ゲームソフトの違法コピーに関する意識調査

東京国際大学商学部 情報システム学科/情報ビジネス学科
2011 年度卒業研究発表会予稿集(2012 年 2 月 11 日(土))
ゲームソフトの違法コピーに関する意識調査
08140049 中戸 大輔 (河村ゼミナール)
本論文はゲームソフトの違法コピーについて説明しつつ、その中でも「マジコン」「CFW」「ファイル共有ソフト」に
ついて取り上げる。それらの使い方、とくに、ゲームソフトのコピーに関して、在校生にアンケート調査を行い、そ
の結果をまとめ考察する。調査では、なぜ、どのような目的で利用しているのかを聞いたうえで、ゲームの違法コ
ピーについての意識も問う。それらを踏まえて、学内における違法行為の防止のためのガイドラインの策定を行
い公開する。
1. はじめに
昨今、テレビやインターネット上でゲームソフトの海賊
版被害が多発しており問題になっている、と言うことを
よく聞くようになった。ゲームソフトの違法コピーやファ
イル共有ソフトの故意的な利用については、インター
ネットで調べると大量に見つけることができ、また、そ
れらに関連している本なども書店で販売されている。
このため、大学内でもゲームソフトの違法コピーやフ
ァイル共有ソフトの利用をしている学生がいるのでは
ないかと考えられる。
そこで、そういった学生たちに向けてアンケートを
行い、なぜ、どのような目的で利用しているのかなど
の集計をとる。それらを踏まえて、違法行為の防止の
ためのガイドラインの策定を行い公開する。
2. 研究背景
2.1 ゲームソフトの違法コピーとは
ゲームソフトの違法コピーとは、著作権侵害となる
コピーと使用許諾契約に反するコピーの 2 つである。
著作権侵害となるコピーとは、例えば、友人などの
ために無断で勝手にコピーを取ることなどが当てはま
る。
使用許諾契約に反するコピーとは、使用許諾契約
書で定められたインストール可能台数を超えた PC
へのインストールなどが当てはまる。
2.2 「マジコン」「CFW」「ファイル共有ソフト」とは
「マジコン」とは、ゲームソフトを違法コピーできる機
器または違法ゲームを楽しむ機器などの総称である。
不正にコピーされたソフトが起動しないように施され
たプロテクトを解除して、ゲーム機で起動が可能にす
るための機器である。
「CFW(カスタムファームウェア)」とは、PSP で動作
する PSP の制御をおこなうソフトウェアであるファーム
ウェアを改造した非公式ファームウェアのことである。
公式ファームウェアを基本として、それに改造を行うと
いう形をとっているため、基本的に公式ファームウェ
アの機能はすべて利用することができる。
「ファイル共有ソフト」とは、インターネットを通じてフ
ァイルを不特定多数で共有することを目的としたソフト
ウェアである。手軽にデータを共有できるという点から、
著作権によって複製に制限があるデータを共有させ
るといった問題も発生している。違法な音楽データ、
映画、ゲームソフトが大量にアップロード、ダウンロー
ドされており、日本での逮捕者も後を絶たない。
2.3 実際に起きた事件とケーススタディ
ここでは実際に著作権法違反で起きた事件をまと
めた。
3. 学内での違法コピーに関する調査
3.1 調査の目的
調査の目的は、全国的に広がっているゲームソフト
の違法コピー等の著作権法違反行為は、本大学の
学生も例外とはいえないであろうし、学生がどんな考
えで、いかなる方法でゲームソフトの違法コピーやフ
ァイル共有ソフトを利用しているのか、そしてそれはな
ぜなのかを調べることである。
3.2 調査の方法
53人の学生にアンケートを無記名回答で行った。
無記名回答のため正直な回答が得られると考えられ、
学内での海賊版ゲームソフトやファイル共有ソフトの
利用の実態を調査した。
3.2 調査の結果と考察
調査の結果、図 1 の質問の結果のように違法行為
であるとわかっていながらコピーソフトを利用している
人や、図2、図3の質問の結果のようにファイル共有ソ
フトを利用している人も大勢いた。また、もしかしてこ
の人はあまり著作権法に詳しくないのかもしれないと
いう回答をしている人も大勢いた。それらの人のため、
また、違法行為をやめさせるためにも、違法コピー防
止のためのガイドラインを作成した。
東京国際大学商学部 情報システム学科/情報ビジネス学科
2011 年度卒業研究発表会予稿集(2012 年 2 月 11 日(土))
4. 違法コピー防止のための提案
4.1 防止のためのガイドライン
ガイドラインの内容はコピーしたゲームソフトの利
用やどのような行為によって違法となるのか、また、そ
の罰則について詳細に説明している。ファイル共有ソ
フトの利用についても説明しており、その危険性につ
いても触れている(図4)。
2010 年から施行されたダウンロード違法化に関し
ても詳細に説明しており、特に、著作権法にあまり詳
しくない人が行ってしまいがちな違法行為の例を挙
げており、これにより学生による違法行為を減少させ
ることができるのではないかと考えられる。
図 1.「マジコン」や「CFW」を使いゲームを遊ぶこと
に罪悪感はありますか?
図4.ガイドラインの例
図2.現在ファイル共有ソフトを利用していま
すか?
4.2 ガイドラインの公開
河村研究室の Web サイトで公開することで、学内・
学外にかかわらず誰でも閲覧できるようにする。その
URL は,次の通りである。
http://www.tiu.ac.jp/seminar/kawamurk/kkzemi/
5. おわりに
作成したガイドラインが今後在学生や新入生の違
法行為をやめるきっかけになり、知らずに違法行為を
行ってしまっていた学生に対し正しい知識を与えるこ
とを期待したい。
謝辞
最後に、本論文の作成や実験にご指導・助言くだ
さった東京国際大学商学部情報システム学科教授の
河村一樹先生に感謝の意を表します。
図3.ファイル共有ソフトを利用している理由
は何ですか?
参考文献
(1) コンピュータソフトウェア著作権協会:図解 わか
る著作権 クリエイティブ×ビジネスの基礎知識, ワー
クスコーポレーション(2010)