旧武藤邸だより

第13号 2015 年夏号
兵庫県立舞子公園 旧武藤山治邸 | 078-785-8610
旧武藤邸だより
シーサイド浪漫コンサート 開催
5月30日(土)に「シーサイド浪漫コンサート」を開催しました。見た目に
も迫力あるアルペンホルンの音色が響き渡ると、スイスの風景が眼前
に広がるようでした。お客様も一緒に歌える時間もあり、皆様笑顔で
土曜の午後を過ごされていました。
☆今後毎月第4土曜日に「シーサイド浪漫コンサート」を催します。
旧武藤邸2階書斎
□サロンコンサート(毎月第 3 土曜日)
これからのイベント情報
4月 亀山翔太郎(フルート)、亀山幸代(ピアノ)
6月 平田英治(サクソフォン)、南川弥生(ピアノ)
7月
□シーサイド浪漫コンサート(毎月第4土曜日)
5月 北野完一(ピアノ)、中嶋將晴(アルペンホルン)、茂山美都子(フルート)
竹中勇太(ファゴット)
6月 中嶋將晴(ホルン&テノール)、佐野健二(ギター)、中嶋常乃(ソプラノ)
□イベント
○4月8日マジック教室 ○4月11日モンゴル生活文化映像上映会
○4月25日地域交流ジョイントコンサート
○5月2日~4日 GW カフェ ○5月14日アロマテラピー
○5月23日今と昔を訪ねる垂水・舞子歩き ○5月24日庭園コンサート
○6月3日マジック教室 ○6月13日学術サロン“井上通泰の「播磨国風土記」研究”
○6月28日ソプラノ・バリトンコンサート
4日(土) 地域交流サロン
ソプラノリサイタル
9日(木) アロマテラピー
18日(土)サロンコンサート
25日(土)浪漫コンサート
26日(日)馬頭琴コンサート
8月
5日(水) マジック教室 /自由研究
15日(土)サロンコンサート
22日(土)浪漫コンサート
23日(日)地域交流サロン
馬頭琴演奏発表会
9月
モンゴル生活文化映像上映会
GW カフェ
四季を巡るアロマテラピー
12日(土)学術サロン
19日(土)サロンコンサート
26日(土)浪漫コンサート
*日時変更やイベント追加の場合がござ
いますので、詳しくは舞子公園ホーム
ページでご確認ください。
今と昔を訪ねる垂水・舞子歩き
春の庭園コンサート
マジック教室
http://www.hyogo-park.or.jp/maiko/
イベントのお問合せ・お申込みは
tel:078-785-8610 (旧武藤山治邸)
学術サロン
6月サロンコンサート
ソプラノ・バリトンコンサート
*毎月第3土曜日午前中は2階バ
ルコニーを開放しています。
第13号 2015 年夏号
写真1:『Faust’s Map
and Guide of San
Francisco』
写真 2:『今のブラジル』
写真 3:『移住論』
武藤山治のブラジル移住事業と旧武藤邸の書斎
山本 長次 (佐賀大学経済学部教授)
武藤山治(1867-1934)は、近代の鐘紡や福沢諭
吉のおこした新聞社であった時事新報の経営者、政
治家、そして政治教育施設の國民會館の創立者等
の肩書きを持ちますが、さらにブラジル移住事業の
推進者でもありました。
武藤が移住事業に関心を持つきっかけは、青年時
代のアメリカ留学でした。彼は 1885 年にサンフラン
シスコに渡りますが、折しもその船には、明治政府が
正式に公認する形で、ハワイに移住した 1 回目の移
住者約 1000 名も、ホノルルまで同船していました。
彼はサンフランシスコにおいてタバコ工場勤務や醤
油販売を経験するとともに、サンノゼにあったパシ
フィック大学(現在はストックトンに移転) に学び、
1887 年に帰国しますが、この年には丸善より『米国
移住論』を出版します。この本では、慶應義塾の先輩
にあたる尾崎行雄からの推薦文に続いて、アメリカ
の状況や彼の移民観について述べ、最後に移住会
社の設立の必要を説いています。
鐘紡を率い、政党・実業同志会を結成し、衆議院
議員としても活躍していた武藤は、1928 年にブラジ
ルのアマゾン河流域への移住を事業目的とした南米
拓殖株式会社(南拓)を設立します。武藤は、ブラジ
ルにおける綿花生産の可能性、そして当時の日本で
は、人口過剰問題と食糧問題から海外移住事業に
関心が持たれておりましたので、鐘紡経営関係と同
第6号 2013 年秋号
社の社会貢献として、南拓創立の必要性を株主に説
きました。翌年には、パラー州トメアスに第 1 回の移
住者 189 名が渡ります。ブラジルへの日本人移民が
正式に開始されるのは 1908 年のことで、その主な移
住先はサンパウロ州でしたが、アマゾン河流域への
移民のはじまりは、この南拓の事業でした。
さて、このような武藤のブラジル移住事業に興味を
持つ筆者は、彼の渡米、海外移住観、ブラジル情報
の収集、そしてブラジル移住事業について関心を抱
きながら、旧武藤邸2階の書斎の調査を試みました。
まず、武藤の渡米に関しては、『Faust’s Map and
Guide of San Francisco』(写真 1)という冊子が目を引
写真 4:『米国南部
紡績事情』
写真 5:福原八郎の記帳
きました。残念ながら、地図の部分がなくさらに発行年
が特定できないものでしたが、アメリカ合衆国の説明
部分や、新聞社の掲載部分ほかに下線やチェックがあ
り、彼のアメリカ事情の理解、醤油販売店勤務時代の
新聞広告とのかかわり等への示唆を得ました。ちなみ
に、彼が帰国した 1887 年に銀座に開業した「各新聞
広告取扱所」が、日本における新聞広告取扱業の先
駆ともされております。
続いて、武藤のブラジル事情の理解として、1907 年
に出版されている中島鉄哉『今のブラジル』(中西屋書
店)(写真 2)という書籍を蔵書としていたこと、武藤の移
住論者としての知名度を知る上で、1906 年に出版され
たアメリカ人の米陽斯密士著で光吉元次郎による訳書
である『移住論』(経済雑誌社出版)(写真 3)が、訳者の
光吉から武藤に贈呈されていることなどにも興味を持
ちました。また、武藤から南拓の経営を託されたのは、
鐘紡取締役の経験を有する福原八郎でしたが、彼の
『米国南部紡績事情』(大日本紡績連合会、1903 年)
の所蔵(写真 4)、武藤の没後 7 周年記念祭参列者の
芳名録への福原自筆による記帳(写真 5) なども、目を
引きました。
武藤の移住へのメッセ-ジは、信用を得るための定
住と長期的視野でした。彼は福原に対し、20 年後の成
功を期待しましたが、折しもトメアスでは、第 2 次世界
大戦後に胡椒ブームが到来することで、繁栄をきわめ
ました。そして、現在のトメアスは、環境破壊の防止と、
農業収入の両立を図るアグロフォレストリー(森林農
業)の取り組みで、世界的に注目されております。
募集しています!
・旧武藤邸「地域交流サロン」で演奏してみたい。
・お花の展示をしてみたい。
・テーブルコーディネートをしてみたい。
・・など
詳しくは当館にお問合せください。なお、内容によっ
てはお断りすることもありますのでご了承ください。
編集発行 県立舞子公園管理事務所
所在地 神戸市垂水区東舞子町 2051
Tel 078-785-5090 Fax 078-785-5109