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デジタル時代の印刷

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デジタル時代の印刷
B
C
版づくりへの新しい工夫
M
W
G
電子メディアの普及によって近い将来、紙への印刷がこの世から消えて無くなるの
Y
R
光の三原色
(加法混色によって生じる色)
では、という声を耳にします。すべての情報がデジタル化され、インターネットや携帯
端末でのみコミュニケーションする日が来るというのです。しかし印刷は長いヴィジュ
C
アル・コミュニケーションの歴史の中で人類に大きく貢献し、21世紀になった現在でも
G
ならないのは、人類は情報を物質化する、ということではないでしょうか。今号では現
BK
R
在の印刷がデジタルという新しい技術を利用して、いかに「情報を物質化」=「紙への
印刷」しているのかをご紹介します。
Y
「ENIAC」の登場によりコンピュータ時代の幕が開ける 写真:Bettman/CORBIS
写真と石版
(リトグラフ)の発明
M
B
印刷物は変わることなくその役割を果たしています。ここから私たちが学ばなくては
から弟子へと受け継がれる職人技によ
写真画像は光学処理され、点によって
って、彼らは版をつくってきたのです。
表現されます。版上のあらゆる情報が、
字システムが登場し、更にその発展型
そんな中、19世紀に登場した写真と
網点(ドット)と呼ばれる細かな点で
としてCRT*写植機が誕生すると、文
構成されるのです。
字のデジタル化がついに幕を開けま
更にデジタル技術はカラー画像の製
ソフトウェア開発に伴い、印刷物その
石版(リトグラフ)が版づくりを変え
ところが60年代後半CTS*:電算植
印刷の三原色
(減法混色によって生じる色)
プル社によるDTP*が紹介され普及し
画像表現の進化
ていくと、作業そのものがダウンサイ
ズし、PC*機器類の高性能化、多用な
19世紀から20世紀にかけての印刷の
ます。2つの発明は製版の現場に省力
一方、第二次世界大戦以降本格的に
す。CRT写植機というのはデジタル化
版にも革命をもたらします。従来の画
ものの品質の安定、作業の標準化、能
進化は、端的に言えば、質・量、両面
化と質的変化をもたらしました。職人
開発されていくコンピュータ/デジタ
した文字をメモリーし、高精細CRT画
像分解は4色のカラー分解が中心で、
率の向上が年々進んでいます。
での生産性の向上と言えるでしょう。
技とは異なる、自然原理に則った化学
ル技術は、インプットした情報をコン
面上で文字列にしたものを、印画紙ま
色調補正、網どり作業は別工程として
印刷は、言葉通り「印」として彫りこ
的手法で版が作れるようになったので
ピュータ内で「ビット」と呼ばれる0
たはフィルムに印字するという方式で
残されていました。ところが1980年代、
くけい
おわりに
す。マニュアルに沿って作業さえすれ
か1かの数字/矩形の点に置きかえる
す。この機械は毎分3000字から1万
コンピュータを活用してこの作業を一
ば若手印刷人にも、一定レベル以上の
思考法でした。一見、印刷技術とコン
3000字という高速処理が可能だったの
度に行える製版設備が国内に導入され
今回は印刷の、特に製版工程におけ
グーテンベルクや同時代の版画家以
品質が保証されたのです。文字、画像と
ピュータテクノロジーというのは結び
で、高速文字処理が必要な出版、新聞
ました。レイアウトスキャナー(また
るデジタル技術の利用についてご紹介
来、ヨーロッパでは、活字職人や彫版
もに高精度の複製が可能になりました。
んだり描き出したものを、紙に複数
「刷」りつけていく産業でした。
つきませんが、文字や写真画像を点の
製作に革命を起こしました。CTSや
はトータルスキャナー)の登場です。
いたしました。冒頭で述べた「情報を
職人と呼ばれる専門職人集団が「印」
集まりで表現するところが、両者は似
CRT写植機は組版時間の大幅な短縮を
サイテックス社(現クレオジャパン)
物質化する」ために印刷が利用してい
すなわち版を製作してきました。師匠
通っていたのです。別々に誕生し、発
実現しました。大量の鉛活字を整理償
のレスポンスシステム等各種レイアウ
るデジタル技術についてのみ話を特化
展していたこの2つの技術が、1960年
却することで、原材料の節減や生産の
トスキャナーを、印刷会社があいつい
して進めてきました。最新デジタル技
代から70年代、点の原理によってつい
合理化の大きな推進力となります。
で導入、運用し始めました。色分解機
術と印刷を取り巻く環境の中には他に
能しかなかったカラースキャナーに代
も、出力や版を経由しないで直接刷版
わり、レイアウトと色調の修正機能を
をつくるCTP*や、ニーズごとに出版
備えたこの設備
が可能なオンデマンド印刷、または
は、製版の仕事を
PC内で情報のやり取りが完結する電
一新してしまいま
子出版など、まだまだ重要な領域があ
した。コピー機能、
ります。デジタル時代の印刷は日々進
出し配する仕組み、すなわちコンピュ
ブラシ機能、透か
化し続けているのです。
ータ組版方式は、日本では1970年代に
し合成などコンピ
誕生します。従来の文字処理は活版に
ュータならではの
写真と石版(リトグラフ)が結びつ
代表されるアナログ処理でした。さら
画像処理が、製版
くことで、「オフセット製版」が誕生
に写真の原理を利用する写真植字機に
現場で従来にない
し、この技術が20世紀半ば以降飛躍的
なっても、文字盤上の文字を採字し感
威力を発揮したの
に発展します。オフセット製版では写
光させる方式だったので、相変わらず
です。ただし、90
真植字機やスキャナーによって文字や
アナログ処理のままでした。
かいこう
に運命的邂逅を果たします。
文字のデジタル化
ピーテル・ブリューゲル「怠惰」1558年銅版画
/印刷博物館蔵
ドットとビット
グーテンベルク42行聖書 ©2002 Biblioteca Apostolica Vaticana
コンピュータを利用して文字を取り
年代に入り、アッ
文:中西保仁(印刷博物館学芸員)
●参考文献
『印刷博物誌』凸版印刷株式会社 2001年
*CTS=computerized typesetting system
*CRT=cathode ray tube
*DTP=desk top publishing
*PC=personal computer
*CTP=computer to plate
レスポンスシステム 写真:クレオジャパン
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