週刊ダイヤモンド

ーデイズレストラン﹂は話題になっ
バッタライ サランコットに近い都
市ポカラでも﹁サランコット・フォ
あると感じています。
で、
﹁経済循環型社会﹂ができつつ
道を切り開ける環境を作ったこと
たりしています。自力で現金収入の
ップで制作した手工芸品の販売をし
ランの運営をしたり、併設したショ
た。フォーデイズ会員の %は女性
の活躍を後押ししていると聞きまし
もそうですが、御社は事業でも女性
を意味し、次第に豊かな地域を創る
バッタライ 女性を支援するという
ことは実は家族全体を支援すること
した。
し、地域経済も活性化すると考えま
ば、子どもを学校に行かせられます
ことにつながります。プロジェクト
ていると聞いています。循環型の取
が、長期的展望に立って維持してい
校を設立するのも一つの方法です
り組みについては私も同感です。学
和田 お陰さまで年齢を問わず多く
の女性たちがいきいきと活躍してい
姿勢はすばらしいと思います。
なんですね。女性が活躍できる企業
75
2014年7月25日
(金)
於帝国ホテル
1956 年広島県生まれ。1979 年明治大学政
治経済学部卒。2014 年明治大学専門職大
学院グローバル・ ビジネス研究科修了
(経営
管理修士 MBA)。1997 年フォーデイズ株式
会社を創業。
「ナチュラルDNコラーゲン
(核酸
ドリンク)」の開発・販売により、2014年3月期に
は14期連続増収を達成。年商350億円を超
える企業のリーダーとして現在に至る。2008
年NPO法人「ネパール・シナプス自立支援協
会」
を設立、理事長に就任。著書に
『なぜ9割
もリピーターになるのか』
(ダイヤモンド社)。
く必要があります。そのためには地
和田佳子(わだ・けいこ)
ます。ネパールでは女性の社会進出
フォーデイズ株式会社
代表取締役社長
域や住民へのサポートが欠かせませ
ん。その点で、御社のプロジェクト
はすばらしく、ネパールの地域開発
支援にとってモデルとなる取り組み
です。とくに女性支援という視点は
新鮮なものでした。
女性を支援することで
地域経済が元気になる
和田 ﹁どうして女性ばかり応援す
るのだ﹂なんて言われたこともあり
ましたが、子どもたちに教育を受け
てもらうには、まず母親を支える必
要があるのです。サランコット村で
は父親たちの多くが、インドなどに
出稼ぎに行っていますから、村にい
るのは母親と子ども、老人ばかり。
すごさを教えられた気がします。
バッタライ まず自立支援プロジェ
クトによる皆さまのサポートについ
て、心より感謝申し上げます。これ
までも多くの日本企業がインフラ構
築などの面でネパールを支援してく
ださいました。なかでもフォーデイ
ズの活動は最大規模であり、サラン
コット村の人々にとって、とてもい
い結果をもたらしていると思います。
一時的な支援ではなく
経済循環型の地域開発を
和田 現地にはもともと、日本人の
寄附で設立した学校がありました。
ところが教師不足のために十分な運
営が行われていませんでした。それ
和田 サランコット村での自立支援
プロジェクトの5年間を振り返りま
を得ることができる﹁経済循環型社
た。村の住民が自分たちの力で収入
意味での支援にならないと考えまし
を知って私は、学校を作ったり、物
すと、プロジェクトで支援した女性
会﹂を確立することによって、はじ
近隣のお店も改装を始めるなど村全
ンが完成間近になると、その影響で
す。また、フォーデイズのレストラ
という意欲に満ちてきたのを感じま
シン講習を受けた女性たちがレスト
トランやショップを作りました。ミ
すぐに収入に結びつくように、レス
導する体制をつくりました。さらに
そこで女性たちにミシンの技術を指
が、手に職をつけることも必要です。
資を提供したりするだけでは本当の
たちのなかに、ミシンの技術を活か
めて地域の発展につながります。
体が活気づき、周囲の環境もキレイ
の状況はどのようになっていますか?
バッタライ 女性は積極的な役割を
果たしてきました。例えば、我が国
では過去に女性の副首相が2 名お
り、そのうち1名は外務大臣も兼務
していました。また女性の防衛大臣
もおりました。そして多くの女性が
軍隊や警察など政府機関で働いてい
ます。女性の社会参画の状況はどん
どん改善していますが、まだまだ課
支援は5カ年を終えて第二段階に入
もなったのです。サランコット村の
題もあります。とくに地方で生活す
る女性について、教育や生活の質の
りました。今後もお互いに成長でき
向上を図っていかなければならない
を運営したりといったことは、すべ
設現場で作業をしたり、レストラン
和田 ここまで、資金面や計画立案
の支援は私たちが行いましたが、建
CSRからCSVへ
活動を進化させる
ル人と日本人は、どちらもフレンド
への支援を期待しています。ネパー
しょう。ますますの発展とネパール
なインパクトを与えつづけることで
すから、日本人の生活にポジティブ
きたいと思います。
る関係を築いて﹁CSV︵共有価値
て現地の人々がやってくれました。
リーで、根底に仏教思想を持つとこ
と考えています。
共同作業でできたことが、いい結果
ろも似ています。たくさんの人にネ
バッタライ フォーデイズのビジネ
スは健康に貢献しようというもので
の創造︶
﹂と呼べる活動を続けてい
につながったのだと思います。
の 日と 日に上野公園で、大使館
っそう交流を深めたいですね。9月
パールの良さを知っていただき、い
ないか﹂
﹁もっと頑張らなければ﹂
そういった活動を通して、私たち
日本人は﹁恵まれた状況に甘えてい
と思う場面が多々ありました。また
たこともありました。つまり一方通
が失った﹁人の情﹂を教えてもらっ
現地の人と交流するなかで、日本人
開催することになっています。
主催の﹁ネパール祭 2014 年﹂を
会日本支部︵NRNA Japan︶
も後援して、海外在住ネパール人協
ミシンに向かうサランコットの女性たち
になってきました。人間の可能性の
る 彼 女 た ち の 顔 つ き が、
﹁やるぞ﹂
して職に就くだけでなく、独立して
1954年カトマンズ生まれ。ジャダプール大学(インド・
コルカタ)から政治学修士、行政学修士、法学士を
取得、そして国際関係について2つの博士課程を
修了。1977年公務員試験に主席合格。在カルカッ
タ・ネパール総領事館領事に就任、ニューデリーに
2度駐在、ネパール外務省南アジア局長、ネパール
外務省ヨーロッパ・アメリカ局長及び総務局長、国
連局長及び国際機関の長、及び在ドイツネパール
大使。2009 年ネパール外務省外務長官(外務次
官)
に就任。2011年在日本ネパール大使に指名。
商売を始める人も現れたことが驚き
MADAN KUMAR
BHATTARAI
経済が発展するには、ベースとな
る教育水準を高めることが大切です
在日本ネパール国大使館
特命全権大使
でした。活動が進むにつれて参加す
(文学博士 / 国際関係) マダン・クマール・バッタライ
行の支援ではなく、私たちのために
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http://fordays.jp/ TEL.03-5643-0651
(代表)
核酸ドリンク発売から15年。フォーデイズは
「健康創造産業」
を目指して市民参加による
学術シンポジウムや安らぎ呼吸
プロジェクトで東北被災地を支援するなど
社会貢献活動に益々注力している。
その原点は、2008年にNPO法人
「ネパール・シナプス自立支援協会」の設立に
ある。サランコット村の女性たちのために
ミシン縫製の職業訓練プロジェクトをスタート。
女性が経済力をつけて、村のすべての
子どもたちが教育を受けられるようにする
ことを目的に、製品を販売するお土産店や
レストラン建設などを行って現金収入や
就労機会を創出してきた。5か年計画を経て
第二段階に入った活動は、単なる支援の
「CSR」
(企業の社会的責任)
を超えて、
社会的課題の解決とフォーデイズ
健康創造事業の両立を目指す
「CSV
(Creating Shared Value
=共有価値の創造)
」
へ向かっている。
在日本ネパール国大使館
マダン・クマール・バッタライ特命全権大使と
和田佳子フォーデイズ社長が
協創の未来を語り合う。
女性が収入を得られるようになれ
PR
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核酸栄養のリーディングカンパニー
「未来への投資」
それがフォーデイズの社会貢献。
ネパールの女性たちを活かす環境づくりが実を結ぶ。
フォーデイズ株式会社
[問い合わせ] NPO法人ネパール・シナプス自立支援協会
http://nepal-synapse.jp/
TEL.03-5614-7527