介護職員の倫理研修

介護職員の倫理研修
青見 健志
1.倫理を簡単に表現すると
日本人として、法律を守り
社会人として、規則を守り
人間関係において、決まり事を守り
世のため、人のため、日々努力することです。
善の心と正しい行い
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青見 健志
2.守るべき倫理の基本は?
社会人として模範的な行動を行うことです。
模範的な行動とは規準は?
①様々なルールを守る事
日本の法律・県や市町村行政・会社規則など
②社会の一員として世の中の役に立つこと
仕事をする・ボランティアや地域の清掃活動に参加するなど
③責任のある行動を行うこと
任された役目をしっかり行ない、やり遂げること
④しっかりとした人格を形成すること
積極的、前向き、信頼を築く、協力する、助け合いなど
⑤日々のコミュニケーションから報告・連絡・相談をしっかり
職場では業務報告、確認、相談、指示だけでなく、円滑に活
動が行えるように礼儀正しい挨拶、御礼、ねぎらいなど言葉
にして伝える。
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青見 健志
3.「倫理」を辞書で調べて見よう
・国語辞書より「倫理」の言葉の意味を調べると
①人として踏み行う道。
②道徳
③モラル
・国語辞書より「倫」と「理」の単語を調べると
「倫」・・・人として踏み行うべき道
「理」・・・法則、原理、ものの道理
簡単に言うと 「モラルの低下」=「倫理観の欠落」
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青見 健志
4.モラルの低下=倫理観の欠落
日本人として、法律を破り
社会人として、規則を破り
人間関係において、決まり事を破り
自分の好き勝手、人に迷惑をかけ生きること
悪の心と邪な行い
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5.なぜ倫理研修が必要なのか?
「善の心と正しい行い」その規準は、個人によってバラバラ、
「当たり前!」と考える事が、それぞれ違うためルールと規
準を作り、その規準を守らないと、世の中メチャクチャになっ
てしまいます。
なぜ、当たり前のことなのに、なぜ全員が統一していないの?
・生まれた場所や育った環境がみんな違う
・性格や価値観がみんな違う
・得意不得意、それぞれの違いがはっきりしている
・同じ内容の説明でも、人により受け取り方が違う
・親のしつけに統一したルールがない
など様々な理由がある。
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6.倫理や道徳の規準と違反
・守るべき倫理や道徳の規準はどこにある?
その規準を守らないとどうなるの?
①国家単位では・・・・・・・・・・・・・・・国が定める法律
違反すると→犯罪・逮捕・裁判・刑罰
②県や市町村では・・・・・・・・・・・・・行政が定める政令
違反すると→行政指導・是正勧告・許可取消・裁判・返還命令
③すんでいる地域では・・・・・・・・・・町内会や隣近所組合
守らないと→注意・指導・住民トラブル・人間関係の悪化
④家庭では・・・・・・・・・・・・・・・・・・・親や家庭内ルール
守らないと→しつけ・罰・家族会議
⑤学校では・・・・・・・・・・・・・・・・・・・校則
校則違反→注意・指導・家族呼び出し・停学・退学
⑥会社や施設では・・・・・・・・・・・・・各会社にある就業規則
規則違反→注意・指導・懲戒処分(減給・停職・解雇)
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7.なぜ倫理の研修が必要なのか?
①人は心に潜む悪魔の声(感情)に囚われルールを破る。
ばれなきゃいい、自分さえ良ければいい、めんどうくさい、知らないふり、
気にくわない、妬み、嫉妬、恨み、僻みなど様々な理由
②時代の変化により新たなルールが作られる。
時代の流れにより、法律が改正、修正、新設が行われる。
事件や事故により、最近はどんどん厳しくなる一方である。
③退職する人もいたら、何も知らない新人も入社する。
人は年齢と共に様々な事を知り、いつかは寿命を向かえます。
新たな命が日々増え、人類は永遠に続いていくため、その知識をどん
どん引き継いでいく必要がある。
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7.なぜ倫理の研修が必要なのか?
④しっかりとした認識と意識は、徐々に薄れ忘れてしまう。
研修後はしっかりとした認識、仕事に対する意識改革が発揮されるが、
1年も過ぎると認識や意識は薄れてしまうものである。
⑤職員の意識や認識を統一する機会をつくる。
施設のモラルや倫理の質を高めるため、避難訓練と同様に、何度も確
認し繰り返すことが重要になります。
1回の研修で全員が統一した認識を得ることは難しく、研修後の認識の
違いをお互いに注意や統一し、再度研修を行っていくことが大切です。
継続は力なり
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8.心の中では悪いとわかってる
本当は言われなくても、ルールを破る行為が悪いことだと知って
いる。
生まれつき悪い人はいません。
悪いことを注意されたときに、不機嫌な態度を取るのはなぜ?
悪いことをするときは、コソコソとバレないようにするのはなぜですか?
知らなかった、やってないと嘘をつくのはなぜですか?
悪いことを正当化するのはなぜですか?
みんな本当は分かってる!
人間は皆ずる賢く、心の中にズルをしたい、楽をしたい、自分が一番になりたい、な
どと思うことが必ずあります。
でも、人間はとても賢いので、それでは世の中が成り立たないことを理解しており、
守るべき決まり事を作りました。
その決まり事を、「バレなければよい!」などと考え、我慢せず、自己中心的な行動
を取る行為を、倫理観・道徳観の欠如と表します。
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9.倫理や道徳がないとどうなる
・倫理や道徳の観点が低い人ほどルールを守らない。
①人の事はどうでもいい。
②自分がよければそれでいい。
③嫌なことは人に押し付け手伝わない。
④見つからなければ何をしてもよい。
⑤自分の嫌いな人へ嫌がらせをする。
⑥誰にも迷惑掛けていないという理由でルールを守らない。
⑦別に問題ないので法律を守らない。
⑧人のお金をだまし取る。
⑨自分の思い通りに行かないことは暴力により訴える
自分勝手
軽犯罪
犯罪
ルールや周囲の事を考えない、自分だけがよければいいという考え方から始
まり、次第に人間社会に適合できなくなり、気がつけば犯罪という結末に到達
する。
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10.人生とは我慢の連続である
悪い事をしたい気持ちを抑え込む我慢
バレなくてもズルをしない我慢
自分だけが楽をしない我慢
正しいことを続ける我慢
嘘をつかない我慢
苦
行
【仏の教え】
人生とは「苦」を背負って生きていく道である。
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11.四苦八苦
・四苦
①死んでいく苦しみ
②病気をする苦しみ
③老いの苦しみ
④生きる苦しみ
・八苦
我
慢
⑤心身を思うようにコントロール出来ない苦しみ
⑥親しい人、愛する人といつか必ず別れる苦しみ
⑦憎しみや恨みを抱いてしまう人と出会う苦しみ
⑧お金、物、地位、名誉、欲しい物が手に入らない苦しみ
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12.まず我慢するという制御
・誰にも迷惑を掛けていないから始まる事故犯罪の例
自動車の運転をしていました。
誰もいない見通しの良い場所でした。
我慢
早く家に帰りたいという誘惑
スピードを出しても安全だと思いました。
捕まらない、事故は起こさないという誘惑
我慢
気を引き締め、
安全運転に努め、
目的地へ向か
います。
事故を起こして
はいけないので、
スピードに気を
つけ運転します。
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12.まず我慢するという制御
家に早く帰りたいと思いアクセルを踏みました!
結果①
結果②
いつもより早く
家に帰り着きま
した。
スピード違反で
取り締まりに合
いました。
バレなきゃ大丈夫
ほとんどがこのパ
ターンで終了
バレたら軽犯罪
スピードの大幅
超過で犯罪
結果③
結果④
ハンドル操作を
誤り、事故を引
き起こしました。
道を横断中の歩行
者に対応出来ず、
人身事故を起こし
ました。
事故・犯罪
起こした事故の程度で罪を償います。
事故により自分も命を落とすかもしれない
事故により殺人を犯すかもしれない
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12.まず我慢するという制御
・事故を起こした後で後悔しても遅い。
あのとき・・・
我慢していたら・・・
交通ルールを守っていたら・・・
スピードを出さなきゃ・・・
制限速度を守っていたら・・・
やり直したい・・・
過去には戻れない・・・
青見 健志
13.介護職員の虐待事件はなぜ起きた?
・法律や規則を守れない、我慢が出来ない。
もとより意識が低く、バレ無きゃ何をしても良いと思っている。
・社会人、職業人としての自覚がない。
会社組織や同僚との協力など、働く事への意識が低い。
・介護職としての倫理がなっていない。
自分の仕事に対する意欲や自覚が低く、使命感や責任感がない。
・自分がよければ、人の事はどうでもよい。
介護を受ける高齢者の気持ちは考えず、物のように扱う
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13.介護職員の虐待事件はなぜ起きた?
・自分がよければ、人の事はどうでもよい。
自分は山の上の大将
周囲を下に見る失礼な態度や行動
失礼
ため口
悪態
要介護高齢者
雑に扱う
馬鹿にする
無視する
無責任
同僚職員
上司
他人
人間関係の崩壊を招き、最終的に孤立し始める。
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13.介護職員の虐待事件はなぜ起きた?
・自己中心的な態度から、周囲から嫌われ孤立する。
行き着く先は自分より弱い立場の人へ
怒鳴る、暴力、嫌がらせなど
指導・反発
要介護高齢者
同僚職員
上司
他人
高齢者・障害者は肉体的な力では健常者に勝てない
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13.介護職員の虐待事件はなぜ起きた?
・健康な介護職員は高齢者より強い
健康な自分とは?
五体満足、日常生活に支障がない
力、思考能力など物理的な勝負にすると!
介護職員≧要介護高齢者
簡単に弱い高齢者を抑え込むことが可能
要介護高齢者とは?
自分の生活に援助が必要な弱い立場
良識のない介護職員が介護を行うと、気が付けば立場が逆
転して、パワーバランスの崩壊による虐待、身体拘束、言葉
によるいじめなどに発展する。
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13.介護職員の虐待事件はなぜ起きた?
・本来の介護職員と利用者の立場
要介護高齢者とは?
サービスを提供される人(お客様)
サービス料を支払う側
顧客サービスを提供するという立場では
要介護高齢者≧介護職員
健康な自分とは?
サービスを提供する人(お店・店員)
サービス料を頂く側
お店の店員がお客に怒鳴ったり、横柄な態度を取ったり、ひ
どい言葉遣いを使うと、常識的にどうなるかすぐに理解できる。
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14.介護・福祉の仕事とは
サービスを提供する仕事
仕事の報酬は国から支払われる
介護高齢者を支える指命
ルールは国の法律に基づく
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15.看護や介護職のイメージとは
優しいイメージ
清潔なイメージ
ゆったりとしたイメージ
明るいイメージ
専門職のイメージ
安心なイメージ
家族や利用者はどんなイメージを持って施設にやってくるのか?
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16.職場の自分の姿は?
荒い口調で怒鳴る
無愛想で暗い印象
雑な仕事
見た目が不潔
いつも余裕がない
ひどい言葉遣い
事故が多い
悪口や噂話
家族や利用者の同僚のイメージが最悪になっていませんか?
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17.施設の倫理や方針を確認
服務規律(就業規則)
服務の基本原則(例)
第○○条
法人は社会的な存在と認識し、そこで働く職員は、社会人としての社会的なルー
ル及びマナーを当然守らなければならない。
職員は、この規則及びその他の諸規定を遵守し、業務上の指揮命令に従い、自
己の業務に専念し、運営業務を円滑に行うとともに、相互に協力して職場の秩序を
維持しなければならない。
※基本的な会社としての倫理や道徳に関するルールは、
就業規則に必ず明記してあります。
規則を守り、介護職としての職務を遂行することが職場や
社会人としての倫理である。
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18.施設の倫理や方針
・就業規則の服務規程に書いてある内容の概要等
①利用者を大切にすること(利用者介護、接遇、マナー)
②円滑な人間関係(チームワーク、報告、連絡、相談)
③会社のルールを守る(規則の厳守)
④よりよい介護を目指す向上心(個人スキル)
⑤公平で善行を行い、悪不履行の防止(個人や会社道徳)
⑥違法行為の禁止(法律厳守)
⑦いじめや差別の禁止、プライバシー保護(人権の保護)
⑧仕事に対する姿勢(業務安全、運営の効率化、清潔感)
⑨施設備品の管理に関して(施設の保全と美化)
⑩セクハラ、パワハラ、暴力の禁止(迷惑行為の防止)
⑪その他
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19.まとめ
・倫理観と道徳観
様々なルールを守らず、自分勝手な行動を行うことです。
自分勝手な行動が、利用者、他人、同僚、会社の迷惑・不利益になっ
ても 「自分さえよければそれでよい。」、 「バレなければ何をしてもよ
い。」という考え方、これがモラルの低下を招き、最終的に飲酒運転、暴
力・虐待事件、殺人事件、詐欺事件など引き起こしてしまいます。
人はそれぞれ性格、受け取り方、生活環境が違うため、ルールがなけ
ればバラバラになってしまいます。
校則、就業規則、法律、などを守ることで人間社会の調和を図り、その
中で他人への協力を惜しまず目標へ向かって、取り組むことが大切です。
善の心と正しい行い
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