ある人民文学作品の軌跡と抵抗

成践法学80号
〔
論
論
説
説〕
あ る人民文学 作品 の軌 跡 と抵抗
シ アチ ュ ウ
ニ 人 の"蝦
と消 えた女性形象
球"
湯
目次
山
ト ミ子
は じめ に
-⊥
『蝦 球 伝 」 の 出現 と現 在
り乙
ンア チ ュウ
作品分析
流浪児蝦 球 の形 象
9σ
ソア チ ュウ
1956年 の 改 定
良 い 子 の蝦 球 と消 え た女 性 形 象 、 最 後 の プ
ロット
4
そ の後 の黄 谷 柳 と 『蝦 球 伝 」
おわ りに
は じめ に
黄 谷 柳 の 代 表 作 「蝦 球 伝 』は、1947年 か ら1948年
商 報 』 副 刊 「熱 風 」 に3期
香 港 の共 産 党 系 新 聞 『華
に分 け て 掲 載 さ れ た 連 載 小 説 で 、 発 表 さ れ るや
た ち ま ち 好 評 を 博 し、 連 載 と並 行 して単 行 本(3巻
間 に版 を重 ね た。 日本 に も、 翌1949年
本)が
刊 行 され 、 短 期
に は紹 介 さ れ、 訳 書(『 蝦 球 物 語 』、
実 藤 恵 秀 ・島 田 政 雄 訳 、 三 一 書 房 、1950年)は
、 新 中 国 成 立 の熱 気 と期
待 の な か で 、 当 時 と して は めず ら し く半 年 間 に4版
を重 ね 、 そ の後 の 日本
にお け る人 民 文 学 作 品受 容 の先 駆 け と な った。 こ の作 品 が 読 者 を 引 きっ け
ソ アチ ュ ウ
た要 因 に は、 新 しい 世 界 へ の期 待 、 主 人 公 の流 浪 児"蝦
球"の
人物形 象
の 成 功 と波 乱 万 丈 の起 伏 に富 む通 俗 小 説 的 な面 白 さが 挙 げ られ て きた。 し
か し、 原 作 は、 人 民 共 和 国 成 立 後 の1956年
、 作 者 黄 谷 柳 に よ り大 き な 改
ノアチ ュ ウ
定 が 行 わ れ、 主 人 公 蝦 球 の人 物 形 象 、 及 び作 品 の 特 徴 と して高 く評 価 さ
(1)
80-424
ある人民文学作品の軌跡 と抵抗
シア チ ュウ
れ た蝦 球 を と りま く小 市 民 の 人 物 形 象 が 加 筆 、 修 正 、 削 除 され 、1947年
の 新 聞連 載 版 、 改 訂 前 の 単 行 本 と は、 質 的 、 内 容 的 に大 き く異 な る作 品 に
改 定 さ れ た 。 以 来 、 現 在 に至 る ま で 原 文 の 『蝦 球 伝 』 は、 この 改 訂 版 が 流
布 し、 解 放 前 の 作 品 は改 訳 が な か った 訳 書 に残 され る結 果 と な っ た。 しか
し、 この 作 品 を め ぐ る研 究 領 域 で は、 現 代 の新 しい視 点 に よ る分 析 法 を と
る作 品論 で あ っ て も、 茅 盾 が 初 期 に提 起 した 改 定 前 の作 品 に対 す る評 価 が
金 科 玉 条 の ご と く継 承 され 、 改 訂 に よ る人 物 形 象 と作 品世 界 の 変 化 を取 上
げ る論 評 、 分 析 が ほ とん ど見 られ ぬ ま ま現 在 に至 っ て い る。 本 稿 は、 こ う
した 『蝦 球 伝 』 を め ぐ る状 況 を 踏 ま え て 、1947年 版 と1956年
版 の異 同 を
比 較 し、 改 定 に よ る人 物 形 象 、 作 品 世 界 の変 化 を分 析 し、 人 民 文 学 作 品 の
特 質 と形 成 の 軌 跡 を考 察 し、 併 せ て 作 者 黄 谷 柳 が 密 か に 残 した抵 抗 の メ ッ
セ ー ジを 提 示 した い と考 え て い る。
1『 蝦 球 伝 』の 出 現 と現 在
1.1中
国 において
作 品の登場
『蝦 球 伝 」 は1947年
か ら1948年 香 港 の共 産 党 系 新 聞 『華 商 報 」副 刊 「熱
風 」 に三 部 編 成 で 掲 載 され た新 聞 小 説 で 、 黄 谷 柳 の代 表 作 で あ り、 も っ と
も成 功 した 作 品 で も あ る。 第 一 部 『春 風 秋 雨 」(1947年11月17日
シ アチ ュ ウ
月28日)は
、 華 僑 労 働 者 出身 の 少 年 蝦 球(姓
シア
∼12
チュウ
は夏 で 、 名 が 球 、 兵 隊 に
シア チ ュウ
さ らわ れ た 兄 が 彼 を蝦 球 と呼 ん だ)が
家 を 出 て な らず 者 の毒 牙 に は ま り、
牢 に 入 れ られ 、 ス リ に な る筋 を 通 して 、40年 代 香 港 の 植 民 地 社 会 の 暗 黒
と下 層 社 会 、 ごろ つ き、 密 輸 商 人 、 ス リ、 娼 婦 等 の多 様 な 人 物 が 描 き出 さ
れ て い る。 第 二 部 『白雲 珠 海 」(1948年2月8日
∼5月20日)は
、流 浪
シア チュ ウ
児 蝦 球 が 兵 隊 に っ か ま り、 船 の 沈 没 等 、 い ろ い ろ な 危 険 に見 舞 わ れ る 出
来 事 を通 して 、 抗 戦 勝 利 後 の 国民 党 統 治 地 区 に お け る社 会 状 況 、 特 に官 僚 、
軍 閥 、 や くざ の悪 徳 活 動 が 暴 か れ て い る。 第 三 部 『山 長 水 遠 』(1948年8
シ アチ ュウ
月25日
∼12月30日)は
、 蝦 球 が 香 港 を離 れ 、 広 東 華 南 の 田舎 で生 き る
た め に、 漠 然 と した革 命 観 念 に よ り憧 れ を抱 きな が らい ろ い ろ な方 法 で 革
命 に参 加 す る道 を さ ぐ り、 最 後 に 遊 撃 隊 に身 を 投 じ、 戦 闘 に参 加 し、 革 命
小 戦 士 に な る まで が描 か れ て い る。 遊 撃 隊 と青 少 年 の 関係 や 活 動 に は興 味
ぶ か い エ ピ ソ ー ドも数 多 く盛 り込 まれ て い る。 作 品 全 体 と して は、 流 浪 児
シ アチ ュ ウ
蝦 球 を通 して 、 下 層 階 層 の生 き る 劣 悪 な社 会 状 況 を描 き、 一 歩 、 一 歩 暗
80-423
(2)
成践法学80号
論
説
黒 社 会 か ら脱 し、 革 命 小 戦 士 に成 長 す る姿 を通 して 、 新 時 代 の 到 来 に対 す
る期 待 と予 感 を 体 現 す る作 品 と概 述 で き る。 そ れ ゆ え に、 『蝦 球 伝 』 は、
1947年 に 開 始 さ れ る や 解 放 前 旧 社 会 の 糾 弾 と新 社 会 に 期 待 す る 読 者 を 魅
了 し、好 評 を博 し、翌 年2月 第 二 部 の連 載 が 始 ま る と同 時 に、挿 絵(特 偉)
入 りで 第 一 部 の単 行 本(香
港 新 民 出版 社)が
刊 行 され 、 翌1949年
の2月
ま で の わ ず か 一 年 間 に5版
を重 ね た。 併 せ て第 二 部 、 第 三 部 も刊 行 さ れ、
3冊 の 単 行 本 が 短 時 間 の 内 に 、 幾 度 も版 を 重 ね る ベ ス トセ ラ ー に な った。
(図1)(1)一 っ の 小 説 作 品 が これ ほ ど読 者 の歓 迎 を 受 け る こ と は めず ら し く、
茅 盾 は、 『文 芸 報 」(1949年5月8日)で
、 「1948年 、 華 南 で も っ と も読 者
に歓 迎 さ れ た 小 説 は、 お そ ら く 『蝦 球 伝 』 が 一 、 二 で あ ろ う」(1948年 、
在 華 南 最 受 読 者 歓 迎 的 小 説,恐 伯 要 数 《蝦 球 伝 》 為 第 一 ・第 二 了)(2)と述
べ て い る。 も ち ろ ん 、 『蝦 球 伝 』 の評 価 は、 出 版 量 の 多 少 に よ って の み は
か られ る もの で は な い が 、 この小 説 が 当 時 の進 歩 的 文 芸 界 に与 え た影 響 と
ソア チ ュウ
い う点 で も注 目 さ れ る。 特 に、 蝦 球 の 人 物 形 象 に っ い て の 熱 気 あ ふ れ る
論 議 に よ り、 一 時 期 い わ ゆ る 「蝦 球 問 題 」 の論 争 が 繰 り広 げ られ た。 ま た
『蝦 球 伝 』 の 単 行 本 出 版 後 、 映 画 界 もす ば や く反 応 し、 香 港 大 中 華 電 影 公
司 が 版 権 を 取 得 し、呉 祖 光 の脚 本 、監 督 に よ り、映 画 化 さ れ た(『 春 風 秋 雨 』、
永 華 影 業 公 司)。(3)
1.2日
本 において
翻 訳 作 品 の刊 行
中 国 で 単 行 本 が 出版 され た後 、 ち ょ う ど香 港 に い た鐘 敬 文(民
作 家)が
向文学 ・
この 小 説 を 中 国 文 学 者 実 藤 恵 秀 に紹 介 した。 一 早 く話 題 作 品 を 入
手 し た実 藤 恵 秀 は、1949年9月
に、 香 港 文 学 の 状 況 、 文 芸 大 衆 化 、 方 言
■
匠
一
購
へ
も﹂
¶
図11948年
∼1949年
出版 の3冊 の単 行 本(香 港 新 民 出版 社)
(3)
80-422
ある人民文学作品の軌跡 と抵抗
文 学 、作 者 黄 谷 柳 と 『蝦 球 伝 』 を紹 介 し(「谷 柳"蝦 球 傳"一 香 港 の 浮 浪 児 」
(『中 国 語 研 究 』第9期
、1949年)、(4)翌1950年 に は、島 田政 雄 との 共 訳 で 『蝦
球 物 語(上)」(1950年12月)、
河 出書 房
図2)を
次 い で 『蝦 球 物 語(下)』(1951年4月
刊 行 し、 た ち ま ち 反 響 を 呼 び、 半 年 を 待 た ず に4版 を
重 ね た。 当 時 の 日本 の現 代 中 国 文 学 作 品 の 出版 状 況 か ら見 て 、 こ の よ うな
重 版 は た い へ ん ま れ で あ り、出 版 後 は、中 国 文 学 者 、文 芸 評 論 家 に よ り、次 々
と 『蝦 球 伝 」 に関 す る評 論 が 発 表 され た。 い ず れ も この作 品 に高 い評 価 を
ソア チ ュウ
与 え 、大 衆 文 芸 作 品 と して の 特 徴 と魅 力 、流 浪 児 蝦 球 の 人 物 形 象 を評 価 し、
当 時 の 暗 黒 社 会 に対 す る反 抗 と批 判 に共 鳴 し、 誕 生 した ば か り の新 中 国 に
対 す る期 待 等 が 示 さ れ て い る。
図2実
藤 恵 秀 ・島 田政 雄 共 訳 『蝦 球 物 語 』
さ らに 日本 と香 港 の 社 会 状 況 に 対 す る類 似 性 、 社 会 問題 に対 す る共 通 性
を 見 出 し、 共 感 を見 出 す 見 解 も見 られ た(図3、
実 藤 恵 秀 は、1954年
図4)。
た とえば、訳 者
『現 代 中 国文 学 全 集 ・黄 谷 柳 篇 』 「あ と が き」 で、 日
本 で 『蝦 球 伝 』 が 大 衆 性 を もち え た 要 因 と して、 イ ギ リス の 支 配 す る植 民
地 香 港 に お い て は、 「植 民 地 特 有 の 悪 徳 、 ギ ャ ング、 ボ ス、 パ ンパ ンが群 れ 、
エ ロ、 グ ロ、 ナ ンセ ンス の 植 民 地 的 退 廃 文 化 が 氾 濫 して、 大 衆 の心 を む し
ば ん で い る」、 そ の 「影 響 か ら大 衆 を 奪 い返 した い 」 とい う点 に 作 家 の 執
筆 動 機 が あ る と語 って い る。(5)
日本 で の 映 画 化 は な か っ た が 、1952年
上 演 さ れ た(東 童 、 第86回
80-421
に 児 童 劇 の定 期 公 演 で半 月 ほ ど
定 期 公 演 、 於 三 越 劇 場1952年
(4)
、 図5)。(6)
成践法学80号
1.3日
論
説
本 、 中 国 にお け る 読 者 の 歓 迎 、 新 社 会 の未 来 に対 す る期 待
『蝦 球 伝 」 の発 表 され た1950年
代 、 日本 と中 国 は、 片 や 敗 戦 、 片 や戦 勝
と、 相 反 す る国 際 環 境 に あ っ た が 、 両 者 は と も に そ れ ぞ れ の 未 来 を 目指 し
て 、 新 社 会 到 来 へ の期 待 、 新 中 国 の 建 設 に対 す る希 望 を抱 く一 面 が あ った 。
新 生 中 国 に 対 す る期 待 と希 望 、 敗 戦 後 の 日本 の 再 生 へ の希 望 を 求 め る とい
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図31947年
東 京 駅 中 央線 フ ォー ム
図41948年
東京都中央児童研究所
逃 亡 を 防 ぐた め 、 裸 で収 容 さ れ る
流浪児
図3、4(佐
藤 靖 編 朝 日歴 史 ラ イ ブ ラ リー 『戦 争 と庶 民4』 進 駐 軍 と浮 浪 児1995年
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図51952年
東童劇団
(5)
80-420
ある人民文学作品の軌跡 と抵抗
う両 国 の状 況 が ま った く異 な る環 境 下 で 、 と も に 『蝦 球 伝 』 を 歓 迎 す る読
者 層 を有 して い た。 特 に、 日本 で は、 日本 の近 代 化 問 題 に っ いて 反 省 す る
進 歩 的 知 識 人 、 日中戦 争 を批 判 す る研 究 者 、 中 国 文 学 者 の 人 民 文 学 の 発 展
に寄 せ る希 望 が 大 き く、 そ の た め に、 『蝦 球 伝 」 の 日本 語 版 は、 そ の後 に
始 ま る人 民 文 学 紹 介 の 契 機 と な り、 以 後 、 陸続 と現 代 中 国 文 学 作 品 が 紹 介
され る端 緒 と な った。 当 時 の熱 い 期 待 と評 価 は、 タ カ ク ラ ・テ ル の 「長 い
こ と求 め て い た新 しい 文 学 の一 っ にっ い に 出会 え た」(「人 民 に仕 え る文 学
『シ ア チ ウ物 語 』 を よん で」(『人 民 文 学 』 第1巻1期
本 隆 三 「"新しい 中 国"で
、1950年)、
岡
な しに は生 ま れ 得 ぬ 大 作 品」(徳 永 直 の批 評 に よ
る)、 「ホ ン コ ンの"浮 浪 児"は
日本 に もい るが、 シ ア チ ウ は い な い、 彼 は
中 国 の ジ ュ リア ン ・ソ レル だ。」(岡 本 隆 三 「島 田 政 雄 ・実 藤 恵 秀 訳 『蝦 球
物 語 』 を 読 む 一 中 国 の ジ ュ リア ン ・ソ レル 」 『中 国 語 雑 誌 」 第5巻5期
1950年)と
、
い っ た 表 現 か ら う か が え る。 しか し、 初 期 の ブ ー ム の 後 は、
好 感 は残 した もの の、 作 品 自体 が 分 析 対 象 に取 り上 げ られ る、 あ る い は再
評 価 さ れ る と い った研 究 成 果 は、 今 日 に至 る まで ほ とん ど見 られ な い 。 特
に、 初 版 の 訳 本 が 絶 版 と な って以 降 は、 児 童 文 学 作 品集 に 収 め られ た 翻 訳
版 が わ ず か に命 脈 を 保 って い る にす ぎ な い(「 シ ア チ ウ物 語 」 島 田政 雄 ・
さ ね と う け い し ゅ う共 訳 『中 国 の 児 童 文 学 』9巻
1975年 、 図6)。
・10巻 、 太 平 出 版 社 、
しか し、 中 国 版 が す べ て 改 定 版 に変 わ って い る た め 、 作
品 発 表 当 時 の 内容 を 残 して い る点 で 、 日本 語 版 は貴 重 な 史 料 的 価 値 を 有 し
て い る。
」
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童 文 学 作 品 と して 出版
改 訂 版 に拠 ら な い原 作 の訳 本
80-419
(6)
成践法学80号
一方
論
説
、 人 民 共 和 国 成 立 後 の 中 国 で は、 消 長 は あ る もの の 「蝦 球 人 気 」 は、
そ れ な り に断 続 的 に 見 られ る。 しか し、 作 品 自体 は、1956年
作者 によ り
作 品 の本 質 に関 わ る大 き な改 訂 が 行 わ れ 、 以 後 の 『蝦 球 伝 』 は、 す べ て こ
の改 定 版(北
京 通 俗 文 芸 出 版 社 、1957年)が
の 出版 社 か ら出 版 さ れ て い る(図7・
流 布 す る こ と に な り、 複 数
図8)。(7)特 に、1985年
社 か ら出版 され た 『蝦 球 伝 』 は、 発 行 部 数 が20万 冊 ∼30万
図71975年
図82006年
出 版 の 改 定版
に花 城 出 版
冊 に も上 った
新 江 文 芸 出版 社
挿 絵 な し、 物 語 の 背 景 と な る解 放 前
宏 文 図 書 公 司 出版
の香港 の町の写 真な どを使用、表 紙 は
1950年 の 映画 『春 風 秋 雨 』
蝦
麟
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㌔
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図9テ
レ ビ ドラ マ連 環画1982年
上.中.下
図101984年
宝文堂書店
改 編 穆 瀾 表 紙 趙 成 民82年
宋 張錦
広東 電視台 テ レ
天 津 人 民 出版 社
辛 学英改編、 表紙
張勝
ビ画 面
(7)
80-418
ある人民文学作品の軌跡 と抵抗
藍
球
傳 瑚'・
図111984年
図122006年
福建人民出版社
知 出版 社
張元 錦 改 編 李 蕾/宋 建 社 画
■
図13(画
朋 式)関 山 月 美 術 館 編
『螂 球 佳/山
香 港 芸 苑 出 版 社2007年
長水近』黄谷柳著
関山月画 原画改編黄潔玲
シアチュウ
左:蝦 球
関 山 月(1912年
右=第 三 部(「 沿 着 来復 戦走 」)
∼2000年
嶺 南 画 派 の 代 表 的 画 家)
と い う。 小 説 形 式 で の 出 版 の ほ か 、1981年 広 東 電 視 台 連 続 ドラマ(全8集)
と して放 映 され 、 さ ら に中 央 電 視 台 の ゴ ー ル デ ンタ イ ム に 全 国 放 映 さ れ た
後 、 「蝦 球 ブ ー ム」 が 沸 き起 こ り、 主 題 歌 が 広 く愛 唱 さ れ る と と も に、 テ
レ ビ ドラマ の 画 面 を使 用 した もの を は じめ、 多 数 の連 環 画 が 出 版 さ れ 、 原
シア チ ュ ウ
作 の 再 版 も 続 い た(図9∼11、
齢 を5歳
80-417
図13)。(8)ま
た 、2009年
に は、 蝦 球 の 年
引 き上 げ、 女 性 群 像 との 恋 愛 を軸 とす る メ ロ ドラマ 型 の翻 案 ドラ
(8)
成践法学80号
図142008年
マ(全32集
論
説
香 港 新 民 出版 社
、2010年 広 東 省 第 一 回 魯 迅 文 芸 賞 受 賞)も
放 映 され た。 原 作
と大 き く異 な る作 品世 界 で あ るた め 、 児 童 文 学 と は異 な る視 点 か らの 別 作
品 で あ り、 別 の 『蝦 球 伝 』 と言 え よ う。 映 画 は も と よ り、 連 環 画 、 挿 絵 も
ンア チ ュウ
中 国 の 時 代 思 潮 に よ り異 な り、 蝦 球 の 人 物 形 象 が 与 え る印 象 は 大 き く異
な る。 特 に80年 代 以 降 は、 ア ニ メ タ ッチ の表 紙 絵 が 目立 っ(図12、
図14)。
シアチュウ
2作
2.1『
品分析
流浪児蝦 球 の形象
蝦 球伝』成功 の要因
シアチ ュ ウ
作 品 成 功 の 要 因 と して 、筆 頭 に挙 げ られ て きた の は、蝦 球 の 人 物 形 象 と、
新 聞 連 載 小 説 で あ るが ゆ え に取 られ た 起 伏 に富 ん だ 章 回小 説 形 式 の物 語 形
態 で あ る。 この 評 価 を 決 定 づ け た の が 茅 盾 の 評 論(「 関 与 『蝦 球 伝 」」)で
あ る。 茅 盾 は、 次 の よ う な作 品 と人 物 分 析 を 提 出 して い る。
シア チ ュウ
蝦 球 の よ う な流 浪 児 、 及 び そ う した 一 派(そ
の 中 に は蝦 球 の よ う
な ス リ、 大 人 や 子 ど もの 「ご ろっ き」、 密 輸 商 人 、 投 機 商 人 等 、 ま さ
シア チ ュウ
に香 港 の 小 市 民 が よ く知 って い る人 物 、 蝦 球 の 屈 強 さ と 自衛 の 機 知 、
人 を損 な い な が ら(ス
リ)損 わ れ 、 侮 辱 され(彼
よ り大 き な よ た もの
か ら受 け る)、 矛 盾 した生 活 は小 市 民 の 賛 美 と同 情 を 引 き起 こ し、 い
り くみ 変 化 に富 み、 冒険 に あ ふ れ 、 統 治 階 級 の法 律 と社 会 秩 序 を 持 て
遊 ぶ物 語 は小 市 民 の 好 奇 心 を 満 足 させ 、 彼 らに あ る種 の 感 情 面 で の 発
(9)
80-416
ある人民文学作品の軌跡 と抵抗
散 を させ た 。 この す べ て が 、 『春 風 秋 雨 」 の い わ ゆ る落 ち こぼ れ の 小
市 民 階 層 の少 な か らぬ読 者 を 得 る こ とが で き た原 因 で あ る。 進 歩 的 な
シア チ ュウ
読 者 層 に は 『春 風 秋 雨 』 が 好 評 を博 した主 な要 因 は、 作 者 が 蝦 球 の
本 質 的 な 善 良 さ を 表 現 した に と ど ま らず、 同 時 に彼 が 生 活 の 中 で模 索
シ アチ ュ ウ
し、 っ い に 歩 ん で い く光 明 の 道 を 暗 示 し、 蝦 球 の周 囲 の裏 社 会 の 人
物(老
若 の ス リ、 よ た もの)及
び これ らの 「ご ろ っ き」 を 養 い、 生 み
出 す 社 会 制 度 に対 して 、 作 家 が 深 く憎 しみ を 抱 い て い るか らで あ る。
蝦 球 那 様 的流 浪 兄 及 其 一 群 霧 伴(其
中 有 蝦 球 一 様 的 払 手,有 大 小"揚 家",
走 私 商人 和 投 機 商 人 等 等,正 是 香 港 小 市 民 所 熟 悉 的人 物;蝦
機 智,損
球 的 偲 強 和 自衛 的
人(扶 窃)而 又 被 損 害 被 侮 辱(受 制 干 比他 大 的 流 眠)的 矛 盾 生 活,引
起 了小 市 民 的賛 美 与 同情,而"曲
折 奇 離",充
満着目険的与統治階級所謂法律和
社 会 秩 序 開玩 笑 的故 事,也 満 足 了 小 市 民 的好 奇 心,譲 他 イ
門得 到 一 種 情 感 上 的発 泄 。
個 一 切,都
是 『春 風 秋 雨 』 之 所 以能 鉤 在 落 后 的 小 市 民 階層 獲 得 不 少 読 者 的 重 要
原 因 。在 進 歩 的読 者 層 里,『 春 風 秋 雨 』之 所 以 播 得 好 評,主 要 是 因 為 作 者 不 但 表
現 了蝦 球 本 質 的善 良,同 時 也 暗 示 他 在 生 活 模 索 中終 将 走 上 光 明之 路,而 対 干 蝦
球 周 囲 的黒 社 会 人 物(大 小 揚 家
流亡
民)以 及 産 生和 培 養 這 些"携 家"的 社 会 制 度 。
作 家 是 深 致 其 憎 根 的。⑨
茅 盾 の 分 析 は、 『蝦 球 伝 」 が 左 翼 知 識 人 と市 民 階 層 の双 方 の要 求 を満 足
させ る もの で あ った こ と を明 確 に 示 して い る。
2.2「
蝦 球問題」
ソア チ ュウ
1948年 香 港 の 左 翼 文 芸 界 に、 蝦 球 の 人 物 形 象 の リア リテ ィ と リア リズ
ム に よ る創 作 方 法 に っ いて 、 「蝦 球 問 題 」 と称 さ れ る論 争 が 沸 き起 こ った。
シア
掲 載 当初 か ら始 ま った この 論 争 の 起 点 と な った の が 、 適 夷 が 発 表 した 「蝦
チュウ
球 は ど の よ うな 人 物 か?」(「 蝦 球 是 悉 祥 一 介 人 」、 『青 年 知 識 』36期1948
シアチ ュ ウ
年8月)で
、 彼 は、 「蝦 球 は何 度 も食 べ られ な くな りな が ら、 ま った く自
分 の労 力 で飯 を食 お う と した こ とが な い 」(蝦 球 許 多 次 貧 途 絶 食,却 従 没
有 想 起 過 用 自 己 的 労 力 来 吃 飯)、 「い さ さか の労 働 観 念 もな い 」(没 有 系糸毫
労 働 観 念)、 性 格 的 に 「卑 劣 で 、 動 じや す く、 矛 盾 して い る」、(「卑 劣 、 動
揺 、 矛 盾 」、 「彼 に は思 想 的 に 目覚 め て 不 屈 の 闘 争 に 向 か う人 間 が もっ べ き
性 格 の 基 礎 が 欠 如 して い る」(他 欠 乏 一 ノト可 能 荻 得 思 想 的 覚 醒 和 走 向不 屈
80-415
(10)
成践法学80号
闘 争 的 人 所 必 須 具 備 的性 格 基 礎)等
論
説
の 人 物 形 象 へ の批 判 を 提 示 した。 これ
が 忽 ち大 きな 反 響 を 呼 び、 一 連 の 反 駁 の文 章 が 発 表 さ れ た 。 た と え ば、 代
シア チュ ウ
表 的 な 文 章 と して、 史 竹 の 「蝦 球 に はす で に前 途 が な い の か?適
夷
シアチ ュ ウ
先 生 の"蝦
球 は ど の よ う な人 間 か?"を
已経 没 有 前 途?写
読 ん だ後 に記 す 」(「蝦 球 是 不 是
在 読 適 夷 先 生"蝦
球 是 悪 祥 一 介 人"後
」、 『大 公 扱 』
シア チ ュウ
1948年8月19日
・20日)、 琳 清 「私 は蝦 球 を 見 る"蝦
な 人 物 か?"」(「 我 看 蝦 球"蝦
1948年9月)、
球 はどのよ う
球 是 悉 祥 一 人"」、 『青 年 知 識 」37期
秋 雲 「『蝦 球 伝 」 を 再 読 す る
併 せ て 適 夷 先 生 に教 え る」
(「重 読 『蝦 球 伝 』 一 井 就 教 於 適 夷 先 生 」、 『文 匪 報 』1948年9月16日)等
シア チ ュウ
が 挙 げ られ る。 これ ら反 駁 の基 本 主 張 は、 適 夷 の 観 点 に反 対 し、 蝦 球 の
あ る 種 の 性 格 上 の 欠 点 を 認 め た上 で、 そ の 前 途 に可 能 性 を 見 出 す も の で
シア チュ ウ
あ っ た。 これ に対 して 、 適 夷 は二 篇 の反 論 「再 び 蝦 球 の 哀 求 を 語 る
併 せ て史 竹 併 せ て 琳 清 二 氏 に答 え る」(「再 談 蝦 球 哀 求
先 生 」 『青 年 知 識 」37期1948年9月)、
兼答史竹琳 清二
「重 ね て 述 べ さ せ て い ただ く一 『蝦
球 伝 』 の 第 一 部 、 第 二 部 に関 して」(「重 来 一 次 申述
美 干 「蝦 球 伝 』 第
一 、 二 部 」(『文 匠 報 』1948年10月21日)で
応 戦 し、 再 度 自 己 の 観 点 を
主 張 す る と と もに、 反 論 は ブ ル ジ ョア階 級 の温 情 的 な人 道 主 義 の観 点 か ら
シア チ ュウ
の 蝦 球 弁 護 で あ る と批 判 した。 これ ら一 連 の 論 議 を 踏 ま え て、 自 ら も流
浪 児 で あ っ た体 験 を もっ 干 逢 は、1949年5月
「『蝦 球 伝 」 を論 ず る」(「論
蝦 球 伝 」、 干 逢 『論 「蝦 球 伝 」 及 其 他 』1950年3月
、 求 実 出版 社 所 収)を
発 表 した。 これ は 当 時、も っ と も広 く各 方 面 の 意 見 を 吸 収 して、「蝦 球 問 題 」
シア チ ュウ
を 論 じた もの で 、蝦 球 は「弱 点 を もっ だ けで な くそ の 弱 点 が か な り大 き い」
(不 特 有 弱 点 而 且 弱 点 相 当 大)(10)が、 作 品 と して の 大 衆 性 と戦 闘 性 は肯 定
ソア チュ ウ
す べ き で あ り、 『蝦 球 伝 』 の意 義 は蝦 球 の人 物 形 象 を肯 定 す べ き点 に あ る
と して、 次 の よ うに述 べ て い る。
シア チ ュウ
蝦 球 とい う人 物 に っ い て 、 性 格 と闘 争 が 論 争 の 中 心 とな る こ と は、
シ アチ ュ ウ
私 は 別 段 偶 然 と は思 わ な い。 蝦 球 は主 人 公 で あ る ば か りで な く、 全
編 を 貫 く手 掛 か りで あ り、 新 社 会 の世 代 の 代 表 で あ り、 作 者 の希 望 で
あ る。 創 造 さ れ た 形 象 で あ るか ら、 我 々 は彼 を通 して 、 全 編 の 中心 部
ソア チ ュ ウ
分 を 把 握 し、 作 品 に 内 在 す る矛 盾 を 発 見 で き る。 蝦 球 は無 数 の群 衆
で あ る読 者 を感 動 させ る こ とが で き る。 純 粋 で 聡 明 で 、 情 熱 的 で 勇 敢
で、 様 々 な人 生 の 苦 難 を経 な が ら、 っ い に革 命 の道 を 歩 ん で い く。 こ
(11)
80-414
ある人民文学作品の軌跡 と抵抗
の 物 語 と 主 題 が 人 を 感 動 さ せ る の で あ る。(10)
蝦 球 這 個 人 物,他
的性 格 与 他 椚 的斗 争,成 為 輪 争 的 中 心,我 以 為 並 不 是 偶
然 的。 蝦 球 不 特 由於 他 是 主 人 公 。 是 貫 串 全 書 的 綾 索,是
者 的希 望,而 且 由於 他 是 創 造 的 形 像,我
作 品 的 内 在 矛 盾 。 蝦 球,会
方 生 一 代 的代 表,是 作
椚 可 以 通 過 他 把 握 全 書 中心 環 節,発 現
感 動 了 無 数 的 読 者 群 衆,他
天 真 聡 明,熱 情 勇 敢,経
歴 了 種 種 人 生 苦 難,終 於 走 上 革 命 的 道 路:這 個 故 事 与 主 題 是 動 人 的 。(11)
シ アチ ュウ
2.3蝦
球 の人物形象
流 浪 児 の 特 徴 と意 義
『蝦 球 伝 」 成 功 の 要 因 とな っ た蝦 球 の人 物 形 象 に っ いて 、 前 述 の 干 逢 は、
次 の よ うに 指 摘 して い る。
シア チ ュウ
ー 人 の少 年 流 浪 児 蝦 球 は常 に 彼 にふ さわ し くな い も の を も っ て い
る。 例 え ば、 彼 は16歳 、17歳 の少 年 で あ り なが らか ぎ りな い人 生 の
苦 難 を 経 験 して い るが 、 彼 が 我 々 に与 え る印 象 は幼 稚 で 、 単 純 で、 純
粋 で 、 ま る で12歳
、13歳 の 児 童 で あ る。 しか し物 語 で は 、 彼 が こ と
を な す 時 に は、 い っ も 「窮 地 に 陥 る と策 が 浮 か び」、 「突 然 ア イ デ ア を
思 い っ く」 こ とが で き、 非 常 に 老 練 で あ る。 次 に、 彼 の 人 生 哲 学 が 大
変 疑 問 に な る。 何 が 彼 の人 生 哲 学 か?善
人 に な り、 盗 まず 、 ペ テ ン
を せ ず 、 下 劣 に な らず 、 堕 落 せ ず 、 善 良 な 心 根 を もち 、 母 親 に孝 行 し、
恩 に は報 い、 発 奮 して 向上 を 目指 し、 義 に勇 み 、 民 の た め に害 を 除 く、
す べ て 小 学 校 の教 科 書 の 中 の 倫 理 道 徳 ワ ン セ ッ トで あ る。 こ れ は封 建
的 な道 徳 と ブ ル ジ ョワ階 級 の 偽 善 で あ る。 そ れ らに ず っ と支 配 さ れ て
い るが た め に彼 は生 活 の 中 で 常 に多 くの恥 ず べ き弱 点 を 示 す こ とに な
る。
作 為 一 個 少 年 的 流 浪 者 蝦 球 常 有 不 鷹 属 於 他 的 東 西 。 例 如 説:他
已経 十 六 、
七 歳 的 少 年 了,経 歴 了 無 限 的人 生 苦 難,但 他 給 我1門的 印 象,却 這 様 幼 稚 、 単 純 、
和 天 真,好 像 是 個 一 二 、 三 歳 的 見 童;但 故 事 重 要 他 作 事 的 時 候 見,他 又 毎 能 「人
急 智 生 」,「忽 発 奇 想 」,非 常 老 練 。 其 次,他
的 人 生 思 想 呪?作
恩 必 報,発
的人 生 思 想 是根 成 疑 問 的 。 什 歴 是 他
好 人,不 楡 騙,不 下 流,不 堕 落,心
奮 向 上,見 義 勇 為,為 民 除 害:全
腸 善 良,孝 順 母 親,知
是 一 套 小 学 教 科 書 里 面 的道 理 。 這
是 一 種 封 建 的 道 徳 和 一 種 資 産 階 級 的 為 善 。 他 椚 一 直 支 配 着 他,並 使 他 在 生 活 中
80-413
(12)
成践法学80号
論
説
常 常 表 現 出許 多 可 恥 的 的 弱 点 。(12)
しか し、 干 逢 の指 摘 す る善 良 、 聡 明 、 勇 敢 で 、 年 齢 に比 べ て 幼 稚 、 純 真
ンア チ ュウ
な性 格 は、 蝦 球 に限 らず 孤 児 物 語 に 登 場 す る主 人 公 の孤 児 の典 型 的 な 児
童 形 象 で あ る。 孤 児 、 流 浪 児 の物 語 の 多 く は、 現 実 社 会 の 矛 盾 、 社 会 状 況
を主 人 公 の 善 良 さ、 純 粋 さ で批 判 す る意 図 を もっ もの が 少 な くな い。 家 庭
の庇 護 か ら切 り離 され る孤 児 は、 け な げ に苦 境 に耐 え て正 義 と真 心 で生 き
る場 合 もあ れ ば、 一 時 的 に悪 に染 ま る境 遇 に 陥 る者 もい るが 、 多 くは 心 の
底 に、 悪 劣 な 社 会 に侵 され え な い 純 粋 さ、 誠 実 さ を も って い る。 大 人 の 社
会 の悪 劣 、 汚 濁 に対 して 、 純 粋 、 無 垢 な心 を 残 す 子 ど も像 は、 社 会 へ の 批
判 性 を高 め 、 先 鋭 化 して 、 読 者 の 共 感 と 同情 を 喚 起 し、 支 援 の思 い を 強 化
す る働 きを 果 たせ る。 主 人 公 が子 ど も、 幼 い児 童 で あ る こ と に よ り、 読 者
の社 会 へ の 不 満 、 憤 怒 、 反 感 は、 親 近 感 と援 助 した い と の感 情 を 喚 起 し、
読 者 を 引 き っ け る こ とが で き る。19世 紀 ∼20世
紀 の 欧 米 で は、 社 会 の 政
治 的 、 経 済 的 矛 盾 、 社 会 問 題 に対 す る批 判 性 を もつ 浮 浪 児 、 孤 児 物 語 が 盛
ソア チ ュ ウ
ん に生 ま れ た 。 そ れ らの 人 物 形 象 の多 くは、 蝦 球 同 様 に善 良 、 聡 明、 勇
敢 で あ り、 さ らに設 定 され る年 齢 に比 べ て、 な お 幼 稚 、 純 真 な性 格 を 強 く
も っ て い る。 主 人 公 の 純 粋 さ、 無 垢 さ と は、 浮 浪 児 、 流 浪 児 、 孤 児 の 人 物
形 象 に欠 か せ な い基 本 的 性 格 の一 っ に ほ か な ら な い。
シ アチ ュウ
2.4蝦
球 の 人 物 形 象 と年 齢
シア
性 格 と並 ん で 人 物 形 象 の年 齢 設 定 も重 要 な意 味 と役 割 を 有 して い る。 蝦
チ ュウ
球 の 改 訂 前 の年 齢 は16歳 、第 一 部 「春 風 秋 雨 』 で17歳
の 誕 生 日 を迎 え る。
児 童 の 年 齢 概 念 は あ い ま い で あ り、 対 象 領 域 に よ り相 違 は あ る が 、 通 常
16、17歳
は、 未 成 年 と見 な され る青 少 年 期 で あ り、 児 童 、 子 ど も と は い
いが た い。 流 浪 児 の年 齢 は下 が る ほ ど同 情 を得 や す い が、 年 齢 が 下 が れ ば 、
物 語 の展 開 上 、 語 られ る 内 容 は 、 子 ど も の 世 界 に 限 定 さ れ る。 年 齢16、
17歳 は、 一 定 の 判 断 力 、 思 考 力 が あ り、 自 己 選 択 の機 会 が 多 く、 大 人 の
世 界 との 接 触 が 多 様 で あ りっ っ、 大 人 で は な い 者 と して の 葛 藤 を もち 、 苦
悩 す る。 しか も、 未 熟 で あ り、 成 熟 して い な い た め に、 往 々 に して失 敗 し、
過 ち を 犯 し、 成 長 して い く軌 跡 を 描 く可 能 性 を 有 して い る。 そ の意 味 で、
ソアチ ュ ウ
蝦 球 の年 齢 は、 物 語 の 内 容 を 豊 か に して 、 動 的 な ス トー リー展 開 を可 能
とす る特 長 が 内 在 して い る。 児 童 文 学 の 世 界 に埋 没 せ ず、 大 人 の純 粋 さへ
(13)
80-412
ある人民文学作品の軌跡 と抵抗
の 希 求 を 喚 起 し、 か っ 児 童 で は描 き に くい、 性 的 要 素 を題 材 に含 め る こ と
が で き る。16、17歳
の少 年 の 性 的 萌 芽 と初 恋 の純 真 な 感 情 は、 読 者 の 青
春 時 代 の 初 々 しい 恋 愛 体 験 を想 起 さ せ る こ とが で き る。 改 訂 前 の1948年
シアチ ュ ウ
版 に は 、 蝦 球 の異 性 との 関 わ りが 多 く描 き こ ま れ て い る。 実 年 齢 は、 青
年 で あ りな が ら、 あ え て 幼 さ を 強 調 し、 大 人 と子 ど もの 間 を さ ま よ う人 物
ソ アチ ュ ウ
と して 蝦 球 が 描 か れ て い る。 これ を 端 的 に 示 して い る次 の よ う な一 節 が
あ る。
シア チ ュウ
蝦 球 は大 人 た ち の 話 しを 傍 らで 聞 く も っ と も辛 抱 強 い 聞 き手 で あ
る。 大 人 た ちが な にを 話 して い よ う と、 彼 は た い そ う熱 心 に耳 を傾 け
る。 彼 は、 彼 らの話 す 中見 が とて も豊 か で 、 と て も人 を 引 きっ け る と
感 じ る。 彼 は聞 き出 す と、 半 ば わ か る が わ か らな い、 わ か っ た よ うで 、
わ か らな い話 題 に も っ と も引 きっ け られ る。 彼 は耳 を 傾 け、 い さ さか
も聞 き漏 らさ な い よ う に 聞 き入 って い く。 二 本 の脚 は 、 一 本 が 子 ど も
の世 界 に と ど ま って 聞 い て い て 、 一 本 の足 が 大 人 の世 界 に踏 み入 って
い くよ うで あ る。 大 人 の世 界 と は なん と人 を 惑 わ せ、 な ん と複 雑 で 不
思 議 な もの か 、 天 災 、 人 災 、 戦 争 、 死 、 結 婚 、 出産 、 離 散 、 団 樂 、 快
活、苦 痛
これ らす べ て に な ん と は ら は らさせ られ 、 ま た 引 きっ け
シ アチ ュ ウ
られ る こ とか!、
蝦 球 は傍 らで す っ か り聞 き入 る と、 思 わ ず 口 を あ
ん ぐ り開 けて しま う(下 線 部 は単 行 本 で は 「心 」 とな って い る)
蝦 球 是 大 人 椚 談 話 的最 耐 心 的 労 所者 。 大 人 無 論 談 些 什 腰,他 有 高 度 的 熱 心
去 傾 所 。 他 覚 得 他 椚 的 談 話 内 容 非 常 豊 富,非 常 吸 引人 。 在 他 明二
来,那 種 半 憧 不 憧,
似 憧 非 憧 的 話 題,就 是 最 吸 引他 的 話 題,他
側 者 他 的 耳 朶,毫 無 遺 漏 地 所進 去 。
他 的 丙 只 脚,一 只 脚 還 折留 在 小 核 子 的境 界,一 只 脚 一 踏 進 大 人 的 世 界 来 了 。 大
人 的 世 界 多 慶 迷 人 而 多 慶 複 雑 離 奇 呪!天
離散、 團圓、快活、痛苦
災、人禍、戦争、収穫、婚嫁、生育、
這 一 切 的一 切,是 多 腰 驚 心 動 醜 而 又 引人 関 注 呵!
蝦 球 労 所 的 得 入 神 時,就 不 自覚 地 張 開 噛 巴 来 。(13)
16、17歳
の 少 年 の 年 齢 は、 性 の 芽 生 え と初 恋 の 純 真 な 感 情 を 交 え る こ
と が で き、 読 者 に そ れ ぞ れ の恋 愛 の 思 い 出 を再 度 蘇 らせ る こ と が で き る。
ソア チュ ウ
1948年 版 に は、 蝦 球 が異 性 に魅 か れ る表 現 が 少 な くな い。
ンアチ ュ ウ
ニ ュウ ス
さ ら に 『蝦 球 伝 』 に は 、 蝦 球 の 分 身 で あ る14歳
80-411
(14)
∼15歳
の"牛
仔"を
成践法学80号
論
説
ンアチ ュ ウ
用 意 して い る。 彼 が 絶 え ず 蝦 球 の そ ば で流 浪 児 の 活 発 さ、 幼 稚 さ、 そ し
て 生 活 の た め に や む な くス リ等 、 悪 劣 な行 動 を す る負 の役 割 、 そ して危 険
を 代 行 す る役 割 を担 い 、 最 終 的 に は流 浪 児 の危 険 に身 を さ らす 運 命 を 引 き
シア チ ュウ
ニ ュウ ス
受 け て蝦 球 の分 身 と して殺 害 され る。 牛 仔 の 人 物 形 象 の な か で 、 児 童 の
形 象 と流 浪 児 の 背 徳 的 で 悪 劣 な要 素 が 代 言 され て い る特 徴 は見 落 とせ な い
ンアチ ュ ウ
意 味 を 含 ん で い る。 蝦 球 の年 齢 に っ い て は、 作 品 中 で 二 つ の プ ロ ッ トで
年 齢 が 高 い た め に拒 絶 され 、 読 者 に 彼 が 幼 い子 ど も で は な い こ と を想 起 さ
せ る。 一 っ は、15歳 で は孤 児 院 に 収 容 して も ら え ず 、 「お 前 は だ め だ!
大 き す ぎ る。」(称 不 行!太
大 了 。)と 拒 絶 さ れ る こ と、 も う一 っ は12歳
シア
を 過 ぎ て は 、 無 料 の 慈 善 食 を 配 給 し て も ら え な い こ と の 二 っ で あ る 。(14)蝦
チ ュウ
球 の年 齢16歳
か ら17歳
は、 少 年シ アチ
でュは
な い が 、 人 物 形 象 に は、 天 真 で 、
ウ
幼 稚 さを 残 して い る。 これ に よ り蝦 球 は、 成 長 す る形 象 と して 、 社 会 に
加 わ り、 一 定 の 役 目を 担 い な が ら、 児 童 の純 潔 な世 界 に も足 を 止 め られ る
シ アチ ュウ
ニ ュウ ス
の で あ る。 蝦 球 と 牛 仔 の年 齢 、 及 び二 人 の組 合 せ が 大 人 と子 ど もの 問 の
派 境 に あ る人 物 形 象 の 特 徴 を示 して い る点 に作 品 の巧 み な 構 成 が 読 み取 れ
る。
2.5"可
能 形 態"と
2.5.1革
命精 神、革命観 念
して の 物 語 世 界 の 特 徴
シアチ ュウ
『蝦 球 伝 」 は、 流 浪 児 蝦 球 が危 険 な 目 に会 い な が ら一 歩 、 一 歩 成 長 して
い く姿 に そ く して 展 開 され て い く。 第 三 部 『山 長 水 遠 』 で は、 下 層 社 会 か
シア チ ュウ
ら出 て 強 烈 な 反 抗 精 神 を もっ 蝦 球 が 、 っ い に遊 撃 隊 の一 員 とな り、 戦 闘
ソエ ワ ンチ に参 加 し、 か っ て の裏 社 会 の仲 間 で あ っ た蟹 王 七 に投 降 を 呼 び掛 け る筋 立
ンア チ ュウ
て で描 か か れ る。 蝦 球 は当 初 、 強 烈 な 革 命 精 神 も確 固 た る革 命 概 念 もな
か っ た。 しか し革 命 を 信 奉 す る竜 大 福 か ら革 命 へ の啓 発 を 受 け、 心 の 内 に
次 第 に革 命 に対 す る憧 れ を 抱 い て い く。 そ して そ の上 に さ ら に境 遇 か ら革
ア ユイ
トウ
ニ ュウ
ス
命 の道 に迫 られ て い く。 鰐 魚 頭 に 惨 殺 され た 牛 仔 を 埋 葬 した 後 、 彼 は 一
人 で 生 きて ゆ け る道 、 行 くべ き道 は ど こか?自
問 す る。
シア チ ュウ
蝦 球 は考 え た:僕
は ど こへ 行 くの か?香
港 に も ど っ て パ ンを 売
ワン ゴウ
ア ユ イ トウ
る の か?王
狗 の 子 分 に な るの か?広
ワン チ ば く ち
ば
マ 王 七 に っ いて 賭 博 場 の見 張 りを や る の か?馬
ヤ テ
に な るか?亜
シエ
州 に行 って鰐 魚 頭 の手 下 の 蟹
顧 問 の 情 婦 の使 い 走 り
ィ
媒 の た め に船 を 漕 ぐの か?… … 違 う!違
(15)
う!人
80-410
が
ある人民文学作品の軌跡 と抵抗
食 うべ き じ ゃ な い あ の飯 の た ね に は 戻 らな い!母
さん は良 い馬 は
け っ して 戻 り草 は食 べ な い って 言 って た じ ゃ な い か!僕
と あ の 生 活 に は 戻 ら な い ん だ!…
は も う二 度
…
蝦 球 是 這 様 想 的:我 到 那 里 去 呪?我
回 香 港 責 麺包 麿?眼
磨?到
廣 州 服 鱈 魚 頭 的部 下 蟹 王七 看 守賭 館 磨?眼
磨?鴛
亜 媒 剣 艇 磨?:…
… 不!不!不
王狗子仔徹小窩
馬專員的餅頭洪少妬倣聰差
回 頭 去 吃 那 口不 是 人 吃 的 飯 了!
婿 嬌 読 過:好 馬 不 吃 回頭 草,我 再 也 不 回 頭 過 那 種 生 活 了!… …(15)
*(下 線 は単 行 本 で 加 筆 され た部 分
湯 山)
シア チ ュウ
これ 以 降 裏 社 会 を 離 れ て 、 遊 撃 隊 に参 加 す る機 会 を 探 し に 出 る 蝦 球 の
シアチ ュ ウ
目 的 は まず は生 活 の た め で あ った 。 そ れ ゆ え に 蝦 球 の革 命 精 神 、 革 命 観
シア
念 は、 当初 、 素 朴 で、 未 熟 、 幼 稚 さが 際 立 っ もの と して記 され て い る。 蝦
チ ュウ
テ ィン タ ク 球 が 革 命 へ の参 加 を求 め て、 遊 撃 隊 の リー ダ ー 丁 大 嵜 に迫 る一 段 で は、
ま さ に 「食 え な くな った!」(我 没 吃 飯 了!)、 「食 え さえ す れ ば い い ん だ!」
(只 要 有 飯 吃 就 得 了!)、
「食 え る」(吃 飯)、 「食 え な い 」(没 吃 飯)、 「食 べ
られ な け れ ば 遊 撃 隊 に入 るが 、食 べ た られ た ら遊 撃 隊 に入 らな い の?」(没
吃 飯 就 来 投 游 撃 隊?有
飯 就 不 投 了?)」 と、「食 べ る」(吃飯)こ と を め ぐ っ
て 会 話 が展 開 す る。(16)
テ ィン タ ク シ アチ ュウ
サ ンシエ
しか も 丁 大 寄 に同 意 を得 られ な か った 蝦 球 は、 町 で革 命 を 説 く三 姐 に
シ アチ ュ ウ
も(17)遊撃 隊 に 入 りた い と強 く迫 る。 裏 社 会 に は 戻 らな い と決 意 す る蝦 球
が 裏 社 会 か ら離 れ て、 遊 撃 隊 に参 加 し、 革 命 に参 加 す る道 に歩 み 出 そ う と
す る プ ロ ッ トは、 新 社 会 の実 現 を 求 め 、 未 来 に向 け て歩 み 出 す こ とを 求 め
る人 々 の願 い、 生 活 に 窮 す る人 々 の 願 い を体 現 す る。 主 人 公 が 行 動 す る物
語 展 開 の 舞 台 と読 者 が生 き る世 界 が 、 と もに未 来 の変 化 、 新 世 界 到 来 の 可
能 性 を志 向 す る共 通 性 を も ち、 可 能 態 と して想 定 さ れ る社 会 へ の歩 み と重
な り合 って い る の で あ る。 言 い換 え れ ば、 新 し い未 来 に 向 けて 曇 りな くま
シア チ ュウ
シア チ ュウ
い進 す る蝦 球 と蝦 球 が 到 達 す べ き 目標 は、 読 者 が 求 め る新 しい世 界 、 未
来 の方 向性 と重 な りあ って い く。 暗 黒 を は らむ 下 層 社 会 の 今 を 描 く通 俗 性
を 基 盤 に新 時 代 の方 向 を 拓 い て い く未 来 世 界 へ の 展 望 を象 徴 す る点 に 『蝦
球 伝 』 を物 語 世 界 の基 本 的 な特 徴 の 一 端 が 読 み 取 れ る。
80-409
(16)
成践法学80号
論
説
シアチ ュ ウ
2.5.2永
遠 の少年蝦 球
第 三 部 の 終 了 後 、 予 定 され て い た 第 四 部 『日月 争 光 』 を 未 完 の ま ま、 作
者 は 香 港 を 離 れ 、 広 東 の 遊 撃 隊 に 参 加 し、1949年
全 国 解 放 を 迎 え る が、
新 中 国 成 立 後 、 朝 鮮 戦 争 に参 加 し た作 者 は、 『蝦 球 伝 』 を 完 成 しな い理 由
を たず ね た 夏 術 に対 して 次 の よ う に述 べ て い る。
「不 思 議 な こ と に、 旧 社 会 の苦 痛 と傷 を 描 くこ と につ い て 、 私 は も
う昔 の よ うに興 味 が もて な い の で す 。 私 は朝 鮮 の戦 場 で 多 くの新 しい
英 雄 的 人 物 を 目 に しま した。 私 は、 彼 らを 通 して ア ジ ア の 巨人 を 描 き
た い と思 って い るの で す」と い うわ けで 、『蝦 球 伝 』は 未 完 の傑 作 に な っ
た とい う次 第 で す
他 説;『 恨 奇 怪,対 干 描 写 旧社 会 的痛 苦 和 傷,我
已 経不 象 過 去 那 様 有 興 趣 了,
我 在 朝 鮮 戦 争 上,看 到 過 不 少 新 的 英 雄 人 物,我 想 通 過 他 椚 来 刻 劃 亜 州 巨人 的 興
起 。」 就 這 様,『 蝦 球 伝 』 就 成 了 未 完 的 傑 作 。(18)
シア チュ ウ
か く して 『蝦 球 伝 」 は永 遠 に 完 成 の機 会 を失 っ た。 干 逢 が 「蝦 球 は 彼
が 主 人 公 で あ る こ とに よ っ て、 全 体 の 筋 立 て が 貫 か れ て い る… … しか も彼
が 創 造 的 な 形 象 で あ る こ と に よ って 、 我 々 は彼 を 通 して全 書 の 中 心 の要 を
っ か む こ とが で き る」(蝦 球 不 特 由於 官 是 主 人 公,是
而 且 由於 他 是 創 造 的 形 像,我
貫 串全書 的線索
佃 可 以 通 過 他 把 握 全 書 中 心 環 節)(19)と評 した
シア チ ュウ
シア チ ュウ
よ うに、 蝦 球 は 物 語 展 開 の軸 で あ り、 蝦 球 の 成 長 が 物 語 を 展 開 す る動 力
ソ アチ ュ ウ
そ の もの で あ る。 作 者 が 筆 を置 き 『蝦 球 伝 』 を 未 完 に と ど め た 時、 蝦 球
ソアチ ュ ウ
の 成 長 も止 ま る。 新 時 代 の新 しい英 雄 と作 者 自 らが 語 った と い う(20)蝦 球
シア チュ ウ
が 成 長 を 止 め た と き、 蝦 球 は、 新 社 会 を 待 ち望 む
可 能態 の文学世 界
の 中 に凍 結 され 、 大 人 に な る機 会 を 喪 失 した ま ま、 永 遠 の 少 年 と して、 解
放 の扉 の前 に立 ち続 け る こ と に な って しま った の で あ る。
シア チ ュウ
31956年
の改定
良 い子 の蝦 球 と消 え た女 性 形 象 、 最 後 の プ
ロッ ト
3.1大
幅 な修 正
『蝦 球 伝 』 は、 作 者 自 らが 予 告 して い た第 四 部 『日月 争 光 』 を 完 成 す る
こ と な く未 完 の 作 と して 終 結 され た。 しか し、1956年 思 い が け な い 形 で、
(17)
80-408
ある人民文学作品の軌跡 と抵抗
新 た な 展 開 が 生 ま れ た。 最 終 頁 に 「1956年 修 正 」 と書 か れ た改 定 版 『蝦
球 伝 』 の 登 場 で あ る。 こ の改 定 に よ り、1947年
よ り1948年 、 た くさ ん の
読 者 を魅 了 し、 ベ ス トセ ラ ー作 品 と い い え る ブ ー ム、 論 議 を 呼 ん だ 『蝦 球
伝 』 の魅 力 の 根 源 で あ っ た多 彩 な 人 物 形 象 、 波 乱 万 丈 の 冒 険 心 に あ ふ れ た
躍 動 的 な ス トー リー に対 して、 大 量 の 修 正 が加 え られ た の で あ る。 もち ろ
ん 『華 商 報 」 連 載 時 の 『蝦 球 伝 』 と単 行 本 とで は、 作 者 が 推 敲 を加 え て お
り、 完 全 に 同 じで は な か っ た が 、 解 放 後 に行 わ れ た1956年
の 改 定 は、 主
人 公 蝦 球 の 人 物 形 象 、 作 品 世 界 に 大 き な質 的 変 化 を生 じ る も の で あ った 点
で 、 非 常 に重 要 な意 味 を も って い る。 そ して 、 こ の改 定 作 業 以 降 は、 この
改 訂 版 が 中 国 語 版 『蝦 球 伝 』(以 下 改 訂 版 とす る)と な っ た の で あ る。
3.2修
正 主 な 内 容 ・項 目
具 体 的 な 修 正 内容 は、 整 理 す る と以 下 の項 目 に な る。
ソアチ ュ ウ
①
数 字:年
齢 の 引 き下 げ
ニ ュウ ス
主 人 公 蝦 球 、 牛 仔 の年 齢 の 引 き下 げ
旧 版16歳
⇒15歳
孤 児 院 の収 容 年 齢15歳
、 旧版
⇒12歳
牛 仔15歳
⇒14歳
以 下 に下 げ る
ノアチ ュ ウ
年 月 の変 更;蝦
球 の 父 親 の帰 国30年
(適 夷 が1948年
②
か ら15年
に不 整 合 を指 摘)
性 的描 写 、 女 性 人 物 の形 象;
性 に関 わ る場 面 、 描 写 の 省 略:
シ アチ ュ ウ
ヤ デ ィ
シ アチ ュ ウ
蝦 球 と亜 媒 の 間 の 性 的接 触 、 蝦 球 の性 的 関 心 な ど の 削 除
ラオ ミンヤ オ
ワ ンフ ォ ン
遊撃隊員 労明耀 と王 鳳 の恋 愛場面
女性人物 の出身、心理 描写 の削 除、 簡略化
ア ユ イ トウ
サ ン ノエ
鰐 魚 頭 の情 婦 黒 牡 丹 の 出 身(語
り)、 三 姐 と先 だ った 夫 の 愛
ヤ デ ィ
情 の物 語 、 亜 媒 の 内 心 の 愛 情 の告 白等
ソア チュ ウ
③
蝦 球 の人 物 形 象 と そ れ に関 わ る描 写 の 改 変:
善 良 さ、 ま じめ さ を 強調 し、 放 将 、 盗 み 等 の不 道 徳 な行 為 や 悪
癖の削除
④
ス トー リー の削 除:革 命 、 政 治 方 針 に 関 わ る部 分:
遊 撃 隊 員 の革 命 活 動 、 方 針 、 女 性 隊 員 の活 動 、 行 為 、 待 遇
第 三 部 『山長 水 遠 』 「三 四 戦 闘 的歓 楽 」 最 終 場 面 の 削 除
⑤
政 治 的 な 見 解 の挿 入 、 及 び反 映
国 民 党 批 判 、 帝 国 主 義 批 判 、 遊 撃 隊 に対 す る称 賛 、 高 い評 価
80-407
(18)
成践法学80号
⑥
論
説
思 想 性 を 示 す と思 わ れ る文 言 の 修 正
旧 版 「生 観 音 的 演 講 」 → 改 訂 版 「虚 涼 」
⑦
タイ トル の 変 更:小
タ イ トル 番 号 の 削 除(新
聞 連 載 、3冊 本 か ら1冊
本 へ の変 化)
3.3改
訂 に よ る 新 た な特 徴
改 定 内容 に よ り生 ま れ る作 品世 界 の 変 化 は広 範 囲 で、 多 角 的 、 多 層 的 な
分 析 が 可 能 だ が 、特 に、作 品世 界 の基 本 分 析 に重 要 な要 素 と して 、年 齢 、性 、
ソア チ ュウ
人 物 形 象(蝦
球 、 及 び蝦 球 を め ぐる女 性 人 物)に
関 す る主 な改 訂 箇 所 を
以 下 に取 り上 げ る。
3.3.1年
齢
ンア チ ュウ
ニ ュウ ス
蝦 球 、 牛 仔 の 年 齢 が 、16歳 か ら15歳 、15歳 か ら14歳
にそれぞ れ一
歳 引 き下 げ られ 、 併 せ て 孤 児 院 の 収 容 年 齢 が15歳 以 下 か ら12歳 以 下 に 引
き下 げ られ た こ とは、 作 品 世 界 の 構 築 の上 で は質 的 変 化 を も た らす 。 数 字
的 に は一 歳 の 引 き下 げ に過 ぎ な い が 、 人 物 形 象 に もた らす 変 化 は、 他 の 修
正 と併 せ て大 き く、 これ が 作 品 世 界 の構 築 に はか な り重 要 な 意 味 を もち、
ソ アチ ュウ
影 響 す る と こ ろが 大 き い。 図13∼
図20は
ニ ュウ ス
、 挿 絵 に現 れ た 蝦 球 と 牛 仔 の
もっ 形 象 が 読 者 に与 え る イ メ ー ジの 違 い を示 す 一 例 で あ る。
ンア チ ュ ウ
図19と
図20で
は、 蝦 球 の 人 物 形 象 が 一 目瞭 然 に わ か る。 図20は
遊撃
ンアチ ュ ウ
隊
に入 る前 の 蝦 球 だ が 、 金 が 入 れ ば 、 仲 間 に大 盤 振 る舞 い を して しま う
ソ アチ ュ ウ
蝦 球 の 親 分 肌 、 義 侠 心 を発 揮 す る性 格 を 示 して お り、 図17と
同 じ作 品 の
人 物 形 象 と は思 え な い相 違 が 浮 き彫 りに さ れ て い る。
3.3.2性
的な描写、場面 の削除、省 略、改編
ソア チ ュウ
性 に 関 す る場 面 、描 写 の 削 除 は、年 齢 を 下 げ た蝦 球 に 関 す る もの と して 、
ソアチ ュ ウ
ヤ テ ィ
ソアチ ュ ウ
ソア チ ュウ
蝦 球 と亜 媒 の 間 の 性 的 接 触 、 蝦 球 の性 的 関 心 等 、 蝦 球 に関 わ る場 面 の
マ ノヤオ ナ イ
サ ン ンエ
ほ か、 馬 顧 問 と情 婦 黒 牡 丹 、 愛 人 少 妨 の プ ロ ッ ト、 三 姐 と先 だ っ た恋 人
ヤ デ ィ
の 愛 情 の物 語 、 亜 媒 の 内 心 の愛 情 、 性 的 な欲 求 の 内 白等 、 女 性 人 物 の 出 身 、
心 理 描 写 に 関 す る修 正 、 削 除 も多 数 あ り、 注 目 され る。 児 童 読 み 物 と して
の 要 請 も さ り なが ら、 これ に よ り、 そ れ ぞ れ の 人 物 が そ れ ぞ れ の人 生 を 抱
え て 、 人 物 形 象 と して も っ て い た 個 性 、 人 物 像 の リア リテ ィ も失 わ れ、 平
ラ オ ミン ヤオ
ワン
板 な人 間形 象 に後 退 した と言 わ ざ るを え な い。 ま た、 遊 撃 隊 員 労 明耀 と王
(19)
80-406
ある人民文学作品の軌跡 と抵抗
図151948年
シアチュウ
第一 部表紙 逮 捕 される
図16第
二 部 「一 三 日行 一 善 」ニ ュ ウ
ス
隣の紳士の万年筆を狙 う 牛 仔
蝦 球(17歳)
図171978年
図18第
版 表紙
二 部 「二 三 狂 瞭 的 海」
畦'
'一
図19第
」1
'
三部 「
二 二触 髪 」
図20第
遊 撃 隊 に協 力 して 諜 報 活 動 す
る
三 部 旧版 「十
難童之家」
挿 絵 の 解 説 、 「こ っ ち で 叫 ぶ:兄 貴!
い っ ぱ い や ろ う!」(迭
ノ
ト叫:「 大 嵜!
喝 一 口1」)「 あ っ ち で 叫 ぶ:兄 貴1乾
杯!」(那
80-405
(20)
ノ
ト叫1「 大 嵜!干
杯!」)
成践法学80号
論
説
フ オ ン
鳳 の 恋シア愛チ 場
面ヤ のデ削
除 等 、 明 らか に 政 治 的 理 由 と推 察 され る もの もあ る。
ュウ
ィ
以 下 に蝦 球 と亜 媒 の 修 正 を例 と して挙 げ て み よ う。
ヤ デ ィ
第 一 部 『春 風 秋 雨 」 の 「八 初 恋 」(旧 版)で
の 性 的 な 関 わ りが 大 き く描 か れ て い る(図21、
シ アチ ュ ウ
は、 船 頭 の 娘 亜 媒 と蝦 球
図22は
そ の後 二 人 の三 角
関 係 と波 乱 の 情 景 を示 す)。
(旧 版)
言 う と彼 女 は服 の 前 お くみ を め く って、 腹 部 の 白 い 肌 を 露 わ に 出 し
て、 下 着 の 小 さ な ポ ケ ッ トか ら一 掴 み の金 を と りだ した が 、 す ぐに お
シア チ ュウ
シアチ ュ ウ
くみ を 下 さず 、 そ の 視 線 が 蝦 球 の恥 ず か しげ な 目 に触 れ る と、 蝦 球
シアチ ュ ウ
に 一 言 「な に 思 っ て る の?」
と聞 い た 。 こ の一 言 に蝦 球 は赤 くな った 。
〔
略〕
ヤ テ
ィ
も ち ろ ん 亜 媒 は、 彼 が 彼 女 の 親 切 に 対 して 好 感 を 生 ん で い る こ と、
彼 女 の 皮 膚 に も本 能 的 に好 奇 の 喜 び を感 じ取 っ て い る こ と は わ か って
シアチ ュ ウ
い た が 、 蝦 球 自身 は恥 ず か しさ を感 じは じめ て い た。 な ぜ な ら彼 は、
自 分 は 英 雄 で は な く、 人 様 に金 を 借 り に来 た 貧 しい 子 ど も に す ぎな
ヤ デ ィ
か った か らで あ る。 彼 は亜 媒 の 誘 惑 を受 け る資 格 が な い と感 じた。 彼
の 顔 が 赤 くな った の は幾 分 か 差 恥 の 思 い に と らわ れ た て い た か らで
あ った。
〔
略〕
彼 女 は ま っ た くた め らわ ず船 の 横 窓 を ぴ っ た り引 い て 、 自分 は位 牌
ソア チ ュウ
の前 に よ りか か って 座 り、 蝦 球 の 腕 を 引 っ ぱ り、 彼 女 の前 胸 の服 の
ソ アチ ュ ウ
中 に 置 く と 、 思 い た っ ぷ り に 蝦 球 に 「あ た し あ ん た の 眼 が ぴ か っ て
光 って た の見 た わ 、 あ た しあ ん たが 何 を思 って い るか わ か って る、 あ
ヤ シ エン
ん た に ち ょ っ と 触 ら せ て あ げ る わ 。 亜 嬬 が ま も な く 戻 っ て く る わ 」。
シア チ ュウ
この 動 作 で 、 蝦 球 の 心 臓 は ど き ど き した が 、 彼 は電 気 に で も触 れ た
ヤ デ ィ
よ う に、 両 腕 を袖 に引 っ込 め た が 、 野 性 的 な亜 媒 は ま た 彼 女 の手 を 握
シア チュ ウ
り しめ、 結 局 蝦 球 は ち ょ う ど見 目 の よ い 金 魚 の よ うに 捕 ま え られ、
もて あ そ ば れ た。
説 罷 就 翻 起 地 的 衣 襟,a露
出 地 腹 部 的 白肌 肉,従 内 衣 小 口袋 里 淘 出一 塊 銭 来,
地 没 有 即 刻 放 下 地 的 衣 襟,当 地 的 視 綾 眼 蝦 球 的 害 差 的 眼 晴 接 触 時,地 問 蝦 球 道:
(21)
80-404
ある人民文学作品の軌跡 と抵抗
"祢望 什 麿?"這
一 問 ,問 得 蝦 球 瞼 紅 了 。
〔
略〕
当然 這 個 亜 媒,他
的 喜 愛,可
対 地 的 関 懐 発 生 好 感,b対
地 身上的肌膚 也本能感到 好奇
是 蝦 球 自 己 却 漸 悦 起 来,因 為 他 自 己不 是 英 雄,而
是一個 向人借一塊
銭 的窮 核 子 。 他 覚 得 没 有 資 格 消 受 亜 媒 的 誘 惑 。 他 的 瞼紅,是
纏 爽 着 幾 分漸 悦 的
心 情 的。
〔
略〕
地 毫 不 猶 移 地 把 艇 労 的 横 窓 拉 密,自 己 重 坐 在 神 位 的 面 前,拉 蝦 球 的 手 放 在
地 的胸 前 的衣 服 内面,無
限深 情 的対 蝦 球 道:「 我 看 見 祢 眼 光 光 的,我 知 道 祢 想 的 。
給 称 摸 一 陣 咀,亜 嬬 快 回来 了 」。這 挙 動骸 得 蝦 球 得 心 惇 悼 跳,他 把 触 電 似 的一 双
手 抽 回 来,而 這 個 野 性 的 亜 婦 又 又 把 地 的 手 捉 住 。結 果 蝦 球 就 像 一 尾 好 看 的 金 魚
一 様 ,給
人 捉 住,供
人 玩 兄 弄 了 。(21)
ヤ テ ィ
ノアチ ュ ウ
旧版 は、 肌 着 の 中 か ら金 を 取 り出 す 亜 媒 が 服 を下 ろ さず 、 あ え て 蝦 球
ソア チ ュ ウ
に肌 を 見 せ 、 蝦 球 が 好 奇 心 と 自分 を 恥 な が ら もて あ そ ば れ る展 開 で描 か
れ て い る。 しか し改 訂 版 で は、 「腹 部 の 白 い 肌 を あ らわ にす る 」(「露 出 地
ソ アチ ュ ウ
腹 部 的 白 肌 肉 」 は削 除 され 、 「蝦 球 はず っ と彼 女 を見 っ め 、 彼 女 の一 挙 一
動 に注 意 を 引 きっ け られ た」(「蝦 球 一 直 在 望 着 地,地
的一 挙 一 動 都 吸 引 着
ソ アチ ュ ウ
他 的 注 意 」)に な り 、 さ ら に
「蝦 球 を 引 っ ぱ っ て 、 彼 女 に 近 づ け 、 す ば や
シア チ ュウ
く彼 の 頬 に接 吻 して 、 愛 人 の よ う な 口調 で 、 親 し く蝦 球 に"私 あ ん た の
ンア チ ュウ
目線 を見 て 、 あん た が 何 を思 って い るか わ か っ た わ。"こ れ で蝦 球 は び っ
く り して 心 臓 が ど き ど き して し ま っ た」(拉 蝦 球 罪 近 地,迅
的 瞼 頬,用 一 種 象 愛 人 似 的 口 吻 親 妃 対 蝦 球 説 道:"我
図21第
80-403
一 部 「八 初 恋 」
図22第
(22)
速地 吻一 嗜他
看 見 休 的 眼 光,我
知
一部 「
十三 破璃祷帯第一功」
成践法学80号
論
説
ンアチ ュ ウ
道 称 想 什 歴 。 這 一 下 骸 得 蝦 球 的 心 悸 悸 跳 。)と 改 訂 さ れ て い る。 同一 の 場
シア チ ュウ
ヤ テ ィ
面 で あ りな が ら、 蝦 球 と亜 媒 の 性 を め ぐ って 異 な る情 景 が 創 りだ さ れ て
い る。
シ アチ ュ ウ
3.3.3蝦
球 の人物 形象
ソア チュ ウ
蝦 球 の 人 物 形 象 で は 、 旧版 で 描 か れ た放 堵 、 盗 み 等 の 倫 理 的 に不 道 徳
と見 な さ れ る行 為 や悪 癖 と な る描 写 、 言 説 が 削 除 され 、 善 良 さ、 ま じめ さ
が 強 調 さ れ て い る。 た と え ば 、 第 三 部 『山 長 水 遠 』 「二 二 触 髭 」 に、 遊 撃
テ ィン ダ ク サ ンシ エ
ソア チ ュウ
隊 の 丁 大 寄 が 三 姐 と蝦 球 の 性 格 にっ い て 「彼 は悪 い 子 で は な い」(他 不
是 一 ノト壊 核 子)(22)では な い と して 、 特 徴 を語 り あ う場 面 が あ る。 旧版 で は、
「早 熟 で、 情 熱 的 で 」(早 熟 、 熱 情)と
語 られ た 表 現 は、 改 訂 版 で は、 「ま
じめ で 、 勇 敢 で 」(老 実 、 勇 敢)(23)に置 き換 え られ 、 良 い 子 ど も像 が 強 調
され て い る。 ま た 「彼 に は少 々、 も ち ろん 、 よ くな い性 格 も あ る け ど、 ば
くち と か 」(他 身 上 都 有 一 点 点 。 自 然,他
也 有 不 少 劣 根 性,如
嗜 銭 等 等)
な ど、 流 浪 児 の早 熟 な 一 面 は共 通 して 記 さ れ て い る が、 遊 撃 隊 員 の価 値 観
か ら不 足 して い る部 分 を 指 摘 す る こ と に よ り、 成 長 と変 化 の 可 能 性 が 浮 き
彫 りに さ れ る叙 述 に な って い る。
以 上 の よ う に、 性 的 な 描 写 、 性 格 上 の未 完 成 部 分 は、 人 物 形 象 を生 き生
き と した 人 間 像 と して 示 す 上 で重 要 な役 割 を果 た して い る。 人 物 形 象 、 プ
ロ ッ トの 削 除 、 変 更 に よ り、 物 語 の 展 開 も厚 み を 失 い、 単 調 な もの へ と転
じて い か ざ る を え な い 。
ま た 「金 が な くな っ た らど う しよ う?彼
に は、 日 ごろ か ら困 難 や 危 険
な こ とに 備 え て お く と い っ た考 え は なか った。」(銭 用 完 了 悉 広 辮 呪?他
没 有 想 到 這 個 問 題 。 他 没 有 一 点 居 安 思 危)⑳ 、 しか し、 あ れ ば一 人 占 め な
どせ ず、 ば らま い て み ん な に大 判 ふ る ま い を して しま う。 義 侠 心 に あ ふ れ
シアチ ュ ウ
る蝦 球 の流 浪 児 ら しい放 堵 さ は、 改 定 版 で はか な り削 除 さ れ て い る。
金 を 使 い終 え た ら ど うす るか?彼
が こ う した 問題 を 考 え た こ と は
な か った 。 彼 に は、 日 ごろ か ら困 難 や危 険 な こ と に備 え て お く とい っ
た考 え 方 は な か った 。 彼 は数 十 円 あ れ ば、 釘 打 ち の下 駄 を 買 うに は多
す ぎ る し、 商 売 す る に は足 りな い。 一 人 で 使 え ば一 日遊 べ る が、 み ん
な で い っせ い に飲 み 食 い して も使 い きれ る。 そ れ な らみ ん な で一 緒 に
(23)
80-402
ある人民文学作品の軌跡 と抵抗
使 う ほ うが ず っ と面 白 い。 そ れ で 、 彼 は十 日 あ ま り も大 宴 会 を催 して 、
子 ど もた ち を集 め て 思 い切 り飲 み 、 飲 み終 わ る と、 そ れ ぞ れ 一 人 ず っ
自分 の 物 語 を話 させ た。
銭i用完 了 忽 腰 辮 呪?他
他 覚 得 這 幾 十 塊 鑓,釘
没有 想到這 個問題。他 没有一 点居安 思危 的観念。
木 履 太 多,興 家 立 業 不 鉤 。 自 己一 個 人 花 終 有 一 天 要 玩 。
大 家 一 斉 吃 喝 也 終 会 花 完。 那 就 不 如 大 家 一 起 花 完 更 有 味 道 。 因 此,他 訳 摸 十 天
八 天 就 挙 行 一 次 大 食 会,聚 集 一 群 玩 童 痛 塊 吃 一 頓 。 吃 完 就 個 人 講 個 人 的 故 事 。(25)
金 銭 を もて ば す べ て使 っ て しま う感 覚 は、 地 道 な生 活 観 念 を もた な い 流
浪 児 の性 格 を 示 す 要 素 で あ る。 放 峙 さ を示 す表 現 の削 除 に よ り、 流 浪 児 の
性 格 は緩 和 され る。 しか も、 改 訂 版 で は、 流 浪 児 の存 在 、 性 格 、 生 活 の 背
景 に あ る社 会 的 な責 任 を 問 う視 点 を 強 め る表 現 が 新 た に挿 入 さ れ て い る。
シアチ ュ ウ
ソア チュ ウ
次 の一 段 は 、 蝦 球ニ の
分 身 で あ り、 蝦 球 の流
浪 児 と して の 負 の 部 分 、 生 と
ュウ ズ
シ アチ ュウ
死 の リス クを 負 う 牛 仔 との対 話 で あ る。 蝦 球 と と もに餓 え に耐 え か ね た
ニ ュウ
牛
ス
仔 が 、 っ い に マ ン トウ を も ら うた め の物 乞 い を しよ う と持 ち か け る一
段 で あ る。
第 二 部 『白雲 珠 海 」 「七 長 途 」
(旧 版)
シア チ ュウ
蝦 球ニ ュウ
はど
な っ た 「恥 知 らず!お
ス
だ!」
い ら た ち は も う乞 食 は しなニ い
ん
ュウ ス
牛 仔 は ま っ た く お も し ろ く な か っ た 。 し ば ら く行 く と 、 牛 仔
チ ュ ウク は ま た 持 ち 出 し て 言 っ た 。 「球 嵜 、 お い ら 乞 食 は し な い 、 お い ら は 絶
パオ
対
に 人 様 に物 乞 い した り しな いシア。チュ兄ウ い は こ こ に居 て くれ よ。 お いニ ュら包
ス
ウ ス
子 二 っ 買 い に い っ て く る よ 」。 蝦 球 は 聞 い た 「お 前 の 金 は?」 、 牛 仔
は パ ン パ ン と 自分 の 尻 を 叩 い て
「こ こ に あ ら あ 」 と、 言 う と 手 を 振 っ
シア チ ュウ
て蝦 球 に そ の ま ま そ こ に 居 て 自 分 を待 っ よ う に合 図 して、 一 人 で 手
を振 り、 胸 を は って 茶 館 の ほ う に向 か って 行 っ た。
蝦 球 罵 道:「 不 要 瞼!我
佃 又 不 是 討 飯 的 乞 几!」 。 牛 仔 十 分 没 趣 。 ★他 伯
又 走 了 機 転,牛 仔 又 提 議 道;"球
迭 里 靖 着!我
股 道:"在
80-401
寄,我
不 倣 乞 几,我
去 買丙 介 包 子 回来 吃 。"蝦 球 向,"悠
這 里"説
雲 他 就 揮 手 叫 蝦 球 靖 着 等 他,他
(24)
鉋 不 向人 家 討 飯 吃 。 祢 在
的銭 呪?"牛
仔拍拍他 的屍
一 介 人 昂手 挺 胸 宜 向茶 館 走
成践法学80号
去
論
説
。(26)
この 旧版 に対 して、 改 定 版 で は、aを 削 除 した 上 で、*の
箇 所 に 、 「彼
は思 った、 こ こ の と こ ろ、 お い らた ち を雇 って くれ よ う とす る人 は い な い 、
も の こい せ ず 、 盗 ま ず、 だ ま さず 、 ど うや っ て生 きて い くの か?」(他
在 這 年 頭,没
想:
有 人 肯 雇 用 我 伯 、 不 討 、 不 愉 、 不 偏 、 急 磨 活 的 下 去?。)⑳
の 一 文 が挿 入 され て い る。
流 浪 児 の生 活 手 段 は、 解 放 前 に 沸 騰 した 「蝦 球 問 題 」 の論 争 の 際 に は、
社 会 状 況 の 告 発 よ り も労 働 観 念 の な さ と して批 判 の的 に な り、 蝦 球 の人 物
形 象 が 生 み 出 す 人 間 性 を 問 う 問題 に展 開 さ れ て い った 。 しか し、 茅 盾 は、
シア チ ュウ
この 時 点 で 、 「蝦 球 は小 さ い 時 か ら、 農 民 で も、 労 働 者 で も、 行 商 人 で も
な か った(彼
は ほ ん の 短 い 間 、 行 商 人 だ っ た こ と は あ るが)、 な らず 者 の
な か で大 き くな った。 この 点 は蝦 球 の 考 え方 、 意 識 を考 え る時 に軽 ん じ る
こ と は で きな い」(蝦 球 従 小 吋 起 、 非 衣 、非 工 、亦 非 小 販 〔錐 然 他 干 過 一
個 短 時 期 的 小 販 〕,是 在 流 眠 群 中 混 大 了 的,我
以為 逮 一 点,在 研 究 蝦 球 的
ソ アチ ュ ウ
思 想 意 識 時 不 能 軽 軽 忽 略 」(「関 与 『蝦 球 伝 』」)(28)、
と述 べ て お り、 蝦 球 の
人 物 形 象 と社 会 環 境 との 関 係 に注 目す る視 点 を 提 示 して い る。
シア チ ュウ
シア チ ュウ
流 浪 児 蝦 球 の 生 存 と生 活 手 段 は、 蝦 球 が裏 社 会 か ら抜 け出 し、 ま っ と
う な生 活 を 求 め る ほ ど矛 盾 と亀 裂 を 露 呈 す る。 しか し、 改 訂 版 で は、 流 浪
シア チ ュウ
児 蝦 球 が 倫 理 観 を 強 め 、 生 活 手 段 で あ った ス リ、 盗 み、 物 乞 い と い った
悪 習 を避 け る こ とに よ る生 存 、 生 活 と の矛 盾 と い う人 物 形 象 の 重 要 な 問 題
点 が 削 除 され て い る。
次 に挙 げ る の は、 改訂 版 で完 全 削 除 さ れ た正 義 感 、 倫 理 観 と生 活 手 段 を
シアチ ュ ウ
ニュウ ズ
も た な い流 浪 児 蝦 球 の生 活 、 現 実 と の 矛 盾 を 牛 仔 が 看 破 す る個 所 で あ る。
第 三 部 『山 長 水 遠 』 「十 三 日行 一 善 」
(旧 版)
シ アチ ュウ
彼 は蝦 球 の 気 性 を さ ぐ り あ て た。 人 の 物 や金 を 楡 む の は心 配 な い。
た だ 彼 に見 せ な けれ ば、 楡 ん で き た金 で鳥 飯 や 妙 め ビ ー フ ンを買 え ば 、
ニ ュウ
ス
彼 は 間 違 い な くい つ だ っ て食 べ る、 牛 仔 の肝 っ玉 は だ ん だ ん 大 き く
な って い っ た。
他 摸 到 了 蝦 球 的脾 『 。 愉 人 東 西 銭 恨 都 不 要 累 。 只要 不 譲 他 親 眼看 見,用 愉
(25)
80-400
ある人民文学作品の軌跡 と抵抗
回来 的銭 貢 鶏 飯 妙 沙 河 粉,他 一 概 照 吃,牛 仔 的 胆 也 就 壮 起 来 。⑳
改 定 版 で は 、 こ の 一 段 は す べ て 削 除 さ れ て い る 。(30)
シアチ ュ ウ
以 上 の よ う な削 除 、 改 訂 に よ り、 蝦 球 の人 物 形 象 に もた ら され る質 的
シ アチ ュ ウ
変 化 は 大 きい 。 しか し、 作 者 は一 部 に は 流 浪 児 蝦 球 の もっ 葛 藤 、 矛 盾 の
を 残 して い る た め、 流 浪 児 と して の 蝦 球 の成 長 物 語 の生 み 出 す あ る種 の リ
ア リテ ィ は、 か ろ う じて 保 持 さ れ て い く こ と に な る。
3.3.4女
性形 象の改定
前 述 の よ うに 、1956年
消 え た女 性 形 象
の 改 定 に よ り、 物 語 世 界 の 特 色 と して 高 く評 価
さ れ て い た 庶 民 の世 界 、 下 層 社 会 の 群 像 を描 い た人 物 形 象 が 大 き く変 容 し
て い る。 これ に よ り作 品 の 内容 、 完 成 度 も著 し く変 化 し、 作 品 世 界 の 創 造
に明 確 な 変 化 を与 え て い る。 具 体 的 に は、 作 者 が 旧版 で 描 き、 読 者 の 心 を
と らえ た 大 衆 の生 命 力 、 人 生 の悲 惨 さ、 遊 撃 隊 員 の 日常 生 活 や 人 生 の 描 写
ソア チュ ウ
は、 改 訂 に よ り多 くが 削 除 さ れ た 。 特 に、 蝦 球 を め ぐり登 場 す る女 性 像 、
ヤ デ ィ
サ ン シエ
黒 牡 丹 、 亜 媒 、 三 姐 の 変 化 は蝦 球 と並 ん で と りわ け大 き く、 多 くの意 味 で
重 要 な修 正 点 で あ った と思 わ れ る。 具 体 的 に は、 出身 、 内 的 心 理 描 写 の 削
除 、 簡 略化 な どが そ の 改 定 対 象 で あ る。 以 下 、 こ の作 品 の 本 来 魅 力 と され
て き た豊 か な 人 物 形 象 、 個 性 、 そ れ に よ る物 語 世 界 の広 が り、 奥 行 きを 変
化 させ て、 や せ 細 った 作 品 へ と転 じた 面 を取 上 げて み る。
【黒 牡 丹 】
ソア チュ ウ
ア ユ イ トウ
蝦 球 た ち を支 配 す る裏 社 会 の 頭 目の 一 人 鰐 魚 頭 の 情 婦 黒 牡 丹 は、 利 用
ア ユ イ
トウ
され る立 場 に置 か れ な が ら、 自 己 利 益 だ け を 図 る鰐 魚 頭 に 心 を 開 き、 精 神
的 なっ な が り、 愛 情 を 求 め な が ら、 難 破 船 か ら脱 出 した救 命 ボ ー トの上 で 、
ア ユ イ
トウ
邪 魔 者 と して い と も簡 単 に鰐 魚 頭 に よ って殺 され る。 子 ど もの と き か ら仕
ア ユ イ トウ
込 ま れ た ア ヘ ン詰 め の 腕 を買 わ れ 、 鰐 魚 頭 に褒 め そ や さ れ 、 自 らの存 在 を
ア ユ イ トウ
認 め て くれ た 鰐 魚 頭 だ け に心 を許 し、 打 ち解 けた 思 い で、 自 らの 出 自を 語
ア ユ イ トウ
る黒 牡 丹 と鰐 魚 頭 の 出 会 い の場 面 は、 裏 社 会 、 下 層 社 会 に流 さ れ な が ら、
はか な く生 き る女 性 形 象 を 描 く上 で 、 重 要 な一 段 で あ る。
「私 た ち 女 は 、 あ ん た が た 男 の よ う な た く さ ん の 能 力 は な い か ら、
一 た び ご飯 を 食 べ る と な る と
80-399
、 容 易 な こ と じ ゃ な い わ 。 私 は14の
(26)
時
成践法学80号
論
説
か ら、 や り手 ば あ さ ん か ら い ろ ん な 技 を な ら っ た の 」
「我 椚 女 之 家,没 有 休 椚 男人 那 慶 多本 事,可 是 要 吃 一 口現 成 飯,倒 也 不 容 易
哩 。我 一 四歳 出身,我 的 事 頭 婆 就 教 会 了我 幾 度 功 夫 。」(31)
ラ オヤ ン
と身 の上 を 語 る核 心 の プ ロ ッ トが 改 定 版 で は、 冒頭 の一 「老 楊 が行 って
ア ユ イ
トウ
しま っ た後 、 黒 牡 丹 は鰐 魚 頭 に 阿 片 を詰 め た」(老 楊 走 后,黒
牡 丹替鰐 魚
頭 打 煙 。」(32)の
み を 残 して 、 す べ て 削 除 さ れ て い る。 ひ た む き に生 き よ う
と しな が ら、 海 の藻 屑 と消 え る 黒 牡 丹 の 生 命 の 哀 歌 の 伏 線 と な る だ け に、
削 除 に よ り人 物 形 象 と して の完 成 度 、 一 人 の 人 間 と して の 人 生 、 存 在 意 義
が 希 薄 とな り、 人 物 像 と して の特 色 、 生 命 観 が 否 応 な く失 わ れ て い か ざ る
ア ユ イ トウ
を え な い 。 ほか に も不 安 定 な人 生 を 過 ご して き た黒 牡 丹 が 、 鰐 魚 頭 に ひ た
む き に心 を 寄 せ 、 貧 し い け ど、 お 金 もは で な服 も い らな い 、 と い い、
「… … 私 は た だ 一 つ あ ん た か ら も ら い た い も の が あ る の 、 か な え τ ぐ
ア ユ イ トウ
れ る?」 鰐 魚 頭 は 「早 くお言 い よ!お
ア ユ イ
まえ は、な にが 欲 しい ん だ?」
トウ
黒 牡 丹 は鰐 魚 頭 に歩 み よ る と腰 に抱 きっ き、 真 顔 で恥 ず か しげ に言 っ
た 。r私 な 真 心 が 欲 し い の!私
な あ/し た の 心 が 欲 し い!ナ
ジ
か7乞ず っ と あ/67乞 の よ う な碗{i∼た っ 、 ノ
∠
〉{ちあ る雌
年 この
〆
こ〆
∼
≠お嚇
左7〆
こカ)カ)っ
ア ユ イ トウ
た こ と な ん τ なか った!ゴ 鰐 魚 頭 は滑 稽 に思 い、 この 手 の"愛 情 の 表
現"は
、 嘘 か 誠 か は い ざ知 らず 、 心 底 お ぞ ま し く、 こん な話 は や め さ
せ よ う とす る が、 黒 牡 丹 は ま た も 「私 も私 の 心 を あ ん た に あ げ る!
浜」
宏生!私
た ち心 と心 が碓 〆
よ7Zた ら本 、
当 に づれ しい!万
丈 の巨木
ア ユ イ
トウ
も葉 は根 に帰 る、 私 た ち は落 ち 着 け る と こ ろが 必 要 な の よ」、 鰐 魚 頭
は ね ん ご ろ に彼 女 を ぎ ゅ っ と抱 き しめ、 そ れ か ら彼 女 を 離 して真 顔 で
「俺 た ち は心 と心 が 結 ば れ て い る」 と偽 っ た。
第二部
『白 雲 珠 海 』
「四 冤 家 対 頭 楼 上 楼 」
(旧 版)
「… … 我 只 想 像 賞 我 一凝 更 西.像
肯 不 肯9鱈
黒 牡 丹 走 進 來 把 鱈 魚 頭 欄 腰 抱 住,根
魚 頭 道:「 快 読 啄!称
要 什 磨?」
認 真 而含 差地 読 道:「 我 要レレ乙・!我 要 像勇
・
乙・!≠ 年來 我 從 没 存 遇児 週 想 称 着 蕨 一倣
武 全 オ功 雌!」
鱈魚頭覧得根滑稽、
他 心 底 里 討 厭 這 種 「愛情 的表 現 」,不 管 官 是 真 情 或 者 假 意 。 他 正 在 想 読 就 些 不 叫
(27)
80-398
ある人民文学作品の軌跡 と抵抗
黒 牡 丹 難 過 的 話 來,黒 牡 丹 又 道:「 我 也把 我 的 心 給 称!浜
多 好!洪
先 生 ノ 我・
乙・
心摺 印
先 生,万 丈 高 樹,落 葉 帰 根 。我 椚 都 要 有 個 帰 宿オ 好 冴U鱈
魚頭假股
勤 地 緊 緊 抱 了地 一 下,然 後 推 開 地,假 正 鰹 道:「 我 椚 一 定 心 心 相 印!」(33)
(下線 は湯 山、 斜 体 字 は削 除 、 下 線 は変 更 部 分 を 示 す)
内 心 う と まれ 、 偽 りの 言 葉 の な か で 、 人 間 と して の尊 重 を 得 られ ぬ ま ま
扱 わ れ る表 現 を盛 り込 ん だ こ の 一 段(第
二 部 『白雲 珠 海 』 「四 冤 家 対 頭 楼
上 楼 」)は 、 以 下 に挙 げ る改 訂 版 の下 線 部 「あ ん た は私 を 嬰 って くれ る?
死 ん で も生 涯 添 い 遂 げ る!と
不 好?厭
も に 白 髪 の生 え る まで!」(弥
死 那 種 迎 送 生 涯 了 。 白 頭 到 老!)に
嬰我我 好
置 き換 え られ て い る。
(改 定 版)
「…… 我 只 想 … …?」鰐 魚 頭 道:「 快 悦 冴!称 要 什 麿?」 黒 牡 丹 走 進 来 鰐 魚 頭 道:「 祢
嬰 我 好 不 好?厭
死 那 種 迎 送 生 涯 了 。」鰐 魚 頭 覚 得 根滑 稽,他 心 底 里 討 厭 這 迭 種
表 白,不 官 官 是 真 情 或 者 假 意 。他 正 在 想 読 些 不 叫黒 牡 丹 難 過 的話 来,黒 牡 丹 又 道:
「
我 把 我 的心 姶 祢!洪 先 生,万
丈 高 樹,落
葉 帰 根 。 我 伯 都 要 有 介 帰 宿 オ 好 陽!」
鰐 魚 頭 假 股 勤 地 吻 了地 一 下,然 后 推 開地,假 正 経 道:「 我 佃 一 定 白頭 到 老!」(34)
ア ユ イ トウ
ひ た す ら、 執 拗 な ま で に、 心 を 求 め る黒 牡 丹 と鰐 魚 頭 の か み 合 わ ぬ 会 話 、
ア ユ イ トウ
心 の み を 求 め る黒 牡 丹 の す が る よ う ひ た む き さ は、 そ の後 、 鰐 魚 頭 に い と
も簡 単 に 切 り捨 て られ 、 殺 さ れ るが ゆ え に、 よ り悲 惨 で、 哀 切 を もっ。 心
と心 が 結 び 合 う こ とを 求 め る こ と、 生 涯 添 い遂 げ る こ と、 似 て い る よ うで
あ りな が ら、 そ こに託 され た女 性 形 象 の思 い に は相 違 が生 じる。 裏 社 会 で 、
ひ た む きに 、 一 人 の人 間 と して の 存 在 を満 た そ う と した 黒 牡 丹 の姿 を描 き
だ した女 性 像 と して の 特 色 は、 希 薄 化 して い る と い わ ざ るを え な い。
ヤ テ ィ
【亜 悌 】
①
第 一 部 『春 風 秋 雨 』 「五 今 晩 明哩 過 夜?」(タ
イ トル 前 の 番 号 は 旧
版 の み)
シア チ ュウ
旧版 で は裸 で 泳 ぐ蝦 球 を貧 欲(「 貧 禁 地 」)に 眺 め 、 「彼 が あ お む け に 泳
ヤ テ ィ
ぐと き、 亜 媒 は頬 を 染 め て 彼 を見 れ な か っ た」(当 他 仰 泳 吋,亜
ヤ テ
媒紅着 瞼
ィ
側 了 眼 不 看 他)(35)、 と 記 さ れ て い る 亜 媒 の プ ロ ッ ト は 、 改 訂 版 で は 、 「貧 禁
80-397
(28)
成践法学80号
論
説
ヤ デ ィ
地 」 を 削 除 し、 後 者 を 「彼 が あ お む け に泳 ぐ と き、 亜 媒 は 彼 が 泳 ぐの に 見
入 って い た 」(但 他 仰 泳 時,亜
媒 看 他 游 泳 看 得 入 了 神 。)(36)に置 き 換 え、
少 女 の もっ 性 の 芽 生 え 、 性 的 的 関心 を 示 唆 す る文 言 が 削 除 され て い る。
ヤ ティ
シア チュ ウ
亜 悌 と蝦 球 の 性 的 な 関 わ り は、 前 に も触 れ て い るが 、 そ の ほ か に 旧 版
ヤ テ ィ
に は、少 女 亜 媒 の 性 へ の芽 生 え 、内 白 とな る プ ロ ッ ト(第 二 部 『白 雲 珠 海 」
「二 十 愛 情 友 情 和 酒 呑 」)に 該 当 す る以 下 の よ うな 一 段 が あ る。 しか し、
これ も改 定 版 で は、 「み ん な一 段 に な っ て笑 い、 は しけ の 上 を歩 い た。 夜
の 空 は本 当 に文 字 通 り… … 」(「大 家 笑 倣 一 団,走 上 浮 橋 。 不 夜 天 真 是 名 符
其 実 … …」)(37)と記 さ れ て い る に す ぎな い。
… … み ん な一 段 に な っ て笑 い 、 は しけ の上 を 歩 い た。
ヤ ディ
シエ ワ ンチ シ アチ ュ ウ
ヤ デ ィ
道 を 行 くと き は、 亜 媒 は蟹 王 七 と蝦 球 の 間 に は さ ま れ た 。 亜 媒 は
楽 し くて 飛 び上 が らん ば か りで 、 彼 ら二 人 の 手 を ひ い て 、 笑 い な が ら
跳 ね た 。 彼 女 は 、 自 分 を 二 っ に 分 け て 、 い っ も 彼 ら の そ ば に 置 き、 一
時 も離 れ た く な か っ た 。 一 人 で は 、 自 分 の 一 っ の 心 を ど う し て い い か
わ か ら ず 、 い く っ か に 分 け て 、 二 人 に あ げ る の は む ず か しか っ た 。 一
人 は こん な に忠 実 で 、 一 人 は あ ん な勇 ま し い、 一 人 は こん な に愛 ら し
く、 一 人 は あ ん な に親 切 だ、 二 人 と も欲 し い、 で も現 実 に は不 可 能 だ 、
二 人 と も い らな い な ん て、 も っ とむ ず か し い。 彼 女 は 、 思 っ た、 今 は
頭 を痛 め な くて い い、 と に か く楽 し く、 彼 ら二 人 と一 緒 に楽 しい再 会
の祝 い 酒 を 飲 も う。
一大 家 笑 倣 一 団 ,走 上 浮 橋 。
走 上 馬 路,亜 媒 給 蟹王 七 蝦 球 両 人 爽 在 中向 。亜 媒 歓 喜 欲 狂,地 放 浪 地 牽 拉
着 他 伯 雨 個 人 的手,笑
着 跳 着 。地 寧 恋 化 イ
故丙 個 人,分
開 来 常 常 伴 着 他 佃,一 刻
也 不 要 離 散 。 一 個 人 就 困 難 了,地 不 知道 将 自 己 的一 穎 心,割 幾 分 給 逮 個,割 幾
分 給 那 個?一
個 是 這 末 忠 誠,一 個 是 那 麿 英 偉 ・一 個 是 這 末 可 愛,一 個 是 那 祥
可 親 ・両 個 都 要,事 実 不 可 能 ・両 個 都 不 要,更 難 倣 得 到 。 地 想:口我,且 不 要 去
傷 筋,還 是 高 高 興 興 眼 他 柄 喝 一 杯 重 逢 的 喜 酒 咀!(38)
サ ンソ エ
【三 姐 】 第 三 部 『山 長 水 遠 』 「十 三 衛 生 員 」
サ ンソ エ
遊 撃 隊 の リー ダ ー の一 人 で あ る三 姐 が 遊 撃 隊 の 戦 士 の た め の 蚊 帳 の調 達
(29)
80-396
ある人民文学作品の軌跡 と抵抗
に工 夫 を 凝 ら し、 寝 床 で 思 案 した 後 、 今 は亡 き フ ィア ンセ へ の 思 い を馳 せ
なが ら連 日の 行 軍 の疲 れ に眠 りに っ く様 子 を描 い た プ ロ ッ トで は、 隊 員 と
して の役 割 に心 を くだ く姿 と心 の ひ だ に込 め られ た愛 の糸 を た ど る姿 が 描
か れ て い る。 しか し、 改 定 版 で は 前 半 の 任 務 に心 を砕 く姿 の み が 残 され 、
後 半 の 内 面 描 写 はす べ て 削 除 さ れ て い る。㈹ 個 人 と して の生 き ざ ま を もっ
が ゆ え に生 み 出 さ れ る立 体 的 で、 生 き生 き と し た人 物 形 象 を 作 り出 す要 素
が こ こで も失 わ れ る こ と に な る。 削 除 され た 旧 版 の一 段 は 、
も う一 っ の思 い が ま た彼 女 を と らえ た。 彼 女 は彼 女 の 命 を落 と して
ま もな く一 年 に な る恋 人 の こ とを 思 い起 した 。 彼 女 は 自分 自身 が彼 に
対 して 抱 いて い る感 情 の負 債 を 思 い、 思 わ ず 長 い溜 息 を した。 彼 女 は
身 を横 た え る と、 そ の 忘 れ が た い記 憶 を心 の 内 か ら締 め 出 した。 連 日
の行 軍 の 疲 れ と睡魔 が 無 理 や り門 を あ け た 。 彼 女 の一 っ 一 っ の個 人 的
な憂 い は、 た ち ま ち影 も形 もな くな った。
男 一 種 思 想 又 来 纏 猶 地 。 地 又 想 起 地 那 陣 望 塊 満 一年 的 愛 人,想 到 地 自己 欠
下 他 多少 感 情 的債 務,地
不 自覚 地 長 長 嘆 了 一 口気 。地 是 個 側 身,把 那 些 難 忘 地
記 憶 従 心 種 推 開 。連 日来 行 軍 疲 倦,睡 神 硬 来 籔 門 。地 的 一 点 点 個 人 的 軽 愁,根
快 就 給 感 得 無 影 無 踪 了。(40)
ワ ンフ ォ ン
【王 鳳 】 第 三 部 『山 長 水 遠 』 「一 四 血 染 沙 水 」
『蝦 球 伝 』 の 旧 版 に は 、 敵 に 処 刑 さ れ る前 に、 愛 の 告 白 を す る女 性 遊 撃
ワン フォ ン
隊 員 王 鳳 の愛 の 告 白 の場 面 が 描 か れ て い る。
兵 隊 は ワ ー ワー 叫 ん で い る農 民 を門 か ら押 し出 し、 ま っす ぐ沙 水 の
ワ ンフ ォ ン
ラ オ ミン ホエ
川 べ りに 向 か って い っ た。 王 鳳 は、 ぴ っ た り労 明 輝 につ い て 、 よ う
め きな が ら、 苦 労 して 歩 き、 労 が 彼 女 を 支 え た。 王 鳳 は突 然 頭 を挙 げ
ラオ ミンホ エ
ラオ ミンホ エ
て 、 労 明 輝 に 言 っ た 。 「労 同 志 、 あ な た は 私 を 愛 して い る?」 、 労 明 輝
は彼 女 を 見 て 、 答 え た。 「同 志 の愛 は、 どん な愛 よ り も尊 い の で は な
ワ ンフ ォ ン
い か?」 。 王 鳳 は勇 気 を奮 い 起 こ して言 っ た 「あ い っ ら に私 た ち を 一
緒 に葬 る よ うに要 求 して!私
た ち は お互 い に も っ と支 え 合 うの!
ラオ ミンホ エ
死 ん で も 一 緒 に よ り そ い あ う の!」
ワン
労 明 輝 は感 動 して 、 ぎ ゅ っ と 王
フオ ン
鳳 の手 を 握 り しめ、 彼 女 の 美 しい 髪 の毛 が 風 に た だ よ うの を 見 な が
80-395
(30)
成践法学80号
論
説
ら、 自分 が ま さ に処 刑 さ れ る こ と を忘 れ、 こ の よ うな 美 しい娘 が この
よ うな 若 さで 死 に 向 か う こ とを い と お しみ 、 こ の世 界 の 残 酷 さ を思 っ
た。
士 兵 把 一 群 実 実 嘆 嘆 的郷 推 出門 口,宜 向沙 水 的河 辺 走 去 。王 鳳 緊 眼 着 螢 明 耀,
一 顛 一 斜 地 ,走 得 根 辛 苦,螢 扶 住 地 。王 鳳 突 然 拾 起 拍 起 頭 向勢 明耀 道:「 螢 同志,
祢 愛 我 鳴?」 勢 明 耀 望 了地 一 眼,道:「
同 志 的 愛,不 是 比什 磨 愛 都 宝 貴 嘱?」 王
鳳 鼓 起 勇 『 道:「 称 要 求 他 伯 将 我 佃 合 葬在 一 起 咀!我
伯 要 幸 得 更 累 一 些!死
也
皐 在 一 起!」 勢 明耀 根 受 感 動,他 緊握 着 王 鳳 的 手,望 着 地 頭 上 的秀 発,随 風 鷹 飛,
他 忘 記 了 自 己将 要 受 刑,却
椀 惜 逮 末 一 個 秀 麗 姑 娘,這 磨 年 紀 軽 軽 就 将 死 去,這
介 世 界 多 残 酷 呵!(41)
改 定 版 は、 た だ 目頭 の 一 行 「兵 隊 は ワ ー ワ ー叫 ん で い る農 民 を 門 か ら押
し出 し、 ま っす ぐ沙 水 の 川 べ りに 向 か って い っ た。」(士 兵 把 一 群 実 実 嚥 嚥
的 郷 民 推 出 門 口,直 向 沙 水 的 河 辺 走 去 。)(42)の
み を 残 して 、 残 る プ ロ ッ ト
はす べ て 削 除 され て い る。 遊 撃 隊 員 同 志 の恋 愛 が 厳 格 な革 命 観 、 倫 理 主 義
に よ る批 判 、 非 難 の 対 象 と な る こ と は、 容 易 に 想 定 で き る。 そ の意 味 で、
改 訂 版 で の 削 除 の背 景 は理 解 さ れ る。 多 彩 な人 物 形 象 、 通 俗 小 説 の要 素 の
喪 失 、 削 減 の 一 面 を物 語 る もの とい え よ う。
3.4失
われ た最終場面
第 三 部 「三 四 戦 闘 的 歓 楽 」 最 後 の プ ロ ッ ト
作 品 構 成 の 上 で 、 大 き な変 化 を生 み 出 し、 作 品 世 界 を大 き く変 化 さ せ る
シア
意 味 を もっ の が 、 最 終 章 の 最 終 プ ロ ッ トの 削 除 で あ る。 この 場 面 は、 蝦
チ ュウ
ソエ ワ ンチ 球 と遊 撃 隊 に よ る説 得 に対 して 戦 闘 相 手 とな って い た友 人 の蟹 王 七 が 降
伏 の勧 め に 応 じ、 勝 利 を 得 た後 、 団 員 が 川 岸 で 手 榴 弾 を使 い 、 戦 闘 の あ い
シアチ ュ ウ
ソヤオ ク エ イ
ま の束 の 間 、解 放 の ひ と時 を 分 か ち合 う。 蝦 球 、 小 鬼 た ち が 水 中 で嬉 々
タ ク ラオ フ サ
ンシエ
と して戯 れ 、 解 放 さ れ る姿 に遊 撃 隊 の リー ダー 大 寄 、 老 胡 、 衛 生 員 三 姐 ら
が 刺 激 さ れ 、 誘 わ れ る よ う に、 水 の 中 に、 足 を 入 れ 、 と も に魚 採 りに た わ
む れ る情 景 は、 解 放 感 と さ わ や か さ、 華 や ぎ と生 命 観 に あ ふ れ た 印象 的 な
ラ ス トシー ンで あ る。 軍 事 的 政 治 的 な 役 割 を ひ と時 忘 れ、 束 の 間 解 放 され 、
ソ ヤオ クエ イ
英 気 を養 い 、 次 の戦 闘 へ と 向 か う遊 撃 隊 員 、 小 鬼 と青 年 た ち の交 流 、 童
心 へ の 回帰 は、 魅 力 に あ ふ れ て い る。 しか し、 た と え戦 闘 の 終 了 後 と は言
え 、 手 榴 弾 を 本 来 の 目的 以 外 に使 う、 幹 部 が我 を 忘 れ で水 と戯 れ る とい う
(31)
80-394
ある人民文学作品の軌跡 と抵抗
情 景 は、 前 項 で 挙 げ た 戦 闘 の さ な か の 遊 撃 隊 員 同 士 の恋 愛 劇 に劣 らず、 政
治 的 な批 判 、 非 難 を受 け る問 題 シー ンと な り う る こ と は、 想 像 に か た くな
い。 改 訂 版 で は、 この情 景 は す べ て 削 除 さ れ て い る。 長 くな るが 一 部 割 愛
を 交 え て 訳 出 して お きた い。 戦 闘 が 勝 利 し た後 、 遊 撃 隊 の 小 戦 士 で あ る
シ ャオ ク ェイ
小
鬼 と遊 撃 隊 員 は、 勝 利 の歓 喜 の な か で、 手 榴 弾 を使 って 魚 を と り、 楽
し くほ が らか な喜 び の な か で 物 語 が 終 結 す る(図23)。
(旧 版)【 抄 録 】
テ ィン タ ク ラオ フ サ ン シエ
ソヤ オク エ イ
丁 大 寄 、老 胡 、三 姐 、三 人 は彼 らの 小 鬼 た ち を探 しにや って来 た 。
シヤ オ グエ イ
彼 らが 岸 辺 に立 って み る と、 サ ル の群 れ の よ う な 小 鬼 た ち が、 河 で
水 を ひ っか き ま わ して 、 大
きな 魚 小 さ な魚 と楽 し く戯 れ あ っ て夢 中 に
シャ オク エ イ
な って い る の が見 え た。 小 鬼 た ち は誰 一 人 、 何 人 か の 幹 部 が彼 らの
デ ィン タ ク 楽 しみ を鑑 賞 して い る こ と を 気 に留 め て い な か っ た。 丁 大 寄 は彼 ら
自身 も肌 が ム ズ ム ズ して く るの を 感 じて、 彼 らの童 心 が ま る で彼 らの
身 に も戻 って きた か の よ うに 感 じた。 彼 は心 の 中 で 強 烈 に水 の 中 に 飛
び込 ん で 行 き た い 欲 望 が 生 じた 。 この三 人 は一 言 もい わ ず 、 子 ど もた
ち が 楽 し く戯 れ て い る の を 眺 め て い る うち に、 次 第 に 彼 ら自身 の尊 い
テ ィ ン
フ テ ィ ン タ ク 立 場 を 忘 れ て い った 。 丁 、 胡 二 人 は、 見 入 って しま い 丁 大 寄 は知 ら
ず 知 らず に銃 を 置 き、 上 着 、 腕 時 計 、 靴 を 脱 ぎ、 老 胡 も真 似 して、 上
着 を脱 ぎ、 靴 を脱 いで 、 み ん な で 一 声 あ げ て 、 河 に 向 か って 行 き、 水
中 に パ シ ャパ
シ ャ飛 び は ね て 浮 き上 が って き た大 きな 魚 も小 さ な魚 も
シャオ ク エ イ
捕 ま え た 。 小 鬼 た ち も彼 らを 魚 取 りの仲 間 と して、 彼 らの軍 事 政 治
の幹 部 で あ る こ とを 忘 れ て い た 。
シア チ ュウ
略
サ ン ノエ
蝦 球 は全 身 び し ょ び し ょで 岸 に上 が る と、 突 然 三 姐 が 岸 辺 に立 っ
て彼 に 微 笑 み か けて い る の が 見 え た の で、 あわ て て手 に して い た魚 を
岸 に放 り投 げ、 振 り返 る や ボ ト ンと河 に飛 び込 ん で戻 っ た。 三 姐 は彼
女 の腕 時 計 を は ず し、 万 年 筆 を もち、 ポ ケ ッ トか ら こ ま ご ま した もの
テ
ィン タ ク を取 り出 して 、 彼 女 の照 準 器 付 の小 銃 を 丁 大 嵜 の服 の 上 に 置 き、 靴
を脱 い で 、 一 歩 、 一 歩 河 辺 に 向 か って行 っ た。 彼 女 の 足 が 水 中 に 入 っ
た 時 、 彼 女 の 子 供 時 代 が 蘇 って きた 。 彼 女 も ほ か の 者 の よ う に せ い
い っぱ い歓 呼 の声 を 挙 げ た。 ほか の者 と違 って い た の は、 彼 女 が 発 し
た の が 女 性 の感 動 的 な鈴 の よ うな 声 で あ っ た。
80-393
(32)
成践法学80号
論
説
シア チュ ウ
ニ 時 間 後 、 蝦 球 は ま た 大 隊 に っ い て 、 再 び戦 闘 に 出 か け て 行 った。
丁 大 寄 、 老 胡 、 三 姐 、三 個 人 走 来 我 他 椚 的 小 鬼 椚 。他 椚 靖 在 岸 上 看 見 見 這
一 群 猴 子 似 的 小 鬼 個 在 河 水 中 翻 騰 ,服 大 色 小 色 漸 漸 地 分 有 了 他 伯 的快 楽,忘 形
地嬉戯 。小鬼イ
門没 有 一 介 人 留 心 這 幾 個 首 脳 在 欣 賞 他 伯 的 歓 樂 。丁 大 寄 升 始 畳 得
他 的皮 朕 在 発 痒,他
的 童 心 好 像 回到 他 的 身 上 来 了 。他 心 中 有 一 股 強烈 的,要 撲
下 水 去 的 欲 望 。逮 三 個 人 一 句 循 也 不 読 。 他 イ1]望
着 這 群 核 子 的 嬉 戯,漸 漸 地 忘 記
了他 伯 自己 的 尊 在 。丁,胡
脱 他 的上 衣 、手 表 、鮭 子;老
両 人 都 看 得 入 迷 了,丁 大 寄不 知 不 覧 就 放 下 手 槍,解
胡 也眼 着 祥 学,脱 了 上 衣 又 脱 鮭 子,大 家 呼 喘 一 声,
本 撲 到河 里 去 。在 水 中,喘 哩 嘩 ロ
拉翻 了 角斗斗,然 后 去 捕 浮 上 来 的大 負 小 色,小 鬼
イ
門也 当他 椚 是 捕 負 的伏 伴,忘 記 了他 イ1]是
軍事政治的首脳 。
略
蝦 球 一 身 混 淋 淋 走 上岸 来,突 然 看 見 三 姐 靖 在 岸 邊 対 着 他 笑,他 慌 忙 把 手 上
的魚 向岸 上 衣 拐,回 頭 撲 通 一 声,跳
水 筆,掬
出 口袋 里 的 零砕 奈 西,連
回河 里 去 了 。三 姐 解 下 地 的手 表,掌
出 自来
同 地 的 航 空 曲尺 手 槍 放 在 丁 大 寄 的 衣 服 上 面,
然 后 捧 鮭 子,一 歩 歩 向河 邊 移近 去 。 当地 的脚 浸 在 水 中 吋,地 的 漸 去 的 童 年 復 活 了。
地 也 学別 人 一 祥 尽 情 的 歓 呼 起 来,不
同 的 是:地 発 出 的是 女 性 的,銀 鈴 似 的 動 人
的声 音 。… …
雨 小 時 以后,蝦 球 又 眼 着 大 隊,重 上 征 途 了。(43)
(改 定 版)で
は、 以 上 の シ ー ンが す べ て 削 除 さ れ て い る に も関 わ らず 、
ソエ ワ ンチ 作 者 は、 「戦 闘 的 歓 樂 」 の タ イ トル だ けを 残 して い る。 蟹 王 七 との 戦 闘 の
停 止 に成 功 す る場 面 で終 結 す る物 語 の 結 末 と意 味 的 に は ま っ た く関 係 しな
い 「歓 樂 」 の な い最 終 画 面(図24)に
、 あ え て 旧 作 の タ イ トル を 残 し た
ま ま 『蝦 球 伝 」 は、 奇 妙 な不 協 和 音 を 残 して、 そ の幕 を 閉 じる こ とに な っ
た。
4そ
4.1解
の 後 の 黄 谷 柳 と 『蝦 球 伝 』
放後 の黄谷柳
解 放 前 、 未 完 で 終 え る と の宣 言 が な さ れ た 『蝦 球 伝 』 は 、 結 局 未 完 の ま
ま改 定 さ れ て 終 った。 作 品 世 界 を 大 き く変 え る こ と に な った 改 訂 で あ った
(33)80-392
ある人民文学作品の軌跡 と抵抗
図23第
三 部 「二 四 戦 闘 的歓 樂 」
旧版 挿 絵
図24第
三 部 「戦 闘 的 歓 楽 」
改定版の挿絵
が 、 作 者 は改 定 の 翌1957年
、 広 東 省 陽 江 県 に 下 放 さ れ た。 この 改 定 は、
資 料 的 に は作 家 自身 に よ り行 わ れ た もの で あ る とす る ほ か 、 特 に経 緯 を 示
す 手 が か り は な い。 しか し、 作 品 最 後 の 「戦 闘 的 歓 楽 」 の タ イ トル を 残 し
た ま ま、 そ の 情 景 を 削 除 し、 「1947年10月
初 稿 、1956年6月
修 正 」 との
み 記 さ れ た 記 述 に、 作 者 の密 か な 抵 抗 の メ ッセ ー ジを読 み 取 る こ とが で き
る。(44)最終 場 面 を 削 除 され た 作 品 は 、 あ た か もぽ っか り と、 闇 の よ う な
口 を 開 け た ま ま、 無 残 な傷 口 を さ ら して い るか に見 え る。
文 化 大 革 命 時 期 、 退 休 した広 東 省 芳 村 で密 か に執 筆 さ れ た三 十 余 万 字 の
抗 米 朝 鮮 支 援 を主 題 とす る英 雄 物 語 「和 平 哨兵 」 の主 人 公 の 名 前 は ほか で
ソ アチ ュ ウ
シア
もな い 蝦 球 と同 音 の夏 球 で あ っ た と い う。 黄 谷 柳 の 娘 で あ る黄 菌 は、 蝦
チ ュウ
球 と は完 全 に異 な る人 物 形 象 で あ り なが ら、 あ え て 同 一 の 人 名 を 用 い た
ンア チ ュウ
と こ ろ に 作 者 の 蝦 球 に対 す る感 情 の 一 端 が 読 み 取 れ る と述 べ て い る。(45)
改 訂 に っ い て 語 られ た資 料 、 手 掛 か りを 一 切 残 さ ぬ ま ま、 作 者 黄 谷 柳 は、
1977年1月2日
、 右 派 問 題 で 隔絶 され て い た子 息 と の19年
果 た した後 、 脳 溢 血 に よ り急 逝 し、 翌78年
ぶ りの 再 会 を
に名 誉 が 回 復 さ れ た。
シア チ ュウ
4.2二
人 の 蝦 球 と 消 え た女 性 群 像
本 文 で 述 べ た よ う に、 『蝦 球 伝 」 は、 解 放 前 、 新 中 国 の 到 来 を 待 ち、 広
ンア チュ ウ
範 な 読 者 を 引 き っ け た 早 熟 で、 無 垢 で 、 放 将 な 、 流 浪 児 蝦 球 と解 放 後 、
80-391
(34)
成践法学80号
論
説
改 定 さ れ た 建 国 後 の ま じめで 、 善 良 で 、 国 家 が 期 待 す る模 範 的 な子 ど も と
シ アチ ュ ウ
して の 蝦 球 の二 っ の形 象 を我 々 に伝 え て い る。 そ れ は、 人 民 文 学 が 生 み
シア
出 した 解 放 の 扉 の前 で、 永 遠 の 少 年 と して 未 来 社 会 の 前 で 停 む 流 浪 児 蝦
チ ュウ
シアチ ュ ウ
球 と、 解 放 の扉 を く ぐ り、 未 来 社 会 の な か で 姿 を変 え た も う一 人 の 蝦 球
と い う、 二 っ の 人 民 文 学 の 児 童 形 象 、 人 物 形 象 を 示 して い る。 さ ら に今 、
こ の蝦 球 の 形 象 に、 新 た に改 革 解 放 後 の市 場 経 済 社 会 、 大 衆 消 費 社 会 の な
シア チュ ウ
か で生 み 出 され た 新 た な 異 系 譜 の 蝦 球 も い る。 テ レ ビ、 映 画 ・連 環 画 な
ンアチ ュ ウ
シアチ ュ ウ
どで 翻 案 化 され た多 様 な 蝦 球 を 含 む流 浪 児 蝦 球 、 時 空 間 を 超 え て生 み 出
シア チ ュウ
ソア チ ュウ
され る蝦 球 は、 蝦 球 と い う雛 型 が 生 み 出 す 多 様 な人 間 の 姿 で あ る か も し
れ な い。 放 峙 さ とま じめ さ、 正 義 感 と不 正 な ど、 人 間 の形 象 の 二 っ の側 面
を 示 す 流 浪 児 性 にっ い て 、 人 物 形 象 の 造 形 的意 義 の面 か ら も興 味 深 い 考 察
課 題 が 見 い だ され る。
お わ りに
黄 谷 柳 色 は、 『蝦 球 伝 』、 に っ い て 、 日本 語 版 『蝦 球 物 語 』 の 後 書 きの 中
で 、 以 下 の よ うに述 べ て い る、
一人 の人間 が
、 ど れ い 使 さ れ 、 い じ め ら れ た ふ る い 世 界 か ら、 人 民
と む す び っ き、 人 民 にっ か え る、 あ た ら し い世 界 に ふ み い る に は、 そ
れ ぞ れ に それ ぞ れ の 、 こ とな った け い け ん を も って い る。 一 人 の人 間
の め ざ め る早 さ お そ さ、 深 さ 、 浅 さ、 お よ び そ の い き さっ は、 み な 人
に よ っ て ち が う。 だ が 、 ど の よ う で あ れ 、 一 人 の 人 間 の 、 人 生 行 路 に
お け る 飛 躍 に は 、 一 っ の ふ ん ぎ りが な け れ ば な ら な い 。 こ れ が わ た し
の 、 小 説 の な か で 、 解 決 し な け れ ば な ら な い も ん だ い で あ っ た 。(46)
作 者 黄 谷 柳 の こ とば 通 り創 り出 され た人 物 形 象 は、 そ れ ぞ れ の人 生 行 路
を も った群 像 を 生 み だ す 基 盤 とな り、 独 自 の文 学 世 界 を構 築 しえ た。 改 定
シア チ ュウ
版 に よ り、 削 ぎ落 され た人 物 形 象 の平 均 化 と画 一 化 は、 蝦 球 、 女 性 形 象
の もっ 葛 藤 、 迷 い、 ゆ ら ぎ を削 り取 り、 あ るべ き理 想 形 と して の モ デ ル 化
に転 じて い く要 素 に な って い った。 こ こに解 放 の 前 と後 ろ に展 開 さ れ た 人
民 文 学 の軌 跡 の 一 っ を 明 確 に読 み 取 る こ とが で き る。
(35)
80-390
ある人民文学作品の軌跡 と抵抗
注
(1)重
版 情 況 の 詳 細 資料 は入 手 しが た い が、 刊 行 さ れ た 書 籍 の奥 付 だ け で も以 下
の 状 況 が 明 らか で あ る。 第 一 部1948年2月
初 版 、9月 再 版1949年2月
(2)茅
初 版 、8月3版;第
二 部1948年7月
再 版;第 四 部 『日月 争 光 」 未 刊 。
盾 「関 与 《蝦 球伝 》」 『文 芸扱 」1949年5月8日
、『茅 盾 論 中 国 現 代 作 家 作 品 」、
北 京 大 学 出 版 社 、1980年)
ソア チ ュ ウ
(3)白
ヤ デ ィ
ア ユ イ トウ
ニュウ
ス
黒 映 画 で 、 出 演 者 は、 蝦 球 が 葉 小 珠 、 亜 婦 は 昌 恩 飾 、 鰐 魚 頭 は紆 這 、 牛 仔
ヤ ソ は牛 舞 、 亜 喜 は鄭 玉 如 が 演 じた 。 黄 谷 柳 の 伝 記 、 創 作 に関 す る資 料 、 特 に 広 東
地 域 の情 報 につ い て は、 李 恵 貞 「黄 谷 柳 的 生 平 与 創 作 」(《畳 南 学 根 》 哲 学 社 会
科 学 季 刊 第1期18期
、1984年 、p92)が
詳 しいが 、記 載 年 月 な ど に は誤 記 が 多 く、
確 認 が 必 要 で あ る。 な お、60年 代 に も中 央 電 視 台 児 童 向 け テ レ ビ番 組 と して 放
映 さ れ て い る が、 生 番 組 の た め 記 録 は 残 され て い な い。 昊 泳 沁 「論 電 視 劇 対 現
代 文 学 名 著 的 改 編 」 『山 東教 育学 院学 報 』1998年5期(総69期)、1998年5月
(4)『
中 国 語研 究 』 第9期 、1949年9月
(5)河
出 書 房 『現 代 中 国 文 学 全集 」12巻 、1954年
(6)東
童86回
定 期 公 演 。12月17日
。
、 日本 評 論 社 、pp53∼68
∼12月30日
「あ とが き」p273
、 改 編 江 間章 子、 演 出 青 沼 三 郎 、
ソアチュウ
蝦 球 は新 井 房 江/入
交 ひ ろ子
東 童 編 集 部 『劇 団 東 童 創 立 三 十 周 年 記 念 小 朋 』、
1957年 、p14、 富 田博 之 『日本 児 童 演 劇 史 」、 東 京 書 籍 、1976年 、p428
(7)改
、1975年
子
夜 出 版 社 、1979年 広 東 人 民 出 版 社(再 版 二 度)、 智 明 出版 社 ・広文 出 版 社(と
訂 後 の 出版 に は、1957年 、 生 活 ・讃 書 ・新 知 三 朕 書 店1961年
も
に 広 東 出版 社 版 本 出版)、1985年
花 城 出版 社 等 が あ る。 ほ か に2006年
出 版 社 、2008年 知 出版 社 出版 、2008年
香 港 新 民 出版 社(漸
漸江文 芸
江 文 芸 出版 社 の 版 権
を 得 て 出 版)が あ る。
(8)1981年
広 東 電 視 台 連 続 ドラマ8集 化 の後 、 中 央 電 視 台 か ら全 国 に再 放 送 され
た 流 行 した主 題 歌"游 子 吟"(作
曲 馬 丁,作
伺 凱 傳,演 唱 成 方 圓)の 歌 詞 は次 の
通 りで あ る。 「都 読那 海 水 又 苦 又 威,誰 知 那 流 浪 的 悲 痛 辛 酸,遍 体 的 山 傷 痕,満
腔 的 仇 冤,(呵)游
的 脚 印(咽)血
子 的 脚 印(咽)血
泪 斑 斑 。(咽)流
浪 流 浪,流 浪 流 浪,游
子
泪 斑 斑 。 歴 尽 了 人 向的 風 暴 雨 寒,踏 遍 了 世 上 的 淘 淘 攻 攻。 人 情
的 冷 暖,世 道 的 難 難,(呵)游
子 的 心 中(ロ阿)紛 望 春 天 。(ロ阿)流 浪 流 浪,流 浪
ソア チ ュ ウ
流 浪,游 子 的心 中(口阿)紛 望 春 天 」。 蝦 球 の人 物 形 象 は、 挿 絵 の相 違 に よ り様 々
な 印 象 を 呼 ぶ。 主 な連 環 画 は、1982年
宝 分 堂 書 店(上
・中 ・下)、1984年
天津
人 民 美 術 出 版 社 版 の テ レ ビ版 の画 面 を 使 用 した 映画 連 環 画 、1984年 福 建 人 民 出
版 社 版 等 、 複 数 出 版 され て い る(図9∼11)。
月(1912∼2000年)の
ま た嶺 南 画派 の 代 表 的 な 画 家 関 山
原 画 に原 作 を加 え た画 集 式 の連 環 画 『蝦 球 伝/山
黄 谷 柳 著 、 改 編黄 潔 玲 、 関 山 月 も見 られ る(図13)。
(9)(2)に
同じ
(10)干
逢 『論 「蝦球 伝」 及 其他 」1950年3月
(11)同
上 、p5
(12)同
上
(13)『 華 商 報 』1948年9月19日;香
80-389
、 求 実 出版 社 、p3
港 新 民 出版 社 版 、p35
(36)
長水遠」
成践法学80号
(14)第
論
二 部 『白 云 珠 海 」 「十 四 揮 児 泪 別 牛 仔 」(『華 商 報 」1948年4月1日
説
、 香港
新 民 出 版 社 版 、p71、 第 一 部 『春 風 秋 雨 」 「十 九 跨 過 獅 子 山 的 山腰 」(『華 商 報 」
1947年12月28日
完 、 香 港 新 民 出版 社 版 第 一 部 、pp59∼60)に
は年 齢 に よ り、
慈 善 を 受 け られ な い 二 人 の 状 況 が 取 り上 げ られ て い る。
(15)『 華 商 報 」1948年5月20日(第
二 部 完 「狂 噛 的 海 」);香 港 新 民 出 版 社 版 《蝦
球 伝 》、P134
(16)『 華 商 報 」1948年4月9日;香
港 新 民 出版 社 版 第 二 部p81。
な お、1956年 改 定
版 で は最 初 の 「
我 没 吃 飯 了!」 が 削 除 さ れ て い る(北 京 通 俗 文 芝 出 版 社 改 定 版 、
p126)。
(17)『 華 商 報 」1948年9月24日
、 香 港 新 民 出版 社 版 第 二 部 、p42『 山長 水 遠 」 「六
生 観 音 講 道 」、 北 京 通 俗 文 芝 出 版 社 改 定 版 、p215
(18)夏
術 「憶 谷 柳
重 印 「『蝦 球 伝 」 代 序 」(1979年 広 東 人 民 出版 社 版 『蝦 球 伝 」、
)
))
))
))
))
))
)
9)
0 2
1
2)
3 2
4
5)
6 2
7
8)
9 3
0
1)
2 3
3
4)
5 3
6
1
2
2
2
2
2
2
2
3
3
3
3
(
(
( (
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(
(
p314、 『新 文 学 史 料 」1979年 、 三 輯)
干 逢 『論 「蝦球 伝」 及 其他 」
、p3
同 上 、p5
『華 商 報 』1947年12月1日;香
港 新 民 出版 社 版 、p23
北 京 通 俗 文 芝 出 版社 改 定版 、p302
同上
『華 商 報 』1948年10月15日;香
港 新 民 出 版 社 版 、p70
北 京 通 俗 文 芝 出 版社 改 定版 、p241
『華 商 報 』1948年3月11日;香
港 新 民 出 版 社 版 、p40
北 京 通 俗 文 芝 出 版社 改 定版 、p93
注(2)、pp305∼306
『華 商 報 』1948年3月29日;香
港 新 民 出 版 社 版 、pp66∼67
北 京 通 俗 文 芝 出 版社 改 定版 、p114
『華 商 報 』1948年2月11日;香
港 新 民 出 版 社 版 、pp14∼15
北 京 通 俗 文 芸 出 版社 改 定版 、p70
『華 商 報 』1948年2月15日;香
港 新 民 出版 社 版pp25∼26
北 京 通 俗 文 芝 出 版社 改 定版 、p80
『華 商 報 』1947年11月23日;香
港 新 民 出版 社 版 、p13
北 京 通 俗 文 芝 出 版 社 改 定 版 、pp13∼14、
『華 商 報 」1947年12月1日;香
港新
民 出 版社 版、p23
(37)
北 京通 俗文 芝 出版 社 改 定版 、p150
(38)
(39)
(40)
『華 商報 」1948年4月28日;香
(41)
(42)
(43)
『華 商報 」1948年11月12日;香
(44)
北 京通 俗 出 版社 改訂 版 、p337
港 新 民 出 版 社 版 、p106
北 京通 俗文 芸 出版 社 改 定版 、p257
『華 商報 」1948年2月15日;香
港 新 民 出版 社 版 、p90
港 新 民 出版 社 版 、p109
北 京通 俗文 芝 出版 社 改 定版 、p273
『華 商報 」1948年2月13日;香
港 新 民 出版 社 、pp180∼181
(37)
80-388
ある人民文学作品の軌跡 と抵抗
(45)漸
江 文 芝 出 版 社 、2006年
(46)三
一 書 房(2巻
、pp395∼396
本)1950年
、 「作 者 の あ と が き」1948年12月27日
【主 要 参 考 文 献 】
『中 国 語 」
1黄
谷 柳 『蝦 球 伝 」:『 華 商 報 」 副 刊 「熱 風 』 夏 術 主 編 第 一 部 『春 風 秋 雨 」1947年
11月14日
∼2月28日;第
二 部 『白雲 珠 海 』1948年2月8日
長 水 遠 』1948年8月25日
智 明 出 版 社1955年(第
∼12月30日
∼5月20日;第
三 部 『山
、 三 分 冊 単 行 本 香 港 新 民 出版 社1948年
一 部)、1956年(第
、
二 部)・(第 三 部)
2黄
谷 柳 『蝦球 伝」 改定 版:北 京 通 俗 文 芸 出 版 社1957年
3茅
盾 「関与 『蝦 球 伝 』」(『文 芸 扱 』 第4期
、1949年5月
、 『茅 盾 論 中 国 現 代 作 家
作 品 」 北 京 大学 出 版 社1980年)
4夏
術 「憶 谷 柳
重 印 『蝦 球 伝 」代 序 」(『蝦 球 伝 」広 東 人 民 出版 社 、1977年;『 新
文学 史 料 」1979年 、 三 輯)
5干
逢 「論 蝦 球 伝」(干 逢 『
論 「
蝦 球 伝」 其 他 」 求 実 出版 社,1950年)
6李
恵 貞 「黄 谷 柳 的 生 平 与 創 作 」(『畳 南 学 振 」 哲 学 社 会 科 学 季 刊 第1期18期
、
1984年)
7呉
〃k心 「論 屯視 劇 対 現 代 文 学 明 珠 的 改 編 」(『山東 教 育 学 院 学 根 」5期
総69期
、
1998年)
『日本 語 」
1黄
谷 柳 ・実 藤 恵 秀 ・島 田政 雅 共 訳 『蝦 球 物 培 」:三 一書 房(2巻
とが き」、 「
作 者 の あ とが き」 付
1954年 付 「訳 者 あ とが き」、 青 木 書 店(青 木 文 庫3冊
ね と う けい し ゅ う共 訳 『中 国 の 児童 文 学 」9・10太
2タ
カ ク ラ・テ ル 「
人 民 に仕 え る文 学
第1巻1期
3実
4さ
本)、1995年
「あ
・第12巻,
、 島 田 政 雅 ・さ
平 出版 社 、1975年
「
後記」
『シア チ ウ物 語 」 を よん で 」(『人 民 文 学 」
、1950年 、文 学 の 友 社)
藤恵秀 「
『蝦 球 物 語 を読 む
第5巻5期
本)1950年
河 出書 房 『現 代 中 国 文 学 全 集 」 第11巻
中 国 の ジュ リア ン・ソ レル」(書 評 、『中 国 語 雑 誌 」
、1950年 、帝 国書 院)
ね と う ・け い し ゅ う 「谷 柳"蝦
球 伝"香
港 の"浮 浪 児"」(「 中 国 語 研 究 」
9期 、1949年 、 日本 評論 社)
5千
田 九 一 「『蝦 球 物 培 」『四 世 同 堂 」『太 陽 は桑 干 河 を 照 らす 』『原 動 力 」及 び其 他 」
(「文 学 」 第19巻1期
6岡
、1951年)
本 隆 三 「"続蝦球 物 語 よ り"中
6巻4・5・6期
80-387
国文 学 の次 元 とエ ネ ル ギ ー」(『中国 語 雑 誌 』 第
、1951年 、帝 国書 院)
(38)