3.有害大気汚染物質

第 1 章 なごやの空
3.有害大気汚染物質
1)有害大気汚染物質とは?
近年、低濃度ではあるものの長期間吸引すると人体への悪影響があると考えら
れるさまざまな化学物質が大気中から検出されており、新たな問題となっていま
す。これらの物質を総称して「有害大気汚染物質」といいます。現在、「有害大
気汚染物質に該当する可能性がある物質」として 248 物質、うち「優先取組物質」
として 23 物質が指定されており、代表的なものは、ベンゼンやトリクロロエチ
レン、テトラクロロエチレン、ホルムアルデヒド、ベンゾ[a]ピレン、ダイオキ
シン類です。
有害大気汚染物質には、発がん性や神経への影響が疑われている物質もあり、
人体にとって大変有害です。また、発生する形態や原因も多岐に渡っています。
なお、日本人が摂取するダイオキシン類は、呼吸ではなく食物から摂取するも
のが大半を占めています。
2)有害大気汚染物質の現状
名古屋市内の大気中のダイオキシン類濃度は、近年、環境基準より低い値で横
ばいです。また、ベンゼンも環境基準より低い値で横ばいになっています。
<図表1-5>名古屋市におけるダイオキシン類調査結果の経年変化
資料:平成 26 年度 ダイオキシン類環境調査結果について(名古屋市、2015)などより作成
<図表1-6>名古屋市におけるベンゼン調査結果の経年変化
資料:平成 26 年度 大気汚染常時監視結果(名古屋市、2015)より作成
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3)名古屋での取り組みと課題
名古屋市では、ダイオキシン類対策特別措置法や大気汚染防止法、化学物質排
出把握管理促進法に基づいて、
◆ 工場・事業所などに対する規制と指導
◆ モニタリングなど汚染状況のチェック
◆ PRTR 制度関連の届出処理
◆ 化学物質に関する講演会の開催やパンフレットなどによる情報提供
を中心に、有害大気汚染物質削減への取り組みを行っています。
また、原発事故などの放射性物質の放出を伴う事故が発生した場合に備え、空
間放射線量率の常時監視を行っています。
●影響の度合いが分かっていないものもあります
現在、市場に流通している物質の多くは、ベンゼンやジクロロメタン、ダイオ
キシン類など数種類を除くと、人体への影響の度合いなどが分かっていないもの
がたくさんあり、安全性の評価さえ行われていないものも多数あります。
4.ヒートアイランド現象
1)ヒートアイランド現象ってなんだろう
ヒートアイランドとは、都市に特有の大気に関する熱汚染です。都市は、コン
クリートの建物やアスファルトの道路で囲まれているため、太陽の熱がたまりや
すく、水分の蒸発による冷却が弱いところです。また、人口が集中しているため、
車やビルの空調など人間活動から出される熱も多くなっています。これらの要因
で、都市部が郊外よりも気温が高くなる現象を、ヒートアイランド現象といいま
す。都市部とその周辺について、同じ気温の地域を線で結ぶと、まるで島のよう
に高温域が都市部に出現することから、この現象をヒートアイランドと呼ぶよう
になりました。近年、東京や大阪、名古屋などの大都市で問題が顕著になってき
ています。
<図表1-7>ヒートアイランド現象の仕組み
出典:ヒートアイランド対策推進のために(環境庁大気保全局大気生活環境室、2000)
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