ワークインプログレス2012 展覧会概要 Work in progress2012は京都精華大学大学院版画コース有志による展覧会です。 平面に刷られた版画作品を中心に、版という概念を拡大し、それぞれが解釈した作品が展示されます。 京都精華大学の版画コースには代表的な4版種である木版、銅板、リトグラフ、シルクスクリーンに加え、感光樹脂 を利用したポリマー版、写真、映像、ブックアート、紙造形、コンピューターグラフィックスといった様々な制作方 法を可能とする多くの工房が設置されています。 また、版という概念そのものを考えながら制作していく授業や講義なども数多くあり、それらをふまえて制作された 作品は「版」の要素を持ち、多岐に富む作品の発表形態をとっています。 今回の出品作家は院2回生4名、1回生7名、研究生2名という過去最多の構成となっており、その作品も多様なも のとなっています。 シルクスクリーンとコラグラフを併用した平面作品を中心に、他の版種の複合技法交えて視覚とイメージの関係性を 探る石井誠 写真を布にプリントした上から、化粧ファンデーションやパステルを重ね、被写体の体温や画面からにじみ出るエネ ルギーを可視化しようと試みる栗棟美里 エッチングやアクアチントを施した銅版画による展開図を組み上げ、それにより成り立つ版の立体化を主題とし、映 し出された世界を構築する須崎喜也 アクアチントを主に、エッチングを交えた銅版画による、深い黒の世界を作り作者の思考を呼吸や鼓動といったテー マに置き換え表現する中根彩也子 ドライポイントを中心に、銅版の防腐材グランドを使用した技法を使い、モチーフの形、線の抽出を行う上田良 シルクスクリーンを重ねていく制作法をとり、絵画表現に近い色の重なりを重点におき、動物を象徴として形どる右 近あかね 多色リトグラフを中心に制作し、女性の内面性を様々なモチーフを用いて、その関係性を表す阪口桃香 シルクスクリーンによる四色分解技法を用いて、作者自身の関心の対象や、生活の中での出来事を刷り取る迫鉄平 写真による表現で消費社会の矛盾や空虚感といった違和感について風景写真を中心に表現する小竹登里佐 シルクスクリーン技法と銅版画技法を併用し、利き手の逆で描画するという独自の制作方法で世界観を紡ぎ出す萩村 真帆 エッチング、アクアチントといった技法を使い、銅版で心象風景を中心にモノクローム作品を制作する山内あすな 多色リトグラフを中心とし、コラグラフの要素も含めた制作方法でジプシーなどから想を得た物語を描く白水絵耶子 ステンシルと油彩、箔押しを複合した画面構成を行い、日本の伝統的な物語などからインスピレーションを受け、平 面へと展開するジョナサン・ユキオ・クラーク この当展覧会を通して、来場者へ版画のイメージの変革を図ると共に、制作者自身がこれまでの制作を振り返りつつ これからの展開へのイメージを思考し、拡大していく場を作り上げ、発表致します。
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