松江工業高等専門学校 実践教育支援センター 平成 26 年度事業報告集 (2014.4 ~ 2015.3) 第 14 号 実践教育支援センター 平成 26 年度事業報告集発行に寄せて 実践教育支援センター長 田邊 喜一 当センター長に就任して、早 3 年が過ぎました。本年度も、川見技術長以下 技術職員の皆様方にご努力いただいたお陰を持ちまして、当センターの各種業 務が滞ることなく流れたように思います。本年度の後期から、欠員が続いてい た第 3 技術班に新たな技術専門職員として表さんに加わっていただいたことに より、より充実した教育支援体制が確立されました。 以下、いくつか雑感を述べさせていただき、ご挨拶に代えたいと思います。 (1)中国・四国地区国立大学法人等技術職員研修 8 月に 3 日間をかけて行われた中国・四国地区国立大学法人等技術職員研修では主催校として実習 テーマの立案・実施や全体講義の担当等で大変ご苦労をおかけしました。なかでも、「3D CAD、3D プリンタ」の実習では、最新の 3D プリンタを用いた先進的な造形法の基礎的技術が体験できて、受 講された皆様方には大変好評であったと伺っております。当校センターが保有する機器や技術力の 高さをアピールする絶好の機会になったのではないでしょうか。 (2)特別教育研究経費「企業技術者等活用プログラム」の採択(継続) 特別教育研究経費「企業技術者等活用プログラム」では、引き続き、予算を獲得しております。 この予算は非常勤職員の任用経費として活用されていますが、その全額を賄うことはできず、一部 は運営費交付金より捻出されています。昨年度の挨拶のなかで触れましたが、教育支援の質を高め るためには、必要とされる適切な非常勤職員の人数や、そのための予算措置について、定量的な資 料に基づき、全学的に検討すべき時期に来ていると思います。しかし、当方の力不足もあり、なか なか検討が進んでいるとはいえない状況です。運営費交付金も年々下がる一方ですので、今後、財 源的により厳しい状況に陥るのではないかと危惧しております。 (3)外部資金の獲得 科学研究費補助金(奨励研究)の採択が難しい状況が続いております。これは、奨励研究の採択 率の低さ(20%未満)が大きく影響しているように思います。科研費には基盤研究等の他の種目がいく つかありますので、奨励研究からの切り替えも検討する余地がありそうです。また、科研費だけが 外部資金ではありません。自己研鑽の費用を捻出するため、民間の研究助成への応募や学内公募へ の積極的な取り組みをお願いしたいと思います。 最後になりましたが、来年度より高尾学教授を副センター長としてお迎えします。センター全体 の運営、また、センター独自の外部資金獲得の方策について、有益なご助言がいただけるものと期 待しております。みなさん、来年度も、心身共に健康には留意され、職務を遂行していただきた く、よろしくお願いいたします。 実践教育支援センター 平成 26 年度事業報告集発行に寄せて 技術長 川見 昌春 松江工業高等専門学校は昭和 39 年度に設立され、今年度で創立 50 周年を迎 えた。様々な記念事業が行われる中、記念式典・祝賀会では歴代の技術長を始 めとした技術職員 OB の先輩方とお話する機会もあり、昔話に花が咲く一幕も あった。実践教育支援センターも平成 13 年の組織化後 14 年が経過し、組織化 当時の職員で現役として残っているのは、再雇用職員を含めても 6 名となった。 およそ 2/3 のメンバーが入れ替わった計算になるが、 「機能する技術集団」、 「松 江オリジナル」の当初からの意識は、時代や構成員による変化はあるものの、今でも技術職員に受け 継がれ活動の原資として根付いている…、そういった感慨が頭を過る壱刻であった。 さて、平成 26 年度は 50 周年記念事業のほかに、技術職員研修の主催など、実践教育支援センター が関わるイベントが多くあった。特に中国四国地区国立大学法人等技術職員研修では、今回中国四国 地区の高専として初めて島根大学と共催で研修会を受け持つこととなり、松江高専の受け持ち部分 については実践教育支援センターが主体的に企画立案と実施を行った。このうち全体講義 1 つと技 術実習 2 テーマは技術職員だけで実施し、残りの全体講義 1 つも本校教員と技術職員のコラボレー ションになるなど、松江高専技術職員の知識・技術とともに覇気を示すことができたと思われる。 また、平成 26 年度は技術職員の意識高揚を目的として、 「朝礼の実施」、 「改善チームの立ち上げと 実施」 、 「清掃日の設定」といった 3 つの試みを開始した。朝礼については、 「職員相互の想いの共有 および、一日を開始するに当たっての仕切り(キックオフ)を行うもの」、 「朝礼により、報・連・相 と規則正しい仕事のリズムの定着を図る」ことを目的に実施し、朝礼当番の配置と連絡・報告、スピ ーチ等で構成した。これにより、連絡事項・情報等の円滑な伝達や共有が図れ、毎日の業務の起点と なっている。改善チームについては、センター内の様々な部分における改善点について、ボトムアッ プ的手法により指摘・改善を行っていくための手段として立ち上げを行った。指摘事項の対応や時期 については技術長に一任するということもあり、今年度は実施に至らない案件も多くあったが、平成 27 年度以降も実施手法を検討しながら、より良いセンター運営の指標の一つにしていきたい。また、 清掃日については、改善チームの提案も踏まえて実施した案件であるが、一週間のうち授業の合間等 で比較的職員の集まりやすい時間帯を選び、ほぼ全員で実践教育支援センター建屋の内外を一斉に 清掃するものである。これは安全衛生の観点から 5S 運動の一環として 1 月より実施している。いず れも組織が一体化して取り組む事項として、今後も継続して行っていくつもりである。 さらに、福田前技術長の後任人事として積み残されていた土木系技術職員について、数回の公募と 採用試験を経て、ようやく 10 月に表真也技術専門職員を採用することができた。豊富な実績と経歴 を活かし、今後の松江高専および実践教育支援センターのために活躍されることを大いに期待する ものである。 最後に、実践教育支援センターの運営と活動にご理解とご協力をいただいた多くの方々に、この場 を借りてあらためて深く感謝いたします。今後も高専および地域への貢献に向けて微力ながら尽力 してまいりたいと考えております。 目次 実践教育支援センター長 挨拶 【実践教育支援センター長 田邊 喜一】 実践教育支援センター技術長 挨拶 【実践教育支援センター技術長 川見 昌春】 トピックス ◎ 平成 26 年度中四国地区国立大学法人等技術職員研修の開催 ◎ 松江水燈路 ・・・・・・・・ 2 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 ◎ 50 周年記念事業における記念品および銘板架台の製作 ・・・・・・・・ 9 各委員会および各班からの年間報告 ◎ 支援委員会【支援委員長:本多 将和】 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 11 ◎ 研修委員会【研修委員長:岡田 康】 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 16 ◎ 評価委員会【評価委員長:池田 総一郎】 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 19 ◎ 第 1 技術班【主査:内村 和弘】 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21 ◎ 第 2 技術班【主査:川見 昌春】 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 24 ◎ 第 3 技術班【主査:内村 和弘】 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25 地域貢献・学生支援・推進室の取組み ◎ 一覧表 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27 外部資金受入状況一覧 技術相談一覧 公開講座実施状況一覧 ◎ 工作教室 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29 青銅鏡を作ろう!寒い冬に、あつ~い作業はいかが? チャレンジ!電子工作 巨大まつぼっくりでツリーを作ろう! 「うんなん元気っ子わくわく教室(科学のひろば)」報告 測量技術を活用した古代米田んぼアートによる地域貢献活動 ◎ 人材育成 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 35 平成 26 年度 高専機構 IT 人材育成研修会 ~コース 1LDAP~ ◎ その他 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 36 エコラン活動報告 研究業績・出張報告・スタッフ紹介 ◎ 平成 26 年度論文・研究業績一覧 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 38 平成 26 年度論文・研究業績一覧 ◎ 個人研究報告 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 39 土木技術体験型支援プログラム『地上絵』の提案【重点配分:安食 正太】 たたら製鉄と日本刀から学ぶ熱処理について【奨励研究:山本 誠司】 ◎ 出張報告 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 41 平成 26 年度出張先一覧 自然エネルギー先進国施設調査 ワイヤー放電加工 中級講座受講 平成 26 年度中国地区高等専門学校技術職員研修 平成 26 年度西日本地域高等専門学校技術職員特別研修会(電気・電子系) 総合技術研究会 in 北海道大学 ◎ スタッフ紹介 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 48 新人紹介 今年度を振り返って!来年度への抱負 資料集 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 54 松江高専実践教育支援センター規則 実践教育支援センター運営に関する内規 技術系職員の民間企業等派遣研修実施要項 実践教育支援センター組織図 実践教育支援センター学内部会分担表 実践教育支援センター会議議事録 写真集(研修、学校開放、作品集等) 取得資格一覧 編集後記 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 69 【表紙写真の解説】 中四国地区 50 周年記念事業 国立大学法人等 (ロゴ・記念品) 技術職員研修 松江水燈路 田んぼアート チャレンジ電子工作 (松江市忌部地区) (工作教室) トピックス ◎ 平成 26 年度中四国地区国立大学法人等技術職員研修の開催 ◎ 松江水燈路 ◎ 50 周年記念事業における記念品および銘板架台の製作 ・・・・・・・・ 2 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 ・・・・・・・・ 9 各委員会および各班からの年間報告 ◎ 支援委員会【支援委員長:本多 将和】 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 11 ◎ 研修委員会【研修委員長:岡田 康】 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 16 ◎ 評価委員会【評価委員長:池田 総一郎】 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 19 ◎ 第 1 技術班【主査:内村 和弘】 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21 ◎ 第 2 技術班【主査:川見 昌春】 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 24 ◎ 第 3 技術班【主査:内村 和弘】 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25 -1- トピックス 平成 26 年度中国・四国地区国立大学法人等技術職員研修の開催 報告者:川見 昌春、内村 和弘、福島 志斗 1. はじめに 中国四国地区の国立大学・高等専門学校の技術職員を対象とする技術研修会について、これま で各大学の持ち回りで年 1 回開催されてきた。平成 25 年度で一巡したことにより、技術職員代 表者会議で平成 26 年度以降の研修会について検討した結果、平成 26 年度から島根大学を起点 として毎年持ち回りで開催すること、その際に同県内の高専が協力して開催することが決定さ れた。これにより平成 26 年度は島根大学と松江高専の共催で行うこととなり、島根大学は農学 分野、松江高専は電気・電子分野を担当することが決まった。 今回は大学と高専の共催という初めての事例となったが、島根大学は総務部人事労務課労務 管理グループ、松江高専は実践教育支援センターが中心となり企画・実施した。所在地が松江市 内の近隣という好条件もあり、事前打ち合わせを相互に出向いて計 4 回行うことができ、電子メ ールによる連絡も頻繁に行い、密に連絡を取れる体制で臨んだ。以下に研修日程を示す。 図-1 中国・四国地区国立大学法人等技術職員研修 日程表 会場については、式典と全体講義を島根大学松江キャンパスで行い、分野別実習については農 学分野を島根大学農場、電気・電子分野を松江高専で分散開催とした。また、全体講義について は、2 つの異なる分野の受講者で同一の講義とし、以下の内容で行った。 -2- トピックス ・講義Ⅰ(管理運営) : 「国立大学改革プランについて」 島根大学 塩飽 邦憲 理事 ・講義Ⅱ(技術組織) : 「技術職員組織と支援業務の事例紹介」 松江高専 川見 昌春 技術長 ・講義Ⅲ(農学分野) : 「光と植物の病気」 島根大学 荒瀬 榮 教授 ・講義Ⅳ(電気・電子分野) : 「木綿を利用した電気二重層キャパシタとその応用」 松江高専 福間 真澄 教授、福島 志斗 技術職員、須山 郁夫 技術補佐員 異なる分野の講義については、 「参考になった」あるいは「内容が理解できない」など、アンケ ートにおいても意見が分かれるところであり、今後の複数分野開催の際には検討が必要と思われ る。 松江高専担当の電気・電子分野実習については、テーマを以下の 2 つに分けて実施した。 ・技術実習Ⅰ: 「ポータブルチャージャーの製作」 ・技術実習Ⅱ: 「3DCAD、3D プリンタ実習」 それぞれ最新の機器を用いた実習内容とし、受講後のアンケートも概ね高評価であった。 2. 全体講義Ⅱ(技術組織) 「技術職員組織と支援業務の事例紹介」について 松江高専の技術職員組織である実践教育支援センターについて、前半では組織化の経緯と取 り組み・成果、組織の構成と支援体制について説明した。平成 13 年度の組織化から現在に至る までの行動・目的意識等を比較的詳細に説明した。 また、後半では支援業務の事例紹介として、松江高専実践教育支援センターで独自開発した教 務・学生支援システムである「学務情報システム」を実例に上げ、様々な支援業務の一例として 紹介した。 我々技術職員の業務は、実験実習を始めとする各種支援など、学校・学生・教職員等をサポー トする業務であることは勿論、その中でも責任を伴う様々な業務を行うことにより、各方面から の信頼を獲得することが技術職員の地位向上に繋がり、必要とされる職員として認知されるこ となどを訴えた。 3. 技術実習Ⅰ(電気・電子分野)について 電気・電子分野の技術実習として、電子回路 CAD とレー ザー基板加工機を使用した電子回路基板の設計と製作手法に ついて実習を行った。 実習では、始めに電子回路 CAD である「Eagle CAD 6.5.0」 の使用方法について練習をした後に、本題となる乾電池 2 本 で携帯電話等が充電可能な「ポータブルバッテリチャージャ ー」について設計を行った。実習で用いる回路は、すでに設 計済みであるため、CAD ソフトを用いてその回路の回路図を 写真-1 ポータブルバッテリ チャージャー 作成し、作成した回路図をもとにプリント基板の配線パター ンについて設計する手順で実習を行った。 次に、レーザー基板加工機「LPKF 製 Proto Laser U3」を使用して設計したプリント基板を作製 -3- トピックス し、そのプリント基板に電子部品を実装する手順で実習を行った。レーザー基板加工機は、UV レーザーを用いてプリント基板の銅箔の切断と剥離が可能であり、紙フェノール基板であれば 穴空けと切断までの工程を 1 台で加工できるため、プリント基板の製作が短時間で完了する予 定であった。しかし、電子回路 CAD でのプリントパターン設計は、部品の配置やパターンの作 成に経験とソフトへの慣れを必要とするため、時間内にレーザー基板加工機を用いて参加者の 方が設計した CAD データを使用して基板を作製できたのは 1 名のみであった。 基板への電子部品実装は、オリジナルのデータで基板を作製していただいた方を除いて、事前 に作製しておいたプリント基板を配布し、ハンダ付け作業により部品を実装してもらった。完成 後に回路の動作試験を行い、参加していただいた方すべての回路について動作を確認した。 今回の実習で、参加していただいた方全員にすべての工程を体験してもらうことができなか った事は、準備不足や計画が甘かった点が大きいが、実習の計画を立て計画通りに進めることの 難しさを改めて学ぶことができ、今後の学生指導に向けて貴重な経験を積むことができた。 4. 全体講義Ⅳ(電気・電子分野) : 「木綿を利用した電気二重層キャパシタとその応用」について 松江高専の福間教授に依頼して、島根県産業技術センターや地域 企業との産官学連携で行っている研究である電気二重層キャパシタ (EDLC)について紹介していただき、技術職員は実際の応用事例つ いて実演を交えて説明を行った。 全体講義では、初めに福間教授から研究で行っている EDLC の構 造や製造方法、電気的な特長について説明をしていただいた。その 後、電源に EDLC と太陽電池を用いて独立した電源として動作する センサネットワークシステム(SNW)の事例を技術的な応用として 写真-2 SNW 装置 実演しながら紹介した。 研究としては電気分野の内容であったが、県の産業技術センターや周辺地域の企業などと連 携しながら技術開発を行うことで、今後の高専が果たす役割として、分野を問わず地域産業へ貢 献することが重要であることを伝えた。 5. 最後に 初めての 2 機関共同開催ではあったが、キャンパスが近いこともあり事前打合せや当日の運用 を比較的スムーズに行う事ができた。松江高専の対応としては、当初から実践教育支援センターが 主体となり、全体講義の講師確保、および電気・電子分野技術実習の企画立案からテキスト作成・ 物品手配・実施に至るまでほぼ全ての行程を技術職員全体で分担しながら進め、無事に終了するこ とができた。また、人事・労務係には事務手続きや当日の運営等で協力いただいた。 最後に、全体の計画・調整・進行を島根大学総務部人事労務課労務管理グループの皆様にお世話 になり、成功裏に研修会を終わることができました。この場を借りて感謝申し上げます。 -4- トピックス 松江水燈路 報告者:内村 和弘、表 真也、池田 総一郎 福島 志斗、安食 正太、福田 恭司 1.はじめに 松江水燈路は、江戸時代より城下町として栄えてきた松江市のシンボルである、現存する天守 を持つ松江城を中心に、大小 1,000 個以上の行灯を並べて松江の夜を彩るイベントとして神在月 (全国では神無月)である 10 月に行われている。このイベントは、市民参加型のイベントとし て松江市民がイベントの内容や製作・運営を行ってい る。今年度は松江高専も松江観光協会から依頼があっ たため、学生を主体としてこのイベントに参加し、地 域貢献としての活動と学生の学外における学習とし て行った。 これらの活動に技術職員としては、水燈路のイベン トに設置する行灯の製作支援やイベント運営におけ る支援、指定文化財などの建築物内に設置する行灯の 工作教室開催、イベント会場内に設置する行灯の配置 写真-1 松江水燈路のイベント開催風景 (松江城二ノ丸から見た天守閣) 等に関する技術的なサポートを行った。 2.イベントの活動内容 松江水燈路のイベントにおいて、松江高専では以下の 4 件について活動を行った。 (1) タブレット端末で操作可能な行灯の開発(タッチでゆらゆら行灯) (2) イベント開催期間中に開発した行灯の操作説明と管理 (3) 指定文化財の建築物(武家屋敷)に設置する LED 行灯の工作教室開催 (4) 行灯を文字状に配置するための行灯配置計画と現地測量 この松江水燈路は 10 月が開催期間であるが、4 月から松江観光協会や松江商工会議所青年部 の方々と連携しながらイベントの準備を進めた。準備を進める中で、それぞれの活動における日 程の調整や物品の調達など、状況の変化に合わせた臨機応変な対応が必要であり、慌しく対応す ることもあったが、当初計画した内容をすべて終えることができた。 2.1 タブレット端末で操作可能な行灯の開発(タッチでゆらゆら行灯) この行灯の開発は、松江観光協会より「これまでは、様々な行灯を設置して見てもらうイベン トであったが、来場者の方に参加してもらえるコンテンツが欲しい」との要望があり、縦横 14 ×14 個(7m×7m)ずつ、合計 196 個の LED 行灯を製作し、タブレットからそれらの行灯を操 作することができる装置『タッチでゆらゆら行灯』の開発を行った。 製作した LED 行灯は、地元の企業が製造する LED を使用し、それぞれの行灯にマイコンを搭 載して光り方の制御を行った。すべての行灯は、LAN ケーブルを使用して接続されており、電 -5- トピックス 源の供給とタブレットからの制御信号を送る仕組とした。タブレットからの制御信号が無い場 合には、それぞれの行灯が「1/f ゆらぎ」を模擬して点灯するようにし、制御信号を送ると行灯 に内蔵されているマイコンが信号を判別して、LED の制御を行うようにプログラムをした。 開発したタブレットのアプリの機能は、縦横 14 個の点をタップするとその場所にある LED 行 灯が光り、文字を入力するとその文字が表示されスクロールする機能を開発した。LED 行灯を 制御するユニットとタブレットは Bluetooth で通信するようにした。タブレットの操作方法につ いては、初めての人でも直感的に操作できるように工夫をし、行灯をタブレットから操作するこ とで楽しんで参加できるものにすることができた。 1/f ゆらぎの状態 記号表示(ハート) 文字表示(ま) 写真-2 タッチでゆらゆら行灯 2.2 イベント開催期間中に開発した行灯の操作説明と管理 松江水燈路のイベントの期間中に製作した『タッチでゆらゆら行灯』の管理と来場者への説明 のため、装置が設置してある場所の前での案内と、装置の操作説明を学生が担当し、ボランティ アとしてイベントの運営に携わった。 イベントの運営には、本校の学生会が中心として活動し、本校の学園祭にあたる高専祭があっ たため途中からではあったが、水燈路の期間中 17 時から 21 時まで来場者への案内を行った。技 術職員としては、この学生活動に対して松江観光協会と学生との日程調整や案内を行っている 学生の指導を行った。 また、製作した装置はイベント期間中(1 ヶ月間)屋外で動作 させるため、風雨によるトラブルが何度か発生した。この他に、 設置した行灯と操作端末間の通信に Bluetooth を使用しているた め、来場者が多い場合には携帯電話や Wi-Fi 機器により接続が切 れるというトラブルも発生した。これらのトラブルにも素早く対 応し、来場者にイベントを楽しんでもらうことができた。 写真-3 行灯を設置する様子 2.3 指定文化財の建築物(武家屋敷)に設置する LED 行灯の工作教室開催 この工作教室は、火が使用できない文化施設に行灯の設置を目的として、LED 行灯の開発と 地域における理科ものづくり教育として工作教室を行った。 松江水燈路のイベントでは、開催場所によっては火が使用できない所が多く、ろうそくを用い た行灯を設置することが難しい状況であった。その対策として電球等を使用した場合、行灯特有 の雰囲気とは異なることや、多くの行灯を用意するためには、製作にかかる技術的な問題や人員 の不足等の課題が生じる。これらの課題を解決するため、行灯を製作する工作教室を開催し、行 灯の製作に必要な人員の確保と周辺地域におけるものづくり教育を同時に行った。 -6- トピックス 工作教室の内容は、オリジナル行灯の製作と、光源として使用する 1/f ゆらぎで点灯する LED 回路の電子工作と行灯枠の製作、行灯のデザインといった内容とした。 行灯の枠については短時間で製作できるよう 2 つの部品構成になるよう設計し、レーザー加 工機により加工を行った。回路についても同様に基板加工機とレーザー彫刻機を使用して製作 した。 工作教室は 3 回開催し、小学生から大人までの 29 名参加があり、それぞれオリジナルの行灯 を製作し、イベント開催期間中に武家屋敷(松江市北堀町塩見縄手)に設置された。 工作教室実施状況については以下のとおりである。 【1 回目】 (1) 実施日:2014 年 7 月 26 日(土) 14:00~16:00 (2) 実施場所:松江国際交流会館 (3) 対象:一般市民(小学 4 年~6 年生) (4) 参加人数:12 名 写真-4 行灯の骨組製作 【2 回目】 (1) 実施日:2014 年 7 月 31 日(火) 9:00~12:00 (2) 実施場所:松江第一中学校 (3) 対象:松江第一中学校工芸部の生徒 (4) 参加人数:10 名 写真-5 電子回路製作 【3 回目】 (1) 実施日:2014 年 9 月 21 日(日) 13:30~16:30 (2) 実施場所:松江工業高等専門学校 (3) 対象:一般市民 (4) 参加人数:7 名 写真-6 武家屋敷に設置 講師:福島志斗、内村和弘 2.4 行灯を文字状に配置するための行灯配置計画と現地測量 松江水燈路のイベントの一つとして、行灯の灯で大き な文字を浮かび上がらせた。松江高専は、行灯で文字を 浮かび上がらせるため、行灯の配置計画図の作成と、行 灯が図面通りに設置できるように現地測量を行った.行 灯で浮かび上がらせた文字は、縦 10m×横 25m のキャ ンバスに『だんだん』の 4 文字である。行灯配置計画は 第一段階として、文字を見下ろす展望位置を設定した後 に、行灯を設置する敷地と展望位置までの水平距離及び -7- だんだん(出雲弁)= ありがとう 写真-7 行灯で浮かび上がった 『だんだん』の巨大文字 トピックス 高さを測量した。第二段階として展望位置から文字を見下ろした際に文字が歪んで見えないよ うに、敷地までの高さと、遠近による現象から生じる歪が矯正できるように行灯の配置計画の検 討を行った。また現地では図面通りに行灯が配置できるように平板測量によってポイントを設 置した。このポイントへ行灯を設置すると展望台から見ても文字は歪むことなく、写真のように 「だんだん」という文字をきれいに浮かび上がらせることができる。 3.まとめ この松江水燈路のイベントでは、松江観光協会から依頼をいただいてから企画の立案と展示 物の準備、イベントの運営などに対するサポートのほとんどを技術職員が担当し、松江水燈路の イベント全体としては一部であるが、周辺地域への観光に対して貢献することができた。また、 イベントで展示した内容においては高専の技術を活かしたものであり、より多くの人に高専を 認知してもらえたと思う。 この取り組みでは、複数の技術職員が協力して活動することで、お互いの得意分野を活かしな がらチームワークを発揮することができ、若干のトラブルや納期直前で展示物が完成するなど があったが、無事にイベントを終えることができた。 このイベントは当初より長期的に連携することとしており、次年度以降も学校や学生、地域の 協力を得て、新しい展示物の作製やイベントへの参加を継続していく予定である。 -8- トピックス 50 周年記念事業における記念品および銘板架台の製作 報告者:内村 和弘、奥原 真哉 1.はじめに 松江高専 50 周年記念事業の記念品の一つとして松江高専オリジナルの記念品を配布することに なった。学生から募集したロゴデザインと本校のゆるキャラ「インダスとり」をデザインとしたキ ーホルダを製作することとなった。内訳はアクリル板ベースのキーホルダ 1,500 個、ステンレス板 (SUS304)のキーホルダ 500 個を製作した。 また、学内外から多数のご寄附をいただき、5 口以上の寄付者は記念銘板に芳名、法人名を記載 し、学内において顕彰することとなった。実践教育支援センターでは、この記念銘板の架台を製作 した。 2.製作について 2.1 キーホルダ製作 アクリル板キーホルダについてはレーザー彫刻機(Trotec Speedy400)を使用して、彫刻を行 い、外形のカットは 3 次元レーザー加工機(MAZAK SPEACEGIA U-44)を使用した。これは、 それぞれ分担して行うことで加工を同時に行うことができ時間の短縮につながるからである。 加工形状は CAD により作成し、専用治具を製作、加工誤差を最小限に収まるように工夫し た。 金属製のものについては 3 次元レーザー加工機(MAZAK SPEACEGIA U-44)、ワイヤ放電加工 機(牧野フライス U6HEAT)を使用して行った。 レーザー加工機ではステンレス板の彫刻とワイヤ放電加工機による加工のためのイニシャル ホールの加工を行った。これにより放電加工前の作業時間が大幅に短縮された。その後、外形と デザインの中抜き加工は放電加工機を使用した。理由として加工面がレーザー加工に比べてき れいであること、やすり掛け等の処理が容易であるためである。 この計画により各工作機を同時展開することでかなり効率的に作業を行うことができた。 加工後の後処理についてはレーザー、放電加工の加工焼けを、酸洗いで除去、エッジによる怪我 の防止にやすり掛けを行った。酸については放電加工後に使用するリン酸を使用し、やすり掛け にはダイヤモンドやすりを使用した。 最終工程のリング取付け、袋詰めは事務職員と技術職員で行った。全作業の中で最も時間を必 要とする作業であったが、多くの職員による協力でスムーズに短時間で進めることができた。 写真-1 ステンレス製 写真-2 アクリル製 -9- トピックス 2.2 銘板架台 架台は SUS 板を使用し、3 次元レーザー加工機(MAZAK SPEACEGIA U-44)によりデザイン 部の加工と外形加工を行った。デザインは記念品として配布された松江高専オリジナルキーホ ルダと同様に学生から募集したロゴデザインを採用し、架台側面に配置している。また、プレ スブレーキ(アマダ FMBⅡ-184NT)により曲げ加工を行うことにより、軽量で持ち運びも可能 であるが強度にも配慮した構造とした。 図-1 3D-CAD モデル 写真-3 完成品 3.まとめ それぞれの加工担当者も加工精度や効率、応用等を経験することができた。また、それぞれの機 器の新たな活用法、連携の可能性も増えた。技術的にもよい経験になったのではないかと思う。 また、事務職員、技術職員が協力して行う「ものづくり」の経験はほとんどないためお互いに刺 激になったのではないかと思う。 - 10 - 委員会報告 支援委員会 支援委員会:本多 将和(支援委員長)、泉 大樹、安食 正太 報告者:本多 将和 1. はじめに 今年度の支援委員会は、例年どおり教育支援・製作依頼・技術支援の受付・取りまとめ、そして、 実験実習に関する業務の調整・調査・取りまとめを業務の中心として活動した。 具体的な活動内容は、以下のとおりである。 2. 活動内容および評価 ○ 教育支援、製作依頼、技術支援に関する業務 教育支援: 実験実習・演習などの支援計画および実施 製作依頼: 教育研究に関する装置・部品等の製作、特殊加工等の受付とその対応 技術支援: その他の技術的な支援(共同研究、学校開放事業、オープンキャンパス、出張授業、 イベント、機械操作指導 等)の受付とその対応 ○ 実験実習に関する管理業務 実験実習計画書の集計及び実験室演習室の部屋割り、調整 実験実習予算案の作成、調整 ○ 各支援業務に対するアンケートの実施 教育支援(前期、後期終了後の年間 2 回)、製作依頼(納品後)、技術支援(対応後) 2.1 教育支援 平成 26 年度に行った教育支援は次頁の通りである。職員 1 人あたりの平均時間数は約 14.2 時 間であり、過去 3 年間の状況(H23:14.5 時間、H24:14.9 時間、H25:14.4 時間)と比較すると減少し た。前期の支援時間は平均 13.3 時間、後期は平均 15.1 時間であった。支援を行った科目は、計 81 科目(前期:43 科目、後期:38 科目)で、同じく昨年度より減少した。 今年度も支援体制を作成するに当たり、1 週間のうち授業の無い日が 1 日もない職員が複数名 発生したため、今後は 1 日でも授業のない日を設定できるように、取組む必要があると考えられ る。 - 11 - 委員会報告 表-1 平成 26 年度前期 教育支援 内村 本多 1班 小吹 奥原 山本 宮田 鴨井 川見 2 3 D1 4 電子制御基礎1 月 5 6 7 8 9 10 D5 工学実験6 水 5 6 7 8 9 10 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 M3 機械工作実習3 M3 機械工作実習3 M3 機械工作実習3 M3 機械工作実習3 M3 機械工作実習3 M1 機械基礎実習1 M1 機械基礎実習1 M1 機械基礎実習1 M1 機械基礎実習1 J4 情報工学実験3 E3 情報処理2 三反田 須山 E2 創造演習3 J4 ゲームプログ ラミング J3 OSSリテラ シー2 J1 コン ピ ュータリテラ シ1 E4 電気工学実験3 M4 機械工学実験1 D3 CAD/CAM E1 創造演習1 J4 情報工学実験3 福田 安食 C1 環境セミナー C1 環境セミナー C4 C4 環境建設工学実 環境建設工学実 験2 験1 J3 OSSリテラ シー2 D2 基礎デザイン J3 プログラミング3 M2 機械工作実習1 D3 工学実験2 E1 創造演習1 J3 情報工学実験1 M2 機械工作実習1 M2 機械工作実習1 M2 機械工作実習1 E3 電気工学実験1 E3 電気工学実験1 E3 電気工学実験1 1-4 基礎情報 E2 電気工学基礎実験1 C3 測量実習 C2 測量学1 C2 測量学1 C5 C5 環境建設工学実 環境建設工学実 験4 験4 E2 電気工学基礎実験1 D3 プログラミング2 5 6 D3 7 8 創造設計製作1 9 10 C3 測量実習 J3 プログラミング3 1-3 基礎情報 J5 ネットワーク管理 2 M2 機械工作実習1 D3 プログラミング2 1-1 基礎情報 D3 創造設計製作1 D3 創造設計製作1 D3 創造設計製作1 1 2 3 4 金 3班 泉 E2 創造演習3 1-5 基礎情報 M1 機械基礎実習1 1 2 3 4 木 2班 福島 岡田 D1 電子制御基礎1 M3 機械工作実習3 1 2 3 4 火 池田 J4 ゲームプログ C5 情報処理演習3 ラミング 1 C4 情報処理演習2 J2 情報工学基礎実験1 S1 ネットワーク管理 J2 情報工学基礎実験1 C4 情報処理演習2 1-2 基礎情報 J2 プログラミング1 5 6 7 8 9 10 M3 機械工学実習 12 M3 機械工学実習 14 M3 機械工学実習 14 M3 機械工学実習 12 J2 プログラミング1 E4 電気デザイン1 12 10 6 14 E4 電気デザイン1 14 14 16 10 16 12 18 18 専攻科 CAD工作演習 実施日不定 表-2 平成 26 年度後期 教育支援 内村 本多 1班 小吹 奥原 山本 宮田 鴨井 1 2 3 D1 4 電子制御基礎2 月 5 6 7 8 9 10 D4 工学実験5 M4 機械工学実験2 1 2 3 4 火 水 M1 機械基礎実習2 D3 工学実験3 M1 機械基礎実習2 金 時間 2班 福島 岡田 泉 三反田 E3 情報処理3 D1 電子制御基礎2 J4 データベース 概論 M3 創造演習 M3 創造演習 J5 ネットワーク技術 D4 創造設計製作3 D4 創造設計製作3 D4 創造設計製作3 D4 創造設計製作3 D4 創造設計製作3 D2 工学実験1 D2 工学実験1 D2 工学実験1 D2 工学実験1 D2 工学実験1 M2 機械工作実習2 M2 機械工作実習2 M2 機械工作実習2 M2 機械工作実習2 M2 機械工作実習2 J3 プログラミング4 E3 電気工学実験2 J4 E4 ネットワーク管理1 電気工学実験4 J2 OSSリテラシ1 D3 創造設計製作2 3班 安食 福田 C2 環境・建設 工学創造演習1 C2 環境・建設 工学創造演習1 C2 環境・建設 工学創造演習1 C4 環境建設 工学実験3 C4 環境建設 工学実験3 C4 環境建設 工学実験3 C4 環境建設 工学実験2 C4 環境建設 工学実験1 C4 環境建設 工学実験2 C2 測量実習1 C2 測量実習1 C2 測量実習1 E3 電気工学実験2 E4 電気工学実験4 D2 工学実験2 E4 電気デザイン J3 情報工学実験2 表 J2 プログラミング2 J1 コンピュータ リテラシ2 J3 情報工学実験2 J3 情報工学実験2 J2 OSSリテラシ1 J2 情報工学 基礎実験2 D3 プログラミング3 D3 創造設計製作2 須山 E2 電気創造演習4 J2 情報工学 基礎実験2 5 6 D3 7 8 創造設計製作2 9 10 E3 基礎計算機 工学2 D3 プログラミング3 D3 創造設計製作2 E2 電気工学 基礎実験2 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 合計 E2 電気創造演習4 M1 機械基礎実習2 1 2 3 4 木 池田 J2 プログラミング2 J3 基礎計算機 工学2 M3 創造演習 M2 機械工作実習2 M1 機械基礎実習2 M4 機械工学実験2 M3 創造演習 5 D4 6 7 創造設計製作3 8 9 10 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 M1 機械基礎実習2 川見 E2 電気工学 基礎実験2 D2 プログラミング1 D2 プログラミング1 E1 電気創造演習2 E1 電気創造演習2 J1 プログラミング 基礎 J3 OSSリテラシ3 J1 プログラミング C1 基礎 情報処理演習1 16 16 18 20 14 18 18 14 16 14 14 10 16 10 14 14 14 ※第 3 技術班は測量実習 3 を夏期に集中講義 - 12 - 委員会報告 2.2 製作依頼 ・・・ 依頼件数 98 件、支援時間 534 時間 今年度の製作依頼件数および支援時間の集計結果は上記のとおりとなった。 依頼の分類とその割合についての集計結果は研究関係(卒業研究・教員研究)が 69 件、学生活 動関係が 10 件、学内のシステムや学校事業関係が 8 件、その他(工作教室や授業関係等)が 11 件となった(図-1 参照) 。 総支援時間については、昨年度の 349 時間から 534 時間とかなり多くなった。これは「オープ ンキャンパスの WEB 申込みシステムの開発」や「学校開放事業の WEB 参加申込システム」等の WEB アプリケーション開発依頼が増加しており、それにかかる時間が多かった為である。 「コンテスト関係の製作依頼」についてはここ数年減少傾向にあるが、緊急時や複雑な形状で はない限り学生自身が作成するよう促し、機械操作指導の技術支援に移行しているため、減少し ていると思われる。 この他にも、学生が授業で利用する試料製作や、学校開放事業やオープンキャンパスに関する もの、学内環境の整備といった様々な依頼に対応した。 2.3 技術支援 ・・・ 支援件数 97 件、支援時間数 391 時間 今年度の技術支援件数および支援時間の集計結果は上記のとおりとなっており、支援件数は昨 年度(91 件)とほぼ同等であった。これは前述したとおり、従来製作依頼で対応していた件を、学 生自身に作らせるように技術支援へと移行した結果、以前に比べて増加傾向にあると思われる。 依頼の分類とその割合についての集計結果は、 図-4 のとおりとなっており、 「研究」 が 60 件 (62%) 、 「学生活動」が 29 件(30%)で多数を占めた。 「卒業研究」 「課外活動」では、学生へのレーザー加工機や NC 旋盤、曲げ加工機等の工作機械 に関する操作指導依頼が多く、近年導入・更新された工作機器の必要性が表れている。 班別依頼件数で見ると、全体の 90%近くが第 1 技術班の対応であるが、機械操作指導以外の依 頼(地域貢献・各種イベント・学内整備等)に関しては、各班ほぼ均等に依頼が来ている。 製作依頼、技術支援どちらについても、昨年度同様、学科だけでなく事務部や各委員会など様々 な依頼が申し込まれた。依頼の申込みが WEB 化されて、通常運用時はスムーズな対応が出来てい るが、システムのトラブルが発生した際に対応できる人材が少なく、復旧が遅れることがあるので 今後、対応を検討する必要がある。また各依頼の集計方法についても簡略化できるようにシステム の開発者と協議して進めていく必要がある。 - 13 - 委員会報告 図-1 製作依頼(分類別) 図-2 製作依頼(担当班別) 図-3 製作依頼作業時間(H22~26) 図-5 技術支援(担当班別) 図-4 技術支援(分類別) 図-6 技術支援依頼件数(H22~26) - 14 - 委員会報告 3. アンケート 各支援の依頼者に対しアンケート調査を実施した。例年通り教育支援は前期・後期の日程終了後 に、製作依頼は納品後、 技術支援は対応後にそれぞれ行った。調査内容についても昨年度と同様で、 支援内容に対して 5 段階での評価と、支援への取り組みなどについての意見を尋ねた。 アンケートの結果は以下のとおりである。 【教育支援】 回答数は 56 件で、そのうち「大変良い」が 49 件(87%) の結果が得られた。 それ以外の回答として「良い」5 件(9%)、 「普通」2 件(4%) の評価があった。 「質問に答えるだけで無く,正しく測定でき ているか確認作業もお願いしたい」等の意見もあるが、全体 的には高評価であった。 意見やコメントでは、授業中における学生指導へのお礼や 適切な対応への評価の他、機材等の事前準備等についてのお 礼がほとんどであった。 図-7 教育支援アンケート結果 【製作依頼】 アンケート回答数は 71 件で、昨年度の回収率とほぼ同等で あった。 アンケートの結果としては「非常に良い」が 61 件(86%)、 「良い」が 10 件(14%) 、であり、意見やコメントは、全て急 な依頼に対応したことに対するお礼等の謝辞であった。 未回収の中には、年度内に製作が終わらない依頼もあった。 図-8 製作依頼アンケート結果 【技術支援】 回答数は 46 件で、うち 45 件が「非常に良い」で、1 件が「良い」であった。昨年度に比べてこ まめにアンケートを回収するよう担当者が努力したおかげで、回収率は上がったが、まだ半分程度 の回答であるため今後も引き続き、回収率を向上させることが目標となる。 - 15 - 委員会報告 研修委員会 研修委員会:岡田 康(研修委員長) 、奥原 真哉、三反田 裕太 報告者:岡田 康 1.はじめに 今年度の研修委員会は、職員の能力および資質の向上を目的として、技術職員対象の研修会開催、 科学研究費補助金申請の取りまとめ、外部機関における講習会の紹介を主な活動とした。 2.活動内容と評価 2.1 実践教育支援センター職員研修会の開催 今年度の研修内容については、委員会での協議により、「講話」 、「演習」、「施設見学」を取り 入れた。 開催日程については例年 2 日間としているが、今年度は中国・四国大学法人等技術職員研修の 開催や、50 周年記念事業の実施に関する業務などの理由で、日程調整が難しく 1 日間の実施と した。 研修会開催について文教速報に投稿した。 第 13 回 1.目 的 松江工業高等専門学校 実践教育支援センター職員研修会 実施要領 実践教育支援センター職員の能力・資質の向上を図ることにより、教育研究支援業務 の充実・発展を目指すことを目的とする。 2.主 催 実践教育支援センター 3.会 期 平成 26 年 9 月 2 日 4.会 場 会議室 (1 棟 2 階) ほか 5.受講者 実践教育支援センター職員 および 来賓、希望者 6. 内 容 時 間 9:00 ~ 9:15 題 目 開講式 内 センター長挨拶 演 9:30 ~ 10:30 講話 容 田邊 喜一 教授 題: 外部資金獲得奮戦記 ? - 科研費&研究助成財団の申請について - 講演者: 田邊 喜一 教授 10:30 ~ 12:00 演習 13:15 ~ 16:30 施設見学 16:30 ~ 閉講式 内 容: 英語を用いた演習 講 師: ヒガ・マーシャル 講師 見学先: 島根原子力発電所 技術長挨拶 - 16 - 川見 昌春 技術長 委員会報告 ○講話 科研費をはじめとする外部資金獲得のための申請書類作成の要点や意識の向上を目的として、 センター長に講演を依頼した。 平成 25 年度奨励研究の採択率が 18.4%との結果から、採択には厳しい状況が明らかになった。 奨励研究以外の研究種目へ技術職員が申請するには、e-Rad に研究者登録を行う必要があり、現 在いくつかの高専でこれを認可しているとのことであった。松江高専では、本人の要望を受け、 学内審議での了承が条件となっている。 このほかに、科研費の申請書類作成時の要点等について、ご自身の経験と申請のための参考書 の内容を交えながらご説明をいただいた。さらに、科研費以外の財団関係が公募している外部資 金についての紹介もあった。採択には、関連研究の動向を普段から注目していることも重要だと のお話を伺うことができた。 申請書類作成時には、今回の講演内容を各自が参考にすることが重要であると思われる。 ○演習 留学生に対する支援体制の強化を目的に、英語演習を実施した。講師は、本校人文科学科のヒ ガ・マーシャル先生にご担当いただいた。 演習では、各自が英語による自己紹介文や、機器等の使用法の説明文を作成し発表した。また、 英語によるプレゼンテーションのビデオ視聴では、英語による説明と日本語字幕の後、字幕を英 語にしたものを再度視聴した。 演習をとおし、英語の「書く」 、 「聞く」、 「読む」について取り組むだけでなく、英語を学習す る際の要点をお教えいただいた。普段なじみのない言語を用いることから実施について不安な 部分もあったが、ヒガ先生のご指導により楽しく演習に取り組むことができた。 演習をとおし、英語力の向上だけでなく、教育支援などで学生が楽しみながら授業に取り組む ための参考になった。 ○施設見学 近隣にある原子力発電所である「島根原子力発電所」を訪問。事務部長ら希望者 3 名も同行し た。 はじめに、原子力発電所の概要や現状についてご説明をいただき、発電所における災害および 事故への対策などに関する説明を受けた。館内での説明後は、普段は立ち入りが禁止されている 発電所構内にもご案内いただいた。 構内では、敷地内の浸水防止用の壁や建物の出入り口の構造が厳重になっていただけでなく、 消防車が十数台常備してあった。また、発電所の運転シミュレータを用いた訓練の様子を見学す ることもできた。 今後も安全対策を強化していく予定であり、対策について重視している印象を受けた。 島根原子力発電所の皆様には、ご説明いただきましたほか、見学ための借用バスをご用意いた だきました。この場をお借りいたしまして、厚くお礼申し上げます。 - 17 - 委員会報告 2.2 実験指導書の印刷・製本・販売 学生が実験や演習で使用する実験指導書の印刷・製本といった作成作業から、学生および教員 への販売までのまとめを行った。 2 月中に全学科に対し作成・販売についての希望調査を行い、原稿提出期限を 2 月末として、 各担当教員に依頼した。印刷・製本作業については年度末の 2 日間程度でセンター技術職員が協 力して行っており、発行部数は例年と同等の約 600 部であった。依頼の申し込みを行った学科 は、電気工学科、情報工学科、環境・建設工学科の 3 学科であった。科目については例年同様の 各学科の工学実験および全学科 1 年生対象の基礎情報処理であり、計 8 種類の冊子を作成した。 このうち 5 種類は通年使用であり、100 ページを超えるものであった。 販売については、授業開始前日の教科書販売当日に、業者と同様に販売会場にブースを設け、セ ンター技術職員が学生に直接販売している。代金の管理については、総務課財務係にご協力いた だき、購入者に領収書を発行している。 学生が指導書を事前に準備することで、授業時間を有効活用できるだけでなく、学生が事前に 内容を確認できることから、円滑な実験・実習等の展開を可能にしている。 販売日での未購入者については後日個別販売しているが、当日に対象者全員が購入するよう 学生への周知を徹底する必要がある。 2.3 科学研究費補助金(奨励研究)の申請 平成 26 年度奨励研究について、センター全技術職員で 13 件を申請した。 結果は採択 1 件で、近年の奨励研究全体での申請件数増加が影響しているためか、松江高専にお ける採択件数は減少傾向にある。 申請時の流れとして、研修委員会で申請書類の内容を確認後に総務課企画係での再確認を受 けることで、完成度が高まるようにしている。さらに、今回からは確認作業の効率化のため、公 募要領から注意点等を抽出したチェックシートを作成し、各自が書類作成の前後に内容を確認 することにした。 また、科研申請書類の大幅な変更は近年なく、募集開始は例年 10 月となっていることから、 各自が計画的に準備していく必要があると思われる。 2.4 外部講習会等の紹介 関西職業能力開発促進センターで実施している技術訓練や、大学の技術職員が主催している 講座を紹介したが、今年度は予算の制約だけでなく、技術研究会や新機器導入に伴う講習に参加 したことで、受講者はなかった。 講習会の受講の効果として、技術力等の向上が見込まれるだけでなく、教育支援業務を行う技 術職員が教わる側に立場を変えることにより、自らの教育支援業務への取り組み方などについ て再確認できる貴重な機会だと思われるため、今後も引き続き受講を推進する必要がある。 また、職業能力開発促進センターにおける講習内容から、現在の社会におけるニーズを把握す ることは、実験テーマ等の提案などの際に有効だと思われる。 - 18 - 委員会報告 評価委員会 委員会:池田 総一郎(評価委員長)、表 真也、小吹 健志、福島 志斗 報告者:池田 総一郎 1.はじめに 今年度の評価委員会は、前年度から引き続き池田が委員長を担当することとなり、10 月から新し く表が加わった。評価委員会の業務としては、実践教育支援センター会議の運営、実践教育支援セン ター事業報告集の発行、共通経費の管理、緊急連絡網の管理、実践教育支援センターホームページの 管理等がある。 それぞれの業務分担としては、センター会議開催日程の取りまとめ、緊急連絡網管理、センターホ ームページ管理を池田が担当し、議事録作成を小吹、福島が担当、共通経費管理を福島が担当、親睦 会会計を小吹が担当した。 2.活動内容 (1)実践教育支援センター事業報告集の発行 平成 13 年度に創刊された実践教育支援センター事業報告集の発行を今年度も行い、これで第 13 号 目となる。編集・発行作業は前年度の評価委員会の構成員(池田、泉、奥原、川見)が引き続いて行っ た。センター員の協力もあり、スムーズに編集作業を進めることができた。 発行部数は 140 部とし、松江高専の各学科・各部署、そして全国の国立高専等に配布した。平成 25 年度は発行が 7 月となり、平成 25 年度と同じ時期に発行することができた。 (2)実践教育支援センター会議の運営 例年通り月 1 回を目処に、実践教育支援センター内の連絡、意思の疎通、意見交換を図るための会 議を行った。司会は技術長を除くセンター員で、順にローテーションで行った。開催時期は月末に学 科長・センター長会議の報告があるため、月初めに行うこととした。 評価委員会で議事録を作成し、会議欠席者等が協議内容の確認を行えるように、会議終了後早期に センター員全員にメールで添付して送信するようにした。今年度は配布資料も PDF にし、より閲覧 しやすくなるように工夫をした。議事録の抜粋を報告集資料集に載せている。 (3)共通経費管理 センター員に配分されている個人研究費の管理を行った。研究費は本来個人で管理するものだが、 研究費の中から報告集用と、研究費の重点配分用、センターの共通経費用として一部を集めているた め、それらを含めて管理を行った。 研究費の重点配分とは、個人が研究を行う上で、配分された研究費以上の費用がかかる場合、その 個人に対して研究費を増額して配分する制度のことである。そのために研究計画調書を提出して審 査を行うことにしており、今年度は研究申請のあった安食と新人の表に重点配分を行った。 - 19 - 委員会報告 (4)人事記録提出の連絡 人事記録は技術長がセンター員の業務実績等を把握するために必要なものである。その人事記録 については、評価委員会では管理を行わず、年度当初に更新の案内をするのみとして、技術長(必要 であればセンター長)が管理を行う事としている。 (5)ホームページの管理 実践教育支援センターホームページにはお知らせ、支援依頼の申込み、各委員会の活動内容、スタ ッフ紹介、報告集、共通工学実験室の時間割、学校開放事業について掲載している。今年度は例年通 りの定期更新が多かったので、次年度以降は内容を含めて再度検討を行う必要がある。 (6)緊急連絡網の管理 緊急連絡網は例年通り、4 月に更新し、変更があれば随時更新することとした。10 月にセンター員 の変更があったため更新し、今年度は 2 度の更新となった。 (7)アニュアルレポートの原稿 松江高専が発行するアニュアルレポートに関しては、センターのページについては技術長に執筆 を依頼した。個人の研究業績は各自で記入するよう依頼した。 (8)親睦会の経費管理 評価委員会で親睦会の経費を管理し、定期的に懇親会等を開催している。今年度は 5 月の定例会、 9 月の職員研修会懇親会、10 月の歓迎会、11 月の永年勤続祝賀会の計 4 回開催した。 3.まとめ 今年度は評価委員会の構成員が変更となったが、経験がある人が多く、概ねスムーズに業務を行う ことができた。今年度からは、月末に技術長に各委員会の活動内容をまとめた報告書を提出するよう になったので、どのような業務を行っているかを把握することができるようになり、有効に機能して いると考えている。 毎年、同じように委員会としての業務を行っていると、業務をこなすことに終始してしまい、新し い提案や改善をすることができなくなることが多いと感じるので、次年度以降はその点について検 討を行いたい。 - 20 - 各班からの年間報告 第1技術班 報告者:内村 和弘 1. はじめに ① 今年度は松江高専 50 周年記念事業、中国・四国地区大学法人等技術職員研修の島根大学 との共催と大きな事業が 2 件あり、50 周年記念事業では記念品、銘板の作成、研修におい ては技術実習の 1 テーマを担当した。 ② 通常業務においては事故防止を重点的に行った。ヒヤリハットや機器の故障や不具合等の 詳細な記録や報告を強化し書式やシステムの変更を行った。 ③ その他の業務としては地域貢献では社会人人材育成事業、共同研究、技術相談、学校開放 事業等への積極的な対応、参加等があった。 ④ スキルアップとしての活動においては、個々で企業の主催する講習会、講演会等に参加、展 示会等での資料収集を行った。また技能検定等への挑戦等を行っている。 2. 教育支援 ① 主に機械工学科、電子制御工学科の工作実習、創造性教育に関する授業の支援を行った。 その他 CAD や CADCAM、計測系の実験の支援を行った。特に工作系の実習においては要 支援者に関して報告、連絡を行い大きな問題はなかった。 3. 技術支援、製作依頼 ① 共に支援業務全体の約 8 割を担当した。主に卒業研究、教員研究等であり、その他課外活 動、地域貢献等に対応した。 4. 地域貢献 ① 学校開放事業においては 2 件の事業を第 1 技術班が主体となって行った。社会人人材育成 は 4 件の講師、運営に参加した。その他企業、教員との共同研究を本多技術専門職員、小 吹技術職員がそれぞれ 1 件行った。 5. 創立 50 周年記念事業 ① 記念品、寄付者の銘板の架台製作を担当し、設計や加工法、段取り等を行った。アクリル製 キーホルダ 1,500 個、ステンレス製キーホルダ 500 個の製作を行った。詳細はトピックスにて 報告する。 6. 中国・四国地区国立大学法人等技術職員研修 ① 電気電子実習Ⅱを担当し、3D-CAD、3D プリンタに関する教材開発、講師を行った。 - 21 - 各班からの年間報告 7. 安全対策 ① 24 年度の実績、25 年度前半の事故実績より、対策を検討した。より詳細を把握することと、 学生への意識付けを目的として、事故や怪我等に対して報告書を提出することとした。件数 的には大きく変化はなかったが今後の事故防止としての資料として活用したい。 8. 実習工場利用状況 ① 学生の実習工場、複合加工実験室における実験実習以外の利用については、実習工場が 1,434 時間、複合加工実験室が 374.7 時間に増加した。件数についても同様に増加した。割 合は昨年度同様であるため、全体的に利用率が上がっている。また例年では利用率の低い 8 月、9 月、3 月の休業中の利用が高かった。 ② 実習工場利用については以下の通り。 利用時間総計1,434時間 (実験実習以外) 250 227 200 137.5 140 150 100 97 112 86 138.5 135 112 106 73 70 50 0 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 図-1 利用時間総計 図-2 項目別時間割合 図-3 項目別件数割合 - 22 - 各班からの年間報告 2000 1809 1800 1600 1400 1200 1000 1059.7 856.5 772 800 528 600 720 646 400 200 285 283 260 311 245 0 22年度 23年度 24年度 25年度 時間 件数 26年度 図-4 実習工場・複合加工実験室利用状況の推移 9. 主な NC 工作機械の利用状況 25 年度と比べ件数 43 件、時間数約 319 時間増加した(3D プリンタ含めず)。昨年度導入し た複合旋盤の利用やマシニングによる複雑な加工依頼、共同研究等によるものが増加となっ た。内訳については授業、実験実習、卒業研究等での利用、ロボコン、レスコン、エコラン、 ロボカップなどの課外活動、人材育成事業、出前授業などの教材作成、学校開放事業等での利 用であった。 主な NC 工作機械についての利用状況は以下の通り。 件数456件 時間数1995.15時間 レーザー加工機 620 232 ワイヤ放電加工機 246.8 59 5軸複合加工旋盤 111 28 CNC旋盤 245 83 5軸マシニング 772.35 54 3Dプリンタ(2機種) 641.1 95 0 100 200 時間 300 400 500 件数 図-5 主な NC 加工機の利用状況 - 23 - 600 700 800 900 各班からの年間報告 第 2 技術班 報告者:川見 昌春 1. はじめに 平成 26 年度の各種支援について、教育支援は電気工学科、電子制御工学科、情報工学科など電 気系実験実習、および各学科のプログラミング演習等を中心に展開し、受け持ち授業数は、前後期 ともに週 14~16 時間となっている。また、技術支援、製作依頼(学外との共同研究や試作品の依 頼等を含む)については、件数は例年並みであるが依頼内容が高度化し、一部の職員に負荷が偏る 状況となっている。 2. 共同利用実験機器について 第 2 技術班で管理する共同利用実験機器のうち、利用件数の多い以下の 3 機種について、目的別 利用状況を報告する。切削式基板加工機については、電気工学科・電子制御工学科の創造演習科目 等において学生が直接使用することもあり、授業・学生研究・課外活動の割合が多い。また、レー ザー基板加工機・彫刻切断機は、レーザーを使用することから原則として技術職員のみが操作を行 うが、こちらは地域貢献・教職員研究・外部依頼が多くなっている。学校開放事業で使用する基板、 ケース等のアクリル加工でも多く利用されている。 図-1 切削式基板加工機 LPKF ProtoMatS43(4 台) 図-2 レーザー基板加工機 LPKF ProtoLaserU3 図-3 レーザー彫刻切断機 Trotec Speedy400 3.学校開放事業 学校開放事業については、夏季 2 件、冬季 1 件を実施した。今回は女子児童・生徒が受講しやす い内容を考慮して以下のテーマとした。 ・ 7 月 24 日(木)チャレンジ!電子工作 1 アクリル行灯を作ろう! ・ 8 月 8 日(金)チャレンジ!電子工作 2 カラフルメロディシンセサイザーを作ろう! ・12 月 23 日(火)チャレンジ!電子工作 3 タッチで電子ピアノを作ろう! いずれも市販のキットを使わず、オリジナルな電子回路とケース等を設計・制作しており、どの 講座も定員に対する申込みが大幅に超過する状況となった。年々予算が削減されている状況では あるが、今後も「松江オリジナル」を意識したテーマを検討しながら開催していきたいと思う。 - 24 - 各班からの年間報告 第 3 技術班 報告者:内村 和弘 1.はじめに 昨年度末に福田技術長(第 3 技術班主査併任)の定年退職から再雇用職員となり、第 1 技術 班、第 3 技術班主査を併任することとなった。班員は内村、安食、福田の 3 名でのスタートとな った。業務が大きく異なるため、連絡会を週一回に加え連絡を取りながら業務を進めることとし た。各支援に対しては人数に変更はないため例年通りの業務、支援活動を行うことができた。 10 月より表技術専門職員が採用され、4 名構成となった。表技術専門職員は企業経験や他機関 での経験があり研究業績も豊富な人材である。今後のセンター運営や学生支援に期待したい。 2.教育支援 昨年と同様の支援を行った。担当も昨年と同様の支援を行った。後期からは表技術専門職員が 加わり福田再雇用技術職員と共に支援に当たった。 福田、表:環境セミナー、創造演習、測量実習、環境・建設工学実験(土質、水理、構造) 安食:環境セミナー、創造演習、測量実習、環境・建設工学実験(材料、衛生) 3. 技術支援 卒業研究等の実験、校内の測量、研究への支援を行った(5 件)。安食技術職員が共同研究を 行い環境測定にあたった。 4.地域貢献 出張授業 2 件、外部依頼 2 件、学校開放事業 2 件を行った。 出張授業、外部依頼においては、測量、CAD、画像編集等の技術を活かし田んぼアートの支援 ようかん を松江市忌部地区、出雲市遥堪地区で行い、松江観光協会企画による水燈路における行灯による 文字の表現について 2 件の支援を行った。何れも高い精度でポイントを設置することができ好 評であった。 学校開放事業においては夏季に 1 件、冬季に 1 件の計 2 件実施した。 - 25 - 地域貢献・学生支援 ◎ 一覧表 ■ 外部資金受入状況一覧 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27 ■ 技術相談一覧 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27 ■ 工作教室一覧 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27 ■ 公開講座実施状況一覧 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 28 ◎ 工作教室報告 ■ 青銅鏡を作ろう!寒い冬に、あつ~い作業はいかが? ・・・・・・・・ 29 ■ チャレンジ!電子工作 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30 ■ 巨大まつぼっくりでツリーを作ろう! ・・・・・・・・・・・・・・・・ 32 ■ 「うんなん元気っ子わくわく教室(科学のひろば)」 ・・・・・・・・ 33 ■ 測量技術を活用した古代米田んぼアートによる地域貢献活動 ・・・・ 34 ◎ 人材育成 ■ 平成 26 年度 高専機構 IT 人材育成研修会 ~コース 1 LDAP~ ・・・・ 35 ◎ その他 ■ エコラン活動報告 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 36 - 26 - 工作教室報告 外部資金受入状況一覧 共同研究 資金名 出資者 ケーブル捌の機構開発、性能評価 受入金額 環境システム株式会社 330,000 円 受入者 長澤潔(電子制御工学科) 久間英樹(電子制御工学科) 本多将和 同時五軸加工時の工具負荷低減について 株式会社山本金属製作所 120,000 円 高見昭康(機械工学科)、小吹健志 自社 EDLC を活用した照明灯回路設計 株式会社佐藤工務所 120,000 円 福島志斗 技術相談一覧 件名 相談者 対応者 昆虫標本のモデル化 三瓶自然館サヒメル 内村和弘、福島志斗 来待石灯ろう検査基準のデータベース化 来待石灯ろう協同組合 川見昌春 ケーブル捌の機構開発、性能評価 環境システム株式会社 長澤潔(電子制御工学科) 久間英樹(電子制御工学科) 本多将和 勾玉の 3D スキャン及び 3D プリントについて 株式会社しんぐう 本多将和 勾玉の 3D スキャン及びお菓子の型製作について 株式会社しんぐう 本多将和 工作教室 学校開放事業(夏の工作教室) 講座名 開催日 担当者 アクリル行灯をつくろう! 平成 26 年 7 月 24 日 三反田裕太、泉大樹 キレイな音色の Wind-bell をつくろう! 平成 26 年 7 月 25 日 奥原真哉 パスタで橋を作ろう!! 平成 26 年 7 月 29 日 安食正太 先端加工技術でオリジナル LED ライトをつくろう 平成 26 年 8 月 7 日 内村和弘 カラフルメロディシンセサイザーを作ろう! 平成 26 年 8 月 8 日 池田総一郎 学校開放事業(冬の工作教室) 講座名 開催日 担当者 青銅鏡を作ろう!-寒い冬に、あつ~い作業はいかが?- 平成 26 年 12 月 21 日 小吹健志 タッチで電子ピアノを作ろう! 平成 26 年 12 月 23 日 福島志斗 巨大まつぼっくりでツリーを作ろう! 平成 26 年 12 月 23 日 安食正太 出張講座 内容 年間全 12 件開催 開催日 開催地 毎月 1 回 詳細は報告資料に記載 - 27 - 担当者 雲南市 池田総一郎、奥原真哉、福島志斗 三刀屋町文化体育館 三反田裕太、安食正太、小吹健志 一覧表 出張講座 内容 開催日 開催地 担当者 田んぼアートでしまねっこを描こう 平成 26 年 5 月 1 日~10 月 31 日 出雲市遥堪 安食正太、福田恭司 神在月・松江水燈路「LED 製作教室」 平成 26 年 7 月 26 日 松江国際交流館 内村和弘 平成 26 年 7 月 31 日 松江第一中学校 福島志斗 人材育成講座実施状況一覧 講座名 平成 26 年度 IT 人材育成研修会 共同開催団体 高専機構 開催時期 講師 平成 26 年 9 月 8 日 コース 1-LDAP 9日 金山典世(情報工学科) 原元司(情報工学科) 広瀬誠(情報工学科) 稲葉洋(情報工学科) 川見昌春 池田総一郎 岡田康 平成 26 年度実践型地域雇用創造事業 たたらの里山再生雇用創造 ものづくり産業の担い手養成講座 推進協議会 平成 26 年 10 月 17 日 2 月 20 日 21 日 久間英樹(電子制御工学科) 高見昭康(機械工学科) 幸田憲明(電子制御工学科) 青代敏行(電子制御工学科) 本多将和 小吹健志 奥原真哉 平成 26 年度 3D-CAD 講座 (公財)しまね産業振興財団 平成 26 年 6 月 20 日 21 日 7月4日 幸田憲明(電子制御工学科) 高見昭康(機械工学科) 内村和弘 5日 平成 26 年度 3D-CAD 講座 (公財)しまね産業振興財団 (島根県立東部高等技術校会場) 平成 26 年 11 月 14 日 幸田憲明(電子制御工学科) 11 月 25 日 高見昭康(機械工学科) 11 月 28 日 内村和弘 11 月 29 日 平成 26 年度県内企業ニーズ人材育成講 座 (公財)しまね産業振興財団 平成 26 年 6 月 28 日 メカトロニクス入門講座「電子回路 幸田憲明(電子制御工学科) 内村和弘 の考え方入門講座」 平成 26 年度県内企業ニーズ人材育成講 座 (公財)しまね産業振興財団 メカトロニクス基礎講座「電子回路 の基本知識講座」 平成 26 年 12 月 5 日 幸田憲明(電子制御工学科) 6日 青代敏行(電子制御工学科) 内村和弘 - 28 - 工作教室報告 青銅鏡を作ろう! 寒い冬に、あつ~い作業はいかが? 報告者 : 小吹 健志 実施期間:平成 26 年 12 月 21 日 9:00 ~ 16:00 実施場所:松江高専 実習工場 担 当 者:内村 和弘、本多 将和、奥原 真哉、小吹 健志、山本 誠司、宮田 保、鴨井 八郎 対 象:小学校 4 年生~中学校 3 年生 参加人数:9 名 昨年度に続いて「青銅鏡作り」を実施した。時間内での作業完了とならなかった昨年の反省を活か し、今年度は全員が時間内に作業終了出来るよう時間配分を変更して実施した。参加者は全員が積極 的に取組んでいた。機械系技術職員全員がマンツーマンで指導に当ったため、参加者とのコミュニケ ーションがとり易く、多くの雑談も交わされていた。 結果、全員が作業完了でき、アンケート結果も全員が「とても楽しかった」と高評価を得ることが 出来た。 写真-1 木型のデザインと彫刻 写真-4 研磨(荒)作業 写真-2 2 人 1 組で砂型製作 写真-3 鋳込みは技術職員で実施 写真-5 仕上げ磨き - 29 - 写真-6 完成品 工作教室報告 チャレンジ!電子工作 報告者:三反田 裕太、池田 総一郎、福島 志斗 実施期間:(1)アクリル行灯を作ろう! 7 月 24 日(木) 9:00~12:00 (2)カラフルメロディシンセサイザーを作ろう! 8 月 8 日(金) 9:00~12:00 12 月 23 日(火) 9:00~12:00 (3)タッチで電子ピアノを作ろう! 実施場所:松江高専 共通工学実験室 3 担 当 者:川見 昌春、池田 総一郎、岡田 康、泉 大樹、福島 志斗、三反田 裕太、須山 郁夫 対 象:小学校 3 年生~中学生 参加人数:22 名(7/24) 、22 名(8/8) 、21 名(12/23) ○事業内容 今年度も新規にテーマを企画し、夏季に 2 回、冬季に 1 回、工作教室を開催した。内容は、⁽¹⁾LED で明かりを灯す行灯、⁽²⁾色のついたものにかざすと、LED がかざした色に合わせて光って音が鳴 るシンセサイザー、⁽³⁾鍵盤にタッチセンサを用いた電子ピアノの 3 テーマである。 各回とも、はじめに工作時の注意事項と、組み立てで使用する工具の使い方を説明し、そのあと 練習用基板を利用したハンダづけ練習を行い、参加者に工具に慣れてもらってから、各テーマの製 作を行った。 ○アクリル行灯を作ろう! LED を点灯させ、明かりを灯す行灯を製作した。電源は USB 給電方 式を用いており、パソコンなどにつないで使うこともできる。手動で の明るさ調整と自動で揺らぐ機能を切替えることができ、揺らぎ機能 はろうそくの火のゆらめきを、LED の明るさを変えることで模してい る。ケースには動物のイラストを彫刻し、マーカーで塗りつぶすと、そ の部分が影になって浮かび上がる構造になっている。 製作中は、同伴の保護者や兄弟・姉妹と協力しつつ、楽しみながら作 っている様子であった。最終的には参加者全員が作品を完成させ、ア ンケートでは「難しかったけど楽しかった」という意見が多く寄せら 写真-1 アクリル行灯 れた。 ○カラフルメロディシンセサイザーを作ろう! カラーセンサで色を読み取って、それに応じた音が鳴る楽器を設計・製作した。2 オクターブの 音階が鳴るようになっており、14 色の色を判別することができる。フルカラーLED で、読み取った 色と同じ色で光るようにし、音だけでなく視覚的にも楽しめる楽器にすることができた。 本番の工作では光源用 LED にバラつきがあり、センサの返す値が変わってしまうといったトラ - 30 - 工作教室報告 ブルが生じたが、全員が完成させることができた。量産することで初 めて分かることもあるので、今後は注意が必要だと考えている。 参加者の感想としては小学生が多かったためか、ハンダづけが難し く感じたようである。身近にはないものを自分達で作ることで、「ど んなものができるかわくわくした」といった意見もあり、楽しんで工 作をすることができたようである。 写真-2 カラフルメロディ シンセサイザー ○タッチで電子ピアノを作ろう! 現在のタブレット端末やスマートフォンなどに使用さている静 電容量方式のタッチセンサをスイッチとして用いた電子ピアノの 教材を開発し、工作教室での製作を行った。 タッチセンサは、PIC マイコンに内蔵されている「充電時間測定 ユニット」を使用し、電子回路基板に配置したタッチスイッチ用の パターン周辺の寄生容量が触れることにより減少することを検出 してスイッチとしている。この際に、配線パターンを直接触れるこ 写真-3 タッチで電子ピアノ とを避けるため、基板との接触面の間にアクリル板を挟む構造としている。 また、ピアノの音はシンプルな回路で可能な限りピアノの音に近づけるため、PIC マイコンに内 蔵されている「D/A コンバータ」を使用し、正弦波に近い信号を作ると同時に、 「D/A コンバータ」 の基準電圧を CR の放電を用いて変化させることで、減衰振動する信号を作成している。 電子工作教室では、マイコンの機能を活用したため、使用した電子部品は 20 個程度と少なく、 比較的短い時間でハンダ付け作業が終わり、電子ピアノの組立て作業に移ることができた。しかし、 タッチセンサ部分にアクリル板を使用して絶縁したため、基板にあるセンサのパターンとの隙間が 広く、基板の状態により個体差が大きく閾値の調整に時間を要することとなった。この問題につい ては、絶縁する方法を変えることで改善が可能と考えている。 工作教室の参加者は、初めは不慣れなハンダ付けで難しさを感じてはいるが、作業を重ねるうち に楽しくなり教材を完成させる頃には、また参加したいという感想が多かった。 ○まとめ 今年度の工作教室も、若干調整に時間を割くことがあったが、3 回の講座とも無事に終了するこ とができた。参加した子ども達は、電子工作が初めてで、参加可能としている学年の中で最年少で ある小学 3 年生の参加者も多かった。 そのため、工具や部品の扱い方の指導には十分注意しながら、 安全を第一に考えて講座の運営に取り組んだ。 また今年度は、H25 年度末に導入したレーザー基板加工機やレーザー彫刻切断機を活用して、ハ ンダづけのしやすい基板や、ケース、カバーの作製にも工夫を凝らすことを試みた。その結果、以 前は外注していた基板のコスト削減や、加工方法のノウハウの蓄積、開発期間の短縮にも繋がった。 次年度以降も安全に十分注意し、講座のスムーズな運営を心がけ、参加者のニーズを取り入れな がら新規の教材を開発することで、小学生および中学生に対して科学技術への興味関心を育んでい きたい。 - 31 - 工作教室報告 巨大まつぼっくりでツリーを作ろう! 報告者:内村和弘、表 真也、安食正太、福田恭司 実施期間:平成 26 年 12 月 23 日 9:30 ~ 11:30 実施場所:松江工業高等専門学校 共通工学実験室 2 担 当 者:内村和弘、表 真也、安食正太、福田恭司 対 象:小学校 4 年生~中学生 参加人数:5 名 第 3 技術班を中心として、『巨大まつぼっくりでツリーを作ろ う!』をテーマに、学校開放事業(冬の工作教室)を実施した。松 江高専の敷地内にある大王松のまつぼっくりは、通常のものより約 3 倍の 15cm 程度の大きさをもつ(写真 1) 。工作教室の開催日がク リスマス前であることから、この巨大まつぼっくりを利用したオリ ジナルまつぼっくりクリスマスツリーを作ることにより、物を作る 楽しさを感じてもらうことを目的として行った。 参加者はトップスターの LED ライトを光らせるための電子工作 写真-1 巨大まつぼっくり と、ツリーを美しく装飾する工作作業を行った。トップスターにはアクリル板を星の形にレーザー加 工して用い、そこに LED ライトをはめ込み、美しく光らせることとした。参加者は、この LED を光 らせるために銅線の皮むき、はんだ付けといった電子工作作業を行った(写真 2) 。まつぼっくりに トップスターの取り付けを完了すると、参加者はツリーに綿、鈴、キャラクターシール、リボン等を 綺麗に装飾し、それぞれにオリジナルクリスマスツリーを完成させた(写真 3、写真 4) 。 工作教室に参加した子供達は、銅線の皮むきやはんだ付けを初めて行い、作業を苦戦しながらもト ップスターに綺麗な灯がつき、それぞれツリーを綺麗に装飾して作品を完成させた。参加者は達成感 を感じさせる表情を見せ、この経験が物づくりへの興味を引き立てるきっかけとなることを期待し ている。 写真-2 製作の様子 写真-3 参加者と作品 - 32 - 写真-4 作品 工作教室報告 「うんなん元気っ子わくわく教室(科学のひろば) 」 報告者:池田 総一郎 実施場所:雲南市三刀屋文化体育館アスパル(島根県雲南市三刀屋町古城 1 番地 1) 担 当 者:池田 総一郎、小吹 健志、福島 志斗、奥原 真哉、安食 正太、三反田 裕太 対 象:小学生・中学生 定 員:10 名 島根県雲南市の雲南市文化体育施設利用放課後子ども教室実行委員会から依頼を受けて、オリジ ナルの教材を用いた科学工作教室を月に 1 回を目処に開催した。この教室は、子どもたちが「楽し く・面白く」 「安心・安全に」 「いつでも・どこでも」参加できる魅力ある子ども教室として、充実し た内容を提供することとしている。この事業については、松江高専としては以前から地域貢献の活動 として実施している。開催日と講座の内容、担当者、参加者数を表 1 に示す。 この教室では、松江高専で作製したオリジナルの教材を使用して開催することとしており、すでに 4 年目となって、20 以上の教材を考案してきた。 参加している子どもたちは楽しんでいてくれているようで、この教室の知名度が高まっているこ とを実感しているが、参加者が集まらなく中止にした回もあったので、内容や日程についての更なる 検討が必要だと考えている。子どもたちに科学に興味を持ってもらい、知識を広めるためにも重要な 教室となっているので、今後もこのような活動を積極的に行う予定にしている。 写真-1 FM ラジオ 写真-2 Wind-bell 写真-3 ペーパーグライダー 表-1 科学工作教室の開催内容 開催日 内容 担当者 参加者数 4 月 26 日 デジタル FM ラジオ 福島・池田 1 5 月 24 日 つくろうキレイな音色の Wind-bell 小吹・奥原 2 6 月 21 日 液晶おんしつどけい 三反田 3 7 月 27 日 オリジナルネームプレートを作ろう! 奥原・小吹・池田 7 8 月 24 日 守れ!水風船!!~クッションボックスを作ってみよう~ 安食 1 10 月 19 日 自動ストップカーを作ろう 池田 4 11 月 30 日 カップウォーマー 三反田 8 12 月 21 日 回る!光る!アクリルツリー 福島・池田 10 小吹 3 福島・奥原 6 2 月 22 日 どれだけ飛ばせる??~ペーパーグライダーを作ろう!~ 3 月 15 日 春の風で発電!手作り風車 - 33 - 工作教室報告 測量技術を活用した古代米田んぼアートによる地域貢献活動 報告者:内村 和弘、表 真也、安食 正太、福田 恭司 1. 概要 実践教育支援センター・第 3 技術班では、地域住民と連携して自然と工学の体験学習や地域活性化 を図る目的とし、測量技術を活用して広大な田んぼをフィールドに古代米アート制作を行っている。 私たちの主な役割は、初めに田んぼに描くデザインを図面化する。そして、そのデザインを古代米に よって美しく表現するための基準となる境界やポイントを正確に測量し、田んぼに設置していくこ とを行っている。以下に今年度の実績を紹介する。 2. 実績紹介 2.1 松江市忌部地区の田んぼアート 松江市忌部地区では、地域住民と連携して毎年古代米アートを制作するプロジェクトに取り組ん でいる。これは、地域の子供たちや住民の体験学習を目的として、公民館、松江高専、その他団体に より実施している、今年度は地元松江市の観光キャラクター「あっぱれくん」をデザインして田んぼ アートを行った。忌部地区での田んぼアートは、展望位置を決め、田面までの高さと遠近による歪を 考慮してデザインが起き上がって見えるように制作している。上空から見ると伸びた様に見えるが (写真-1(a) ) 、決められた展望位置から田面を見下ろすとキャラクターが田面に起き上がったよう に見える(写真-1(b) ) 。きぬむすめと、稲穂や葉の色が異なる 5 種の古代米を用いてこのアートは 表現されている。 2.2 出雲市遙堪地区の田んぼアート 出雲市大社町遙堪地区での田んぼアートは、今年度初めて実施し、島根県の観光キャラクター「し まねっこ」をデザインとして制作を行った。この作品は遠近によるひずみの補正は考慮しておらず、 真上から見ると図面通りの絵に見える。細かい箇所が古代米で上手く表現できるか心配であったが、 空撮写真(写真-2)で確認できるように、クオリティの高い田んぼアート作品を作り上げることがで きた。遙堪地区でも田植えや稲刈りを近隣の幼稚園児や小学生に参加してもらい、自然に親しむ機会 となっている。 写真-1(a)忌部(空撮写真) 写真-1(b)忌部(展望位置からの写真) 写真-2 - 34 - 遙堪(空撮写真) 人材育成 平成 26 年度 高専機構 IT 人材育成研修会 ~コース 1 LDAP~ 報告者:池田 総一郎 実施期間:平成 26 年 9 月 8 日~9 日 9:00~17:30 実施場所:松江高専 情報処理実習室 担 当:金山 典世*、原 元司*、廣瀬 誠*、稲葉 洋*、川見 昌春、岡田 康、池田 総一郎 (*情報工学科) 対 象:西日本の高専教職員 参加人数:29 名 高専機構が主催する平成 26 年度 IT 人材育成研修会「コース 1 LDAP」を松江高専で 9 月 8 日から 9 日まで 2 日間に渡って開催した。今年度は西日本の高専の教職員を対象とした。来年度は東日本の 高専を対象とする予定である。 各高専の情報システム及び情報ネットワークは学校運営において非常に重要な役割を担っており、 また、情報システム等を支える人材の確保及び育成は重要な課題となっていることが開催の趣旨と なる。IT 人材育成研修会は無線 LAN 等の別の内容でも開催されているが、LDAP に関しては松江高 専が担当することとなった。松江高専が選ばれた理由としては、地域の IT 技術者を対象とした人材 育成講座を毎年開催しており、そこで培われた実績によるものである。LDAP とはユーザー情報を管 理するためのシステムであり、高専機構の認証システム(UnifIDone)でも採用されており、近年重要性 が高まってきている。 講座の内容は表 1 のようになっており、LDAP の入門、オープンソースソフトウェアの OpenLDA P の導入等の基礎的な内容から、LDAP の構造、アクセス制御や SSL 等の応用的な内容を含んだもの となっている。講座は実習形式とし、各自がノート PC で LDAP のサーバを構築して行った。 2 日間の講座は難易度の高いものであったが、受講者の反応も良く、好評であったと考える。来年 度は同様の内容で、東日本の高専の教職員を対象とした講座が開催される予定である。 表-1 講座内容 順番 内容 1 LDAP 入門 2 OpenLDAP の導入 3 LDAP データの操作 4 Apache と LDAP 5 LDAP スキーマ 6 LDAP のアクセス制御 7 slapd の LDIF 設定 8 LDAP プロクシサーバとレプリカサーバ 9 LDAP と SSL - 35 - その他 エコラン活動報告 報告者:本多 将和、小吹 健志、福島 志斗 本年度のエコラン活動は、機械工学科の学生 16 名、電子制御工学科の学生 1 名、電気工学科の学 生 1 名による計 18 名で活動を行った。機械工学科 4 年渡辺拓臣君を中心としたチームと、機械工学 科 3 年生の福間清祐君を中心にしたチームによる 2 台のマシンを設計・製作した。 4 年生チームは昨年度製作したマシンがほとんど走行できない完成度であったため、そのマシン の改良を中心に行い、3 年生チームは自分達で初めて 1 台のマシンを設計・製作する事に挑戦し た。両マシンともシャシや駆動系、操舵系の製作に多くの時間を要したため、FRP カウルの製作は 行わなかった。また電子制御系については、これまで全てを請け負っていた学生が卒業し、新たな 学生が担当したため、まずは基礎的な制御を学習することから始まった。 今年度出場した大会は 8 月 23 日(土)、24 日(日)に広島県運転免許センター開催された、スーパ ーマイレッジカーチャレンジ 2014 のみであったが、この大会に機械工学科生 10 名と電子制御工学 科生 1 名が参加した。 大会会場は 8 月 20 日に発生した広島土砂災害の現場が近く、当初は開催も危ぶまれたが、主催者 の意向により予定通り行われ、初日は参加者全員による黙祷から大会が開催された。 大会初日は雨が心配をされたが、天候は晴天となり、4 年生チームのマシンは特に大きなトラブ ルも無く走行し記録を残すことができた。3 年生チームのマシンは車検を通過したものの駆動系ト ラブルが発生し、その修理に 1 日を要してしまったため出走する事が出来なかった。大会 2 日目は 残念ながら天候に恵まれず雨となったが、昼過ぎからは晴天となり、3 年生のマシンも無事に完走 する事ができた。結果は上級生マシン 342.3km/ℓ、下級生マシン 127.4km/ℓ と自己記録更新には至ら ず無念の結果であった。 大会終了後、新しいチーム構成も検討され新年度に向けて活動を再開しはじめた 12 月、メンバー の中で最も意欲的に活動し、リーダー格の一人であり、将来を期待された学生(機械工学科 4 年 大 谷航貴君)が交通事故で亡くなった。彼の死は多くの人達に衝撃を与え、エコランメンバーもつら く悲しい時を過ごした。しかし、他のメンバー達は彼の為にもより一層力を入れて活動を続けてい くことを誓い、彼の意思を継いで新たに参加したメンバーと共に、来年度の自己記録更新を目指し て活動している。 写真-1 参加メンバーの集合写真 写真-2 - 36 - 4 年生チームが製作した車両 研究業績・出張報告・スタッフ紹介 ◎ 平成 26 年度論文・研究業績表一覧 ■ 平成 26 年度論文・研究業績一覧 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 38 ◎ 個人研究報告 土木技術体験型支援プログラム『地上絵』の提案【安食 正太】 たたら製鉄と日本刀から学ぶ熱処理について【山本 誠司】 ・・・・・・・・ 40 ・・・・ 39 ◎ 出張報告 平成 26 年度出張先一覧 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 41 自然エネルギー先進国施設調査 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 42 ワイヤー放電加工 中級講座受講 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 43 平成 26 年度中国地区高等専門学校技術職員研修 平成 26 年度西日本地域高等専門学校技術職員特別研修 平成 26 年度総合技術研究会 in 北海道大学 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 45 ・・・・・・・・・・・・ 44 ・・・・・・・・ 44 ◎ スタッフ紹介 新人紹介 今年度を振り返って!来年度への抱負 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 48 37 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 49 論文・業績一覧 平成 26 年度論文・研究業績一覧 発表月 論文名 論文誌・学会・研究会等 発表・共著 川見 2014.09 ARMマイコンを用いた実験内容の変更について 北海道大学総合技術研究会 2014.04 床版取替え用プレキャスト床版の合理化継手の開発 構造工学論文集 表 2014.04 床版取替え用プレキャストPC床版の合理化継手の開発 構造工学論文集 表 2014.04 凍結融解環境下における鋼コンクリート合成床版の熱伝導解析 構造工学論文集 表 2014.07 ラチス鉄筋を用いた道路橋RC床版のせん断補強に関する実験 コンクリート工学年次論文集 表 2014.09 施工中の交通振動が硬化コンクリートの強度に及ぼす影響について 土木学会年次学術講演会講演概要集 表 2014.09 制震デバイスに用いられる低降伏点鋼材の低温時特性について 土木学会年次学術講演会講演概要集 表 2014.09 鋼コンクリート合成床版における凍結融解試験について 土木学会年次学術講演会講演概要集 表 2014.09 道路橋床版における凍結融解試験方法について 土木学会年次学術講演会講演概要集 表 2014.09 リブ付アーチフォームを適用したRC床版の輪荷重試験 土木学会年次学術講演会講演概要集 表 2014.10 道路橋RC床版のせん断補強に関する実験 道路橋床版シンポジウム 表 2014.10 道路橋床版の部分補修に関する耐久性評価 道路橋床版シンポジウム 表 2014.10 交通振動がコンクリートの強度に及ぼす影響 道路橋床版シンポジウム 表 2014.10 コンクリート打継部の疲労強度に及ぼす凍結融解負荷の影響について 道路橋床版シンポジウム 表 2014.10 鋼コンクリート合成床版の凍害に関する実験的研究 道路橋床版シンポジウム 表 2014.11 道路橋の通行車両が施工中のコンクリートに及ぼす影響 鋼構造年次論文報告集 表 2014.11 道路橋RC床版の補修工法の耐久性に関する実験的研究 鋼構造年次論文報告集 表 2014.11 鋼材降伏系ダンパーに用いられる低降伏点鋼材の低温時特性評価 鋼構造年次論文報告集 表 2015.03 高専におけるIT 人材育成研修会-LDAP サーバ運用管理講座- 情報処理学会第77 回全国大会 2014.05 2014.09 2014.09 2014.09 2014.10 2014.10 2014.10 2014.11 2014.12 2015.02 波力発電用ツイン衝動型タービンに関する研究(性能に及ぼす流体ダイ 第71回ターボ機械協会総会講演会 オードの影響) Wells Turbine for Wave Energy Conversion –Improvement of Stall Journal of Fluid Science and Characteristics by the Use of 3-dimensional Blades– Technology 5th Asian Joint Workshop on Starting Characteristics of Wells Turbine with Booster Thermophysics and Fluid Science A Twin Unidirectional Impulse Turbine for Wave Energy Conversion – 5th Asian Joint Workshop on Effect of Fluidic Diode on the Performance– Thermophysics and Fluid Science 波力発電用ツイン衝動型タービンに関する研究(性能に及ぼす案内羽根 第72回ターボ機械協会大分講演会 設定角の影響) 日本機械学会第92期流体工学部門講 波力発電用ツイン衝動型タービン(性能に及ぼすロータ形状の影響) 演会 日本機械学会第92期流体工学部門講 波力発電用ウエルズタービン(性能に及ぼすブースター直径の影響) 演会 Proceedings of 4th International Fluidic Diode for Twin Impulse Turbine Symposium on Technology for Sustainability A Twin Unidirectional Impulse Turbine for Wave Energy Conversion – Open Journal of Fluid Dynamics Effect of Fluidic Diode on the Performance– 波力発電用直線翼垂直軸タービン ターボ機械 日本機械学会中国四国支部第53期総 会・講演会講演論文集 日本機械学会中国四国支部第53期総 会・講演会講演論文集 岡田 奥原 奥原 奥原 奥原 奥原 奥原 奥原 奥原 奥原 奥原 奥原 2015.03 波力発電用ツイン衝動型タービン(性能に及ぼす翼型の影響) 2015.03 流体ダイオードを有する波力発電用ツイン衝動型タービン 2014.09 オリジナル教材を用いた科学教室の事例紹介 北海道大学総合技術研究会 福島 2014.05 ドライガーゼ法とウェットキャンドル法の飛来塩分捕集能力の比較検討 材料と環境 安食 2014.09 ドライガーゼ法とウェットキャンドル法の飛来塩分捕集能力の比較検討 北海道大学総合技術研究会 安食 - 38 - 奥原 個人研究報告 土木技術体験型支援プログラム『地上絵』の提案 報告者:安食正太 1.はじめに 近年、高等専門学校(以下:高専)や大学などの高等教育機関において明確な目的意識を持たない まま入学し、専門科目への取組みが消極的な学生が多くなっている。そのため従来通りの教育方法で は専門科目の知識習得において十分な学習成果が得られなくなりつつある。原因の一つとして、高等 教育機関入学までに実感を伴った体験が不足していることが考えられる。本校の環境・建設工学科に おいても多くの高等教育機関と同様に、専門科目へのきっかけ作りが重要な課題である。土木工学の 知識を教授する導入段階において、学生の学習意欲の向上を目的とした幼少期の体験を補うだけの 実感のある体験型支援プログラム開発を行い、学生の目的意識を養わせる工夫が必要と考えられる。 そこで、地上絵の制作による土木技術体験支援プログラムを提案することを目的として研究を行っ ている。 2.取組内容 地上絵の制作は、校庭、公園、田んぼなどの広いフィールドにデザイ ンした絵や文字を拡大複写することで行う。フィールドの選定・測量、 デザインの作成、図面作成、フィールドへポイント設置作業(測量)の 手順で行う。拡大複写をする手法としては、測量技術の初心者にも理論 が理解できるように①押しピンと糸を用いる手法(写真-1) 、②平板測量 道具を用いる手法(写真-2)の 2 手法としている。 平面図として図化したデザインを等比で拡大する場合には、上空から 写真-1 でなければデザイン通りの絵が見えないことが課題にある。そこで、フ ィールドを眺めることのできる高台や架台からの視点を限定すること により、遠近による歪を考慮して、デザイン通りの地上絵を視点位置か ら見ることができるようにする工夫を検討している。1 つの方法として、 フィールドと視点の位置を 3D-CAD で表現し、視点位置から見えるフィ ールドを図枠として、その図枠の中にデザインを描く。デザインを描い た視点位置からの図枠を、フィールドの平面図に引き伸ばして、フィー ルドに描く平面図とする。この手法とは別に、3D-CAD を用いずに行う 方法も現在検討中である。 写真-2 3.まとめ 土木技術体験支援プログラムとして地上絵を制作することで学生が自ら積極的に身体を動かし体 験することで目的意識を持ち、学習に取組む効果を得ることで高学年時に実習や授業がスムーズに 展開することを期待している。一方、さらなる教育効果を求め、地域貢献として実施している『田ん ぼアート』を継続させ、小中学生や地域住民の土木工学に対する理解の向上を図る。 - 39 - 個人研究報告 たたら製鉄と日本刀から学ぶ熱処理について ―炭素鋼における焼き入れ冷却速度の影響― 報告者:山本 誠司 1.研究目的 日本刀の製法には「焼き入れ」が重要な工程の一部となっている。刀は硬さと靭性の両方を持たせ るよう工夫されており、強度および匂い口に連なる刃紋は美術品を志向する現代には特に重要であ る。硬さおよび刃紋は刃先に近い「マルテンサイト」棟側の「ソルバイト」と呼ばれる組織で構成さ れている。実際の焼き入れではいくつかの要素が複雑に影響している。 多くの刀鍛冶は流派により作刀方法に違いがあり、永年の経験と工夫により焼き入れ方法が編み 出されており、焼き入れ工程において行われる土置きは、焼き刃土の調合あるいは塗布の方法により 様々な変化を作り上げており系統的に条件を調べたものは少ない。 本研究では、焼き入れによる刃紋の現出に大きな影響を及ぼす土置きの影響を調べるため、前回ま けら で作った鉧および今回新たに製作した鉧から鋼を作りまた、比較のため市販の炭素鋼および炭素工 具鋼を用い、焼き入れ冷却速度の影響を調べる。 近年、小型炉を用いたたたら製鉄が「ものづくり教育」として行われており、本校でも取り組みを 続けている。今回の研究もこの一環として行う。 2.研究方法 炉内寸法は 390mm×520mm 高さ 1100mm として外側は耐火レンガを積み上げ、炉内は 600mm まで V 字型に釜土を貼り付けて浜砂鉄を磁気選鉱により採取して供した。 たたら製鉄で製作した鉧は鍛錬後厚さ 4mm の鋼に加工した。比較のため市販の S55C および SK85 (A)を用い焼入れ温度 760℃、800℃、830℃と変えて、それぞれ加熱保持時間 15min で行った。焼 き戻しはそれぞれ 150℃×1hr の熱処理を行った。また、冷却速度の影響を調べるため厚さを変えて土 置きをした。試料は研磨後 5%ナイタール溶液で腐食を施し金属顕微鏡で観察しマイクロビッカース 硬度計を用いて硬さの測定を行った。 3.まとめ 2 回の操業を行った結果それぞれ 30kg の鉧を作ることが出来た。市販の鋼材およびたたらで製作 した鋼を熱処理した結果、焼き入れ温度を高くすると硬度は上がり、土置きした場合は厚くなるにつ れ硬さが低下した。これは薄く塗布した場合には沸騰膜ができずに冷却速度が速くなり組織はマル テンサイトとなり厚く塗布するとトルースタイトになるためである。日本刀では炭素量が異なる材 料の組合せ、冷却速度による組織の違いにより刃紋を作り美術工芸品としての価値を高めることが 出来ると思われる。たたら製鉄を行うことで「ものづくり」の歴史、金属学を学ぶことができた。 この研究は、平成 26 年度科学研究費補助金(奨励研究、課題番号 26917028)「たたら製鉄と日本 刀から学ぶ熱処理についてー炭素鋼における焼き入れ冷却速度の影響―」で行った。 - 40 - 出張報告 平成 26 年度 出張先一覧 期間 目的 場所 出張者 4/16~17 学生情報統合特別部会 学術総合センター 川見 4/23~24 学生情報統合特別部会 学術総合センター 川見 東京(一橋講堂) 安食 東京ビックサイト 内村 5/18~5/20 6/26~6/27 (公社)腐食防食学会創立40周年記念大会 材料と環境 2014 3次元CAD講座に関する情報収集(第25回設計・製造ソ リューション展) 6/26~27 学生情報統合特別部会 学術総合センター 川見 8/20~22 平成26年度西日本地域高等専門学校技術職員特別研修 会 豊橋技術科学大学 三反田 8/20~21 機械加工に関する研究打合せ 山本金属製作所 岡山研究 開発センター 小吹 8/22~24 スーパーマイレッジカーチャレンジ2014 広島県運転免許センター 本多・福島 8/25~26 平成26年度中国地区高等専門学校技術職員研修会 大島商船高専 小吹・奥原 8/25~26 平成26年度中国地区高等専門学校技術長会議 大島商船高専 川見 9/3~9/6 平成26年度北海道大学総合技術研究会 北海道大学 川見・福島・安食 9/10~9/15 自然エネルギー先進国施設調査 Hilchenbach/Deutschland Morbach/Deutschland 福島 9/22~26 5th AJWTF 2014への参加・情報収集、波力発電に関する 実験 ハウステンボス、佐賀大学 奥原 10/1~3 平成26年度IT人材育成研修会 「コース2 無線LAN」 CTCテクノロジー(東京) 池田 10/2~4 第72回ターボ機械協会大分講演会 大分高専 奥原 10/4 電子制御工学科3年 社会見学 引率補助 株式会社ミツトヨ 広島事業 所 小吹 10/24~26 第92期日本機械学会流体工学部門講演会 富山大学 五福キャンパス 奥原 11/5~7 山陰5機関合同中堅職員研修 鳥取大学 三反田 11/9~11 高専機構情報担当者研修会 学術総合センター 川見 11/18~20 第23回鋼構造年次論文報告集 講演会(座長・論文発表) 東京ファッションタウン 表 11/27~28 12/3~4 平成26年度中国・四国地区国立大学法人等労働安全衛生 徳島大学 川見 協議会 (公社)日本測量協会主催 東京((公社)日本測量協会) 安食 GNSS測量及びレベルによる測量観測技術の講習会 12/8 学生情報統合特別部会 学術総合センター 川見 1/12~13 第2学年冬季合宿研修 大山スキー場 内村・本多・小吹 三反田・福田 2/17~20 ワイヤー放電加工 中級講座受講 牧野フライス 東京テクニカ ルセンター 小吹 2/23 アクティブラーニング推進のための教職員研修会 豊橋技術科学大学 安食 2/26~2/27 平成26年度中国・四国地区国立大学法人等技術職員組織 香川高専 代表者会議 マネジメント研修会 川見・内村 3/4~5 徳山高専技術研修会講師 徳山高専 川見 3/5~6 第6回 高専技術教育研究発表会(発表・聴講) 木更津高専 表・安食・小吹 3/5~6 日本機械学会中国四国支部第53期総会・講演会 近畿大学工学部広島キャン 奥原 パス 3/18 情報処理学会 第77回全国大会 京都大学 吉田キャンパス 3/27 平成26年度高専機構教職員向けトレーニング「Office 365」 日本マイクロソフト品川本社 池田 - 41 - 岡田 出張報告 自然エネルギー先進国施設調査 報告者:福島 志斗 出張期間:平成 26 年 9 月 10 日~15 日 出 張 先:FWT energy GmbH & Co. KG,Morba(ドイツ) 風力発電や太陽光発電、バイオマス発電などの再生可能エネルギーによる発電を進めているドイ ツにおいて、今後の自然エネルギーの活用と研究に対する参考のため施設等の調査を行った。 はじめに、風力発電の調査として、 「ヴァイガントシュハイン」において実際に発電事業へ参集し ている企業である「FWT energy GmbH & Co. KG」を訪れ、風力発電の 管理体制と発電機の組立ての様子を視察した。 視察した企業では、2[MW]~3[MW]の風車を製作から発電量の監視、 メンテナンスまで他の企業と連携して効率良く運営されている状況を見 てとることができた。この際に、ドイツにおける発電量を尋ねたところ、 定格発電量の 2/3 程度を平均的に発電できていることを知り、日本と気象 写真-1 視察した風車 と上部からの風景 条件の差を感じた。実際にドイツ国内においては、風力発電の発電量が 9%程度を占めており、国全 体で再生可能エネルギーによる発電に取組んでいる様子を伺うことができた。 視察の際に、工場の近くに設置してある風車を視察することができ、風車のマスト部分にある電力 設備や上部に設置してある変速機と発電機を見学することができた。風車内部にはエレベーターが 設置されており、半年に 1 度程度のペースでメンテナンスを行うとのことであった。 次に、再生可能エネルギーによる発電を主体として街の電力を賄っている「モールバッハ」の視察 を行った。モールバッハの町では、風車による発電のほかに、太陽光とバイオマス発電を合わせて町 で使用する電力を賄っており、発電設備やバイオマスに必要な木材については、古い軍事施設の跡地 を活用することで、風車が発する騒音や太陽光発電に必要な土地、 木材の確保などの問題をクリアして発電を行っていた。 モールバッハの町では、町で使用する電力以上に発電する能力が あり、余剰な電力を売ることで町への収入となっているとのことで あった。日本では、再生可能エネルギーによる発電の割合を多くす ると、既存の電力系統が不安定になることが懸念されるため、電源 写真-2 軍事施設跡を利用 した発電設備 のバランスが重要になってくるが、国外に電力ラインが接続されて いる国では、国外へ電力の販売が可能であるため、再生可能エネル ギーによる発電の割合を増やしても対応できる可能性を感じた。 このような経験は、現在行っている蓄電池等の研究活動や学校教育の業務等に反映できる内容で あり、非常に有意義な出張となった。 - 42 - 出張報告 ワイヤー放電加工 中級講座受講 報告者:小吹 健志 受講期間:平成 27 年 2 月 18 日 ~ 20 日 出 張 先:株式会社牧野フライス製作所 東京テクニカルセンター 本校保有の放電加工機(牧野フライス製、U6)に関する保守と、加工条件出しについての応用力向 上を狙いとして参加した。参加者が1名であったため、座学と実践を徹底的に行うことが出来、非常 に内容の濃いものとなった。以下、項目毎に分けて講座内容を紹介する。 ● 保守・点検について 日常使用で気になっていた断線対策や、ワイヤーチップによる加工層内の汚れ予防策につい て知ることができた。実機の主要部分を分解して構造の詳細を知ることができ、今後は不安 なく保守点検を実行できる。また、取扱説明書には記載されていない、現場(使用者)視点 の実践的で効率的のよい作業方法についても学ぶことが出来た。 ● 加工条件設定について 加工条件に関する各種パラメータの意味と、加工状況に合わせた設定方法について詳しく 学んだ。その後、アルミ薄板の加工条件をベースとして、アルミ厚板・特殊鋼・銅をそれぞれ最 適な速度で加工できるよう加工条件を調整していく実技を行った。結果として、加工機の標準設 定より早い速度が出せたので、学んだ成果を充分に活用出来る事を確認した。学内で使用頻度の 高いアルミに関する加工条件が不足しているので、加工条件の割出しを行い、データベースを作 成する。 ● 加工中のトラブル対応について 製品精度の出し方や、後退や鋭角の輪郭に追従しない等の加工トラブルについて対処法を 学ぶことが出来た。断面のあらさや加工寸法精度について、従来「この加工はこんなもの??」 と感じていた部分を追い込む手段を学べたので、今後に活用したい。 全体として、放電加工機の運用において役立つ情報を多く得ることができ、非常に有意義な講習と なった。今後は学内で使用者を対象とした講習会を開き、多くの者に技術を広めていく。 - 43 - 出張報告 平成 26 年度中国地区国立高等専門学校技術職員研修 報告者:奥原 真哉、小吹 健志 出張期間:平成 26 年 8 月 25 日~26 日 出 張 先:大島商船高等専門学校 本研修は 2 日間の日程で行われ、初日には事例発表会「技術職員の技術力向上への取組み」として 各高専からの発表があった。松江高専からは「技能検定を活用した技術職員の技術力向上への取組み」 と題して小吹が発表し、松江高専において行っている技能検定への取組みについて紹介した。この取 組みは技術職員だけでなく、学生も活動に含めることにより、相互の技能向上を目指したものである。 発表は各高専の取組みについて具体的に紹介されており、とても参考となった。また施設見学では普 段見ることのできない商船高専ならではとも言える操船シミュレータを見学することができた。設 備のスケールの大きさと実際の港や湾などの様子が細かく再現されていることに非常に驚いた。2 日 目には全体討議として各高専の技術力向上への取組み紹介があり、松江高専の取組みについては奥 原が発表を行った。全体討議では参考となる興味深い内容を聞くことができた。また、松江高専の取 組みについても各高専からの質問や意見を聞くことができ、今後の取組みに活かせる有意義な討議 となった。さらに、研修以外でも情報交換を行うことができ、高専間の技術職員の繋がりもより深め ることができたように感じている。 平成 26 年度西日本地域高等専門学校技術職員特別研修会(電気・電子系) 報告者:三反田 裕太 出張期間:平成 26 年 8 月 20 日(水)~22 日(金) 出 張 先:豊橋技術科学大学 平成 26 年度西日本地域高等専門学校技術職員研修会に参加した。主な内容は以下の通りであった。 ● 1 日目:大学・高専における現状に関する講演、班別討議 ● 2 日目:技術課題発表、技科大の研究紹介、施設・設備見学 ● 3 日目:技術課題発表 このうち、班別討議では、能力や障害の面で問題を抱える学生への対応方法について議論した。対策 も立てにくく、大変難しい課題であるが、他高専及び技科大の方を交えて、有意義な討論を行うこと ができた。技術課題発表では、各高専の実験実習や研究、地域貢献活動の取り組みについての発表が 行われた。特に教材開発に関する内容が多く、今後の教育支援業務について考える良い機会であった。 今回の研修内容も、業務に積極的に取り入れていきたい。 - 44 - 出張報告 総合技術研究会 in 北海道大学 出張期間:平成 26 年 9 月 4 日~5 日 出 張 先:北海道大学 参 加 者:川見 昌春、福島 志斗、安食 正太 ARM マイコンを用いた実験内容の変更について 報告者:川見 昌春 1. はじめに 隔年で開催される総合技術研究会は、全国の大学・高専・研究所等の技術系職員が、研究や業務等 の発表や情報交換の場として定着している。平成 26 年度は 9 月 4 日・5 日の二日間で北海道大学を 会場に開催された。一日目は北海道大学名誉教授の鈴木章先生(2010 年ノーベル化学賞受賞)の特 別講演とポスターセッションが行われ、一日目終了後には情報交換会も開催された。二日目は口頭発 表があり、筆者は実験支援関連の研究発表を行った。 2. 研究発表 今回の発表では、 「ARM マイコンを用いた実験内容の変更について」という題目で、実験テーマの 内容変更に関する報告を行った。前半では、本校情報工学科の実験テーマのうち、マイコン制御系実 験と論理回路系実験に着目し、学年進行に合わせたテーマの継続性の提案と実際の変更について、実 験担当教員への提案方法から実際の変更過程について報告した。 後半は、情報工学科 3 年で行っているマイコン基礎実験テーマについて、マイコンボードの変更と それに合わせて開発した写真-1 の実験教材の紹介、さらに実験内容の変更点とそのねらいなどを発 表した。 写真-1 実験用教材 写真-2 発表の様子 3. まとめ 今回の総合技術研究会では、口頭発表 178 件、ポスター発表 227 件、聴講を含めて 782 名の参加が あった。他の大学・高専・研究所等において、実験実習や業務などで工夫されている点や新しい取り 組み、地域貢献、安全管理などの様々な技術・知識の情報収集、吸収はもとより、他機関の技術職員 組織などの情報も得ることができ、総合技術研究会やその他の研究会の存在意義についても改めて 認識する良い機会となった。 - 45 - 出張報告 オリジナル教材を用いた科学教室の事例紹介 報告者:福島 志斗 1. はじめに 本校では,参加者それぞれが実際に自分の手で体感することのできる「ものづくり」や「科学(工 学)実験」の講座を複数回開催しており、科学工作教室の一環として,島根県雲南市の雲南市文化体 育施設利用放課後子ども教室実行委員会から依頼を受け技術職員 5 名が「うんなん元気っ子わくわ く教室 科学のひろば」を担当している。この科学工作教室において開発したオリジナルの教材につ いて報告する。 2. 科学工作教室の企画と運営 この科学工作教室は、雲南市の広報によって参加者を募 っており、教室を開催する日の 2 ヶ月前に教室の内容と材 料費を決める必要があるため、事前に担当する技術職員と 教材を相談し広報に掲載する内容を決定している。 教室のテーマを検討する際には、年度内で同一のテーマ を開催しないことや、対象年齢を小中学生とし、2~3 時間 程度の工作や実験が教室の内容となることや、材料費を 1,000 円程度にすることを基本として、可能な限り新しいテ ーマを行うこととしている。写真 1 に製作した教材の一例 写真-1 「ライントレースカー」の教室風 を示す。また、安全面を考慮し、基本的には講師を担当す る 1 名の職員が受け持つ参加者の人数を最大 5 名として指導することとしている。 3. 平成 25 年度の科学工作教室 今回報告する科学工作教室は、参加者の定員を 10 名とし、平成 25 年度の 7 月以降に 9 回開催し 参加者数は延べ 49 人であった。 当初は、科学工作教室の参加者はリピーターが多く、参加人数も少なかったが、教室の回数を重ね るごとに参加者数が増え、徐々に教室が認知されるようになってきたと考えている。しかし、以前に 応募が多かったテーマの教室の参加者が少なくなる事があり、参加者を定員近くまで集める事が課 題となっている。 4. まとめ 雲南市文化体育施設利用放課後子ども教室実行委員会から依頼により、オリジナルの教材を開発 し科学工作教室の企画・運営を行った。 今後も、このような取り組みを継続的に行い、工作教室のテーマを増やして興味を持ってもらい参 加しやすい科学工作教室となるよう改善すると同時に、地域の小中学生に科学や工学に興味を持っ てもらうだけでなく、オリジナルの教材を積極的に用いることで、技術職員自らのスキルアップにも つなげることを考えている。 - 46 - 出張報告 ドライガーゼ法とウェットキャンドル法による飛来塩分捕集能力の比較検討 報告者:安食 正太 1.はじめに 近年、 構造物の耐久性の向上を図る上で最も重要視されてい るものの一つに、建設物周辺地域の環境評価がある。その代表 的な環境評価基準に飛来塩分量がある。 飛来塩分量を計測する 手法にはドライガーゼ法、ウェットキャンドル法などがある が、各手法による分析値の違いについての検討例は少ない。本 研究は、日本で実績の多い JIS Z 23821)に規定されているドラ イガーゼ法と、海外で実績があり ISO92252)にも規定されてい るウェットキャンドル法について分析値の違いを比較し、 各手 (a)ドライガーゼ法 (b)ウェットキャンドル法 図-1 飛来塩分捕集器 法の捕集効率との関係を明らかにすることを目的とする。 2.実験方法 本研究では、島根県松江市の離岸距離 5km に位置する松 江工業高等専門学校の屋上(高さ 12m)で、2013 年 12 月 ~2014 年 12 月に飛来塩分量の計測を行った。この地域で は年間を通じて西方向からの風が卓越している。飛来塩分 は、 JIS Z 23821)に準拠して、ドライガーゼ法(以下 DG 法) とウェットキャンドル法(以下 WC 法)により捕集した。 図-2 DG 法と WC 法の飛来塩分量の それぞれの捕集器を図-1 に示す。ガーゼに捕集した付着物はイオン交換水に溶かし、Cl-量を定量し、 捕集面積と暴露日数で除したものを NaCl に換算して飛来塩分量(mdd:mg/dm2/day)を算出した。 3.計測結果及び分析結果(DG 法と WC 法の比較) DG 法と WC 法の月毎に捕集した飛来塩分量を図-2 に示す。2014 年 11 月の飛来塩分捕集量は DG 法が WC 法よりも 0.20mdd 下回っているが、その他の月においては DG 法が WC 法より 0.06mdd~ 1.27mdd 上回っている。DG 法は風向が捕集面に対して垂直な場合には捕集効率が高くなり、風向が 垂直でない場合には捕集効率が低くなるため、風向が捕集効率に大きく影響する。WC 法は心棒に巻 きつけた捕集ガーゼ部がすべての方位に対して捕集することができるため、風向が捕集効率に影響 を与えない。DG 法と WC 法の捕集効率が同じと仮定した場合、風向の影響を考慮すると DG 法より WC 法の方が多い飛来塩分捕集量になると想定される。しかし、本研究の結果では DG 法が WC 法よ りも飛来塩分捕集量が多いことから、捕集効率は DG 法の方が高いことが分かる。 参考文献 1) 日本工業標準調査会 JIS Z 2382,P.13,(1998) 2) International Organization for Standardization,(2012),Corrosion of metals and alloys Corrosivity of atmospheres Measurement of environmental parameters affecting corrosivity of atmospheres(ISO 9225),p.18. - 47 - スタッフ紹介 新人紹介 第 3 技術班【土木系】 ◎表 真也 平成 26 年 10 月 1 日から松江工業高等専門学校 実践教育支援センターに配属されました。現在は 第 3 技術班の一員として環境・建設工学科の学生に対する実験・実習(測量、土質、力学、コンクリー ト、水理など)を担当しています。 熊本市の大学院を卒業後、地元である姫路市の建設会社、札幌市へ移り国土交通省、国立研究開発 法人土木研究所を経て現在に至ります。建設会社や国土交通省では主に橋梁の建設(山陽自動車道、 道央圏連絡道路) 、橋梁の補修・補強、耐震補強工事などの監督として従事し、土木研究所では北海道 の厳しい自然から構造物を守るため、橋梁や落石シミュレーションなど土木構造物に関する補修・補 強・維持管理・設計・施工の研究に従事してまいりました。 これらの研究を進めることで今年度は 2 つの賞を受賞することができました。国土交通省 北海道 開発局主催である第 57 回 北海道開発技術研究発表会では、橋梁の耐震補強部材として設置されて いる制震ダンパーの温度依存性に関する研究発表を行い「北海道開発協会奨励賞」を受賞しました。 論文名「道路橋に用いられる低降伏点鋼材の低温時特性について」。また産学官で多様な研究に取り 組んでいる(一財)災害科学研究所からは、NEXCO 等で実橋の取替え床版として採用され架設され た疲労耐久性を有する版厚の薄いプレキャスト PC 床版を開発した研究において「平成 26 年度優秀 研究賞」を受賞しました。論文名「プレキャスト PC 床版(取替え床版)輪荷重試験」) (写真-1, 2)。 平成 24 年 4 月からは社会人として北海道大学大学院工学院 北方圏環境政策工学専攻 博士後期課 程にも所属し、 「道路橋床版ライフサイクルにおける疲労耐久性に関する実験的研究」と題した博士 論文を提出し、平成 27 年 3 月に博士(工学)を拝受しました。これは実践教育支援センターの皆様 教職員の方々のご理解とご協力がなければ成し遂げることはできなかったことです。皆様、ありがと うございました。 今後はこれまで得た経験を学生の育成に、さらには松江工業高等専門学校における教育環境の発 展のお役に立てるよう努力してまいります。今後もご指導・ご鞭撻の程、よろしくお願い申し上げま す。 北海道開発協会奨励賞 写真-1 優秀研究賞受賞式 平成 26 年度優秀研究賞 写真-2 表彰楯 - 48 - スタッフ紹介 今年度を振り返って!来年度への抱負 第1技術班【機械系】 ◎ 内村 和弘 今年度は私にとって多くの貴重な体験をすることができた一年であったと思う。 まず、第 1 技術班、第 3 技術班の主査併任により専門分野、業務の違う中でまとめ役を行った。同 じセンター内であるが業務に対する認識や、対応に異なる部分があり調整しながら業務を進めてい った。班員の理解、助けがあり何とか 1 年間務めることができたと思う。 また、中四国地区の研修が今年度初めて大学と共催、本校において技術実習を行うこととなり、一 分野を担当することとなった。技術長と共に大学との打ち合わせや運営の計画等を行った。また、担 当した専門実習においては教材作成から講師まで技術職員のみで行うことができた。受講者の評判 も良好であり、うまく実習運営ができたのではないかと思う。 その他に、50 周年事業の記念品製作の取り纏めも行った。時間はかかったが技術職員、事務職員 と協力して行うことができ良いものができたのではないかと思う。 これらは私一人ではとても出来ないことであり、多くの人、職種が関わってできたことである。協 力していただいたセンター員、本校の教職員、また他大学、高専の職員の方に感謝したい。これらの 経験を活かし、今後の業務やセンター運営に役立てたいと思う。 ◎ 本多 将和 支援委員長として 2 年目を向かえ、昨年度より全体的に効率良く業務を行う事ができたと思う。時 間割の作成業務についても昨年度はただ作るのに終始したが、今年度は様々な要望に対して可能な 限り対応することを考えながら作成することができた。なかなか全て要望通りには出来ないが、昨年 度に比べれば各教員の要望にそった時間割が作成できたように感じる。 また今年度後半より始まった企業との共同研究では、昨年度末に導入された工作機械を使用して、 様々な部品の製作を行った。昨年度末は多くの工作機械が導入され、その導入に関する書類作成や使 用講習会で苦労を要したが、それが少しずつ報われて活躍の場を増やしているのは非常に喜ばしい ことである。 これからも多くの場で活躍できるように、更なる技術・技能を修得していきたいと思う。 ◎ 小吹 健志 高専に赴任して 3 年が経過した。昨年度、このページで学生と関わる機会が増えたことに触れた が、この一年はそれが更に加速した。授業に関する内容ばかりでなく、雑談や技術談義、そして各々 の将来像についての話をする事もある。比較的一人で過ごす事の多かった学生時代よりも、技術職員 となった今の方が学生と関わる時間が長いのではないだろうか。学生には、私と話すことで、社会人 と対話することへの抵抗を減らしてくれればと思っている。もちろん、学生と話ばかりする事が本業 ではなく、甘い話ばかりするわけではない。授業や研究・依頼対応といった本業をしっかりこなし、 技能検定やその他資格取得などの自己研鑽に取り組みつつ、学校職員としてだけではなく、身近にい - 49 - スタッフ紹介 る一人の大人として素の自分も見せながら、来年度も学生に様々な刺激を与えることが出来ればと 考えている。 ◎ 奥原 真哉 私的なことではあるが、今年度は博士後期課程を修了し、学位を取得することができた。この一年 は大変だったが充実した一年であった。通常業務を行う一方で、技術職員研修会や国際会議、学会で の発表などに加えて、論文の執筆があり、瞬く間に一年が過ぎたように感じている。しかしこの経験 は非常に大きく、自身の成長にも繋がったと確信している。今後、学位取得に際し得たものを業務や 研究、学生指導に活かし、学位に恥じないよう研鑽したいと考えている。学位取得にあたっては実践 教育支援センターをはじめ松江高専の教職員の皆様に大変お世話になった。この文面をお借りして 感謝の意を表す。 来年度は本務である学生指導や技術職員としての業務に力を入れる所存であるが、研究も継続し て行い、実践教育支援センターに貢献したいとも考えている。また、新たなことへもチャレンジし、 向上心を失わないよう努めたいと思う。 ◎ 山本 誠司 今年度は科研費が採択され奨励研究も実験実習の合間に行ってきたため多忙な一年となりました。 学生たちと共に小型たたら炉を用いた製鉄を行うなど研究活動も積極的に取組みました。今後も実 験実習は当然ですが研究活動も併せて安全第一に活動したいと思います。 ◎ 宮田 保 今年度も第 1 班の一員として実習にたずさわった。限られた時間のなかでの実習であった。特に 1 年生は何も解らない状態での実習であり教える事の難しさを感じた。安全面においては注意して取 り組んだ結果ケガもなく終わったので良かった。しかしヒヤリ、ハットが何件かあり注意して取組ま なければならないと思った。次年度は学生が物作りに興味を持ってくれる様なわかりやすい指導を 心がけたい。 ◎ 鴨井 八郎 今年度は M3 の鍛造、M1 の手仕上げを新たに担当させて頂いた。毎回、ささやかな喜びと大いな る反省の繰り返しであり、私にとっては学生達と接する貴重な時間となっている。 どうしても自分自身の学生時代と比べてしまい、取組み姿勢や、入学までの実体験の乏しさにジェ ネレーションギャップを感じざるを得ない。 この、“実体験の乏しさ”は必ずしも“興味”へとつながる訳ではなく、いかに学生達に実習への興味 を持たせ、充実した時間として取組んでもらえるかが課題であると感じている。 また、新たな取組みとして、実技だけでなく実習レポートの添削も 1 班全員で始めた。レポートの 質の向上もさることながら、学生自身の文章力向上へつながればと願っている。 - 50 - スタッフ紹介 第2技術班【電気・電子・情報系】 ◎ 川見 昌春 平成 26 年 4 月より福田前技術長の後任として技術長を拝命しました。慣れない業務と若輩者という ことで、この一年は何をやらなければならないのか、そして何をやったのか、考える余裕もないままあ っという間に過ぎて行きました。以前から温めていた企画提案を実施しましたが、田邊センター長を始 めとするセンター員各位の協力を仰ぎ、何とか形にはできたと思っております。 この一年を通じて、やるべき事も少しは理解出来たと思います。実践教育支援センターの運用と発展 に向けて尽力していきたいと考えていますので、関係各位のご支援・ご協力をよろしくお願いいたしま す。 ◎ 池田 総一郎 今年度は、私が 2012 年より開発を行っていた、本校の入試に関する成績等のデータを管理するシス テムが初めて運用されました。私にとってもこれほど規模の大きいシステムは初めての経験だったので、 試行錯誤を繰り返しながらの開発となりました。最低限の機能を実装した試作品の開発に半年かかり、 そこから学生受入係の協力でテストを繰り返してからの運用開始となりました。 運用にあたっては、目立ったトラブルもなく、無事に運用することができて安心しています。この経 験を活かして、今後も業務に取り組んで行きたいと思います。 ◎ 岡田 康 今年度も前年度と同様に、研修会の開催や科研費申請、そして、実験指導書のとりまとめ等を行った。 とくに研修会の開催では、委員会のメンバーのほか、センター長にもご協力いただき、短期開催であり ながらも有意義な会にできた。 また、教育支援業務については、担当が前年度とあまり変更がないことから、学生の理解度が深まる よう意識して取り組むことができた。 今後も実験や演習での学生対応をとおし、産業界で活躍する人材を育成することで、社会貢献できれ ばよいと思う。 ◎ 泉 大樹 仕事をしていく上で大切なこと、報告・連絡・相談。基本的なことではあるが、常に心がけておかな ければならない。コミュニケーション力の不足を感じることが多かった。 授業では、プログラミング、基礎情報処理などを担当した。担当している科目は毎年それほど変わら ないため、指導などはこれまでの経験を生かし、適切なアドバイスが出せるようになったと思う。 これからも、学生が学んで楽しくなるような授業にできるように努めていきたい。 -51- スタッフ紹介 ◎ 福島 志斗 今年度は、中国・四国地区国立大学法人等技術職員研修において、分野別実習と全体講義の一部を担 当させてもらい、これまで研修には参加する側としてであったが、運営する側として準備等に携われた ことは貴重な経験となった。また、松江観光協会から依頼のあった松江水燈路では、周辺住民の方や観 光客などのことを考えながら観光イベントの運営に係わることで、これまでとは異なる分野に対する業 務の取組み方を学ぶことができた。 これらの経験を今後の業務に活かし、次年度も積極的に学生の教育だけでなく研究や地域での活動に 繋がるよう努力していきたい。 ◎ 三反田 裕太 今年度も様々な業務を通して、また経験値を積むことができた。学校開放事業や近隣の町での出張講 座では参加者の興味を惹くためにレイアウトを考え、出張で赴いた研修では業務に関する発表を行うと 同時に、他の高専の方々の創意工夫を見聞する機会にも恵まれ、濃厚な一年であったように思う。さら に事務方の業務も短期間ではあるが体験し、仕事に取り組む姿勢のあり方についても思考する機会を頂 いた。 相変わらずスキル不足、能力不足は払拭できず、現職に向いているかどうかも益々混沌とした状況で あるが、苦しんだ先には光があると信じ、引続き励んでいきたい。 ◎ 須山 郁夫 今年度も、C 言語のプログラミング、および Unix(Ubuntu、FreeBSD)の実習の授業支援を担当した。 学生にわかりやすい説明を心がけているが、何年担当しても、これまでに想定してなかった対応が必要 なときが必ず出てくるように感じる。想定していない場合でも対応できるよう、学生の視点にもっと近 づく必要があるのかもしれない。 今年は、私が初めてプログラミングの授業支援を行った情報工学科の学生が卒業した年であった。今 後も、少しでも学生の力になれるよう、授業支援をがんばっていきたい。 52 スタッフ紹介 第3技術班【土木系】 ◎ 安食 正太 今年度は第 3 技術班が新体制となり、私自身より責任を感じ、気の引き締まった 1 年となりました。 実験・実習の教育支援業務においては勤務 3 年目を迎えさせて頂いたこともあり、実験・実習の手順や ポイントをおさえながら、前年度より学生に理解して頂けるように支援を行えたと感じています。また、 古代米を用いた田んぼアート制作を県内で 2 件、松江水燈路に行灯で文字を浮かび上がらせる催しを 1 件と地域貢献活動にも携わり地域の皆さんと交流する機会にも恵まれました。年度が変わっても初心を 忘れず、日々チャレンジする心と地域の方々との関わりを大切にし、自分磨きをしていきたいと思いま す。 ◎ 福田 恭司 再雇用 1 年目ということで、これまで積み重ねた 42 年をベースとして、色々なことを考えることが できた有意義な 1 年となりました。 今後については、 「技術職員の役割」 「価値観の伝承」 「自分の存在価値」等をキーワードに、実践教育 支援センターのお役に立てる動きができればと考えています。 -53- 資料集 松江工業高等専門学校 実践教育支援センター規則 実践教育支援センター運営に関する内規 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 58 技術系職員の民間企業等派遣研修実施要項 松江高専実践教育支援センター組織図 内務部会・推進室担当一覧 平成 26 年度実践教育支援センター会議 議事録(抜粋) 写真集(研修、学校開放) 取得資格一覧 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 69 ・・・・・・・・ 55 ・・・・・・・・・・・・ 60 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 61 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 62 ・・・・・・・・ 63 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 65 54 資料集 松江工業高等専門学校実践教育支援センター規則 平成14年4月 1日 制 定 平成21年6月23日 最終改正 (設置) 第1条 松江工業高等専門学校に,教育・研究及び社会貢献に関する技術支援を行うため,独立行政 法人国立高等専門学校機構の本部事務局の組織等に関する規則第12条第1項の規定に基づき, 松江工業高等専門学校実践教育支援センター(以下「センター」という。)を置く。 (目的) 第2条 センターは,技術に関する専門的業務を組織的かつ効果的に処理するとともに,技術職員 (施設系の技術職員を除く。以下同じ。)の職務遂行に必要な能力及び資質の向上を図り,もっ て教育・研究及び社会貢献に資することを目的とする。 (業務) 第3条 センターは,次の各号に掲げる業務を行う。 一 教育・研究及び社会貢献に関する技術支援の基本計画の策定に関すること。 二 学生の実験,実習,卒業研究の技術指導及び安全確保に関すること。 三 情報処理,情報ネットワーク及び情報セキュリティに関すること。 四 教育・研究及び社会貢献に関する技術支援に関すること。 五 技術資料の作成,保管及び提供等に関すること。 六 機器等の保守・管理並びに災害防止に関すること。 七 技術の継承及び保存並びに技術向上のための技術研修,技術発表会及び技術講演会等の企画・実 施等に関すること。 八 所掌業務の調査統計及び諸報告に関すること。 九 その他本校にとって重要な技術的業務に関すること。 (技術班) 第4条 センターに,前条各号の業務を遂行するため,次の各号に掲げる技術班を置く。 一 第一技術班 二 第二技術班 三 第三技術班 2 第一技術班は,機械系に関する業務を行うとともに他の班と連携して効果的な運用を図るものと する。 3 第二技術班は,電気,情報系及び事務電算に関する業務を行うとともに他の班と連携して効果的 な運用を図るものとする。 4 第三技術班は,環境・建設系に関する業務を行うとともに他の班と連携して効果的な運用を図る ものとする。 5 センターは,前4項の他,必要に応じてプロジェクトチームを組織し,特別な業務にあたること ができる。 - 55 - 資料集 (組織) 第5条 センターは,次に掲げる職員をもって組織する。 一 実践教育支援センター長(以下「センター長」という。) 二 副センター長 三 技術長 四 技術班主査(以下「主査」という。) 五 技術員 2 センター長は,校長が任命する。 3 副センター長は,校長が任命する。なお,副センター長は必要に応じて複数置くことができ,う ち1名は技術長をもって充てる。 4 技術長は,技術専門職員のうちから校長が任命する。 5 センターに極めて高度な専門技術を有する者を技術専門員として置くことができる。前項にかか わらず,校長は技術専門員を技術長に任命することができる。 6 主査は,技術専門職員うちから校長が任命する。 7 技術員は,技術専門職員及び技術職員をもって充てる。 8 技術班に技術主任を置くことができる。技術主任は,技術専門職員のうちから校長が任命する。 (職務) 第6条 センター長は,校長の命を受け,センターの業務を統括する。 2 副センター長は,センター長を補佐する。 3 技術長は,センターの業務を処理するとともに,技術班を統括する。 4 技術専門員は,その技術に基づき,教育・研究及び社会貢献に関する技術開発及び技術業務並び に学生の技術指導を行うとともに,技術の継承及び保存並びに技術研修に関する企画及び連絡調 整を行う。 5 主査は,上司の命を受け,センターの業務を処理するとともに,各技術班の業務の円滑な遂行に 努め,必要な連絡調整を行う。 6 技術主任は,上司の命を受け,センターの業務を処理するとともに,主査を補佐する。 7 技術員は,上司の命を受け,センターの業務を処理する。 (センター運営委員会) 第7条 センターの運営に関し,必要事項を審議するため,松江工業高等専門学校実践教育支援セン ター運営委員会(以下「委員会」という。)を置く。 2 委員会は,次の各号に掲げる委員をもって組織する。 一 センター長 二 副センター長 三 技術長 四 主査 五 その他校長が必要と認める者 3 委員会に委員長を置き,センター長をもって充てる。 4 委員長は,委員会を招集し,その議長となる。 - 56 - 資料集 5 委員長が必要と認めるときは,委員以外の者を出席させることができる。 (センターの利用) 第8条 センターの利用に関して必要な事項は,別に定める。 (センターの事務) 第9条 センターの事務は,センターにおいて処理する。 (雑則) 第10条 この規則に定めるもののほか,センターに関し必要な事項は委員会において定める。 附 則 この規則は,平成14年4月1日から施行する。 附 則 1 この規則は,平成17年4月1日から施行する。 2 松江工業高等専門学校テクノ教育支援センター運営委員会規則(平成14年4月1日制定)は, 廃止する。 附 則 この規則は,平成19年4月1日から施行する。 附 則 この規則は,平成20年4月1日から施行する。 附 則 この規則は,平成20年10月1日から施行する。 附 則 この規則は,平成21年4月1日から施行する。 附 則 この規則は,平成21年7月1日から施行する。 - 57 - 資料集 実践教育支援センター運営に関する内規 (平成14年2月19日 決 定) (目的) 1. 「機能する技術集団(実践教育支援センター) 」を達成するため、実践教育支援センターに次の 会議・委員会を置く。センター員は、支援委員会、研修委員会、評価委員会のいずれかに所属し、各 委員会で委員長を互選する。委員の任期は当面1年とする。 ① 実践教育支援センター会議(全員、議長 技術長) ② 支援委員会 ③ 研修委員会 ④ 評価委員会 (会議) 2.会議、及び各委員会は次の会務を掌る。 ① 実践教育支援センター会議 本会は実践教育支援センター運営に関する最高決議機関とし、全センター員をもって構成す る。議長は、技術長とする。 技術長事故あるときは主査が代行する。議事録は評価委員会が処理する。 ② 支援委員会 支援業務を円滑且つ効率的に処理するため、次の会務を処理する。 イ.学科・教員・学内組織等からの支援業務依頼の受付・処理(依頼者との打合せも含む)に関 すること。 ロ.派遣者の人選等を連絡・調整し、 「実践教育支援センター会議」に提案する。 ハ.学外組織との共同技術開発・研究等の受付・処理に関すること。 ニ.センター員の均衡ある仕事量の調整に関すること。 ホ.支援終了後の依頼者に対しての評価に関すること。 (アンケート等により今年の自己点検 評価) ヘ.その他必要な事項。 (学校行事…等) ③ 研修委員会 実践教育支援センター、センター員の能力・資質の向上を図るため、次の会務を処理する。 イ.実践教育支援センター研修会・技術講習会・技術発表会等を企画・立案し「実践教育支援セ ンター会議」に提案する。 ロ.外部でのイ、等の行事についての連絡・調整に関すること。 (個人研修旅費等も含む) ハ.実践教育支援センター、センター員の地位確立について検討する。特にセンター員の日常研 - 58 - 資料集 修による、各種技術認定資格の取得についての啓蒙、及び「実践教育支援センターと資格」 に関する検討。 (資格取得の講習会参加者の旅費補助等) ニ.その他必要な事項。 ④ 評価委員会 実践教育支援センターが学内外から評価を得るため、また、技術の伝承・保存を確保するた め、次の会務を処理する。 イ.実践教育支援センターの年間業務の総括を行い、自己点検・自己評価の資料を実践教育支援 センター会議に提案する。 (自己評価) ロ.イ.の項を、実践教育支援センターホームページに掲載し情報公開する。(外部評価) ハ.イ.の項を、 「年次報告」として冊子を作成し保存する。 (技術の伝承・保存) ニ.実践教育支援センターの広報的業務に関すること。 (ホームページ等にて) ホ.実践教育支援センター会議の書記、及び議事録の処理に関すること。 庶 へ.実践教育支援センターの予算、親睦に関すること。 務 ト.実践教育支援センター員の人事記録に関すること。 チ.その他必要な事項。 - 59 - 資料集 技術系職員の民間企業等派遣研修実施要領 (平成18年11月21日 制 定) (趣旨) 第1条 この要領は,松江工業高等専門学校(以下「本校」という。 )における技術系職員の民間企 業等への派遣研修に関し必要な事項を定める。 (目的) 第2条 本校における技術系職員に対し,一定期間勤務場所を離れて民間企業等に派遣し業務を体 験させ,民間企業等における実践的技術並びに業務運営の手法,コスト意識,サービス精神及び安 全管理の徹底等の重要性を学び,今後の職務に反映させることを目的とする。 (対象者) 第3条 研修として派遣することができる者は,実践教育支援センターに所属する技術系職員とす る。 (派遣者の決定) 第4条 派遣職員は,技術長からの推薦により学校協議会で協議し,校長が決定する。 (派遣先) 第5条 派遣先は,本校派遣研修職員受入れの承諾を得た民間企業等とする。 (研修期間) 第6条 研修期間は,原則2ヶ月以内で本来の職務に差し支えのない期間とし,派遣民間企業等と協 議のうえ決定する。 (研修内容) 第7条 派遣先における研修内容等は,派遣民間企業等と協議のうえ適宜定める。 (派遣職員の給与等) 第8条 派遣期間中の給与等については本校から支給する。また,派遣期間中の災害等については, 労働者災害補償保険を適用する。 (研修経費) 第9条 本研修に要する経費は,原則として本校が負担する。 (報告) 第10条 研修修了者は,研修期間が終了したときは直ちに研修レポートを提出しなければならな い。 (記録) 第11条 研修修了者には修了証書を交付し,人事記録に記載する。 附 則 この要領は,平成18年11月21日から施行する。 - 60 - 校長 ◆実践教育支援センター長 田邊 喜一(教授) ◆副センター長 ◆技術長 川見 昌春 ◆技術専門員 内村 和弘 ◇松江高専実践教育支援センター組織図 - 61 - ◆第3技術班主査(兼務) 内村 和弘(技術専門員) ◆第2技術班主査(兼務) 川見 昌春(技術長) ◆第 1 技術班主査 内村 和弘(技術専門員) (技術職員) 山本 八郎(技能補佐員) (技術職員) 福島 志斗 (技術職員) 福田 恭司 奥田 眞一 (技能補佐員) (技術職員) 安食 正太 表 真也 (技術専門職員) 須山 郁夫 (技術補佐員) 三反田 裕太 (技術職員) (技術職員) 泉 大樹 岡田 康 (技術専門職員) 池田総一郎 (技術専門職員) 鴨井 宮田 保 (技能補佐員) (技術職員) 小吹 健志 誠司 (技術職員) 奥原 真哉 本多 将和(技術専門職員) 平成 26 年 10 月 1 日 資料集 資料集 平成 26 年度 内務部会・推進室担当一覧 ・内務部会 環境センター 地域共同テクノセンター 学科長・センター長会議 技術長 岡田康 技術長 技術職員昇任審査 WG 技術職員選考 WG 教育機器整備合同 WG 実践教育支援センター長 実践教育支援センター長 技術長 技術長 産学連携 WG 教育情報公表 WG 外部資金受入審査 WG 技術長 川見昌春 実践教育支援センター長 防火・防災対策 WG e-ラーニング WG 情報ネットワーク WG 技術長 池田総一郎 岡田康 岡田康 池田総一郎 イベント WG 本多将和 安全衛生委員会 学術情報委員会 技術長 小吹健志 岡田康 技術長 情報セキュリティ管理委員会 FD/SD(Faculty & Staff Development)委員会 技術長 情報セキュリティ推進委員会 技術長 川見昌春 内村和弘 岡田康 池田総一郎 ・推進室 ラーニング/ティーチングによる 人材育成 人材育成 学力向上 (3 次元 CAD 講座) (メカトロニクス講座) 岡田康 福島志斗 内村和弘 内村和弘 人材育成 ネットワーク管理者育成 (先端加工機演習講座) 本多将和 小吹健志 川見昌春 池田総一郎 奥原真哉 岡田康 - 62 - 資料集 平成 26 年度 実践教育支援センター会議 議事録(抜粋) 第 1 回 平成 26 年 4 月 7 日(月) 16:00~17:00 場所:会議室 ・ 奨励研究(採択 1 件) ・ 評価委員会 業務分担、緊急連絡網について ・ 支援委員会 業務分担、技術支援・製作依頼の報告、実験実習費の予算案について ・ 研修委員会 業務分担、当センターの研修会の開催時期について ・ 平成 24 年度 実践教育支援センター報告集について ・ 実践教育支援センター研修会の案内 第 2 回 平成 26 年 5 月 1 日(木) 16:20~17:00 場所:会議室 ・ 平成 26 年度 概算要求(5 号棟講義室拡張,工場屋根改修,第 2 体育館耐震) ・ 平成 27 年度 概算要求(基幹環境整備,図書館情報センター改修) ・ 共用スペースの運用 ・ 技術相談 ・ 松江観光協会の水燈路 第 3 回 平成 26 年 6 月 12 日(木) 13:30~14:15 場所:会議室 ・ 専攻科の学則改正 ・ 電気工学科の名称変更について ・ 松江テクノフォーラムの事業計画 ・ 研究費の執行について 第 4 回 平成 26 年 7 月 7 日(月) 13:30~14:00 場所:会議室 ・ 電気工学科が電気情報工学科へ名称変更、文科省で承認 ・ 松江高専の呼称について ・ テクノセンターへの技術相談方針 ・ 環境内部監査からの連絡事項 第 5 回 平成 26 年 8 月 8 日(木) 15:00~15:30 場所:会議室 ・ 在外研究員候補者について ・ 推進室の変更 ・ 実践教育支援センター工作室の床張り替え - 63 - 資料集 第 6 回 平成 26 年 9 月 12 日(金) 13:10~14:00 場所:会議室 ・ 土木系技術職員の採用 ・ 実習工場の廃棄、再利用について 第 7 回 平成 26 年 10 月 3 日(金) 13:30~14:00 場所:会議室 ・ 教育充実設備費、機器整備費について ・ 編入学試験結果 ・ 50 周年記念イベントについて ・ 冬の工作教室 第 8 回 平成 26 年 11 月 7 日(金) 13:30~14:00 場所:会議室 ・ 学校ホームページの変更 ・ 施設整備委員会教育整備費について ・ 第 2 回人事評価制度研修会について 第 9 回 平成 26 年 12 月 12 日(金) 13:30~14:00 場所:会議室 ・ 下校時間ゲート開放時間延長の試行について ・ 推進室の取り組み ・ 冬季合宿研修の実施について 第 10 回 平成 27 年 1 月 15 日(木) 11:00~11:30 場所:会議室 ・ AED の設置場所 ・ 実験指導書について ・ 出張申請 第 11 回 平成 27 年 2 月 5 日(木) 9:30~9:50 場所:会議室 ・ 松江市との連携・協力に関する協定について ・ 松江市立図書館との相互協力について ・ 施設整備費補助金概算要求事項、営繕要求事項 ・ 環境整備活動日、教育研究環境整備活動日について 第 12 回 平成 27 年 3 月 9 日(月) 13:30~14:00 場所:会議室 ・ 電気工学科名称変更による教育目標と規則の変更 ・ 学業成績評価等の規則変更、校門のゲート開放時間 ・ 出張授業の企画 ・ 工場および工作機械のメンテナンスについて - 64 - 写真集 中国・四国地区国立大学法人等技術職員研修 - 65 - 写真集 工作教室 金属を溶かしてみよう キレイな音色の Wind-bell をつくろう! - 66 - 写真集 工作教室 タッチで電子ピアノを作ろう! アクリル行灯を作ろう! - 67 - 写真集 工作教室 巨大まつぼっくりツリー パスタで橋を作ろう!! - 68 - 取得資格一覧 取得資格一覧 平成 27 年 3 月現在 取得資格 測量士補 情報セキュリティスペシャリスト 第 1 種情報処理技術者 第 2 種情報処理技術者 第 3 種電気主任技術者 第二種電気工事士 電話級無線通信士 第 1 級陸上特殊無線技士 1 級土木施工管理技士 2 級土木施工管理技士 甲種火薬類取扱保安責任者 甲種危険物取扱者 乙種危険物取扱者 4 類 技術士補(建設部門) 技術士補(情報工学) コンクリート技士 1 級技能士(機械組立仕上げ) 2 級技能士(普通旋盤作業) 2 級ボイラー技士 アーク溶接等業務特別教育 クレーン運転業務特別教育 床上操作式クレーン運転業務特別教育 小型移動式クレーン運転業務特別教育 研削といし取替等業務特別教育 動力プレスの金型等取扱業務特別教育 粉塵作業特別教育 高所作業車運転業務特別教育 ガス溶接技能講習終了 フォークリフト運転講習 玉掛技能講習 有機溶剤作業主任者技能講習 酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習 第 1 種衛生管理者 職業訓練指導員免許 - 69 - 人数 3 1 1 1 2 4 1 1 1 1 1 1 3 1 1 1 1 1 1 8 4 1 1 7 6 8 1 9 4 7 1 1 1 4 編集後記 平成 26 年度は、技術長に川見昌春氏が就任し、新体制のスタートとなりました。10 月には、新規 採用として第 3 技術班に表技術専門職員を迎えました。そして、年度末には、松江高専実践教育支援 センター初となる博士の学位を、2 名の職員が取得しました。これは、お二人の研究者としての非常 に高い能力が認められた結果であり、とても大きな刺激をうけました。 私見ですが、報告集編集に当たり、改めて取組む業務分野の広さを感じました。私たち技術職員の 仕事は、時と場合により経営者、研究者、営業職、設計者、技能者、教育者へと変身しなければいけ ません。とても裾野が広く、まるで高く険しい山のように感じます。最近、その山の状況がとても怪 しくなっている気がしますが、裾野ばかりを散歩していては、そのうち目的を見失いそうです。山頂 を極めるため、無理の無い日々の地道な努力と、冷静な判断、勇気ある行動が必要であると改めて感 じました。 最後に、平成 26 年度実践教育支援センター事業報告集発行にあたり、ご多忙にもかかわらずご協 力いただいた皆様方に、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。 編集責任者:小吹 健志 平成 26 年度 松江工業高等専門学校 実践教育支援センター事業報告集 発 行:松江高専実践教育支援センター 評価委員会 発 行 日:2015 年 12 月 21 日 編集委員:池田 総一郎 内村 和弘 表 真也 小吹 健志 福島 志斗 連 絡 先:〒690-8518 島根県松江市西生馬町 14-4 Tel:0852-36-5135 E-mail:[email protected] http://www2.matsue-ct.jp/tech/ (HP から過去の報告集 PDF がダウンロードできます) - 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