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専 門 職 学 位 論 文
ポイントプログラムによるポイント付与とプライシングの関係
平成 21 年
8月
日
神 戸 大 学 大 学 院 経 営 学 研 究 科
高 嶋 克 義 研 究 室
現 代 経 営 学 専 攻
学籍番号
氏 名
0
088B253B
東 野 祥 策
ポイントプログラムによるポイント付与とプライシングの関係
氏
1
名
東 野 祥 策
1.は じめ に .................................................................. 3
2.ポ イン トプロ グラ ムの導 入に ついて .......................................... 5
2.1
ロイ ヤルテ ィ・ マーケ ティ ングと マス ・マー ケテ ィング のプ ロモー ショ ン概念 . 5
2.2
ポイ ントプ ログ ラムの 構築 ステー ジ ....................................... 6
3.代 表的 なポイ ント プログ ラム の事例 とス キーム ................................ 8
3.1
ポイ ントプ ログ ラムの 事例 ............................................... 8
3.2
ポイ ントプ ログ ラムの スキ ームの まと め .................................. 13
3.3
問題 意識と 仮説 ........................................................ 14
4.デ ータ ................................................................... 17
4.1
標本 .................................................................. 17
4.2
調査 内容 .............................................................. 18
5.探 索的 因子分 析 ........................................................... 18
5.1
ポイ ントプ ログ ラムの 因子 .............................................. 18
5.2
企業 ロイヤ ルテ ィに関 する 成分 .......................................... 19
5.3
ポイ ントロ イヤ ルティ に関 する成 分 ...................................... 20
6.分 析と 検証 ............................................................... 22
6.1
ポイ ントプ ログ ラムと 価格 選好性 の関 係 .................................. 22
6.2
企業 ロイヤ ルテ ィと価 格選 好性の 関係 .................................... 27
6.3
ポイ ントロ イヤ ルティ と価 格選好 性の 関係 ................................ 29
6.4
企業 ロイヤ ルテ ィとポ イン トロイ ヤル ティの 関係 .......................... 32
7.ま とめ ................................................................... 34
7.1
ポイ ントプ ログ ラム、 ポイ ントロ イヤ ルティ と企 業ロイ ヤル ティの 関係 ...... 34
7.2
イン プリケ ーシ ョン .................................................... 35
7.2
本研 究の成 果と 限界 .................................................... 37
【資料 】ア ンケー ト項 目、参 考文 献 ............................................. 39
2
1 . は じめ に
90 年 代以 降 のポス トバ ブル期 を機 に、作 った 商品が 安売 りして も売 れない とい う時代 を
経て マー ケ ット 自体 の 主導 権が 「 もの を作 る 側」 から 「 買う 側に 」 移っ たこ と や、 国内の
経済成 長率 が著し く鈍 化する 中 、上位 20% の 顧客が 、80%の売 上に 貢献し 、下 位 30%の 顧
客は 3% の 売り 上げ に しか 貢献 し てい ない と いう 「パ レ ート の法 則 」に もあ る 通り 、これ
まで の顧 客 をい かに 囲 い込 み逃 さ ない こと を 目的 にし た 顧客 中心 の マネ ジメ ン トへ 変革が
必須 とさ れ る。 つま り 経済 成長 の 鈍化 から 、 より 費用 効 率の 高い 効 果的 なマ ー ケテ ィング
が求め られ ている とい える。
その よう な 背景 のも と 、多 段階 の 会員 価格 の 設定 や、 購 入し た金 額 や購 入回 数 に応じて
「比例 ある いはボ ーナ スのポ イン ト( 以下 、ポイン トと いう)」を 付与す るプ ログラ ム の 用
意、 さら に 優良 顧客 に 限っ た特 別 招待 やイ ベ ント の実 施 など 、顧 客 一人 一人 を 意識 したロ
イヤル ティ ・マー ケテ ィング の具 体的な 販売 手法を 多く の企業 が採 用して いる 。
本来 、ロ イ ヤル ティ を 醸成 する た めの ポイ ン トプ ログ ラ ムは 「既 存 顧客 」が 対 象なので
ポイ ント を お知 らせ す る過 剰な マ ス媒 体に よ るプ ロモ ー ショ ンは 不 要の はず だ が、 多くの
企業 がマ ス 媒体 を使 っ て、 自社 の ポイ ント 還 元率 が高 い こと を広 く 一般 大衆 に 訴求 するプ
ロモ ーシ ョ ンを 行う 状 況も 多く 見 受け られ る 。実 際に 家 電量 販店 な どで は「 値 引き で販売
する場 合の 価格」 とポ イント を使 って「 ポイ ント付 与す るとき の販 売価格 」と を 2 重 に 設
定し てい る 場合 もみ ら れ、 販売 価 格の 訴求 に ポイ ント で の訴 求と い う側 面を 加 え、 2 つ合
わせて 価格 訴求を 行う という 事例 も見ら れる 。
多く の企 業 がポ イン ト プロ グラ ム を採 用し た 結果 、誰 も がい ずれ か 企業 の、 そ れも複数
のポ イン ト プロ グラ ム に参 加し て おり 、ポ イ ント プロ グ ラム とは 「 この よう な もの 」とい
う認 知が 広 く浸 透し て いる 。そ の 結果 、プ ロ グラ ムそ の もの が他 社 より も優 位 であ ること
を訴 求す る 必要 がで て きて おり 、 さら にそ の 認知 も広 ま った こと で 「多 くの 企 業の ポイン
トプ ログ ラ ムの 仕組 み 」が より 理 解さ れた 結 果、 顧客 が 「ポ イン ト ≒価 格」 と 認識 してい
るの では な かろ うか 。 さら に企 業 側も その こ とを 踏ま え 、ポ イン ト プロ グラ ム をプ ライシ
3
ングに 活用 してい ると も考え られ る。
これ まで ポ イン ト付 与 をプ ライ シ ング と同 じ もの と位 置 づけ た考 察 は多 くあ り 、マス・
マーケ ティ ングの 観点 からプ ライ シング とポ イント との 価格面 での 検証は ある ものの 、
「値
引き」して 販売す る場 合と「 ポイ ントを 付与 」して 販売 する場 合と を比較 する と、中 村( 2003)
は企 業に と って 値引 き より ポイ ン ト付 与の ほ うが 「粗 利 」が 大き く なる こと か ら、 企業に
とっ て望 ま しい もの で ある と結 論 付け てい る が、 ロイ ヤ ルテ ィ・ マ ーケ ティ ン グの 視点か
らす れば 、 ポイ ント で は「 顧客 の 継続 的購 入 」が 期待 で きる ため 、 その 観点 か らの 考察も
必要 と考 え る。 効果 的 なポ イン ト プロ グラ ム であ れば 、 たと えば 顧 客が 今ま で のポ イント
を失 効し て しま うと も った いな い と感 じ、 商 品購 入を 継 続し ても ら うこ とが 可 能と なるこ
とや 、あ る いは ポイ ン トを 景品 等 に還 元で き る基 準が 来 るま でそ の 店で の商 品 購入 を続け
よう (= ポ イン トを 貯 め続 けよ う )と いう こ とが あれ ば 、財 務面 以 上の 効果 を 持つ といえ
る。 その 際 、企 業と 顧 客に とっ て それ ぞれ が 価値 換算 し た時 、双 方 が納 得し て 価値 を認め
ている こと が重要 であ る。
効果 的な ロ イヤ ルテ ィ 醸成 のた め にポ イン ト を活 用す る には 、マ ス ・マ ーケ テ ィングの
発想 とい か に折 り合 い をつ ける べ きな のだ ろ うか 。そ こ で本 稿で は ポイ ント と プラ イシン
グの関 係に ついて 考察 する。
4
2.ポ イン トプロ グラ ムの導 入に ついて
2.1
ロイ ヤルテ ィ・ マーケ ティ ングと マス ・マー ケテ ィング のプ ロモー ショ ン概念
プロモ ーシ ョンに かけ る費用 の概 念を整 理す ると以 下の ように 図示 される 。
≪図1 ≫プ ロモー ショ ン費用 と対 象顧客 層の 関係
【ロイヤルティ・マーケティング】
購買額・頻度
大
上層
中
中層
小
下層
プロモーション費用
顧客数
【マス・マーケティング】
購買額・頻度
上層
区分
なし
中層
下層
プロモーション費用
顧客数
図 1は 、 ロイ ヤル テ ィ・ マー ケ ティ ング と マス ・マ ー ケテ ィン グ のプ ロモ ー ショ ン費用
の考 え方 を 示し てい る 。両 者の 違 いで 最も 大 きな こと は 、対 象と な る顧 客に 応 じて 、投下
する プロ モ ーシ ョン 費 用の 量を 変 化さ せて い るか どう か にあ る。 つ まり 、マ ス ・マ ーケテ
ィン グで は プロ モー シ ョン の決 定 後は その 施 策を 実施 す るだ けで よ いが 、ロ イ ヤル ティ・
マー ケテ ィ ング では 顧 客を 購買 額 や頻 度に よ って 、顧 客 層を 分類 し その 度合 い に応 じて投
下費 用の 量 を調 整す る こと が求 め られ る。 ま た、 場合 に よっ ては 対 象顧 客層 に より プロモ
ーショ ン自 体も使 い分 ける必 要が ある。
実際 の多 く の企 業で は 、マ ーケ テ ィン グ手 法 とし て両 者 を融 合さ せ 同時 に採 用 している
こと が多 い 。そ の際 、 両者 のプ ロ モー ショ ン はそ の手 法 や対 象顧 客 が異 なる た め、 その概
念整 理を 十 分行 わな い と混 乱を き たす 可能 性 があ るが 、 本稿 では ロ イヤ ルテ ィ ・マ ーケテ
ィン グの 代 表的 な手 法 であ るポ イ ント プロ グ ラム につ い て、 特に プ ライ シン グ との 違いを
意識し た考 察を行 う。
5
2.2
ポイ ントプ ログ ラムの 構築 ステー ジ
ポイ ント プ ログ ラム に つい て、 町 田・ 大竹 ( 2003)は そ のプ ロセ ス は以 下の 通 りとして
いる。
2.2.1
第 一ステ ージ :「来 店客 を会員 ・非 会員に 識別 する」
まず 、カ ー ド会 員の 募 集に 始ま る 。こ れま で の来 店者 に カー ドを 持 って もら う ことで、
顧客 を「 会 員」 と「 非 会員 」と に 区別 し、 カ ード 利用 に 対す る明 確 な特 典を 打 ち出 すこと
が重 要と な る。 その 際 、顧 客は カ ード 自体 が 未知 のも の であ るこ と から 、マ ス ・マ ーケテ
ィン グに よ るア プロ ー チも あり え るも のの 、 その 後の 顧 客固 定化 に おい て不 要 な囲 い込み
顧客 が「 足 枷」 とな る 可能 性も あ るこ とか ら 、そ のア プ ロー チ方 法 は十 分考 慮 され なくて
はなら ない 。
来店客 を会 員・非 会員 に識別 する ポイン トプ ログラ ム導 入の目 的は 、次の 2 点 であ る 。
一つ は、 会 員カ ード を 発行 し「 ポ イン ト」「 値引 き」「 クー ポン 券 」な どの 特 典を 付与 し 、
会員 の再 来 店を 促す こ とで ある 。 一般 的に ポ イン トプ ロ グラ ムと 呼 ばれ るも の で、 仕組み
だけ でい う なら 低コ ス トで 簡単 に 導入 でき る 。そ のた め 、す ぐに 競 合店 に真 似 され てしま
い、 他社 と の差 別化 と して は導 入 当初 の競 争 優位 だけ で の競 争に 終 わる こと と なる 場合、
本来目 指す べきロ イヤ ルティ 醸成 に至ら ない 惧れが ある 。
もう 一つ は 、顧 客の 購 入実 績・ 情 報を 十分 に 補足 する と いう こと で ある 。こ の 購入実績
を顧 客ご と に補 足す る こと は、 顧 客個 別の 嗜 好や 傾向 を つか むこ と を可 能と し 、よ り求め
られる サー ビスの 提供 を可能 とす る。
2.2.2
第 二ステ ージ :「顧 客を 識別す る」
町田・大 竹(2003)は 、第 一ス テ ージで 募集 した会 員に よる売 上構 成比率 が 60-70% を
超え ると 、 顧客 の識 別 のス テー ジ に進 むと し た。 そこ で 、ポ イン ト プロ グラ ム を効 果的に
実施す るた めには 、企 業に対 する 貢献度 合い によっ て顧 客を識 別す ること が必 要とな る。
ポイ ント プ ログ ラム の 第一 ステ ー ジで は会 員 数の 増加 に より 、プ ロ グラ ムを 一 律に実施
する ので 、 一時 的に コ スト アッ プ にな る。 そ こで 顧客 の 優先 順位 を つけ 、限 ら れた プロモ
6
ーシ ョン 原 資を 貢献 度 の高 い優 良 顧客 に配 分 して いく ス テー ジへ 移 行し てい く こと となる。
その 手法 と して 「ロ イ ヤル ティ ・ プロ グラ ム 」を 導入 す るこ とが 多 い。 それ は 、顧客は
買え ば買 う ほど 累積 ポ イン トが 増 える だけ で なく 、購 入 金額 によ る ラン ク付 け とラ ンクア
ップ に応 じ て多 様な 特 典、 たと え ば多 段階 ラ ンク 別価 格 (値 引き ) など を享 受 でき るプロ
グラ ムで あ る。 この 結 果、 累積 し たポ イン ト を無 駄に し たく ない と 考え る顧 客 は競 合にス
イッ チし な くな り、 顧 客を 識別 し 「ロ イヤ ル ・カ スタ マ ー」 を目 指 した 顧客 の 育成 が可能
となる 。
2.2.3
第 三ステ ージ :顧客 を固 定化す る
第三 ステ ー ジで は、 識 別し た顧 客 を真 にロ イ ヤル ・カ ス タマ ーへ 導 くス テー ジ というこ
とがで きる 。こ こで 言 うロイ ヤル・カ スタ マ ーとは 、単 に「 競合 店 にスイ ッチ しない 顧客 」
という こと だけで なく 、
「 自社 の利 益貢献 にと っても 非常 に重要 な顧 客」とい う ことが で き
る。
次に 、こ の よう なプ ロ セス をも と に、 実際 に 各企 業が 導 入し てい る 具体 的な プ ログラム
につい て以 下に示 す。
7
3.代 表的 なポイ ント プログ ラム の事例 とス キーム
3.1
ポイ ントプ ログ ラムの 事例
各企業 のホ ームペ ージ などを 参照 し、筆者 独 自にま とめ たもの が以 下の通 りで ある( 平
成 21 年 3 月現在 )。 なお、 まと める上 で名 称、利 用者 数とい った 概要の ほか に、ポ イ ン
トプロ グラ ムの性 質を 明らか にす るため 、ポ イント 付与(ポ イン ト 単価)、有 効期限 、ポ
イント 景品(主 な交 換 商品)、さら にポイ ント プログ ラム の流動 性を 測る指 標と してポ イ
ント交 換先 の4つ の視 点でま とめ た。
3.1.1
航 空系
日本 の 代表 的な 航 空会 社、 日 本航 空と 全 日空 の2 社 の事 例を ま とめ た。 2 社に おける
大きな 違い は、ポ イン ト単価 にお いて、 全日 空が 1 マ イ ルを 1.5 円 と換算 して おり付 与
の段 階で 換 算価 値を 高 く設 定し て いる こと が わか った 。 なお 、そ れ に応 じて 、 ポイント
景品 にお い て実 質的 な 換算 価値 は 同額 なが ら 、全 日空 は 記念 品な ど で景 品を 充 実させて
いるほ か流 通系企 業と のポイ ント 交換を より 充実さ せよ うとし てい る傾向 が見 られた 。
≪表 1≫ 代表的 な航 空会社 のポ イント プロ グラム
運営企業
ポイント名称
利用者数
ポイント単価
有効期限
日本航空
全日本空輸
JAL マイレージバンク
ANA マイレージクラブ
2,096 万人
1,750 万人
1 マイル=1 円
1 マイル=1.5 円
(10,000 マイル=10,000 円)
(20,000 マイル=30,000 円)
36 ヶ月後の月末まで
36 ヶ月後の月末まで
国内・国際・提携特典航空券、アップグレー
主な交換商品
航空券、アップグレード特典、海外・国内
ツアーの購入
ド特典、電子マネーEDY、ANA 記念品、ANA ツ
アー
ポイント交換先
→AEON グループの電子マネーWAON、Suica
→みずほ BK カード、TSUTAYA T ポイント、Suica
電子マネー、TOKYU PASMO 電子マネー、小
電子マネー、PiTaPa 電子マネー、アイワイカ
田急、近鉄、ローソン、JTB、伊予鉄、PiTaPa
ード、東京メトロカード、ヤマダカード、楽
のポイントへ
天カード
8
3.1.2
鉄 道系
鉄道 系 企業 につ い ては 、JR2 社( 東日 本 、西 日本 ) と私 鉄の う ちポ イン ト プロ グラム
を積極 的に 展開し てい る、小 田急 電鉄の 3社 の事例 をま とめた 。
鉄道 会 社は 航空 と 比較 し後 発 であ った こ とか ら、 最 も多 い小 田 急電 鉄で も 利用 者数は
航空会 社 の 10 分 の 1 以 下と大 きく 引き離 され ている 。ま た、鉄道 会 社の特 徴と して 、多
くの グル ー プ企 業を 抱 えて いる た め、 ポイ ン ト景 品に グ ルー プ企 業 の商 品を 用 意してい
ること があ げられ る。
≪表 2≫ 代表的 な鉄 道会社 のポ イント プロ グラム
運営企業
ポイント名称
利用者数
ポイント単価
小田急電鉄
東日本旅客鉄道
西日本旅客鉄道
小田急ポイントカード
Suica ポ イ ン ト
J-WEST ポ イ ン ト
120 万 人
40 万 人
25 万 人
1 ポイント=1 円
1 ポイント=1 円
1 ポイント=1 円
積立期間終了後の 3 ヵ月
取得から翌年度末(3 月)
間
まで
有効期限
小田急の特急券、小田急
主な交換商品
ポイント加盟店でのショ
ICOCA 電 子 マ ネ ー 、JR 西 日
Suica 電 子 マ ネ ー
ッピング
本 グ ル ー プ 商 品 券 ・施 設 利
用権、グッズ
⇔ JAL カ ー ド OP ク レ ジ ッ
⇔ Yahoo!ポ イ ン ト 、WAON ポ
ト 限 定 JAL マ イ ル へ 相 互
イント
交換可能
← AOYAMA ポ イ ン ト( 洋 服 の
ポイント交換
青 山 )、ANA マ イ ル 、Yafoo!
先
ポ イ ン ト 、 WAON ポ イ ン ト 、
え き ね っ と ポ イ ン ト 、コ ナ
カポイント、G ポイント、
ポイントオン、モッピー、
ちょコム、ネットマイル
9
3.1.3
電 力系
電力 会 社の 代表 的 な事 例と し て、 電力 主 力会 社の 東 京電 力と 関 西電 力を ま とめ た。特
徴的な こと として 東京 電力で は、電力の 支払 い実績 でポ イント が蓄 積され るの ではな く 、
メー ルマ ガ ジン 登録 な ど、 通常 の 購入 実績 以 外の 利用 と いっ た、 い わば 企業 と のかかわ
り合 い度 合 いに よっ て ポイ ント を 付与 して い るこ とが あ げら れる 。 また 、両 者 ともポイ
ント 利用 者 数は 他業 種 と比 べ比 較 的少 なく 、 交換 でき る ポイ ント 景 品の 品ぞ ろ えも比較
的少な い。
≪表 3≫ 代表的 な電 力会社 のポ イント プロ グラム
運営企業
東京電力
関西電力
ポイント名称
TEPORE ポ イ ン ト
はぴ e ポイントクラブ
利用者数
19 万 人 5,000 人
16 万 3,000 人
1 ポ イ ン ト = 0.1 円
1 ポイント=約 1 円
ポイント獲得年の翌年年度末
3 年間
ポイント単価
有効期限
エ コ グ ッ ズ 交 換 、環 境 貢 献 、商 品 券 ・
ア イ テ ム グ ッ ズ 、 QUO カ ー ド
主な交換商品
図書券交換、抽選会
→G ポイント、ネットマイル
→ ANA マ イ ル、 PiTaPa ポ イ ン ト
ポ イ ン ト の 貯 ま り 方 は 、購 買 実 績 で は
ポイント交換先
な く 、メ ー ル マ ガ ジ ン 登 録 や 、ネ ッ ト
ク リ ッ ク 、ア ン ケ ー ト 回 答 、ネ ッ ト 投
稿に対して加算される。
3.1.4
シ ョッピ ング 、流通 系
ショ ッピ ン グ、 流通 系 企業 はそ の ほと んど の 企業 がポ イ ント プロ グ ラム を採 用 してお
り、 ほぼ す べて の企 業 がそ の対 象 と言 って も よい 。本 稿 では 、業 界 を代 表す る 企業とい
う視 点か ら 、コ ンビ ニ 大手 のロ ー ソン とセ ブ ンイ レブ ン 、さ らに ビ デオ レン タ ル最大手
10
のツタ ヤと 総合流 通業 大手の イオ ンをポ イン トプロ グラ ムの代 表例 として まと めた。
日々 の 購買 と密 接 に関 連し て おり 、業 態 とし て顧 客 者数 も他 企 業と 比べ 多 数の 顧客が
対象 とな る こと から 、 ポイ ント プ ログ ラム 利 用者 数は い ずれ の企 業 も非 常に 多 い。また
利用 者の 購 入機 会が 非 常に 多い こ とも あい ま って 、イ オ ンで は自 社 の発 行す る クレジッ
トカ ード 利 用時 に付 与 する ポイ ン トプ ログ ラ ムの ほか に 、電 子マ ネ ー用 のポ イ ントプロ
グラ ムも 用 意し てお り 、同 一企 業 で2 つの ポ イン トプ ロ グラ ムを 運 営し てい る ことが特
徴的 であ る 。さ らに 、 いず れの 企 業と もポ イ ント 景品 に つい ては 、 自社 での 商 品購入基
本と して い るも のの 、 業種 を超 え て他 の企 業 とポ イン ト の広 範な 連 携を 進め て おり、ポ
イント 交換 できる 範囲 を広げ る傾 向にあ る。
≪表 4≫ 代表的 な流 通系企 業の ポイン トプ ログラ ム1
運営企業
ポイント名称
利用者数
ポイント単価
有効期限
ローソン
アイワイ・カード・サービス
ローソンポイント
nanaco ポ イ ン ト
622 万 人
590 万 人
1 ポイント=1 円
1 ポイント=1 円
ポイント獲得年度の翌々年 1 月末まで
ポイント獲得年度の翌々年 3 月末まで
お 買 い 物 券 、値 引 き 券 、環 境 社 会 貢 献 、
主な交換商品
セブングループでの電子マネー
各種グッズ
⇔ JAL マ イ ル 、 楽 天 ス ー パ ー ポ イ ン ト
ポイント交換先
←ネットマイル、りそなクラブポイン
← ア イ ワ イ カ ー ド ポ イ ン ト 、JCB ポ イ ン
ト
ト
11
≪表 5≫ 代表的 な流 通系企 業の ポイン トプ ログラ ム2
運営企業
Tカード&マーケティング
イオン
ポイント名称
Tポイント
WAON ポ イ ン ト
利用者数
2,861 万 人
720 万 件
1 ポイント=1 円
1 ポイント=1 円
ポイント単価
イオン
ときめきポイント
1 ポイント=5 円
ティーポイントの最終変動
日 ( 貯 め る 、使 う 、 交 換 す
1 年間のポイント加算期間
る の い ず れ も行 わ れ な か っ
を含む最大 2 年間
有効期限
2 年間
た場合)から 1 年間
TSUTAYA、 TSUTAYA オ ン ラ イ
商品券、対象商品購
ンショップでの購入費、提
主な交換商品
入 、各 種 団 体 寄 付 、オ
電子マネー
携先が発行しているポイン
ンラインショップ対
トなどと交換
応の電子マネー交換
⇔ ANA マ イ ル 、楽 天 ス ー パ ー
→ WAON、 JAL マ イ ル、
⇔ Suica ポ イ ン ト
ポイント
Suica ポ イ ン ト
← DC カ ー ド 、三 菱 東 京 UFJ、
ポイント交換先
← JAL マ イ ル 、と き め きポ
UC,JCB、 り そ な 銀 行 、 三 井
イント
住 友 銀 行 ・ カ ー ド 、 JACCS、
※ WAON カ ー ド 利 用 の み で
ゆ う ち ょ 銀 行、 フ ァ ミ マ 、
加算
TSUTAYA on line
これら の具 体例を もと に、
「 ポイ ントプ ログ ラムの スキ ーム 」を 総 括し 、次 の 通りに ま と
める。
12
3.2
ポイ ントプ ログ ラムの スキ ームの まと め
主な 企業 で 採用 され て いる ポイ ン トプ ログ ラ ムに つい て 、採 用さ れ てい る手 法 のほとん
どが 、顧 客 の購 入に 対 し一 定の 利 率で ポイ ン トを 付与 し 、そ のポ イ ント が一 定 程度 たまっ
たとこ ろで 決めら れた 特典に 引き 換えら れる 、と いう 仕 組みで ある 。ま た、近 年の IT 化 に
よっ て厳 密 に購 入金 額 とそ れに 対 する 一定 レ ート での ポ イン ト付 与 を可 能と し 、さ らにそ
のポ イン ト 交換 をシ ス テマ ティ ッ クに 実現 で きる よう に なっ た結 果 、ロ イヤ ル ティ ・マー
ケテ ィン グ の手 法と し てポ イン ト プロ グラ ム が実 現可 能 とな った と いう こと も でき る。鉄
道や 流通 業 でみ られ る 、電 子マ ネ ーの 普及 も その 流れ に 拍車 をか け てお り、 シ ステ ム的な
購入 実績 の 集約 と、 貨 幣の 支払 い その もの の 技術 的な 進 化と いっ た 、両 面で の 技術 進展の
結果 、多 く の企 業で 柔 軟な ポイ ン トプ ログ ラ ムを 実施 し てい ると い って よい 。 また 、多く
のプ ログ ラ ムで は他 社 のポ イン ト との 交換 を 行っ てい る ケー スも 多 く、 ポイ ン ト自 体に貨
幣と同 じよ うな「 流動 性」を 担保 しよう とす る傾向 がみ られる 。
ポイ ント プ ログ ラム を 効果 の高 い もの とす る には 当然 の こと なが ら 「付 与ポ イ ント」と
「引 き換 え ポイ ント 」 の双 方が 同 時に 、顧 客 にと って 魅 力あ るよ う に効 果的 に 設定 されな
くては なら ない 。付 与 される ポイ ントが あま りに少 なす ぎてほ とん ど蓄積 でき ない状 態( 結
果的 に、 特 典に 交換 で きな い) や 、引 き換 え ポイ ント が 少な すぎ て ほと んど の 顧客 が特典
を獲 得で き てし まい 、 特典 とし て 効果 のな い 状態 にな っ ては 、ポ イ ント プロ グ ラム の意義
がな くな る であ ろう 。 そこ でプ ロ グラ ムを 導 入す る際 に は、 両者 の ポイ ント の レー トをい
かに 設定 す るか が非 常 に重 要で あ る。 一方 、 プラ イシ ン グに よる 顧 客の 反応 に 関し て、カ
ーン ・マ ッ カリ スタ ー (2000) は 「価 格認 知 」、「 価格 感 度」、「価 格 の文 脈効 果 」で あると
して 、特 に 文脈 効果 に つい ては 内 的な 参照 価 格と 外的 な 参照 価格 に 分類 して 考 察し た。た
だし 、こ の 考察 はあ く まで 顧客 の 購入 時の 反 応に 関す る 考察 であ り 、継 続的 な 消費 行動を
担保す るも のでは ない 。
ポイ ント プ ログ ラム と プラ イシ ン グで 同様 の 効果 が想 定 でき る部 分 と、 さら に ポイント
プロ グラ ム が購 入後 の ポイ ント 引 き換 えを 前 提と する こ とに より 、 プラ イシ ン グに はない
13
効果 があ る ので はと 考 えら れる 。 そこ で両 者 の関 係に つ いて 顧客 に 与え る影 響 にど のよう
な共通 性と 相違が ある のか、 以下 の問題 意識 をもっ て検 証する 。
3.3
3.3.1
問題 意識と 仮説
問 題意識
すでに 考察 した通 り 、ポイン トプ ログラ ムの 導入は「 企 業に対 する ロイヤ ルテ ィの醸 成 」
と、企業 ロ イヤル ティ の高い 顧客 に対し 、
「 多くの プロ モーシ ョン 費用を 還元 する 」こ と に
ある 。一 方 、プ ライ シ ング は「 そ の時 限り の 顧客 」か 「 企業 ロイ ヤ ルテ ィの 高 い顧 客」に
関わ らず 、 購入 時点 の 効用 を基 軸 とす るも の であ り、 結 果的 に企 業 ロイ ヤル テ ィと は無関
係と いえ る 。中 村(2004) は、 小 売業 の消 費 者に 対す る 価格 政策 を 「Hi-Lo 政 策」、「EDLP
政策」、「 顧 客識 別価 格 」の 3種 類 に分 類し 、 ポイ ント プ ログ ラム を 「顧 客識 別 価格 」のひ
とつと 位置 づけた 。そ して 、今 後 多くの 企業 で、「 Hi-Lo 政策 」と「 顧客識 別価 格」の2 つ
の仕 組み を 採用 しな が らプ ライ シ ング が行 わ れる とし た 。し かし こ の結 論は 、 プラ イシン
グと ポイ ン トプ ログ ラ ムが 顧客 に 与え る効 果 はほ ぼ同 じ もの 、す な わち 「顧 客 にと っての
共通 する お 得感 」で あ ると 考え て おり 、ポ イ ント プロ グ ラム が企 業 ロイ ヤル テ ィの 高い顧
客に 還元 を 施す こと が でき る手 法 の部 分に の み違 いを 見 出し てい る ので はな い だろ うか。
実際 には 、 ポイ ント プ ログ ラム に は、 購入 時 の付 与に 加 え、 ポイ ン ト引 き換 え 時の 景品と
の関 係や 、 さら にポ イ ント その も のの 流動 性 (= 価値 の 高さ )と い った 、仕 組 みと しての
制約 が同 時 に存 在し て いる 。そ こ でポ イン ト プロ グラ ム が顧 客に 対 する 効用 と 、プ ライシ
ング が顧 客 に与 える 効 用と につ い て、 両者 が 本当 に同 じ 効用 なの か どう か、 そ の関 係を明
らかに する 必要が ある と考え る。
そこ で、 ま ずポ イン ト プロ グラ ム が仕 組み と して 持っ て いる 因子 を 明ら かに し 、プライ
シン グの 持 つ効 果と の 関係 を考 察 する こと に よっ て、 ポ イン トプ ロ グラ ムが 持 つ仕 組み上
の制 約を 明 らか にで き ると 考え る 。ま たそ の 考察 の結 果 、ポ イン ト プロ グラ ム は企 業ロイ
ヤル ティ に よっ て顧 客 を選 別し 、 プラ イシ ン グと 同じ 効 用を 与え る だけ のも の では ないこ
とが 明ら か にで きる な ら、 ポイ ン トプ ログ ラ ムが もと も と指 向し て いた 企業 ロ イヤ ルティ
14
の醸成 にと って効 果的 な要素 を検 証でき ると 考える 。
なお 、も し ポイ ント プ ログ ラム は プラ イシ ン グと 実は 同 じ効 用を 与 えて いる こ とが明ら
かな れば 、 もと もと ポ イン トプ ロ グラ ムを 導 入す るこ と が目 指し て いた 「企 業 に対 するロ
イヤ ルテ ィ 」の 醸成 に つい て、 実 際に はそ れ とは 異な る 効果 を生 み 出し てい る とい うこと
も考 えら れ る。 たと え ば、 ポイ ン トプ ログ ラ ムが プラ イ シン グと 同 じ効 果し か 持た ないと
なれ ば、 プ ライ シン グ が企 業ロ イ ヤル ティ を 棄損 する よ うな 場合 、 結果 的に 「 ポイ ントプ
ログ ラム が 企業 ロイ ヤ ルテ ィを 棄 損し てし ま う」 可能 性 があ ると い うこ とも で きる であろ
う。 この こ とは 、こ れ まで のポ イ ント プロ グ ラム が「 企 業ロ イヤ ル ティ の醸 成 」と 説明さ
れてき たこ とに対 し、 一定の 制約 を示唆 する ものと 考え る。
なお 、ロ イ ヤル ティ に 関し ては 、 南(2006) は行 動側 面 と態 度的 側 面が ある た め、継続
して 購買 し 続け てい る こと 自体 で は企 業に 対 する ロイ ヤ ルテ ィに は なら ない と 指摘 してい
る。 さら に 消費 者が 一 つの 選択 肢 に対 して ロ イヤ ルテ ィ があ ると い うこ とは 、 他の 選択肢
に対 して も ロイ ヤル テ ィが ある と 想定 され る とし た。 し かし 、ポ イ ント プロ グ ラム に対し
て「 実直 に 」参 加し て もらっ てい る顧客 とは 、他 の参 加 してい ない 多くの 消費 者と比 べて 、
ポイ ント プ ログ ラム に つい て継 続 的に 参加 す ると いう 「 行動 的側 面 」を 有し て いる ことか
ら、そ の企 業に対 し広 い意味 で高 いロイ ヤル ティを もつ と分類 でき てもよ さそ うでは あ る 。
その 際注 意 する こと と して 、ロ イ ヤル ティ が 企業 に対 す るも のな の か、 ポイ ン トプ ログラ
ムに 対す る もの なの か 見極 める 必 要が ある と いう こと で ある 。つ ま り、 企業 や 商品 ・サー
ビス には ロ イヤ ルテ ィ を感 じな い もの の、 ポ イン トプ ロ グラ ムに だ けロ イヤ ル ティ (特に
行動 側面 で のも の) を 感じ てい る 顧客 の存 在 を考 慮し た うえ で、 企 業に 対す る ロイ ヤルテ
ィの 低か っ た顧 客に 対 して は、 ポ イン トプ ロ グラ ムが 導 入さ れポ イ ント に対 す るロ イヤル
ティ が生 じ るこ とに よ って 、そ れ まで なか っ た企 業に 対 する ロイ ヤ ルテ ィが 強 化さ れると
いう こと が ある のか 、 それ とも ポ イン トに 対 する ロイ ヤ ルテ ィま で で終 わる も のな のかと
いう こと で ある 。つ ま り、 ロイ ヤ ルテ ィに つ いて 「企 業 に対 する も の」 と「 ポ イン トに対
する もの 」 とに 分類 し たう えで 、 ポイ ント プ ログ ラム 導 入に よっ て 醸成 され る ポイ ントロ
15
イヤ ルテ ィ が企 業そ の もの のロ イ ヤル ティ へ と変 化し 、 結果 的に ブ ラン ドス イ ッチ を抑制
でき るも の へつ なが る かど うか 検 証が 可能 な ので はな い だろ うか 。 また この 検 証か ら、ポ
イン トに 対 する ロイ ヤ ルテ ィが 企 業に 対す る ロイ ヤル テ ィへ つな が り、 さら に 強化 するも
のに なる と いえ るこ と を証 明す る もの とも 考 えら れる 。 そこ で以 上 の観 点か ら 、本 稿にお
ける問 題意 識をま とめ ると以 下の 通りで ある 。
<問題 意識 1>
プラ イシ ン グと ポイ ン トプ ログ ラ ムで は、 顧 客に 対し 同 じ効 果を 与 えて いる の か。そ
れと も、 ポ イン トプ ロ グラ ムの 持 つ効 力に よ って プラ イ シン グと 異 なる 効果 を 与えてい
るのだ ろう か。
<問題 意識 2>
ポイ ント プ ログ ラム を 導入 し、 顧 客に 対し て プロ グラ ム に対 する ロ イヤ ルテ ィ を高め
ておけ ば、 企業に 対す るロイ ヤル ティも 高ま るので はな いか。
3.3.2
仮説
上記の 問題 意識か ら 、以下の 仮説 をもと に分 散分析 によ り多重 比較(事 後比 較 )を 行う 。
(仮 説1 ) 顧客 の価 格 選好 性が 低 いと き、 ポ イン トプ ロ グラ ムに よ るブ ラン ド スイ ッチは
発生し やす い。
(仮 説2 ) 普段 の商 品 サー ビス 購 入に おけ る ロイ ヤル テ ィが 低い ほ ど、 価格 選 好性 に基づ
くブラ ンド スイッ チは 発生し やす い。
(仮 説3 ) ポイ ント プ ログ ラム に 対す るロ イ ヤル ティ が 高い ほど 、 企業 に対 す るロ イヤル
ティは 高く なる。
カー ネマ ン ・ツ ベル ス キー (1979)の 「プ ロ スペ クト 理 論」 によ れ ば、 消費 者 の価値観
数は 得す る こと より も 、損 する こ との ほう に 価値 が高 い とさ れる 。 中村 (2004)は この結
果か ら、 ポ イン トプ ロ グラ ムに よ るポ イン ト のゲ イン よ りも 、プ ラ イシ ング に よる 値引き
のほ うが 消 費者 にと っ て高 い価 値 効用 を与 え るこ とが で きる 結果 、 値引 きの ほ うが 売上数
量を 増加 さ せる こと が でき ると し た。 しか し この 結果 は 、ポ イン ト プロ グラ ム につ いて購
16
入時 点で 付 与さ れる ポ イン トと 購 入価 格と の 比較 につ い ての 考察 で ある 。ポ イ ント プログ
ラム では 参 加し てポ イ ント がた ま るこ とで 「 ポイ ント 景 品」 が得 ら れる こと も その 魅力の
一つで ある ことか ら 、いわば 事後 的なポ イン トプロ グラ ムの魅 力部 分( ポイ ン ト景品 な ど )
を考 慮し た プラ イシ ン グと の比 較 が必 要と 考 える 。そ こ で、 価格 選 好性 の差 に よっ て顧客
を分 類し 、 ポイ ント プ ログ ラム に 参加 して 得 られ る効 用 から ブラ ン ドス イッ チ の差 を検証
するこ とと した( 仮説 1)。
また 、南 ( 2006)は 、 CRM 施策 の 実施 が顧 客 満足 を実 現 し、 その 実 現が 顧客 の ロイヤル
ティ (= 顧 客維 持) に つな がる こ とで 、結 果 的に 財務 的 な成 果が 上 がる とし た 。こ のこと
は、 顧客 の ロイ ヤル テ ィを 高め る こと は、 ブ ラン ドス イ ッチ が少 な くな るこ と を意 味する
もの であ る 。当 然な が ら、 ロイ ヤ ルテ ィが 高 まる こと で 、プ ライ シ ング との 関 係に おいて
も、 プラ イ シン グに よ るブ ラン ド スイ ッチ が 発生 しに く くな るこ と を示 すこ と で、 結果的
に財務 的成 果が実 現で きるこ とを 示唆す ると 考える (仮 説2)。
その うえ で 、ロ イヤ ル ティ には 行 動側 面と 態 度的 側面 が ある が、 企 業に 対し て 顧客が感
じて いる ロ イヤ ルテ ィ と、 ポイ ン トプ ログ ラ ム自 体に 感 じて いる も のと の間 に は補 完の関
係が ある の かど うか を 考察 する こ とで 、ロ イ ヤル ティ 自 体が もつ 側 面を 明ら か にで きるの
ではな いか と考え る( 仮説3 )。
以上 の仮 説をも とに 、以下 のデ ータを もと に分析 ・検 証を行 う。
4.デ ータ
4.1
標本
本論文 では 、㈱ ボー ダ ーズ提 供の アンケ ート 専用 WEB サ イト「ア ン とケイ ト 」を用い て、
全国の アン ケート 回答 登録し た対 象者か ら無 作為に 抽出 された 回答 者によ って WEB ア ン ケ
ートを 実施 し、2 0歳 以上の 男女 それぞ れ 300 名 、計 600 名 のサ ン プルを 得た 。アン ケ ー
トサ イト の シス テム 制 約に より 同 一人 の複 数 回の 回答 は ない 。ま た 、質 問が あ いま いであ
るとか 、多 義性を 持っ ている ため 解答の 信頼 性の低 いも のデー タと して採 用さ れる場 合 や 、
17
さら に、 何 らか の強 制 によ り特 に 解答 者が 不 利を 被る よ うな おそ れ があ る場 合 は、 質問に
対し て防 御 的な 回答 を する こと が 考え られ る が、 本考 察 では ポイ ン トと プラ イ シン グの関
係を 論点 に して おり 、 回答 者に 誤 認を 与え る 恐れ が極 め て低 いこ と や、 匿名 の 集計 である
こと から 、 特に 質問 項 目や 回答 に 対し て、 除 去や 変換 は 行っ てい な い。 各質 問 に対 する回
答形式 は 、5 件法に よる 選択肢 とし ており 、600 サンプ ルに 未回答 の欠 損デー タは なかっ た 。
なお、 実施 期間は 平 成 21 年 5 月 27 日~ 28 日 の両日 にか けて行 った 。
≪表6 ≫
標本の 概要
15歳未満
15歳~19歳
20歳~29歳
30歳~39歳
40歳~49歳
50歳~59歳
60歳以上
合計
4.2
男性
回収数
-
女性
回収数
-
35
82
100
55
28
300
65
122
64
35
14
300
合計
回収数
100
204
164
90
42
600
割合
17%
34%
27%
15%
7%
100%
調査 内容
仮説 1~ 3 を検 証す る ため 、個 人 がポ イン ト プロ グラ ム をど の程 度 重要 と感 じ ているか
を調 査し 、 参加 する 理 由や その 企 業に 関し て 、お 得感 と いう プラ イ シン グに 近 い側 面と、
その 企業 に 対す るロ イ ヤル ティ の 側面 につ い て、 アン ケ ート の項 目 によ って 確 認し た。さ
らに 、ポ イ ント プロ グ ラム の参 加 の有 無が ブ ラン ドス イ ッチ にど の 程度 影響 し てい るかと
いう 点と 、 ポイ ント プ ログ ラム の 有無 にか か わら ず普 段 の商 品サ ー ビス の購 入 の理 由につ
いて、プラ イシン グや 企業に 対す るロイ ヤル ティが どの ように 影響 してい るか を調査 し た 。
5.探 索的 因子分 析
5.1
ポイ ントプ ログ ラムの 因子
アン ケー ト 項目 のう ち 、ポ イン ト プロ グラ ム につ いて そ の付 与率 の 良さ 、あ る いは景品
18
の良 さ、 ま たは 他の ポ イン トと の 流動 性の 良 さな どを 聞 くこ とに よ って 、ポ イ ント プログ
ラム を開 始 しよ うと す る理 由と な るも のは な にか を調 査 した 「質 問 2」 の回 答 に対 し、因
子分 析を 行 い、 その 結 果か らポ イ ント プロ グ ラム に対 す る共 通因 子 数を 決め た 。次 に主因
子法か ら共 通性が 収束 するま で反 復推定 を行 い、得 られ た共通 解を バリマ ック ス回転 し た 。
なお 、男 女 とも 共通 の 因子 構造 を もつ もの と して 、本 分 析で は男 女 をま とめ て 分析 を行っ
た。
「ポ イン ト 付与 因子」「ポ イン ト 景品 因子」「ポ イン ト 流動 性因 子 」が ポイ ン トプ ログラ
ムそ のも の であ ると 考 えら れる こ とか ら、 そ こで これ ら の因 子を 構 成す る質 問 2- 8~1
6に限 って 因子分 析を 行い、3つ の因子 に収 束させ るよ う因子 分析 をおこ なう ことと し た 。
表7に バリ マック ス回 転後の 因子 負荷量 を示 してい る。
≪表7 ≫バ リマッ クス 回転後 の「 ポイン トプ ログラ ム開 始理由 のう ち、ポイ ン ト 関 連
項目に 限定 した場 合」 の因子 負荷 量
質問
2-8
2-9
2-10
2-11
2-12
2-13
2-14
2-15
2-16
変数名
ポイント景品因子 ポイント付与因子 ポイント流動性因子
P付与率
0.194
0.690
0.225
ポイント効率
0.334
0.572
0.189
高額景品
0.604
0.119
0.172
景品お得度
0.716
0.246
0.169
景品数
0.715
0.350
0.137
ポイント効率
0.486
0.548
0.173
交換可否
0.226
0.249
0.787
交換効率
0.204
0.300
0.880
有効期限
0.168
0.639
0.232
二乗和
1.894
1.862
1.641
寄与率
21.05%
20.69%
18.23%
累積寄与率
21.05%
41.74%
59.97%
表7 よ り、 ポイ ン トプ ログ ラ ムを ため 始 める 理由 と なる 主因 子 とし てポ イ ント プログ
ラム に限 っ て行 った 場 合、 3つ の 因子 の累 積 寄与 率は 59.97%と な り、 一般 的 に目安と
され る 60% をほぼ 担保 してい る。
5.2
企業 ロイヤ ルテ ィに関 する 成分
アン ケー ト 項目 のう ち 、普 段の 商 品や サー ビ スを 購入 す ると きの 主 な理 由と な りえる
もの につ い て、 価格 、 品質 、企 業 イメ ージ 、 ある いは 購 入の 習慣 性 や企 業に 対 する愛着
19
など の項 目 を列 挙し 重 要視 する 度 合い を聞 い た「 質問 8 」に つい て 主成 分分 析 を行い、
購入 にお け る企 業ロ イ ヤル ティ と なり える 主 成分 をま と めた 。な お 、5.1 と 同 様に男女
とも 共通 の 因子 構造 を もつ もの と して まと め て分 析を 行 って いる 。 その 結果 、 主成分の
負荷量 から ロイヤ ルテ ィに関 連す る変数(質 問)が 高い 負荷量「主 成分 No.1」を「ロ イ
ヤル ティ 成 分」 の合 成 と考 え、 こ の主 成分 を 「ロ イヤ ル ティ 成分 」 とし た。 な お、第一
主成 分の 寄 与率 は 46.1%で あっ た。 表8 に 固有 値、 寄 与率 、累 積 寄与 率と 主 成分 No.1
(ロイ ヤル ティ成 分) の主成 分負 荷量を 示し た。
≪表8 ≫
固有値表
主成分No
主成分№1
主成分№2
主成分№3
主成分№4
主成分№5
主成分№6
主成分№7
主成分№8
主成分№9
主成分№10
主成分№11
5.3
主成分 の固 有値、 寄与 率とロ イヤ ルティ 成分 の主成 分負 荷量
固有値
5.071
1.167
0.926
0.772
0.701
0.530
0.474
0.420
0.392
0.290
0.258
寄与率
累積寄与率
46.10%
46.10%
10.61%
56.71%
8.42%
65.13%
7.01%
72.14%
6.37%
78.51%
4.81%
83.33%
4.31%
87.64%
3.82%
91.45%
3.56%
95.02%
2.64%
97.65%
2.35%
100.00%
主成分負荷量
質問
変数名
8‐1
価格
8‐2
品質
8‐3
イメージ
8‐4
習慣
8‐5
安心
8‐6
愛着
8‐7
なじみ
8‐8
信頼
8‐9
サービス
8‐10
立地
8‐11
満足
主成分№1
0.354
0.501
0.669
0.698
0.783
0.768
0.763
0.810
0.671
0.575
0.735
ポイ ントロ イヤ ルティ に関 する成 分
5.1 では ポ イント プロ グラム を開 始しよ うと してい ると きの 、ポ イ ントプ ログ ラ ム が
持つ 因子 を 抽出 した が 、こ の因 子 はポ イン ト プロ グラ ム を利 用し よ うと する 時 点での考
察で あっ て 、特 に購 入 にお ける 価 格選 好性 と の分 析に 有 効な 因子 と 考え る。 し かし、ポ
イン トプ ロ グラ ムそ の もの を継 続 的に 利用 し てい る場 合 、ポ イン ト プロ グラ ム 自体への
ロイ ヤル テ ィも ある と 考え られ る こと から 、 利用 され て いる ポイ ン トプ ログ ラ ムに対す
る魅 力に つ いて 、ポ イ ント 付与 率 や景 品、 流 動性 とい う 項目 に加 え 、ポ イン ト そのもの
への 愛着 や 、長 期に さ らに 継続 的 にポ イン ト を使 用し た いと おも う か、 ポイ ン トから満
足が 得ら れ るか とい っ たロ イヤ ル ティ に関 す る項 目を 「 質問 6」 で 確認 した 。 この回答
をも とに 、 ポイ ント プ ログ ラム に 対す るロ イ ヤル ティ 成 分を 合成 す るた め主 成 分分析を
20
行い 、ポ イ ント ロイ ヤ ルテ ィの 主 成分 を抽 出 した 。な お 、5.1 と 同 様に 男女 と も共通の
因子 構造 を もつ もの と して まと め て分 析を 行 って いる 。 その 結果 、 主成 分の 負 荷量から
ロイヤ ルテ ィに関 連す る変数 が高 い負荷 量に ある「主 成 分 No.1」を「ロ イヤ ル ティ成 分」
の合 成と 考 え、 この 主 成分 を「 ポ イン トロ イ ヤル ティ 成 分」 とし た 。な お、 第 一主成分
の寄与 率 は 42.8% であ った 。表 9 に固有 値 、寄与率 、累 積寄与 率と 主成 分 No.1(ポ イン
トロイ ヤル ティ成 分) の主成 分負 荷量を 示し た。
≪表9 ≫主 成分の 固有 値、寄 与率 とポイ ント ロイヤ ルテ ィ成分 の主 成分負 荷量
固有値表
主成分No
主成分№1
主成分№2
主成分№3
主成分№4
主成分№5
主成分№6
主成分№7
主成分№8
主成分№9
主成分№10
主成分№11
固有値
4.708
1.466
1.122
0.873
0.696
0.557
0.430
0.399
0.350
0.220
0.178
寄与率
累積寄与率
42.80%
42.80%
13.33%
56.13%
10.20%
66.33%
7.93%
74.26%
6.33%
80.59%
5.06%
85.66%
3.91%
89.57%
3.63%
93.20%
3.19%
96.38%
2.00%
98.38%
1.62%
100.00%
21
主成分負荷量
質問
変数名
主成分№1
6‐1
付与率
0.650
6‐2
交換率
0.598
6‐3
景品価値
0.582
6‐4
値引き
0.533
6‐5
流動性
0.535
6‐6
流動レート
0.553
6‐7
有効期間
0.635
6‐8
愛着
0.706
6‐9
継続性
0.787
6‐10
信頼
0.787
6‐11
満足
0.757
6.分 析と 検証
6.1
ポイ ントプ ログ ラムと 価格 選好性 の関 係
製品 サー ビ スの 購入 に 際し 、価 格 に対 して 敏 感な 人は 、 ポイ ント プ ログ ラム の 選択に
おい ても 同 様に 、ど れ だけ お得 か どう かと い う度 合い に 比例 して 敏 感に 反応 し ていると
考え られ る 。そ こで 、 5.1 で考 察 した ポイ ン トプ ログ ラ ムの 主因 子 であ る「 ポ イント景
品因子 」、
「 ポイン ト付 与因子 」、
「 ポイン ト流 動性因 子 」と、
「 価格 を 重要視 する かの回 答」
(ア ンケ ー トの 質問 2 -4 、4 - 1、 8- 1 )の 3つ の 回答 の合 計 値か ら、 そ の平均よ
り高い 回答 者を価 格選 好性の 高い 消費者(H)と、平均 よ り低い 消費 者を価 格選 好性の 低
い消費 者( L)と した うえで 消費 者を分 類し た。な お、本論文 の目 的は、価格 選好性 と ポ
イン トプ ロ グラ ムが プ ライ シン グ と同 じ効 果 を得 てい る かそ れと も 異な る効 果 があるの
かを 解明 す るこ とに あ る。 そこ で 、そ れら が 与え る効 果 を「 ブラ ン ドス イッ チ 」とし、
価格 選好 性 の違 いと 、 ポイ ント プ ログ ラム の 持つ 因子 の 影響 が組 み 合わ さる こ とで、ブ
ラン ドス イ ッチ が生 じ る度 合い に 変化 が生 ま れる とい う こと がわ か れば 、プ ラ イシング
とポ イン ト プロ グラ ム の関 係を 明 らか にす る こと がで き ると 考え る 。そ こで 、 複数要因
の分 散分 析 を行 い、 交 互作 用を 確 認す るこ と によ って 、 価格 選好 性 の高 低と ポ イントプ
ログ ラム の 持つ 複数 要 因の 高低 の 組み 合わ せ によ る回 答 者の ブラ ン ドス イッ チ を起こし
ている のか を検証 した 。分類 につ いては 以下 の通り であ る。
(1)「 ポイ ント景 品因 子」、
「ポ イ ント付 与因 子」、
「ポ イ ント流 動性 因子 」に つ いては 、主
因子を 構成 する因 子得 点から 、因 子得点 の平 均( =0)の 上下に よっ て「 H( 高影 響)」、
「L( 低影 響)」 の2 つの消 費者 タイプ に分 類した 。な お、そ れぞ れの H、 L のサン プ
ル数は「ポ イント 景品 因子 = H:306 名、L:294 名」、
「ポイ ント 付与因 子 = H:296
名、L:304 名」、「 ポイ ント流 動因 子 = H:342 名 、L: 258 名 」で あ った。
(2)価 格選 好性 の分 類 のた めに、「質 問2 - 4
ポイ ン トプ ログ ラ ムを 開始 す る際 の理由
として 、商 品サー ビス の価格 が最 も安い こと が理由 とな るか」、
「 質 問4- 1
ポイ ン
トプ ロ グラ ム企 業 以外 から 購 入す るの は 競合 が安 売 りし てい る こと が理 由 とな るか 」、
22
「質問 8- 1
普 段商 品やサ ービ スを購 入す るとき 、価 格が最 も安 いこと が主 な 理 由
となる か 」の3つ の5 件法選 択肢 による アン ケート の回 答を用 いた 。こ れら の 3つ の
回答の 合計 値を求 めた ところ 、最 大値 15、 最小値 3、 平均 11.998、標 準偏 差 1.952
を得 た ので 、そ れ ぞれ の合 計 値が 平均 値 (11.998) を上 回る サ ンプ ルを 「H( 高価 格
選好者 )」、下回る もの を「L(低 価 格選好 者)」として の 2つの 消費 者タイ プに 分類 し
た。な お、「H( 高価 格選好 者)」は 386 名 、「L( 低価 格選好 者)」は 214 名 で あ っ た 。
(3)ブ ラン ドスイ ッチ につい ては 、「質 問3
利用 され るポイ ント プログ ラム とは異 な る
企業で 購入 する程 度は どのく らい あるか 」に 対する 、5 件法に よる 選択肢 の回 答 を そ
のまま 用い た。
6.1.1
「 ポイン ト景 品因子 」の 分散分 析
ポイ ン トプ ログ ラ ムも つ主 因 子は 3つ に 分類 され る 。ま ずポ イ ント 景品 因 子と 価格選
好のタ イプ 分けよ って 、各タ イプ のブラ ンド スイッ チの 結果が 以下 の通り であ る。
分散分析表
因 子
ポイント景品因子
価格選好
ポイント景品因子 * 価格選好
誤差
全体
TypeⅢ平方和
8.9343
23.8396
4.2732
545.9412
588.9983
自由度
1
1
1
596
599
平均平方
8.9343
23.8396
4.2732
0.9160
F 値
9.7535
26.0255
4.6650
**:1%有意 *:5%有意
P 値
判 定
0.0019 **
0.0000 **
0.0312 *
各水準の平均値
【 ポイ ント景品因子 × 価格選好 】
ブ ラ ンドスイッチ
4.5
価格選好 H
4
3.5
価格選好 L
3
2.5
L
H
ポイント景品因子
分散 分析 か ら、 ポイ ン ト景 品因 子 と価 格選 好 の組 み合 わ せに おけ る ブラ ンド ス イッチ
につい て 、平均平 方 4.2732、F 値 4.6650、P 値 0.0312 の結果 を得 たため 、有 意水 準 5%
23
で価格 選好 の2タ イプ の顧客 の間 には交 互作 用があ るこ とがわ かる 。
この 結果 よ り、 価格 選 好の 水準 の 差に より 、 ポイ ント 景 品因 子の 影 響の 高低 に よって
ブラ ンド ス イッ チに 差 があ ると い うこ とが で きる 。つ ま り、 もと も と価 格選 好 の高い顧
客は 、ポ イ ント 景品 に 対す る評 価 が高 まっ て もブ ラン ド スイ ッチ す るこ とは ほ とんどな
いが 、価 格 選好 の低 い 顧客 はポ イ ント 景品 に 対す る評 価 が高 まる に つれ 、ブ ラ ンドスイ
ッチす る度 合いが 高ま るとい うこ とがで きる 。
6.1.2
「 ポイン ト付 与因子 」の 分析
次に 、 ポイ ント 付 与因 子と 価 格選 好の タ イプ 分け よ って 、各 タ イプ の顧 客 がど のよう
にブラ ンド スイッ チを 起こし てい るか分 析し た結果 が以 下の通 りで ある。
分散分析表
因 子
ポイント付与因子
価格選好
ポイント付与因子 * 価格選好
誤差
全体
TypeⅢ平方和
1.7041
26.9905
1.4092
551.7047
588.9983
自由度
1
1
1
596
599
平均平方
1.7041
26.9905
1.4092
0.9257
F 値
1.8409
29.1575
1.5224
**:1%有意 *:5%有意
P 値
判 定
0.1754
0.0000 **
0.2177
各水準の平均値
【 ポイ ント付与因子 × 価格選好 】
ブ ラ ンドスイッチ
4.5
4
価格選好 H
3.5
価格選好 L
3
2.5
L
H
ポイント付与因子
分散 分析 か ら、 ポイ ン ト付 与因 子 と価 格選 好 の組 み合 わ せに おけ る ブラ ンド ス イッチ
につい て、 平均平 方 1.4092、 F 値 1.5224、P 値 0.2177 であっ た。 この結 果、 価格選 好
によ る差 で は、 ポイ ン ト付 与因 子 の水 準に よ って ブラ ン ドス イッ チ に関 する 交 互作用が
認めら れな い。
「 ポイ ント付 与因 子」、
「価 格 選好 」そ れ ぞれの 主効 果の検 定か ら、価格 選
好のみ 有意 という こと がわか る。(P 値 0.0000)
24
この 結 果 か ら、 価 格 選 好に 限 っ て 言え ば 選 好 性が 高 ま る とき ブ ラ ン ドス イ ッ チ が起こ
る と い え る も の の 、 ポ イ ン ト 付 与 因 子 の 影 響 によ っ て ブ ラ ン ド ス イ ッ チ が 起 こ る 影 響 は
ないと いう ことに なる 。
6.1.3
「 ポイン ト流 動性因 子」 の分析
最後 に 、ポ イン ト 流動 性因 子 と価 格選 好 のタ イプ 分 けよ って 、 各タ イプ の 顧客 がどの
ように ブラ ンドス イッ チを起 こし ている か、 分散分 析し た結果 が以 下の通 りで ある。
分散分析表
因 子
ポイント流動性因子
価格選好
ポイント流動性因子 * 価格選好
誤差
TypeⅢ平方和
8.3762
27.3237
3.5216
546.6084
自由度
1
1
1
596
平均平方
8.3762
27.3237
3.5216
0.9171
**:1%有意 *:5%有意 +:10%有意
F 値
P 値
判 定
9.1330
0.0026 **
29.7926
0.0000 **
3.8398
0.0505 +
各水準の平均値
【 ポイント流動性因子 × 価格選好 】
ブ ラ ンドスイッチ
4.5
4
価格選好 H
3.5
価格選好 L
3
2.5
L
H
ポイント流動性因子
分散 分析 か ら、 ポイ ン ト流 動性 因 子と 価格 選 好の 組み 合 わせ にお け るブ ラン ド スイッ
チにつ いて 、平 均平 方 3.5216、F 値 3.8396、P値 0.0505 の結 果を 得た 。有 意 水準 は 5%
に満た ない もの の 10% 水準で 交互 作用が ある ことか ら 、価格選 好の 水準の 差に より 、ポ
イント 流動 性因子 の影 響の高 低に よって ブラ ンドス イッ チに差 があ ると考 えら れる。
つま り、 も とも と価 格 選好 の高 い 顧客 は、 ポ イン ト流 動 性に 対す る 評価 が高 ま っても
ブラ ンド ス イッ チす る こと はほ と んど ない が 、価 格選 好 の低 い顧 客 はポ イン ト 流動性に
対する 評価 が高ま るに つれ、ブラ ンドス イッ チする 度合 いが高 まる という こと がで き る 。
25
6.1.4
ポ イント プロ グラム の各 因子と 価格 選好性 の関 係
これ まで の ポイ ント プ ログ ラム の 因子 が価 格 選好 性の 影 響を 受け る こと によ っ てブラ
ンドス イッ チに違 いが あるの では ないか とい う仮説 に基 づいて 分析 してき た。
また 、分 散分析 の結 果より「 ポ イント 景品 因子 」と「 ポイン ト流 動性因 子 」に交互 作
用が見 られ たこと から 、価格 選好 性が低 い顧 客がポ イン トプロ グラ ムに参 加す るこ と で 、
「 ポ イ ン ト プ ロ グ ラ ム か ら 得 ら れ る 景 品 の 魅 力 」 や 、「 ポ イ ン ト 自 体 の 流 動 性 の 高 さ 」
によっ て、ブラン ドス イッチ する 可能性 が高 いとい うこ とが判 明し た。ま た「 ポイ ン ト
付与因 子」には交 互作 用が見 られ なかっ たこ と、ポ イン ト付与 因子 に主効 果も 有意 と な
ら な か っ た こ と か ら 、「 ポ イ ン ト 付 与 率 な ど が お 得 か ど う か 」 と い う 要 素 は 価 格 選 好 性
の影響 によ るブラ ンド スイッ チに 集約さ れて いるこ とと なる。つま り、ポ イン トプ ロ グ
ラムを 導入 するこ とで 、特に 価格 選好性 の低 かった 層に 対して「ポ イント 景品 」や「 ポ
イント の流 動性」が影 響して ブラ ンドス イッ チを進 める ことが でき るとい うこ とが わ か
った。 以上 をまと める と図2 の通 りであ り仮 説1に 対す る結果 とす る。
≪図2 ≫ポ イント プロ グラム と価 格選好 性が ブラン ドス イッチ に与 える影 響と 効果
ポイント景品因子
① ポイント付与因子
ブランドスイッチ
ポイント流動性因子
②
価格選好
①の効果
②の効果
ポイント景品因子
○
○
ポイント付与因子
×
×
ポイント流動性因子
○
○
○ 影響あり、× 影響なし
26
6.2
企業 ロイヤ ルテ ィと価 格選 好性の 関係
筆者 自身 の 経験 では 、 価格 選好 性 の強 い顧 客 は企 業ロ イ ヤル ティ を 醸成 しに く いと感
じる こと が 多い 。ま た 町田 ・大 竹 (2003) を はじ め多 く のロ イヤ ル ティ ・マ ー ケティン
グの 先行 研 究か ら、 一 般的 に企 業 ロイ ヤル テ ィは 価格 選 好が 高い 人 ほど 逆に 低 くなると
して いる が 、直 感的 に も価 格選 好 性が 高い と いう こと は 企業 ロイ ヤ ルテ ィの な い状態と
いう 説明 に 対し ては 納 得感 があ る 。そ こで 、 これ まで に 考察 した 因 子を もと に 価格選好
性と企 業ロ イヤル ティ との関 係か らブラ ンド スイッ チに ついて 分散 分析を 行う 。
まず 、5.2 で考 察し た 企業 ロイ ヤ ルテ ィ成 分 を構 成す る 主成 分得 点 から 、得 点 の平均
(=0)の 上 下によ って「H( 高影 響 )」、
「 L( 低 影響)」の 2 つの消 費者 タイプ に分 類した 。
なお、 H、 L の サン プ ル数は 「企 業ロイ ヤル ティ = H:296 名 、 L:304 名 」であ った 。
また、 価格 選好性 、ブ ランド スイ ッチ は 6.1 の考察 で使 用した 分類 を用い た。
6.2.1
企 業ロイ ヤル ティ成 分と 価格選 好性 の分散 分析
企業 ロイ ヤ ルテ ィ成 分 に対 し価 格 選好 性と の 関係 をブ ラ ンド スイ ッ チの 起こ る 度合い
で分散 分析 を行い 、検 証した 結果 が以下 の通 りであ る。
分散分析表
因 子
企業ロイヤルティ
価格選好
企業ロイヤルティ * 価格選好
誤差
全体
TypeⅢ平方和
7.4987
20.7763
2.8184
548.2107
588.9983
自由度
1
1
1
596
599
平均平方
7.4987
20.7763
2.8184
0.9198
**:1%有意 *:5%有意 +:10%有意
F 値
P 値
判 定
8.1523
0.0045 **
22.5874
0.0000 **
3.0641
0.0806 +
各水準の平均値
【 企業ロイ ヤルティ × 価格選好 】
ブ ラ ンドスイッチ
4.5
4
3.5
価格選好 H
価格選好 L
3
2.5
L
H
企業ロイヤルティ
27
分散 分析 に より 、企 業 ロイ ヤル テ ィ成 分と 価 格選 好の 組 み合 わせ に おけ るブ ラ ンドス
イッチ につ いて、 平均 平方 2.8184、F 値 3.0641、P 値 0.0806 の結 果 を得た 。有 意水準
5%と はい かない まで も、10%水 準で価 格選 好の2 タイ プの顧 客の 間には 交互 作用が あ る
こと が分 か る。 つま り 、価 格選 好 の低 い顧 客 が企 業ロ イ ヤル ティ を 高め るこ と によって
ブラン ドス イッチ を起 こして いる と考え られ る。
つま り、 企 業に 対す る ロイ ヤル テ ィが 高ま る にと もな い 、価 格選 好 の低 かっ た 顧客が
ブラ ンド ス イッ チが 高 まる とい う こと がで き 、逆 に価 格 選好 の高 い 顧客 は企 業 ロイヤル
ティ が高 ま って もブ ラ ンド スイ ッ チに 差が ほ とん どな い とい うこ と も言 える 。 つまり、
企業 ロイ ヤ ルテ ィを 醸 成す るこ と は、 価格 選 好性 の影 響 をこ えて ブ ラン ドス イ ッチに影
響を与 える ことが わか る。
6.2.2
企 業ロイ ヤル ティと 価格 選好性 の関 係
通常 の商 品 購入 時に お いて 企業 に 対す るロ イ ヤル ティ が 高い ほど 、 価格 選好 性 の影響
を受 けた と して もブ ラ ンド スイ ッ チは 起こ り にく くな る ので はな い かと いう 仮 説に基づ
いて分 析し てきた 。そ の関係 をま とめる と、 以下の 図3 となる 。
≪図3≫通常の購入時におけるロイヤルティと価格選好性がブランドスイッチに与え
る影響 と効 果
① 企業ロイヤルティ
ブランドスイッチ
②
価格選好
企業ロイヤルティ
①の効果
②の効果
○
○
○;影響あり、×;影響なし
28
企業ロイヤルティと価格選好性との関係におけるブランドスイッチの関係を分散分
析によ って 考察し た結 果、価 格選 好性の もと では企 業ロ イヤル ティ に交互 作用 が見 ら れ
たこと から 、企業 ロイ ヤルテ ィを 感じて 購入 してい る顧 客のう ち価 格選好 性が 低い 顧 客
はブラ ンド スイッ チす る可能 性が 高まる こと が判明 した 。この 結果 は、企 業ロ イヤ ル テ
ィを醸 成す ること によ って、価格 選好性 によ るブラ ンド スイッ チを 抑制あ るい は自 社 へ
の転換 に影 響を与 える ことが でき ること を示 唆する もの と考え る。企業ロ イヤ ルテ ィ が
高い顧客は価格選好性によるブランドスイッチを抑止できるとした仮説2はこの結果
により 支持 される 。
6.3
ポイ ントロ イヤ ルティ と価 格選好 性の 関係
ポイ ント プ ログ ラム そ のも のを 利 用続 けよ う と考 える こ とは 、商 品 やサ ービ ス の購入
時に 企業 に 感じ るロ イ ヤル ティ と 同じ よう な 感覚 や行 動 をポ イン ト プロ グラ ム そのもの
に対 して も 感じ てい て 、い わば 「 ポイ ント に 対す るロ イ ヤル ティ 」 が生 じて い るのでは
と考え る 。そこで 、
「 ポイン トロ イヤル ティ 成分 」に 対 し価格 選好 性との 関係 をブラ ン ド
スイ ッチ の 起こ る度 合 いで 分析 ・ 検証 する 。 まず 、5.3 の考 察に よ る主 成分 を 構成する
主成分 得点 から、 因子 得点の 平均 (=0)の 上下に よっ て「H(高 影響)」、「L(低影 響 )」
の2つ の消 費者タ イプ に分類 した 。な お、そ れぞれ の H、L のサ ン プル数 は「 ポイン トロ
イヤル ティ 成分 = H:306 名 、L:294 名 」であっ た 。また 、価 格 選好性 、ブ ランド スイ
ッチ は 6.1 の考察 で使 用した 分類 を用い た。
6.3.1
ポ イント ロイ ヤルテ ィ成 分の分 散分 析
探索 的因 子 分析 で求 め たポ イン ト ロイ ヤル テ ィ成 分に 対 し、 価格 選 好性 との 関 係をブ
ランド スイ ッチの 起こ る度合 で分 散分析 した 結果が 以下 の通り であ る。
分散分析表
因 子
ポイントロイヤルティ
価格選好
ポイントロイヤルティ * 価格選好
誤差
全体
TypeⅢ平方和
6.4594
19.9613
2.1244
549.4830
588.9983
29
自由度
1
1
1
596
599
平均平方
6.4594
19.9613
2.1244
0.9220
F 値
7.0062
21.6511
2.3043
**:1%有意 *:5%有意
P 値
判 定
0.0083 **
0.0000 **
0.1295
各水準の平均値
【 ポイ ントロイ ヤルティ × 価格選好 】
ブ ラ ンドスイッチ
4.5
4
3.5
価格選好 H
価格選好 L
3
2.5
L
H
ポイント ロイヤルティ
多重比較検定
因 子
ポイントロイヤルティ
価格選好
目的変数
手法
ブランドスイッチ Tukey
ブランドスイッチ Tukey
水準1
L
H
水準2
H
L
平均値1 平均値2
3.5102
3.8203
3.8420
3.3551
差
0.3101
0.4868
統計量
3.9541
5.9490
**:1%有意 *:5%有意
P 値
判 定
0.0001 **
0.0000 **
分散 分 析よ り、 ポ イン トロ イ ヤル ティ 成 分と 価格 選 好の 組み 合 わせ にお け るブ ランド
スイッ チに ついて 、平 均平 方 2.1244、F 値 2.3043、 P 値 0.1295 の 結 果を得 た。 この結
果、 企業 ロ イヤ ルテ ィ とは こと な り価 格選 好 の2 タイ プ の顧 客の 間 で交 互作 用 が見られ
ない こと か ら、 価格 選 好の 水準 の 差に よっ て ポイ ント ロ イヤ ルテ ィ の高 低で は ブランド
スイ ッチ に 差が ない と いう こと が 判明 した 。 また 、主 効 果の 検定 か ら価 格選 好 性による
ブラン ドス イッチ の影 響は 1%で 有意で ある が、ポ イン トロイ ヤル ティの 影響 は 5% で 有
意で ある こ とが 判明 し 、そ れぞ れ の成 分、 因 子は ブラ ン ドス イッ チ に有 意に 働 くという
こと がわ か った 。ま た 、多 重比 較 の検 定か ら ポイ ント ロ イヤ ルテ ィ 、価 格選 好 性ともに
各々 の水 準 差に よっ て 、有 意水 準 1%で ブ ラン ドス イ ッチ に差 が ある とい う こと もわか
った。
南(2006) は、 消 費者 が企 業 や製 品・ ブ ラン ドに 対 して ロイ ヤ ルテ ィが あ ると いうと
きは 、他 の 選択 肢に 対 して もロ イ ヤル ティ が 高い 場合 も 想定 され 、 競合 関係 の 中で、ロ
イヤ ルテ ィ をど う戦 略 的に 構築 す るか とい う 視点 が必 要 と指 摘し て いる が、 今 回の考察
では ポイ ン トロ イヤ ル ティ につ い てそ の度 合 いが 高ま る こと は、 価 格選 好性 が 高まるの
と同じ く、 ブラン ドス イッチ を起 こしや すく するこ とを 示して いる と考え る。
30
6.3.2
ポ イント ロイ ヤルテ ィと 価格選 好性 との関 係
ポイ ント プ ログ ラム を 継続 して 利 用す るこ と によ って 生 み出 され る ポイ ント ロ イヤル
ティ が、 企 業に 対す る ロイ ヤル テ ィを 高め る ので はな い かと 考え 、 その 前提 と してポイ
ント ロイ ヤ ルテ ィが 価 格選 好性 に 基づ くブ ラ ンド スイ ッ チを 抑止 し てい る効 果 を検証し
た。そ の関 係をま とめ ると、 以下 の図4 とな る。
≪図4 ≫ポ イント ロイ ヤルテ ィと 価格選 好性 がブラ ンド スイッ チに 与える 影響 と効果
①
ポイントロイヤルティ
ブランドスイッチ
②
価格選好
ポイントロイヤルティ
①の効果
②の効果
○
×
○;影響あり、×;影響なし
しかし なが ら、ポ イン トロイ ヤル ティに つい ては交 互作 用が見 られ なかっ たこ と か ら 、
価格選 好性 のもと にあ っては 企業 ロイヤ ルテ ィと異 なり 、その 効果 がない こと がわ か る 。
つまり 、こ の結果 は企 業ロイ ヤル ティと ポイ ントロ イヤ ルティ は全 く異質 なも ので あ る
という こと を示し てい ると考 える 。
さらに ポイ ントロ イヤ ルティ その もので は、企業ロ イヤ ルティ を醸 成ある いは 強 化 す
ること につ ながら ない という こと を示唆 する ものと 考え られる 。
町田 ・大 竹 (2003) は 、ポ イン ト プロ グラ ム それ 自体 は 企業 に対 す るロ イヤ ル ティを
作り 出す た めの 仕組 と して 採用 さ れる とし た 。し かし 、 ポイ ント に 対す るロ イ ヤルティ
は、 企業 に 対す るロ イ ヤル ティ そ のも のと は 異な ると 考 えら れる こ とか ら、 こ れらを総
括す るた め 、最 後に 企 業ロ イヤ ル ティ とポ イ ント ロイ ヤ ルテ ィと の 関係 につ い て考察す
る。
31
6.4
企業 ロイヤ ルテ ィとポ イン トロイ ヤル ティの 関係
6.4.1
企 業ロイ ヤル ティと ポイ ントロ イヤ ルティ の分 散分析
6.1、 6.2、 6.3 で用 い た分 類に よ り、 企業 ロ イヤ ルテ ィ によ るブ ラ ンド スイ ッ チがポ
イン トロ イ ヤル ティ に よっ てど の よう に影 響 を受 ける の かを 分散 分 析に よっ て 検証 した。
結果は 以下 の通り であ る。
分散分析表
因 子
ポイントロイヤルティ
企業ロイヤルティ
ポイントロイヤルティ * 企業ロイヤルティ
誤差
全体
TypeⅢ平方和
6.1567
5.2709
0.0400
569.2246
588.9983
自由度
1
1
1
596
599
平均平方
6.1567
5.2709
0.0400
0.9551
F 値
6.4463
5.5189
0.0418
**:1%有意 *:5%有意
P 値
判 定
0.0114 *
0.0191 *
0.8380
多重比較検定
因 子
ポイントロイヤルティ
企業ロイヤルティ
目的変数
ブランドスイッチ
ブランドスイッチ
手法
Tukey
Tukey
水準1
L
L
水準2
平均値1 平均値2
3.5102
3.8203
3.5197
3.8209
H
H
差
0.3101
0.3012
統計量
3.8849
3.7745
**:1%有意 *:5%有意
P 値
判 定
0.0001 **
0.0002 **
各水準の平均値
【企業 ロイヤルティ × ポイントロイヤルティ 】
ブ ラ ンドスイッチ
4.5
4
3.5
ポイントロイヤルティ H
3
ポイントロイヤルティ L
2.5
L
H
企業ロイヤルティ
企業 ロ イヤ ルテ ィ とポ イン ト ロイ ヤル テ ィの 組み 合 わせ によ る ブラ ンド ス イッ チにつ
いて、 平均 平方 0.0400、F 値 0.0418、P 値 0.8380 より 、 ポイン トロ イヤル ティ の差に
よっ て交 互 作用 が見 ら れな いこ と が分 かる 。 つま りこ の こと は、 企 業に 対す る ロイヤル
ティ の水 準 の差 によ っ て、 ポイ ン トに 対す る ロイ ヤル テ ィの 影響 で ブラ ンド ス イッチに
差が ない と いう こと を 示し てい る 。ま た、 主 効果 の検 定 から ロイ ヤ ルテ ィ、 ポ イントロ
イヤ ルテ ィ とも にブ ラ ンド スイ ッ チの 影響 は 1%で 有 意で あっ た ため 、そ れ ぞれ 両者の
成分 がブ ラ ンド スイ ッ チに 影響 を 与え てい る とい うこ と は判 明し た 。ま た、 多 重比較の
32
検定 から ロ イヤ ルテ ィ 、ポ イン ト ロイ ヤル テ ィと もに 水 準差 にお い て、 有意 水 準 1%で
ブラン ドス イッチ に差 がある とい うこと もわ かった 。
6.4.2
企 業ロイ ヤル ティと ポイ ントロ イヤ ルティ との 関係
ポイ ント プ ログ ラム を 継続 して 利 用す るこ と によ って 生 み出 され る ポイ ント ロ イヤル
テ ィ が 、 企 業 に 対 す る ロ イ ヤ ル テ ィ を 高 め る の で は な い か と い う 仮 説 3 に 対 し 、 6.4.1
で得ら れた 検証の 結果 をまと める と、以 下の 図5と なる 。
≪図 5≫ 企 業ロ イヤ ル ティ とポ イ ント ロイ ヤ ルテ ィが ブ ラン ドス イ ッチ に与 え る影響と
効果
①
企業ロイヤルティ
ブランドスイッチ
③
ポイントロイヤルティ
企業ロイヤルティ
①の効果
③の効果
○
×
○;影響あり、×;影響なし
6.3.2 より 企業ロ イヤ ルティ とポ イント プロ グラム ロイ ヤルテ ィが 異質な もの で あ る
ことを 示し たが、今回 の検証 は、さらに 両者 の関係 がポ イント ロイ ヤルテ ィで は企 業 ロ
イヤルティそのものを醸成あるいは強化することにつながらないことを示すものであ
る。
この結 果よ り、ポ イン トプロ グラ ムロイ ヤル ティが 高い ほど企 業ロ イヤル ティ は 高 く
なると した 仮説3 は棄 却され る。
33
7.ま とめ
7.1
ポイ ントプ ログ ラム、 ポイ ントロ イヤ ルティ と企 業ロイ ヤル ティの 関係
こ れま での考 察を 図示し た図 2から 図5 をまと める と次の 通り である 。
≪図6 ≫ポ イント プロ グラム とポ イント ロイ ヤルテ ィ 、さらに 企業 ロイヤ ルテ ィとの 関 係
②価格選好
ポイント景品因子
①主効果
ポイント付与因子
ポイント流動性因子
①主効果
ブランド
合成
ポイントロイヤルティ
企業ロイヤルティ
①主効果
スイッチ
①主効果
ポイ ン トプ ログ ラ ムが 持つ 因 子の うち 、 ポイ ント 景 品因 子、 ポ イン ト流 動 性因 子には
価格 選好 性 との 関係 に おい てブ ラ ンド スイ ッ チに 関し 交 互作 用は み られ た。 し かし、ポ
イン ト付 与 因子 も含 め 主成 分と し て合 成し た ポイ ント ロ イヤ ルテ ィ につ いて は ブランド
スイ ッチ へ の効 果は 主 効果 のみ で 、交 互作 用 が見 られ な い結 果と な った 。ま た 、企業に
対す るロ イ ヤル ティ に つい ては 、 ブラ ンド ス イッ チに 関 して 主効 果 およ び価 格 選好性と
の交 互作 用 があ るに も かか わら ず 、ポ イン ト ロイ ヤル テ ィか ら交 互 作用 の影 響 を受けな
いこと がわ かった 。
34
7.2
イン プリケ ーシ ョン
ポイ ント プ ログ ラム は 、顧 客が 複 数回 購入 す るこ とを 前 提に 景品 を 還元 する 仕 組みで
ある 。そ の ため 、企 業 の販 売の 現 場で はい わ ば盲 目的 に 顧客 ロイ ヤ ルテ ィを 醸 成するた
めの 有効 な 仕組 みと 考 えら れる こ とが 多い し 、事 実そ の こと をま と めた 文献 も 多い。ま
た、 プラ イ シン グ( 値 引き )は 販 売促 進に お いて 、効 果 を発 揮す る とい う経 験 的観点を
踏ま えて 、 それ と関 連 させ てあ た かも ポイ ン トプ ログ ラ ム自 体に 2 次的 なプ ラ イシング
の効 果を 求 めて いる か のよ うな 手 法も 多く み られ る。 本 考察 では 、 ポイ ント プ ログラム
の性 格を 示 す因 子を 抽 出し 、価 格 選好 性の 高 低に より 顧 客に 対す る 影響 とブ ラ ンドスイ
ッチ の度 合 いを 考察 す るこ とで 、 ポイ ント プ ログ ラム に よる プラ イ シン グの 違 いについ
て考察 した 。
価格 選考 性 の低 い顧 客 にと って は 、「ポ イン ト付 与因 子 」は ブラ ン ドス イッ チ に対 し、
さほど 影響 は及ぼ さず 、ポ イン ト プログ ラム に同時 に含 まれる「 ポ イント 景品 因子」、
「ポ
イン ト流 動 性因 子」 と いっ たプ ロ グラ ムに 参 加し て事 後 的得 られ る 情報 によ っ てブラン
ドス イッ チ が起 こる と いう こと が わか った 。 なお 、こ の 影響 はあ く まで 価格 選 好性の低
い顧客 に対 するも ので あって 、価 格選好 性の 高い顧 客に とって は、
「 ポイン ト景 品」や「 ポ
イン ト流 動 性」 とい っ た、 事後 的 に得 られ る ポイ ント プ ログ ラム の 情報 はさ ほ ど意味を
持たな いと いうこ とも わかっ た。
この 結果 か ら、 たと え ば企 業間 の 競争 にお い て、 ポイ ン トプ ログ ラ ムの 手法 を つかっ
て顧 客争 奪 をお こな う とき 、ポ イ ント 付与 の 差別 化に よ る競 争に は 、ま ずは プ ライシン
グと 同じ 効 果を 期待 す る部 分も あ ると いう も のの 、ポ イ ント プロ グ ラム を採 用 すること
は同時 に「 ポイン ト景 品」
「 ポイ ント流 動性 」と いっ た 事後的 なポ イント プロ グラム の 情
報が 発生 す る。 そし て 、そ れら の 因子 は価 格 選好 性の 低 い顧 客に 対 して 訴求 力 をもつた
め、 価格 選 好性 の低 い 顧客 にと っ ては 競合 か ら転 移さ せ るこ とが で きる 有効 な 販促手段
といえ る。
しかし ここ で注意 しな くては なら ないこ とは 、それ まで 価格に 対す る反応 の低 か っ た
35
顧客に 対し てブラ ンド スイッ チを 起こさ せて しまう とい うこと は、ポイン トに よっ て そ
れまで 価格 選好性 の低 かった 顧客 を擬似 的に 価格選 好性 の効果 を意 識させ てし まい 、言
ってみ れば「寝 た子 を 起こす 結果 」に つな が りかね ない という こと でもあ る 。価格選 好
性によ るブ ランド スイ ッチの 効果 が、そ れま で関係 のな かった 顧客 層まで 巻き 込ん で 影
響を及 ぼす ことは 、競 争条件 が激 化する 場合 避けて 通れ ないと いう ことも でき る。し か
し、顧客 に 対し「価 格 選好性 」に より焦 点を あてて 訴え かける 販促 手段を 採用 するこ と
は、企 業と して競 合他 社との 質の 差別化 から 回避し てい るとい うこ ともで き、その 手 法
の是非 はあ らかじ め十 分に検 証し ておか なく てはな らな い。ポ イン トプロ グラ ムに お い
て 「 ポ イ ン ト 付 与 」 と 表 裏 を な す 、「 ポ イ ン ト 景 品 」 や 「 ポ イ ン ト 流 動 性 」 の 影 響 が ブ
ランド スイ ッチを 引き 起こす こと を明示 した ことや 、ポ イント プロ グラム 導入 によ る 効
果が有 効に 機能す る顧 客層を 具体 化させ たこ とは、ポイ ントプ ログ ラムを 採用 して 販 促
実務を おこ なう際 、重 要な示 唆を あたえ るも ので同 時に 本研究 の成 果と考 える 。
また、企業 に対す るロ イヤル ティ そのも のを 高める こと は、顧 客が 価格選 考性 を 高 め
たとし ても ブラン ドス イッチ を抑 制でき ると いって よい 。しか し、ポイン トプ ログ ラ ム
を導入 し、ポイン トに 対する ロイ ヤルテ ィを 醸成す るだ けでは 、価 格選好 性と の関 係 に
おいてはブランドスイッチを抑制するまではできないということも本研究で示唆され
るが、この 結果は ポイ ントに 対す る顧客 のロ イヤル ティ は企業 に対 するロ イヤ ルテ ィ そ
のもの とは 異なる もの であり 、企 業ロイ ヤル ティを 醸成 する効 果は ないと いう こと を 意
味する もの である 。さ らに顧 客に 期待さ れる ポイン トプ ログラ ムの 魅力の うち 、ポ イ ン
ト の 付 与 や 景 品 と な ら ん で 、「 ポ イ ン ト の 流 動 性 の 高 さ 」 が ポ イ ン ト プ ロ グ ラ ム の 魅 力
のうち 非常 に重要 な要 素であ るこ ともわ かっ た。
この結 果を うけて 、本 来は顧 客の 要望に こた え、企 業に 対する ロイ ヤルテ ィを 高 め る
目的で 導入 してい るポ イント プロ グラム のポ イント 流動 性を高 める 施策が 、実 は流 動 性
が担保 され るに度 合い に比例 して 、逆に ポイ ント企 業の 商品サ ービ スの購 入に つな が ら
なくな るこ とにな り、結果的 に企 業ロイ ヤル ティを 棄損 してい ると いうこ とが 考え ら れ
36
る。たと え ば、他社 の 購入で たま ったポ イン トを 、実 際 に購入 した 企業以 外の 企業の ポ
イント に変 換して ため ておき 、企 業側が 本来 期待す る購 入で付 与さ れたも ので ない ポ イ
ントに よっ て景品 交換 されて いる ことな どで ある。
本稿で 得ら れたポ イン トロイ ヤル ティと 企業 ロイヤ ルテ ィは異 なる もので あっ て 、ポ
イントロイヤルティを醸成したからといって企業ロイヤルティを強めるものではない
という 考察 結果は 、こ のポイ ント 流動性 の問 題と関 連し ている と考 えられ るの では な い
だろう か。顧客の 要望 に応じ てポ イント の流 動性を 高め ること で企 業ロイ ヤル ティ を 高
めよう とす る取り 組み が、結 果的 に本来 の目 的とは 逆に 企業の ロイ ヤルテ ィを 下げ て し
まうと いう 「本末 転倒 」の結 果に なって いる といえ るの ではな いだ ろうか 。
ポイン トプ ログラ ムさ え導入 して おけば 顧客 を囲い 込む ことが でき 、結果 的に 企 業 に
対するロイヤルティを生み出すことができるというものではないと考える。そのため、
ポイン トプ ログラ ムを 企業ロ イヤ ルティ のた め効果 的な 施策と する ために は、ポイ ン ト
プログ ラム はあく まで 販売の ため の手段 と位 置づけ たう えで、その 他の手 法に よっ て 十
分に企 業ロ イヤル ティ を醸成 した 顧客に 対し 、彼ら ひと りひと りを 識別し たう えで 限 定
的に実 施で きる販 売手 法とし なく てはな らな い。そ のう えで、ポイ ントプ ログ ラム の 仕
組みが 、重 要な顧 客に とって 押し 付け施 策に ならな いよ う、十 分に 効果検 証が 求め ら れ
ている とい うこと がで きるの では ないだ ろう か。
7.2
本研 究の成 果と 限界
本研 究に よ って 、ポ イ ント プロ グ ラム が与 え る影 響は 、 因子 によ っ て異 なる 。 そのた
め単 に、 ポ イン トプ ロ グラ ムは ロ イヤ ルテ ィ を醸 成す る とし た考 え に対 し注 意 しなくて
はな らな い 点を 示し た 。ま た、 ポ イン トプ ロ グラ ムの 景 品、 流動 性 を高 める こ とが、価
格選 好性 の 低い 顧客 に 効果 があ る こと を示 し たう えで 、 この 訴求 を 強め すぎ る とそれま
で価格 選好 の低か った 層を擬 似的 に価格 での 訴求す るこ とにつ なが り「寝 た子 を起こ す 」
ことに なり かねな いこ とも示 した 。
また 、企 業 に対 する ロ イヤ ルテ ィ とポ イン ト プロ グラ ム に対 する ロ イヤ ルテ ィ は実は
37
別のも ので あり、
「ポ イント の充 実」がす な わち「企 業 に対す るロ イヤル ティ 醸成 」に つ
なが らな い こと を示 し たこ とは 、 実際 にロ イ ヤル ティ ・ マー ケテ ィ ング の手 法 としてポ
イント プロ グラム を採 用する 際の 重要な イン プリケ ーシ ョンと 考え る。
ポイ ント プ ログ ラム の 中に はポ イ ント プロ グ ラム 自体 に 顧客 間ス テ ータ スを 設 け、商
品や サー ビ スの 購入 実 績が 高い 顧 客に はよ り 高い ポイ ン トを 付与 し よう とい う プログラ
ムも 多く あ る。 ただ し 、こ の手 法 はあ くま で ポイ ント 付 与率 を上 げ る手 法で あ ってあま
り効 果的 と はい えず 、 その よう な 場合 はポ イ ント 景品 に よる ステ ー タス 制度 を 充実させ
たほう がよ いとい う示 唆を得 た。
なお 、以 下 の点 につ い ては 本考 察 の限 界と 考 える 。ま ず ロイ ヤル テ ィを 行動 側 面と態
度側 面を 同 一と して 考 察し てい る が、 ロイ ヤ ルテ ィを 説 明す るう え で両 者を わ けて説明
する 必要 が ある と考 え る。 その た め、 分類 し たう えで の 考察 を行 っ てい ない こ とがあげ
られ る。 ま た、 企業 ロ イヤ ルテ ィ の高 い層 に 対し 効果 的 にポ イン ト プロ グラ ム を活用す
るた め具 体 的な 手法 ま で言 及し て いな いこ と も今 後の 課 題と 考え る 。多 くの 研 究でも指
摘さ れる IT 技 術を 活 用し たデ ー タマ イニ ン グ技 法と ロ イヤ ルテ ィ の関 係が 明 確でない
こと も限 界 と考 える 。 さら に、 ポ イン トプ ロ グラ ムが 持 つ因 子ご と の検 証は 行 っている
もの の、 そ の因 子が 相 互に 影響 し あっ て効 果 を及 ぼす こ とに つい て 考察 が必 要 と考える
が、そ れら の関係 性を 全体と して 明らか にす ること も今 後の課 題と 考える 。
38
【資料 】ア ンケー ト項 目、参 考文 献
アンケ ート 項目
質問1
航 空 会 社 や 家 電 量 販 店 な ど 業 種 を 問 わ ず 多 く の 企 業 で 行 わ れ て い る 、ポ イ ン ト プ ロ グ
ラ ム に つ い て お 伺 い し ま す 。本 ア ン ケ ー ト で は 、商 品 や・サ ー ビ ス を 購 入 す る に あ た
り 代 金 を 支 払 っ た 額 に 比 例 し て お 店 側 か ら も ら え る も の を「 ポ イ ン ト 」と 言 い 、そ の
ポ イ ン ト が た ま っ て 利 用 で き る サ ー ビ ス を「 ポ イ ン ト 景 品 」と し ま す 。ま た そ れ ら 2
つ を 合 わ せ た 仕 組 み そ の も の を「 ポ イ ン ト プ ロ グ ラ ム 」と よ ん で い ま す 。あ な た が 利
用されているポイントプログラムはあなたの商品購入にとってどの程度重要ですか。
5
とても重要
4
ある程度重要
3
どちらでもない
2
あまり重要でない
1
全く重要でない
質問2
あ な た が 利 用 さ れ る ポ イ ン ト プ ロ グ ラ ム に つ い て 、ポ イ ン ト プ ロ グ ラ ム に 登 録 し 、ポ
イ ン ト を 貯 め は じ め よ う と 思 わ れ る と き 、以 下 の 項 目 を ど の 程 度 重 要 視 さ れ ま す か ?
5 非 常 に 重 視 す る ,4 重 視 す る ,3 ど ち ら と も い え な い ,2 あ ま り 重 視 し な い ,1 全 く 重 視 し な い
1
よく知られたブランドや会社のポイントプログラムかどうか
2
そこで商品、サービスを購入する頻度が多いかどうか
3
そこで高額な商品、サービスを購入するかどうか
3
販売されている商品、サービスが他社より安価かどうか
5
販売されている商品、サービスが他社より質が高いかどうか
6
会員になるとポイントとは別に、商品購入時の値引きがあるかどうか
7
会員になるとポイントとは別に、特別なお知らせや情報が得られるかどうか
8
ポイントの付与率か高いかどうか
9
低いポイントからポイント景品への引き換えがあるかどうか
39
10
高額なポイント景品が用意されているかどうか
11
ポイント景品のほうが実際に購入するよりお得かどうか
12
ポイント景品の品ぞろえがよいかどうか
13
ポイント付与から、比較的短い時間でポイント景品を得ることができるかどうか
14
他会社のポイントと交換可能かどうか
15
他会社のポイントと交換するときの交換レートがよいかどうか
16
ポイントの有効期限が長いかどうか
質問3
あなたが利用されているポイントプログラムとは異なる競合企業から商品やサービ
スを購入するのは、どの程度ありますか。
5
よくある
4
たまにある
3
どちらともいえない
2
あまりない
1
全くない
質問4
あなたが利用されるポイントプログラムの企業とは異なる競合企業から商品やサー
ビスを購入するとすれば、その理由は何ですか?
5 非 常 に 重 視 す る ,4 重 視 す る ,3 ど ち ら と も い え な い ,2 あ ま り 重 視 し な い ,1 全 く 重 視 し な い
1
競合企業のほうが安売りしていたから
2
競合企業しか販売していない商品だったかったら
3
競合企業のほうが品質の高い商品、サービスだったから
4
ポイント付与の差がほとんどないから
5
ポイントをためても、ポイント景品にほとんど差がないから
6
付与されるポイントだけでは、ほとんどポイント景品をもらえないから
7
付与されるポイントが少なすぎるから
8
もともとポイントに魅力を感じていないから
40
質問5
あ な た が 利 用 さ れ る ポ イ ン ト プ ロ グ ラ ム 企 業 で の 商 品・サ ー ビ ス の 購 入 に つ い て お 答
え下さい。
5 全 く そ の 通 り ,4 ど ち ら か と 言 え ば そ の 通 り ,3 ど ち ら と も い え な い ,2 あ ま り そ う は 思 わ な い ,1
全く思わない
1
その企業の商品・サービスの満足度は高い
2
その企業に対して愛着を感じる
3
競合他社と比べ、その企業の購入回数が多い
4
その企業の商品・サービスが好きである
5
今後ともその企業で購入しようと思っている
6
これまで長く利用してきた
7
同じものを買うなら、ポイントをためているお店で購入しないと損した気分になる。
8
値引きよりポイントのほうがお得に感じる
9
ポ イ ン ト よりも 値 引 き し て も ら う ほ う が お 得 に 感 じ る
質問6
あ な た が 利 用 さ れ る ポ イ ン ト プ ロ グ ラ ム 企 業 の ポ イ ン ト で 、魅 力 を 感 じ る と こ ろ は 何
でしょうか。
5 全 く そ の 通 り ,4 ど ち ら か と 言 え ば そ の 通 り ,3 ど ち ら と も い え な い ,2 あ ま り そ う は 思 わ な い ,1
全く思わない
1
ポイントプログラムの魅力は、ポイントの付与が高いことだ
2
ポイントプログラムの魅力は、得たポイントを短期間でポイント景品に交換できるこ
とだ
3
ポイントプログラムの魅力は、ポイント景品の価値が高いことだ
4
ポイント景品をつかって、次の商品購入の値引きができるか
5
他会社のポイントと交換可能かどうか
6
他会社のポイントと交換するときの交換レートがよいかどうか
7
ポイントの有効期限が長いかどうか
41
8
ポイントプログラムそのものに愛着を感じているかどうか
9
ポイントプログラムを長く使いたいとおもっているかどうか
10
今後もそのポイントプログラムを利用したいと思えるかどうか
11
ポイントプログラムそのものから満足を得られるかどうか
質問7
あなたが利用しているポイントプログラムの数はどのくらいの数でしょうか。
5
まったくない
4
1つのプログラムだけを利用している
3
2~3のプログラムを利用している
2
4~9のプログラムを利用している
1
10以上のプログラムを利用している
質問8
最 後 に 、あ な た が 普 段 商 品 や サ ー ビ ス を 購 入 さ れ る と き の 主 な 理 由 に つ い て お 答 え く
ださい。
5 全 く そ の 通 り ,4 ど ち ら か と 言 え ば そ の 通 り ,3 ど ち ら と も い え な い ,2 あ ま り そ う は 思 わ な い ,1
全く思わない
1
価格が最も安いから
2
品質が最もよいから
3
企業のイメージがよいから
4
いつも買っているから
5
安心だから
6
その企業から買うことに愛着を感じているから
7
なじみのお店だから
8
今後ともその企業から購入を続けたいから
9
店員の接客やサービスが非常によいから
10
お店の立地条件がよいから
11
満足しているから
42
参考文 献
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号
44
ワーキングペーパー出版目録
番号
著者
2009・1
福嶋 誠宣
論文名
出版年
日本企業のグループ経営におけるマネジメント・スタイルの研
4/2009
究
2009・2
井上 敬子
特許の質と企業価値
6/2009
2009・3
竹内 雄司
メンタリングが職場に及ぼす影響~個と組織の強さが両立する
7/2009
職場作りにかかわる研究~
2009・4
石津 朋和
IT 活用型在庫管理効果による ABL 普及の可能性
9/2009
2009・5
狗巻 勝博
NPO 法人における融資利用の決定要因
9/2009
2009・6
村元 正和
日本の未上場バイオベンチャーにおける知識資本と資金調達の
9/2009
関連性
2009・7
中川 清之
新規事業創造の要因に関する一考察-日本の製造業における実
10/2009
証研究-
2009・8
小池 宏
製造業におけるサプライヤー選定の最適化基準に関する考察
10/2009
―原材料及び部品サプライヤーと買い手企業間関係に基づく競
争優位の研究―
2009・9
迫田 和良
コーポレート・ベンチャーのマネージャーのモチベーション―
10/2009
食品製造業の事例研究―
2009・10 松本 恭卓
IPO企業のディスクロージャーの質と株主資本コスト―新興3市
10/2009
場のデータに基づく実証分析―
2009・11 井上 貴文
金融機関における貸出手法の決定要因
なぜ地域金融機関でリ
10/2009
レーションシップバンキングが機能しないのか
2009・12 栗山 淳
ブティック型ベンチャーキャピタルの投資行動‐バイオベンチ
10/2009
ャーの事例分析-
2009・13 丸谷 直之
敵対的買収に対するメインバンクの有効性―メガバンク金融グ
10/2009
ループの潜在的機能―
2009・14 田中 俊一朗
不動産企業における効果的な有利子負債の活用~新興不動産企
10/2009
業を対象にした実証分析~
2009・15 静 俊二郎
石灰鉱山におけるマテリアルフローコスト会計
12/2009
2009・16 江口 利光
事業再生におけるターンアラウンドマネジャーのフォローアッ
12/2009
大矢 茂人
柏原
プ行動
雄一郎
杉本 豊
2009・17 大塚 美樹
派遣労働者のキャリア形成に関する一考察~17 号業務に特化し
た派遣会社を事例として~
1/2010
2009・18 江口 利光
事業再生における企業リストラクチャリングの効果
2/2010
2009・19 相澤 卓也
国際経営における「現地化」と「内部化」の考察~商社の海外
3/2010
事業と国際人的資源管理を中心に~
2010・1
辻 俊一
中小企業における CSR の取り組みに関する研究
4/2010
2010・2
東野 祥策
ポイントプログラムによるポイント付与とプライシングの関係
4/2010