グロ バル経済下におけるフ ドシステムの 空間構造論の展開 1

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グロ῎バル経済下におけるフ῎ドシステムの
空間構造論の展開 ῏+ῐ
高
柳
ῌῌ は じ め に
長
直*
のもとでの均衡状態が成立してきたわけではな
く῍ 加工トマト ῏山川῍ +31/ῐ やブロイラ῎養鶏な
日本の農業地理学が個別地域の記載に終始し῍
どの部門を除くと῍ 空間編成の直接的な主体や要
理論化ῌ体系化を図っていく必要性は多くの論者
因を特定していくことに行き詰まりをみせていた
によって指摘されてきた ῏例えば῍ 荒木῍ ,**, ; 伊藤῍
のであるῌ
,**-ῐῌ もっとも῍ 欧米においても +32* 年代初頭
そこで本稿では῍ グロ῎バル経済が進展してい
までは῍ 同じような傾向がみられたῌ フィッツシ
く中で῍ 農と食の空間構造論がどのような視点や
モンズは῍このような農業地理学の動向をῑ農業例
方法論のもとに行われてきたのか῍ またどのよう
外主義ῒ ῏agricultural exceptionalismῐ として批判
な実証研究が行われてきたのか῍ その過程で明ら
し ῏FitzSimmons, +320ῐ῍ 農業地理学に政治経済学
かになってきたことを整理するとともに῍ 研究上
的な方法論が導入されるようになった῏Whatmore,
の課題を示していくῌ 本稿では῍ 従来の研究動向
+33/ ; Marsden et al., +330 ; Morris and Evans, +333ῐῌ
を大きく - つに分類して῍ 考察を進めるῌ 第 + に῍
このことにより῍ 他の社会科学 ῏とりわけ農村社会
+32* 年代の欧米において῍ マルクス主義に影響を
学 ῐ との相互な議論が深まり῍ 欧米の農業地理学
受けた視点と方法論が農業地理学に導入されると
は新たな展開をみせることになったῌ
ともに῍ 生産部門のみならず῍ 加工ῌ流通ῌ消費
+ῐ
一方῍ 日本においては῍ マルクス主義に影響を
等を含めたフ῎ドシステム論的な研究が増加して
受けた視点と方法論によって῍ 農業の生産配置論
きたが῍ このような食料の政治経済学的地理学の
や加工資本による農業地域の編成に関する議論が
動向について把握するῌ 第 , に῍ フ῎ドシステム
展開されてきたῌ しかしながら῍ +32* 年代以降῍
がグロ῎バル化する中で῍ 農業や食料に関する問
日本の農業地理学においてこのような議論はほと
題をどのように理解したらよいかという課題に接
んどみられなくなり῍ 地域論的な伝統的な地理学
近するῌ そのため῍ 欧米で議論が蓄積されつつあ
にむしろ回帰していった傾向がみられたῌ
るフ῎ドレジ῎ム論と商品連鎖論の動向を整理す
日本では῍ 第二次大戦後の農地改革以降῍ 家族
るῌ 第 - に῍ 日本の農産物産地における危急の課
労働力を基本とする小農が農業を担うとともに῍
題は῍ グロ῎バル経済の下での国際的な産地間競
共販体制が整備され農協による系統流通が農産物
争に῍ どう立ち向かうかということであるῌ そこ
流通の中心であったῌ 農家の規模拡大や資本蓄積
で῍ グロ῎バル化に対抗する産地形成論の動向に
はほとんどみられず῍ 流通業者の生産部門への影
ついて把握し῍ 社会的な要請に応えてより実学的
響も軽微なものにとどまるとともに῍ 異業種から
課題を示していくῌ
の農業への参入が極めて困難な状況が続いてき
たῌ したがって῍ 日本の農業部門は完全競争市場
* 東京農業大学国際食料情報学部
農村研究 第 +** 号 ῏,**/ῐ
70
ῌῌ
政治経済学的方法論の導入と農業の工業
化論
+320ῐ と日本の農業の変化を同質の農業の工業化
としてよいのかということを検討する必要があ
るῌ 工業的農業を高齢女性による収穫労働の雇用
欧米においても +32* 年代の前半ごろまでは῍
化と結合の制約-ῐ のある -* 代主婦層による在宅
農業地理学は地域性を記述するか立地モデルを構
調製労働の疑似雇用化は῍ マ῎ジナルな労働力を
築するといった研究にとどまり῍ 農業分野は経済
利用する垂直分割 ῏vertical disintegrationῐ の萌芽
地理学の中で重要性を失っていた ῏Page, ,***ῐῌ
的形態とみることができようῌ ただし῍ 農業サ῎
そこで῍ +32* 年代以降῍ 農業地理学で理論化が模
ビスを公的セクタ῎に依存してきた日本では῍ 地
索されるようになったῌ その発端的議論が農業の
域内分業の程度は低い上῍ 流通部門などを含めた
工業化論であるῌ 農業の工業化は現象的には῍ 商
垂直的統合は῍ 少なくとも野菜や果物の産地では
品連鎖の拡延῍ 生産と資本の集中῍ 垂直的統合の
あまりみられないῌ
強化が含まれるとされ ῏磯田῍ ,**+ῐ῍ フ῎ドシス
最も工業的農業の典型的な部門は῍ 飼料要求率
テムの空間構造にも大きく影響を与えるものであ
の高いブロイラ῎養鶏をはじめとする施設型畜産
るῌ 農業の工業化論は῍ ミクロ経済的な視点から
業であるῌ ブロイラ῎養鶏については῍ 多くの研
の研究とマクロ経済的な視点からの研究に分けら
究蓄積があり῍ 垂直的統合の段階性や問題点が明
れるῌ
らかにされてきた ῏竹中῍ +30- ; 杉山῍ +323ῐῌ さら
ῌ ミクロ経済的農業の工業化論
に῍ ブロイラ῎養鶏が日本国内やアメリカ合衆国
農業地理学における農業の工業化論の理論的源
において῍ 垂直的統合の過程に伴い立地移動が生
流は῍ トラウトンが提示した農業革命論の中にあ
じてきたことが明らかにされたῌ 日本の場合に
るとされている ῏荒木῍ ,**,ῐῌ 農業の工業化とは῍
は῍ 分散的な立地から南九州と北東北へ ῏長坂῍
大規模で高度に資本化し῍ 集約化された生産単位
+33-ῐ῍ アメリカ合衆国の場合はデルマ῎バ.ῐ から
による農業への変化 ῏Troughton, +320ῐ であり῍ 現
南部へ ῏斎藤῍ +32.ῐ とブロイラ῎の主要な産地が
象的には῍ 資本の多投入による集約化῍ 営農単位
移動した/ῐῌ
の減少と大型化による集中化῍ 労働過程の専門化
この立地移動は῍ 農業者が主体的にブロイラ῎
として把握される ῏Bowler, +33,ῐῌ トラウトンの農
養鶏を選択したというよりも῍ 労働賃金コストな
業の工業化論は῍ + 万年以上にわたる世界全体の
ど費用節減を図ろうとするインテグレ῎タ῎に
農業史を - つのステ ῎ ジから展開しており῍ ス
よって産地が形成されたῌ すなわち῍ このような
ケ῎ルの大きな話であるが῍ 視点は農業者の行動
ブロイラ ῎ 産業の立地移動は῍ 農業の工業化に
にあってミクロ経済的であるといえるῌ
よって立地原理が根本的に転換したといえるῌ つ
伊藤 ῏+33-ῐ は農業の工業化論を日本の農業に適
まり῍ 農業者による作目や経営形態の選択である
用し῍ 施設化や化学化による生産῍ 利潤追求の経
チュ῎ネン的農業立地論から῍ 資本による空間選
営理念῍ 雇用型の経営形態の - 側面からとらえ῍
択というウェ ῎ バ ῎ 的工業立地論であるῌ した
豊橋市におけるつまもの栽培を工業的農業と位置
がって῍ 農業地理学的には立地原理の転換の視点
づけたῌ 農業の工業化を農業生産の現象面での変
からも῍ 農業の工業化をとらえていく必要があ
化ととらえれば῍ 高度経済成長期以降の日本にお
る0ῐῌ
いて῍ 高度主産地,ῐ の形成と産地間競争に不利な
῍ マクロ経済的農業の工業化論
都市化地域ῌ中山間地域との対照性を説明するこ
農業は工業と異なって῍ 自然環境や作物ῌ家畜
とができるῌ
の生物的特性による影響を強く受けているῌ 例え
しかしながら῍ フィッツシモンズが論じたカリ
ば῍ 農業は῍ 土地に依存するため工業と比較する
フォルニアの集約的野菜生産の議論 ῏FitzSimmons,
と生産の規模拡大が行いにくい特徴を持つῌ 新た
グロ῏バル経済下におけるフ῏ドシステムの空間構造論の展開 ῐ+ῑ
71
に開拓できる余地はほとんどなくなって土地資源
ギ῏の分析 ῐNihei, ,***, ,**+ῑ は示唆的であるῌ 日
には限界がある上῍ 土地は移動が不可能であるの
本の農業は῍ いも類や米を中心とする穀物の作付
で῍ 農業は工業に比べると容易には規模拡大が行
が相対的に減少する一方で施設園芸が増加し῍ 化
いにくい産業であるῌ また῍ 作物が生長したり家
石燃料が多投入されて ῐ占取主義ῑ῍ エネルギ῏効
畜が成長して出荷できる状態にまでの期間が長
率が悪化したことを明らかにしているῌ また῍ 環
いῌ すなわち῍ 農業は工業に比べると資本回転率
境保全型農業の普及に伴って῍ 有機質肥料が見直
が低く῍ 生物的特性からリ῏ドタイムを短縮させ
されているῌ こうした現象は῍ いわば ῒ反占取主
ることもなかなか困難であるῌ しかし῍ こうした
義ΐ と呼べるものかもしれないῌ 都市化に伴って
農業の特性は技術革新によって大きく変容し῍ 農
畜産公害に対処するために大型堆肥センタ῏が各
業の工業化は自然を超克してきたῌ グッドマンら
地に設置されたが῍ 必ずしも耕種農業との連携が
はその過程を占取主義 ῐappropriationismῑ と代替
機能しているわけではない ῐ長島῍ +332ῑῌ 化学肥
主義 ῐsubstitutionismῑ の , つの概念から説明した
料の流通圏に比べると有機質肥料は空間的に狭い
ῐGoodman, et al., +321ῑῌ
範囲で循環して ῐ佐῎木῍ ,**- ; 應和῍ ,**-ῑ おり῍
占取主義は῍ 農業生産の個῎の過程が工業的な
ῒ反占取主義ΐ が進展するのかどうか῍ あるいはそ
労働過程に取って代わられることであり῍ 例え
れによって空間構造を変えるかどうかは今後の議
ば῍ 牛馬耕からトラクタ῏などの機械化や堆厩肥
論の課題であるῌ
から化学肥料への投入などのことを指すῌ 代替主
義は῍ 工業製品の原料が農産物から化学的な物質
ῌῌ グロ῍バルスケ῍ルの研究動向
や他の農産物に置き換わったり῍ 工業的な過程を
ῌ フ῍ドレジ῍ム論の展開と有効性
経て原料として投入される農産物が変容されるこ
+32* 年代までは῍ 飢餓問題を除くと農業と食料
とであるῌ 例えば῍ バタ῏からマ῏ガリンへ῍ 天
は῍ グロ῏バルスケ῏ルにおいて῍ 基本的に別῎
然繊維から合成繊維や化学繊維へ῍ 機械的回収肉
の問題としてとらえられてきた ῐWinter, ,**-ῑῌ
ῐMRMῑ など廃棄していたものを副産物としての
第二次世界大戦後῍ 世界の人口は継続的に増加し
利用することなどを指すῌ つまり῍ 占取主義は農
たが῍ 単収が大幅に伸びることで῍ 地球全体の食
業関連産業の興隆῍ 代替主義は食品工業や繊維工
糧危機への不安はとりあえず後退したῌ しかしな
業などの加工部門の発展を意味し῍ いずれもマク
がら῍ 食料問題は依然として解決されず῍ 地球上
ロ経済における産業部門の相対的変動の論理展開
で地域的に異なった様相として顕在化したῌ とり
であるῌ
わけ῍ 経済システムがグロ῏バル化する中で῍ 先
占取主義ῌ代替主義から῍ 日本の農業やフ῏ド
進国と発展途上国は食料を通して῍ 様῎な形態で
システムの空間的側面を本格的に考察した研究
結びつくようになり῍ グロ῏バル化は経済的な利
は῍ ほとんど行われていないῌ ただし῍ 占取主
益をもたらしてきたῌ しかしながら῍ この利益は
義ῌ代替主義によって῍ 農村で行われていた労働
階層間や地域間で不均等に分配され῍ 資本蓄積構
過程を置き換えたり῍ 都市において新たな労働過
造や社会的な問題に対するインパクトは῍ 空間的
程が付け加えられるので῍ そこから都市と農村の
に不均等に表れてくるようになったῌ
不均等発展を説明することが可能であると思われ
るῌ
このような観点から῍ 食料の生産ῌ流通ῌ消費
に関する資本投下と蓄積体制を明らかにしようと
こうした研究を理論的ῌ実証的に進めていくに
するのがフ῏ドレジ῏ム論である ῐFriedmann and
は῍ 農業への投入連関を空間的にどのように把握
McMichael, +323 ; McMichael (ed), +33/ῑῌ フ῏ドレ
するのかという方法論を提起していく必要があろ
ジ ῏ ムとは῍ フ ῏ ドシステム内において各アク
うῌ その点῍ 仁平による農業への投入ῌ産出エネル
タ῏の行動に影響を与える多国間の規範ῌ規制ῌ
農村研究 第 +** 号 ῏,**/ῐ
72
ル῎ルῌ意思決定の手続きであるῌ また῍ フ῎ド
Heron and Roche, +33/ῐῌ
レジ ῎ ム論は῍ フ ῎ ドシステムの中におけるグ
しかしながら῍ グロ῎バルスケ῎ルでの需給構
ロ῎バルな覇権構造を資本主義の歴史的展開とし
造の変化は῍ 新たな南北問題や構造再編を呈する
て捉えているῌ その結果῍ +21* 年代以降第一次世
ことになる ῏McMichael, +33,ῐῌ このようなこと
界大戦までの第 + 次フ῎ドレジ῎ム῍ 第二次大戦
は῍ 生産セクタ῎である発展途上国の中での農業
以降 +31* 年代までの第 , 次フ῎ドレジ῎ムが形
者間の階層分化を進めることになり῍ 小規模層の
成され῍ +32* 年代以降は第 - 次フ῎ドレジ῎ムへ
没落῍ 大規模農家の成長῍ さらには農家よりも輸
1ῐ
の移行期とされている ῌ
出業者の支配力が高まるといった現象が現われて
第 - 次フ῎ドレジ῎ムでは῍ グロ῎バル化する
きた ῏Gwynne, +333ῐῌ 先進国の中でも῍ 輸出国に
フ῎ドシステムの中で῍ WTO 体制が強まり農業
おいては同様の傾向がみられ῍ 空間構造の再編が
分野における自由貿易化が進展したῌ そのこと
促進されている ῏高柳῍ ,**+ῐῌ また῍ このような
は῍ 輸出補助金などの削減 ῏Jarosz, +330ῐ や規制緩
フ῎ドレジ῎ムに基づくグロ῎バル化は῍ 環境問
和を促し῍ アメリカ合衆国をはじめ国民国家の役
題やサステナビリティという点でロ῎カルな生産
割が相対的に低下することになったῌ 一方で῍ 第
地域にも影響を与えている ῏Le Helon and Roche,
, 次フ῎ドレジ῎ムにおいて῍ アメリカ合衆国等
+330ῐῌ
の国家戦略と結びつきを強めた多国籍企業 は῍
以上のように῍ フ῎ドレジ῎ム論は῍ 国際的な
M & A によって国際多角化して ῏中野῍ ,**+ῐ῍
枠組みや国際関係から食料をめぐる政治経済的な
フ῎ドシステムの支配構造が一段と強まることに
構造を解明することに有効性を持つῌ 現代では῍
なり῍ 資本蓄積や分配構造に大きな影響を与える
経済システムはグロ῎バル化しつつあるが῍ 政治
2ῐ
ことになった ῏Bonanno et al. eds., +33. ; Francis,
システムはグロ῎バル規模では一体化の兆候すら
,***ῐῌ
みることはできないῌ WTO をはじめ῍ 国際機関
また῍ 国際間で取引される農産物や食料品は῍
は主権を持った国家の集合体であり῍ 現在のとこ
従来の穀物ῌ冷凍肉や῍ コ῎ヒ῎豆ῌ砂糖ῌタバ
ろ国家間の利害調節を行っているにすぎないので
コといったプランテ῎ションによる熱帯ῌ亜熱帯
あるῌ
農産物だけではなく῍ 高付加価値食品 ῏HVF ; High
ῌ フῌドレジῌム論への批判と多元化
Value Foodῐ の貿易量が増加して多様化したῌ
一方で῍ こうしたフ ῎ ドレジ ῎ ム論や第 , 次
HVF とは῍ 単価は高いものの鮮度保持が要求さ
フ῎ドレジ῎ムに関連して議論されるフォ῎ディ
れる生鮮果物ῌ野菜 ῏FFVῐ や酪製品ῌ魚介類な
ズム農業論に異議を唱える議論もみられるῌ
どのことであるῌ このような品目は῍ 先進国や新
第一に῍ フ῎ドレジ῎ム論は῍ 多国籍企業の役
興工業経済地域群 ῏NIESῐ などにおける中高所得
割を過大視する一方῍ 国民国家の役割を過小に評
者層の需要の高まりによって貿易が拡大するとと
価している3ῐ という点であるῌ 確かに῍ 多国籍企
もに῍ 食料の供給国は多極化して῍ 新興農業国
業はフ῎ドシステムの主要なプレイヤ῎として῍
῏NACs ; New Agricultural Countriesῐ が登場する
世界の農産物貿易を支配する ῏He#ernan and Con-
ことになったῌ その結果῍ 世界各国から周年供給
stance, +33.ῐ とともに῍ 発展途上国における農場
されることで端境期が消失するとともに῍ 消費者
の独立性を喪失させて῍貧困農層を滞留化させ῍環
に新たな需要を喚起するために῍ エキゾチックで
境に大きな負荷を与えてきた ῏Kamikihara, +33- ;
珍しい果物ῌ野菜が流通部門を担うグロ῎バル企
Prichard, ,*** ; 豊田῍ ,**+ῐῌ ところが῍ 世界には必
業主導で ῏Friedland, +33. aῐ῍ 発展途上国から先進
ずしも多国籍企業が支配的な役割を果たしている
国に῍ あるいは南半球から北半球に供給する体制
とはいえない農業地域も多数みられるῌ例えば῍日
が構築されるようになった ῏Friedland, +33. b ; Le
本についてみると῍ 総合商社や食品メ῎カ῎は世
グロ῎バル経済下におけるフ῎ドシステムの空間構造論の展開 ῏+ῐ
73
界中から食料や食材を調達して ῏Jussaume, +33. ;
国の覇権構造を中心とする第 , 次フ῎ドレジ῎ム
後藤῍ ,**,ῐ῍ 食料供給という観点からみれば重要
にしても῍ 自由貿易体制が強化される中での多国
な役割を果たしているといえるῌ しかしながら῍
籍企業の支配構造を中心とする第 - 次フ ῎ ドレ
一部の部門を除くと῍現在までのところ῍企業の農
ジ῎ムにしても῍ 特定の商品や部門あるいは特定
業分野への参入障壁が極めて高かったこともあり
の国に適合するモデルとして理解すべきであるῌ
῏倉内῍ ,**.ῐ῍ 多国籍企業が日本の農家を直接的に
例えば῍ 乳業部門においても国による対照的な
支配しているとは言い難い ῏Atkins and Bowler,
相違が見出せるῌ オ῎ストラリアとアメリカ合衆
,**+ῐῌ
国の場合῍ 第 , 次フ῎ドレジ῎ムが支配的になっ
第 , に῍ フ῎ドレジ῎ム論は῍ 資本主義経済下
て以降῍ 業界内部においても空間的にも再編成が
におけるマクロスケ῎ルでの食料ῌ農業システム
進展しているものの῍ 協同組合の役割は依然とし
を空間的に把握する理論であるが῍ 第 - 次フ῎ド
て大きい ῏Prichard, +330 ; +332ῐῌ 一方῍ アイルラ
レジ῎ムでは第三世界で生産された FFV など特
ンドにおいては῍ EU の牛乳割当制度が導入され
定の品目を北半球の富裕な国が消費するという構
たことを契機に῍ 国内での事業拡大が困難とな
造としてあまりにも一元的に描いている ῏Good-
り῍ 乳業メ῎カ῎は M & A によって食肉加工部
man and Watts, +33.ῐ という批判であるῌ 世界には
門など多角化を図るとともに῍ 海外に事業展開を
多様なシステムの存在を主張している議論 ῏Page,
図るようになったῌ この過程で῍ 生産者の協同組
+330ῐ があり῍ 例えば῍ Wells ῏,***ῐ は῍ 第二次大
合であったアイルランドの乳業メ῎カ῎は民営化
戦後のカリフォルニア州におけるいちご産業を生
して資本調達を図る戦略を選択した ῏Breathnach,
産関係の点からとりあげ῍ 分益小作制度 ῏Share-
,***ῐῌ
croppingῐ の展開と階級間の摩擦による変容過程
ῌ 商品連鎖論の展開
は῍ セントラルコ῎スト内部においても地域差が
グロ῎バル化に伴って῍ 発展途上国の生産者と
みられるとしているῌ すなわち῍ グロ ῎ バルス
先進国の消費者が商品を通して結びつくように
ケ῎ルでの単一的なシステムではなく῍ ロ῎カル
なったῌ グロ῎バル商品チェ῎ン分析は῍ 特定の
な場所的関係性の存在も意識する必要があるῌ
商品を対象として生産から消費の各段階が῍ どの
地理学は῍ 地域に内在している固有の特性を重
ように形成されるかを社会的関係性の中で明らか
視するという方法論上の特徴を元来持っているの
にしようとするものであるῌ 商品連鎖とは῍ ῑ最終
で῍ 上記のような批判は地理学自体に対する本質
的な成果が最終製品となる労働諸過程と生産過程
的な議論であるともいえるῌ しかしながら῍ フ῎
からなるネットワ῎クῒ ῏ホプキンスῌウォ῎ラ῎ス
ドレジ῎ム論をめぐる議論は必ずしも対立してい
テイン῍ ,**, : +.+ῐ のことを意味するῌ 分析方法
るわけではないῌ フ῎ドレジ῎ム論の主要な提唱
は῍ 生産の受外注連関と産地組織のオ῎ ガナイ
者の一人であるマクマイケル自身も῍ すべての食
ザ῎の検出をしようとする日本の工業地理学に多
料に関する現象を統一的なフ῎ドレジ῎ム論で説
くの研究蓄積のある産地構造論 ῏例えば῍ 高柳῍
明しているわけではないとしている ῏McMichael,
,**-ῐ との類似性を認めることができるῌ ただし῍
,***ῐῌ
産地構造論が最終商品の完成工程を中心に置い
フ῎ドレジ῎ム論の理論的基盤の一つであるレ
て῍ 産地としての体系性を考察するのに対し῍ 商
ギュラオシオン理論自体῍ 資本主義一般を説明す
品連鎖論は最終商品から連続的な局面を後方連関
る大理論ではなく ῏宮町῍ ,***ῐ῍ 国民経済ごとの
的に考察しているῌ その意味において῍ 商品連鎖
資本主義の多様性に注意を払い ῏岡本῍ ,***ῐ῍ 空
論は原料の生産過程までさかのぼっており῍ より
間的な多様性を重視してきた ῏リピエッツ῍ +321ῐῌ
広範なスケ῎ル ῏すなわちグロ῎バル規模ῐ での構
それゆえに῍ フォ῎ディズム農業とアメリカ合衆
造を把握しようとしているῌ その際῍ その空間分
74
農村研究 第 +** 号 ῏,**/ῐ
業および支配ῌ従属構造を明らかにしようとする
し῍ 実証研究としては辻村 ῏,**-῍ ,**.ῐ が商品連
ものであるῌ
鎖概念を導入して῍ タンザニア産のコ῎ヒ῎を分
ジレッフィ ῏Gereffi, +33.ῐ は῍ 世界システム論を
析しており῍ 需給実勢と商品価値を反映せず不公
背景として῍ グロ῎バル商品連鎖論 ῏GCC : Global
正な価格形成がみられ῍ フェアトレ῎ドの重要性
Commodity Chainsῐ を展開し῍ 作り手主導 ῏pro-
について指摘しているῌ また῍ Araki ῏,**.ῐ は
ducer-drivenῐ 型と買い手主導 ῏buyer-drivenῐ 型の
GCC の視点をナショナルスケ῎ルに適用して῍
, つのタイプに分類しているῌ 作り手主導型の商
卸売市場に入荷する野菜の供給圏を明らかにして
品連鎖は῍ 航空機῍ 自動車῍ 電気機械などのよう
いるῌ 今後は῍ 商品連鎖をつくりあげる主体に関
に῍ 資本ῌ技術集約型な多国籍企業のメ῎カ῎が
して῍ 構造的な視点から問題を把握していくこと
商品連鎖の中で主導的な役割を果たすものであ
が必要であろうῌ 一方῍ GCC は意識されていない
るῌ 一方῍ 買い手主導型の商品連鎖では῍ 商社や
ものの῍ GCC が問題とする空間分業や労働過程
小売業など川下主導で形成されたネットワ῎ク
の支配ῌ従属関係を断片的ながら明らかにする研
で῍ 衣服῍ 履物῍ 雑貨など労働集約型で生産され
究はみられつつあるῌ 例えば῍ 森ῌ大島 ῏,**,ῐ
る商品が多いῌ 食料品の分野では῍ 基本的に買い
は῍ 中国福建省に形成された日本向け野菜生産基
手主導型の商品連鎖の構造をとるが῍ コ῎ヒ῎や
地の一部では῍ 日本の商社が資金῍ 種子῍ 技術を提
チョコレ῎トなど一部では作り手支配型の構造を
供ῌ支援して῍ インテグレ῎トされた大規模農場
とる ῏Raikes and Gibbon, ,***ῐ ことが明らかにさ
が形成されたことを指摘しているῌしかしながら῍
れてきているῌ
途上国から日本に輸入される食料品が῍ 先進国側
GCC は῍ 中心地域と周辺地域および半周辺地
である日本の論理のみで取引されていると結論づ
域における労働過程の空間分業や所有ῌ支配の構
けるのはやや拙速であり῍ 今後の議論が必要であ
造に焦点をあてており῍ こうした方法論に基づい
るῌ 中国産の養殖トラフグの連鎖構造において
て῍ 南アフリカの果物生産者の労働形態が再編成
は῍ 資材や資金の貸付ῌ援助と見返りとして生産
され ῏Kritzinger et al., ,**.ῐ῍ チリのサケ養殖業も
物の集荷独占という関係はみられず῍ 日本市場の
買い手主導型の商品チェ῎ンにおける域外支配の
市況に応じて取引されている ῏林῍ ,**-ῐ ので῍ 支
構造がみられるとしている ῏Phyne and Mansilla,
配ῌ従属的な関係をそれほど看取することはでき
,**-ῐῌ また῍ ス῎パ῎等小売部門が主導するイギ
ないῌ イギリスの場合は῍ 食品安全に関する制度
リスの食料消費の変化は῍ チリの生鮮果物ῌ野菜
が強化され販売者の説明責任が求められるのに伴
の生産と結びつきを強め῍ 新たなフ ῎ ドネット
い῍ 卸売市場からの調達という対等に近い関係か
ワ῎クがグロ῎バルスケ῎ルで形成されたῌ しか
ら῍商品開発や安全性を管理できるように῍商品連
し῍ そのことはチリの政治体制や政策上の変化の
鎖に直接関与したり ῏Dolan and Humphrey, ,**.ῐ῍
中やチリ農村の社会的ῌ文化的変化の文脈の中で
輸入業者の役割が強まる形態がみられ ῏Barrett et
理解すべきであるとしている ῏Arce and Marsden,
al., +333ῐ῍ 日本に輸入される食料品の連鎖構造に
+33-ῐῌ
関する議論を蓄積していく必要があるῌ
日本では῍ 野尻 ῏+331ῐ が GCC の重要性を指摘
注
+ῐ 近年は῍ 対象の変化によって農業ῌ食料社会学と
もいわれているῌ
-ῐ 時間地理学上の制約概念の一つである ῏神谷ほ
か῍ +33*ῐῌ 日本においては保育園の整備などが進展
,ῐ 堀田 ῏+33/ῐ は῍ 生産方法や生産物を特徴化し῍
しない中で῍ 育児の必要性のある主婦層は労働する
機能的組織体系を持つ産地を高度主産地としたῌ
場所に制約があり῍ それゆえ労働市場のジェンダ῎
グロバル経済下におけるフドシステムの空間構造論の展開 +
75
分割が行われ 低賃金労働力の確保が可能であっ
として農業立地論の原理が作用していると考えられ
た
る
. デラウェア メリランド バジニアの - 州を
指す
/ ただし 製品差別化の困難な鶏卵部門と比べる
と パッカブランドの確立に伴って価格有利性を
追求しようとする企業行動と 鶏舎の重装備化や処
理加工場の新規投資の増大によって さらなる立地
1 第 + 次フドレジム 第 , 次フドレジムの
概要については高柳 ,**+ 立川 ,**- を参照
2
transnational corporation は正確には超国籍企
業であるが 日本語訳として定着してはいないので
多国籍企業とした
3 中野 ,**+ は 国家の役割が小さくなっている
移動は困難であり 斎藤 +333 立地慣性が生じて
のではなく 多国籍企業の資本蓄積を強化するよう
いる
に国家の役割が変容していると捉えている
0 その意味において つまもの産業の場合は 依然
引用ῌ参照文献
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磯田 宏 ,**+ 農業ῌ食料セクタの 工業化
グロバル化
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愛知
教育大学研究報告 愛知教育大学 第 /, 号
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農村研究 東京農業大学農業経済学会 第 31 号
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地理学評論 日本地理
学会 第 1/ 巻第 1 号
神谷浩夫ῌ岡本耕平ῌ荒井良雄ῌ川口太郎 +33* 長野県下諏訪町における既婚女性の就業に関する時間地理学
的分析
地理学評論 日本地理学会 第 0- 巻 A 第 ++ 号
倉内宗一 ,**. 法人農業経営と農業構造改革
熊谷 宏ῌ清水昂一ῌ白石正彦監修 農と食の現段階と展望 東
京農業大学出版会
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広
島大学生物生産学部紀要 広島大学生物生産学部 第 ,- 巻第 , 号
斎藤 修 +333 フドシステムの革新と企業行動 農林統計協会
佐木緑 ,**- 宮城県田尻町における環境保全型稲作の存続システム
地理学評論 日本地理学会 第 10 巻第
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杉山道雄 +323 養鶏経営の展開と垂直的統合 明文書房
高柳長直 ,**+ グロバル経済下におけるアメリカ合衆国ワシントン州のりんご産業の地域的変動
経済地理
学年報 経済地理学会 第 .1 巻第 . 号
高柳長直 ,**- 景気低迷期における地場産業の産地構造秋田県角館における樺細工産業の事例
農村研究
東京農業大学農業経済学会 第 31 号
立川雅司 ,**- 遺伝子組み換え作物と穀物フドシステムの新展開 農山漁村文化協会
竹中久二雄 +30- ブロイラ養鶏の産地性とその経済構造
農村研究 東京農業大学農業経済学会 第 +2 号
辻村英之 ,**- 途上国産一次産品のアンフェアῌトレドの分析枠組
農林業問題研究 地域農林経済学会
第 -3 巻第 - 号
辻村英之 ,**. コヒと南北問題 日本経済評論社
豊田 隆 ,**+ アグリビジネスの国際開発 農山漁村文化協会
長坂正信 +33- アグリビジネスの地域展開 古今書院
長島弘道 +332 首都圏における堆肥の生産と利用
人文学会紀要 国士舘大学文学部 第 -+ 号
中野一新 ,**+ 世紀の転換期における農業市場のグロバル化とリジョナル化多国籍アグリビジネスによ
る世界食料市場開発
中野一新ῌ杉山道雄編 グロバリゼションと国際農業市場 筑波書房
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76
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訳 ウォラステイン I 山田鋭夫ῌ原田太津夫ῌ尹 春志訳 世界システム論の方法
藤原書店
林紀代美 ,**- 中国におけるトラフグ養殖の発展と日本市場への輸出 地理学評論
日本地理学会 第 10 巻第
0 号
堀田忠夫 +33/ 産地生産流通論
大明堂
宮町良広 ,*** A. リピエッツレギュラシオン理論 矢田俊文ῌ松原宏編 現代経済地理学
ミネルヴァ書
房
森路未央ῌ大島一二 ,**, 中国における対日輸出用生鮮野菜の周年供給システムの形成福建省厦門市近郊農
村の生鮮野菜基地における実態調査から 農村研究
東京農業大学農業経済学会 第 3/ 号
山川充夫 +31/ トマト加工工場の立地動向とカゴメ K.K. の独占的性格 経済地理学年報
経済地理学会 第 ,+
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リピエッツ A. +321 奇跡と幻影
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筑波書房
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ῌ受付 ,**. 年 +, 月 2 日῎
῍受理 ,**/ 年 + 月 +, 日῏
78
農村研究 第 +** 号 ῌ,**/῍
A Theoretical Review on the Spatial Structure of Agri-food Systems in
the Globalizing Economy (+)
Nagatada TAKAYANAGI (Tokyo University of Agriculture)
In this paper, I review current research agenda on spatial structure in the academic world of
geography, agricultural economics, and sociology. The first half of this paper is focused on globalization,
which has an influence on the reorganization of the spatial structure. First, I examine the previous studies
on the industrialization of agriculture dichotomized by micro economic and macro economic view. Next,
I explore Anglophone studies on views of the food regimes and global commodity chains.