新しい段階に入ったグローバル化時代の経営 GLOBAL ENTERPRISE

新しい段階に入ったグローバル化時代の経営
有望なる前途 それとも 危機?
THE
CENTER FOR
GLOBAL
ENTERPRISE
エグゼクティブ・サマリー
April, 2013
200 Park Avenue
Suite 1700
NY, NY 10166
はじめに
過去 20 年にわたって、グローバル化は多くの国々の経済を一変させてきました。テクノロ
ジー、商取引、資本の相互作用は経済成長率の上昇をもたらし、世界各国に暮らす何十億も
の人々に多くのチャンスを与えました。即ち、誰もがどこであろうと、そしてどのようにで
も、ビジネスできるという変革をもたらしたのです。また、グローバル化はビジネスそのも
のにも変革をもたらしました。こうした変革は、経済的価値の本質と定義だけでなく、企業
の構造にも影響を及ぼしてきました。その変化の象徴がグローバルに統合された企業(GIE:
Globally Integrated Enterprise)の出現です。GIE とは、経営面と事業面で真に「グローバル」
な企業(単なる「多国籍」ではない)を意味しており、製品だけに留まらず、サービス、資
本、アイデア、知的財産など、あらゆる分野におけるグローバルなサプライ・チェーンを活
用しているのです。
このグローバル・ビジネスの新たな時代を推進するテクノロジー、経済、社会の力は日常的
に存在し、世界中のどの自治体、企業、業界においても、先進的な考えを持つリーダーたち
は、これを掴み取ろうとしてきました。起業家、企業経営者、市長、組織の長、地域社会の
指導者など、こうしたリーダーたちの間では古く観念的な定義や境界は捨て去られ、もはや
既に通用しないものとなっています。
「どうすれば成功するのか?」という一点に集約されだ
したのです。
こうしたリーダーたちは刺激的で人を動かさずにはおかない新しい道を切り拓き、世界の多
くの地域で生活水準の向上につなげてきました。よって、近い将来を楽観視することには理
由があるのです。
しかし、
「過去の運用成績は将来の業績を保証するものではない」という投資ファンドの一般
的な免責条項を心に留めておくことは重要です。経済動向が有望で、実践的なリーダーがい
たとしても、グローバルな統合が今後も続くとは限りません。また、継続的な発展が容易に
実現するという保証もありません。丁度 100 年前、世界は平和と繁栄の新たな時代を迎えて
いると言われていました。ところが、その崇高なビジョンはその翌年に容赦なく打ち砕かれ
ました。戦争が始まり、グローバルな統合の動きがその後数十年にわたって抑圧されたので
す。この出来事から得た教訓の一つは、弱みを特定し、それが広がる前に取り組まなければ
ならないということです。この取り組むべきプロセスの第一歩で、かつ、最も重要なステッ
プは、綿密な調査を実施することであり、それを通じて、世間一般並びに企業間の双方にお
いて、グローバルに統合された企業(GIE)の価値および理解を深めることです。
新しい時代への新たな挑戦
発展途上国および先進国の市場が直面している大きな(その多くが新しい)課題を解決する
上で、この綿密な調査を実施するという第一歩はまさに時機を得ていると言えます。

新興経済国の多くでは、GDP と一人当たりの国民所得が上昇し続けていた時代は終わ
りを迎えようとしています。これは、
「中流所得の罠」と呼ばれるもので、低所得から
中所得経済への移行が容易であるのに対し、中所得から高所得経済への飛躍が困難で
あることを示しています。さらに、こうした変化は世界中で同時に進行しており、か
つてないほど多くの国々が中流所得国レベルに近づくか、または既に到達しています。
-2-
このような状況は過去に例がなく、未だ人々の理解が及ばない規模で激しい競争的状
況を生じさせています。成長市場は、グローバルな統合を通じて容易に得られる成果
を享受してきました。しかし、今日では、より高いレベルの規制、より高いレベルの
規範、そして商品やサービスの質、賃金や労働条件、知的所有権の保護や法規制といっ
た様々な面における期待は高まる一方であり、そうした劇的競争環境下での経営を強
いられています。
ここでは「より高い」という言葉を意図的に使用しています。通常の社会通念では「徹
底した競争」を通じて国は成長できると説いていますが、企業や国(またはその他の
事業体)が新たなグローバル経済で長期的な成功を収めるためには、より高い基盤の
上で経営しなければなりません。

それに反して、先進諸国は刺激的な新しい好機に直面しています。西欧、北米、日本
など低成長の地域や国々を語る時、
「刺激的な」という言葉を敢えて使うのはひねくれ
ていると思われるかもしれませんが、イノベーションに基づくグローバル経済で、成
功を収めるために必要な能力やスキルの多くは、これらの国々あるいは他の成熟市場
に深く根付いているのです。
しかしながら、成功するかどうかは、いくつかの途方もない課題に取り組む先進諸国
のとりわけその企業、政府、社会におけるリーダーにかかっています。過去 30 年にわ
たるグローバルな統合を通じて、これらの先進諸国は、財政面のみならず、競争力や
時には「信用」の面においても膨大な負債を積み重ねてきました。こうした国々では、
人口の高齢化が進み、インフラは老朽化し、学校は期待以下のものとなりました。そ
して、政府も周囲で進行している変化に対応できませんでした。
今や、こうした負債に払うべきツケが(一遍に)回って来て、近年のまあまあという
程度の経済成長率は、過去数十年より鈍化していることから、
「新たな常態化」といっ
た話題の元となっています。このようなことから、長年にわたって積み重ねられた構
造的諸課題に緊急に対処することが先進国では求められています。しかし、経済的課
題より政治的課題が大きくのしかかっており、その解決は途方もないものになるで
しょう。

貿易動向の変化を反映し、国際貿易と貿易における主導権の不均衡は是正する必要が
あります。過去 20 年間、新興市場国は国内消費よりも輸出に大きく依存してきました。
一方、成熟経済国は、安い輸入品や住宅の購入によって消費景気に沸いていました。
こうした国々では、製造業がますます切り捨てられていきました。現在、世界情勢は、
より調和の取れた状態へと再び戻りつつあります。成熟経済国による支出の削減と新
興経済国で躍進する中産階級の購買力が相まって、新興経済国は国内消費に走り始め
ています。その一方で、成熟経済国は、様々な要因(米国内における燃料生産の増大
や国内製造業の復活など)に支えられて輸出を伸ばしています。特に重要なのは、ディ
ジタル化の進展により、サービス業がグローバル化し、輸出が可能となったことです。
また、製造業およびサービス業における中小企業についても、ディジタル革命の結果、
グローバルに統合化された企業(GIE)になることができるようになったことです。
-3-
世界中の企業および国々が直面しているさまざまな課題は、複雑に入り組んだ、相互接続さ
れたシステム上の問題であるかのように思われます。実際には、こうした問題はすべて、よ
り統合されたグローバルな経済や社会へ向かう歴史的な変化の兆候を示しています。この変
化は好循環を引き起こす新たな可能性をもたらしますが、そのためには適切な概念上の枠組
みについて合意を形成し、ビジネス、政策、慣行、統治に対する解決策を国内・国際レベル
で模索する必要があります。しかし、企業や社会のリーダーには、実用的な運営管理、意思
決定、基本方針に対する概念上の共通基盤が欠けています。過去の歴史上の転換点と同様に、
この新時代の可能性を活かし、変動期に生じやすいリスクを回避するには、新たな言語と思
考が必要となります。
新しい時代への新たな思考
新たな言語と思考における重要な要素は、グローバルに統合された企業(GIE)を対象に総合
的な調査と研究を行なうことです。この調査を通じて、GIE の全体像が明らかになり、成功
および失敗をもたらす要因と、GIE が経済的機会を増進し生活水準を向上させる手段が浮き
彫りになります。さらに、この調査は、既存の GIE の成長を促しビジョンの実現を目指すた
めの運営上の実践的なロードマップを提供します。GIE に関する理解を促進し、過去に何が
-4-
うまくいき、将来は何がうまくいきそうか、を明らかにすることで、この調査は世間の誤解
を正し、前向きな公共政策環境の実現を促します。
新たな言語と思考の開発には、グローバルな経済活動の価値について理解、調査、評価する
新たな方法を考案することも欠かせません。新たな評価基準とカリキュラムから得られた情
報に基づいて、企業や政府のリーダーは、現代の状況について理解を深め、新しいツールを
使用してそれに備えることができるようになります。一方、新しい解決策を模索する必要性
を強調することは、多くの国々と主要な国際機関を間違った方向へ導く時代遅れの思い込み
にすぎません。そこには、過去 30 年間のグローバル化、現在および将来のダイナミックなイ
ノベーション(クラウド・コンピューティング、モバイル・デバイス、ブロードバンドの浸
透など)、グローバル・ビジネス全体で進行している変革が反映されていません。
同様に、従来のグローバル・ビジネス関連用語の多くは時代遅れになりつつあります。考案、
製造、配送される商品の大半が世界中の多数の場所で生じている時、
「輸入」と「輸出」はど
のように区別されるのでしょうか。別の言い方で、もはや「外」が消滅した統合された市場
と経済において、「海外調達」は有り得るのでしょうか。
グローバルな統合に寄与する新たな思考を喚起し、その育成を継続するには、いくつかのパ
ラダイム・シフトが必要になります。その主な例を以下に示します。
-5-

グローバル企業の理解促進:
企業がその収益の大半を他国での事業展開で得ている
場合でも、設立された国で企業を定義する傾向が今もなお見られます。こうした傾向
は、狭い見方に陥りがちで、誤った政策の導入、あるいは、世間の認識を誤った方向
に導きかねず、結果として特定の市場で企業が活動あるいは成長する能力を阻害して
しまうことになります。企業はその本国政府のスパイとして活動しているとか、自国
の美徳を固有の特性として備えているなどの憶測をしばしば呼び起こすこともありま
す。多くの国で国有企業が存在していることは認めますが、グローバルに統合された
企業(GIE)は民間部門にしっかりと根付いています。これらの企業は極めて多種多様で
あり、国の境界線によって恣意的かつ不正確に分類されています。従って、世界中で
事業展開している企業は、その実像であるグローバルに統合された企業として認識さ
れ、それに応じた扱いを受ける必要があることは明らかです。

イデオロギーに対するデータの勝利:
今日、新しい天然資源とも言えるデータは触
媒としての役割を持ち、グローバルな統合における運用上の利点ならびに欠点、新た
なビジネス・モデル、経済価値の定義についての理解を深めることに役立っています。
大量データの新たな供給がもたらす機会を最大限活用できるかどうかは、生産、社会、
統治、あるいは自然についてでさえも、従来の伝統的な考え方を破棄できるかどうか
にかかっています。ますます硬直化する左派と右派の独断的主張は、実際のグローバ
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ル・システムが運用されるのにそぐわないものです。このような独断的主張は、社会
契約や労働契約のベースとはなりません。真に革新的であるためには、グローバル・
ビジネスの日々の現実を踏まえた事実に基づくデータ主導の取り組みを開始する必要
があります。

リーダーシップの新たなモデル: 今日の社会通念に照らせば、市民社会は「リーダー
シップの危機」に瀕していることになります。しかしながら、新世代のリーダーにつ
いてはほとんど知られていません。その多くは、市町村レベルに存在し、テクノロジー
を受け入れ、実践的、協調的かつ特定のイデオロギーに依存せずに業務をこなしてい
ます。市長、警察署長、学校組織のリーダー、非営利法人(NPO)の代表などが下す
決定は、直ぐに人々の目に見えます。その意思決定は、スマートに物事をやり遂げる
という信念に貫かれています。こうしたリーダーの仕事や取り組みは、特に意思決定
をする上で、協調をベースとして解決しようとする時、より注目されるべきであり、
さらなる権限が与えられなければなりません。
企業の幹部は、この新たなリーダーシップ・モデルを採用する必要があります。これ
は、「短期主義」という誘惑に抵抗し、基礎研究のような長期成長の源泉に投資して、
存続および発展が可能な仕組みと制度の構築に向けて努力することを意味します。同
様に、自社の刷新に偏見を持ち込まないことも意味します。これは、第一幕の成功は
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第二幕の成功を保証するものではないからです。効果的なリーダーシップはさまざま
な形態をとりますが、
「カリスマ性」という曖昧な概念を中心にすることではありませ
ん。目的はカルトを作り出すことではなく、企業の最高幹部が交代するという当然の
起こり得るケースにおいても、持続可能なリーダーシップの文化を築くことです。

取引、人々、アイデアのオープンで安全な流れ:
保護貿易主義や重商主義への後退
は防がなければなりません。そうは言っても、グローバル経済が急速にサービスへ移
行しているにもかかわらず、今の貿易体制は総じて製造業に基づいているため、貿易
体制を現状に合ったものに改める必要があります。移民規制の継続(場合によっては
強化)により、切望される雇用創出に寄与するイノベーターが経済から閉め出される
傾向も見られます。さらに重要なのは、情報とテクノロジーのオープン・スタンダー
ドを確保し、共有化が進んだイノベーションの社会形態を支援しながら、知的財産の
保護も同時に強化しなければならないことです。重要なインフラストラクチャーおよ
び社会システムのセキュリティー確保と個人のプライバシー保護を同時に行なうグ
ローバル・システムも必要になります。最後に、サイバー空間におけるシステム上の
財務リスク管理のために国際的な標準と実践手段が必要となります。
グローバルな統合のプロジェクトでは、地域や国、イデオロギーのセクト主義に陥らないよ
うにすることが必須の原則となります。その全体像を心に留めておく必要があります。
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従って、先進諸国の進歩的な考え方を持つリーダーは、中流所得の罠にはまっている新興国
がより高い安定水準へ円滑に移行できるように支援しなければなりません。同様に、新興市
場の進歩的なリーダーは、成熟市場の構造的な諸課題に対して、思慮深いバランスのとれた
長期ソリューションの促進を支援する必要があります。その例として、緊縮経済への転換一
辺倒ではなく、インフラ、教育、研究開発への投資拡大などが挙げられます。
全体像を掲げるには、最初にそれを定義しなければなりません。この定義は、企業、業界、
都市、国、非営利分野に至る市民社会全体に適用する必要があります。
The Center for Global Enterprise
The Center for Global Enterprise (CGE)は、このようなニーズに対処することを目的とし
ています。CGE は、多方面にわたるアプローチを推進しようとしています。以下にその重点
項目を示します。

グローバルに統合された企業(GIE)について、プラス面とマイナス面を含めた
明確で詳細な理解促進を図るとともに、これらGIEのために運営上の実践的な
ロードマップを作成します。
-9-

21 世紀におけるグローバルな企業、市民、リーダーであることの意味について認識
を深めます。

企業、業界、政府、社会がさらに進歩した豊かな未来を実現するためのプロセスを
もたらすために、今生きている時代とこれから生きるであろう時代の両方を反映し
たアイデアと枠組みを形成します。

グローバルな政策とビジネス手法の効果を高めるために、グローバルな統合が意味
する内容について新たなコンセンサスを形成します。
上記目的を達成するために。当センターは以下のイニシアティブを推進します。

グローバルな統合に関連するさまざまな問題について議論するために、広範囲にわ
たるリーダーと研究者を招集します。これらリーダーと研究者は、多様な産業分野、
地域、専門領域から人材を選出し、特定の政党やイデオロギーに依存しない、幅広
い視野と専門知識を持っています。

世界の主要な企業、ビジネス・スクールと連携し、グローバルに統合された企業に
役立つ経営科学とリーダー育成の開発および評価を行ないます。

グローバルな統合の特徴を記述し、新たな政策を促進して統合の実現を図るために
- 10 -
新しい言語と測定手段を具現化します。その最も重要で現実的な機会を特定する応
用研究を推進します。この研究イニシアティブは、「フォーリン・アフェアーズ」誌
に掲載された、グローバルに統合された企業に関するサミュエル・J・パルミサー
ノの論文(レポート)に基づいています。同イニシアティブの取り組みには、GI
Eに関する事例とケース・スタディを扱う包括的なデータベースの構築も含まれま
す。その他の潜在的な研究のトピックとテーマには次のようなものがあります。

GIEの良い実践例に焦点をあてたグローバル企業の状況調査 (例:共有
サービス、サプライ・チェーン、スキル、文化、リーダー育成、基本戦略、
企業市民活動)

特定の都市や国で産業が発展した仕組みとその理由に関する調査
グローバル化により、産業の中心地は先進諸国から開発途上国へと移るので
しょうか?それとも、産業自体がグローバルに統合されたプラットフォーム
となり、仕事や流通が世界中でネットワーク化されるのでしょうか?そうだ
としたら、すべての業界とそれを構成する企業や消費者にとって、この新し
いモデルはどのような意味を持つのでしょうか?

GIEを結びつける特長とパターンおよびグローバルな統合を頓挫させる
可能性が最も高い影響力に関する調査
- 11 -

グローバル化の影響に関する既存研究を特定したレビュー、一般に受け入れられて
いる調査方法、これらの調査方法が依拠する前提事項、現在の見解における一致点
と矛盾点、さらなる調査の必要性などを明らかにします。

米国と中国を当初の対象とする調査研究に着手し、企業、政府、市民社会のリーダー
と一般市民が外国および外国でのビジネス・チャンスにどのような認識を抱いてい
るのかを明らかにします。この調査では、経済・社会に及ぼすグローバル化の影響
に関する意見を抽出します。
(例:
仕事、経済成長、投資、貧困、医療、教育にグ
ローバル化はどのような影響を与えているのか)
当センターはまた、企業、大学、政府、市民社会の利害関係者とのコラボレーションの機会
も見出します。これらの関係者は、21 世紀のグローバルな統合とこの新時代に企業が果たす
役割について、国民の理解を深める活動に取り組むことを想定しています。
【GIE 完成度モデル】
当センターの主要業務は、企業のグローバルな統合の幅と厚みを評価する枠組みを設けるこ
とです。
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今日、どの企業も、グローバルな統合に関する最良な考え方を適用して経営に臨んでいると
いうわけではありません。企業内の各組織は、
「戦後最後の世代」の古いマネジメント思考に
始まり、GIEへと向かう途中の段階にあると考えられます。
GIEの「完成度モデル」を構築することで、当センターは、企業の相対的な発展段階を総
合評価し、企業内各組織の発展の程度を示すことによって、企業の現状を明らかにすること
ができます。この完成度モデルは、業務および職務上のリーダーに対して当センターのスタッ
フが実施したインタビューに基づくものです。組織に関する学術論文や近刊本は、GIEの
初期の完成度定義を仕上げる際に役立ちます。だからと言ってデータを疎かにするものでは
ありません。組織あるいはビジネス・パフォーマンスに関するデータの裏付けによって最終
確認を行ないます。
この完成度モデルは、職務上のパフォーマンスを 4 つの側面から考察します。
1.
生産性:
同等の単位当たり生産高に必要なリソース量(例:年間の取引先当たりのフ
ルタイム顧客サポート担当者数)
2.
迅速性:
成果物(生産品)の納入に必要な時間
(例:顧客サービス・センターの応
答時間)
3.
正確性:
実際の生産高と意図した生産高の関連性
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(例:カスタマー・サポート・セ
ンターでの最初の平均問題解決率)
4.
精度:
生産高の一貫性
(例:カスタマー・サポート・センターの最初の問題解決の
統計的分布)
当センターは、パフォーマンスの 4 つの側面をすべて考察します。企業は、各側面を均等に
評価すべきではありません。職務によっては、パフォーマンスの一部の側面がより高い価値
を持つことになります。例えば、バックオフィス・サポート部門では、生産性が最も重要な
側面となり、物流管理では、迅速性が最も重要な側面となります。ほとんどすべてのケース
で4つの全側面にパフォーマンスの最小閾値を設定する必要があります。当センターの調
査・分析データは、あらゆる業界と地域の企業、さらには公共機関や非営利団体に役立つも
のであり、予断を排してパフォーマンスの各側面を考察します。
当センターの核となるデータは、GIE完成度モデルで各側面を浮き彫りにした企業の実際
の職務パフォーマンスを収めたデータベースに基づいて形成されます。
まとめ
ビジネスのグローバル化とグローバル経済の広範な統合は、歴史的に前例のない生活水準を
何十億もの人々にもたらしています。この継続的な発展を推し進めていくには、さまざまな
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意味で世界が変貌していることを認識し、さらに大きな機会と成功をもたらすビジネス手法、
リーダーシップのスタイル、イノベーションを正確に示す必要があります。
以上が、The Center for Global Enterprise が取り組む活動です。
連絡先:
Christopher G. Caine
President, The Center for Global Enterprise
Office: 646-632-3742
Mobile: 202-957-1569
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