児童家庭福祉の動向と課題 - 子どもの虹情報研修センター

平成28年4月19日 児童相談所長研修
児童家庭福祉の動向と課題
厚生労働省雇用均等・児童家庭局総務課
児童虐待防止対策の経緯
児童福祉法による要保護児童対策として対応
平成12年
児童虐待の防止等に関する法律(児童虐待防止法)の成立(平成12年11月施行)
・児童虐待の定義(身体的虐待、性的虐待、ネグレクト、心理的虐待)
平成16年
・住民の通告義務 等
児童虐待防止法・児童福祉法の改正(平成16年10月以降順次施行)
・児童虐待の定義の見直し(同居人による虐待を放置すること等も対象) ・通告義務の範囲の拡大(虐待を受けたと思わ
れる場合も対象) ・市町村の役割の明確化(相談対応を明確化し虐待通告先に追加) ・要保護児童対策地域協議会の
法定化 等
平成19年
児童虐待防止法・児童福祉法の改正(平成20年4月施行)
・児童の安全確認等のための立入調査等の強化、保護者に対する面会・通信等の制限の強化、保護者に対する指導に従
わない場合の措置の明確化 等
平成20年
児童福祉法の改正(一部を除き平成21年4月施行)
・乳児家庭全戸訪問事業、養育支援訪問事業等子育て支援事業の法定化及び努力義務化 ・要保護児童対策地域協議
会の機能強化 ・里親制度の改正等家庭的養護の拡充 等
平成23年
児童福祉法の改正(一部を除き平成24年4月施行)
・親権停止及び管理権喪失の審判等について、児童相談所長の請求権付与 ・施設長等が、児童の監護等に関し、その
福祉のために必要な措置をとる場合には、親権者等はその措置を不当に妨げてはならないことを規定 ・里親等委託中及
び一時保護中の児童に親権者等がいない場合の児童相談所長の親権代行を規定 等
1
児童虐待対策の現状と今後の方向性
【 現 状 】
○児童虐待相談対応件数の増加
⇒ 平成26年度の虐待対応件数は
88,931件
⇒ 統計を取り始めて毎年増加
⇒ 平成11年度の約7.6倍
○相次ぐ児童虐待による
死亡事件
⇒ 多数の死亡事例が発生
(平成25年度心中以外 36例・36人)
⇒ 死亡した子どもは0歳児が4割強
【 課 題 】
【必要な施策】
1.発生予防
○子育て支援事業の普及・推進
・乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは
赤ちゃん事業)
・養育支援訪問事業
・集いの場(地域子育て支援拠点事業)
○妊娠期から子育て期にわたってワン
ストップで相談できる拠点(子育て世代
包括支援センター)の整備
○虐待に至る前の段階で、適切な養育支援
が必要(育児の孤立化、育児不安の防止)
2.早期発見・早期対応
○虐待が深刻化する前の早期発見・
早期対応が必要
○児童相談所、市町村での
相談体制の不足
○虐待に関する通告の徹底
○児童相談所全国共通ダイヤルの3桁化
○夜間・休日を含めた児童相談所の体制
強化
○要保護児童対策地域協議会の効果的
な運営のための市町村の体制強化
○要保護児童対策地域協議会が虐待につ
ながる情報を早期に把握する体制の構
築
3.子どもの保護・自立の支援、保護者支援
○社会的養護体制の不足
⇒ 一時保護所の年間平均入所率は
保護所により様々
⇒ 児童養護施設の入所率の増加
平成10年度 平成25年度
82.8% → 84.7%
○子どもの安全を守るための適切な一時
保護が必要
○親子再統合に向けた保護者への支援
○自立に向けた社会的養護体制の質・量と
もに拡充が必要
○一時保護所の拡充・混合処遇の改善
○社会的養護体制の質・量ともに拡充
・家庭的な養育環境、施設における小
規模化の推進
・適切なケアを行うための人員配置基
準の引き上げ等の見直し
・自立支援策の拡充
○親子再統合に向けた保護者への支援
2
児童虐待相談の対応件数及び虐待による死亡事例数の推移
○ 児童虐待相談対応件数の増加
→ 平成26年度の全国の児童相談所での虐待対応件数は88,931件
→ 統計を取り始めて毎年増加
→ 平成11年度の7.6倍
100,000
90,000
80,000
70,000
60,000
50,000
40,000
30,000
20,000
10,000
0
87,694
79,186
88,931
67,232 70,102 73,200
(相談対応件数)
11,631
H11
40,222
52,28256,606
48,457 49,895
56,384
73,802
66,701
59,919
44,211
37,323 40,63942,664
33,408 34,472
23,274 23,73826,569
17,225
H12
H13
H14
H15
H16
H17
H18
H19
児童相談所
H20
市町村
H21
H22
H23
H24
H25
H26
○ 相次ぐ児童虐待による死亡事件
→ 多数の死亡事例が発生(平成25年度心中以外 36例・36人)
第1次報告
(H15.7.1~
H15.12.31)
(6カ月間)
心中 心
以外 中
計
第2次報告
(H16.1.1~
H16.12.31)
(1年間)
心中 心
以外 中
例 数 24 - 24 48
人 数 25 - 25 50
5
8
計
第3次報告
(H17.1.1~
H17.12.31)
(1年間)
心中 心
以外 中
計
第4次報告
(H18.1.1~
H18.12.31)
(1年間)
心中 心
以外 中
計
第5次報告
(H19.1.1~
H20.3.31)
(1年3か月間)
心中 心
以外 中
計
第6次報告
(H20.4.1~
H21.3.31)
(1年間)
心中 心
以外 中
計
第7次報告
(H21.4.1~
H22.3.31)
(1年間)
心中 心
以外 中
計
第8次報告
(H22.4.1~
H23.3.31)
(1年間)
心中 心
以外 中
計
第9次報告
(H23.4.1~
H24.3.31)
(1年間)
心中 心
以外 中
計
第10次報告
(H24.4.1~
H25.3.31)
(1年間)
心中 心
以外 中
計
第11次報告
(H25.4.1~
H26.3.31)
(1年間)
心中 心
以外 中
計
53 51 19 70 52 48 100 73 42 115 64 43 107 47 30 77 45 37 82 56 29 85 49 29 78 36 27 63
58 56 30 86 61 65 126 78 64 142 67 61 128 49 39 88 51 47 98 58 41 99 51 39 90 36 33 69
児童虐待相談の対応件数及び虐待による死亡事例件数の推移
○ 全国の児童相談所での児童虐待に関する相談対応件数は、児童虐待防止法施行前の平成11年度に比べ、
平成26年度は7.6倍に増加。
100,000
88,931
90,000
80,000
70,000
60,000
50,000
40,000
30,000
20,000
10,000
0
1,171
1,611 1,961 2,722 4,102 5,352
1,101
1,372
H2
H3
H4
H5
H6
H7
H8
40,639
37,323
34,472
33,408
26,569
23,274 23,738
17,725
11,631
6,932
73,802
66,701
59,919
56,384
44,211
42,664
H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26
※ 平成22年度は、東日本大震災の影響により、福島県を除いて集計した数値
○ 児童虐待によって子どもが死亡した件数は、高い水準で推移。
第1次報告
(H15.7.1~
H15.12.31)
(6カ月間)
心中 心
以外 中
例 数 24 -
人 数 25 -
計
第2次報告
(H16.1.1~
H16.12.31)
(1年間)
心中 心
以外 中
24 48
25 50
5
8
計
第3次報告
(H17.1.1~
H17.12.31)
(1年間)
心中 心
以外 中
計
第4次報告
(H18.1.1~
H18.12.31)
(1年間)
心中 心
以外 中
計
第5次報告
(H19.1.1~
H20.3.31)
(1年3か月間)
心中 心
以外 中
計
第6次報告
(H20.4.1~
H21.3.31)
(1年間)
心中 心
以外 中
計
第7次報告
(H21.4.1~
H22.3.31)
(1年間)
心中 心
以外 中
計
第8次報告
(H22.4.1~
H23.3.31)
(1年間)
心中 心
以外 中
計
第9次報告
(H23.4.1~
H24.3.31)
(1年間)
心中 心
以外 中
計
第10次報告
(H24.4.1~
H25.3.31)
(1年間)
心中 心
以外 中
計
第11次報告
(H25.4.1~
H26.3.31)
(1年間)
心中 心
以外 中
計
53 51 19 70 52 48 100 73 42 115 64 43 107 47 30 77 45 37 82 56 29 85 49 29 78 36 27 63
58 56 30 86 61 65 126 78 64 142 67 61 128 49 39 88 51 47 98 58 41 99 51 39 90 36 33 69
※ 第1次報告から第11次報告までの「子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について」より
4
児童虐待防止対策の現状(1)
年 度
*(
児童相談所数
(か所)
児童福祉司数
(人)
要保護児童対策地域協議
会(子どもを守る地域ネッ
トワーク)等設置割合(%)
-
児童相談所相談対応件数(件)
総数
うち児童虐待相
談対応件数
361,124(1.00)
17,725 (1.00)
平成12年度
174 ( 1.00
)
1,313 ( 1.00 )
平成13年度
175 ( 1.01
)
1,480 ( 1.13 )
15.6% ( 1.00
)
381,843(1.06)
23,274 (1.31)
平成14年度
180 ( 1.03
)
1,627 ( 1.24 )
21.7% ( 1.39
)
398,025(1.10)
23,738 (1.34)
平成15年度
182 ( 1.05
)
1,733 ( 1.32 )
30.1% ( 1.93
)
341,629(0.95)
26,569 (1.50)
平成16年度
182 ( 1.05
)
1,813 ( 1.38 )
39.8% ( 2.55
)
351,838(0.97)
33,408 (1.88)
平成17年度
187 ( 1.07
)
1,989 ( 1.51 )
51.0% ( 3.27
)
349,911(0.97)
34,472 (1.94)
平成18年度
191 ( 1.10
)
2,139 ( 1.63 )
69.0% ( 4.42
)
381,757(1.06)
37,323 (2.11)
平成19年度
196 ( 1.13
)
2,263 ( 1.72 )
84.1% ( 5.39
)
367,852(1.02)
40,639 (2.29)
平成20年度
197 ( 1.13
)
2,358 ( 1.80 )
94.1% ( 6.03
)
364,414(1.01)
42,664 (2.41)
平成21年度
201 ( 1.16
)
2,428 ( 1.85 )
97.6% ( 6.26
)
371,800(1.03)
44,211 (2.49)
平成22年度
204 ( 1.17
)
2,477 ( 1.89 )
98.7% ( 6.33
)
373,528(1.03)
56,384 (3.18)
平成23年度
206 ( 1.18
)
2,606 ( 1.98 )
99.5% ( 6.38
)
385,294(1.07)
59,919 (3.38)
平成24年度
207 ( 1.19
)
2,670 ( 2.03 )
99.7% ( 6.39
)
384,261(1.06)
66,701 (3.76)
平成25年度
207 ( 1.19
)
2,771 ( 2.11 )
99.7% ( 6.39
)
391,997(1.09)
73,802 (4.16)
平成26年度
207 ( 1.19
)
2,829 ( 2.15 )
-
)
420,128(1.16)
88,931 (5.02)
(
-
)内は、平成12年度を1.00とした指数(伸び率)(なお、要保護児童対策地域協議会(子どもを守る地域ネットワーク)設置割合は、平成13年度を1.00とした指数(伸び率))
*要保護児童対策地域協議会(子どもを守る地域ネットワーク)設置割合については、平成17年度までは6月1日現在、平成18年以降は4月1日現在
*平成22年度の児童相談所相談対応件数は、東日本大震災の影響により、福島県を除いて集計した数値
5
児童虐待防止対策の現状(2)
年 度
立ち入り件数
(児童虐待理由)
一時保護件数
(委託も含む)
(件)
(件)
強制入所措置のための家庭裁判所
への申立・承認件数
請求件数
承認件数
(件)
(件)
児童養護施設
*2
入所定員(入所率)
(人)
平成12年度
96
(1.00)
6,168
(1.00)
127
87
33,803
(85.5%)
平成13年度
194
(2.02)
7,652
(1.24)
134
99
33,660
(88.0%)
平成14年度
184
(1.92)
8,369
(1.36)
117
87
33,651
(89.3%)
平成15年度
249
(2.59)
7,857
(1.27)
140
105
33,474
(89.7%)
平成16年度
287
(2.99)
8,427
(1.37)
186
147
33,485
(91.4%)
平成17年度
243
(2.53)
9,043
(1.47)
176
147
33,676 (91.5%)
平成18年度
238
(2.48)
10,221
(1.66)
185
163
33,561 (91.7%)
平成19年度
199
(2.07)
10,562
(1.71)
235
182
33,917 (90.9%)
平成20年度
148
(1.54)
10,869
(1.76)
230
173
33,994 (90.3%)
平成21年度
148
(1.54)
10,682
(1.73)
230
214
平成22年度
202
(2.10)
12,673
(2.05)
255
239
平成23年度
91
(0.95)
13,251
(2.15)
267
218
平成24年度
86
(0.90)
14,891
(2.41)
294
244
平成25年度
84
(0.88)
15,487
(2.51)
318
277
平成26年度
114
(1.19)
16,816
(2.73)
350
267
*1) (
34,648 (88.4%)
*3
34,554 (87.5%)
*3
34,464 (86.3%)
*3
34,252 (85.8%)
*3
34,044 (84.7%)
*3
33,579 (83.9%)
*3
)内は、平成12年度を1.00とした指数(伸び率)
*2) 児童養護施設の入所定員・入所率は10月1日現在。(社会福祉施設等調査報告)
*3)平成21年度以降の児童養護施設の入所定員・入所率は各年10月1日現在。(家庭福祉課調べ)
*4)平成22年度の立ち入り件数、一時保護件数、強制入所措置のための家庭裁判所への申立・承認件数は、東日本大震災の影響により、
福島県を除いて集計した数値。
6
児童相談所での虐待相談の経路別件数の推移
○ 平成26年度に、児童相談所に寄せられた虐待相談の相談経路は、警察等、近隣知人、家族、学校等、
福祉事務所、 からが多くなっている。
家族
親戚
近隣
知人
児童
本人
福祉
事務所
児童
委員
保健所
医療
機関
児童福
祉施設
警察等
学校等
その他
総 数
16年度
5,306
(16%)
785
(2%)
4,837
(14%)
410
(1%)
4,433
(13%)
639
(2%)
871
(3%)
1,408
(4%)
1,611
(5%)
2,034
(6%)
5,078
(15%)
5,996
(18%)
33,408
(100%)
17年度
5,368
(16%)
958
(3%)
4,807
(14%)
455
(1%)
4,591
(13%)
538
(2%)
530
(2%)
1,428
(4%)
1,521
(4%)
2,250
(7%)
5,073
(15%)
6,953
(20%)
34,472
(100%)
18年度
5,700
(15%)
1,042
(3%)
5,475
(15%)
452
(1%)
5,672
(15%)
472
(1%)
374
(1%)
1,522
(4%)
1,472
(4%)
2,726
(7%)
5,688
(15%)
6,728
(18%)
37,323
(100%)
19年度
5,875
(14%)
1,558
(4%)
5,756
(14%)
501
(1%)
6,311
(16%)
346
(1%)
363
(1%)
1,683
(4%)
1,438
(4%)
4,048
(10%)
5,241
(13%)
7,519
(19%)
40,639
(100%)
20年度
6,134
(14%)
1,147
(3%)
6,132
(14%)
558
(1%)
6,053
(14%)
319
(1%)
282
(1%)
1,772
(4%)
1,552
(4%)
6,133
(14%)
4,886
(11%)
7,696
(18%)
42,664
(100%)
21年度
6,105
(14%)
1,237
(3%)
7,615
(17%)
504
(1%)
5,991
(14%)
317
(1%)
226
(1%)
1,715
(4%)
1,401
(3%)
6,600
(15%)
5,243
(12%)
7,257
(16%)
44,211
(100%)
22年度
7,368
(13%)
1,540
(3%)
12,175
(22%)
696
(1%)
6,859
(12%)
343
(1%)
155
(0%)
2,116
(4%)
1,584
(3%)
9,135
(16%)
5,667
(10%)
8,746
(16%)
56,384
(100%)
23年度
7,471
(12%)
1,478
(2%)
12,813
(21%)
741
(1%)
6,442
(11%)
327
(1%)
202
(0%)
2,310
(4%)
1,516
(3%)
11,142
(19%)
6,062
(10%)
9,415
(16%)
59,919
(100%)
24年度
7,147
(11%)
1,517
(2%)
13,739
(21%)
773
(1%)
6,559
(10%)
293
(0%)
221
(0%)
2,653
(4%)
1,598
(2%)
16,003
(24%)
6,244
(9%)
9,954
(15%)
66,701
(100%)
25年度
7,393
(10%)
1,554
(2%)
13,866
(19%)
816
(1%)
6,618
(9%)
290
(0%)
179
(0%)
2,525
(3%)
1,680
(2%)
21,223
(29%)
6,498
(9%)
11,160
(15%)
73,802
(100%)
26年度
7,806
(9%)
1,996
(2%)
15,636
(18%)
849
(1%)
7,073
(8%)
281
(0%)
155
(0%)
2,965
(3%)
1,714
(2%)
29,172
(33%)
7,256
(8%)
14,028
(16%)
88,931
(100%)
※ 平成26年度の「その他」で最も多いのは、「(他の)児童相談所」が5,806件である。
※ 平成22年度は、東日本大震災の影響により、福島県を除いて集計した数値。
7
児童相談所での虐待相談の内容別件数の推移
○ 平成26年度は、心理的虐待が43.6%で最も多く、次いで身体的虐待が29.4%となっている。
身体的虐待
5,973( 51.3%)
8,877( 50.1%)
10,828( 46.5%)
10,932( 46.1%)
12,022( 45.2%)
14,881( 44.6%)
14,712( 42.7%)
15,364( 41.2%)
16,296( 40.1%)
16,343( 38.3%)
17,371( 39.3%)
21,559( 38.2%)
21,942( 36.6%)
23,579( 35.4%)
24,245( 32.9%)
平成11年度
平成12年度
平成13年度
平成14年度
平成15年度
平成16年度
平成17年度
平成18年度
平成19年度
平成20年度
平成21年度
平成22年度
平成23年度
平成24年度
平成25年度
ネグレクト
3,441( 29.6%)
6,318( 35.6%)
8,804( 37.8%)
8,940( 37.7%)
10,140( 38.2%)
12,263( 36.7%)
12,911( 37.5%)
14,365( 38.5%)
15,429( 38.0%)
15,905( 37.3%)
15,185( 34.3%)
18,352( 32.5%)
18,847( 31.5%)
19,250( 28.9%)
19,627( 26.6%)
平成26年度
26,181( 29.4%)
22,455( 25.2%)
*平成22年度は、東日本大震災の影響により、福島県を除いて集計した数値
40,000
性的虐待
590( 5.1%)
754( 4.3%)
778( 3.3%)
820( 3.5%)
876( 3.3%)
1,048( 3.1%)
1,052( 3.1%)
1,180( 3.2%)
1,293( 3.2%)
1,324( 3.1%)
1,350( 3.1%)
1,405( 2.5%)
1,460( 2.4%)
1,449( 2.2%)
1,582( 2.1%)
心理的虐待
1,627( 14.0%)
1,776( 10.0%)
2,864( 12.3%)
3,046( 12.8%)
3,531( 13.3%)
5,216( 15.6%)
5,797( 16.8%)
6,414( 17.2%)
7,621( 18.8%)
9,092( 21.3%)
10,305( 23.3%)
15,068( 26.7%)
17,670( 29.5%)
22,423( 33.6%)
28,348( 38.4%)
総 数
11,631(100.0%)
17,725(100.0%)
23,274(100.0%)
23,738(100.0%)
26,569(100.0%)
33,408(100.0%)
34,472(100.0%)
37,323(100.0%)
40,639(100.0%)
42,664(100.0%)
44,211(100.0%)
56,384(100.0%)
59,919(100.0%)
66,701(100.0%)
73,802(100.0%)
1,520( 1.7%)
38,775( 43.6%)
88,931(100.0%)
身体的虐待
ネグレクト
性的虐待
心理的虐待
総 数
30,000
20,000
10,000
0
H11'
H12'
H13'
H14'
H15'
H16'
H17'
H18'
H19'
H20'
H21'
H22'
H23'
H24'
H25'
H26'
100,000
90,000
80,000
70,000
60,000
50,000
40,000
30,000
20,000
10,000
08
主たる虐待者の推移(児童相談所)
○ 平成26年度は、実母が52.4%と最も多く、次いで実父が34.5%となっている。
平成11年度
平成12年度
平成13年度
平成14年度
平成15年度
平成16年度
平成17年度
平成18年度
平成19年度
平成20年度
平成21年度
平成22年度
平成23年度
平成24年度
平成25年度
平成26年度
実 父
2,908( 25.0%)
4,205( 23.7%)
5,260( 22.6%)
5,329( 22.5%)
5,527( 20.8%)
6,969( 20.9%)
7,976( 23.1%)
8,220( 22.0%)
9,203( 22.6%)
10,632( 24.9%)
11,427( 25.8%)
14,140( 25.1%)
16,273( 27.2%)
19,311( 29.0%)
23,558( 31.9%)
30,646( 34.5%)
実父以外の父
815( 7.0%)
1,194( 6.7%)
1,491( 6.4%)
1,597( 6.7%)
1,645( 6.2%)
2,130( 6.4%)
2,093( 6.1%)
2,414( 6.5%)
2,569( 6.3%)
2,823( 6.6%)
3,108( 7.0%)
3,627( 6.4%)
3,619( 6.0%)
4,140( 6.2%)
4,727( 6.4%)
5,573( 6.3%)
実 母
6,750( 58.0%)
10,833( 61.1%)
14,692( 63.1%)
15,014( 63.2%)
16,702( 62.8%)
20,864( 62.4%)
21,074( 61.1%)
23,442( 62.8%)
25,359( 62.4%)
25,807( 60.5%)
25,857( 58.5%)
34,060( 60.4%)
35,494( 59.2%)
38,224( 57.3%)
40,095( 54.3%)
46,624( 52.4%)
実母以外の母
269( 2.3%)
311( 1.8%)
336( 1.5%)
369( 1.6%)
471( 1.8%)
499( 1.5%)
591( 1.7%)
655( 1.8%)
583( 1.4%)
539( 1.3%)
576( 1.3%)
616( 1.1%)
587( 1.0%)
548( 0.8%)
661( 0.9%)
674( 0.8%)
そ の 他
889( 7.7%)
1,182( 6.7%)
1,495( 6.4%)
1,429( 6.0%)
2,224( 8.4%)
2,946( 8.8%)
2,738( 7.9%)
2,592( 6.9%)
2,925( 7.2%)
2,863( 6.7%)
3,243( 7.3%)
3,941( 7.0%)
3,946( 6.6%)
4,478( 6.7%)
4,761( 6.5%)
5,414( 6.1%)
総 数
11,631(100.0%)
17,725(100.0%)
23,274(100.0%)
23,738(100.0%)
26,569(100.0%)
33,408(100.0%)
34,472(100.0%)
37,323(100.0%)
40,639(100.0%)
42,664(100.0%)
44,211(100.0%)
56,384(100.0%)
59,919(100.0%)
66,701(100.0%)
73,802(100.0%)
88,931(100.0%)
*その他には、祖父母、伯父伯母等が含まれる。
* 平成22年度は、東日本大震災の影響により、福島県を除いて集計した数値
50,000
100,000
90,000
80,000
70,000
60,000
50,000
40,000
30,000
20,000
10,000
0
実 父
実父以外の父
実 母
実母以外の母
そ の 他
総 数
40,000
30,000
20,000
10,000
0
H11'
H12'
H13'
H14'
H15'
H16'
H17'
H18'
H19'
H20'
H21'
H22'
H23'
H24'
H25'
H26'
9
虐待を受けた子どもの年齢構成の推移(児童相談所)
○ 平成26年度は、小学生が34.5%と最も多く、次いで3歳から学齢前児童が23.8%、0歳から3歳未満が19.7%である。
なお、小学校入学前の子どもの合計の割合は、43.5%となっており、高い割合を占めている。
0歳~3歳未満
3歳~学齢前児童
小 学 生
中 学 生
高校生・その他
総 数
平成11年度
2,393( 20.6%)
3,370( 29.0%)
4,021( 34.5%)
1,266( 10.9%)
581( 5.0%)
11,631(100.0%)
平成12年度
3,522( 19.9%)
5,147( 29.0%)
6,235( 35.2%)
1,957( 11.0%)
864( 4.9%)
17,725(100.0%)
平成13年度
4,748( 20.4%)
6,847( 29.4%)
8,337( 35.8%)
2,431( 10.5%)
911( 3.9%)
23,274(100.0%)
平成14年度
4,940( 20.8%)
6,928( 29.2%)
8,380( 35.3%)
2,495( 10.5%)
995( 4.2%)
23,738(100.0%)
平成15年度
5,346( 20.1%)
7,238( 27.3%)
9,708( 36.5%)
3,116( 11.7%)
1,161( 4.4%)
26,569(100.0%)
平成16年度
6,479( 19.4%)
8,776( 26.3%)
12,483( 37.4%)
4,187( 12.5%)
1,483( 4.4%)
33,408(100.0%)
平成17年度
6,361( 18.5%)
8,781( 25.5%)
13,024( 37.8%)
4,620( 13.4%)
1,686( 4.9%)
34,472(100.0%)
平成18年度
6,449( 17.3%)
9,334( 25.0%)
14,467( 38.8%)
5,201( 13.9%)
1,872( 5.0%)
37,323(100.0%)
平成19年度
7,422( 18.3%)
9,727( 23.9%)
15,499( 38.1%)
5,889( 14.5%)
2,102( 5.2%)
40,639(100.0%)
平成20年度
7,728( 18.1%)
10,211( 23.9%)
15,814( 37.1%)
6,261( 14.7%)
2,650( 6.2%)
42,664(100.0%)
平成21年度
8,078( 18.3%)
10,477( 23.7%)
16,623( 37.6%)
6,501( 14.7%)
2,532( 5.7%)
44,211(100.0%)
平成22年度
11,033( 19.6%)
13,650( 24.2%)
20,584( 36.5%)
7,474( 13.3%)
3,643( 6.5%)
56,384(100.0%)
平成23年度
11,523( 19.2%)
14,377( 24.0%)
21,694( 36.2%)
8,158( 13.6%)
4,167( 7.0%)
59,919(100.0%)
平成24年度
12,503( 18.7%)
16,505( 24.7%)
23,488( 35.2%)
9,404( 14.1%)
4,801( 7.2%)
66,701(100.0%)
平成25年度
13,917( 18.9%)
17,476( 23.7%)
26,049( 35.3%)
10,649( 14.4%)
5,711( 7.7%)
73,802(100.0%)
平成26年度
17,479( 19.7%) 21,186( 23.8%) 30,721( 34.5%)
* 平成22年度は、東日本大震災の影響により、福島県を除いて集計した数値
12,510( 14.1%)
7,035( 7.9%)
88,931(100.0%)
40,000
35,000
30,000
25,000
20,000
15,000
10,000
5,000
0
100,000
90,000
80,000
70,000
60,000
50,000
40,000
30,000
20,000
10,000
0
0歳~3歳未満
3歳~学齢前児童
小 学 生
中 学 生
高校生・その他
総 数
H11'
H12'
H13'
H14'
H15'
H16'
H17'
H18'
H19'
H20'
H21'
H22'
H23'
H24'
H25'
H26'
10
市町村児童虐待相談対応件数及び経路別件数の推移
○ 全国の市町村における児童虐待に関する相談対応件数は、年々増加傾向にある。
90,000
80,000
70,000
60,000
50,000
40,000
30,000
20,000
10,000
0
79,186 70,102 67,232 40,222 H17年度
48,457 49,895 52,282 H18年度
H19年度
H20年度
87,694 73,200 56,606 H21年度
H22年度
H23年度
H24年度
H25年度
※平成22年度は東日本
大震災の影響により、
岩手県及び宮城県
(仙台市以外)の一部、
福島県を除いて集計し
た数値。
H26年度
○ 平成26年度において、市町村に寄せられた虐待相談の相談経路は、児童相談所、学校、近隣知人からが多い。
都道府県
指定都市・中核市
児童
相談所
市町村
児童福祉施設
保健所・医療機関
福祉
保健
福祉
保健
児童福
保育所
保健所
事務所 センター 事務所 センター
祉施設
医療
機関
学校等
家族
親戚
近隣
知人
児童
本人
22年度
6,724
(10.0%)
8,466
(12.6%)
300
(0.4%)
11,923 1,348 1,068 4,108 5,118 5,788
(17.7%) (2.0%) (1.6%) (6.1%) (7.6%) (8.6%)
527
(0.8%)
760
1,419 1,324 1,957
(1.1%) (2.1%) (2.0%) (2.9%)
716
9,654 1,199 4,833
(1.1%) (14.4%) (1.8%) (7.2%)
67,232
(100.0%)
23年度
7,152
(10.2%)
8,436
(12.0%)
273
(0.4%)
12,730 1,109 1,074 4,873 4,923 5,853
(18.2%) (1.6%) (1.5%) (7.0%) (7.0%) (8.3%)
576
(0.8%)
883
1,467 1,679 1,791
(1.3%) (2.1%) (2.4%) (2.6%)
742
10,249 1,205 5,087
(1.1%) (14.6%) (1.7%) (7.3%)
70,102
(100.0%)
24年度
7,214
(9.9%)
8,566
(11.7%)
308
(0.4%)
13,760 1,378 1,242 4,770 5,334 5,819
(18.8%) (1.9%) (1.7%) (6.5%) (7.3%) (7.9%)
605
(0.8%)
937
1,657 2,083 1,641
(1.3%) (2.3%) (2.8%) (2.2%)
679
10,320 1,143 5,744
(0.9%) (14.1%) (1.6%) (7.8%)
73,200
(100.0%)
25年度
7,344
(8.4%)
8,310
(9.5%)
317
(0.4%)
16,025 1,558 1,338 5,726 5,675 6,019
(18.3%) (1.8%) (1.5%) (6.5%) (6.5%) (6.9%)
575
(0.7%)
985
1,844 2,398 1,430
(1.1%) (2.1%) (2.7%) (1.6%)
891
10,917 1,226 6,608
(1.0%) (12.4%) (1.4%) (7.5%)
79,186
(90.3%)
26年度
7,722
(8.8%)
8,613
(9.8%)
336
(0.4%)
17,809 2,035 1,701 6,260 6,503 6,359
(20.3%) (2.3%) (1.9%) (7.1%) (7.4%) (7.3%)
667
1,337 2,043 3,068 1,382
(0.8%) (1.5%) (2.3%) (3.5%) (1.6%)
929
12,074 1,544 7,312
(1.1%) (13.8%) (1.8%) (8.3%)
87,694
(100.0%)
警察等
児童
委員
幼稚園
学校
教育
その他
委員会
総 数
11
市町村における虐待相談の内容別件数の推移
身体的虐待
ネグレクト
性的虐待
心理的虐待
総
数
平成19年度
17,845 (35.8%)
22,329
(44.8%)
821
(1.6%)
8,900
(17.8%)
49,895 (100.0%)
平成20年度
18,641 (35.7%)
22,814
(43.6%)
832
(1.6%)
9,995
(19.1%)
52,282 (100.0%)
平成21年度
21,088 (37.3%)
23,099
(40.8%)
800
(1.4%)
11,619
(20.5%)
56,606 (100.0%)
平成22年度
25,100 (37.3%)
25,979
(38.6%)
913
(1.4%)
15,240
(22.7%)
67,232 (100.0%)
平成23年度
25,154 (35.9%)
27,008
(38.5%)
932
(1.3%)
17,008
(24.3%)
70,102 (100.0%)
平成24年度
25,559 (34.9%)
26,953
(36.8%)
934
(1.3%)
19,754
(27.0%)
73,200 (100.0%)
平成25年度
25,665 (32.4%)
28,954
(36.6%)
1,013
(1.3%)
23,554
(29.8%)
79,186 (100.0%)
平成26年度
26,860 (30.6%)
31,740
(36.2%)
1,033
(1.2%)
28,061
(32.0%)
87,694 (100.0%)
90,000
35,000
79,186 30,000
67,232 70,102 87,694 73,200 80,000
70,000
56,606 25,000
49,895 60,000
52,282 20,000
50,000
15,000
40,000
身体的虐待
ネグレクト
性的虐待
心理的虐待
30,000
10,000
総
20,000
5,000
10,000
0
0
平成19年度
平成20年度
平成21年度
平成22年度
平成23年度
平成24年度
平成25年度
平成26年度
12
数
主たる虐待者の推移(市町村)
実
父
実父以外の父
実
母
実母以外の母
そ の 他
総
数
平成19年度
10,090 (20.3%)
2,244 (4.5%)
33,674 (67.7%)
614 (1.2%)
3,136 (6.3%)
49,758
(100.0%)
平成20年度
10,904 (20.9%)
2,361 (4.5%)
35,274 (67.5%)
685 (1.3%)
3,058 (5.8%)
52,282
(100.0%)
平成21年度
12,259 (21.7%)
2,668 (4.7%)
37,337 (66.0%)
777 (1.4%)
3,565 (6.3%)
56,606
(100.0%)
平成22年度
14,337 (21.3%)
2,964 (4.4%)
44,841 (66.7%)
702 (1.0%)
4,388 (6.5%)
67,232
(100.0%)
平成23年度
15,515 (22.1%)
3,114 (4.4%)
46,673 (66.6%)
572 (0.8%)
4,228 (6.0%)
70,102
(100.0%)
平成24年度
16,973 (23.2%)
3,161 (4.3%)
47,337 (64.7%)
679 (0.9%)
5,050 (6.9%)
73,200
(100.0%)
平成25年度
19,505 (24.6%)
3,014 (3.8%)
51,613 (65.2%)
665 (0.8%)
4,389 (5.5%)
79,186
(100.0%)
平成26年度
22,567 (25.7%)
3,331 (3.8%)
56,291 (64.2%)
591 (0.7%)
4,914 (5.6%)
87,694
(100.0%)
※統計がないため平成19年度は神戸市を除く。
90,000
60,000
79,186
50,000
40,000
67,232
49,758
52,282
70,102
87,694
73,200
56,606
80,000
70,000
60,000
50,000
30,000
20,000
実
父
実父以外の父
実
母
40,000
実母以外の母
30,000
そ の 他
総
数
20,000
10,000
10,000
0
0
平成19年度 平成20年度 平成21年度 平成22年度 平成23年度 平成24年度 平成25年度 平成26年度
13
虐待を受けた子どもの年齢構成の推移(市町村)
0歳~3歳未満
3歳~学齢前児童
小 学 生
中 学 生
総
数
平成19年度
10,744 (21.5%)
14,182 (28.4%)
17854 (35.8%)
5,552 (11.1%)
1,563 (3.1%)
49,895 (100.0%)
平成20年度
11,451 (21.9%)
14,637 (28.0%)
18723 (35.8%)
5,732 (11.0%)
1,739 (3.3%)
52,282 (100.0%)
平成21年度
12,280 (21.7%)
15,981 (28.2%)
20,268 (35.8%)
6,220 (11.0%)
1,857 (3.3%)
56,606 (100.0%)
平成22年度
15,330 (22.8%)
18,716 (27.8%)
23,358 (34.7%)
7,292 (10.8%)
2,536 (3.8%)
67,232 (100.0%)
平成23年度
15,803 (22.5%)
19,112 (27.3%)
24,579 (35.1%)
8,047 (11.5%)
2,561 (3.7%)
70,102 (100.0%)
平成24年度
16,677 (22.8%)
19,738 (27.0%)
25,667 (35.1%)
8,227 (11.2%)
2,891 (3.9%)
73,200 (100.0%)
平成25年度
17,915 (22.6%)
21,027 (26.6%)
27,568 (34.8%)
9,153 (11.6%)
3,523 (4.5%)
79,186 (100.0%)
平成26年度
20,528 (23.4%)
22,998 (26.2%)
29,805 (34.0%)
10,419 (11.9%)
3,944 (4.5%)
87,694 (100.0%)
30,000
79,186 73,200 25,000
20,000
高校生・その他
67,232
90,000
87,694 70,102 70,000
56,606
49,895
80,000
60,000
52,282
0歳~3歳未満
3歳~学齢前児童
50,000
15,000
40,000
10,000
30,000
小 学 生
中 学 生
高校生・その他
総
20,000
5,000
10,000
0
0
平成19年度
平成20年度
平成21年度
平成22年度
平成23年度
平成24年度
平成25年度
平成26年度
数
児童相談所の概要
1
設置の目的
○ 子どもに関する家庭等からの相談に応じ、子どもが有する問題又は子どもの真のニーズ、子どもの置かれた環境等の把握
○ 個々の子どもや家庭に最も効果的な援助
により子どもの福祉を図るとともにその権利を擁護する
2
設置主体
○ 都道府県・指定都市及び児童相談所設置市(横須賀市・金沢市)
○ 全国208か所(平成27年4月1日現在)
3
役割
○ 児童に関する家庭その他からの相談のうち専門的な知識及び技術を必要とするものに応ずる。
○ 市町村間の連絡調整、情報の提供等必要な援助を行う。
*市町村は、児童及び妊産婦の福祉に関し、家庭その他からの相談に応じ、必要な調査及び指導を行う。
4
業務
①
➁
③
④
5
市町村援助(市町村による児童家庭相談への対応について、市町村相互間の連絡調整等必要な援助)
相談(家庭等の養育環境の調査や専門的診断を踏まえた子どもや家族に対する援助決定)
一時保護
措置(在宅指導、児童福祉施設入所措置、里親委託等)
等
職員
○ 所長、児童福祉司、児童心理司、精神科医等(児童相談所の規模による)
○ 全国の職員数:10,738人(平成27年4月1日現在)
(内訳) ・ 児童福祉司
2,934人
・ 児童心理司 1,293人
・ 精神科医
311人
6
等
相談の種類と主な内容
①
②
③
④
⑤
⑥
養護相談・・・保護者の家出、失踪、死亡、入院等による養育困難、虐待、養子縁組等に関する相談
保健相談・・・未熟児、疾患等に関する相談
障害相談・・・肢体不自由、視聴覚・言語発達・重症心身・知的障害、自閉症等に関する相談
非行相談・・・ぐ犯行為、触法行為、問題行動のある子どもに等に関する相談
育成相談・・・家庭内のしつけ、不登校、進学適性等に関する相談
その他
15
児童虐待防止法、児童福祉法(児童虐待対応の関連部分)の概要
児童虐待の防止等に関する法律
児童福祉法
(平成12年法律第82号)
(平成22年法律第164号)
1 目的(第1条関係)
① 児童相談所の業務(第11~12条関係)
この法律は、児童虐待が児童の心身の成長及び人格の形成に重大な影
響を与えることにかんがみ、児童に対する虐待の禁止、児童虐待の防止に
関する国及び地方公共団体の責務、児童虐待を受けた児童の保護のため
の措置等を定めることにより、児童虐待の防止等に関する施策を促進し、
もって児童の権利利益の擁護に資することを目的とする
○ 児童相談所は児童及び妊産婦の福祉に関する業務を行う
・相談、調査、診断、判定、援助決定
・在宅指導、児童福祉施設入所措置、里親委託等
・一時保護 等
② 要保護児童の通告義務(第25条関係)
2 児童虐待の定義(第2条関係)
○身体的虐待
○保護の怠慢(ネグレクト)
○性的虐待
○心理的虐待
3 国及び地方公共団体の責務等(第4条関係)
○ 児童虐待の防止等に必要な体制の整備
○ 人材確保、資質向上のための研修
○ 広報啓発
○ 調査研究及び検証
4 児童虐待の早期発見及び児童虐待に係る通告(第5条~第7条関
係)
○ 学校・病院等の教職員・医師・保健師・弁護士等の児童虐待の早期発見
の努力義務
○ 児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者の通告義務(②)
5 児童虐待を受けた児童の安全確認義務(第8条関係)
○ 通告等を受けた市町村、福祉事務所による早期の安全確認の義務
→確認後、児童相談所への送致等(④)
○ 児童相談所は、必要に応じて一時保護(⑨)
6 出頭要求、立入調査等、再出頭要求(第8条の2、第9条、第9条の
2関係)
○ 児童虐待が疑われる場合 →保護者への児童を同伴した出頭要求
○ 出頭要求に応じなく、児童虐待が疑われる場合 →立入調査(⑧⑫)
○ 立入調査を拒否、児童虐待が疑われる場合 →再出頭要求
○ 要保護児童を発見した者の通告義務
○ 通告先:市町村、福祉事務所、児童相談所
※要保護児童(第6条の3第8項):保護者のない児童又は保護者に監護させる
ことが不適当であると認められる児童
③ 要保護児童対策地域協議会(第25条の2~第25条の4関係)
○ 関係機関、関係団体等により構成される要保護児童対策地域協議会の
設置義務(努力義務)
○ 協議の対象:要保護児童、要支援児童、特定妊婦
※要支援児童(第6条の3第5項):保護者の養育を支援することが特に必要と
認められる児童
特定妊婦(第6条の3第5項):出産後の養育について出産前において支援を
行うことが特に必要と認められる妊婦
④ 市町村及び都道府県の設置する福祉事務所長の採るべき措置(第
25条の7~第25条の8関係)
通告を受けた児童等について、第27条の措置が必要と認める者等の児童
相談所への送致
⑤ 児童相談所長の採るべき措置(第26条関係)
通告を受けた児童、若しくは市町村及び福祉事務所長により送致を受けた
児童等の都道府県知事への報告や、児童福祉司の指導等の措置
7 臨検・捜索(第9条の3~第9条の9関係)
再出頭要求を拒否し、児童虐待が疑われている場合
→裁判官の許可状により、児童相談所による臨検、捜索
※
臨検・捜索
「臨検」とは、住居等に立ち入ること。「捜索」とは、住居その他の場
所につき人の発見を目的として捜し出すこと。物理的実力の行使を背景
に、対象者の意思に反してでも直接的に児童の安全確認又は安全確保を
しようとする強制処分。
8 警察署長に対する援助要請(第10条関係)
○ 児童の安全確認等における警察署長への援助要請
○ 援助要請を受けた警察官は、安全の確認及び確保を目的として、警察
法、警察官職務執行法に基づく任務と権限に基づく対応
9 保護者への指導、面会・通信の制限、接近禁止命令等(第11~12
条の4、第14、15条)
○ 虐待を行った保護者が児童福祉司による指導を受ける義務(⑥)、保
護者が指導を受けないときの都道府県知事による勧告
○ 児童相談所長等による保護者に対する面会・通信制限
○ 都道府県知事による保護者に対する接近禁止命令(罰則あり)
○ 親権の適切な行使に関する配慮、親権喪失制度の適切な運用(⑩)
10 児童の自立に向けた支援(第13条~第13条の2関係)
○ 都道府県知事による施設入所措置解除の際の児童福祉司等の意見の
聴取及び保護者に対する指導効果や児童虐待の予防措置の効果の勘案
(⑥)
○ 児童虐待を受けた者の教育の改善・充実、自立支援のための施策の
実施
11 関係機関相互の情報提供(第13条の3関係)
○ 地方公共団体の機関は、市町村長、児童相談所長等から児童虐待に
係る児童等の資料又は情報の提供を求められたときは、必要な限度で提
供可能
12 罰則(第17条関係)
接近禁止命令(第12条の4第1項)に違反した者は、1年以下の懲役又は
100万円以下の罰金
⑥ 都道府県の採るべき措置(第27条、第32条関係)
○ 都道府県の第26条の報告のあった児童等への措置
・児童又はその保護者への訓戒又は誓約書の提出
・児童又はその保護者への児童福祉司等による指導
・施設入所又は里親委託
・家庭裁判所への送致
○ 施設入所又は里親委託は、親権者又は未成年後見人の同意が必要
⑦ 親権者の同意が得られない場合の措置(第28条関係)
○ 施設入所又は里親委託の同意が得られない場合は、家庭裁判所の承認を
得て措置が可能
○ 措置期間は2年以内(家庭裁判所の承認を得て更新可)
○ 家庭裁判所は措置に関する承認の審判をする場合、当該保護者の指導措
置が相当であると認めるときは、その旨を都道府県に勧告
⑧ 立入調査(第29条関係)
都道府県による第28条の措置を採るために必要がある場合の立入調査
⑨ 児童の一時保護(第33条、第33条の2関係)
○ 児童相談所長による必要があると認めるときの一時保護
○ 一時保護の期間は2か月以内(更新可)
○ 2か月を超えて一時保護を行うことが親権者又は未成年後見人の同意を得
られない場合は都道府県児童福祉審議会の意見聴取が必要
⑩ 児童相談所長の親権喪失の審判等の請求(第33条の7関係)
児童又は児童以外の満二十歳に満たない者(以下「児童等」という。)の親権
喪失、親権停止若しくは管理権喪失の審判の請求又はこれらの審判の取り消
しの請求は、児童相談所長も行うことが可能
⑪ 児童相談所長の未成年後見人選任の請求等(第33条の8~第33条の
9関係)
児童相談所長は、親権者のない児童等について、福祉のために必要がある
場合は、家庭裁判所に未成年後見人の選任請求が必要
⑫ 罰則(第61条の5関係)
第29条の規定による立入調査を拒否した場合や虚偽の答弁を行った場合等
には、50万円以下の罰金
虐待相談対応件数と児童相談所の体制
児童相談所と児童福祉司
相談対応件数
平成11年度
○ 児童相談所での児童虐待相談対応件数は大幅な増加。
児童相談所設置自治体
平成27年度
59自治体 → 69自治体
(約1.2倍)
児童相談所数
[参考] 平成26年度の状況
・ 児童虐待相談対応件数
174か所 → 208か所
(約1.2倍)
88,931件
児童福祉司数
1,230人 → 2,934人
(約2.4倍)
児童虐待相談対応件数の推移
100,000
88,931
90,000
児童虐待相談対応件数
73,802
80,000
70,000
66,701
40,639
30,000
230
児童福祉司
210
190
42,664
23,274
180
平成11年度
の約7.6倍
11,631
20,000
4,500
平成11年度
の約2.4倍
4,000
2,934
2,7712,829
2,6062,670
2,3582,4282,477
207 207 208
2,1392,263
207
1,989
206
204
1,813
197 201
1,6271,733
1,480
191 196
187
1,2301,313
180 182 182
174 174 175
H1 2
H1 3
H14
H15
H16
H17
H1 8
H19
H20
H21
H22
H2 3
H2 4
H25
※平成22年度は、東日本大震災の影響により、福島県を除いて集計した数値
3,000
2,500
2,000
1,500
1,000
0
160
H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27
H11
3,500
500
170
10,000
0
児童相談所
200
33,408
40,000
240
220
56,384
60,000
50,000
児童相談所と児童福祉司数の推移
250
H26
18
児童福祉司の任用資格取得過程と増員措置
児童福祉司任用資格の取得の道筋
児童相談所職員(児童福祉司)の増員措置について
(平成27年度 地方財政措置)
1
児童福祉司
養成施設
講習会
社会福祉主
事として
2年以上 等
指定施設での
実務経験 1年
実務経験
2年
短期大学
等
大学等
児童福祉司の現状(平成27年4月1日現在)
児童福祉司数
2,934名
(児童相談所数 208か所(平成27年4月1日現在))
(参考) 平成11年度
1,230名
平成12年度
1,313名
平成13年度
1,480名
平成14年度
1,627名
平成15年度
1,733名
平成16年度
1,813名
平成17年度
1,989名
平成18年度
2,139名
平成19年度
2,263名
平成20年度
2,358名
平成21年度
2,428名
平成22年度
2,477名
平成23年度
平成24年度
平成25年度
平成26年度
(3科目を修めて大学
2
を卒業)社会福祉概論、
社会福祉事業史、社会
福祉援助技術論、社会
福祉調査論、社会福祉
施設経営論、社会福祉
・医師
行政論、社会保障論、公
・心理学専修
的扶助論、児童福祉論、
・社会学専修
家庭福祉論、保育理論、
・教育学専修
・社会福祉士
身体障害者福祉論、精
・精神保健福
神障害者保健福祉論、
祉士
( 大学院 、外
老人福祉論、医療社会
国の大学卒
事業論、地域福祉論、法
で同等者を含
学、民法、行政法、経済
む。)
学、社会政策、経済政策、
心理学、社会学、教育学、
倫理学、公衆衛生学、医
学一般、リハビリテーショ
ン論、看護学、介護概論、
栄養学及び家政学
・保健師
・保育士
・助産師
・看護師
・教員
・教員(2種)
(専修、1種)
2,606名
2,670名
2,771名
2,829名
平成27年度における地方財政措置
児童相談所職員(児童福祉司)
地方交付税標準人口170万人あたりの児童福祉司の数
36名
(参 考)
地方交付税算定における人口170万人あたりの児童相談所職員数推移
平成11年度
平成12年度
平成13年度
平成14年度
平成15年度
平成16年度
平成17年度
平成18年度
平成19年度
平成20年度
平成21年度
平成22年度
平成23年度
平成24年度
平成25年度
平成26年度
平成27年度
※
(児童福祉司)
16名
対前年度
17名
+ 1名
19名
+ 2名
21名
+ 2名
23名
+ 2名
25名
+ 2名
25名
-
25名
-
28名
+ 3名
29名
+ 1名
30名
+ 1名
30名
-
32名
+ 2名
34名
+ 2名
35名
+ 1名
36名
+ 1名
36名
0名
(児童福祉司含む児童相談所職員総数)
40名 対前年度
41名 + 1名
43名 + 2名
45名 + 2名
47名 + 2名
49名 + 2名
49名
ー
50名 + 1名
53名 + 3名
53名
ー
54名 + 1名
54名
ー
56名 + 2名
58名 + 2名
59名 + 1名
58名 - 1名
61名 + 3名
児童相談所の運営経費の一般財源化について
・人件費
昭和25年度~
・運営費
昭和60年度~
19
平成27年度 都道府県別児童福祉司の管轄人口
○ すべての自治体で、児童福祉法施行令第3条に定める児童福祉司の配置標準(4~7万)を満たすか、
あるいはそれを超えて配置されている。(人口は、平成22年10月1日国勢調査)
4~7万
4万未満
45 自治体
24自治体
全国平均
45,266
20
児童相談所での児童虐待ケースへの対応の手順
通告・相談
(受付)
受 理
調 査
○受付票の作成
○受理会議の開催
○迅速な対応
・全てのケースに
つき作成
・調査及び診断の
方針、安全確認の時
期や方法等の検討
・原則48時間以内の
安全確認の実施(子
ども本人を直接目視
により確認)
・ケースの住所、
状態等必要な情
報の確認
・所長、各部門の長、
担当者、受付相談員
等により組織的に判
断
・ケースの緊急性の
評価
・調査等の方針決
定、必要な指示
○児童記録票の作成
(きょうだいの場合
個々に作成)
○必要に応じた出頭
要求、立入調査、臨
検・捜索の実施
各種診断
○ 子ども本人、虐待
者、家庭環境等を評価
・社会診断
判定・
援助方針
の決定
○判定会議において
各種診断を基にケー
スの総合的判定
・医学診断
○援助方針会議にお
いて援助方針の決定
(28条の申請を含む)
・行動診断
○援助指針の作成
・心理診断
・その他の診断
○調査は、
保護者・子どもとの面
接、関係者との面
接、観察、生活環境
調査、照会、委嘱な
どによる。
援助の実行
(対応)
○保護者への指導
・助言指導
・継続指導
・児童福祉司指導
・児童委員指導 等
○施設入所措置
○里親委託
○面会・通信の制限
○接近禁止命令
児童の一時保護
(必要な場面で実施)
市町村(要保護児童対策地域協議会)との連携、役割分担による対応
21
児童相談所での相談対応件数の推移
○ 平成26年度の児童相談所での相談対応件数は420,128件で、「障害相談」が全体の43.7%と最も多く、
次いで 「虐待相談」を含む「養護相談」が34.6%であり、 「養護相談」については、相談別件数で唯一増え続けている。
障害相談
養護相談
育成相談
非行相談
保健相談
その他
総 数
平成16年度
158,598( 45.1%)
74,435( 21.2%)
65,356( 18.6%)
18,084( 5.1%)
5,474( 1.6%)
29,891( 8.5%)
351,838(100.0%)
平成17年度
162,982( 46.6%)
75,668( 21.6%)
61,304( 17.5%)
17,571( 5.0%)
4,430( 1.3%)
27,956( 8.0%)
349,911(100.0%)
平成18年度
194,871( 51.0%)
78,863( 20.7%)
61,061( 16.0%)
17,166( 4.5%)
4,313( 1.1%)
25,483( 6.7%)
381,757(100.0%)
平成19年度
182,053( 49.5%)
83,505( 22.7%)
58,958( 16.0%)
17,670( 4.8%)
3,411( 0.9%)
22,255( 6.0%)
367,852(100.0%)
平成20年度
182,524( 50.1%)
85,274( 23.4%)
55,005( 15.1%)
17,172( 4.7%)
2,970( 0.8%)
21,469( 5.9%)
364,414(100.0%)
平成21年度
192,082( 51.7%)
87,596( 23.6%)
51,794( 13.9%)
17,690( 4.8%)
2,835( 0.8%)
19,803( 5.3%)
371,800(100.0%)
平成22年度
181,108( 48.5%)
101,323( 27.1%)
50,993( 13.7%)
17,345( 4.6%)
2,608( 0.7%)
20,151( 5.4%)
373,528(100.0%)
平成23年度
185,853( 48.2%)
107,511( 27.9%)
51,751( 13.4%)
17,155( 4.5%)
2,639( 0.7%)
20,385( 5.3%)
385,294(100.0%)
平成24年度
175,285( 45.6%)
116,725( 30.4%)
52,182( 13.6%)
16,640( 4.3%)
2,538( 0.7%)
20,891( 5.4%)
384,261(100.0%)
平成25年度
172,945( 44.1%)
127,252( 32.5%)
51,520( 13.1%)
17,020( 4.3%)
2,458( 0.6%)
20,802( 5.3%)
391,997(100.0%)
平成26年度
183,506( 43.7%)
145,370( 34.6%)
50,839( 12.1%)
16,740( 4.0%)
2,317( 0.6%)
21,356( 5.1%)
420,128(100.0%)
平成26年度 相談種類別対応件数
うち虐待相談
平成16年度
33,408
平成17年度
34,472
平成18年度
37,323
平成19年度
40,639
平成20年度
42,664
平成21年度
44,211
平成22年度
56,384
平成23年度
59,919
平成24年度
66,701
平成25年度
73,802
平成26年度
88,931
非行相談
16,740件
(4.0%)
保健相談
2,317件
(0.6%)
その他
21,356件
(5.1%)
育成相談
50,839件
(12.1%)
総数
420,128件
(100%)
※平成22年度は、東日本大震災の
影響により、福島県を除いて集計
した数値
障害相談
183,506件
(43.7%)
養護相談
145,370件
(34.6%)
22
虐待相談の対応状況
○ 虐待相談を受け付けた後の対応状況は、助言指導や継続指導等のいわゆる面接指導が78,600件(87.5%)
と最も多く、施設入所等については1割未満の4,248件となっている。施設入所等の内訳は、児童養護施設が
2,685件(63.2%) と最も多くなっている。
※平成22年度は、東日本大震災の影響により、福島県を除いて集計した数値
虐待相談への対応
施設入所等
里親等委託
面接指導
その他
総 数
21年度
3,719
( 8.3%)
312
( 0.7%)
37,043
( 82.5%)
3,803
( 8.5%)
44,877
(100.0%)
22年度
4,047
( 7.1%)
389
( 0.7%)
48,172
( 84.3%)
4,546
( 8.0%)
57,154
(100.0%)
4,060
( 6.7%)
4,067
( 6.0%)
4,075
( 5.4%)
4,248
( 4.7%)
439
0.7%)
429
0.6%)
390
0.5%)
537
0.6%)
51,626
( 85.0%)
58,373
( 86.4%)
64,877
( 86.5%)
78,600
( 87.5%)
4,601
( 7.6%)
4,705
( 7.0%)
5,640
( 7.5%)
6,425
( 7.2%)
60,726
(100.0%)
67,574
(100.0%)
74,982
(100.0%)
89,810
(100.0%)
23年度
24年度
25年度
26年度
(
(
(
(
※ 1事例に対して複数の対応をした場合は複数計上とした。
※ 平成26年度における「その他」の主なものは、「児童福祉司指導」2,821件である。
平成26年度
虐待相談への対応
その他
6,425件
(7.2%)
21年度
22年度
23年度
24年度
25年度
26年度
施設入所等
4,248件
(4.7%)
児童養護
施設
乳児院
児童自立
支援施設
情緒障害児短
期治療施設
その他
総数
2,456
(66.0%)
2,580
(63.8%)
2,697
(66.4%)
2,597
(63.8%)
2,571
(63.1%)
2,685
(63.2%)
643
(17.3%)
728
(18.0%)
713
(17.6%)
747
(18.4%)
715
(17.5%)
785
(18.5%)
119
(3.2%)
143
(3.5%)
117
(2.9%)
126
(3.1%)
150
(3.7%)
140
(3.3%)
154
(4.1%)
185
(4.6%)
159
(3.9%)
161
(4.0%)
149
(3.7%)
182
(4.3%)
347
(9.3%)
411
(10.2%)
374
(9.2%)
436
(10.7%)
490
(12.0%)
456
(10.7%)
3,719
(100.0%)
4,047
(100.0%)
4,060
(100.0%)
4,067
(100.0%)
4,075
(100.0%)
4,248
(100.0%)
総数
89,810件
(100%)
情緒障害児
平成26年度 施設入所等の内訳
短期治療施設
その他
182件
456件
(4.3%)
(10.7%)
児童自立
支援施設
児童養護施設
140件
総数
2,685件
(3.3%)
乳児院
4,248件 (63.2%)
785件
(100%)
(18.5%)
面接指導
78,600件
(87.5%)
23
里親等委託
537件
(0.6%)
(注)「施設入所等」
(4,248件)とは、
「入所」(4,241件)及び
「通所」(7件)をさす。
施設入所等の内訳
一時保護所の概要
1
設置の目的
一時保護所は、児童福祉法第12条の4に基づき児童相談所に付設もしくは児童相談所と密接な連携が保てる範囲内に設置され、虐待、
置去り、非行などの理由により子どもを一時的に保護するための施設。
2
設置主体
児童福祉法第12条の4に基づき、必要に応じて児童相談所に付設するもの。
全国に135か所(平成27年4月1日現在)設置されている。
3 費 用
児童福祉法第53条に基づき、地方公共団体が支弁した費用の2分の1を国が負担する。
補助率 :国1/2、都道府県、指定都市、児童相談所設置市1/2
27年度予算額:児童入所施設措置費等107,612,963千円の内数
4
一時保護の具体例
(1) 緊急保護
ア 棄児、家出した子ども等現に適当な保護者又は宿所がないために緊急にその子どもを保護する必要がある場合
イ 虐待、放任等の理由によりその子どもを家庭から一時引き離す必要がある場合
ウ 子どもの行動が自己又は他人の生命、身体、財産に危害を及ぼし若しくはそのおそれがある場合
(2) 行動観察
適切かつ具体的な援助指針を定めるために、一時保護による十分な行動観察、生活指導等を行う必要がある場合
(3) 短期入所指導
短期間の心理療法、カウンセリング、生活指導等が有効であると判断される場合であって、地理的に遠隔又は子どもの性格、環境等の条件
により、他の方法による援助が困難又は不適当であると判断される場合
5
対応件数(一時保護所内保護件数)
(平成26年度件数)
総 数
養 護
(うち、虐待)
障 害
非 行
育 成
その他
22,005
16,613
(10,695)
118
3,199
1,828
24724
児童相談所での所内一時保護の状況
○ 平成26年度の一時保護所内の一時保護件数は22,005件であり、保護理由については、「児童虐待」が
48.6%と最も多く、次いで、「虐待以外の養護」が26.7%となっている。
児童虐待
虐待以外の養護
障害
非行
保健・育成他
総 数
平成16年度
6,214( 32.9%)
7,703( 40.8%)
658( 3.5%)
2,613( 13.8%)
1,697( 9.0%)
18,885(100.0%)
平成17年度
6,412( 35.3%)
7,046( 38.8%)
648( 3.6%)
2,494( 13.7%)
1,569( 8.6%)
18,169(100.0%)
平成18年度
7,081( 38.1%)
6,833( 36.7%)
478( 2.6%)
2,685( 14.4%)
1,521( 8.2%)
18,598(100.0%)
平成19年度
7,307( 38.6%)
6,964( 36.8%)
187( 1.0%)
2,604( 13.8%)
1,860( 9.8%)
18,922(100.0%)
平成20年度
7,674( 39.9%)
6,490( 33.8%)
181( 0.9%)
2,967( 15.4%)
1,908( 9.9%)
19,220(100.0%)
平成21年度
7,473( 38.7%)
6,709( 34.8%)
142( 0.7%)
3,224( 16.7%)
1,750( 9.1%)
19,298(100.0%)
平成22年度
8,670( 42.7%)
6,311( 31.1%)
138( 0.7%)
3,173( 15.6%)
2,010( 9.9%)
20,302(100.0%)
平成23年度
8,838( 43.6%)
6,231( 30.7%)
276( 1.4%)
3,175( 15.6%)
1,769( 8.7%)
20,289(100.0%)
平成24年度
9,700( 46.7%)
5,825( 28.0%)
197( 1.0%)
3,092( 14.9%)
1,963( 9.4%)
20,777(100.0%)
平成25年度
10,105( 47.5%)
5,934( 27.9%)
104( 0.5%)
3,167( 14.9%)
1,971( 9.3%)
21,281(100.0%)
平成26年度
10,695( 48.6%)
5,918( 26.9%)
118( 0.5%)
3,199( 14.5%)
2,075( 9.4%)
22,005(100.0%)
※平成22年度は、東日本大震災の影響により、福島県を除いて集計した数値
平成26年度 保護理由別件数
0
保健・育成
他
2,075件
(9.4%)
非行
3,199件
(14.5%)
障害
118件
(0.5%)
総数
22,005件
(100%)
虐待以外
の養護
5,918件
(26.9%)
児童虐待
10,695件
(48.6%)
児童虐待の割合
児童虐待
H16
H17
H18
H19
H20
H21
H22
H23
H24
H25
H26
3,000
6,000
9,000
12,000
児童虐待
その他
15,000
6,214件(32.9%)
12,671件(67.1%)
6,412件(35.3%)
11,757件(64.7%)
7,081件(38.1%)
11,517件(61.9%)
7,307件(38.6%)
11,615件(61.4%)
7,674件(39.9%)
11,546件(60.1%)
7,473件(38.7%)
11,825件(61.3%)
8,670件(42.7%)
11,632件(57.3%)
8,838件(43.6%)
11,451件(56.4%)
9,700件(46.7%)
11,077件(53.3%)
10,105件(47.5%)
11,176件(52.5%)
10,695件(48.6%)
11,310件(51.4%)
その他
18,000
21,000
25
児童虐待による一時保護委託の状況
○ 平成26年度の児童虐待が理由の一時保護委託件数は6,121件であり、児童虐待を理由とする一時保護総数の
約4割を占めている。また、一時保護委託先内訳では、乳児院・児童養護施設への委託が合計で3,629件と
約6割を占めている。
平成20年度
平成21年度
平成22年度
平成23年度
平成24年度
平成25年度
平成26年度
一時保護所内
7,674 [70.6%]
7,473 [70.0%]
8,670 [68.4%]
8,838 [66.7%]
9,700 [65.1%]
10,105 [65.2%]
10,695 [63.6%]
一時保護委託
3,195 [29.4%]
3,209 [30.0%]
4,003 [31.6%]
4,413 [33.3%]
5,191 [34.9%]
5,382 [34.8%]
6,121 [36.4%]
児童養護施設
1,405( 44.0%)
1,334( 41.6%)
1,807( 45.1%)
1,935( 43.8%)
2,279( 43.9%)
2,229( 41.4%)
2,539( 41.5%)
乳児院
599( 18.7%)
623( 19.4%)
826( 20.6%)
810( 18.4%)
1,050( 20.2%)
903( 16.8%)
1,090( 17.8%)
児童自立支援施設
33( 1.0%)
20( 0.6%)
38( 0.9%)
43( 1.0%)
64( 1.2%)
61( 1.1%)
74( 1.2%)
情緒障害児短期治療施設
50( 1.6%)
52( 1.6%)
67( 1.7%)
56( 1.3%)
62( 1.2%)
58( 1.1%)
66( 1.1%)
障害児関係施設
193( 6.0%)
203( 6.3%)
226( 5.6%)
267( 6.1%)
310( 6.0%)
371( 6.9%)
406( 6.6%)
その他社会福祉施設
70( 2.2%)
120( 3.7%)
136( 3.4%)
114( 2.6%)
150( 2.9%)
123( 2.3%)
132( 2.2%)
警察等
127( 4.0%)
112( 3.5%)
101( 2.5%)
189( 4.3%)
192( 3.7%)
282( 5.2%)
226( 3.7%)
里親
349( 10.9%)
376( 11.7%)
436( 10.9%)
532( 12.1%)
583( 11.2%)
662( 12.3%)
941( 15.4%)
その他
369( 11.5%)
369( 11.5%)
366( 9.1%)
467( 10.6%)
501( 9.7%)
693( 12.9%)
647( 10.6%)
10,869
10,682
12,673
13,251
14,891
15,487
16,816
一時保護総数
* [ ]は、一時保護総数に占める割合。 ( )は、一時保護委託に占める割合。
※平成22年度は、東日本大震災の影響により、福島県を除いて集計した数値
26
一時保護所の現状について
1日当たり保護人員及び平均在所日数
年間平均入所率
○ 保護人員、平均在所日数ともに増加傾向
○ 年間平均入所率は保護所により様々
(日)
30
(人)
1日当たり保護人員(人)
平均在所日数(日) 26.7
24.3
25
20
1,475 1,511
1,320
1,158
1,011
28.6
27.7 27.7
25.9
22.4
20.4
28.0
1,384
1,5401,541
28.4 29.0 29.8
1,618
1,693
2,000
1,798
1,500
1,207
1,000
15
10
500
※平成22年度は、東日本大震災の影響により、福島県を除いて集計した数値
【出典】福祉行政報告例(厚生労働省大臣官房統計情報部)
入所率
1%~20%
14カ 所
(10%)
入所率
21%~40%
37カ 所
(28%)
入所率
100%超
9カ 所
(7%)
入所率
41%~60%
32カ 所
(24%)
入所率
81%~
入所率 100%
61%~80% 16カ 所
26カ 所 (12%)
(19%)
※H26.1~12の間の一時保護所(134カ所)の平均入所率
【厚生労働省雇用均等・児童家庭局総務課調べ】
27
都道府県等別一時保護所での平均在所日数
(参考)
○ 平均在所日数 = 年間延日数/年間対応件数
○ 全国平均値 : 29.8日
(参考)一時保護の期間は原則として2か月を超えてはならないとされている。
65.0
59.1
52.0
54.9
47.4
49.3
47.2
全国平均値
29.8日
42.2
38.6
40.3
41.7
34.8
32.1
38.1
29.5
25.4
23.0
22.5
20.3
19.8
24.5
22.7
19.5
18.1
19.3
21.5
18.8
26.3 28.6
25.6 22.1
20.3
14.3
7.2
24.8
19.5
18.3
13.7
11.1
17.4
24.5
47.9
37.3
34.5
35.4
32.1
48.2
43.9
34.8
30.5
24.1 30.5
18.3
17.4
35.6
30.9
25.6
33.2
25.6
29.5
23.9
23.7
28.0
23.9 20.6
20.2
16.2
13.2
10.2
北青岩宮秋山福茨栃群埼千東神新富石福山長岐静愛三滋京大兵奈和鳥島岡広山徳香愛高福佐長熊大宮鹿沖札仙 さ千横川相新静浜名京大堺神岡広北福熊横金
海森手城田形島城木馬玉葉京奈潟山川井梨野阜岡知重賀都阪庫良歌取根山島口島川媛知岡賀崎本分崎児縄幌台い葉浜崎模潟岡松古都阪市戸山島九岡本須沢
道県県県県県県県県県県県都川県県県県県県県県県県県府府県県山県県県県県県県県県県県県県県県島県市市た市市市原市市市屋市市 市市市州市市賀市
県
市
県
市
県
市
市
ま
市
【出典】 福祉行政報告例(厚生労働省大臣官房統計情報部)[平成26年度]
28
平成26年度 児童虐待相談対応の内訳
相談対応件数
88,931件
一時保護 16,816件(18.9%)
施設入所等 4,785件(5.4%) *
20年度
21年度
22年度
23年度
24年度
25年度
42,664件
44,211件
56,384件
59,919件
66,701件
73,802件
20年度
21年度
22年度
23年度
24年度
25年度
10,869件
(25.5%)
10,682件
(24.2%)
12,673件
(22.5%)
13,251件
(22.1%)
14,891件
(22.3%)
15,487件
(21.0%)
20年度
21年度
22年度
23年度
24年度
25年度
4,162件
( 9.8%)
4,031件
( 9.1%)
4,436件
(7.9%)
4,499件
(7.5%)
4,496件
(6.7%)
4,465件
(6.0%)
2,685人
785人
その他施設
里親委託等
乳児院
児童養護施設
内訳
537人
778人
20
年度
21
年度
22
年度
23
年度
24
年度
25
年度
20
年度
21
年度
22
年度
23
年度
24
年度
25
年度
20
年度
21
年度
22
年度
23
年度
24
年度
25
年度
20
年度
21
年度
22
年度
23
年度
24
年度
25
年度
2,563
人
2,456
人
2,580
人
2,697
人
2,597
人
2,571
人
679
人
643
人
728
人
713
人
747
人
715
人
282
人
312
人
389
人
439
人
429
人
390
人
638
人
620
人
739
人
650
人
723
人
789
人
○ 平成26年度の児福法第28条措置
承認件数 267件
* 平成26年度 児童虐待以外も含む施設入所等件数 11,969件
※平成22年度の相談対応件数、一時保護件数、施設入所等
件数、児福法第28条措置承認件数は、東日本大震災の影響
29
により、福島県を除いて集計した数値。
子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について(第11次報告)の概要
社会保障審議会児童部会児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会
対
(平成27年10月)
象
1.死亡事例について
厚生労働省が、都道府県、指定都市及び児童相談所設置市(以下「都道府県等」という。)に対する調査により
把握した、平成25年4月1日から平成26年3月31日までの12か月間に発生し、又は表面化した児童虐待による
死亡63事例(69人)を対象とした。
第11次報告
区分
心中以外の虐
待死
心中による
虐待死
(参考) 第10次報告
計
(未遂を含む)
心中以外の虐
待死
心中による
虐待死
計
(未遂を含む)
例数
36
27
63
49
29
78
人数
36
33
69
51
39
90
2.重症事例について
厚生労働省が、都道府県等に対する調査により把握した、平成25年4月1日から平成25年5月31日までの間に
全国の児童相談所が児童虐待相談として受理した事例の中で、同年9月1日時点までに、「身体的虐待」等による、生命の危険
にかかわる受傷、「養育の放棄・怠慢」等のために衰弱死の危険性があった18事例(18人)を対象
とした。
調査・分析方法
調査票による調査の後、重症事例のうち、重症に至る受傷以前から関与があるなど特徴的な事例について、ヒアリング
を実施した。
【死亡事例】
調査票等に
よる調査
集計結果による分析
【重症事例】
調査票等に
よる調査
課題・提言
集計結果による分析
個別ヒアリングによる分析
事例の事実確認・分析
死
亡
事
例
の
分
析
集計結果による分析
-「心中以外の虐待死」・「心中による虐待死」の事例-
1
心中以外の虐待死
○
○
死亡した子どもの年齢は、0歳が16人(44.4%)と最も多く、0歳から2歳までを合わせると24人(66.7%)と大部分を占めた。
虐待の種類は、身体的虐待が21人(58.3%)、ネグレクトが9人(25.0%)。直接死因は、「頭部外傷」11人(有効割合39.3%)
が最も多く、次いで「頚部絞扼以外による窒息」が5人(同17.9%)、「頚部絞扼による窒息」が4人(同14.3%)であった。
○ 直接死因が「頭部外傷」のうち「乳幼児揺さぶられ症候群(SBS)(疑い含む)」が6人(有効割合60.0%)であり、その加害者の
5人が実父などの男性であった。
○ 主たる加害者は、「実母」が16人(44.4%)と最も多く、次いで「実父」が8人(22.2%)、「実母と実父」が5人(13.9%)
であった。
○ 実母の抱える問題(複数回答)として、「妊婦健康診査未受診」が10人(27.8%)、「望まない妊娠」が8人(22.2%)と多かった。
○ 加害の動機としては、「保護を怠ったことによる死亡」が6人(16.7%)と最も多く、次いで「しつけのつもり」、「子どもの存在の
拒否・否定」、「泣きやまないことにいらだったため」がそれぞれ4人(11.1%)であった。
2
心中による虐待死(未遂を含む)
○
○
死亡した子どもの年齢は、0歳から17歳までの各年齢に分散している傾向。
直接死因は、「中毒(火災によるものを除く)」が8人(有効割合26.7%)で最も多く、次いで 「頚部絞扼による窒息」が6人(同20.0%)であっ
た。
○ 主たる加害者は、「実母」が18人(54.5%)と最も多く、次いで「実父」が9人(27.3%)であった。
○ 加害の動機(複数回答)としては、「家族の介護負担」等の「その他」11人(33.3%)を除き、「夫婦間のトラブルなどの家庭の
不和」が8人(24.2%)と最も多く、次いで「保護者自身の精神疾患、精神不安」が7人(21.2%)であった。
3
関係機関の関与
○
児童相談所の関与は、心中以外の虐待死事例が13例(36.1%)、心中による虐待死事例が4例(14.8%)であり、市町村(虐待対応
担当部署)の関与は、心中以外の虐待死事例が10例(27.8%)、心中による虐待死事例が4例(14.8%)であった。
○ 要保護児童対策地域協議会で取り扱われていた事例は、心中以外の虐待死事例で8例(22.2%)、心中による虐待死事例で2例(7.4%)であった。
○ 心中以外の虐待死事例が発生した市町村の要保護児童対策地域協議会の進行管理会議における1回あたりの平均検討事例数は102.1例で、会議の平均
時間は2.9時間であった。
4
○
児童相談所職員の受け持ち事例数
心中以外の虐待死事例が発生した児童相談所における当該事例担当職員の平成25年度の受け持ち事例数は一人あたり平均109.1件で
あり、そのうち虐待事例として担当している事例数は平均65.0件であった。
31
重症事例の分析(個別調査票による調査の結果)
1
調査対象及び回答状況
○ 平成25年4月1日から5月31日までの間に全国の児童相談所が児童虐待相談として受理した事例の中で、同年9月1日時点までに
「身体的虐待」等による生命の危険にかかわる受傷、「養育の放棄・怠慢」等のために衰弱死の危険性がある事例(心中未遂を除く)
18例(18人)
2 重症となった子どもの特性
○
重症となった子どもの受傷時の年齢は、「0歳」11人(61.1%)と最も多く、3歳未満は13人(72.2%)と大部分を占めた。
3
虐待の類型と加害の状況
○ 虐待の類型は、「身体的虐待」が10人(55.6%)、「ネグレクト」が7人(38.9%)であった。
○ 直接の受傷要因は、「頭部外傷」が5人(27.8%)、「低栄養による衰弱」が4人(22.2%)と多かった。
○ 主たる加害者は、「実母」が8人(有効割合50.0%)と最も多く、次いで「実父」と「実母と実父」がそれぞれ4人(同25.0%)
であった。
○ 加害の主な動機は、「保護を怠ったことによる重症」と「泣きやまないことにいらだったため」が多かった。
4
関係機関の関与
○
重症の受傷以前において、児童相談所の関与「あり」が3例(16.7%)、市町村(虐待対応担当部署)の関与「あり」が5例
(27.8%)であった。
○ 事例の発生の全ての地域に要保護児童対策地域協議会が設置されており、重症の受傷以前において同協議会で検討されていたケースは
3例(16.7%)であった。
5 重症となった受傷後の対応状況
○
重症となった受傷後に医療機関へ入院した事例は11例(61.1%)、平成25年9月1日時点で加害者と同居していない事例は11例
(61.1%)あり、このうち、「家族再統合」を方針としているものが3例(27.3%)、「分離」を方針としているものが5例(45.5%)
であった。
32
重症事例の分析(ヒアリング調査の結果)-3事例から-
個別調査票により回答のあった重症事例18例(18人)のうち、重症に至る受傷以前から、児童相談所、市町村等関係機関の関わりがあるなど
特徴的な事例を選定し、以下の3事例についてヒアリング調査を実施。
1
事例の概要
【事例1】精神疾患のある養育者の事例
実父が寝ている間に、精神疾患を抱える実母が長女(当時1か月)を叩き、腹部への内出血痕が残る外傷を負わせた事例。
【事例2】体重増加不良等健康状態の維持に困難を有する児童を抱えた養育者の事例
体重増加不良等健康状態の維持が極めて難しいという特徴を有し、医療機関において明確な診断がなされない長女(当時4歳)について、実母は育児に深刻な
悩みを抱える中、長女が低栄養等による重篤な状態に陥り入院した際に、医療機関の治療方針への拒絶に至った事例。
【事例3】若年妊娠・出産、経済的困窮等養育に困難を抱える養育者の事例
実母(当時10代後半)が、実父の不在時に、飲酒により入眠した間に、室内で飼育していた小型犬に長男(当時3か月)が身体の一部を咬まれ、出血性
ショックに陥り救急搬送された事例であり、「養育の怠慢」として医療機関から児童相談所へ虐待通告があった事例。
2 重症事例の未然防止に向けた対応策に関する分析
(1)精神疾患のある養育者等支援を必要としている家庭への対応
・ 支援機関と養育者の家族との間で信頼関係を構築し、支援者に
なってもらうよう働き掛けることが重要。
・ 家族の負担、養育者の状態等を踏まえ、適時適切にアセスメント
し、支援できる体制をとっておくことが必要。
・ 医師に養育者の思いの確認や、支援を受けることに関する助言等
を依頼するなど、あらゆる協力依頼を試みることが必要。
・ 医療機関においては、早期からの関係機関との協議や、必要に
応じた他の精神医療機関の紹介等切れ目ない支援が重要。
等
(2)体重増加不良等健康状態の維持に困難を有する児童を抱える
養育者への対応
・ 基礎疾患のない発育不全は、不適切な養育環境が背景にあること
が多いとされていることを十分に認識した対応・支援が重要。
・ 乳幼児健診や家庭訪問等を通して、児童の発育・発達、養育者の
思いや育児方針、養育者と児童の愛着関係等、家庭全体を多面的に
アセスメントした上での適切な対応・支援が必要。
・ 児童の発育・発達状況に応じた関係機関での早期情報共有のほか、
支援方針、児童が重篤な状態に陥った場合の対応等についての協議
を行い、関係機関で連携した支援の継続が重要。
等
3
○
(3)若年妊娠・出産など養育に困難を抱える養育者への対応
・ 支援機関は、養育者の児童への愛着や愛情の有無にのみ左右され
ず、養育者の持つ課題解決能力等の「強み」と「リスク」の双方を
客観的にアセスメントすることが重要。
・ アセスメントを行う場合は「児童の安全への配慮ができ得るか
否か」という観点の重要性を認識し、生活の場や児童の発育・発達
状況に応じた適切かつ具体的な支援が必要。
・ 養育者の生活歴等を可能な限り詳細を把握し、養育者の特性を
見極め、養育能力全般を総合的に判断した上での支援が重要。
等
(4)要保護児童対策地域協議会を活用した関係機関間の情報共有
・連携体制の構築
・ 精神疾患等リスク要因のある母については、リスク軽減につながる他の要
素も考慮しつつ、特定妊婦として要保護児童対策地域協議会に登録し、産後
も含 めた支援計画を検討し、関係機関間で共通認識を持っておくことが重要。
・ 特定妊婦を同協議会の対象として登録する等の体制整備が重要。
等
(5)自治体における検証の実施
・ 被虐待児が生存している重症事例については、関係機関における今後の
対応等に関する検討のほか、他の類似ケースへの対応に活かす観点で、それ
までの対応等を振り返り、問題点、課題、対応策等について事例検証を実施
し、結果を共有することが重要。
等
死亡に至るリスクを軽減するために特に重要であると考えられる取組
家族や養育者との協力関係を構築し、支援における「強み」として
活かすこと
○
対応に苦慮するケースであっても、粘り強く支援を継続すること
33
課
題
と
提
言
地方公共団体への提言
1
虐待の発生及び重篤化の予防
○ 特定妊婦等妊娠期から支援を必要とする養育者の早期
把握と切れ目ない支援の強化
○ 乳幼児揺さぶられ症候群の予防に係る周知啓発の着実な実施
○ 体重増加不良や低栄養状態等、身体的に重篤な症状を呈
するネグレクト事例への対応
○ 精神疾患のある養育者等の支援を必要とする家庭に対する支援
○ 虐待の発生予防につながる子育て支援サービス等の着実な実施
2
児童相談所及び市町村職員の専門性の確保と資質向上
○ 虐待のリスク要因等に関するスクリーニングの適切な実施と結
果を踏まえた迅速な支援の実施
○ 虐待事例に対するリスクアセスメントの確実な実施
○ 児童相談所及び市町村職員の相談援助技術の向上
3 虐待対応における関係機関の効果的な連携及び要保護児童対
策地域協議会の積極的な活用
○ 複数の関係機関が関与していた事例における連携のあり方
○ 入所措置解除時の支援体制の整備
○ 要保護児童対策地域協議会の効果的な運営
4
児童相談所及び市町村職員体制の充実強化
○ 専門職の積極的な採用や人事ローテーションの工夫による経験
者の効果的な配置
○ 民間団体との連携や外部の専門家の活用による専門性の向上
○ 業務量に見合った職員配置数の確保
5
重篤な虐待事例に係る検証の積極的な実施と検証結果
の有効活用
○ 地方公共団体による死亡事例をはじめとした重篤な事例に係る
検証の積極的な実施
○ 検証報告の積極的な活用による重篤な虐待事例の再発防止
国への提言
1
虐待の発生及び深刻化の予防
特定妊婦等の早期把握に係る妊娠期からの包括的な相談
及び支援体制の整備
○ 虐待の早期発見及び早期対応のための広報・啓発の着実な実施
3
児童相談所及び市町村職員の人員体制の強化及び専門性
の確保と資質の向上
○
2
虐待対応における児童相談所と市町村の役割分担及び
連携強化に係る体制整備
児童相談所と市町村が初期対応において見落としや遅滞
がなく、相互に納得・連携しながら適切な支援を行うため
の体制整備
○
○
地方公共団体における人員の確保の推進
職員の専門性が担保、蓄積されるような制度の工夫
4
要保護児童対策地域協議会の活用の徹底と同協議会設置
の促進
○
5
6
入所措置解除時及び措置解除後の支援体制の整備
虐待死事例等の再発防止を目的とした検証の積極的実施
34
と検証結果の活用促進
第1次から第11次報告を踏まえて
子ども虐待による死亡事例等を防ぐためのリスクとして留意すべきポイント
養育者の側面
○
妊娠の届出がなされておらず、母子
健康手帳が未発行である
○ 妊婦健康診査が未受診である又は
受診回数が極端に少ない
○ 関係機関からの連絡を拒否している
(途中から関係が変化した場合も含む)
○ 望まない妊娠
○ 医師、助産師の立会いなく自宅等で
出産した
○ 乳幼児健康診査や就学時の健康診断
が未受診である又は予防接種が未接
種である(途中から受診しなくなっ
た場合も含む)
○ 精神疾患や強い抑うつ状態がある
○ 過去に自殺企図がある
○ 子どもの発達等に関する強い不安や
悩みを抱えている
○ 子どもを保護してほしい等、養育者
が自ら相談してくる
○ 虐待が疑われるにもかかわらず養育
者が虐待を否定
○ 訪問等をしても子どもに会わせない
○ 多胎児を含む複数人の子どもがいる
子どもの側面
○
○
○
○
○
子どもの身体、特に、顔や首、頭等に外傷が認められる
一定期間の体重増加不良や低栄養状態が認められる
子どもが保育所等に来なくなった
施設等への入退所を繰り返している
きょうだいに虐待があった
生活環境等の側面
○
○
○
○
児童委員、近隣住民等から様子が気にかかる旨の情報
提供がある
生活上に何らかの困難を抱えている
転居を繰り返している
孤立している
援助過程の側面
○
○
○
○
関係機関や関係部署が把握している情報を共有できず
得られた情報を統合し虐待発生のリスクを認識できな
かった
要保護児童対策地域協議会(子どもを守る地域ネット
ワーク)における検討の対象事例になっていなかった
家族全体を捉えたリスクアセスメントが不足しており、
危機感が希薄であった
スクリーニングの結果を必要な支援や迅速な対応に
結びつけていなかった
※子どもが低年齢である場合や離婚等による一人親の場合であって、上記ポイントに該当するときには、特に注意して対応する必要があ
る。
35
居住実態が把握できない児童への対応について
○
【H27.3.16付総務省・文科省・厚労省連名通知】
居住実態が把握できない児童 (※1) については、平成26年8月に開催された関係府省庁 (※2) による「児童虐待防止対策に関する
副大臣等会議」において、「政府一体となって全力で把握に努める」との取組方針が示された。
※1 当該市町村に住民票はあるが、乳幼児健康診査が未受診等であって、電話や家庭訪問等による連絡が取れず、市町村が居住実態の確認が必要と判断した家庭
の児童
※2 内閣府、総務省、法務省、文部科学省、厚生労働省、警察庁
○
これを踏まえ、関係府省庁が連携して対応方策の検討を行い、同年11月の副大臣等会議では、同一市町村内の関係部署間での情報共有を
徹底していくほか、市町村間での情報共有を行う取組(下記イメージ図)の実施についての申し合わせがなされたところであり、平成27年
3月16日付で具体的に留意すべき事項を整理した通知を総務省、文部科学省、厚生労働省連名により 発出(法務省、警察庁とも協議
済み)。
<イメージ図>
住所地市町村A (住民票を残して移動。生活実態なし)
居所不明児童担当部門
c
居所市町村B (住民票はないが当地で生活)
住民基本台帳担当部門 c e
b d
④
b d
b d
b d
住民基本台帳担当部門 ⑤
c
福祉部門
母子保健
c 部門
b d
a
③
③
b d
④
福祉部門
児童手当、児童扶養手当、
生活保護等
母子保健
部門
教育
委員会 c
教育委員会
就学時健診、
就学事務等
③
乳幼児健診等
転出・転入の手続きをせずに居所を移す
③
①
②
本人による転出・転入の手続き(e ⑤)
a 居住実態が把握できない児童(家庭)の存在を確認
b 庁内の関係部門間で情報を共有し、居住実態把握のための調査を実施
(居所不明児童担当部門で情報を集約・整理)
c 居所市町村からの④の情報提供を受け、保有情報と照合
d 居住実態が把握できた旨を庁内の関係部門間で情報共有
e 本人による転出手続き
①
②
③
④
⑤
母子保健や児童福祉サービスの申込、就学手続き等
①の際に転入手続きについての状況確認及び助言
庁内の関係部門間で情報共有
※
住所地市町村へ連絡
本人による転入手続き
36
※市町村間での情報共有は、DV等による避難等の事情を背景に本人が同意しないことに
合理的な理由があると認められる場合は、本人の意向を尊重。
「民法等の一部を改正する法律」の施行等について
改正の趣旨等
児童虐待の防止等を図り、児童の権利利益を擁護する観点から、親権の停止制度を新設し、法人又は複数の未成年後見人の選任を認める等の改
正を行うとともに、関連する規定について所要の整備を行うもの。 【平成23年6月3日 公布(一部施行) / 平成24年4月1日 施行】
1.親権と親権制限の制度の見直し
○ 子の利益の観点の明確化等
(現行)
 親権を行う者は、子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。
 親権を行う者は、必要な範囲内で自らその子を懲戒し、又は家庭裁判
所の許可を得て、これを懲戒場に入れることができる。
 親子の面会交流等についての明文規定がない。
○ 親権停止制度の創設
(現行)
 あらかじめ期限を定めて親権を制限する制度はない。
○ 親権喪失・管理権喪失原因の見直し
(現行)
 家庭裁判所は、 「父又は母が、親権を濫用し、又は著しく不行跡である
とき」に親権喪失の宣告をすることができる。
 家庭裁判所は、「父又は母が,管理が失当であったことによってその子
の財産を危うくしたとき」に管理権喪失の宣告をすることができる。
○ 親権喪失等の請求権者の見直し
(改正後)
【民法関係】
 親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、
義務を負う。
 親権を行う者は、子の利益のために行われる子の監護及び教育に必要
な範囲内でその子を懲戒することができる。
 離婚後の子の監護に関する事項として親子の面会交流等を明示。
(改正後)
【民法関係】
 家庭裁判所は、「父又は母による親権の行使が困難又は不適当であるこ
とにより子の利益を害するとき」に2年以内の期間を定めて親権停止の審
判をすることができる。
(改正後)
【民法関係】
 家庭裁判所は、「父又は母による虐待又は悪意の遺棄があるときその他
父又は母による親権の行使が著しく困難又は不適当であることにより子の
利益を著しく害するとき」に親権喪失の審判をすることができる。
 家庭裁判所は、「父又は母による管理権の行使が困難又は不適当である
ことにより子の利益を害するとき」に管理権喪失の審判をすることができ
る。
(現行)
 子の親族及び検察官が、親権の喪失等について、家庭裁判所への請
求権を有する。
(改正後)
【民法関係】
 子の親族及び検察官のほか、子、未成年後見人及び未成年後見監督人
も、親権の喪失等について、家庭裁判所への請求権を有する。
(現行)
 児童相談所長は、親権喪失についてのみ、家庭裁判所への請求権を
有する。
(改正後)
【児童福祉法関係】
 児童相談所長は、親権喪失、親権停止及び管理権喪失の審判並びにこ
れらの審判の取消しについて、家庭裁判所への請求権を有する。
37
2.児童相談所長、施設長等による監護措置と親権代行について
○ 児童相談所長による親権代行
(現行)

施設入所中の児童に親権者等がいない場合には、施設長が親権を代
行するが、里親等委託中又は一時保護中の親権者等がいない児童につ
いては、親権を代行する者がいない。
(改正後)
【児童福祉法関係】
 里親等委託中及び一時保護中の児童に親権者等がいない場合には、
児童相談所長が親権を代行する。
○ 児童相談所長、施設長等の監護措置と親権との関係
(改正後)
【児童福祉法関係】
 児童相談所長は、一時保護中の児童の監護等に関しその福祉のため
に必要な措置をとることができる。
(現行)
 児童相談所長に、一時保護中の児童の監護等に関しその福祉のために
必要な措置をとる権限の明文規定がない。

施設長等は、児童の監護等に関しその福祉のために必要な措置をとる
ことができる旨の規定があるのみ。

児童相談所長、施設長等が児童の監護等に関しその福祉のため必要
な措置をとる場合には、親権者等は不当に妨げてはならない。

児童の生命、身体の安全を確保するために緊急の必要がある場合に
は、親権者等の意に反しても、児童相談所長、施設長等が必要な措置を
とることができる。
(参考) 改正後の児童相談所長、施設長等による親権代行、監護措置の整理
親権者(父母)・未成年後見人のない場合
(親権喪失・停止の場合も含む。)
親権者(父母)又は未成年後見人のある場合
未成年後見人あり
親権者(父母)あり
未成年後見人による後見
(親権行使)
親権者による親権行使
同上
同上
親権を行う者なし
在宅の場合
※ 法律行為を行うためには、未成年後見人を選任する必要あり。
※ 児童相談所長による未成年後見人の選任請求中は、児童相談所長が親権
代行。
児童相談所長による親権代行
一時保護中
(児童相談所長による監護措置)
児童相談所長による親権代行
里親等委託中
里親等による監護措置
施設長による親権代行
施設入所中
(施設長による監護措置)
児童相談所長による監護措置 (親権者等の不当な妨げの禁止)
親権者等の意に反する安全確保のための緊急措置
同上
同上
里親等による監護措置
(親権者等の不当な妨げの禁止)
親権者等の意に反する安全確保のための緊急措置
同上
同上
施設長による監護措置
(親権者等の不当な妨げの禁止)
38
親権者等の意に反する安全確保のための緊急措置
3.未成年後見制度の見直し
○ 法人・複数の未成年後見人の許容
(現行)
 家庭裁判所は、法人を未成年後見人に選任することができない。
 未成年後見人は、一人でなければならない。
※ 未成年後見人は、未成年者に対して親権を行う者がないとき等に、親権者と同
一の権利義務を有し、後見(身上監護、財産管理など)を行う。法律上の手続や、
多額の財産の管理を行う場合に選任が必要となる。
(改正後)
【民法関係】
 家庭裁判所は、法人を未成年後見人に選任することができる。
 未成年後見人は、複数でもよい。
(未成年後見人が複数いる場合、原則として、その権限を共同して行使。)
(家庭裁判所は、財産管理権について、一部の後見人につき財産管理権
のみの行使の定め、単独行使の定め、事務分掌の定めが可能。)
(参考) 複数、法人の未成年後見人について想定される例
【複数の未成年後見人の例】
 おじ・おばや祖父母が2人で後見人となり、共同で後見。
 多額の財産がある場合、親族のほかに弁護士等の専門職を選任。
一般的な後見は親族が、特定の財産の管理は弁護士等の専門職が行う。
【法人の未成年後見人の例】
 児童福祉施設等を運営する社会福祉法人
 児童の権利擁護の活動を行う法人 等
4.一時保護の見直し
(現行)
 一時保護の期間は、原則として、一時保護を開始した日から2か月を超
えてはならないが、児童相談所長等において必要があると認めるときは、
引き続き一時保護を行うことができる。
5.児童福祉法第28条の審判の運用方法の見直し(※)
(改正後)
【児童福祉法関係】
 2か月を超える親権者等の意に反する一時保護については、その継続
の是非について、第三者機関である児童福祉審議会の意見を聴く。
※ 専門委員会報告書を踏まえた見直し
(現行)

家庭裁判所は、法第28条の承認の審判をする際、保護者に対する指
導措置を採ることが相当であると認める時は、保護者に対し指導措置を採
るべき旨を、都道府県に勧告することができ、この指導勧告書の写しを保
護者に送付する運用が可能。
(見直し後)
【児童福祉法関係】
 この運用を保護者指導に効果的に活用するため、児童相談所が保護者
指導に効果的であると考える場合に、家庭裁判所に対して、都道府県等
への指導勧告と、保護者への指導勧告書の写しの送付を求める上申の
手続を示す。
39
親権に係る制度見直しの施行状況について(平成26年度)
1. 児童相談所長による親権制限に係る審判の申立て
平成26年度に全国の児童相談所長が行った親権停止の審判の申立ての実績は、15自治体で23事例であった。
親権喪失の審判の申立ての実績は、1自治体で1事例あった。
事例1
<申立ての背景>
・児童は、出生時から先天的な障害があった。
・父母は児童の養育を放棄し、置き去りにしたため、児童は一時保護となった。
・児童相談所が来所や児童の養育について再三働きかけても、父母は応じなかった。
<申立て後の状況>
・本案が認容され、児童は入所措置となった。
事例2
<申立ての背景>
・障害のある児童を父母が登校させず、施設での訓練も拒否。児童相談所の関与も拒否している。
・児童は職権による一時保護後、施設入所となった。
・児童の訓練治療の必要性について父母への働きかけを継続したが、父母の拒否は変わらなかった。
・児童相談所はセカンドオピニオンの医師2名から意見を聴取し、訓練治療が必要であると判断した。
<申立て後の状況>
・保全処分及び本案が認容された。訓練治療を行っている。
事例3
<申立ての背景>
・児童は治療上、輸血が必要な状況であった。
・父母が信仰上の理由により、児童への輸血治療同意書の署名を拒否したため、医療機関から通告があった。
<申立て後の状況>
・父母が親権停止を承認したため、保全処分を取り下げ、本案のみが認容された。
未成年後見人の同意に基づき治療を実施している。
40
事例4
<申立ての背景>
・父からの身体的虐待により、児童は入所措置となった。
・父に対し、面会・通信制限処分を行ったが、父は児童への接近行為を繰り返した。
・児童の意思を確認し、親権停止を申し立てた。
<申立て後の状況>
・本案が認容された。父に対しては文書による指導を行った。
事例5
<申立ての背景>
・精神疾患による入退院を繰り返す母が、児童を出産した。
・児童の父は不明で、親族の協力も得られないため、児童は一時保護委託された。
・母は、成年後見人が選任されている状況であり、母の言動からみても親権行使は困難で、
児童の利益を害する状況にあった。
<申立後の状況>
・本案は認容された。児童は入所措置となり、順調に生育している。
2.児童相談所長による法人又は複数人の未成年後見人の選任の申立て
平成26年度に全国の児童相談所長が行った複数人及び法人の未成年後見人の選任の申立ての実績は、
8自治体で10事例であった。
法人で未成年後見人として選任されたものは、県の社会福祉士会、弁護士法人等が見られた。また、複数人の未成
年後見人の事例としては、弁護士、社会福祉士、児童福祉施設長による事例があった。
41
児童相談所長又は施設長等による監護措置と親権者等との関係に関するガイドラインについて(概要)
1 ガイドラインの趣旨
○ 親権者等(親権を行う者又は未成年後見人)が児童相談所長や児童福祉施設の施設長、里親等による監護措置を不当に妨げてはならないことが法律上、明確
化されることから、児童相談所、施設、里親等での対応に資するよう、「不当に妨げる行為」の考え方、対応方法等について示すもの。
※以下「児童」には、18歳以上の未成年者を含む。
2 不当に妨げる行為の事例
○ 「不当に妨げる行為」としては次のものが想定(詳細は別紙)。施設、里親等で該当性の判断に迷う場合には、児童相談所が相談、助言等の援助。
(1) 態様、手段が適切でない場合
 親権者等が児童等に関してとる行為そのものの態様、手段が客観的に見て適切でない場合。具体的には、例えば、次のような事例が該当しうると考える。
ア 親権者等がその児童や職員等に対して直接とる行為(実力行使)(暴行、脅迫、連れ去り、面会の強要等)
イ 親権者等が他の児童や児童相談所、施設等全体も含めて迷惑を及ぼす行為(騒音・振動、施設の汚損・破損等)
ウ その他(関係者へのア・イの行為等)
(2) 親権者等の意向に沿った場合に、児童に不利益を与えると考えられる場合
 親権者等の意向に沿った場合に、客観的にみて明らかに児童に不利益を与えると考えられる場合。具体的には、例えば、次のような事例が該当しうると考える。
 児童の真の意向を踏まえる必要。他方、児童に不利益を与えるおそれがあるときには、児童の意向に沿わない監護措置をとる必要。
ア 児童に経済的な損失を与える行為
イ 児童の社会生活に支障を生じさせる行為
ウ 児童の健康や成長、発達に悪影響を及ぼす行為
エ 児童の教育上支障を生じさせる行為
オ 児童や他の児童の監護に悪影響を及ぼす
おそれのある行為
(3) その他の場合
 その他、親権者等の主張に混乱が見られる場合、一貫性がない場合等には、監護に支障を生じるおそれがあり、該当する場合がある。
3 不当に妨げる行為があった場合の対応等
○ 児童相談所は、一時保護・措置開始時に、保護者に対し、施設長等による監護措置、不当に妨げる行為の禁止、緊急時の対応等について説明。
○ 不当に妨げる行為があった場合には、当該行為にかかわらず、児童の利益を保護するために必要な監護措置が可能だが、
できる限り親権者等の理解を得ることが望ましく、また、理解が得られず、児童の安定した監護に支障を及ぼす場合には、法的な解決等を図る必要がある。
○ このため、事例に応じ、次の(1)~(4)の対応が考えられる。(※犯罪、危険行為等に対しては、警察へ通報する等の対応。)
○ 施設長等が対応方針等について判断に迷う場合は、児童相談所に相談。児童相談所は、必要に応じ児童福祉審議会から意見聴取。
(1) 親権者等への説明
 事例に応じ児童相談所や施設等から、児童の利益の観点から理解を求める。理解が得られない場合には、不当に妨げる行為に該当することを説明し、調整。
 施設等が説得を試みたものの説得できない場合には、児童相談所から親権者等に対し監護措置について理解を求め、調整を図ることも考えられる。
(2) 面会・通信の制限、接近禁止命令
 改善のない場合には、事例に応じ、児童虐待防止法上の面会・通信制限や、接近禁止命令(強制入所措置の場合)での対応が考えられる。
 児童相談所から親権者等に対し、これらの対応がとられうることを説明し、監護措置への理解を求める。理解を得られない場合には、これらの対応を検討。
(3) 親権制限の審判等の請求
 上記で対応できず、親権の制限が必要な場合には、事案に応じ、民法上の親権制限(親権喪失、親権停止又は管理権喪失)の審判請求が考えられる。
 法令等で明確に親権者等の同意が必要とされている場合等には、問題解決のために親権制限の審判等が必要な場合がある。
 児童相談所から親権者に対し、親権制限の審判を請求する必要が生ずることになる旨説明し、理解を求める。改善が見込めない場合に審判請求を検討。
(4) 安全確保のため緊急の必要があると認められる場合の措置
 児童の生命・身体の安全確保のため緊急の必要がある場合には、親権者等の意に反しても監護措置が可能。児童の利益を最優先に考え、適切な措置。
 施設長、里親等が緊急の監護措置を行った場合には、都道府県等への報告義務あり。
「2 不当に妨げる行為の事例」の詳細
(1) 態様、手段が適切でない場合
(別紙)
 親権者等が児童に関してとる行為そのものの態様、手段が客観的に見て適切でない場合。具体的には例えば次のような事例が該当しうると考える。
ア 親権者等がその児童や職員等に対して直接とる行為(実力行使)
 暴行、脅迫等により児童や職員等に危害を加える行為
 児童や職員等に暴言を吐くなど威圧的態度をとる行為
 児童や職員等に恐怖や不安を感じさせる言動や行動をとる行為
 児童を強引に連れ去る行為、外出・外泊から帰さない行為
 無断で又は拒否するにもかかわらず敷地内に立ち入る行為、退去しない行為
 つきまとい、はいかい、交通の妨害等の行為





イ 親権者等が他の児童や児童相談所、施設等全体も含めて迷惑を及ぼす行為
 騒音、振動を立てる行為 、関係施設等を汚損・破損する行為
 施設、職員等を中傷する内容のビラの配布、掲示、ネット上への掲載等をする行為
 拒否するにもかかわらず、撮影や録音を行う行為
 酒に酔っているなど正常な意思疎通ができない状況での来訪、電話等の行為
面会・通信の制限又は施設等の拒否にもかかわらず面会等を行う行為
拒否するにもかかわらず、繰り返しの電話、郵便、FAX、メール等をする行為
拒否するにもかかわらず児童の情報の提供を執拗に要求する行為
非行、犯罪等の不適切な行為をさせようとする(教唆する)行為
児童にたばこ、酒、危険物(火気、刃物等)等を渡す行為
ウ その他
 児童の学校、職場、その他児童の関係者や他の入所児童等に対するア・イの行為
 第三者にア・イの行為をさせる行為
(2) 親権者等の意向に沿った場合に、児童に不利益を与えると考えられる場合



親権者等の意向に沿った場合に、客観的にみて明らかに児童に不利益を与えると考えられる場合。具体的には例えば次のような事例が該当しうると考える。
児童の意向を踏まえる必要。その際、親権者等が児童に及ぼす影響を考慮し、真の児童の意向を見極める必要。
児童の意向に沿った場合に、児童に不利益を与えるおそれがあるときには、児童の意向に沿わない監護措置をとる必要。
ア 児童に経済的な損失を与える行為
 児童に金銭の提供等を要求する行為
 施設等から自立する際、児童が借りる住宅への同居や生活の世話を強いる行為
 児童の意思とは関係なく、児童の名義で売買契約等の契約を行い、不当な負債や
義務を負わせる行為
イ 児童の社会生活に支障を生じさせる行為
 正当な理由なく、児童が必要とする契約や申請に同意せず又は妨げる行為
(携帯電話、奨学金、自立する際の賃貸住宅、旅券等)
 学校・職場に正当な理由なく又は施設等との約束に反し無断で訪問・連絡する行為
 児童が希望する適切な就職等に正当な理由なく同意せず又は妨げる行為
 児童の意思に反して親権者等の希望する職場への就労を執拗に強要する行為
 児童の就労先に対し、児童の賃金を親権者等に支払うよう求める行為
 児童と親族等の第三者との面会や交流を正当な理由なく妨げる行為
ウ 児童の健康や成長、発達に悪影響を及ぼす行為
 児童に必要な医療を正当な理由なく受けさせない行為(精神科医療を含む。)
 児童に必要な保健サービスを正当な理由なく受けさせない行為(予防接種、健康診査等)
 児童に必要な福祉サービスを正当な理由なく受けさせない行為(療育手帳等)
※ 医療保護入院、予防接種については、各法令に基づき、保護者の同意が必要。
エ 児童の教育上支障を生じさせる行為
 学校の通常の授業や行事に、正当な理由なく、出席・参加させない行為
 特別支援学校等を就学先とすることを不服として就学させない行為
※ 障害児については、障害の状況に照らし、専門家・保護者の意見聴取の上、就学先を決定。




児童の意思に反し、学力等に見合わない学校への進学を要求する行為
正当な理由なく、児童が希望する進路に同意しない行為
正当な理由なく、児童の意思に反し、児童が通う学校の退学・休学手続を行う行為
児童の望まない又は参加困難な部活動、習い事、学習塾等を要求する行為
オ 児童や他の児童の監護に悪影響を及ぼすおそれのある行為
 一時保護所や施設内の規則に違反する行動をとることを児童に指示する行為
 親権者等の好みの髪型、服装等を強いる行為
 児童に過剰の金銭、物品等を与える行為
(3) その他の場合
 上記のほか、次の場合などには、児童の監護に支障を生じるおそれがあり、「不当に妨げる行為」に該当する場合がある。
 親権者等の主張の内容に明らかに論理的な混乱が見られ、児童の安定した監護に支障がある場合
 親権者等の主張が合理的な事情がないのに短期間のうちに繰り返し変化するなど一貫性がなく、児童の安定した監護に支障がある場合
医療ネグレクトにより児童の生命・身体に重大な影響がある場合の対応の流れ
児童相談所
できる
親権停止審判
による措置
相談・
連携
児童福祉施設の施設長等
できない
審判の確定
申立て
保全処分(注1)
による措置
時間的緊急性
で判断
保全処分の審理
審判の確定・処分
の決定を通知
できる
以下の者の同意により
医療行為を実施
(同意者)
未成年後見人あり → 未成年後見人
未成年後見人なし → 児福法に基づく
親権代行者
(代行者の区分)
親権者の親権停止
の審判
審判の確定・処分
の決定を連絡
時間的緊急性
で判断
できない
保全処分の決定を
待つことが可能か
請求
医療機関
児童相談所
通告・相談
医療機関
親権停止審判
の確定を待つこと
が可能か
家庭裁判所
処分の決定
(注2)
保全処分
・親権者の職務執行停止
・職務代行者の選任
家庭裁判所の手続
を経る時間がない
時間的緊急性が高い
(児童相談所に相談・連絡する余裕がない)
児福法に基づく
緊急措置
児福法に基づく
緊急措置
児相長及び施設長等による監護措置 (※)
→児童の生命・身体の安全確保のため緊急の必要が
あると認めるときは、親権者等の意に反してもとること
ができる。(児福法第33条の2第4項、第47条第5項)
・ 施設入所中 ・・・ 施設長
・ 里親等委託中 ・・・ 児相長
・ 一時保護中 ・・・ 児相長
・ 後見人選任請求中 ・・・ 児相長
以下の者の同意により
医療行為を実施
(同意者)
職務代行者あり → 職務代行者
職務代行者なし → 児福法に基づく
親権代行者(※)
(※)上記親権代行者の区分と同じ
児童相談所長又は施設長等の
同意により医療行為を実施
(同意者)
一時保護中 → 児相長
施設入所中 → 施設長
里親等委託中 → 里親等
(※) 施設長等が上記の監護措置をとった場合、
児福法第27条第1項第3号等の措置を行った
都道府県又は市町村の長に報告
(注1)親権停止審判を本案とする審判前の保全処分として行う。
(注2)職務代行者の選任は職務執行停止に加えて必要がある場合に行う。職務代行者の資格に特に定めはなく、弁護士、児相長、医師等が選任されている例がある。
44
児童相談所全国共通ダイヤルの3桁化について
【趣旨】
児童虐待を発見した者等が児童相談所に適切に通告・相談できるよう、児童相談所全国共通ダイヤルを覚えや
すい3桁化(189 イチ・ハヤ・ク)し、広く一般に周知する。
※全児童相談所(208カ所)において、24時間365日、虐待通告など緊急の相談に対応できる体制を整備。
【運用開始】
平成27年7月1日
【ポスター・リーフレット】
「0570-064-000」 → 「189」
【しおり】
☆新たな3桁番号としては15年振り。
【カード】
【ボールペン、蛍光ペン、ステンレスクリップ】
45
子どもの安全確認・安全確保の徹底について
◎児童相談所等関係機関の関与がありながら虐待死を防げなかった事例の存在
48時間ルールの徹底
・情報提供であっても死を招く子ども虐待の可能性の認識
・安全確認は、原則48時間以内に子どもを直接目視することにより実施
ためらわず必要な場面での一時保護の実施
・保護者の同意が得られない場合であっても子どもの安全を最優先にした実施
・虐待の確証が得られない場合においても、児童の安全のため一時保護による診断・判定も辞さない
臨検・捜索制度等の積極的な活用
・長期間子どもの安全が確認されず、呼びかけに全く応答しない場合等においての積極的な活用
・出頭要求、立入調査、再出頭要求の段階を踏まえ、次の見通しをもった迅速な対応
関係機関との連携
・虐待を受けている子どもの早期発見や適切な保護を図るため、関係機関が早い時期からその子ども等に関
する情報や方針を共有し、適切な連携の下で対応していくことが重要
・要保護児童対策地域協議会を積極的に活用するとともに、日頃からの情報交換により、各機関の連携を深
めていくことが適当
「虐待通告のあった児童の安全確認の手引き」の概要
1.趣旨
児童虐待による痛ましい死亡事件等が後を絶たない状況にあり、児童相談所が専門機関として対応に万全を期すことが
必要である。
このため、児童虐待の通告のあった児童に対する安全確認の徹底を図るために「子ども虐待の対応の手引き」(厚生省児
童家庭局企画課長通知)に規定する「通告・相談への対応」及び「調査及び保護者・子どもへのアプローチ」を基に、対応にお
ける着眼点や工夫例等を盛り込み、児童相談所の執務の参考となる手引きを作成し、通知(厚生労働省雇用均等・児童家
庭局総務課長通知「虐待通告のあった児童の安全確認の手引きについて」(平成22年9月30日雇児総発0930第2号))す
るものである。
2.主な内容
(1)構成内容
児童相談所が、虐待通告を受理した時点から子どもの安全を確認するまでの一連の過程において生じる様々な問題を
前提にして対応の手順を記載。
1.児童の安全確認に関する基本的な考え方
2.虐待通告受付時の対応の基本事項
3.虐待通告があった場合の対応の基本事項
4.安全確認における基本事項
5.拒否的な保護者等への対応の参考例
6.立入調査及び出頭要求並びに臨検・捜索についての基本事項
7.立入調査に当たっての留意点
8.出頭要求・再出頭要求に関する留意点
9.臨検・捜索に関する留意点
10.平素からの警察との連携体制の整備
(参考1)臨検・捜索に係る裁判所への許可状請求のための資料
(参考2)安全確認ができないケースについての対応例
(2)新たに盛り込んだ主なもの
1.児童の安全確認に関する基本的な考え方を記載
2.安全確認が行えない場合の対応方針を記載
3.通告時、家庭訪問時、社会調査時等において取組実例などを対応の流れの中に記載
4.平素からの警察との連携体制の整備について記載
5.臨検・捜索を行った自治体の裁判官への許可状申請書類のリストを参考として記載
6.自治体から報告のあった工夫事例の主なものを参考として記載
47
臨検、捜索に至る手続き(児童虐待防止法における対応)
* 件 数 は H20,4,1 ~
H27,3,31の累計
児童相談所
H21,4,1~H27,3,31
543件
警察官の援助
出頭要求(第8条の2)
立入調査(罰則あり)(第9条)
(許可状請求)
(許可状発布)
警察官の援助
*
50件
→任意
→必須
*
23件
再出頭要求(第9条の2)
裁
判
官
215件
家庭訪問等による安全確認
裁判官への許可状請求(第9条の3)
→必須(立入調査に応じないこ
とが要件)
→ 住居不可侵の観点から必須(再出頭要
求に応じないことが要件)
臨検又は捜索(実力行使)(第9条の3)
*
8件
【第8条の2】(出頭要求)
都道府県知事は、児童虐待が行われているおそれがあると認めるときは、当該児童の保護者に対し、当該児童を同伴して出頭することを求め、児童委員又は児童の福祉に関す
る事務に従事する職員をして、必要な調査又は質問をさせることができる。(後略)
【第9条】(立入調査)
都道府県知事は、児童虐待が行われているおそれがあると認めるときは、児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する職員をして、児童の住所又は居所に立ち入り、必要
な調査又は質問をさせることができる。(後略)
【第9条の2】(再出頭要求)
都道府県知事は、第八条の二第一項の保護者又は前条第一項の児童の保護者が正当な理由なく同項の規定による児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する職員の
立入り又は調査を拒み、妨げ、又は忌避した場合において、児童虐待が行われているおそれがあると認めるときは、当該保護者に対し、当該児童を同伴して出頭することを求め、
児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する職員をして、必要な調査又は質問をさせることができる。(後略)
【第9条の3】(臨検、捜索)
都道府県知事は、第八条の二第一項の保護者又は第九条第一項の児童の保護者が前条第一項の規定による出頭の求めに応じない場合において、児童虐待が行われている疑
いがあるときは、当該児童の安全の確認を行い又はその安全を確保するため、児童の福祉に関する事務に従事する職員をして、当該児童の住所又は居所の所在地を管轄する地
方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所の裁判官があらかじめ発する許可状により、当該児童の住所若しくは居所に臨検させ、又は当該児童を捜索させることができる。
平成26年度に実施された出頭要求等の事例
出頭要求
【事例1】
背景
・未就学年齢である児童の父母が市町村、児童相談所による安否確認に応じず、児童を閉じ込めている疑いが
あったため、出頭要求を行った。
出頭要求後の状況
・父母は出頭要求に応じて来所し、それまでの訪問や手紙の趣旨を認識していなかったと説明した。
・家庭訪問を実施し、生活状況を確認した。
・母が妊娠中のため、市町村の保健師に定期的な支援を依頼した。
【事例2】
背景
・就学年齢の児童が不登校となり、家族が家庭に引きこもって第三者が確認できなくなった。保護者が他の
自治体への転出を行い、居所不明になる可能性があったため、出頭要求を行った。
出頭要求後の状況
・出頭要求に母は応じなかった。
・警察へ援助要請を行い、市町村の協力を得て、立入調査を実施した。
・児童の安全確認を行い、一時保護を実施した。
・母は即日医療機関に入院となった。
【事例3】
背景
・3歳児検診が未受診の児童。
・長期間に渡り、児童の安否確認ができていなかったため、出頭要求を行った。
出頭要求後の状況
・父母は出頭要求に応じなかった。
・立入調査を行い、児童の安全を確認した。
・その後、本家庭への支援を継続している。
再出頭要求
【事例4】
背景
・児童は、複数の先天性疾患を有しており、出生後から地域での支援を開始した。母は児童の養育が充分行えず、
親族の協力を得ながら生活していた。
・定期の内服薬がなくなった際、母子は総合病院の救急外来に来院するが、その後の通院の指示に従わなかった
ため、病院が市町村に通告。
・市町村が家庭訪問するも応答なく、児童の安否が危惧されたため、児童相談所が送致を受け、出頭要求を行っ
た。
・出頭要求に応じないため、即日立入調査を行うも応答なく、同日さらに再出頭要求を行った。
出頭要求後の状況
・再出頭要求後、自宅から母子が出てくるところを現認し、児童相談所が同行の上、児童に医療機関を受診させ
た。
臨検、捜索
【事例5】
背景
・未就学年齢の児童について、所在が確認できないとの情報があり、出頭要求を行った。
・立入調査、再出頭要求後、臨検、捜索を実施した。
・臨検、捜索時には、居室内に誰もいなかった。
再出頭要求後の状況
・警察により家族は発見され、きょうだいは一時保護後、入所措置となった。
児童福祉法第28条(家裁の承認を得て行う施設入所措置)及び
第33条の7(家裁に対して児童相談所長が行う親権喪失等請求)の件数
○ 平成26年度の28条(家裁の承認を得て行う施設入所措置)に基づく請求件数は350件、承認件数は267件
である。
○ 平成24年度から、33条の7により、親権喪失に加え、親権停止、管理権喪失宣告の請求が可能となった。
事項
平成22年度
平成23年度
平成24年度
平成25年度
平成26年度
400
請求件数
承認件数
請求件数
承認件数
請求件数
承認件数
請求件数
承認件数
請求件数
承認件数
28条による施設入所措置の
承認申立
255
239 (94%)
267
218 (82%)
294
244 (83%)
318
277 (87%)
350
267 (76%)
28条による施設入所措置の承認申立請求件数及び承認件数
350
350
294
300
請求件数
250
承認件数
200
127
150
100
50
33条の7による
親権喪失宣告等の請求
16
2
9
6
38
14
50
41
34
28
88
140
134
117
99
87
87 105
235
186 176 185
147
147 163
230
182 173
255 267
230
239 218
214
318
277
244
267
48
0
11年度 12年度 13年度 14年度 15年度 16年度 17年度 18年度 19年度 20年度 21年度 22年度 23年度 24年度 25年度 26年度
51
※平成22年度は、東日本大震災の影響により、福島県を除いて集計した数値
1.社会的養護の現状
(1)施設数、里親数、児童数等
保護者のない児童、被虐待児など家庭環境上養護を必要とする児童などに対し、公的な責任として、社会的に養護を行う。対
象児童は、約4万6千人。
里親
家庭における養育を
親に委託
区分
(里親は
重複登
録有り)
里
養 育 里 親
専 門 里 親
養子縁組里親
親 族 里 親
登録里親数
委託里親数
委託児童数
9,949世帯
3,644世帯
4,731人
7,893世帯
676世帯
3,072世帯
485世帯
2,905世帯
174世帯
222世帯
471世帯
3,599人
206人
224人
702人
ファミリー
ホーム
養育者の住居において家庭養護
を行う(定員5~6名)
ホ ー ム 数
257か所
委託児童数
1,172人
乳児院
児童養護施設
情緒障害児
短期治療施設
児童自立支援
施設
母子生活支援
施設
自立援助
ホーム
対象児童
乳児(特に必要な場
合は、幼児を含む)
保護者のない児童、
虐待されている児童
その他環境上養護
を要する児童(特に
必要な場合は、乳児
を含む)
軽度の情緒障害を
有する児童
不良行為をなし、又
はなすおそれのあ
る児童及び家庭環
境その他の環境上
の理由により生活
指 導 等 を要 す る 児
童
配偶者のない女子
又はこれに準ずる
事情にある女子及
びその者の監護す
べき児童
義務教育を終了し
た児童であって、児
童養護施設等を退
所した児童等
施設数
133か所
601か所
38か所
58か所
247か所
118か所
定員
3,872人
33,579人
1,779人
3,791人
4,936世帯
789人
現員
3,022人
28,183人
1,314人
1,524人
3,542世帯
児童5,843人
440人
職員総数
4,539人
16,672人
995人
1,788人
2,067人
519人
施設
小規模グループケア
地域小規模児童養護施設
1,078か所
298か所
※里親数、FHホーム数、委託児童数は福祉行政報告例(平成27年3月末現在)
※施設数、ホーム数(FH除く)、定員、現員、小規模グループケア、地域小規模児童養護施設
のか所数は家庭福祉課調べ(平成26年10月1日現在)
※職員数(自立援助ホームを除く)は、社会福祉施設等調査報告(平成26年10月1日現在)
※自立援助ホームの職員数は家庭福祉課調べ(平成26年3月1日現在)
※児童自立支援施設は、国立2施設を含む
52
(2)要保護児童数の推移
ここ十数年で、里親等委託児童数は約2.8倍、児童養護施設の入所児童数は微増、乳児院が約2割増
となっている。
○児童養護施設の入所児童数
○ 里親・ファミリーホームへの委託児童数
7,000
32,000
6,000
30,000
5,000
3,500
3,000
28,000
2,500
26,000
24,000
平成7年10月
27,145人
平成7年10月
2,566人
1,500
1,000
H5
H6
H7
H8
H9
H10
H11
H12
H13
H14
H15
H16
H17
H18
H19
H20
H21
H22
H23
H24
H25
H26
20,000
2,000
○児童養護施設の設置数
平成26年10月
3,022人
(1.18倍)
H5
H6
H7
H8
H9
H10
H11
H12
H13
H14
H15
H16
H17
H18
H19
H20
H21
H22
H23
H24
H25
H26
22,000
○ 乳児院の設置数
620
135
600
130
125
580
120
560
110
H26
H25
H24
H23
H22
H21
H20
H19
105
H16
H15
H14
H13
H12
H11
H9
H10
H8
H6
500
H7
平成13年10月
551か所
520
115
100
平成14年10月
114か所
平成26年10月
133か所
(1.17倍)
53
H5
H6
H7
H8
H9
H10
H11
H12
H13
H14
H15
H16
H17
H18
H19
H20
H21
H22
H23
H24
H25
H26
平成26年10月
601か所
(1.09倍)
540
H5
(注)児童養護施設・乳児院については各年度10月
1日現在(社会福祉施設等調査、平成21年度以
降は家庭福祉課調べ)
里親・ファミリーホームについては、各年度3月
末日現在(福祉行政報告例)
H26
H25
H24
H23
H22
H21
H20
H18
H17
H16
H15
H14
H13
H12
H11
H9
H10
H8
H7
H6
H5
2,000
H19
平成26年度末
5,903人
(2.78倍)
H18
3,000
平成26年10月
28,183人
(1.04倍)
H17
平成11年度末
2,122人
4,000
1,000
○ 乳児院の入所児童数
(参考)児童養護施設の児童の年齢、在所期間、措置理由
①児童養護施設の児童の年齢
単位:人数(人)、[ ] 構成割合(%)
在籍児の年齢
H25
H15
②在籍児童の在籍期間
単位:人数(人)、[ ] 構成割合(%)
入所時の年齢
H4
S58
H25
H15
H4
S58
H25
0歳~
5歳
4,047
[13.5]
5,421
[17.8]
4,128
[15.4]
4,610
[14.4]
15,864
[52.9]
16,704
[54.9]
14,330
[53.6]
16,400
[51.2]
4年未満
6歳~
11歳
10,899
[36.4]
12,408
[40.8]
10,138
[37.9]
13,820
[43.1]
9,923
[33.1]
10,010
[32.9]
9,124
[34.1]
12,330
[38.5]
12歳~
17歳
13,401
[44.7]
11,448
[37.6]
11,597
[43.4]
13,110
[40.9]
4,143
[13.8]
3,642
[12.0]
3,247
[12.1]
3,310
[10.3]
18歳
以上
1,607
[5.4]
1,119
[3.7]
856
[3.2]
500
[1.6]
14
[0.0]
9
[0.0]
-
-
-
-
総数
29,979
[100.0]
30,416
[100.0]
26,725
[100.0]
32,040
[100.0]
29,979
[100.0]
30,416
[100.0]
26,725
[100.0]
32,040
[100.0]
平均
年齢
11.2歳
10.2歳
11.1歳
10.2歳
6.2歳
5.9歳
6.4歳
6.0歳
注)総数には年齢不詳を含む。
S58
17,415
[57.3]
13,709
[51.3]
17,880
[55.8]
4年以上~
8年未満
8,143
[27.2]
7,705
[25.3]
7,237
[27.1]
8,990
[28.1]
8年以上~
12年未満
4,733
[15.8]
3,737
[12.3]
4,346
[16.3]
4,190
[13.1]
12年以上
2,105
[7.0]
1,530
[5.0]
1,415
[5.3]
980
[3.1]
総数
29,979
[100.0]
30,416
[100.0]
26,725
[100.0]
32,040
[100.0]
平均
期間
4.9年
4.4年
4.7年
4.3年
注)総数には期間不詳を含む。
H25
H15
単位:人数(人)、[ ] 構成割合(%)
H4
S58
H25
663[2.2]
912[3.0]
1,246[4.7]
3,070[9.6]
1,279[4.3]
3,333[11.0]
4,942[18.5]
9,100[28.4]
(父・母の)精神疾患等
父母の離婚
872[2.9]
1,983[6.5]
3,475[13.0]
6,720[21.0]
虐待(放任・怠惰、虐待・酷
使、棄児、養育拒否)
父母の不和
233[0.8]
262[0.9]
429[1.6]
630[2.0]
(父・母の)拘禁
1,456[4.9]
1,451[4.8]
1,083[4.1]
1,220[3.8]
(父・母の)入院
1,304[4.3]
2,128[7.0]
3,019[11.3]
(父・母・父母の)行方不明
H4
14,842
[49.5]
③児童の措置理由(養護問題発生理由)
(父・母・父母の)死亡
H15
児童養護施設(旧養護施設)入所児童等調査
(父・母の)就労
H15
H4
S58
1,730[5.8]
3,537[11.6]
2,968[11.1]
220[0.7]
3,697[12.3]
2,479[8.2]
1,495[5.6]
1,760[5.5]
11,377[37.9]
8,340[27.4]
4,268[16.0]
2,890[9.0]
破産等の経済的理由
1,762[5.9]
2,452[8.1]
939[3.5]
児童問題による監護困難
1,130[3.8]
1,139[3.7]
1,662[6.2]
4,476[14.9]
2,400[7.9]
1,199[4.5]
2,340[7.3]
29,979[100.0]
30,416[100.0]
26,725[100.0]
32,040[100.0]
4,090[12.8] その他・不詳
総 数
54
(3)虐待を受けた児童の増加
児童虐待の増加等に伴い、児童虐待防止対策の一層の強化とともに、虐待を受けた子どもなどへの対応として、社会的養
護の量・質ともに拡充が求められている。
○ 全国の児童相談所における児童虐待に関する相談件数は、児童
虐待防止法施行前の平成11年度に比べ、平成26年度 には約7.
6倍に増加。
○
児童養護施設に入所している子どものうち、
約6割は、虐待を受けている。
(件数)
0%
90,000
80,000
73,802
70,000
66,701
50,000
42,664
40,000
44,211
37,323
40,639
33,408
34,472
26,569
23,274
23,738
30,000
0
60%
80%
100%
31.1%
61.7%
7.2%
里親
59.5%
児童養護施設
35.4%
17,725
11,631
1,171 1,611 2,722
6,932
1,101 1,372 1,961
5,352
4,102
71.2%
情緒障害児
短期治療施設
56,384
10,000
40%
5.1%
59,919
60,000
20,000
20%
88,931
※平成22年度の件数は、福
島県を除いた数
H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H H
2 3 4 5 6 7 8 9 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 2 2 2 2 2 2 2
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6
福祉行政報告例
58.5%
児童自立
支援施設
乳児院
母子生活
支援施設
ファミリー
ホーム
自立援助
ホーム
25.7%
35.3%
35.5%
61.7%
50.1%
36.7%
65.7%
被虐待体験あり
あり
なし
6.2%
2.8%
46.0%
55.4%
3.1%
23.7%
7.9%
10.6%
55不明・不詳
児童養護施設入所児童等調査結果(平成25年2月1日)
不明・不詳
なし
3.9%
要保護児童対策地域協議会について
果たすべき機能
要保護児童等(要支援児童や特定妊婦を含む。)の早期発見や適切な保護や支援を図るためには、
・ 関係機関が当該児童等に関する情報や考え方を共有し、
・ 適切な連携の下で対応していくことが重要
であり、市町村において、要保護児童対策地域協議会を設置し、
① 関係機関相互の連携や役割分担の調整を行う機関を明確にするなどの責任体制を明確化するとともに、
② 個人情報の適切な保護と関係機関における情報共有の在り方を明確化することが必要
市町村
保健機関
警 察
医療機関
学校・教育委員会
要保護児童対策調整機関(市町村)
・支援内容が重複する場合等に優先して対応すべき支援機関を選定
・支援機関ごとに支援内容の進行等を管理 等
民生・児童委員
保育所・幼稚園
弁護士会
児童相談所
調整機関
職員数
設置している市町村数(※)
登録ケース数(うち児童虐待)
① 児童福祉司と同様の専門資格を有する職員
② その他専門資格を有する職員
③ ①②以外の職員(事務職等)
④ 合計
民間団体
平成24年度
1,714(98.4%)
141,058(74,657)
1,156
2,304
2,617
6,077
児童館
平成25年度
1,722(98.9%)
178,610(84,917)
1,586
3,091
3,556
8,233
※平成24、25年度:4月1日時点、27年度:平成28年2月1日時点
【出典】平成24,27年度:厚生労働省雇用均等・児童家庭局総務課調べ、平成25年度:子どもを守る地域ネットワーク等調査(平成25年度調査)
平成27年度
1,730(99.4%)
191,806(92,140)
2,415
3,258
3,647
9,320
56
要保護児童対策地域協議会の運営のイメージ
○協議事項や地域の実情に応じて会議を設定し、効果的な情報交換、意見交換を進める。
代表者会議
協議会の構成員の代表者による会議であり、実際の担当者で構成される実務者会議が円滑に運営されるための環境整備を目的と
して、年に1~2回程度開催される。
① 要保護児童等の支援に関するシステム全体の検討
② 実務者会議からの協議会の活動状況の報告と評価
実務者会議
実際に活動する実務者から構成される会議であり、会議における協議事項としては例えば次のようなものが考えられる。
①
②
③
④
定例的な情報交換や、個別ケース検討会議で課題となった点の更なる検討
定期的に(例えば3か月に1度)、全ての虐待ケースについての状況確認、主担当機関の確認、援助方針の見直し等を実施
要保護児童等対策を推進するための啓発活動
協議会の年間活動方針の策定、代表者会議への報告
個別ケース検討会議
※ 個別の要保護児童等について、直接関わりを有している担当者や今後関わりを有する可能性がある関係機関等の担当者により、
当該要保護児童等に対する具体的な支援の内容等を検討するために適時開催される。
※ 会議における協議事項としては次のようなものが考えられる。
①
②
③
④
要保護児童等の状況の把握や問題点の確認(危険度や緊急度の判断)
援助方針の確立と役割分担の決定及びその認識の共有
ケースの主担当機関とキーパーソン(主たる援助者)の決定
実際の援助、介入方法(支援計画)の検討
※ 各関係機関の役割分担や次回会議の日程等、個別ケース検討会議で決定した事項については、記録するとともに、その内容を関
係機関等で共有することが重要
※ 協議会は、関係機関等に対し、資料又は情報の提供、意見の開陳その他必要な協力を求めることができる。
※ この協力要請は、協議会の構成員以外の関係機関等に対して行うことも可能。
57
「要保護児童対策地域協議会」の実践事例集【概要】
(平成24年12月14日公表)
<目的>
要保護児童対策地域協議会は、現在ほぼ全ての市町村で設置されている。しかし、必ずしも
十分に活用されていない協議会も見られることから、活用促進や機能強化が求められている。
そのため、協議会を積極的に活用している7自治体に調査し実際の取組を紹介。
<事例を紹介する自治体>
東京都世田谷区、神奈川県横須賀市、大阪府枚方市、静岡県沼津市、福岡県糸島市、
長野県伊那市、長野県須坂市
(要保護児童対策地域協議会に登録されている件数、人口規模、調整機関の体制等を踏まえ抽出。)
<調査方法>
平成23年2月~3月に調査票
を用いた調査とヒアリングを実
施。
※要保護児童対策地域協議会に
ついては、平成19年に設置・運営に
当たり必要となる基本的な知識、
方法論をまとめた「スタートアップ
マニュアル」を作成している。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodo
mo/dv14/
自治体の概要
東京都
神奈川県
大阪府
静岡県
福岡県
長野県
長野県
世田谷区
横須賀市
枚方市
沼津市
糸島市
伊那市
須坂市
人口(人)
( H2 3 . 4 時点)
837,000
423,000
411,000
206,000
100,000
71,000
53,000
子どもの数( 人)
( H2 3 . 4 時点)
119,000
64,000
71,000
32,000
17,000
13,000
9,000
児童福祉担当
部署
福祉、保健部門
福祉部門
福祉部門
福祉部門
福祉部門
教育部門
教育部門
調整機関
児童福祉担当部署 児童福祉担当部 児童福祉担当部署 児童福祉担当部署 児童福祉担当部署 児童福祉担当部署 児童福祉担当部署
と同一
署と同一
と同一
と同一
と同一
と同一
と同一
要保護児童対
策地域協議会
の設置
H18 .1
H17.7
H17.4
H18.7
H16.10
H18.9
H18.10
要保護児童ケー
ス 登録数( H2 2
年度)
909
88
331
339
63
148
18
要支援ケース 登
録数
( H2 2 年度)
0
20
150
186
272
0
2
特定妊婦
ケース 登録数
( H2 2 年度)
8
14
11
24
6
0
0
登録ケース 数合
計
917
122
492
549
341
148
20
妊娠・出産・育児期に養育支援を特に必要とする家庭に係る
保健・医療・福祉の連携体制の整備について
○児童虐待による死亡事例は、乳児期の子どもが多く占めており、その背景には、母親が妊娠期から一人で悩みを抱えていた
り、産前産後の心身の不調や家庭環境の問題がある。そのため、妊娠等について相談しやすい体制や、関わりのある機会
を見逃さない体制の整備が必要。
○平成23年7月27日付けで「妊娠・出産・育児期に養育支援を特に必要とする家庭に係る保健・医療・福祉の連
携体制の整備について」(雇用均等・児童家庭局総務課長・母子保健課長通知)を都道府県市に通知し、体制整備を
推進
○妊娠・出産・育児期に関わる関係機関が、養育支援を特に必要とする母親(家庭)を早期に把握し、各関係機関が
連携し早期から養育支援を行うことが必要。
医療機関
地域で継続し
た支援体制
出産
妊娠に関する相談
妊婦健診
妊娠
早期に養育支援が必要な妊産婦や
子どもがいる家庭について、市町
村へ情報提供
市町村と連携して医療の提供
家庭に対し、地域の母子保健サー
ビスや窓口の情報提供
産後健診
出産
妊娠の届出
行
政
機
関
妊婦訪問
養育支援訪問
妊娠届け時に面接し、妊婦の身体的、精神
的、経済的状態などを把握し、支援の要否を
確認
支援が必要な場合は、特定妊婦として妊娠
期から関係機関と連携し早期から支援
子育てスタート
乳児家庭全戸訪問
(こんにちは赤ちゃん)
新生児訪問
未熟児訪問
養育支援訪問
59
乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)【実施主体:市区町村】
養育支援訪問事業
訪 問 内 容
ケース対応会議
生後4か月までの全戸訪問
・ 子育て支援の情報提供
・ 母親の不安や悩みに耳
を傾ける
全戸訪問の結果に基づき、必
要に応じケース対応会議を行
うとともに、要支援家庭に対す
る訪問指導を行う。
・ 養育環境の把握
保健師・助産師・看護師、保育士、
愛育班員、母子保健推進員、児童委員、子
育て経験者等について、人材発掘 ・研修を
行い、幅広く登用
ポピュレーションアプローチ
子どもを守る地域ネットワーク
(要保護児童対策地域協議会)
家 庭 訪 問 者
ハイリスクアプローチ
60
乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)及び
養育支援訪問事業の実施率の推移
100.0%
乳児家庭全戸訪問事業
養育支援訪問事業
80.0%
84.1%
89.2%
92.3%
67.3%
58.2%
55.4%
40.0%
42.9%
20.0%
22.4%
59.5%
95.3%
81.2% 83.1%
72.2%
60.0%
94.1%
99.0% 99.4%
70.3%
62.9%
45.3%
24.6%
0.0%
17年度 18年度 19年度 20年度 21年度 22年度 23年度 24年度 25年度 26年度 27年度
・養育支援訪問事業について、平成20年度以前は育児支援家庭訪問事業の実施率を掲載。
・乳児家庭全戸訪問事業について、平成20年度以前は生後4ヶ月までの全戸訪問事業の実施率を掲載。
・平成17年度~20年度の実施率は次世代育成支援対策交付金の交付決定ベース。
・平成21年度~24年度、平成26年度~27年度の実施率は雇用均等・児童家庭局総務課調べ。
・平成25年度の実施率は子どもを守る地域ネットワーク等調査(平成25年度調査) 。
61
「利 用 者 支 援 事 業 」 に つ い て
事業の目的
子ども・子育て支援の推進にあたって、子ども及びその保護者等、または妊娠している方がその選択に基づき、教育・保育・保健その
他の子育て支援を円滑に利用できるよう、情報提供及び必要に応じ相談・助言等を行うとともに、関係機関との連絡調整等を実施し、支
援。
主な事業内容
○総合的な利用者支援
子育て家庭の「個別ニーズ」を把握し、教育・保育施設及び地域の子育て支援事業等の利用に当たっての「情報集約・提供」「相
談」「利用支援・援助」
○地域連携
子育て支援などの関係機関との連絡調整、連携・協働の体制づくりを行い、地域の子育て資源の育成、地域課題の発見・共有、地域
で必要な社会資源の開発等
いずれかの類型を選択して実施。
① 「基本型」:「利用者支援」と「地域連携」を共に実施する形態
(主として、行政窓口以外で、親子が継続的に利用できる施設を活用。)(例;地域子育て支援拠点事業で実施の「地域機能強化型」)
②
「特定型」:主に「利用者支援」を実施する形態 ※地域連携については、行政がその機能を果たす。
(例;横浜市「保育コンシェルジュ事業」)
(主として、行政機関の窓口等を活用。)
③
「母子保健型」:保健師等の専門職が全ての妊産婦等を対象に「利用者支援」と「地域連携」を共に実施する形態
※継続的な把握、支援プランの策定を実施
(主として、保健所・保健センター等を活用。)
子どもを預けたい
子どものことで気にか
かることがある
等々
連絡調整、連携・協働の体制づくり、地域の子育て資源の育成、地域課題の発見・共有、
地域で必要な社会資源の開発等
利用者支援実施施設
保健・医療・福祉などの関係機関(役所、保健所、児童相談所 等)
(子育て親子の身近な場所)
個別ニーズの把
握、情報集約・提
供
相談
子育て中の親子など
利用者支援専門員
保健師等
保育所
幼稚園
認定こども園
放課後児童クラブ
・児童館
教育・保育・保健その他の子育て支援の利用支援・援助
(案内・アフターフォローなど)
指定障害児
ファミリー・サポート・
センター
家庭児童相談
(児相)
地域の保健師
(保健所)
相談支援
事業所
62
地域子育て支援拠点事業
背
景
課
題
地域子育て支援拠点の設置
・3歳未満児の約7~8割は
家庭で子育て
・核家族化、地域のつながりの希薄化
・男性の子育てへの関わりが少ない
・子育てが孤立化し、
子育ての不安感、負担感
・子どもの多様な大人・子ども
との関わりの減
・児童数の減少
地 域 子 育 て 支 援 拠 点
子育て中の親子が気軽に集い、
相互交流や子育ての不安・悩み
を相談できる場を提供
解消
○ 公共施設や保育所、児童館等の地域の身近な場所で、
乳幼児のいる子育て中の親子の交流や育児相談、情報提供等を実施
育児不安
○ NPOなど多様な主体の参画による地域の支え合い、
子育て中の当事者による支え合いにより、地域の子育て力を向上
事 業 内 容
① 子育て親子の交流の場の提供と交流の促進
平成25年度実施か所数
(国庫補助対象分・
少子化室調べ)
② 子育て等に関する相談、援助の実施
③ 地域の子育て関連情報の提供
④ 子育て及び子育て支援に関する講習等の実施
6,233か所
地域で子育てを支える
63
児童虐待防止における児童相談所・市区町村と医療機関との連携強化について
○平成24年11月30日付けで「児童虐待防止等のための医療機関との連携強化に関する留意事項について」(雇用均等・児童
家庭局総務課長、母子保健課長通知)を都道府県市に通知。都道府県市に対し、虐待が疑われる家庭や養育支援を特に必要
とする家庭の支援のために医療機関との積極的な連携及び情報共有を推進すること、臓器提供に係る児童について児童相談
所の関与の有無等の照会があった場合の対応に備えること等を要請。
○医療機関の主な役割や具体的な取組については以下のとおり。
医療機関の主な役割
◎医療機関は、児童相談所や市区町村に養育支援が特に必要な家庭の情報提供や虐待に関する通告を行い、支援につなぐ。
・ 子どもだけではなく、親の状況にも着目する必要。
・ 小児科のほか、産科や精神科、歯科等の役割も重要。
◎児童相談所や市区町村と情報を共有し、支援方針等を検討、連携して必要な支援を行う。
発生予防
○ 養育支援が特に必要な家庭
(要支援児童、特定妊婦)の情報
提供
早期発見・早期対応
等
支援
○ 虐待があったと疑われる子ども、
虐待を受けた 子どもの通告
等
○ 虐待による身体的・精神的問題
の評価・治療
○ 治療を通した見守り
(養育環境の把握など)
等
※守秘義務と個人情報保護との関係
児童虐待の防止や対応のために児童相談所や市区町村に必要かつ相当な範囲で行う「情報提供」や、児童相談所や市区町村への「通告」は、正当な
行為や第三者提供禁止の除外規定に該当し、基本的に守秘義務や個人情報保護に係る規定違反とはならない。
医療機関の具体的な取組
○市区町村の要保護児童対策地域協議会に参加することや児童相談所・市区町村と連携した対応をとること。
 平素からの連携・情報共有(情報提供するケースの目安や虐待が疑われる場合の対応などについて認識を共有)。
 支援につなげるべきケースの情報提供、通告。
 個別ケースへの支援(個別ケース検討会議で支援方針、役割分担を協議し、連携して支援)。
 要保護児童対策地域協議会に参加できない場合(広域から患者が受診する医療機関等)は、近隣の市区町村等と
個別ケースに関する情報提供・共有の枠組みづくりに協力すること。
○個別ケースにおいて、患者本人等から「診療情報」等の個人情報の提供等を求められた場合の取扱いについて児童相談所・
市区町村と協議しておくこと。
○児童相談所・市区町村の虐待対応の調査に協力すること。
○医療機関内の虐待対応の体制を整えること。
64
(「児童虐待の防止等のための医療機関との連携強化に関する留意事項について」厚生労働省
雇用均等・児童家庭局総務課長、母子保健課長通知より)
養育支援を特に必要とする家庭の把握及び支援の流れ
居住実態が把握できない家庭など、虐待発生リスクが高い家庭について市町村の関係部門・関係機関間で速やかな情報共有を図ることが必要
0歳
1歳
2歳
3歳
4歳
5歳
6歳
就学後
予防接種
3・4
か
月
児
健
診
3
歳
児
健
診
1歳
6か月
児
健
診
就
学
時
健
診
未受診等
母子保健部門
虐待対応部門
市
町
村
○家庭訪問や電話、文書等により受診勧奨
○同時に未受診等の理由、背景等を調査
行政の関与に拒否的な家庭
勧奨に合理的な理由なく応じない家庭
未受診の理由や背景等が把握できない家庭 等
情報提供
・
対応協議
情報共有
居住実態が把握できない家庭
支援について検討が必要な家庭
→ 保健・福祉サービス等の提供状況、関係機関の関与状況等の調査
他の市町村へ転出を把握
要保護児童対策地域協議会で情報を共有
○ 居住実態が把握できない家庭
→ 家庭の実態把握
◆住民基本台帳や戸籍の記載事項、生活保護、児童手当・児童扶養手当等の受給状況等の詳細な調査
◆児童相談所の関与の確認
連絡
結果報告
・
通告
実態が把握できない場合や虐待が疑われる場
確認依頼
・
相談
合など、児童相談所の対応が必要な場合
児童
相談所
○
○出頭要求、臨検・捜索を活用した児童の安全確認・安全確保
○他の児童相談所の関与の確認
行方不明届の提出
について相談
警
察
所在不明の場合
転出先市町村
 児童相談所の関与の確認
 情報収集、家庭の居住状
況や児童の所在確認
教育委員会
乳児
家庭
全戸
訪問
事業
出
生
届
児童虐待対応における警察との連携
「児童虐待への対応における警察との連携の推進について」
(平成24年4月12日雇児総発0412第1号厚生労働省雇用均等・児童家庭局総務課長通知)
連携体制の強化
個別事案における連携
平素からの連携


警察官等を講師とした研修、警察との合同による実践
的研修の実施

児童虐待防止対策支援事業を活用した警察官OB等
の採用、現職警察官に係る警察との人事交流の推進

児童相談所と少年サポートセンター等の施設移転時
の連携

警察からの通告事案についての受理後の対応や以後
の状況変化に関する情報及び警察が得た新たな情報
を相互に情報交換する体制の整備
在宅対応中の児童について警察から状況変化に関す
る情報提供がなされた場合の安全確認、再アセスメン
トの徹底
連
児童相談所等
携
子どもの安全確保
生命・身体の保護
を最優先に対応
安全確認・安全確保の徹底

通告時における目視による安全確認の徹底、臨検・捜
索も視野に入れた立入調査や一時保護の実施、子ど
も及び虐待者本人との面接を含めた家族全体のアセ
スメント実施の徹底

子どもの安全確認・安全確保に万全を期する観点か
ら、適切に警察への援助要請を実施
警
察
要保護児童対策地域協議会における連携の促進

要保護児童対策地域協議会において要保護児童等の
事案について関係機関が適切な対応を検討するため、
個別ケース検討会議等における警察との積極的な情
報交換、意見交換の実施
66
児童買春・児童ポルノ法施行に伴う児童の保護等に関する
厚生労働省の取組
○ 同法施行に伴い、児童の保護等への適切な対応を図るため、自治体に対して以下の通知を発出。
「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」の施行に伴う児童の保護等について
(平成11年10月27日児発第796号 厚生省児童家庭局長通知)
第1 総合的診断について
○ 児童の保護については、児童の最善の利益を確保す
る観点から処遇を決定すること。
○ その際、従来非行児童等として指導等を行ってきた児
童の中には、児童買春等により心身に有害な影響を受
けたと認められる者であるとの認識に立って対応する必
要がある者が少なからず存在することに留意。
○ 保護者等の問題に強く影響される状況がある場合に
は、保護者等に対するカウンセリング等を進める。
第2 心理的治療について
○ 心理的治療を要する児童の医療的ケアは、平成9年
7月から、小児特定疾患カウンセリングとして保険診療
の対象。
○ また、児童家庭支援センターには、心理療法等を担当
する職員も配置。
○ 児童相談所への通所による心理的治療やカウンセリ
ング等に加え、これらを活用し、適切な治療等を行うこと。
第3 児童福祉施設入所児童について
○ 入所している児童のうち、心身に有害な影響を受けて
いると認められる場合、児童福祉施設は児童相談所と
連携を図り、必要な措置を講ずる。
○ 平成11年度から一定の児童養護施設に心理療法担
当職員を配置したところであり、積極的に活用すること。
第4 関係機関等との連携について
○ 警察、家庭裁判所、民間の関係機関等とも日頃から
十分に連携、協力体制の整備を行うこと。
○ 児童自身から性的被害状況の開示を行うことは少な
いため、学校や保育所等の日常児童と接する機会の多
い機関等に、きめ細かく注意を払うよう周知。
○ 児童福祉施設の長は、事件の捜査等の職務関係者
から入所児童に対する証人尋問等について協力を求め
られた場合、法第12条の趣旨を踏まえ、時間、場所及
び態様について配慮すること。
第5 広報啓発、調査・研究、研修の実施について
○ 当省において、心身に有害な影響を受けた児童の保護、処遇に関する調査、研究を行うとともに、児童相談所職員等
に対する研修において、このような児童に係るテーマの充実に取り組む。都道府県、市町村においても、住民への啓発、
研修、研究等を実施し、正しい理解の普及と処遇の向上に努められたい。
○ 通知に基づく取組状況
1.児童の保護、心理的治療等
(2) 児童家庭支援センターにおける取組
(1) 児童相談所における取組
児童相談所では、心身に有害な影響を受けた子どもに関する
相談があった場合には、以下のような支援を実施。
① 児童心理司によるカウンセリングや児童福祉司による指
導・援助
② 緊急的な保護を必要とする場合は、一時保護
③ 医療的なケアが必要な場合は病院等の専門機関を斡旋
④ 子どもの生活の立て直しが必要な場合には、児童福祉施
設への入所措置 など
○ 支援体制
・ 児童相談所数
・ 児童心理司数
(H11)
174か所
816人
→
→
(H27)
208か所
1,293人
児童家庭支援センターでは、子どもの福祉に関する相談
に応じ、必要な助言を行い、関係機関との連絡調整を行っ
ている。
○ 支援体制
(H11)
(H25)
・ 児童家庭支援センター数 12か所 → 98か所
・ 心理療法担当職員数 98人
(3) 児童福祉施設における心理療法担当
職員の配置状況
○ 心理療法担当職員の配置施設数
([ ]内は全施設に占める配置施設の割合)
○ 児童相談所における「児童買春等被害相談」受付件数
30件
(H26:福祉行政報告例)
12歳・・・3件
13歳・・・1件
14歳・・・9件
15歳・・・7件
16歳・・・2件
17歳・・・8件
○ 児童相談所における「性的虐待相談」対応件数
1,520件
(H26:福祉行政報告例)
・ 児童養護施設
(H11)
(H25)
202か所 [36.5%] → 557か所 [93.6%]
・ 乳児院
(H13)
(H25)
6か所 [ 5.2%] → 77か所 [58.8%]
・ 児童自立支援施設
(H18)
(H25)
14か所 [24.1%] → 38か所 [65.5%]
2.関係機関との連携
○ 子どもを守る地域ネットワーク(要保護児童対策地域協議会)の設置
1,736市町村 [設置率:99.7%]
(H25.4.1現在)
少 子 化 社 会 対 策 大 綱 (概要)
~結婚、妊娠、子供・子育てに温かい社会の実現をめざして~
○少子化社会対策基本法に基づく総合的かつ長期的な少子化に対処するための施策の指針
○年度内の策定が「骨太2014」において決定されており、平成16年、22年に続き、今回は3回目
<少子化社会対策基本法>(平成15年法律第133号)
(施策の大綱)
第7条 政府は、少子化に対処するための施策の指針として、総合的かつ長期的な少子化に対処するため
の施策の大綱を定めなければならない。
Ⅰ はじめに
○少子化は、個人・地域・企業・国家に至るまで多大な影響。社会経済の根幹を揺るがす危機的状況
○少子化危機は、解決不可能な課題ではなく、克服できる課題
○直ちに集中して取り組むとともに、粘り強く少子化対策を推進
○結婚、妊娠、子供・子育てに温かい社会の実現に向けて、社会全体で行動を起こすべき
Ⅱ 基本的な考え方 ~少子化対策は新たな局面に~
(1) 結婚や子育てしやすい環境となるよう、社会全体を見直し、これまで以上に対策を充実
(2) 個々人が結婚や子供についての希望を実現できる社会をつくることを基本的な目標
※個々人の決定に特定の価値観を押し付けたり、プレッシャーを与えたりすることがあってはならないことに留意
(3)「結婚、妊娠・出産、子育ての各段階に応じた切れ目のない取組」と「地域・企業など
社会全体の取組」を両輪として、きめ細かく対応
(4) 今後5年間を「集中取組期間」と位置づけ、Ⅲで掲げる重点課題を設定し、政策を効果的かつ
集中的に投入
(5) 長期展望に立って、子供への資源配分を大胆に拡充し、継続的かつ総合的な対策を推進
Ⅲ 重点課題
1.子育て支援施策を一層充実
○「子ども・子育て支援新制度」の円滑な実施
・財源を確保しつつ、「量的拡充」と「質の向上」
・都市部のみならず、地域の実情に応じた子育て
支援に関する施設・事業の計画的な整備
⇒27年4月から施行。保育の受け皿確保等による「量的拡充」
と保育士等の処遇改善等による「質の向上」
⇒地域のニーズに応じて、利用者支援事業、地域子育て支援
拠点、一時預かり、多様な保育等を充実
⇒今後さらに「質の向上」に努力
○待機児童の解消
3.多子世帯へ一層の配慮
○子育て・保育・教育・住居などの負担軽減
⇒幼稚園、保育所等の保育料無償化の対象拡大等の検討
や保育所優先利用
○自治体、企業、公共交通機関などによる
多子世帯への配慮・優遇措置の促進
⇒子供連れにお得なサービスを提供する「子育て支援
パスポート事業」での多子世帯への支援の充実の促進
4.男女の働き方改革
○男性の意識・行動改革
・「待機児童解消加速化プラン」「保育士確保プラン」
・長時間労働の是正
⇒認定こども園、保育所、幼稚園等を整備し、新たな受け入
れを大胆に増加。処遇改善や人材育成を含めた保育士の確保
⇒29年度末までに待機児童の解消をめざす
⇒長時間労働の抑制等のための法整備、「働き方改革」
○「小1の壁」の打破
・「放課後子ども総合プラン」
⇒小3までから小6までに対象が拡大された放課後児童クラ
ブを、31年度末までに約30万人分整備
2.若い年齢での結婚・出産の希望の実現
○経済的基盤の安定
・若者の雇用の安定
⇒若者雇用対策の推進のための法整備等
・高齢世代から若者世代への経済的支援促進
⇒教育に加え、結婚・子育て資金一括贈与非課税制度創設
・若年者や低所得者への経済的負担の軽減
○結婚に対する取組支援
・自治体や商工会議所による結婚支援
⇒適切な出会いの機会の創出・後押しなど、自治体や商工
会議所等による取組を支援
・人事評価の見直しなど経営者等の意識改革
⇒部下の子育てを支援する上司等を評価する方策を検討
・男性が出産直後から育児できる休暇取得
⇒企業独自の休暇制度導入や育休取得促進
○「ワークライフバランス」・「女性の活躍」
・職場環境整備や多様な働き方の推進
⇒フレックスタイム制の弾力化、テレワークの推進
・女性の継続就労やキャリアアップ支援
⇒「女性活躍推進法案」
5.地域の実情に即した取組強化
○地域の「強み」を活かした取組
・地域少子化対策強化交付金等により取組支援
・先進事例を全国展開
○「地方創生」と連携した取組
・国と地方が緊密に連携した取組
Ⅳ きめ細かな少子化対策の推進
1.各段階に応じた支援
○結婚
・ライフデザインを構築するための情報提供
⇒結婚、子育て等のライフイベントや学業、キャリア
形成など人生設計に資する情報提供やコンサル支援
○妊娠・出産
・「子育て世代包括支援センター」の整備
⇒妊娠期から子育て期にわたるまでの総合的な
相談支援を提供するワンストップ拠点を整備し、
切れ目のない支援を実施
⇒出産手当金による所得補償と社会保険料免除
・産後ケアの充実
⇒産後ケアガイドラインの策定検討
・マタニティハラスメント・パタニティハラス
メントの防止 ⇒ 企業への指導の強化・徹底
・周産期医療の確保・充実等
2.社会全体で行動し、少子化対策を推進
○結婚、妊娠、子供・子育てに温かい社会づくり
・マタニティマーク、ベビーカーマークの普及
・子育て支援パスポート事業の全国展開
○施策の検証・評価
○大綱の見直し
・経済的負担の緩和 ⇒幼児教育の無償化の段階的実施
・三世代同居・近居の促進 ・小児医療の充実
・地域の安全の向上 ⇒子供の事故や犯罪被害防止
・障害のある子供、貧困の状況にある子供など様々な
家庭・子供への支援
⇒障害のある子供への支援、子供の貧困対策、ひとり親家庭
支援、児童虐待防止
○教育
・妊娠や出産に関する医学的・科学的に正しい知識の
教育 ⇒ 教材への記載と教職員の研修
・産休中の負担軽減
Ⅴ 施策の推進体制等
○国の推進体制
○子育て
○仕事
・正社員化の促進や処遇改善
・ロールモデルの提示
⇒就労する・しない、子供を持ちながら働き続ける、
地域で活躍を続ける等のロールモデルの提示
・「地方創生」と連携した地域の雇用創出
○企業の取組
・企業の少子化対策や両立支援の取組の「見える化」と
先進事例の情報共有
⇒次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画の策定促進
・表彰やくるみんマーク普及によるインセンティブ付与
・内閣総理大臣を長とする「少子化社会対策会議」を中心に、「まち・ひと・しごと創生本部」と
連携しつつ、政府一体で推進
・数値目標を設定
・自治体・企業も対象とする検証評価の方策を検討
・おおむね5年後を目途に見直し
基本目標
個々人が希望する時期に結婚でき、かつ、希望する子供の数と生まれる子供の数との乖離をなくしていくための環境を整備し、
国民が希望を実現できる社会をつくる
主な施策の数値目標(2020年)
子育て支援
□ 認 可 保 育 所 等の定員 :
267万人(2017年度)
⇒ 待機児童 解消をめざす(2017年度末)
(234万人(2014年4月))
(21,371人(2014年4月))
□ 放課後児童クラブ :
122万人
⇒ 待機児童 解消をめざす(2019年度末)
(94万人(2014年5月))
(9,945人(2014年5月))
8,000か所
利用者支援事業 :
1,800か所
一 時 預 か り 事 業 : 延べ1,134万人
病児・病後児保育 :
延べ150万人
養育支援訪問事業 :
全市町村
□ 地域子育て拠点事業 :
(6,233か所(2013年度))
□
(291か所(2014年度))
□
□
□
□ 子育て世代包括支援センター : 全国展開
(延べ406万人(2013年度))
(延べ52万人(2013年度))
(1,225市町村(2013年4月))
支援ニーズの高い妊産婦への支援実施の割合 100%
男女の働き方改革(ワークライフバランス)
■ 男性の配偶者の出産直後の休暇取得率 : 80% (-)
□ 男性の育児休業取得率 : 13% (2.03%(2013年度))
教育
□ 第1子出産前後の女性の継続就業率: 55% (38.0%(2010年))
■ 妊娠・出産に関する医学的・科学的に正しい知識についての理解の割合 : 70% (34%(2009年)) (注)先進諸国の平均は約64%
結婚・地域
■ 結婚・妊娠・出産・子育ての各段階に対応した
総合的な少子化対策を実施している地方自治体数 : 70%以上の市区町村 (243市区町村(約14%)(2014年末))
企業の取組
■ 子育て支援パスポート事業への協賛店舗数 : 44万店舗 (22万店舗(2011年))
結婚、妊娠、子供・子育てに温かい社会
■ 結婚、妊娠、子供・子育てに温かい社会の実現に向かっていると考える人の割合 : 50%
■は新規の目標
(19.4%(2013年度))
虐待防止に関する啓発
・児童虐待防止推進月間(11月)において集中的な啓発活動を行うほか、民間団体(NPO法人
児童虐待防止全国ネットワーク)等が中心となって行うオレンジリボン運動を後援
・平成27年11月8日に「子どもの虐待防止推進全国フォーラム」を神奈川県横浜市で開催予定
(平成26年度は、11月24日に「子どもの虐待防止推進全国フォーラムinわかやま」
を和歌山県和歌山市で開催)
オレンジリボン憲章
①
②
③
④
☆
□
□
□
□
□
私たちは、子どものいのちと心を守ります
私たちは、家族の子育てを支援します
私たちは、里親と施設の子育てを支援します
私たちは、地域の連帯を拡げます
あなたにできること・・・
まずは身近な自分の子育てを振り返ってみてほしい
もし、子育てに悩んでいる人がいたら、ひとりで抱え込まずに相談してほしい
もし、虐待で苦しんでいる子どもたちがいたら、がまんしないで打ち明けてほしい
自分の周囲で虐待が疑われる事実を知ったときは、躊躇なく通報してほしい
虐待を受けた子どもたちの自立に向けた支援の輪に加わってほしい(寄付でも、 ボランティア
でも)
□ もし、可能なら、虐待を受けた子どもたちのための親代わり(里親)になってみてほしい 73
児童福祉法等の改正について
厚生労働省雇用均等・児童家庭局
児童福祉法等の⼀部を改正する法律案の概要
全ての児童が健全に育成されるよう、児童虐待について発⽣予防から⾃⽴⽀援まで⼀連の対策の更なる強化等を図る
ため、児童福祉法の理念を明確化するとともに、⺟⼦健康包括⽀援センターの全国展開、市町村及び児童相談所の体制の
強化、⾥親委託の推進等の所要の措置を講ずる。
改正の概要
1.児童福祉法の理念の明確化等
(1)児童は、適切な養育を受け、健やかな成⻑・発達や⾃⽴等を保障されること等を明確化する。
(2)国・地⽅公共団体は、保護者を⽀援するとともに、家庭と同様の環境における児童の養育を推進するものとする。
(3)国・都道府県・市町村それぞれの役割・責務を明確化する。
(4)親権者は、児童のしつけに際して、監護・教育に必要な範囲を超えて児童を懲戒してはならない旨を明記。
2.児童虐待の発⽣予防
(1)市町村は、妊娠期から⼦育て期までの切れ⽬ない⽀援を⾏う⺟⼦健康包括⽀援センターの設置に努めるものとする。
(2)⽀援を要する妊婦等を把握した医療機関や学校等は、その旨を市町村に情報提供するよう努めるものとする。
(3)国・地⽅公共団体は、⺟⼦保健施策が児童虐待の発⽣予防・早期発⾒に資することに留意すべきことを明確化する。
3.児童虐待発⽣時の迅速・的確な対応
(1)市町村は、児童等に対する必要な⽀援を⾏うための拠点の整備に努めるものとする。
(2)市町村が設置する要保護児童対策地域協議会の調整機関について、専⾨職を配置するものとする。
(3)政令で定める特別区は、児童相談所を設置するものとする。
(4)都道府県は、児童相談所に①児童⼼理司、②医師⼜は保健師、③指導・教育担当の児童福祉司を置くとともに、
弁護⼠の配置⼜はこれに準ずる措置を⾏うものとする。
(5)児童相談所等から求められた場合に、医療機関や学校等は、被虐待児童等に関する資料等を提供できるものとする。
4.被虐待児童への⾃⽴⽀援
(1)親⼦関係再構築⽀援について、施設、⾥親、市町村、児童相談所などの関係機関等が連携して⾏うべき旨を明確化する。
(2)都道府県(児童相談所)の業務として、⾥親の開拓から児童の⾃⽴⽀援までの⼀貫した⾥親⽀援を位置付ける。
(3)養⼦縁組⾥親を法定化するとともに、都道府県(児童相談所)の業務として、養⼦縁組に関する相談・⽀援を位置付ける。
(4)⾃⽴援助ホームについて、22歳の年度末までの間にある⼤学等就学中の者を対象に追加する。
(検討規定等)
○施⾏後速やかに、要保護児童の保護措置に係る⼿続における裁判所の関与の在り⽅、特別養⼦縁組制度の利⽤促進の在り⽅を検討する。
○施⾏後2年以内に、児童相談所の業務の在り⽅、要保護児童の通告の在り⽅、児童福祉業務の従事者の資質向上の⽅策を検討する。
○施⾏後5年を⽬途として、中核市・特別区が児童相談所を設置できるよう、その設置に係る⽀援等の必要な措置を講ずる。
施⾏期⽇
平成29年4⽉1⽇(1、2(3)については公布⽇、2(2)、3(4) (5)、4(1)については平成28年10⽉1⽇) 75
Ⅰ 児童福祉法の理念の明確化等
○ 全ての児童が健全に育成されるよう、児童を中心に、その福祉の保障等の内容を明確化する。
(1)児童の福祉を保障するための原理の明確化
■ 児童は、適切な養育を受け、健やかな成長・発達や自立等を保障されること等を明確化。(児童福祉法)
(2)家庭と同様の環境における養育の推進
■ 国・地方公共団体は、児童が家庭において健やかに養育されるよう、保護者を支援するものとする。ただし、家庭における
養育が適当でない場合には、児童が家庭における養育環境と同様の養育環境において継続的に養育されるよう、必要な
措置を講ずるものとする。(児童福祉法)
(3)国・地方公共団体の役割・責務の明確化
■ 国・地方公共団体の役割・責務を次のように明確化。(児童福祉法)
① 市町村は、基礎的な地方公共団体として、身近な場所における支援業務を適切に行う。
② 都道府県は、市町村の業務が適正かつ円滑に行われるよう、市町村に対する必要な助言や適切な援助を行うとともに、
専門的な知識・技術や広域的な対応が必要な業務を適切に行う。
③ 国は、市町村・都道府県の業務が適正かつ円滑に行われるよう、児童が適切に養育される体制の確保に関する施策、
市町村・都道府県に対する助言、情報提供等の必要な各般の措置を講じる。
(4)しつけを名目とした児童虐待の防止
■ 親権者は、児童のしつけに際して、監護・教育に必要な範囲を超えて児童を懲戒してはならない旨を明記。(児童虐待防止法)
76
Ⅱ 児童虐待の発生予防
○ 妊娠期から子育て期までの切れ目ない支援等を通じて、妊娠や子育ての不安、孤立等に対応
し、児童虐待のリスクを早期に発見・逓減する。
(1)子育て世代包括支援センターの法定化
■ 市町村は、妊娠期から子育て期までの切れ目ない支援を提供する「子育て世代包括支援センター」を設置するよう努める
ものとする。(母子保健法)(☆)
※ 平成27年度実施市町村数(予定):150市町村 → 平成28年度実施市町村数(予定):251市町村
※ 法律上は、「母子健康包括支援センター」という名称。
(2)支援を要する妊婦等に関する情報提供
■ 支援を要すると思われる妊婦や児童・保護者を把握した医療機関、児童福祉施設、学校等は、その旨を市町村に情報提供
するよう努めるものとする。(児童福祉法) (☆)
(3)母子保健施策を通じた虐待予防等
■ 国・地方公共団体は、母子保健施策が児童虐待の発生予防・早期発見に資するものであることに留意しなければならない
旨を明記。(母子保健法) (☆)
* (☆)の事項は、「児童虐待防止対策強化プロジェクト」(平成27年12月21日子どもの貧困対策会議決定)に記載。次頁以降も同じ。
77
Ⅲ 児童虐待発生時の迅速・的確な対応
○ 児童の安全を確保するための初期対応等が迅速・的確に行われるよう、市町村や児童相談所の
体制や権限の強化等を行う。
(1)市町村における支援拠点の整備
■ 市町村は、児童等に対する必要な支援を行うための拠点の整備に努めるものとする。(児童福祉法)
(2)市町村の要保護児童対策地域協議会の機能強化
■ 市町村が設置する要保護児童対策地域協議会の調整機関について、専門職を配置するものとする。(児童福祉法) (☆)
※ 現行は、要保護児童対策調整機関における専門職(児童福祉司たる資格を有する者、保健師等)の配置は努力義務であり、1,387市区町村
(80.4%)が配置済。(平成27年4月1日)
■ 調整機関に配置される専門職は、国が定める基準に適合する研修を受けなければならないものとする。(児童福祉法)
(3)児童相談所設置自治体の拡大
■ 政令で定める特別区は、児童相談所を設置するものとする。(児童福祉法)
※ 現行法上、政令で定める市(現在、横須賀市・金沢市)は児童相談所を設置するものとされており、政令で定める特別区についてもこれと
同様とする。
■ 政府は、改正法の施行後5年を目途として、中核市・特別区が児童相談所を設置できるよう、その設置に係る支援等の
必要な措置を講ずるものとする。(改正法附則)
78
(4)児童相談所の体制強化
■ ①児童心理司、②医師又は保健師、③スーパーバイザー(他の児童福祉司の指導・教育を行う児童福祉司)を配置する
ものとする。(児童福祉法) (☆)
※ 児童福祉司の配置標準について、区域内の人口等に加え、児童虐待相談対応件数を考慮するものとする。(児童福祉法・同法施行令)
※ 専門職の配置充実を促進するため、厚生労働省において、「児童相談所体制強化プラン」(仮称)を策定予定。
■ 児童福祉司(スーパーバイザーを含む)は、国の基準に適合する研修を受講しなければならないものとする。(児童福祉法)
※ 社会福祉主事を児童福祉司に任用する場合、任用前の指定講習会を受講させなければならないものとする。(児童福祉法)
■ 児童相談所設置自治体は、法律に関する専門的な知識経験を必要とする業務を適切かつ円滑に行うため、弁護士の配置
又はこれに準ずる措置を行うものとする。(児童福祉法)
(5)児童相談所の権限強化等
■ 児童相談所から市町村への事案送致を新設。(児童福祉法・児童虐待防止法)
※ 現行は、市町村から児童相談所への事案送致のみ規定。
※ 併せて、児童相談所・市町村に共通のアセスメントツールを開発し、共通基準による初期評価に基づく役割分担を明確化。これにより、漏れ
のない対応を確保。
■ 臨検・捜索について、再出頭要求を経ずとも、裁判所の許可状により、実施できるものとする。(児童虐待防止法) (☆)
※ 現行は、保護者が立入調査を拒むことに加え、再出頭要求にも応じないことが要件。
■ 児童相談所・市町村から被虐待児童等に関する資料等の提供を求められた場合、地方公共団体の機関に加え、医療
機関、児童福祉施設、学校等が当該資料を提供できる旨を規定。(児童虐待防止法) (☆)
■ 政府は、改正法の施行後速やかに、要保護児童を適切に保護するための措置に係る手続における裁判所の関与の
在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。(改正法附則)
(6)通告・相談窓口等
■ 政府は、改正法の施行後2年以内に、児童相談所の業務の在り方、要保護児童の通告の在り方や、児童福祉に関する
業務に従事する者の資質の向上を図るための方策について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものと
する。(改正法附則)
79
Ⅳ 被虐待児童への自立支援
○ 被虐待児童について、親子関係再構築支援を強化するとともに、施設入所や里親委託の措置が
採られることとなった場合には、個々の児童の状況に応じた支援を実施し、将来の自立に結びつけ
る。
(1)親子関係再構築支援
■ 親子関係再構築支援は、関係機関等が連携して行わなければならない旨を明記。(児童福祉法)
■ 施設入所や里親委託等の措置を解除する際に、都道府県(児童相談所)が委託した民間団体等が必要な助言を実施
できるようにする。(児童虐待防止法) (☆)
■ 施設入所や里親委託等の措置を解除された児童について、関係機関等が連携して、児童の継続的な安全確認を行う
とともに、保護者への相談・支援を実施するものとする。(児童虐待防止法)
(2)里親委託等の推進
■ 里親支援について、都道府県(児童相談所)の業務として位置付け。(児童福祉法) (☆)
■ 養子縁組里親を法定化し、研修の義務化、欠格要件や都道府県による名簿の登録について規定。(児童福祉法) (☆)
■ 養子縁組に関する相談・支援について、都道府県(児童相談所)の業務として位置付け。(児童福祉法) (☆)
■ 政府は、改正法の施行後速やかに、特別養子縁組制度の利用促進の在り方について検討を加え、その結果に基づいて
必要な措置を講ずるものとする。(改正法附則)
(3)18歳以上の者に対する支援の継続
■ 一時保護中の18歳以上の者等について、20歳に達するまでの間、新たに施設入所等措置を行えるようにするとともに、
その保護者に対する面会・通信制限等の対象とする。(児童福祉法)
■ 自立援助ホームについて、22歳の年度末までの間にある大学等就学中の者を対象に追加。(児童福祉法) (☆)
※ 現行は、20歳未満の児童養護施設退所者等が対象。
※ 併せて、施設入所等措置を受けていた者について、18歳(措置延長の場合は20歳)到達後も、22歳の年度末まで、引き続き必要な支援を
受けることができる事業の創設を検討。
80
児童福祉法等の改正の背景と効果
①発生予防
②迅速・的確な対応
③自立支援
背景
主な改正項目 主な効果
○家庭・地域における養育⼒が低下
し、⼦育ての孤⽴化や不安・負担
感が増⼤。
○保護者の虐待による死亡事例の4
割強が0歳児。
○児童虐待の相談対応件数は増加が続き、 ○施設⼊所や⾥親委託の措置から⾃⽴
に⾄るまでの⽀援が不⼗分。
複雑・困難なケースも増加。
○社会的養護を必要とする児童は、
○児童相談所、市町村の体制・専⾨性や
⾃⽴に時間を要する場合が多い。
関係機関との連携が不⼗分。
◆⼦育て世代包括⽀援セン
ターの法定化
◆⽀援を要する妊婦等に関す
る情報提供
◆市町村の要保護児童対策地域
協議会の調整機関への専⾨職
配置
◆専⾨職の配置、児童福祉司へ
の研修義務付け等の児童相談
所の体制強化
◆⾥親⽀援を都道府県(児童
相談所)の業務に位置付け
◆⾃⽴援助ホームについて、
22歳の年度末までの⼤学等
就学中の者を対象者に追加
○妊娠期から⼦育て期まで切
れ⽬ない⽀援を通じ、妊娠
や⼦育ての不安、孤⽴等に
対応し、児童虐待のリスク
を早期に発⾒・逓減。
○児童虐待の発⽣時に、関係者
が連携して、児童の安全を迅
速・確実に確保。その後の適
切な⽀援につなげる。
○施設退所後や18歳到達後等
を含め、個々の児童の発達に
応じ⾃⽴のための⽀援を実
施。
指標
【H29年4月】
市町村の要保護児童対策地域協議会の調整
機関への専門職配置を100%とする。
(H27年度:80.4%)
【H32年度末】
【H28年度~】
子育て世代包括支援センターの
厚生労働省において、「児童相談所体制強
全国展開(全市町村)を目指す。
化プラン」(仮称)を策定し、専門職の配
(H27年度:150市町村(予定)) 置について、中期的に全国で配置する人数
の目標を設定。
【H31年度】
里親等委託率を22%とする。
(H26年度16.5%)
※H41年度33%を目指している。
81
Ⅰ 児童福祉法の理念の明確化等
82
児童の福祉を保障するための原理の明確化
現⾏
第⼀条 すべて国⺠は、児童が⼼⾝ともに健やかに⽣まれ、且
つ、育成されるよう努めなければならない。
②
すべて児童は、ひとしくその⽣活を保障され、愛護されな
ければならない。
改正案
第⼀条 全て児童は、児童の権利に関する条約の精神にのつと
り、適切に養育されること、その⽣活を保障されること、愛
され、保護されること、その⼼⾝の健やかな成⻑及び発達並
びにその⾃⽴が図られることその他の福祉を等しく保障され
る権利を有する。
第⼆条 国及び地⽅公共団体は、児童の保護者とともに、児童
を⼼⾝ともに健やかに育成する責任を負う。
第⼆条 全て国⺠は、児童が良好な環境において⽣まれ、かつ、
社会のあらゆる分野において、児童の年齢及び発達の程度に
応じて、その意⾒が尊重され、その最善の利益が優先して考
慮され、⼼⾝ともに健やかに育成されるよう努めなければな
らない。
② 児童の保護者は、児童を⼼⾝ともに健やかに育成すること
について第⼀義的責任を負う。
③ 国及び地⽅公共団体は、児童の保護者とともに、児童を⼼
⾝ともに健やかに育成する責任を負う。
第三条 前⼆条に規定するところは、児童の福祉を保障するた
めの原理であり、この原理は、すべて児童に関する法令の施
⾏にあたつて、常に尊重されなければならない。
第三条 前⼆条に規定するところは、児童の福祉を保障するた
めの原理であり、この原理は、すべて児童に関する法令の施
⾏にあたつて、常に尊重されなければならない。
(新設)
第三条の⼆ 国及び地⽅公共団体は、児童が家庭において⼼⾝
ともに健やかに養育されるよう、児童の保護者を⽀援しなけ
ればならない。ただし、児童及びその保護者の⼼⾝の状況、
これらの者の置かれている環境その他の状況を勘案し、児童
を家庭において養育することが困難であり⼜は適当でない場
合にあつては児童が家庭における養育環境と同様の養育環境
において継続的に養育されるよう、児童を家庭及び当該養育
環境において養育することが適当でない場合にあつては児童
ができる限り良好な家庭的環境において養育されるよう、必
要な措置を講じなければならない。
83
家庭と同様の環境における養育の推進
○ 国・地方公共団体は、児童が家庭において健やかに養育されるよう、保護者を支援する。
○ 家庭における養育が適当でない場合には、児童が家庭における養育環境と同様の養育環境において継続的
に養育されるよう、必要な措置を講ずる。
実親による
養育
養子縁組
(特別養子縁組を含む。)
小規模住居型
里親
児童養育事業
施設
施設(小規模型)
児童養護施設
地域小規模
児童養護施設
大舎(20人以上)、
中舎(13~19人)、
(グループホーム)
小舎(12人以下)
本体施設の支援の下で地域の民間住
1歳~18歳未満
(必要な場合 0歳~20歳未満) 宅などを活用して家庭的養護を行う
小規模住居型
児童養育事業
里親
(ファミリーホーム)
家庭における養育を
里親に委託する家庭
養護
養育者の住居で養育
を行う家庭養護
定員5~6人
小規模グループケア
乳児院
児童4人まで
(分園型)
乳児(0歳)
必要な場合幼児(小学校就学前)
地域において、小規模なグループで家庭
的養護を行う
1グループ6~8人 (乳児院は4~6人)
里親等
=
委託率
里親+ファミリーホーム
養護+乳児+里親+ファミリーホーム
27年3月末 16.5% → 31年度目標 22%
→
41年度までに、本体施設、グループホーム、 里親等を各概ね
3分の1、児童養護施設の 本体施設は、全て小規模グループケアに
84
※平成23年7月「社会的養護の課題と将来像」より
84
Ⅱ 児童虐待の発⽣予防
85
⼦育て世代包括⽀援センターの法定化・全国展開
○ 現状様々な機関が個々に行っている妊娠期から子育て期にわたるまでの支援について、ワンストップ拠点(子育て世代包括
支援センター)を立ち上げ、切れ目のない支援を実施。
○ ワンストップ拠点には、保健師、ソーシャルワーカー等を配置してきめ細やかな支援を行うことにより、地域における子育て世
帯の「安心感」を醸成する。
○ 子育て世代包括支援センターを法定化し、おおむね平成32年度末までに全国展開を目指す。
➢ 平成27年度実施市町村数(予定):150市町村 ➢ 平成28年度実施市町村数(予定):251市町村(423か所)
地域ごとの工夫をこらして子育て世代包括支援センターを立ち上げ、コーディネー
ターが、各機関との連携・情報の共有を図り、妊娠期から子育て期にわたる総合的
相談や支援をワンストップで行うとともに、全ての妊産婦の状況を継続的に把握し、
要支援者には支援プランを作成
医療機関
(産科医等)
保健所
児童相談所
地域の実情に応じて、
産前・産後サポート事業、産
後ケア事業等を実施
子育て支援機関
利用者支援
実施施設
連携・委託
妊産婦等を支える
地域の包括支援体制の
構築
民間機関
子育て世代包括支援センター
保健師
ソーシャル
ワーカー
助産師
情報の共有
妊娠前
妊娠に関する普
及啓発
不妊相談
妊娠期
出産
産後
育児
産前・産後サポート事業(子育て経験者等の「相談しやすい話し相手」等による相談支援)
妊婦健診
両親学級等
乳児家庭
全戸訪問
事業
産後ケア事業(心身のケアや育児サポート等)
定期健診
予防接種
養子縁組
子育て支援策
・保育所
・地域子育て支援拠点事業
・里親 ・乳児院
・その他子育て支援策
86
⽀援を要する妊婦等に関する情報提供
現状
○
出産後の養育について出産前において⽀援を⾏うことが特に必要と認められる妊婦のことを特定妊婦といい、養育
⽀援訪問事業及び要保護児童対策地域協議会の対象となっている。
○ 虐待による死亡事例における0歳児の割合は44.0%を占め、0⽇児死亡事例は16.8%を占める。(0⽇児死亡事
例では、望まない妊娠の割合が70.4%)
※ 社会保障審議会児童部会児童虐待等要保護事例の検証に関する専⾨委員会「⼦ども虐待による死亡事例等の検証結果等について」第1次から第
11次報告の累計(平成15〜26年))
○ 虐待による死亡事例における①⺟⼦健康⼿帳の未発⾏の割合は17.6%、②妊婦健診の未受診の割合は21.7%を占
める。
※
同委員会「⼦ども虐待による死亡事例等の検証結果等について」第3次から第11次報告の累計(平成17〜26年))
<イメージ>
学校・教育委員会
保健機関
市町村
支援を要する妊婦に
関する情報を把握
医療機関
課題
○ 死亡事例の背景としては、⺟親が妊娠期か
ら⼀⼈で悩みを抱えている、産前産後の⼼⾝
の不調や家庭環境の問題がある。
○ ⽀援を要する妊婦等を把握しやすい機関が、
虐待のリスクについて妊娠期から着⽬して⽀
援につなぐことが必要。
保育所・幼稚園
支援を要する妊婦に関
する情報を通知する等、
適切に情報提供
改正案
○ ⽀援を要すると思われる妊婦等を把握した
医療機関、児童福祉施設、学校等は、市町村
に対して通知するよう努めるものとする。
⺟⼦保健施策を通じた虐待予防等
現状
○ 妊産婦や乳幼児等への健診・保健指導等を⾏う⺟⼦保健事業は、児童虐待の予防や早期発⾒に資す
るものである。
○ ⺟⼦保健法は、⺟性及び乳幼児の健康の保持増進を図ることを⽬的とする法律である。
⺟⼦保健法に基づく
⺟⼦保健事業
妊婦健康診査
乳幼児健康診査
発⽣予防
児童虐待の
・
早期発⾒
⺟⼦保健事業の実施を
通じた児童虐待の発⽣
予防・早期発⾒の実現
に資することの明確化
課題
○ ⺟⼦保健事業が児童虐待の予防や早
期発⾒に資するものであることが⺟⼦
保健法上明確になっていない。
改正案
○ ⺟⼦保健事業の実施に当たっては、当該事業
が児童虐待の発⽣予防や早期発⾒に資するもの
であることに留意するよう、⺟⼦保健法におい
て明確化する。
88
Ⅲ 児童虐待発⽣時の迅速・的確な対応
89
市町村における⽀援拠点の整備
児童相談所
(都道府県)
市区町村
【広域的な対応】
⼀体的に担う⽀援拠点の整備に努める
市町村間の
連絡調整等
連携
県全体の実情
の把握
実情の
把握
情報の
提供
相談への
対応
調査及び
指導
連絡・調整
【専門的な対応】
専門的な相談対応、
調査及び指導
里親委託・施設
入所等の措置
要保護児童対策地域協議会
一体的に支援を提供
※ 子育て世帯包括支援センターを
兼ねることも可能。
一時保護
関係機関と
の連絡調整
※ 併せて、市町村レベルで相談、
指導、里親支援、連絡調整等を
一体的に担う事業の創設を検討。
警 察
医療機関
学校・
教育委員会
保育所・
幼稚園
弁護⼠会
⺠⽣・
児童委員
保健機関
⺠間団体
専⾨的な知識及び技術を
必要とする⽀援
⽀援を必要とする⼦ども・家庭
⼀義的な⽀援
要保護児童対策調整機関における専⾨職の配置
現状・課題
<現状>
○ 市町村は、要保護児童対策地域協議会(以下「要対協」という。)を設置する。
・要対協は、要保護児童対策に関し、連携⽅針の策定、情報交換・状況把握、⽀援内容の協議等を⾏う。
○ 市町村⻑は、要対協を構成する関係機関の中から、要保護児童対策調整機関(以下「調整機関」という。)を指定する。
・調整機関には専⾨職を置くよう努めるものとされ、この専⾨職を中⼼として、主担当機関の選定、⽀援の進⾏状況確認等
の管理・評価を⾏っている。
・調整機関の99%は、市町村(児童福祉主管課、⺟⼦保健主管課など)が担っている。(H25年度)
<課題>
○ 調整機関が、個々のケースに応じて関係機関間の調整を⾏い、実効ある役割を果たすためには、児童の問題に通じた専⾨性
を有する⼈材が必要。
改正案
○
○
調整機関に専⾨職の配置を義務付け。・・・児童福祉司、保健師、保育⼠など
調整機関に配置される専⾨職に、研修受講を義務付け。
要対協
警
市町村
察
医療機関
調整機関
・責任をもって対応すべき⽀援機関を選定
→ 主担当機関が中⼼となって⽀援⽅針
・計画を作成
・⽀援の進⾏状況確認等を管理・評価
・関係機関間の調整、協⼒要請等
保健機関
・専⾨職の配置
の義務付け
・研修受講の
義務付け
学校・教育委員会
⺠⽣・児童委員
弁護⼠会
児童相談所
⺠間団体
児童館
保育所・幼稚園
児童相談所設置⾃治体の拡⼤
○
○
政令で定める特別区は、児童相談所を設置するものとする。
政府は、改正法の施⾏後5年を⽬途として、中核市・特別区が児童相談所を設置できるよう、その設
置に係る⽀援等の必要な措置を講ずるものとする。
現⾏の児童相談所設置状況
設置義務
設置義務
都道府県(47) 179か所
法改正後の児童相談所設置主体
都道府県
政令指定都市
政令指定都市(20) 27か所
合計 208か所
希望する市 特別区
児童相談所設置市
※ 中核市は全部で45市
(注)中核市とは、人口20万人以上で県の事務権
限の一部移譲のため政令指定を受けた市のこと。
・
希望する市
児童相談所設置市
(横須賀市、金沢市) 2か所
※特別区は、現行制度上、政令指定を受け
児童相談所を設置することができない。
政府は、児童相談所を設置できる
よう必要な支援を実施
特別区
92
○
○
児童相談所の体制強化
児童虐待への迅速・的確な対応のため、児童相談所の体制強化・専⾨性向上が重要。
児童福祉法改正により制度⾯で強化するとともに、「児童相談所体制強化プラン」(仮称)を策定
し、実体⾯においても、各⾃治体の積極的取組を推進。
※ 併せて、児童福祉に関する業務に従事する者の資質の向上を図るための⽅策を検討。
児童福祉法等の改正(制度⾯の強化)
「児童相談所体制強化プラン」(実体⾯の拡充)
<専⾨職配置の増強>
○児童⼼理司、医師⼜は保健師、主任児童福祉司(スー
パーバイザー)などの専⾨職の配置を新たに義務付け。
(法律)
<プランの位置付け>
○弁護⼠の配置⼜はこれに準ずる措置を実施。(法律)
○昨年12⽉に策定された児童虐待防⽌対策プロジェク
トに基づき、厚⽣労働省において、「児童相談所体
制強化プラン」(仮称)を策定。
<児童福祉司の配置標準・任⽤要件⾒直し>
<プランの内容(イメージ)>
○児童福祉司の配置標準を、区域内の⼈⼝等に加え、児童
虐待相談対応件数を考慮したものに⾒直し。(法律・政
令)
※ 現在は、⼈⼝概ね4万から7万までを標準として担
当区域を設定。
○児童福祉司(主任児童福祉司を含む。)について、国の
基準に適合する研修の受講を義務付け。(法律)
・社会福祉⼠等の基礎資格に応じて、必要な研修を受
講。
・社会福祉主事(2年以上児童福祉事業に従事)を任⽤
する場合には、任⽤前の指定講習会受講を義務付け。
○児童福祉法に基づく専⾨職の配置について、中期的
に全国で配置する⼈数の⽬標
※ 総務省に対し、必要な地⽅交付税措置を要望
※ 平成28年度は、児童福祉司の増員に対して、こ
の10年で最も⼿厚い⽔準の地⽅交付税措置(標準
団体(⼈⼝170万⼈)当たり3⼈増員)を予定
※ 児童⼼理司・保健師についても、拡充予定
○弁護⼠の配置の充実・強化
○職員の専⾨性向上
93
児童相談所から市町村への事案送致
○
児童相談所から市町村への事案送致を新設する。併せて、その前提として、児童相談所・市町村に
共通のアセスメントツールを開発し、共通基準による初期評価に基づく役割分担を明確化。
※ 現⾏は、市町村から児童相談所への事案送致のみ規定。
※ 併せて、要保護児童の通告の在り⽅、児童相談所の業務の在り⽅について検討。
【現⾏(平成16年改正〜)】
【今回の改正後】
児童相談所
児童相談所
専⾨性の⾼い
困難事案への
対応
◆専⾨性の⾼い困難事案への対応
◆市町村の後⽅⽀援
送致
市町村
通告・相談
通告・相談
事案送致の
規定なし
安全確認・
初期評価
(共通アセ
スメント
ツール)
状況変化
に応じて
送致
市町村
包括・継続的
な⼦育て⽀援
等
◆⼀義的な児童相談対応
◆児童虐待の予防・早期発⾒
要保護児童対策
地域協議会
送致
児相→市
町村の送
致を新設
通告後の評価
基準と役割分
担を明確化
要保護児童対策
地域協議会
94
臨検・捜索⼿続の簡素化
現状
○ 都道府県知事は、⽴⼊調査を正当な理由なく拒否等をした保護者が再出頭要求に応じない場合にお
いて、児童虐待が⾏われている疑いがあるときは、裁判所の裁判官があらかじめ発する許可状により、
住居等へ⽴⼊り、児童の捜索を⾏うことができる(解錠等の実⼒⾏使も可能) 。
○ 平成20年4⽉施⾏以降、26年度までに実施された事例は全8件で、出頭要求から臨検捜索までに要
した⽇数は1〜70⽇。
<イメージ>
(必 須)
出頭要求
立入調査
家庭訪問
再出頭
要求
裁判所への
許可状請求
臨検・捜索
再出頭要求を経ずとも
臨検・捜索の許可状請求を可能に
課題
○ 緊急時には、虐待を受けていると思われる
児童の安全を迅速に確保する必要があるが、
臨検・捜索の実施までの⼿続きに時間を要す
る場合がある。
改正案
○ 臨検・捜索⼿続を簡素化し、都道府県は、
再出頭要求を経ずに、裁判所の許可状により、
職員を児童の住所に臨検させ、児童を捜索さ
せることができることとする。
※ 併せて、要保護児童の保護措置に係る⼿続に
おける裁判所の強化の在り⽅について検討。
関係機関等による調査協⼒
現状
○ 地⽅公共団体の機関は、市町村⻑、児童相談所⻑等から児童虐待に係る児童⼜はその保護者の⼼⾝
の状況、置かれている環境その他児童虐待の防⽌等に係る当該児童、その保護者その他の関係者に関
する資料⼜は情報の提供を求められたときは、当該資料⼜は情報について、これを提供することがで
きることとされている。
<イメージ>
児童虐待に係る資料又は情報
の提供の求め
地方公共団体の機関
医療機関
市町村長
児童相談所長
福祉事務所の長
児童福祉施設
対象を拡大
学校
資料又は情報提供の求めに対し協力
課題
○ 児童虐待に係る情報は、虐待への対応⽅針
の判断等に必要不可⽋である⼀⽅、個⼈情報
保護の観点等から、⺠間の医療機関、児童福
祉施設、学校等関係機関から提供を受けられ
ない場合がある。
等
改正案
○ 児童相談所等が、児童虐待に係る資料⼜は情
報の提供を求める対象を、⺠間の医療機関、児
童福祉施設、学校等に拡⼤し、これらの関係機
関が、地⽅公共団体の機関と同様、当該求めに
対して協⼒することができる仕組みを設ける。
※
併せて、⼀般の⺠間事業者が、個⼈情報保護法を乗り越えて、
児童虐待に係る資料⼜は情報を提供できるケースについて、
通知において明確化する。
Ⅳ 被虐待児童への⾃⽴⽀援
97
親⼦関係再構築⽀援
現状
○ 都道府県知事、児童相談所⻑などは、⼀時保護や施設⼊所等の措置を解除する際、あらかじめ児童
の保護者等に対し、当該措置の実施の解除の理由について説明するとともに、その意⾒を聴くことと
されている。
○ また、児童虐待を受けた児童について上記措置を解除する場合には、当該児童の保護者を指導して
いる児童福祉司等の意⾒を聴くとともに、保護者指導や再度の虐待予防策等の効果等を勘案すること
とされている。
<イメージ>
市町村
保健機関
警 察
助言・カウンセリング
委託
定期的な連絡・訪問、
相談支援
児童養護施設
NPO等の
民間団体
児童相談所
措置解除・一時帰宅
課題
○ 実際に児童を養育する施設や⾥親が、積極
的に親⼦関係再構築⽀援を⾏うことが重要。
○ 措置を解除した後に、より深刻な虐待が発
⽣するケースがみられる。
○ 措置の解除に当たっては、継続的なフォ
ローが重要。
一時保護所・児童養護施設等
改正案
○ 関係機関等が連携して親⼦関係再構築⽀
援に取り組むべき旨を明記。
○ 措置の解除時に、以下の取組を実施。
・児童相談所が委託したNPO法⼈等による
助⾔・カウンセリング
・関係機関の連携した対応による定期的な
安全確認、相談・⽀援等
⾥親委託の推進
現状
○ 平成23年の「社会的養護の課題と将来像」において、社会的養護全体の中で施設養護を概ね1/3、
グループホームを概ね1/3、⾥親・ファミリーホームを概ね1/3とすることを⽬標としている。
○ ⾥親・ファミリーホームへの委託率は平成26年度末現在で16.5%。
○ 都道府県等において、⾥親制度の普及促進や⾥親委託の推進、未委託⾥親へのトレーニングなどを
実施する⾥親⽀援機関事業が⾏われている。
○⾥親等委託率の推移
H21
H22
H23
H24
H25
H26
11.1%
12.0%
13.5%
14.8%
15.6%
16.5%
※福祉⾏政報告例及び家庭福祉課調べ(各年度末現在)
課題
○ ⾥親制度に対する社会的認知度が低く、新
規委託可能な登録⾥親が少ない。
○ 児童相談所が虐待対応業務に追われ、⾥親
委託の業務に⼗分関われていない 。
対応
○ ⾥親の開拓から児童の⾃⽴⽀援までの⼀貫
した⾥親⽀援を、都道府県の業務として法定。
※
家庭と同様の環境における養育推進の理念を明
確化。
※ 乳児家庭全⼾訪問事業や養育⽀援訪問事業につ
いて、⾥親家庭も対象であることを明確化。
養⼦縁組の推進
現状
○ 養⼦縁組は、実親による養育が困難な⼦ども等の養育に法的安定性を与えることにより、⼦どもの
健全な育成を図る重要な仕組み。養⼦縁組が⼦どもの最善の利益になると認められる場合は、積極的
な⽀援を⾏うことが重要。
○ 児童相談所において、児童相談所運営指針等に基づき養⼦縁組に関する相談⽀援が⾏われているが、
更なる取組を促進するための法整備が必要。
○ 同時に、就業中の者であっても養⼦縁組をしやすい環境の整備を図ることも必要。
<イメージ>
・必要な支援
・研修の実施
養育の継続性
を重視
養子縁組里親名簿
1.
2.
___
___
児童相談所
・相談
・研修の受講
課題
養子縁組里親
養子縁組里親に
委託された児童等
育休付与
育休申請
企業
改正案
<児童福祉法関係>
○ 児童相談所の業務について、養⼦縁組に関
する相談⽀援が法に位置づけられていない。
○ 養⼦縁組⾥親が法に位置づけられていな
い。
○ 育児休業の対象となる⼦が、法律上の親⼦
関係のある者(実⼦⼜は養⼦)に限定されて
いる。
○ 児童を養⼦とする養⼦縁組に関する相談⽀援
を、児童相談所の業務に位置づける。
○ 養⼦縁組⾥親を法定化し、研修義務化や⽋格
要件、都道府県知事による名簿登録を規定。
※ 併せて、特別養⼦縁組制度の利⽤促進の在り⽅
について検討。
<育児・介護休業法関係>
○ 育児・介護休業法上の育児休業等の対象に、
養⼦縁組⾥親に委託された者等を加える。
普通養子縁組と特別養子縁組について
○ 普通養子縁組は、戸籍上において養親とともに実親が並記され、実親と法律上の関係が残る縁組形式。
○ 特別養子縁組は、昭和48年に望まない妊娠により生まれた子を養親に実子としてあっせんしたことを自ら告白した菊田医
師事件等を契機に、子の福祉を積極的に確保する観点から、戸籍の記載が実親子とほぼ同様の縁組形式をとるものとし
て、昭和62年に成立した縁組形式。
普通養子縁組
特別養子縁組
<縁組の成立>
養親と養子の同意により成立
<縁組の成立>
養親の請求に対し家裁の決定により成立
実父母の同意が必要(ただし、実父母が意思を表示
できない場合や実父母による虐待など養子となる者の
利益を著しく害する理由がある場合は、この限りでない)
<要件>
養親:成年に達した者
<要件>
養親:原則25歳以上(夫婦の一方が25歳以上であれば、
一方は20歳以上で可)
配偶者がある者(夫婦双方とも養親)
養子:原則、6歳に達していない者
子の利益のために特に必要があるときに成立
養子:尊属又は養親より年長でない者
<実父母との親族関係>
実父母との親族関係は終了しない
<実父母との親族関係>
実父母との親族関係が終了する
<監護期間>
特段の設定はない
<監護期間>
6月以上の監護期間を考慮して縁組
<離縁>
原則、養親及び養子の同意により離縁
<離縁>
養子の利益のため特に必要があるときに養子、実親、
検察官の請求により離縁
<戸籍の表記>
実親の名前が記載され、養子の続柄は「養子(養女)」
と記載
<戸籍の表記>
実親の名前が記載されず、養子の続柄は「長男(長女)」
等と 記載
18歳以上の者に対する⽀援の継続
○
措置延⻑を積極的に活⽤するとともに、20歳到達後も、22歳の年度末まで引き続き必要な⽀援
を受けることができる事業の創設を検討。
○ ⾃⽴援助ホームの⼊居者について、⼤学等に就学中の場合には22歳の年度末まで⽀援を延⻑。
※一時保護中に18歳に達した者の一時
保護の延長・措置を可能
【法律】
※里親委託等中に18歳に達した者の措
置変更・更新、一時保護を可能 【法律】
20歳
18歳
⾥親
児童養護施設
22歳の年度末
措置延⻑
※積極的に活用
18歳(措置延⻑の場合は20歳)到
達後も、22歳の年度末まで、引き続
き必要な⽀援を受けることができる事
業の創設を検討
【予算】
※リービングケアの強化
(自立訓練の場を整備)
自 立
義務教育
終了後
⾃⽴援助ホーム
※支援対象を22歳の年度末
まで 延長(就学者)
【法律】
(義務教育終了後〜20歳未満)
※設置数の拡大
⽣活相談⽀援、就業⽀援、相互交流、居場所づくり
(退所児童等アフターケア事業)
※実施自治体を拡大
102
現状
⾃⽴援助ホームの対象者の拡⼤
○
児童⾃⽴⽣活援助事業(⾃⽴援助ホーム)とは、共同⽣活を営む住居において、相談その他の⽇常⽣活上の援助及
び⽣活指導並びに就業の⽀援等を⾏い、社会的⾃⽴の促進を図る事業。
○ ⾃⽴援助ホームの対象者は、義務教育を終了した児童⼜は児童以外の満20歳に満たない者。
○ ⾃⽴援助ホームは、全国で118か所(H26.10.1現在)。少⼦化社会対策⼤綱においては、平成31年度末までに
190か所とすることが⽬標。
※児童とは満18歳に満たない者をいう。
現⾏制度
<イメージ>
15歳
18歳
20歳
○児童⾃⽴⽣活援助事業
(⾃⽴援助ホーム)による援助
⾒直し後
15歳
18歳
20歳
○児童⾃⽴⽣活援助事業
(⾃⽴援助ホーム)による援助
課題
○ 現⾏の児童福祉法では、⾃⽴援助ホーム⼊居者
が20歳に到達した時点で、⽀援が必要な場合でも
退所することとなってしまい、⼤学卒業まで継続
した⽀援を⾏うことができない。
※20歳に達すると、⾃⽴援助ホームから
退所することになってしまう
22歳
○対象者の拡⼤(※)
※⼤学等就学中の者に
あっては、22歳の
年度末までの間に
ある者に対象拡⼤
対応
○ ⾃⽴援助ホームの⼊居者であって⼤学等に就学してい
る場合には、22歳に達する⽇の属する年度の末⽇まで⽀
援の対象とする。
(⼊居者の⽀援の必要性に応じた柔軟な運⽤を検討)
※ 併せて、施設⼊所等措置を受けていた者について、18歳(措
置延⻑の場合は20歳)到達後も、22歳の年度末まで、引き続き
必要な⽀援を受けることができる事業の創設を検討。
検討規定等について
「新たな⼦ども家庭福祉のあり⽅に関する専⾨委員会」報告において、以下の事項について
検討事項とされている。
○ 児童相談所の機能分化の在り⽅
○ 要保護児童の通告窓⼝の⼀元化の在り⽅
○ ⼦ども家庭⽀援に当たる職員の専⾨性向上の在り⽅
○ 児童相談所設置⾃治体の中核市・特別区への拡⼤、そのために必要な国の⽀援の在り⽅
○ 親権制限に対する司法関与の強化の在り⽅
○ 特別養⼦縁組に関連する制度の⾒直し
104