チャージポンプの動作原理チャージポンプ方式のDC/DCコンバータは、インダクタをした2つの回路の出力を合成すれば、入出力のリップルが減必要とせず、小型で低ノイズの電源を構成できることから、少するとともに大きな出力電流を得ることができます。オンボードでの小容量電源などに使われる機会が増えています。出力の電流容量も以前と比べて格段に大きくなっています。チャージポンプは複数のコンデンサとスイッチを巧みに組み合わせたスイッチトキャパシタ回路の一種です。右にチャージポンプの動作原理（2倍昇圧）を示します。S1∼S3 の各スイッチは、連動して切り換わり、これを繰り返します。なお、複数のコンデンサを並べて同時に充電した後に、コンデンサを直列にすることでVDDのn倍の電圧を得ることもできます（この方式をスイッチトキャパシタと限定して呼ぶことがある）が、その場合は、入力電流の絶対値と変化量がチャージポンプ方式よりも大きくなりノイズが増えてしまうことに加えて耐圧の高いスイッチが必要になります。反対に言え今、各スイッチがに示すポジションにあるとすると、ば、チャージポンプは入力の電流負担が軽く、低ノイズであコンデンサ（C1）は入力の電圧源によって端子電圧がVDDまるとともに、スイッチの耐圧も比較的低く済むメリットがあでチャージされます。次に各スイッチが反転しての状ります。態になると、C1はS2の下にある電圧源と直列になるので、図のa点の電圧はVDDの2倍まで上昇します。同時にS3が閉じ S1 るので出力にはVDDが2倍昇圧された電圧が得られます。 VDD S3 a S1 C1 C1 S3 VDD チャージポンプは、同様の回路を連結すればVDDの3倍、4倍 … といった電圧を出力することもできます。また、C1を2つのコンデンサに分けて、充電時（に相当）は直列に、放電時（に相当）は並列になるようにすれば、出力はVDD の1.5倍になります。さらに、スイッチのタイミングを逆に、LTC、 LTはリニアテクノロジー社の登録商標です。その他の商標は、該当会社のものです。 2 VDD S2 S2 C3 VDD VDD VDD VDD VDD C3 話題の製品 LTC3216 個別のトーチ／フラッシュ電流制御付き、 1A低ノイズ高電流LEDチャージポンプ高効率動作：1倍、 1.5倍、 2倍昇圧モードのいずれかに自動切換え超低損失ILED電流制御、最大1Aの出力電流低ノイズの固定周波数動作低電流／高電流を個別に設定するプログラミング・ピンとイネーブル・ピン C2 2.2µF C1 2.2µF 広いVIN範囲：2.9V∼4.4V オープン／短絡LED保護、シャットダウン時のLED切断低いシャットダウン電流：2.5μA 12ピン（3mm×4mm） DFNパッケージ LTC®3216は、高電流LEDに電力を供給するように設計された低ノイズ、高電流チャージポンプDC/DCコンバータ。2.9V∼4.4Vの入力から最大1Aの負荷をドライブできる高精度のプログラム可能な電流ソースを内蔵しています。外付け部品数が少ない（フライング・コンデンサ2個、プログラミング抵抗2個、VINとCPO接続用バイパス・コンデンサ2個）ので、小型のバッテリ駆動アプリケーションに最適です。内蔵のソフトスタート回路により、起動時の過度の突入電流を防止し、2本の外付け抵抗を使用して高電流と低電流を個別にプログラムします。 C1– C2+ C1+ VIN 2.9V TO 4.4V CIN 2.2µF C2– CPO CCPO 4.7µF LTC3216 ILED EN1 (TORCH) EN2 (FLASH) EN1 EN2 ISET1 LED1 ISET2 20k 1% 6.65k 1% LTC3206 EN1 EN2 0 1 0 1 0 0 1 1 ILED 0 (SHUTDOWN) 200mA (TORCH) 600mA 800mA (FLASH) SUB DISPLAY RGB ILLUMINATOR ▲ LTC3216 標準的応用例 2 I CマルチディスプレイLEDコントローラ昇圧／直接接続フラクショナル・チャージ・ポンプにより、最大92%の効率を達成最大400mAの連続出力電流メイン・ディスプレイ用1∼6 LED、サブ・ディスプレイ用1∼4 LED、 RGB LEDディスプレイ向けに電流と調光を個別に制御 2線I2Cシリアル・インターフェイスを使用してLED電流をプログラム可能 1%のLED電流マッチング低ノイズ固定周波数動作高さの低い小型の24ピン（4mm×4mm×0.75mm）QFNパッケージ 2.2µF LTC3206は高集積マルチディスプレイLEDコントローラで、高効率の低ノイズ・フラクショナル昇圧／直接接続チャージ・ポンプを内蔵し、メインおよびサブの白色LEDディスプレイとRGBカラーLEDディスプレイに電力を供給します。わずか4 個の小型セラミック・コンデンサと2本の抵抗を使用するだけで、完全な3ディスプレイLED電源および電流コントローラを構成します。メイン／サブおよびRGBディスプレイの最大電流は、個別に設定でき、各LEDの電流は内部電流ソースで制御されます。2線シリアル・インターフェイスを介してすべてのディスプレイの調光制御とON/OFF制御が可能です。 VIN 2.7V TO 4.5V 2.2µF MAIN DISPLAY VIN CPO 2.2µF 2.2µF LTC3206 MAIN1-4 AUX 1 SUB1-2 I2C SERIAL 2 INTERFACE AUX 2 SERIAL PORT RGB IMS IRGB 4 RED GREEN BLUE 2 3 ▲ LTC3206 標準的応用例 LTC3200/LTC3200-5 低ノイズ、安定化チャージ・ポンプDC/DCコンバータ低ノイズ、固定周波数動作出力電流：100mA 固定5V±4%出力（LTC3200-5）または可変出力 VIN範囲：2.7V∼4.5V 自動ソフト・スタートによる突入電流の低減スイッチング周波数：2MHz インダクタ不要、シャットダウン時：ICC＜1μA 1µF 8ピンMSOP （LTC3200）および6ピンSOT–23 （LTC3200-5）パッケージ LTC3200/LTC3200-5は、低ノイズ、固定周波数のスイッチト・キャパシタ電圧ダブラ。2.7V∼4.5Vの入力で動作し、最大100mA までの出力電流の安定化出力電圧を供給します。外付け部品点数が少ない（VINとVOUTに1個のフライング・コンデンサと2個の小さなバイパス・コンデンサ）ため、小型バッテリ電源アプリケーションに最適です。新しいチャージ・ポンプ・アーキテクチャは、無負荷まで固定スイッチング周波数を維持し、出力および入力の両方のリップルを低減します。サーマル・シャットダウン機能を備えているため、VOUTからGNDに連続して短絡しても損傷することはありません。 4 C– VIN 2.7V TO 4.5V 5 1µH 2 3 OFF ON 6 C+ LTC3200-5 1 VOUT VIN 1µH GND VOUT = 5V ±4% IOUT UP TO 40mA, VIN ≥ 2.7V IOUT UP TO 100mA, VIN ≥ 3.1V SHDN ▲ 2.7V∼4.5V入力から安定化された5Vを出力データシートと評価サンプルについては、当社Webサイトまたは販売代理店にお問い合わせください。 LT3466 ショットキー・ダイオード内蔵、フル機能のデュアル白色LED昇圧コンバータ 3.6V電源で最大20個のLED （コンバータ当たり10個の直列LED）をドライブ非対称のLEDストリングをドライブ可能な2つの独立した昇圧コンバータ 2つのLEDストリングの調光とシャットダウンを個別に制御 3V TO 5V ショットキー･ダイオードを内蔵 1µF ソフトスタート機能搭載により、突入電流を排除オープンLEDの保護（最大42VのVOUT） 47µF 最大2MHzの固定周波数 10ピン小型（3mm×3mm） DFNパッケージ 47µF VIN SW1 LED1 SW2 VOUT1 LED2 VOUT2 2.2µF LT®3466は、定電流で最大20個の白色LED（コンバータ当たり10 個の直列に接続されたLED）をドライブするように特別に設計されたフル機能のデュアル昇圧DC/DCコンバータ。LEDを直列に接続することにより、同一のLED電流を供給し、均一な輝度が得られるとともに、バラスト抵抗やコストのかかる工場での較正が不要となります。この2つの独立したコンバータは非対称のLEDストリングをドライブ可能で、2つのLEDストリングの調光も個別に制御できます。動作周波数は、外付け抵抗を使用して200kHz∼2MHz の範囲で設定可能です。 2.2µF LT3466 FB1 FB2 CTRL1 RT GND CTRL2 OFF ON SHUTDOWN AND DIMMING CONTROL 2 OFF ON 63.4k SHUTDOWN AND DIMMING CONTROL 1 10Ω 10Ω ▲ リチウムイオン・バッテリで駆動される8/8個の白色LED用ドライバ LTC3453 同期整流式昇降圧高電力白色LEDドライバ高効率：1セル・リチウムイオン・バッテリ電圧の全範囲で標準90% 広いVIN範囲：2.7V∼5.5V 最大500mAの連続出力電流ソフトスタート機能を搭載、オープン／短絡LED保護 LED電流マッチング：標準で2%以下 VIN 1-CELL 1MHzの固定周波数動作 Li-Ion 2.7V TO 4.2V 低いシャットダウン電流：6μA 熱特性が改善された小型の16ピン（4mm×4mm） QFNパッケージ LTC3453は、1セル・リチウムイオン・バッテリ入力から最大 500mAの電流で最大4個の白色LEDをドライブするために最適化された同期整流式昇降圧DC/DCコンバータ。入力電圧とLED最大順方向電圧に応じて、同期整流式降圧モード、同期整流式昇圧モード、昇降圧モードのいずれかで動作します。プログラムされた電流で最大順方向電圧降下を必要とするLEDを決定し、同相出力レールを安定化して損失を最小限に抑える独自のアーキテクチャを採用することにより、最適な効率を達成します。リチウムイオン・バッテリの使用可能な全範囲（2.7V∼4.2V）にわたり、90%の効率を達成できます。 L1 4.7µF VIN 2.2µF SW1 PVIN 4.7µF D1 EN1 EN1 (TORCH) EN2 EN2 (FLASH) ISET1 LTC3453 ISET2 8.25k 1% LED1 LED2 LED3 LED4 1MHz BUCK-BOOST VC 0.1µF SW2 VOUT 150mA/500mA 3.48k 1% GND GND PGND EN1 0 1 0 1 EN2 0 0 1 1 ILED 0 (SHUTDOWN) 150mA 350mA 500mA ▲ 高効率トーチ／フラッシュLEDドライバ LT1618 定電流／定電圧1.4MHz昇圧DC/DCコンバータ高精度の入出力電流制御：全温度範囲で±5% 高精度の出力電圧制御：±1% 広いVIN範囲：1.6V∼18V スイッチング周波数：1.4MHz 高出力電圧：最大35V 低VCESATスイッチ：200mV/1A 10ピン（3mm×3mm×0.8mm） DFNパッケージと 10ピンMSOPパッケージ 2 ISN C1 47µF 3 8 昇圧DC/DCコンバータLT1618は、従来の電圧帰還ループと独自の電流帰還ループを組み合わせて、定電流、定電圧源として動作します。この固定周波数電流モード・スイッチャは、1.6V∼18Vの広い入力電圧範囲で動作し、1.4MHzの高いスイッチング周波数により、高さの低い小型のインダクタやコンデンサを使用することができます。電流センス電圧は50mVに設定され、IADJピンを使って調整することができます。10ピン（3mm×3mm）露出パッドDFN パッケージと10ピンMSOPパッケージで供給され、定電流アプリケーション向けに完全なソリューションを提供します。 3.3V OFF ON 0V 9 20k 3.3V 100mA 500mA 0V L1 10µH 0.1Ω VIN 5V D1 VOUT 12V 7 SW R1 909k ISP VIN LT1618 FB 1 2k 13k 10nF ▲ USBポートから12Vの昇圧コンバータ www. li near -tech.co. jp C2 47µF R2 107k SHDN IADJ GND VC 5 10 4 お役立ち技術資料ここに掲載した技術情報は一部です。リスト内の情報や製品のデータシート、その他の技術資料は、すべて当社のWebサイトよりご覧いただけます。 www. l inear -tech.co. jp DN 353 配電を容易にするAdvancedTCAホットスワップ・コントローラ DN 352 低損失で消費電流が100μAの60V、 3A降圧DC/DCコンバータ DN 346 PCI Expressの電源およびミニカードのソリューション DN 345 携帯電話/カメラのフラッシュランプ照射用基本回路 DN 344 フライバック・コントローラによる複数出力アプリケーションのクロス･レギュレーションの改善 DN 340 DC/DCコンバータによる多様な電源からのLumileds 白色LEDのドライブ DN 338 効率90%で11.5W を給電するPower over Ethernet 絶縁型電源 DN 336 先進的トポロジーのUSBバッテリ・チャージャによる、高速充電のための電力利用の最適化 DN 330 1個のインダクタしか使わない高入力電圧昇降圧モノリシック・スイッチャ DN 328 外付け部品をほとんど使わないモノリシック同期式レギュレータによる4A負荷のドライブ DN 326 3フェーズLTC3733によるAMD社の OpteronプロセッサとAthlon64プロセッサ用高性能電源ソリューションの実装 DN 322 高電流降圧コントローラによる3V入力から0.6V出力への安定化 DN 318 狭いスペースに収まる効率的な両極出力コンバータ DN 317 昇圧レギュレータを使った低プロフィールの昇降圧SEPIC AN 95 携帯電話／カメラのフラッシュ照射用のシンプルな回路 Linear Technology Chronicle 2004年11月 Vol. 13 No.5 ハンドヘルド・アプリケーション向けパワーマネージメント・ソリューション Linear Technology Chronicle 2004年7月 Vol. 13 No.4 プログラマブル・ロジック向けソリューション www. l inear -tech.co. j p 全製品のデータをご覧いただけます。「新製品情報メール配信サービス」の登録もこちらから。