次回企画展 2012年 2月11日(土・祝)~ 5月 6日(日) ちから 友の会だより Vol.2 ゲルダ・シュタイナーとヨルク・レンツリンガー Power Sources-力が生まれるところ スイスの現代アーティスト、ゲルダ・シュタイナーとヨルク・レンツリンガーによる過去最大の個展が、2月から水戸芸術館 現代美術ギャラリーで始まります。二人が紡ぎ出すサイトスペシフィック・インスタレーション(特定の 空間を使って 作られる作品)は、その地にまつわる伝承、風俗、思想など目には見えない無形の文化を表出させることで知られ、 訪れる人から常に高い人気を集めています。本展のためにゲルダとヨルクは水戸に1カ月以上滞在し、 この地を探索しながら 「Power Sources ―力が生まれるところ」 をテーマに最新のインスタレーションを制作します。 友の会の皆様には、展覧会に先駆けて展示の一部をご紹介 したいと思います。 水槽の中で成長を続ける結晶、不思議な形をした種やつくりもの の卵、頭上を舞う鳥の群れ…ギャラリーの第1室に足を踏み入れた時、 これらの奇妙なオブジェを目の前にして、おそらくみなさんは不思議の 国に迷い込んだアリスのような気持ちになることでしょう。このインスタ レーションは《Nursery》(日本語で「苗床」)と名付けられ、さまざまな かたちで「成長」を表現した作品です。仏具、神器、おもちゃ、肥料、 バ イ クの エンジン、噴水などの日常の 物に 手を加えることで 物の 本義や価値を転化しながら、「成長」と い う言 葉の 中に は、 『育 つ』 だけではなく『劣る』『衰退』『死ぬ』と い った 意も含まれる」と考える 作家の 思想を反映してい ます。しかしそ れを 悲観 する の で はな く、 《Falling Garden》 Venice Biennale, 2003 生きる上で前向きにうけとめていく姿勢が随所に感じられる作品です。 Gerda Steiner & Jörg Lenzlinger 第 5 室 に 展 示 さ れ る 映 像 イ ン ス タ レ ー シ ョ ン《 Logic of Beauty》 ( 直 訳 す る と 「 美 の 論 理 」 ) は 、 ド ロ ー イ ン グ を コ ラ ー ジ ュ し て つ く っ た 映 像 と 、 ス イ ス の ヨ ー デル ・ミ ュー ジシ ャン Noldi Alder (ヨーデル革新者の一人) が、本展のために特別に録音したネイチャーヨーデルの音源を組み合わせて 作られる作品です。点が織りなす模様とその色が次第に変化していく様子は、生命体の細胞が生まれ、 繁殖し、進化、変容するようにもみえます 。儚く、うつろい ゆくもの ― これこそ作家が弁じる美の論理で す。 この作品コンセプトは、儚いものの存在に美を見出してきた日本人の美意識を表す仏教由来の言葉「無常」とも切り離せ ません。この世に於いてすべてのものは時間とともにうつろい、なかには朽ち、消えゆくものもあります。 本作品はそんな儚い生命の美しさや、個としては弱いものの命をつなぐことで進化していく生命体の種としての強さ、 また 、変化する世の 中だからこそ の 、今日よりももっと い い 明日への 可能性を感じさせてくれます。 他にもたくさんの作品がありますが、それは会場をご覧いただく時の楽しみとしてとっておくことにしましょう。詩的で 型破り、奇妙、でも筋がとおっていて、驚きと発見にあふれた二人の作品世界を体験することは、みなさんの感覚の (門脇さや子、水戸芸術館現代美術センター学芸員) 回路をひらきながら、色とりどりの心の四季を渡る旅となることでしょう。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 水戸芸術館友の 会への 入会・ご支援をあ りがと うご ざい ます 。お かげ さま で、 活動 再開 以降 、会 員数 は順 調に 伸び続けております。(2011 年12 月現在 一般・法人・学生・ネットの 各会員計 2,184 件、運営維持会員63 口) 平成23年度新しく設けました法人会員は7月に募集を開始いたしました。さっそく入会くださり、水戸芸術館の活動を、 日 頃 の 業 務 か ら も 支 え て く だ さ って い る 法人 会員 様を 、入 会順 に紹 介し てま い り ます 。( 敬称 略) 〒319-0102 茨城県小美玉市西郷地1703 http://ibaraki.coopnet.jp/ 19世紀のイギリスの町に始まり、21世紀世界最大の非政府組織(NGO)として、くらしを守り豊かにする活動を展開する コープ(生協)の、茨城県内をサポート中のいばらきコープ生活協同組合では、約25万の組合員向けのサービスのひとつ として、水戸芸術館事業の紹介やチ ケット販売でご支援をいた だい てお りま す。 「『安全・安心』『おいしい』『安い』『健康』『楽しい』『便利』そして『社会とのつながり』の7つの価値を、商品の提供にて実現 します。」と、商品政策の柱のひとつに掲げるいばらきコープ生活共同組合の活動を通して、水戸芸術館の事業が、 心にとって良質の栄養であり、くらしをますます楽しく豊かにするものであることを、食の安全と同じように多くの皆様に 伝えていただいています。 ◆いばらきコープ生活協同組合 『私は音楽を夢中で愛してい ますが、この 愛によって私は、音楽が、彼女が、 とりかこまれている不毛な伝統から、彼女を解き放ってやりたいと思っているの です。これは自由奔放な、ほとばしり出る芸術なの です。室外の 芸術であ り、 風と空と海、諸元素に拍子を合わせる芸術なのです。』 (1911年、ドビュッシー) 音楽の「伝統」を打ち破ろう、あるいはそれを乗り越えようとした作曲家は枚挙に暇が ありません。現在に名を残している作曲家は、多かれ少なかれ、「伝統」と対決することによっ て、新しい音楽を作り出してきました。しかし、音楽という芸術を、「室外の芸術」であり、 「風と空と海、諸元素に拍子を合わせる芸術」とまで言い切った 作曲家が他に いた でしょうか。 実際に、クロード・ドビュッシー(1862 ~1918 )の音楽に耳を傾けてみましょう。たとえば、ピアノのために書かれた 〈映像〉第1集から第1曲〈水に映る影〉。透明な水面に映る色彩、さざ波に反射する光と 影の 交錯 、水 の 流 れ、 時 間 の 推 移 に よ っ て 刻 々 と 変 化 し て い く 水 の 温 度 感 ・ ・ ・ 。 私 た ち は 、 自 然 が 自 然 の 力に よっ て紡 ぎだ した かの ようなこの音楽を聴きながら、感性と感覚とを全開にして、音の世界に想像する楽しみを手に入れます。 表現されているものが、「そこにある」。そのような実在のぬくもりや手触りは、ドビュッシーの 音楽 のき わだ った 特徴と言えるでしょう。ドビュッシーは『ベートーヴェンが展開部に執着するの は、もう何も話すこと がないからだ』と 主張し、神や英雄を題材に形而上の世界を扱ったワーグナーの楽劇に毅然と異議を唱えました。 「遠くから聴こえて くるような」と 形容されること も多い ドビ ュッシーの 音楽は、しかし、徹底的に自然物など 「実在」にこだわった芸術と も言えそ うです。 私たちの時代の最高のピアニストの一人、児玉桃さんをお迎えして「ドビュッシーをとりまくピアノ音楽のシリーズ」を 開始するにあたり、まず、ドビュッシーの感性のルーツを探ってみたいと思いました。それで、第1回は 「 ド ビ ュ ッ シ ー と フ ラ ン ス 古 典 音 楽 」 と 題 し 、 ド ビ ュ ッ シ ー が尊 敬し てい た フ ラ ン ソワ ・ク ープ ラ ン (1668 ~1733 )、 ジ ャ ン = フ ィ リ ッ プ ・ ラ モ ー ( 1683 ~ 1764 ) の ク ラ ヴ サ ン ( フ ラ ン ス 語 で チ ェ ン バ ロ の 意 味 ) 音 楽 を 始 め に お 聴 き いただくことにしました。 児 玉 桃 さ ん は 、 彼 らの 手に よる お び た だ しい 数の クラ ヴサ ン音 楽を 綿密 に検 討し た 上 で、 そ の 中か ら厳 選に 厳選を重ね、まことに魅力的なプログラムを組んでくださいました。(詳しくは演奏会のチラシをご覧ください。) 〈神秘的なバリケード〉〈ティック・トック・ショック、またはオリーヴしぼり機〉(以上、クープラン:クラヴサン曲集から)、 〈勝ち誇った女〉〈無頓着〉〈未開人〉(以上、ラモー:新クラヴサン組曲から)・・・。その標題をみるだけで、 笑みがこぼれ、曲の内容を想像せずにはいられないものが多く含まれています。 ドイツではバッハが、イタリアではコレルリやヴィヴァルディが活躍していた17世紀後半から18世紀前半にかけて、 ドイツやイタリアでは音楽が他の芸術と切り離され、音楽だけに「特化」していく傾向が見られますが、 フランスでは音楽は依然として「語り」や「踊り」の要素と分かちがたく結びつい てい ました(リュリやラモ ーの オペラを思い出してみてください)。クープランやラモーがクラヴサン独奏曲を書く時、「アレグロ」「アンダンテ」などの 速度標語や「クーラント」「メヌエット」といった舞曲の名前をあまり使わずに、「標題」を掲げることに こだわったのは、やはり彼らがフランスの音楽家であったからでしょう。 時 代 は く だ っ て 、 そ の 約 200 年 後 。 詩 、 絵 画 、 舞 踊 と い っ た 芸 術 の 諸 分 野 と 相 互 に 影 響 を 及 ぼ し つ つ 、 その音楽を洗練させていったドビュッシーも、彼の最後のソナタ作品の楽譜の表紙に自ら記したように、 「フランスの音楽家」であり、自国の偉大な先達たちに最大の敬意を払っていました。今度の演奏会では、 そのようなドビュッシーの心境が深く反映された〈ラモーを讃えて〉(〈映像〉第1集の第2曲)も聴くことができます。 (関根哲也、水戸芸術館音楽部門学芸員) ■ ドビュッシーをとりまくピアノ音楽のシリーズ 第1回 ◆富士ゼロックス茨城株式会社 〒310-0803 茨城県水戸市城南2丁目1番20号 南ウイング水戸ビル7階 http://www.fujixerox.co.jp/ibx/ 一般会員と法人会員の会員証は、今年度からエコタイプに変えましたが、この会員証は紙の選定から出力機の調整まで、 富士ゼロック ス茨城の ご助言をい た だきな がら形にい た し ま し た 。 1年お使いいただく会員証ですから、会員番号のバーコード印字等が鮮明に維持されなければなりません。資源を節約 しつつ、月単位の随時入会にも対応するというサービスを成り立たせるために、館内印刷に踏み切りましたが、ビジョン/ 理念である「『さすが』に挑戦し続ける企業」のご助言のおかげでそれらはすべてクリアできました。 2011 年 12 月 20 日 発 行 財 団 法 人 水 戸 市 芸 術 振 興 財 団 〒 310-0063 茨 城 県 水 戸 市 五 軒 町 1-6-8 029-227-8111 ●12月26日(月)~2012年 1月3日(火) 休館させていただきます。 児玉 桃 (c)Vincent Garnier 第2回 第3回 第4回 「ドビュッシーとフランス古典音楽」 2012年 3月 3日(土) 演奏と解説:児玉 桃 全席指定3,000円/コンサートホールATM チケット発売:2011年12月24日(土) ご予約Tel. 029-231-8000 「ドビュッシーとショパン」 「ドビュッシーとラヴェル、ムソルグスキー」 「ドビュッシーとメシアン、武満徹」 2012年11月 3日(土) 2013年の予定 2013年の予定 清川あさみ|美女採集 2012年1月22日[日]まで開催 会員特典のご利用をお忘れなくどうぞ! ▼ 2012年2月 ACM THEATRE PRODUCE 『夏の夜の夢』 2012.2.3~2.12 ェ 水森 シ 広 く 戸新 の太 イ世 地郎 ク 界 で演スの 蘇出 ピ 人 る に ア々 !よのに 傑愛 て作 さ 喜れ 劇て がい る っ 水戸芸術館がこんなにも早く再開し、正直驚いた。劇場側から「“いま”の水戸にはエネルギーのある 芝居が必要です。」と強く説かれ、私は迷うことなく『夏の夜の夢』の上演を提案した。 現 実 は 一 瞬 に し て虚 構 と な り 得 る 。 虚 構 は 一 瞬 に し て現 実 と な り 得 る 。 そ ん な 一 瞬 一 瞬 を、 シェイクスピアはこれでもかとばかりに『夏の夜の夢』に詰め込んでみせた。魔力を持つ花の汁により、 登場人物たちの目に映る世界は、根底からひっくり返されていく。しっちゃかめっちゃかの大混乱。 その中で泣き叫ぶ者、怒り狂う者、快楽に溺れる者・・・そして、この世界が現実なのか虚構なのか わからなくなり、迷子のように立ち尽くす者。 「左右の目が別々にものを見てるみたい、何もかもが 二重 に見 える 。」 これは私達にとって、とても“いま”な言葉だ。大混乱は、現に、ある。世界は二重に見えるどころか、 もはや三重にも四重にもなって、不確かに存在している。が、しかし。それでも私達は、世 界を 見 つ め る こ と を や め は し な い 。 現 実 と 虚 構 の 狭 間 で 、 懸 命 に 世 界 を見 つ め 続 け る 。 「ほんとに目が醒めてるんだろうか?」 問い続けなくてはならない。そのことが、この芝居の大きなエネルギーになる。 (演出家・森 新太郎より) 水戸の地で、“いま”を生きる私達の『夏の夜の夢』をつくりたい。 演出家プロフィール 1976年、東京生まれ。 国立福島大学経済学部在学中より演劇活動を開始。 2000年、円演劇研究所に入所し、2002年に演劇集団円 演出部会員に昇格する。 2003年より『西へゆく女』や『オリュウノオバ物語』など、円本公演の演出助手を数多く務める。 2006年、遠藤周作没後十年行事『沈黙』を橋爪功主演で構成・演出。 2006年、『ロンサム・ウェスト』(作:マーティン・マクドナー)にて翻訳ものを初演出。 2007年以降、仲谷昇・岸田今日子追悼公演『天使都市』(作:松田正隆/07年)、『田中さんの青空』 (作:土屋理敬/08年)、『孤独から一番遠い場所』(作:鄭儀信/08年) の演出を手掛け好評を博す。 2009年、演劇集団円公演『コネマラの骸骨』の演出で平成21年度文化庁芸術祭賞優秀賞を受賞、 さらに2008年に演出を手掛けた『田中さんの青空』、『孤独から一番遠い場所』にて2009年毎日芸術賞 演劇部門第11回千田是也賞を受賞している。 演出家・森新太郎 その他、演劇集団円本公演『死んでみたら死ぬのもなかなか四谷怪談-恨-』(作:韓泰淑/10年)など。 写真撮影: 2010年11月には水戸芸術館ACM劇場にてLeading×Reading Drama 『十二人の怒れる男』を上演し、 office PhotoStyle 高い評価を受ける。 (佐川智伯) 最近では、2011年4月に新国立劇場にて『ゴドーを待ちながら』(出演:橋爪功、石倉三郎ほか)の演出を 手掛けている。 あらすじ シーシアスとヒポリタの結婚式を4日後に控えた夜、イジーアスの娘ハーミアは、親が決めた婚約者ディミートリアス との結婚から逃れるため、愛するライサンダーと駆け落ちをしようと森へと向かう。そのことを知ったディミートリアス、そして 彼を愛してやまないヘレナもその後を追い森へと向かう。同じ夜、公爵の結婚式の余興に指名されたアテネの職人たちが、 稽古をするため森へと向かう。一方その頃、森の中では妖精の王オーベロンと女王ティターニアが喧嘩の真っ最中。 オーベロンが仕返しのため、いたずらな妖精パックに命じ、魔力を持つ花の汁を取ってこさせたことで、 森に来ていた皆に大混乱の一夜が訪れる―! 西本裕行 出演決定!! 『COLLECTING An Asami Kiyokawa Documentary』(「清川あさみ|美女採集」展図録兼書籍) “いたずらな妖精パック”役に、現在84歳、今も現役の俳優として活躍し 国民的アニメ「ムーミン」のスナフキンなど、声優としても広く知られている西本裕行の出演が決定!! 普段は若者が演じることの多いこの役を、名優・西本裕行がどう演じるか、必見です! ACM THEATRE PRODUCE 『夏の夜の夢』 2012.2.3~2.12 原作=W.シェイクスピア/翻訳=松岡和子/演出=森新太郎 出演=西本裕行、劇団ACM ほか 会場:水戸芸術館ACM劇場 2月 3日(金)19時開演、 4日(土) 16時開演、 5日(日) 14時開演 2月 10日(金)19時開演、 11日(土) 16時開演、 12日(日) 14時開演 料金(全席指定・税込):前売(発売中)3,000円/当日3,300円 *学生割引、身体障害者割引など各種割引あり。 詳細はチラシをご覧いただくか、お電話にて下記宛お問い合わせください。 水戸芸術館チケット予約センター Tel.029-225-3555 月曜日及び年末年始(12/26~1/3)休館。 *1/9(月・祝)は開館、翌1/10(火)休館。 「KAWAII(可愛い)」という言葉は、今や日本の文化を代表する世界的な共通語となりましたが、その「KAWAII」を 表現する二大要素といえば、キャンディーの箱を開けた時のようなカラフルさと、キラキラ光るデコラティヴなイメージ。 開催中の『清川あさみ|美女採集』は、そんな女性が大好きな要素を、完成度の高い作品の中に数々見ることが で き る展 覧会 です 。清 川あ さみ は、各界 から 注目 され てい るア ーテ ィス ト。文化 服装 学院 卒業 前後 から 糸や 布を使った作品を制作していた彼女は、衣装や空間デザイン、広告、イラストレーションなどの様々なクリエイションで 脚光を浴び、'10年には、平面を主体とする作家の登竜門『VOCA展』で佳作賞も受賞しました。 今や現代美術家として、その活躍がますます期待される清川の作品は、写真に刺繍を施すというユニークな手法が 特 徴 で す 。 「 刺 繍 」 と い っ て も 単 に 、 針 と 糸 で 模 様を かた どる だけ でな く、 ビー ズや ジュ エリ ース トー ン、 羽毛 など さまざまな素材を縫い付けること で、写真に工芸的な輝きと 陰影を与え、被写体の さらなる魅力を引き出します。 そ んな清川の ラ イフワークが、本展の タイトルにもなっ てい る「 美女 採集 」で す。 こち らは 、今 をと きめ く女 優や タ レ ン ト を 清 川 が 写 真 で 「 採 集 」 し 、 そ れ ぞ れ の イ メ ー ジ に 合 わ せ た 動 植 物 の 装 飾 を 刺 繍 や CG で 施 す と い う シリーズで、もとは雑誌の企画として始まりました。本展で は、まず第一 室で 、ス ワロフス キー が輝 くワイヤーに 吊るされた約60人の美女たちを観察。キラキラと光を放つその空間は、まさに可愛くてポップ、そして少々毒のある 「清川ワールド」への 入り口です。そ れぞれの 美女がどんな動植物と して採集された の か ?入 場口 で配 布さ れる 「ギャラリーマップ」の裏面で確認しながら観ていくと、さまざまな発見や感想がわくことでしょう。 同様に、人気アイドルグループ「AKB48」を採集した次室を抜け、第三室に入ると、そこには女性のコンプレックスを テーマにした作品が並んでいます。たとえば声にコンプレックスのある女性は、ビーズの帯が口から蔦のようにあふれ 出 し 、 ゴー ジャ スな ドレ スを 身に 着け た 女 性は 、物 質欲 に苦 しん でい るよ うで す。 そ の 他、 老化 や太 りす ぎな ど、 女性に は考 えた くな い テ ーマ が扱 われ てい ます が、 清川 あ さ みは 、女 性た ちの コン プレ ック スに 寄り 添う よう に、 あくまで優しく美しく、作品をまとめあげています。 幻の動物たちがひっそりと息づいているのは第五室。これら絶滅種や絶滅危惧種に見立てた美女や、動物が棲む 秘密の森を過ぎると、突如として都市の風景が出現し ます 。都 会の 風景 写真 に、風や 気流 、光 など を刺 繍で 表現したこれらの作品は、裏側も見られるのがミソ。作家がどの ように針を進めて いったの か、表裏の違いを 楽しみながら、制作の過程もご覧ください。 さて、第七室には、ほとんど抽象画と化してしまったピンクの大作が 置かれていますが、こちらは第八室の《少女のゆめ》という作品を バーションアップさせた作品です。この《少女のゆめ》は、シリーズ 「美女採集」の記念すべき第一作。今まで観てきた清川の作品にし ては、少し地味な印象ですが、不慣れなゆえか、ボコボコと折り目が ついた作品からは、試行錯誤しながら作品に挑む 作者の様子が 伝わってくるようでした。 女性たちが体現する「生命」の美しさ、妖しさ、もろさを、ひと針 ひと針縫いながら、キラキラ輝く作品に仕上げる清川あさみ。彼女が どんなに素敵な女性なのかは、彼女自身の ブログをご覧いた だく ことにして、帰りはぜひミュージアムショップにもお立ち寄りください。 ラインストーンの輝くマグネットやバッヂ、Tシャツなど、清川作品の エッセンスがつまったグッズ類は、親しい人へのプレゼントにもぴった り。寒い冬の季節を、可愛らしい光で彩ってくれるに違いありません。 http://www.asamikiyokawa.com/diary/ (「清川あさみ|美女採集」展へのお誘い 木谷節子、アート・ライター) 清川あさみブログ 求龍堂発行/水戸芸術館現代美術センター編/A4変型(280×210ミリ)、並製本、カバー掛け、総頁104頁(オールカラー) 一般・法人・学生・運営維持会員様特別価格 2,494円(税込、本展会期中限定)・通常 2,625円(税込) 12月23日先行発売 西本裕行(劇団昴) みなさんと馴染みのある水戸芸術館ACM劇場専属劇団 ACMのメンバーをはじめ、この作品のために集まった個 性豊かな面々で、みなさまに夢の一夜をお届けします。 冬 の 寒 さに 負け ない 、エ ネル ギー 溢れ る作 品で す。 水戸の地で、 “いま”を生きる私たちが お贈りする夏の夜の夢―。 絶対お見逃しなく! ご期待ください! 劇団ACM 友の会会員様(一般・法人・学生・運営維持)への 5%割引特典対象商品 清川あさみ展オリジナルグッズ(iPhoneケース、スノードーム、バッグ、バッジ、メモブロック、マグネット、ポストカード他) クリスマス洋書絵本(ムーミン、リチャード・スキャーリー他) クリスマスカード(MoMA、7days cards、D-BROS) 2012カレンダー(D-BROSカレンダー、good morningカレンダー、コトバアートカレンダー(イチハラヒロコ)、MOON CALENDAR (canyon&beach)) 2012ダイアリー(MOLESKINE) 年賀状(7 days cards) ファッション雑貨(ひびのこづえハンカチ、tobo bag、コム・デ・ギャルソン香水、senz°傘(ミナ・ペルホネン、D-BROS)、 re:Acrylバッジ、ピアス) アートグッズ(蜷川実花グッズ、MoMAグッズ) ステーショナリー(7days cardsポストカード、D-BROS、フロシキシキ、haneペーパーホルダー) CD、DVD(輸入盤) 水戸芸術館商品(オリジナルグッズ、展覧会カタログ、水戸室内管弦楽団書籍・DVD・Tシャツ・トレーナー) 水戸芸術館内ミュージアム・ショップ "コントルポアン"へお気軽にお問い合わせください。 TEL&FAX:029-227-0492 (10:30~18:30、休館日はショップも休ませていただきます。)
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