国際政治理論 I (マクロ) 講義メモ

2 0 0 2 年度
4/12
国際政治理論Ⅰ講義録
第1回
国際政治学とは?
国際政治学はよくわからない⇒なぜか?
●国際政治学の3つの謎と矛盾●
謎
1)“国”とは何か
例:私たちは日本人である。しかし、日本という国はどうして日本なのか?
日本・・・法律的に領土などがあるだけ。定義は出来るのだろうか?
“国”という概念は見えなくて、とりとめがない。つかめない。
国際政治学は“国”から出発する。しかし私たちはそれが何なのかわからない。
2)参加することが出来ない
政治家であるならともかく、私たちは参加することが出来ない。
3)国際政治学は役に立たない
c.f.
経済学、社会学、心理学など
・・・人間なら誰でも関与していて、それを研究すれば
何かしらの益になる内容
しかし、国際政治は学んでも役には立たない。
矛盾
国際政治のマクロとミクロ
c.f.
経済学はミクロ(個人レベル)が aggregate(集積)するとマクロ(国家
レベルとなる。
しかし、国際政治はマクロから始まる。
⇒それは“国”を個人として見ているから。“国”とりとめない、つかめないも
のなので、個人のアナロジーを用いている。
つまり、国際政治学はミクロそのものがマクロである・・・矛盾点
国際政治学はこの3つの謎と矛盾点を抱えている。
これを解決しない限り、国際政治学をわかったとはいえない。
●国際政治学へのアプローチ●
従来
1)地理、歴史
2)アメリカ型論理実証主義
データやモデルをベースに実証的に論理を確立する。
イギリス型規範的学問
1)をベースにして、国際政治上の規範的問題を考える。
3)第3の国際政治学・・・実定的国際政治学
実定的・・・“そこに存在している”(positivistic)
例:源氏物語などの文学。大昔の作品だが今でもずっと存在している。
国際政治学は実定的ではない。科学であるかもわからない。
⇒国際政治学を実定的なものにする。
(つまり、3つの謎と矛盾を解決する)
それを行うために
1)“国家とは何か”は個人のアナロジーで考える。
★国際政治学の3つのパラダイム
①Balance Of Power(BOP)
(勢力均衡論)
②Complex Independence
(相互依存論)
③Hegemonic Stability
(覇権安定論)
これらが理解できるのは私たちの中にアナロジーがあるから。
国際政治学は国=個人と考えるから、私たちの中のアナロジーから
国際政治学を一応理解することが出来る。
そして、アナロジーは私たちの人生、暮らしの中に存在している。
例:就職活動
(勢力均衡)
テスト前のノートの貸し借り
(相互依存)
家庭の中でお母さんが一番強い
(覇権)
2)“参加できない”分は擬似的に参加する。
特徴的なものを投影して、
現実
机上で模型的に考える。
イスラエル
この中では私たちは参加で
パレスチナ
きる。
マイクロ・コスモ
3)“役に立たない”のなら、“自分だったら∼する”というように方策を考える。
マイクロ・コスモの中で自分なりの方策を考える。
4/19
第2回
Subject: 国際政治理論を考える際の 2 つのポイント
① power
② political economy(IPE: International Political Economy)
(注)4 月 19 日の講義では、【power】のみ解説。
□ power
社会学の political sociology 政治社
(1) 影響力の分析 relational and behavioral
会論
影
by Robert Dahl
響
A
B
influencer
influencee
10 回 task を要求
3 回 task を実行
権力論・アメリカ型論理実証主義に
影響を与える。
Q. アメリカの社会学者の問い。
「政治学は大統領選挙の結果を予想
relational and behavioral:
することさえ出来ない。どう説明を
A と B の関係&A から B への要求
つけてくれるんだ?」
A の power=3-α/10 (α:B が自発的に行為
A. 統計学的(data/model)アプロー
をした回数)
チで解決。
(例)母が子供に 10 回宿題をしろと要求。
Y=aX1+bX2+cX3+…
α=子供が自発的に宿題に取り組んだ回数
Y: 得票の確立
X1: 収入
(2) ソフトパワー by Joseph. S. Nye
⇒
X2: 教育
soft power ⇔
hard power
X3: 人種・宗教
文化・技術
軍事力・経済力
⇒model を作りながら実証していく
∴アメリカ型論地実証主義は、形式
(3) 構造的 power by Susan Strange
社会制度:人々の生活のプログラム
行使↓Structural Power
他の国にも同じ System を誘引する。
的・数学的。
⇔イギリス型規範主義: 記述的(言
葉の model)
(例)New Liberal Imperialism 新帝
国主義論 by ロバート・クーパー
soft power≒structural power
cf. www.observer.co.uk/worldview/
(例)Afghanistan でのアメリカの勝利
a. ポストモダン
アメリカと同盟国の共通の System
↓
b. 近代
国家を分類。
c. 前近代
タリバン・アルカイダの支配する System
a: EU、戦争をしない特徴
からの脱却。民主化プロセスを誘引。
b: China, India、戦争(軍事力)が大
きなウェイトを占める。
c: totally forgotten state, failed
human security: 人間の安全保障
state、アフガニスタン
前国連高等難民弁務官(UNHCR)緒方貞子
公共財の投下
national security(安全保障論): 国家は領土
を持つ(land state⇔trading state), 国民がい
る。国家と国家の関係である
a
c
積極的に介入(≠搾取)
4月26日( 金)
第3回
1) 秩序・・・「秩序」とは何か?
Bull の説】
【Hedley
アナーキカル・ソサイエティ
国内では共通の Goals がある
・ 生命の安全
・ 所有の保持
国内では警察・法・軍隊が、これらの目的を達成するために機能する。
したがって、国内はアナーキーではない。
しかし、国際社会では秩序のために機能する統治機構がない。
(国連、国際司法裁判所は統治機構として十分ではない。)
だから、国際社会はアナーキーな状態。
ブルのいう秩序とは行動のパターン
つまり、共通の Goals を獲得するための行動パターンこそが秩序である。
【David Held】
コスモポリタン・デモクラシー(cosmopolitan democracy)
・デモクラシーとは市民が共通の Goals の達成を政府に委任すること
・国際社会は確かにアナーキー状態であり、地球規模のデモクラシーは存在しないが、
コスモポリタンデモクラシーは存在する。
2) 政治と経済の関係
【グローバリゼーション】
・ 人、もの、金が国境を越えて交流する
・ 情報
金と結びつくことで結局グローバリゼーションを支えている
【多国籍企業の登場】
これから、ラテンアメリカなどで従属論(ディペンデーシアが)発展
従属論とは土地や人件費などがやすい場所に多国籍企業が進出することによっ
て、その土地の人々がグローバリゼーションに組み込まれていくといいうこと
*世銀派
・キンドル・バーガ
・サックス
・スティゴリン
グローバリゼーションとは富める国々の世界化であり、貧しい国々はこのような状況
の中にあってはますます貧しくなっていく。だから世界銀行がこれらの国々を救済す
る必要がある
*南北問題
国際政治上の問題としてかつてからあった。政治と経済の関連問題の顕著な例。
【経済と政治の関係】
互いに相関関係があるとするのがアメリカ型モデル。以下は経済が政治を決定すると
いう論者。
*ノードハウス
ポリティカルビジネスサイクル
経済と政治は互いに影響しあう。例えば、支持率、投票率、任期など
*リチャードソンモデル
軍備増強の度合い=(敵国の軍備状態)−(その国の経済状態)+(相手国に対する国民の敵意)
結局、政策につながる
*シュークリ・ノース
自国の生産力が高まれば外部拡張主義へつながる
*K・ウォルツ
日本は経済大国だから核武装すると予測
しかし、現実はそうではない
5月10日(金) 第4回
※ 政治と経済のリンク(承前)
ノードハウスの学説としてはフィリップスカーブの他に、もう一つモデルがある。
失業とインフレの関係を示す曲線がx=y軸に沿って螺旋を描く、フィリップス・カールがあ
る。これは、デフレスパイラルを示している。
失業
O
失業
インフレ
<フィリップス・カーブ>
インフレ
<フィリップス・カール>
また、景気変動に政治が関わっている事例として、景気変動の指標の1つであるインフレ率に、
大統領選挙が影響を与えているという研究もある。
■国際関係論における3つのパラダイム
※ パラダイムとは何か
パラダイムとは、自然科学史家のトーマス・クーン(Thomas Kuhn)が一般に広めた科
学用語である。
科学史学上では、クーンとカール・ポパー(Karl R. Popper)の主張が対立している(そ
れぞれの主張を採る論者をクーニアン、ポパーリアンと呼んでいる)。
その主張の相違点は、科学の進歩に対する見方である。
◆ポパーリアン:科学の進歩を漸進的な、エボリューショナルなものとして捉える
◇クーニアン:科学の進歩を「科学者集団(Scientific Community)」の形成に求める。
「科学者集団」が形成されると、そこで様々な説や概念が議論され研
究されて、理解と研究が深まって科学の進歩が促される。しかし、まっ
たく新しい理論が出現し、既存の概念では説明出来ない「特異現象
(anomaly)」が生じると、それにあわせて新たな「科学者集団」が形成
され、研究をすることによって「特異現象」が理解され一時的に解消さ
れる。
その「科学者集団」に共通する思考体系、思考の枠組がパラダイムで
あり、「科学者集団」の変位が「パラダイム・シフト」である。
ex)ニュートン力学で説明出来ない光や電子の運動(例えば物体の移動速度の上限
が秒速30万㎞であること)を、アインシュタインの相対性理論という新たなパラダ
イムで説明する
国際政治学の3つのパラダイム
① 勢力均衡論(バランスオブパワー)―闘争的、ホッブズ的世界(万人の万人による争い)
M・カプラン、H・モーゲンソー、H・キッシンジャー
②
複合相互依存論―グロティウス的、カント的世界観(国家は理性的にやれば争わずにすむ)
ナイ、R・クーパー、コイヘン
③ 世界システム論(覇権安定論)―ウォーラスティン的世界観
G・モデルスキー、I・ウォーラスティン、マルクス
世界均衡論(バランスオブパワー)
権力が均衡であれば、戦争は起こらないという考え。軍事力をベースにした考えで現実主義といわ
れる。
POWER
←
平衡状態
→
POWER
この二つの POWER は磁石の S 極と N 極のような関係である。
この二つの POWER は同じくらいの大きさである。
どちらかが弱かったら、吸収されてしまう。
ウィーン体制化のヨーロッパ情勢=5大国(英・仏・露・墺・普)による勢力均衡であった。
勢力均衡論を保つ6つの仮説(M・カプラン)
① 非軍事的手段仮説―話し合い、コミュニケーション重視。
② 防衛仮説―国家は自国だけを守る。
③ 抑制仮説―軍事手段の抑制。なるべく非軍事的解決を図る。
④ 反覇権仮説―覇権国の出現を阻止する。
⑤ 反超国家仮説―トランスナショナルな枠組みは作らない。
⑥ 温情仮説―戦争になっても敗戦国を滅亡させない。
2002.5/17 第5回
※実定主義は学問として残るか?
●Flow VS
Stock
・ フロー的学問…常に入れ替え。Ex 経済学
←Kuhn
・ ストック的学問…常にたまっている。Ex 歴史学、文学 Popper(gradually evolve)
1.BOP(by M.カプラー)の 6 つの仮説の批判
① ヨーロッパ中心主義
② 単純化しすぎている
③ static(静学的)
・ 先生…ややポジティブに見る。理論とは単純なものだし19C はヨーロッパ中心だった。
2.IR(International Relation)理論の最終目的
1.戦争を理解し
・・・事実
2.戦争をなくし
・・・Value
3.平和を実現する・・・Value
⇒ideological value(イデオロギー的価値)は人によって違うため、実現は無理だと批判する人もい
る。
● 平和論
● 戦争論(by クラオピッツ)→戦争の比較論
● 戦争と平和は表裏一体の関係(by Pural)
3.ウエストファリア条約(1648)
三十年戦争
ヨーロッパにおける宗教戦争。
カトリック国(ハプスブルク家,墺,西)
VS
新興プロテスタント国(蘭,イングランド)
※新しい国ができるとき、正統性(legitimacy)としての宗教を主張して戦う。
17C
ハプスブルク家の分解
nation states(国民国家=小国の集まり)が生まれる。
・戦争しても構わない。もし自分が侵略されたら、法的正戦→個別自衛権
⇒大きな戦争はなく人は死なない。
19C BOP の発生。戦争を否定しない BOP の基礎はウエストファリア条約にある。
⇒BOP は戦争を起こさせないためのもの。
4.BOP は本当に平和をもたらすのか?
●現実主義(軍事力が大事)
・ ゲーム理論=囚人のジレンマ…どうすれば自分が得をする or 損をするのか知るためにコミュニ
ケーションが必要。
● BOP の欠陥
・ 核抑止→NPT の設立…核を持つ国を固定しほかを排除する。
・ コミュニケーションをしない。⇒最大の利益が得られない。
コミュニケーションをする→条約 etc→レジーム(Regime)
5.レジーム…国際的ルールの集まり
←事前にルールを作っておけば、囚人のジレンマも発生しない。
● レジームはどうやってできるのか?
・ 自発的レジーム
・ 強制的レジーム→誰が強制するのか?上に立つもの(覇権国)でないと強制できない。
⇒BOP 崩壊
2 0 0 2 年 5 月 2 4 日(金)
第6回
ゲーム理論
Karl W. Deutch 『The Analysis of International Relations』
この本の中にいくつかのゲーム理論が出ている。
①Prisoner’s Dilemma(囚人のジレンマ)
B
10
20
A 10
-20
-20
-10 ←ゲームの最適な解
20
-10
利得マトリックス(Payoff Matrix)
・ このような状況で囚人がどのように行動するかを考えたとき、コミュニケーショ
ンできないため右下の部分がゲームの最適な解(solution)となる。
・ これは min・max(max・min)であり、最も小さい益の中で最も大きな益をとろう
とする行動である。
・ 『バランスオブパワー』はこのことから「低い利得へと向かうのでは?」という
疑問がもたれる。
②Chicken Game(弱虫ゲーム)
B
最適な解→
-5
10
A -5
-10
-10
-50
10
-50
・向かってくる車でどっちが先に避けるか、のゲーム。
・この場合は左上の部分がゲームの最適な解となる。Ex.条約による妥協
☆ゲームには協力ゲーム(chicken)と非協力ゲーム(Prisoner’s Dilemma)がある。
☆なぜ payoff の数字が決まるのか→答えはない。
※ 数字はゲームのパターンを決めるだけで別にこの数字でなくてよい。
以下の流れについては http://www.law.keio.ac.jp/~yakusemi/archive/doc/macro002.gif
を参照。
BOP からレジーム論への流れ
・B O P :10,10 の利得を得られるという考え
↓
・ゲーム理論:-10,-10 になってしまうのでは?
↓
・レジーム論:(レジーム=ルールの集まり)ルールを決めることで 10,10 にもってい
く。
BOP から相互依存論・グローバリゼーションへの流れ
・B O P
↓
・機能主義:国際的機能の集まり。レジーム論より細かく各国同士が便利な機能を共有
していく。Ex. I.T.U
↓
・統合論 :Ex.欧州石炭鉄鋼連盟から発展した EU。機能的に便利なため。ただ社会・
経済的には統合できたが、政治的に統合できるかがこれからの焦点。
↓
・相互依存論:お互いを取引することでお互いを裕福にしていこうという考え。
↓
・グローバリゼーション:レジーム論に近いが政治よりも経済制度を重んじる。
Ex. APEC ASEM
☆グローバリゼーションは資本主義(プロテスタンティズムの考え=お金を稼ぐのはよ
いこと⇔カトリック=お金を稼ぐのは不浄)の拡大であるが、イスラム世界が忘れられ
ているということはない。
☆しかし、ここでのグローバリゼーションは資本主義とプロテスタンティズムが結びつ
いた欧州中心主義的な考え方であるため、イスラム社会が抵抗しているということは大
いにありえる。
・ 安全保障、政治 : high politics = B O P
・ 経済
: low politics
= 機能主義 → 相互依存論
・ 国内政治制度・国際政治制度 : リンケージ・ポリティクス
5月31日 第7回
国際政治理論のアプローチ方法
① T,Kuhn的パラダイム
② K,Popper的エボリュ―ション
③ 地理的知識をベースに発展
(間違いを修正しながら進歩をしていく過程)
(地域研究、Area
Studies)←慶應が1番
④ 歴史的知識をベースに発展
(①,②は双璧をなし、③は理論というよりは政策研究であった。)
最初は③、④が国際政治学の中心であり、理論は③、④とは別視されていた。諸科学が国際政治学
に影響を与えて①,②が発生。③,④に根ざした理論がどのような影響を与えるかということは重
要であり無視できない。
→ゲーム理論、システム論、経済学論、OR論、情報理論・・・すでに様々な理論が国際
政治学の中に入って来ている。
3大パラダイム
1、世界システム論(覇権安定論)
・ I.ウォーラスティン
元はアフリカ研究者であり、その地理的知識をベース
に、搾取関係の問題や誰が技術をコントロールするの
かを論点としているといえる。
・ P.ケネディ
「大国の興亡」の著者。超大国の存在による世界の安定を主張
。(パックス・アメリカーナやパックス・ブリタニカ等)
・ R.ギルピン
経済財が少ない→その配分に関して政治力が期待され大国がで
てくる
経済財が多い→配分の問題生じず、大国は必要でない。
―→③,④の知識と長いスパンが必要になってくる。
2、CID(複合相互依存論)
J.ナイ、R.コヘイン、R.クーパーらが1930年代に主張しはじめる。これらは「鉄
のカーテン」といわれたような歴史的事実をしらなければ生まれてこない。
また、歴史的に言うと米を周辺国が助けるような論理があって、そこからCIDのような理
論が生まれたといえる。
6月7日(金) 第8回
国際政治の3つのパラダイム
①勢力均衡論←モーゲンソー・キッシンジャーなどの構造主義から派生。
②複合相互依存論←機能主義から派生。
*機能主義…大きいものから小さいものを分けていく考え方。
③世界システム論…人間の往来が安全保障の基礎となり、system が重要となる。
*以下は6月7日に配られたプリント(国際政治理論の見取り図)を参照のこと。
社会学…基本単位を国家ではなく、人間において国際政治を観る。
↓
社会コミュニケーション論…K.ドイッチが提唱。社会学から派生。
社会コミュニケーションから信頼関係が構築され(=confidence building)、社会的コミュニティが
形成される。それによって安全保障、B.O.P(balance of power)を図ることができる。
ex)NATO …大西洋をはさんだ交流。
コンドラチェフ・サイクル…経済学の特徴を取り入れた理論。
→技術説…技術でコンドラチェフ・サイクルはうまれてくる。ex)蒸気機関→電気
G.メシュマンの説(独)・C.フリーマンの説(英)
→G.モデルスキー・I.ウォーラスティン…稀少財の配分の仕方に着目。
⇒世界システム論…だんだん国家が独立して勢力均衡していく中で、世界をどのように見るかが変
化した。秩序・安定の重視。
・アメリカとロシアの関係。
エリツィン
経済制度を確立できない。→マフィア、アンダーグラウンド経済。
プーチン
経済制度をコントロールできるようになった。
→良い、悪いは別として一応社会制度が成り立つ。
・アメリカはロシアに経済投資をするようになった。
・アメリカと融和し力を借りることで、また国連準加盟することで、安全保障が楽になる。(by キ
ッシンジャー)
・ケネス・ウォルツ、ヘンリー・キッシンジャー…システムの重要性を主張。
ex)NATO…NATO の中にロシア理事会を設置→米露の接近。=巨大な国のパワーゲーム。
○アメリカは中国とロシアのどちらにつくのか?←中国の懸案事項。
☆世界システム論…世界システム論は秩序・安定を重視。(戦争回避)
①事実としての国政の解釈。
ex)米があって、そ
の周りに EU があ
周辺国
る。
準周辺国
中心国
崩れると…
米と露が手を組んで、中国が
米と縁を切られた場合、中国
②戦略的な国政の見方。
は孤立してしまう。
NATO 準加盟国
ロシア
EU
アメリカ
一国中心主義
中国
日本
パキス
中東
タン
インド
ASEAN
・realist による大国を中心としたパワーゲーム
<BOP の典型的パターン>
・geopolitics…地図(領土国家)をもとにした考え方。
最終的には、①事実としての国政の解釈+②戦略的な国政の解釈で世界を描いていこうとしている。
・世界はどう動いてきたか?
Pax Romana →Pax Britanica→ハプスブルク→現在は Pax Americana に近い。
*軍事力と経済力が帝国には必要とされ、現在のアメリカはそれらを兼ね備えている。
中心国の要件
①軍事力
②経済力
③周辺国が中心国を認知
④中心国による公共財の提供
→開放体制・自由体制をとる必要がある。
*中心国
パクス・ブリタニカ…自由主義体制
(英国は以前、自国の船以外が入ってくることを禁止していた。)
*周辺国…全てを受け入れてしまったら自国産業がつぶれてしまう。移民も制限。国を守ることが
第一の目的となっていた。(=領土国家)
では何故パクス・ブリタニカは自由主義体制をとることができたのか?
→absolute profits(絶対的利得)を取る自信があったから。
⇔相対的利得…貿易などによって、互いの国家が利益を得ることができる。
Base となったもの=世界全体を統治する力。
・技術力(18世紀後の産業革命)
・軍事力(海軍)
・植民地
これらをもとに open system をとり、関税を撤廃するなどした。
しかし力をつけてきたプロシアに対抗するために、over resource(資源枯渇)に陥り、英は大恐慌に
陥った。=第一次大戦後、Pax Britanica 終了→アメリカの台頭。
・ IMF などの設置…孤立主義をなくそうとした。
・ 軍事力の行使…米国民は基本的に反対。
→ドイツ・日本の復興、ソ連の力が米国の力を弱める。
→冷戦終了
●現在ロシアとアメリカは接近している状況にある。
はたして米国は中心国になることはできるか?
cf)「京都議定書不参加、アフガニスタンへの爆撃が懸念材料となり、中心国とはなれない。
」
(b
yジョセフ・ナイ)
*一般的に歴史では、中心国が現れると必ず対抗する国がでてきた。
歴史的技術と理論は全く無関係とは言えない。
6月21日 第10回
*前回の相互依存論について
<Independence as Sensitivity(敏感性)>
by Richard Cooper
“independence” as “quick responsiveness to different earning opportunities resulting in a sharp
reduction in differences in factor rewards”
<Independences as Vulnerability(脆弱性)>
by Kenneth Waltz
“Two or more parties are interdependent if they depend or one another about equally for supply
of goods and services”
A国
Oil Supply
B国
石油国
A と B は相互依存しているが、B は
A に石油をカットされたら危機であ
る。B に脆弱性が生じてしまう。
依存
相互依存論は「助け合いの精神」という、一見悪いことではないように思える。
しかし、実際本当に equal なのか??敏感性と脆弱性という問題をかかえている。
上手くいっているときは良いが、バランスが崩れると・・・
☆globalization は相互依存がグローバル化したもの。途上国がグローバル化を嫌がるのは、相互依
存関係になれば、自分たちが弱い立場になってしまうのがわかっているから。
* 星座のアナロジー
Hegemonic stability
BOP
world system
Interdependence
Westphalia
*世界システム論
Hegemon
経済から見る…absolute wealth max (周辺国は relative wealth max)
貿易から見る…自由主義貿易(周辺国の閉鎖性は認める)
→覇権国の製品が圧倒的であることが必要
=技術が強いということ
技術には undifferentiation(非差別化)と differentiation(差別化)がある
技術革新論
技術はどこからか発生し、必ず流出する(非差別化する)
e.g.
イギリスの Industrial Revolution→Made in Germany
6 月 2 8 日 第11回
世界システム論
Hegemon
経済
覇権国:absolute wealth maximization
「物」が強い=技術が強い
indifferential 非差別的技術
differential 差別的技術
技術革新論
イギリス――産業革命
鉄鋼、動力革命、外燃機関
ドイツ――WWⅠ前までの Hegemon
化学(薬品、爆薬)、個別動力革命、内燃機関
アメリカ――電気(ラジオ、TV、コンピュータ)、通信、航空
周辺国:relative wealth maximization
貿易
liberalism
1)I.ウォーラスティン
覇権国が搾取しているのでは
2)R.ギルピン
・ 世界がサークルで動く
・ 経済情勢が悪化→政治の時代
・ 覇権国が分配しなければならない
Hegemonic Stability
3)技術
Pax
rise
fall
=over stretching
Hegemonic
拡張主義
Stability
Hegemonic Change
Paul Kennedy
Technical Cycle 技術サイクル
新技術
(アメリカ)
新技術
電機
新技術
TV
ナイロン
鉄
新技術
Tech relating
コンピュータ
化学
(代替)
(ドイツ)
・なぜ技術革新・拡張主義が起こるのか等は分からない
・なぜ帝国は Change するのか
技術仮説
fall に関して、Paul Kennedy は over stretching(拡張主義)
(帝国主義――領土広げて management ができない→lost 高い)
・なぜ over stretching するのか
Product Cycle Model
主権の問題
Dependentia
replacing の繰り返し
Raymond Vernon
in globalization
従属論
・ 海外投資、金融、国際経済学、企業と関連
・ transporter 製品移動があるという事が前提
Product Cycle Model
生産+α
不足→輸入
覇権国、先進国
ex.アメリカ
消費
供給
余剰→輸出
新製品
成熟
標準
技術移転
輸出
供給
準周辺国、中進国
消費
ex.日本、ドイツ、フランス
輸入
技術移転
輸出
供給
周辺国、後進国
消費
ex.途上国
輸入
なぜ発展途上国は標準化以降に台頭してくるのか?
1)Geese Flying Theory(雁行形体論) Raymond Vernon
・ 搾取だけでなく発展もありうるが、周辺国は常に最後
・ 発展途上国も搾取されるばかりでなくモノをつくることもできるはず
・ 赤松要(東京高商教授)は、戦前、Vernon と同じようなモデルを作っていた
・ Vernon の理論には装置の作り方がない
薬師寺先生の底打ち理論
普及(diffusion)→普及の底打ち→進歩しない
・ 同じ物を作りつづけると生産効率が低下、技術進歩の勢い低下
→新しいものをやるが非効率
→海外へ脱出
・普及を差別化し、どう indifferent するか?現段階ではまだわかっていない。
2)Leap Frog(ging)
Nathan Rosenberg
・ 製品を作るための装置の replacing
・ 技術が優れている先進国はいい装置を持っているから、発展途上国は先進国に追いつけない
→先進国はいい装置を持っているからなかなか取り替えられない
→機械の装置は先進国のものより、後進国のものの方がよい(brand new)
→後発国は生産クオリティが高い。遅いができると大量。多国籍企業が来て製品を作って
いる
→覇権国が装置の代替コストに耐えられなくなった時に、よりよい機械を持っている準周
ex.中国の台頭
辺国がカエル飛びして技術革新をする
・ 技術 flying をやっているとこれになる可能性がある
7月5日 第12回(最終回)
Chicken Game
<マクロの国際政治理論>
囚人のジレンマ
BOP
統合論
GT
C−ID
国際公共財
R・ギルピン
REGIME
HS・WS
→ウォーラスティン
体系から覚えていくのが
重要!
コンドラチェフの波
Product cycle
<戦争はなぜおこるのか...国家がなぜあるのかという疑問にも通じてくる。>
WAR⇔conflict resolution(紛争処理)とはちがう。
・考えられる理由
①人間の性...ホッブス的考え方。
②国家が存在するから。
◎リチャードソン・モデル
戦争の原因→敵対国がいる中で、武器の競争さらに憎しみが加わるから。
解決策
→武器の拡散をやめさせる。
憎しみを鎮める。
これは難しい。
そこで、そんな風な regime を作る。平和の regime を作ればよい。
ただし、regime には自発的 regime と強制的 regime がある。
万人が平和を望めば、自発的 regime だが、そうでない場合(強制的 regime)は、核拡
散防止条約などが必要になってくる。
戦争は必ず発生する、と言う前提で考える
cf)マンハッタン計画に参加した科学者の中にいたソ連のスパイ
→ソ連の核開発に貢献
Nuclear deterrence(核抑止力)
ただ regime を作るだけでなく、核の均衡もとらなければ意味がない。
S.D.I ...レーガン時の考え方
(T).M.D
核が飛んできたら上空にてレーザーで爆破させる。
どうしたら戦争をなくせるのか。自分の意見を持つことが大事。
Cf) 考えられる理由②において。
台湾が国家ではない。だから戦争はないと言い切れるのか。ただの紛争にな
ってしまうのか。
<秩序とは何か>
秩序、regime は秩序なのか、ルール・制度との違い、システム(体系)は?
この5つの言葉は別のもので、また、戦争があるからこういう言葉が生まれてくるわけでもある。
◎Headler Bull の秩序論
我々は共通の shared goals を持っている。
1)security(安全)
2)所有(自分たちのものをとっていく。自分のところにないものをとる)
3)約束の遵守
これらを獲得(secure)するある種の行為・行動の1つのプロセスが戦争なのである。
そして、これらを secure するには行動のパターンがあり、それが秩序なのである。
→Bull に言わせれば、戦争は秩序だということになる。
ではルールは?
→行為や行動をするための決まり、プログラム(国連憲章で決められていたり)
このルールを破る人が出てこないように拘束を課す必要がある。
→これが制度である。
秩序とルールと制度は1セット。
制度、ルールなどを共通の理解として各アクターが認識しなければ戦争はなくならない。
◎別に、制度とは我々の期待の結果であると考える人々もいる。
秩序のパターンを考えてみると...
英 vs 仏→英+仏
1803
ナポレオン戦争
1870
英+仏 vs ドイツ(プロイセン)
WWⅠに突入
1910
英+仏(+日)に独が吸収←引き込まれる。
1945
WWⅡ:英+仏+米 vs 日、独
行為のパターン
WWⅡ後、英+米+独+仏 vs ソ連
ポスト冷戦、英+米+独+仏+露+日 vs 中
戦争のたびに秩序が生まれる。その度にリセットされる。
そのなかで、制度は強い国がつくる。それがこの考え方の結論。
制度←Who makes it?...これがわからない限り戦争はなくならない。
1)合理的選択肢
2)期待の集まり
3)超大国(⇔秩序は超大国がつくるものなのだろうか?)
>>制度を作る=秩序を作る
ルール・制度
行為やモノや意味から作られる
※ 意味:言葉。制度を一体誰が作るのかに関連
※ 参考)「ワード・ポリティクス」田中明彦
戦争はなぜ起こるのか。
人間の性、国家の存在のという理由のほかにも
・リチャードソン・モデル(武器と憎しみ)
・Headler Bull(戦争は秩序)
自分の意見が大事。さらには、戦争には何の効果があるのかまでも考える必要がある。