BTMU(China)経済週報 2013 年 7 月 10 日 第 163 期 この間の市場流動性に関する当局の見解 ~ 「2013 陸家嘴フォーラム」より トランザクションバンキング部 中国調査室 メイントピックス...................................................................................................................... 2 この間の市場流動性に関する当局の見解 ~「2013 陸家嘴フォーラム」より........................................................2 全国情報 ............................................................................................................................. 4 【マクロ経済】 .............................................................................................................................................................4 全国 19 省・区で最低賃金の引き上げ トップは上海の 1,620 元 平均上昇率は 14% ..................................4 6 月の PMI は 50.1、前月より 0.7 ポイントの低下 中小企業は 50 を下回る....................................................4 各地方で上半期の経済情勢分析会議が相次ぎ開催=下半期は投資拡大がなお主流の可能性 .................4 地方債の直接起債、新たに江蘇、山東がパイロット地域に認定 .......................................................................5 【金融】.......................................................................................................................................................................5 銀監会、理財商品の情報登録を義務付け 過去 2 年分の理財商品も登録必要に ........................................5 5 月の外貨ポジションは 1,012.9 億元増の 25.0 兆元=6 ヶ月連続で増加トレンド続く ....................................5 【投資】.......................................................................................................................................................................5 【インフラ】2020 年までに軌道交通への投資は 4 兆元規模に 36 都市が既に承認される .............................5 【産業】.......................................................................................................................................................................6 【造船】大手メーカーの熔盛重工、一時ストライキ=資金難で作業員抗議 .......................................................6 【紡績】上場企業、上半期は景気回復 引き続き業績の改善見込まれる .........................................................6 【小売】賃貸料や人件費の上昇が主因で純利益率は前年対比 0.2 ポイント低下の 2.5% ..............................6 地方情報 ............................................................................................................................. 7 【北京】 上半期の新築住宅取引件数が 4 年ぶりに最高水準 ..........................................................................7 【上海】 市内最大の総面積 48 万㎡の商業施設「環球港」が開業...................................................................7 【四川】 6 大戦略新興産業向けプロジェクト専用資金が利用可能に...............................................................7 【青島】 第 12 次五ヶ年計画期間内に世界最大の電気自動車充電ネットワークを建設 .................................7 【広東】 中石油が天然ガス総合プロジェクトを設立...........................................................................................7 【前海】 前海クロスボーダー人民元融資登録は 52.5 億元に 先行試行政策も間もなく公布へ.....................7 人民元市場動向 『基準値・日中取引共に膠着。資金市場は落ち着き取り戻す。』 ............................. 8 人民元為替・資金市場 ........................................................................................................................................8 BTMU の中国調査レポート(2013 年 6~7 月) .......................................................................... 9 1 BTMU(China)経済週報 2013 年 7 月 10 第 163 期 メイントピックス この間の市場流動性に関する当局の見解 ~「2013 陸家嘴フォーラム」より 6 月 27 日から 29 日、各国の政府と管理監督機構のマネージメントをはじめ、グローバル金融界リーダー及び 著名学者らが集まるハイレベルな金融フォーラム「2013 陸家嘴フォーラム 1 」(以下、「フォーラム」)が上海で開 催された。フォーラムでは「金融改革・開放の新たなビジョン」をメインテーマに金融改革・イノベーションと対 外開放の平行的な発展の進め方、人民元国際化に伴うチャンスと挑戦などといったトピックスに基づいて深堀 した議論が展開された。本稿では、足元の流動性の動向に関する議論に焦点を当て、同フォーラム参加の各 要人の見解を纏めるとともに、一連の動きの意義について考察してみたい。 Ⅰ.流動性は十分足りている (これまでの動きの整理) この 6 月、金融市場においては人民元短期金利が急騰する動きが観測され、金融リスクへの警戒態勢がとら れた。6 月の端午節連休前の金利急上昇局面は季節要因との見方が多かったが、同月 20 日に翌日物、1 週 間物、1 ヶ月物の銀行間短期金利(SHIBOR)が軒並み急上昇し、市場の流動性が逼迫した。しかし、人民銀 行による資金供給は行われず、これを承け、週明けの 24 日には上海株式市場において、銀行、証券、保険、 不動産などの株式が売られ、上海総合株価指数が年初比 13.5%の大幅続落を記録するなど、資金市場の 混乱を招いた。その後、翌日 25 日に人民銀行が異例の声明を発表し、流動性は不十分とは看做していない ことや、一部の金融機関に資金供給を行ったことを明らかにし、足元の市場は落ち着きを取り戻しつつある。 かかる状況を引き起こした背景などの詳細は別稿 2 に譲るが、以下では、その直後に開かれた金融フォーラム で示された中央銀行総裁をはじめとする各当局のトップや関係要人の見方を紹介する。 (周小川・人民銀行総裁:流動性は把握している 市場も基本的に中央銀行の意向を正しく受け止めている) 周総裁はフォーラム席上で、足元の経済・金融運行は総体的に安定しており、物価も基本的に安定している ため、穏健な金融政策は適切であり、その効果も良好に現れているとの見方を示した。フォーラムの合間に受 けた「第一財経日報」の取材で周総裁は、先般銀行間市場の人民元短期金利市場における流動性の問題 について、中央銀行は市場の流動性を把握しており、市場も基本的に中央銀行の意向を正しく受け止めて いるとしたうえで、今般の金融市場の短期金利上昇は、資産業務に対して調整が必要ということを各銀行に 注意を促す意義を持っている。ただ、人民元短期金利の大幅な変動による副作用はもちろんあることは承知 している。まずは資産業務の調整を行ってもらうのが目的だが、個別金融機関が深刻な苦境に陥った場合、 中央銀行は「最後の貸し手」として、必ず手を差し伸べると強調した。 (穏健的な金融政策は継続 適時に流動性を調整し総体的な市場安定化を図る) 今後の金融政策については、穏健的な金融政策を継続する一方で、金融機関の合理的な貸出の維持、資 産・負債の総量と期日の構成の合理的な対応を誘導するとともに、実体経済の構造調整およびモデル転換 を支持することを表明した。他方で、中央銀行として各種金融ツール・手段を総合的に運用し、金融市場の安 定的な運行と発展のために適時市場流動性を調整し、総体的な市場の安定化を保持すると明らかにした。 (尚福林・証監会主席:流動性は十分ある 銀行業の運行は安定している) 尚主席は、今般の市場の流動性逼迫が焦点となって以降、初めて公の場で銀行業務の監督管理当局として 1 「陸家嘴フォーラム」は 2007 年に上海で正式に設立し、金融分野の促進と深化を目的としたグローバルなダイアログプラットフォームであり、フォーラ ムを通じて上海国際金融センター建設の加速を促進する狙いもある。 2 一連の銀行間短期金利の動向については、下記URL先より詳細をご参照 https://reports.btmuc.com/fileroot_bj/FILE/jpreport_chinese/130627_01.pdf 2 BTMU(China)経済週報 2013 年 7 月 10 第 163 期 の見解を示した。尚主席は、市場における流動性の逼迫は多方面にわたる要素から成っているが、総体的な 流動性は欠けていないとした上で、統計でみると、6 月 28 日現在の金融機関準備金は 1.5 兆元に達しており、 通常の決済需要量の 2 倍以上である。加えて、預金準備金率も 20%前後を保っており、流動性は十分あると いえる。また、今般の銀行間市場における流動性の逼迫問題は銀行業全体の安定的な運行に影響していな いと強調した。一方、今般の流動性逼迫にある根底的な問題は、一部商業銀行の流動性管理や業務構造に 欠陥が存在することと指摘し、重要視する必要があるとともに、銀行業の業務構造の調整を含めたリスク管理 の強化が必要と強調した。 (李稲葵・清華大学研究中心主任:問題の表面化は評価すべき) 李主任・元人民銀行金融政策委員会委員は、ここ 2 年間において、とりわけ今年の第 1 四半期以来の社会融 資額の増加ペースの加速が必ずしも実体経済に投入されているわけではない点について警戒すべきとまず 強調した。その上で、今般の流動性問題は、根底にある金融リスクの表面化ともいえ、ある意味においては、 評価すべきとコメントした。中央銀行としても単なる流動性供給よりも、抜本的な問題解決を目指しており、そ のためには、公開市場操作、預金準備率などの中央銀行による単独な調節手段だけでは効果も限定的であ り、中央および地方政府、銀監会によるメカニズムの共同構築が必要である。同時に、民営投資、金融分野 や地方財政の整理整頓など一連の改革措置が講じられることを信じていると語った。 Ⅱ.引き続き必要とされる改革の推進 第 1 四半期の経済成長率は 7.7%、1~6 月の物価(CPI)は 2.4%とそれぞれ政府目標(7.5%前後、3.5%前 後)を達成し、5 月のマネーサプライ(M2)は 15.8%と政府目標の 13%前後を大きく上回っており、また、1~5 月の社会融資総額が 9.1 兆元と前年同期比 3.1 兆元も増加しているという足元の状況では、資金が逼迫して いるとは判断しにくい。人民銀行の声明や最近の一連の要人からの発言からも、穏健的な金融政策を継続す ると同時に、適時の流動性調整により総体的な市場安定化を図る姿勢が確認できた。 当局は一貫して、銀行間の短期金利上昇は市場の流動性不足が招いたわけではなく、一部の商業銀行の 流動性管理や業務構造における欠陥などが問題の顕在を引き起こしたとみている。一部の銀行を除いては、 頑なに市場に資金供給を見送った人民銀行としては、その抜本的な問題解決を望んでいるのは明らかであり、 そのシグナルを市場もその通りに受け止めたといえる。 業務構造の是正が求められているシャドーバンキング 3 の代表的な金融商品である理財商品に対し、このほ ど管理監督の強化と資産管理の規範化を図るべく、銀監会は理財商品の情報登録の義務付けを求め始め た。今後、当局のシャドーバンキングに対する警戒が一層高まることが考えられる。 他方で、足元で矛盾している事実として、マネーサプライや社会融資総額からみると資金量は十分に足りて いるにもかかわらず、実体経済における資金供給の不均衡、一部の分野への資金供給不足が懸念されてき た。6 月 19 日に開催された国務院常務会議では、「盤活存量」(既存資金の有効活用)について言及し、資金 利用効率(資金回転率)のアップにより、実体経済でより資金が活用されるよう指示を出している。 また、エコノミストをはじめとする専門家等からは、金融改革の遅れにより、銀行のオフバランス業務が急速に 拡張されたことや、政府主導の投資モデルが大量な資金源を低効率ないし過剰生産能力産業へと集中させ ているなど資金を必要としている産業には回っていないとの指摘が多い。今般の流動性の逼迫を承けて、銀 行リスク管理の強化、金利および為替レートの市場化改革、民営資本向けの開放に拍車がかかれば、金融 体系の健全的な発展が促されると同時に、実体経済への供給が増えることも考えられる。副作用も伴う刺激 策を講じず、デレバレッジング(負債圧縮)および構造的な改革を通じた新指導部の経済成長計画、リコノミク ス(李克強経済学)が注目を集めており、金融改革を含めた習李体制下で実施される一連の改革と景気の動 向を一層鮮明に映す近く公表の第 2 四半期の経済指標とともに注視する必要があろう。 三菱東京 UFJ 銀行(中国)トランザクションバンキング部 中国調査室 華山恵麗名 3 シャドーバンキングに関する詳細は下記URLより「シャドーバンキング規制と金融市場への影響について」ご参照 http://www.bk.mufg.jp/report/chi200401/113070101.pdf 3 BTMU(China)経済週報 2013 年 7 月 10 第 163 期 全国情報 【マクロ経済】 全国 19 省・区で最低賃金の引き上げ トップは上海の 1,620 元 平均上昇率は 14% 7 月 1 日までに、全国 31(省・自治区・直轄市)のうち 19 省・区で最低賃金の引き上げが行われた。これら地 域の平均上昇率は約 14%となり、ほとんどの地域の当該経済成長率を越える伸びとなった。しかし、これまで と比較すると、前年の平均上昇率(25 省・区で)20.2%や、2011 年の(24 省・区で)22%を下回り、上昇率の鈍 化が観測されている。月額の最低賃金(最高ランク)を地域別にみると、全国トップ上海の 1,620 元に続き、深 圳 1,600 元、広東 1,550 元、新疆 1,520 元、天津 1,500 元、江蘇 1,480 元、浙江 1,470 元、北京 1,400 元、山 東 1,380 元、遼寧 1,300 元、吉林 1,320 元、山西 1,290 元、河南 1,240 元、江西 1,230 元、広西・甘粛・四川 1,200 元、陜西 1,150 元、貴州 1,030 元の順となった。一方、時間給では、北京と新疆がともに 15.32 元と最高 である。 (7 月 1 日 中国新聞網ほか) 6 月の PMI は 50.1、前月より 0.7 ポイントの低下 中小企業は 50 を下回る 6 月の中国製造業購買経理指数(PMI)は 50.1 と前月から 0.7 ポイント低下した。内訳をみると、生産指数、新 規受注指数およびサプライヤー配送時間指数はそれぞれ 50 以上に達し、52(前月比▲1.3 ポイント)、50.4 (同▲1.4 ポイント)と 50.3(同▲0.5)となったが、原材料在庫(47.4)と従業員指数(48.7)、原材料購入価格指 数(44.6)はともに景気の好況・不況の節目である 50 を割り、中でも従業員指数は 13 ヶ月連続で 50 を下回っ た。企業の規模別では、大型企業は 50.4、中堅企業は 49.8、小型企業は 48.9 とそれぞれ前月から低下して おり、中小企業の PMI は 50 を割った。 また、HSBC 調査(民間、中小中心)は 48.2 と、2 ヶ月連続で 50 を割り込んだ。なお、非製造業 PMI および HSBC サービス業 PMI はそれぞれ▲0.4pt、+0.1pt の 53.9、51.3 となった。 (7 月 1 日 国家統計局ほか) 各地方で上半期の経済情勢分析会議が相次ぎ開催=下半期は投資拡大がなお主流の可能性 各地方政府はこれまでに相次いで上半期の経済情勢分析会議を開催し、経済成長における投資の重要性 が強調された。中部地域のある省の発改委委員は「地方の安定的成長は依然投資に依存するのが主流であ り、貿易と消費は不確定要素が大きい」と明かした。海南省を例に挙げると、1~5 月の同省固定資産投資は 909.7 億元と前年同比+25.2%の大幅な伸びとなった。一方、社会消費財小売総額は同 13.9%の 404.5 億元 となり、規模で比較すれば、投資は消費の 2 倍にも上っている。特にインフラ投資、中でも交通輸送業への投 資が顕著であり、5 月までの交通輸送業は同 86%の伸びで推移している。 一方で、湖南省においては、今年に入り経済成長の鈍化により、投資プロジェクトの資金繰りがタイトになって いるという。同省の 1~5 月の固定資産投資プロジェクト向け資金の払い込みは 2 割未満に留まり、投資伸び を下回るペースとなっている。多くの地域で財政収入が年初目標を下回っているのも現状であり、例えば、内 モンゴル、遼寧省などにおいて、これまでの財政収入はゼロに近い伸びの推移は、年初目標の 2 ケタ成長と は大きな隔たりが生じている。 (7 月 3 日付 「毎日経済新聞」) 4 BTMU(China)経済週報 2013 年 7 月 10 第 163 期 地方債の直接起債、新たに江蘇、山東がパイロット地域に認定 4 日、財政部は地方政府による直接起債を認めるパイロット地域を拡大した。2011 に承認された第1陣パイ ロット地域(上海、浙江、広東、深圳)に江蘇、山東が新たに加わり、地方債の直接起債パイロット地域は計 6 省・市となった。「2013 年地方政府直接起債パイロット弁法」で定められている地方債の償還期限は 3 年、5 年、7 年の 3 タイプであり、それぞれの起債額は当該省・市の起債限度額の 50%を上回ってはならない。 地方債は固定金利債券で、地方政府は国務院が承認した限度額内で直接発行することができ、発行条件は 新規発行の国債や流通国債の金利をベースに、各地方政府が入札方式で決定する。地方債の試験解禁は、 地方の資金調達方式を規範化し、地方政府融資プラットフォームの債務不履行リスクの軽減に資することが 期待される。 (7 月 5 日 財政部ウェブサイト) 【金融】 銀監会、理財商品の情報登録を義務付け 過去 2 年分の理財商品も登録必要に 銀行業監督管理委員会(銀監会)はこのほど、「中国銀監会弁公庁による全国銀行業理財情報登記システム (一期)の運行業務に関する事項の通知」を公表した。理財商品(資金運用商品)に関する情報登記システム を導入するとともに今後、すべての理財商品のシステム登記が完了しなければ、販売を認めないこととなった。 また、7 月 31 日までに 2011 年および 2012 年に販売した理財商品の情報も登録することを義務付けた。地方 のある銀監局関係者によれば、同システムの導入は、銀行の理財業務における規範化の推進および透明性 の向上が見込まれ、同時に同業務の資産管理規範化を推進する狙いがある。 (7 月 3 日付 「第一財経日報」) 5 月の外貨ポジションは 1,012.9 億元増の 25.0 兆元=6 ヶ月連続で増加トレンド続く 中国人民銀行が 2 日に発表した統計によると、5 月の外貨ポジションは 1,012.9 億元増の 25.0 兆元となり、6 ヶ 月連続で増加が続いている。ただ、2,843.4 億元増加した 4 月の新規外貨ポジションと比較すれば、単月の増 加幅は▲64%の大幅な下落となった。アナリストによれば、中国経済の鈍化や米国の量的緩和政策の縮小を 背景に、下半期は緩やかな資本流出が予測され、外貨ポジションの増加量は顕著に減少するとともに、一定 の人民元安圧力に直面する可能性があるとみている。 (7 月 3 日付 「中国証券報」) 【投資】 【インフラ】2020 年までに軌道交通への投資は 4 兆元規模に 36 都市が既に承認される 華茂崑・元鉄道部チーフエンジニア兼中華鉄道建設新技術促進会会長は第 2 回中国総合鉄道産業ハイレ ベルフォーラムの席上で、これまで、軌道交通建設の承認を得た都市は 36 に上り、2020 年までに国内の軌 道交通ネットワークは 6,000km に達し、投資規模は約 4 兆元に達するとの見方を示した。国家発改委の統計 によれば、2012 年末の全国の都市軌道交通業における固定資産投資は 1,900 億元に上り、2011 年対比で 17%の伸びとなった。2012 年末時点で全国 17 都市において総距離 2,077km の軌道交通工事が竣工、27 都市において 1.23 億元を投じた総距離 2,100km の軌道交通工事が着工した。また、2013 年の投資規模は 前年から 400 億元増の 2,200 億元、総距離は 290km となる見込みであり、今年末までに 19 都市において軌 道交通建設工事が竣工し、総営業距離は 2,366km に上るという。 (7 月 1 日付 「経済参考報」) 5 BTMU(China)経済週報 2013 年 7 月 10 第 163 期 【産業】 【造船】大手メーカーの熔盛重工、一時ストライキ=資金難で作業員抗議 1~2 日、中国民営造船最大手の熔盛重工の南通工場で、一部の労務派遣者の支給延期でストライキが発 生した。このほどの流動性不足により、一部の銀行は造船業界の不景気で同社への資金供給を中止したこと が主因となった。また、資金難は同社の収入および売掛金回収に影響を与えた。関連筋によると、同社毎月 の人件費支出は 6,000~7,000 万元が、昨年年末時点での収入が前年比 50%減、一般売掛金が同 2.11 億 元増の 38.11 億元、その他売掛金(前受金含み)が同 8.59 億元増の 74.97 億元となった。張守国・中国船主 協会常務副会長によると、当面の船輸送能力は市場需要を 30%超えており、今後数年に船を生産しなくても 深刻な過剰輸送能力が続く見通しという。 (7 月 3 日付 「第一財経日報」) 【紡績】上場企業、上半期は景気回復 引き続き業績の改善見込まれる 紡績業界では、外需の回復および国内外綿花価格差の縮小により、上半期に景気回復が観測された。7 月 4 日時点の Wind の統計によると、上半期業績見通しを公表した紡績上場企業 23 社のうち、業績増加もしくは 継続増加を見込んでいる企業は 17 社に上った。また、中国紡績工業連合会によれば、政府関連部門は中国 内の綿花価格の高騰に繋がる綿花貯蓄購買政策の代替となる綿花栽培直接手当て措置を検討しているとい う。安信証券のアナリストによれば 2014 年の紡績業は、原材料である綿花の価格降下により収益の改善が見 込まれている。 (7 月 5 日付 「中国証券報」) 【小売】賃貸料や人件費の上昇が主因で純利益率は前年対比 0.2 ポイント低下の 2.5% 4 日、商務部は「2013 年小売業発展報告」を発表した。同報告書によると、国内の住民消費率は低水準に止 まり、小売業による経済成長率への寄与がなお低い状況にある。小売業の構造、経営モデルは調整の余地 があり、今後モデル転換の加速が見込まれている。2012 年の全国における小売業企業は 2,354 万社と前年 比 6%増となり、従業員数は 6,134 万人と全就業者の 8%を占めた。同年の小売業付加価値額は GDP の 3.7%を占める 1.9 兆元に上ったが、ここ数年の賃貸料や人件費の上昇が主因で企業の純利益率は前年対 比 0.2 ポイント低下の 2.5%に留まった(詳細は次号のメイントピックスにてご説明)。 (7 月 5 日付 「証券時報」) 6 BTMU(China)経済週報 2013 年 7 月 10 第 163 期 地方情報 【北京】 上半期の新築住宅取引件数が 4 年ぶりに最 高水準 【上海】 市内最大の総面積 48 万㎡の商業施設 「環球港」が開業 北京市住宅建設委の統計によると、北京市の上半期 の新築住宅成約件数は 62,295 軒で、2012 年同期の 48,380 軒より 28.8%の増加となり、同期比では過去 4 年間の最高水準となった。二軒目住宅の取引件数は 95,244 軒で、2012 年同期比 70.6%増加し、2012 年通 年の 77.6%となった。3 月末の「国五条」細則の公布に より、3 月単月の二軒目住宅の取引件数は 43,780 軒 で、史上最高を記録したのも上半期の取引件数急増 に繋がった。 5 日、同市普陀区(金沙江路駅)で市内最大規模 の商業施設「上海環球港」が開業した。総面積 48 万㎡(うち売り場面積 32 万㎡)を有し、地上 4 階、 地下 2 階建ての多機能の商業施設である。同施設 は、ショッピング、飲食のほか、劇場、博物館、美 術館、アイススケート場、ジムなどのレジャー・エン タテイメントの機能も持っており、全部を見て回る と、走行距離 9km にも達するという。服飾店が 400 以上、飲食店が 100 以上出店し、来場客は 1 日 20 ~30 万人を見込んでいる。 (7 月 2 日付「新京報」) (7 月 5 日付 「東方早報」) 【四川】 6 大戦略新興産業向けプロジェクト専用資金 が利用可能に 【青島】 第 12 次五ヶ年計画期間内に世界最大 の電気自動車充電ネットワークを建設 4 日から 10 日にかけて、次世代情報技術、新エネル ギー、ハイエンド設備製造、新素材、バイオ、および省 エネ環境保護の6大戦略新興産業に従事する企業、 研究開発機関や大学や専門学校は、専用のプロジェ クト資金を申請することが可能になった。同産業発展 支援のために四川省が用意した資金であり、研究と実 用化に向けて協同を後押しするため、企業と研究機 関が連携を取り、共同で申請することを推奨している。 このほど、青島薛家島電気自動車充電ステーショ ンは運営開始から 2 周年を迎え、充電回数は 13 万 9 千回に上り、電気消費量 1.79 百万 kW/h の 実績を残した。第 12 次五ヶ年期間(2010 年~2015 年)中に充電ステーションを 20 カ所建設、電気バ ス 1,500 台の保有を目指し、世界最大のサービス ネットワークを完成させる予定である。 (7 月 4 日付 「連合早報-成都」) (7 月 2 日付 「青島日報」) 【広東】 中石油が天然ガス総合プロジェクトを設立 【前海】 前海クロスボーダー人民元融資登録は 52.5 億元に 先行試行政策も間もなく公布へ 中国石油天然ガス集団公司は広東省掲陽市におい て、地級市で初となる天然ガス総合プロジェクトを立ち 上げたことが明らかになった。同プロジェクトは 2015 年 にフル稼働する予定で、同市に年間 20 億㎥のガスを 供給し、年間生産は 100 億元以上となる見込みであ る。 6 月 28 日、前海管理局はこの間の業務進捗状況 を明らかにした。同局によれば、前海クロスボー ダー人民元貸付登録金は 52.5 億元に達した。ま た、国務院が承認した 22 条の先行試行政策のう ち、3 月末までに 16 条が公布され、早ければ 7 月 上旬にも新たに 3 条が公表される見込みである。 また、工商、公安、人的資源や社会保障など 150 に上る行政手続きがネットで取り扱える企業向け サービスプラットフォームも 7 月よりテスト運営され ることを示唆した。 同市は大型プロジェクトの誘致に注力しており、ここ 1 年で中国電力の物流センター、中委合資の広東石油 化学製油、粤東 LNG 第一期などの入居が決まり、こ れまでの総投資額は 1,000 億元に上るという。 (7 月 1 日付 「広州日報」) (6 月 29 日付 「南方都市報」) 7 BTMU(China)経済週報 2013 年 7 月 10 第 163 期 人民元市場動向 『基準値・日中取引共に膠着。資金市場は落ち着き取り戻す。』 【図 1】人民元中間値とドルインデックス 人民元為替・資金市場 每 天 QCNY=CFXS, Q=USD 2013 年前半の人民元は、昨年末と比較し基準値 ベースで 1.7%(年換算 3.4%)の人民元高となった。 2013 年後半最初の取引となった先週の人民元は、基準 値が 6.1755 から 6.1805 の狭いレンジ内で設定された。 日中取引も膠着、週を通じて基準値よりも 0.7~0.8%程 度元高水準となる 6.13 前後での取引に終始した。 6 月末を越えた人民元資金市場では、先月 25 日の人 民銀行 HP 上での声明掲載、28 日の周小川人民銀行 総裁による上海金融フォーラム上での発言、中国銀行 業監督管理委員会尚福林主席の発言等を受け、1 日に は O/N Shibor が 4.4560%と前週末比 48.5bp 低下、1 week Shibor も 5.4230%と同 74bp 低下した。翌 2 日以 降も徐々に低下を続け、週末 5 日には O/N Shibor が 3.3800%、1 week Shibor も 3.8160%と 5 月下旬の水準 まで低下。市場が徐々に落ち着きを取り戻しつつあるこ とが確認された一週間となった。 株式市場でも、人民元資金市場の落ち着きに歩調を 合わせるように、先月 25 日に一時 1,850 まで下落してい た上海総合株価指数が 2,000 の大台を回復した。 先週発表された経済指標では、6 月製造業 PMI が 50.1 と前月比小幅低下、英 HSBC 製造業 PMI も 48.2 と昨年 9 月以来の低水準となる中、捜房(中国最大の不 動産ウェブサイト運営)が発表した 6 月中国新築住宅価 格(100 都市)は、昨年 12 月に価格が上昇に転じて以来 最も高い前年同月比+7.4%を記録。潤沢に存在する資 金が、不動産市場へ向かっていることを示唆する内容と なった。 今週はワシントンで第 5 回米中戦略・経済対話(10-11 日)が開催され、米中間の投資や貿易の拡大、金融の 安定等について協議される見通し。また、6 月消費者物 価指数等中国の主要経済指標も順次発表される。 价格 84.5 6.23 6.22 84 6.21 83.5 6.2 6.19 83 6.18 82.5 6.17 82 6.16 81.5 6.15 6.14 81 6.13 80.5 6.12 .123 .1234 18 25 01 08 2013 三 月 15 22 02 20 27 03 13 2013 五 月 24 01 2013 六 月 08 13 七 月 (出所)ロイター 【表 1】為替市場変動幅:一週間の変動幅 7/1 7/2 7/3 7/4 7/5 USDCNY 基準値 日付 6.1805 6.1773 6.1803 6.1755 6.1790 USDCNY 始値 6.1350 6.1289 6.1343 6.1285 6.1278 USDCNY 高値 6.1350 6.1348 6.1357 6.1294 6.1336 USDCNY 安値 6.1285 6.1282 6.1299 6.1250 6.1268 USDCNY 終値 6.1327 6.1330 6.1308 6.1258 6.1326 USD index1 82.902 83.136 83.054 83.544 83.231 (注)1. 前日の NYK 終値 【図 2】O/N Shibor と 7 日間債券レポ利回り 每 天 QCN7DRP=CFXS, QSHICNYOND= 2013-3-18 - 2013-7-12 ( GMT) 价格 CNY 13 12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 .1234 18 25 01 08 2013 三 月 15 22 02 2013 四 月 13 20 2013 五 月 27 03 13 24 2013 六 月 01 08 13 七 月 — 7 日間債券レポ利回り — Over Night Shibor 金利 (出所)ロイター 【表 2】金利市場変動幅:一週間の変動幅(%) 7/1 7/2 1 4.4154 3.7084 7 日間レポ 1 5.4498 4.7592 O/N Shibor 4.4560 3.7860 3 ヶ月 Shibor 5.2950 5.2110 1 日間レポ (注)1. 加重平均レポ利回り 8 13 2013 四 月 — 人民元ドル中間値(右側) — ドル index 時間線(左側) 日付 (環球金融市場部市場営業グループ) 2013-3-15 - 2013-7-12 (PEK) 价格 7/3 7/4 7/5 3.3127 3.3139 3.3747 4.2343 3.9550 3.8055 3.4000 3.3480 3.3800 5.1480 5.0290 4.9390 BTMU(China)経済週報 2013 年 7 月 10 第 163 期 BTMU の中国調査レポート(2013 年 6~7 月) BTMU 中国月報第 90 号(2013 年 7 月) http://www.bk.mufg.jp/report/chi200401/113070101.pdf 国際業務部 ニュースフォーカス第 6 号 【華南】 「広州地域金融センター建設を支援する若干規定を発表」 https://reports.btmuc.com/fileroot_sh/FILE/full_report/130708_01.pdf 香港支店 業務開発室 ニュースフォーカス第 7 号 【台湾・中国】 「ECFA サービス貿易協定に調印」 https://reports.btmuc.com/fileroot_sh/FILE/full_report/130709_01.pdf 香港支店 業務開発室 「昨今の中国金融市場における人民元短期金利動向について」 https://reports.btmuc.com/fileroot_bj/FILE/jpreport_chinese/130627_01.pdf 環球金融市場部 経済マンスリー(2013 年 6 月) 景気減速懸念の下での金利上昇の意味 http://www.bk.mufg.jp/report/ecomon2013/index.htm 経済調査室 経済見通し 2013 年 5 月 輸出の軟調を受け景気は足踏み http://www.bk.mufg.jp/report/ecolook2013/index.htm 経済調査室 以上 当資料は情報提供のみを目的として作成されたものであり、何らかの行動を勧誘するものではありません。ご利用に関しては全てお客様御自身でご 判断くださいますよう、宜しくお願い申し上げます。当資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成されていますが、当店はその正確性を保証す るものではありません。内容は予告なしに変更することがありますので、予めご了承下さい。また当資料は著作物であり、著作権法により保護されてお ります。全文または一部を転載する場合は出所を明記してください。 三菱東京 UFJ 銀行(中国)有限公司トランザクションバンキング部 中国調査室 北京市朝陽区東三環北路 5 号北京発展大厦 4 階 照会先:石洪 TEL 010-6590-8888ext. 214 9
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