追加発表演題:第1会場 16:55-17:10 32 新規エストロゲン受容体転写

追加発表演題:第1会場
32
16:55-17:10
新規エストロゲン受容体転写共役因子
BRD4の機能解析
目崎 喜弘 1、神津 円 1,2、高田 伊知郎 1、加藤 茂明 1
1
東京大学分子細胞生物学研究所
2
東京大学医学部産婦人科
組織特異的にアゴニスト/アンタゴニスト活性を示す SERM の作用メカニズムについてはいまだに不
明な点が多い。そこでfull length のERαを恒常的に発現する HeLa 細胞株を用いてSERM 結合時の
ERα相互作用因子を精製した。FLAG 抗体によるアフィニティー精製とSuperose 6によるゲル濾過精
製により、ラロキシフェン存在下において BRD4 と呼ばれるブロモドメイン蛋白質を同定した。そこ
で BRD4 の ERαコファクターとしての機能を検討したところ、BRD4 は N 末側転写活性化能 AF-1
を促進した。次にERαとBRD4 の相互作用をIP-Western により検討したところ、タモキシフェン添
加時には両者の結合が強まることが判明した。BRD4 の deletion construct を用いたレポーターアッ
セイにより、N 末側ブロモドメインを削ったとき AF-1 コアクチベーター活性が消失することが判明
した。ペプチドpull down アッセイにより、BRD4はヒストンH4 のK5 およびK12のアセチル化を
特異的に認識することが判明した。ER
αターゲット遺伝子のプロモーター領域におけるヒストンのア
セチル化状態をChIP アッセイにより調べたところ、エストロゲン添加時にはヒストンH4 のすべての
リジン残基のアセチル化が亢進するのに対し、SERM添加時にはヒストンH4 のK12のみアセチル化
が亢進することが判明した。以上の結果より、SERM の作用メカニズムにはBRD4 を介するヒストン
アセチル化状態の変化が関与することが示された。
追加発表演題:第1会場
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17:10-17:25
分子遺伝学的アプローチによるヒト性ステロイドホルモンレセプター
新規転写制御因子の網羅的 Screening 系の構築
伊藤紗弥 1)、武山健一 1)2)、沢津橋俊 1)、Alexandre Kouzmenko1)2)、城出裕子 1)2)、鈴木絵里子 1)、真
木彰郎 1)、Yue Zhao1)、山形薫 1)、相垣敏郎 3)、多羽田哲也 1)、加藤茂明 1)2)
1)東大分生研、2)科学技術振興機構SORST、3)都立大院理
性ステロイドレセプターの転写制御を担う転写共役因子群はクロマチン構造変換を介して転写活性
化の組織特異性を規定すると考えられる。組織特異的な転写活性化メカニズムを把握するために、タン
パク複合体精製法により新規転写共役因子の同定が試みられているが、相互作用では単離し難い因子の
取得は困難である。そこで本研究ではショウジョウバエの分子遺伝学を導入し、ヒト性ステロイドレセ
プターの転写活性を指標とした転写共役因子Screening系の構築を試みた。
ショウジョウバエで発現させたヒトアンドロゲンレセプター(hAR)、ヒトエストロゲンレセプター
(hERα)のリガンド依存的転写活性はショウジョウバエ転写共役因子の制御を受けて発揮することを明
らかにした [1)Ito et al.]。そこで、遺伝子過剰発現・変異系統であるGS lines を用い、hAR の転写活
性を指標としたScreeningを試みた。その結果、機能既知因子の中ではSu(Var)2-10、eIF-4a、SOG
が hAR 転写共役因子として単離された他、Zinc finger、BTB/POZ、RNA binding ドメインを含む
機能未知な新規因子を多数同定した。さらに、同定した因子のヒトホモログのうちRNA bindingドメ
インを含むp100 によるhAR 転写活性抑制、BTB/POZ ドメインを有するSPOP による hAR 転写活
性促進を培養細胞を用いたレポーターアッセイにより明らかにした。今後これらの因子の転写共役機能
やクロマチン構造変換能について詳細に解析する予定である。
1)
Ito et al., 2004, Genes to Cells ,in press