続的発展を支えるのは人材です。荏原グループ
退職金・退職年金制度の改定(荏原)
では、従業員が意欲を持って仕事に取り組めるよう、安
2008年8月に新しい退職金・退職年金制度の導入を予定
全で働きやすい職場環境の維持・改善に努めています。
しています。現行の退職金制度は最終給与比例方式から
利息付与型ポイント制へ移行し、退職年金制度は、適格
人事方針
荏原グループの永続的発展のため、チャレンジ精
神をもって創意工夫する人材を獲得し、定着させ、
社会と荏原グループ
モチベートし、実力が最大限発揮できる環境を整
える。
人事政策
1.経営課題と個人の行動のベクトルを合わせる諸
制度を整備する。
退職年金から確定給付企業年金、確定拠出年金へ移行し
ます。新制度には、中途入社の公平性を保ちやすくなる、
物価変動に対応して実質的な退職金水準を一定程度自動
補正できる、現時点での退職金額が分かりやすくなると
いったメリットがあります。
2007年度は、この新制度の説明会を27回実施しました。
2008 年度は、確定拠出年金に伴う投資教育を 76 回実施
する予定です。
2.年功序列を改め、役割・成果に応じた評価と処
遇を徹底する。
3.自己責任を意識させ、自律性を高める諸制度を
整備する。
4.各社の個別状況を考慮しつつ、グループ全体を
視野に入れた諸制度を整備する。
5. 透明で分かりやすい仕組みにする。
公正な人事評価(荏原)
2002 年に管理職、2003 年に総合職の評価制度を改定し、
成果を生み出すためのプロセス(仕事ぶり)を評価する
確定拠出年金に伴う投資教育
荏原グループ人事部門の連携
『行動評価制度』と、組織が達成すべき目標に対する各
荏原グループでは、春闘の結果報告、各種労働法改正へ
人の達成度を評価する『貢献目標管理制度(MBO)
』を
の対応、また各社が直面する人事・労務諸問題などの情
導入しました。
報共有を目的として「荏原グループ関係会社人事部門会
両制度とも上司と部下の面接を基本とし、
また、
上司(評
議」を毎年1回開催しています。2007年度は、就業規則
価者)間で会議を行って評価レベルの向上・統一化を図
改定、春闘結果、採用等の報告がありました。
ることで公正な評価の実現に努めています。
従業員意識調査実施(荏原)
36
成果に報いる賃金制度(荏原)
2002 年以降の人事制度改定についての社員の意見を集
2005 年、約 30 年ぶりに賃金制度の抜本的改定を行いま
約し、今後の会社運営や諸制度運用に活用することを目
した。その目的は、能力・成果を発揮した従業員を評価
的として、2007年8月、役員、従業員を対象とする意識
し、高く処遇することで、従業員のモチベーションを高
調査を実施しました。回答率は約90%に達し、回答の分
めることであり、これにより「組織の活性化」
、
「経営目
析から問題を把握して課題を抽出することができまし
標に対する貢献」を実現し、会社の永続的発展を目指し
た。今後は、そうした課題を解決する対応策を打ち出し
ます。
ていきます。
EBARA Group CSR Report 2008
労使の対話による信頼関係の維持、向上(荏原)
健康の維持、疾病予防
ユニオンショップ制に基づいて、経営側と労働組合が、
従業員の健康は会社の発展・継続の源です。荏原グルー
定期的あるいは必要に応じて「労使協議会」を開催し、
プでは、従業員の健康維持、疾病予防の諸施策を実施し
相互の信頼関係の維持・向上に努めています。労働組合
ています。毎年、全従業員を対象とする定期健康診断や
の視点から企業運営を把握し、経営の健全性等を確認す
職種特有の検査を行っているほか、生活習慣病やメタボ
る上でも重要な場になっています。
リック症候群、精神疾患の予防にも取り組んでいます。
■生活改善プログラム
2007 年度労使協議会実施実績
生活習慣病やメタボリック症候群の予防・改善を目的に、
社長懇談会・期首労使協議会・カンパニー別
労使懇談会
食生活の見直しによって体質改善を図る「Let's challenge
8月
地区労使協議会
生活改善プログラム」を実施しています。食事の量を記
10月 新期組合役員 顔合わせ労使協議会
録し、月に一度栄養士・看護師が栄養・保健指導を行う
11月 秋季労使協議会・カンパニー別労使懇談会
このプログラムは、食事の傾向を認識・改善するよい機
1月
新春労使協議会
3月
春闘労使協議会
社会と荏原グループ
7月
会となっており、2007 年度の参加者 152 人のうち、6ヶ
月継続できた人の約70%が減量に成功しました。
■メンタルヘルス
労働安全衛生(荏原)
仕事のストレスなど労働に起因する精神疾患を予防する
職場の安全と健康の確保、快適な作業環境の形成・促進、
ため、従業員は社内で神経科医師の診断を受けることが
労働災害の防止を目的として「安全衛生管理規定」を定
できます。また、2007 年度は、職場ぐるみで精神疾患
めています。これに基づいて、総括安全衛生管理者、産
を予防することを目的として、抑うつ状態に関するアン
業医を配置するなどの安全衛生管理体制を敷くととも
ケートを実施し、その結果をふまえて管理職のためのメ
に、事業所全般の労働安全を監督する「中央安全衛生委
ンタルヘルスセミナーを実施しました。
員会」
、事業所ごとの「安全衛生委員会」を設置し、安
全衛生管理計画を立案・実施しています。
スポーツ・趣味を通じた社員の健康と交流
また、労働災害防止のため、従業員には「安全衛生教育
スポーツ、趣味などを通じて従業員の健康や教養の向上
訓練」への参加を義務付けています。更に、精神の疾患
を図り、健全な身体と精神を養うことを目的として「荏原
や過労死などの予防対策として、長時間労働者を対象に
文化体育会」を運営しています。これは全社的な「中央文
医師による面談を実施しています。
化体育会」
、事業所ごとの「事業所文化体育会」
、支社・支
店のクラブから構成されています。体育系では野球、テニ
荏原の労働災害発生統計年別推移
ス、サッカー、バスケットボール、剣道など 45のクラブ、
[件数]
30
休業・災害件数*1
26
全災害件数
25
18
17
17
15
14
11
10
0
動しています。年間を通じ、各事業所ごとに様々な大会や
作品の展覧会などを開催しています。
21
20
5
文化系では茶道、華道、陶芸、書道など 31のクラブが活
10
11
10
11
6
3
96
4
97
3
98
2
99
1
1
00
01
2
02
0
03
0
04
1
05
2
06
0
07 [年度]
*1【休業・災害件数】 従業員が休業に至った労働災害の件数
剣道部
EBARA Group CSR Report 2008
37
従業員とともに
人権意識を高めるための周知・啓発活動
製造技術職(荏原)
従来からの階層別研修と並行して、荏原グループ会社・
国内風水力機械工場において、
「モノづくり」の現場と密着
派遣社員等を含めた全従業員を対象とした人権啓発説明
して技能・技術の継承・発展を担う人材を育成するため、
会を 2006 年度より開始し、2006 年度は全国支社・支店、
2005年度に、
「製造技術職」という新たな職群を創設して
2007 年度は全事務所・事業所での説明会を実施しまし
おり、2007年度までに、22名がこの職種に就いています。
た。さらに、2007 年度には「人権啓発推進委員会」を
再編成し、推進委員育成のための研修を実施、周知・啓
VOICE
発活動を強化しています。
社会と荏原グループ
ハラスメント相談窓口の運営
羽田工場生産室
製造技術職
佐野 寿久
セクシュアル・ハラスメント、ジェンダー・ハラスメン
ト、パワー・ハラスメントやいじめなどについて従業員
の相談に応じています。2007 年度は、相談窓口機能を
強化するため「グループ相談窓口連絡会」を設け、相談
員育成のための研修を実施しました。
経験と勘が培った高度な技能 ・ 技術を
設計と連動させて継承したい
荏原の風水力機械は一品一葉で、技能職の人たちの
10 年、20 年の経験と勘に培われた高度な技によって
国際基準を視野に入れた労働基準、人権擁護
作られています。従来、OJT によって継承されてきた
労働、人権に関しては、日本国内法遵守のみならず、
技を理論化していくのが、私のミッションの一つです。
ILO の中核的労働基準、世界人権宣言をはじめとする国
私自身も、製造現場での経験を多くの技能職の人たち
際的基準を支持し、体制整備や従業員教育に取り組んで
から学びながら、設計等の部門と製造現場の橋渡し役
います。2008年度から、
海外グループ会社に対する調査、
として、伝統ある荏原の大型風水力機械づくりの技を
教育を実施します。
継承・発展させていきたいと考えています。
福利厚生
熟練した技術の継承(荏原)
荏原グループの福利厚生は、設備重視からソフト重視へと
2006年4月に「定年退職者再雇用制度」を設けています。
移行しています。その一例として社員食堂の充実があり、
これは一定の基準を満たす定年退職者を希望に応じて再
袖ヶ浦事業所を除いて、食堂を併設する事業所それぞれに
雇用するもので、再雇用の割合は80%以上となっていま
管理栄養士を配置し、事業所の特色に合わせた運用を行
す。高齢者雇用安定法に基づくとともに、蓄積された技
う一方で、それらを統括するコーポレートでは2名の管理栄
術・知識を確実に次代へ継承することがこの制度の目的
養士が共通献立表作成や栄養管理施策を担っています。
で、1年ごとに、最長満65歳到達月までの契約更新が可
また、独身寮、保養所、クラブハウス、売店などの施設で
能です。今後も熟練技術を持つ定年退職者が控えており、
は、質の充実を維持しながら効率的運営に努めており、こ
制度がさらに円滑に運用されるよう努めていきます。
れまで接客が主目的だった施設を、従業員や家族に開放
し、食と健康・余暇関連施策の充実を通じて、従業員、
OBやその家族の安心・快適な暮らしをサポートしています。
福利厚生施設概要
38
社宅
5ヶ所(東京、神奈川 4)
独身寮
5ヶ所(東京、神奈川 3、千葉)
直営保養所
3ヶ所(熱海、箱根、赤倉)
クラブハウス
2ヶ所(東京、藤沢事業所内)
社員食堂
4 ケ所(羽田 2、
藤沢事業所、
袖ヶ浦事業所)
EBARA Group CSR Report 2008
[人数]
140
120
100
80
60
40
20
0
定年退職者の再雇用状況
離職者
再雇用者
2006
2007
[年度]
2008
(予定)
能力開発
としています。研修修了者は、研修で培った知識・経験・
荏原グループでは、グローバル化、人口構造の変化、個
人脈を生かし、企業風土の改革や新たな企業理念の創
人の価値観多様化といった社会の変化への対応を目的
造といった全社横断的なテーマに自発的に取り組んで
に、各種人材開発プログラムがより体系的に行われ、か
います。
つ、投資対効果の向上を目指して能力開発の見直しを
行っています。
■女性従業員の意欲向上と適正評価の維持
荏原グループでは、人材の有効活用、モチベーション向
経営課題と人材開発プログラム
進等を目的として、2006 年 6 月から「女性活躍推進プロ
経営課題(目的)
グラム」を導入しています。2006 年度は、キャリア形
目標とする成果
成支援をメインテーマに 4 回実施し、139 名(男性 0 名、
①~⑤人材開発プログラム(下表)
社会と荏原グループ
上、キャリア形成支援、ワーク/ライフ・バランスの推
女性 139 名)が参加しました。2007 年度は、研修効果
の職場(業務)への波及効果促進をメインテーマに 4 回
グループ経営強化
経営者及び経営者候補の育成
実施し、109 名(男性 3 名、女性 106 名)が参加しました。
その第 4 回では、商社、製造業など 3 社のご協力を得て、
異業種交流会(研修)を実施しました。参加者からは
「他社の方々との交流で自分自身を振り返ることができ、
①
専門能力強化
プロフェッショナル人材の育成
グローバル対応能力強化
グローバル人材の育成
②
③
能動的な行動の重要性を再認識した」 といった感想があ
リーダーシップ強化
変革型人材の育成
りました。今後も、女性従業員がより意欲的に働き、能
④
力が適正に評価される職場環境の実現に向けて、プログ
ラムの充実を図っていきます。
モチベーション強化
自律型人材の育成
⑤
人材開発プログラム
役員・グループ会社経営者研修、
ビジネスリーダー研修
女性活躍推進プログラム研修の様子
①
■次世代を担うリーダーの育成
営業・法務・財務・知的財産研修、
② キャリア形成支援(コーチング、女性活躍推進)
、
通信教育
荏原グループの将来を担う次世代リーダーの育成を目的
に、2005 年度から管理職を対象とする「ビジネスリー
ダー研修」を継続実施しており、2007 年度は、31 名が
参加しました。この研修は、リーダーシップの開発のみ
ならず、
「外から見た荏原」という視点を獲得することで、
顧客・株主・従業員・社会といったステークホルダーが
③
留学(長期・短期・国内)
、海外赴任前研修、
外国語教育
④ ビジネスリーダー研修、G-One 手法トレーニング
⑤ 各階層別研修
望むものを実現できる変革型人材を育成することを主眼
EBARA Group CSR Report 2008
39
荏原グループ
中長期環境ビジョンと 2007 年度活動成果
2007 年度からは、荏原グループ目標をより強固に推進するために、荏原グループ目標(2010 年)達成
対象組織を荏原と国内連結子会社としました。2007 年まで環境レポートで公開していた環境データから
非連結会社を除いた数値及び目標値を CSR レポートでは公開します。
荏原グループ基本ビジョン
環境トップランナーを目指し、持続可能な社会の形成に貢献する。
荏原グループ行動基準
環境ビジョン (2010年のあるべき姿)
*1 最 終埋立処分量 : 排出後そのまま直接埋立処分される廃棄物の量と、中間処
理後、再利用・再資源化されずに埋め立てられる残渣の量。
*2 2007 年度末に見直しを行い、改訂した箇所
2008 年 4 月1日現在
荏原グループ目標 (2010年度)
2007年度活動成果(活動の紹介ページ)
■日常業務における環境保全活動 : 事務所・事業所においては、地域との共生に配慮し、環境マネジメントシステムの運用による 環境汚染の予防並びに環境保全活動の継続的な改善に努める。
(2)事務所・事業所における廃棄物の削減と再資源
化、省資源・省エネルギーに努める。
・社会性及び地域性を配慮し、自主管理基準を定め、環境保全・
汚染予防活動を継続的に実施している。
・廃棄物排出量を削減している。
・廃棄物最終埋立処分量 *1 を最少化している。
・廃棄物のマテリアルリサイクル率を最大化している。
・エネルギー起源CO2 排出量を削減している。
・CO2 以外の温室効果ガス排出量を削減している。
・物流環境負荷を削減している。
(3)製品の製造・改造計画及び新規事業計画に際し
ては、環境汚染防止の観点から十分に環境影響を
確認し、汚染防止の技術対策を実施する。
・事業所ごとに水質汚濁防止、大気汚染防止などについて自主基準を定め、環境保
全・汚染予防活動を実施する。
維持管理を受託している廃棄物処理
施設や水処理施設の一部で不適合等
はあったが、
是正は完了している。
(45
ページ)
・サーマルリサイクルよりマテリアルリサイクルを優先させる。
・廃棄物のマテリアルリサイクル率を95%以上 *2 とする。
マテリアルリサイクル率 95.3%。目標
を達成した。
(48 ページ)
・廃棄物最終埋立処分率 *1 を3%未満とする。
3.4%(48 ページ)
。主に溶解スラグ、
汚泥焼却灰、砥石くずなどを埋め立
てている。
・温室効果ガスをCO2 排出量換算で2000年度比10%削減する。
・事務所・事業所においては原単位目標を定めて削減に取り組む。
2006年度よりは 4%削減したが、
2000年度比では 9%増。
(49 ページ)
・モーダルシフトなどによる、製品輸送のCO2 排出量を削減する。
2006 年度比 781t-CO2 増加。
*2
・グループ社用車 (看板車を含む)の低公害車導入率90%以上とする。
72%達成。
(46 ページ)
・水資源使用効率を向上させている。
・上水、工業用水及び地下水の使用量を2000年度比10%削減する。
2000年度比 17%削減。
(49 ページ)
・施設及び設備の新設または改造、並びに研究開発設備の計画に
は環境審査を実施し、環境影響の把握及び環境リスクの最小化
を図っている。
・環境審査システムを各グループ会社で導入し、実施する。
荏原ハマダ送風機㈱に導入した。
・PRTR法対象化学物質の排出量を2000年度比20%削減する。
2000年度比 6%削減。
(49 ページ)
・有害化学物質の排出量の最少化を図っている。
環境と荏原グループ
環境と荏原グループ
(1)環境保全に関する法規制、条例、協定、公的機
関との合意事項、規則以外の指針、会社の自主規
制を遵守する。
*2
・トルエン、キシレン、ジクロロメタン等 の排出量を2000年度比30%削減 する。 2000年度比 10%削減。
(49 ページ)
■事業活動における環境保全への貢献
事業活動を通して、地球環境保全及び循環型社会形
成に貢献するための技術・製品の開発に努め、これ
を実現するためのトータル・ソリューションを提案
し、優れた環境保全技術を社会に提供する。また製
品やプラントに起因する環境負荷の低減、省資源、
省エネルギーに努める。
・環境適合設計を適用し、環境負荷を継続的に削減している。
・LCA により、製品の環境負荷を定量的に把握し、継続的に削減
している。
・製品の環境リスクを把握し、継続的に削減している。
・製品環境データを開示している。
・グリーン調達を実施している。
・製品に含有する禁止物質、削減物質、管理物質の基準を設定し、実施する。
カンパニーごとに基準を策定中。
・環境適合設計基準を設定し、実施する。
環境適合設計指針に基づき基準をカ
ンパニーごとに策定中。
・グリーン調達基準を設定し、実施する。
http://www.ebara.co.jp/csr/management/green_procure.html
荏原グループグリーン調達ガイドラ
インをホームページで公開している。
カンパニーごとに基準を策定中。
■環境マネジメントへの取り組み : 環境マネジメントシステムの適切な運用による環境保全活動が自らの責務であることを認識し、 それぞれの仕事の範囲において実践する。
(1)環境マネジメントシステムを、その他のあらゆ
る社内マネジメントシステムと関係させ、環境配
慮型企業経営を展開する。
(2)役員、従業員に対しては、環境教育を実施する
とともに、広く社会に対して環境保全のための情
報を提供する。
40
EBARA Group CSR Report 2008
・環境マネジメントシステムがグループ全拠点で確立している。
・環境マネジメントシステムを、グループで統一した方法で運用
している。
・環境会計を確立し、環境経営に活用している。
・グループ全従業員に高いエコマインドが定着している。
・グループ全体の環境情報を社会に公表している。
・社会とのコミュニケーションを図っている。
・荏原グループ全社で環境マネジメントシステムの運用方法を統一する。
検討中。
・荏原グループ全体で共有する環境情報システムを構築する。
・荏原グループ全社で環境データを収集し、一元化する。
環境情報システムを 2006 年度から導
入済み。
・荏原グループ環境会議を定期開催する。
検討中。
(2007 年度未実施)
・荏原は、グループ各社の経営層環境教育を実施する。
2 年に一回実施している。2008 年度
に実施予定。
・グループCSRレポート *2、ホームページにより荏原グループ環境情報を外部へ発信
する。
荏原グループ環境レポート2007発行。
ホームページでも公開。
・ステークホルダー・ミーティングを実施する。
検討中。
(2007 年度未実施)
EBARA Group CSR Report 2008
41
荏原グループの事業活動と環境への影響
事業活動に伴う環境への影響を把握し、事務所や事業所で発生する環境負荷の低減に努めています。
INPUT
OUTPUT
荏原(①〜⑤)* 1
荏原グループ
*4
資材
金属(鉄鋼、非鉄金属)
プラスチック、ゴム、
木材等
環境と荏原グループ
電力量 の事業活動
79,339 MWh
燃料(原油換算)
5,684 ㎘
化学物質(PRTR 法対象物質)
開 発
3
設 計
調 達
製 造
販 売
*2
グループ会社(連結)
資材
金属(鉄鋼、非鉄金属)
プラスチック、ゴム等
電力量 サービス
16,512 MWh
燃料(原油換算)
1,371 ㎘
化学物質(PRTR 法対象物質)
上水・工業用水・地下水
廃棄物
総排出量
9,623 t
マテリアルリサイクル量 6,691 t
(再 資源化や再利用のために社外に
処理委託した量)
157 t
519 km
上水・工業用水・地下水
荏原(①〜⑤)* 1
最終埋立処分量 CO2
電力・燃料由来
製品輸送
178 t
40,112 t-CO2
3,580 t-CO2
化学物質(PRTR 法対象物質) *3
排出・移動量 製品出荷量 73 t
82 t
排水
353 km
INPUT との差は、発電所の蒸気ター
ビンからの蒸発等
3
事業活動による社会への貢献
(製品、技術、サービスの提供)
グループ会社(連結)* 2
廃棄物
総排出量
1,778 t
マテリアルリサイクル量 1,189 t
(再 資源化や再利用のために社外に
処理委託した量)
輸 送
165 t
97 km
3
最終埋立処分量 CO2
電力・燃料由来
210 t
9,067 t-CO2
化学物質(PRTR 法対象物質) *3
排出・移動量 製品出荷量 16 t
85 t
排水
78 km
INPUTとの差は、溶鉱炉用クー
リングタワーからの蒸発等
3
製 品
*1 【荏原】 43 ページ「荏原グループ ISO14001登録組織一覧」番号① ~ ⑤。③は 2008 年 3月31日時点に所在していた品川事務所のデータです。
*2 【グループ会社(連結)】 43 ページ「荏原グループ ISO14001登録組織一覧」番号⑥ ~ ⑭の会社及び、荏原バイロンジャクソン㈱、荏原機電㈱、㈱日設、㈱荏原湘南スポーツセンター
のデータです。
*3 【排出量】 大気、水域、土壌など環境へ排出された量、
【移動量】
産業廃棄物として事業所外へ移動した量。
42
EBARA Group CSR Report 2008
環境マネジメント
ISO14001 に則った環境マネジメントシステムを運営し
荏原グループ ISO14001 登録組織一覧
ています。
(2008年3月31日現在)登録年月日順
環境マネジメント組織
事業活動が及ぼす環境への負荷を低減し、環境汚染の予
登録組織
登録範囲に含まれている荏原グループ会社
防に継続的に取り組みます。
荏 原
1997年2月5日
②
羽田事業所
【㈱荏原環境テクノ北海道】
1997年2月20日
す。事務所・事業所などの事業拠点と周辺地域の環境保
両立させています。
環境マネジメント体制図
(2008 年 5 月 1 日現在)
環境と荏原グループ
①
藤沢事業所
【荏原冷熱システム㈱、荏原バラード㈱、
㈱荏原総合研究所、㈱荏原エージェンシー
の 一 部、 ㈱ 荏 原 電 産 の 一 部、
㈱荏原フィールドテックの一部、荏原機電
㈱の一部、㈱イー・シー・イーの一部、荏
原環境エンジニアリング㈱の一部、ITエン
ジニアリング㈱の一部、荏原エンジニアリ
ングサービス㈱の一部、荏原テクノサーブ
㈱の一部】
下図は、荏原グループの環境マネジメント体制の概略で
全(横軸)と製品・サービスに関る環境保全(縦軸)を
登録年月日
*1
環境統括委員会
精密・電子事業カンパニー
環境事業カンパニー
風水力機械カンパニー
羽田
事業所
コーポレート
羽田
事務所
藤沢
事業所
③
羽田事務所
【荏原の品川事務所及び支社・支店・営業
所、荏原環境エンジニアリング㈱本社・支
社・支店・営業所】
1997年11月21日
④
袖ヶ浦事業所
【㈱荏原エリオット】
1998年1月21日
⑤
鈴鹿事業所
【荏原ハマダ送風機㈱】
2002年10月11日
日本国内 グループ会社(連結)
⑥
荏原エンジニアリングサービス㈱
2000年7月18日
⑦
㈱荏原フィールドテック
2002年3月6日
⑧
㈱荏原シンワ
2002年7月18日
⑨
(荏原テクノサーブ㈱
【荏原冷熱システムの一部】
2002年11月8日
⑩
㈱荏原九州
2002年11月18日
⑪
荏原工業洗浄㈱
2003年 4月23日
⑫
㈱荏原由倉ハイドロテック
2004 年1月19日
袖ヶ浦
事業所
⑬
㈱荏原電産
2004 年2月27日
⑭
㈱荏原金属
2004 年 4月21日
鈴鹿
事業所
日本国内 グループ会社(非連結)
支社・支店・営業所
グループ会社
支社・支店・営業所
グループ会社
工事現場
支社・支店・営業所
工事現場
グループ会社
支社・支店・営業所
グループ会社
⑮
㈱クリーンシステム 2004 年10月28日
⑯
中部リサイクル㈱ 2005年3月14日
⑰
㈱ジェイ・チーム
2006年7月28日
⑱
㈱大岩マシナリー
2007年7月19日
海外 グループ会社(連結)
⑲
Ebara Precision Machinery Europe GmbH
2003年10月16日
⑳
烟台荏原空調設備有限公司
2005年9月26日
*1 【羽田事務所】品川事務所は一部の部門を除いて、2008 年 5月1日に羽田事務
所内に移転しました。
EBARA Group CSR Report 2008
43
環境リスク・マネジメント
荏原グループは、リスク・マネジメント・システム* 1
環境監査
の下、環境汚染事故をはじめとする環境リスクの回避・
環境監査は、会社や事務所・事業所ごとに行う第 1 者監
低減のために、環境審査・環境監査を実施しています。
査、
荏原の環境推進室が実施する第2者監査(コーポレー
ト環境監査)
、
外部審査登録機関による審査(第3者審査)
環境審査
の3重の体制で実施しています。
荏原の生産設備、試験・研究・開発設備、厚生施設など
環境と荏原グループ
の新設、改修、撤去等の工事、施設の運用には、廃棄物
■環境監査員の養成
や排水の発生、資源や化学物質の使用、騒音や振動の発
コーポレート環境監査の監査チームは、CEAR* 2 環境審査
生など、様々な環境への影響が伴い、敷地外の周辺地域
員有資格者で構成しています。2007年度末現在の荏原の
にまで及ぶ可能性があります。荏原では、工事の計画段階
CEAR 環境審査員有資格者数は32人で、コーポレート環境
で環境リスクの低減を図るための環境審査を行っています。
監査の場は知識と経験を積む機会にもなっています。
工事と運用の段階での環境影響評価、計画の不備、環境
主任審査員
法規制や労働安全衛生法、建築基準法など関連法規の遵
審査員
守などについて、
以下のプロセスで3重にチェックしています。
審査員補
5(3)名
0(2)名
27(34)名
( )は2006年度データ
工事・運用計画
工事中及び設備運用時の環境影響評価を行い、
工事着工の申請提出(工事計画部門)
カンパニーの環境管理部門による一次審査
工事現場となる事業所の環境管理部門による
二次審査
■2007年度環境監査
第 1 者監査は、各社、各事務所・事業所ごとに決められ
ている監査プログラムに沿って実施しました。コーポ
レート環境監査は、荏原グループの環境リスク管理と環
境法規制遵守の徹底、環境汚染事故予防対策の実施状況
確認、会社経営に関連する環境マネジメント活動の推進
荏原の環境推進室による三次審査
を目的として、17組織を対象に実施しました。
着工
運用
■2007年度コーポレート環境監査指摘事項内訳
環境審査の流れ
2007 年度は廃棄物管理の監査を徹底したので、その指
■2007 年度環境審査
摘件数が増加しました。
2007 年度の審査件数は 148 件でした。このうち 104件に
ついて工事計画の変更指示等を行い、環境負荷低減と法
違反回避を徹底しています。
環境審査件数推移
[件数]
250
150
9%
28%
グループ会社
荏原
238
藤沢
200
3% 3%
21%
羽田
袖ヶ浦
その他
6%
3%
188
64%
53%
4%
143
136
135
120
134
148
環境マネジメントシステム
廃棄物管理
6%
大気管理
化学物質・危険物
排水管理
騒音・振動
100
50
0
44
2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 [ 年度 ]
EBARA Group CSR Report 2008
*1【リスク・マネジメント・システム】 リスク・マネジメント・システムはグループ
会社までを対象としています。荏原の各カンパニーでリスクを包含する案件を審査
し、リスクの大きさに応じてカンパニーレベル、荏原グループレベルで対応するよ
うにしています。
*2【CEAR】 (社)産業環境管理協会 環境マネジメントシステム審査員評価登
録センター
環境教育、環境法規制遵守
従業員一人ひとりが環境意識を高め、自らの職務の中で
考え行動できるよう環境教育を行うとともに環境法規制
の遵守に努めています。
環境教育規定に基づく教育
環境教育規定に基づいて環境教育を行っています。全社
一般環境教育は、荏原の事務所・事業所に所属する従業
員(グループ会社、協力会社を含む)すべてが対象です。
講習会風景 廃棄物リスク・マネジメント教育
るよう、e −ラーニング方式を導入しました。また、経
環境貢献褒賞
営層を対象とする経営層環境教育、新入社員や中途入社
荏原グループ従業員の環境意識の向上と自主的な環境活
社員、昇格者などを対象とする階層別環境教育、内部環
動の動機付けを目的として、環境改善や環境保全に貢献
境監査員教育、さらに部門ごとの専門環境教育なども実
した技術開発に携わった社内外の個人やグループを表彰
施しています。
しています。2007 年度は、
「使用済みドキュメントファ
環境と荏原グループ
2007 年度はその講座をグループ会社従業員も受講でき
イルの再利用システム構築」
(下図)など、11 件の取り
組みが表彰されました。
全社一般環境教育の
e- ラーニング画面
グリーンサイクルファイル
の売上金の一部は
植樹活動に使われます。
廃棄物リスク・マネジメント教育
産業廃棄物処理業者の優良性の判断に係る評価制度の活
用推進や、現地確認の一層の徹底などは、単なる法令遵
守にとどまらず、企業の社会的責任であると考えています。
この考え方から 2008 年 2 月 15 日、廃棄物処理法の委託
使用済みファイルを「グリーンサイクルファイル」として社内で再利用する仕組みを構築
基準の確実な遵守を目的とする、廃棄物リスク・マネジ
環境法規制の遵守
メント教育を実施しました。受講者は荏原グループ各社
日々の監視、定期的な測定、環境審査と環境監査によっ
の廃棄物実務担当者 41 名で、講師として廃棄物処理コ
て環境法規制の遵守に努めています。2007 年度は、廃
ンサルタントの堀口昌澄氏(行政書士、アミタ株式会社)
棄物管理に重点を置いてコーポレート環境監査を実施し
をお迎えしました。講習会では、廃棄物処理委託契約書、
ました。その結果、廃棄物処理業者との契約が法に則し
マニフェスト
*1
の間違い探しという演習を通じ、委託
ていない組織が複数あることがわかりました。このため
基準の周知を図りました。出席者は、日頃の疑問を次々
廃棄物管理担当者のスキルアップと不法投棄や不適正な
と講師に質問し、活気に満ちた教育の場となりました。
処理の回避を目的に、廃棄物管理担当者への教育を実施
今回の教育を通じ、廃棄物の排出者責任をしっかりと踏
し、法に則した処理委託契約の徹底を図りました。また、
まえることの大切さが受講者に共有されました。荏原グ
荏原エンジニアリングサービス㈱が維持管理を行ってい
ループでは、法令遵守にとどまらない環境教育を企画し、
る施設(廃棄物処理施設や水処理施設)で自主管理基準
実施していきます。
値を超える不適合が 5 件、法規制値超過が 5 件ありまし
*1【マニフェスト】 産業廃棄物の排出事業者が処理業者に処理委託する時、不法
投棄の防止や適正処理の確保を目的に交付する管理票。
たが、いずれも是正を完了しています。
EBARA Group CSR Report 2008
45
環境会計、グリーン調達
環境に対する取り組みの投資効果や費用効果を知り、環境保全のための効果的資源配分を行ったり、皆様に荏原の環境へ
の取り組みを知っていただくため、環境会計を導入しています。環境省ガイドラインを参考にした集計方法を採用してい
ますが、上・下流コストは集計していません。
2007 年度環境会計
地球環境保全コストの設備投資が 2006 年度と比較して増加したのは、散水対策や省エネルギー対策を実施したためです。
「その他のコスト」として 2007 年 8 月から本格的に始まった藤沢事業所の焼却炉解体工事費を計上しました。焼却炉解体工
事は 2008 年度に完了予定です。
環境と荏原グループ
単位 :百万円(カッコ内は 2006 年度)
環境保全項目
公害防止コスト
設備投資
日常経費* 1
4(2)
地球環境保全コスト
57(18)
53(31)
0(1)
主な投資・経費
● 公害防止設備の維持費用等
● 節水対策
● 試験用電動機導入等
廃棄物の処理・再資源化
コスト
2(20) 257(214) ● 廃棄物の処理・再資源化費用
環境に関わる管理活動コ
スト
4(28) 252(234)
環境負荷低減のための社
会的取組に関するコスト
その他のコスト
0(0)
38(57)
● ISO14001の維持審査及び更新審査費用
● 環境監査の監査員人件費等
● 荏原グリーン基金による緑化活動
● 環境レポート制作費、環境広告・宣伝費等
0(0) 211(102) ● 藤沢事業所の焼却炉解体工事費等
合計
主な効果
法規制、協定、自主基準の遵守
排水量削減、エネルギー使用量の削減
最終埋め立て処分率の低減
環境マネジメントシステムの維持、改善、
環境リスクの回避
緑化推進、社員の環境保全意識向上
ステークホルダーとのコミュニケーション
ダイオキシンの環境リスク回避等
66(68) 811(639)
環境保全を目的とした研究開発費 (環境会計システムとは別に集計)
2007 年度は、全研究開発費のうち、予算ベースで約 37.7%を環境維持・改善関係技術、省エネルギー、新エネルギー技術開発に充てました。
対象期間:2007 年 4 月1日~2008 年 3月31日
対象組織:荏原単体(品川事務所、羽田事業所、藤沢事業所、袖ケ浦事業所、鈴鹿事業所)
*1【日常経費】減価償却費は費用に含まれていません。
2007 年度グリーン調達実績
文具事務用品
グリーン購入の拡大を目的の一つとして、荏原グループ11 社 * が電子購買システムを利用しています。2007年度のグリーン購入率は
62%でした。
*:荏原、㈱荏原エリオット、荏原エンジニアリングサービス㈱、㈱荏原シンワ、荏原テクノサーブ㈱、荏原ハマダ送風機㈱、
荏原環境エンジニアリング㈱、荏原機電㈱、㈱荏原電産、㈱荏原由倉ハイドロテック、荏原冷熱システム㈱
各社の支社・支店・営業所などの一部では電子購買システムを導入していないところもありますが、グリーン購入の促進は行っています。
OA紙
コピー用紙には、古紙配合率100%、白色度 70%の製品を採用していましたが、古紙配合率100%に満たない OA 紙が納入されていた
ことが2008年1月に判明しました。資源有効利用の観点から在庫品は使い切ることとし、以降は古紙配合率70%の商品やFSCミック
ス紙の採用を検討しています。
社用車
1595台中1141台の低公害車* を使用しています。(調査対象会社:荏原、荏原冷熱システム㈱、荏原エンジニリアリングサービス㈱、
㈱荏原由倉ハイドロテック、荏原テクノサーブ㈱)
*:低公害車:天然ガス車、電気自動車、ハイブリッド車、低燃費・低排出ガス車、LPG 車(電気自動車と LPG 車の使用実績は、
2007 年度はありません。)
ユニフォーム
荏原グループのデスクワークの従業員に支給されるユニフォームはペットボトルを原料とするエコマーク認定品です。
パソコン
標準パソコンはすべてグリーン購入法適合品、国際エネルギースター準拠品です*。
*:ITエンジニアリング㈱(荏原グループ会社)が荏原、荏原機電㈱、荏原バラード㈱、荏原バイロンジャクソン㈱、㈱荏原エリオット、
荏原冷熱システム㈱、荏原環境エンジニアリング㈱、荏原工業洗浄㈱に配備する標準パソコンはすべて同仕様です。
■荏原グループグリーン調達ガイドライン
①環境適合設計を推進し、その結果としての購入仕様に則ったグリーン調達を行います。
②環境適合設計に基づく個別の購入仕様に加えて、すべての取引先への共通要求事項を定め、ご協力を求めていきます。
③文具、事務機器、OA/IT 機器類は、環境に配慮された商品を調達します。また、社会的な関心事にも配慮してグリーン調達を行います。
④価格、品質、納期に加え、取引先環境管理調査の結果を踏まえて、調達先を決定します。
⑤製品・サービスのライフサイクル全体の環境負荷及び環境リスクを低減するために必要な環境情報を入手し、顧客に提供します。
http://www.ebara.co.jp/csr/management/green_procure.html
46
EBARA Group CSR Report 2008
環境保全活動
省エネルギー、廃棄物削減、化学物質排出量削減を実施
銅廃液は、銅分離濃縮装置を導入しない場合に比べて
し、環境保全に取り組んでいます。
1/100 以下に減容され、銅を分離した後の処理水も法規
制値を十分にクリアしました。今後もこの装置を使用す
試験用の電動機導入による省エネルギー
ることにより、銅廃液の削減を推進していきます。
㈱荏原エリオットの主力製品である遠心圧縮機の性能試
現在は、処理水を藤沢事業所の終末排水処理場で更に浄
験動力は袖ヶ浦事業所のエネルギー消費の約60%を占め
化していますが、今後は事業所内で再利用し、水資源の
ています。圧縮機の駆動機は蒸気タービンが主流で、性
有効利用を図ることも検討していきます。
能試験にも蒸気タービンが多用されてきました。蒸気
環境と荏原グループ
タービンは操作が容易で信頼性も高い反面、蒸気源に大
型ボイラが必要なことから、多量のエネルギーを消費し
ます。
大型電動機の信頼性向上や海外の発電事情の向上などに
より、圧縮機の駆動に電動機を使う例が増え、試験用駆
動機を電動機とする環境が整ってきたため、袖ヶ浦事業
所では 1,000kW〜10,000kW の試験用電動機 4 種を2006
年度迄に導入し、約 3 分の 1 の性能試験を電動機で実施
した 2007 年度は、総試験動力を導入前より約 30%削減で
銅分離濃縮装置
きました。今後も電動機駆動による試験を増やすことで、
化学物質排出量の削減
省エネルギー、温室効果ガス排出量の削減に努めます。
荏原では、製品を塗装する場合、塗装面の埃や油脂を取
り除くために、キシレン* 1 などの VOC(揮発性有機化
合物)を含んだ化学洗浄剤を使用しています。その使用
量を削減するため、2007 年度は、蒸気を噴霧して製品
表面の埃や油脂を取り除く蒸気洗浄機を羽田事業所に導
入しました。
蒸気洗浄は、化学洗浄と比較すると作業時間が長く、油
脂の除去性能の点でも、全ての洗浄作業に採用すること
は困難ですが、ポンプ本体やケーシングなど大きな部品
試験用電動機と圧縮機
に利用し、VOC排出削減に努めます。
*1【キシレン】
PRTR 法対象の化学物質。
銅イオン分離濃縮装置による銅廃液の削減
荏原では、半導体製造装置事業の伸張に伴い、藤沢事業
所内に新たに銅バンプめっき装置を増設しました。藤沢
事業所では、終末排水処理場の受入水質基準を超える排
水を産業廃棄物として処分していますが、この装置の本
格稼動時に銅廃液の発生量の大幅な増加が予想されたた
め、その削減対策を図る必要がありました。
荏原が独自に開発した電気透析法による銅分離濃縮装置
を 2007 年 12 月に導入しました。この装置は、新開発の
イオン交換体を併用して、銅分離性能を高めるもので、
蒸気洗浄作業
EBARA Group CSR Report 2008
47
環境データ
2006 年度までは非連結会社を含む日本国内荏原グループ会社を中長期環境ビジョン達成の対象とし、主な環境負荷は
ISO14001 登録組織を対象に目標管理を行ってきました。2007 年度からは荏原グループ目標(2010 年)達成の対象組織
を荏原と国内連結子会社*1 としました。2007年まで環境レポートで公開していたデータから、非連結会社( ㈱クリーンシステム、
中部リサイクル㈱、㈱ジェイチーム)を除いた数値及び目標値をCSRレポートでは公開します。
2007 年度排水データ(河川・海域等公共用水域に放流している水質汚濁防止法特定事業場)
単位:kg ( )は 2006 年度データ
BOD 排出量 COD 排出量 窒素排出量 りん排出量
208
(184)
- (-)
7
(3)
243
(186)
76
(59)
9
(10)
1,787
(1,341)
156
(177)
4
(9)
荏原エンジニアリングサービス㈱
袖ヶ浦薬品事業所
(-)
70
(79)
73
(128)
㈱荏原金属
(-)
19
(21)
11
(7)
藤沢事業所
環境と荏原グループ
荏原 袖ヶ浦事業所
鈴鹿事業所
※排水基準値を遵守しています。
27
(13)
5
(4)
5
(0)
備 考
引地川に放流。
東京湾に放流。
2006 年度のりん排出量を修正しました。
農業用水路に放流。
3
東京湾に放流。
(1)
0 今井運河に放流。
(0) 袖ヶ浦市との二者間協定に基づく分析、測定を実施。
BOD:Biochemical Oxygen Demand 生物化学的酸素要求量
COD:Chemical Oxygen Demand 化学的酸素要求量
2007 年度大気汚染物質排出データ(大気汚染防止法特定事業所)
単位 :kg ( )は 2006 年度データ
ばいじん
NOx排出量 SOx排出量
排出量
27,170
894
978
(25,503)
(813)
(1,133)
1,841
0
0
(1,892)
(46)
(68)
0
0
0
(0)
(0)
(0)
藤沢事業所
荏原
袖ヶ浦事業所
㈱荏原金属
※大気汚染防止法の基準値を遵守しています。
備 考
売電用発電所 他
第二発電所は2007年4月1日付で廃止しました。
従ってSOxとばいじんの排出は無くなりました。
鉄を溶かす溶解炉
熱源が電気のため検出していません。
*荏原 藤沢事業所は売電用発電所排出分を含みます。
廃棄物
マテリアルリサイクル率と最終埋立処分率の推移
廃棄物量とマテリアルリサイクル量の推移
[千t]12
[%]100
11.4
10.7
9.9
10
グループ会社(連結)
廃棄物量
10.5
7.9
8
6.4
6
6.2
80
荏原
廃棄物量
荏原
マテリアルサイクル量
4
92.2
93.2
95.3
マテリアルサイクル率
95.0
マテリアルサイクル率
目標 95% 以上
60
50
40
30
10
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010 [ 年度 ]
0
最終埋立処分率
目標 3% 未満
最終埋立処分率
20
2
0
91.5
70
グループ会社(連結)
マテリアルサイクル量
6.4
90
5.5
5.3
4.5
3.4
2004
2005
2006
2007
3.0
2008
2009
・廃棄物:荏原グループの事業活動により排出され、社外に処理(再利用、再資源化を含む ) を委託する排出物。但し、浄化槽汚泥と医療廃棄物を除きます。
・マテリアルリサイクル量:再資源化や再利用のために、社外に処理委託した量。但し、焼却による熱回収を除きます。
・マテリアルリサイクル率:[マテリアルリサイクル量/(マテリアルリサイクル量 + 最終埋立処分量 )] × 100(% )
・マテリアルリサイクル率の目標は、2004年度以降90%以上を達成しているため、2007 年度に 95%に引き上げました。
・最終埋立処分量:排出後そのまま直接埋立処分される廃棄物の量と、中間処理後再利用、再資源化されず埋め立てられる残渣の量。
・最終埋立処分率:(最終埋立処分量/廃棄物量)×100(%)
・最終埋立処分率は処理費などを勘案し、目標達成に向けて努力しています。
48
EBARA Group CSR Report 2008
2010 [ 年度 ]
CO2 排出量の推移(電力・燃料由来)
[千 t]60.0
50.0
荏原
45.0 45.0 46.0 44.9
47.4 46.9
51.3
グループ会社(連結)
目標値
40.5
目標基準年を2000年度
としているため、排出係
数は2000年時点の地球
温暖化対策推進法施行
令の0.357kg-CO2/kWh
を適用しています。
30.0
20.0
10.0
[m ] 800
荏原
3
739
700
49.1
40.0
652
600
613
552
586 588
566
グループ会社
(連結)
616
500
665
目標値
400
300
200
100
2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010[年度]
・2007年度は、電力監視システムや試験用圧縮機の駆動用に電動機を導入したこと
などで2006年度よりCO2 排出量を4%削減しました。
0
環境と荏原グループ
0
上水・工業用水・地下水使用量の推移
2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010[年度]
2007 年度より荏原グループ目標(2010 年)達成対象組織を国内連結グループ
会社としたことにより、上水・工業用水・地下水使用量は目標に達しました。
・2008年5月には荏原の羽田事業所事務棟と3ヶ所のビルに分散していた品川事務所
目標値の見直しを 2008 年度に行います。
を新本社ビルに集約し、省エネルギー効果が見込まれます。
・荏原の羽田工場を2010年までに千葉県富津市に移転する計画では、環境対策を建
設コンセプトの1つとしてCO2 排出量削減にも取り組みます。
・その他業務手順の見直しや日常的な省エネルギー活動で、
CO2 排出量削減に努めます。
PRTR 法対象物質* 2
取扱量の推移
排出量の推移
[t]350
荏原
322
300
275
250
200
232
253
285
269
グループ会社(連結)
[t ]100
90
*3
80
243
70
207
85.8
80.5
79.3
66.4
71.4 67.9 75.4 75.9
目標値
64.4
60
50
150
40
30
100
20
50
0
10
2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010[年度]
0
2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010[年度]
排出量のうち VOC 排出量の推移
[t]100
90
80
70
60
80.5
75.2
66.3
79.2
67.6
64.6 69.9
72.8
目標値
56.3
・PRTR 法対象物質の取扱量は、精密・電子事業カンパニーの事業伸張に伴い
2006 年度より増加しました。
50
・VOC の排出量は、風水力機械カンパニーの製品塗装や洗浄工程に使用する
40
トルエン、キシレンが全排出量の大半を占めています。塗装や洗浄工程の改
善を検討しています。
30
・2000、2001 年度は一部グループ会社の推定値を含みます。
20
・取扱量:PRTR 法第一種指定化学物質(特定第一種指定化学物質を含む)の使
用量。
10
0
・排出量:大気、水域、土壌など環境へ排出された量。
2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010[年度]
・VOC:Volatile Organic Compounds
* 1 43ページ「ISO14001登録組織一覧」の組織番号①~⑭及び荏原バイロンジャクソン㈱、荏原機電㈱、㈱日設、㈱荏原湘南スポーツセンターを含む 18 組織。
*2 【PRTR 法】 特定化学物質の環境への排出量の把握及び管理の改善の促進に関する法律。
*3 【285】 荏原とグループ会社の配分を修正しました(トータル量は変わりません)。
EBARA Group CSR Report 2008
49
地域の皆様から
地域社会との交流を通じて皆さまからいただいたご意見やご感想は、荏原グループの活動の励みになり、また反省や今後の活動の糧
となります。2008年1月、荏原藤沢事業所に「はたらく人々」の勉強に来られた鵠南小学校の皆さまからメッセージをいただきました。
工場見学会に参加して 参加児童からのメッセージ
VOICE
こうなん
藤沢市立鵠南小学校校長
中條 典子 様
谷岸奈津子さん
いつもは水道の中にあって見えないポンプが見えて
2008 年 1 月に、本校 3 学年の児童 119 人と教師 6 人が畠山文化
よかったです。ポンプが本当はとても身近なもので、
財団主催の荏原製作所藤沢工場見学会に参加できたことにつき
私たちの生活にとって大切なものだということが分
まして、感謝申し上げます。ありがとうございました。
かりました。ありがとうございました。
本校は、子どもたちの豊かな成長を願って、地域の力を教育活
動に積極的に活用しています。子どもを取り巻く学校、家庭、
VOICE
地域の方々や自然環境などが、子どもの人間形成や望ましい人
間関係づくり、内面の醸成などと深く関係していると、考えら
れるからです。
今回の見学では、日頃なかなか見られない児童の主体的な姿、関
平田悠華さん
心の広がりや高まり、人に対して親切な接し方が見られました。
また、子どもたちは、工場の広さが学校の 40 倍であるという驚
きから入って、安全で効率的、環境にも配慮した生産の工夫や、
使う場所によっていろいろな色や大きさがあるポン
プを一つ一つ手作業でていねいに作っていることが
もの作りに取り組む方々の温かさと真剣さに触れ、自分たちの
分かりました。これからも世界に役立つ新しいポン
生活が地域の企業の生産活動に支えられていることに気づくこ
プを作ってください。ありがとうございました。
とができました。今後も、地域の学校教育活動にご理解とご協
力をお願い致します。
主催者から
(財)畠山文化財団
常務理事・事務局長
長田 憲幸 様
当財団は、荏原の創業者、畠山一清により設立され、
説明を
熱心に聞く児童
毎年各種の助成を行っています。2007 年度より首都
圏の小中学校への教育助成として荏原の羽田工場と
藤沢工場の協力を得て工場見学を開催し、4 校が来
場しました。参加された鵠南小学校の皆様からこの
ようなメッセージを頂き、大変力づけられました。
2008 年度も数校に来場いただく予定です。息の長い
活動を続けて行きたいと思っています。
50
EBARA Group CSR Report 2008
第三者所感
立命館大学
量の視点から検討すると新たな創意工夫が生まれる余地
経済学部教授
もあるのではないでしょうか。
島田 幸司 様
一方、低炭素社会に向けた取組みは、目に見える形で効
果が現れるまでには至っていないという印象を受けまし
環境省在職時代には京都議定書交渉に
た。原単位目標ではなく排出総量目標を掲げ、2010 年
深く関り、現在も環境政策や地球温暖化
度に 2000 年度比で CO2 排出量を 10%削減するという姿
対策を専門分野として活躍されています。
勢は評価できますので、目標達成に向けたCO2 削減委員
CSR レポートとしては第 1 号の発刊となる本レポートは、
会での思い切ったご検討を期待します。
2007 年度までの環境レポートを大幅に刷新し、環境分野
さまざまな日常的な対策や設備投資の成果を可視化する
での取組みに関する情報は維持しながらも、さまざまな
ことも、行動の動機づけや投資の優先順位づけのために
ステークホールダとの信頼醸成に意を尽くしていると感
は欠かせません。このような観点から、環境会計では、
じました。これは冒頭の社長メッセージに明確かつ力強
環境負荷削減効果の定量化や経済効果の推計にもぜひ取
く表現されています。内部統制やコンプライアンスとい
り組んでいただきたいと思います。
う大前提のもと、産業機械メーカとしてのこだわりや本
今回のレポート作成にあたっては、まずは社員に読んで
業の業績向上を通じた社会・環境貢献を前面に押し出し
もらい会社の現状や方針をよく理解してほしいという狙
だしたことは、荏原グループが新たな時代に向けて舵を
いがあったと拝読しました。他方で、全般的にはもっと
切ったものと拝察しました。
顧客に対する視線があってもよかったのではないか、顧
このような新たな時代に立ち向かおうとする荏原グルー
客の立場からみれば改善の余地はたくさんあるのではな
プの地道な努力の成果が、コンプライアンスアンケート
いかという感想をもちました。このような観点からみて、
の回答率の向上に現れ始めています。また、コンプライ
昨年度の環境レポートに対する社外からの意見が 8 件に
アンス・リエゾン制度が 2007 年度に導入されるなど、
留まったことは、レポートに期待されるコミュニケー
問題の早期発見・解決の仕組みを整備しつつある点にも
ションツールとしての役割からみてやや物足りないと考
注目したいと思います。
えられます。ホームページや環境展示会等のイベントを
循環型社会形成のための取組みの面では、マテリアルリ
活用しながら、意見交換を促進する仕掛けづくりを考え
サイクル率や最終埋立処分率に関するチャレンジングな
てみてはいかがでしょうか。
目標の達成は目前となっており、たゆみない努力の賜物
最後になりますが、記念すべき第 1 号となる CSR レポー
と評価できます。これらの指標による評価では限界に近
トの発刊を機に、荏原グループが一体となってレポート
いところまで対策が進んでいると考えられますので、次
に表明された方針で行動することにより、社会からの信
のステップとして、インプットする物量や廃棄物総排出
頼を確固たるものにされることを祈念します。
第三者所感を受けて
(株)荏原製作所 取締役専務執行役員
CSR 担当 神谷 葊
て認識しております。
貴重なご意見をいただき、どうもありがとうございます。
2012年竣工予定の新工場(千葉県富津市)には、環境対
コンプライアンスに関しては、ご評価をいただきました
策を講じます。又、既存の事業所においても製造活動や
コンプライアンス・リエゾン制度や経営層自らのコンプ
日々の業務の見直しと改善による省エネルギー活動を続
ライアンス宣言などでその浸透を図り、徐々に成果が現
けて参ります。CSR レポート制作委員会はレポート制作
れて来ております。コンプライアンスのための活動は継
を通じて荏原グループ内に CSR 意識を醸成することを目
続して実施して参ります。
的としております。顧客をはじめ、荏原グループと関わ
環境面については、インプットするものにも着目して、
る皆様とより良い関係を築いていくためのコミュニケー
埋立最終処分率の目標達成に向けて更に努力して参りま
ションツールとして本レポートの改善を図るとともに、
す。ご指摘いただきました、低炭素社会に向けた取組み
いただいたご意見は社内で充分検討し、CSR 活動推進に
につきましては、荏原グループの最重要課題の一つとし
役立てていけるよう努力いたします。
EBARA Group CSR Report 2008
51
プロテニスプレーヤー
高岸知代選手
荏原湘南スポーツセンター
ジュニアテニスアカデミー 選手育成コース 卒業生
株式会社荏原製作所はチーム・マイナス6%に参加しています。
古紙のリサイクルに取り組むオ
フィス町内会と、森林の再生に
取り組む岩手県岩泉町との連
携により実現した「森の町内会
―間伐に寄与した紙―」を本文
用紙に使用しています。
〒144-8510
東京都大田区羽田旭町11-1
TEL (03)3743-6111(大代表)
FAX (03)5736-3103
e-mail:[email protected]
http://www.ebara.co.jp
ご意見・お問合せ
インキは環境負荷の小さな、
植物性大豆インキを使用しています。
CSR統括部
95-023-J01
3033①JH-H(DE)NK