第 13 回 36 年振りのフロリダ酒井 IT ビジネス研究所代表酒さか井寿紀いとしのりした、キッチン、食器付きの小さム・ビーチの空港には長距離便がなモーテルで自炊していました。入ってなく、いつも100キロメート今から 40 年以上も前の話ですできたらまたそこに泊まりたいとルあまり離れたマイアミ経由だっが、1965 年に、私が勤務していたいうのがみんなの希望でした。イたので、よくそこのホテルに泊会社で、私を含めて8名の人が米国ンターネットで調べると今でもそまったからです。フロリダ州のウェスト・パーム・のモーテルがあることが分かったビーチにしばらく滞在していましので、そこに電話をかけて8部屋予た。そこにあった RCA 社の工場約しました。予約の話が済むと管こうして、2001 年 5 月某日、わで、コンピュータの共同開発プロ理人が、「ところで、どうしてここれわれはフロリダへ出かけました。ジェクトに従事していたのです。に来るんですか」と聞きます。長ウェスト・パーム・ビーチの空港その後状況が変わって、そこを期滞在する家族用のモーテルで、に着くと、レンタカー2台に分乗し訪れることはなくなり、われわれ外国から予約の電話が入ることなてトロピカル・アイルへ向かいま 8 人は顔を合わすたびに、「もう一どまずないのでしょう。まして日した。そのモーテルがある島に渡度みんなであそこに行ってみたい本からの電話に大変驚いた様子でる橋は、新しい大きな橋に変わっね」と話し合っていました。どうした。そこで、昔そこに泊まってていました。しかし、トロピカル・も人間というものは、歳をとるといたことなどを話しました。そしアイルは「基本的に同じ」どころ若いときに過ごした場所に行ってて、おそるおそる、「ところでトロか、まったく昔のままでした。まみたくなるもののようです。そこピカル・アイルは昔のままですか」わりのホテルはずいぶん変わってで、2001 年に、当時とまったく同と聞きました。名前は同じでも、建いるのに、トロピカル・アイルだじメンバーで、36 年振りにそこを物や部屋がまったく変わっていたけは建物や部屋の汚れ具合まで昔訪れることにしました。ら、わざわざそこに泊まる意味がと変わっていませんでした。当時は、われわれは「トロピカないからです。「基本的には同じで翌日は、何はともあれ、昔仕事ル・アイル」という、大西洋に面す」という返事を聞いて一安心しをしていた RCA の工場があった「どうしてここに来るんですか」モーテル「トロピカル・アイル」の中庭 2 36 年前にタイムスリップました。ところへ行ってみました。RCA はこのモーテルで 1970 年代にそこから撤退したの 3 泊して、前に仕で、もう跡形もないかも知れない事をしていた工場と思っていました。車で近づくと、や、食事をしたこその付近の道路は大幅に変わってとのあるレストラいて、われわれの心配は募りましンなどを訪ねる予た。しかし、そこへ着くと、何と定にしました。そ建物は昔のままの姿で残っていまのあと、マイアミした。工場の大きい建物は、現在で 2 泊することには貸しビルになっていて、多くのしました。昔はテナントが入っていました。われウェスト・パーわれは、建物の中を歩き回って、こ MS TODAY 2008 年 1 月号の辺で仕事をしていたとか、この喜んでスピードを出しすぎ、警察辺にカフェテリアがあったとか思に捕まった人もいました。私は当い出話に花を咲かせました。時日本の免許証しか持っていませトロピカル・アイルも昔のまま、んでしたが、警察に聞いたところ、 RCA の工場の建屋も昔のまま、そ短期滞在ならそれで構わないといして、同行の 8 人も昔のままです。うことだったので、車の運転もしそのため、われわれは 36 年前にタました。しかし、日本の免許証だイムスリップしたような錯覚に襲と、もし捕まっても、警官には免われました。昔に比べるとわれわ許証か会社の従業員証かの区別されも歳をとり、40 代だったわれわえつかないはずです。成人なら車れのボスは 80 歳になり、入社したの運転ができるのが当たり前で、てだった私も 60 を超えていまし免許証など重視してないことを再た。しかし、お互いの歳の差はまっ認識しました。たく変わってないので、お互いのマイアミではホテルのディ関係も36年前に戻ってしまいましナー・ショウを見ました。それは、いると、雰囲気が昔とまったく違た。 3 6 年前の忘れられない思い出がいました。昔は年配の夫婦がプー当時、われわれは海外生活の経あったからです。その時、一番前ルにゆったりと浮いていて、「どこ験がなく、唯一の経験者だったボのテーブルで見ていると、若い細から来たんですか」と聞くので、スから、英語の使い方からチップ身の歌手が突然同行者の一人を舞「日本」と答えると、「ラフカディの払い方まで教えてもらっていま台に招き上げて顔中にキスしたのオ・ハーンを読んだことがありました。その関係がよみがえってしです。ところが今回の歌手は、恐す」などと話していました。しかまい、今回も、何から何までボスろしく太った年増の女性でした。し、今はスピーカーからジャズの頼りになってしまいました。そし昔は細かったけど、今はこのよう演奏が流れ、子供がキャーキャーて、議論好きの人は、昔と同じよにフィレ・ミニョンみたいになっ騒いでいます。そして、アフリカうに、何かにつけて議論を戦わせてしまったとか、自分の身体をネ系やラテンアメリカ系の客がやたていました。われわれの気分もタにしてさんざん笑わせました。らと多いのです。昔は、客はみんすっかり36年前にタイムスリップそして、信じられないことが起きな白人で、アフリカ系の人は従業してしまいました。ました。またしても、36 年前と同員だけでした。フロリダではまだじ人が舞台に引き上げられ、次の人種差別の名残が色濃く、レスト歌の間中、ずっと胸に抱きかかえランのトイレが別になっているとウェスト・パーム・ビーチで 2 られていたのです。36 年振りに来ころもありました。毎年のように泊した後、マイアミまで大西洋岸て同じことが起きるとはまさに来ていた西海岸ではあまり変化ををドライブしました。もちろん自「ギネスブックもの」でした。帰り感じませんでしたが、36 年振りに動車道路もあるのですが、景色が道に私は言いました。「どんなにキフロリダへ来て、この間のアメリよくないので、ヤシ並木がある大スされても抱きつかれてもパニッカ社会の変化を痛感しました。西洋岸の道をできるだけ使いましクに陥らずに平然としていられるこうして36年振りのフロリダ旅た。人を、大勢の観客の中から一目で行はあっという間に終わってしま 36 年前の日本では、自動車道路見抜くとは、さすがにプロの目はいました。米国には、この 36 年間としてはじめて名神高速ができた違う」に大きく変わったところとまったばかりだったので、フロリダの平マイアミのホテルで、プールサく変わってないところがあるのだ地を一直線に伸びる自動車道路にイドのデッキチェアに寝そべってとつくづく思いました。 ■ すっかり変わったプールサイド Vol. 17 No. 1 著者紹介酒井寿紀酒井ITビジネス研究所代表（E-mail：[email protected]）ウェブサイト「Tosky World」 http://www.toskyworld.com/ 3