第2号 2014年11月発行 - 取手北相馬保健医療センター医師会病院

2
VOL
2014.11
取手北相馬保健医療センター医師会病院広報誌
筑波大学附属病院
取手地域臨床教育ステーションを開設
看板除幕の様子
左から鈴木病院長、真壁取手市医師会長、松村筑波大学附属病院長、原筑波大学附属病院副病院長
当院にて「筑波大学附属取手地域臨床教育ステーション」開設式が執り行われました。
大学病院と医師会、地域医療支援病院の連携で医療教育指導体制を整備するのは全国で初
めてです。
このステーションの設置目的は、地域医療体制の整備と環境づくりです。地域の皆様と
共に目的達成のために努力しておりますので一層のご指導、ご鞭撻をよろしくお願いいた
します。
なお、開設式後には、当院正面玄関に設置したステーションの看板の除幕を行いました。
筑波大学附属病院取手地域臨床教育ステーション
准教授 篠田 雄一先生のご挨拶
7月 16 日に筑波大学附属病院 取手地域臨床教育ステーションが取手北相
馬保健医療センター医師会病院内に設置され、私はこの医師会病院で、リハ
ビリテーション科の専門医、指導医として勤務しています。
隠れ脳卒中と治る麻痺について
高齢化社会の現在、脳卒中がとても増えています。そして、脳卒中になると多くの合併
症が生じます。特に麻痺は ADL(日常生活動作)の阻害因子になり、QOL(生活の質)を低
下させます。麻痺には弛緩麻痺と痙性麻痺があり、3 年前より日本ではボトックスによる
脳卒中後の上肢下肢の痙性麻痺の治療が健康保険の適応になりました。
私はこのボトックスの治験分担医師でした。ボトックス症例は通算 300 例以上で、東埼
玉/東葛地域では最多症例でした。この、ボツリヌス療法は、2009 年の日本脳卒中治療ガ
イドラインで痙縮の関節可動域制限に対し、グレード A で使用が推奨されています。
欧米においては、中枢神経疾患の痙縮に対して上肢痙縮に対して、ボツリヌス毒素を上
腕、前腕および手指筋群に注射することは、上肢痙縮の軽減、関節可動域の増加および日
常生活上の介助量軽減に有効であり、下肢痙縮に対して下腿筋群に注射することは、下肢
痙縮の軽減に有効であるとされています。また、電気刺激治療との組み合わせにより QOL
が向上する事を私は日韓ニューロリハビリ会議および国内学会で報告しています。
もちろん、脳卒中は予防が大切です。隠れ脳卒中の人の脳卒中発症率は、ない人に比べ
て、約 8.8 倍であり、脳卒中の予備軍です。隠れ脳卒中(無症候性脳梗塞)は、MRI 検査
では 50 歳代で 5.3%, 60 歳代で 18%, 70 歳代で 18%と加齢と共に増加します(島根難病研
究所脳ドックデータ)。その為、隠れ脳卒中から本当の脳卒中になって倒れないためには
治療が必要です。降圧剤(全ての隠れ脳卒中)と抗血小板剤(隠れ脳卒中のうち動脈硬化
が進んだ人に対して)内服が大切です。
脳卒中はまず、予防、発症してからは、麻痺などの合併症の治療が大切です。治る麻痺
もあります。お問い合わせは取手北相馬保健医療センター医師会病院内
医療連携室 0297-78-6111(代)にご連絡ください。
胃癌治療についてのおはなし
病院長
鈴木
武樹
近年胃癌は減少してきているといわれていますが、調整死亡率でみますと男性が肺癌に
次ぎ、女性が大腸癌に次ぎ依然二番目の高値であります。(平成 15 年厚労省)
今回、胃癌につき当院の治療方針、成績を検討してみました。対象は、直近 2 年間の内
視鏡的処置(ESD)症例及び手術症例計 64 例としました。化学療法に関しては割愛させ
ていただきます。治療方針は、基本的に胃癌治療ガイドラインに則り決定し、あまり機を
てらったことは行っていません。内視鏡的粘膜下層剥離術におきましては、対象を絶対適
応病変(2cm 以下、UL(-),分化型)としていますが、一部適応拡大症例にも行っています。
ESD19 例の検討において:男女比 15:4 平均年齢 72 歳
±8.3(59~84 歳)、平均サイズ 13mm±4(6~20mm)、組
織型は全例分化型でした。全例治癒切除で癌の残存例はあり
ませんでした。合併症としては、出血、穿孔をそれぞれ 1 例
認めましたが、内視鏡的に止血処置及びクリッピングで対応
し得ました。また全例に後療法としてヘリコバクターピロリ
の除菌を行っています。
手術症例 45 例の検討において:男女比 34:11 で ESD と
同様男性が多い傾向でした。平均年齢 69.5 歳±9.2(49~87
歳)、病期は StageⅠa が 18 例と最も多い一方、Stage Ⅳも 3 例経験しました。組織型は、
分化型 30 例、未分化型 13 例 その他 2 例でした。局所進行胃癌3例に術前化学療法を行
っています。術式は、腹腔鏡下胃切除術を StageⅠa,Ⅰbまでに 14 例に行いました。(幽
門側胃切除術 13 例、胃全摘術1例)(1 例 StageⅣに対して鏡視下胃空腸吻合術を施行し
た。)開腹手術は 31 例で幽門側胃切除術 12 例、胃全摘術 19 例でした。合併症としては、
吻合部狭窄 5 例、術後膵炎 1 例、縫合不全1例を認めました。膵炎、縫合不全併発し再手
術となった1例以外は保存的に軽快しています。
胃癌に限らず癌の場合は、診断、治療(内視鏡、手術、化学療法)、再発した場合緩和ケ
アまで広範囲、長期間にわたり患者さんと向き合い治療にあたらなければなりません。地
域医療支援病院である当院としましては、単に診断や手術のみでなく地域住民である患者
さんのために生涯にわたり対応していく方針であります。
具体的には、内視鏡は、内視鏡学会専門医で連日対応し、ESD は日本大学消化器内科内
視鏡グループが行っています。手術においては、腹腔鏡手術は日本内視鏡外科学会技術認
定医2名が主として執刀する体制をとっています。また緩和ケアにおいては、毎週筑波大
学から緩和認定看護師を招き多種職でカンファレンスを開催しています。今年だけで国立
がん研究センター東病院より63例の緩和症例を紹介されています。また在宅緩和ケアを
希望される場合は、取手市医師会在宅ネットワークと連携を図り退院前に患者、家族を交
えカンファレンスを開催しスムースな在宅への移行を図っています。
何か気になることがありましたら、どんなことでもかかりつけの先生または当院へご相
談ください。
取手市医師会 会員先生の紹介
取手市医師会会員の先生方を紹介するコーナーです。
第2回目は取手市医師会副会長 高安聡先生の紹介です。
高安クリニック
内科 呼吸器科
〒302-0005
茨城県取手市東2-6-41
TEL 0297-72-0052
当クリニックは、前身の十三枚高安医院から明治期より取手東地区にて診療を継続しています。現在
は、専門の呼吸器疾患を中心に生活習慣病等の内科全般の診療を担当し、今年、おかげさまで八十数年
ぶりの診療所の新築がかないました。
今後も、取手市医師会、医師会病院、地域の医療および福祉担当者の方々と手を携えながら、未曾有
の超高齢化社会を迎える地域医療に少しでも貢献すべく努力していきたいと思いますのでよろしくお
願いたします。
時間/曜日
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午後
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木
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18:00
休診
15:00 ~
休診
18:00
休診
祝祭日休診
-看護師を募集しています-
一緒に働いてみませんか?
皆様のお知り合いやご家族の方で、看護職の方がいらっしゃ
いましたら、ぜひ、当院へご紹介ください。
<お問い合わせ>
看護部
部長藤田
交通アクセス
公益社団法人取手市医師会
取手北相馬保健医療センター
医師会病院
〒302-0032
取手市野々井1926
TEL:0297-78-6111
FAX:0297-78-6116
Email [email protected]
URL http://ishikaibyouin.or.jp/
編集 広報委員会