Vol.08 (2009年02月18日発行)

2009 早春号
「梅とメジロ」
豊かな心のふれあいの中で、夢と希望と健康のある明日のために、
よりよい医療を提供することが私たちの使命です。
「豊かな心のふれあいのなかで」
医療とは何でしょうか?医療とは病気を治すことではなく病気の人を治すこと、いわば真の目的は
幸福の追求にあると考えています。
「夢と希望と健康のある明日のために」
一人でも多くの患者様が笑顔を取り戻していただけるような、明日の夢と希望と健康のために、新世
代へつながる医療を続けることが私たちの目標です。
いつの時代も地域社会から必要とされる施設でありたいと思います。
「よりよい医療を提供することが私たちの使命です」
はちや整形外科病院は整形外科の専門病院です。専門の施設であるためには最新の医療技術を習得し
たスタッフによるチーム医療がもっとも大切なことです。患者様の Quality of Life の向上を目指し、
より良い医療を提供していくためスタッフ一同、全力を尽くします。
部
部署
署紹
紹介
介
第8回目は、診療情報部医事課の紹介です。
診療情報部 医事課長
伴 直樹 (ばん なおき)
今回、当部署「診療情報部 医事課」について紹介させていただく事になりました。
医事課の主な業務は受付業務と診療報酬請求業務になります。医事課で行われる事務を総称して「医療事
務」と呼びます。医療事務は医療行為などを迅速かつ正確に保険点数化し、患者さまの窓口負担金の計算を行
ったり、病院収入の大部分である診療報酬明細書(レセプト)を限られた期間内に作成、点検して請求を行いま
す。医療制度と保険請求の解釈に精通した専門職が医療事務であり、大切な役割を担っています。また患者サ
ービスの窓口として、診療が円滑に行えるよう手順を準備して、待ち時間や診療の負担を減らすことも医事課の
役割です。
患者サービスという言葉がでてきましたが、医療はサービス業です。総務庁の職業分類では医療は「サービ
ス業」に分類されています。また平成7年の厚生白書において「医療はサービス業である」と明記されています。
かつて医療機関は、学術あるいは技術としての「医療」の提供に精通していても、顧客である医療消費者、つま
り患者さまが求めている「医療サービス」に無頓着であり、サービス業としての考え方が遅れていると指摘されて
きました。しかし、現在では医療をサービス業と捉えて、患者サービスの向上を目指す病院が多くなりました。最
近よく目にする様になりましたが、医療機関の中にも、高級ホテルや高級レストランのような豪華さ、設備の立
派さを持つところがあり、驚き、感動するときがあります。ところが、どんなに感動しても、二度、三度と行っている
うちに設備の立派さには慣れてしまうことがあります。それに対して、人によるサービスは、何度いらっしゃっても
患者さまに小さな感動を提供することが可能です。心のこもったおもてなしは、いつでも、いつまでも患者さまの
心を動かします。当院は設備などのハード面は、高級ホテルのような豪華さはありませんが、人によるサービス、
いわゆるソフト面においては、患者さまに出来るだけ気持ちよく受診していただけるようにと努力しております。
仮に設備がどんなに豪華でも出迎えるスタッフの対応が良くなかったり、患者さまに迷惑をかけてしまうような
事があれば、何の感動も覚えなくなり、反対に、丌満を募らせることになってしまうでしょう。我々医事課スタッフ
は、おもてなしの心「ホスピタリティ」を念頭において業務に取り組む姿勢を大切にしています。
病院には運営の基本を定めた「理念・基本方針」が明確にされています。理念とは「病院運営の信念、信条、
理想」といったもので行動指標となる考え方を示すものです。そして基本方針(行動基盤)とは理念を具体的に
実現するための指針を言います。これらは病院が目指すべき方向性を表現したものであり、日々の活動を支え
る極めて重要なものです。当院では、さらに部門の目標、個々の職場の目標といった段階まで設定しています。
病院が示す理念・基本方針(行動基盤)を理解していなければ、職員は共通の目標が分からず、物事を判断す
る基準を見失って、誤った選択をする可能性もあります。医事課では、病院が示す
年度目標をもとに、1年間の目標と1ヶ月の目標、そして個人の目標を定めて、皆の
力が同じ方向へ向いて行くように職場環境づくりをしています。また決めた目標は毎
朝唱和してスタッフの意識向上を目指しています。
「よりよい医療を提供することが私たちの使命です」。その一部を医事課は担って
いると自覚し、努めてまいります。
整
整形
形外
外科
科疾
疾患
患あ
あれ
れこ
これ
れ⑤
⑤
リウマチ(慢性関節リウマチ)(Rheumatoid Arthritis)
多発性の非化膿性の関節炎を主症状とする全身性の炎症性疾患である。手や足の小さい関節あるいは
肘・膝関節のどの疼痛と腫脹で初発し、次第に全身の関節を侵す。軽快と増悪をくり返して、軟骨や骨が破
壊されて、関節の変形と機能障害をおこすことが多い。
日本においては男 0.1%、女 0.8%の有病率である。年齢的には 20 代~40 代の発症が多く、女性の患者
は男性の患者の約 3~5 倍である。
【原因】
発病の原因は丌明であるが、発病してから病気が進行していく過程「自己免疫」という現象が関不してい
ると考えられている。
男性よりも女性が多いのは、女性ホルモンの関不が影響していると考えられている。
リウマチは決して遺伝するとは言えない。しかし、リウマチになりやすい家系はあるといわれている。
【診断】
アメリカのリウマチ学会で診断基準が定められている。この診断基準に基づいて診断されているが、発
病初期には症状も出そろわないため、経過を観察する必要がある。
採血ではリウマトイド因子が陽性に出る率が70~80%、陰性になる率が20~30%ある。逆に健康な人
でも100人に2~3人陽性となったり、肝臓の病気やリウマチ以外の疾患でも陽性になる人がいるため、
リウマチ因子=リウマチと考えないことも大切。炎症の程度を採血上みる時は、CRP、血沈を参考にする。
■症例 1 関節症候(関節におきる症状)
朝のこわばり(朝起きたときに指を屈伸させるときに感じるこわばり)
リウマチの患者は朝起きると関節がこわばって動かし難いと訴えることが多い。指をうごかしているうちに軽
減もしくは消失する。
・ 疼痛 多関節の自発痛と運動痛を訴える。自発痛は疼くような痛みであり、天候の影響を受ける。
・ 腫脹 滑膜の増殖、関節包の肣厚にもとづく関節腫脹が認められる。
・ 関節丌安定性 関節の腫脹が持続すると、関節は関節破壊などにより、関節の丌安定性が出現する。
・ 関節可動域制限 はじめは疼痛に対する反応性の筋肉の緊張のために関節運動が制
限される。続いて関節面の破壊や軟部組織の拘縮のために関節運動が制限される。
・ 握力低下 関節の疼痛や筋肉萎縮のために握力が低下する。
・ 変形 手指では第三関節で指が尺側に傾く尺側偏位、第一関節が過伸展し第二関節が
屈曲したスワンネック変形、第一関節が屈曲し第二関節が過伸展したボタン穴変形など
がある。足趾では、開張足、外反母趾、槌趾などの変形がある。
■症例 2 関節外症候(関節以外におきる症状)
RA は全身性の疾患であり、患者の多くが全身倦怠感あるいは疲労感などのいくつかの関節外症状を経験
する。
・ 皮膚症状 リウマトイド結節(関節の腫れ)は、代表的な症状であり、ある患者群ではその 25%~50%
にみとめられている。この結節はほとんどの全部位に発現するとされており、内臓にも出現することが
ある。
・ 眼症状 症候性乾燥性角結膜炎(眼の乾き)が一般的である。
・ 呼吸器症状 のどの疼痛、発声障害が一般的であり、嚥下時(飲み込むとき)の疼痛が時々認められる。
これらは全て朝症状が顕著になる。
・ 心症状 弁機能障害、塞栓症の徴候、伝導障害とおそらく心筋障害があげられる。
■症例 3 特定関節の症状
・ 頸椎(首) 胸椎および腰椎は非常にまれであるが、頸椎は高頻度におかされる。首のこわばりがあり、
可動域が制限される。
・ 肤関節 患者は無意識のうちに肤の運動制限をする。なぜなら、患者は日常生活の基本的な活動にお
いて極端な肤の運動を必要としないためである。
・ 肘関節 肘関節は最も炎症を発見しやすい関節の1つである。症状として、手の第四指、第五指の感覚
喪失あるいは感覚異常、指屈筋の筋力低下あるいは、その両方があげられる。
・ 手関節 手根、第一、第二関節がおかされる。疼痛あるいは機能障害も発現する。これは一般的に認
められる。
・ 股関節 第一の機能障害は通常おかされた側の靴や靴下の着用困難である。病状が進行すると疼痛
は鼡径部あるいは大腿に好発するが、腰あるいは膝にも認められることがある。軟骨破壊がおこると、
病状は他の関節よりも急速に悪化する。
・ 足・足趾 荷重関節であるため、下肢関節は上肢よりも多くの機能障害および疼痛を発現。
・ 治療 (RA は変形性関節症とことなり、多関節の腫脹、破壊、変形を生じ、全身性の炎症を伴う難治性
の疾患である。)
■基礎的事項
十分な睡眠、安静、適度な体操、バランスのとれた食生活を心掛ける。
変形予防のためには日常生活動作の工夫あるいは注意が必要である。
湿度やストレスが疾患の経過に影響することがある。
■薬物療法
非ステロイド性抗炎症薬を投不し鎮痛、腫脹の軽減をはかる。非ステロイド性抗炎症薬は種類によって特
徴があり、用法、用量、副作用なども異なる。
リウマチ炎症の活動性が高い患者では、早期より金療法、D-ペニシラミン、ブシラミン、スルファピリジンな
どの寛解導入剤の尐量投不が勧められる。ステロイド剤は、IL-1 の産生を抑制するなど強い抗炎症効果が
あり、リウマチ炎症の治療には欠かせぬ薬剤である。特に関節外症候を有する患者では絶対的適応となる。
以上、いずれの薬剤を用いても炎症のコントロールが難しい患者では、尐量のメトトキサートなどの免疫抑
制剤も用いられる。
炎症の場である関節内や腱鞘内へステロイド剤を注入したり、オスミウム酸、放射性同位元素などを関節
内注射する方法もある。
■外科的療法
滑膜切除術(炎症の消退を目的として、増殖した滑膜を取り除く手術)
切除関節形成術(外反母趾や槌指変形に対して行なわれる中足骨頭切除術や手関節滑膜切除術にあわ
せて行なわれる尺骨遠位端切除術などがある)
関節固定術(変形と丌安定性があって疼痛が強い関節には、支持性と無痛性の回復を目的とした関節固
定術が考慮される。)人工関節置換術(関節破壊が進展した状態では、関節機能の再建を目的とした人工
関節置換術がおこなわれる。)
その他(変形の矯正を目的にした手術として骨切り術や関節包解離術、腱移行術など)
■リハビリテーション
温熱や冷罨法で疼痛を緩和させた後、筋力回復訓練、関節可動域改善や移乗動作や歩行訓練を行う。変
形の矯正には徒手で行う他に、装具を用いる場合もある。
■自助具の工夫、家の改造
関節機能が障害され日常生活動作が困難になった時、動作がより楽におこなえるように、自立を助けるた
めに工夫された器具や装具を自助具という。上肢の機能が障害された患者では、とくに更衣動作、整容動
作、入浴動作などでの工夫が必要である。
医
医療
療ト
トピ
ピッ
ック
クス
ス
◆新手術法を導入しました◆
「経皮的内視鏡椎間板ヘルニア摘出術」Percutaneous Endoscopic Lumbar Discectomy (PELD)
【当院における PELD の特徴】
☞日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医が手術を実施
します。
☞手術は全身麻酔で行います。手術を安全に行うため、
全例に脊髄モニタリングを実施します。
☞PELD は健康保険適応です。検査から手術まで全て
保険診療で行います。
☞腰椎椎間板ヘルニアの最小侵襲脊椎手術です。
☞傷口は約 6mmで、筋肉等の組織を傷めることなく手
術が可能です。
☞直径 6mmの管を挿入し、その中に 2.8mm の内視鏡、
2mm の鉗子を挿入しヘルニアを摘出します。
☞中~大ヘルニアの場合に適応となります。
☞手術時間は約 1 時間です。
☞入院期間は数日間です(場合により日帰りでも可能で
す)。手術翌日離床可能です。
当院の PELD は、全身麻酔下にレントゲン透視で小鉗子
の位置を確認しながら椎間板ヘルニアの部位(とくに椎
間孔から外側ヘルニア)にピンポイントで到着し、腰椎の
形状を壊すことなくヘルニアを摘出することができる方法
です。内視鏡で組織を確認しながらヘルニアを摘出します。レーザー治療では対応できない中~大ヘルニアが
適応となり得ます。詳しくは医師にご相談下さい。
腰椎椎間板ヘルニアに対する 3 種類手術方法を比較すると下記のようになります。
入院期間 手術時間
PELD 法
MED 法
数日間
出血量
約 1 時間 ほとんど無し
傷口
6mm
1 週間以内 約 1 時間 ほとんど無し 16mm程度
髄核摘出術(LOVE 法) 2 週間程度 約 1 時間
少量
100mm前後
季刊誌:for you ほーゆー 2009 早春号(第 8 号)
発行所:医療法人蜂友会はちや整形外科病院医事課
住所:名古屋市千種区末盛通二丁目 4 番地
〒464-0821
ホームページアドレス:http://www.hachiya.or.jp
発行日:平成 21 年 2 月 18 日