HSBCホールディングスplc 2012年度年次決算メディア

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market of Hong Kong. Today, Hong Kong International Airport is the world’s busiest air cargo
hub, with its freight volume accounting for over one-third of the total value of Hong Kong’s
external trade.
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HSBCホールディングスplc
2012年度年次決算
メディアリリース
2013 年 3 月 4 日
HSBC ホールディングス plc
2012 年最終決算-ハイライト
•
報告ベースの税引前当期純利益は前年比 6%減の 206 億米ドル(自社債務の公正価値変動に関連した
52 億米ドルの損失を含む)。
•
営業ベースの税引前当期純利益 1 は前年比 18%増の 164 億米ドル。
•
狭義の中核的自己資本(以下、コア Tier1 資本)比率は、2011 年 12 月時点の 10.1%から 12.3%に上
昇。
•
バーゼル 3 規制の最終基準で算出した普通株式等 Tier1(CET1)比率は、2013 年の資本政策実施後
に 10.3%となる見込みで(2012 年末時点は 9.0%)、本業の成長を支える資本基盤を形成。
•
2012 年第 4 回中間配当額は普通株式 1 株当たり 0.18 米ドル。これにより、2012 年通期の配当額合計
は前年比 10%増の普通株式 1 株当たり 0.45 米ドル、配当総額は 83 億米ドル。
•
2013 年第 1 回~3 回の中間配当額は、いずれも前年同期比 11%増の普通株式 1 株当たり 0.10 米ドル
を予定。
•
グループの成長、事業構造の簡素化、組織再編に向けた戦略を引き続き実行。
•
商業銀行事業の報告ベースの税引前当期純利益は前年比 7%増の 85 億米ドルと、過去最高を記録。
•
営業ベースの収益は、グループ全体で 635 億米ドル(前年比 7%増)。このうちグローバル・バンキ
ング&マーケッツ事業で 182 億米ドル(同 10%増)、商業銀行事業で 159 億米ドル(同 8%増)、リ
テール・バンキング&ウェルス・マネジメント事業で 277 億米ドル(同 6%増)。営業ベースの収益
の半分以上を新興国地域で獲得。
•
2012 年に 26 件、2013 年に 4 件の事業及び非中核投資の売却と撤退を発表。2011 年以降の売却・撤
退数は 47 件。
•
営業ベースの費用は、特別項目の 57 億米ドル(2011 年の 22 億米ドルから増加)、成長に向けた投
資費用、コンプライアンス強化費用を含めて、前年比 11%増の 419 億米ドル。
•
特別項目は、米国当局及び英国金融サービス機構(FSA)との和解の一環として支払った制裁金 19
億米ドル、及び 2012 年の英国顧客補償プログラムへの追加引当金 14 億米ドルを含む。
•
20 億米ドルの持続的なコスト削減を前年度にプラスして達成。2011 年以降の削減額は年間ベース
に換算すると 2 年間で合計 36 億米ドルとなり、累積目標の 25~35 億米ドルを超過。
•
平均普通株主持分利益率は、自社債務の公正価値変動に関連する損失、税負担の増加、自己資本基
盤の強化策を反映して、2011 年の 10.9%から 8.4%に低下。
•
1 株当たり利益は前年比 20%減の 0.74 米ドル。
•
税引後当期利益(試算ベース)のうち、60%を内部留保に、29%を当期配当金(スクリップ(仮株
券)配当を除く)に、11%を従業員賞与に配分。従業員賞与は前年比 15%減。
グループ・チーフ・エグゼクティブ
スチュアート・ガリバーのコメント
「HSBC グループは 2012 年に大きな前進を遂げました。何よりもまず、事業が成長・拡大したことが挙
げられます。収益は増加し、新興国市場の大部分で好業績を上げ、商業銀行事業で過去最高益を計上し
ました。また非中核事業の売却によって円滑な経営・運営を可能にし、目標を上回る持続的なコスト削
減を達成しました。過去のマネーロンダリング(資金洗浄)防止対策の不備及び経済制裁規定への違反
に関しては、米国と英国の両当局と和解することで合意に達しました。新たな自己資本規制であるバー
ゼル 3 の遵守状況は、現時点での理解では極めて良好であり、当グループは再び世界でも特に資本の充
実した金融機関の一つとなりました。これによって本業の成長を維持するための強固な資本基盤が構築
され、結果として 2012 年通期の配当総額は昨年を上回る 83 億米ドルとすることができました。」
1
HSBC ホールディングス plc
主な業績指標:
指標
平均普通株主持分利益率(%)
コスト効率比率(%)
1 株当たり利益(米ドル)
コア Tier1 資本比率(%)
資本政策後のバーゼル 3 普通株式等 Tier1(CET1)比率
2012 年 2
8.4
62.8
0.74
12.3
10.3
2011 年 2
10.9
57.5
0.92
10.1
–
目標/ベンチマーク
12 – 15
48 – 52
–
9.5 – 10.5
9.5 – 10.5
1 事業の進行状況を事業計画及び過去の業績と比較して測定する際は、業績をより的確に反映すると考えられる営業ベースの数値を使
用。営業ベースの業績測定にあたっては、信用スプレッドに起因する自社債務の公正価値変動、外貨換算差額、事業の売却及び買収
の影響、並びに開示対象期間に取得または売却した事業の業績を除外するが、特別項目は除外しない。
2 別段に指定のない限り、すべての業績は報告ベースの数値。
2
HSBC ホールディングス plc
地域別の営業成績 1
12 月 31 日に終了した事業年度
2011
2012
百万米ドル
%
百万米ドル
%
欧州
香港
その他アジア太平洋地域
中東・北アフリカ
北米
ラテン・アメリカ
(3,414)
7,582
10,448
1,350
2,299
2,384
(16.5)
36.7
50.6
6.5
11.1
11.6
4,671
5,823
7,471
1,492
100
2,315
21.3
26.6
34.2
6.8
0.5
10.6
税引前当期純利益
20,649
100.0
21,872
100.0
税金
(5,315)
(3,928)
当期利益
15,334
17,944
親会社株主帰属利益
非支配株主持分帰属利益
14,027
1,307
16,797
1,147
事業別の営業成績 1
12 月 31 日に終了した事業年度
2011
2012
百万米ドル
%
百万米ドル
%
リテール・バンキング&ウェルス・マネジメント事業
商業銀行事業
グローバル・バンキング&マーケッツ事業
グローバル・プライベート・バンキング事業
その他
9,575
8,535
8,520
1,009
(6,990)
46.4
41.3
41.3
4.9
(33.9)
4,270
7,947
7,049
944
1,662
19.6
36.3
32.2
4.3
7.6
税引前当期純利益
20,649
100.0
21,872
100.0
1 別段に指定のない限り、すべての業績は報告ベースの数値。
3
HSBC ホールディングス plc
グループ会長
グループ会長のご報告
ダグラス・フリントのステートメント
2012 年は、HSBC の取締役会が経営陣に託した戦略的優先事項への取り組みにおいて、大きな前進を
遂げた一年となりました。的を絞った事業の売却・撤退と社内の組織改革を通じて、グループの再編
に注力するという私たちの決意が実を結ぼうとしています。これによって、より明確で集中的な事業
経営が実現し、持続的なコスト削減が進んだ一方、追加的な投資余力が生まれ、絶好の事業機会が見
込める分野への投資が可能となっています。
2012 年、HSBC を含む銀行セクター全体が多くの意味で前例のない課題に直面し続ける中で、このよ
うな進化を為し得たことは、注目に値します。この間、銀行セクターは社会から強い警告を受けてき
ました。私たちは名誉を回復し、社会の信頼を取り戻すために、自らの役割を果たしていくことを固
く決意しています。その意味で当グループの再編計画は、財務的に見て理にかなっているだけでなく、
メディアや規制・政治上の課題に対応し、社会からの期待に応える上でも有意義なものとなっていま
す。端的に言えば、私たちは利害関係者全員からの信頼回復を果たすという目標を中心に据えて、す
べての行動をとっているということです。私たちは、銀行の事業モデルが公正、透明、持続可能であ
り、社会に奉仕するという基本的な目標を実現していることを、預金者から投資家、規制当局、従業
員、政策当局、消費者ロビイストに至るすべての人々に確信してもらわなければなりません。
顧客を第一に考え、顧客に対し、金融に関する希望・願望を実現するための手段と支援を提供するこ
とが、これまで以上に重要となっています。これは当グループの第一の目標であり、私たちが決して
見失ってはならない事柄の一つでもあります。
過去 2 年間に当グループの取締役会は、米国の主要規制機関と法執行機関による大規模な捜査を受け
てきました。これらの捜査及び前年 12 月の合意の背景については、中間決算の報告書でご説明しまし
た。
経営陣は現在、当グループの統制の枠組みに必要な機能強化を施しています。また当グループは取締
役会の監視・ガバナンス機能についても大幅に拡充しました。これについては、後ほど詳しくご説明
します。
心強いことに、これまでに発表した戦略的優先課題への取り組みは、社外でも認識されるほどの進捗
を見せています。これに加えて当グループは世界でも特に魅力ある経済圏や国に事業の重点を据えて
おり、当期の株主総利回りは 39%に達しました(7%は配当増加分、32%は株価上昇分)。当期間に
HSBC の時価総額は 1,360 億米ドルから 580 億米ドル増加し、1,940 億米ドルに達したことから、払込
資本額を上回る価値を株主の皆様に再びご提供できることとなりました。株主の皆様にとって極めて
重要と認識しております配当も、FTSE100 指数構成銘柄の上位の成績を維持しています。
2012 年度年次報告書の表紙の写真は香港国際空港の貨物ターミナルを捉えたもので、昨年度と同様、
顧客と市場を結びつけるという当グループの戦略を表しています。同空港は 1996 年以降、国際貨物取
扱量で世界第 1 位を維持しており、現在では香港の貿易量の 3 分の 1 を超える処理能力を誇ります。香
港における HSBC と貿易金融、貿易サービスとの繋がりは創業時にまで遡り、これらの事業分野は現
在でも当グループの中心的な強みの一つとなっています。将来のアジアにおける貿易の拡大と、その
中で香港が果たす役割を見据え、当グループはこれらの地域への重点的な投資をさらに強化していま
す。
2012 年の業績
2012 年、HSBC は多くの事業で良好な結果を残しました。香港を中心とするアジアの中核事業の大部
分は好調を維持し、営業ベースの収益が順調に増加しました。ユーロ圏諸国の景気回復に対する市場
の信認が戻ったことを背景に、欧州のグローバル・バンキング&マーケッツ事業の業績は劇的に改善し
ました。米国においては集中的な事業売却を行ったほか、一部事業からの撤退を継続しました。これ
4
HSBC ホールディングス plc
グループ会長のご報告 (続き)
に加えて住宅市場の大部分で回復の兆候が表われたことから、米国での貸倒引当金は大幅に減少しま
した。
また先進国市場でコスト管理を徹底し、低成長環境に応じたものとする取り組みが前進したことは、
明るい材料となりました。一方でこうしたプラス面を相殺する要因として、欧州全域の信用需要が引
き続き低迷したこと、低金利環境が続いたために、流動性の高い当グループの財務構造の価値が発揮
されなかったこと、そして昨年と同様に英国における顧客補償プログラムの費用が大きな負担となっ
たことなどが挙げられます。
当グループの財務実績と戦略の進捗状況に関しては、グループ・チーフ・エグゼクティブのスチュア
ート・ガリバーがビジネス・レビューで詳細に述べておりますので、ご参照下さい。
報告ベースの業績には、当期の大規模な事業売却から生じた利益、米国規制当局及び法執行機関との
和解合意の一環として科された制裁金、英国の顧客補償プログラムにおける引当金の積み増しが含ま
れています。取締役会が賞与査定の一環として経営陣の実績を評価する際、事業売却益については評
価項目に入れませんが、和解金と顧客補償費用については考慮の対象としています。
HSBC 取締役会は、報告ベースの結果から営業ベースの財務実績までを俯瞰し、2012 年は良好な業績
を上げることができたと考えております。
1 株当たり利益の 0.74 米ドルは前年 2011 年を 20%下回りますが、これは信用スプレッドの縮小によっ
て自社債務の公正価値が 91 億米ドル変動したこと、また税負担が増加したことが主な要因となってい
ます。
留保利益と当期中に引き揚げた資金の資本組み込みによって、当グループの資本状況が強化されたこ
とから、取締役会は 2012 年第 4 回中間配当額を前年同期比 29%(0.04 米ドル)増の普通株式 1 株当た
り 0.18 米ドルとすることを承認しました。これにより、2012 年通期の配当額合計は 1 株当たり 0.45 米
ドル、配当総額は前年を 9 億米ドル上回る 83 億米ドルとなりました。取締役会はまた、2013 年第 1 回
~3 回の中間配当額について、いずれも前年同期より 0.01 米ドル多い 1 株当たり 0.10 米ドルとするこ
とを予定しています。
当期末の株主持分は、当期初を約 10%(170 億米ドル)上回る 1,750 億米ドルでした。またコア Tier1
資本比率は 10.1%から 12.3%に上昇しました。英国規制当局は、より負担の重いバーゼル 3 規制を前
倒しで適用することを検討していますが、そうした中でも当グループの遵守状況は引き続き良好です。
2012 年に英国政府は、同国内に本拠地を置く銀行の連結バランスシートへの課税率を引き上げました。
当期の HSBC への新たな課税額は 5 億 7,100 万米ドルで、このうち 2 億 9,500 万米ドルは英国外の銀行
活動に関連して発生したものです。2012 年の場合、税控除の対象とはなり得ないこの賦課金は、普通
株式 1 株当たり 0.03 米ドルに相当し、昨年の年次報告書でも指摘しました通り、課税がなければ本来
は株主に分配されるか、または資本基盤の増強に振り向けられていたはずのお金です。
金融規制改革の進展
2012 年は、金融危機を受けて主要 20 ヶ国・地域(G20)が実施を決めた規制改革の重要項目について、
さらなる前進が見られた一年となりました。バーゼル 3 の枠組みにおいて、長期にわたる協議期間を
経て提案された流動性カバレッジ比率(LCR)は、金融業界の経験に照らして、より適切な内容に修
正されました。これによって、信用創造プロセスを不必要に抑制することなく、銀行の流動性が強化
されることになります。
世界的に重要とされる金融機関のリストが発表され、予想通り HSBC は他の 3 行と共に重要性が最も
高い最上位のカテゴリーに指定されました。様々な国・地域で事業を行う金融機関の破綻処理アプロ
5
HSBC ホールディングス plc
グループ会長のご報告 (続き)
ーチについても明確化が図られました。アプローチの一つは、HSBC が積極的に進めている分社化モデ
ルへの直接適用が可能です。
銀行の構造改革については、欧州中央銀行(ECB)理事のリーカネン氏を議長とする専門家グループ
が検討報告書を提出したほか、フランスとドイツでも同様の報告書が作成されました。英国では、独
立銀行委員会(ICB)が政策文書で示した提言を政府が概ね受け入れ、2013 年上半期中に金融サービス
(銀行改革)法案が議会承認される見込みです。また政府は、現政権が終了する 2015 年までに日本の
政令・条例にあたる二次立法を議会通過させ、2019 年までに新体制を最終的に施行する意向を示して
います。
その他に法制化が進められている主な構造改革としては、リテール部門の分離があります。これは、
個人・中小企業顧客向けの銀行活動の一部を切り離し、独自の金融・ガバナンスの取り決めを有する
「リング・フェンス銀行」の業務とする措置を指します。最近創設された英国議会の銀行規範委員会
は銀行改革法案を検討し、特にリング・フェンス規定を強化すべきとする提言を発表しました。具体
的には、銀行が、このリテール部門と投資銀行部門を分離させるリング・フェンスの目標を危険に晒
すような行動を取った場合に、事業を完全に分割するための強制的な権限を、規制機関に付与するこ
とを提案しています。
構造改革において取り組むべき作業の量は依然として膨大です。特に重要なものとしては、金融機関
の破綻処理の際、公的資金を通じ納税者負担によって救済を図るのではなく、一部の債権者に損失を
負担させる「ベイル・イン(bail-in)」の概念を通じた損失吸収力の強化、中央決済機関の利用による
システミックな影響への対応、ユーロ圏諸国による銀行同盟の創設、透明性と一貫性を強化するため
の資産のリスク・ウェイトの見直しなど、主要な分野での政策展開が挙げられます。
さらに英国議会の銀行規範委員会は現在、銀行への信頼と信認を取り戻すための提言の策定に向けて、
銀行の行動、姿勢、文化などあらゆる側面を検証しています。
当グループは、これらの提言を実行に移すため、政策立案者や規制当局と足並みを揃えて前向きに対
応して行く所存です。しかしながらここで、二つの懸念が存在することを指摘しなければなりません。
第一に、状況の複雑さがあります。堅固で一貫性のあるグローバル金融規制を策定するため、G20 に
おいて各国は多大な努力を払い、改革がまさに進められているところですが、ここに来て独自の判断
で行動する国が増えているように見受けられます。そのため、世界的に統一の取れた金融規制が分裂
の危機にさらされ、金融機関の資本と流動性資源が「分断」されようとしています。
第二に、改革案の実質的な規模の大きさと期間の長さが投資家の視野を妨げ、長期的なリターンが見
込みにくくなっていると当グループは考えています。
この二つの問題を解決するには、各国が協調して方向性を定めることが必要です。それによって金融
業界の能力が向上し、ひいては、世界の多くの国が最優先の目標に据えている経済成長を後押しする
ことが可能となるでしょう。
世界基準の企業統治に向けて
取締役会は、HSBC において企業行動とコンプライアンスに関する最高の基準を適用・達成することを
固く決意しています。すでに明らかなように、この 2 年間で HSBC に対する評価と私たち自身の自己
認識は著しく傷つきました。私たちは自社基準の適用にあたって重大な失態を犯しました。また社内
のネットワークを通じて金融システムの悪用や不正使用を認識する能力、それらを防ぐ能力に著しく
欠けていました。現在の HSBC の戦略は、こうした状況が再発する可能性を排除することを第一に考
えて策定されています。
6
HSBC ホールディングス plc
グループ会長のご報告 (続き)
私たちはすべての利害関係者の皆様に対し、心からのお詫びの気持ちをお伝えして参りました。また
制裁金等の費用面でも、自社への評価の面でも大きな報いを受けてきました。しかしながら、謝罪よ
りもなお重要なのは、再発を防ぐために次なるステップを踏み出したことです。グループ・チーフ・
エグゼクティブのスチュアート・ガリバー率いる経営陣は現在、当グループの事業構造を簡素化する
ことによって、リスク・マネジメントと内部統制を強化するべく、作業を進めています。
目標の達成度については、現在進行中の規制当局による審査だけでなく、新たに任命される独立監査
人を通じて、独立した検証が行われます。監査人は、英国・米国の両当局に報告を行うことになりま
す。企業統治に関して、より高い世界基準を採用し、それを遵守していく上で、さらに負担が増すこ
とになろうとも、当グループは前向きに受け止めて行く所存です。
これらの努力に関して、取締役会の能力を強化し、厳格なガバナンスを実現すべく、当グループは
2013 年 1 月 30 日、取締役会に新たに金融システム脆弱性委員会を創設することを発表しました。今後、
この金融システム脆弱性委員会が、当グループが事業展開する可能性のある領域、事業展開すること
によって金融システム全体に犯罪やシステム悪用の恐れが生じかねない領域を把握するために、内部
統制と手続きの枠組みを構築し、企業統治、監視、方針の立案を担当することになります。
同委員会を支えるのは、重要な公職にある 5 名の専門家です。彼らはそれぞれ、組織犯罪、テロ組織
の資金調達、麻薬取引、脱税、マネーロンダリングとの戦い、そして情報収集、国際決済システムな
どに特化した専門知識を持っています。私たちが自らの能力を高め、最も高い基準をクリアして行く
にあたっては、彼ら専門家が貴重な指導と助言を提供し、さらに何よりも重要なことですが、課題を
与えてくれることでしょう。この 5 名の経歴・経験の詳細については、取締役会報告書に記載されて
います。取締役会そのものについても、経験と専門性を高める必要性を認識し、私たちはこの度、豊
富な知識を持つ専門家を新たな取締役として迎えました。
取締役の異動
2012 年末日にて、5 年間にわたり当グループに多大な貢献をしたナラヤナ・ムルティが取締役を退任
致しました。インドの IT 企業インフォシスの共同創立者であり、長年にわたって同社の最高経営責任
者(CEO)を務めたムルティは、多くの多国籍企業の取締役会や教育委員会での経験を活かし、テク
ノロジー、経営効率、アウトソーシングに関する優れた専門知識のみならず、インドと国際ビジネス
に関する深い知識を当グループの取締役会にもたらしてくれました。取締役会と株主を代表して、ム
ルティの HSBC への貢献に対し、心からの感謝を申し上げます。
ムルティに代わり、レナート・ファスビンドとジム・コーミーが新たな取締役として就任致します。
レナート・ファスビンドは 2013 年 1 月 1 日付で取締役に就任致しました。今後は監査委員会と報酬委
員会のメンバーを務める予定です。工業、サービス、金融分野の企業での目覚ましいキャリアを持つ
ファスビンドは、国際ビジネスと金融に関する豊富な専門知識を取締役会にもたらしてくれることで
しょう。彼は現在、スイス再保険会社の取締役会副議長、同社監査委員会及び報酬委員会メンバー、
ドイツのロジスティクス会社キューネ・アンド・ナーゲル・インターナショナル AG の取締役及び監査
委員会メンバー、そしてスイス連邦監査監督庁(FAOA)の監査委員会メンバーも務めています。
ファスビンドは、2004 年から務めていたクレディ・スイス・グループの最高財務責任者(CFO)と執
行委員の職を 2010 年 9 月に退きました。
ジム・コーミーは本日付で取締役に就任致しました。今後は新たに創設された金融システム脆弱性委
員会のメンバーを務める予定で、官民両セクターでの経験から、ガバナンスに関する優れた知識を取
締役会にもたらしてくれるものと思います。コーミーは、民間では複数の世界最大手企業で法律顧問
を、また公人としては米国の法執行機関幹部を務めた経験があります。最近では軍需企業のロッキー
ド・マーティン・コーポレーションで上級副社長と法律顧問を務めた後、ヘッジファンドのブリッジ
ウォーター・アソシエイツ LP の法律顧問に就任しました。公的機関では、2003~2005 年にかけて米国
7
HSBC ホールディングス plc
グループ会長のご報告 (続き)
の司法副長官として司法省の活動を監督する任を負い、大統領直属の企業不正対策タスクフォースの
ヘッドにも就任しました。また 2002~2003 年にニューヨーク州南部地区の連邦検事を務めました。
両氏の経歴・経験の詳細については、取締役会報告書に記載されています。
社会貢献
現在、金融機関が社会で果たすべき役割について、様々な場面で議論が行われています。こうした状
況が専ら映し出しているのは、社会の調和を支える上で必要な経済的な成功は、金融システムにおい
て持続的な資金調達が可能であるか否か、金融システムに対して信認や信用が置かれているか否かに
左右されるという事実です。そのような信頼は、金融機関が地域社会で果たす広範な役割の上に築か
れるものです。
HSBC の従業員の多くは、地域社会に対して個人的に大きな貢献をしています。この場を借りて彼らに
敬意を表したいと思います。HSBC は主に教育や環境の分野において地域社会への投資を行っており、
2012 年に拠出された金額は約 1 億 2,000 万米ドルに達しました。
2012 年に私たちは地域社会へのコミットメントを拡大し、教育、雇用、職業訓練の機会を持たず、社
会的に恵まれない弱い立場にある若者たちを支援することを決意しました。HSBC は、この分野で活動
する地域・国際慈善団体をサポートしているほか、当グループのスタッフの運営による"Future First"プ
ログラムを推進しています。これはストリート・チルドレンなど保護の必要な子どもたちや孤児たち
に教育の機会を与えるための支援活動で、世界各国の HSBC 従業員が、このプログラムの下で進めら
れている様々な計画を実行、支援しています。2012 年に同プログラムの支援活動に参加した従業員の
数は 2,717 名に上ります。
重要なのは、私たちがこうした活動全体において、当グループ従業員と地域社会との繋がりをさらに
強めようと努力していることです。例えば 2012 年には、11 万 4,982 名の HSBC 従業員がボランティア
活動に合計 72 万 4,650 時間を投じました。
また、私たちは昨年、"HSBC Water Programme"と呼ばれる水資源に関する活動を開始しました。これ
は 1 億米ドルを投じて、5 年間にわたり、非営利団体の「ウォーター・エイド」と「アースウォッチ」、
世界自然保護基金(WWF)の活動を支援するコミットメントで、アジア・アフリカ諸国の貧農地域に
おいて上下水道の普及のために尽力しているほか、世界の五大河川流域のコミュニティにおいて持続
可能な水資源管理に関する教育を行っています。また 7,500 名を超える HSBC 従業員が、都市部の水資
源管理問題に対処し、水の科学研究事業を推進するため、地域の環境保護団体と連携しています。
将来を見据えて
しばしば言われることですが、逆境において人々は団結し、過去から教訓を学び、互いに絆を結び、
より良い未来を実現しようと努力します。これが今、HSBC の中で起きていると私は信じています。
2012 年は、景気の低迷に加え、負の遺産への対応と規制上の課題への取り組みという責務を抱える中
で、グループの組織再編に取り組まざるを得ず、HSBC の全員にとって困難な一年となりました。27
万人の従業員は、顧客との関係において実際に取っている対応とはかけ離れた内容の報道に困惑しな
がらも、それに向き合って行かねばなりませんでした。
私が心強く思うのは、従業員全員が一致団結して未来を見据え、HSBC の名誉を取り戻すために必要な
すべての行動を取ると固く決意していることです。私たち全員が、HSBC への評価をもっと高めること
ができると信じています。取締役会を代表しまして、従業員の皆さんの努力と忠実なる支援に感謝致
します。
8
HSBC ホールディングス plc
グループ会長のご報告 (続き)
私たちは、当グループに金融業務を託して下さっている地域社会に対して、より良いサービスを提供
するというコミットメントを掲げ、いずれはこれを実現すると自ら信じています。当グループの未来
を同じように信じて下さっている顧客、株主、規制当局、政府関係者の皆様にも感謝を申し上げます。
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HSBC ホールディングス plc
グループ・チーフ・エグゼクティブ
グループ・チーフ・エグゼクティブのビジネス・レビュー
スチュアート・ガリバーによるレビュー
HSBC は 2012 年、景気低迷と規制環境の変化という厳しい事業環境に耐え、大きく前進することがで
きました。2011 年 5 月に概要を定めた戦略を引き続き推進し、26 件の事業及び非中核投資の売却また
は撤退を発表したほか、目標を上回る持続的なコスト削減を達成しました。また新興国地域の大部分
で営業ベースの収益が増加しました。さらに過去のマネーロンダリング(資金洗浄)防止対策の不備
及び経済制裁規定への違反に関連して、米国当局及び英国金融サービス機構(FSA)との間で和解に達
しました。報告ベースの税引前当期純利益は前年比 6%減の 206 億米ドルにとどまりましたが、当局へ
の制裁金支払いと英国顧客補償プログラムへの引当金(合計 43 億米ドル)の影響を考慮した営業ベー
スの利益は 18%増加しました。これは主に、グローバル・バンキング&マーケッツ事業と商業銀行事
業における収益が伸びたこと、また北米地域の貸倒引当金が減少したことによるものです。このよう
に 2012 年は好調な業績を残すことができたと私たちは考えています。
当グループの戦略は、明確な目的意識に基づいています。すなわち、成長市場に拠点を持ち事業を展
開することにより、顧客を様々なチャンスに結び付け、ビジネスの成功と経済の繁栄をもたらし、
人々の希望を実現することです。この目的意識は、私たちの姿勢と事業運営の手法、他社との競争を
挑むべき場面とその方法を考えるに当たって、明快な指標として機能しています。
2011 年以降に私たちは、強力なガバナンスを備え、一貫性を有するグローバルな組織構造を作り上げ
てきました。世界規模の 4 つの事業と 11 の部門から構成される組織構造です。2012 年には、HSBC の
成長、組織再編、事業構造の簡素化に向けた戦略的優先課題を引き続き実行しました。
当期、私たちは事業を成長させ、当グループが最優先と位置付ける市場の大部分で営業ベースの収益
拡大を達成しました。これにより商業銀行事業の報告ベースの税引前利益は過去最高を記録、HSBC は
「2012 年オリバー・ワイマン・グローバル取引銀行サーベイ」において、世界最大の国際貿易金融銀
行としての地位を維持しました。また商業銀行事業とグローバル・バンキング&マーケッツ事業との連
携(クロスセリング)によって、総収益が 1 億米ドル以上増加しました。ウェルス・マネジメント事
業の収益も 5 億米ドル以上増加しましたが、戦略目標の達成のためにはさらなる前進が必要です。
当期は米国事業の再編成においても前進が見られました。消費者金融と住宅ローン貸付事業からの撤
退を継続し、結果として平均リスク加重資産(RWA)額が 140 億米ドル減少したほか、貸倒引当金の
削減を反映して税引前損失は 31 億米ドル減少しました。2012 年 12 月に米国当局及び英国金融サービ
ス機構(FSA)との和解合意に達したことを受け、HSBC では事業慣行を業界トップレベルに引き上げ
る努力の一環として、世界基準の適用を進めています。これは、当グループと金融システムの健全性
を守ること、また金融犯罪との戦いで自らの役割を果たすことに対する、私たちの心からのコミット
メントの一つです。
2012 年、当グループは事業構造の簡素化をさらに推し進めました。2011 年以降に発表した非戦略的事
業及び非中核投資の売却・撤退件数は、2013 年の 4 件を含めて合計 47 件に達します。
当期はまた、米国のクレジット・カード/リテール・サービス事業とニューヨーク州北部地域の支店
網の売却、タイ、ホンジュラス、エルサルバドル、コスタリカのリテール事業とカナダのフルサービ
ス・リテール証券事業の売却または撤退を完了しました。さらに、コロンビア、ペルー、ウルグアイ、
パラグアイにおける事業の売却を発表しました。
発表済みのすべての売却取引が完了すれば、当グループのリテール・バンキング&ウェルス・マネジ
メント事業のプレゼンスの焦点は、英国及び 21 の最優先市場、そして厳選された重要な支店網と小規
模市場に再び置かれることになります。同事業の 2012 年税引前利益の 98%は、英国と最優先市場が占
めています(米国のクレジット・カード/リテール・サービス事業と撤退事業を除く)。
10
HSBC ホールディングス plc
グループ・チーフ・エグゼクティブのビジネス・レビュー(続き)
上記に加えて特筆すべきは、2012 年 12 月に中国の保険会社、平安保険(集団)の持株を 94 億米ドル
で売却することで合意に達したことです。取引は現金方式で、2012 年 12 月と 2013 年 2 月の 2 回に分
けて行われ、結果として当グループは 30 億米ドルの利益を計上しました。2012 年、平安保険の利益に
占める当グループの持分は 8 億米ドルでした。
さらに当期は、社内に存在する不必要な管理階層の排除と様々なプロセスの合理化を推し進め、20 億
米ドル相当の持続的なコスト削減を追加的に達成しました。その結果、2011 年 5 月以降のコスト削減
額を年間ベースに換算すると 2 年間で 36 億米ドルとなり、累積目標の 25〜35 億米ドルを上回りました。
以上の変革を通じて、HSBC の経営・運営を極めて円滑に進めることが可能となりました。
このように 2012 年には幾つか前進が見られたものの、コスト効率比率(62.8%)と自己資本利益率
(8.4%)については、目標範囲内に到達させることができませんでした。いずれも、前述した英国の
顧客補償プログラムへの引当金と、マネーロンダリング問題などを巡る当局との合意の一環として科
された制裁金の支払いが影響しています。
戦略の推進によってこそ、HSBC の企業価値を大きく高めることができます。世界でも有数の国際的金
融機関になるという希望の達成に向けて、私たちはすでに正しい道程を歩んでおり、今後も全力を尽
くす所存です。
国際競争力を備え、他行と一線を画すポジションを構築するべく、私たちは以下のように努力を続け
ています。
リテール・バンキング&ウェルス・マネジメント事業のうち、ウェルス・マネジメント事業について、
顧客サービスの改善と収益成長の促進のための基盤整備に投資を行うなど、変革を加速しました。外
貨サービスでは技術的ソリューションを通じて顧客への提案力を改善したほか、リスク評価と戦略的
資金計画を支援する機能強化ツールを導入しました。
商業銀行事業においては、国際展開する顧客を先進国・途上国の両方の市場と結びつける強いネット
ワークを維持すべく、新興諸国地域で投資を続けました。当グループが特に注目しているのは、人民
元の国際化です。2012 年、当グループは世界六大陸の 50 ヶ国以上で人民元のクロスボーダー取引を取
り扱う初めての銀行となりました。これにより、人民元が世界の主要な貿易・投資通貨としての地位
を確立すれば、当グループの顧客にとっては競争上の優位が得られることになります。また世界の国
内総生産(GDP)の半分近くを占める重要市場を当グループの事業活動対象に含めるべく、中国専任
デスクのグローバル・ネットワークを拡張しました。デスクでは中国語を話す専門スタッフが、海外
展開の新たなチャンスを模索する中国本土の企業をサポートしています。
グローバル・バンキング&マーケッツ事業では、主要戦略市場を支える有能なスタッフの採用に力を注
ぎました。提供商品を拡充するための株式取引プラットフォームと e-FX(電子外国為替取引)プラッ
トフォームの構築は順調に進んでいます。また香港においては、香港ドル建て債券の発行で市場をリ
ードしたほか、日本を除くアジアでのハイ・イールド債発行案件において主要な主幹事銀行となりま
した。また当グループは現在、香港で事業を行う株式ブローカーとして上位 5 位以内にランクされて
います。2012 年には多くの大手顧客の人民元取引を支援し、一事業体として世界で初めて中国本土と
香港以外で人民元建て債券を発行するなど、人民元市場での主導的地位を確固たるものとしました。
ラテン・アメリカ、中東、アジア・太平洋地域における事業力の高さを反映して、HSBC は 2012 年ユ
ーロマネー・アワード・フォー・エクセレンスの「ベスト・グローバル・エマージング・マーケッ
ツ・デット・ハウス」と、2012 年アジア・リスク・アワードの「人民元ハウス・オブ・ザ・イヤー」
を受賞しました。
困難な一年を通して、忍耐をもって献身的に当グループに尽くしてくれた従業員の皆さんに感謝を申
し上げます。彼らは当グループに関するメディアの厳しい報道に時にひどく困惑しながらも、本当の
情熱、自尊心、義務感を示してくれました。彼らの努力に対しても心から感謝したいと思います。
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HSBC ホールディングス plc
グループ・チーフ・エグゼクティブのビジネス・レビュー(続き)
グループ業績の概要
•
報告ベースの税引前当期純利益は、信用スプレッドに起因する自社債務の公正価値変動に関連
した損失を含めて 206 億米ドルとなり、前年を 12 億米ドル下回りました。自社債務の評価損益
は前年の 39 億米ドルの利益から 52 億米ドルの損失に転じましたが、この 91 億米ドルの変動は、
米国のクレジット・カード/リテール・サービス事業の売却や中国の保険会社、平安保険(集
団)の持株売却など、事業売却による利益が 75 億米ドル増加したことによって、部分的に埋め
合わされました。
•
営業ベースの税引前当期純利益は前年を 25 億米ドル上回る 164 億米ドルでした。売上の増加と
貸倒引当金及びその他の信用リスク引当金の減少が利益増加の主な要因ですが、これらは、過
去のマネーロンダリング防止対策の不備及び経済制裁規定違反に関連する当局との和解金や、
英国の顧客補償プログラムへの引当金積み増しなどで営業費用が増加したことにより、一部相
殺されました。
•
営業ベースの収益は 7%増加しました。その牽引役となったグローバル・バンキング&マーケッ
ツ事業はその大部分で成長を達成し、特に欧州では、各国中央銀行による景気刺激策を受けて
スプレッドが縮小したこと、また投資家センチメントが改善したことにより、与信・金利収益
が拡大しました。商業銀行事業は、顧客貸付金がすべての地域で増加したことにより、収益が
拡大しました。収益の伸びの半分以上は、香港、その他アジア太平洋、ラテン・アメリカなど
の新興国地域で貿易関連の貸付が増加したことによるものです。また決済及びキャッシュマネ
ジメント商品の提供を通じて預金獲得の努力を継続したことから、顧客預金も増加しました。
さらにリテール・バンキング&ウェルス・マネジメント事業では、香港とラテン・アメリカを
中心にすべての新興国地域で収益が増加しました。しかしながらこれらの業績は、事業モデル
と顧客基盤の見直しを集中的に行ったグローバル・プライベート・バンキング事業で収益が減
少したことにより、部分的に相殺されました。
•
2012 年、報告ベースの顧客貸付金は、住宅ローンや貿易関連の貸付を中心として 570 億米ドル
以上の増加を達成しました。顧客預金も 860 億米ドル以上増加したことから、預貸率は 74.4%
と高い水準を維持しました。
•
営業ベースの費用は前年を 43 億米ドル上回りました。同費用には、過去のマネーロンダリング
防止対策の不備及び経済制裁規定違反に関連して当局との合意の一環として支払った制裁金 19
億米ドル、英国の顧客補償プログラムへの追加引当金 14 億米ドル、及び英国確定給付型年金の
年金債務に関連した費用 6 億米ドル(2011 年期に発生)が含まれます。ラテン・アメリカやア
ジアの一部の市場では、インフレ圧力によって賃金・給与が上昇するなどしたことも営業費用
の増加に繋がりました。その他の増加要因としては、事業拡張プロジェクトなどの戦略計画や
処理能力・技術力強化に対する投資、また主として米国における規制対応・コンプライアンス
基盤整備のための投資の拡大が挙げられます。
•
コスト効率比率は報告ベースで前年の 57.5%から 62.8%に上昇しました。営業ベースでも前述
の特別項目における費用が増加したことから、63.4%から 66.0%に上昇しました。
•
株主利益率は、前年の 10.9%から 8.4%に低下しました。これは、信用スプレッドの縮小による
自社債務の公正価値変動に関連した損失の発生、税負担の増加、平均株主持分の増加を主に反
映しています。また 2012 年の税引前平均リスク加重資産利益率(RoRWA)は 1.8%、営業ベー
スでは 1.5%でした。米国の消費者金融事業における損失と、グローバル・バンキング&マーケ
ッツ事業における融資残の影響を除くと、RoRWA は 2011 年が 2.1%、2012 年が 1.9%となりま
す。
•
コア Tier1 資本比率は、2011 年末時点の 10.1%から 12.3%に上昇しました。資本の増強と事業
売却によるリスク加重資産(RWA)の減少が主な要因です。
12
HSBC ホールディングス plc
グループ・チーフ・エグゼクティブのビジネス・レビュー(続き)
•
世界の一部地域では、2013 年 1 月から 6~10 年をかけてバーゼル 3 資本規制を段階的に導入す
るプロセスが開始されました。しかしながら英国金融サービス機構(FSA)は、当グループの
2013 年の自己資本比率目標に関して、バーゼル 3 の最終基準で算出するよう定めています。こ
れによって当グループは、EU 規則はもちろん、他の世界規模の銀行と比べても数年早い段階で
バーゼル 3 基準を導入することになります。これに合わせて当グループは現在、自己資本比率
目標をバーゼル 3 の最終基準である 9.5~10.5%の範囲に収める努力を続けています。
•
普通株主帰属利益は 135 億米ドルで、このうち 2012 年に表明された配当額は 83 億米ドルでし
た。これに対して 2012 年の従業員への賞与(税引後)は 29 億米ドルでした。
•
2012 年第 4 回中間配当額は普通株式 1 株当たり 0.18 米ドルで、これにより、2012 年通期の配当
額は前年比 10%増の普通株式 1 株当たり 0.45 米ドルとなります。
世界基準の企業統治
各国間のつながりを基盤に事業を行っている国際的な組織として、当グループは、金融システムの健
全性を守る役割を果たす責任があることを認識しています。この役割を効率的に果たすため、2012 年
4 月に当グループは、金融犯罪と戦う能力を高めるべく業界最高水準の内部統制制度を導入することを
決意しました。
現在、HSBC 全体では最高水準のコンプライアンス基準が適用・実行されており、当グループのコンプ
ライアンス部門はすでに大幅に強化されています。コンプライアンス業務を行うスタッフは今や世界
全体で 3,500 名以上を数え、2010 年以降のコンプライアンス関連の支出はほぼ倍増して 5 億米ドルを超
えました。当グループは新たに「規制コンプライアンス・グローバル・ヘッド」及び「金融犯罪関連
コンプライアンス・グループ・ヘッド」の二つの幹部職を設け、外部の人材を据えました。またこの
分野の国際法務と金融問題を扱った豊富な経験を持つ多数の上級社員をコンプライアンス関連業務の
スタッフとして任命しました。「顧客本人確認(Know Your Customer)」ファイルの見直しが当グルー
プ全体で進められており、国・地域や通貨に関係なく、重大な不法行為を犯す者を相手とするビジネ
スを行わないようにするため、グループ共通の厳しい懲罰方針を定めました。さらには、無記名株式
に伴うリスクから当グループを守るため、無記名株発行企業を利用して顧客が口座を開設したり、
HSBC との取引を行ったりする機会を制限することとしました。
当グループはまた、既存か潜在的かを問わず、すべての顧客と事業についてスクリーニングを行うた
めの新たなフィルターを導入しました。当グループとしては 6 つめとなるこのフィルターは、特に金
融犯罪のリスクに焦点を合わせたものとなっています。すなわち、私たちがコミットしている世界基
準を実務上または財務的に見て適用できない事業については、完全に中止とするか、あるいは活動を
大幅に制限することを意味します。この方針の内容は、世界基準を採用し、事業構造を簡素化し、事
業活動におけるリスクを削減するという当グループのコミットメントに一致しています。
2013 年の当グループの活動においては、これらの基準を導入して行くことが重要なポイントとなりま
す。
今後の見通し
金融機関にとって厳しい事業環境が続きますが、当グループの中核事業は引き続き、中国本土の景気
回復と他の新興国地域へのその波及効果によって恩恵を受けるものと見られます。途上国の 2013 年の
経済成長率は中国本土に牽引される形で 5.4%と高い水準を維持する一方、先進国は 1.0%と、緩やか
な成長にとどまると予想しています。中国本土については 8.6%に達する見込みです。
米国では量的金融緩和策の継続が住宅市場の改善を下支えし、経済全体でも緩やかな回復が続くもの
の、その勢いは失業率の持続的な低下を実現するには依然として不十分と見られます。一方ラテン・
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HSBC ホールディングス plc
グループ・チーフ・エグゼクティブのビジネス・レビュー(続き)
アメリカは、ブラジル経済の緩やかな回復もあって、地域全体としては高い成長が見込まれます。ま
た、欧州で想定外の事象が発生して国債危機がさらに悪化することが、世界経済にとって最大のリス
クであるという状況に変わりはありません。当グループとしても、需要の低迷、低成長、政治面の不
透明感、規制環境の不安定さといった要因を抱える欧州の先行きについては警戒を続けます。
最後に、2013 年も当グループが好調なスタートを切ったことを、ここにご報告致します。中国興業銀
行が 1 月 7 日に第三者割当による新株発行を行ったことから、当グループ持分の希薄化による利益 12
億米ドルが発生しており、これが 2013 年の業績となります。また中国の平安保険の持株売却によって
6 億米ドルの純利益を上げたことにより、先渡契約に係る公正価値変動に関連する損失(2012 年業
績)が相殺されました。さらに 2013 年 2 月 19 日には、当グループのパナマ事業を 21 億米ドルで売却
することを発表しました。
14
HSBC ホールディングス plc
財務ハイライト
12 月 31 日に終了した
事業年度
2012 年
百万ポンド
百万香港ドル
13,030
8,851
4,713
108,475
111,919
829,469
1,666,681
695,721
ポンド
0.47
0.25
5.63
12 月 31 日に終了した
事業年度
2012 年
2011 年
百万米ドル
百万米ドル
通年
160,174 税引前当期純利益
108,807 親会社株主帰属利益
57,937 普通株式配当金
1,358,126
1,401,247
10,385,109
20,867,170
8,710,558
年度末
総株主持分
自己資本総額
顧客勘定
総資産
リスク加重資産
香港ドル
普通株式 1 株当たり
5.74 利益(基本ベース)
3.18 配当金 1
70.45 純資産
株式情報
0.5 米ドル:発行済普通株式
時価総額
2012 年 12 月 31 日までの株主総利回り
ベンチマーク: FTSE 100
MSCI ワールド
MSCI 銀行
21,872
16,797
6,928
175,242
180,806
1,340,014
2,692,538
1,123,943
158,725
170,334
1,253,925
2,555,579
1,209,514
米ドル
米ドル
0.74
0.41
9.09
0.92
0.39
8.48
18,476
17,868
百万株
百万株
US$194
US$136
億米ドル
億米ドル
6.47
4.91
ポンド
ポンド
1年
3年
5年
139
110
117
128
104
121
124
106
113
111
97
68
株価(終値)
2
20,649
14,027
7,469
1 財務諸表に表示された 1 株当たり配当金 0.41 米ドルは 2012 年度に表明された配当金の総額である。これは 2011 年度
第 4 中間配当と 2012 年度第 1~3 中間配当の総額を示す。2012 年度第 4 回中間配当は 2013 年に表明されたため、
2013 年度の財務諸表に反映される。
2 株主総利回り(TSR)は、関係会計期間中の株価および表明された配当金の収入の増加率として定義される。
15
HSBC ホールディングス plc
財務ハイライト (続き)
12 月 31 日に終了した事業年度
2012 年
2011 年
%
%
8.0
8.4
0.6
1.8
10.2
10.9
0.6
1.9
効率比率および収益構成比率
コスト効率比率
62.8
57.5
総営業収益に対する:
– 純利息収益比率
– 純手数料収益比率
– 純トレーディング収益比率
45.6
19.9
8.6
48.7
20.6
7.8
自己資本比率
– コア Tier1 資本比率
– Tier1 資本比率
– 総自己資本比率
12.3
13.4
16.1
10.1
11.5
14.1
財務比率
平均投下資本利益率 1
平均普通株主持分利益率 2
税引後平均総資産利益率
税引後平均リスク加重資産利益率
1 平均投下資本利益率は普通株主帰属利益に基づいている。平均投下資本は、平均総株主持分+償却済み営業権または
引当金に直接戻し入れた営業権-HSBC ホールディングスの平均発行済み優先株-/(+)実効的なキャッシュフロー・
ヘッジと売却可能有価証券に係る平均未実現利益/(損失)準備金および不動産再評価積立金として計測される。この
計測は当初の投下資本とその後の利益を反映したものである。
2 平均普通株主持分利益率は、親会社株主帰属利益を平均普通株主持分で除したものとして定義される。
16
HSBC ホールディングス plc
連結損益計算書
12 月 31 日に終了した
事業年度
2012 年
百万ポンド 百万香港ドル
35,779
(12,008)
12 月 31 日に終了した
事業年度
2012 年
2011 年
百万米ドル
百万米ドル
439,838 受取利息
(147,616) 支払利息
56,702
(19,030)
63,005
(22,343)
23,771
292,222 純利息収益
37,672
40,662
12,714
(2,347)
156,296 受取手数料
(28,848) 支払手数料
20,149
(3,719)
21,497
(4,337)
10,367
127,448 純手数料収益
16,430
17,160
2,781
1,693
34,193 純利息収益を除くトレーディング収益
20,812 トレーディング業務に係る純利息収益
4,408
2,683
3,283
3,223
4,474
55,005 純トレーディング収益
7,091
6,506
(33,565) 発行済長期債およびその派生商品の公正価値変動分
16,298 公正価額で表示されているその他金融商品からの
純収益/(損失)
公正価額で表示されている金融商品からの純収益
(17,267) /(損失)
(4,327)
4,161
2,101
(722)
(2,226)
3,439
9,223 金融投資からの利益(損失控除後)
1,714 受取配当金
101,182 純既経過保険料
米国支店網、米国クレジット・カード事業、中国平
54,485 安保険(集団)の売却益
96,290 その他の営業収益
1,189
221
13,044
907
149
12,872
7,024
2,100
–
1,766
640,302 営業収益合計
82,545
83,461
(14,215)
(11,181)
(5,244)
530,036 貸倒引当金およびその他の信用リスク引当金前
純営業収益
(64,469) 貸倒引当金およびその他の信用リスク引当金
68,330
(8,311)
72,280
(12,127)
37,872
465,567 純営業収益
60,019
60,153
(20,491)
(19,983)
(1,484)
(969)
(21,166)
(17,459)
(1,570)
(1,350)
(42,927)
(41,545)
17,092
18,608
3,557
3,264
(2,730)
1,325
(1,405)
750
139
8,231
4,432
1,327
52,086
(8,970)
43,116
(110,266) 純既発生保険金および保険契約者債務の変動
(12,930)
(12,609)
(936)
(612)
(158,949)
(155,008)
(11,511)
(7,517)
(27,087)
(332,985) 営業費用合計
10,785
2,245
人件費
一般管理費
有形固定資産償却費および減損損失
無形資産償却費および減損損失
132,582 営業利益
27,592 関連会社および合弁会社からの利益分配金
13,030
160,174 税引前当期純利益
20,649
21,872
(3,354)
(41,228) 税金
(5,315)
(3,928)
9,676
118,946 当期利益
15,334
17,944
8,851
108,807 親会社株主帰属利益
14,027
16,797
825
10,139 非支配持分帰属利益
1,307
1,147
17
HSBC ホールディングス plc
連結包括損益計算書
12 月 31 日に終了した事業年度
2012 年
2011 年
百万米ドル
百万米ドル
15,334
17,944
5,070
674
6,396
(1,872)
1,002
(456)
1,279
(820)
583
(368)
キャッシュフロー・ヘッジ
– 公正価値評価益/(評価損)
– 損益計算書に振り替えられた公正価値(評価益)/評価損
– 法人所得税
109
552
(423)
(20)
187
(581)
788
(20)
確定給付年金プラン関連の保険数理利益/(損失)
– 法人所得税控除前
– 法人所得税
(195)
(391)
196
1,009
1,267
(258)
その他包括利益/(損失)のうち関連会社および合弁会社の持分
– 当期持分
– 売却により損益計算書に振り替えられた持分
為替差額
– 海外事業売却により損益計算書に振り替えられた為替差益
– その他為替差額
為替差額に係る法人所得税
533
311
222
1,017
(1,128)
2,145
–
(710)
(710)
–
(2,865)
–
(2,865)
165
当期のその他包括利益 -税効果後
6,534
(1,540)
当期純利益
その他包括利益/(損失)
売却可能投資
– 公正価値評価益
– 売却により損益計算書に振り替えられた公正価値評価益
– 減損により損益計算書に振り替えられた評価損
– 法人所得税
当期包括利益
21,868
16,404
当期包括利益の帰属:
– 親会社株主
– 非支配株主持分
20,455
1,413
15,366
1,038
21,868
16,404
18
HSBC ホールディングス plc
連結貸借対照表
12 月 31 日に終了した
事業年度
2012 年
百万ポンド 百万香港ドル
12 月 31 日に終了した
事業年度
2012 年
2011 年
百万米ドル
百万米ドル
資産
87,608
4,521
14,078
253,054
20,787
221,261
94,426
617,529
260,661
11,928
33,869
319
5,882
11,039
18,479
6,554
4,686
1,666,681
1,096,873
56,598
176,258
3,168,285
260,261
2,770,237
1,182,231
7,731,578
3,263,533
149,335
424,049
3,991
73,641
138,214
231,361
82,057
58,668
現金および中央銀行預け金
受取為替
香港政庁債務証書
トレーディング資産
公正価額で表示されている金融資産
デリバティブ資産
銀行貸付金
顧客貸付金
金融投資
売却目的保有資産
その他の資産
当期税金資産
前払金および未収収益
関連会社および合弁会社持分
営業権および無形資産
有形固定資産
繰延税金資産
20,867,170 資産合計
19
141,532
7,303
22,743
408,811
33,582
357,450
152,546
997,623
421,101
19,269
54,716
515
9,502
17,834
29,853
10,588
7,570
129,902
8,208
20,922
330,451
30,856
346,379
180,987
940,429
400,044
39,558
48,699
1,061
10,059
20,399
29,034
10,865
7,726
2,692,538
2,555,579
HSBC ホールディングス plc
連結貸借対照表 (続き)
12 月 31 日に終了した
事業年度
2012 年
百万ポンド 百万香港ドル
12 月 31 日に終了した
事業年度
2012 年
2011 年
百万米ドル
百万米ドル
負債および自己資本
14,077
66,499
829,469
4,418
188,524
54,299
222,150
73,946
3,106
20,961
899
42,213
8,161
3,251
686
2,417
18,248
1,553,324
5,718
6,242
3,622
18,398
74,495
176,251
832,575
10,385,109
55,320
2,360,363
679,830
2,781,366
925,823
38,889
262,430
11,253
528,511
102,176
40,703
8,595
30,264
228,462
負債
香港流通紙幣
銀行預り金
顧客勘定
支払為替
トレーディング負債
公正価額で表示されている金融負債
デリバティブ負債
社債
売却目的で保有する処分グループの負債
その他の負債
当期税金負債
保険契約債務
未払費用および繰延収益
引当金
繰延税金負債
退職給付債務
劣後債務
19,447,920 負債合計
71,595
78,151
45,345
230,346
932,689
自己資本
資本金
株式発行差金勘定
その他持分
その他準備金
留保利益
22,742
107,429
1,340,014
7,138
304,563
87,720
358,886
119,461
5,018
33,862
1,452
68,195
13,184
5,252
1,109
3,905
29,479
20,922
112,822
1,253,925
8,745
265,192
85,724
345,380
131,013
22,200
27,967
2,117
61,259
13,106
3,324
1,518
3,666
30,606
2,509,409
2,389,486
9,238
10,084
5,851
29,722
120,347
8,934
8,457
5,851
23,615
111,868
108,475
4,882
1,358,126 総株主持分
61,124 非支配株主持分
175,242
7,887
158,725
7,368
113,357
1,419,250 自己資本合計
183,129
166,093
2,692,538
2,555,579
1,666,681
20,867,170 自己資本および負債合計
20
HSBC ホールディングス plc
連結キャッシュフロー計算書
12 月 31 日に終了した事業年度
2012 年
2011 年
百万米ドル
百万米ドル
営業活動によるキャッシュフロー
税引前当期純利益
20,649
21,872
(2,094)
(3,557)
(7,024)
19,778
(116,521)
89,070
(3,626)
489
(733)
(5,587)
(1,196)
(3,264)
–
19,878
(7,412)
44,012
10,840
304
(1,177)
(4,095)
(9,156)
79,762
(342,974)
329,926
(1,318)
241
–
(1,008)
20,905
(863)
(1,804)
–
1,954
594
(319,008)
311,702
(1,505)
300
–
(1,571)
–
216
(90)
–
–
25
5,653
(9,931)
財務活動によるキャッシュフロー
普通株式資本の発行による収入
優先株式の発行
値付け目的および投資目的による自社株式の純購入
株式報奨およびストックオプション報奨のための自社株式の純購入
劣後ローン資本の発行
劣後ローン資本の返済
子会社株式の持分変動による純キャッシュ流入/(流出)
親会社株主への配当金
非支配株主持分への配当金
その他持分保有者への配当金
594
–
(25)
–
37
(1,754)
(14)
(5,925)
(572)
(573)
96
–
(225)
(136)
7
(3,777)
104
(5,014)
(568)
(573)
財務活動に使用された純キャッシュ
(8,232)
(10,086)
現金および現金同等物の純増加(減少)
(11,735)
59,745
期首現金および現金同等資産
現金および現金同等資産に関する外貨換算差額
325,449
1,594
274,076
(8,372)
期末現金および現金同等資産
315,308
325,449
調整項目:
– 投資活動からの純利益
– 関連会社および合弁会社からの利益分配金
– 米国支店網、米国クレジット・カード事業、中国平安保険(集団)の売却益
– 税引前純利益に含まれるその他非現金項目
– 営業資産の変動
– 営業負債の変動
– 外貨換算差額消去
– 関連会社からの受取配当金
– 確定給付年金債務向け拠出金
– 税金
営業活動による/(営業活動に使用された)純キャッシュ
投資活動によるキャッシュフロー
金融投資購入
金融投資の売却および満期による手取金
有形固定資産購入
有形固定資産売却手取金
ローン・ポートフォリオ売却手取金
無形資産純購入
米国支店網、米国クレジット・カード事業の売却による純キャッシュ流入
その他子会社および事業の売却による純キャッシュ流入/(流出)
関連会社株式の取得および増加による純キャッシュ流出
資金の連結除外による純キャッシュ流出
中国平安保険(集団)売却手取金
その他関連会社および合弁会社売却手取金
投資活動による/(投資活動に使用された)純キャッシュ
21
HSBC ホールディングス plc
株主資本等変動計算書
12 月 31 日に終了した事業年度
2012 年
2011 年
百万米ドル
百万米ドル
資本金
期首
従業員報酬および従業員持株制度に基づいて発行された株式
配当に代えて発行された株式およびそれに基づいて発生した金額
8,934
119
185
8,843
6
85
期末
9,238
8,934
株式発行差金勘定
期首
従業員報酬および従業員持株制度に基づいて発行された株式
配当に代えて発行された株式およびそれに基づいて発生した金額
8,457
1,812
(185)
8,454
90
(87)
10,084
8,457
5,851
5,851
111,868
14,027
99,105
16,797
(212)
533
1,078
(710)
321
368
当期包括利益
従業員報酬および従業員持株制度に基づいて発行された株式
配当に代えて発行された株式およびそれに基づいて発生した金額
株主配当金
配当金に係る税額控除
自己株式調整
株式報酬契約費用
株式報酬に係る法人所得税
その他の変動額
支配の喪失を伴わない子会社持分の変動額
14,348
(1,337)
2,429
(8,042)
32
2
988
42
(26)
43
17,165
–
2,232
(7,501)
128
(361)
1,154
21
(75)
–
期末
120,347
111,868
(3,361)
(4,077)
5,010
716
その他包括利益(税効果後)
5,010
716
当期包括利益
5,010
716
期末
1,649
(3,361)
期末
その他の持分
期首および期末
留保利益
期首
当期純利益
その他包括利益
確定給付年金プラン関連の保険数理利益/(損失)
その他包括利益のうち関連会社および合弁会社の持分
その他包括利益(税効果後)
その他の準備金
売却可能金融資産に係る公正価値準備金
期首
その他包括利益
売却可能投資
22
HSBC ホールディングス plc
株主資本等変動計算書(続き)
12 月 31 日に終了した事業年度
2012 年
2011 年
百万米ドル
百万米ドル
キャッシュフロー・ヘッジ準備金
期首
その他包括利益
キャッシュフロー・ヘッジ
(95)
(285)
108
190
その他包括利益(税効果後)
108
190
当期包括利益
108
190
13
(95)
(237)
2,468
989
(2,705)
その他包括利益(税効果後)
989
(2,705)
当期包括利益
989
(2,705)
期末
752
(237)
27,308
27,308
期末
外国為替準備金
期首
その他包括利益
為替差額
合併準備金
期首および期末
23
HSBC ホールディングス plc
株主資本等変動計算書(続き)
12 月 31 日に終了した事業年度
2012 年
2011 年
百万米ドル
百万米ドル
158,725
14,027
147,667
16,797
5,010
108
(212)
533
989
716
190
1,078
(710)
(2,705)
6,428
(1,431)
20,455
594
2,429
(8,042)
32
2
988
42
(26)
43
15,366
96
2,230
(7,501)
128
(361)
1,154
21
(75)
–
175,242
158,725
7,368
1,307
7,248
1,147
60
1
17
28
(42)
(3)
(69)
5
106
(109)
当期包括利益
株主配当金
その他の変動額
子会社の取得および売却
支配の喪失を伴わない子会社持分の変動額
1,413
(707)
(20)
(108)
(59)
1,038
(815)
28
(252)
121
期末
7,887
7,368
総株主持分
期首
当期純利益
その他包括利益
売却可能投資
キャッシュフロー・ヘッジ
確定給付年金プラン関連の保険数理利益/(損失)
その他包括利益のうち関連会社および合弁会社の持分
為替差額
その他包括利益(税効果後)
当期包括利益
従業員報酬および従業員持株制度に基づいて発行された株式
配当に代えて発行された株式およびそれに基づいて発生した金額
株主配当金
配当金に係る税額控除
自己株式調整
株式報酬契約費用
株式報酬に係る法人所得税
その他の変動額
支配の喪失を伴わない子会社持分の変動額
期末
非支配持分
期首
当期純利益
その他包括利益
売却可能投資
キャッシュフロー・ヘッジ
確定給付年金プラン関連の保険数理損失
為替差額
その他包括利益(税効果後)
24
HSBC ホールディングス plc
株主資本等変動計算書(続き)
12 月 31 日に終了した事業年度
自己資本合計
期首
当期純利益
その他包括利益
売却可能投資
キャッシュフロー・ヘッジ
確定給付年金プラン関連の保険数理利益/(損失)
その他包括利益のうち関連会社および合弁会社の持分
為替差額
その他包括利益(税効果後)
当期包括利益
従業員報酬および従業員持株制度に基づいて発行された株式
配当に代えて発行された株式およびそれに基づいて発生した金額
株主配当金
配当金に係る税額控除
自己株式調整
株式報酬契約費用
株式報酬に係る法人所得税
その他の変動額
子会社の取得および売却
支配の喪失を伴わない子会社持分の変動額
期末
25
2012 年
2011 年
百万米ドル
百万米ドル
166,093
15,334
154,915
17,944
5,070
109
(195)
533
1,017
674
187
1,009
(710)
(2,700)
6,534
(1,540)
21,868
594
2,429
(8,749)
32
2
988
42
(46)
(108)
(16)
16,404
96
2,230
(8,316)
128
(361)
1,154
21
(47)
(252)
121
183,129
166,093
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HSBCホールディングスplc
2012年度年次決算
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