コールドデータにおける磁気テープの現状と 将来技術 PRESENTATION TITLE GOES HERE 2015年7月9日 富士フイルム株式会社 記録メディア事業部 江尻 清美 目次 テープストレージのトレンド テープへの期待 テープのユーザー事例 テープストレージの特徴 大容量化 低コスト テープ技術 大容量技術 信頼性向上 利便性 まとめ 2 テープストレージのトレンド 出荷容量は継続的に増加し続けている 富士フイルムの調査結果では、全世界のテープ出荷容量は、2008~ 2013年にかけて年率約20%で増加しおり、直近1年ではさらに加速 傾向が見られる。 3 テープに期待されていること なぜテープを増やすか? Storage IT Decision Makers, June 2012 北米企業対象調査 データ量の増大 信頼性が高い 高セキュリティ 大容量 パフォーマンスが良い 予算内で運用 コストメリット 他のテクノロジーより簡単 0 10 20 30 40 50 60 % JEITA Tape Storage Technical Committee http://home.jeita.or.jp/upload_file/20130924142035_HeGRhaN95v.pdf 4 テープに期待されていること データ損失の原因 コンピュータウイルス 6% 盗難 9% 自然災害 3% ハードウェア故障 40% ソフトウェア故障 13% Source: David M. Smith, Ph.D., Pepperdine University 人為的ミス 29% JEITA Tape Storage Technical Committee http://home.jeita.or.jp/upload_file/20130924142151_WbQPI2w6x4.pdf 5 テープの使用状況 使用目的 アーカイブ/バックアップ 研究機関 映像、娯楽 気象 ITベンダー、 製造業 文化資料保管 NCSA NIH NERSC CERN OSU JAXA RIKEN 事業継続 コスト削減 USC U. Oklahoma CIT NASA Oxford Univ. 千葉大 Red Bull Media House Los Angels Lakers MLB Endemole Fox Sports Magic TV Maple Leaf German Weather Service Météo France ECMWF nVidia T3 Media Google Anna Aluminium CSC Bombardier CyArk LOC 6 具体的事例① - NCSA National Center for Supercomputing Applications High Performance Storage System (HPSS) : 380 PB 非常に柔軟でスケーラブルな階層ストレージ管理システム 最近使われたデータはディスクに、 あまり使われなくなったデータはテープに保管 Redundant Arrays of Independent Tapes (RAIT)— ディスクRAIDに類似なテープ技術 テープ巻数とフロアスペースを1/5に削減 並列動作によりデータのストレージとリストア性能が向上 http://www.ncsa.illinois.edu/news/story/ncsa_puts_worlds_largest_high_performance_storage_system_into_production 7 具体的事例② - Météo France データ総量の80 % をテープに保存 数年内に大量のデータ増加が見込まれる 2015 : 40 TB / day Æ 15 PB / year 2018 : 400 TB/ day Æ 150 PB / year 低コストで高信頼性のストレージシステムが必要 フロアスペースと省電力も重要 http://www.meteofrance.com/ 8 具体的な事例③ - Google 2011年のGmail障害時に消失したデータはゼロ 最終的に全データはテープから復旧された 2013, Google, Raymond Blum; バックアップにテープRAID (Redundant Array of Inexpensive Device) を使用 NYC Tech Talk Series: How Google Backs Up the Internet https://www.youtube.com/watch?v=eNliOm9NtCM テープ5巻のうち1巻をパリティ 、4巻をデータ(RAID 4) 容量効率は80% http://highscalability.com/blog/2014/2/3/how-google-backs-up-the-internet-along-with-exabytes-of-othe.html 9 テープの特徴 ストレージメディア間の比較 HDD (Capacity テープ 光ディスク Enp.) 現 状 記録容量 [TB/unit] 2.5~10 (1巻) 転送速度 [MBPS] 160~360 ~分 (含マウント時間) アクセス時間 数ミリ秒 138 (Read) ~分 (含マウント時間) 3~5 (50) [$/GB] 0.015(LTO) 0.06 - 相対値 1/10~1/30*1 [年] 容量単価 排CO2量 ハードエラー率 Write後 同時Read Verify *1 160~210 1.5 (12枚) 30 媒体寿命 技術特徴 4~10 1E-17~1E-20 可 BaFe磁性体 1 テープ同等 1E-15 - - - SMR 多層化 CO2排出量:JEITAテープストレージ専門委員会、テープストレージ動向(2013) 10 テープの特長① -記録密度(容量)の将来性 10000 記録密度(容量)の進歩が実証され、伸び しろが大きい HAMR? 1000 2 0 % / y 面記録密度[Gbpsi] 3 5 % / y 220TB 100 HDD Tape Dem o L T OLTO E n tEnterprise e r p r is e IN S IC 154T B 1 0 0 % / y 10 Tape:30-35%/y 3 5 T B 8T B BaFe J C L 6 1 1T B 0 .1 2000 MP 2005 2010 西 暦 2015 2020 2025 11 テープの将来展望 LTOロードマップ 48TB 25TB 数字は非圧縮の場合 1100MBPS 708MBPS 12.8TB 472MBPS 6.4TB 315MBPS 2.5TB 1.5TB 0.4TB 0.8TB 160MBPS 140MBPS 120MBPS 80MBPS LTO3 2005 LTO4 2007 LTFS LTFS LTFS LTFS LTO5 2010 LTO6 LTO7 LTO8 2012末 (2015) LTFS LTO9 LTFS LTO10 BaFe MP 12 テープの特長② -低コスト 低TCO(Total Cost of Ownership) 大規模システム、長期間 保存ほどテープストレージのコストが下がる 様々なモデルで試算されており、HDDのみで構成するストレ ージより低コスト 5年間1PBのデータ保存の場合: HDDの半分のコスト (Spectra Logic) 導入1PBで年率45%、9年後28PBまでデータ増加する場合 :HDDの1/26のコスト (Clipper Group) 省電力で環境にやさしい データ保存のための電力不要なので消費電力が少ない 動作電力だけでなく、発熱量が少ないので空調のための 電力消費も少ない 13 テープの特長③ -Verifyの即時性、高転送速度 ヘッド <ディスク> 転送速度=線記録密度×周速 転送速度はディスクの回転数で制約さ れる。 記録後にVerify <テープ> テープ進行方向 6-7m/s 側面 平面 アクチュエータで上下動 回転 ガイドローラー Fwd Rev 記録・再生素子 ヘッドモジュール 記録と同時にVerifyが可能 転送速度=線記録密度×テープ搬送速度 ×CH(素子)数 転送速度はCH数を増やすことで向上。 図1-5.磁気ヘッドと媒体の位置関係 14 テープ技術 高容量 ナノサイズの微小な磁性粒子 超平滑なメディア表面 磁性層の薄層化 正確なトラッキング位置制御 書き込み、読み出しヘッド技術、信号処理技術 高信頼性 化学的安定性 磁気的(熱的)安定性 >>30年以上の寿命 利便性 磁性層(上層) 非磁性層(下層) ベースフィルム バックコート LTFS JEITA資料 15 テープ技術 – 大容量化① 磁気テープの技術変遷 デジタル化 10 1.0 面記録密度 [Gbpsi] NANOCUBIC-BaFe ATOMM 0.1μm 0.1 10-20nm Magnetic Layer 50-100nm NANOCUBIC-MP Non Magnetic 1μm Layer 35-45nm Substrate Film Magnetic Layer LTO-6以降 50-100nm 1μm Non Magnetic Layer Substrate Film LTO-4~5 Magnetic Layer MP 0.25μm(Particle Size) Non Magnetic Layer 0.2~0.3μm 2~3μm NANOCUBIC 技術 Substrate Film 0.01 LTO-1~3 Magnetic Layer 3~5μm Substrate Film 1990 超微粒子磁性体 薄層磁性層 高度な分散技術 放送用ビデオ 2000 2010 16 テープ技術 – 大容量化② 磁性粒子体積の低減 1.E+06 メタル磁性体 バリウムフェライト 粒子体積 (nm3) 1.E+05 1.E+04 1.E+03 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 17 テープ技術 – 大容量化③ バリウムフェライト磁性体(BaFe)とメタル磁性体(MP)の特徴 <MP> 酸化保護膜 微細化 Fe-Co Alloy 針状比低下 (細くすることが困難) 保磁力低下 形状磁気異方性 長手方向に磁化される 保磁力は針状比に依存する。 保護膜が薄くなる 化学的に不安定(錆びる) <BaFe> 微細化 BaFe 結晶磁気異方性 板面に垂直方向に磁化される。 保磁力は形状に依存しない。 錆びない(元々酸化物) 18 テープ技術 – 大容量化④ テープ表面の電子顕微鏡写真 MP (LTO5) BaFe 長手方向 幅方向 19 テープ技術 – 大容量化⑤ 磁性粒子の体積と保磁力(Coercivity)の関係 250 Coercivity (kA/m) BaFe 製品 200 123Gbpsデモ MP 150 100 500 1000 1500 2000 2500 Particle Volume (nm3) 3000 20 テープ技術 – 大容量化⑥ SNR (Signal to Noise Ratio) の記録密度依存性 LTO6 LTO5-6 21 テープ技術 – 信頼性向上① 富士フイルムの調査結果では、近年のLTO-5,6の故障率は、かつ てのテープシステムDDSやDLTと比較して激減している。 かつての問題点 走行によるテープ ダメージ 保存安定性 解決策: 現状 シンプルな走行系 粘着、耐久性劣化防止 記録磁化の安定化 22 テープ技術 – 信頼性向上② エッジ規制によらないトラックフォロー トラッキング概念 時速21.6km 長さ800m以上、太さ7μm以下の綱渡り テープ規制比較 DLT:ヘッド固定、テープを 強制的に直進させる。 LTO:ヘッド動かして追従 させる。(サーボ技術) 23 テープ技術 – 信頼性向上③ トラックレイアウト (LTO6) Servo Band 0 データバンド:544トラックで構成、822m Data Band 3 Servo Band 1 Data Band 1 Servo Band 2 Data Band 0 Servo Band 3 テープ幅: 12.65mm Data Band 2 Servo Band 4 テープ全幅で544×4=2176 トラック (トラックピッチ:8μm) 製品出荷時にあらかじめ記録された磁気ストライプ 磁気ヘッド サーボバンドとサーボヘッド 16chのデータヘッド データバンド ストライプ情報(下記)に基づき *アクチュエターでヘッド位置制御 *モ-ター回転数で速度を制御 サーボバンドとサーボヘッド トラッキングサーボ技術でガイドによる規制緩和も可能になった。 24 テープ技術 – 信頼性向上④ 大容量(高密度記録)のデータを長期保管 記録媒体の保存安定性がますます重要 過去に生じた保存問題の原因究明を徹底的に行い対策 有機材料(バインダー、潤滑剤)の化学変化抑制 環境中の水分による加水分解:塗膜強度の低下により、走行耐久性 劣化、粘着等の障害 >>独自の分子構造設計により安定化 磁性材料の変化による記録信号減衰抑制 熱揺らぎ:周囲の熱で、記録磁化が減衰 酸化反応により、磁性体の磁力が低下 >>安定な微粒子BaFe磁性粉 25 テープ技術 – 信頼性向上⑤ 高温高湿環境下 Ms(飽和磁化) 減衰 (%) 0 -5 -10 -15 -20 メタルテープ バリウムフェライトテープ -25 0 1000 2000 3000 4000 磁性粒子体積 (nm3) 5000 60’C, 90%RH, 30日保存後 (~室温環境の30年に相当) 26 テープ技術 – 信頼性向上⑦ テープ信頼性と長期保管に関する発表論文 Katayama et. al. “Long term stabilities of magnetic tape for data storage in office environment,” J. Appl. Phys. 117, 17E305 (2015) Kurihashi et. al. “Effect of Thermal Conditions on Bit Error Rate for Barium-Ferrite Particulate Media,” IEEE Trans. Magn. 49, 3760, (2013) Shimizu et. al. “Distribution of Thermal Stability Factor for Barium Ferrite Particles,” IEEE Trans. Magn. 49, 3767, (2013) Kurihashi, et. al. “A study on stabilities of linear tape system in High temperature and high humidity,” submitted to SC15 (2015) 27 テープ技術 – 利便性 LTFS技術: Linear Tape File System 従来のリニアテープ(LTO4まで)はバックアップ用のデータストリーマー ファイル単位でのデータ取り扱いが出来ず、アクセス、検索不便 テープ用途拡大:大容量アーカイブデータをアクティブに利用 >>LTO5からテープを複数の領域に分割(パーティション) ファイルシステム化 LTFSがもたらすメリット ホストからテープ上のファイルに直接アクセス可能 ディスク同様の作業性(ドラック&ドロップ) ネットワークとの親和性向上(NASとしての利用も可能) アクティブアーカイブへの適用 28 まとめ テープシステムはその特徴から様々な業界、研究機関、学術 機関などで不可欠なデバイスとして幅広く使われている テープの記録容量は継続的に増加し続けており、220TB/巻の 将来技術も発表されている テープシステムのデータ転送速度は継続的に増加しており、高 精細動画等、大容量・高転送速度が必要なコンテンツのアーカ イブをサポートしてゆく。 テープシステムの信頼性は非常に高く、メディアは30年以上の アーカイブ寿命を持つ。 TCOを低減できる低コストで高性能なストレージ 29 Thank you! PRESENTATION TITLE GOES HERE
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