キュービクル式高圧受電設備通則

JSIA 200
日本配電盤工業会規格
JSIA 200
キュービクル式高圧受電設備通則
General rules for cubicle type high voltage power receiving units
2001 年(平成 13 年)12 月 20 日 制定
社団法人
日本配電盤工業会
まえがき
こ の 規 格 は 、(社)日 本 配 電 盤 工 業 会
技術委員会の審議を経て制定された日本配電盤工業会規格
である。
JSIA 200 には、次に示す附属書がある。
附 属 書 1 (規 定 )
キュービクル式高圧受電設備の防水試験
附 属 書 2 (規 定 )
キュービクル式高圧受電設備の温度上昇試験
目
次
1
1
1
序文
1.
適用範囲
2.
定義
3.
使用状態
1
1
2
2
2
2
2
2
3 . 1 標準使用状態
3 . 2 特殊使用状態
4.
種類
5.
定格
5 . 1 定格電圧
5 . 2 定格遮断電流
6.
性能
2
2
2
2
3
3
3
6 . 1 動作協調
6 . 2 遮断性能
6 . 3 動作
6 . 4 温度上昇
6 . 5 耐電圧
6 . 6 防水性能
6 . 7 耐震性能
7.
構造
7 . 1 構造一般
7 . 2 外箱など
7 . 3 収納機器の取付けなど
7.3.1 収納機器の取付け
7.3.2 電力需給用計量器及び電力需給用計器用変成器の取付け
7.3.3 低圧回路の保護装置
7.3.4 高圧引出口
5
5
6
6
7
8
8
7 . 4 配線及び機器の接続
7.4.1 高圧配線
7.4.2 低圧配線
7.4.3 接地
7 . 5 器具及び導体の配置
7 . 6 色彩
8.
形状及び寸法
8
8
8
8
8
9
9
9
8 . 1 形状
8 . 2 寸法
9.
3
3
4
4
4
4
5
5
試験
9 . 1 試験の種類
9 . 2 試験項目
9 . 3 試験方法
9.3.1 構造試験
9.3.2 動作試験
9
9
9.3.3 耐電圧試験
9.3.4 防水試験
(1)
9
9
9
9.3.5 温度上昇試験
10. 製品の呼び方
11. 表示
附属書1(規定)
1.
適用範囲
2.
防水試験
3.
防雨形試験
キュービクル式高圧受電設備の防水試験
14
14
14
14
14
14
14
15
3 . 1 試験状態
3 . 2 試験装置
3 . 3 水圧又は水量
3 . 4 試験時間
3 . 5 散水面
4.
15
15
15
15
16
防噴流形試験
4 . 1 試験状態
4 . 2 試験装置
4 . 3 水圧及び水量
4 . 4 注水
附属書 2(規定)
1.
適用範囲
2.
試験方法
14
キュービクル式高圧受電設備の温度上昇試験
17
17
17
18
解説
(2)
日本配電盤工業会規格
キュービクル式高圧受電設備通則
JSIA
200:2001
General rules for cubicle type high voltage power receiving units
序文
この規格は、キュービクル式高圧受電設備一般について定めた日本配電盤工業会規格である。
1.適用範囲 この規格は、需要家が受電のために用いるキュービクル式高圧受電設備(以下、キュービクルという。)
で、公称電圧 6.6kV 以下、周波数 50Hz 又は 60Hz で系統短絡電流 12.5kA 以下の回路に用いるキュービクルについて
規定する。
2. 定義
この規格で用いる主な用語の定義は、次による。
a) キュービクル
高圧の受電設備として使用する機器を外箱に収めたもので受電箱及び配電箱で構成されるもの。
b) 受電箱
電力需給用計器用変成器、主遮断装置など、主として受電用機器一式を収納したもの。
c)配電箱
変圧器、高圧配電盤、進相コンデンサ、直列リアクトル、低圧配電盤などを収納したもの。
d) 前後面保守形
機器の操作、保守・点検、交換などの作業を行うための外箱の外面開閉部をキュービクルの前面
及び後面の両面に設けた構造のもの。
e)前面保守形(薄形)
機器の操作、保守・点検、交換 などの作業を行うための外箱の外面開閉部をキュービクル
の前面に設けた構造であって奥行寸法が 1000 ㎜以下のもの。
f)主遮断装置 キュービクルの受電用遮断装置として用いるもので、電路に過負荷電流、短絡電流などが生じたと
き、自動的に電路を遮断する能力をもつもの。
g)遮断器形(CB形)
主遮断装置として遮断器(CB)を用いる形式のもの。
h)高圧限流ヒューズ・高圧交流負荷開閉器形(PF・S形)
主遮断装置として高圧限流ヒューズ(PF)(以下、
限流ヒューズという。)と高圧交流負荷開閉器(LBS)とを組み合わせて用いる形式のもの。
i)受電設備容量
受電電圧で使用する変圧器、電動機、高圧引出し部分などの合計容量(kVA)。
なお、高圧電動機は、定格出力(kW)をもって機器容量(kVA)とし、高圧進相コンデンサは、受電設備容量
には含めないものとする。
j)引出し形遮断器など
外箱と機械的に連結したまま、主回路が充電状態で運転位置から断路距離が得られる断路
位置、また、その断路位置から運転位置まで移動できるような機器。
k)進相コンデンサの設備容量
直列リアクトルと進相コンデンサとを組み合わせて、定格電圧で使用した場合の無
効電力(kvar)。
l)主回路
電気エネルギーを負荷設備に伝送するための導体部分。
m)補助回路
制御・測定・信号・調節・盤内照明などを行う回路(主回路以外)に含まれる導体部分。
n)接地回路
外箱・収納機器などの保護接地用回路で、接地電線・接地母線・接地端子などの導電部分。
o)接地母線
キュービクル内の共通的な接地のために設けられた導体。
3.使用状態
3.1 標準使用状態
標準使用状態とは、次の使用状態をいい、キュービクルは特に指定されない限り、この状態で
使用されるものとする。
a)屋内用については、周囲温度が-5∼+40℃の範囲。ただし、24 時間の平均値は、+35℃を超えないものとする。
b)屋外用については、周囲温度が-20∼+40℃の範囲。ただし、24 時間の平均値は、+35℃を超えないものとする。
c)標高 1000m以下。
2
200:2001
3.2 特殊使用状態
次のいずれかに該当する場合を特殊使用状態といい、これらの状態で使用される場合は、受渡
当事者間で十分協議しなければならない。
a)3.1に定める状態以外の場所で使用する場合。
b)潮風を著しく受ける場所で使用する場合。
c)氷雪が特に多い場所で使用する場合。
d)常時湿潤な場所で使用する場合。
e)過度の水蒸気又は過度の油蒸気のある場所で使用する場合。
f)爆発性、可燃性、その他有害なガスのある場所及び同ガスが襲来するおそれがある場所で使用する場合。
g)過度のじんあいのある場所で使用する場合。
h)異常な振動又は衝撃を受ける場所で使用する場合。
i)その他、特殊な条件の下で使用する場合。
4.種類
キュービクルの種類は次による。
a)主遮断装置の形式
1)CB形
2)PF・S形
b)屋内外用の別
1)屋内用
2)屋外用
c)保守形態による形状
1)前後面保守形
2)前面保守形(薄形)
5. 定格
5.1 定格電圧 キュービクルの定格電圧は、使用される系統の線間電圧(実効値)の上限を表し、その標準値は次
に示す値とする。
3.6kV
7.2kV
5.2 定格遮断電流
キュービクルの定格遮断電流は、主遮断装置用遮断器の定格遮断電流で表し、その標準値は次
に示す値とする。
8.0kA
12.5kA
6. 性能
6.1 動作協調 主遮断装置は、電気事業者の変電所の保護装置との動作協調が十分保たれ、電源側への波及事故を
防止できるものでなければならない。
6.2 遮断性能
主遮断装置は、キュービクルが設置される場所の短絡電流(以下、受電点短絡電流という。)以上の
遮断電流値をもち、地絡保護ができるものとする。ただし、地絡保護をキュービクル引込用ケーブルの電源側に設け
た高圧交流負荷開閉器によって行う場合、地絡継電装置は必要ないものとする。
6.3 動作
動作は、9.3.2によって試験を行ったとき、各部が支障なく動作するものでなければならない。
6.4温度上昇
a)温度上昇は、9.3.5によって試験を行ったとき、各部の温度上昇が表1の値以下でなければならない。
b)表1以外の収納機器及び材料の温度上昇は、使用機器及び材料の規格に定めてある規定値による。ただし、変圧
器の温度上昇については、規定値より+10℃を超えない範囲であれば、この限りではない。
3
200:2001
表1
場
所
・
部
温度上昇限度
単位
材
℃
温度上昇限度
最高許容温度
ボルト締めなどによる
裸銅
50
90
接続部
すずめっき
65
105
銀めっき又はニッケルめっき
75
115
裸銅
35
75
すずめっき
50
90
銀めっき又はニッケルめっき
65
105
ねじ又はボルトによって
裸銅
50
90
外部導体に接続する端子
銀めっき、ニッケルめっき又はすずめっき
65
105
接触部
6.5 耐電圧
耐電圧値は表2のとおりとし、9.3.3によって試験を行ったとき、地絡・フラッシオーバなどを生
じず、いずれの部分にも異常があってはならない。
表2
電
圧
印
加
箇
所
耐電圧値
商用周波耐電圧値
雷インパルス耐電圧値
3.6kV 用
7.2kV 用
3.6kV 用
7.2kV 用
16kV
22kV
45kV
60kV
高圧回路各相間
(変圧器・避雷器・計器用変圧器及び
高圧進相コンデンサを除く)
高圧回路と低圧回路間及び高圧回路と大地間
(避雷器及び接地形計器用変成器を除く)
低圧回路と
60V 以下の回路
1000V
大地間
60V を超え 250V 以下の回路
1500V
250V を超え 600V 以下の回路
2000V
−
6.6 防水性能 防水性能は、屋外用のものに適用するものとし、9.3.4によって試験を行ったとき、次の各項目
に適合しなければならない。
a)キュービクル全体については、キュービクルの内部に正常な機能を阻害する浸水がないものとする。
b)受電箱の部分については、断路器、遮断器、高圧交流負荷開閉器、計器用変成器などに水滴が認められないもの
とする。ただし、屋外形の機器についてはこの限りではない。
6.7 耐震性能
キュービクルの耐震性能は、耐震クラス(S、A、B)に対応した地震により盤の移動、転倒、落
下がないように据付けられ、盤内収納機器及び配線に特別な異常がなく、地震後に点検を行い速やかに運転を再開で
きるものとする。
7. 構造
7.1 構造一般 キュービクルは、良質の機器・材料を用い、現場取付け、電線の接続、開閉装置の操作、機器類の
保守・点検などが安全、かつ、容易にできる構造であるとともに、次の各項に適合しなければならない。
a)扉を開いた状態で、高圧充電露出部がある場合には、日常操作において容易に触れないよう防護する。ただし、
その露出部に保護カバーを取り付けた場合は、この限りでない。
b)遮断器(引出し形は除く。)、変圧器、高圧進相コンデンサ及び直列リアクトルの高圧端子には絶縁性保護カバー
を取り付ける。
c)変圧器などで、タップチェンジ・油交換などの作業を必要とする機器類の上部・下部・側面・低圧配電盤などの
裏面には、保守点検に必要な空間を設ける。
4
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d)外箱の内部の作業しやすい位置に、高圧回路に用いる変流器、零相変流器などの試験用端子を設ける。ただし、
専用の電気室に設置する屋内用の場合には、試験用端子は外箱の扉に設けてもよい。
e)屋外用にあっては、正面内部の作業しやすい位置に保守点検用のコンセントを設ける。
f)断路器、高圧交流負荷開閉器などの操作に必要なフック棒を受電箱内又は、配電箱内に備える。
g)屋外用又はそれ以外で盤内照明を設ける場合は、取替えが容易、かつ、安全な場所に照明灯を設ける。
h)必要に応じて、過負荷故障などの異常を警報する表示灯、ブザーなどを設けることが望ましい。
7.2 外箱など
外箱などは、次の各項に適合しなければならない。
a)外箱は、本体(ベースを含む。)、屋根、扉、囲い板及び底板で構成され、材料は次による。ただし、換気口につ
いては JIS G 3555 又は JIS G 3556 に規定する金網、エキスパンドメタルなどの他の材料としてもよい。
1)本体、屋根、扉及び囲い板は、JIS G 3131 又は JIS G 3141 に規定する鋼板を用い、鋼板の厚さは、屋内用は
標準厚さ 1.6 ㎜以上、屋外用は標準厚さ 2.3 ㎜以上又はこれらと同等以上の機械的強度をもつものとする。
2)底板は、JIS G 3131 又は JIS G 3141 に規定する鋼板を用い、鋼板の厚さは、標準厚さ 1.6 ㎜以上又はこれら
と同等以上の機械的強度をもつものとする。
3)ガラス窓を設ける場合は、JIS R 3204 に規定する厚さによる種類 6.8 ㎜以上の金属製の網入りガラス又はこれ
と同等以上の機械的強度及び防火性能のものを用いる。
b)さび止め処理を行い、耐久性に優れた塗料で塗装する。又は、これと同等以上の耐候性のある処理をする。
c)屋外用の屋根の傾斜は、1/30 以上とする。
d)外箱の前面は開閉扉とし、前後面保守形の外箱の側面又は裏面には機器の点検及び出し入れができるような扉又
は取り外し可能な囲い板を設ける。ただし、側面又は裏面で機器の点検及び出し入れを行わない面は、この限り
ではない。
e)扉は施錠ができ、かつ、開いた状態で固定できることとする。
なお、屋外用扉の施錠装置は、施錠した状態において強風などによって扉が開くことがないよう十分な強度及
び耐久性をもつこととする。
f)輸送、移動のためのつり上げに必要なつり金具を備える。
g)配線の引込口・引出口のすきまをふさぐために取り付けるプレートは、金属製では厚さ 1.6 ㎜以上若しくは、不
燃性又は難燃性のある厚さ3㎜以上の材料とする。
h)通気孔(換気口を含む。)には、小動物などの進入を防止する処置として、直径 10 ㎜の丸棒が入るような穴又は
すきまがないものとする。また、ケーブルの貫通部なども同様とする。
i)外箱には、基礎に固定するための基礎ボルトの穴を設けるものとし、穴の大きさ、個数は設置条件に適合したも
のとする。
なお、設計条件は、受渡当事者間での協議による。
j)高圧充電露出部への接近に対する防護などのための保護板は、次による。
1)金属製などの導電性のあるものは、ボルト締めなどで外箱などの接地金属に接続する。
2)合成樹脂製のものは、難燃性又はこれと同等以上の防火性能をもつものとする。
7.3 収納機器の取付けなど
7.3.1
収納機器の取付け
収納機器の取付けは、次に適合しなければならない。
a)外箱の底面から、屋外用にあっては 100 ㎜以上、屋内用にあっては 50 ㎜以上の高さに取付け、かつ、端子、コン
セントなどの充電部の取付位置は、底面から 150 ㎜以上の高さとする。
b)外箱、枠などに堅固に固定する。
c)指示電気計器類が外部から容易に見えるような計器窓を設ける。ただし、屋内用で扉に指示電気計器類を取り付
ける場合は、この限りでない。
7.3.2
電力需給用計量器及び電力需給用計器用変成器の取付け
電力需給用計量器及び電力需給用計器用変成器
の取付けは、次に適合しなければならない。
a)電力需給用計量器を外箱に収める場合は、検針値が外部から容易に見えるような位置に検針窓を設ける。
b)電力需給用計量器の高さは、検針、保守などに容易な床上から 800∼1500 ㎜程度が望ましい。
5
200:2001
c)電力需給用計量器の取付けは、所轄電力会社の仕様に合せる。
d)検針窓の大きさは、横幅寸法は 120 ㎜以上、縦寸法は 180 ㎜以上とする。
e)電力需給用計器用変成器の取付けは、付図2に示す寸法のものが収納されることを考慮し、付図3を参考とし、
f)取付け及び取替え作業に必要な空間を確保する。
g)電力需給用計器用変成器をつり上げるのに必要なつり金具を備える。
h)電力需給用計器用変成器の二次端子箱を点検できるように配置する。
7.3.3
低圧回路の保護装置
低圧回路の保護装置は、次による。
a)変圧器二次側の低圧主回路には、そこを通過する短絡電流を確実に遮断し、かつ、過負荷による過電流から配線
を保護することができる配線用遮断器などを設ける。
b)300V を超える引出し回路には、地絡遮断装置を設けるものとする。ただし、防災用・保安用電源などは、警報装
置に代えることができる。
c)変圧器二次側の低圧主回路に直接接続される補助回路には、定格遮断電流が 5kA 以上の配線用遮断器などを設け
る。
7.3.4
高圧引出口
高圧引出しを行う場合は、次による。
a)引出口には、遮断器又は高圧交流負荷開閉器を設ける。
b)引出口に地絡継電装置を設け、地絡保護ができるものとする。ただし、屋内形であって同一電気室内に引き出す
場合にあっては、この限りではない。
7.4 配線及び機器の接続
7.4.1
高圧配線
高圧側の配線は、次による。
a)主回路は定格電流及びそこを通過する短絡電流に耐える電線又は銅帯を使用する。
b)使用する電線は、JIS C 3611 に規定する絶縁電線(以下、高圧用絶縁電線という。)とする。
c)高圧用絶縁電線を支持する場合は、接続部には支持がいしを用い、非接続部にあっては電線支持物又はこれと同
等以上の絶縁性能及び機械的強度をもつ支持物を用いて各相単独に固定する。
d)高圧絶縁電線相互の直線接続及び分岐接続は、支持がいしによる支持点、又は機器端子で行う。
e)配線各部の絶縁距離は、表3に示す値以上でなければならない。
表3
場
高圧充電部(1 )
2
高圧用絶縁電線非接続部( )
高圧回路の絶縁距離
所
単位
mm
最小絶縁距離
相互間
90
大地間(低圧回路を含む。)
70
相互間
20
大地間(低圧回路を含む。)
2
20
高圧充電部と高圧用絶縁電線非接続部相互間( )
45
電線端末充電部から絶縁支持物までの沿面距離
130
1
注( ) 単極の断路器などの操作にフック棒を用いる場合は、操作に支障のないように、
その充電部相互間及び外箱側面との間を 120 ㎜以上とする。ただし、絶縁バリア
のある断路器などにおいては、この限りではない。
2
( ) 最小絶縁距離は、絶縁電線外被端からの距離をいう。
備考 高圧用絶縁電線の端末部の外被端から 50 ㎜以内は、絶縁テープ処理を行っても、
その表面を高圧充電部とみなす。
f)引込口及び引出口の配線を含む主回路電線並びに銅帯には、相別の表示を行う。
g)引込線及び引出線は、電力ケーブルを使用し、架空線による引込み及び引出しをしてはならない。
6
200:2001
7.4.2
低圧配線
低圧側の配線は、次による。
a)主回路は、そこを通過する短絡電流に耐える電線又は銅帯を使用する。
なお、束配線及びダクト配線方式による場合は、JIS C 3307、JIS C 3316、JIS C 3317 に規定する絶縁電線(以
下、低圧絶縁電線という。)又はこれらと同等以上の性能のものを使用する。
b)補助回路には、低圧絶縁電線を使用し、公称断面積が 1.25m㎡以上の太さとし、その回路の電流容量を検討の上
使用する。ただし、変流器の定格二次電流が5Aの回路に使用する場合は2m㎡以上の太さとする。
なお、主回路に直接接続されない回路、電子制御回路などで、電流容量・電圧降下などに支障がなく、保護が
可能であれば、これより細い電線を使用してもよい。
c)主回路配線は、そこを通過する短絡電流の電磁力に耐えるように支持する。
d)絶縁距離は、次を保持する。
1)主回路の充電部と非充電部金属体及び異極充電部間の絶縁距離は、空間及び沿面ともに 10 ㎜以上(300V を超
える線間電圧が加わる沿面距離については、20 ㎜以上)とする。ただし、配線用遮断器その他の機器における
充電部の間隔は、それぞれの規定によるものとする。
2)補助回路の絶縁距離は、空間距離にあっては JIS C 0704 の4.2.1(定格インパルス耐電圧を指定しない機器)
及び沿面距離にあっては、同じく4.3.1(定格インパルス耐電圧を指定しない機器)の規定による。
e)主回路の配線に使用する電線及び銅帯は、相別の表示を行う。
f)主回路の外部接続端子は、その回路の負荷電流と通過する短絡電流に対して十分耐えるものでなければならない。
g)電線被覆の色別は、表4による。ただし、シールド線・裸線など特殊な電線はこれによらなくてもよい。
表4
電線被覆の色別
回路の種類
一
接
地
被覆の色
般
線(4 )
黄(3 )
緑(5 )
注(3 ) 主回路に特殊な絶縁電線を使用する場合は、黒色としてもよい。
(4 ) ここでいう接地線とは、回路又は機器の接地を目的とし、当該回路又は
機器の接地端子と接地母線又は接地端子との間を接続する電線をいう。
(5 ) やむを得ず緑色以外の色を用いた場合は、その端部に緑色の色別を施さ
なければならない。
7.4.3
接地
キュービクル内の接地回路の配線及び接地端子は、次による。
a)機器などの接地は、A種接地工事、B種接地工事、C種接地工事及びD種接地工事に区分して接地端子又は、接
地母線まで配線する。
b)コイルモールド形の機器のように外箱のない高圧機器で鉄心が露出している計器用変圧器、変流器類は、鉄心に
A種接地工事を施す。
c)受電箱と配電箱相互間は、電気的に確実な方法で接地端子に接続する。
d)B種接地工事の接地電線は、変圧器バンクごとに、それぞれ接地端子まで配線する。ただし、配線の途中で変圧
器バンクごとに漏れ電流が安全に測定できる場合は、接地電線を共用して接地端子まで配線してもよい。その場
合、共用部分の接地電線の太さは各々の接地電線の太さのうち、最大のもの以上とする。
e)外部の接地工事と接続する接地端子は、外箱の扉を開いた状態で、漏れ電流を安全に測定できるように取り付け
る。
f)外部の接地工事と接続する接地端子の構造は、次による。
1)避雷器用の接地端子及びB種接地工事その他の接地端子を設ける。
2)銅又は黄銅製とし、接地電線が容易、かつ、電気的に確実に接続でき、緩むおそれがないものとする。
3)B種接地工事の接地端子は、外箱と絶縁し、他の接地端子とは容易に取外しできる導体で連結できる構造とす
る。
7
200:2001
4)避雷器用の接地端子は、外箱と絶縁し、他の接地端子と離隔する。
5)接地端子の近くには、接地の種別を示す表示を行う。
g)接地電線の種類別最小太さは表5による。
表5
種
接地電線の最小太さ
類
接地電線の最小太さ(銅線の場合)
φ2.6mmまたは 5.5m㎡
A種接地工事(避雷器を除く。)
14m㎡
避雷器の接地工事
変圧器一相分の容量
B種接地工事
100V級
200V級
400V級
500V級
(6 )
kVA
5まで
10まで
20まで
φ2.6mmまたは 5.5m㎡
10まで
20まで
40まで
φ3.2mmまたは8m㎡
20まで
40まで
75まで
14m㎡
40まで
75まで
150まで
22m㎡
60まで
125まで
250まで
38m㎡
100まで
200まで
400まで
60m㎡
175まで
350まで
700まで
100m㎡
250まで
500まで
−
150m㎡
375まで
750まで
−
200m㎡
φ1.6mmまたは 2.0m㎡
C種接地工事
D種接地工事
注(6 )“変圧器一相分の容量”とは次の値をいう。
a)三相変圧器の場合は、定格容量の1/3
b)単相変圧器同容量△結線の場合は、単相変圧器の1台分の定格容量
c)単相変圧器V結線の場合は、同容量にあっては、単相変圧器の1台分の定格容量、異容量に
あっては大きい容量の単相変圧器の定格容量
なお、単相3線式の場合は、200V 級を適用する
h)接地母線を設ける場合は、次による。
1)接地母線を設ける場合、接地母線の電流密度は、規定された地絡事故の条件のもとで、 200A/m㎡を超えては
ならない。ただし、接地母線の最小断面積は 30m㎡とする。銅製でない場合は、同等の熱的及び機械的条件を
満たすものとする。
2)接地母線は、規定された地絡事故電流に耐えるように支持する。
3)接地母線には、接地電線を支持する端子を設ける。
7.5 器具及び導体の配置
器具及び導体の配置は、交流の相又は直流の極性によって、次のように配置する。
監視制御面上の器具又は試験用端子は、それぞれの監視制御面に向かって、主回路導体は、各回路部分における主
となる開閉機器の操作装置側又はこれに準じる側から見て、それぞれ次の通りとする。
ただし、導体の配置が構造上困難な場合には、これによらなくてもよい。
a)交流の相による配置
1)三相回路
左右の場合
左
か
ら
第1相
第2相
第3相
中性相
上下の場合
上
か
ら
第1相
第2相
第3相
中性相
遠近の場合
近い方から
第1相
第2相
第3相
中性相
交流の相回転は、第 1 相・第2相・第3相の順とする。
8
200:2001
2)単相回路
左右の場合
左
か
ら
第1相
中性相
第2相
上下の場合
上
か
ら
第1相
中性相
第2相
遠近の場合
近い方から
第1相
中性相
第2相
b)直流の極性による配置
左右の場合
左
か
ら
負極(N)
正極(P)
上下の場合
上
か
ら
正極(P)
負極(N)
遠近の場合
近い方から
正極(P)
負極(N)
7.6 色彩
外箱及び取付器具の色彩は、原則として表6による。
表6
外箱及び取付器具の色彩
色彩(マンセル値)(7 )
色彩を施す箇所
外箱(チャンネルベースを含む。)
屋内用
外
の表面及び内面
屋外用
箱
内部パネルの表面及び裏面
5Y7/1
内部収納の高圧機器のフレームカバーなどの金属露出部
表面取付器具など
計器・継電器などの表面に現れる器具のふち枠など
開閉器・操作器などのとって
名称銘板及び用途銘板
N1.5
一般用
非常停止用
7.5R4/14
材料が金属の場合
銀白地に黒(N1.5 相当)文字(8 )
材料が樹脂の場合
白地(N9.5 相当)に黒(N1.5 相当)文字(8 )
注(7 ) マンセル値は、JIS Z 8721 の規定による。
(8 ) 非常、危険などを表す文字については、赤(マンセル値 5R4/15 相当)を使用してもよい。
5Y7/1、N1.5 及び 7.5R4/14 の3色については、JSIA -T1011 の色票による。
備考
8. 形状及び寸法
8.1 形状
キュービクルの外形形状は、付図1を標準とする。
8.2 寸法
キュービクルの外形寸法は、意図された性能を保持するのに必要な大きさであるとともに、次によるも
のとする。
a)高さは、2800 ㎜以下とする。ただし、搬送に支障のないように処置がされる場合は、この限りでない。
b)受電箱の横幅は、電力需給用計器用変成器を収納する場合、その配線接続に必要な空間として、 表3に示す高圧
回路の最小絶縁距離を確保できる寸法とする。
c)外箱の横幅及び奥行は、収納機器及び配線が規定された機能を維持できるとともに、保守点検、外部電線の接続
などに必要な空間を確保できる大きさとする。
9. 試験
9.1 試験の種類
a)形式試験
試験の種類は、次による。
形式試験は、定められた形式のあるものについては、その規格が要求する構造・性能 などを満足する
ことを検証するために行う。
b)受渡試験
受渡試験は、製品の受け渡し前に、この規格が要求する構造・性能などを満足することを検証するた
めに行う。可能な限り製造者の工場において実施する。
9.2 試験項目
この規格に定めた構造及び性能に関する事項全般にわたり、試験を行う。
試験項目は表7を標準とする。ただし、受渡試験は、受渡当事者間の協議によって項目の一部を省略することがで
きる。
9
200:2001
表7
試験項目
試験項目
形式試験
受渡試験
備
考
構造試験
○
○
動作試験
○
○
耐電圧試験
○
○
受渡試験は、商用周波耐電圧試験に限る。
防水試験
○
−
屋外用のものに限る。
温度上昇試験
○
−
9.3 試験方法
9.3.1
構造試験
構造試験は、7、8、11の事項及び機器と材料について調べ、適合することを確認する。
9.3.2
動作試験
動作試験は、次の各項によって行い、正常であることを確認する。
a)断路器・遮断器・開閉器などの開閉
b)保護装置の動作
遮断器と組合せ、準拠規格に基づき保護継電器類の動作試験を行う。
c)計器類の指示状態
d)警報装置の動作
断路器・遮断器・開閉器などの開閉を手動又は自動によって行う。
計器類の指示状態を確認する。
警報装置の動作をb)の試験時に確認する。
9.3.3 耐電圧試験
a)商用周波耐電圧試験 商用周波耐電圧試験は、50Hz 又は 60Hz の正弦波に近い波形で 表2に示す値の電圧を1分
間印加する。
b)雷インパルス耐電圧試験
雷インパルス耐電圧試験は、波形が 1.2/50μs(波形の裕度は、波頭長で±30%、波尾
長で±20%とする。)で、表2に示す値の電圧を正負極性別に各1回印加する。
9.3.4
防水試験
a)外箱は、附属書1の防雨形試験を行う。
b)受電箱は、附属書1の防噴流形試験を行う。
9.3.5
温度上昇試験
10. 製品の呼び方
温度上昇試験は、附属書2によって行う。
製品の呼び方は、名称、形式、屋内・屋外用の別、受電形式(相・線式・kV)、定格周波数(Hz)
受電設備容量(kVA)及び定格遮断電流(kA)による。
例
11. 表示
キュービクル式高圧受電設備、PF・S形、屋外用、三相3線式、6.6kV、50Hz、300kVA、12.5kA
キュービクルには、容易に消えない方法で、次の事項を表示しなければならない。
a)本体銘板 次の事項を明記した金属製銘板又は難燃性の樹脂製銘板を正面扉の裏面の見やすい位置に取り付ける。
1)
名称
2)
形式
3)
屋内・屋外用の別
4)
受電形式(相、線式、kV)
5)
定格周波数(Hz)
6)
受電設備容量(kVA)
7)
定格遮断電流(kA)
8)
総質量(kg)
9)
製造業者名
10) 製造番号
11)製造年
b) 接続図
受電箱正面扉の裏面に接続図を備える。
10
200:2001
c)注意標識板
1)キュービクル正面扉の見やすい位置に耐候性をもつ図1のような注意標識板を取り付ける。
2)色彩については、JIS Z 8721 による。
単位 mm
板厚は鋼板の
場合は 0.5 以上
黒(N1.5)
線幅 7∼10
黒(N1.5)
黄赤
(2.5YR6/13)
電
圧
225
高
白
黒(N1.5)
変
電
設
備
300
図1
注意標識板
備考 寸法は最小を示す。取付け場所に応じ、相対的に大きくしてもよい。
11
200:2001
正
面
a)
正
屋内用
側
正
面
前後面保守形
面
屋内用
正
d)
屋外用
面
前後面保守形
面
b)
c)
側
前面保守形(薄形)
備考1. W、D、Hは、各々キュービクルの横幅、奥行、高さを示す。
2.Hは、自然換気口及び機械換気装置の高さを含まない。
付図1
面
側
面
前面保守形(薄形)
面
屋外用
側
キュービクルの形状例
12
200:2001
単位 mm
A
B
C
D
E
F
G
H
I
J
605 以下
600 以下
400 以下
480 以下
530 以下
520 以下
115
665 以下
280
400
備考 I及びJは、据置形の固定ボルトの取付部の寸法である。
なお、ボルトはM12(メートルねじ)とする。
付図2
電力需給用計器用変成器外形寸法
(図は、一例を示す。)
13
200:2001
VCT取付け(懸垂形)
VCT取付け(据置形)
単位
mm
A
B
C
D
E
300 以上
640 以上
370 以上
1000 以上
1950 以上
備考1.ブラケットの取付位置は、上下左右 100 ㎜移動できる構造
とする。
2.支持がいしの相間距離は、180 ㎜以上とする。
3.受電箱の横幅は、取付け及び取替え作業に必要な寸法とする。
4.C、D、Eは、引込ケーブルがピット配線で施工されること
が明らかな場合は、ピット底面からの寸法としてもよい。
付図3
電力需給用計器用変成器取付図
14
200:2001
附属書1(規定)キュービクル式高圧受電設備の防水試験
1.適用範囲
この附属書は、定格周波数 50Hz 又は 60Hz、公称電圧 6.6kV 以下のキュービクル式高圧受電設備の防
水試験について規定する。
2.防水試験
次の項目について行う。
a)防雨形試験
b)防噴流形試験
3.防雨形試験
3.1 試験状態
試験状態は、次による。
a)キュービクルを設置状態にして行う。
b)外箱の扉と本体との間にゴムパッキンなどを挿入しない。
c)キュービクルとじょろ口との距離は、1.3mとする。
3.2 試験装置
試験装置は、次による。
a)キュービクル全体を 1 回で試験できる装置とすることが望ましいが、少なくともじょろ口3個以上用いてキュー
ビクルの当該面を平均に散水できるものとする。
b)じょろ口は、附属書1図1及びこれと同等以上の性能をもつものとする。
展開時の穴径×穴あけ数
φ0.4、φ0.7 又はφ1.0×101 個
単位 mm
φ1.0×101 個(展開時の穴あけ)
附属書 1 図1
3.3 水圧又は水量
じょろ口
水圧又は水量は、次のいずれかによる。
a)水圧は、じょろ口に内径 12 ㎜のホースを接続し、じょろ口を上に向け噴流の高さを1m以上とする。
b)水量は降雨状態で、20 ㎜/min 以上とする。
3.4 試験時間
連続 10 分間散水する。
15
200:2001
3.5 散水面
散水面は、附属書1図2の2か所とする。
a)正面の散水試験方法
b)屋根面・側面の散水試験方法
附属書1図2
散水面
4.防噴流形試験
4.1 試験状態
試験状態は、次による。
a)キュービクルを設置状態にして行う。
b)外箱の扉と本体との間にゴムパッキンなどを挿入しない。
c)ノズルとの距離は、1.5∼2mとする。
4.2 試験装置
試験装置に用いるノズルは、附属書1図3による。
単位 mm
附属書1図3
4.3 水圧及び水量
ノズル
水圧及び水量は、次による。
a)水圧は、所定の水量が安定して得られるものとする。
b)水量は、12.5ι/min±5%とする。ただし、水頭(ノズルを垂直上方に向けたとき、ノズル先端を基準として噴
流水が到達する高さ)が約 2.5mに相当する流量としてもよい。
16
200:2001
4.4 注水
a)注水角度
注水は、次による。
A 、○
B 、○
C 、○
a 、○
b 及び○
c のとおりとする。
注水角度は、ノズルの角度を附属書1図4の○
b)注水回数及び時間
A について、○
a 、○
b 及び○
c の方向に、ほぼ同じ速度で各々1往復3分間注水する。○
B 及び ○
Cに
○
ついても1分間同様に行う。
c)注水箇所
備考
注水は、受電箱の前面、後面及び側面の通気孔について行う。
Pは、注水点
附属書1図4
関連規格
JIS C 0920
注水角度
電気機械器具の防水試験及び固形物の侵入に対する保護等級
IEC 60694(1996)
Common specifications for high-voltage switchgear and controlgear standard
17
200:2001
附属書2(規定)キュービクル式高圧受電設備の温度上昇試験
1. 適用範囲
この附属書は、定格周波数 50Hz 又は 60Hz、公称電圧 6.6kV 以下のキュービクル式高圧受電設備の温度
上昇試験について規定する。
2.試験方法
温度上昇試験は、その形式のキュービクルが収容し得る最大容量の変圧器を収納した状態で受電設備
の全容量で連続運転し、各部の温度が一定となったときに温度計法によって各部の温度を測定する。
なお、周囲条件が比較的安定している場所で行うことが望ましい。また、500kVA 以下の場合で使用者の要望によっ
て機械換気装置を用いる場合の温度上昇試験は自然換気状態で行い、500kVA を超えるものにおいて機械換気装置を設
けたキュービクルは、機械換気装置を通常の使用状態として行う。
a)試験方法
温度上昇試験は、実負荷法、返還負荷法及び等価負荷法のいずれかによる。
b)試験の継続時間
温度上昇試験の継続時間は、次の1)又は2)のいずれかによる。
1)最高油温上昇の変化が、最後の3時間の間引き続いて 1 時間当たり1℃以内になったとき、試験を終了する。
この場合は、熱的定常状態に達したとみなして、試験時間の最後の測定値から最終温度上昇を決定する。
2)最高油温上昇の増加が1時間当たり3℃以内になったとき、試験を終了する。
この場合、最終温度上昇の決定は、附属書2図1に示す方法による。
附属書2図1
c)測定箇所
油の最終温度上昇の決定方法
キュービクルの温度上昇試験は、キュービクルを設置した状態で扉を開閉することなく、キュービク
ル外部に測定線を引き出して温度を測定する。測定箇所は、次による。
1)キュービクル箱内
2)接続部
温度の最も上がりそうなところについて・・・2か所
配線用遮断器の電源側端子について・・・単相、三相各1か所
3) 変圧器の油温
・・・収納変圧器ごとに各1か所
変圧器の油温の測定箇所は、変圧器中央部油面下約 50 ㎜とす
る。
4) 周囲
・・・2か所
附属書2図2のように、高さ及び距離が、各 1000 ㎜の位置に設けた1種2号絶縁油
(JIS C 2320)0.5
以上を入れた容器内とする。
5)その他必要な箇所
単位
附属書2図2
周囲温度の測定点
mm
18
JSIA 200
キュービクル式高圧受電設備通則
解
説
この解説は、本体及び附属書に規定・記載した事柄、並びにこれらに関連した事柄を説明するもので、規格の一部
ではない。
1.制定の趣旨 キュービクル式高圧変電設備(以下、“キュービクル”という。)は、 その利便性から広く使用され
ているが、内蔵する機器の性能が劣っていたり、機能上に欠陥があったりすると、キュービクルの特長や効果が十分
発揮されないばかりか、思わぬ災害が発生するおそれもある。
キュービクルに関する規格として、1968 年に JIS C 4620 キュービクル式高圧受電設備が制定され、以後改定を重
ね 1998 年に5回目の改正を行ない現在に至っている。
現状を考えると JIS C 4620 キュービクル式高圧受電設備に該当しない製品の需要も多く、(社) 日本配電盤工業会
としての規格の制定が求められてきた。ここに各種キュービクルの個別規格 化にあたり、共通的な事項を定めたもの
として、JSIA 200 キュービクル式高圧受電設備通則を制定した。
2. 適用範囲
規格制定にあたり、現在までの製造実績を踏まえ次のものとする。
なお、系統短絡電流を 12.5kA 以下としたのは、JIS C 4620 キュービクル式高圧受電設備に整合させたためである。
a) JIS C 4620 によるもの(CB形、PF・S形)。
b) 受電設備容量が 2000kVA を超過するもの。
c) 変圧器を外部に設置したもの。
d) 特別高圧受電設備の2次側高圧設備に使用するもの。
(特別高圧受電設備の規格は、JEM 4620 金属閉鎖形スイッ
チギヤ及びコントロールギヤであるが、2次側高圧設備については、JSIA 200 を使用してもよい。)
3. 耐震性能(本体の 6.7)
1995 年 1 月 17 日に発生した兵庫県南部地震を契機に“建築設備耐震設計・施工指針:
1997 年度版”(日本建築センター発行)、“建築電気設備の耐震設計・施工マニュアル改訂新版”(日本電設工業会、電
気設備学会共同発行)等が発行された。
また、当工業会においても配電盤類の耐震試験を実施し、その結果を JSIA-T1018 配電盤類の設計マニュアルとし
てまとめたので、その概要を次に記載した。
3.1 強度計算
建築設備耐震設計・施工指針、建築電気設備の耐震設計・施工マニュアルにしたがって計算する。
a)アンカーボルトの計算(ボルトの径・本数)
アンカーボルトは M16 以下を使用し、コンクリートの引抜力を確
認する。
b)固定ボルトの計算(ボルトの径・本数)
盤本体とチャンネルベースとの固定用ボルトの計算単位は、各単位盤
毎でチャンネルベースに固定されているものとして計算する。
3.2 耐震構造
a)チャンネルベース部の構造
1)チャンネルベース部の構造は、アンカーボルトに曲げ応力がかからないように、床に密着して固定する構造と
する。
2)溝形鋼の傾斜部で固定するアンカーボルトは傾斜座金を使用して締付け施工する。
b)本体枠構造
本体枠構造(チャンネル部含む)は収納機器に影響を与えない堅固な構造とする。
1)溶接構造の場合
1.1) 本体枠を溶接で組み立てる場合、地震の組合せ応力による溶接部の破断を防ぐため、接合部の溶接長さに
ついては十分留意して加工する必要がある。
1.2) 鋼板折曲げ枠体構造の場合、枠体の剛性を高めるためにL形鋼などの補強をいれるのが望ましい。
解1
19
200:2001 解説
2)プレハブ構造の場合
2.1) 本体枠をボルトで組み立てる場合、地震の組合せ応力による締付部のボルト変形・破断などを防ぐため、
ボルト締付け部は枠体相互が密着する構造とするのがよい。
2.2) 鋼板折り曲げ枠体構造の場合、枠体の剛性を高めるために枠体コーナーに三角巾の補強をいれるのが望ま
しい。
b)扉・可動パネル
扉又は可動パネルの蝶番ピンなどはガタがないようにし、地震による上下振動にも、脱落など
が生じないようにする。
なお、保護継電器取付けの可動パネル等はボルト止めするのが望ましい。
3.3 収納機器の取付けと配線
a)変圧器等の重量機器
1) 機器の選定設置階に見合った設計用水平震度(KH )の機器とする必要がある。通常、変圧器の場合、設計用
水平震度としては「1.0」である場合が多いが「0.6」を標準とするメーカもあり、選定時注意する。
2)取付けと配線
2.1) 防振ゴムを取付ける場合は、地震時の機器の過大な揺れによる転倒、破損を防止するため、耐震ストッパ
付とする。
2.2) 機器固定用の形鋼などは、地震時の揺れに対する強度が得られる方向に設けるのが望ましい。
2.3) 変圧器に接続する導体は、電線又は可とう導体とし、上部の変位量を吸収できる余長を設ける。
b)VCT
VCTリード線接続は、電力会社の指定された端子・カバーにより接続され、かつ、リード線端子部に
無理な力がかからないように施工される必要がある。
1)懸垂形VCT
50×100 溝形鋼又はこれと同等以上の鋼材につり下げられるようにする。
2)据置形VCT
据置固定台に堅固に固定する。
4. 構造(本体の 7.)
4.1 外箱など(本体の 7.2)
a)鋼製のほかにステンレス又はアルミニウムを使用することができる。
なお、ステンレス及びアルミニウムの厚さは、鋼製と同等以上の強度をもつものとする。ただし、その強度評
価は受渡当事者間で協議する。
b)発せい(錆)のおそれが多い地域にあっては、特に塗装等を強化することが望ましい。
4.2 電力需給用計量器及び電力需給用計器用変成器の取付け(本体の7.3.2)
電力需給用計量器の取付板の大
きさは、解説表1に示す寸法を参考とする。
電力需給用計量器などの取付け空間は、取付け及び配線工事に支障のない大きさが必要であるが、専用の計量器収
納箱を使用し、取付板が不要の場合もあるので、各地域の電気事業者から計量器又は収納箱の外形寸法、取付け、配
線方法を問い合わせて対処する。
解2
20
200:2001 解説
解説表1
単位
電力会社名
mm
縦幅
横幅
515
245
625
250
東北電力株式会社
560
450
東京電力株式会社
560
250
中部電力株式会社
560
250
北陸電力株式会社
560
250
関西電力株式会社
560
250
中国電力株式会社
560
四国電力株式会社
560
九州電力株式会社
560
250
280
200
420
220
北海道電力株式会社
沖縄電力株式会社
4.3 低圧回路の保護装置(本体の7.3.3)
450
250
450
250
低圧回路の短絡電流値は、一般に短絡事故が外部引出し配線の端末
(分電盤電源端子など)で発生したとして推定される。設計に当たっては、回路ごとにこの推定短絡電流値を計算し、
使用する配線用遮断器の定格遮断電流が十分であるか確認する必要がある。
なお、解説表2に、受電点短絡電流を 12.5kA、変圧器インピーダンス電圧をメーカ数社の平均値、想定短絡点を外
部引出し配線の長さ5mの位置とした場合について、配線用遮断器の最小限必要な定格遮断電流を示した。
設置条件の未定なときなど参考にするとよい。
解説表2(その1)
単位
配線用遮断器の
定格電流(A)
単相(200V)
kA
三相(200V)
50
100
225
400
600
50
100
225
400
600
以下
以下
以下
以下
以下
以下
以下
以下
以下
以下
30
7.5
7.5
7.5
7.5
7.5
5
5
5
5
5
50
7.5
10
14
14
14
7.5
7.5
7.5
7.5
7.5
75
10
14
14
14
14
7.5
10
10
10
10
100
10
14
18
18
18
10
10
14
14
14
150
14
18
22
22
25
10
14
18
18
18
200
14
22
25
25
30
14
18
22
22
22
300
14
25
35
35
42
14
22
25
25
30
500
−
−
−
−
−
18
30
35
42
42
変圧器
容量(kVA)
解3
21
200:2001 解説
解説表2(その2)
単位
変圧器
容量(kVA)
配線用遮断器の
定格電流(A)
kA
三相(400V)
50
100
225
400
600
以下
以下
以下
以下
以下
30
5
5
5
5
5
50
5
5
5
5
5
75
5
5
5
5
5
100
7.5
7.5
7.5
7.5
7.5
150
7.5
7.5
10
10
10
200
10
10
10
14
14
300
14
14
14
14
14
500
18
22
22
22
22
4.4 高圧配線(本体の7 .4.1) 高圧回路の絶縁性能は、高圧 機器の JIS や IEC 60694 などの国際規格では耐電
圧値だけで規定しているが、キュービクルは、一般に配線が多様な形態で、かつ、可とう(撓)性をもつことから形
式試験の状態を的確に再現することは困難であるので、キュービクルの絶縁性能は耐電圧値に絶縁距離規定を加えて
規定することにした。
高圧回路各部の絶縁距離は 表3に示されているが、高圧用絶縁電線の接続部及び分岐接続部の最小離隔距離は解説
表3の値以上とする。
なお、高圧回路各部の絶縁距離は、各機器をキュービクル内に取付け、配線した状態での規定であって、機器単体
の絶縁距離を規定するものではない。
解説表3
単位
接続面シース表面相互間
箇
所
斜めの方向
直角方向
接続部シース表面
と非接続部シース
表面間(直角方向)
mm
接続部シース表面
と接地体間
1. 直線接続部
a) 接続点が対向している場合
b) 接続点がずれている場合
−
90
−
70
90
−
45
70
−
90
−
70
90
−
45
70
2. 分岐接続部
a) 接続点が対向している場合
b) 接続点がずれている場合
4.5 低圧配線(本体の7.4.2) 低圧配線は、600Vビニル絶縁電線が使用されているが、許容電流は一般に周囲
温度 30℃、電線の許容温度 60℃と定められているため、キュービクルの箱内温度が夏期の温度の高いときには、40
∼50℃に達する部分があることを考慮して、電線の太さを選定する必要がある。解説表4に周囲温度が 50℃までの許
容電流を掲げた。
さらに 600V二種ビニル絶縁電線があるが、この電線の許容温度は 75℃であり、普通 600Vビニル絶縁電線に比 べ
熱的に有利になり、同一サイズの許容電流も多くなるので、総合的にみて経済的な場合もある。また、600Vビニル絶
縁電線などと同等以上の性能をもつものとしては、“電気設備の技術基準の解釈について”第3条、第5条に規定する
600V絶縁電線が掲げられているが、難燃性のものであることが望ましい。
解4
22
200:2001 解説
銅帯を使用するときも温度によってそのサイズを選定する必要がある。解説表5に、各温度の電流容量を掲げた。
この電流容量の値は、JIS H 3140 (銅ブスバー)規定の質別H(導電率 97%)のものについて、熱ふく(輻)射
係数 0.35 として計算したものである。
なお、変圧器の二次側に銅帯を使用する場合にあっては、可とう性の大きな緩衝用の編組導体を使用するとよい。
解説表4
ビニル絶縁電線許容電流
単位
導
より線
600V ビニル絶縁電線
体
単
(m㎡)
線
(mm)
周
30℃
囲
温
600V 二種ビニル絶縁電線
度
40℃
A
周
50℃
囲
温
度
30℃
40℃
50℃
−
−
−
−
1.0
16
13
9
−
1.2
19
15
10
23
20
17
−
1.6
27
22
15
32
29
24
−
2.0
35
28
20
42
37
31
−
2.6
48
39
27
58
51
43
−
3.2
62
50
35
75
66
56
−
4.0
81
66
46
98
87
73
−
5.0
107
87
61
130
115
97
0.9
−
17
13
9
20
18
15
1.25
−
19
15
10
23
20
17
2.0
−
27
22
15
32
29
24
3.5
−
37
30
21
45
39
33
5.5
−
49
40
28
59
52
44
8
−
61
49
35
74
65
55
14
−
88
71
50
107
95
80
22
−
115
93
66
140
124
104
38
−
162
132
93
197
174
147
60
−
217
177
125
264
234
198
100
−
298
243
171
363
321
272
150
−
395
322
227
481
426
360
200
−
469
382
270
572
506
428
250
−
556
453
320
678
600
507
325
−
650
530
375
793
702
593
400
−
745
607
429
908
804
680
500
−
842
687
485
1027
909
768
備考1.表の値は、“電気設備の技術基準の解釈について”第172条によるもので、同条172−1表の
数値に同条172−2表に示す電線絶縁物の最高許容温度に応じた許容電流補正係数、又は電流
減少係数を各々乗じたもので、小数点以下は切り捨てとしてある。
2.許容電流補正係数は、周囲温度が30℃以下の場合に適用し、その値は 600Vビニル絶縁電線は
1.00、600V二種ビニル絶縁電線では 1.22 である。
電流減少係数は、周囲温度が30℃を超える場合に適用し、周囲温度θ(℃)とし、次の式で算
出する。なお、有効数字は3けたとする(4けた目四捨五入)。
60−θ 、600V二種ビニル絶縁電線では
600Vビニル絶縁電線では
30
解5
75−θ
30
23
200:2001 解説
解説表5
銅帯の電流容量
単位
導体の配置
導体の寸法
t
A
t t t t t
t t t
温度上昇
(㎜×㎜)
30℃の場合
65℃の場合
30℃の場合
65℃の場合
30℃場合
65℃の場合
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
−
3×
25
230
362
4×
25
290
456
50
510
802
25
340
535
50
610
960
25
380
598
−
−
−
−
30
430
676
−
−
−
−
40
550
865
−
−
−
−
50
680
1070
−
−
−
−
75
940
1479
1670
2627
−
−
100
1200
1888
2020
3177
2580
4058
125
1440
2265
2350
3697
3020
4750
150
1680
2643
2710
4263
3370
5301
8× 50
800
1258
−
−
−
−
75
1100
1730
1890
2973
−
−
100
1400
2202
2260
3555
2930
4609
125
1650
2595
2620
4121
3360
5285
150
1930
3036
3020
4750
3820
6009
10× 50
880
1384
−
−
−
−
75
1220
1919
2030
3193
−
−
100
1540
2422
2450
3854
3110
4892
125
1820
2863
2820
4436
3540
5568
150
2120
3335
3220
5065
4080
6418
12× 75
1320
2076
2150
3382
−
100
1660
2611
2600
4090
3300
5191
125
1950
3067
2980
4688
3760
5914
150
2280
3586
3380
5317
4260
6701
5×
6×
備考1.表の値は、周囲温度 40℃とした場合で、かつ、銅帯が裸で開放した条件における場合を示す。
2.表の値は、30℃の場合は“配電盤技術便覧”から引用した。65℃の場合は、同便覧の換算式
IT =I30 (
T
30
1
―
1.7
)
ここに、IT :30℃以外の温度上昇T℃における電流容量(A)
I30:30℃における電流容量(A)
によった。
3.多数板導体の場合、その間げき(隙)は導体の厚さに等しいとした場合である。
解6
−
24
200:2001 解説
附属書1(規定) キュービクル式高圧受電設備の防水試験
一般に電気機械器具の防水試験の方法は、JIS C 0920-1993(電気機械器具の防水試験及び固形物の侵入に対する保
護等級)及び IEC 60529-1989 [Degrees of protection provided by enclosues(IP Code)] で規定されているが、これ
らは比較的小形製品を対象としているため、そのままの適用は煩雑となりあまり実際的でない。
そのため、この規定は、キュービクルの外形寸法が大きいことに加え、雨水浸入が換気口、扉のすきま、連結部な
ど限定部分であること及びこれらの部分が各箇所で類似構造であるなどの特質に合わせ、かつ、試験の再現性を考慮
して、JIS C 0920、IEC 60529 と同等になるように規定したものである。
したがって、この規定の防雨形試験はIPX3に相当し、防噴流形試験はIPX5に相当するとして差し支えない。
JIS C 0920、IEC 60529 では、散水量を 10 ㎜±5㎜/min として上方 300∼500 ㎜の高さから、鉛
a)防雨形試験
直から±60 度までの角度の全範囲にわたって散水するとしている。
この規定では、広範囲に散水できるように高さを約3倍、散水量を2倍の 20 ㎜/min 以上とし、同等とした。
b)防噴流形試験
JIS C 0920、IEC 60529 では、IPX5の試験として、水がかかると考えられるすべての方向
から注水するとしているが、この方法では試験に長時間を要すること、再現が難しいことを考慮して、注水点1
か所に対し9方向に固定し、その代わりノズルと注水点の距離を1m短くして同等とみなした。
なお、具体的な試験実施上の注意事項を次に示す。
①
試験実施上の注意事項
1)水圧の変動が少ない水源を選択する。
2)注水及び速度が不均一にならないようにする。
②
注水箇所
1)受電箱の前面及び後面のひさし部分については、通気孔の有無にかかわらず実施する。
2)受電箱の側面については、通気孔がある場合又は扉がある場合に実施する。
3)チャンネルベースの通気孔は除く。
4)受電箱及び隣接する配電箱のガラリ・フードについても行う。
③
注水手順
1)水圧と水量を確認する。
1.1) 流量計を使用する場合は、水圧を調整して流量計目盛りが 12.5ι/min±5%を指示することを確認する。
流量計を使用しない場合は、ノズルを垂直に立て、水頭 2.5 mの位置まで水圧を上げ、このときの水圧計
の目盛りを記録する。
1.2) ノズルの高さ位置を変える場合は、1.1)のときの流量計の読み、又は水圧計の読みが一定に保たれる
ように水圧を調節する。
なお、水圧計の読みで水量を管理する場合は、常にノズルと水圧計の高さ位置関係はできる限り一定
にする必要がある。
2)ノズルを所定の角度・距離に位置を定め、注水する。
2.1) 水量又は水圧を確認する。
2.2) ノズルを規定の角度に設定し、水流が注水点Pに当たるようノズルの位置を調整する。
2.3) ノズルと注水点Pとの距離は、1.5∼2.0m内となるようにノズルの位置を調整する。
3)確定した位置で注水面に対し移動する。
3.1) 注水点Pへの注水がずれるときは、ノズルの位置を調整する。
3.2) 規定の水量、水圧に注意し、規定の水量を保つように調整する。
解7
25
200:2001 解説
附属書2(規程)
キュービクル式高圧受電設備の温度上昇試験
温度上昇試験実施上の注意事項及び等価負荷法及び返還負荷法について以下に示す。
a)試験実施上の注意事項
1)キュービクルを設置した状態で開扉することなく、キュービクル外部で温度が測定できる。
2)測定に用いる温度計は、記録温度計を使用する。
3)底板の電線引込口及び引出口は、ふさいで行う。
4)チャンネルベースと床面のすきまを埋めて行う。
5)変圧器製造業者の試験成績書の温度試験時における一次電圧が 6600Vである場合は、一次巻線のタップを
6600Vで試験を行ってもよい。
b)等価負荷(短絡)法
巻線の一方を短絡し、損失分を供給する。短絡箇所は、配線用遮断器の負荷側とする。
1)油入変圧器の場合
無負荷損と 75℃に換算した定格負荷時の負荷損との和に等しい損失を供給し、温度上昇を測定する。
備考1.無負荷損をWi、75℃に換算した負荷損をWc、定格電流をInとすれば、全損失に等しい負
荷損を生じされる電流Isは、次式となる。
Is=In×
Wi+Wc
Wc
2.試験電流Isを流すのに要する(短絡)電圧IZr(V)は、インピーダンス電圧をIZnと
すると次の式となる。
IZr=
Is
×IZn
In
供給損失が全損失と等しくない場合にあっては、その限度を 80∼120%とし、次の式によって換算する。
(
定格負荷時の油温温度上昇値=試験時の油温温度上昇値×
全損失
供給損失
0.8
)
2)モールド変圧器の場合
測定点は、単相変圧器はU相又はV相、三相変圧器はV相の低圧側コイルの樹脂表面における上面とする
(解説図1参照)。
定格負荷時の負荷損に等しい損失を供給し、温度上昇を測定する。
備考
無負荷損による温度上昇は、被試験変圧器の変圧器製造業者の試験成績書の値による。
高圧コイル
鉄 心
盤 前 面
低圧コイル
センサ取付け位置
a)単相変圧器
高圧コイル
低圧コイル
鉄 心
センサ取付け位置
盤 前 面
b)三相変圧器
解説図1 モールド変圧器の温度上昇測定点
解8
26.
200:2001 解説
3) ガス絶縁変圧器の場合
測定点は、変圧器タンク上部又はタンクカバーに装備された上部ガス温度測定用のポケット内とする。
無負荷損と基準巻線温度(例えば、耐熱クラスEでは、90℃)に換算した定格負荷時の負荷損との和に等しい損
失を供給し、温度上昇を測定する。
備考1.無負荷損をW i、基準巻線温度に換算した負荷損を Wc 、定格電流をI nとすれば、全損失に等しい
負荷損を生じされる電流Isは、次式となる。
Is=In×
Wi+Wc
Wc
2.試験電流I s を流すのに要する(短絡)電圧IZr (V)は、インピーダンス電圧を IZ nとすると
次の式となる。
IZr=
Is
×IZn
In
供給損失が全損失と等しくない場合にあっては、その限度を 80∼120%とし、次の式によって換算する。
(
定格負荷時のガス温度上昇値=試験時のガス温度上昇値×
全損失
供給損失
0.8
)
c) 返還負荷法
負荷損及び無負荷損に相当する電流を変圧器のタップ差又は別電線から供給す
1)タップ差を利用する場合
1.1)
キュービクルに収容する変圧器のほかに、同一定格の変圧器を返還負荷法用としてさらに1台用意する。
1.2) 2台の変圧器の低圧側、高圧側ともに並列に接続し、低圧側から電圧を印加する。
1.3) 高圧側のタップの電圧差を利用して定格電流と等しい循環電流を流す。
備考1.変圧器の%インピーダンスは、仕様によって相違があるので注意する。
2.タップ電圧の差を2台の変圧器のインピーダンスの和と等しくなるようにする。
3.同一タップの場合、無負荷損だけが供給される。
4.試験電圧は、低圧側、高圧側のいずれからでも印加してもよい。
2) 負荷損と無負荷損を別電源で供給する場合
2.1)
単相変圧器2台の場合、並列に結線し、高圧側よりインピーダンス電圧の2倍の電圧を加え、定格電流を
流して負荷損を供給する。また、低圧側より定格電圧を加え無負荷損を供給する。
2.2)
単相変圧器3台の場合、低圧側、高圧側ともに三角結線とし、高圧側の三角結線の一端を開いて、インピ
ーダンス電圧の3倍の電圧を加え、定格電流を流して負荷損を供給する。また 、低圧側に三相交流によっ
て定格電圧を印加し、無負荷損を供給する。
解 9.
この規格の作成に協力された委員は、次のとおりである。(敬称略)
技 術 部 会
部会長
箕浦
純一
(愛知電機製作所)
副部会長
白川
節太郎(白川電機製作所)
副部会長
渡邊
光康
(大 崎 電 気 工 業 )
技 術 委 員 会(△印は前任者)
委員長
成田
博
(大 崎 電 気 工 業 )
△委
員
桜井
孝逸
(関
西
支
部)
副委員長
高橋
勝彦
(別 川 製 作 所 )
委
員
塩見
卓司
(関
西
支
部)
委
員
乾
義夫
(中
機)
委
員
戸村
雅義
(遠
藤
電
機)
委
員
新原
重信
(宇 賀 神 電 機 )
△委
員
橋本
吉昭
(別 川 製 作 所 )
委
員
太田
勝
(宇 賀 神 電 機 )
△委
員
廣田
芳久
(中
委
員
木村
宏
(愛知電機製作所)
委
員
和田
正昭
(下平電機製作所)
委
員
櫛田
博恭
(愛知電機製作所)
事務局
織田
利之
委
員
栗原
武光
(森
事務局
横田
茂雄
立
井
電
電
業)
立
電
機)
第一 技 術 専 門 委 員 会(△印は前任者)
主
査
木村
宏
(愛知電機製作所)
委
員
鴫原
三夫
(日
本
電
機)
△主
査
橋本
吉昭
(別 川 製 作 所 )
△委
員
杉中
輝明
(三
菱
電
機)
副主査
飯泉
茂次
(水谷電機製作所)
委
員
杉野
精二
(渦
潮
電
機)
副主査
鈴木
彰博
(興亜電機製作所)
△委
員
田中
泰治
(内
外
電
機)
委
員
板垣
宏二
(日
満
電
気)
委
員
新原
重信
(宇 賀 神 電 機 )
委
員
乾
義夫
(中
立
電
機)
委
員
則武
継雄
(東
委
員
石井
英明
(ダ イ シ ン 電 機 )
△委
員
藤井
将登
(ダ イ シ ン 電 機 )
委
員
小川
剛
(須藤電機製作所)
委
員
平野
公一
(大 崎 電 気 工 業 )
△委
員
大西
祥夫
(四 変 テ ッ ク )
委
員
松本
良明
(三
菱
電
機)
委
員
川辺
貞夫
(別 川 製 作 所 )
△副主査
横沢
利定
(川
﨑
電
気)
委
員
熊谷
保憲
(因幡電機製作所)
事務局
織田
利之
委
員
坂井
茂
(内 山 電 機 工 業 )
事務局
横田
茂雄
芝)
キュービクル式高圧受電設備通則・編集 分科会
主
査
飯泉
茂次
(水谷電機製作所)
△委
員
杉中
輝明
(三
菱
電
機)
委
員
乾
義夫
(中
機)
△委
員
田中
泰治
(内
外
電
機)
委
員
小川
剛
(須藤電機製作所)
委
員
平野
公一
(大 崎 電 気 工 業 )
委
員
木村
宏
(愛知電機製作所)
委
員
松本
良明
(三
委
員
熊谷
保憲
(因幡電機製作所)
事務局
織田
利之
立
電
2001 年(平成 13 年)12 月 20 日
第1版発行
発行所
社団法人日本配電盤工業会
〒105―0012 東京都港区芝大門2−10−2
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03−3436−5510
FAX
03−3436−0738
菱
電
機)