カリキュラムガイド (PDF 3.3MB) - 仙台広域圏 ESD・RCE

2007 年度環境省 ESD 促進事業
仙台広域圏学びあいセミナーテキスト
No.1
気仙沼市教育委員会編集
『気仙沼市環境教育 ESD カリキュラムガイド』
<第1版>
仙台広域圏 ESD・RCE 運営委員会
気仙沼市教育委員会
「気仙沼市環境教育・ESDカリキュラムガイド」目次
第1章 環境教育の基本
1 環境教育の重要性と目的
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
(1)環境教育の重要性 ~ なぜ今環境教育なのか
(2)環境教育の目的
2 環境教育を取り巻く状況 ~これまでの経緯と現状~・・・・・・・・・・・・ 2
(1)国際的な取組
(2)我が国の取組
第2章 気仙沼市における環境教育の基本理念
1 気仙沼市における環境教育の歩み
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
(1)地域における環境活動・環境教育の展開
(2)学校教育(公教育)における環境学習・環境教育の展開
(3)「持続可能な開発のための教育」(ESD)の推進と「地域の拠点」(RCE)の形成
(4)気仙沼市の取組の発信と評価
2 気仙沼市環境基本計画
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
(1)環境将来像
(2)基本構想
(3)計画の目標と施策の方向性
3 気仙沼市環境教育基本方針
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
4 環境教育で育てたい人間・児童・生徒の姿 ・・・・・・・・・・・・・・・・11
(1)環境教育で目指す人間像
(2)環境教育で目指す児童・生徒像
第3章 気仙沼市の環境教育カリキュラムの視点
1 気仙沼市の環境教育全体構想
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
2 気仙沼市の環境教育カリキュラムの開発の視点 ・・・・・・・・・・・・・・12
【視点1】発達段階に応じた体系的な環境教育カリキュラムの開発 ・・・・・・・・・・・・・ 12
(1)環境教育で育成すべき資質・能力の段階と定義
(2)発達段階に応じた資質・能力の育成~発達段階能力マトリックス
(3)小学校・中学校・高等学校を通した系統的な環境教育の実践
【視点2】地域に根ざした探究型学習プログラムの作成
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
(1)気仙沼市における環境教育素材
(2)地域及び専門機関等との連携の構築
【視点3】海外との連携・交流による国際環境教育の推進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
(1)テキサス州カリスバーグ校との連携(面瀬,鹿折小,面瀬中,気仙沼高校)
(2)ユネスコ協同学校
【視点4】ICTや英語を活用したコミュニケーション型環境教育の展開 ・・・・・・・ 17
(1)インターネットテレビ会議,デジタルコンテンツ等を活用した環境学習の事例
(2)英語でのコミュニケーション活動を通した環境教育
第4章 小学校における環境教育の展開
1 「新学習指導要領」の環境教育の方向性
・・・・・・・・・・・・・・・19
〜「中央教育審議会教育課程部会におけるこれまでの審議のまとめ」
にみる環境教育(ESD)
2 教科における環境教育 〜各学年の「環境教育関連単元配列の例」 ・・・・・21
(1)教科における環境教育の重要性
(2)環境教育関連単元配列の例(一覧表)
3 総合的な学習・生活科を基軸とした環境教育モデルプログラム ・・・・・・・28
(1)総合的な学習・生活科を基軸とした体系的環境教育カリキュラム開発の必要性
(2)総合的な学習・生活科を基軸とした環境教育モデルプログラム
①1年生の環境教育モデルプログラム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29
②2年生の環境教育モデルプログラム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33
③3年生の環境教育モデルプログラム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 38
④4年生の環境教育モデルプログラム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 43
⑤5年生の環境教育モデルプログラム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 48
⑥6年生の環境教育モデルプログラム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 52
< 事例集 > 地域素材を生かした環境学習プログラム事例集 ・・・・・・・・56
<参考文献>
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・65
第1章
1
環境教育の基本
環境教育の重要性と目的
(1)環境教育の重要性
~
なぜ今,環境教育なのか
私たち人間は,有史以来,地球を舞台に自然の様々な恩恵を受け
て,社会生活を営んできた。しかし,近年の急速な科学技術の発達
とともに,快適な生活を追い求めるあまり,「大量生産・大量消費」
のライフスタイルのもとで,自然環境の破壊や資源の浪費を繰り返
してきた。その結果,今日,地球上には,地球温暖化,野生生物の
絶滅,熱帯雨林の破壊,砂漠化,オゾン層の破壊,酸性雨被害,大
気や水,土壌の汚染など,地域及び地球規模での様々な環境問題が生じるに至った。今や,私たち
の社会生活は,この地球環境の危機的な状況のもとで持続不可能なものとなってきている。
今こそ,私たちは目先の利益や現在の生活の維持だけにとらわれた考え方ではなく,一人一人が
環境との関わりについて理解を深め,豊かな自然の価値についての認識を高めて,環境を大切にし
ていこうとする心をもつとともに,環境に配慮した生活や責任ある行動を実践していくことが求め
られている。また,環境問題を引き起こしている社会経済の仕組みを理解することにより,環境に
配慮した持続可能な構造へと変革していく努力も求められている。
このような状況を踏まえ,私たちが未来の人類(子孫)のために,
「持続可能な社会」の実現に向
けて,地球環境と人間社会との調和をどのように形成していくか,地球規模の視野から考えていか
なければならない。そのために,生態系など自然界の仕組みと環境問題の本質を理解して,現代社
会に山積する課題を解決し,積極的に適切な行動をとれる人材を広く育成・輩出して,現代の社会
を持続可能なものへと変革していくことをめざす環境教育の重要性は高まるばかりである。
こうした中で,平成18年(2006 年)12月22日に公布・施行された改正後の教育基本法にお
いて,教育の目標の一つとして,
「生命を尊び,自然を大切にし,環境の保全に寄与する態度を養う
こと。」(第2条第四号)とする規定が新たに盛り込まれたことは,今日の教育において,環境教育
の重要性と必要性がますます高まっていることを,国の方向性として,はっきりと示すものである。
(2)環境教育の目的
環境教育の必要性が世界的に認識されるきっかけとなった会議は,1972 年の「国連人間環境会議」
(ストックホルム会議)で,その後,環境教育を大きく推し進めたのが,1975 年ベオグラードで開
催された「国際環境教育専門家会議」(ベオグラード会議)と 1977 年にトビリシで開催された,「環
境教育政府間会議」(トビリシ会議)である。これらの国際会議や国際宣言等を踏まえて,国際社会
においては,環境教育について「環境問題の解決に向けて市民としての役割と責任を行動で表せる
人材を育成する教育」という共通認識をもっている。
ベオグラード憲章では,環境教育の目標を,私たち一人一人が意識を改革し行動を喚起する必要
性を明らかにしたうえで,行動に至るまでの必要な目標段階として「関心,知識,態度,技能,評
価能力,参加」の6つを示している。これが,トビリシ宣言では,社会的な団体と個人の両方を対
象として,
「気づき,知識,態度,技能,参加」の5つに整理された。これらの中で,環境教育の目
的は,「環境問題に関心をもち,環境に対する人間の責任と役割を理解し,環境保全に参加する態度
と環境問題解決のための能力を育成することである」と明確に示されている。
また,日本では,平成15年(2003 年)7月25日に「環境の保全のための意欲の増進及び環境
教育の推進に関する法律」が公布された。さらに,この法律に定められた事項を進めるために,平
成16年(2004 年)9月には「環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する基本的
な方針」が閣議決定された。この基本方針の中で「環境教育の目指す人間像」として,「環境教育に
ついては,知識の取得や理解にとどまらず,自ら行動できる人材をはぐくむことが大切です。環境
教育を通じて,人間と環境との関わりについての正しい認識に立ち,自らの責任ある行動をもって,
持続可能な社会づくりに主体的に参画できる人材を育成することを目指します。こうした人材は,
家庭や地域社会の一員としての責任を持って環境に配慮した生活や活動を進め,また,事業又は仕
事として環境問題に積極的に取り組むことが期待されています。
」と示している。
このようなのことを踏まえ,環境教育とは,
「環境や環境問題に関心・知識をもち,人間活動と環
境とのかかわりについての総合的な理解と認識の上にたって,環境保全に配慮した望ましい働きか
けのできる技能や思考力,判断力を身に付け,持続可能な社会の構築を目指してよりよい環境の創
造活動に主体的に参加し,環境への責任ある行動を取ることができる態度を育成すること」※1と
とらえる。
※1「環境教育指導資料(小学校編)」国立教育政策研究所教育課程研究センターより
2
環境教育を取り巻く状況
~これまでの経緯と現状~
(1)国際的な取組
環境問題を解決していくためには,地球規模の視野が必要であり,世界各国が一丸となって取り
組まなければならないとの認識のもと,幾度となく国際会議が開催された。
この背景には,世界各国が,今の社会とは資源や食糧,医薬品の原料といった自然からの恵みを
無計画に使う過剰消費型社会であり,このままでは末永くは続かないことを認識したことがある。
1960年代には,世界各地で開発と工業化が急激に進んだことにより,数々の環境問題が噴出し,
私たちが依存する自然資源が枯渇するという予測が立てられていた。
このままでは人類の存続そのものが危ぶまれたことから1972年スウェーデンのストックホルムで
「国連人間環境会議(ストックホルム会議)
」が開催された。114カ国の代表が臨んだこの会議の
中で「人間環境宣言(ストックホルム宣言)
」が採択された。
その後,環境教育を大きく推し進めたのが,1975年旧ユーゴスラビアの首都・ベオグラードで開
催された「国際環境教育専門家会議(通称,ベオグラード会議)
」とその2年後の1977年に,旧グル
ジヤ共和国の首都・トビリシで開催された,環境に関する世界初の政府間会議である「環境教育政
府間会議(通称トビリシ会議)である。環境教育を推進するために各国が経済の利害を超えて賛同
したという点で,非常に成果のある会議とされている。
地球環境の悪化を危惧して,1992年ブラジルのリオデジャネイロで開催された「環境と開発に関
する国連会議(通称,地球サミット)」は,参加179カ国と史上最大規模のものとなった。この会
議は,国連人間環境会議の宣言の再確認と発展を目指したものであり,「持続可能な開発(Sustaina
ble Development)」がキーワードとなった。この会議では「環境と開発に関するリオ宣言」が採択
された。また,この中で採用されたアジェンダ21の第36章「教育,意識啓発および訓練の推進」
は,トビリシ会議の宣言と勧告に則り作成されている。
2002年南アフリカ共和国で開催されたヨハネスブルグサミットには世界各国の首脳,関係閣僚,
国際機関の長が参加し,日本からも小泉首相はじめ500名の政府代表団と,約400名のNGOなど
が参加した。この会議ではアジェンダ21及びリオ宣言の実施を促進するための内容を含んだ「持
続可能な開発に関するヨハネスブルグ宣言」が示された。このサミットにおいて,実施計画を議論
する過程で,我が国より,「持続可能な開発のための教育の10年」(Decade of Education for
Sustainable
Development=DESD,通称 ESD の10年)を提案し,各国の政府や国際機関の賛同
を得て,実施計画に盛り込まれることとなった。
このことをふまえ,我が国は,2002年の第57回国連総会に,2005年
から2014年までの10年間を「国連持続可能な開発のための教育の10
年」(以下,ESD の10年)とする決議案を提出し,満場一致で採択さ
れた。この国連決議に基づき,「ESD の10年」の推進機関として指名
されたユネスコにより,2005年9月に国際実施計画が策定され,それを
受けて2005年から各国がそれぞれ「国内実施計画」を策定し,「ESD の
ヨハネスブルグサミット
10年」に取り組むこととなった。
また,これと歩を同じくして,国連の専門機関である国連大学(本部:東京)が,ESD を地域レ
ベルから地球レベルに普及・推進することを目的に,世界で優れた ESD と取組を行っている地域
をモデルとして設定する「国連・持続可能な開発のための教育に関する地域の拠点(Regional Cent
res of Expertise on Education for Sustainable Development)」(以下,RCE)づくりを提唱して
いる。2005年には気仙沼市が一翼を担う仙台広域圏を含む,世界7カ所(Initial
7 ※2)がRCEと
して認定され,2008年当初では,世界で約50地域がRCEとして認定されている。
※2
2005年6月認定されたのRCEのファーストグループ。以下の世界7地域が認定された。
・仙台広域圏(気仙沼市,仙台市,旧田尻町)
・岡山地域
・ペナン地域(マレーシア)
・太平洋諸島地域(フィジーなど)
・ライン・ミューズ地域(オランダ,ベルギー,ドイツ)
・バルセロナ地域(スペイン)
・トロント地域(カナダ)
(2)我が国の取組
年々複雑化・地球規模化する環境問題に対応するため政府は1993年環境基本法を制定した。これ
は日本の環境政策の根幹をなす法律であり,現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄
与することを目的としている。この基本理念には環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の
構築があげられており,環境の保全に関する教育及び学習の振興についても明記されている。
地球温暖化や廃棄物問題,身近な自然の減少など,現在の環境問題を解決し,持続可能な社会を
作っていくためには,行政のみならず,国民全体が積極的に環境保全活動に取り組むことが必要で
ある。
2003年には,国として環境教育を推進し,環境の保全についての国民の意欲を高めていくことを
目的に「環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律(通称,環境教育推進法)」
を制定するとともに,2004年には,この法律に定められた事項を推進するために「環境の保全のた
めの意欲の増進及び環境教育の推進に関する基本的な方針」を閣議決定した。
一方,政府は,2005年から日本が提唱した「国連持続可能な開発のための教育の10年」がスタ
ートしたことを受けて,その推進に向け関係行政機関の連携を図るため,各省庁の壁を越えた「関
係省庁連絡会議」を内閣に設置し,国内実施計画を策定した。また,2008年には,この実施計画の
評価と今後の更なる推進に向けた協議を行うため,政府関係省庁連絡会議「ESD 円卓会議」を開催
している。この円卓会議は,国内の ESD を推進する各分野の代表者と政府関係11省庁の担当者
から構成されるが,唯一の自治体代表者として,気仙沼市からも招聘されている。
各省庁レベルでも,この計画に基づき,ESD を推進するため様々な施策を展開している。
環境省は「国連持続可能な開発のための教育の10年促進事業」の実施地域を募集,以下の10
地域を採択した。この事業にも,仙台広域圏として気仙沼市の取組が含まれている。
・北海道石狩郡当別町
・仙台広域圏・宮城県全体(気仙沼市を含む)
・江戸前の海(羽田から船橋に至る東京湾奥部)沿岸地域
・山梨県北杜市須山町増富地域交流振興特区
・静岡県三島市・その周辺地域
・愛知県春日井市(高蔵寺,廻間町,石尾台地区など)
・大阪府豊中市
・兵庫県西宮市
・高知県幡多郡大月町柏島
・北九州市
また,文部科学省及び日本ユネスコ国内委員会は,国際社会における ESD の一層の推進を図る
べく国連のユネスコに対し『
「持続可能な開発のための教育の10年」の推進に向けたユネスコへの
提言』を2007年8月の国内委員会で採決を経て,同9月パリで開催されたユネスコ総会にドイツと
共同で提案した。この提言は,圧倒的多数で採択され,ユネスコ加盟国193か国に送付された。
この提言には「日本における主要な取組事例」が添付されており,その中には気仙沼市の「面瀬小
学校の連携システム」と宮城教育大学と共催で行った「サテライト教員研修」の2つの事例がモデ
ルとして盛り込まれていた。
第2章
1
気仙沼市における環境教育の基本理念
気仙沼市における環境教育の歩み
気仙沼市は,宮城県の北東部,「陸中海岸国立公園」の南玄関口に位置し,美しいリアスの海
岸線を有する水産業と観光の街である。2002年には「環境基本条例」を策定し,持続可能な社会
づくりを原則として,地域の豊かな自然環境を生かした環境教育,食教育,防災教育等の特色あ
る活動を展開している。
また,日本有数の遠洋漁業基地として「国際文化水産都市」を標榜し,海外とも積極的に交流
を図りながら国際理解教育を推進している。
(1)地域における環境活動・環境教育の展開
気仙沼市は,三陸海岸のほぼ中央に位置する気仙沼湾や,そこに注ぎ込む大川をはじめとする多
くの河川,さらにその源流を抱える山々など,「森」「川」「海」の豊かな自然に恵まれている。リ
アスの深い入り江を生かし古くから漁業の基地として発展し,水あげされる魚の種類や量の豊富さ
のみならず,波静かな気仙沼湾はカキ養殖,最近ではわかめやホタテの養殖も盛んに行われている。
そのような豊かな自然環境の中で,気仙沼市ではその大切さを実感し,保全するための運動に以前
から取り組んできた。
①「森は海の恋人運動」
1988 年から20年にわたり唐桑地区(旧唐桑町)の漁民を中心に展開し,国内に先駆けて海から
川,そして山へとつながる豊かさのつながりに着目した「森は海の恋人運動」は,今や上流の市町
村にとどまらず全国的な広がりを見せている。カキ養
殖をはじめとする養殖業にとって,豊かな海の生き物
を育むミネラル分を含んだ水は,川からもたらされ,
もとをたどると山間部の豊かな広葉樹林にその源を見
つけることができる。すなわち,山を豊かにすること
がひいては豊かな海の恵みを得ることにつながる。こ
の認識のもと, 上流の市民とともに源流の山に植樹
する活動は,今も継続して行われ,行政や各地の NPO,
大学等も参画するなど国内外からも高く評価されてい
る。
森は海の恋人植樹祭
②「気仙沼スローフード」都市宣言
気仙沼市では早くから地元の水産業や農業に着目し,「食」に
重点を置いたまちづくりを進めていた。「食のまちづくりフォー
ラム」「おいしい地域づくり事業学習会」などのイベントや「プ
チシェフコンテスト」という子どもたちの地元食材を用いた創作
料理コンテストを通じて,恵まれた食材に支えられた食教育を
展開し,地域の「食」の豊かさに対する認識を高めてきた。
そして,2003 年には,全国に先駆けて,
「気仙沼スローフード」
都市宣言を行い,それまでの取組の理念を明確にして,「食彩豊
スローフードの取り組み
~プチシェフコンテスト~
かな地域社会の創造」の方向性を打ち出した。その宣言の前文には,「地域のかけがえのない財産
である風土と食文化を守り,次の世代に伝えていくこと,そして多様性を認め合う心豊かな人間性
を育み,自然と調和する住みよいまちにしていくこと」という,食を中核に自立した「持続可能な
地域づくり」が掲げられている。さらに,宣言の第1に,「地域の豊かな食材を育む海や山,川など
の自然環境を守り,次の世代に引き継いでいきます。」と掲げ,食育の推進のためには,自然環境保
全とそれを支える環境教育が重要であることを強調している。
③「気仙沼自然塾グリーンメイツ」
学校週5日制の開始に伴う児童生徒の地域での活動の補償や,気仙沼地方の豊かな自然を次世代
に引き継いでいこうという目的のもとに,1994 年に市内のボランティアを中心に発足したのが気仙
沼自然塾である。その活動は,青少年の休日における自然観察活動の指導・助言はもちろんのこと,
自然環境保全や自然科学研究に関する啓発活動や情報提供,また,学校をはじめとする地域の各団
体の求めに応じて,学習活動への協力・支援を積極的に行っている。抱える分野は多岐にわたり,
植物,野鳥はもちろんのこと,昆虫や水生生物,地質や天文,物理など,各分野における豊かな知
識や経験を持ったスタッフにより,貴重な体験活動の提供を展開している。
(2)学校教育(公教育)における環境学習・環境教育の展開
①松岩小学校の「教科横断的な環境教育」
気仙沼市では,1996 年から2カ年,松岩小学校が宮城県環境生活部と市教育委員会の指定を受け,
「生活を見つめ,よりよい環境づくりに進んでかかわる児童の育成―横断的・総合的な統合単元に
よる環境教育の指導を通して」という研究テーマで,各教科を統合した教科横断的な環境教育の進
め方について研究を深めた。
②面瀬小学校の「日米協同の国際環境教育」
また,2002 年からは,面瀬小学校が日米教育委員会日本
フルブライトメモリアル基金(JFMF)マスターティーチャー
プログラム(MTP)に選抜されたのを契機に,教員の相互訪
問やインターネットでの交流を通して,グローバルな視点
から生活科及び総合的な学習を中心に日米協同の環境学習
プログラムの開発に着手した。
その後同校は,2003 年に,宮城県教育委員会より「学校活性化プロポーザルモデル事業」の指定
を受け,地域・専門機関・海外との連携強化を図りながら,より広範な協力体制のもとで地域と一
体になった国際環境教育のプロジェクトを推進してきた。2002 年からは米国ウィスコンシン州リン
カーン小学校,2005 年からはテキサス州カリスバーグ小学校とのパートナーシップをもとに,宮城
教育大学等の支援を受けながら,
「水辺環境と人々の生活」をテーマに,学年ごとのペアプロジェク
トを作成・交流して,地球規模での環境教育を実践してきた。この成果は,国内外の専門家や教育
者を招いて 2003 年から4回にわたって開催された「国際環境教育公開研究会」で広く発信され,国
及び国際機関からも注目を集めるとともに気仙沼市の環境教育のレベル向上に貢献した。
③「小・中・高校の連携」による環境教育
さらに,2005 年から,この日米協同の国際環境教育の取組は,面瀬中学校,気仙沼高等学校が参
加した小・中・高校が連携した取組として発展し,2007 年からは鹿折小学校が参加するなど,その
成果は地域の他の学校へも波及している。
今後は,小学校から高校までを見据えて,「自然への感性」か
ら「環境への知性」そして,「地球市民としての行動」というよ
うに各学校レベルの達成目標を踏まえつつ,それに応じた学習
プログラムの開発と実践に挑戦し,持続可能な未来の担い手を
育成する長期的かつ持続的な環境教育の取組に発展させたいと
いう構想を抱いている。
小学生と高校生の磯観察
また,これらの実践を他地域の学校や NPO などが相互に交流・共有する機会を設定することで,
小・中・高校の縦の活動を市全体の取組に広げるように努めている。
(3)「持続可能な開発のための教育」(ESD)の推進と「地域の拠点」(RCE)の形成
①「ユネスコ/日本
アジア・太平洋環境教育研究セミナー」の気仙沼開催
2004 年2月には,それまでの面瀬小学校を核とする気仙沼市の環境教育の実践をベースに,それ
を支援する宮城教育大学と気仙沼市教育委員会は連携して,「ユネスコ/日本
アジア・太平洋環境
教育研究セミナー」(文部科学省,日本ユネスコ国内委員会主催,気仙沼市共催)を気仙沼に招致し
た。これは,オーストラリア,アメリカ合衆国を含むアジア太平洋諸国の環境教育の専門家が招か
れた気仙沼初の環境教育の国際会議で,400人の市民が参加する「オープンフォーラム」や面瀬
小学校の「国際環境教育公開研究会 2004」など4日間の日程で開催された。
②「仙台広域圏 ESD/RCE」への認定
これらの取組が評価され,2005 年6月には国連大学が提唱する「国
連・持続可能な開発のための教育に関する地域の拠点」(RCE)に,
仙台市,旧田尻町とともに「仙台広域圏」として認定された。これは,
同年から世界レベルで「国連・持続可能な開発のための教育」
(ESD)
がスタートするのを受けて,国連大学が世界レベルで ESD を推進す
るために優れた取組をしている地域を,「地域の拠点」(RCE)として
認定し,そのモデルを世界に普及しようというものである。仙台広域
圏は,2005年に日本では岡山市とともに,世界7カ所の最初の RCE
(Initial 7)の1つとして認定されたものであり,その一翼を担う気仙沼市は RCE のモデル(Good
Practice)として国連大学からも高く評価されている。
③「気仙沼RCE推進委員会」の設立
これを受けて,気仙沼市では,モデル地域として ESD の一層の推進を図るべく,2006 年の11
月に「気仙沼 RCE 推進委員会」を設立した。この委員会は,地域の ESD 推進の中核となる組織で,
気仙沼で先進的に環境教育や国際理解教育,食教育,防災教育などを推進する学校や企業,NPO
とそれを支援する博物館,行政,メディアなどの25団体から構成されている。また,同じく 2006
年から,これまでの面瀬小学校を核とする環境教育(ESD)の実践を市内の他の学校や市内全体に
広げるため,市内の小・中・高校の代表者やそれを支援する気仙沼 RCE 推進委員会のメンバー,大
学関係者,パートナー校の米国教員など,地域の環境教育の推進者が一堂に会して,実践の情報交
換や今後の市の取組の方向性について協議する「気仙沼 RCE 環境教育推進会議」を定期的に開催し
ている。これらの活動は現在も継続・発展し,ESD の取組を地域に普及
・啓発することに大きく貢献している。
このように,気仙沼市では,知識ベースとなる地域のネットワークを
構築し,その地域力を生かしながら,より広範な協力体制のもとで地域
と密着した ESD を推進している。
(4)気仙沼市の取組の発信と評価
環境教育を基軸とする特色ある「持続可能な開発のための教育」(ESD)を創造・実現していく
ために,地域や大学などの専門機関と連携し,学習プログラムの開発や実践において必要な専門的
知識や技術を積極的に導入して,子どもの探求心やニーズに応じた深まりのある学習を展開してき
た気仙沼市の取組は,国際舞台でも発信されるとともに内外から高い評価を受けている。
①実践校の発信と評価
面瀬小学校は 2002 年のプロジェクト開始から,数々の国際会議やシンポジウム等でその取組と成
果を発表してきており,今や国際環境教及び ESD の推進校として国内外から高い評価を得ている。
2005 年には,「日本水大賞・文部科学大臣奨励賞」を受賞し,その後も日本及び海外の雑誌やウエ
ブサイト,シンポジウム等で地域や学校の環境教育・ESD の実践事例として数多く取り上げられて
いる。
また面瀬中学校も,小学校の未来都市の学習を発展させて,日本フルブライトモリアル基金「未
来都市コンテスト」で優勝し,生徒が米国で開催されたコンテストに参加して,プレゼンテーショ
ンを行うなど成果を上げている。
一方,気仙沼高校は,このプロジェクトを通した米国テキサス州との交流学習等が評価され,「英
語教育優良学校・文部科学大臣表彰」を受けるとともに,ペアプロジェクトの中核を担う自然科学
部も高校生の科学コンクールで活躍している。
②米国テキサス州議会からの表彰決議
これまでマスターティーチャープログラムを通じて気仙沼市とテキサス州カリスバーグの小・中
・高校とが展開してきた環境をテーマとする国際協同学習は米国でも高く評価されている。2007 年
3月にはテキサス州上院・下院双方で,日米のプログラムを実
践する学校(日本側:面瀬小学校,鹿折小学校,面瀬中学校,
気仙沼高等学校)とそれを支援する宮城教育大学,気仙沼市教
育委員会の業績を称えた「表彰決議」が行われた。また,この
国際協同学習を通して,まだ環境教育や ESD が重視されてい
なかったテキサス州において,気仙沼市の取組を手本に,学校
と地域や大学が連携して ESD を推進するために「地域拠点」
を構築しようとの気運が急速に高まり,それは,2007 年に米国
で2番目の RCE 認定されるという形で実を結んだ。
テキサス州議会(オースティン)
③「国連ユネスコへの提言」にモデルとして掲載
日本国内でも,気仙沼市の環境教育・ESD の実践とそのシステムは高く評価され,政府関係省庁
連絡会議「ESD 円卓会議」をはじめ,数多くの政府レベル会議やシンポジウムに招聘されるととも
に,気仙沼の取組が先進事例として取り上げられている。
2007 年9月には,日本ユネスコ国内委員会(事務局:文部科学省)が,ESD を国際レベルでの
更なる推進のために,国連ユネスコ(本部パリ)に提出した「
『持続可能な開発のための教育の10
年』の更なる推進に向けた UNESCO への提言」の中に,気仙沼の2つの事例が「国内の主要な
取組」として盛り込まれた。1つは,面瀬小学校が環境教育を推進する知識ベースとして構築
した「地域・大学・専門機関との連携システム」(プロジェクト連携推進委員会)であり,も
う1つは,宮城教育大学と連携した行った「環境教育(ESD)の教員研修」(サテライト研修
講座)である。その提言は UNESCO 総会(パリ)で圧倒的多数で採択されるとともに,同時
に UNESCO 加盟国193国に向けて発信された。
第34回 UNESCO 総会(パリ)
2007年10月16日~11月3日
2
気仙沼市環境基本計画(平成19年11月策定)
(1)環境将来像
本市の環境将来像を以下のとおりに設定します。
「山,川,海の恵みを大切にし,自然との共生をめざして行動するまち気仙沼」
~
次世代へのおくりもの「市民一人ひとりが創る循環型の地域社会」 ~
(2)基本構想
本市の「環境将来像」を実現するための基本構想を以下に設定します。
①自然を守り,動植物を愛しみ,育てます。
②きれいで安全な生活環境を守ります。
③環境にやさしいまちづくりを推進します。
④持続可能な循環型の地域社会を創ります。
(3)計画の目標と施策の方向性
各々の基本構想毎に目標を設定し,その目標を達成するため,施策等の方向性を示します。
「山,川,海の恵みを大切にし,自然との共生をめざして行動するまち気仙沼」
~
次世代へのおくりもの「市民一人ひとりが創る循環型の地域社会」 ~
①自然を守り,動植物を愛しみ,育てます。
ア 森林・農地・沿岸域を保全します。
イ 自然環境を保全します。
ウ 生物多様性を確保します。
②きれいで安全な生活環境を守ります。
ア きれいで安全な大気を守ります。
イ 恵み豊かな水環境を守ります。
ウ 安全な土壌と豊かな地下水を守ります。
エ 有害化学物質汚染を防ぎます。
オ 暮らしやすい生活環境を守ります。
③環境にやさしいまちづくりを推進します。
ア 環境負荷の少ないまちを創ります。
イ 資源を有効に活用します。
ウ 身近に良好な自然環境等を創ります。
④持続可能な循環型の地域社会を創ります。
ア 持続可能な循環型の地域社会を形成します。
3
気仙沼市環境教育基本方針
本市における環境将来像,その実現のための基本構想や計画の目標,施策の方向性を受けて,環境
教育の基本方針を以下のように定める。
一
自然を大切にする感性と,環境問題に対する正しい認識を持つ知性を養い,持続可能な社会
の構築に資する豊かな人間性を育みます。
二
地域に根ざした特色あるカリキュラムを作成し,教科及び総合的な学習において横断的に実
践することを通して,生涯にわたって環境教育を学び続ける人を育てます。
三
家庭・地域及び関係諸機関等との連携を密にし,あらゆる場をとおして協働して環境教育の
推進にあたります。
四
地域の特色や他国との関わりを踏まえ,地球的視野に立って,広がりのある環境教育を実践
します。
五
地域の伝統や文化,先人の知恵を生かし,持続可能な未来と自分たちの生き方を考える人を
育てます。
4
環境教育で育てたい人間・児童・生徒の姿
(1)環境教育で目指す人間像
上記の基本方針のもとに,環境教育で育てたい人間像を次のようにとらえる。
「環境や環境問題に関心・知識を持ち,問題解決のための技能を身に付け,持続可能な社会の構
築を目指して主体的に考え,行動する人間」
(2)環境教育で目指す児童・生徒像
小学校・中学校それぞれの発達段階に応じて,目指す姿を次のようにとらえる。
【小学校】
「自然とのふれ合いや体験を通して感受性を高め,身近な環境から課題を見つけ,探求しようとす
る児童」
【中学校】
「環境に関心を持ち,自ら問題を見つけ,その問題を解決するための知識や技能を身に付け,主体
的に実践しようとする生徒」
第3章
1
気仙沼市の環境教育カリキュラムの視点
気仙沼市の環境教育全体構想
気仙沼市の ESD の推進のプロセスを概観して
みると,まず第1に,豊かな自然を生かした環
境教育を基軸に,学校と産業,行政,NPO,
博物館など,地域の様々な機関やリソースとの
連携システムの構築,第2に,その協力支援を
受けながら,地域の自然や文化,伝統,産業な
どを素材に小・中・高校が連携した体系的な学
習プログラムの開発・実践,第3に,その成果
を地域に普及啓発をはかるとともに,海外とと
もに学びを進めることで,持続可能な社会の構
築のための「地球的な視野」の育成,という3
段ロケットのプロセスを歩んでいる。また,そ
の方向性を定める翼として宮城教育大学等の専
門機関や国連大学,JFMF等の国際機関の指
導助言を受けながら推進している。
※3「メビウス」より
2
気仙沼市の環境教育カリキュラムの開発の視点
【視点1】発達段階に応じた体系的な環境教育カリキュラムの開発
環境教育で対象にする分野は幅広い。また,上で示したように,環境教育で育成すべき資質・能
力は,段階的・系統的に育成されるものであり,成長過程のある時期・学年だけで身につけること
は困難である。したがって,学年を通した縦の系統性や教科間の横断的な関連を踏まえた体系的な
カリキュラム編成が必要である。さらには,小・中・高校が連携し,それぞれの学校レベルの目標
と児童生徒の発達段階を踏まえた系統的なプログラムの開発と実践が必要となる。
(1)環境教育で育成すべき資質・能力の段階と定義
環境教育で育成すべき資質・能力を「感受性,知識,環境倫理,行動の技能,行動・参加の5点
とし,以下のように定義する。
環境教育で育成すべき
資質・能力の定義
資質・能力
感受性
環境とそれに関わる問題を自覚し,自然の美しさやすばらしさを五
感で感じ取ったり,自分と環境との関わりに気づいたりする力
知識
環境とそれに関わる問題や人間と環境の調和について,様々な経験
を通して基本的なことを理解する力
環境倫理
環境に対する価値観と感性をもって,自然・環境を守り,改善し,
持続させようとするような環境に対する態度や倫理性
行動の技能
環境問題を防止・解決するための行動に必要な観察・識別技能
行動・参加
環境問題の実際の解決に向けて,上記の能力を応用し行動・参加す
る力
(2)発達段階に応じた資質・能力の育成~発達段階能力マトリックス
学年
能力
小学校
低
中
中学校
高
1
2
高校
3
1
2
3
感受性
知識
環境倫理
行動の技能
特に強調する段階
行動・参加
(3)小学校・中学校・高等学校を通した系統的な環境教育の実践
気仙沼市では,面瀬小学校が取り組んできた国際
環境教育の実践を中学校,高校へと発展させるため,
2005 年から面瀬小学校と面瀬中学校,気仙沼高等学
校が連携してマスターティーチャープログラムに地
域参加し,米国テキサス州のカリスバーグ小・中・
高校をパートナーとして国際環境教育に取り組んで
いる。この連携により,小学校から高校までの系統
的な環境教育(ESD)プログラムの開発と実践への
可能性が開かれることとなった。
※4「メビウス」より
【視点2】
地域に根ざした探究型学習プログラムの作成
(1)気仙沼市における環境教育素材
「環境や環境問題に関心・知識を持ち,問題解決のための技能を身
に付け,持続可能な社会の構築をめざして主体的に考え,行動できる
人間」育成のための能力を身に付けさせるためには,環境教育の視点
から教材を見直し,地域の特性を生かしたプログラムが不可欠となる。
それはただ単に,地域の素材を教材化するのではなく,子ども達の思
考の流れに沿った探求的なものでなくてはならない。
そこで以下のような,視点で地域素材を見直し,教材化することとした。
【気仙沼地域における環境教育の地域素材の教材化の視点と地域素材】※5
環境教育の教材化の視点
(1) ①水
気仙沼市における素材
ア
河川,湖沼,海洋の汚染
生物飼育・観察
生
イ
水の確保と水源の保護
大川等の水質調査
活
ウ
水の循環と人の活動
川魚の観察・飼育
環
養殖体験
境
海藻を使った作品作り
マグロ船乗船体験
大川鮭の栽培漁業体験
プランクトンの調査
ホヤを使った水の浄化実験
アサリの飼育
わかめの種付け体験
カキいかだ養殖体験
森と海の関係の理解
②大気
③土壌
ア
大気の汚染
イ
酸性雨
ウ
温暖化
ア
土壌汚染
田んぼ探検
イ
土地の浸食や表土の流出
ミミズの飼育・観察
酸性雨被害調査
ミミズを使った土壌作り
④音・臭
ア
騒音
イ
悪臭
ア
利用と枯渇
資
イ
天然資源の管理
植樹(森は海の恋人運動)
源
ウ
森林破壊
生命の連続性
・
エ
緑化・植林
(2) ①天然資源
エ
ネ
資源調べ
②エネルギー
ア
化石燃料の枯渇
消費電力調べ
ル
イ エネルギーの節約
東北電力の発電実験
ギ
ウ
大島大好きBDF(バイオマス燃料)体験
新エネルギーの利用
ー
新エネルギー調べ
炭焼き体験
廃油石けん・廃油ろうそく作り
(3)
ア
自然とのふれあい
田んぼ探検
人
イ
自然保護と保全
生き物の飼育・観察
と
ウ
生態系の破壊
岩井崎での生き物採集
自
エ エコアップ,ビオトープ
然
川遊び
鮭のふ化場見学
ビオトープ・バケツビオトープ観察
(4)
ア
地域づくり
地域の伝統芸能体験(鹿踊り等)
人
イ
都市化・過疎化
未来構想
と
ウ
ごみ,産業廃棄物
ジオラマ作成
社
エ リサイクル
食べ残しの削減
会
クリーンヒルセンター見学
終末処理場見学
地域のクリーン活動参加
(5)
ア
食,食の安全,添加物
有機肥料での野菜作り
食
イ
農,自然の循環
スローフードの理解と調理
と
稲作体験
農
田んぼでの生物観察
学校畑での栽培
野菜の調理
(※5
横浜市教育委員会「環境教育指導資料」を参考に編集)
(2)地域及び専門機関等との連携の構築
環境教育は,自然,経済,政治,産業など非常に広域な分野を取り
扱う教育である。したがって,広域な情報を的確に得ることや立場を
越えた協力関係を結んでいくことも必要になる。地域における環境教
育推進体制の充実や専門機関との連携強化は環境教育を進める際の大
切な視点といえる。
①
面瀬小学校プロジェクト連携推進委員会
2002 年から面瀬小学校が環境教育の推
進と改善を目的に,地域の諸機関や大学,
米国パートナー校とともに「面瀬小学校
プロジェクト連携推進委員会」を開催し
てきた。さらに 2006 年は,市内の全小
中 学校及び 県立高校からの 参加を得て
「気仙沼環境教育推進会議」として市レ
ベルに拡大して開催している。この会議
で は「持続 可能な開発のた めの教育」
(ESD)に関する会議や討議を行い気仙
沼の方向性を探るとともに,各校の実践
を持ち寄って専門家の指導をもとに情報
交換し,今後の取組への参考と実践意欲
面瀬小学校・プロジェクト連携推進委員会
※6「 ESD の更なる推進に向けたユネスコへの提言」掲載
の高揚につなげている。
②
気仙沼 RCE 推進委員会
※7「メビウス」より
気仙沼市では,環境教育を基軸とする特色ある
「持続可能な開発のための教育」(ESD)を創造・実現
していくために,地域や大学等の専門機関と連携
し,学習プログラムの開発や実践において必要な
専門的知識や技術を積極的に導入して,子どもの
探求心やニーズに応じた深まりのある学習を展開
してきた。そのための体制として,知識ベースと
なる地域のネットワークを構築し,その地域力を
生かしながら,より広範な協力体制のもとで地域
と密着した ESD(国際環境教育)を推進している。
気仙沼市では,モデル地域として ESD の一層の推
進を図るべく,2006 年の11月に「気仙沼 RCE 推
進委員会」を設立した。この委員会は,地域の ESD
推進の中核となる組織で,気仙沼市で先進的に環
境教育や国際理解教育,食教育,防災教育等を推
進する学校や企業,NPOとそれを支援する博物館,行政,メディア等の25団体から構成される。
【視点3】海外との連携・交流による国際環境教育の推進
国際化,情報化,科学技術の発展等急激なグローバル化が進む今日,
特に国内での取組だけでなく,国境を越えて深刻化する環境問題への関
心の高まりは大きい。地域に根ざし「自然への感受性」を育みながらも
世界と交流しながら地球的視野に立ち,探求していくような国際的な環
境教育の推進が必要となる。気仙沼市では 2002
年から日米教育委員会日本フルブライトメモ
リアル基金マスターティチャープログラム(MTP)に参加し,教員相互
訪問やインターネットでの交流を通してグローバルな視点から日米共同
の環境学習プロジェクトに取り組んできた。
(1)テキサス州カリスバーグ校との連携(面瀬小,鹿折小,面瀬中,気仙沼高校)
2002 年から 2004 年までは面瀬小学校が米国ウィスコンシン州リンカ
ーン小学校と,2005 年からは面瀬中学校,気仙沼高校を加えてテキサ
ス州カリスバーグ小・中・高校をパートナー校として,「水辺環境」と
「人間生活」との関わりをテーマに,学年毎の共同テーマに基づいた
系統的なペアプロジェクトを開発し,生活科及び総合的な学習の時間
を中心に交流型環境学習を展開してる。
(2)ユネスコ協同学校
ユネスコ協同学校プロジェクトは,ユネスコが推し進めている理念を学校現場で実践するため,
加盟国の国際理解教育の実験的な試みを比較研究し,その調整をはかる目的で 1953 年に発足した。
就学前教育から教員養成大学までの学校が参加して,地球規模の諸問題に若者が対処できるような
新しい教育内容や手法の開発,発展を目指した教育活動や,他の学校と生徒間・教師間で交流を行
うものである。学習テーマとしては,①世界的な問題と国連システム,②人権,民主主義の涵養,
③異文化理解,④環境問題の四つを基本としている。 気仙沼市では現在市立小中学校14校と県立
高等学校2校が加盟をめざして申請中である。
【視点4】ICTや英語を活用したコミュニケーション型環境教育の展開
ICT は新聞,テレビ等の他のメディアとは異なり,情報
を送る側と受け取る側が固定 されていない双方向のメデ
ィアである。そのために,情報の受信だけでなく発信も
できることが大きな特徴である。そのメリットを生かす
ことで,資料の収集のみにとどまらず,他の学校との交
流,専門家の交流を通した環境教育の展開が可能になる。
(1)インターネットテレビ会議,デジタルコンテンツ等を活用した環境学習の事例
MTP の国際的な環境学習プロジェクトを通して,太平洋
を隔て 1 万1千キロ彼方の日米の子どもたちが,互いにその
学習の成果を,インターネット等の IT を活用し,ウェブサ
イトやテレビ会議で情報交換してきた。
面瀬小学校で月 1 回行うインターネットテレビ会議では,
面瀬の子どもたちは英語を,米国の子どもたちは日本語をと
いうように,互いに相手の言葉を交えながら,時間と空間と
言葉の壁を越えて学びを共有してきた。子どもたちは,それ
面瀬小学校4年生のテレビ会議授業
ぞれの学年の交流の中で,テーマや学年段階に応じて互いの水辺環境の異質性(大陸と海岸,湖と海
等)や共通性(水の循環,自然の恩恵,人間生活の環境への影響等)について気づき,理解を深めてい
る。同時にまた,地域や地球環境を大切にする思いも国を越えて分かち合うなど,地球的視野を養
いながら学びと友情の輪を広げている。面瀬小学校が開催してきた「国際環境教育公開研究会」では,
『日米子ども地球フォーラム』と題し,この米国とのリアルタイムの交流を地域の方々や国内外の
教員・専門家に公開した。特に,2004 年2月と 2005 年11月の公開研究会では,日本ユネスコ国内
委員会が主催する「ユネスコ日本/アジア・太平洋地域環境教育研究セミナー]とタイアップし,海外
の ESD/環境教育の専門家や国連関係者にも発信している。
(2)英語でのコミュニケーション活動を通した環境教育
気仙沼市では鹿折地区の鹿折,浦島,白山の三つの小学校が 2005
年度より宮城県教育委員会より「小学校英語教育推進事業」の指定を
受け,英語活動を中心としてコミュニケーション能力を育てる国際理
解教育に取り組んでいる。
2007 年度は鹿折小学校,面瀬中学校,気仙沼高等学校が MTP2007
に地域選抜された。鹿折小学校ではインターネットテレビ会議を活用
し米国の学校と地球規模での交流学習を展開し,英語によるコミュニ
ケーション能力の育成を図りながら環境教育に取り組んでいる。
浦島小学校の英語活動
第4章
小学校における環境教育の展開
1「新学習指導要領」の環境教育の方向性
~「中央教育審議会教育課程部会におけるこれまでの審議のまとめ」にみる環境教育(ESD)
平成19年11月に中央教育審議会教育課程部会から,学習指導要領改訂に向けた「これまで
の審議のまとめ」が示された。その中では,環境教育及び「持続可能な開発のための教育」
(ESD)
に関わる記述が数多く認められ,新学習指導要領において環境教育の重要性と ESD の必要性が
明確に位置づけられる方向性が打ち出された。
環境教育及び ESD に関連する主な項目や内容については以下の通りである。
【審議のまとめ】(抜粋)より
第2章
現行学習指導要領の理念
「(略)世界や我が国の社会が持続可能な発展を遂げるためには,環境問題や少子・高齢化と
いった課題に協力しながら積極的に対応することが求められる。このような社会では,自己と
の対話を重ねつつ,他者や社会,自然や環境と共に生きる,積極的な「開かれた個」であるこ
とが求められる。(略)
」
第7章
教育内容に関する主な改善事項
(2)理数教育の充実
「(略)少子・高齢化といった我が国の人口構造の変化のほか,環境問題やエネルギー問題と
いった地球規模での課題については,次世代へ負の遺産を残さず,人類社会の持続可能な発展
のために科学技術に何ができるかが問われている。」
(6)小学校段階における外国語活動(仮称)
「(略)社会や経済のグローバル化が急速に進展し,異なる文化の共存や持続可能な発展に向
けて国際協力が求められるとともに,人材育成面での国際競争も加速していることから,学校
教育において外国語教育を充実することが重要な課題の一つとなっている。(略)」
(7)社会の変化への対応の観点から教科等を横断して改善すべき事項
(環境教育)
「(略)有限な地球環境の中で,環境負荷を最小限にとどめ,資源の循環を図りながら地球生
態系を維持できるよう,一人一人が環境保全に主体的に取り組むようになること,そして,そ
れを支える社会経済の仕組みを整えることにより,持続可能な社会を構築することが強く求め
られている。(略)
」
「(略)これまでも,国際的※にも,我が国においても,持続可能な社会の構築のために,教
育の果たす役割の重要性が認識され,様々な取組が進められてきている。(略)」
※
2004年(平成16年)の国連総会では,持続可能な開発のためには,教育が極めて重
要な役割を担うとの認識のもと,2005年(平成17年)より始まる10年間を「国連持続
可能な開発のための教育の10年」(ESD:Education for Sustainable Development)とする
ことが全会一致で決議された。なお,「持続可能な開発」とは,「環境と開発に関する世界委
員会」が1987年(昭和62年)に公表した報告書で取り上げられた概念であり,「将来の
世代の欲求を満たしつつ,現代の世代の欲求も満足させられるような開発」を指し,環境の保
全,経済の開発,社会の発展を調和のもとに進めていくことをめざしている。
(ものづくり)
「(略)緻密さへのこだわりや忍耐強さ,ものの美しさを大切にする感性,持続可能な社会の
構築へとつながる「もったいない」という我が国の伝統的な考え方のほか,ものづくりで大切
なチームワークや自発的に工夫や改善に取り組む態度も重要である。(略)」
第8章
各教科・科目等の内容
(2)小学校,中学校及び高等学校
②社会,地理歴史,公民
(ⅰ)改善の基本方針
「(略)持続可能な社会の実現を目指すなど,公共的な事柄に自ら参画していく資質や能力を
育成することを重視する方向で改善を図る。(略)
」
(ⅱ)改善の具体的事項
(小学校)
「(略)持続可能な社会の実現など,よりよい社会の形成に参画する資質や能力の基礎を培う
ことを重視して改善を図る。(略)」
④理科
(ⅰ)改善の基本方針
「(略)持続可能な社会の構築が求められている状況に鑑み,理科についても,環境教育の充
実を図る方向で改善する。(略)
」
⑨家庭,技術・家庭
「(略)持続可能な社会の構築や勤労観・職業観の育成を目指し,技術と社会・環境とのかか
わり,エネルギー,生物に関する内容の改善・充実を図る。(略)」
以上の中教審審議のまとめの記述からも分かるとおり,今後は,現在よりもさらに学校教育の
中で環境教育及び「持続可能な開発のための教育」(ESD)が重要視されてくることが期待され
る。
2 教科における環境教育 ~各学年の「環境教育関連単元配列の例」
(一覧表)
(1)教科における環境教育の重要性
環境問題は広範囲で多面的な問題であり,環境教育は,各学校段階・各教科等を通じた横
断的・総合的な取組が必要とされる。そのことから,学校における環境教育は,従来から特
別の教科等を設けることは行わず,各教科,道徳,特別活動等の中で関連を図って,学校の
教育活動全体を通して取り組んできている。
このことをふまえて,各学校における教育課程の編成,実施に当たっては,それぞれの教
科等の中で,教科等間で関連を図りながら環境に関する学習を充実させるために,環境に関
わる学習の機会や場を計画的に設けることが重要である。
環境教育においては,環境保全やより良い環境の創造に主体的に関与できる能力を育成す
ることや,生活環境や地球環境を構成する一員として,環境に対する人間の責任や役割を理
解し,積極的に働きかけをする態度を育成することが重要である。そのためには,環境に関
する事物・現象に対して興味・関心を持って意欲的に関わろうとする態度や環境に対する豊
かな感受性をはぐくむとともに,たとえば,次に挙げるような能力や態度の育成を図ること
が重要である。
①課題を発見する力: 環境や環境問題に対して進んで働きかけ,自ら課題を発見する力
②計画を立てる力: 得られた情報から解決するための予想を立て,
その予想に基づいて,
観察・実験・調査等の計画を立てる力
③推論する力: 環境に関わる事物・現象についての問題解決の過程で,さまざまなデー
タやグラフを解釈したり,事物・現象の原因と結果の関係を考えたりして推論する力
④情報を活用する力: 環境や環境問題に関して,情報の収集・選択を行い,分類・整理
等の処理を行った上で,相手の状況などをふまえて発信・伝達する力
⑤合意を形成しようとする態度: 環境や環境問題について自分の考えや意見をもってそ
れを表現するとともに,相手の立場や考えを理解し,合意を形成しようとする態度
⑥公正に判断しようとする態度: 環境や環境問題について多面的・総合的にとらえようと
するとともに,実証的に考え,合理性や客観性を伴った公正な判断をしようとする態度
⑦主体的に参加し,自ら実践しようとする態度: 環境や環境問題に関する情報収集や議
論に主体的に参加し,意見や情報の交換を行いながら考えを深め,保全活動の実践に自
ら進んで加わろうとする態度
(2)環境教育関連単元配列の例(一覧表)
こうした能力や態度の育成は,環境教育においてだけでなく,いずれの教科等においても
重視されるものであるが,学校教育において環境教育を進める際には,各教科,道徳,特別
活動及び総合的な学習の時間の目標やねらい及び内容と,環境教育のねらいや環境に関わる
内容とを関連させて取り組むので,各教科等で,こうした能力や態度をどこで指導するのか
をしっかりと把握し,適切に指導することが大切である。
以下,各学年の教科における環境教育に関連する単元を拾い上げ,
「環境教育関連単元配列
の例(一覧表)
」としてまとめてみた。このマトリックスを参考に,教科等の教育課程の,環
境教育の視点との関係を整理することにより「各教科における環境教育の学習指導」が,よ
り内容が明確になるであろう。
※ なお,関連単元配列の例(一覧表)に記載されている記号(例:
「人と自然ア」など)は,
第2章-2-視点2-(1)の表中の「環境教育の教材化の視点」の分類による。
環境教育関連単元配列の例
4月
5月
国語 「 う れ し い ひ 」
小学校 第1学年
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
1月
2月
3月
「どうぶつのは 「ほんがよみた
「サラダでげん
「わたしのはっ
「 は る の ゆ き だ 「本とともだち」
6時間
な」6時間
き」18時間
けん」12時間
るま」15時間
(3)人と自然
(3)人と自然 (3)人と自然
(3)人と自然
(3)人と自然
(3)人と自然 (3)人と自然
ァ
ァ
ァ
ァ
ァ
いな」2時間
ァ
13時間
ァ
「おはなしきき
※環境に関わる
※環境に関わる
たいな」3時間
本を取り上げる
本を取り上げる
(3)人と自然
ァ
※環境に関わる
本を取り上げる
算数
かずのなまえ
10よりおおきいかず
どちらがながい
かたちあそび
20よりおおきいかず
(年間を通して環境に関する数値を例に挙げる)
生活
「じぶんでたん 「いってみよう 「そとにいこう
けん」6時間
やってみよう」
( 3 ) 人 と 自 然 9時間
ァ
「おおきくなったねかわったね」12時間
よ」9時間
「みんなだいすき」12時間(4)人と社会ァ
(3)人と自然ァ
(3)人と自然
「ふゆがきたよ」12時間
(3)人と自然ァ
「はっぱのいろがかわったよ」18時間
(3)人と自然 ァ
(3)人と自然ァ
ァ
音楽
おんがくにあわせてうたおう
ようすをおもいうかべよう8時間
のびのびとうた
13時間
「きらきらぼし」
おう4時間
「かたつむり」
「はるなつあきふゆ」
「そろそろはる
「うみ」
(3)人と自然ァ
ですよ」
(3)人と自然ァ
(3)人と自然
ァ
図工
か ぜ と い っ し ょ し ん ぶ ん し で あ どろんこわあい
みずのなか,ともだち
ど ん ど ん か い ち ど う ぶ つ い っ ぱ ころころぺったん
にひらひら
そぼうよ
4時間
8時間
ゃおう
2時間
2時間
(3)人と自然
(3)人と自然ァ
体育
い
6時間
1ね んか んあ りが とう
(4)人と社会ェ
(4)人と社会ェ
(3)人と自然 (3)人と自然
(3)人と自然 (4)人と社会 ァ
ァ
4時間
6時間
ァ
ァ
ェ
表現運動
○環境に関わる表現運動の題材を取り上げる(動物の様子,吹き上げるしぶきの様子など)(3)人と自然ァ
(地域のおどり)「はまらいんや」「気仙沼音頭」等(4)人と社会ァ
道徳
特活
命の声
身近な自然
命を大切に
動植物とともに
あたらしいいの わたしはもんし うみがめのあか
ぶうことやまあ
ち
るき
ろちょう
ちゃん
(3)人と自然 (3)人と自然 (3)人と自然
(3)人と自然
ァ
ァ
ァ
ァ
「楽しい給食」
「なんでも食べ
(5)食と農ァ
よう」
(5)食と農ァ
1 0時間
環境教育関連単元配列の例
4月
5月
国語 「 の は ら の シ ー
小学校 第2学年
6月
7月
「たんぽぽ」
8月
9月
10月
11月
12月
1月
2月
3月
「おもちゃまつ 「名前を見てち 「ビーバーの大
「きせつの思い
ソー」
10時間
りへようこそ」
ょうだい」
工事」
出ブックを作ろ
「おがわのはる」
(3)人と自然
20時間
18時間
19時間
う」
「たけのこぐん」
ァ
(4)人と社会 (3)人と自然 (3)人と自然
12時間
「雨の日のおさ
ェ
(3)人と自然
んぽ」
※環境に関わる
ァ
9時間
本を取り上げる
ァ
13時間
ァ
(3)人と自然
ァ
(3)人と自然
ァ
算数
あしたは遠足
長さをはかろう
100より大き
形をつくろう
新しい計算を考えよう
い数を調べよう
形に名前をつけよう
図をつかって考
1000より大きい数を調べよう
えよう
長さをはかろう
(年間を通して環境に関する数値を例に挙げる)
生活
「はるがいっぱい」6時間(3)人と自然ァ
「やさいをそだてよう」
「もっとまちの人となかよくなろう」21時間
時間(5)食と農ィ
(4)人と社会ァ
「あしたへジャンプ」27時間
(4)ァ
「みんなでつくろうフェスティバル」15時間(4)人と社会ァ
「わたし のまちをたんけんしよう」18時間(4)人と社会ァ
「生きものをかおう」
9時間(3)人と自然ァ
音楽
いい音を見つけてあそぼう
「虫のこえ」
8時間
のびのびとうた
(3)人と自然ァ
ようすをおもいうかべよう
「夕やけこやけ」
おう4時間
8時間
「はるがきた」
(3)人と自然ァ
(3)人と自然
ァ
図工
体育
つんでつんで,
うちにあるもの
ならべてならべ
でできちゃうぞ
て4時間
6時間
うかぶものあつまれ
4時間(4)人と社会ェ
シャカシャカチャカチャカピンピンドン
6時間(4)人と社会ェ
(4)人と社会
(4)人と社会
ェ
ェ
はっぱってこん は ー い , い ら っ し ゃ い 1 0 時 間
なにちがうんだ
(4)人と社会ェ
4時間
こんなかげどっきり4時間(3)人と自然ァ ( 3 ) 人 と 自 然
ァ
表現運動
○環境に関わる表現運動の題材を取り上げる(動物の様子,吹き上げるしぶきの様子など)(3)人と自然ァ
(地域のおどり)「はまらいんや」「気仙沼音頭」等(4)人と社会ァ
道徳
優しい心
自然大好き大き
元気になった
ひみつのばしょ
くなあれどんぐ
ハムスター
(3)人と自然
りくん
(3)人と自然
ァ
(3)人と自然
ァ
命ってふしぎだ
ァ
な
ひまわり
(3)人と自然
ァ
特活
「楽しい給食」
「残さず食べよ
(5)食と農ァ
う」
(5)食と農ァ
環境教育関連単元配列の例
4月
国語
小学校
5月
「すいせんの
ラッパ」
11 時間
(3)人と自然
「学校のま
わり」
9時間
(4)人と社会
ア
「市のようす」 「わたしたち
10時間
のまちのしせ
つ」
( 4) 人 と 社 会 3時間
ア
( 4) 人 と 社 会
ア
水のかさのはか
り方と表し方
し ぜん た んけ
んをしよう
2時間
(3)人と自然
ア
みんなで歌っ
て音楽仲間
6時間
植物をそだて
よう2時間
チョウをそだ
てよう6時間
(3)人と自然
ア
( 1) 生 活 環 境
①ウ
9月
10月
11月
「わたしのお気
に入りの場所」
「想ぞうを
広げて」
3 時間
(3)人と自然
ア
「 つ な引き の
お祭り」
17 時間
(4)人と社会
ア
長いものの長
さのはかり方
( 3) 人 と 自 然
ア
大きい数の
しくみ
(1)生活環境
②
(2)資源・エネルギー
①ウ
ぼうグラフと
表
(2) 資 源 ・ エ ネ ル ギ ー
①ウ
( 4) 人 と 社 会
ウ
明かりをつ
けよう
7時間
( 3) 人 と 自 然
ア
( 3) 人 と 自 然
ア
(2)資源・エネルギー
②イ,ウ
(2)資源・エネルギー
②イ
「春の小川」
「茶つみ」
(3)人と自然ア
ふるさとの音楽
9時間
環境に関わる表現運動の題材を取り上げる
(4)人と社会ア
道徳
動植物にやさ
しく
「ヒキガエル
とロバ」
( 3) 人 と 自 然
ア
「まっかな秋」
「村まつり」
(3)人と自然ア
(4)人と社会ア
木ぎれあつま
れ
4時間
( 4) 人 と 社 会
エ
2月
3月
「じけんやじ
こがおきた
ら」
5時間
( 4) 人 と 社 会
ア,イ
「安心してく
らせるまち
に」
3時間
( 4) 人 と 社 会
ア,イ
「 もう ど う 犬 の
訓練」
14 時間
( 4) 人 と 社 会
ア
( 4) 人 と 社 会
ア
(4)人と社会
イ,エ
(5)ア,イ
光を当てよ
う
6時間
体育
「わたしの研究
レポート」を書
こう
11 時間
( 3) 人 と 自 然
ア
( 4) 人 と 社 会
エ
1月
1時間
( 4) 人 と 社 会
ア
こん虫をしら
べよう
5時間
今日から森の
人になる
4時間
( 3) 人 と 自 然
ア
12月
「 農 家 の し 「工場しごと」 「火事がおき
ごと」
たら」
10時間
10時間
8時間
(5)ア,イ
( 4) 人 と 社 会 ( 4) 人 と 社 会
ウ,エ
ア,イ
(5)ア
「 人 び と の し 「 ス ーパ ーで
ご と と わ た し はたらく人」
たちのくらし」 12時間
植物のからだ
をしらべよう
3時間
図工
特活
8月
13 時間
( 4) 人 と 社 会
ア
( 3) 人 と 自 然
ア
年間を通し
て環境に関
する数値を例に挙げる
音楽
7月
10時間
算数
理科
6月
「自然のかく
し絵」
ア
社会
第3学年
重さのはかり
方と表し方
( 4) 人 と 社 会
ウ
曲のかんじを
生かして
3時間
「ふじ山」
(3)人と自然ア
あつまって
へんしーん
4時間
(4)人と社会
エ
(動物の様子,自然の様子など)(地域の踊り「はまらいんや」,「気仙沼音頭」)(創作ダンス「みしおね」,「ソーラン節」)
働くことの大
切さ
「公園ボラン
ティア」
(4)人と社会
ウ
自然の大切さ
「ホタルの引
っ越し」
( 3) 人 と 自 然
イ
偏食と健康
生き物を大切
に
「あらしにキビ
タキをすくう」
( 3) 人 と 自 然
ウ
食 べ 物の 働き
(学校給食と食習慣)
(学校給食と食習慣)
(5)食と農ア
(5 )食 と農
ア
わたしたちの
ふるさと
「ふるさとい
いとこさがし」
(4)人と社会
ア
学校をきれいにしよう
(4)人と社会
ア
環境教育関連単元配列の例 小学校 第4学年
4月
5月
6月
国語
「知らせたい, 「ヤドカリと
あんなことこ イソギンチャ
んなこと」
ク」
6時間
10時間
※環境教育の ( 3) ア 自 然 と の
取り組みを例 ふれあい
に挙げる
社会
算数
7月
「ごみの処理と利用」 14時間 (4)ウ ごみ,産業廃棄物
「水はどこから」 11時間 (1)イ 水の確保と水源の保護
ウ 水の循環と人の活動
※きれいな水をつなげるために
※生活を支える電気とガス
大きい数のし
くみ
わり算の筆算(1)
折れ線グラフ
整理のしかた
8月
9月
「『くらしの
百科』の時間
です」
12時間
( 4) エ リ サ イ ク
ル
※環境に関す
る取り組みを
例に挙げる
10月
11月
「ウミガメの
はまを守る」
16時間
( 3) イ 自 然 保 護
と保全
「古い道具と昔のくらし」7時間 (4)ア 地域づくり
「山麓に広がる用水」9時間 (4)ア 地域づくり
「のこしたいもの,つたえたいもの」6時間(4)ア 地域づくり
小数
分数
12月
「活動報告を
書こう」
13時間
※環境に関す
る取り組みを
挙げる
1月
2月
3月
「一年間の思
い出をしょう
かいしよう」
10時間
※環境に関す
る取り組みを
挙げる
「県の様子」4時間 (4)ア地域づくり
「くらしと土地の様子」 6時間(4)ア地域づくり
「土地の特色を生かした伝とう工業」5時間(4)ア地域づくり
「県とわたしたちのまちの発てん」 6時間(4)ア地域づくり
わり算の筆算(2)
がい数の表し
方
さむくなると
5時間
(3)ア自然とのふ
れ合い
面積のはかり
方と表し方
変わり方調べ
(環境に関する数値を例に挙げる)
理科
あたたかくなると 電気のはたらき
あつくなると
5時間
4時間
5時間
(3)ア自然とのふ (2)②ウ新エネル (3)ア自然とのふ
れ合い
ギーの利用
れ合い
すずしくなると 水のすがたとゆくえ
5時間
9時間
(3)ア自然とのふ (1)①ウ水の循環
れ合い
と人の活動
音楽
日本の音楽に親しもう
9時間 (4)ア 地域づくり
「花がさ音頭/神田ばやし」
「こきりこぶし」
「まきばの朝」
大すきななかま
集まれ
6時間
(3) ア 自 然 と の ふ
れ合い
曲の気分を感
じ取ろう
8時間
(4)ア地域づくり
「冬の歌」」
図工
体育
森のなかまたち
6時間
( 3) ア 自 然 と の
ふれ合い
自然の様子などを模した表現活動を取り上げる
(動物の様子,吹き上げるしぶきの様子,気仙沼の自然景観を模した組み体操など)
(地域の踊り「はまらんや」「気仙沼音頭」など) (4)ア 地域づくり
道徳
身近な動植物を大切に
「ヤゴを救いたい」
(3)ア自然とのふれ合い
特活
気持ちのよい
あいさつ
(4)ア地域づくり
(3)ア 自然とのふれ合い
美しいものに感動する心
「1匹のセミにありがとう」
(3)ア自然とのふれ合い
自然との共存
社会のためになることを
「いなくなったライチョウ」 「できることから」
(3)ウ 生態系の破壊
(3)イ 自然保護と保全
給食と栄養
(5)ア食,食の安
全,添加物
自然や動植物への優しさ
「ごめんね,サリー」
(3)ア 自然とのふれ合い
生き物の1年を
ふりかえって
5時間
(3)ア自然とのふ
れ合い
環境教育単元配列の例
4月
国語
小学校
第5学年
5月
質問の手紙を書こ
う 4時間
※環境に関する題
材を取り上げる。
6月
「動物の体」 8
時間 (3)人と
自然ア
7月
強く心に残っ
たことを考え
ながら読もう
6時間
9月
「ニュースを伝え合
おう」11時間
※環境に関するニュ
ースを例に挙げる。
10月
11月
※環 境に 関する
書籍 を紹 介し読
ませる。
社会
「米作りのさ
かんな庄内平
野」12時間
(5)食と農
ア
算数
小数のかけ算とわ
り算を考えよう
13時間
※年間を通して環境に関わる数値を取り上げる。
植物の発芽と成長
11時間(3)
人と自然ア
節の重なり合いを
感じ取ろう 7時
間「いつでもあの
海は」(3)人と
自然ア
なぜか好きやっぱ
り好き
4時間(3)人と
自然イ
理科
音楽
図工
家庭
体育
総合的
な学習
の時間
道徳
(副読
本:東
京書籍)
特活
「安全な食材を選
んで」1時間(5)
食と農ア
「これからの食料
生産と国土」1時
間(5)食と農ア
イ
「人と共存する自動
車の開発」1時間
(1)生活環境②
(2)資源・エネル
ギーイ②(4)人と
社会ウ
「環境にやさしい燃
料を使った自動車の
開発について調べ
る」2時間(2)資
源・エネルギー②ウ
「これからの車社会」
(1時間)(4)人
と社会エ
花か ら実 へ 5
時間 (3 )人と
自然ア
台風と天気の変化
3時間(1)生活環
境③イ
2月
3月
「さまざまな自
然とくらし」
(9
時間 ) (3)
人と自然アイウ
(4)人と社会
アイウエ
「わたしたちの
生活と環境」
(5
時 間) ( 1)
~(4)
「わたした
ちの生活と
森 林 」( 5
時 間 )
(1)~
(4)
流れる水の働き
10時間(1)
生活環境③イ
重なり合う音の 曲想を感じ取ろう 8時間
美しさを味わお 「秋にさよなら」「冬景色」
う 9時間「そ (3)人と自然ア
れは地球」
(3)
人と自然ア
もしもし文字さ
ん 2時間
※環境に関する
文字を取り上げ
る。
「身の回りの整理
「身の回りの汚れを
整とんをしてみよ
調べてみよう」4時
う」 4時間
間 (3)人と自然
(3)人と自然エ
エ(4)人と社会ウ
(4)人と社会
ウエ
環境に関わる表現運動の題材を取り上げる。(動物の様子,吹き上げるしぶきの様子など)(3)人と自然ア
樹木を大切に
「緑よ,よみがえれ」
(2)資源・エネ
ルギー①イ(3)人
と自然イ
1月
百分率の問題
4時間
「私たちの生
活と環境」
(0.
5時間)(1)
~(5)
自然を愛する心
「一ふみ十年」
(2)資源・エネ
ルギー①イ(3)
人と自然イ
栄養のバランス
(5)食と農ア
12月
「 考 え を ま と 「インスタン (書)チャレン
めて書こう」
ト食品とわた ジ!「守ろう!
8時間
し た ち の 生 わたしたちの地
※ 環 境 に 関 す 活」 9時間 球」(硬筆 と毛
る 内 容 を 考 え ※環境に関す 筆の環境保護ポ
させる。
る論題を提示 スター)3時間
し討論させる
見つめられ
てワンダフ
ル 3時間
(4)人と
社会ウエ
「快適な住まい
方を考えよう」
8時間(2)資
源・エネルギー
②イ
(地域の踊り「はまらいんや」「気仙沼音頭」など)(4)人と社会ア
生きることの尊
さ「この水のた
めに」( 1) ①
ア
社会への奉仕
「わたしのボラ
ンティア体験」
(4 )人 と社
会アウエ
環境教育単元配列の例
小学校 第6学年
4月
国語
5月
6月
8,9月
10月
「伝え合おう,わたしの
「イースター島にはなぜ
「ニュース番組を作ろ
「宮沢賢治」 10時間
意見」 5時間
森林がないのか」7時間
う」 12時間
(5)食と農イ
※ 環境に関する内容を
(2)資源・エネルギー
※ 環境に関するニュー
取
7月
①ウ,
(3)人と自然ウ
り上げる
11月
がい数で計算しよう
比べ方をかんがえよう
12月
3月
「百年前の未来予測」
「海のいのち」12時間
『
「未来へのメッセージ」
う』 8時間
10時間
(3)人と自然ア,ウ
※ 環境に関する内容を
※発展として環境に関す
ス
取
を例にあげる
り上げる
社会
算数
2月
『
「わたしの意見」を書こ
分数のかけ算とわり算を考えよう
1月
取
る内容を取りあげる
りあげる
わたしたちのくらしと日
「日本と関係の深い
現する政治」 8時間
本国憲法 6時間
国々」 6時間
割」 7時間
(4)人と社会ア
(4)人と社会ア
(2)資源・エネルギー
(1)生活環境②ア,イ,
①ア②ア,イ,ウ
ウ
およその面積を求めよう
体積のはかり方と表し方
地球と生き物のくらし
物の燃えかたと空気
動物のからだのはたらき
植物のからだのはたらき
わたしの研究 1時間
水よう液の性質とはたら
電流のはたらき
人とかんきょう 8時間
2時間
8時間)
9時間
6時間 (2)資源・エ
生き物のくらしとかんき
き 10時間
12時間
※ 環境に関する内容を
(3)人と自然ア
(1)生活環境②ア,
(2)
(3)人と自然ア,エ
(1)生活環境②イ
ネルギー①エ,
(3)人と
ょう 7時間
資源・エネルギー②ア,
自然ア,イ,ウ
(5)食と農イ,
(3)人
イ,ウ
わたしの研究 1時間
と自然イ,ウ
(2)資源・エネルギー
取
②ア,イ,ウ
りあげる
※ 環境に関する内容を
取
りあげる
音楽
図工
家庭
世界の音楽に親しもう
重なり合う音の美しさを
7時間
味わおう 8時間
「われは海の子」
(3)人
「赤とんぼ」
「ふるさと」
と自然イ
(3)人と自然イ
見つめてみよう,気にな
みんな地球の仲間たち
カカポをさがせ!
大昔の人たちのくらし
る地球 4時間
4時間
4時間
は,どんなかな?
(3)人と自然イ
(3)人と自然イ
(3)人と自然ウ
6時間 (5)食と農イ
生活を見直そう 11時
衣服を整えよう6時間
金銭や物の使い方を考え
楽しい食事をくふうしよ
地域とのつながりを広げ
間
(1)生活環境①ア,ウ
よう 4時間
う 12時間
よう 10時間
(4)人と社会エ
(5)食と農ア
(4)人と社会ア,エ
(2)資源・エネルギー
②イ
体育
環境に関わる表現運動の題材を取りあげる。
(
(動物の様子,自然の様子など)
(3)人と自然ア
(地域の踊り「はまらいんや」
「気仙沼音頭」など)
(4)人と社会ア
総合
道徳
地球を救う
郷土を愛する
人への思いやり
みんなに奉仕する心
公徳を守る心
「愛華さんからのメッセ
「白神山地」
「車いすでの経験から」
「うちら“ネコの手”ボ
「空きかんのゆくえ」
「かけがえのない地球」
ージ」
(3)人と自然イ
(4)人と社会ア
ランティア」
(4)人と社会エ
(1)生活環境(2)資
(3)人と自然ア,イ
(4)人と社会ア
環境と資源を大切に
源・エネルギー(3)人
と自然(4)人と社会
特活
身近な自然を守ろう
バランスのよい食事
2時間(3)人と自然イ
1時間(5)食と農ア
「世界の平和と日本の役
「わたしたちの願いを実
※年間を通して環境にかかわる数値を取り上げる
理科
を書こう』 8時間
※ 環境に関する内容を
3
総合的な学習・生活科を基軸とした環境教育モデルプログラム
(1)総合的な学習・生活科を基軸とした体系的環境教育カリキュラム開発の必要性
各教科において,環境教育と関連する単元を拾い上げそれをつなげて教科横断的に環境
学習を実践することは,学校教育において環境教育を推進する際には重要な視点であるこ
とは,前項で述べたとおりである。
しかしながら,各教科の教科横断型の環境学習だけでは,環境教育としてのストーリー
性や系統性を確保することは難しいと言える。なぜならば,各教科の単元配列及び構成は,
それぞれの教科の目標及び系統性に基づいて編成させており,その一部の環境教育単元を
教科横断的につなげたとしても,必ずしもストーリー性と系統性が確保されるわけではな
い。これは,これまで日本の「環境学習」が系統的・体系的な「環境教育」になり得なか
った理由であり,日本の学校教育に,環境教育がとけ込むが難しかった大きな理由である
と考える。
現在の環境を取り巻く状況・課題の緊急性や,将来に向けて「持続可能な社会の構築の
担い手」を育成する ESD の必要性に鑑みると,これからの環境教育及び ESD を推進には,
このストーリー性と系統性を保障したカリキュラムの開発が不可欠であることは言うまで
もない。これを実現するステージ(領域)となるのが,総合的な学習及び生活科であり,
これを基軸として各教科との関連を図りながら系統的な環境教育のカリキュラムを開発す
ることが,今,教育現場に求められているといえる。
その開発の視点として,第3章の「環境教育カリキュラムの開発の視点」が重要である。
ここで,もう一度視点のみ確認することとする。
【視点1】発達段階に応じた体系的な環境教育カリキュラムの開発
○環境教育で育成すべき資質・能力の段階と定義
○発達段階に応じた資質・能力の育成~発達段階能力マトリックス
○小学校・中学校・高等学校を通した系統的な環境教育の実践
【視点2】地域に根ざした探究型学習プログラムの作成
○気仙沼市における環境教育素材の活用
○地域及び専門機関等との連携の構築
【視点3】海外との連携・交流による国際環境教育の推進
○米国テキサス州の学校との連携
○ユネスコ協同学校のネットワークを活用した情報の共有や国際交流
【視点4】ICTや英語を活用したコミュニケーション型環境教育の展開
○インターネットテレビ会議,デジタルコンテンツ等を活用した環境学習
○英語でのコミュニケーション活動を通した環境教育
(2)総合的な学習・生活科を基軸とした環境教育モデルプログラム
上記の視点に基づき,気仙沼市のおける小学校1年生から6年生にまでの環境教育の体
系的なプログラム(カリキュラム)のモデルを開発し,ここに提案する。
各校においては,このモデルプログラムを参考に,それぞれの学校の教育目標や児童の
実態,地域の特性等を踏まえて改善し,系統的に実践することが望まれる。
第1学年「ふれあおう,人,自然,祭り」
鹿折小学校 澁谷智樹
1 単元の概要
(1)単元の構想
1学年のプログラムでは,「身近な人」,「花や野菜などの植物」,「日本の伝統的な行事」に積極
的に関わっていく活動を通して,自分と身近な人々,自然とのつながり合いを感じ取り,自然を大
切にしようとする心を育む。
学校探検を中心とする第1ユニットでは,校内の自然遊び,また2年生からは「周りにある植物
を生かした遊び」を教えられたりすることで,身近な自然や周囲の人々への興味・関心を高めたい。
第2ユニットでは,実際に花や野菜を育てる活動を行う。花は,後にたたき染めや押し花をした
り,種をプレゼントしたりするという第3ユニットの活動へのつながりを考え選択する。また,野
菜は四季のお祭り「冬至ってなんだろう」につなげられるよう,カボチャを育てていくこととする。
世話や観察を継続的に行っていくが,観察記録については文章や絵をことを苦手とする児童もいる
ことを考慮し,カードの工夫をする。
第3ユニットでは,栽培してきた花や,身近な植物を生かした遊びを行う。「種とりをしよう」の
活動では,児童のこれまでの経験などを踏まえて花の種を誰にプレゼントしたいか話し合わせる。
第4ユニットは,育てた野菜を調理して食べる活動を行う。発達段階から,保護者の協力は不可
欠であると考えられる。また,どんな料理を作るかもある程度教師側で決めておく必要がある。
四季のお祭りとして「端午の節句」,「七夕祭りをしよう」,「お月見をしよう」,「冬至ってどんな
日」,「お正月を楽しもう」,「ひな祭りをしよう」を取り上げた。それぞれの行事に応じたもの作り
を行うとともにしきたりなどを学んでいくのはもちろんであるが,家族や地域の方から話を聞くな
ど,人とのつながりにも目を向けさせたい。
(2)環境教育としての視点
花や野菜の栽培活動と,季節の行事とを関連づけながら体験していくことで,自然環境と自分の
生活が関わり合っていることを実感し,大切にしようとする心を育むことができると考える。また,
活動を通して周りの人々とのつながりを感じさせることに重点を置いて展開する。
【育成すべき資質・能力】
感受性:植物の栽培や四季の行事などを通して,自分と自然環境や周りの人々とのつながりを感
じ取ることができる。
【環境をとらえる視点】
人と自然:身のまわりの自然と人間生活とのつながりと人々の願いや感謝
(3)教科等との関連
本単元の指導内容は,国語科の「おはなしききたいな」,
「ほんがよみたいな」,
「サラダでげんき」,
図工科の「どんどんかいちゃおう」などの単元の内容と関連させ構想を組み立てた。
2 単元のねらい
(1)単元目標
花や野菜の栽培活動に進んで取り組み,それらを四季の行事で活用していく遊びの中で,人間と
自然とのつながりに気づき,自然を大切にする心をもつことができる。また,遊びや活動の中で,
自分と身近な人々が深く関わり合っていることや,支えられていることに気づくことができる。
(2)単元の評価規準(観点別)
生活への関心・意欲・態度
活動や体験についての思考・表現
身近な環境や自分についての気づき
花や野菜の栽培や,それらを
花や野菜の上手な生かし方を
栽培や遊び,季節のお祭りを
生かした季節の遊び,もの作り 考え,遊びを工夫していくとと 通して,自然と人間,人間同士
などに興味・関心をもち,進ん もに,それらを使って自分なり がともに関わり合って生活して
で取り組もうとする。
に表現することができる。
いることに気づいている。
3
主な連携機関及び内容
○保護者,地域のお年より:各お祭りについての情報提供
○スローフード気仙沼,保護者:調理の指導協力
○宮城教育大学環境教育実践研究センター:植物栽培の指導
4
学習計画
総時間61時間扱い(生活科61時間)
学 習 活
動
・主な内容
○指導上の留意点
◇教科等との関連
◆関係機関等
1 【第1ユニット】「みんななかよし」
○遊びや採集に使えそうな植物や生育場所な
~ ①クラスの友達と遊ぼう
どを予め調べておく。
2
・クラスの友達と校庭で草花を使った遊びをす ○約束を確認し徹底する。
る。
3 ②2年生と遊ぼう
○1,2年生お互いが楽しめるような場にな
~
・2年生に草花を使った遊びを教えてもらう。
るよう配慮する。
4
5 ③学校を探検しよう
~
・探検の計画を立てる。
6
・グループごとの学校の探検をする。
○活動に取り組みやすいよう,計画の段階か
らマップ等を活用する。
○各学級の教室などに訪れる時は,そのこと
を事前に話しておく。
7 【端午の節句】
~ こいのぼりづくりをしよう
8
・こいのぼり作りを行う。
○児童の思いに添えるような材料を準備す
る。
9 端午の節句について教え合おう
○小さかったころの話なども合わせて聞いて
・家族から聞いてきた端午の節句のことについ
くるよう声がけをする。
て教え合う。
◇国語科「おはなしききたいな」で端午の節
・地域のお年よりから端午の節句について話を
句についての話を取り上げて聞かせてもよ
聞く。
い。
◆保護者,地域のお年より
10 【第2ユニット】「育てよう,楽しもう」
~ ①種まきや苗植えをしよう
13
・花や野菜の種まき,苗植えを行う。
○第3,4ユニットの活動につなげられるよ
うな花や野菜を選択する。
◆宮城教育大学環境教育実践研究センター
14 ②毎日お世話をしよう
○当番を決めるなどして,継続的な活動とす
~
・草取りや水やり,施肥,支柱立てなど,花や
る。
16
野菜の世話を行う。
○世話をしながら,変化の様子などによく目
を向けるよう声がけをする。
◆宮城教育大学環境教育実践研究センター
17 ③観察をしよう
~
・花や野菜の観察を行う。
20
○継続的に行えるようにする。
○絵や作文が苦手などの理由で児童が観察に
消極的にならないようカードなどを工夫す
る。
21 【七夕祭りをしよう】
○家族の願いを受けた形で自分の願い事を考
自分の願い事と家族の願い事
えることができるように声がけをする。
・家族からどんな子どもになってほしいかを聞 ◇国語科「ほんがよみたいな」では,七夕に
いてくる。
関する本を紹介するなど七夕に関する興味
・自分の願い事を短冊に書く。
・関心を高める。
◆保護者
22 七夕飾りを作ろう
~
・笹を使って七夕飾りを作る。
24
○友達と仲よく協力しながら取り組むことが
できるように声がけをする。
25 【第3ユニット】「秋と遊ぼう」
~ ①花で遊ぼう
26
・たたき染めや押し花,汁遊びなどを行う。
○選択して行うが,どの活動でも花から出る
色の美しさを十分に味わえるような活動に
なるよう配慮する。
27 ②種とりをしよう
~
・種とりをする。
28
・絵や文章で表現する。
・とった種を誰にプレゼントするのかを考え
る。
○自分たちが育てた植物からとれた種で来年
また美しい花を咲かせることができると気
づかせることで,命のつながりにも目を向
けさせるようにする。
○教えてもっらった,遊んでもらったなどの
観点から,誰にプレゼントするかを考えさ
せたい。
29 ③作って遊ぼう
○事前に材料を集めておくよう声がけをして
~
31
・身近にある自然の材料を集める。
・もの作りを行う。
32 【お月見をしよう】
~ 野菜の収穫をしよう
35
・育ててきた野菜の収穫を行う。
おく。
○2年生に教えてもらた遊びなどを想起させ
る。
○数や大きさ,色や形などを確認しながら行
うようにする。
◆宮城教育大学環境教育実践研究センター
36 まとめをしよう
○児童の気づきのよさを認め,活動への意欲
~
・花や野菜の栽培,また遊びをしたことの中で
を高めることができるようにする。
38
感じたことや分かったことなどを,絵や文章 ◇図工科「どんどんかいちゃおう」と関連を
でまとめる。
図り,思いのままに表現させる。
39 十五夜について知ろう
○収穫に感謝する行事であることを押さえ
~
・十五夜について家族から聞いてきたことにつ
る。
40
いて教え合う。
◆保護者,地域のお年より
・地域のお年よりから十五夜についての話を聞
く。
41 お月見会の計画を立てよう
○収穫に感謝の気持ちをもち,これまでの栽
~
・どんなお月見会にするかを話し合い,準備を
培活動を生かせる会にできるよう声がけを
42
する。
する。
43 お月見会をしよう
○地域の幼稚園や,行事について教えてくれ
~
・地域の幼稚園児やお年よりなどを招待して,
た地域のお年よりなどにも広く参加を呼び
44
お月見会を行う。
かけたい。
◇創意「伝え合おう」を活用し,市内あるい
は海外の小学校と栽培活動や,季節の行事
について交流をする。
45 【第4ユニット】「野菜を食べよう」
~
・収穫した野菜を調理して食べる。
48
○1年生という発達段階からも,保護者の協
力は不可欠である。
◆スローフード気仙沼,保護者
49 【冬至ってどんな日】
カボチャを食べよう
・収穫したカボチャを食べる。
○予め調理しておいてもよい。
◆保護者
50 冬至について知ろう
・地域のお年よりから冬至についての話を聞
く。
○昔の生活などについてもふれてもらうよう
にする。
◆地域のお年より
51 年末年始のくらしについて調べよう
○大掃除のことなども取り上げ,家族の一員
~
・年末年始のくらし方について家族から話を聞
としての自覚を促す。
52
き,調べて分かったことを教え合う。
◆保護者
53 【お正月を楽しもう】
○お正月という日本の文化のよさや家族のだ
~ お正月のくらしや遊びを調べよう
んらんなどにも目を向けることができるよ
54
・お正月のくらしや遊びについて家族から話を
うにする。
聞いて調べる。
◆保護者
55 分かったことを教え合おう
~
・調べて分かったことについて教え合う。
56
○実物なども準備させ,興味・関心を高めら
れるようにする。
57 遊びを楽しもう
○十分に楽しめるような準備をしておく。
~
・祖父母に直接教えてもらいながらお正月の遊 ◆祖父母
58
びを楽しむ。
59 【ひな祭りをしよう】
~ ひな人形を作ろう
60
・ひな人形作りを行う。
○分担をして行わせる。
61 ひな祭りをしよう
○2年生への希望をもたせることができるよ
・家族からひな祭りのことや,2年生に向けて
うに配慮する。
どんな子どもに育ってほしいかという願いを ◆保護者
聞いてきて,発表する。
1年生 「ふれあおう,人,自然,祭り」
1年生では,人や植物,日本に古くから伝わる伝統的な四季の行事にふれることを通して,自然との関わり合いを実
感することができる活動を展開する。育てた草花を使って遊んだり,収穫した野菜をお月見,冬至といった行事に活用
したりすることで,わたしたちの生活と自然環境との関係に気づかせるようにする。また,遊びや各活動では友だちや
上級生,家の人と関わり合いながら調べたり教えられたりする中で人々とのつながりにも目を向けさせたい。
主な連携機関及び内容
○保護者 地域のお年より:
各お祭りについての情報提供
○スローフード気仙沼 保護者:
調理の指導協力
○宮城教育大学環境教育実践研究センター:
○時数 4月~3月 61時間(生活科)
○関連 国語,図工,道徳,学級活動,創意
○目標 花や野菜の栽培活動に進んで取り組み,それらを四季の行事で活用していく遊びの中で,人間と自然
とのつながりに気づき,自然を大切にする心をもつことができる。また,遊びや活動の中で,自分と身近
な人々が深く関わり合っていることに気づくことができる。
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
第1ユニット
「みんななかよ
し」(6)
体
験
的
な
活
動
探
求
的
な
活
動
教
科
等
と
の
関
連
①クラスの友
達と遊ぼう(2)
・校庭の散策
や草花を使っ
た遊び
①種まきや苗植
えをしよう(4)
・花 アサガ
四季のお祭り
オ,ヒマワリ,サ
②2年生と遊 「たんごの節句」 ルビアなど
ぼう(2)
(3)
・野菜 カボ
・2年生に植 ・こいのぼり作 チャやサツマイ
物を使った遊 り
モなど
びなどを教えて ・家族から端午
もらう
の節句について ②毎日お世話を
の話を聞く
しよう(3)
③学校を探検 ・支柱立てや草
しよう(2)
取り施肥など
・特別教室や
体育館等の探
③観察をしよう
検での気づき,
(4)
その中で多くの
・絵カードの活
人との出会い
用
国語
「おはなしききた
いな」
・端午の節句に
関わる話を聞く
第3ユニット
「秋と遊ぼう」(7)
①花で遊ぼう(2)
・アサガオやサルビアなどを使って
たたき染め,押し花,汁遊びをする
②種とりをしよう(2)
・種を取った喜びの表現活動
・プレゼントをする相手を考える
③作って遊ぼう(3)
・秋の自然素材を生かしたもの作り
第2ユニット
「育てよう,楽し
もう」
(11)
学活
道徳
「楽しい給食」
「身近な自然」
・食に対する興
味・関心を高め
る
四季のお祭り
「七夕祭りをしよ
う」(4)
・自分の願い
事と家族の願い
事
・七夕飾り作り
国語
「ほんがよみた
いな」
・七夕に関わる
本を取り上げる
国語
「サラダでげん
き」
・食べ物に関す
る興味・関心を
高める
1月
2月
3月
第4ユニッ
ト
「野菜を食
べよう」(4)
・育てた
野菜を調理
して食べる
四季のお祭り
「冬至ってどんな
日」(4)
・カボチャを食
べる
・冬至について
知る
・年末年始のく
らしについて調
べる
四季のお祭り
「お月見をしよう」(13)
・育ててきた野菜の収穫
・秋の活動で感じたことについて
まとめる
・十五夜について地域の方や家
族から話を聞く
・お月見会の計画を立ててお月見
会をする(まとめたことを発表する)
図工
「どんどんかい
ちゃおう」
・秋についての
まとめを題材と
して取り上げる
植物栽培の指導
図工
「ころころぺった
ん」
・染めものや押
し花,汁遊び体
験の活用
四季のお祭り
「お正月を楽しも
う」(6)
・お正月のくら
しや遊びなどに
ついて調べる
・分かったこと
を教え合う
・おじいちゃん
やおばあちゃん
から昔のお正月
の遊びについて
教えてもらい,
一緒に遊ぶ
道徳
「動植物ととも
に」
国語
「わたしのはっけ
ん」
学活
・もののようすを
「なんでもたべ
文章で伝えるこ
よう」
と
創意
「伝え合おう」
・市内や海外の
小学校との交流
・季節のお祭り
について
・草花を通したも
の作りや体験に
ついて
季節のお祭り
「ひな祭りをしよ
う」(3)
・ひな人形作
り
・ひな人形と
家族の願い
生
活
科
国語
「本とともだち」
・これまで体験
してきたお祭り
についての本な
どを取り上げる
教
科
等
と
の
関
連
第2学年「育てよう・作ろう・食べよう」
1
鹿折小学校 澁谷智樹
単元の概要
(1)単元の構想
2学年のプログラムでは,生活科の「やさいを育てよう」,「みんなでつくろうフェスティバル」
の内容を中心に,栽培や観察,調理,お祭りなどの体験を通して,季節の移り変わりと身のまわり
の植物との関わり,また自然の恵みなどを豊かに感じ取ることができる活動を展開する。
導入では,学級活動の時間として児童に身近な給食を取り上げる。栄養士をゲストティーチャー
に招き,給食の食材(主として野菜)がどこで作られているかや,その栄養についての話を聞くこ
とで,これから行う栽培活動や,食への興味・関心を高める。
それを受けて第1ユニットでは,実際に米や野菜作りを行う。育てる野菜は,児童の思いを大切
にしつつも,後に調理することを視野に入れて決定する。栽培していく中で,野菜とひとくくりに
呼ばれているものでも,実を食べるものや根,茎や葉を食べるものがあることに目を向けさせたい。
稲は,夏休み中の管理や観察のしやすさから,ペットボトルを使って栽培していく。収穫までは,
図書資料や地域の農家の方から話を聞くなどして上手な育て方を調べたり,それをもとに,草取り
や水やりなどのお世話を継続的に行う。そして収穫後に一連の栽培活動を通して分かったことや上
手な育て方などのまとめを行い,第5ユニット「冬野菜を育てよう」につなげられるようにする。
第2ユニットでは,自分がこれから続けて見ていきたい種類を決め,稲や野菜の観察を長期間に
わたって行っていく。教室の中には,「季節のコーナー」を設置し,季節ごとの掲示を工夫したり,
観察カードを掲示することで活動への意欲を高めたい。
育てた米や野菜を生かした豆腐作りや焼きいも作り,地域の伝統料理作りなどを第3ユニットで
行う。ここでは,単に味わうだけでなく,自分たちの食しているものは,誰かの手によって大切に
育てられているということや,大豆のように形は変わっても原材料になっている食品や調味料が身
のまわりには多いということにも気づかせるような指導をしたい。
第4ユニットは,秋のお祭りを行う。はじめに地域のお祭りに詳しい方から話を聞くことで,古
くから伝わるどのお祭りにも,人々の豊作や大漁の願い,あるいは感謝の気持ちが込められている
ということおさえる。準備を進めていく中では,わらを使ったもの作りにも挑戦する。わらじやし
め縄など,わらで作ったものなどを掲示し,昔の生活について話を聞くことで先人の知恵やものを
大切に使っていた心などを感じ取らせるようにしたい。そしてお祭りに1年生やお世話になった方
々を招待し,これまでの活動のまとめを発表する。
最後の第5ユニットでは,これまで野菜を育ててきた体験をもとに,冬野菜作りを行う。このユ
ニットでは,野菜を決める活動からお世話,収穫まで,児童の自発的な活動を展開させたい。
(2)環境教育としての視点
栽培活動は,季節の移り変わりや天候といった自然環境から直接的に影響を受けるものである。
栽培活動を通して,植物の成長の仕方に気づくとともに,それが自然環境と深い関わりがあること,
自然のもつ偉大な力にも気づくことができるものと考える。また,自分が育てた野菜などを食する
ことで,毎日食べている米や野菜も自然の恵みであることを実感させることができるものと考える。
【育成すべき資質・能力】
感受性:米や野菜の栽培や観察の活動,その収穫物を食べる活動を行っていく中で,植物の成長
の神秘性や自分の身のまわりの豊かな自然を実感するとともに,自然の恵みに感謝する
心を育てる。
【環境をとらえる視点】
食と農:わたしたちの食べ物としての米や野菜とそれらの栽培・成長
(3)教科等との関連
本単元の指導内容は,学級活動「楽しい給食」を単元の導入として組み入れ,さらに国語科の説
明文「たんぽぽ」,話す聞く活動「おもちゃまつりへようこそ」,書く活動「かんじたことを」や図
工科「はっぱってこんなにちがうんだ」の内容と関連させ構想を組み立てた。
2
単元のねらい
(1)単元目標
米や野菜の栽培活動に興味・関心をもち,進んで観察や世話を行う中で,植物の成長の仕方やそ
れが自然環境と深く関わり合っていることに気づくことができる。また,栽培と人間の食べ物との
つながりを考え,自然の恵みを感じ取ることができる。
(2)単元の評価規準(観点別)
生活への関心・意欲・態度
活動や体験についての思考・表現
身近な環境や自分についての気づき
野菜の育て方や,成長の様子 上手な世話の仕方を考えたり, 野菜の成長と自然環境には深
に関心をもち,観察や世話など 世話をしたことや野菜の成長の い関わりがあることや,食べ物
の活動に進んで取り組もうとす 様子などについて表現すること が人間の手によって大切に育て
る。
ができる。
られていることに気づいている。
3
主な連携機関及び内容
○給食センター(栄養士)
:食べものの材料や栄養に関する指導
○ JA:稲の栽培と収穫に関する指導・助言
○地域の農家:上手な野菜の栽培に関する指導
○地域の豆腐店:豆腐作りでの指導
○地域の伝統料理に詳しい方,スローフード気仙沼,保護者:調理の指導協力
○地域のお祭りに詳しい方:お祭りについての講話
○地域のわら細工ができる方:わら細工の指導
4 学習計画 総時間60時間扱い(生活科60時間)
第1ユニット「米や野菜を育てよう」
(21時間)
学 習 活
動
・主な内容
○指導上の留意点
◇教科等との関連
◆関係機関等
① 育てる野菜を決めよう(2)
○調理の活動を意識しながら考えるよう話
・みんなで話し合って,育てる野菜を決める。
す。また,野菜でも種類によって実,根,
共通 ミニトマト サツマイモ 枝豆 ねぎ
茎や葉を食べるものがあるので,そのこと
選択 なす とうもろこし トマト
を児童に伝え,バリエーションに富んだ野
きゅうり ジャガイモ にんじん
菜を選択させる。
かぼちゃ
◇本小単元の導入として学級活動「残さず食
べよう」では,栄養士の先生をゲストティ
ーチャーとして招き,給食の食材(米や野
菜)がどこから来るのかや,それらの栄養
について話を聞き,興味・関心を高める。
◆給食センター(栄養士)
② 苗を植えよう種をまこう(4)
・ペットボトルに米の苗を植える。
・育てる野菜の苗を植える。種をまく。
○夏休み中の管理や観察を容易にするため,
また持ち運びのことを考慮し稲作はペット
ボトルを活用する。
○米づくりについては,学校や児童の実態に
応じて行わなくてもよい。
◆ JA
③ 上手な育て方を知ろう(3)
○家庭で農業を行っている児童には,家族か
・図書資料を活用して,米や野菜の上手な育て
ら聞いてくるなどの活動も考えられる。
方を調べる。
◆地域の農家の方
・地域の農業に詳しい方をゲストティーチャー
として招き,上手な米や野菜の育て方の話を
聞く。
④ お世話をしよう(3)
○水やりなどは当番を決めるなどして,日常
・③で学習したことをもとに,水やりや草取り
的な活動とする。
などの世話を行う。
⑤ 収穫をしよう(6)
・育ててきた野菜や米を収穫する。
○もみすりや脱穀などの作業は,JA に依頼
してもよい。
◆ JA
⑥ 上手な野菜の育て方をまとめよう(3)
○うまくいったことや,失敗してしまったこ
・苗植えや種まきから収穫まで,野菜を育てて
とを振り返らせることで,
第5ユニット「冬
きて分かったことや,上手に育てるために大
野菜を育てよう」の活動につなげられるよ
切なことなどをまとめる。
うにする。
◇国語「かんじたことを」
第2ユニット「観察をしよう」
(8時間)
学 習 活
動
・主な内容
○指導上の留意点
◇教科等との関連
◆関係機関等
・米や野菜の継続的な観察を行う。
○継続的に観察をしていくものを明確にす
・教室に「季節のコーナー」を作り,季節に応
る。また自分が観察していくもの以外の種
じた掲示物や観察カードを継続的に掲示して
類のものも気をつけて見ていくよう話す。
いく。
○児童の気づきを大切にした,自主的な活動
となるよう観察カードを置く場所や使い方
の約束などを決め,休み時間や朝の活動な
どでも積極的に取り組めるようにする。
○野菜の観察カードの他に,「町探検」で見
つけた身のまわりの自然,「生きものをか
おう」の飼育観察カードなどを掲示するこ
とで,活動に広がりをもたせる。
◇国語「たんぽぽ」「かんじたことを」
◇創意「伝え合おう」
第3ユニット「作って食べよう」
(11時間)
学 習 活
動
・主な内容
○指導上の留意点
① 焼きいもを作ろう(3)
・焼きいもを作って食べる。
◇教科等との関連
◆関係機関等
○落ち葉を集める作業を行わせるとともに,
落ち葉が調理の燃料として使用できること
にもふれる。
② 豆腐作りに挑戦しよう(4)
○夏は枝豆として食べていたものが,乾燥さ
・豆腐作りを行い,作った豆腐やできたおから
せることで,多くの身近な食べ物の原材料
を食べる。
となっていることを理解させる。
・大豆を使った食べ物についての話を聞く。 ◆地域の豆腐店
③ 育てた野菜で料理をしよう(4)
・育てた米や野菜を使って調理する。
例 カレーライス 豚汁 ずんだ餅
○保護者に活動の協力を依頼する。
○地域に伝統料理について詳しい方がいる場
サラダ
合は講師を依頼してもよい。
◆地域の伝統料理に詳しい方
スローフード気仙沼
第4ユニット「フェスティバルをひらこう」(18時間)
学 習 活
動
・主な内容
○指導上の留意点
◇教科等との関連
◆関係機関等
① お祭りってどんなもの(2)
○それぞれのお祭りには,
大漁や豊作を祝う,
・地域の方から,その地域に古くから伝わるお
また,次の年の大漁や豊作を願うなど,人
祭りの由来などについて話を聞く。
々の思いが込められているということをし
っかりと押さえる。
◆地域のお祭りに詳しい方
② お世話になった方々や1年生に招待状を書こう ○役割を分担する。
(1)
◇国語「手紙で知らせよう」
・これまでゲストティーチャーとして来校した
方々や1年生にお祭りの招待状を書く。
③ 計画を立てよう(2)
・お祭りの計画を立てる。
○①の活動を振り返る。
○野菜の観察記録や,調理体験で感じたこと
のなど,これまでの活動の発表の場である
ことを確認し,計画を立てさせる。
④ わらやサツマイモのつるを使っておもちゃや飾り ○はじめにわらじやしめ縄などを掲示して,
作りに挑戦しよう(3)
昔はわらなどの一見不要に見えるものも工
・わらやサツマイモのつるを使って,おみこし
夫して有効に使っていたことを話し,先人
やお店の飾り,景品などを作る。
の知恵に目を向けられるようにする。
◇国語「おもちゃまつりへようこそ」
図工「はっぱってこんなにちがうんだ」
◆地域のわら細工ができる方
⑤ 準備をしよう(6)
・おみこし,お店,発表の準備などを行う。
○葉っぱやどんぐりなど,自然のものを工夫
して有効に使うよう話す。
⑥ お祭りをしよう(3)
・お祭りを楽しむ。
○分担に従って自分の役割をしっかり行わせ
る。
⑦ 感謝の気持ちを伝えよう(1)
◇国語「手紙で知らせよう」
・お祭りに来てくれた方にお礼の手紙を書く。
第5ユニット「冬野菜を育てよう」
(2時間)
学 習 活
動
・主な内容
・育てたい冬野菜を決める。
・冬野菜の種をまく。
○指導上の留意点
◇教科等との関連
◆関係機関等
○第1ユニットの⑥でまとめたことを参考
に,活動を進めることができるようにする。
2年生 「育てよう・作ろう・食べよう」
主な連携機関及び内容
○給食センター(栄養士):
食べものの材料や栄養に関する指導
○JA:稲の栽培と収穫に関する指導・助言
○地域の農家:上手な野菜の栽培に関する指導
○地域の豆腐店:豆腐作りでの指導
○地域の伝統料理に詳しい方,スローフード
気仙沼,保護者:調理の指導協力
○地域のお祭りに詳しい方:
お祭りについての講話
○地域のわら細工ができる方:わら細工の指導
2年生では,生活科の中で米や野菜の栽培など,「自然にふれる」活動を通して,変わりゆく季節を感じ,自然の豊か
さを実感することができるような活動を展開する。栽培・収穫した米や野菜は種類に応じて工夫して調理し,食べること
で自然の恵みのありがたさや,作物を作る苦労,食べ物の大切さなど,「食」についての関心を高める。また,秋のフェ
スティバルをふりかえりの場と位置づけ,1年生やお世話になった方々を招待して,これまでの活動から,分かったこと,
感じたことなどを発表する。
○時数 4月~3月 60時間(生活科)
○関連 国語,図工,道徳,学級活動,創意
○目標 野菜や米の栽培活動に興味・関心をもち,進んで観察や世話を行う中で,植物の成長の仕方やそれが自然環
境と深く関わり合っていることに気づくことができる。また,栽培と人間の食べ物とのつながりを考え,自然の恵み
を感じ取ることができる。
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
体
験
的
な
活
動
第1ユニット
「米や野菜を育てよう」(21)
①そだてる野菜をきめよう(2)
・共通 ミニトマト サツマイモ
枝豆 ねぎ
・選択 なす とうもろこし トマ
ト
ジャガイモ にんじん
かぼちゃ きゅうり
④お世話をしよう(3)
・水やり
・草取り
※当番などを決めて継続的にお世話を行う
②苗を植えよう種をまこう(4)
・ペットボトルに米の苗を植える
・育てる野菜の種まき苗植え
探
求
的
な
活
動
教
科
等
と
の
関
連
③上手な育て方を知ろう(3)
・図書資料の活用
・農家の方から話を聞く
1月
2月
3月
⑤収穫をしよう(6)
第5ユニット
・野菜の収穫
「冬野菜を育てよう」(2)
・米の収穫
・冬野菜の種まき
第3ユニット
第4ユニット
「作って食べよう」(11)
「フェスティバルをひらこう」(18)
①焼きいもを作ろう(3)
①お祭りってどんなもの
・焼きいもを作り食べる
・地域の方からお祭りの
②豆腐作りに
ことについて聞く(2)
挑戦しよう(4)
②お世話になった方や1年生
・豆腐を作り,豆腐や
に招待状を書こう(1)
おからを食べる
③計画を立てよう(2)
・大豆を使った食べ物
④わらやサツマイモのつるを
について知る
使っておもちゃや飾り作り
③育てた野菜で
に挑戦しよう(3)
料理をしよう(4)
・おもちゃを作る
・保護者や地域の
・おみこしの飾りを作る
方々の協力
⑤準備をしよう(6)
例 カレーライス 豚汁
・お店や発表の準備
ずんだ餅 サラダ
⑥お祭りをしよう(3)
・野菜や米の観察記録発表
・調理体験の発表
⑥上手な野菜の育て方
⑦感謝の気持ちを伝えよう(1)
をまとめよう(3)
・来てくれた方へお礼の手紙
・野菜を育てて分かった
ことなどをまとめる
生
活
科
第2ユニット
「観察をしよう」(8) ・季節の変化に伴う成長の様子(芽がでたよ 茎が伸びたよ 葉が増えたよ 花が咲いたよ 実がなったよ) ・それぞれの野菜で実や根,葉や茎を食べることへの気づき
・季節のコーナー作り(季節の掲示物作り) ・観察カードや町で見つけた季節に関わる発見等の継続的な掲示
学活
「楽しい給食」
・給食の材料は
どこから来るの
・ご飯や野菜の
秘密
国語
「手紙で知らせ
よう」
・手紙の書き方
国語
「たんぽぽ」
・植物の成長の
様子に興味・関
心をもつ
国語
「おもちゃまつへようこ
そ」
・身近なものでのおも
ちゃ作り
・順序を考えた説明の
仕方
国語
道徳
「かんじたこと 「自然大好き」
を」
・自分の身のま
わりで感じたこ
道徳
となどを短いこ
「命ってふしぎだ とばで表現する
な」
図工
「はっぱってこん
なにちがうんだ」
・自然にあるもの
を活用したもの
作り
創意
「伝え合おう」
・市内や海外の
小学校との交流
・野菜の栽培に
ついて
・互いのお祭り
について
国語
「きせつの思い
出ブックを作ろ
う」
・季節の移り変
わりと栽培活動
をリンクした表
現活動
教
科
等
と
の
関
連
第3学年「こん虫たんけんたい」
1
落合小学校 松本博路
単元の概要
(1)単元の構想
気仙沼は海,山,川の恵みにあふれ,豊かな自然環境がどの学校周辺にも多く残されているにも
かかわらず,子どもたちが,自然とふれあう機会が少なくなってきている。したがって,学校教育
の中に身近な自然とふれあう活動を意図的に多く取り入れ,ありのままの自然を感じ取りながら学
校周辺の自然の豊かさを実感させ,保全の大切さに気づかせることが必要と思われる。
本単元では,児童にとって最も身近な「昆虫」を素材として,その生態を学んだり,昆虫が生き
ていくために必要な環境を考えたりする中で,現在の学校周辺の環境に目を向けさせ,自分たちの
生活との関わりを考えながら,これらと共生していく大切さを実感させたい。
初めに理科や社会科の学習と関連させて,学校周辺の様子やいろいろな虫との出会いを想起させ
る。そして地域の方から学校周辺の様子や虫の見つけ方などのヒントを頂く。それから実際に探検
に出かけ,見つけたいくつかの虫を取り上げ,どのような所でどんな虫が生息しているのか,見つ
けた虫の名前や種類は何か,すみかやえさは何かなど,実際に虫を飼育させながら調べさせる。
次に,理科の「チョウをそだてよう」
「こん虫をしらべよう」の学習と関連させながら学習を進め,
虫の中でも昆虫にしぼって観察させていく。探検活動は春から冬にかけて行い,季節の変化や生態
にどのような違いがあるか気づかせたい。その際,学校周辺にある自然をそのまま利用しながら昆
虫ビオトープをつくる活動を進めさせる。
単元の終末では,昆虫ビオトープを観察したり,調べたりする活動でわかったことを「ビオトー
プのひみつ」としてまとめさせる。そして,昆虫が生きていくよりよい環境・諸条件を考えて,理
想的な昆虫ビオトープとして絵地図にまとめ,自分の地域の自然環境に対する思いや願いも表現さ
せたい。さらに,まとめたことを,自分たちと環境の違う学校や,ホームページに掲載して他の地
域と交流する活動をさせる。その後,交流活動を振り返り,改めて昆虫が生息していく環境を保全
するためにどんなことができるのか,どんなことに気を付けていけばよいか考え,自分たちが地域
の自然を守るために実践していきたいことをまとめさせたい。
(2)環境教育としての視点
昆虫採集は,昆虫とのふれあいを通して,ありのままの自然を受け止めることにつながる。実際
に捕まえた昆虫を育てる活動では,自分と身近な環境との関わりを見直したりすることができる。
また,これらの活動を通して,昆虫の特徴や自然の中で生き抜く知恵,季節による生態の変化に気
づき,自然を愛護し,郷土を愛する心と環境を大切にする心が培われていくと考える。
【育成すべき資質・能力】
◎感受性:昆虫の採取や飼育活動を通して,自分の生活との関わりに気づき,地域の自然環境の
豊かさを実感する。
○知
識:昆虫の生活環境や生態変化を調べる活動を通して,昆虫の生態系についての知識を深
めるとともに,これらの昆虫と人の生活との関わりについて調べ,自分たちとの関わ
りについて理解を深めることができる。
【環境をとらえる視点】
人と自然:昆虫の神秘性と多様性,生き物の生命尊重と人間生活とのつながりを考えた生活環境
の維持。
(3)教科等の関連
本単元の指導内容は,社会科「学校のまわり」理科「こん虫をしらべよう」
「チョウをそだてよう」
等の教科の単元を組み入れ,さらに,国語科の「自然のかくし絵」の説明文や「わたしのお気に入
りの場所」の紹介文,道徳「ふるさといいとこさがし」の内容と関連を図って構成した。
2
単元のねらい
(1)単元目標
学校周辺に生息する昆虫とふれあい,自然をそのまま生かした昆虫ビオトープを利用しながら,
昆虫を飼育・調査・観察する活動を行い,その生息状況や生活環境,季節による変化等についての
理解を深め,自分の地域の自然環境を大切にしていこうとすることができる。
(2)単元の評価規準(観点別)
3
関心・意欲・態度
思考・判断
表現
気づき
学校周辺の自然と環
境に関心をもち,進ん
で観察活動や飼育活
動をしようとする。
昆虫の多様性と分布
を認識し,昆虫が生
息していく環境を守
るための自分なりの
考えや意見をもつこ
とができる。
調査,観察した昆虫
を絵や文で表したり,
環境を守るための自
分の考えを理想的な
昆虫ビオトープにま
とめることができる。
学校周辺の探検や昆
虫を飼育,観察する
活動を通して,自分
の地域の豊かな自然
に気づくことができ
る。
主な連携機関及び内容
○宮城教育大学環境教育実践研究センター:昆虫を素材としたプログラムへの指導,昆虫検索ソフ
トの提供,ビオトープに関わる技術・情報提供
○気仙沼自然塾,地域の人材
:昆虫の観察,飼育に関する指導・助言
○えるふぇ
:ビオトープに関わる技術・情報提供
○気仙沼蝶々の会
:自然を活用した昆虫ビオトープづくりの指導
4
学習計画 総時間75時間扱い
(総合的な学習の時間50時間,理科13時間,国語11時間,道徳1時間)
第 1 ユニット「たんけんにでかけよう」
(6時間)
学習活動
・主な内容
○指導上の留意点
◇教科等との関連
◆関係機関等
総
1
①どんな虫がいたかな
○今までの経験(1,2 年の生活科)から
・学校周辺の草花や生き物など見つけたことの
予想を立てさせる。
中で,特にどんな虫がいたか発表し合う。
◇社会の「学校のまわり」理科「しぜんた
・どんな虫と遊んだことがあるか,捕まえた経
んけんをしよう」の活動の際に見つけた
験から考えよう。
虫を取り上げて活用する。
2
~
4
総
3
②むかしの学校のまわりのようすをしろう
○ゲストティーチャーに質問させ,学校周
・地域のゲストティ―チャーを招いて昔の学校
辺の虫を探る意欲を高める。
周辺の様子を聞く。
○ゲストティーチャーには生き物の中でも
・虫の捕まえ方やいそうな場所をヒントを得
昆虫に絞って話していただく。
る。
◆地域の人材
5
・
6
総
2
③虫を見つけよう
○生き物の中で虫に絞って観察したり捕ま
・学校周辺の田や川原,草原に出かけ,生き物
えたりして,観察させる。
を観察する。
○さまざまな条件のフィールドをグループ
・見つけた生き物の中で虫に絞って観察したり
に分かれて探検させる。
捕まえたりする。
○それぞれの場所が住みよい環境になって
いることに気づかせたい。
1
2ユニット「虫コーナーをつくろう」
(9時間)
1
・
2
総
2
3
~
9
総
4
理
2
国
1
①見つけた虫をしょうかいしよう
○デジカメを活用して記録させる。
・どんなところからどんな虫を見つけたか発表 ○インターネットや関係機関との情報交換
する。
を行いながら調べさせる。
・見つけた虫のことを調べる。
◆宮城教育大学
・地域の方に虫のことを教わる。
◆地域の人材
・虫の上手な身のかくし方を探る。
◇国語科「自然のかくし絵」
②虫をかってみよう
・すみかに必要なものや食べ物を調べる。
・いろいろな虫を飼育してみる。
・検索ソフトを使って調べる。
○教室の一角に昆虫を飼育する場所を設け
観察させる。
◆宮城教育大学
○虫がすみかにできそうな花壇や一人一鉢
植物をそだてよう
の植木鉢を用意する。
・ホウセンカやヒャクニチソウを育てる準備を ○秋までの昆虫がすみかにできそうな植物
する。
を植えさせ,集まった昆虫と植物の関係
・花壇にアサガオやオシロイ花を育てる計画を
について気づかせる。
立てる。
◇理科「植物をそだてよう」
③自然のかくし絵
○本文の内容を読み取り,昆虫の身の隠し
・昆虫の身の隠し方について調べたり,見つけ
方に関心を持たせる。
た虫の身の隠し方を紹介する。
◇国語「自然のかくし絵」
第3ユニット「こん虫をさがしにでかけよう」
(14時間)
1
~
6
総
6
①こん虫を見つけよう
○虫の中でも,理科の学習で取り上げた昆
・昆虫に絞って春から夏にかけての学校周辺の
虫に絞って探させる。
草原,田んぼ,川原のフィールドを探検する。 ○条件の違うフィールドを探検させる。
・「虫を見つけよう」で捕まえた昆虫をもう一 ○前学習で自分が捕まえた虫の中で昆虫が
度探す。
いた場合,同じ昆虫を探させる。
7
~
12
総
6
②こん虫はどうしているだろう
○季節による生態の変化や生活環境の変化
・夏から秋にかけての前回と同じフィールドを
を感じ取れるよう同じ昆虫を探させる。
探検する。
○共生の仕組みを捉えられるよう昆虫ビオ
・昆虫ビオトープを探検する。
トープに集まる他の生き物を見つけさせ
・昆虫以外の他の生き物も探す。
る。
13
・
14
総
2
③ビオトープのこん虫をさがそう
○冬に越冬の準備をする昆虫の姿を観察さ
・昆虫ビオトープに生息している昆虫を探す。
せる。
・チョウやトンボ,カマキリなど冬に近づいた ○季節による生態の変化や生活環境の変化
ころの昆虫を見つける。
を理解できるよう同じ昆虫を共通素材と
して取り上げて探させる。
第4ユニット「こん虫ビオトープをつくろう」
(19時間)
1
~
4
総
4
①ビオトープを知ろう
○ビオトープとは,自然の中で生き物が集
・ビオトープについて調べる。
まって生命のつながり営まれる環境であ
・学校周辺の自然をそのまま利用したビオトー
ることを学ぶ。
プに昆虫を放して飼う。
○ビオトープの維持,管理の仕方の説明を
・ビオトープ内の昆虫のすみかを観察する。
いただく。
◆えるふぇ,気仙沼自然塾
5
~
20
②こん虫をそだてよう
○自分の見つけた昆虫を育てる活動を通し
・見つけた昆虫をビオトープやむし虫コーナー
て,生活環境の違いや季節による数,種
で育てる。
類の違いに気づかせたい。
・季節による昆虫の数や種類,生活環境の違い ◇理科の学習を組み入れ,共通素材として
について調べて発表する。
チョウの一生を観察して,昆虫の生態変
化や周囲の環境との関わりについて気づ
チョウをそだてよう
き,昆虫の体のつくりについてまとめさ
・チョウの幼虫からチョウになるまでの飼育・
せる。
観察をする。
○モンシロチョウを取り上げ,一人一匹の
飼育をさせる。
こん虫をしらべよう
◇理科「チョウをそだてよう」「こん虫を
・昆虫の体のつくりを調べる。
しらべよう」
総
4
理
11
第 5 ユニット「こん虫ビオトープをそだてよう」
1
~
9
総
4
国
5
10
~
13
総
4
①ビオトープのへんかを見つけよう
・昆虫のすみかの季節による変化を観察する。
・飼育していた昆虫の様子を調べる。
・集まってきた他の生き物について調べる。
・昆虫ビオトープをどのようにして維持してい
くか話し合う。
わたしのお気に入りの場所
・自分の見つけた昆虫のいる場所や昆虫と遊ぶ
場所を紹介する。
○デジカメで記録させておく。
○季節の変化によって昆虫がどのように変
わってきたのか考えさせる。
○他の生き物との関係についても目を向け
られるようにさせる。
○まとめの理想的なビオトープにつながる
よう昆虫が住みやすい環境について考え
させる。
◇国語「わたしのお気に入りの場所」
②こん虫のせい長のへんかをしらべよう
○春から飼育してきた昆虫の大きさや色,
・ビオトープにいる昆虫や教室で飼育している
数や体の変容などまとめさる。
昆虫の成長の様子を観察し,記録カードにま ○昆虫によっては,季節の変化に伴いビオ
とめる。
トープのすみかから違う環境の場所に移
・見つけた昆虫の季節による体やすみかの変化
動して生息している場合があることをお
をまとめる。
さえさせる。
第 6 ユニット「こん虫ビオトープをのこそう」(14時間)
1
~
7
総
2
国
5
①こん虫のひみつをまとめよう
○自分が飼育した昆虫を中心にえさやすみ
・昆虫ビオトープで見つけた秘密をまとめる。
か,生態の変化などまとめさせる。
・昆虫が生息していくためのよりよい環境につ ○自分たちの学校周辺をどのような生活環
いてまとめる。
境にしていくことが昆虫にとってよいか
話し合わせる。
わたしの研究レポート
・「ビオトープのひみつ」をテーマにグループ ○自分たちが育ててきたビオトープを紹介
でまとめる。
させる。
◇国語「わたしの研究レポート」
8
~
11
総
4
②ひみつをしょうかいしよう
○自分の地域と違った環境の学校と交流さ
・他の地域の学校と情報の交換をする。
せる。
・自分たちが見つけた「こん虫のひみつ」をイ ○自分の地域のよさに気づけるよう同じよ
ンターネットのホームページで紹介する。
うな条件の学校との比較もさせ,交流の
楽しさも味わわせたい。
12
~
14
総
2
道
1
③ふるさとを見つめよう
○自分のふるさとのよさに気づき,これら
・自分の地域のよさを残すために必要なことを
を保持いくために必要なことを話し合わ
考える。
せる。
・自分にできることを考えてまとめる。
○改めて自分の地域のよさを振り返らせ,
残していこうとする気持ちを含めて発表
ふるさといいとこさがし
させたい。
・自分のふるさとのよさを発表させる。
◇道徳「ふるさといいとこさがし」
3年生「こん虫たんけんたい」
3年生では,この時期,理科や社会科で学校周辺の自然探検をする機会がある。そこで見つけた生き物の中で虫を取り上げ,学校周辺の虫探しに出かけ
見つけた虫を飼育観察する。その後,理科の学習で学んだことを生かしながら,昆虫に絞って種類や生息環境,季節による生態の変化などを調べる活動を,
自然をそのまま生かした昆虫ビオトープを育てながら追求していく。そして発見したしたや分かったことをまとめ,生き物とのつながりを考えた理想的な
ビオトープを絵地図にまとめ,自分の地域の自然環境を保持,保存していく考えを発表する。
○時数 4月~2月 75時間扱い(総合的な学習50,理科13,国語11,道徳1)
○関連 国語,社会,理科,図工,道徳
○目標 学校周辺に生息する昆虫と触れあい,自然をそのまま生かした昆虫ビオトープを利用しながら,昆虫を飼育・調査・観察する活動を行い,その生
息状況や生活環境,季節による変化等についての理解を深め,自分の地域の自然環境を大切にしていこうとすることができる。
4
体
験
的
な
活
動
月
6 月
7 月
8・9
月
10 月
11 月
12月
主な連携機関及び内容
○宮城教育大学環境教育実践研究センター
昆虫を素材としたプログラムへの指導,
昆虫検索ソフトの提供
○気仙沼自然塾,地域の人材
昆虫の観察,飼育に関する指導・助言
○えるふぇ,気仙沼蝶々の会
昆虫ビオトープに関わる技術・情報提供
1月
2月
第3ユニット
こん虫をさがしにでかけよう(14)
第1ユニット
たんけんにでかけよう(6)
①どんな虫がいたかな(1)
・理科や社会で学校周辺探検をした時に見つ
けた虫を発表する。
①こん虫を見つけよう(6)
・理科で学習したことを生かし,昆虫に絞って探す。
・学校周辺の草原,田んぼ,川原に探検に行く。
(春,昆虫が多く見られるようになった頃)
・
「虫を見つけよう」で見つけた昆虫をもう一度探してみる。
②むか しの学 校のま わりのよ うすをし ろう
(3)
・地域の方から昔の学校の周りの様子を聞く。
・虫の捕まえ方,いそうな場所のヒントをも
らう。
②こん虫はどうしているだろう。(6)
・学校周辺の草原,田んぼ,川原に探検に行く。
(夏から秋への変わる頃)
・昆虫ビオトーを探検する。
・昆虫以外の生き物も探す。
③虫を見つけよう(2)
・学校周辺の田んぼ,川原,草原に出か
け,虫にしぼって観察したりつかまえ
たりする。
③ビオトープのこん虫をさがそう(2)
・昆虫ビオトープに生息している昆虫を探す。
・冬に近づいたころの昆虫を見つける。
第4ユニット
第5ユニット
第6ユニット
第2ユニット
こん虫ビオトープをそだてよう
(13)
こん虫ビオトープをつくろう
(19)
こん虫ビオトープをのこそう(14)
虫コーナーをつくろう(9)
探
求
的
な
活
動
教
科
と
の
関
連
関
連
単
元
①見つけた虫をしょうかいしよう(2)
・どんなところにどんな虫がいたか書く。
・虫の名前や種類は何か検索ソフトで調
べる。
・虫に詳しい地域の方に聞きながら調べる。
②虫をかってみよう。(4)
・すみかに必要なもの考える。
・食べ物は何か調べる。
・いろいろな虫を飼育してみる。
①ビオトープを知ろう(4)
・学校周辺の自然をそのまま生かせる場所を
探し,昆虫を放す。
・昆虫のすみかの様子を観察する。
②こん虫をそだてよう(4)
・見つけた昆虫をビオトープや虫コーナーで育
てる。(チョウを共通昆虫として育てる)
・春と夏に見つけた昆虫たちの数の違いや種類
について紹介する。
・昆虫の生活環境の違いを調べる。
理科(8)
②「植物をそだてよう」(2)
植物を育て,そこに集まる生き物を観察する。
②「チョウをそだてよう」(6)
・チョウの完全変態を観察し,昆虫の一生について
調べる。
理科(5)
②「こん虫をしらべよう」
・昆虫の体のつくりを知る。
①ビオトープのへんかを見つけよう(4)
・昆虫のすみかの変化を観察する。
・季節変化による,捕まえた昆虫たちのその後の様
子を調べる。
・ビオトープに集まる生き物を調べる。
・昆虫ビオトープをどのように維持していくのがよ
いか話し合う。
②こん虫のせい長のへんかをしらべよう(4)
・昆虫の成長の様子や変化を観察し,カードにまと
める。
・見つけた昆虫の季節変化のひみつを紹介する。
国語(5)
①「わたしのお気に入りの場
所」
・自分が見つけた生き物の場
所を紹介する。
理科
「しぜんたんけんを
しよう」
・学校周辺の生き物
を観察する。
社会
「市のようす」
・海,森,川の自然豊かなま
ちであることを知る。
図工
「今日から森の人になる」
・学校周辺の植物を利用し,
ありのままの自然を見つめる。
社会
「農家のしごと」
・田に生息する生
き物を知る。
総
合
的
な
学
習
の
時
間
①こん虫のひみつをまとめよう(2)
・昆虫ビオトープで見つけたひみつ(すみかや食う食わ
れる関係,季節変化による生態変化)をまとめる。
・昆虫が生息していくよりよい環境をまとめる。
②ひみつをしょうかいしよう(4)
・他の地域(環境状況の違う学校や海外の交流校)と情
報交換をする。
③ふるさとを見つめよう(2)
・地域の生き物たちを守るために必要なことを考えてま
とめる。
②国語(5)
「わたしの研究レ
ポート」を書こう
・「ビオトープの
ひみつ」をテーマ
にグループでまと
める。
国語(1)
③「自然のかくし絵」
・内容を読み取り昆虫への関心を高める。
社会
「学校のまわり」
・周辺の様子を地図に
まとめる。
3月
③道徳(1)
「ふるさといい
とこさがし」
・自分の地域の
良さを発表させ
る。
道徳
「生き物を大切
に」
社会
・生き物を大切
「安心してくらせるまち
にした自分の経
験を発表させる。 に」
・住みよい町にするために
努力している人々を知る。
教
科
第4学年
「ぼくらの川を見つめよう」
面瀬小学校 高橋学
1 単元の概要
(1)単元の構想
気仙沼市は,海・川・山と豊かな自然環境に恵まれ,山にはぐくまれた栄養豊かなわき水が川を流
れ,海へ注ぐ。このつながりが気仙沼の産業を支え,育てている。学校周辺においてもそれらに触れ
られる体験学習の条件が整っており,貴重な話を聞ける方たちも周囲にたくさんいる。
4年生における活動は,その自然環境のつながりの中の「川」に目を向け,川の中で営まれる生き
物同士の豊かな関係や,人間の生活を支えてきた川の大切な役割を実感し,自分たちにできることを
模索していこうとするものである。身近にある川を実地で調査することを基本活動とし,同時進行で,
調査の際に捕まえた生き物を水槽で飼うことで,生き物の理想の生息環境を追求していく。
第1ユニット「川の生き物に触れよう」で,自分たちの身近にある川の生き物調査を行う。はじめ
の活動であるので,まずは川やそこに棲む生き物に触れることを目的とする。川で様々な生き物を探
す際に,水の様子,石のにおい,生き物の感触など,五感で感じられる観点を与えておき,活動後に
振り返りを行い,見つけたフィールドの様子や活動後の感想を共有する。その際に魚や他の水生生物
の一部を捕獲し,飼育・観察するために学校に持ち帰る。
第2ユニット「みんなの水族館をつくろう」で持ち帰った魚を水槽に入れて飼育し,理想の飼育環
境を追求していく。飼育に欠かせない世話についてまだ知らない児童も多く,失敗することも多いと
思われるが,それも含めて記録をしておき,追求の手がかりとする。水槽の中を川にできるだけ近づ
けていくことをテーマに,生き物が気持ちよく生きていくことのできる理想の水槽の設計図を作りな
がら,調査活動と並行して取り組んでいく。
第3ユニット「生き物たちが気持ちよく棲める条件を探ろう」では,設計図を手にしてもう一度川
の調査活動を行い,水槽つくりに必要なものや,川の条件に合うものを採取したり,観察したりする。
その結果を持ち寄り,水槽つくりに必要なことを話し合いで探る。いくつかの条件の中で,特に「水」
「エサ」をクローズアップし,次の活動につなげていく。
第4ユニット「川の水のひみつを見つけよう」では,水の温度や水質に着目して調査活動を行う。
水槽での飼育には水質・水温の保持が欠かせないが,川でその役割を果たしている「流れ」について
上流と下流で調査を行う。2回に分けて行っても,2グループに分けて行ってもよいと考える。水温
・水質(CODパックテスト・水生生物指標調査)・まわりの様子(建物や木々等)・川の中の様子(石や
水草等)の観点をもとに観察を行い,上流と下流の様子を比較する。そのことから,川においては①上
流から常に新しく冷たい水が供給されるため,水温・水質が保たれること,②流れがあるため,川底
の石に当たったり,波を打ったりして,水中に酸素を常に含ませていること等に気付かせたい。社会
科の学習で1学期に行われる浄水場や終末処理場の学習もこの段階で生かしていきたい。その後,水
槽作りの世話に循環器を加えたり,水温を定期的に計測していったりと工夫を加える。さらに,エサ
について話し合いを進め,川の中で生き物たちはどんなエサを食べているのか予想していく。
第5ユニットでは,エサに焦点を定めていく。川の水の中に捕まえた水生生物たちのエサを探すこ
とを目的に,4回目の川調査を行う。川から水を採取してミル瓶などに入れて学校に持ち帰る。肉眼
や顕微鏡などでその中に生き物のエサを探す。図鑑で調べたり,関係機関の協力を得たりして,水生
微生物を見つけ,プランクトンの存在や役割について学習する。川の中では,プランクトンのような
小さな生き物が存在し,それらを他の生き物が食べ,さらに大きな生き物がまた食べているという生
命のつながりに気づかせたい。
第6ユニットでは,ここまでの学習で学んだことを発信することを目的とする。伝えたい対象を話
し合い,参観日や学習発表会などを利用して,自分の言葉で伝えさせたい。
第7ユニットとして,生き物同士の関わりから,さらに自分たち,つまり人間の生活との関わりを
考えさせていく。地域の昔の川の様子を知っている方や,ボランティア活動に携わっている方をお呼
びして,その思いや活動の様子に触れさせる。その学習から最終的には,川のために自分たちにでき
ることを具体的に考えさせていきたいと考える。
(2)環境教育としての視点
身近な自然の中から川の生き物とのふれ合いを通して,命のつながりや自分たちの生活との関わり
に気づき,生命を大切にする気持ちや自然を愛護する気持ちを培うことができる。また,その自然の
豊かさが人々の生活を豊かにし,支えていることに気づくことで,改めて自分の郷土の良さを見つめ
直すことにつながると考える。
【育成すべき資質・能力】
◎知
識:川を調査したり,そこにすむ生き物を飼育したりする活動を通して,身近な水辺環境
の豊かさやよさを実感し,友達と話し合ったり調べたりして,川の生き物同士の関わ
り合いや,自分たちの生活との関わりを理解する。
○環境倫理:身近な環境を守るために自分たちにできることを具体的に考える。
【環境をとらえる視点】
◎生活環境:身近な水辺環境の調査や水生生物の飼育活動を通して,生き物同士の関わりや,河川
の生き物に対する働きに気づく。
(3)教科等の関連
本単元の指導内容は,総合的な学習の流れに加えて,①社会科「きれいな水をつなげるために」,②
国語科「いろいろな環境を守る工夫について調べよう」,③道徳「できることから」の学習内容を関連
させて活動を展開することで,学習効果が上がるものと考え,構想した。
2.単元のねらい
(1)単元目標
○身近な川に親しみ,観察や生物調査活動を体験することを通して,生き物同士のつながりや生き物
を育む河川の働きを追求し理解を深める。
○身近な河川と自分たちの生活との関わりについて理解し,水辺環境保全のために自分たちができる
ことについて考えることができる。
(2)単元の評価規準(観点別)
関心・意欲・態度
思考・判断
表 現
気づき
身近な川に親しみ,
そこに住む生き物の様
子や川の働きと役割に
ついて関心を持って調
べようとする
身近な川にすむ生き
物の生存条件や川を守
るために自分たちにど
んなことができるか考
えることができる
身近な川について自
分たちが気付いたこと
を,図や表に表して,
自分の言葉で発信する
ことができる
身近な川が生き物た
ちのつながりや自分た
ちの生活との関わりに
気付くことができる
3.主な連携機関及び内容
①宮城教育大学環境教育実践研究センター:川環境及び水生生物,水生微生物に関する指導
②気仙沼市各浄水場 終末処理場:安全な水の供給の仕方及び下水処理の仕方についての指導
③気仙沼自然塾 ホタル愛護の会:川の水環境保全と生態系の保護についての指導
4.学習計画(全60時間)
段階
1
学
習
活 動
第1ユニット
川の生き物に触れよう
(全5時)
【目標】学校近辺の身近な川に行って生き物を ○事前に話し合いの時間を持ち,川周辺で遊
観察したり,捕まえたりする体験を通して,そ んだ経験を想起し,どんな生き物がいるか,
の豊かさに気づく
それを飼育するためにはどんなものが必要か
を考えて,準備させておく
○学校周辺の川に行き,そこに棲む生き物を観
察し,捕まえる。
○自分たちの考えで水槽を準備し,飼育の準備
をする
○体験したことの報告会をする
○捕まえた生き物やまわりの様子などの事実
・どんな生き物がいたか
と,触れてみて感じたにおいや手ざわりなど
・どんな場所で捕まえたか
の感覚的なものなど,観点を与えて発表させ
・川の中の様子はどうか(どんな物があったか) る
・川の近くには何があったか
・どんな感想を持ったか
みんなの水族館を作ろう
※第1段階(1~5時/全20時)
【目標】実際の川に近い理想の水槽作りや世話
の仕方について考え,理解することができる。
○飼育の仕方について調べる
○よりよい飼育の仕方について話し合い,実際
の川の環境に近づけることが大切であることに
気づく
○実際の川により近い水槽にするための設計図
を作る
2
○常に観察できる場所に水槽をおき,自分た
ちで考えた飼育の仕方で世話をしながら,気
づいたことをメモやスケッチに残して掲示板
に累積させておくようにする
○資料をもとに正しい世話の仕方を調べる時
間を設け,わかったことを掲示板に累積させ
ておくようにする
第2ユニット 生き物たちが気持ちよく棲め
る条件を探ろう
(全5時)
【目標】飼育体験を通して考えた,水槽で川の ○事前に話し合いの時間を持ち,水族館作り
環境を再現するために必要なものを採取したり,で話し合った理想の水槽作りのための設計図
大切な条件を川の様子から見つけ出す。
に従って,川で観察する担当や,採取してく
る担当などを分担させておく
○自分たちでつくった理想の水槽の設計図をも
とに,再現したい川の様子を観察したり,必要
なものを採取したりする。
○なぜ,どんな考えで観察したり,採取して
○自分たちの考えで水槽に手を加える
きたのかを自分たちの言葉で説明するように
○自分たちが行った水槽作りについて報告する 指示する
・川のどんなところを特に注意して観察したか
・川からどんなものを採取してきたか
みんなの水族館を作ろう
※第2段階(6~10時/全20時)
○理想の水槽作りの体験から水生生物が生きる
ために大切な条件について考える
○水に着目し,なぜ川では水温や水質が保たれ
るのか予想する
3
○指導上の留意点 ◇教科との関連 ◆関連機関など
第3ユニット
川の水のひみつを見つけよう
(全5時)
【目標】水に着目して川を観察し,上・下流な
ど川の様々な場所によって異なる水温や水質,
棲息する生き物のちがいに気づく
○調査活動や生き物の飼育での成功・失敗の
体験から,以下の観点に気づけるよう助言す
る
・水…水質・水温
・エサ…プランクトン
etc
◇社会科の浄水場・終末処理場見学「きれい
な水をつなげるために」「下水をきれいにす
る微生物の働き」での学習を想起させ,人間
にとってのきれいな水と,魚にとってよい水
とについて話し合いを持つ
○上流・下流にあたる2つの地点を設け,それ ※可能であれば,他の学校と協力して,下流
ぞれの場所で,以下の調査を行う。
・上流いずれかを分担し,交流を通して比較
・水温調査
してもよい
・水質調査(CODパックテスト)
・生物指標調査
・川の中やまわりの様子の観察
○上流・下流での調査結果を報告し結果を比較
して,なぜそのようなちがいが生まれるか話し
合い,川の流れによる浄化の作用に気づく
○水槽に循環器を付けたり,水をこまめに換え
たりするなど,水質や水温の管理に気をつける
○事前にCODパックテストの行い方を指導
しておく
○上下流の比較の結果から,上流から常に冷
たくきれいな水が供給され,川の水の水温や
水質が保たれていること,下流に近づくほど
日光に触れたり家庭からの排水が混じったり
して汚れたり暖められりすることに気付かせ
る
みんなの水族館を作ろう
※第3段階(11~15時/全20時)
○エサに着目し,実際の川では生き物たちがど ○水槽では自分たちでエサを常にあげている
んな場所からどのようにエサを得ているのかを が,実際の川では生き物たちはどのようにし
し,話し合う
てエサを得ているか予想し合う
4
第4ユニット 川の生き物のエサをつきとめ
よう
(全5時)
【目標】エサに着目して川を観察し,川の水の
中の目に見えない微生物の存在や働きについて
学習する
○水生生物のエサがあるであろう川の箇所に
ついて予想し,そこの水を採取する
○話し合いの中で予想した場所をよく観察し,
その場所から水を採取する。
○採取した水を肉眼で見たり,顕微鏡で観察し
たりして,水生生物たちがエサをどこから得て
いるか見つけ出す
○お互いに水の中で見つけたものについて報告
する
○水生微生物について,予め図鑑や指標など
を用意しておき,児童が見つけた際にある程
度同定ができるようにする(デジタルカメラ
で直接接眼レンズから画像を撮り,専門機関
に同定をお願いしてもよい)
○ストッキングなどを使って,事前にプラン
クトンネットをつくる
○プランクトンには動物プランクトンと植物
プランクトンがおり,様々な生き物のエサに
なっていること,また他の生き物同士でも食
う食われるの関係があることに気付かせる
みんなの水族館を作ろう
※第4段階(16~20時/全20時)
○水の中で見つけた水生微生物について資料な
どから詳しく調べる
◆宮城教育大学環境教育研究所
5
川についてわかったことをまとめよう
(全10時)
【目標】これまでの学習で学んだ川の働きや生
き物の生態について,地域の人たちや家族に発
表する
○これまで世話をしてきた理想の水槽について
紹介し,なぜ,どのような考えで水槽作りを行
っていたのかを自分の言葉で発表する
○河川の働きや飼育した生き物の体の仕組み,
生態についてわかったことを発表する
○「ぼくらの川」への自分の思いをまとめ,自
分の言葉で発表する
6
○今まで学習した内容をもう一度振り返り,
以下の観点をもとにわかったことをまとめ,
自分たちにとって身近な川がどんな存在と感
じたか感想を自分の言葉でまとめさせる
・川調査で気付いた生き物のこと
・川の生き物に対する働き
・川環境と私たちの生活との関わり
ぼくらの川を守るために (全10時)
◇道徳「できることから」の内容と関連させ,
【目標】地域の方たちの川に対する思いや,水 ちょっとしたことでも自分のできることを見
辺環境を守るために様々な取組を知り,身近な つけていく姿勢を考えさせる
水辺環境保全に対する関心を高める
○ボランティア活動を実践している方や,地
○「どーする日本のあした」第2回『汚れる川』 域で昔から農業に従事してきた方に連絡を取
を見て,河川の水質汚濁の問題に関心を持つ
り,お話をいただく
○身近な川の昔の様子や,環境保全のための取
組についての講話を聞く
◆ホタル愛護の会,気仙沼自然塾
○豊かな水辺環境を守るために自分たちにでき
ることを考え,できることから行動に移す
・水槽の魚の放流
・河川周辺の清掃
・生活排水を減らすための呼び掛け
etc
4年生『ぼくらの川を見つめよう』
4年生における活動は,身近にある川を実地で調査することを基本活動として取り組み,同時進行で,調査の際に捕まえた生き物たちを水槽で飼うことで,生き物の
理想の生息環境を探していく。その活動から,自然環境のつながりの中の「川」に目を向け,川の中で営まれる生き物同士の関係や,人間の生活を支えてきた川の役割
を実感し,自分たちにできることを模索していこうとするものである。
○時 数 4~2月 60時間扱い
○関 連 国語,社会,理科,図工,道徳,
○目 標 身近な川に親しみ,観察や生物調査活動を体験することを通して,生き物同士の関わりや生き物を育む河川の働きを追求し理解を深める。
身近な河川と自分たちの生活との関わりについて理解し,水辺環境保全のために自分たちができることについて考えることができる。
4
月
5
月
第1ユニット
川の生き物にふれよう
(5)
フ
ィ
|
ル
ド
調
査
○学校周辺の川に行き,そ
こに棲む生き物を観察し,
捕まえる。
○自分たちの考えで水槽を
準備し,飼育の準備をする
○体験したことの報告会を
する
・どんな生き物がいたか
・どんな場所で捕まえたか
・川の中の様子はどうか
(どんな物があったか)
・川の近くには何があった
か
・どんな感想を持ったか
6
月
7
第3ユニット
生き物たちが気持ちよ
く棲める条件を探ろう
(5)
○自分たちでつくった理
想の水槽の設計図をもと
に,再現したい川の様子
を観察したり,必要なも
のを採取したりする。
○自分たちの考えで水槽
に手を加える
○自分たちの行った水槽
作りについて報告する
・実際の川のどんなとこ
ろを特に注意して観察し
たか
・川からどんなものを採
取してきたか
月
8・9
月
10
月
第4ユニット
水のひみつを見つけよう
(5)
第5ユニット
生き物のエサを突き
とめよう
(5)
○上流・下流にあたる2つの地点
を設け,それぞれの場所で,以下
の調査を行う。
※可能であれば,他の学校と協力
して,下流・中流・上流いずれか
を分担し比較してもよい
・水温調査
・水質調査(CODパック
テスト)
・生物指標調査
・川の中やまわりの様子の
観察
○上流・下流での調査結果を
報告し結果を比較して,なぜ
そのようなちがいが生まれる
か話し合い,川の流れによる
浄化の作用に気付く
○話し合いの中で予想
した場所をよく観察し,
また,その場所から水
を採取する。
11
月
12
月
○採取した水を肉眼で
見たり,顕微鏡で観察
したりして,水生生物
たちがエサをどこから
得ているか見つけ出す
○お互いに水の中で見
つけたものについて報
告する
第6ユニット 川についてわかった
ことをまとめよう
(10)
○これまで世話をしてきた理想の水
槽について紹介し,なぜ,どのよう
な考えで水槽作りを行っていたのか
を自分の言葉で発表する
○河川のいろいろな働きや飼育した
生き物の体の仕組みや生態について
わかったことを発表する
・川の浄化作用について
・川に棲む様々な生き物について
探
求
的
な
活
動
教
科
と
の
関
連
第2ユニット
みんなの水族館を作ろう(20)
STEP1
○飼育の仕方について調べる
○よりよい飼育の仕方について話
し合い,実際の川の環境に近づけ
ることが大切であることに気付く
○実際の川により近い水槽にする
ための設計図をつくる
STEP2
○理想の水槽作りの体験から水生
生物が生きるために大切な条件に
ついて考える
・水…水質・水温
・エサ…プランクトン
○水に着目し,なぜ川では水温や
水質が保たれるのか予想する
STEP3
○水槽に循環器を付けたり,水を
こまめに換えたりするなど,水質
や水温の管理に気をつける
○エサに着目し,実際の川では生
き物たちがどんな場所からどのよ
うにエサを得ているのかを予想
し,話し合う
STEP4
○水の中で見つけた水生微
生物について資料などから
詳しく調べる
○「ぼくらの川」への自分の思いを
まとめ,自分の言葉で発表する
国語
国語
「ヤドカリとイソギンチャク」
月
第7ユニット
ために
2
「きれいな水をつなげるために」
「下水をきれいにする微生物の働き」
図工
国語
「大好きな仲間集まれ」
「活動報告をしよう」
月
ぼくらの川を守る
(10)
○NHK「どーする日本のあし
た」第2回『汚れる川』を見て,
河川の水質汚濁の問題に関心を持
つ
3
月
総
合
的
な
学
習
の
時
間
○身近な川の昔の様子や,環境保
全のための取り組みについての講
話を聞く
○豊かな水辺環境を守るために自
分たちにできることを考え,でき
ることから行動に移す
・水槽の魚の放流
・河川周辺の清掃
・生活排水を減らすための呼び掛
け
etc
道徳
「いろいろな環境を守る工夫について調べよう」
社会 (浄水場・下水処理場見学)
1
主な連携機関及び内容
○川環境及び水生生物に関する指導
宮城教育大学環境教育実践研究センター
気仙沼自然塾 ホタル愛護の会
○安全な水の供給の仕方及び下水処理の仕方
についての指導
気仙沼市各浄水場 終末処理場
・できることから
教
科
と
の
関
連
第5学年「考えよう海の恵み~森と海のつながり~」
浦島小学校
斉藤渉
1 単元の概要
(1)単元の構想
5年生ではまず,第1ユニット「感じよう!豊かな気仙沼の海」で海釣り体験や海の恵みを味わ
う活動,魚市場等の見学を通して,気仙沼市の海の豊かさを十分感じ取らせるとともに,社会科「水
産業のさかんな気仙沼市」の学習を通して日本や気仙沼市の水産業が抱える問題点と,その解決方
法の一つとして育てる漁業の振興があることを学びとらせる。
第2ユニット「考えよう森と海のつながり」では,気仙沼市における育てる漁業を体験し,それ
にたずさわる方の話を聞いたり,森林の働きについて調べたりすることで,水産資源の保護や育成
には海の環境はもとより,河川や森林の環境が大きく関わりをもつていることをとらえさる。
第3ユニット「守ろう!豊かな海」では,身近な気仙沼市の海の環境について課題を見つけて調
べ,まとめ,さらに自分たちのできることを考え,「気仙沼環境サミット」として報告し合うこと
を通して,環境を守るために一人一人実践していこうとする気持ちを持たせたい。
(2)環境教育としての視点
海の豊かさを十分に感じさせるとともに,海と森林とのつながりを考えさせながら,その環境を
保全しようとする気持ちを持たせることが大切である。
【育成すべき資質・能力】
◎知
識:自分たちの住む地域の海の環境,及び海と森林のつながり,また,それらと人間と
のかかわりについて理解する。
○環境倫理:海の環境を守るために,自分たちのできることを考え,行動しようとする。
【環境教育をとらえる視点】
生活環境:自分たちの住む地域の海の環境と人々の活動
(3)教科等の関連
本単元は,水産業や環境に関わる社会科単元「水産業のさかんな気仙沼市」「わたしたちの生活
と森林・環境」,森林の働きについて読み取る国語科「森林のおくりもの」
,自分たちでできるこ
とを考え伝える「意見文を書こう」,海の食材を調理に生かす家庭科「作っておいしく食べよう」
等を有機的に関連させることで,さらに指導の効果が上がるものと考え,単元を構成した。
2 単元のねらい
(1)単元目標
水産業の体験・探求活動を通して,地域の海の豊かさを感じ取りながら水産資源の保護・育成
には海だけではなく河川や森林の環境が大きく関わっていることをとらえるとともに,それが抱
える問題点と解決方法を考え,地域の環境を守るために自分ができることを実践しようとする。
(2)単元の評価規準(観点別)
関心・意欲・態度
思考・判断
森林や海の環境に 森林や海の環境を
関心をもち,進ん 守るために,自分
で調べたり,体験 たちのできること
したりしようとす を考える。
る。
3
表現
気づき
森林や海の環境について調
べたことや,考えたことを
ポスターやプレゼンテーシ
ョンソフトに表したり,そ
れを伝えたりする。
森林と海のつなが
り,わたしたちのく
らしと森林や海のつ
ながりに気づく。
主な連携機関及び内容
○気仙沼市水産課:気仙沼魚市場見学
○気仙沼産業センター:海の市,氷の水族館
○気仙沼自然塾:磯観察と生物の生態観察
○階上漁業協同組合,牡蠣の森を慕う会:カキ養殖体験
○北かつ商事:マグロ・カツオ船乗船体験
○気仙沼市環境課:気仙沼市の環境保全活動の紹介
○一関市室根町:植樹体験
4
学習計画
総時間81時間扱い(総合的な学習の時間47時間,国語12時間,社会22時間)
○学習活動 ・主な学習
○指導上の留意点
◇教科等との関連
◆関連機関等
【第1ユニット】
「感じよう!豊かな気仙沼の海」 ○地域の海釣りの可能な場所を実地踏査
1 1 海釣り体験をしよう!
し,安全に活動できるようにする。地
~ ○海釣りを体験をすることにより,気仙沼市で
域の海釣り名人をゲストティーチャー
4
とれる魚や水産資源に興味をもつ。
として招くことも考えられる。
・気仙沼市ではどんな魚がとれるのか。
総 ・実際に魚釣りをして確かめよう。
4 ・他にはどんな魚がとれるのか。
→魚市場へ行ってみたい
5 2 魚市場に見学に行こう。
○とれる魚の種類,水揚げ高,どんな仕
~ ○気仙沼市魚市場や周辺の施設(海の市,氷の
事があるか,苦労や工夫など,視点を
8
水族館)を見学し,気仙沼市の海でとれるも
はっきりさせて見学させる。
のの豊富さを実感する。
○見学したことから浮かび上がった疑問
総 ・魚の種類は何種類ぐらいあるんだろう。
を社会科の学習につなげる。
4 ・1日どのぐらいの水揚げがあるのか。量は? ◆気仙沼魚市場,海の市,氷の水族館
金額は?
・どのようにしてとっているのだろう。
・なぜこんなにもとれるのか。
9 3 気仙沼市の海の恵みを味わおう
○気仙沼市でとれる魚介類を調理をして
~ ○海の幸を味わうことを通して,気仙沼市の海
味わい,気仙沼市の海の豊かさを感じ
12
の幸の豊かさを感じ取る。
取らせる。
・こんなおいしい食材が気仙沼市でとれる。
◇家庭科「作っておいしく食べよう」
総 ・どのようにしてとっているのだろう。
4 【調理メニュー例】
・海鮮丼,フカヒレスープ,シーフードシチュ
ー等
13 4 水産業について調べよう!
○魚市場見学を想起させ気仙沼市の漁業
~ ○漁業の工夫や苦労,気仙沼市の水産業の様子
に目を向けさせる。
28 (現状と課題)について調べる。
◇社会科「水産業のさかんな気仙沼市」
・利用目的の違いにより,漁法が違う。
◆北かつ商事:マグロ・カツオ船乗船体
社 ○マグロ船,カツオ船を見学しよう!
験
12 ・水産業の現状はどのように変化してきている
のか。
総 ・近年割合が高くなってきている養殖業,さい
4
ばい漁業とはどのような漁業か。
・新鮮な海の幸を消費地に届けるための工夫は。
【第2ユニット】
「考えよう森と海のつながり」 ○事前に講師と打合せをし,森と海のつ
29 1 育てる漁業を体験しよう。
ながりについて話してもらうようにす
~ ○育てる漁業体験としてカキ養殖の体験をする。 る。
32 ・カキ養殖の手順
◆階上漁業協同組合,牡蠣の森を慕う会
総 ・仕事の工夫
:カキ 養殖体験
4 ・えさになるものは何か。
・森と海のつながり
33 2 森林の働きについて調べよう。
~ ○国語科『森林のおくりもの』を読み,森林の
44
働きについて知る。
国 ・森林を守る仕事ってどんな仕事か。
12 ・森林ガイドブックを作ろう。
○森林のいろいろな働きをつかませ,海
と森林の関係をとらえさせる。
◇国語科『森林のおくりもの』
45 3 森林を守る仕事について調べよう。
~ ○社会科「わたしたちの生活と森林」で,森林
49
を守る仕事やその努力について調べる。
・森は海の恋人とはどのようなことか
○林業だけでなく環境を守るために木を
植える人がいることにふれる。
◇社会科「わたしたちの生活と森林」
社 ・自分たちも森に木を植える活動に参加しよう。
5
50 4 世界の森林の様子を調べよう。
~ ○森林を守る仕事から発展させて世界的に森林
54
の様子はどのようになっているのか調べる。
・世界的に砂漠が広がっている。
総 ・熱帯雨林が減っている。
5 ・他の環境問題にはどのようなものがあるか。
○これまでの活動から地球規模の環境問
題に関心を持たせ,図書資料やインタ
ーネットを使って調べさせる。
55 5 森に木を植えよう!
~ ○海の資源を豊かにするために大川の上流にあ
58
る山に植樹する。
総 ・ひこばえの森での植林
4
○森への植樹が困難な場合には,校内で
の栽培活動とすることも考えられる。
59
【第3ユニット】
「守ろう!豊かな海」
○これまでの体験を想起させ,見たこと,
1 気仙沼市の環境について調べよう。
聞いたことから課題をつかませる。
総 ○身近で問題だと思うことを出し合う中から,
1
個々の課題をつかむ。
・海辺にごみがあった。
・昔はとれていた魚介類が少なくなっている。
・気仙沼市の環境についてもっと調べてみたい。
60 2 気仙沼市の海の環境について調べよう。
○気仙沼市の環境の現状やESDの取り
~ ○気仙沼湾の環境についいて詳しいダイバーの
組みについて各種資料を活用したり,
72
方から気仙沼湾の様子について話を聞く。
調査活動をしたりして調べさせる。
総 ・気仙沼湾の海底は汚れている。
8 ・資料をもとに調べる。
◆気仙沼市環境課:気仙沼市の環境保全
○気仙沼市の環境への取り組みを聞く。
活動の紹介
社 ・ESDとは何か
5 ○気仙沼市の環境について分かったことをポス
ター等にまとめる。
・海はきれいなところだけではない。
・適度な環境が必要。
・気仙沼市の環境を守るためにはどうしたらよ
いか。
73 3 自分たちでできることを考えよう。
○これまで体験したことや調べてきたこ
~ ○気仙沼市や森林を守る活動について調べたこ
とを振り返らせ,自分たちができるこ
77
とを振り返り,自分たちができることを考え
とをICTを使ってまとめさせる。
総
る。
◇国語:考えをまとめて書こう「意見文
5 ・地域の環境保護活動に参加していきたい。
を書こう」
・これからも海の環境に目を向けていかなけれ
ばならない。
・世界の環境について続けて調べていく。
78 4 環境サミットを開こう。
・ ○お世話になった方々をお呼びして環境サミッ
79
トを開こう。
・自分たちが環境を守っていかなければならな
総
い。
2 ・ESDをもっと広めよう。
○これまで体験したことや調べてきたこ
とをもとに,自分たちができることを
発表させたり,質問させたりする。海
外の学校との情報交換も考えられる。
80 5 活動を振り返えろう。
・ ・自分も進んで協力していこう。
81 ・いつも環境のことを考えた生活をしなければ
総
ならない。
2
○自分が学んだことや友達の意見を参考
にこれまでの活動を振り返らせる。
5年生「考えよう海の恵み~森と海のつながり~」
5年生ではまず,海釣り体験や海の恵みを味わう活動等を通して,気仙沼市の海の豊かさを十分感じ取らせる。次に,社会科の学習を通し
て日本や気仙沼市の水産業が抱える問題点と,その解決方法の一つとして育てる漁業の振興があることを学びとらせ,その後,気仙沼市にお
ける育てる漁業を体験したり,それにたずさわる方の話を聞いたりすることで,水産資源の保護や育成には海の環境はもとより,河川や森林
の環境が大きく関わりをもっていることをつかませる。さらに身近な気仙沼市の環境について課題を見つけて調べ,自分たちのできることを
考え,環境サミットとして報告し合うことを通して,一人一人実践していこうとする気持ちを持たせる。
主な連携機関及び内容
○気仙沼市水産課:気仙沼魚市場見学
○気仙沼産業センター:海の市,氷の水族館
○気仙沼自然塾:磯観察と生物の生態観察
○北かつ商事:マグロ・カツオ船乗船体験
○階上漁業協同組合,牡蠣の森を慕う会:カキ養殖体験
○一関市室根町:植樹体験
○気仙沼市環境課:気仙沼市の環境保全活動の紹介
○時数 5月~1月 81時間(総合的な学習の時間47,国語科12 ,社会科22)
○関連 国語科,家庭科
○目標 水産業の体験・探求活動を通して,地域の海の豊かさを感じ取りながら水産資源の保護・育成には海だけではなく河川や森林の環境が大きく関わっていることをとらえるとともに,それが抱える
問題点と解決方法を考え,地域の環境を守るために自分ができることを実践しようとする。
4 月
体
験
的
な
活
動
探
求
的
な
活
動
教
科
と
の
関
連
関
連
単
元
5
月
6 月
7 月
第1ユニット「感じよう!豊かな気仙沼の海」
1 海釣り体験(干潟の生物観
察等)をしよう!(4)
○海釣り体験(干潟の生物観察
や潮干狩り等)から水産資源に
興味を持つ。
・気仙沼市ではどんな魚がとれ
るのか
2 魚市場に見学に行こう(4)
○気仙沼市魚市場や周辺施設を見学
し,気仙沼市の海でとれる物の豊か
さを知る。
・魚市場,海の市,氷の水族館見学
・そのようにしてとっているのか
3 気仙沼の海の恵みを味わおう(4)
○海の幸を味わう活動を通して,海の幸
の豊かさを感じ取る。
・海鮮丼,フカヒレスープ,シーフード
シチュー等
4 水産業について調べよう
社会「水産業のさかんな気仙沼市」(12)
○気仙沼市の水産業の様子について調べる。
・水産業の現状は
・育てる漁業とは
○マグロ船,カツオ船を見学しよう(4)
船の見学を通して漁法の違いについて調べる。
家庭「作っておいしく
食べよう」
気仙沼の海の食材を使
った調理をして味わう。
8・9 月
10 月
第2ユニット
「考えよう!海と森のつながり」
1 育てる漁業を体験しよう
(4)
○育てる漁業体験としてカキ養殖
を体験する。
・唐桑や階上のカキ養殖
・カキ養殖筏を持つ唐桑小学校と
の交流も考えられる。
5 森に木を植えよう(4)
○海と森のつながりを考え植
樹する。
・ひこばえの森
・身近な環境に木を植えよう
4 世界の森林の様子を調べよう。
(5)
○森林を守る仕事から発展させ
て世界的に森林の様子はどのよ
うになっているのか調べる。
・世界的に砂漠が広がっている。
・熱帯雨林が減っている。
2 森林の役割を調べよう
国語「森林のおくりもの」
(12)
○森林のはたらきについて読み
とる。
11 月
12月
1 月
2
月
3
月
第3ユニット「守ろう!豊かな海」
1 気仙沼市の環境について調べよう(1)
○身近で問題だと思うことを出し合う。
・海辺のゴミ
・漁獲量が減ってきた。
・水温上昇
2 気仙沼市の海の環境について調べよう(8)
○話し合った課題について調べる。
・気仙沼湾の様子についてダイバーにの方に聞いてみ
よう。
・ESDの取り組みについて
・分かったことをポスターにまとめよう。
総
合
的
な
学
習
の
時
間
3 自分たちでできることを考えよう(5)
○調べたことを振り返り,自分たちでできることを
考える
・地球の環境保護活動に参加したい。
・世界の環境についてもっと調べたい
4 気仙沼こども環境サミットを開こう(2)
○お世話になった方をお呼びして自分たちがで
きることを伝えよう
・自分たちで環境を守っていかなければならな
い
・ESDをもっと広めよう
5 活動を振り返ろう(2)
3 森林を守る仕事について調
べよう。社会(5)
「わたしたちの生活と森林」
○森林を守る仕事について調べ
る。
・林業について
・森は海の恋人って何だろう
2 社会「わたしたちの生活と環境」(5)
○身近な環境を守る取り組みを資料から調べ
る。
国語 考えをまとめて書こう
「意見文を書こう」
教
科
第6学年「守ろう!ぼくらのエネルギー〜持続可能な未来をめざして〜」
1
松岩小学校 小野寺龍哉
単元の概要
(1)単元の構想
現在,わたしたちは電気やガス,ガソリン,灯油などのエネルギーをたくさん使って生活している。生
活が便利になればなるほど地球温暖化や大気汚染,生態系破壊などの環境問題がわたしたちに大きな影響
を及ぼしてくる。6年生では,エネルギー問題から地球温暖化を中心とした環境問題を考えることで循環
型社会の構築について探る。
まず,おもちゃを作ったり電池を使った実験をしたりすることでエネルギーとは何かをとらえさせる。
次に,エネルギーの中でも生活に密接に関係している電気エネルギーに着目し,自分たちの生活を振り
返らせることでエネルギー資源の枯渇についての問題意識を高める。
そして,現在のエネルギー資源の有効活用の方法を探り,昔から使われてきたエネルギー資源のよさを
再認識するとともに,新しいエネルギー資源の開発と転換の必要性を理解する。
最後に,学習してきた内容をもとに自分たちはどんな社会をめざすのか討論するとともに,今何をしな
ければならないかをみんなで考えさせたい。
(2)環境教育としての視点
自分たちの生活を振り返ることから,エネルギー資源の枯渇問題や地球温暖化の問題をとらえ,我々の
生活への影響を考える。さらに未来を見据えた循環型の生活様式や環境と共生したくらし方について考え
を深める。
【育成すべき資質・能力】
環境倫理:自分たちの生活の仕方と地球温暖化の関係を理解し,解決の方法を考え実践する能力
【環境をとらえる視点】
資源・エネルギー:エネルギーの節約と新エネルギーの開発・利用から地球に優しい環境づくり
(3)教科等の関連
第6学年国語の「百年前の未来予測」では未来のエネルギー問題について考え,討論する。社会「江戸
の文化を作り上げた人々」では,江戸時代の循環型社会のよさに気づき,理科「地球と生き物のくらし」
「電流のはたらき」
「ものの燃え方と空気」
「生き物のくらしとかんきょう」
,道徳「かけがえのない地球」
等の学習ではエネルギー問題と未来の地球の姿を総合的に関連付けながら,人と環境との関わりについて
多面的にとらえる。
2
単元のねらい
(1)単元目標
自分たちの生活を振り返り,エネルギー資源の枯渇の問題や地球温暖化の問題をとらえるとともに,
未来の地球を守るために自分たちができることを考え,実践しようとすることができる。
(2)単元の評価規準(観点別)
3
関心・意欲・態度
思考・判断
表現
気づき
エネルギー問題とそれ
と関連する地球温暖化
問題に関心を持つ。
地球温暖化問題を解決
するために何をしなけ
ればならないかを考
え,実践しようとする。
エネルギーの種類や利
用について発表したり
未来の気仙沼市を絵や
地図で表したりする。
環境問題と自分たちの
生活が密接に関わって
いることにエネルギー
の視点から気づく。
主な連携機関及び内容
○株式会社東北電力:電気に関する情報や発電等の技術協力
○大島大好き:循環型社会や BDF に関する情報提供
○気仙沼ユネスコ協会:廃油石鹸や廃油ロウソク作成の技術提供
○緑を守り育てる気仙沼地区連絡会議:木炭についての技術・情報提供
○仙台市科学館:新エネルギーについての情報提供
4
学習計画 総時間41時間扱い(総合的な学習の時間38時間,国語3時間)
○学習活動
・主な内容
1
【第1ユニット】エネルギーって何だろう
・
1
2
○ 風力,水力,ゴム動力などのエネルギーに気
総
水車,風車,ゴム動力の車を作って遊ぶ。
○指導上の留意点
◇教科等との関連
◆関係機関等
○ おもちゃを作ることから水,風,ゴム等もエ
ネルギーの一種であることに気付かせる。
付く。
2
・水車,風車,ゴム動力車の製作。
3
2
・
○ 電気エネルギーのはたらきに気付く。
なったりすることから電気エネルギーのさま
4
・電気による発光,発熱,電磁石の実験。
ざまな働きに気付かせる。
電池を使って遊ぶ。
○ 明かりをつけたり,熱を出したり,電磁石に
◇理科「地球と生き物のくらし」
総
2
5
3
・
○ エネルギーの概念をとらえる。
6
・ 今までの学習からエネルギーの種類や多様
総
2
1
エネルギーとは何かを考える。
性について考える。
○ 地球の夜の地図をもとに,世界の中でも日本
1
家庭の電気使用量を調べる。
2
・
○ 発電の体験から電気はどのようにして作ら
発電のしくみを理解する。
れるのかを理解する。
総
・ 手漕ぎ,足漕ぎによる発電実験。
2
・ 電気ができるまで。
3
エネルギー資源の現状を知る。
○ 発電のために多様なエネルギー資源を利用
・
していることをとらえるとともに,その枯渇
5
問題を認識する。
・ 多様な発電方法とエネルギー資源の現状把
握。
2
・ 化石燃料の消費と環境に与える影響。
6
4
・
○ 生活の仕方を振り返り,現在の生活が環境へ
7
の負荷を大きくしていることを認識する。
自分たちのくらしの問題点を探る。
・ 大量生産,大量消費の生活様式と環境悪化の
総
2
は特に電気を多く使っていることを認識させ
る。
の大きさをとらえる。
2
総
いことに気付かせる。
【第2ユニット】自分たちの生活を振り返ろう
・ 家庭の電気使用量の比較・検討・考察。
4
○ 生活の中では電気エネルギーを使う場面が多
◇理科「電流のはたらき」
1
3
ることに気付かせる。
・生活の中のエネルギーを考える。
○ 家庭の使用量から電気エネルギーへの依存
総
○ 熱・光・電磁気等はエネルギーの一形態であ
問題。
○ 発電の体験から電気は作られたものであるこ
とを実感させ,発電にはエネルギー資源が必要
であることを認識させる。
◆東北電力気仙沼営業所
○ 電気を作るのに使われるエネルギー資源,特
に石油等には埋蔵量に限界があり,それが近づ
いていることを認識させる。
○ 化石燃料の消費から二酸化炭素を中心とした
排出ガスの環境への影響を考えさせる。
◇理科「ものの燃え方と空気」
○ 自分たちも環境悪化の責任の一部を負ってい
ることを認識させ,環境改善のために努力して
いこうとする気持ちを持たせる。
1 【第3ユニット】未来のエネルギーを考えよう
〜
1
BDF について理解する。
3 ○ 省エネルギーと循環型社会のために廃油を
燃料として活用することの有効性を考える。
総 ・ BDF と環境改善との関係。
○ 気仙沼市には環境改善のために努力している
人たちがいることを理解させる。
○ 廃油の提供など,自分たちにも協力できるこ
とがあることに気付かせる。
◆ NPO 法人
大島大好き
3 ・ BDF 車の見学。
4
2
廃油のリサイクルについて理解する。
〜 ○ 自分たちにもできる省エネルギーの活動を
6
知り,実践する。
○ 身近なところで実践できる環境改善の活動を
知り,小さな積み重ねの大切さに気付かせる。
◆気仙沼ユネスコ協会
総 ・ 廃油石鹸の製造。
3 ・ 廃油ロウソクの製造。
7
3
木炭の有効性について理解する。
〜 ○ 昔から使われてきたエネルギー資源を見直
14
しその素晴らしさに気付く。
総 ・ 木炭を作る過程。
○ 昔の人たちの知恵や工夫に気付き,自分たち
の生活に生かしていくようにする。
◇社会「江戸の文化をつくりあげた人々」
◆緑を守り育てる気仙沼地区連絡会議
8 ・ 木炭の有効性。
・ 木炭を作る。
15
4
新エネルギーについて理解する。
・ ○ 環境にやさしいエネルギーとはどんなもの
16
か,現在どんな開発が進んでいるかを知る。
○ 新エネルギー開発の必要性や考え方を知るこ
とで,循環型社会構築の大切さを認識させる。
◆ 仙台市科学館
・ 新エネルギーの必要性。
総 ・ 太陽光発電や燃料電池の有効性。
2 ・ エネルギー開発の課題。
1 【第4ユニット】ストップ・ザ・温暖化!
・
1
地球温暖化について考える。
2 ○ 地球温暖化と我々の生活との因果関係や未
来への影響を考え,その改善方法を探る。
○ 地球温暖化は現在も進行中の環境問題であ
り,その対応を急がなければならないことを理
解させる。
◇理科「生き物のくらしとかんきょう」
総 ・ 地球温暖化の原因とその影響を考える。
2 ・ 地球温暖化対策を考える。
3
2
未来の気仙沼市を考える。
〜 ○ 循環型の社会をめざして未来の自分たちの
6
故郷の姿を考える。
○ 「エネルギー」
「循環」
「持続可能」等をキー
ワードに環境負荷の少ない生活を考えさせる。
◇理科「生き物のくらしとかんきょう」
総 ・未来の気仙沼市を絵や地図で表す。
4
7
3
未来の地球や生活のあり方を考える。
〜 ○ 循環型の社会をめざした未来のよりよい社
9
会について討論する。
○ 自分の意見と友達の意見を比較,検討してよ
りよい社会の在り方を考えさせる。
◇国語「百年前の未来予測」
国 ・ 未来の気仙沼市の絵や地図をもとに,循環型
3
社会についての自分の考えを発表し,再検討
する。
10
4
できることから実践する。
○ 今まで学習してきたことを実践することがエ
〜 ○ 自分たちで考えた循環型社会の実現のため
ネルギー問題の解決につながることを理解さ
12
せる。
にできることを考え,実践する計画を立てる。
総 ・ 実践可能な項目の洗い出し。
3 ・ 実践計画の作成。
◇道徳「かけがえのない地球」
6年生 「守ろう!ぼくらのエネルギー〜持続可能な未来をめざして〜」
6年生では,これまでの自分たちの生活の仕方を振り返りながら,エネルギー資源の枯渇の問題や現在進行している地球温暖化の
問題を取りあげる。地球温暖化によって何が起こるのか,それが自分たちの生活にどのような影響を及ぼすのかを考える。そこから自
分たちの未来を見据えた,循環型の生活様式,環境と共生したくらし方について考えを深める。
○時数 4月〜2月 総時間41時間扱い(総合的な学習の時間38時間,国語3時間)
○関連 理科,国語,社会,道徳
○目標 エネルギーと我々の生活のつながりを知り,自分たちの生活改善が環境の保護に結びつくことを理解するとともにより良い
生活の仕方を考える。
4月
体
験
的
な
活
動
探
求
的
な
活
動
教
科
と
の
関
連
関
連
単
元
5月
第1ユニット(知る)
エネルギーって何だろう
6月
8月
第2ユニット(つかむ)
自分たちの生活をふり返ろう
○いろいろな種類のエ
ネルギーがあることを知
り,エネルギー学習に興
味を持たせる。(6)
1 水車,風車,ゴム動
力の車を作って遊ぶ。
2 電池を使って明かり
をつけたり,熱を出した
り,電磁石にしたりす
る。
3 エネルギーとは何か
を考える。
〈理科〉
「地球と生き物の
くらし」
宇宙から見た地
球全体の様子か
ら,地球の特徴や
豊かな自然,身近
な生活へ目を向
けさせる。
7月
〈理科〉
「電流のはたら
き」
電流を流すと磁
石になることを理
解し,電磁石の利
用について興味
を持たせる。
○自分たちがエネルギーを
どれくらい使っているのかを
知り,エネルギー資源を大
切にしようとする意識を持た
せる。(7)
1 家庭の電気使用量を調
べる。
2 発電のしくみを理解す
る。 (東北電力の協力)
3 エネルギー資源の現状
を知る。
4 自分たちのくらしの問題
点を探る。
〈理科〉
「ものの燃え方と空気」
化石燃料の消費と環境の
変化の関係について理解す
る。
9月
10月
11月
第3ユニット(考える)
未来のエネルギーを考えよう
12月
主な連携機関及び内容
○㈱東北電力:電気に関する情報や技術協力
○NPO法人大島大好き:循環型社会やBDFに関
する情報提供
○気仙沼ユネスコ協会:廃油石鹸や廃油ロウソ
ク作成の技術提供
○緑を守り育てる気仙沼地区連絡会議:木炭に
ついての技術・情報提供
○仙台市科学館:新エネルギーについての情報
提供
1月
2月
第4ユニット(行動する)
ストップ・ザ・温暖化!
○今あるエネルギー資源を大切
にするとともに,これから新しい
資源を開発していかなければな
らないことを理解する。(16)
1 資源の有効活用:BDFについ
て理解する。
(「大島大好き」の協力)
2 資源の有効活用:廃油石鹸や
廃油ロウソクを作る。
(「気仙沼ユネスコ協会」の協力)
3 古くからのエネルギー資源の
見直し:地元で作っている木炭に
ついて知る。
(「緑を守り育てる気仙沼地区連
絡会議」の協力)
4 新エネルギー開発:太陽光発
電や燃料電池について理解す
る。
(「仙台市科学館」の協力)
〈社会〉
〔江戸のリサイクル〕
江戸時代の生活の様子
から,循環型社会の大切
さを認識する。
3月
○学習したことをもとに未来の
地球の姿や生活のあり方につ
いて考える。(9)
1 地球温暖化について考え
る。
2 未来の気仙沼市を考える。
3 未来の地球や生活のあり方
を考える。
4 できることから実践する。
〈国語〉
「百年前の未来予測」
未来のエネルギー問題につ
いて自分の考えを明確にし,
まとめ,伝えることができる。
(3)
〈理科〉
〈道徳〉
「生き物のくらしとかんきょ
「かけがえのない地球」
う」
環境が破壊されているこ
人や動物や植物と空気,
とを知り,その保全のため
食べ物,水との関わりにつ
に自分が今できることを考
いて考える。
える。
総
合
的
な
学
習
の
時
間
教
科
<事例集>
『地域素材を生かした環境学習プログラム事例集』
(これまでの研究員の研究事例から抜粋)
【小学校・低学年】
「土の中の小さな生き物を素材とした環境教育」
【小学校・中学年】
「海の生き物を素材とした環境教育」
【小学校・高学年】
「スローフードを素材とした環境教育」
【中学校】
「海藻を素材とした環境教育」
土の中の小さな生き物を素材とした環境教育
対象学年
小学校低学年
1 環境教育の視点
(1 ) 土 遊 び や 土 壌 の 観 察 を 通 し て , ミ ミ ズ を は じ め と す る た く さ ん の 生 き 物 に 親 し み ,
身近な環境への興味関心を高める。
(2 ) 観 察 を 通 し て ミ ミ ズ を は じ め と す る 土 の 中 の 小 さ な 生 き 物 の は た ら き を 知 る こ と が
できる。
2 素材について
(1 ) ミ ミ ズ
ミミズは,畑や森林で簡単に見つけることができる環形動物である。畑でよく見つ
かるフトミミズ,堆肥置き場などで見つかるヒメミミズ,シマミミズ,その他にも多
くの種類があり,長さや太さ,色などに違いが見られる。
フトミミズは,体が大きく摂食や排泄の観察がしやすい。シマミミズは,ミミズコ
ンポストなどに利用されており,生ゴミを食べてくれるミミズとして知られている。
ミミズは豊かな土壌をつくる生き物であり,主なはたらきをまとめると「落ち葉な
ど を 食 し 分 解 す る は た ら き 」「 栄 養 分 を 豊 富 に 含 む 糞 を し て 土 壌 を 豊 か に す る は た ら
き 」「 土 を 掘 り , 空 気 の 通 り 道 を つ く る は た ら き 」「 殺 菌 作 用 を 含 む 尿 や 体 液 で 土 を
きれいにするはたらき」などがある。
ミミズは肉眼で十分に観察できるので,体のつくりや行動など子どもたちはたくさ
んのことに気づくことができる。子どもたちの気づきを促す上でよい素材であると考
えられる。繁殖力が旺盛なので,ミ
ミズの幼生を観察することができる
と児童の意欲が一層高まると思われ
る。
乾燥には弱いので,土を十分に入
れたり,霧吹きで水分を与えたりと
いったお世話を行うことが必要であ
る。
<フトミミズ>
<ミミズコンポスト>
(2 ) 土 の 中 の 小 さ な 生 き 物
落ち葉が積もっている森林ではたくさんの生き物を観察することができる。
ミミズ,ダンゴムシ,クモやダニの他に,トビムシやカニムシなどという普段,気
づかないような小さな生き物を見ることができる。
観 察 の 方 法 は ,ま ず 森 林 で 採 取 し た 土 を ふ る い に か け ,落 ち 葉 や 根 な ど を 取 り 除 く 。
次に,白いシートや紙の上にふるいにかけた土を広げる。すると土の中の生き物が少
しずつ動き出すので,それらを観察する。
多くの生き物が観察できるのは栄養分豊富な森林の土であるが,庭の土,畑の土な
ど,どこの土でも観察することができる。また,一年を通して観察することができる
が暖かい時期の方が観察が容易である。
<トビムシ>
<ダニ>
<カニムシ>
3 視点にせまるための手だて
(1 ) た く さ ん の 生 き 物 に 親 し み , 身 近 な 環 境 へ の 興 味 関 心 を 高 め る た め の 手 だ て
① 多くの生き物とふれあうことができるよう林に出かけての観察活動や教室での継続
的な飼育・観察,小さな生き物探しなど,場の設定を工夫する。
② 生き物の名前を知ったり,生態を知ったりして,土の中の生き物への興味関心を高
められるよう専門家を招き支援をいただきながら指導にあたる。
(2 ) 土 の 中 の 生 き 物 の は た ら き に 気 づ か せ る た め の 手 だ て
① ミミズが土をほっていることや土を食べていること,土のような糞をしていること
に気づくことができるように,つかまえたミミズを継続的に飼育,観察させる。
② ミミズが野菜や果物から土をつくっていることに気づくことができるように,ミミ
ズコンポストを観察させる。
③ 土をつくる生き物のはたらきを知ることができるように専門家から話を聞かせる。
4
指導計画
単元名
よい土のひみつをしらべよう
小 単 元 名( 時 数 )
1
土となかよ
し (3 )
活
動
の
ね
時数
ら
い
・土の中のいろいろな生き物
を見つけることができる。
・軟らかい土,硬い土,赤い
土,茶色い土など,いろい
ろな土があることに気づく
ことができる。
11時間
学
時期
習
内
8月~11月
容(時数)
・近くの林にでかけ,泥だんご作り
をしたり,生き物探しをしたりし
て , 土 に 親 し む 。( 2 )
・持ち寄った土の特徴や見つけた生
き物をワークシートにまとめる。
(1)
2
土の中の生
き物を見てみ
よ う (5 )
・ミミズを飼育観察し,体の
つくりや生活の様子,よい
土をつくるはたらきについ
て気づくことができる。
・ペットボトルにミミズやダンゴ虫
などの土壌生物を飼育する。
(1)
・ミミズやダンゴムシなどの観察を
す る 。( 1 )
・ ミ ミ ズ の 観 察 を す る 。( 1 )
・ミミズコンポストについて学習す
る 。( 1 )
・専門家にミミズの話を聞き,ミミ
ズの体や生態,はたらきについて
理 解 を 深 め る 。( 1 )
3
土の生き物
をもっとくわ
しく知ろう
(2 )
・土の中には,数多くの生物
が生息していて,土づくり
に関わっていることに気づ
くことができる。
・専門家を招き,土の中の生き物の
観察を行い,これまでに気づかな
かった小さな生き物がたくさんい
る こ と を 知 る 。( 2 )
4
ミミズがつ
くった土に野
菜の種をまこ
う (1 )
・ミミズのつくった土に野菜
の種をまき,土の中の生き
物が豊かな土をつくってい
ることを確かめる。
・ミミズコンポストでつくった土に
ホウレンソウやハツカダイコンの
種をまく。(1)
海 の生き 物を 素材と した環 境教 育
対象学年
小学校中学年
1.環境教育の視点
・カ ニ や ヤ ド カ リ ,ホ ヤ ,ホ タ テ な ど の 磯 や 海 辺 の 生 き 物 を 採 集・観 察 す る こ と に よ り ,
生命の多様性に気づく。
・プランクトンを底辺とする海辺の生き物の食物連鎖に気づき,気仙沼湾内の生態系の
バランスをとることが生物にとって大切であることが分かる。
2.素材について
(1 ) 磯
磯は干潮時には多くの潮溜まりができ,子供でも海の生き物を採集したり,観察し
たりすることができる。季節によってはいろいろな生き物が活動しているので,海の
生命の多様性を気づかせるのに適している。
(2 ) ホ ヤ ・ ホ タ テ
ホヤやホタテは気仙沼地域では鮮魚店などで比較的手に入りやす
く,水温の管理ができれば水槽での飼育も可能である。また,教室
など児童にとって身近な所で飼育することにより,ろ過型摂食の様
子を観察することができる。
<ホヤ> 海底の岩などについている袋状の原索動物。幼生は脊索
をもち,自由に泳ぎまわるが,のち岩に定着する。上部に出水孔
と入水孔がある。入水孔の下に広いかご状のえらぶくろをもち,
水とともにプランクトンなどを取り入れて食物とする。
ホヤ断 面 図
<ホタテ> 北海道・東北などの寒い海に分布する大型の二枚貝。ふつう波の静かな
水 深 15m ~ 30m の 海 底 で ,砂 を か ぶ っ て 生 活 す る 。殻 の 内 側 に は 外 套 膜 に つ つ ま れ
た足,くちびる,えらなどがある。水とともに流れ込むプランクトンを取り入れて
食物とする。
(3 ) プ ラ ン ク ト ン
水の中にすむ生物のうち,自分の力ではほとんど動くことができず,水の流れなど
に漂って生活している生物の総称。普通は動物プランクトンと植物プランクトンに分
けられる。
海水中に漂っているプランクトンをプランクトンネットで採集し,顕微鏡を使って
観察することで,児童に海の中の小さな生命の存在に気づかせることができる。
3.留意点
・磯で観察を行う際は,なるべく干潮時に行うようにする。また,春から初夏の磯は海
藻などでたいへんすべりやすい。ぬれてもよい靴などしっかりした履物を準備させる
こ と が 必 要 で あ る 。時 に 有 毒 の 生 物 も い る こ と か ら 事 前 に 十 分 注 意 し て お く 。
(1-①
②)
・ホ ヤ や ホ タ テ は 高 水 温( 22℃ 以 上 )で は 死 ん で し ま う た め ,飼 育 す る 季 節 を 考 慮 す る 。
水槽用のクーラーを使用すると季節に関係なく飼育できる。また,飼育に使う海水は
濾過されたものを魚市場や市内の鮮魚店などで手に入れるこ
と が で き る 。( 2 - ① ~ ③ 4 - ④ ⑤ )
・天然のプラン クトンを採集 する時期は 5 月 中旬に行いたい。
実際に採集することが難しいときは,熱帯魚店などで売って
いる「ブラインシュリンプ」の卵を水槽でふ化させ,観察す
る 方 法 も あ る 。( 4 - ① ~ ③ )
ブラインシュリンプ(60 倍 )
4 . 指 導 の 経 過 ( 31 時 間 )
小単元名
1
海辺の生き
物を採集しよ
う
(2 )
<志津川での宿泊
学習で実施>
2
海辺の生き
物を飼育して
観察しよう
(4 )
3 海辺の生き
物について調
べ発表しよう
(6 )
4
5
6
プランクト
ンを観察し,
ホヤを使った
実験をしよう
(10)
専門家の方
からお話を聞
こう
(3 )
わたしたち
にできること
を考えよう
(6 )
時 期 : 7 月 ~ 12 月
活動のねらい
・海辺には多様な生き物が
生息していることを知
る。
・実際に触れて海の生き物
に親しむ。
・飼育可能な生き物は飼育
し,観察することで海の
生き物の生態に興味をも
つ。
・海辺の生き物の中からホ
ヤ,ホタテ,カキ,ウニ
の 4 種類の生物を選び,
生態を調べることで,海
の生き物について新たな
疑問をもたせ,解決すべ
き課題を設定する。
学習内容
①②
海岸で生き物の採集を行う。
①② 採集した海の生き物の名前を調
べ,ワークシートにまとめる。
③④
①
発表する。
4つのグループに分かれる。
②~④ 図鑑やインターネットを使用
し ,自 分 た ち が 選 ん だ 海 の 生 き 物 に つ
いて調べ,まとめる。
⑤
発表する。
⑥
新たな課題を設定する。
・3で設定した課題を解決
するための実験や観察を
行い,海の生態系につい
て考える。
(設定した課題)
○ プランクトンとは何だ
ろう。
○ ホヤやホタテは本当に
海の汚れを吸い取って
いるのかな。
○ ホヤの体の中はどうな
っているのかな。
①~③ 水槽でふ化させた動物プラン
ク ト ン( ブ ラ イ ン シ ュ リ ン プ )を ル ー
ペや顕微鏡で観察し,記録する。
・4で生じた新たな疑問を
専門家の方に質問し解決
していく中で,海の生き
物と環境とのかかわりに
気づく。
① ② 専 門 家 を 招 い て ,今 ま で の 観 察 ・
実 験 の 結 果 を 発 表 し ,疑 問 に 思 っ た こ
とを質問する。
(疑問例)
○ プランクトンがすみやすい環境は
どんなところか。
○ プランクトンがいないと海はどう
なるか。
○ ホヤは 1 日でどのくらい汚れをき
れいにできるのか。
・気仙沼湾の環境を守るた
めに自分たちができるこ
とに取り組む。
④⑤ ホヤとホタテの入っている水槽
に 墨 汁 を 垂 ら し ,ホ ヤ や ホ タ テ が 水 を
きれいにすることを観察して記録す
る。
⑥~⑧ 水槽に垂らした墨汁は本当に
ホ ヤ の 体 に 取 り 込 ま れ た の か ,ホ ヤ を
解剖して調べる。
⑨ ⑩ 実 験・観 察 を 通 し て さ ら に 疑 問 に
思ったことを整理する。
③
専門家にお礼の手紙を書く。
①
大まかな計画を立てる。
② ~ ⑥ ポ ス タ ー ,パ ン フ レ ッ ト を 製 作
する。
スローフードを素材とした環境教育
対象学年
小学校高学年
1.環境教育の視点
・気仙沼市の食材を調べることで,豊富な食材を自分たちが摂取して生命を維持しているこ
とに気づく。
・それらの食材の生産は,特色ある気仙沼の気候や地形などの影響を受けていることに気づ
く。
2.素材について
(1) 気仙沼で生産されている主な食材
野菜 :大根,茶豆,キュウリ,白菜
果物 :イチゴ,リンゴ,ゆず,ブルーベリー
魚介類:ホタテ,牡蠣,アワビ,サンマ,カツオ,マグロ,ほや,イカ,ワカメ,
昆布
加工品:かまぼこ,フカヒレ,味噌,塩,酒
(2) スローフード活動と気仙沼市スローフード都市宣言
気仙沼市は多くの自然に囲まれ,豊富な魚介類や野菜などの食材に囲まれたまちである
が,それらの食材やまちの本当の良さが見落とされてしまっていることも少なくない。気
仙沼市は平成 14 年に「スローフード都市」を宣言し,民官ともにスローフード運動を進
めていこうとしている。食材や料理そのものだけでなく,人の口に運ばれるまでの過程や
それらにかかわる人,環境などすべてを指し,それらを育む自然や歴史,心をも大切にし
ていこうとする運動である。
~地域の環境~
3.留意点
・季節によって,扱えない食材があるので,調べる食材を考えるときにその点も考慮に入れ
る。(1-④)
・食材選択にあたって,学区の特性を考え,児童にとって身近な食材を扱うと調査しやすい。
(1-④)
・食材を調べていく過程で,環境に関連した内容を押さえられるようにしていく。
(2-④~⑧)
例: サンマ,カツオ…地形,海流,季節,食物連鎖
ワカメ,昆布…生息地域の特徴,生育条件
塩…地形,歴史,地域差
4 . 指 導 の 計 画 ( 30 時 間 )
小単元名
時期:通年
活動のねらい
学習内容
1 .気仙沼の食材 ・気仙沼の食材を使った料 ①②
を食べてみよう
(5)
理を試食し,素材にふれ
市内の専門家(調理師)などに
伝統料理を作ってもらい試食する。
る。
③
気仙沼市にはどんな食材があるか
話し合う。
④⑤
グループを決め,調べる食材を
決める。
2 .気仙沼の食材 ・気仙沼の特徴ある食材を ①~③
を調べよう
( 13)
調べ,どのようなところ
図書やインターネットを活用し
で生産されているのか,
て,食材について情報を収集する。
なぜ気仙沼で作られるよ
うになったのか,気仙沼 ④~⑧
の人々とのかかわりなど
市内で食材を生産している人や
を知る。
専門家にインタビューし,現状を知
る。
⑨~⑪
食材について情報誌にまとめる。
⑫⑬
調べたことの中間発表をする。
3 .作って食べよ ・地元の食材を食べること ①~④
う
の利点について気づく。
調べた食材で出来るメニューを考
( 12)
える。
・地元の食材を進んで食べ
ようとする気持ちを高め ⑤~⑦
る。
考えたメニューを作って試食する。
⑧
専門家の意見を聞く。
⑨~⑪
自分たちの作ったメニューを情報
誌にまとめる。
⑫
お世話になった方や交流校に向け
て学習の内容を発表する。
-1-
海藻を素材とした環境教育
対象学年
中学生
1.環境教育の視点
・海藻を調べることにより,人と海とのかかわり方について考える。
・体験活動を通して,地域の自然の豊かさを実感する。
2.素材について
(1 ) 緑 藻 ・ 褐 藻 ・ 紅 藻
海藻は,色によって大きく3種類に分かれており,緑色の緑藻,茶色の褐藻,赤色
の紅藻がある。この色の違いは,着生する深さに届く太陽の光を吸収するのに適した
色の違いによるものである。緑藻はもっとも浅い海面近くに,褐藻はそれより深いと
ころに,そして,紅藻はもっとも深いところに着生する。
緑藻
(2 ) ホ ソ ジ ュ ズ モ
からだは枝分かれせず,糸
状で細く,円柱状の細胞が 1
列に連結している。個々の藻
体は不規則ならせん状をして
お り , 伸 ば す と 30 ~ 70cm,
と き に は 1m 以 上 に な る 。 繊
維が丈夫なので海藻紙の材料
に適している。
褐藻
紅 藻
ホソジュズモ
顕微鏡拡大図
(3 ) テ ン グ サ
そ の 多 く が 世 界 の 暖 海 に 分 布 す る 多 年 生 の 紅 藻 で あ り , 80
種近くが知られている。寒天やトコロテンの原料として世界的
に採取されている。日本では,黒潮が影響する太平洋側で生産
量が多くなっている。
3.留意点
・大島での体験学習を行わない場合,学校などで以下のような方法でトコロテン作りを
行 う と よ い 。( 1 - ④ ~ ⑥ )
○トコロテンの作り方
① さ ら し 天 草 50g に 3 ~ 4 ℓ 水 と 小 さ じ 4 ~ 5 杯 の 酢 を 加 え , 草 が ど ろ ど ろ
に な る ま で 40~ 50分 程 煮 る 。
② 煮汁を熱い間に手早く布でこし,こし汁を角形の容器に入れて冷やすと固
まり,風味のあるトコロテンとなる。
※実際にテングサを採る際は,6~9月に行う(漁業権の許可の関係で漁協に連
絡 が 必 要 )。
※ 採 取 し た テ ン グ サ は 色 が 薄 く な る ま で 干 し て か ら 使 用 す る こ と ( 1 週 間 程 度 )。
・紅藻,褐藻は緑色をしてないことから光合成を行わない(葉緑体がない)と考える生
徒が多いと思われるので,エタノールを使って脱色し,葉緑体があることをつかませ
たい。
(2-①)
・気仙沼の海は世界中の海とつながっていることを意識させ,近くの海の様子から,海
全体のことを考えるような態度を育てたい。
(3-①②)
4 . 指 導 の 経 過 ( 27 時 間 )
小単元名
1.大島を体験し
てみよう
(11)
時期
4月
~7月
活動のねらい
学習内容
・地域の自然の豊かさを感じ
る。
①~③ 大島体験活動のガイダ
ン ス を 行 い ,計 画 を 作 成 す る 。
・海の恵みを実感するために,
海藻を使った食品作りを体験
する。
④~⑥ 大島体験活動において
トコロテン作りを体験する。
⑦~⑨ 十八鳴浜で,地域の方
から砂の違いについてなどの
話を聞く。
・大島付近の海水を調査し,同
じ湾内でも場所によって水質
の違いがあることを知る。
2.海藻について
調べてみよう
(12)
⑩
4カ所の海水について,水
質測定パックテストを行う。
⑪
大島体験活動についてまと
める。
・海藻が光合成をしていること
に気づく。
①
トコロテンの主成分である
デンプンが,どのようにして
作られたか考える。
・緑藻,褐藻,紅藻が,海の中
でどのように着生しているか
を知る。
②
「海藻の種類と着生のしか
たについて」などのテーマを
決め,グループを作る。
・海藻が光合成するときの条件
(深さなど)について知る。
③~⑥ グループごとにテーマ
について,調査する。
・海の汚れ具合によって光合成
をする深さが変わることを知
る。
⑦
ゲストティーチャーから,
海藻に関しての講義を聴く。
⑧~⑩ ホソジュズモを使って
の海藻紙作りを体験する。
⑪⑫ 海藻紙作りについてまと
める。
3.自分たちがで
きることを考え
よう
(4 )
・海の汚染問題等について他の
場所ではどうなっているか,
気仙沼の様子をもとに想像し
話し合う。
①② 2つの体験を通して海藻
について学んだことをふまえ
人と海とのかかわり方につい
て考える。
・人と海とのかかわり方につい
て自分の考えをもつ。
③④ まとめたことを発表し合
うことで,人と海とのかかわ
り方についての考えをもち,
自分たちでできることを考え
る。
< 参考文献 >
・「環境教育が分かる事典」[財]日本生態系協会編著 柏書房
・「環境教育指導資料(小学校編)」国立教育政策研究所教育課程研究センター
・「メビウス ~持続可能な循環」気仙沼市教育委員会,宮城教育大学
・「環境教育指導資料」横浜市教育委員会
・ 「A GUIDE TO CURRICULUM PLANNING IN Environmental Education」
―Wisconsin Department of Public Instruction
・ 国際環境教育研究紀要「子どもの感性と知性を磨く,地球探索型環境教育の創造」
第1集~4集 気仙沼市立面瀬小学校
・ 第36回
全国小中学校環境教育研究大会紀要「21世紀『環境の世紀』への提言 —豊か
な人間性を育む環境教育—」全国小中学校環境教育研究会
・ 平成19年度版「図で見る環境・循環型社会白書」環境省
・ 平成19年度版「こども環境白書」環境省
・ 「教育課程部会におけるこれまでの審議のまとめ」中央教育審議会教育課程部会
・ 平成17年度宮城県環境白書概要版「宮城の環境」宮城県環境生活部環境政策課
・ 「宮城県環境基本方針」宮城県環境生活部環境政策課
・ 「気仙沼市環境基本計画」気仙沼市
・ 「横浜市環境教育基本方針」横浜市
・ 「小学校6年間の環境学習プログラム」西宮市
平成19年度
気仙沼市教育研究員 A 編集
(◎:委員長
気仙沼市立松岩小学校
○:副委員長)
教諭
◎
小野寺
龍哉
○
松本
博路
〃
落合小学校
教諭
〃
鹿折小学校
教諭
澁谷
智樹
〃
浦島小学校
教諭
斉藤
渉
〃
面瀬小学校
教諭
高橋
学
指導
気仙沼市教育委員会
〃
課長補佐兼指導主事
及川
幸彦
副参事兼指導主事
藤村
俊美