「桧原湖に生息するワカサギの放射能調査」冨谷敦

桧原湖に生息するワカサギの放射能調査
Radioactive cesium concentration of pond smelt (Hypomesus nipponesis) in Lake
Hibara, northern Fukushima Prefecture
冨谷敦1、榎本昌宏1 、川田暁1 、河合孝1 、桝本和義2
1福島県内水面水産試験場、 2高エネルギー加速器研究機構
目的と調査方法
はじめに
2011年5月10日に桧原湖で採取されたワカサギから460Bq/kg-wetの
が検出された。
桧原湖に生息するワカサギへの134Cs及び137Csの移行過程を解明し、
これらの将来の動向を予測する。
(Bq/kg-wet)
500
137Cs濃度
137Cs
200
N
400
長 井川 (St.3)
吾妻 川 (St.2)
流入河川
早稲 沢 (St.1)
300
大 川入 川 (St.4)
金 山 (St.8)
100
湖 心 (St.9)
湖内
湖内底質採取の様子
狐鷹 森 (St.7)
餌料生物
2km
0
200
400
600
800
雄子 沢(St.5)
2011年3月11日からの日数(日)
図 ワカサギの137Cs濃度の推移
湖水採取の様子
ワカサギ
雄子 沢 (St.6)
0
底質
流入河川底質採取の様子
図 福島県全図(右)と桧原湖(左)
餌料生物採取の様子
図 調査イメージ
ワカサギの生息環境(流入河川、湖内)の水及び底質、
主たる餌料生物、ワカサギ魚体を調査した。
桧原湖は第一原発から90~100km離れていることもあり、
漁業関係者に大きな影響を与えた。
結果「ワカサギ魚体」
(1)全長が大きいワカサギは小さいワカサギより放射能分布が濃い。
(2)ワカサギ年級群の割合が変化したことにより、ワカサギの137Cs濃度は急激に減少した。
2011年12月14日採取
0歳
30
0歳魚の割合が0%
300
0歳
1歳以上
1歳以上
20
Oct. 2011 N=192
Oct.2012 N=164
20
10
n=190(2012年3月11日採取)
40
20
0
5
6
7
8
9
10 11
137Cs濃度
4
全長(cm)
図
ワカサギの全長組成図
250
0
30
頻度 (%)
60
n=119(2011年12月14日採取)
40
4
5
6
7
8
9
100
4
5
6
7
8
9 10 11 12
Nov.2012 N=166
4
5
6
7
8
4
5
6
7
8 9 10 11 12
Jan.2013 N=586
4
5
6
7
8
4
5
6
7
8
4
5
6
7
8
0
4
5
6
7
8
9 10 11 12
Dec.2011 N=545
15
20
10
10
5
0
30
9 10 11 12
Dec.2012 N=657
0
4
5
6
7
8
9 10 11 12
Jan.2012 N=890
20
20
10
0
10
25
50
75
100
0
30
Ge検出器で分析に供したワカサギ試料における
0歳魚の割合 (%)
0
4
5
6
7
8
9 10 11 12
Feb.2012 N=1,111
20
9 10 11 12
Feb.2013 N=699
20
10
10
0
30
図 137Cs濃度と0歳魚の割合
10 11
20
0
30
20
0
10 11 12
10
150
0
2011年3月13日採取
5 6 7 8 9
Nov.2011 N=458
10
R² = 0.6888
50
0歳魚の割合が100%
0
4
20
200
頻度(%)
頻度 (%)
60
(Bq/kg-wet)
10
0
4
5
6
7
8
9 10 11 12
Mar.2012 N=1,208
20
9 10 11 12
Mar.2013 N=589
20
10
10
全長(cm)
図 ワカサギの全長組成図
2011年10月~2012年3月
0
2012年5月~2013年3月
0
4
5
6
7
8
9
10 11 12
9
10 11 12
全長(cm)
137Cs濃度:150Bq/kg-wet
図 ワカサギの全長組成図
2011年10月~2012年3月 0歳魚が占める割合と137Cs濃度に負の相関が確認できた。
→震災時に生息していた年級群、震災直後に産卵した年級群が主体
2012年 5月~2013年2月 0歳魚が占める割合と137Cs濃度に相関が確認できなかった。
→ 震災直後に産卵した年級群、震災一年後に産卵した年級群が主体
結果「生息環境査」
結果「餌料生物調査」
134Cs,137Cs(Bq/L)
1.E-03
2月
1月
図 最深部の湖水
1.E-01
1.E-03
2月
1月
9月
7月
図 狐鷹森の湖水
2月
1月
9月
8月
7月
12月
1.E-05
8月
1.E-05
134Cs
12月
137Cs
11月
12月
1.E-05
1.E-03
10月
動物プランクトン
1.E-01
1.E-01
11月
137Cs
7月
134Cs
134Cs
134Cs,137Cs(Bq/L)
2月
1月
9月
8月
7月
12月
11月
10月
1月
9月
8月
7月
12月
11月
10月
2月
図 吾妻川の河川水
図 長井川の河川水
137Cs
動物プランクトン
134Cs,137Cs(Bq/L)
1.E-03
1.E-05
1.E-05
9月
1.E-03
湖水 2012年7月~2013年2月
1.E-01
8月
1.E-01
10月
134Cs,137Cs(Bq/L)
流入河川水 2012年7月~2013年2月
134Cs,137Cs(Bq/L)
ワカサギの餌料生物である動物プランクトン、ユスリカ幼虫、ユスリカ
幼虫の排泄物、桧原湖に生息する水生昆虫から放射能分布を確認した。
11月
図 ワカサギサンプルの写真(上)と
そのイメージングプレート画像(下)
10月
137Cs濃度:N.D.(6.8Bq/kg-wet)
137Cs
134Cs
図 早稲沢の河川水
137Cs
134Cs,137Cs(Bq/L)
2月
2月
1月
9月
8月
7月
1.E-05
12月
1月
12月
11月
9月
137Cs
11月
2月
1月
9月
8月
12月
11月
7月
137Cs
1.E-03
図 金山の湖水
図 雄子沢の河川水
134Cs
8月
1.E-05
図 大川入川の河川水
1.E-01
10月
134Cs,137Cs(Bq/L)
1.E-03
1.E-05
2月
1月
9月
8月
7月
12月
11月
10月
1.E-05
1.E-03
7月
1.E-03
1.E-01
1.E-01
10月
134Cs,137Cs(Bq/L)
1.E-01
137Cs
10月
134Cs,137Cs(Bq/L)
134Cs
図 雄子沢の湖水
134Cs
137Cs
134Cs
134Cs
ほとんどが検出下限以下
雄子沢が高い傾向
水生昆虫
2,000
1,000
500
0
9月12月4月 7月10月1月
長井川
4,000
1,500
1,000
500
0
2,000
9月12月4月 7月10月1月
吾妻川
1,500
ユスリカ幼虫
ユスリカ幼虫の
排泄物
500
0
9月12月4月 7月10月1月
0
9月12月4月 7月10月1月
3,000
2,000
1,000
0
9月12月4月 7月10月1月
500
狐鷹森
0
9月12月4月 7月10月1月
1,500
1,000
500
0
9月12月4月 7月10月1月
大川入川
早稲沢、雄子沢が高い傾向
4,000
Cs137(Bq/kg-wet)
1,000
Cs137(Bq/kg-wet)
Cs137(Bq/kg-wet)
図 動物プランクトン及びユスリカ幼虫、ユスリカ幼虫の排泄物の凍
結乾燥後の写真(左)とそのイメージングプレート画像(右)黒破線
は動物プランクトン、赤破線はユスリカ幼虫とユスリカ幼虫の排泄物、
黒実線は水生昆虫。
1,000
最深部
2,000
1,500
4,000
2,000
1,000
早稲沢
2,000
3,000
Cs137(Bq/kg-wet)
ユスリカ幼虫の
排泄物
1,500
Cs137(Bq/kg-wet)
Cs137(Bq/kg-wet)
2,000
ユスリカ幼虫の
排泄物
湖内底質 2011年9月~2013年1月
流入河川底質 2011年9月~2013年1月
4,000
3,000
2,000
1,000
0
9月12月4月 7月10月1月
金山
Cs137(Bq/kg-wet)
ユスリカ幼虫
Cs137(Bq/kg-wet)
ユスリカ幼虫
Cs137(Bq/kg-wet)
水生昆虫
3,000
2,000
1,000
0
9月12月4月 7月10月1月
雄子沢
雄子沢
最深部が高い傾向