30-0716 新規第四級アンモニウム化合物の抗酸化能とイヌ心筋虚血再灌流障害に対する保 護作用 ○馬瀬 大介 1, 加納 誠一朗 1, 佐藤 久美 1, 笠井 俊典 1, 石原 光輝 2, 佐野 義之 2, 高垣 秀次 2, 市原 和夫 1(1 北海道薬大,2 大日本インキ化学) 【目的】虚血再灌流に伴う組織障害に活性酸素が関与している。私達は抗酸化作 用を持つ新規第四級アンモニウム化合物である TA375 と TA380 を用い、心筋虚血 再灌流時に誘導される心筋収縮不全に対する作用について検討し、更に化合物の 抗酸化能を試験管内で測定した。 【方法】ペントバルビタール麻酔開胸犬の左冠動脈前下行枝を結紮してその支配 領域の心筋を 20 分間虚血にし、その後 60 分間再灌流を行った。薬液は生理食塩 水を対照として TA375(3mg/kg)または TA380(0.3mg/kg)を虚血にする 10 分前に左 大腿静脈より投与した。実験の間、連続的に血行動態と心筋収縮力(%SS)の変化を 測定した。%SS は一対の超音波クリスタルプローブを虚血となる領域に装着し心筋 壁長の変化として百分率で表した。実験終了後(再灌流 60 分後)に虚血再灌流領域 の心筋を採取して液体窒素下で凍結クランプし心筋代謝物の測定に用いた。TA375 および TA380 の抗酸化能は CLA 化学発光法と ESR を使用し測定した。 【結果および考察】全ての群で虚血時に%SS が低下し、再灌流は低下した%SS を回 復させるが前値レベルには戻らず心筋収縮不全が観察された。TA375 投与群では再 灌流時の%SS の回復が対照群と比較して有意に認められ、再灌流 60 分後の心筋 ATP 含量も高値であった。TA380 投与群では、再灌流時の%SS は対照群と比較して高い ものの、再灌流時に VF が高頻度で出現した。試験管内で TA375 の・O2-消去能は認 められず、・OH 消去能もわずかであった。TA380 は・O2-と・OH の両方を消去した。 心筋虚血再灌流障害の改善には必ずしも強力なラジカル消去能が有用とは言えな いかもしれない。
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