第4章 大気汚染物質 1 汚染物質の分類 ① ………… 燃焼によって発生するものの総称. ② ………… 破砕や選別などによる飛散物. ③ ④ ………… 人の健康若しくは生活環境に係る被害を生ずるおそれ があるもの. ⑤ 継続的に摂取される場合には人の健康を損なうおそれ がある物質. ⑥ 光化学反応により大気中において2次的に生成する物 質. 2 汚染物質の種類 2.1 ばい煙 汚染物質の分類 ① ばい煙 ② 粉じん ③ 自動車排ガス ④ 特定物質 ⑤ 有害大気汚染物質 ⑥ 光化学オキシダント 1) (SOX,ソックス) 2) …………… すすなどの粒子状物質 3) 有害物質 ・ (NOX,ノックス), ・ とその化合物, ・ , ・ とその化合物 ・ 4) 特定有害物質 ………… 未指定 2.2 粉じん ・ セメント粉,石炭粉,鉄粉など 汚染物質の分類 ① ばい煙 ② 粉じん ③ 自動車排ガス ④ 特定物質 ⑤ 有害大気汚染物質 ⑥ 光化学オキシダント ・ 石綿(アスベスト) 蛇紋岩と角せん岩に属し,天然に産出する繊維状水和性ケイ酸塩鉱 物の総称 耐熱性,断熱性,防音性,電気絶縁性,耐化学薬品性 2.3 自動車排ガス ・ , ・ , ・ , ・ (ディーゼル車のみ), ・鉛化合物(規制解除) 2.4 特定物質(法第17条) 以下に示す28種類が規制対象. 事故時における措置が規定されている. 汚染物質の分類 ① ばい煙 ② 粉じん ③ 自動車排ガス ④ 特定物質 ⑤ 有害大気汚染物質 ⑥ 光化学オキシダント アンモニア(NH3),フッ化水素(HF),シアン化水素(HCN),一酸化炭素(CO), ホルムアルデヒド(HCHO),メタノール(CH3OH),硫化水素(H2S),リン化水素 (PH3), 塩化水素(HCL),二酸化窒素(NO2),アクリルアルデヒド(CH2=CHCHO),二酸化イ オウ(SO2), 塩素(CL2),二硫化炭素(CS 2),ベンゼン(C6H6),ピリジン(C5H5N),フェノール (C6H5OH), 硫酸(H2SO4),フッ化ケイ素(SiF 4),ホスゲン(COCL 2),二酸化セレン(SeO2), クロロ硫酸(HSO 3CL),黄リン(P4),三塩化リン(PCL 3),臭素(Br2),五塩化リン (PCL5), ニッケルカルボニル(Ni(CO) 4),エタンチオール(エチルメルカプタン) 2.5 有害大気汚染物質 今すぐに健康を脅かすものではないが,低濃度で あっても長期間の暴露による発ガン性が懸念され る物質. 該当する可能性のある物質:234物質, 優先取組物質:22物質, 分析法の定まっている物質:19物質, 環境基準指定物質: 以下の4物質 汚染物質の分類 ① ばい煙 ② 粉じん ③ 自動車排ガス ④ 特定物質 ⑤ 有害大気汚染物質 ⑥ 光化学オキシダント 3 汚染物質の概要 3.1 浮遊粒子状物質と降下ばいじん 1) 浮遊粒子状物質( ) 粒径が10μm以下の粒子状物質,「 」と表すこともある. ※ 近い将来,PM2.5の規制が始まる SPMは粒径が小さい → なかなか降下しない → 大気中に滞留 → 人の肺 や気管に沈着 → 呼吸器疾患,ガン,アレルギーを引き起こす SPMには,ばいじんや粉じん由来のもの,自動車排ガスのPM(特にディーゼル 機関からの排気粒子[DEP: diesel exhaust particles])などがある. 2) 降下ばいじん ばいじんや粉じんで粒径が大きい物は浮遊せず落下(降下)する.これを“ ”という. 3.2 硫黄酸化物(SOX) SO2とSO3をあわせてSOXという. 3.2.1 二酸化硫黄(SO2) 1) 生成反応 S + O2 → SO2 ↑ 燃料中のS 4FeS2 + 11O2 → 2FeSO3 + 8SO2 ↑ 黄鉄鉱 CuS + O2 → Cu + SO2 ↑ 黄銅鉱 2) 性質 ・ 刺激臭,無色,有毒の気体, ・ 8-20ppmでのどや目に刺激を感じる,400ppm以上で生命の危険,植物は € 1ppmで枯死, ・ 水溶性,・ 還元性,・ 漂白作用あり, 3.2.2 三酸化硫黄(SO3) 1) 生成反応 2SO2 + O2 → 2SO3 ↑ 2) 性質 ・ 有毒,火傷,目にはいると失明,のどに対する刺激,気管支障害, ・ 水と反応して硫酸になる SO3 + H 2O → H 2 SO4 € € 3.3 窒素酸化物(NOX) NOとNO2をあわせてNOXという. 3.3.1 窒素の起源 窒素の起源によって生成されるNOXは2つに分けられる. ・ 大気中の窒素によって生成されるNOX ・ 燃料中の窒素によって生成されるNOX 3.3.2 一酸化窒素 1) 生成反応 ・高温で酸素と反応 N 2 + O2 → 2NO ↑ ・硝酸を使う化学工場などで 3Cu + 8HNO3 → 3Cu(NO3 ) 2 + 2NO ↑+4 H 2O 2) 性質 ・ 無色の気体, ・ 水に不溶性,・ 空気中で酸素と反応する, € ・ 人体に有害,血液中のヘモグロビンと反応(チアノーゼ,中枢神経障害など) € 3.3.3 二酸化窒素 1) 生成反応 ・空気中で 2NO + O2 → 2NO2 ↑ ・銅と硝酸から Cu + 4 HNO3 → Cu(NO3 ) 2 + 2NO2 ↑+2H 2O ・硝酸の熱分解 € 4 HNO3 → 4NO2 ↑+2H 2O + O2 ↑ ・硝酸塩の熱分解 € 2Pb(NO3 ) 2 → 2PbO + 4NO2 ↑+O2 ↑ € 2) 性質 ・ 水と反応して硝酸になる, ・ 赤褐色, € ・ 温度によって会合や分解が起こる, 0℃ 150℃ 650℃ N 2O4 ↔ 2NO2 ↔ 2NO(+O2 ↑) € 3.4 カドミウムとその化合物 3.5 塩素及び塩化水素 3.6 フッ素,フッ化水素およびフッ化ケイ素 3.7 鉛とその化合物 省略 3.8 有害大気汚染物質(の指定物質) 指定物質(トリクロロエチレン,テトラクロロエチレン,ジクロロメタン, ベンゼン)はいずれも揮発性有機塩素化合物( Chlorinated Volatile Organic Compound:C-VOC)である. 3.8.1 トリクロロエチレン(TCE) 1) 生成反応 H C H C CL H H + 3HCL C → CL H C CL 2) 性質 ・ 半導体産業での洗浄用,ドライクリーニング剤, ・ 人への影響,おう吐,腹痛,意識障害,中枢神経障害,発ガン性あり, ・ 水に不溶性, ・ 揮発性, ・ 不燃性, 3.8.2 テトラクロロエチレン(PCE) 1) 生成反応 H C H CL H + 4HCL C H CL C C → CL CL 2) 性質 ・ ドライクリーニング剤,溶剤としの溶解力はTCEより弱い, ・ 毒性は,TCEと同じ, ・ 水に不溶性, ・ 揮発性, ・ 不燃性, 3.8.3 ジクロロメタン 1) 生成反応 CL H H C H + 2HCL → H C CL H H 2) 性質 ・ 洗浄剤,溶剤,溶媒などとして利用, ・ 呼吸困難,運動失調,チアノーゼなど,発ガン性あり, ・ 水に比較的溶ける, ・ 揮発性, ・ 不燃性, 3.8.4 ベンゼン H 1) 構造式 H C C C H H C C C H H 2) 性質 ・ 油脂,ろう,ゴム,他の炭素化合物を溶かす有機溶媒, ・ 沸点80℃, ・ 燃焼反応 (空気中ではススが出る), ・ 置換反応,負荷反応をおこしやすい, ・ 人体への影響,皮膚,目,上部気道刺激,気管支炎,肺 炎,肺水腫,発ガン性あり, 3.9 光化学オキシダント 1) 分析法による定義 中性ヨウ化カリウム溶液からヨウ素を遊離 させる酸化性物質の総称 2) 発生メカニズム UltraViolet ↓ NO2 → NO + O O + O2 オゾン → O3 O3 + 炭化水素 アルデヒド CxHy → R − CHO R − CHO + NO + NO2 → PAN パン(パーオキシアセチル ナイトレート) € オゾンとパンを合わせて といい, これが と呼ばれるものの正体. オキシダントの90%は である. と がオキシダントの原因 3) 性質 目の刺激,咽頭部しゃく熱感,植物被害, 4) その他 光化学オキシダント濃度が高い時,光化学スモッグ注意報が発令される. 例 東京都の場合 光化学スモッグ予報 OX濃度が高くなり,光化学スモッグ注意報が発 令されると予想される時, 光化学スモッグ学校注意報 OXが100ppb以上になり継続する, 光化学スモッグ注意報 OXが120ppb以上になり継続する, 光化学スモッグ警報 OXが240ppb以上になり継続する, 3.10 一酸化炭素(CO) 一酸化炭素は,酸素が不十分な環境下で燃焼が起きると生じる. ・完全燃焼 C + O2 → CO2 1 C + O2 → CO 2 ・不完全燃焼 COはヘモグロビンよりも赤血球と結合しやすい.100ppmで頭痛, 1000ppmで死亡する. €
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