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醫學博士
細
谷
省
巴 里 パ ス ツ ー ル研 究 所 近 信
傳染病 研究所
吾
細 菌學 の 創 造 主 と仰が れ る パ スツー ル先 生 の 爲 め に つく ら れ た パ
スツー ル研 究 所が 今 日猶 ほ學 會 に 隠 然 た る 大 勢 力 を 占 め、 こ ゝか
ら 生れ る 業績 が 世界 の細 菌 學 者 か ら 注 目 を ひ いて 居 る事 は 驚 く べ
き 程で あ る。﹁カ ルメ ット﹂の B C G、﹁ラ モ ン﹂の ﹁ア ナ ト キ シ ン﹂の 如
き 孰 れ も學 界 の ﹁カー レ ン ト ク エ ツ シ ヨ ン﹂た る を 失 は な い。 私 は
命 を 受 け て 二年 間 主 とし て 此研 究所 に學 ん だ 。 其 間 に受 け た 印 象
をざ つ と述 べ さ せて頂 き 度 い、 巴 里 の南 西 隅 デ ュト ン 街 を 挾 ん で
南 側 の建 物 は主 とし て 細 菌學 部 、 北 側 は化 學 部、 化 學 療 法 部 及 び
﹁ヂ フ テ リ ー﹂
部 よ り な つて居 る、
所 長 と し て パ スツー ルの高 弟 ルー
ガ 采 配 を 揮 ひ 副 所長 と し て 結 核 の ﹁カ ルメ ット﹂、 ﹁
ヂ フ テ リー ﹂の
七七 二
じ て居 る。年 こ そ老 ひ た れ 斯 界 の 大家 を 網 羅 せ る 感 が あ る。巴 里郊
外 の附 屬 血 清 製 造所 は ﹁アナ トキ シ ン﹂に 依 つて名 聲あ ま ね き、 ラ
モ ンを 所 長 とし 僅 か に 二名 の獸 醫 を 助 手 とし て 千 百餘 頭 の馬 匹 を
免 疫 し 乍 ら 續 々 と業績 を登 表 し て居 る。
現 在 此研 究所 から 生れ た 業績 の内 最 も 注 目 せら れ つ ゝあ るも の を
記 し て御 參 考 に 資 し た い と思 ふ。 最 初 に 指 を 屈 す 可き は カ ル メ ッ
ト教 授 の 結 核 免疫 に關 す る 大 業績 であ る。 カ ルメ ット及 び 高弟 ゲ
ラ ンが 十 數 年 來 牛 型 結 核菌 を、 膽 汁 を加 へた 馬鈴 薯 培養 基 に 代 を
重 ね て今 日に 至 つ た、 之 を海 冥 に 注 射 し て も 粟粒 結 核 を起 す 事 な
く 時 に 小數 の結 核 を つく る のみ で 敢 へて進 行 す る恐 れが な いの み
な ら ず 強毒 な 結 核菌 に對 す る免 疫 を得 るの で あ る。 動物 實 驗 より
出 發 し て初 生見 殊 に結 核 の家 庭 に 生れ た 乳 兒 は 生 後 十 日以 内 に 生
菌 を 三囘經 口 的 に與 へら れ る、
實 施數 は昨 春 既 に 七萬 を 超 へ在留 邦
人も 喜 ん で 之 を 愛 兒 に 施 し て居 る。 佛 國 に 於 け る 乳 兒 の結 核 に 於
け る死 亡率 は劇 減 し、 同教 授 の 聲 望 は 實 に隆 々た るも のが あ る。
マ ルタ ン教 授 の高 弟 ラ モ ンは 大 戰 中馬 匹 不 足 の た め ﹁ヂ フテ リー ﹂
ルバデ イ チ、 ベ ス ルド カ、 プ チ ー 、 サ リ ン ベ ニ、 マ ルシ ユウ、 ワ
を 發 揮 せ ざ り し にも 拘 らず 、 是 等 の 動物 の 血 液 中 に は 高 度 の抗 毒
お いた の で あ るが、 偶然 之 を 大小 の 動 物 に大 量 注 射 し て 全然 毒性
毒 素 の過 剩 に 苦 しん だ 末 、 之 に ﹁フ ォ ル マリ ン﹂を 加 へて 保 存 し て
イ ン ベ ルグ等 高 名 な る 細 菌學 者 及 び ベ ルト ラ ン、 フ ルノー の 如き
素 が存 在す る事 を 認 め た。有 名 なAnatoxi
n の 研 究 は 茲 に端 を 發 し
マル タ ンが 實 務 を鞅 掌 し て居 る、各 部 の 主 任 は教 授 を 以 て 呼ば れ、
大 化學 者が 主 任 とし て自 ら 孜 々 とし て 試 驗管 を振 り、 且 指導 に任
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シ ン﹂とな し 馬 匹 を 免 疫 し て 短 時 日 に抗 毒素 血 清 を 得 て居 る。同時
マリ ン﹂を 四% の割 合 に 加 へ三 十 七度 半に 四 週 間 貯 へて ﹁アナ ト キ
た ので あ る。毎 週 二 百 立 以 上 の ﹁
ヂ フテ リ ー﹂毒 素 を 製 造 し ﹁フォ ル
ルソー ル﹂ の 發 見者 とし て有 名 で あ るが 目 下 一門 を 擧 げ て マラ リ
化學 療 法 部 の 主 任 た る フ ルノー 教 授 は經 口的 驅 黴剤 た る ﹁スト バ
ー ン﹂の外 科 學 界 に 於 て盛 ん に 應 用 さ れ て居 る。
又 は局 所 に 注 射 を 試 み ,時 に 卓 效 を擧 げ て居 る。 こ の 問 題 は ﹁
ヴイ
チヴ ィー ル ス﹂ の研 究 に 沒 頭 し て居 る。 葡 萄 状 球 菌 連 鎖状 球 菌 を
局 所 免疫 な る Theori
e を 建設 し た ベ ス ルド カ教 授 は數 年 來 ﹁ア ン
意 研 究中 であ る。
ミ ン﹂ 類 を除 去す る事 に成 功 し た 。 之 を 應 用 す る免 疫 法 に 就 て 鋭
單 に し て確 實 な る精 製 法 を 考 案 し 毒 素 か ら 蛋 白 質 及 び 有 毒 な ﹁ア
起 す る事 が 多 し と の非 難 が あ る。 私自 身 は ﹁
ヂ フテ リー ﹂毒 素 の簡
射 は 上 述 の缺 點 を 有 し な いの で は あ るが 局 所 竝 び に 全身 反應 を惹
者 を 出 した 例 も 尠 く な い ので あ る。 ﹁ア ナ ト キ シ ン﹂に依 る 豫 防 注
清 が ﹁アナ フ ィラ ク トー ゲ ン﹂とな り得 る 事 等 が 擧 け られ る、 犠 牲
化 に 依 り 毒 素抗 毒 素 が 分 離 す る事 、 抗 毒 素 とし て用 ひ ら る ゝ馬 血
防 注 射 を 行 つ て居 るが 缺 點 と して 製 法が 複 雜 し て 居 る事 、 P
Hの變
に十 萬 を超 へて居 る。 米 獨 墺 に 於 て は 毒 素 抗 毒 素 混 合劑 を 以 て豫
プ ト スピ ラ、イ ク テ ロ ヘモラ ギ エ﹂(
稻 田 、 井 戸 )を 注 射 し た る五 日
療 法 を發 表 し て學 會 の耳 目 を聳 て し め た。 之 に 依 れば 海 冥 に ﹁レ
的 ワイ ル氏 病 の蒼 鉛 療 法 を、 サ リ ン ベ ニ教 授 と 共 に 鼠 咬症 の 蒼鉛
て創 意 せら れ た も ので あ るが サ ヾ ラ ック は中 村 拓 博 士 と共 に 實 驗
黴 毒 の蒼 鉛 療 法 は サ ヾラ ック、 及 び レバデ イ チの 協 同 研 究 に 依 り
て居 る。
る照
脳炎研 究 の旁 ら實 驗 黴毒 の 蒼鉛 療 法、 ﹁テ ルー ル﹂療 法 を 研 究 し
有 名 な レバデ イ チ教 授 は嗜 眠 性腦 炎、 ﹁ヘルペ ス﹂、 種 痘 に 續 發 す
に研 究 を 續 け て居 た 。
つたが 大 製 藥 會 社 よ り研 究 費 出 張 費 一切 の供 給 を 仰ぎ 非 常 に熱 心
て 居 る、 私が 佛國 を 出 發 す る迄 に は大 な る 發 見 に 到 ら な い樣 で あ
し て ﹁カ ナ リ ア﹂に經 口的 又 は皮 下 に 注 射 し 病 芽 に對 す る效 力 を 見
物 と し、 砒 素 、 ﹁キ ニン﹂、蒼 鉛 を中 心 と し て 幾 多 の化 合 物 を 合 成
別 の化 學 療 法 の研 究 に 精進 し て居 る。 多 數 の ﹁カナ リ ア﹂を 實 驗 動
に ラ モ ンは マ ルタ ン と協 力 し て ﹁
ヂ フテ リー アナ ト キ シ ン﹂に 依 る
病 竈 から 分 離 し 之 を ﹁
ブ イ ヨ ン﹂に 培養 し た る後 ﹁シ ャ ン ベラ ン﹂濾
後 即 ち 黄 疸 を 發 す る 前 日酒 石 酸 蒼 鉛 ﹁ナ ト リ ウ ム﹂の 一% 水溶 液 を
兒 童の ﹁
ヂ フ テリ ア﹂に 對 す る豫 防 注射 を大 規 模 に 試 み て實 施 數 既
過 器 で 濾 過 し た る濾 液 に 更 ら に 同 一菌株 を 移 植 培 養 し 、 其 濾 液 を
七七三
注 射 す る時 は海 冥 の罹患 を防 ぎ得 る の で あ る。 私 も 之 を 模 倣 し て
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以 て丹 毒 、﹁フ ル ンケ ル﹂、﹁フ ルグ モー 子﹂等 の 局 所 に 濕布 を 行 ひ、
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實 驗 的 秋 疫 の蒼 鉛 療 法 を 行 ひ 卓 效 を得 た。 之が 實 際 に ど の位 應 用
さ れ 得 るか 本 邦 學 者 の 批 判 を期 待 す る も の であ る。
マ ルタ ン門 下 のボ ー ド ルメー ルも 二 十 年 來 結核 免 疫 の研 究 に 沒 頭
し て 居 るが 之 亦 興 味 あ る 業 績 を報 告 し て居 る。 氏 は ﹁ア スペ ルギ
ル ス、フ ミ ガー ツ ス﹂ を 無 蛋 白 培養 液 に 一ケ月 培養 し ﹁シ ャン ベラ
ン﹂濾 過 器 を 以 て濾 過 し 得 た る 無 菌 的 の濾 液 に 、結 核 菌 の 多 量 を 浸
し、 十 四 日間 孵卵 器 に 放置 す る時 は 結 核 菌 は 抗 酸 性を 失 ひ 且普 通
七七四
生理 的 食 鹽 水 に ﹁エム ルジ オ ン﹂とな し 、之 を 猿 (﹁マカ ク ス、レー ズ
ス﹂)の 腦膜 下に 注 射 す る と三 週 間 の 潜 伏期 の後 に 定 型 的 の症 状 を
起 し て斃 れ る。 此 猿 の延 髓 の ﹁エム ルジ オ ン﹂が 無 菌 的 な る 事 も確
か め た る後 、 更 に 猿 か ら 猿 へ累 代 接 種 し今 日 で は 四 日乃 至 六 日の
潜 伏期 の後 麻 痺 を起 し、發 病 四 十 八時 間 以 内 に 斃 れ る 、こ の中 樞 神
經 系を ﹁グ リ セ リ ン﹂中 に貯 へる時 は ﹁ヴ イ ルス﹂は 永 く 感 染 力 を失
ふ事 な し 。 之 を以 て數 囘 馬 匹 を免 疫 し 高 度 の 免疫 血 清 を 得 た。 歐
く 變 性 し た結 核 菌 を ﹁グ リ セリ ン﹂寒 天 に 二 三 代 移 植發 育 せ しむ る
あ り と臨 牀 家 か ら 報 告 さ れ て 居 る。
る。 發 病 の早 期 に 血 清 を 筋 肉 内 及 び脊 髓 腔 内 に 注 射 す る時 は卓 效
洲 に は毎 年 非常 な 流 行 を 示 す も ので あ るか ら、 廣 く 用 ひ られ て居
時 は抗 酸 性 を 再 び 獲 得 し 海 冥 に對 す る 病 原 性 も恢 復 す る。 こ の變
此濾 過 性 病 原 に對 す る 傳染 病 の血 清 療 法 を 更 ら に 黄 熱 に 應 用 せ ん
寒 天培 地 に 大腸 菌 の如 く 二 十 四 時 間 内 に旺 盛 な 發 育 を 遂 げ る。 か
性 菌 を 以 て 加 熱 ﹁ワ クチ ン﹂を つ く つて 免疫 元 とし て用 ふ るの で あ
とし て居 る。 プ チー 教 授 は ア フリ カに 於 け る 黄 熱 患 者 か ら ﹁マカ
教 室 に は常 に數 十頭 の ﹁マカ ク ス﹂が 群 居 し て居 る。
値 如 何 は不 明 で あ るが 植 民省 は莫 大な る研 究費 を 供 し、 同教 授 の
に 數 囘 反覆 注 射 し て 高 度 の 免疫 血清 を つく り 得 た 、 未 だ 實 際 の 價
に﹁
ヴ イ ルス﹂(
罹 患 ﹁マカ ク ス﹂の肝 臓 ﹁エム ルジ オ ン﹂)を 馬 の皮 下
時 は其 血清 中 に ﹁ヴ イ ルリ チデ イ ン﹂の發 生す る事 を 認 めた ので 更
ク、ス レー ズ ス﹂に移 し得 た る ﹁ヴ ィー ル ス﹂を沸 々 に 數 囘注 射 す る
る。 此 實 驗 に對 し て 佛國 擧 士院 は賞 を 侵け た。
ボ ッケ、 子ー グ ル雨 氏 は Ant
ig
en mghy
l
iqe
u
を 發 表し 米 國 から
の賞 を得 た。 即結 核菌 を ﹁ア セト ン﹂を 以 て 浸出 し た後 、﹁メチー ル
ア ル コー ル﹂ に 浸 し て 二週 間 三 十 七 度 に 置 く、 この 浸出 液 から 低
温 を 以 て ﹁メ チ ルア ル コー ル﹂を 去 り 食 鹽 水 に 浮 游 し た る ﹁エム ル
ジ オ ン﹂を Antigen methy
l
iqueと命 名 し補 體 結 合 反應 の ﹁ア ン チ
ゲ ン﹂とす る時 は 結核 の早 期 診 斷 に 資 す る處 大 なり と云 は れ る。
プ チー 教 授 の ハイ 子 メヂ ン氏 病 (
小 兒麻 痺)の 血 清 療 法 も有 名 であ
る 一九 一四 年 該 病 で斃 れ た 小 兒 の 脊 髓 延 腦 を 無 菌的 に とり 出 し 、
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歐 米 病 院 見 六ま ゝ
醫學博士 梶
塚
隆
二
各 地 の 病院 を
昨 年 中 官命 に 依 つ て歐 米 の重 な る國 々 を 遍 歴 し、 主 とし て防 疫 に
關 す る 研 究 機 關 を 視察 し て歩 い た傍 ら 、 チ ヨイく
訪 れ てそ の 數 二 十近 く にも 達 し た。 今 餘 り 深 い 注 意 を 彿 は な か つ
た患 者 治 療 の 新 方針 と か趨 勢 と か い ふ事 には 觸 れな いで、 弦 に は
主 に病 院 の 一般 施設 に就 て見 た ま ゝを、 二 三總 括 的 に記 載 し て 御
參 考 に 供 し た い と思 ふ。
一、 病 室特 に 傳染 病 室
一般 病 室に 就 ては 殊 更 取 り 立 て ゝ書き 擧 け る程 の事 は な い。 男 女
共學 が 普 通 とさ れ、 男 女 の交 際 が 自 由 で 而 も 風紀 が 可 な り に 紊 れ
て居 る と思 は れ る彼 地 で、 男 女 の 病 室 丈け は 病棟 を 異 にし 、 小 病
院 で も階 上 階 下 と いふ 風 に別 れ て 嚴 重 に 區劃 され て居 り , 其 の出
入 り も 八 釜 し く 取締 つ て居 る の は面 白 い。 又 多 く の病 院 で は 輕 症
患 者 の寝 臺 毎 に、 ﹁ラヂ オ レシー バー﹂を 取 附 け てあ る のが 目 に 著
り馬 や其 他 の數 多 の玩 具が 患 兒 の 使 用 に 委 し てあ る。 病 室 に 附 屬
し た廣 い ﹁バ ル コ ニー ﹂は テ ー ム ス河 に突 き 出 て、 對 岸 の 有 名 な 議
會 の 建築 と相 對 峙 し て 居 る。 こ の子 供 の ﹁パ ラ ダ イ ス﹂には 勿 論 家
族 の附 添 は 一人 も 居 ら ず、 四 五 歳 の幼 兒 が 温 順 し く看 護 婦 相 手 に
遊 ん で居 つた。 ま た在 ミ ュン ヘン、 ﹁シ ユ ワー ビ ング﹂病 院 の 最 近
新 築 し た 小 兒科 病 棟 は 、 病 室 の 間 仕 切り を 硝 子 張 り に し て、 一人
の看 護 婦が 四 つ位 の竝 ん だ 病 室 を 見 通 し つく 樣 に し てあ る のが よ
く 出 來 て居 る と思 ふた 。
傳 染 病 室 は 主 とし て消 毒 に關 す る 一般 施 設 を 注 意 し たが 、 豫 期 に
反し て餘 り に 無頓 着 な のは 意 外 で あ つた。
各 病 室 は傳 染 病 の 種類 に應 じ て 病 棟 を 異 に し て居 るのが 普 通 で 、
少 く とも 猩 紅 熱 、﹁
ヂ フテ リー ﹂の類 と 腸 ﹁チ フ ス﹂、赤 痢 等 腸 管 系 傳
染 病 は嚴 重 に 區 分 さ れ てあ る (
歐 米 共 前 者 は 患 者 數 比較 的 多 く 後
者 は寥 々た るも ので 、 我國 の状 態 とは 概 ね 反 對 に な つて居 る)。結
構 な こ とで あ るが 、中 に は例 外 も あ つ て、 腸 ﹁チ フ ス﹂患 者が 往 々
他 の患 者 と 一所 に 收容 さ れ て る の を 見 た 。 例 へば 、伯 林 ﹁シ ヤリ テ
に少 數 の腸 ﹁チ フ ス﹂患 者 と共 に丹 毒 患 者 の幾 人 か を 容 れ て 居 つ
ー﹂病院 の ﹁チ フ ス﹂病 室 は ﹁バ ラ ック﹂建 の お粗 末 な も のだ が 、此 處
倫 敦 の セ ン ト トー マス病院 の 小兒 科 病室 が 、宛 ら 小兒 の娯 樂 室 か
た。又 紐 育 の ﹁ベ ルビ ュー ﹂病 院 で は 、 一般 内 科 病 室 の大 廣 間 の 一端
く 位 の も の で あ る。 今 個 々の病 室設 備 で印 象 に残 つ て 居 る の は、
と思 は る ゝ計 り の 施 設 で、 壁 に は 小 供 の好 き さ うな 美 し い 額 や掛
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に 腸 ﹁チ フ ス﹂患 者 を 一名 收容 し て居 り 、 こ の病 床 には 蚊 帳 を 吊 つ
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物 が 澤 山掲 げ られ てあ り 、机 の 上 に は奇 麗 な 花 が 盛 ら れ 、床 に は乗
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七 七六
在 ハ ンブ ルグ 、 ﹁エ ッペ ンド ルフ﹂病 院 の ﹁チ フ ス﹂病棟 の 入 口 に近
く 看 護 婦 長 の 居 室が あ つ た。寝 臺 も あ る し 器 具調 度 か ら 見 ても 、婦
て隔 離 し (
十 二 月中 旬)、 足側 に ﹁ピ ラ ミ ッド﹂形 の高 い 三脚 臺 が 置
いてあ つ て、 消 毒 藥 、 尿 、 便 器 及 二三 の 器 具が 段 々に し て載 せ ら
長 は 一年中 弦 に居 住 し て居 る様 で あ るが 、 恐 ら く 病 室 を 見 廻 つ て
に よく 見 る様 な中 間 地 帶 な る も のを 設 計 し て な い、 つま り 普 通 病
し 、退 出 の 時 は簡 單 に 手 を 消 毒 す る 丈 け であ る。 從 て 日本 の 病院
の 儘 で出 入 を す る。 入 口の近 く で そ の 病 室備 付 け の作 業 衣 を着 脱
囘 檢 便 檢 尿 し て 菌 陰性 な る事 を確 か め て から 出 す のだ か ら 其 必要
案 内 の ド クト ルに 退院 時 の 消 毒 浴 方法 を 尋 ねた ら 、﹃
退 院 の前 に 數
習 と比 較 し て他 人 事 なが ら 不 安 を感 じた ので あ る。 尚 こ の病 院 で
ー ザ ロ ン﹂ の上 に 身 を 横 へる で あ ら う 事 を想 像 し、 吾 々 日常 の慣
來 た其 儘 の靴 で 、 手 も特 別 に消 毒 す る と い ふ事 も な く 、室 内 の ﹁セ
れ てあ り 、 こ の患 者 專 用 の診 察 衣 が 掛 けら れ て あ つた。
室 と殆 ど變 つた事 が 無 い とい ふこ と にな る。 個 々 の 小 病 室 の 出 入
を 認 めな い﹄ と いふ 答 を貰 つ て恐 れ 入 つた。
病棟 乃至 病 室 の入 口 に は靴 底 を消 毒 す る 装 置 は無 く 、 職 員 は土 足
に關 し て も 同様 何等 の消 毒 装 置が 無 い、 ま た廊 下 等 に消 毒 鉢 を 置
面 會 者 は 一切病 室 内 に 入 る を許 さな い。 讐 へ患 者が 幼 兒 乃 至 乳 兒
患 者 浴 室 は 大 抵設 備 し てあ るが 、 ﹁セ ント トー マ ス﹂病院 の 隔 離 病
に 持 つて 行く 樣 で あ る。
患 者 病 衣 は 一度 消 毒 藥 に 浸 漬 し て か ら、 蓋 のあ る運 搬 具 で 消毒 所
至 一夜 色 々で あ る、 ﹁ク ロー ル﹂石灰 を使 用 し て居 るも のも あ る。
外 か ら 之 れを 引 いて や るも の (﹁シ ュワー ビ ング ﹂病院 小兒 ﹁
ヂ フテ
ば 廊 下 に面 し た硝 子 窗 に 幕 を 張 つ てあ り、近親 者 の 面 會 に來 た時 、
あ つた。是 等 面 會 者 の爲 め に特 別 の装 置 を し て 居 る處 も あ る。例 へ
て 、 人 生 の 悲慘 事 の樣 にも 思 はれ 、 ま た 治 療 上羨 ま し い限 り でも
お互 に 喜 ん で 手 を 振 り合 つて る 丈 け で あ る。 我 國 の 慣 習 か ら見
あ る幼 兒 の顔 が 見 え た、母 親 が 何 か云 ふて も聞 え さ うも な い、た ゞ
つ て居 る患 者 の 母 親 を見 た。 やが て 病 室 の窗 の 内 側 か ら 恢 復期 に
﹁フ ラ ン ツ ヨ セ フ﹂病院 の猩 紅熱 病棟 で 、 見 舞 に來 て 屋 外 野 天 に 立
の場 合 、 面 會 者 が 最 近 親 の も の であ つ ても 同 樣 で あ る。 ウ ヰ ンの
いてあ つた事 も 記 憶 し な い。
病 室 の床 面 の消 毒 に就 て は、 廊 下 は勿 論 病 室 内 の 床 面 は、 一日 一
囘 ﹁ク レゾ ー ル﹂水等 で消 毒 し て居 る の は上 の 部 で 、 患 者 の退 入 時
以 外 は た だ の 石 鹸 水 で普 通 の 掃 除 をす る丈 け のが 少 く な い。 屎 尿
室 で は 移動 式浴 槽 を 使 つて居 つた 。ま た こ の 病 室 で は、室 の 一隅 の
リ ー﹂病 室)、屋 外 の憲 下 に階 段 を 造 つ て置 き、昇 れ ば 室 の内 部 が 覗
等 排 泄 物 の消 毒 は ﹁ク レゾ ー ル﹂水 消 毒 が 多 く、 消 毒 時 間 は 二 時 乃
床 面 に 一尺 四 方位 の 汚 水 捨場 が 切 つ てあ つ た の を 記 憶 し て居 る。
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か れ る樣 に出 來 て居 る (パ ストー ル研 究 所 附 屬 病院 、伯 林 ウ ヰル ヒ
ョー 病 院 等 )が 如 き で あ る。
二、 消 毒 所
歐 米 の大 病 院 に於 け る 蒸 汽消 毒 装 置 は 立派 な も の であ る、特 に 獨
逸 のも のが よろ し い。 床 は多 く白 ﹁タ イ ル﹂張 り で 氣 持 よく 清 潔 に
常 温 や 六 十度 位 の 温 度 を 與 へて 居 る の も あ る。 こ の消 毒 時 間 も 區
々で あ つ て 一定 した 型 は無 い樣 だ 。
﹁シ ュワー ビ ング﹂病 院 で 見 九 汚 水 消 毒 装 置 は、 傳 染 の危 險 あ る汚
水 の處 分 法 とし て は、先づ 理想 的 と い ふて よ から う。之れ は傳 染 病
棟 の地 下 室 に設 備 し てあ り、 消 毒 釜 は 五 十 立 入圓 擣 形 で合 計 十 一
蒸 汽 消 毒 の温 度 と時間 は 、 各國 共 又 同 一國 内 で も 病 院 によ つて色
は 不 思 議 な 程嚴 格 に躾 け て居 る。
てあ る處 も あ る。 概 し て 傳 染 病 室 勤務 の寛 大 な割 合 に、 消 毒 所 で
を 全然 遮 斷 し て、 兩 部 の 服 務 者が 全 く交 通 出 來 ぬ 様 に八 釜 し く し
るの は叮 寧 で あ る。更 に ﹁エ ッペ ンド ル フ﹂病 院 の 如 き 、未 既 消 毒 部
めに 、 こ の廻 廊 の 一部 に 、 兩 部 別 々に 便 所 と 浴槽 とを 設備 し て あ
を附 し て容 易 に は交 通 出 來 ぬ樣 に し て あ り 、 消 毒 所 の 勤務 員 の爲
で は 同 一建 物 内 の兩 部 を 廻 り 迂 つた廊 下 を以 て 連 絡 し、 各 所 に 扉
部)と未 消 毒 部 (不潔 部 )とに 別 れ て居 るが 、﹁シ ュワー ビ ング﹂病院
な 室 で 動 力 を 用 ひ、 自 動 洗 濯 、 入 工乾 燥 を す るこ と勿論 、遠 心器
大 病 院 は何 れも 大 仕 掛 に や つ て居 る。 大 抵 白 ﹁タ イ ル﹂張 り の 清 浄
三、洗濯場
居 つ ても 少 し も 惡 臭等 な く、 極 め て清 潔 に實 施 さ れ て居 る。
二 乃 至 三個 の消 毒 釜 を 一囘宛 使 用 すれ ば 足り る と いふ 消 毒 室 内 に
百 ) から 排 出 す る汚 水 を 消 毒 す る爲 、 毎 日 午 前 五 乃 至 六 個 、 午 後
建 の傳 染 病 室 (
患 者數 は聞 き洩 し たが 全病 院 の ﹁ベ ット﹂數 は 千 六
持 續 した る後 ﹁ハー ン﹂を開 いて下 水 に放 棄 す る。 可 成 大 き な 四 階
昇 し 約 一時 間 に し て 九十 七度 に達 す る、 こ の温 度 を 更 に 三 十分 間
れ に 五分 の二 丈 け 常 水を 注 加 し て蒸 汽 を 通 す る。 温度 は 次第 に 上
個 竝 べ て あ つた。 こ の釜 に 内 容 約 五分 の三 の 汚 水を 導 き 容 れ 、 之
色 で あ る 、教 科 書 に麗 々しく 書 いて居 る 樣 に は ﹁キ チ ン﹂と行 は れ
應 用 の 搾 り器 械 も 使 つ て居 る。 手 術 室 等 で 用 ひ た 不 潔 の も の は、
出 來 て居 り 、 掃 除 も 亦 克 く 行 届 いて居 る。 何 れ も 既 消 毒 部 (
清潔
て居 な い。 例 へば 一〇 五 乃 至 一 一〇度 三 十分 、 一〇 五度 二 時間 、
豫 め 煮 沸 消 毒 の 後 別 室 で下 洗 ひ を し て か ら 器 械 に 掛 け る。 火 慰 斗
る。
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も 自 動 的 多 く は 電氣 装 置 で や る、 さな が ら 工 場 に 行 つた感 じ が す
一 一〇 度 四 十 五 分 、 一二 〇度 三十 分 と い ふ類 で あ る。
﹁フ ォ ル マリ ン﹂瓦 斯 消 毒 装 置 を 同 時 に備 付 け て 居 る のが 普 通 で あ
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る。 壓 の加 は ら ぬ簡 單な 消 毒 器 も あ れ ば 、 眞 室 装 置 も あ り、 ま た
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は個 々思 ひ く
居 る こ と周 知 の 通り で あ るが 、 病 院 に 配 達 され てか ら の消 毒 方法
所 や 大 供給 所 で は 一般 に低 温 消 毒 (
六十 四 五度 三 十 分 間 )を や つ て
病院 に 於け る牛 乳 の消 毒 方 法 を 注 意 し て見 た。 歐 米 共 に 牛 乳搾 取
炊 事 場 に 牛 乳消 毒 装 置あ るも のが 尠 く な い。
の は無 論 ﹁エレ ベー ター ﹂を 使 用 す る。
る處 で は、 炊 事 場 から 病 棟 迄 ﹁ト ラ ック﹂で運 搬 し 、 高 い 建 築 の も
を 用 ひ、 獨 逸 の某 々病 院 の樣 な 一階 建 の病 室 が 澤 山 建 て竝 ん で居
食 事 運 搬 の際 、 副食 物 を冷 却 さ せ ぬ爲 め に色 々に 考 案 し た 運 搬 車
器 、 野 菜 調 理 器等 を 備 付 け て居 る。
藏 室 に は ﹁ア ムモ ニア﹂瓦 斯 冷 却 装 置 が し てあ り、 新 式 の 食 器 洗 滌
膳 所等 に區 劃 され てあ る、 米 國 の新 病 院 は 設 備 最 完 全 で 、 食 品 貯
副食 物炊 焼 室、 野 菜 調 理 室、 魚 肉 調 理 室 、 食 品貯 藏 室 、 洗 揚 、 配
室 の樣 に 掃 除が 行 届 いて居 る の が 羨 し い。 大 病 院 で は 麺 麭 焼 室 、
ず に 仕事 が 出 來 る。 之 れ も 多 く は 床 に白 ﹁タ イ ル﹂を張 つ て、 手 術
主 食 に麺 麭 を 用 ひ る歐 米 の炊 事 場 は、 割 合 に清 潔 に 、 床 を 濡 らさ
四、炊事場
で あ る の は意 外 であ つた 。 例 へば あ る 病 院 で は 十
控 室 側 で 行 は れ る 。 屍體 は 控室 か ら 明 る く よ く 見 え るが 、氣 密 に
され る。 屍 體 置 場 と遺 族 控 室 と の間 は 硝 子 間 仕 切 り で 、 禮 拝 等 は
體 置 場 に 上 つ て來 る。 解 屍 を 要 す るも のは 直 ぐ 隣 り の解 剖 室 に 移
通 つて 運 搬 さ れ 、 試 驗 室 の地 下 室 に 來 て から ﹁エ レベー ター﹂で 屍
に別 れ て居 り、屍 室 を 兼 ね て あ る。患 者 屍體 は 各 病棟 か ら地 下 道 を
﹁シ ュワー ビ ング﹂病 院 の試 驗 室 は、 一棟 の内 に 病 理 部 と細 菌 部 と
反 應 と マイ ニッケ氏 溷 濁 反 應 が 最 も多 く 行 は れ て居 る。
に 二 、三 の沈 降 反 應 を 併 用 す る、獨 逸 で は ザ ック ス、 ゲ オ ルギー 氏
瑞 等 で は無 暗 に 黴毒 反 應檢 査 の材 料が 多 い。 大抵 引氏 反應 と同 時
は各 國 共 大 同 小 異 の設 備 で特 記 す べ き も の は 無 い。 獨、 墺 、 匈 、
室 の組 織 で 、 各 病 室 に は 小規 模 の試 驗 室 を 附 屬 す る。 細 菌 檢 査 室
大 病 院 で は 病 理 、 細 菌 部 、 化學 部 等 に 別 れ て居 り 、 多 く は 中 央業
五、 病 理 試 驗 室
様 の消 毒 を す る。
ルク﹂・﹁豆 ミ ル ク、 ト マト ミ ルク﹂、葡 萄 糖 水 等 を調 合 し て 分 注、同
にな つ て居 り 、 醫 師 の處 方 に 依 つて ﹁バ ター ミ ル ク﹂・﹁シト ロ ンミ
を附 屬 し てあ る。 小 兒 科 病院 の 牛 乳消 毒 所 は加 工乳 調 理 所 と 一所
は れ居 る今 日、 研 究 改 良 し て は どう で あ ら うか)。大 抵 は 冷 却 装 置
七七八
分 間 、 あ るも の は 二十 分 間 の 煮 沸、 あ る病 院 は八 十 五 度 三 十 分 間
遮 斷 さ れ て居 る爲 め に 、 何等 の臭 氣 も 無 く 接 觸 感 染 等 の憂 ひ も更
叢
等 比 較 的 高 温 消 毒 を や つて 居 る。(
日 本 の 病院 で も 牛 乳 の 消 毒 方 法
に無 い。 病 院 の屍 體 室特 に傳 染 病院 の 夫 れ は 、 か く あ り た いも の
談
に は案 外無 關 心な 樣 で あ るが 、﹁ヴ ィ タ ミ ン﹂の破 壞 を 八釜 し く 謂
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下 別 々の 寝 衣 式 で、 獨 逸 の様 な青 や赤 の縱 縞 の 木綿 物 も あ れ ば、
病 衣 は 施 療 患 者 に丈 け 一定 の も のを 支 給 す るも のが 多 い。 形 は 上
焦 茶色 に塗 つた も のも あ る。
が 多 い。 廊下 な腰 を 白 や著 色 ﹁タ イ ル﹂を 張 つた のも あ り、 深緑 や
く 、其 病院 毎 に 一樣 で あ る 樣 だ 。 天井 は 色 を 附 け す に白 色 の も の
薄 卵色 等 色 々で あ る。 病 症 の種 類 に 依 つて 色 別 け し た も の で な
病 室 や廊 下 の壁 の 色 を 氣 を 附 け て 見 た。 病 室 は薄 緑 、 灰 色 、室 色、
六、 其 他
で あ る。
甚 し い様 で あ る と見 た。 (
了)
り 、 又 錠劑 、 製 劑 、 溶 液等 が 非常 に多 い。 こ の傾 向 は殊 に米 國 に
處 で あ る。 之が 爲 め 病 室 との處 方 の 連繋 が 簡 單 に 出 來 上 つ て居
勤 務 員 も 極 め て 小 人數 で間 に合 は し て居 る のは 、 豫期 し な か つ た
調 劑 室 は、 歐 米 の可 な り の大 病 院 で も 、 設 備が 一般 に 小規 模 で、
當 し て居 る の は、 可 なり 進 歩 的 だ と思 ふ。
師 及 技 術者 を附 し 、 別 に治 療 部 を 獨 立 さ せ、 之 亦 專 任 の醫 師 が 擔
骨 部、胸 部 内 臓 、腹 部 内臓 の 三科 に別 れ て竝 ん で居 り、各 、專 屬 の醫
で 夫 々各部 病 室 に送 る。 ﹁ベ ルビ ュー ﹂病 院 の ﹁レ ントゲ ン﹂科 は、
が あ つて專 屬 の醫 員 に 受 持 た せ る。 茲で 治 療觀 察 し經 過 を見 た 上
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英 國 で 見 た様 な澁 茶 色 の 不 快な 感 じを 與 へるも のも あ る。
獨 逸 と米 國 で 見 たが 、 新 入院 患 者 入浴 に 堪 へ得 る も のは 、 患 者 入
口の 近 く に 一定 の脱 衣 所が あり 、 先づ 入 浴 を さ せ、 着 て來 た 衣 類
は ﹁ヅ ック﹂の 袋 に 入 れ て 、 地 下 室等 に吊 り 下 げ て 保 管 し て居 る處
が あ る。
歐 洲 大 陸 の 病院 で 見 な か つた 事 で 、 米國 の 病院 施設 中 氣 が 附 いた
事 が 色 々あ る。 貧 し い患 兒 の爲 め に繪 畫 や 玩 具製 造等 の 輕 易 な職
業 教 育 を や つた り 、 永 く 入 院 し て 學 業 の 逞 れ た 患 兒 に 小學 校教 育
を補 習 せし む る爲 、教 場 を設備 し 教師 を傭 ふ て 居 る の は面 白 い。又
夜 間 、 休 日等 に 臨 時 入 院 し た 患 者 や、 病院 に 收 容 は した が 極 め て
叢
重 症 で 運 搬 の 困 難 な 患 者 の爲 め に 、 受 附 病 室 とも 云 ふべき 特 別 部
談