平成26年度 学校通信第15号 平成27年2月2日 霧 丘 小 だ よ り 北九州市立霧丘小学校 校長 溝部 尚 卒業まで残り31日、苦から逃げずに後悔しない人生を! 先日、卒業生に向けての寄せ書きに、メッセージを書きました。 「自分の 弱い心に打ち勝ち、楽に逃げずに苦に向かって進み、努力を続ければ後悔 する人生は少なくなる」と言う内容の言葉を書きました。そのとき、昔、私の学級の子どもたち に紹介した詩を思い出しました。甲山政弘さんの詩集「長い道」に載っていたものです。 つぶやき 甲山さんは、筋ジストロフィーという筋肉が衰えていく病気にかかり、わずか17歳で亡くな りました。この病気は、20歳前後で亡くなる方が少なくないそうです。紹介する詩は、亡くな る2年前くらいに書かれたものです。 僕の足が泣いている 僕の足が泣いている 歩きたい、歩きたいと 大地を踏みしめ 水をけって むかし歩いたこの庭 もう一度、もう一度 歩いてみたいと 誰のために 何でこんな身に生まれたのか 虫でも 花でも 鳥でもいい 他のものに生まれたら 死よお 死よお 死よお お前はいつやって来るんだあ はやくきては やだぞお ゆっくり どこかで待っていてくれよお おれは まだまだ 生きていたいんだよお やることが沢山あるんだ いまは苦しいが 今日の悲しみは いつか 明日の喜びにつながる そうだ ぼくらはみんな 今は苦しいが 希望を持とう こんな病気のぼくでも うまれてきてよかったのさ つらいことはないんだ たくさんの詩も書けるし すみきった心を持てる そんな そんな すばらしい人間なんだから 1本のろうそく たった1本のろうそくでも 人間以上のすばらしい生き方をしている 火をともした ろうそく ろうそくは 自分の体をも とかしながら 人につくそうとし とろとろと汗を流しながら働く 最後には体がなくなってしまうのに 短い命なのに 悲しまず たえしのび ああ ああ ろうそくよ ろうそくよ ぼくはお前のようになりたい お前のような生き方が好きなのさ 神よ ぼくをそのろうそくのように いろいろなことがしてみたい。しかし、死が 迫り来ている。そんな苦しみの中で自分を見つ め直し、その苦しみを希望に結び付け、生まれ てきてよかったと言っています。 さらに、ろうそくのように、自分の身をとか しながらも他人のためにつくそうとする心を 学んで、自分もそのろうそくのようになりたい と思っています。苦しみの中で短い一生を終え ようとしている命なのに、まわりの人のために 自分の時間を使えたらどれだけ幸せだろうと 考えています。 甲山さんは、まさに苦から逃げずに、自分に できる最善の努力をされた方だと思います。残 念ながら亡くなりはしましたが、残された詩は、私たちに勇気や感動を与えてくれました。短い ろうそくでしたが、その灯は多くの人々の心に灯をともしてくれたのではないでしょうか。
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