自然保護活動に参加して - 北海道道央地区勤労者山岳連盟

発行日 : 2012年 12月19日 第 237号
発 行 : 北海道道央地区勤労者山岳連盟 機関紙部
発行責任者 : 尾谷 賢
札幌市北区北 10 条西 1 丁目 和幸荘
〒:001-0010 電話:011‐747‐7268
連盟だより
自 然 保 護 活 動 に 参 加 して
道央地区勤労者山岳連盟理事長 沼田 祐司
今年一年、連盟の自然保護活動に参加しました。
7月の高山植物監視登山では雨竜沼湿原を愛する
会、9月の自然保護セミナーでは山のトイレを考
える会&美瑛山岳会。今年もいろいろな団体にお
世話になって、予定した行事を何とか終了するこ
とができました。
道央連盟は、山岳の自然環境を守る活動をする
組織にも参加しています。
『北海道高山植物保護ネ
ット』もその一つです。保護ネットが開催する市
民フォーラムでは、道内各地で取り組まれている
山を守る活動を知ることができました。
今、北海道の山はエゾシカの食害や外来植物の
浸入による固有種の減少、温暖化による植生の変
化(高山植物の減少)
、登山者の排泄物、登山道の
崩壊(利尻山では山の斜面自体の崩壊)などの問
題を抱えています。そんな中で、幌尻岳、アポイ
岳、夕張岳、キリギシ山、利尻山、礼文島・・・、
道内では山の自然を守り、登山道を守る様々の活
動が地元の人達の手で地道に取り組まれているこ
とも知ることができました。そして、その活動は、
地域の過疎化と高齢化のため、活動を継続するこ
とが厳しい状況にあることも現実のようです。
そのような現実を知り、私達の登山活動を考え
させられました。
広い北海道。私達札幌地域の登山者はクルマで
出かけ、そして、山に登って帰って来ます。山を
歩いていると、
「○○山岳会」と名が入った標識を
目にすることがあります。その山は地元の方々が
崩れた登山道を補修し、笹狩りをしているのでし
ょう。当然、土地(森林)所有者である国・道・
市町村や環境担当官庁が業務に当たることもある
でしょうが、その場合でも、実際には地元山岳会
の方々が作業をしているようです。地元の方々が
整備した登山道を、私達都市部の登山者が利用さ
せていただいている訳です。冬山には「ラッセル
泥棒」という言葉がありますが、僕には類似した
構図と思えてなりません。
道央地区連盟は函館地区の団体を除き、札幌・
小樽の都市部に住む登山者で構成されています。
小樽・赤岩や占冠・青巌峡、洞爺・義経岩などで
クライマーによる環境維持の活動が行われていま
すが、札幌近郊の山の登山道を維持し守る活動は
耳にしたことはありません(僕の知らない活動を
している方々もいらっしゃるかもしれませんが)
。
「登山も自然に少なからずの負荷を与えている
ことを登山者として考えなければいけないので
は?」
「地方でいろいろな活動をしている方々のお
手伝いができないだろうか。
」
「私たちも地元の札
幌の周辺の山を守る行動をしなければならないの
では?」 自然保護委員会でも度々そんな議論が
あります。
道央地区連盟では自然保護の活動として、全て
の会・クラブの参加を得てクリーンハイク(以前
は「清掃登山」という名称)を行ってきました。
今、登山道にほとんどゴミがない状況になってい
ます。登山者のマナーは改善したということでし
ょうか。そんな状況にクリーンハイクの必要性を
疑問視する声も出ています。でも、前記した通り
私たちが登山を楽しむフィールドにはいろいろな
問題があります。
これからも登山を楽しむ環境を残し、引き継い
で行かなくてはなりません。大雪に何箇所か設置
されているトイレ。そこにはペットボトルやプラ
スチックごみ等が棄てられています。それは登山
者が棄てているのです。高山地帯では登山道が流
水で川の様になり、そこを避けた踏み跡がお花畑
に広がっているところもあります。その踏み跡は
登山者のものです。
これから、登山者として私たちが取り組まなけ
ればならない活動は何でしょうか?
-1-
2、関連報告
大谷 守正
関連報告・OB会
報告
「新人や
新人や若い人に魅力ある
魅力ある山岳会
ある山岳会とは
山岳会とは何
とは何を意味す
意味す
るのか!」
るのか!」―
山岳会を運営する
運営する側
心構え―
!」―山岳会を
する側の心構え
スタッフは入会した若者、まず彼らの生きた時代、
活きてきた環境を確認し彼ら世代の特徴を把握し、
第 41 回北海道登山研究集会報告
第 1 分科会報告
「新人や
新人や若い人に魅力ある
魅力ある山岳会
ある山岳会となるために
山岳会となるために」
となるために」
座長:宮本清司 基調報告:大野 茂
関連報告:大谷 守正
新たな目線で若者や会を見直すことが必要である。
現代の若者は「自らの夢を描きづらい時代の中で物
心がつき、マスコミの溢れんばかり中に身を置き、ま
たパソコン、ネット、携帯など様々なコミュニケ-シ
参加者:24 名(会員 23 名 一般 1 名)
はじめに
最近の山岳会の共通した悩みは、
一部の会を除きやはり若者の登山
ョンが提供され、
それを当たり前のように使いこなし、
ばなれによる会員の高齢化、それ
に伴う会活動の停滞や衰退が会員減の原因かと、毎年
言われ続けながら決定的な対策が見出せず現在に至
っているのが現状かと思います。
山ガ-ル、山ボ-イとか言われる若者に登山ブ-ム
が来たような風潮がありますが、一部の会を除いてそ
れが反映されていないのが現実です。しかし、ニ-ズ
があってもそれを取り込む事が出来ないほど、会その
ものが弱体化しているのかもしれません。
労山は、その解決策として「個人会員制度」を今年
度から導入しましたが、組織会員で成り立っている
個々の山岳会にとっては何の解決策にもなりません。
この機会に改めて山岳会の原点に立ち返って、会員や
特に「新人や若い人に魅力ある山岳会となるために」
を話し合ってみましょうと云うのが今回のシンポジ
ュウムなのです。
1.基調報告
最初に連盟の組織部長大野茂氏より、最近 2 年間の
市民登山教室の参加人数や年齢構成等の報告、座学や
実習登山の動向やその後の山岳会への入会状況など
の基調報告ありました。
1)昨年あたりから市民登山教室の応募が増え会場の
関係で人数制限をした。来年以降は大きな会場の確
保必要になる。
2)初心者の参加より経験者の参加が多い(中高年が
多い)
。初心者向けの教室を別途用意出来たら良い。
3)座学については分かりやすく概ね理解できたと評
価された。
4)実習登山では習った事の実施が難しかった。読
図・コンパス等。
5)登山スク-ル、登山研究集会の参加の勧誘、参加
者の入会者が少ない。
(工夫が必要)
きてきたといえても、浮ついた底の浅いいまの文化の
自分たちの独自の文化を創出する存在として時代を活
下支えを彼らがしているのです。
戦後教育は半世紀を越えた今まさに制度疲労を
きたし、様々な問題が露呈するにもかかわらず抜本
的改革がなされぬまま彼らが育ち、ひたすら自立、
個性化そしてキャリア意識の強化と声高に虚しく
叫ばれる中で、偏差値という画一化された物差しに
押し込まれ自主自立とは反対に受動的にみを処さ
ざるを得なかったように映る」とまで言い放つ人も
いますので、心当たりのある人もいると思います。
今最も必要なことは、そのような新人や若者を自
主自立した人材に如何にして育成することが出来
るかです、今の囲い会う古い集団疑集性で固まって
いる山岳会やクラブが殻を脱いで新人や若者に自
ら進むべき遠方指向性をもたせ、山岳会ブランドを
彼らに作らせる能力をいまの現役の山岳会やクラ
ブの人達が持つことが出来るかどうかが鍵となっ
ているのです。
各会の
現状報告と
3.各会
の現状報告
と自由討論
人員構成、
新人、
若者に
する対応
対応など
○人員構成
、新人
、若者
に対する
対応
など
・道東地区 帯広労山
30 代~50 代が主で入会者もその年代が多い、若
い人達とは地元の大学生と交流している、人員に
ついてもここ数年は安定した人数を確保してい
る。会としては活発に山行を行い大変活性化して
いる、
・道央地区
道央地区では「中央労山」が 20 代の 1 割以外
30 代~60 代まで各世代 2 割代と平均化され全体
的にバランスの取れた会です、また、会の運営に
当たっても若返りを図り、事務局長、組織部長、
山行企画部長、新人対応部長、会計といった重要
ポストを 30 代の若者が担って会の活性化をはか
り実績をのこしています。
-2-
「バビシェ」については 20 代~40 代までが 8
究で有名な船木上総氏(苫小牧東病院副院長)に「実
割強と大変若い会で、ハイキングからヒマラヤま
でと、多種多様な山行企画で益々の発展が望まれ
例から学ぶ低体温症による中高年登山者の遭難-1
0の教訓」というテーマで基調講演をしていただきま
る山岳会です。
登攀・ラリ-グラスについては比較的に若い世
した。
低体温症とは人間の体温が35度以下になった状
代が多く平均化されておりますが、これは会の活
動の特長によるもと思われます。
態を言い、特に、若者と比べて体温調節機能が衰えた
中高年者が死に至るケースが見られます。
道央地区には 19 の山岳団体が加盟しておりま
すが、上記 4 団体以外の山岳会では、20,30 代の
□教訓―中高年(40 歳以上)の山岳低体温死では、一
度に大量の死亡者が発生し積み木倒しのように連
若い世代のみられる会もありますが割合は極僅
かで、概して 50 代後半から 60 代後半を占める会
鎖するので、グループ内のメンバーの観察が必要。
□教訓2―天候の急変等に対応できるよう、エスケー
が多いのが残念ながら現実です。
若い人が多い会が良い会で、年代の高い会が悪
いとは一概に言えない、会の特徴を活かし活発に
活動している会も有り、若い人にこだわる事は無
いと言う意見もありました。
最後に会の若返りを目指す為には、やはり若い
人の目線で考え、実践してもらうためにも運営に
若者を積極的に活用する姿勢が求められている
ものと思われます。
とかく、ベテランで経験豊富な年配者が運営し
がちです。若い人は遠慮して言いたいことも云え
ない状況が出来上がっているのが現状です。これ
が活性化の阻害になっているかもしれません。前
述の「中央労山」や「バビシェ」は良いお手本だ
と思います。
(宮本・記)
第2分科会報告
「実例から
実例から学
から学ぶ 低体温症による
低体温症による
中高年登山者の
遭難」
中高年登山者
の遭難
」
座長:久保静児
(遭難対策部長、札幌登攀倶楽部)
今年の第2分科会は、
昨年に引き続き
「遭
難事故と山岳団体の対応」をメインテーマに、特に低
体温症による中高年登山者の遭難事故への対応を中
心に開催し、93名が参加しました。
今年の3月に、十勝山系の上ホロカメットク山で男
女2人が遭難し、66歳の男性1名が低体温症で死亡
し、5月の4日から5日にかけては、北アルプスの白
馬岳では63~78歳の医師・獣医師ら男性6名パー
ティ全員が低体温症で死亡、同時期に涸沢岳では男女
6人のパーティが遭難し、71歳の男性1名が低体温
症で死亡しました。
こうしたベテラン登山者の低体温症による死亡事
故の多発を受けて、今年の基調講演は、低体温症の研
-
プルートや引き返し可能地点をあらかじめ決めて
おくこと。
□教訓3―低体温症の場合は意識が低下し、震えが弱
くなり、歩けなくなった人が出た場合は、早めに別
のパーティの登山者に救助要請の連絡を依頼する
こと。
□教訓4―低体温症が進行すると筋肉が硬化し意識
が低下し、思うように体を動かせなくなるため、寒
さを感じたら我慢せずに重ね着すること。
□教訓5―低体温症は早期発見が重要であり、三大症
状は震え、歩行障害(ふらつき)
、意識障害(眠気)
に加えて、発語障害(口ごもり)もある。
□教訓6―高齢者は寒さに対する体の反応が低下し
ており、若い人に比べて低体温症に大変なりやすい。
□教訓7―トムラウシの生存者は重ね着、マット、ア
ルミシートの活用、行動食の摂取で体温を保った。
立山では雪洞を掘って助かった。ビバークやサバイ
バルの知識と技術を身につけることが必要。
□教訓8―寒さと強風の中で長時間立ち止まること
は低体温症を増悪させる。教訓9として、テント等
に収容し加温処置を行っても、低体温症患者の体温
は低下し続ける(アフタードロップ)ので、加温を
止めないこと。
□教訓10―悪天候の中を登山して低体温症で遭難
する人が増えているが、天候が悪化した場合はすぐ
引き返す勇気を持つことが大切です。
今回の基調講演では、中央労山の会員を対象にメー
ルで行った低体温症のアンケート調査結果報告、中高
年者の体力向上と登山中の発病や事故を防止する取
組みとして苫小牧東病院の「登山・ウォーキング外来」
の紹介、3年前に発生したトムラウシ山遭難の検証登
山報告がありました。
基調講演に続いて、小樽勤労者山岳会の横山隆之さ
んから、11月のビーコン訓練、テーピングや負傷者
3-
の搬送、ロープワークの学習会、12月には朝里岳で
しい凍った川のトレッキングで普段見られない風景
の冬山入門、1月には商大グランドでの冬山技術訓練
など昨年度の救助訓練や学習会の実施内容について
に驚きました。クンバカルナ峰(7710m・ジャヌー・
ネパール、増田徹・中央・山びこ)は久々の大型遠征
報告がありました。
午後からは、道央地区連盟救助隊の花岡隊長から、
で困難な登山と熱い思いが伝わってきました。
昼食後はバルンツェ峰(7220m・ネパール、後藤幸
昨年1月に中山峠で行った冬期訓練、今年5月に小樽
自然の村と赤岩で行った春季訓練の概要について報
治・バビシェ)は盛岡労山に参加、あと 200m ほどで
断念しましたが、7000m の巨大な稜線は一見の価値が
告がありました。
続いて、NPO法人北海道雪崩研究会の松浦副理事
ありました。マッキンリー(アラスカ・6194m、石村
梨紗・バビシェ)は日本人が雪崩でなくなったので心
長から、北海道雪崩講習会で取り組んでいる、雪崩事
故における「コンパニオンレスキュー」についての報
配しましたが、雄大な山塊の迫力を十分感じることが
出来ました。
告がありました。
最後に、連盟遭難対策部から、過去12年の間に、
遭難対策基金に申請・報告のあった220件の「労山
会員事故の傾向と対策」について報告しました。
意見交換では、①登山者はどんな状況でどのような
場合に低体温症になるのか、低体温症を防止するため
のノウハウについて調査研究が必要、②悪天候での行
動を避けるため、HBCの専門天気図や週間天気予報
など様々な気象情報を活用することが大切、③登山者
がどのような状況で低体温症になるのか、検証登山に
おいても判断は難しく、改めて自然の厳しさを再認識
した。などの意見が出され、今後も低体温症の調査研
究が必要との認識で一致しました。
報告終了後はテーマに基づいての話し合いが行わ
れ、低価格での海外遠征、高山病の対策、エージェン
トの活用などについて様々な意見が交わされました。
第3分科会報告
「短い休暇で
休暇で“安く”4000m~
4000m~5000
m~5000m
5000m
挑戦~
身近な
海外登山について
について語
に挑戦
~身近
な海外登山
について
語っ
てみよう」
てみよう
」
座長:佐藤信二
(海外委員長、バビシェ・マウンテン・クラブ)
第4分科会報告
基調講演「
基調講演「北海道の
北海道の山トイレ問題
トイレ問題の
問題の現状と
現状と課題」
課題」
―各地の取り組み事例の紹介から―
講師・仲俣 善雄氏
(山のトイレを考える会 広報担当)
写真を交え北海道の山のトイレの現状
とその対策の必要性を講演頂いた。中でも、登山者が集
中する地点(野営地等)の汚染が酷く早急な対策が必要
である。
1. 報告「北海道のトイレ・山小屋・野営指定地の状況」
報告者 黒澤 大助氏(札幌中央勤労者山岳会・山
のトイレを考える会)
・報告者自身の清掃活動を基に、トイレの汲出し作
業の様子や清掃活動の実態を写真と共に報告頂いた。
・山のトイレは、ボランティアの方の努力によって
維持されている。登山道の荒廃、補修の難しさも報
告頂いた。
参加者は 39 人。まずは海外登山の報告が行われま
2. 意見交換で出た意見
した。みどりの風の創立 30 周年記念海外登山のキナ
・携帯トイレは、入山者の必携品だ。個人装備に加
バル山(4095m・マレーシア、小野洋子)の報告から
えるべきだ。
スタート。元気な女性ばかり11人で花の写真がたくさ
・紙の持ち帰りは当たり前の事だ。特別な袋が無く
んありました。大姑娘山(5025m・中国、長尾信子・
ても出来る。
ピオレ)は雪の中の登山で帰りの馬が楽しそうでした。
・トイレを増やすより、ブースを増やしてほしい。
カリンチョック(3759m・ネパール、田中規雄・北稜)
・体が隠れる様な布を持参して、活用している。
はほとんど日本人が行かないロールワリン地区で素
・札幌の山岳会は、なぜ登山
朴な現地の様子が見られました。シャルプーⅤ峰
道整備をしないのか?
(6076m・ネパール、佐藤信二・バビシェ)は登頂で
きなかったがグサグサの氷河が怖かった。コッツウェ
ルズ(イギリス、辻野健治・北稜)はイギリスの森林
や田園地帯を歩くイギリスのトレッキング文化を感
じました。チャルダ(インド、辻野健治・北稜)は珍
-4-
前からしてそうだ。HP も WEB 検索の際、カタカナの方
が先にヒットしやすい。
報告では入会 3 年目までの会員の声を紹介。2010
年入会の 30 代女性は「HP の見やすさ、PR の仕方も大
切。雪洞訓練時のろうそくの灯りが素敵な居酒屋バビ
シェの画像にも心躍りました」
、30 代男性は「ネット
で活動内容の見えやすい、親しみやすい雰囲気の HP
第一分科会「新人や若い人に魅力あ
る山岳会となるために」に出席して
北海道の山岳会は全般に高齢化が進み、
一方で 20 代、30 代の若手が入会し会の
運営を支える山岳会も現れている。
「若い
人が元気な会に学びたい」
「中高年主体の
会とどこが違うのか」といった問題意識
を持って討議に参加した。
やすく親しみやすい雰囲気作りではバビシェにも勝
っているだろう。
何か空しい気がしないでもないが、みどりにはみ
どりの生きる道があるはず。会に戻ったら、市民登山
教室の参加者の話をして、30 代、40 代の女性が入会
するみどりになる方策を提案してみたい。どんな中身
かって?それは秘密です。
(ハイキングクラブみどりの風・藤村厚史)
訃報・・・・ごごごご注意
-5-
さる12月17日、
三段山にて連盟加盟・
百松山岳会の会員の方
が雪崩によりお亡くな
りになりました。
心からご冥福をお祈
り申し上げます。
尚、会員のみなさま
には、安全に配慮した
計画をたて、くれぐれ
も事故にあわないよう
ご注意をお願いいたし
ます。
分科会では、道央地区山岳連盟理事の大野茂さん
(こだま倶楽部)が、ここ 2 年間の「市民登山教室」
の取り組みを紹介。今年 5 月の市民登山教室には過去
に例のない参加希望が寄せられ、55 名(昨年 35 名)
が参加、12 名には辞退をお願いした。登山者が増える
のは明るい話で、その後 8 名がそれぞれの会に入会さ
れた(昨年は 1 名)
。
2 年間の教室参加者を年齢別にみると、男性は 60
代が 43.7%、50 代が 26.2%と、50 代と 60 代で 70%
を占めた。女性は 30 代が 28.1%、40 代が 26.6%と、
30 代と 40 代で 55%を占めた。
みどりの風にとって 30
代はもちろん、40 代の女性も十分に若く魅力的だ。何
だか希望が持ててきた。
札幌中央勤労者山岳会の年齢構成は 20 代 9%、30
代 18%、40 代 22%、50 代 26%、60 代以上 24%とバ
ランスがとれており、
バビシェは20代16%、
30代45%、
40 代 20%、50 代 17%、60 代以上 2%と 20 代と 30 代
で 6 割を占める注目の会だ。みどりや山びこのように
50 代以上が 9 割近く占める会と中央やバビシェはど
こが違うのか?
中央では今年 4 月から 8 月までに 20 代が 6 名、30
代が 4 名入会した。新人を増やす取り組みは、①ホー
ムページ(以下 HP)の充実②チラシの配布③山行で持
ち歩く会紹介の名刺④会員の知人紹介依頼など。みど
りも同様の取り組みを行っているが、違いは新人獲得
の取り組みを会として意識的に、かつ継続的に行って
いる点かもしれない。
運営面でも組織の若返りを図っており、ことしは事
務局長や各部長、
会計など運営メンバーをいずれも 30
代で固め、例会でも若い人が話題の中心になることが
多くなったとのこと。若い人が入り、新人教育や入門
山行も充実し、組織が活性化している感じだ。
バビシェは発足 6 年目だが、発足時から若い世代を
取り込むことを考えてクラブ運営を行ってきたとい
う。バビシェ・マウンテン・クラブというカタカナ名
を見つけ、連絡を取った」など HP の働きは大きい。
2012 年入会の 30 代女性は「山ガール本を見て、夏
尾根目的で入会したが、岩や沢の入門を受講でき、奥
深い山の魅力にはまりつつある」
。
別の30代女性は
「山
岳会は上下関係が厳しいと想像していたが、親しみや
すく暖かい雰囲気にとても安心した。毎週のように尾
根・沢・岩といった山行が数多く企画され、とても刺
激的」
。など、会の雰囲気が良くいろいろな山行に参
加できることが魅力となっているようだ。
こうした中央やバビシェの報告に対し、山びこやみ
どりからは「我々も HP を利用して会をアピールして
いるが、若い人が入ってこないのはなぜ?」という疑
問の声が上がった。
討議で中央の 20 代の女性は「入会して年配者が多
いのに驚いたが、同年代の女性がいて安心した」
、バ
ビシェの報告で 30 代の女性は「例会を見学して年齢
の近い同性がいないと入会し難い」との声を寄せてい
る。やはり若い人がいるから若い人が入るし、定着す
るのは確かなようだ。
みどりも山びこも新人にとって魅力ある山岳会に
なるための努力は重ねているし、今年も 50 代や 60 代
の新人を迎えている。少なくとも 60 代の新人が入り
11月・第9回
理事会議事録要旨
●事務局 古田
別に遭対基金申請事故一覧表(北海道分2000 年~
2011 年)も資料としてお渡しします。ここ1、2 年
女性ベテランクライマーのヒューマンエラーによ
る重大事故が発生しているので各会で注意喚起し
① 日本勤労者山岳連盟第30 期臨時総会が2013 年2
月16、17 日にて東京中央区晴海にて開催。道央地
ていただきたい。又、過去10 年間の事例を見て行
けばどの山でどの様な事故が起きているか分るの
区は代議員3 名です。交通費が本部より2 名分支
給、1 名分は道央地区連盟から支給されます。今
で、対策を検討する際に使用して貰えると有難い
です。ただ、個人情報が含まれるので取扱いには
回も3 名の出席。
地方連盟の活動報告は、『個人会員制度導入につ
注意して下さい。
②赤岩のルート整備を2 年計画で行い、クラシック
いて』と『再改定保険業法に対する労山新特別基
金の対応について』は沼田理事長、『遭難事故を
減らす活動』は久保遭対部長、『山岳自然保護活
動』は高木理事が1 月の理事会までに書く事にな
りました。
② 労山本部の忘年会が12 月7 日に開催されます。
ルートを中心に終了点の整備はほぼ完了しました。
来年度からは、フリールート及びビレーポイント
の整備を来年度から行いたい。
●機関紙部 伊東
第236 号を発行しました。
●海外委員会 辻野
③ 9 月1 日から、個人会員制度『ROUSAN パートナ
2 月5 日(水)貫田宗男氏の講演会が開催されます。
●その他
ーズ』のスタートに伴い、労山会員は『ROUSAN パ
① スポーツ基本法」学習会・交流会(10 月26 日(金)
ートナーズ』に登録して、「安全登山サポートシ
は労山からの参加者は8 名でした。
ステム」を使って見て下さい。特別基金の山行届
②空沼万計山荘トイレの件と、中央体館のクライミ
けとして使用するには所属山岳会の事前承認が前
ングウォールの設置の件の要望書を11 月15 日に
提です。ヤマトモROUSAN パートナーズから会員証
提出、11 月28 日回答予定です。
の会員番号を入れると登録できます。
③新スポーツ連盟交流会は1 月。例年は会長、理事
④登山研究集会の繰越金は10 万円。しかし、来年度
長、担当理事が参加しています。(松浦)
は資金繰りが厳しくなります。来年度については、
④空沼岳登山口に札幌市が管理するトイレの設置を
次回の理事会で報告します。
要望していますが、自然保護委員会での意見の集
●組織部 大野
約が出来ていないのが現状です。地方連盟の今年
11 月末現在の各会所属人数の報告を12 月15 日ま
でに組織部大野までに提出して欲しい。報告が無い
度の事業計画にも載せていますので沼田の判断で
継続しました。次年度以降は、自然保護委員会に
場合は、昨年と同じ組織数になります。尚、今年か
ら70 代超の記入欄が設けられました。北海道連盟の
議論をお願いしたい。
⑤ボルダリングエリアの整備は、利用状況を見なが
予算もこの報告書をもとに作ります。
●教育部 藤村
らの要望になっています。(沼田)
⑥ NPO 法人アースウィンド(代表:横須賀邦子)か
第41 回北海道登山研究集会の参加は、10 日の講演
ら講演会の共催若しくは後援の依頼が来ています。
会は道央地区連盟からは110 名、道央外連盟からは
講演の内容は「温暖化変化予測データー 積み上げ
11 名、一般その他は37 名。翌日の分科会は175 名
の今」です。開催日は3月23 日です。「後援名義
が参加し、第1 分科会は道央地区連盟21 名、道央外
を使用しても良い」と連絡します。(沼田)
連盟2 名、一般その他1 名、第2 分科会は道央地区
⑦復興支援調査活動報告が長水さんかありました。
連盟76 名、道央外連盟8 名、一般その他9 名、第3 分
11 月3 日に釜石市及び大槌町で行なわれ、道央連
科会は道央地区連盟35 名、道央外連盟2 名、一般そ
盟から5 名が参加しました。物的支援は一段落し
の他2 名、第4 分科会は道央地区連盟15 名、道央外
たとの印象です。今後は、「東北の山に全国のみ
連盟2 名、一般その他2 名です。
んなで登り、東北の会員の皆さんに全国の山
●遭対部 久保
に登ってもらうことが大きな支援になる」と
①登研資料(新特別基金申請事例に見る労山会員事
の意見で一致しました。
故の傾向と対策)を理事の皆さんも読んで下さい。
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ここで、尾関先生の講義内容に少々触れますと、
「雪
第 18 回 北 海 道 雪 崩 講 習 会
崩発生のメカニズム」は一度聞いて分かるものではな
く何回も繰り返し学ぶこと。繰り返すことで理解が深
今年の雪崩講習会の取り組みは 7
月 4 日第1回運営委員会を道央地区
まるので気楽に聞くようにと前置きして始まりまし
た。
連盟理事(遭難対策部)を含め 5 名
で開き始まりました。その後、北海
新雪が 1 時間に 10cm と<ガバガバ>降ったら 45 度
の斜面では2時間も経過しないうちに新雪そのものが
道、札幌市の後援申請を行ない 8 月上旬までに承認さ
れた。引き続きポスター、チラシ及びホームページの
雪崩れるが半分の5cm の降雪強度では4 時間程度崩れ
ない。新雪はそもそも結晶同士が結びついて丈夫にな
改訂など募集のための作業に取り組みました。
昨年に比べ参加者募集の開始が若干遅れたせいか
る性質を持っている。しかし、丈夫になる速度を上回
る速さで降り積もれば雪崩れるということである。
締切日が近くなっても申込者数は少なく11 月10 日ま
で募集期間を延ばしました。結果、定員に達しなかっ
たが 38 名の参加でスタートできました。
基本クラス 23 名、中級クラス 4 名、講師養成クラ
ス 11 名という内訳となり、全受講者に占める労山会
員の割合は昨年同様47%の18 名、
社会人山岳会13%、
大学ワンゲル部 8%、一般参加者 12 名 32%という参
加状況となりました。
労山会員の所属と人数についてはバビシェマウン
テンクラブ8名、
百松山岳会4 名、
山びこ山友会2 名、
みどりの風、中央労山、小樽、東三河が各 1 名の参加
です。ここで一言触れると、冬山を楽しんでいる山岳
会の全てから受講されることを念頭に進めてきたが
そうならなかったのは残念に思います。各会それぞれ
理由はあるでしょうがもう一工夫欲しいところです。
同様に運営委員の選出に当たっても言えることです。
また、クラス別の比率は基本 60.5%、中級 10.5%、
講師養成 29%、コース別ではバックカントリー63%、
登山 34%、スノーシューハイク 3%となり、全体の三
分の二がバックカントリースキー指向の受講者とな
りました。
開講式・総合理論講座の 11 月 18 日(日)は朝から
雨と風が吹く荒天の中、五十数名の参加者で尾谷 賢
会長の挨拶で始まりました。理論講座では昨年まで長
い間講師を務められた秋田谷先生に代わり教え子の
尾関俊浩先生(北海道教育大学札幌校准教授)が「雪
崩発生のメカニズム」についてスライドを使って講義
されました。続いて「雪崩予知と行動判断」
、昼食後
は基本クラスが「各種テスト・観察方法」と「ビーコ
ン・プローブの説明」
、中級クラスは「雪崩の運動」
と「コンパニオンレスキュー」を学びました。外は霙
が降り止まずビーコン操作は屋内で行うことになっ
たが基本的な理解は出来たと思います。
また、面発生乾雪表層雪崩がなぜ恐ろしいかといえ
ば積雪の表面から見ても分からないからです。それは
積雪内部に潜んでいる弱層の強度に起因する。人か何
かの荷重が加わり弱層を破壊するとその上に乗って
いる雪(上載積雪)が滑り面(弱層)から雪崩れる。
その弱層は新雪系、あられ、霜系の三つに大別され、
新雪系には雲粒なしの大きな結晶(広幅六花)
、霜系
にはしもざらめ、こしもざらめ、表面霜があります。
では、弱層はいつまで弱層のままでいられるか?と
いうことになりますが、新雪は 2 週間位で丈夫になり
弱層では無くなるが、しもざらめは 40 日以上も弱層
のまま積雪内部に存在した例も報告されています。し
もざらめは角ばって面があることが特徴ですが写真
のように一目でそれと判るものは少ない。長い期間積
雪内部に潜んでいることが多いので注意が必要です。
今後の日程は 12 月中旬に行なわれる講師養成クラ
ス講習会は雪崩研究会の講師が生徒役を演じ、受講生
が講師となり教え方などを実演して学ぶ講習会です。
この講習会の修了後、養成クラスの受講生は中山峠や
ルスツの実習講習会で主任講師のもと補助講師とし
て基本クラスの受講生に接します。
私達が開催している講習会は受講生と講師が共に
学ぶコンセプトで進めていますので基本クラスの
方々は補助講師を暖かく見守ると同時に沢山の疑
問・質問をぶつけて鍛えてください。続いて年が明け
た1月10日に実習ミーティング、
20日に中山峠実習、
2 月 23・24 日のルスツリゾート一泊実習で修了となり
ます。
最後に、今回修了される皆様に一つ上のクラスへス
テップアップし来年再びお会いできることを期待し
報告とします。
第 18 回北海道雪崩講習会
運営委員長 川島和郎
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例会訪問記
ロカメットクの雪上訓練などが報告されました。1月
の氷雪入門、2月の例会なども計画されています。
その九
札幌登ハン倶楽部
会の構成メンバーは30歳から40歳
会は、道内各地から組織を超えて参加した海外遠征
メンバーの女性で結成皿増した。他の会にも所属して
代が中心。例会は7時からの予定ですが
なかなかメンバーが集まりません。
いる会員も多いようです。4、5年ほど前に道央加盟
に加盟しました。
仕事や子育てに追われる年代が多く、
例会に参加し話し合い山行計画等を考えるのが難し
女性だけの会の良さもあるようですが、男性との山
行は拒否してはいません。一年間の山行は年127回
いという悩みも話されていました。
最初に10月7日の事故報告がされました。事故の
ほど、岩登り、沢登り、山スキー、アイスクライミン
グ、海外登山など 1 年を通じてオールラウンドに活動
要因は、事前の足慣らし(山行)が足りなかった。ル
ートファインディングの判断など不十分さがあった。
しています。
なごやかに緩やかに話は進み時計を見たら9時3
などが上げられていました。
「無理だヨ」と言いづら
い状況、パーティの力量を判断して山行チェックを行
なうことの難しさがあるとのことです。
その後、雪山山行での雪崩対策などの机上学習があ
0分を過ぎていました。例会後、久しぶりに逢ったみ
なさんは更に楽しむべく場所を変えたようです。
▽▲▽▲▽ 今後の行事日程 △▼△▼△
りました。しっかりした資料がありましたが、ビーコ
ンのこと以外は経験のない筆者には理解できない単
語が飛び交っていました。
今後の山行計画や例会・忘年会のこと、会員の動向、
地方にいる会員や例会に参加できない会員に会報を
送ることなどが話題となっていました。
「みんなで何かを行なうこと、ほかの人のためにや
ることが難しくなっている」
「自分が楽しいのが一番」
との声もありました。楽しさを伝えていくことも重要
なことだと感じました。
例会訪問記
その十
同人 ラリーグラス
例会は二月に一度、地方の会員も多く
7時30分から行なわれました。
はじめは正月を挟んで登るインドネシ
アのアグン山とバツール山の話から始まりました。向
こうは雨季なのでチョット心配とのことです。
例会は事務局長が進め、山行報告では、10月のネ
パールのメラピーク、カムイヌプリ~室蘭岳、白旗山
~焼山、アンナプルナのトレッキング、昆布岳、上ホ
月
日 曜
行 事 名
12
20 木 自然保護委員会
1
10 木 雪崩講習会(実習ミーティング)
1
16 水 理事会
1
20 日 雪崩講習会(中山峠実習)
1
23 水 遭難対策部会
1
24 木 自然保護委員会
1
26 土 ~27 日 雪崩講習会(美瑛白金校)
1
27 日 救助隊・冬季訓練
2
2 土 ~3 日 雪崩講習(北の生活館講師研修会)
2
3 日 北海道連盟代表者会議
2
6 水 理事会(議案書印刷予定)
●編集後記
衆院選は政治不信の影響が投票にも表
われ投票率が低下し、
「回帰(怪奇)現象」
が出現しました。どこまで回帰するのかが
心配です。命が大切、暮らしが大事。平和でなければ
山にも登れません。(い)
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