第 26 回日本医療薬学会年会 報告

第 26 回日本医療薬学会年会 報告
会期:平成 28 年 9 月 17~19 日
会場:国立京都国際会館・グランドプリンスホテル京都
報告者:広小路店 片桐健太
発表者:広小路店 片桐健太
秋の三連休に京都で行われた、医療薬学会に参加してきました。
天気は台風が違づいていたと言うこともあって雷雨の中での開催でしたが、それにも負けないような熱気と活気
あふれる学術大会だったように感じます。
当グループではセルフメディケーションに関してアンケート調査を行った結果を発表いたしました。
主に病院薬剤師が多い学術大会ですが、だからこそ、保険薬局が出ていく意義があると思い、日本薬剤師学術大
会ではなく、あえて医療薬学会を選びました。
ポスター発表内容
薬局におけるセルフメディケーションに関する実態調査
○片桐健太 1、酒向佑也 2、岩田麻里 3、森晴美 4、服部悟士 1 、野田昌文 1 、土屋照雄 5
1
貴船薬局広小路店、2 貴船薬局つぼ川薬局、3 貴船薬局柳津店、4 貴船薬局東郷店、5 貴船薬局グループ開発部長
このアンケートの目的は 2 点あります。
1つは、
「患者のための薬局ビジョン(平成 27 年 10 月)」でも健康サポー ト機能の一部としてセルフメディケ
ーション推進の必要性が語られているが、当薬局の現状はどうなのかという点。
もう1つは、セルフメディケーションを考えるうえで、薬局・薬剤師は一緒に考えないといけないが、現状、患
者・市民とどれくらいの距離感なのかという点です。
結果です。
ひとつめのポイントの受診までの期間と対策に関してでは、
不調を感じてから3日以上経ってから受診する人は 63.2%で、すぐには受診しない人が3人に2人でした。さ
らにそのうちの 31.5%は、それまでの期間に何も対策をしていないという結果でした。
これから考えられることは、「軽い症状では受診しない?重症化したから受診した?仕事が忙しいなどの何かし
らの障壁で受診に時間がかかった?」など、色々考えられるが、OTC などを用いるなど、この期間に薬局を活用
することで受診までに至らずに済む可能性もあるように感じます。
ふたつめのポイントの相談相手・対処方法の調べ方に関してでは、
セルフメディケーションという単語を知らない患者は 80%を越えていたが、何も対策を行っていない患者は 4
割以下に留まり、およそ 62%以上は何かしらのセルフメンテナンスをしようという意識が見られた。
しかし、その内訳の 68.2%が薬の服用にも関わらず、調べるもしくは相談するという患者は 3 割程度に留まり、
医療関係者に相談した人は 1 割にも満たなかった。
また、受診までにだれにも相談しない人は 67.8%だった。
今後は、薬局が健康相談のファーストアクセスを担っていく事を踏まえると、広く市民に薬局・薬剤師の有用な
使い方を知ってもらう必要がある。
考察です。
受診までの期間と対策、相談相手・対処方法の調べ方、のいずれに関しても薬局・薬剤師に対しての心理的障壁
が高いように感じられる。そのために、日ごろから相談しやすい・処方箋が無くても立ち寄りやすい雰囲気づく
り、信頼関係を築いておく必要がある。
これらの積み重ねが、薬局・薬剤師への相談のハードルを下げ、それにより不必要な受診が少なくなることで、
結果として医療費の削減へ繋がると予想できる。
また、薬剤師による適切な OTC 販売・受診勧奨の能力が高くなることで、薬局が軽症・重症のトリアージの場
となれば、さらに医療的・経済的貢献度は高くなる。
来る10月より健康サポート薬局が始まるが、まだ課題は山積のように感じられる。それに向けて準備を行い、
健康サポート薬局として、相談機能・受診勧奨・地域貢献の向上を目指していきたい。