責任財産限定特約付A号金銭消費貸借契約証書 留意点

責任財産限定特約付A号金銭消費貸借契約証書
留意点
本責任財産限定特約付A号金銭消費貸借契約(以下「本契約」という。)は、2009 年6月 26 日付で、地方証券化・
プロパティ合同会社(以下「借入人」という。)を借入人とし、別表A記載の各銀行を貸付人(以下、貸付人三者を
総称する場合には単に「レンダー」といい、文脈により貸付人三者全員を「全レンダー」、個別の貸付人を「各レン
ダー」、
「当該レンダー」又は「いずれかのレンダー」という。)とし、別表A記載の株式会社●●銀行(以下「エー
ジェント」という。)をエージェントとして締結された。
地方証券化・プロパティ合同会社を借入人とする責任財産限定特約付ローン契約である。
ローン契約は、証券化関連契約のなかで最も膨大なものといえるであろう。本書式集のなかでも、もっとも、精緻
で膨大となっている。別紙は省略しているが、別紙として添付されている定義集(ここでは省略)をみれば、当該
プロジェクトにおいて重要な概念が理解できる。逆に、金銭消費貸借契約のドラフトを作成するのが最も大変な作
業といえる(案件の詳細をすべて把握しないと不完全なものとなるため)。
第1条
(定 義)
1. 本契約において用いられる用語は、本契約中に別段の定めがある場合及び文脈上別異に解釈すべき場合を除
き、本契約に別紙1として添付される定義集において定義された意味を有するものとする。
2. 前項の規定に拘らず、本契約において次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによるものと
する。
(1) 「期限の利益喪失事由」とは、第 18 条第1項各号及び第2項各号に規定された事由をいう。
(2) 「潜在的期限の利益喪失事由」とは、通知の送付若しくは時間の経過又はその両方により期限の利益喪失事
由となるべき事由又は状態をいう。
(3) 「適用利率」とは、第4条第1項に規定される利率(年率)をいう。
(4) 「ブレークファンディングコスト」とは、以下のものをいう。但し、除算は最後に行なうものとし、1円未
満は切り捨てるものとする。
(本件貸付金(取得対応)について)
① 借入人が借入を中止し、又は第3条記載の先行条件を満たせなかったことにより本件貸付(取得対応)
の実行がなされなかった場合には、各本件貸付(取得対応)ごとに以下の計算式により算出される金額。
但し、負の値となる場合にはゼロとする。
(B-A)×C×D÷E
A: 貸付実行日の東京における午前 11 時現在のレートとして(i)Telerate スクリーン 9154 ページ
に掲載される、貸付実行日(同日を含む。)から予定返済期日(同日を含む。)までの期間に対応
した金利スワップビッドレート(365 日ベース)(期間に対応した金利スワップビッドレートがな
い場合には、かかる期間より短い期間で当該期間に最も近い期間の数値とかかる期間より長い期
間で当該期間に最も近い期間の数値を基準に実日数に応じて調整した数値とする。)に、(ii)同時
刻にTelerate スクリーン 9154 ページ“TIBOR/LIBOR SRD”に掲載される貸付実行
日(同日を含む。)から予定返済期日(同日を含む。)までの期間に対応したビッドレート(期間
に対応したビッドレートがない場合には、かかる期間より短い期間で当該期間に最も近い期間の
数値とかかる期間より長い期間で当該期間に最も近い期間の数値を基準に実日数に応じて調整し
た数値とする。)に 365 を乗じ 360 で除し小数点第6位を切り上げたものを加算した利率を基準に
各レンダーが合理的に算定した利率
B: 期間対応スワップレート
C: 本件貸付金(取得対応)
D: 貸付実行日(同日を含む。)から予定返済期日(同日を含む。)までの実日数
E: 365
② 借入人が予定返済期日までの日において本契約の条項に従って本件貸付(取得対応)の期限前返済を行
う場合(予定返済期日までに期限の利益を喪失した場合を含む。)には、各本件貸付(取得対応)ごとに以
下の計算式により算出される金額。但し、負の値となる場合にはゼロとする。
(B-F)×G×H÷E
F: 当該期限前返済日又は期限の利益を喪失した日(以下「期限の利益喪失日」という。)
(いずれ
も同日を含む。)から予定返済期日(同日を含む。)までの期間に対応するスワップレート(ビッ
ローンは金融機関が一社だけの単純なものから、本件のように、シニアとメザニンに分けられている複雑なものも
ある。本件の想定では、シニアレンダーが複数いるとしており、エージェントといって、レンダーの代表者のよう
な役割を果たす者が存在する。そのエージェント規定も相当になる。
通常、ローン契約は、レンダーの指定する弁護士が作成し、費用はボロアー負担というのが慣行である。弁護士費
用に予め上限を付ける場合もある。
本件ローン契約のサンプルは、簡略化するとかえって実務上の理解を妨げることにもなりかねないので、あえて、
簡略化せず、相当精緻なものをベースにしている。実務的には、この程度詳細なものが通常である。しかし、ロー
ン契約で規定すべきことはほぼ定型化している。
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トレート)(期間に対応したスワップレートがない場合には、かかる期間より短い期間で当該期
間に最も近い期間の数値とかかる期間より長い期間で当該期間に最も近い期間の数値を基準に
実日数に応じて調整した数値とする。)を基準にして各レンダーが合理的に決定するレート
G: (期限前弁済の場合)当該期限前返済日における本件貸付(取得対応)の返済金額又は(期限
の利益喪失の場合)当該期限の利益喪失日における本件貸付金(取得対応)
H: 期限前返済日又は期限の利益喪失日(いずれも同日を含む。)から予定返済期日(同日を含む。)
までの実日数
③ 借入人が予定返済期日の経過後最終元本返済日までに本契約の条項に従って本件貸付(取得対応)の期
限前返済を行う場合(期限の利益を喪失した場合を含む。)には、各本件貸付金(取得対応)ごとに以下の
計算式により算出される金額。但し、負の値となる場合及び期限前返済日が利払日となる場合にはゼロと
する。
(J-I)×G×K÷E
I: 当該期限前返済日又は期限の利益喪失日(いずれも同日を含む。)からその直後の利払日まで
の期間に対応する期間対応TIBORを基準にして各レンダーが合理的に決定するレート
J: 期間対応TIBOR
K: 期限前返済日又は期限の利益喪失日(いずれも同日を含む。)から当該期限前返済期日又は期
限の利益喪失日の直後に到来する利払日(同日を含む。)までの実日数
(本件貸付金(消費税還付分)について)
① 借入人が借入を中止し、又は第3条記載の先行条件を満たせなかったことにより本件貸付(消費税還付
分)の実行がなされなかった場合には、本件貸付金(消費税還付分)に以下の計算式により算出される金
額。但し、負の値となる場合にはゼロとする。
(B-A)×C×D÷E
A: 貸付実行日(同日を含む。)から最初の利払日(同日を含む。)までの期間に対応する期間対応
TIBORを基準にして各レンダーが合理的に決定するレート
B: 期間対応TIBOR
C: 本件貸付金(消費税還付分)
D: 貸付実行日(同日を含む。)から最初の利払日(同日を含む。)までの実日数
E: 365
② 借入人が 2010 年3月末日までの日において本契約の条項に従って本件貸付(消費税還付分)の期限前返
済を行う場合又は 2010 年3月末日までに期限の利益を喪失した場合には、以下の計算式により算出される
金額。但し、負の値となる場合及び期限前返済日が利払日となる場合にはゼロとする。
(B-F)×G×H÷E
F: 当該期限前返済日又は期限の利益喪失日からその直後の利払日(同日を含む。)までの期間に
対応する期間対応TIBORを基準にして各レンダーが合理的に決定するレート
G: (期限前返済の場合)当該期限前返済日における本件貸付(消費税還付分)の返済金額又は(期
限の利益喪失の場合)当該期限の利益喪失日における本件貸付金(消費税還付分)
H: 期限前返済日又は期限の利益喪失日(いずれも同日を含む。)から当該期限前返済日又は期限
の利益喪失日の直後に到来する利払日(同日を含む。)までの実日数
第2条
(貸付実行)
1. 貸付実行日までに第3条記載の本件貸付に係る先行条件がすべて成就したこと(又は不成就の条件について各
レンダーが免除若しくは猶予したこと)を各レンダーが確認した場合には、貸付実行日において、各レンダーは、
(イ)自己の「貸付金額」として別表Aに記載された金額から、(ロ)第8条第5項に定める融資手数料及びその消費
税・地方消費税の額を控除した金額を貸付実行日の正午(東京時間)までにメイン口座に払い込むことにより、
自らの本件貸付を実行するものとする。本件貸付に係る先行条件が貸付実行日の午前 11 時までに成就せず、か
つ各レンダーが当該条件を免除し又は猶予しなかったため、本件貸付が実行されなかった結果(但し、かかる条
件不成就が当該レンダーの責に帰すべき事由による場合を除く。
)、レンダーが損害を被ったときは、借入人は、
これをレンダーに対して直ちに補償するものとする。
-2-
2.
借入人は、レンダーの書面による承諾がある場合を除き、本契約を締結した以降は、貸付実行日前であっても、
貸付実行日における本件貸付金の借入を中止することはできないものとする。借入人は、レンダーの書面による
承諾を得て貸付実行日における借入を中止する場合には、レンダーが被る一切の損害、損失、ブレークファンデ
ィングコスト及びその他合理的な費用を全額補償するものとする。
3. 各レンダーは、天災地変、戦争、暴動、電気・通信・各種決済システム等の重大な機能停止により本件貸付の実
行が不可能な状況が生じた場合又は銀行が通常の方法によりインターバンク市場において円の貸借取引を行え
ないような市場の混乱が発生していると合理的に判断される場合には、借入人、他のレンダー及びメザニンレン
ダーに書面により直ちにその事由を通知のうえ、他のレンダー及びメザニンレンダーが同意する場合には、当該
状況が継続していると当該レンダーが判断する期間中においてのみ、本件貸付の実行を行わないことができる。
この場合には、貸付実行日は当該レンダーと他のレンダー、メザニンレンダー及び借入人との間の協議により変
更されるものとする。かかる貸付実行日の変更によって借入人又はレンダーがそれぞれ被る一切の損害、損失及
び経費(合理的な弁護士費用を含む。)はそれぞれ自らが負担し、他方相手方に対して一切賠償を求めないもの
とする。
4. 借入人は本件貸付金をすべて、借入人による信託受益権の購入及びそれに付随する費用・積立金等の付帯費用
のためにのみ使用するものとし、他の目的で使用してはならない。
5. 本契約、本件担保契約又はプロジェクト契約に別途定める場合を除き、各レンダーは、本契約に基づく権利を
個別かつ独立して行使できる。
6. 各レンダーの借入人に対する本条に基づく貸付義務は個別かつ独立した義務とする。いずれかのレンダーが当
該義務を履行しなかった場合においても、各レンダーは他のレンダーの本条に基づく貸付義務に関して借入人に
対して一切責任を負わないものとし、第 3 条各号の先行条件がすべて充足されていると客観的かつ合理的に認め
られるにもかかわらず貸付義務を履行しなかったレンダーは他のレンダー及び借入人が被る損害その他一切の
損失を賠償・補償するものとする。
第3条
(貸付実行のための先行条件)
各レンダーによる借入人に対する本契約に基づく本件貸付の実行は、貸付実行日の午前 11 時までに、以下の
先行条件がすべて充足されていると各レンダーが確認したこと、又はかかる条件について各レンダーが免除若し
くは猶予したことを条件とする。
(1) 第 14 条第1項各号記載の事項(但し、同条第3項により貸付実行日における表明及び保証の対象から除外
された事項を除く。)が貸付実行日現在において、いずれも真実かつ正確であること。
(2) 期限の利益喪失事由又は潜在的期限の利益喪失事由がいずれも生じていないこと。
(3) 貸付実行日の時点で、借入人が本契約の各条項(第 15 条各号を含むがこれらに限られない。)に違反してい
ないこと。
(4) 各レンダーが合理的に満足する様式及び内容の以下の書類を、各レンダー又はエージェントが受領したこ
と。但し、⑧乃至⑩に規定する書類については、各レンダーが、貸付実行日中に各レンダー又はエージェント
が受領できると合理的に認めることで足りるものとする(なお、以下のうち原本が1通しか存在しないものに
ついては、エージェントに対して原本を交付し、エージェント以外のレンダーに対してその写しを交付するも
のとする。また、写しは原本証明付写しとする。)。
① 貸付実行日の前3か月以内に発行された借入人の全部事項証明書、及び貸付実行日現在で有効かつ最新
の借入人の定款の写し
② 貸付実行日の前3か月以内に発行された本件親法人の全部事項証明書、並びに貸付実行日現在で有効か
つ最新の本件親法人の定款及び社員名簿の写し
③ 貸付実行日の前1か月以内の信託不動産の全部事項証明書の写し
④ 貸付実行日までに締結される予定の借入人関連契約の締結及びその義務の履行に関する借入人における
社内授権を証する書類の写し
⑤ 貸付実行日の前3か月以内の借入人及び本件親法人の印鑑証明書
⑥ SPC口座に係る預金通帳の写し
⑦ 各レンダーが合理的に満足する内容の締結済の借入人関連契約、プロパティ・マネジメント契約、マス
ターリース契約、並びにその他別途レンダーが合理的に満足する種類の本件関連契約の写し及びその一覧
第 3 条は貸付実行前提条件であるが、実務では、クロージングのときに、各前提条件を全て念入りにチェックして
いる。一つでも前提条件にかけた場合にはローン実行ができず、不動産信託受益権の売買ができないことにもなり
かねないので、周到な準備作業を行う。クロージングの現場で前提条件の成就に問題が生じた場合には(例えば、
借入人の登記簿謄本の日付が古いことに気が付いた)、レンダーの協力を得て、クロージング後に完全なものを提
供すれば良いなどの臨機応変の対応がなされることもあるが、重要なものはそれができない場合もある。レンダー
はより詳細な実行前提条件を求め、ボロアー側はできるだけ簡略化を図り、ドラフティングの攻防箇所になってい
る。
-3-
⑧ 信託受益権売買契約に基づく信託受益権の譲渡に係る受託者の確定日付の付された承諾書(各レンダー
が合理的に満足する内容のものとする。)の写し
⑨ 信託受益権売買契約に基づく信託受益権の売買を原因とする受益者変更の変更登記申請書(各レンダー
が合理的に満足する内容のものとする。)の写し(提出済みのものを除く。)
⑩ 信託受益権質権設定契約に基づく信託受益権に対する第一順位の質権設定に係る受託者の確定日付の付
された承諾書(各レンダーが合理的に満足する内容のものとする。)
⑪ 本条に規定される先行条件がすべて(但し、各レンダーが書面で免除若しくは猶予することを認めたも
の及び本号を除く。
)充足されたことを証する別紙 2 の内容及び様式による借入人による貸付実行日付の証
明書
⑫ 借入人の業務執行社員の職務執行者の運転免許証の写し
⑬ 各レンダーが合理的に満足する内容のエンジニアリングレポート(土壌・環境・再調達コスト・修繕費・
地震PML・遵法性に関する記載を含むものとする。)の写し
⑭ 借入人の業務執行社員の職務執行者が、借入人の破産手続、民事再生手続その他の倒産手続の開始申立
ての権利を放棄し当該申立てを行わない旨を約する別紙5-1の誓約書及び貸付実行日前3か月以内の借
入人の業務執行社員の職務執行者の印鑑証明書
⑮ 本件親法人、その理事、監事及び社員が借入人及び本件親法人の破産手続、民事再生手続その他の倒産
手続の開始申立の権利を放棄し当該申立を行わない旨等を約する別紙5-2ないし5-5の誓約書並びに
貸付実行日前3か月以内の本件親法人の理事、監事及び社員の印鑑証明書
⑯ 借入人設立に係る本件親法人の理事決定書の写し
⑰ アセットマネジャーが作成した借入人に係る金融商品取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令
(平成5年大蔵省令第 14 号。その後の改正を含む。)第 16 条第1項第 10 号ホに規定する届出書(金融庁
の受領印押印済のもの)の写し
⑱ アセットマネジャーが金融商品取引法第 28 条第4項第1号に掲げる業務について同法 29 条の登録を受
けたことを証する書面の写し
⑲ 全レンダーが合理的に満足するマーケットレポートの写し
(5) 匿名組合契約に基づいて、匿名組合員が貸付実行日において合計金●円以上の出資を実行し、かつ、出資金
の返還が一切なされていないこと。
(6) ①貸付実行日において、借入人関連契約においてなされた借入人の一切の事実の表明及び保証が重要な点に
おいて真実かつ正確であること、②借入人関連契約に基づく借入人の一切の約束(但し、本件貸付の実行を前
提としているものを除く。)が履行されていること、③借入人関連契約における期限の利益喪失事由、解除事
由、解約事由、無効事由、取消事由又は終了事由(通知若しくは時の経過又はその両方によりこれらの事由に
該当する事由を含む。)が存在せず、債務不履行もないこと。
(7) 借入人の選任する弁護士が、各レンダーが合理的に満足する内容の法律意見書に署名又は記名・捺印し、各
レンダーに対して提出していること。
(8) 信託土地関連底地の境界について、各レンダーが合理的に満足する内容の境界確定に関する書類が取得済み
であること。当該書類の写しがすべて各レンダーに提出済みであること。
(9) 各レンダーが合理的に満足する内容の信託不動産に係る不動産鑑定評価書の写しを各レンダーに対して提
出していること。
(10) 本件親法人が適法かつ有効に設立され、かつ、本件親法人が借入人の持分すべてを適法かつ有効に保有して
いること。
(11) 当初委託者、アセットマネジャー及びこれらの関連会社並びにこれらの役職員が本件親法人の理事、監事又
は社員でないこと。
(12) 本件親法人の定款において、以下の事項が定められていること。
(i)
社員全員の同意がない限り新たな社員が入社することができないこと。
(ii) 基金拠出者は、本件親法人解散のときまで基金の返還請求をすることができず、かつ破産手続開始申立
権及び民事再生手続開始申立権を有しないこと。
(13) 各レンダーが合理的に満足する内容の会計についての意見書及び税務についての意見書が各レンダーに対
して提出されていること。
第 3 条第 7 号は実行前提条件としての法律意見書の交付であるが、どのような事項を織り込んだ意見書にするか、
予めローン契約上の概略を規定する場合もある。通常は、法律意見書で述べるべきことは慣行として決まっており、
ドラフトをできるだけ早くあげて、クロージングに向けてレンダー、ボロアー間での調整が入る。問題のない事例
では、すんなりいくが、オリジネーターの財務基盤が弱い場合などでは、後日売主サイドから詐害行為取消権や否
認権行使がなされる可能性の有無や程度、あるいは売主が会社更生になった場合に譲渡担保構成を主張される可能
性をめぐって、激しい議論が、ボロアー側の弁護士とレンダー側の弁護士でなされる場合もある。
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(14) 信託不動産について、別紙3に記載する付保基準を満たす保険が付保され、当該保険の付保証明書の写しが
各レンダーに対して提出されていること。
(15) プロジェクト契約第2条第1項に従ってSPC口座の開設が完了し、維持されていること。
(16) 貸付実行日において、プロジェクト契約第2条第5項に基づいて、リザーブ口座に、公租公課積立金、経費
支払積立金及びローン元利金支払積立金が積み立てられていること。
(17) 第(4)号⑬に従い各レンダーに提出すべきエンジニアリングレポートにおいて遵法性、土壌汚染、建物有害
物質に係る指摘事項及び緊急を要する修繕事項がある場合には、当該指摘事項及び修繕事項が貸付実行日まで
に治癒されていると各レンダーが判断したこと。また、貸付実行日までに当該指摘事項及び修繕事項(もしあ
れば)の治癒が確認できる報告書又は新たなエンジニアリングレポートが各レンダーに提出されていること。
(18) メザニン貸付の全額が実行されることが確実であること。
(19) 本件関連契約(貸付実行日までに締結を予定しているものに限る。)のすべてが有効に締結され、かつ、各
レンダーの承諾を得たものを除き、その内容に変更がないこと。また、かかる本件関連契約が各レンダーにと
って合理的に満足する内容であること。
(20) 本契約締結日以降、貸付実行日までに、借入人の本件貸付金債務を履行する能力に重大な悪影響を与える事
由が何ら発生していないとレンダーが判断したこと。
第4条
(利息等)
1. 借入人は、各レンダーに対して、各利払日において、本件貸付金につき当該利払日に終了する利息計算期間に
発生する利息として、各利息計算期間の初日における各本件貸付金の残存元本額(但し、利息計算期間中に本件
貸付金債務の一部の期限前返済が行われた場合には、当該期限前弁済金額を控除した額とする。)に下記の各期
間に応じた当該本件貸付金に対応する適用利率を乗じ、1年を 365 日として各利息計算期間毎に実際に経過した
日数に応じて日割計算される金額を支払うものとする。なお、利息計算期間中に本件貸付金債務の一部の期限前
返済が行われた場合には、当該期限前返済日において、当該期限前返済金額に下記に定める適用利率を乗じ、1
年を 365 日として当該利息計算期間の初日(同日を含む。)から当該期限前返済日(同日を含む。)までの実日数
に応じて日割計算される利息を当該期限前返済日に支払うものとする。
記
<本件貸付金(消費税還付分)の適用利率>
期間対応TIBORに●%を加算した利率
<本件貸付金(取得対応)の適用利率>
(1) 貸付実行日(同日を含む。)から予定返済期日(同日を含む。)までの期間:
期間対応スワップレートに●%を加算した利率
(2)
予定返済期日の翌日(同日を含む。)から最終元本返済日(同日を含む。)までの期間:
期間対応TIBORに●%を加算した利率
2. 利息は、各利息計算期間についてその初日(同日を含む。
)より最終日(同日を含む。
)若しくは元本が全額返
済となった日(同日を含む。)まで発生するものとする。各利払日において借入人が各レンダーに対して支払う
べき利息は、エージェントが、当該利払日までにこれを計算して借入人及び各レンダーに通知する。利息の計算
において除算は最後に行うものとし、1円未満の端数は切り捨てるものとする。
3. 借入人が、本件貸付金債務(遅延損害金を除く。
)をその返済期日(所定の支払期日であるか期限の利益を喪
失した場合その他であるかを問わない。
)に全部又は一部履行しなかった場合には、借入人は、当該返済期日の
翌日(同日を含む。
)から完済に至る日(同日を含む。
)までの間につき、当該未払金額について年率 14.0%(1
年を 365 日とする日割計算による。
)の遅延損害金を支払わなければならない。遅延損害金の金額は、当該未払
金額に遅延利率(年率 14.0%)を乗じ、1年を 365 日として実際に経過した日数に従って、日割計算されるもの
とする。借入人は各レンダーに対して直ちに遅延損害金を支払うものとする。
第5条
(本件貸付金の返済等)
1. 借入人は、予定返済期日に、レンダーに対して本件貸付金(取得対応)全額を一括して返済する。
2. 前項にかかわらず、予定返済期日の 10 営業日前までに借入人が各レンダーに通知した場合、本件貸付金(取
得対応)全額の返済期日は最終元本返済日まで期間延長される。但し、期限の利益喪失事由又は潜在的期限の利
益喪失事由が発生していない場合で、かつ、メザニン貸付金の返済期限が最終元本返済日まで期間延長された場
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合に限る。なお、本項に従い返済期日が最終元本返済日に延長される場合には、予定返済期日に本件貸付金(取
得対応)全額の返済がないこと自体は、本契約上の借入の債務不履行を構成しないものとする。
3. 前項に基づき本件貸付金(取得対応)の返済期日が最終元本返済日に延長された場合には、借入人は最終元本
返済日にレンダーに対して本件貸付金(取得対応)残額全額を一括して返済するものとする。
第6条
(支 払)
1. 借入人による本件貸付金の元利金の支払その他本契約に基づく債務の弁済は、本契約に定めるところのほか、
プロジェクト契約に定めるところに従ってこれを行うものとする。かかる支払又は弁済に必要な費用はすべて借
入人の負担とする。
2. 本契約に定める各支払期日において、借入人が第3項②に規定されるエージェントに対して支払うべき債務
(以下「エージェント債務」といい、エージェント債務に係る債権を「エージェント債権」という。)並びにレ
ンダーに対して支払うべき本件貸付金債務並びにその他本契約上の債務については、すべて、本契約及びプロジ
ェクト契約に定める方法によりエージェントに対して支払うものとする。このため、借入人は、各支払期日にお
いて午前 10 時(以下「入金時限」という。)までに、本契約に基づく元利金、損害補償金、遅延損害金等の債務
及びエージェント債務の支払のために必要な金員をメイン口座に入金する。借入人の各レンダーに対する債務の
履行は、エージェントが本契約及び本件関連契約上各レンダー及びエージェントが当該期日に支払を受けること
のできる金額をメイン口座から引き落とした時点でなされたものとみなす。但し、借入人の入金が各支払期日の
入金時限より遅延した場合には、プロジェクト契約第3条の2第2項に従ってエージェントが実際にレンダーに
対して分配を行った時点で当該弁済がなされたものとみなす。エージェントは、引落しに際して、プロジェクト
契約を遵守する。借入人はエージェントに対して本条に従いメイン口座から金員を引き落とす権限を撤回不能な
ものとして付与するものとする。なお、借入人が入金時限までに本条の規定に従い入金を行ったにもかかわらず
エージェントの故意又は重過失により引落しが行われなかった場合は、本契約上の借入人の義務違反を構成しな
いものとし、エージェントがかかる引落しの不実行によるレンダーの損害(もしあれば)を補償する。なお、振
込送金に関する費用は借入人が負担する。
3. 本件貸付金債務その他の借入人が負担する債務の弁済等の順序は、以下の各号に定めるとおりとし、かかる債
務の支払は、SPC口座からプロジェクト契約に従って行われるものとする。同一順位内の弁済等については、
これを平等に取り扱うものとし、SPC口座内の資金が同一順位の弁済等をすべて行うために必要な金額に不足
するときは、弁済等が必要な金額に応じて按分して支払等を行う(但し、公租公課の支払等優先的な支払が合理
的に必要な場合で、かつ、レンダーの承諾を得た場合にはこの限りではない。この場合、レンダーは合理的な理
由無く承諾を留保しないものとする。)
。なお、按分計算において、1円未満の端数が生じた場合にはこれを切り
捨てるものとする(以下、別途定める場合を除き、本契約における按分計算について同様とする。)。
① 支払期限が到来済みであり、かつ、未払いの公租公課及びオペレーションコスト、並びに受託者から追
加信託を請求され、かつ、未払いの金額(もしあれば)の弁済
② ローン契約、プロジェクト契約及び本件担保契約に関連してエージェントが立替払いをしている費用及
びプロジェクト契約に規定されるエージェントフィー(以下「エージェントフィー」という。)の弁済
③ 本件貸付に関する遅延損害金、損害補償金及びブレークファンディングコスト(もしあれば)の弁済
④ 支払期限の到来した本件貸付金に関する利息の弁済
⑤ 弁済期の到来している本件貸付金の元本の弁済
⑥ メザニン貸付に関する繰延利息、遅延損害金、損害補償金及びブレークファンディングコスト(もしあ
れば)の弁済
⑦ 支払期限の到来したメザニン貸付金に関する利息の弁済
⑧ 弁済期の到来しているメザニン貸付金の元本の弁済
⑨ アセット・マネジメント契約上の報酬・費用支払債務の弁済
⑩ 匿名組合契約に基づく金銭の分配
但し、匿名組合現金分配留保事由が発生した場合には、上記⑨及び⑩に係る支払は停止され、プロジェクト契
約第2条第5項第(12)号に基づき留保された金員はメイン口座から匿名組合配当金留保口座に振替えられて、当
該口座に留保される。なお、借入人は、匿名組合現金分配留保事由がすべて解消し、配当金の支払を再開できる
第 6 条第 3 項は支払い順序を定める規定で実務的には金銭の流れ(ウオーターフォールという)を決める一つの指
針になるので重要である。レンダーから見た場合には、金銭の流れという事実上の行為についても、匿名組合員の
分配やアセット・マネージャーへの報酬支払いの劣後性が確保されているかどうかが関心事となる。
一定の事由が発生した場合には匿名組合員への金銭の分配がとまることなどをキャッシュ・トラップといってい
る。一定の事由をどのように決めるかがポイントとなるが、期限の利益喪失事由の発生をもって分配停止となるこ
とは広く行われている。
-6-
状況になった場合には、⑨及び⑩の支払を再開することができ、また、匿名組合配当留保金口座に留保されてい
た金額を同口座から引出し、⑨及び⑩の支払に充当することができるものとする。
4. 前項の規定にかかわらず、元本返済日(但し、一部期限前弁済がなされる場合を除く。)、本件貸付について期
限の利益が喪失した日又はこれらの日の後に、本件貸付金債務の返済を実際に行う場合には、借入人は、以下の
各号に定める順序で、プロジェクト契約に従い充当を行うものとする。同一順位内の充当については、これを平
等に取り扱うものとする。
① 支払期限が到来済みであり、かつ、未払いの公租公課及びオペレーションコスト、並びに受託者から追
加信託を請求され、かつ、未払いの金額(もしあれば)の弁済
② ローン契約、プロジェクト契約及び本件担保契約に関連してエージェントが立替払いをしている費用及
びエージェントフィーの弁済
③ 本件貸付に関する繰延利息、遅延損害金、損害補償金及びブレークファンディングコスト(もしあれば)
の弁済
④ 本件貸付金に関する利息の弁済
⑤ 本件貸付金の元本の弁済
⑥ メザニン貸付に関する繰延利息、遅延損害金、損害補償金及びブレークファンディングコスト(もしあ
れば)の弁済
⑦ メザニン貸付金に関する利息の弁済
⑧ メザニン貸付金の元本の弁済
⑨ アセット・マネジメント契約上の報酬・費用支払債務の弁済
⑩ 匿名組合契約に基づく金銭の分配
5. エージェントがメイン口座から引き落とすことのできる金額が本契約に従って借入人がエージェント、各レン
ダー及びメザニンレンダーに支払うべき金額に不足する場合、エージェントは、本条第3項、第4項の支払順序
に従い、かつ、それぞれの支払項目内では各項目につきエージェント、各レンダー及びメザニンレンダーが有す
る当該項目に関する債権の金額の割合に従い、各レンダー及びメザニンレンダーに分配する。
6. エージェントが、エージェント、各レンダー及びメザニンレンダーが本条に従って受領すべき金員の合計を超
える金員をメイン口座から引き落とした場合、エージェントは当該超過分の金員を速やかに借入人に対して返還
するものとする(なお、当該超過分の金員を返還する際の費用についてはエージェントの負担とする。)。但し、
当該超過分の金員を返還する際の費用については、エージェントの責めに帰すべき事由により発生した場合に限
り、エージェントの負担とする。
第7条
(期限前返済)
1. 任意期限前返済
(1) 借入人は、次号以下又は第 9 条に該当する場合を除いて、期限前返済を行うことはできないものとする。
(2) 借入人は、各レンダーに対して期限前返済を予定する期日の 10 営業日前までに、大要別紙6の様式による
取消不能の通知をなすことにより、本件貸付金の全部又は一部を利息及び本契約上支払われるべきその他の金
員(ブレークファンディングコストを含む。)とともに任意に各レンダーに対し弁済することができる。
(3) 本件貸付金の元本の一部のみについて期限前返済金の支払が行われる場合は、各レンダーの有する本件貸付
金の残額に比例して、各レンダーへの個別の返済額として按分して支払うものとする。
(4) 前号の規定にかかわらず、借入人が消費税還付金を受領した場合で、かつ各レンダーに対して期限前返済を
予定する期日の 10 営業日前までに、大要別紙6の様式による取消不能の通知をなすことにより、受領した消
費税還付金相当額の範囲内で、本件貸付金債務(取得対応)に先立って、本件貸付金債務(消費税還付分)の
全部を利息及び本契約上支払われるべきその他の金員(ブレークファンディングコストを含む。)とともに本
件貸付(消費税還付分)を行ったレンダーに対して期限前弁済することができる。
(5) 前三号の規定に従って本件貸付金の元本の全部又は一部の期限前返済が行われる場合には、各レンダーは借
入人に対し、当該期限前返済がなされる日の2営業日前に、当該期限前返済により生じ各レンダーが負担する
ブレークファンディングコスト又はその他の費用の金額として合理的に見積もった金額を、合理的な計算根拠
を示したうえで通知するものとする。なお、借入人は、各レンダーに対してブレークファンディングコストの
算出根拠の説明を求めることができ、各レンダーは当該算出根拠について合理的な範囲の説明をするものとす
-7-
る。
(6) メザニンローン契約の規定にかかわらず、借入人は、本件貸付金債務を完済するまで、メザニンレンダーの
有するメザニン貸付金債務について期限前返済を行うことはできないものとする。
2. 強制期限前弁済
(1) 投資対象物件売却に伴う強制期限前弁済
借入人は、投資対象物件が売却された場合には、売却代金(投資対象物件の売却に係る費用を除く。)若し
くは売却代金を原資とする信託交付金の受領日において、第6条第4項に規定する支払順序に従って本件貸付
金債権全額を期限前弁済するものとする。借入人は、かかる期限前弁済を行う場合には、レンダーに対して、
期限前弁済日の 10 営業日前までに取消不能の通知を行わなければならない。
(2) DSCRテスト、LTVテスト抵触による強制期限前弁済
第 15 条第1項第(29)号に規定するDSCRテストの結果コンスタントDSCRが●回連続して●未満とな
った場合又は同項第(30)号に規定するLTVテストの結果LTVが●年連続して●%を上回った場合には、借
入人は、レンダーの請求に従い、匿名組合配当金留保口座に留保していた金員を取崩して、当該資金の範囲内
で、本件貸付金債務の全部又は一部の期限前返済するものとする。なお、疑義を避けるために付言すれば、第
15 条第1項第(30)号に基づき、●月末日までに実施されるLTVテストの実施日から6か月後に実施される再
度のLTVテストにおいてLTVが●%以下となった場合には、その翌年の●月末日までに実施されるLTV
テストにおいてLTVが再度●%を上回った場合でも、上記「LTVが●年連続して●%を上回った場合」に
はあたらない。また、本件貸付金の元本の一部のみについて期限前返済金の支払が行われる場合は、各レンダ
ーの有する本件貸付金の残額に比例して、各レンダーへの個別の返済額として按分した額の期限間弁済を行う
ものする。
(3) 借入人が前二号にしたがって本件貸付金債権に係る元本の全部又は一部を期限前返済する場合には、かかる
期限前返済される元本に係る経過利息及びブレークファンディングコストその他期限前返済に係る費用を支
払うものとする。
DSCRテスト、LTVテストは、財務制限条項といって、借入人の財務状況を判断する上で重要な指標となる。
これらのテストの抵触によってどのような効果が発生するかは、様々であるが、ここにあるように強制期限前弁済
にいたる場合もあるし、キャッシュ・トラップにとどまる場合もあるし、程度によっては債務不履行と構成する場
合もある。
第8条
(公租公課及び諸経費)
1. 本契約に基づく借入人の各レンダーに対する支払に源泉徴収税が課せられた場合には、借入人は、各レンダー
からの請求があり次第、当該源泉徴収税に関する納税証明書を各レンダーに提出するものとする。
2. 本契約その他の本件関連契約(レンダーが当事者であるものに限る。)の作成、締結、登記、登録、履行又は
執行に関して印紙税、登録免許税その他これに類する公租公課等を納付しなければならない場合には、借入人が
すべて負担するものとし、エージェント又はその他第三者がこれを立替納付している場合には、借入人は当該立
替納付金額を直ちにエージェント又はその他第三者に対して弁済しなければならないものとする。
3. 本契約その他の本件関連契約(レンダーが当事者であるものに限る。)の作成、締結、変更若しくは修正又は
対抗要件具備に関して生じた合理的範囲の諸経費(弁護士費用を含むが、貸付実行日までの弁護士費用その他の
費用はレンダー、メザニンレンダー及びエージェントに係る弁護士費用を合わせて●●万円を上限とする。)は、
借入人がすべて負担するものとする。本契約その他本件関連契約に基づく各レンダーの権利の保全・行使又は債
務不履行事由の存否の確認に要した合理的範囲の費用は、借入人がすべて負担するものとする。
第9条
(適用法令その他の条件の変更;違法性)
日本国の法令(監督官庁又は日本銀行の通達、指導その他の行政上の措置を含む。
)の制定又は改廃の結果、
いずれかのレンダーによる本契約に基づく貸付けの実行又はその維持が違法若しくは法令等違反となる場合、当
該レンダーは借入人に対し、速やかにその旨を通知する。この場合、借入人はその実行又は維持が違法又は法令
等違反となるレンダーの当該貸付に係る本件貸付金の残存元本額を当該支払日(同日を含む。)までの経過利息、
遅延損害金(もしあれば)及びその他本契約に基づき支払われるべき金員とともに係る通知において合理的に指
定された日までに当該レンダーに期限前弁済するものとする。
第10条 (メイン口座への入金)
借入人は、レンダーが別途指定する場合を除き、受託者その他借入人へ金銭の支払いを行う者に対して、信託
交付金その他の金員をメイン口座に入金するよう書面で指図するものとする。
第11条
(SPC口座)
-8-
1.
借入人は、貸付実行日及び各利払日において、本契約及びプロジェクト契約第3条各項の規定に従い、各SP
C口座間における処理を行うものとする。
2. 借入人は、エージェントが要求した場合には、直ちにSPC口座への入金及び各SPC口座内勘定間の入金及
び振替の明細を書面にてエージェントに提出する。
3. 借入人は、プロジェクト契約の規定に従って、SPC口座の管理を行う。
第12条 (メイン口座からの引出及びリザーブ口座の積立金等に関する原則)
1. 借入人は、本契約及びプロジェクト契約の下で許される場合を除き、メイン口座の残高について、引き出し又
は他の口座への送金をせず、かつ、自らこれを相殺に供さないものとする。
2. 借入人は、本契約及びプロジェクト契約の下で許される場合又は全レンダー及びメザニンレンダーの書面によ
る承諾を得た場合を除き、リザーブ口座内における積立処理及びリザーブ口座内の積立金の取崩しを行ってはな
らないものとする。
第13条 (事実の表明及び保証)
1. 本契約締結日において、借入人は、レンダーに対し、以下の事項が真実かつ正確であることを表明及び保証す 第 13 条の表明保証、第 14 条の誓約事項(コベナンツ)もドラフティングの際に議論になるところである。
る。
(1) 適法な設立
借入人は、日本法に基づき適法かつ有効に設立され、かつ、存続する合同会社である。
(2) 権利能力
借入人は、借入人関連契約を締結し、これらの契約に基づく一切の権利を行使し、かつこれらに基づく義務
を履行する権利能力を有する。
(3) 社内手続の完了
借入人による借入人関連契約の締結及び履行は、その目的の範囲内の行為であり、借入人は、借入人関連契
約の締結及び履行につき法令上及び借入人の定款上必要とされる一切の手続を経ている。借入人は、定款以外
にいかなる内部手続も定めていない。
(4) 適法性
借入人による借入人関連契約の締結及び履行は、借入人又はその財産を拘束する法令、規則、通達、事務ガ
イドライン、命令、判決、決定又は令状等に反するものではなく、また、借入人に対し適用ある一切の法令、
借入人の定款違反とはならない。
(5) 有効な契約
借入人関連契約は、各当事者に対し、その文言に従い、適法かつ有効な法的拘束力を有する契約であり、各々
の条項に従って強制執行可能である。但し、破産法等債権者の権利に一般的な影響を及ぼす法令の規制に服す
る。借入人は、借入人関連契約及びその他関連書類すべての正確かつ完全な写しをレンダーに対して提出して
いる。借入人がレンダーに対して別途書面にて報告したものを除き、レンダーが受領した上記の各契約又はそ
の他関連書類は、その提出後変更又は解除されていない。
(6) 政府の許認可
借入人関連契約の締結及び交付並びに借入人関連契約に基づき借入人が負担する債務を履行するために法
令上必要となることのある政府許認可及び届出並びにその他の法的手続はすべて適法に履践されている。
(7) 他の諸契約との関係
借入人関連契約の締結又は借入人関連契約に基づく権利の行使若しくは義務の履行は、借入人がその当事者
となっているか又は借入人の財産若しくは収入を拘束している借入契約、担保権設定契約、信託契約その他一
切の契約に違反又は抵触せず、当該契約上の借入人の債務不履行を構成することはなく、当該契約に基づき借
入人の財産又は収入の上に担保権を生ぜしめるものではない。
(8) 訴 訟
借入人に対する訴訟、和解、調停、仲裁、強制執行その他の裁判上又は行政上の手続(以下、これらを総称
して「訴訟等」という。)は係属しておらず、また、借入人の知り得る限りにおいて、かかる訴訟等が提起又
は開始されるおそれはない。
(9) 期限の利益喪失事由
本契約上の期限の利益喪失事由若しくは潜在的期限の利益喪失事由又は借入人関連契約に定める債務不履
-9-
行事由、解除事由、解約事由、無効事由、取消事由、終了事由(通知若しくは時の経過又はその双方によりこ
れらの事由に該当する事由を含む。)は存在しない。
(10) 本契約上の債務の同順位性
借入人が本契約上負担している金銭債務は、借入人が負担している他の金銭債務(公租公課、オペレーショ
ンコスト及び受託者から追加信託を請求され、かつ、未払いの金額に係る債務並びにエージェント債務を除
く。)と少なくとも同順位のものである。
(11) 債務の不存在
借入人は、本契約締結日現在、借入人関連契約上の債務、オペレーションコスト、公租公課、その他レンダ
ーに対して別途書面にて報告した債務を除いて一切の債務(公租公課等を含み、現実に発生しているものか偶
発性のものかを問わない。
)を負担していない。
(12) 匿名組合契約上の債務の劣後性
匿名組合契約に基づく借入人の債務は、無担保債務であって、匿名組合契約上の匿名組合員の債権に係る請
求権は、匿名組合契約又は法令に基づく当該請求権の本来の弁済期日(以下、本号において「劣後債務弁済期
日」という。)において、当該劣後債務弁済期日以前に期限が到来したすべての本件貸付金債権に係る請求権
がその債権額につき全額の満足を受けない場合には、期限の到来した本件貸付金債権に係るすべての請求権が
その債権額につき全額の満足を受けたことを停止条件として、当該劣後債務弁済期日以降の当該停止条件が成
就した日に発生する。但し、借入人について破産手続開始の決定がなされかつ破産手続が継続している場合、
民事再生手続開始の決定がなされかつ民事再生手続が継続している場合における匿名組合契約上の匿名組合
員の債権に係る請求権は、破産法第 99 条第1項に規定する劣後的破産債権に劣後するものとし、つまり、当
該請求権は破産手続においては破産法第 99 条第2項の約定劣後破産債権となり、民事再生手続においては民
事再生法第 35 条第4項第の約定劣後再生債権となることとする。また、本契約上の期限の利益喪失事由又は
潜在的期限の利益喪失事由が発生している場合及び上記以外で借入人に対して適用のある法的倒産手続開始
の決定がなされかつ当該法的倒産手続が継続している場合における匿名組合契約上の匿名組合員の債権に係
る請求権は、本件貸付金債権(停止条件の成就及び期限の到来のいかんを問わない。)がその債権額につき全
額の満足を受けたことを停止条件として、当該停止条件が成就した日に発生する。また、匿名組合契約上、匿
名組合員は借入人に対する破産等申立制限を約しており、同契約で定める一定の例外を除き借入人はその営業
を自己の判断及び裁量に基づき運営・遂行することができる。
(13) 従業員等
借入人には業務執行社員及び業務執行社員に係る職務執行者が1名いるほかは、その他の社員、職務執行者
及び従業員は存在しない。また、レンダーに対して別途書面にて報告し、レンダーが承諾した債務を除き、借
入人は、その社員、職務執行者に対し、報酬、賞与、退職金、退職慰労金、企業年金、厚生福利、その他の一
切の支払義務を負担しておらず、かつその予定もない。
(14) 納 税
借入人は、適用法令に基づき提出が義務付けられている税務申告書をすべて提出済みであり、かつ、借入人
が納税義務を負っている支払期日到来済のすべての税金を支払済であり、延滞している税金はない。
(15) 単一目的会社
借入人は、信託受益権の購入(購入のための資金調達行為を含む。
)、保有及びこれに付随する取引又は行為
以外の事業に従事しておらず、かつ、従事する予定もない。
(16) 出資関係
借入人の出資金は●万円であり、社員持分の 100%を本件親法人が所有している。なお、借入人は、本契約
締結時における資本構成を変化させることとなる資本増加又は資本減少の決議を行っておらず、また、資本増
加又は資本減少に係る義務を何ら負担していない。
(17) 本件親法人
本件親法人の社員、理事、監事及び基金拠出者は、本契約の締結までの間に、エージェント及び全レンダー
に対して知らしめたものから変更されていない。また、本件親法人は、以下の各項に定める条件を満たしてい
る。
① 本件親法人が、適用法令に準拠して適法かつ有効に設立され、かつ、存続する法人であること。
② 当初委託者及び当初委託者の関連会社並びにこれらの役職員が本件親法人の理事、監事又は社員でない
-10-
こと。
(18) 信託受益権及び信託不動産
信託契約に添付された別紙3「不動産調査概要書」記載の事実は借入人の知り得る限り、真実かつ正確であ
り、信託契約及び信託受益権売買契約において、当初委託者が、信託不動産又は信託受益権について表明保証
した事実には、借入人の知り得る限り誤りはなく、また、不正確ではない。
(19) 本件関連契約における表明保証
前号に定めるほか、本件関連契約において規定された各当事者(レンダーを除く。)の表明保証は、重要な
点において借入人の知る限り真実かつ正確である。
(20) 財務状態
借入人は、債務超過、支払不能又は支払停止の状態にはなく、借入人について、破産手続開始又は再生手続
開始の申立ては行われておらず、かついずれの原因となる事由も存在しない。借入人は、借入人関連契約の締
結又は履行により、債務超過、支払不能又は支払停止の状態に陥るものではなく、またその虞もない。借入人
の財務状態に重大な悪影響を及ぼす事態は発生していない。
(21) 提出書類の正確性
本契約(別紙を含む。)及び借入人がレンダーに対して提出した、財務関係報告書類、信託不動産に関する
資料その他の一切の書類に記載された事実は借入人の知り得る限り、真実かつ正確であり、誤解を生じさせる
記載を含まない。上記の書類に含まれる将来の予測に係る事項は合理的な方法により予測されている。レンダ
ーに対して書面にて報告済の事実を除き、上記書類の提出日以後、当該予測に重大な悪影響を及ぼす事実は発
生していない。
(22) 担保権
本件担保契約が各当事者によって適法に締結され、かつ本件担保契約の規定に従って対抗要件具備手続が完
了した場合には、本件担保契約に従って各レンダーのために設定された担保権は、当該担保の目的たる権利又
は財産について、適法、有効、同順位かつ第 1 順位の優先権のある対抗力を具備した担保権をそれぞれ構成す
る。本件担保契約に従って設定される担保権の目的たる権利には、メザニンレンダーのために本件担保契約に
従って設定された担保権(以下本号において「メザニン担保権」という。)を除き、当該担保権以外の担保権
その他の負担は存在せず、かつこれらは差押、仮差押、保全差押、仮登記、仮処分又は租税滞納処分の対象と
なっていない。借入人はかかる担保の目的たる権利に対して、メザニン担保権及び当該担保権以外の担保権そ
の他の負担を設定する義務を負担していない。但し、貸付実行日以降に設定される担保権については、当該担
保権の設定時及び当該担保権設定の対抗要件具備時のいずれの時点においても、受託者等が信託不動産につき
譲渡、担保提供、その他一切の処分をしておらず、信託不動産につき、かかる処分を前提とする対抗要件が具
備されておらず、かつ、差押え、仮差押え、仮処分、滞納処分等の対象となっていないことを前提とする。
(23) 反社会的勢力
借入人は反社会的勢力に該当せず、また、借入人の知る限り、本件事務代行会社、本件親法人、アセットマ
ネジャー、プロパティマネジャー、匿名組合員並びにそれらの役員及び使用人のいずれも、反社会的勢力に該
当しない。
2. 本契約締結日において、各レンダーは、借入人に対し、自らについて以下の事項を表明及び保証する。
(1) 適法な設立
レンダーは、日本法に基づき適法かつ有効に設立され、かつ、存続する法人である。
(2) 権利能力
レンダーは、本契約、本件担保契約及びプロジェクト契約を締結し、これらの契約に基づく一切の権利を行
使し、かつこれらに基づく義務を履行する権利能力を有する。
(3) 社内手続の完了
レンダーによる本契約、本件担保契約及びプロジェクト契約の締結及び履行は、その目的の範囲内の行為で
あり、レンダーは、それらの契約の締結及び履行につき法令上及び各レンダーの定款、社内規則等の内部規則
上必要とされる一切の手続を経ている。
(4) 適法性
レンダーによる本契約、本件担保契約及びプロジェクト契約の締結及び履行は、レンダー又はその財産を拘
束する法令、規則、通達、事務ガイドライン、命令、判決、決定又は令状等に反するものではなく、また、レ
-11-
ンダーに対し適用ある一切の法令、レンダーの定款、取締役会規則その他の社内規則違反とはならない。
(5) 政府の許認可
本契約、本件担保契約及びプロジェクト契約の締結及び交付並びにこれらの契約に基づきレンダーが負担す
る債務を履行するために法令上必要となることのある政府許認可及び届出並びにその他の法的手続はすべて
適法に履践されている。
3. 本条に定める表明及び保証事項は、契約締結日から貸付実行日までの間に借入人が各レンダーに書面により通
知し、各レンダーが承諾した事項又は各レンダーが書面により借入人に通知し借入人が承諾した事項を除き、貸
付実行日において貸付実行日現在の事実・状態について借入人又は各レンダーにより反復して表明及び保証され
たものと看做す。
4. 第1項及び第3項に定める借入人の表明・保証に関し、誤りがあり又は不正確であったことが判明した場合に
は、借入人は、直ちに各レンダーに対しその旨書面により通知するものとし、かかる表明・保証に関し、誤りが
あり又は不正確であったことにより各レンダーが被った損害、負担した費用等の一切を補償するものとする。但
し、当該レンダーが貸付実行日においてかかる表明・保証に関し、誤りがあり又は不正確であったことを知り、
かつ借入人に対して当該表明・保証の違反について明示的に本項に定める責任を追及しない旨の書面を交付した
場合にはこの限りではない。
5. 第2項及び第3項に定める各レンダーの自己に関する表明・保証に関し、誤りがあり又は不正確であったこと
が判明した場合には、当該表明・保証を行ったレンダーは、直ちに借入人に対しその旨書面により通知するもの
とし、かかる表明・保証違反により借入人が被った損害、負担した費用等を補償するものとする。但し、借入人
が貸付実行日においてかかる表明・保証違反を知り、かつ当該レンダーに対して当該表明・保証の違反について
明示的に本項に定める責任を追及しない旨の書面を交付した場合にはこの限りではない。
第14条 (約束事項)
借入人は、レンダーに対し、本件貸付金債務の弁済が完了する時まで下記の事項を遵守することを約束する。
(1) 法令の遵守・承認等の維持
借入人は、借入人に適用のある法令をすべて遵守し、また、借入人関連契約に基づく権利の行使及び義務の
履行、若しくはかかる契約の適法性、有効性又は強制執行可能性維持のために必要な一切の承認、許可、授権
又は同意を維持するものとし、もし必要とされる場合には、速やかにこれらを取得し、その他必要な一切の手
続を履践し、完了するものとする。借入人は、アセットマネジャーをして、アセットマネジャーに適用のある
法令をすべて遵守し、また、アセットマネジャーによる本件関連契約に基づく権利の行使及び義務の履行、若
しくはかかる契約の適法性、有効性又は強制執行可能性維持のために必要な一切の承認、許可、授権又は同意
を維持させるものとし、もし必要とされる場合には、速やかにこれらを取得させ、その他必要な一切の手続を
履践し、完了するものとする。
(2) 一般債権との優先順位
借入人は、レンダーとの間の借入人関連契約に基づく借入人の債務を、借入人の現在又は将来の一切の債務
(公租公課及びオペレーションコスト及び受託者から追加信託を請求され、かつ、未払いの金額に係る債務並
びにエージェント債務を除く。)に劣後させず、少なくとも同順位とするものとする。
(3) 資産等の処分禁止
借入人関連契約で許容される場合又は全レンダーとの間で別段の書面による合意がある場合を除き、借入人
は、その保有する財産を一切処分しない。とりわけ、借入人は、信託不動産又は信託受益権につき全レンダー
の書面による事前の同意なしに譲渡、その他の処分をせず、また受託者をして譲渡、その他の処分をさせない。
(4) 組織・事業にかかわる一定の制限
借入人は、全レンダーの事前の承諾(但し、①及び⑤については、レンダーは合理的な理由なく承諾を遅延、
留保又は拒否しないこととする。)がある場合を除き、以下の行為を行ってはならない。本号⑦については、
本条柱書にかかわらず、本件貸付金債務完済日から1年と1日を経過するまでの間においても同様とする。
② 定款の変更
③ 資本減少又は増加
④ 合併、事業譲渡、会社分割、重要な資産の譲渡、組織変更
⑤ 子会社の設立又は保有
-12-
⑥ 職務執行者の変更
⑦ 職務執行者に対する報酬の支払及び社員に対する配当
⑧ 破産法上の破産手続開始、民事再生法上の再生手続開始、その他の倒産手続(将来制定される合同会社
に適用となる倒産処理手続を含む。)の申立て又は解散の決議
(5) 担保設定等制限
借入人は、本件担保契約に規定されている場合及び借入人関連契約の規定に従った場合を除き、自らのため
と第三者のためにするとを問わず、第三者に対して責任財産の全部又は一部の上に抵当権、質権その他一切の
担保権を設定せず、あるいは担保権の設定と実質的に同等又は類似の効果を有する取引又は行為(これらの義
務を負う取引又は行為を含む。)を行わない。
(6) 借入人関連契約に基づく債務の履行
借入人は、借入人関連契約の規定に従い、これらの契約に基づき借入人が負う一切の債務をその期日に直ち
に履行する。
(7) 本件関連契約の遵守
借入人は、借入人関連契約の内容を遵守し、借入人関連契約上の権利義務を適切に行使し又は遂行するとと
もに、本件関連契約の各当事者(エージェント及びレンダーを除く。)の一切の義務を履行させるために合理
的に必要な一切の行為を行う。
(8) 借入人関連契約等
借入人は、借入人関連契約に関し、全レンダーの事前の書面による同意なく、以下のいずれの行為も行わな
い。
① 借入人関連契約を解除若しくは失効させ、又は修正若しくは変更(軽微なものを除く。)すること。但し、
プロジェクト契約第 14 条第1項の規定に従うものとする。
② 新たに第三者と契約を締結すること。
③ 借入人関連契約に基づき借入人が有する権利を各レンダーを害する態様で行使し、又はかかる権利を放
棄し若しくはかかる権利行使を撤回すること。
④ 借入人関連契約の相手方当事者が、借入人関連契約上の義務の履行を懈怠し、又はかかる義務に違背し
た場合、これを黙認又は宥恕すること(但し、客観的に合理的と認められる期間の権利の不行使について
は、この限りではない。
)。但し、借入人関連契約上の借入人の権利を保全するために必要な場合であって、
借入人が善良な管理者の注意をもって行動し、かつ借入人関連契約上のレンダーの権利に重大な悪影響を
及ぼさずかつ客観的に合理的と認められる理由により、全レンダーの事前の同意を得る時間的余裕のない
ときは、この限りではない。この場合、借入人は各レンダーに対し速やかにその旨を報告し、全レンダー
の合理的理由に基づく指示があるときはこれに従うものとする。また、借入人は、借入人以外の契約当事
者が本契約若しくは借入人関連契約上の若しくはこれに関連するレンダーの権利に重大な悪影響を及ぼす
ものを行おうとしたことを借入人が知った場合、レンダーに対しその旨を速やかに通知する。
⑤ 本件関連契約に基づき全レンダーの承諾が必要とされる指図、指示、承諾、同意等を与えること。
(9) 重要事項の報告
借入人は、以下のいずれかの事由が発生した場合又は当該事実が発生したことを知った場合、直ちにその旨
を各レンダーに対して書面にて通知するものとする。
① 本契約、借入人関連契約に定める期限の利益喪失事由(潜在的期限の利益喪失事由を含む。)若しくは債
務不履行事由、解除事由、終了事由又は重大な義務違反(通知若しくは時の経過又はその両方によりこれ
らの事由に該当する事由を含む。)。
② 借入人を被告、債務者、被申立人その他手続の相手方又は対象とするエージェントに通知されていない
新たな訴訟等又は訴訟等が行われるおそれ。この場合には、法的手続の進行がある度に当該進行の内容に
つき書面にて通知するものとする。
③ 借入人の財務状況、資産及び経営の状況の重大な変化又は時間の経過によりかかる変化が発生するおそ
れがあると借入人が合理的に判断しうる事由。
④ レンダーの利害に関する通知の受領。
(10) 債務負担行為等の禁止等
借入人は、本件関連契約に規定されるものを除き、債務負担行為(社債の発行、保証及び手形・小切手の振
-13-
出を含む。)やその他の契約の締結、及び一切のそれらに準ずる行為を行わない。但し、全レンダーの事前の
承諾を得た場合はこの限りでない。
(11) 財務諸表
借入人は日本において一般に公正妥当と認められる企業会計原則に従って会計処理を行い、財務諸表を作成
するものとする。
(12) 財務情報等の報告・提出
借入人は、下記の書類及び情報を、それぞれについて定められた期間内に各レンダーに提出する。
① 決算書(財務諸表及び事業報告書):各事業年度の終了後3か月以内。
② 借入人関連契約に基づく借入人の債務の履行に重大な悪影響を与えるおそれのある借入人の財務状態及
び経営成績の悪化に関する報告書:借入人がかかる事態の発生を覚知した後速やかに。
③ 信託契約に基づく信託財産状況報告書:信託計算期日の翌日から1か月以内。
④ 借入人の税務申告書:管轄税務署に提出した後、速やかに。
⑤ 匿名組合契約に係る匿名組合決算書:作成後、速やかに。
⑥ プロパティ・マネジメント契約に基づきプロパティマネジャーが作成する信託不動産の管理業務に係る
報告書:受領後、速やかに。
⑦ 各レンダーが合理的に要求するその他の情報:請求後速やかに。
(13) 記録の保管等
借入人は、その主たる事務所に会計帳簿及びその他の財務記録並びに一般に公正妥当と認められる会計処理
手続上必要とされるその他の書類を保管し、各レンダーのその旨の要求がある場合、当該レンダー又はその代
理人が借入人の営業時間中にかかる書類等を調査し、写しを作成することを認める。
(14) 他業の禁止
借入人は、借入人関連契約で許容されている場合又は全レンダーの書面による事前の承諾ある場合を除き、
投資対象物件の購入(購入のための資金調達行為を含む。
)、保有及びこれに付随する取引又は行為以外の事業
に従事せず、投資対象物件の購入、保有及びこれに付随する取引又は行為に係る事業を放棄しない。
(15) 公租公課の支払
① 借入人は、適用法令により借入人に課される公租公課をその納付期限までに支払う。
② 借入人は、借入人が納付すべき消費税(地方消費税を含む。
)その他公租公課相当額を SPC 口座において
プロジェクト契約に定めるところに従い適切に管理し、かかる資金を消費税その他公租公課の納付のため
にのみ用いるものとし、他の用途には用いないものとする。
(16) 書類交付
借入人が新たに契約を締結したときは、その写しを遅滞なく各レンダーに交付する。
(17) 信託不動産の管理・運用
借入人は、受託者をして、信託契約及びプロジェクト契約の規定に従って信託不動産の管理・運用・処分を行
わせるものとする。
(18) 保険付保
借入人は信託不動産に、受託者をして全レンダーが承認する投資適格格付を取得している保険会社による、
別紙3に定められる付保基準と同等と認められる内容の保険その他レンダーが合理的に満足する内容の保険
を付保させ、かつ維持させるものとする。なお、当該保険会社が投資適格格付を有しなくなった場合には、そ
の直後に到来する当該保険会社による保険の更新の際に、新たに投資適格格付を取得している他の保険会社に
よる全レンダーが相当と認める内容の保険その他レンダーが合理的に満足する内容の保険を付与させるもの
とする。
(19) 信託契約、アセット・マネジメント契約上の書類の交付
借入人は、信託契約に従って受託者から受領した書類その他の資料の写し(収支計算書等を含む。)、アセッ
ト・マネジメント契約に従ってアセットマネジャーから受領した書類の写しを各レンダーの請求に従って各レ
ンダーに交付する。但し、借入人がアセットマネジャーから受領する四半期報告書、年次報告書については、
借入人は、各レンダーからの請求の有無にかかわらず速やかにレンダーに提出することとする。
(20) SPC口座の管理その他借入人関連契約の遵守
借入人は、プロジェクト契約の規定に従い、SPC口座を管理するほか、借入人関連契約をすべて遵守する
-14-
ものとする。
(21) 反社会的勢力
信託不動産に、集団的に又は常習的に違法行為を行うことを助長するおそれがある団体又は団体の構成員若
しくはそれに類する違法又は反社会的な団体又は個人をテナントとして入居させないものとする。
(22) 匿名組合契約
借入人は、全レンダーの書面による事前の承諾がある場合を除き(但し、レンダーは合理的な理由なく承諾
を留保することはできないものとする。)、匿名組合契約に基づく匿名組合員の権利、義務又は契約上の地位に
ついての譲渡、移転、担保設定、信託設定に同意してはならず、匿名組合契約に基づく出資金の償還(但し、
匿名組合契約に基づき支払われる現金配当金の内、当該匿名組合員に対して分配された利益を上回るものとし
て出資の償還とみなされる部分を除く。)を行ってはならず、また、同契約を解除又は終了させてはならない。
(23) 信託契約終了後の担保権
借入人が本件貸付金債務のすべてを弁済する前に、信託契約が終了し、借入人に信託不動産の現状有姿での
交付がなされる場合、借入人は、レンダーのために、停止条件付抵当権設定契約に基づき信託不動産に対して
抵当権を設定し、同契約に従って借入人の負担による抵当権設定登記を行い、また、大要契約別紙4の様式及
び内容による保険金請求権質権設定契約を締結し、信託不動産に係る損害保険契約に係る保険金請求権に対し
て第一順位の質権を設定し、借入人の負担において、かかる担保権設定を第三債務者及び第三者に対抗するた
めに確定日付ある第三債務者による異議なき承諾の取得その他一切の必要な措置を講じるものとする。
(24) 資産運用計画書
借入人は、アセット・マネジメント契約に従ってアセットマネジャーから受領した各営業年度の資産運用計
画を、当該期間の始期の1か月前の日までに各レンダーに提出し、全レンダーの承諾を得なければならない。
各レンダーは、受領後 10 営業日以内に異議又は承認の意思を明らかにするものとし、10 営業日以内に異議を
表明しなかった場合には、レンダーは当該資産運用計画を承認したものとみなす(なお、営業年度開始日まで
に当該営業年度の資産運用計画について全レンダーの承諾を得ることができない場合には、かかる承諾を取得
するまで前営業年度の資産運用計画に従う。)。
(25) 相殺の禁止
借入人は、SPC口座に属する金銭の引渡返還請求権その他のレンダーに対して有するいかなる請求権も本
契約の下で借入人が負担する債務について相殺の用に供してはならない。
(26) 不動産全部事項証明書の取得
借入人は、貸付実行日後合理的な期間内に、信託契約に基づく信託不動産に関する信託を原因とする所有権
移転登記及び信託登記が具備され、受益者が借入人に変更されていることが適切に反映されている信託不動産
に係る全部事項証明書を各レンダーに交付するものとする。
(27) 表明保証の維持
借入人は、貸付実行日以降、第 14 条第1項各号に定める表明・保証事項を不正確となし、その結果、信託
不動産等又はレンダーの本件関連契約上の権利に悪影響を及ぼすような行為を行なわないものとする。また、
借入人は、第 14 条第1項に定める事項が不正確となる事態が生じたことを覚知した場合には、かかる事態を
直ちに各レンダーに通知するものとする。
(28) 責任財産の鑑定評価の実施
借入人は、借入人の負担にて全レンダーが承諾する不動産鑑定士又は不動産鑑定事務所(以下「本件不動産
鑑定評価機関」という。なお、大和不動産鑑定株式会社については、全レンダーの承諾は不要とする。)によ
る信託不動産に関する不動産鑑定士による時点修正鑑定評価書又は調査報告書(以下「不動産鑑定評価書等」
という。)で、毎年1月1日を評価時点として作成されたものを、毎年●月末日までに各レンダーに交付する
ものとする。各レンダーは、不動産鑑定評価書等の内容について鑑定評価を担当した不動産鑑定士に確認した
い事項等がある場合には、これらの事項を書面により借入人に対して提出できるものとする。かかる書面を受
領した場合、借入人は、速やかに鑑定評価を担当した不動産鑑定士に対して当該事項について回答を要求し、
回答取得後速やかに、レンダーに対して書面によりその内容を通知する。かかる質問・照会にかかわらず、い
ずれかのレンダーが合理的な回答・説明を本件不動産鑑定評価機関より得られないと判断した場合には、当該
レンダーは、借入人に対し書面にて事前に通知後、借入人と協議した上で、当該レンダーの費用負担により、
当該レンダーが別途指定する調査機関より、信託不動産に係る鑑定評価を取得することができるものとし、そ
-15-
の場合当該不動産鑑定評価書を当該期間の不動産鑑定評価書等とする。
(29) DSCRテスト
借入人は各信託配当交付日から 10 営業日以内に、当該信託配当交付日におけるDSCRが●未満となるか
否かの計算を行い、その結果について、計算の根拠となる合理的な書類とともに、直ちにレンダーに書面にて
通知する。
DSCRが信託配当交付日に●未満となった場合には、直後の利払日において、利払日又は貸付実行日にプ
ロジェクト契約第2条第5項に基づいてローン元利金積立口座に積立てられたローン元利金支払積立金とは
別に、これと同順位で、直後の利払日に支払うべき本件貸付の利息相当額(以下「追加ローン元利金支払積立
金」という。)を、ローン元利金積立口座に積立て、維持するものとする。但し、次回の信託配当交付日時点で
のDSCRが●以上となった場合は、ローン元利金積立口座に追加的に積立てた追加ローン元利金支払積立金
は、メイン口座にリリースされる。
なお、最初にDSCRの計算を行う信託配当交付日は、2009 年7月末日の信託計算期日に対応する信託配当
交付日とする。
(30) LTVテスト
借入人は、毎年●月末日までに、本項第(28)号に基づいてその年の●月末日までに取得する不動産鑑定評価
書等の評価額を物件価格としたLTVが●%を上回るか否かの計算を行い、全レンダーに対してかかる計算結
果を通知するものとする。
(31) 消費税還付の報告
借入人は信託不動産につき消費税の還付金を受領した場合には、直ちに各レンダーに対して書面にて通知す
るものとする。
(32) 借入人の資金管理・リザーブ口座における積立ての維持
貸付実行日にプロジェクト契約第2条第5項に基づいてリザーブ口座に積立てられた公租公課積立金、経費
支払積立金及びローン元利金支払積立金をプロジェクト契約に従って使用し、維持し、その他、借入人に係る
資金について本契約及びプロジェクト契約に定める規定に従ってこれを管理する。また、受託者をして信託契
約第 26 条各号に規定される積立金を積み立て、同条各号に規定される場合を除き取り崩させない。
(33) 従業員雇用の禁止
借入人は従業員を雇用しない。
第15条 (責任財産の管理等)
1. 借入人は、レンダーに対し責任財産をもって本件貸付金債務の全部を弁済することができるように、善良なる
管理者の注意義務をもって責任財産を管理し責任財産に関する自己の権利を行使する義務を負うものとする。
2. 借入人は、信託受益権に係る受益者として、受託者が信託不動産の全体的利用によって最大限賃料等の収入を
得られるよう努力する旨受託者に指図し、受託者がその指図に従って受託者としての義務を履行することにつき
監督する。さらに、借入人は、信託受益権に係る受益者として、信託不動産に関し、適用法令をすべて遵守する
とともに、善良なる管理者の注意義務をもってその賃貸、運営、管理、保全、保守等を行う旨受託者に指図し、
受託者がその指図に従って受託者としての義務を履行することにつき監督する。なお、レンダーはいかなる場合
においても信託不動産に関するこれらの事項について何らの責任や義務を負わない。
3. 借入人は、信託不動産の毀損事故、その他信託不動産又はアセット・マネジメント契約、プロパティ・マネジ
メント契約若しくはテナント賃貸借契約及びマスターリース契約に関して、借入人による本件貸付金債務の返済
計画に影響を及ぼすおそれのある事由が生じたことを覚知したときは、直ちにこれを各レンダーに報告するもの
とする。
第16条 (報告及び調査)
借入人は、各レンダーが要求したときは、前条に関する事項について、各レンダーに対して報告するものとし、
各レンダーが上記事項に関する資料等を要求した場合には、速やかに作成し又は既に保有する資料等があればそ
の写しを各レンダーに対して交付するものとする。
第17条 (期限の利益喪失事由)
第 17 条の期限の利益喪失規定は、本条のように第 1 項のような請求失期と第 2 項のような当然失期とに分けるの
1. 以下の各号に掲げる事由のいずれかに該当するときは、レンダーは借入人に対して全レンダーの意思を通知す が通常である。
-16-
ることにより、本件貸付金残高及び本契約に基づく借入人の一切の金銭債務につき、期限の利益を喪失せしめそ
の弁済期限を到来せしめることができる。かかる場合、借入人は本件貸付金債務すべてを直ちに弁済し、各レン
ダーに係るブレークファンディングコストその他の費用を支払うものとする。
(1) 本契約の債務不履行
借入人が、本契約に基づく義務(第2項第1号に規定する元利金支払義務を除く。以下本号において同じ。)
の全部若しくは一部の履行を怠り、本契約のいずれかの条項に違反し又は本契約のいずれかの条項の遵守を懈
怠した場合において、かかる不履行、違反又は懈怠が全レンダーによる借入人への通知後 10 日以内に治癒さ
れないとき(但し、かかる期間内に治癒することが不可能又は著しく困難であると全レンダーが合理的に判断
した場合には、かかる借入人への通知・期間の経過を要しない。)。
(2) 借入人関連契約の債務不履行
借入人が、借入人関連契約(本契約を除く。本号において以下同じ。)に基づく義務の全部若しくは一部の
履行を怠り、借入人関連契約のいずれかの条項に違反し又は借入人関連契約のいずれかの条項の遵守を懈怠し
た場合において、かかる不履行、違反又は懈怠が全レンダーによる借入人への通知後 30 日以内に治癒されな
いとき(但し、かかる期間内に治癒することが不可能又は著しく困難であると全レンダーが合理的に判断した
場合には、かかる借入人への通知・期間の経過を要しない。)。
(3) 虚偽の表示等
本契約に基づき借入人により表明及び保証された事実又は借入人関連契約に基づき借入人がエージェント
に提出した資料若しくは情報に関し、その重要な事項に虚偽又は不正確な内容若しくは表示があり、これらに
より本契約に基づくレンダーの借入人に対する債権の回収に支障が生じるおそれがあるとレンダーが合理的
に判断した場合において、全レンダーによる借入人への通知後 30 日以内に治癒されないとき(但し、かかる
期間内に治癒することが不可能又は著しく困難であると全レンダーが合理的に判断した場合には、かかる借入
人への通知・期間の経過を要しない。)。
(4) 匿名組合契約
匿名組合契約が終了したとき。また、匿名組合員が、全レンダーの承諾なく、匿名組合契約における匿名組
合出資者たる地位を譲渡したとき。
(5) 他の本件関連契約
本件関連契約(匿名組合契約を除く。)のいずれかが、借入人側の事情により、全レンダーの書面による承
諾を得ずして変更若しくは解除されまたは終了した場合(倒産手続において管財人等により、本件関連契約に
基づく行為が否認された場合を含む。)
。
(6) 本件担保契約
本件担保契約の全部又は一部が有効でなくなったとき又は本件担保契約に基づき設定された担保権の全部
若しくは一部が有効かつ(第三者対抗要件の具備が可能な資産につき)対抗要件を具備したものでなくなり、
かつ、全レンダーからの請求後 10 営業日以内に治癒されなかったとき。
(7) 他の債務
借入人が、借入人関連契約に基づく債務並びに全レンダーが別途書面により同意する債務以外の債務(公租
公課及びオペレーションコストを除く)を負担していることが判明した場合において、全レンダーによる借入
人への通知後 10 日以内に治癒されないとき(但し、かかる期間内に治癒することが不可能又は著しく困難で
あると全レンダーが合理的に判断した場合には、かかる借入人への通知・期間の経過を要しない。)。また、全
レンダーの事前の承諾なく借入人関連契約が変更又は解除され、期間満了以外の事由により終了しその効力を
失ったとき。
(8) 借入人への出資比率等の変動
全レンダーの事前の承諾なく、借入人の社員構成に変動があった場合。
(9) 借入人の業務執行社員又は職務執行者の不存在
借入人の業務執行社員又は職務執行者が存在しなくなり、全レンダーからの請求後 30 日以内に新たな業務
執行社員又は職務執行者が就任しなかったとき。
(10) 信託不動産の売却事由
信託財産に属する金銭が信託費用等及び信託報酬を支弁するに不足する場合又は受益者たる借入人が信託
契約上求められる追加金銭信託を行わなかった場合に、受託者が受益者たる借入人に対して書面による通知を
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行い、その支払を請求したにもかかわらず、その後 30 日が経過しても受益者たる借入人が当該請求に係る金
員の全部又は一部を支払わないとき。
(11) 是正命令
借入人又はアセットマネジャーについて、監督官庁による違法行為等の是正命令、業務停止命令が為された
場合、その他業務遂行に必要な許認可若しくは資格を喪失し、または取り消されたとき。但し、全レンダーの
承諾を得て後継のアセットマネジャーを選任した場合その他全レンダーが合理的に承認する内容の措置が講
じられている場合はこの限りではない。
(12) 土地収用
信託土地が収用されたときその他これに準ずる事態が生じたとき。
(13) 匿名組合員の倒産等
匿名組合契約における匿名組合員につき、破産手続、会社更生手続、民事再生手続、特定調停手続、特別清
算、その他適用のある倒産手続(将来制定されるものを含む。)開始の申立てがあったとき。但し、当該匿名
組合員の匿名組合契約上の地位及びこれに基づく権利義務が、匿名組合契約の規定に従い、全レンダーの承諾
を得て譲渡された場合その他全レンダーが合理的に承認する内容の措置が講じられている場合はこの限りで
はない。
(14) 信託不動産の滅失
信託不動産の全部又は重要な部分が滅失したときその他信託不動産の価値に重大な悪影響を与える程度の
著しい毀損が発生したとき。
2. 以下の各号のいずれかに該当する事由が発生した場合、全レンダーによる借入人への通知の有無に拘らず、本
件貸付金債務のすべてについて当然に期限の利益は失われるものとし、借入人は本件貸付金債務すべてを直ちに
弁済し、各レンダーに係るブレークファンディングコストその他の費用を支払うものとする。
(1) 元利金支払義務の不履行
借入人が、利払日又は元本返済日において、本件貸付金の元利金の支払を怠った場合において、かかる支払
懈怠が3営業日以内に治癒されないとき。
(2) 責任財産に対する保全処分等
責任財産の全部又は一部について差押、仮差押、仮処分、強制執行、競売の申立、保全差押又は滞納処分を
受けたとき(但し、SPC 口座の預金債権を除く責任財産に係る仮差押又は仮処分の申立については、かかる申
立が 30 日以内に取り下げられた場合又は却下された場合はこの限りではない。
)。
(3) 破産手続等の開始
借入人がその債務に関し支払を停止し又は借入人に関し破産法上の破産手続開始若しくは民事再生法上の
再生手続開始その他の倒産手続若しくは今後立法される倒産手続開始が申し立てられたとき。
(4) 手形交換所の取引停止処分
借入人が支払不能に陥り、又は手形交換所の取引停止処分を受けたとき。
(5) 解散、事業譲渡等
借入人について解散決議、解散判決又は解散命令がなされた場合、その他借入人に関し清算手続が申し立て
られ、若しくは借入人がその営業又は営業用財産の全部又は重要な一部の譲渡を決議し又はこれらを譲渡した
とき、あるいは借入人がその営業を休止又は廃止したとき。
第18条 (通知等)
1. 本契約の当事者に対する本契約及び本件担保契約に基づく通知その他の連絡は、すべて書面により、下記に記
載する相手方の住所、電子メールアドレス又はファクシミリ番号(本契約締結後、いずれかの当事者がその通知
先住所、電子メールアドレス又はファクシミリ番号を変更し、これを本条に従い他の当事者に通知した場合、か
かる変更後の住所、電子メールアドレス又はファクシミリ番号とする。
)宛に、郵便、バイク便、宅配便、電子
メール、ファクシミリ又は直接交付にてこれを行う。但し、レンダー承諾事項に関する通知及び借入人のレンダ
ーへの支払に関する通知(エージェントによるレンダーへの通知も含む。)について電子メールによる通知を行
う場合には、ファクシミリその他の通信手段を併用しなければならない。
(i)
借入人:
地方証券化・プロパティ合同会社
〒
-18-
住所:
担当者:
電話番号:
ファクシミリ番号:
電子メールアドレス:
(ii) 各レンダー:
別表A記載のとおり
(iii) エージェント:
別表A記載のとおり
2. すべての通知は、第 1 項の手段により送付され、当該通知が実際に受領された時点をもってその効力が発生す
るものとする。但し、レンダー又はエージェントが行う通知その他の連絡が書留速達郵便にてなされた場合は、
その名宛人に対しその連絡先住所宛に当該通知が投函された日の翌営業日に当該名宛人に到達したものとみな
して、その効力が発生するものとする。また、レンダー又はエージェントが行う電子メール又はファクシミリに
よる通知については、発信時(但し、送信エラーにより送信が完了しなかった場合を除く。)をもって受領され
たものとみなすこととする。
第19条 (譲 渡)
1. 借入人は、借入人関連契約に基づく権利・義務又は借入人関連契約上の地位の全部又は一部を譲渡することは
できない。
2. 各レンダー及びエージェントは、借入人の事前の書面による承諾を得た場合には、本契約に基づく地位又は権
利及び義務の全部又は一部を、以下に規定する者を除く、第三者に譲渡することができる。但し、借入人は、合
理的な理由がない限り、当該譲渡の承諾を拒むことができないものとする。
① 公序良俗に反する団体又はこれと同視すべき関係先及び著しく信用に欠けると判断される者
② 集団的又は常習的に暴力的行為その他の違法行為(犯罪行為を含むが、これに限られない。)等を行い、
又は行うことを助長する虞のある団体に属している者及びこれらの者と取引のある者
③ 無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律(平成 11 年法律第 147 号。その後の改正を含む。
)
に基づき処分を受けた団体に属している者及びこれらの者と取引のある者、その他これらに類する団体に
属している者及びこれらの者と取引のある者
④ 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和 23 年法律第 122 号。その後の改正を含む。
)
第2条第1項に定義される風俗営業並びに同法第2条第5項に定義される性風俗関連特殊営業を行う者及
びこれらの営業のために貸室等を利用しようとする者
⑤ 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律
(平成 11 年法律第 136 号。その後の改正を含む。)
に定める犯罪収益等隠匿及び犯罪収益等収受を行い又は行っている疑いのある者及びこれらの者と取引の
ある者
⑥ 貸金業法(昭和 58 年法律第 32 号。その後の改正を含む。)第 24 条第3項に定義される取立て制限者、
又はこれと同視すべき者
⑦ 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第 77 号。その後の改正を含む。)第2
条で定義される暴力団、指定暴力団、指定暴力団連合、暴力団員若しくはこれらの関連者
⑧ 人を威圧し、又はその私生活若しくは業務の平穏を害するような言動により人を困惑させる虞のある者
及びこれらのために信託不動産を利用しようとする者であると明らかに認められる者
⑨ 前各号に該当する者を親会社その他の関連会社として有する法人
⑩ その他これらに類する団体に属している者及びこれらの者と取引のある者
3. 前項にかかわらず、各レンダー又はエージェントは、借入人に対する書面による通知により、本契約に基づく
地位又は権利及び義務の全部又は一部を、金融商品取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令(平成 5 年大
蔵省令第 14 号、その後の改正を含む。)第 10 条第 1 項第 4 号ないし第 9 号、第 11 号ないし第 15 条及び第 21 号
に該当する者に譲渡することができる。借入人は、かかる譲渡について、当該レンダー又はエージェントの費用
負担で、承諾書の作成その他合理的な協力を行うものとする。
4. 各レンダー及びエージェントは第2項又は前項に従い本契約に基づく地位又は権利及び義務の全部又は一部
を第三者に譲渡する場合には、事前に他のレンダー及びエージェントに書面にて通知するものとする。また、各
レンダー及びエージェントは、本条に基づき、本契約に基づく地位又は権利及び義務の全部又は一部を第三者に
-19-
譲渡する場合、当該第三者をして本契約に拘束されることを承諾させるものとする。
第20条 (相 殺)
1. 各レンダーは、期限の到来、期限の利益の喪失によって借入人がその債務を履行しなければならない場合には、
各本件貸付金の返済に充当するため、当該本件貸付金債権をもって各レンダーの借入人に対するSPC口座に関
する預金返還債務その他の債務と相殺することができる。
2. 前項の相殺を実行することができる場合には、当該レンダーは事前の通知及び所定の手続を省略し、借入人に
代わって前項の預金その他の債権につき解約し、払戻しを受け、又は換価することにより、払戻金若しくは代わ
り金をもって、借入人の債務の弁済に充当することができる。
3. 前二項により差引計算をする場合、債権債務の利息、割引料、損害金等の計算については、その期間を計算実
行の日までとし、利率、料率は利息制限法等の関係法令に反しない限度で当該レンダーの定めによるものとし、
また外国為替相場については、当該レンダーの計算実行時の相場を適用するものとする。
第21条 (レンダー間の調整)
1. 相殺時のレンダー間の調整
前条第1項及び第2項によりレンダーが相殺又は払戻し等(以下「相殺等」という。)を行った場合には(当
該レンダーを、以下「相殺実行レンダー」という。)
、かかる相殺等がなされた本件貸付金債権(以下、本項にお
いて「相殺実行貸付債権」という。)毎に以下の各号の規定に従い債権譲渡を行ってレンダー間の調整を図る。
(1) 相殺等によって消滅した相殺実行貸付債権に係る債務の金額がレンダーに支払われていたと仮定した場合
に、相殺実行貸付債権以外の本件貸付(以下、本項においてかかる個別貸付に係る債権を「他の貸付金債権」
という。)を実行したレンダー(以下、本項において「他のレンダー」という。)が支払を受けたであろう金額
(以下「仮定分配金」という。)を相殺実行レンダーが算出する。
(2) 相殺実行レンダーは、他の本件貸付金債権のうち、仮定分配金に相当する金額の債権を他のレンダーから額
面金額で買取る。但し、他のレンダーは、かかる売却を拒むことができる。
(3) 前号の譲渡が行われた場合には、他のレンダーは、相殺実行レンダーの費用負担により、譲渡後速やかに借
入人に民法第 467 条に定める確定日附ある証書による通知を行う。
2. 借入人が本件貸付金債務について期限の利益の喪失をしていない場合において、借入人の責任財産につきレン
ダーが自ら強制執行の申立を行った結果、第三者による強制執行に関してレンダーが配当要求した結果、その他
借入人による任意弁済等(保証人その他第三者による弁済を含む)の結果、当該レンダーが本契約にもとづき借
入人に対して有する債権の弁済を受けることとなった場合については、前項の規定に準じて債権譲渡を行う
3. 前項における第1項の準用に際しては、レンダーが自ら強制執行等(以下「強制執行等」という。)を行うた
めに要した一切の費用(弁護士費用を含む。)、又は第三者による強制執行等に関してレンダーが配当要求するた
めに要した一切の費用(弁護士費用を含む。)相当額は当該レンダーに帰属するものとし、当該金額を強制執行
等の結果得た金員から差し引いた残額がレンダーに支払われていたと仮定して仮定分配金は算出されるものと
する。
第22条 (破産手続開始申立て等の禁止)
各レンダー及びエージェントは、本件貸付金債務及びメザニン貸付債務が完済されてから 1 年と 1 日が経過す
る日まで、借入人に対して、破産法上の破産手続開始又は民事再生法上の再生手続開始若しくはこれに類する倒
産手続(私的整理及び将来制定される倒産手続も含む。)の申立てを行わない。
第23条 (責任財産限定特約)
1. 借入人は、本件貸付金債務の一切の支払については、責任財産のみを原資とし、その限度においてこれを弁済
すれば足りるものとする。
2. 借入人が本件貸付金債務の履行につき懈怠し若しくは不能に陥った場合、レンダー及びエージェントは、責任
財産に対してのみ強制執行その他の権利行使を行うことができるものとし、借入人の有する責任財産以外の一切
の財産又は収入に対し強制執行する権利を有しないものとする。
3. 本条の規定は、エージェント又はレンダーによる以下の各行為を妨げるものではない。
(1) エージェントが、責任財産を保全するために、法令の規定に従い、借入人の権利を代位行使し、又は借入人
の行為を取消すこと。
-20-
(2)
レンダーが、借入人、その役員又は使用人等の故意又は過失に基づく行為を理由としてレンダーが被った損
害につき、法令の規定に従い、借入人に対して損害賠償を求めること。
4. 本条の規定は、第4条第3項の規定による遅延損害金の発生を妨げるものではない。
5. 本条の規定に拘らず、各レンダーは本件担保契約に基づく担保権を本件担保契約及びプロジェクト契約に定め
るところに従い行使することができるものとする。
第24条 (守秘義務)
各レンダー、エージェント及び借入人は、適用のある法令、規則若しくは通達、行政庁の指導、裁判所の判決、
決定若しくは命令により開示する場合、本件貸付に係るアレンジャー、弁護士・会計士・税理士・不動産鑑定士
等のアドバイザー、借入人の事務代行業者、アセットマネジャー、レンダー又はエージェントの親会社、レンダ
ーからの債権の譲受人(候補者を含む。)、信託受益権の譲受人(候補者を含む。)、匿名組合員に開示する場合又
は当事者間で別途合意する場合を除き、相手方当事者の書面による事前の同意なくして、本契約の条項、本契約
に基づく取引の内容、及び本契約に基づき、又はこれに関連して他の当事者から受領した機密情報一切につき、
これを第三者に対し、開示又は漏洩してはならない。なお、本契約に基づいて、相手方当事者の書面による事前
の同意なくして開示できる場合、又は書面による事前の同意を取得した上で開示する場合であっても、その開示
対象となる機密情報の範囲及び開示先等については、開示する目的を達成するために必要最小限度でなければな
らないものとする。
第25条 (公正証書の作成)
借入人は、本契約に基づくレンダーの債権を保全するために合理的な必要がある場合において、エージェント
から請求があったときは、公証人に委嘱して、本契約に基づく金銭債務について、借入人の費用負担にて強制執
行の認諾がある公正証書を作成するために必要な手続きをとるものとする。
第26条 (準拠法、合意管轄、その他)
1. 本契約及び本契約に基づく当事者の権利義務は、日本法に準拠し、日本法に従って解釈されるものとする。
2. 本契約又は本契約に基づく当事者の権利義務に関する訴訟その他の法律手続について、東京地方裁判所を第一
審の専属的合意管轄裁判所とする。
3. 本契約に規定のない事項又は本契約の諸条項若しくは本契約に基づく権利義務に関し疑義を生じた場合、レン
ダー、エージェント及び借入人は、誠意をもって協議する。
4. 本契約の変更又は修正は、レンダー、エージェント及び借入人の全員によって署名された書面によってのみな
されるものとする。
5. 本契約及び本契約に基づく取引については、借入人が各レンダーに別に差し入れたか否かを問わず、銀行取引
約定書の適用を排除する。
第27条 (証券化協力義務)
借入人は、レンダーが本件貸付金債権を証券化するため、本件関連契約の変更等が必要である場合、借入人の
不利に契約を変更せず、借入人の義務を加重しない範囲において、レンダーに対して可能な限りの協力を行う。
(以下この頁余白)
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上記契約の成立を証するために本契約書を 1 部作成し、借入人及びレンダーは頭書の日付において下記に署名し、
エージェントが原本を、借入人及びレンダーは写しを保管する。なお、原本を保管するエージェントは、原本保管
証明書を作成し、借入人及びレンダーに手交するものとする。
借入人:
東京都
区
丁目
番
号
代表社員
職務執行者
レンダー:
レンダー:
レンダー:
エージェント:
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