病院BSCにISO15189が絡む 理由(わけ) 医療法人社団慶友会 吉田病院 企画室 加賀 崇義 施 設 概 要 医療法人社団慶友会 吉田病院 1981年(昭和56年)開設 理事長:吉田 威 所在地:北海道旭川市4条西4丁目 ベッド数:263床(一般155床、療養108床) 診療科目:内科・消化器科・循環器科・呼吸器科・外科・整形外科・眼科 リハビリテーション科・放射線科・歯科・歯科口腔外科 併設機能:肝臓病センター・糖尿病・生活習慣病センター 健康相談センター(人間ドック・健康診断) 病院機能評価認定:複合病院 種別B(平成14年11月 認定) 法人内関連施設 ●介護老人保健施設(86床) ●訪問看護ステーション(2ヵ所) ●在宅介護支援センター ●ヘルパーステーション 法人内職員数:550人 ISO認証取得 ISO 9001 ISO 14001 1999年 6月 1日 初回登録 2000年 7月28日 初回登録 検査室の現況 ● スタッフ : 技師 7.5名(うちパート 4.5名) ● スタッフの内訳 検体検査:4.0名 生理検査:3.5名 ● 血液検体 月間処理件数 AST : 約9,800件 (うち健診検体:約8,000件) CBC : 約9,800件 (うち健診検体:約8,000件) 病院が何を目標にしているのか知っていますか? それが、皆さんの目標になっていますか? ミッションとは、組織の存在価値、その組織の理念であり、 行動規範となるもの 慶友会の総力を結集し、人々と社会から信頼され期待される 健康創造の支援活動をする ミッション ビジョンとは、ミッションよりも具体的で、その組織がどの ようになりたいか5年先を示すもの ビジョン 医療・福祉・保健が一体となって「生活者」のニーズに応え、 「安心圏」の確立と「健康創造」の支援活動を目指すとともに、 「医療の質の向上」と「経営の健全化」を図る ビジョンから導き出された目標を達成するための方策 戦 略 1.保健・医療・福祉の一体化した統合医療の提供 2.愛情と責任のある組織と業務システムの構築実行 3.職員の研修と研鑽による方針の周知徹底 2004 Strategies 思考 思考 1.・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2.・・・・・・・・・・・・・ 伝達 伝達 70% 70% 実行段階 Gap 実行段階 3.・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 実行 実行 で失敗 で失敗 成功 成功 日々の業務 ¾ ¾ ¾ ¾ ¾ 組織内に戦略が上手く伝わらない 戦略目標が統制/系統立てができていない 戦略が具体的な目標値に落とし込めていない 日々の業務と戦略が結びついてこない 実行する段階で何のフォローもされていない BSC(バランスト・スコアカード) ■ ノートン と キャプラン ■ 1990年代前半、提唱 ■ 1990年代後半、企業で普及 ■ 1997年頃より、北米医療界にも浸透 ■ 1998年頃より、日本でも先進的病院で導入開始 ■ 2003年11月 日本医療バランスト・スコアカード研究学会 創設 BSCは技法 1.組織のミッションと戦略を関連させながら 戦略的マネジメントを行う枠組みを提供 2.包括的業績測定の実施と評価の技法 3.将来の組織的アウトカム、学習と成長に 及ぼす業績をも含む バランスト・スコアカードとは? ① 4つの視点に基づく業績管理・評価ツール 財務の視点 顧客の視点 ビジョン 戦略 学習・成長 の視点 業務プロセス の視点 バランスト・スコアカードとは? ② 「バランス」の意味 ■ 財務指標と非財務指標 ■ 短期指標と中・長期指標 ■ 先行指標と結果指標 ■ 内部要因と外部要因 → 上記の意味で「バランス」がとれている 先行指標と結果(遅行)指標 先行指標 目標とする成果を生み出す 要因に関係する指標 (パフォーマンス・ドライバー) 結果指標 目標の成果を表す指標 結果指標の成果を高めるには、先行指標を 管理する必要がある! バランスト・スコアカードとは? ③ 「スコアカード」の意味 ■ 日常業務のうち戦略的重点課題の 結果を数値で評価 → 4つの視点における戦略目標の達成度を 得点化(スコア)することで客観性を向上 BSCの基本 ビジョンと戦略 財務の視点 戦略計画の実行で、どのくらい 利益増になったか 顧客の視点 ビジョンを達成するには顧客に何を 提示しなければならないか 業務プロセスの視点 顧客を満足させるには、どのビジネスプロセス に卓越しなければならないか 学習と成長の視点 ビジョンを達成するにはどのように学習し、 改善していかなければならないか BSCの基本フォーマット 視 点 財 務 顧 客 業務プロセス 学習と成長 戦略的 目標 成果指標 目標値 行動計画 病院BSC 4つの視点における指標の例 財務の視点 医療利益率 キャッシュフロー 労働分配率 診療単価 患者数 等 顧客の視点 患者満足度 診察待ち時間 クレーム件数 健診・検査 リピート率 予約診察時間の 遵守度 等 業務プロセス の視点 学習と成長 の視点 職員モラル調査 スコア 職員提案件数 職員定着率 研修時間数 学会発表件数 等 等 平均在院日数 手術件数 医療事故・ 院内感染発生件数 紹介率・逆紹介率 病院BSC 因果連鎖とバランス 財務の 視点 病院の財務の向上 顧客の 視点 患者満足により、継続的支持を得る 業務 プロセス の視点 診療技術、知識、苦情処理等 業務プロセスの改善による質の高いサービス 学習と 成長の 視点 職員のスキル、モチベーション、 公正な評価システム等、人材の育成 例 戦略マップ 患者増による 使用資本利用率 財 務 一般経費減 口コミ 各視点の戦略的目標項目 と他の戦略的目標項目 およびビジョンとの関連 を図示 収益増 患者満足度 顧 客 予定どおりの退院 無形資産を患者や財務の 成果に変換していくための プロセスが記述される 平均在院日数短縮 プロセス品質 従業員のスキル 医療の質 ・褥創減 ・医療事故減 従業員の提案 業務プロセス 学習と成長 従業員のモラール 高橋淑朗 編著 「医療経営のバランスト・スコアカード」より 当法人におけるBSC導入の背景 ① ISO認証取得による管理体制が存在する ■ 単位業務の標準化 ■ 業務フローの標準化 ■ 計画・実行体制(PDCAサイクル)の確立 が、しかし・・・ 方針の部門展開、目標との関連性が薄い ■ 病院の戦略がビジョンに向かっているか? ■ 部門の目標が病院の戦略に沿っているか? ■ 自分の目標が部門の目標に合致しているか? 当法人におけるBSC導入の背景 ② 目標設定が抽象的 定性目標・・・「状態」で設定、評価 定量目標・・・「数値」で設定、評価 → 客観性のある業績管理には 「定量目標」が必要! BSC導入で期待される効果 1. 戦略と日常業務の結びつきの明確化 2. 部門努力の評価の明確化 3. 業績と人事制度との結びつきの明確化 平成14年 臨床検査課 年度目標(実施計画) ■ 検査実施マニュアルの充実を図る ■ 医師、看護部とのコミュニケーションを図り、よりニーズに 合った臨床検査を目指す ■ 精度を保つため、試薬・精度管理物質の取扱方法を徹底 する ■ よりわかりやすく記入ミスの少ない依頼伝票の作成 ISO15189 認定取得 ISO15189がBSCの戦略的目標となった理由 • • • • • • • リスク マネジメント対策(精確さ向上) 患者から見た検査結果の信憑性 国際規格認定による社会的な施設評価 第三者評価による臨床サイドへの信頼性 役割分担の明確化と業務内容整理 作業標準化による効率性の向上 検査結果の継続的な質的確保 認定の意義そのものが、BSCにおける 戦略的目標になりうるということ BSC開始によって、あなた自身、あなたの部署はどうかわりましたか? 目標達成を意識した発言、行動が増えた 32% 目標達成のためにどう行動すればよいかが明確になった 41% 45% 法人全体の目標、自部署の目標のつながりが明確になった 目標に対する進捗状況や改善課題が 明確になった 68% 5% 0% 部署内のコミュニケーションが活性化した 9% 部署間のコミュニケーションが活性化した 9% 何も変わっていない 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% その他の意見・感想 ◎日常業務の見直しができる ◎目的意識がスタッフ間で高まったと思う ◎数字で評価する方法を知り、考え方が 身についてきている ◎自部署の取り組みが法人全体にどう影響 しているのかを知りたい 結語:病院経営の視点で臨床検査室のマネジメントも考える 医療提供体制の改革ビジョン案(平成15.4.30) 1.医療の質的向上 2.効率的な医療の提供 ⇒ これからの医療は、患者(顧客)の視点で議論される! 病院経営の社会的変化 1.医療の質的向上・・・・・・・・・・・・・第三者評価機関(ISO9001/病院機能評価) 2.効率的な医療の提供・・・・・・・・・病院会計準則改訂(施設間比較) では、病院経営に関与する検査室? 1.医療の質的向上・・・・・・・・・・・・・ISO15189(第三者評価機関) 2.効率的な医療の提供・・・・・・・・・原価計算(DPC/パス)
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