海外フランチャイズ情報 《2009 年 6 月号》 No.030 2009 年 6 月 30 日 《目次》 ◆複数店舗フランチャイズ -ハードルは高いが効果的な成長戦略- ◆フランチャイズ協会情報 ◆フランチャイズ関連イベント開催予定 ★複数店舗フランチャイズ -ハードルは高いが効果的な成長戦略- フランチャイジングワールド誌 2009 年4月号 イーグル・タックス・グループ社長兼 CEO、IFA 理事、IFA 認定フランチャイズ経営士 ロッコ・ フィオレンティーノ氏寄稿 フランチャイズ界を見ると、年を追う毎に、複数店舗オペレーターとなるフランチャイジーが増 え、複数店舗をこなせるフランチャイジーを育成しようと努力するフランチャイザーの方も増えて いる。今はもう、単一店舗をやめてしまい、複数店舗しかオファーしないフランチャイザーが沢山 いる。フランチャイジングが始まってから 50 年以上経つが、この 10 年の潮流は、著しい複数店舗 の成長である。今後、予測できる将来は、複数店舗オペレーターが主流となることは確実である。 フランデータ社(訳注:フランチャイズ調査会社)のダレル・ジョンソンによると、フランチャ イズ店舗の 50%超は、複数店舗オペレーターによって運営されており、全フランチャイジーの 20% は、複数店舗オペレーターである。この数字は増加し続けると予想されている。フランチャイジー とフランチャイザーの双方にとって、複数店舗の増大は、非常に良い出来事になる可能性がある。 この傾向は、特に二つの側面から支えられている。一つは、今や、プロが経営する大組織による、 複数コンセプト且つ複数店舗のフランチャイジーの時代になってきたことである。この種フランチ ャイジーは、大きな構図の中で相当な地位にいることに専念し、手段としての商品コンセプトを、 もう一度始めから自分で創り出すことには興味を持たない。勝ち組の側につき、実績のあるシステ ムの中で大きな部分を占めようというのである。こうした大組織からは、しばしば、組織の中核で あった従業員が、フランチャイジーとして独立、小さな会社がスピン・オフする。 もう一つは、フランチャイザーが、複数店舗オペレーターを、恐れるのではなく、受け入れるよ うになってきたことである。この数年間で、考え方に大きな変化があった。ダンキン・ブランドは、 複数店舗に向けて舵を切り、単一店舗のオファーを止めてしまった多くのフランチャイザー組織の 中のひとつである。これからは、成長促進のため、もっと多くのフランチャイザーが続くことにな -1- ろう。 フィラデルフィア州在の、フッシャー・ズッカー法律事務所フランチャイズ弁護士、IFA 認定フ ランチャイズ経営士のレーン・フィッシャーによると、フランチャイザーが新しくフランチャイズ 契約書をつくるときは、殆ど全員が、複数店舗およびエリア開発の条項を入れるように求めてくる。 単一店舗と複数店舗の違い 単一店舗のオーナーと複数店舗をこなせる者には、似たところと、大きく違ったところとがある。 実績のあるシステムを求めるのは、両者とも同じである。ただ、最終目標のところで、大きく違う。 単一店舗のオーナーは、自身および家族の堅実な生活を確保しようとする。事業拡大のチャンスが 来たときは、長い時間軸の上で実現し、リスクは何年間にもわたって分散させる。従ってまた、成 果も長年の上に延べられる。 最初から複数店舗でスタートするフランチャイジーがいる一方で、単一店舗で始めて、時間をか けて拡大する者がいる。他人に仕事を任せることをためらわず、成長経営を行う方を取るフランチ ャイジーと、少なくとも当初は、オーナー兼オペレーターで良い者とがいるからである。複数店舗 を管理するのに必要なスキルは、単一店舗を管理するスキルとは、全く違う。 単一店舗のオペレーションで成功したオーナーが、複数店舗で成功する保証はない。複数店舗の オペレーターで成功するのは、口で言うほど簡単ではないこともある。自分で店舗を管理するかわ りに、他人の管理を通じて経営計画を遂行して行くのは大変だからである。 複数店舗をこなせる者は、大きな計画を立て、早く成長したいと思う。この計画では、与えられ た市場で急速に拡大することが可能なブランド、急速な拡大を支える資本が必要であり、何よりも、 成長戦略を実施する人間を育成する能力が不可欠である。 過去には、多くの場合、このような“求められる”フランチャイジーは、自身、資本に恵まれて いたか、または、少なくとも、資本を提供する投資家や貸し手をかかえていた。これは、どんなフ ランチャイズ・システムにとっても、急速に成長するための誘引であることは明らかである。ただ 現在は、周知のように、経済的な苦境にあるので、フランチャイザーとしては、今まで以上に、フ ランチャイジーに、金融上の選択肢を提供して行く必要が生じており、また、フランチャイザーの 金融力の強さが、フランチャイジー候補とその投資家や貸し手にとって、重要な検討要素になって きている。 打って出るためのルール この方向に進攻しようとする前に、確かめておかなければならない要点がいくつかある。 まず、準備は本当に整っているか。フランチャイザーは、ここ数年間、将来の成長戦略を複数店 舗/複数ブランドと見定めて、準備してきている。システムも、ビッグ・プレーヤーをサポートでき るように再構築している。ビジネス開発チームは、既に、こういうビッグ・プレーヤーに手を伸ば し、関心を引き寄せるだけの知識経験を積み上げている筈である。店舗の収益性モデルは、ビッグ・ プレーヤーや、それがかかえる投資家の要求水準を満足させなければならない。その上で、システ ム全体の売上増余力が、決定的な要素となる。システムは、単に店舗オーナーに堅実な生活を保証 する以上のものを提供できると、納得されなければならない。この新人類・起業家達は、投資収益 率や資産価値増加を求める。彼等にとっては、CFO(訳注:一般的には、Chief[=最高] Financial[= -2- 財務] Officer[=責任者]、即ち「最高財務責任者」の頭文字をとった略称)とは、最近では、 “Cash Flow Officer”(訳注:Cash Flow[=現金収支] Officer[=責任者])の頭文字をとった略称である。 拡大のためには、Cash[=現金]が一番大切だからである。 今日、フランチャイザーは、閉店数、経営難店舗への支援、システム全体の成長率、および、業 種ごとの成長率について、過去の実績で評価されている。システムおよびフランチャイザーの両方 の実績について、比較可能なリスク分析を提供できることは、良好な成績を残してきたフランチャ イザーにとっては、確かに有利な要素である。 フィラデルフィア地域でスーパー(ヘア)カット・サロン 32 店舗のオペレーターであるゲアリー・ ロビンズは、彼の組織の場合、複数店舗オーナー成功の秘訣は人間、彼の言い方では、“人的資本” だと語る。これに加えて、連帯や信頼関係もつくりあげていかなければならないが、これも帰する ところは人間だと。 フランチャイザーが、 “大魚”を釣り上げようとしていることは理解できる。では、拡大意欲を持 つ既存の単一店舗オーナーに対して、何か手を打っているのだろうか。システム内の“良きフラン チャイジー”を育てるメリットはないのか。拡大意欲のある、良き単一店舗フランチャイジーは沢 山いる。過去の実績も良好である。システムの基準にはいつも従い、ロイヤルティは遅れずに支払 い、おしなべて良き法人市民である。彼等は、ブランドの木の“低いところに垂れ下がっている美 味しい果実”とも考えられる。この“ブランド大使”達は、自分と同じ市場内なら、失敗してしま った店舗を頼まれて肩代わりしたり、新店舗候補地を他の競争相手に取られてしまう前に引き受け たりして、全システムに良い影響を及ぼす。大きな成長を見込めず、小さくて重要ではない市場に は、こうした既存のフランチャイジーが店舗を追加してブランドの知名度を上げる絶好のチャンス がある。 “計画的”にも“自然”にも、複数店舗フランチャイジーになれる “計画的”に: “大魚”とは、複数店舗フランチャイジーの中でも、比較的短期間に広大な地域を 開発することにしか興味を示さない者を指す用語である。個人であれグループであれ、この手のフ ランチャイジーは、インフラは備えており、不動産、地域マーケティング、オペレーション、金融 等について、コネも経験も持っている。場合によっては、 “大魚”は既に、或るブランドで複数店輔 を運営していて、その上で、既存のインフラを活用できるような、他のブランドなりコンセプトを 物色しているのである。 複数店舗の組織といえども、多くは、ブランドごとに個別のオペレーション・チームが必要にな るとは、当然あり得る。しかしながら、その他に、インフラや経営陣の多くの部分は、共用が可能 である。人事、経理、不動産、建設等、幾らでも挙げることができる。 普通、 “大魚”は、既成のしっかりしたブランドに大きなチャンスありと見るが、新興のブランド なりコンセプトを使って地域に食い込もうとすることも、ままある。どちらの場合であっても、フ ランチャイザーとしては、 “大魚”と、戦略、業務拡大計画、サポート・サービスの変更、さらには、 (アグレッシブな複数店舗オペレーター、または、受身な店舗オペレーターのための)店舗収益性 モデルをも、共有できなければならない。良好な関係のためには勿論、両者の長期的目標が一致し ていなければならない。複数店舗オペレーターは、両者が合意した開発スケジュールを守り、達成 する責任がある。フランチャイザーの方は、成長の各過程に対応し、サポートしなければならない。 -3- 皆が責任を全うすれば、報酬は大きい。 “自然”に:単一店舗オペレーターも、資金の余裕、拡大意欲、インフラ整備能力等に合わせたペ ースで、いずれは、1つか2つ、店舗を増やしたいと思うようになる。人によっては、リスク認容 度が低いので、より多い余裕資金、また、より少ない借金を求める。 このタイプのオペレーターの大問題は:どれだけ大きくなるか、どれだけ早くやるか、である。 これは、いろいろな面で難しい成長戦略である。単一店舗オペレーターは、拡大すべき時を知ら なければならない。だが、皆が分かっている通り、タイミングが全てなのである。 それは、どうしたら自分の強いところを十分生かし、弱いところは人に任せられるのか、学ばな ければならない時なのである。加えて、組織が拡大するのに合わせて成長して行ける強いチームを つくることも、非常に難しい。直接の管理監督下で、良い成績をあげる店舗マネージャーは、直接 の管理監督下でなくても、同じように、または、それ以上に、良い成績をあげなければならない。 複数店舗オペレーターとなれば、目の前の日常業務に埋没するのではなく、今度は、自分の能力を 最大限使いきり、チームに明確な指示を与え、収益と効率的なオペレーションに集中することをマ スターしなければならない。 変わるのが難しいという人もいるであろう。複数店舗オペレーターには、多くの新しい分野に責 任が生じる。不動産、建設、金融、その他に、時間と労力をとられよう。ただ幸いなことに、フラ ンチャイジーの多くが、この方向に動こうと考えており、中には、既に走り出している者もいるの である。 ★IFA(米国フランチャイズ協会)情報 アフリカの診療所フランチャイジングに支援を(5 月 1 日) 有力フランチャイザーその他の企業家が設立した NPO 法人“ヘルス・ストア・ファウンデーショ ン”の子会社“CFW”がフランチャイザーで、経験を積んだアフリカの看護婦をフランチャイジーと する“ビジネスフォーマット・フランチャイジング”が、年間 50 万のアフリカの子供達を救ってい る。診療所開設には 1 件 5 千ドルかかるが、これを CFW がフランチャイジーに融資する仕組。CFW は、現在の 85 診療所を、今後数年で 400 にする計画で、融資資金の寄付(所得控除)を募っている。 セブン-イレブン関連 ・フランチャイジーのリース条件見直し(5 月 1 日) フランチャイジーの店舗が苦戦している地域では、リース料を減額するよう努力する、と不動産・ 店舗開発担当バイスプレジデントのダン・ポーター。 ・意欲的な店舗増設計画(5 月 18 日) 多くの小売業で閉店が続く中、本年は 200 店の増設を計画(現在、米国とカナダで 6,200)。車の 乗り入れが便利なショッピングセンター両端部で立地を狙う。 マクドナルド関連 ・国際部門が好調を持続(5 月 11 日) 4 月の国際部門売上は前年同月比 6.9%増、72 ヶ月間連続の増加。アジアでは、中国がやや伸び悩 -4- んだが、オーストラリアと日本で牽引した。CEO のジム・スキナーが発表。 ・マックカフェが順調なスタート(5 月 27 日) マクドナルド USA 社長のドン・トンプソンは“期待した以上の滑り出し。マーケットシェアは 6 ヶ月後に判明する”と。米国ではマクドナルド 14,000 店の内 11,000 店にマックカフェを出し、 ヨーロッパでは、1,100 店規模にする予定。因みにスターバックスは、現在、ヨーロッパでは 1,400 店。 大手レストランでは、従来の棲み分けは通用しない(5 月 27 日) 前者が自身のブランドを見直している。KFC はグリル・チキンを、マクドナルドはコーヒーを、 ピザハットはパスタを、メニューに入れた。全国レストラン協会の調査主任ハドソン・リールは“業 界に新しい動きが出ている。金融危機がきっかけ”と。 ★CCFA(中国連鎖経営協会)情報 食品流通許可制度を開始(5 月 13 日) 食品小売業者は、食品安全法(6 月 1 日施行)下の食品流通管理規則に基づき、上記許可の取得 が義務付けられる。従来の食品衛生ライセンスに替わるもの。 KFC が“ www.kfcyouhui.com”を開設(5 月 14 日) このサイトから各種 E-クーポンがダウンロードできる。5 月 1 日から、49 都市で、最大 33%ディ スカウントの販促キャンペーンを行ってきたが、これが、あと 1 ヶ月で終了するタイミングで発表 した。 電化製品、自動車販売増加のための補助金(5 月 20 日) 政府は、古い自動車や電化製品を持ち込み、新しい省エネタイプの自動車や電化製品に買い換え る場合の補助金制度を拡充する。自動車では、現在の予算枠 10 億元を 50 億元に増額、電化製品で は、新たに、予算枠 20 億元を設定する、と発表。但し、詳細はこれから。国内消費刺激が目的。 マクドナルドが 24 時間宅配サービス(5 月 21 日) マクドナルドは、北京、広州、深センで、24 時間宅配サービスを開始すると発表。今後、武漢、 南京、天津に拡大。30 分以内に届け、料金は 7 元。 中国が IMD 国際競争力評価で 20 位に(5 月 21 日) スイス・ローザンヌにあるビジネススクール IMD(国際経営大学院)が毎年発表する国際競争力 評価で、中国は、昨年より総合点を 3 位落とし、20 位になった。部門別評価では、国内経済、国際 貿易、雇用、公的金融、労働市場、科学インフラで高く、国際投資、ビジネス法整備、経営管理、 健康・環境で低かった。因みに 1 位は米国、2 位は香港(訳注:シンガポール 3 位、日本 17 位、マ レーシア 18 位)。 -5- ★各国フランチャイズ関連イベント開催予定(2009 年 7 月~) ※協会主催、民間主催含む ◆アジア・オセアニア◆ ◆ ►フランチャイズ・エキスポ&コンファレンス 2009/07/01-05 フィリピン・マニラ ►クライストチャーチ・フランチャイズ・エキスポ 2009/07/04-05 ニュージーランド・サウスアイランド ►フランチャイズ・インターナショナル・マレーシア 2009/07/31-8/2 マレーシア・クアラルンプール ►オークランド・フランチャイズ・エキスポ 2009/08/14-16 ニュージーランド・ノースアイランド ►ベトナム国際フランチャイズショー 2009/09/10-12 ベトナム・ホーチミン ►フランチャイズ&ライセンスアジアショー 2009/10/15-17 シンガポール 2009/08/04-06 オマーン・マスカット 中 東 ◆ ►フランチャイズ&リテイル・エキスポ ◆ ロ シ ア ◆ ►フランチャイズ・エキシビション“バイ・ブランド”2009/09/22-24 ◆ ◆ 北 米 ロシア・モスクワ ◆ ►ザ・フランチャイズ・ショー 2009/10/03-04 カナダ・モントリオール ►ザ・フランチャイズ・ショー 2009/10/24-25 カナダ・トロント 2009/11/13-14 イギリス・グラスゴー 欧 州 ◆ ►スタート・エキシビション・エッセン ※開催日等は変更される場合がございます。 -6-
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