災害時における動物救護活動に関する協定細目(案)

(協定細目Ⅰ)
災害時における動物救護活動に関する協定細目(案)
「災害時における動物救護活動に関する協定書」
(以下「協定書」という。)第 10 条に基
づく細目は、次のとおりとする。
(平常時の活動)
第1条
平時から甲の主導により、災害発生時に備え次の事項を整備することとする。
(1)組織作り
行政機関・獣医師会・動物愛護推進協議会・動物愛護推進員・愛護団体等の役割分
担等の明確化を図る組織として「災害時動物救護連絡協議会」を組織して事前打合
せ会を定期的に開催し、情報交換等を行う。
(2)物資供給体制の整備
動物用医薬品・機材関係団体・ペットフード・ペット用品関係団体との連携による災
害時における物資供給体制を整備する。
(3)被災動物救護センター設置場所
既存の行政施設(動物愛護センター等)の利用又は、公用地等での救護施設の設置に
ついてあらかじめ自治体と協議し、運営方法についても取り決めを行う。
また、死体の取り扱い(処理)についても近隣の動物霊園、市町村等との協力体制を
構築しておく。
(4)発災時初動活動拠点(動物救護対策本部)設置場所及び緊急連絡体制整備
災害発生時における初動要員の参集場所は乙の事務所とするが、使用できない場合
は適宜協議する。また、
「現地動物救護本部」が立ち上がった時点で、活動拠点を現
地本部に移行する。甲は乙の組織する情報技術委員会(以下「IT 委員会」という。)
と協議して緊急連絡体制を整備する。
(指揮管理体制フロー)
第2条
災害発生時の指揮管理体制の流れは以下の通りとする。
災害発生時
(1)
甲及び他の行政→災害対策本部設置→動物救護活動開始(市施設)→
(2)
乙→動物救護対策本部設置→動物救護活動開始(会員病院施設)
→
(3)
緊急災害時動物救護本部→支援準備→支援(人材・物資・資金)
→
上記三者が連携協働して救援物資の受け入れと、管理を行う。
1
現地動物
救護本部
(発災後の初動体制)
第3条
災害時における動物管理義務は、あくまでも飼主にあり、それが不可能な場合に
限り、乙は、発災後に負傷した動物への応急手当または被災した動物の保護及び管理
が必要と認めた場合は、直ちに自らの会員の保有する施設等において、以下の業務を
開始することとする。
但し、動物の保護が長期化すると認められる場合は、甲の提供する用地、施設及び設
備を使用してこれを行うものとする。
2(初動要員の参集)
乙の第一参集場所は乙の事務所とするが、ここが使用できない場合は複数の役員宅を
設定し優先順位に従う。
叉、乙会員の安否、診療施設の損壊状況を各支部単位に把握し、乙の組織する IT 委
員会を中心に携帯メール、PCメール、電話、FAX 等連絡網を事前に構築し、会員相
互の連絡継送ができなくとも、乙会員が緊急を要すると判断した場合の被災動物救護
活動は、甲の要請の有無に拘わらず、動物救護活動を行うものとし、後日、甲に被災
動物救護活動を報告するものとする。
叉、下記の事項については、甲及び乙の人員等に変更がありしだい、常に新しい情
報を甲乙双方で交換するものとする。
(1)開業獣医師会動物救護対策本部の設置と運営
乙は、災害時愛護動物救護活動委員会委員長・副委員長を中心として対策本部
を災害発生後に直ちに設置するが、担当者が参集できない場合は、参集可能な
人員で運営するものとする。
(2)担当行政機関への連絡
乙が組織するIT委員会を中心に、甲及び他の行政とのホットラインの構築、通
常連絡ルートとは別のルートも考慮して「開業獣医師会動物救護対策本部」の設
置を連絡するものとする。
3(被災動物救護センター設置及び連絡調整)
甲及び乙は、他の行政機関等との連絡調整により被災動物救護センターを設置する。
但し、災害発生直後は人命救助活動を最優先されるので、初動段階では行政機関
との十分な連絡調整は難しいことが想定される為、まず、診療器材・動物用医薬品
販売会社、飼料販売会社等へ連絡し、備蓄状況や配送体制等を確認し、被災動物救
護センター開設まで、診療入院可能な動物救護病院の整備と他の行政機関等との連
絡調整を行うものとする。
2
尚、センター開設後も二次診療病院の整備と行政機関等との連絡調整を行うものと
する。
(被災動物救護センターの業務)
第4条
被災動物救護センターの役割は傷病動物への獣医療並びに動物間伝染病と人獣共
通感染症の防御を行い、以下の業務を行うものとする。
2
要員配置(協働)は以下の通りとする。
(1)事務局
班長:本部職員
班員:ボランティア
(業務)本部との連絡調整・会計・業務集計と報告・電話受付・ボランティ
ア管理・物資管理(医薬品以外)・避難所への物資供給
(2)獣医療班
班長:獣医師
班員:獣医師、ボランティア
(業務)動物の健康管理・負傷動物治療・ワクチン接種・医薬品管理・避妊
去勢手術・二次診療施設への引継
(3)飼育・管理班
班長:ボランティアチーフ
班員:ボランティア
(業務)動物の飼育管理・施設の管理・動物の運動(2重のリード)動物の
譲渡・一時預かり
3
動物救護センターでの収容対象動物は以下のとおりとする。
原則として犬及び猫を対象とするが、収容を必要とする動物については、甲乙双
方が協議の上、決定する。
危険動物と野生鳥獣については、砥部動物園に受け入れ協力を要請すること。
尚、学校飼育動物についても、上記と同条件とする。
4
動物救護センターの運営要領に付いては、出来る限り以下の通り行うものとする。
(1)
役員
:
センター長1名、副センター長2名をおく。
(2)
ミーティング;役員:必要に応じて、
全体:必要に応じて、
獣医療ボランティア:毎日ボランティアチーフから動物の
健康状態を把握し、診療後に治療内容の説明、投薬、健康
管理の方法チーフに指示する。
ボランティアミーティングでは、活動が円滑に行えるように、十分な意思
伝達を行う。
(3)
スケジュール;センタースケジュール、飼育ボランティアスケジュール、
獣医療スケジュールをそれぞれ作成してミーティングを交えてセンターの
3
円滑な運営を行う。
5
作業スケジュールは、以下を参考に活動するものとする。
08:30
オープン、宿泊班適宜朝食
09:00
始業~犬猫排便排尿、餌やり、清掃、健康状態の確認
獣医療チームはボランティアスタッフに指示し、継続治療個体の治療
11:00
ボランティアミーティング~チーフは獣医師に伝達するための情報把
握
12:00
昼食
13:00
獣医療ミーティング1~ボランティアチーフから健康状態の伝達把握
診療録確認、回診、診療(必要に応じ検査)、診療録記入
14:30
獣医療ミーティング2~ボランティアチーフは獣医師の指示に従い投
薬等を行う
15:00
業務再開~犬猫排便排尿、餌やり、清掃、健康状態の確認
16:30
ボランティアミーティング~チーフはその日の情報を伝達
17:15
業務終了
18:00
宿泊班適宜夕食
※ 新規収容動物受け入れは適宜行い、受付手続き終了後獣医療チームの診察、ワ
クチン接種等実施後、区分け収容する。
※ 二次診療施設での治療が必要な固体は適宜搬送する。
6
各種準備書類(別紙)
動物救護センターでは、救護活動の記入用紙として、以下の書類が必要とされる
ので、甲は、事前に準備をすることとする。
動物施療カルテ:識別カルテ・災害動物ボランティア登録用紙と業務一覧・避難動
物受付用紙・失踪動物捜索依頼書・身元不明動物受付用紙・保護動物の引取りに関
する同意書・保護動物の預かりに関する同意書・所有権放棄届・里親引き取り誓約
書・業務日誌・検案書等
7
獣医療チームは、できる限り以下を参考に活動するものとする。
1)収容動物は、飼い主不明動物(里親募集)
、一時預かり動物を収容する。
2)収容動物はセンター入所管理台帳に記載、飼い主不明、一時預かり一覧表を作
成して集計管理する。
3)収容時の受付票・固体ごとの識別診療カルテ作成、写真撮影及び死亡動物処理
8
動物救護センター収容時傷病の有無、程度の区分けは、以下のとおりとする。
4
①
赤リボン:生命に危険のある、または最優先で処置が必要な重症動物
②
黄リボン:生命に危険ないが重度傷病動物
③
緑リボン:軽度傷病動物
④
青リボン:異常の無い動物
⑤
白リボン:伝染性疾病の疑いのある動物
黒
:搬送時あるいは収容後死亡の動物は必要書類手続きの後、飼育者が
いる場合は飼育者引き取りあるいは埋葬・焼却、不明の場合は本部が
引き取り埋葬・焼却する。
9
区分け後の動物救護センターでの活動は、できる限り以下のことを行うものとす
る。
1)区分け終了後それぞれの場所に収容する。
2)ボランティアを統括するそれぞれの担当部署の責任者を置く。
3)1日のタイムスケジュールに従い活動する。
4)各動物舎に識別診療カルテを置き、動物ごとに個体管理を行う。
5)派遣獣医師は1グループ2~3人7日間を基本単位に先グループと次グルー
プの日程が2日ずつ重なるようにして業務の申し送りを円滑、確実にする。
(救護活動必要器材)
第5条
甲は、乙の災害時動物救護活動に必要とする以下の器材を調達しなければならな
いが、備蓄品等についての詳細は、甲乙双方が協議の上決定することとする。
(1)
①
医薬品・医療資材・災害時動物救護物資等の調達
必要資材リスト
簡易テント・ブルーシート・布ガムテープ・マジックペン(黒赤青)
・ビニールテ
ープ・ハサミ・のぼり又は立て看板「動物保護施設」「立ち入り禁止」カラーコー
ン・バ-・消毒液・ケージ(特大・大・中・小)処置用診察台・首輪・リード又
は鎖
②
必要器具器材リスト
(検査関連)ドライケム・自動血球計算装置・顕微鏡・蛋白屈折計・ヘマ管・試験
管、遠心管、ピペット・遠心分離機(低速用、高速用)
(消毒器)オートクレーブ・ガス滅菌器
(輸液関連)輸液ポンプ・輸液セット・留置針・翼状針・インジェクションプラグ
(ディスポ注射器)1ml・2.5ml・5ml・10ml・20ml・50ml
ゲージ
ゲージ
(注射針)18 G ~25 G ・針長5/8R(16mm)~針長11/2R(38mm)・静脈用,
5
皮下筋肉用各種
(外傷治療用品)サージカルテープ・紙テープ・包帯・綿花、カット綿、ガーゼ・
エリザベスカラー・毛刈りハサミ・ピンセット各種・モスキート、コ
ッヘル、ペアン・電気バリカン
(診療関連)診察台・手指消毒用手洗い鉢・眼耳診断キット・聴診器・体温計・駆
血帯
(手術・麻酔関連)小動物外科手術用具一式・縫合糸各種・気管チューブ各種・
喉頭鏡・ガス麻酔器・無影灯・吸引器
③
薬品リスト
(ワクチン)犬8種、9種ワクチン・猫5種ワクチン・狂犬病ワクチン
(抗生物質)アミノペニシリン系・セファム系・クロラムフェニコール系・キ
ノロン系
(サルファ剤)スルファジメトキシン
(輸液剤)生理食塩液・リンゲル液・乳酸リンゲル液・5%ブドウ糖液・注射
用蒸留水
(消炎鎮痛剤)非ステロイド系消炎鎮痛剤・副腎皮質ホルモン剤(デキサ・プ
レドニゾロン)
(消化器系薬剤)メトクロプラミド製剤・H2受容体拮抗薬・抗コリン作動薬・
乳酸菌製剤
(循環器系薬剤)カテコールアミン類・キサンチン系薬剤・アンジオテンシン
変換酵素阻害剤
(利尿剤)フロセミド製剤
(止血剤)抗プラスミン剤
(ビタミン剤)ビタミンB複合材
(インターフェロン製剤)インターキャット
(麻酔薬)塩酸ケタミン・プロポフォール・ネンブタール・イソフルレン
(抗精神病薬)フェノバール・ジアゼパム・クロルプロマジン
(アトロピン製剤)硫酸アトロピン
(駆虫薬)回虫、鉤虫、鞭虫、条虫・ノミ、ダニ
(点眼薬)抗菌剤・非ステロイド系抗炎症点眼薬
(外用・消毒剤)抗生剤軟膏・抗生剤ステロイド合剤・クロルヘキシジン製剤・
ポピドンヨード製剤」・次亜鉛素酸ナトリウム製剤・70%イソプロ
アルコール
6
(終息期活動)
第6条
甲は、災害が終息し動物救護活動を継続する必要がないと認めた場合は、乙と協
議の上、動物救護活動を終了するものとする。
尚、終息期の活動方針は以下のとおりとする。
(1)飼い主の捜索・返還等(行政と協働)に際しては、所有権放棄届・里親引き取り誓約
書・識別カルテ等活用して、的確かつ確実に実施する。
(2)義援金等の残預金は活動終了時に行政と協議の上「緊急災害時動物救援本部」等
に寄付する。
(3)器具器材については、借り入れ器材は返還し、保有器材で保管可能ものは緊急時
用に備蓄とする。
医薬品等消耗品に処分については甲乙で協議する。
(協議)
第7条
この協定細目に定めのない事項及び、細目の解釈について疑義が生じた時は、甲
乙協議の上決定する。
平成24年
月
日
(甲)
〇〇市
〇〇市長
(乙)
・・・・・
印
○
松山市中一万町6番地5
一般社団法人
愛媛県開業獣医師会
会長
7
鹿田
良作
印
○