ハワイ島・すばる

第 4 回 海外イベント報告
ハワイ島・すばる
(2011 年 3 月 18 日~23 日)
れましたが、関西空港戻りの飛行機チケットが 3 カ
月前にて、入手できなかったことから、もう 1 泊追
加の 5 日間となりました。
皆と参加したコナドトールコーヒー園や北端の
ハヴィにあるカメハメハ大王像などの観光に加え
すばる望遠鏡(国立天文台ハワイ観測
て、結果として、アメリカ最大の牧場であるパーカ
所)見学記
ー牧場、日系人の多く住む緑の町ヒロ、キラウエ
ア火山、ウミガメの現れる黒砂が美しい黒砂海岸
など、四国の半分強の面積で、17~18 万人という
ハワイ島(ビッグアイランド)の観光スポットを、とり
あえずぐるっと一周できた旅行となりました。
飯村 六合夫 (第 9 期)
リタイア後に、ここ暫く数多く参加した旅行会社に
よるパッケージ旅行と違い、ある部分自分でスケ
ジュールを作る、自己責任というものであったこと。
お仕着せでない反面、現地事情をそれなりに調査
東大同窓会が発行している『赤門学友会報』
(March 2011 No. 20) の林左絵子准教授(国立天
文台ハワイ観測所)の卒業生インタビューを読ん
で、三菱マテリアル(旧三菱金属)に入社し、研究
開発分野で活躍した1年後輩の女性技術者と林
先生のイメージが重なりました。入社直後は正に
広告塔の役目をやらされ、業界紙にしばしば登場
した反面、「私は何なのよ!」の気持の中にいたよ
検討が必要となり、ガイドブックやインターネットと
いう便利な活用手段があったものの、相当のスト
レスがあったことも事実でした。また、常夏の島
「ハワイ」という温暖な気候を想像していましたが、
朝晩の温度差・幸い 1 回も傘のお世話にはならず
にすみましたが、常時、雨への準備が必要であっ
たことなど、全くのイメージチェンジを求められまし
た。
うです。しかし、ある期間がすぎた段階から見事に
企業人として花を咲かせたと敬服に値する彼女で
した。
ハワイ島のすばる望遠鏡見学で林先生にお会
いし、その話っぷりを聞いていますと、「私はプロ、
ここの仕事は任せてください」との自信の中におら
れる感じ、国際社会の中での日本人としての誇り
のような感慨にいたりました。お会いできて、久し
ぶりの爽快感を感じたといったら、失礼でしょう
か。
3 月 18 日からの 5 泊 7 日のハワイ島での旅行は、
いろいろな意味合いでの印象深い、楽しいものとな
マウナケア山頂(4,200m)にある国立天文台ハワイ観測所
りました。日本からの同行参加者は 4 泊にて帰ら
1
そんな中で、4,200mという高所にてのすばる望
すばる望遠鏡を案内してくださった、国立天文台
遠鏡見学と星空観測は印象深いものとなりました。
ハワイ観測所の林先生に誇り高い企業倫理感と
ハワイ島の夜間照明は必要最小限に抑えられ、
観測所の取組み姿勢に敬服いたしました。私たち
天文観測という資源のために島あげての支援体
の時代と違って、転職をいとわない傾向の強い現
制にあることも素晴らしいもの、日本はこんな環境
況では、ものづくりの第 2 次産業から第 3 次産業に
を作り上げることは、何故できないのか?
頭脳が流れ、重金主義に流れ勝ちの中、林先生
日本の個人主義・民主主義はまだまだ本物にな
のものづくり日本への誇りと期待への並々ならぬ
っていないのか!なども考えさせられた一面でし
考えに感銘を受けたことを付け加えさせていただ
た。
きます。また、税で運営されているが故に、すばる
林先生からのすばる望遠鏡の運用・整備や装置
交換の話を伺いました。レンズのメインテナンスと
望遠鏡は利用料ゼロ、研究者の渡航費支給という
のも驚きの一つでした。良いことですね。
して、ある期間を経ると、直径 8.3mのレンズを外し
て、床面に移設し、塩酸を利用して除膜・洗浄し、
その後再蒸着させるとのこと。
4,200mというマウナケア山の山頂にある施設で
すばる望遠鏡を維持管理し、世界一を維持し、
進展させつづける並々ならぬ姿勢を垣間見た見
学会でした。
すから、当然といえば当然ですが、レンズのメイン
テナンスが山上観測所でクローズドループ化され
ており、その作業を仕組み・組織化ができていると
いうこと、素敵ですね。日本の生産技術、整備技
術の粋がマウナケアに凝縮していると思いました。
こんなところで働いてみたかった、というのも感想
のひとつです。日本の近未来は企業姿勢が低下
し、安易な方向に向かいつつあると思うが故、こん
なことを計画する企業があり続けるとは思えない
心境です。
マウナケア山頂からのサンセット
山頂は真冬並の寒さだったが、旅行会社(太公望)が
準備してくれた防寒具で助かった
菅野さんの企画、それを受けてくださった林先生、
どうもありがとうございました。
☆ ☆ ☆
ドーム内ですばる望遠鏡の説明をする林先生
2
出国する外国人で混み合う成田空港からホノル
ル(オワフ島)に飛び、さらに乗り継いで、ハワイ島
西岸のコナ空港に降り立つ。海に向かって傾斜し
ハワイ島旅行記
た明るい溶岩台地が、人影もまばらに、空港から
宿泊するホテルのあるワイコロア地区までゆった
りと広がっている。
宮地 利雄 (第 29 期)
菅野さんから「ハワイ文化の理解とすばる望遠
鏡見学が目玉の MBI の海外イベントの計画が固
まった」とお誘いをいただき参加を決めたのは昨
年 11 月のことだった。同居の子供たちに聞くと、
「学校が、仕事が」と断られて、子供が誕生して以
コナ空港からワイコロア地区までは溶岩台地が広がっている
降として初めて夫婦だけで出かける旅になった。と
もにハワイ州を訪れるのも初めてだ。
目玉の一つである「すばる望遠鏡」については、
建設の様子を記録した DVD が事前に参加者に回
覧され、3 月上旬には国立天文台で家(いえ)正則
教授から講義をいただいた。(家教授はすばる望
遠鏡製作にも加わり、現在は超大型望遠鏡 TMT
プロジェクト室長。)
「宇宙の端は 137 億光年のかなただが、すばる
望遠鏡を使えば 128 億光年離れた星まで見える
(なんと 93%!);背後の星の光を解析することで、本
来は見えない暗黒物質の存在も観測している」な
ど、俗世間の雑事を忘れさせてくれる、まさに驚嘆
海に沈む太陽(ワイコロア地区のホテルから)
の深宇宙天文学の成果の話であった。
ちょうど出発 1 週間前に東日本大震災に見舞わ
「ハワイ文化の理解」のために用意された企画
れた。MBI の 29 期生としては、東京での研修あり、
は、二日目のコーヒー園見学と、三日目のコハラ
さらに大地震となれば、20 年近く前の MBI 研修の
地区散策とグローハワイでのディナーの三点セッ
再来のように思えてくる。震災により参加者が半
トだ。
減し現地行事の予約変更で菅野さんにはご苦労
をかけたようだ。
コーヒー園は南西の山麓のコナ地域にあり、毎
日昼過ぎに通り雨が降る森林斜面を切り開いて作
られている。ハワイのコーヒー産業は、住居はもち
3
ろん衣服にも不自由する貧困に耐えながら日系移
最終日は、標高 4,205m のマウナ・ケアの山頂に
民が育て上げたもので、フィリピンからの季節労働
ある「すばる望遠鏡」の見学ツアーである。朝 10
者を使うように変わってはいるが、現在も手をかけ
時過ぎにホテルを出発、麓の祭壇で呪文を山の神
て「コナ・コーヒー」のブランドを冠した高品質コー
に捧げてから車は登山道に入る。
ヒーの生産がなされている。コーヒーの赤い実にさ
中腹(標高 2,800m)
くらんぼの味に似た甘い果肉があることも驚きだっ
にあるオニヅカ・ビ
た。生産農園の見学に続き、近くの観光農園を訪
ジター・センターで
れ、マカデミアン・ナッツやパン・フルーツなど、枝
昼食を摂り、ハワイ
になっている熱帯性フルーツの実を味わいながら
とヒマラヤにしかな
回った。
く絶滅に瀕している
高山植物「銀剣草
(silversword)」を見る。センターから先の道路は部
分的な舗装しかなく、もうもうと砂煙をあげながら
車が登っていく。
山頂には十数棟の観測棟が散在し、日陰には
残雪がある。直径 8m 余りの反射鏡をもつ「すばる
望遠鏡」を、ハワイ島駐在の林左絵子准教授が案
内してくださる。建屋内部に入って望遠鏡の脇に
実際に立ってみると、その規模は圧倒的である。
そして、ハワイ島旅行の最終日の 12 時間近くに及
コーヒーの赤い実はサクランボのようだ
んだマウナ・ケア山頂ツアーのフィナーレは、雲海
と山の峰々を赤々と染めて沈んでいく夕日の神々
コハラ地域は島の最北部を占め、比較的雨の多
い、かつてはサトウキビを作っていた農業地帯だ。
しさと、ビジター・センターから見上げた夜空に賑
やかに散りばめられた星々の静寂さであった。
カメハメハ大王が建設した神殿の遺跡(石組み)を
見学し、タウンハウス前に置かれた大王像を訪ね
て、観光地になる以前のハワイ島で、この地域が
中心だった頃の様子を偲ぶ。
ディナーは、日系のオガワさん宅の庭で、自然
の中に神の存在を見るハワイ文化と日本文化を
融合させた霊感あふれるコース料理を楽しんだ。
遠山先生の奥様の推薦だったとのことだ。
マウナ・ケアに沈む太陽
☆ ☆ ☆
日本風のハワイアン料理
4
コーヒーの木に白い花をつける頃には南国にも
雪が降るのではないかと思える光景や、赤く輝く
味わい深きコナ・コーヒー
実の収穫時には海外からの季節労働者が活躍す
るお話など、興味深かった。
曽原 美佐子
ハワイ島旅行出発一週間前に起きた「東日本
大震災」の復興事業担当で、急遽不参加となった
春に数日だけ可憐な白い花を咲かせるコーヒーの木
夫(曽原実、23 期)を残しての旅行は、後ろめたさ
をも含めた複雑な思いを抱えたままの出発となっ
収穫後のコーヒーの実を一粒、一粒丁寧に豆と
して完成させる細やかな工程の結果、大量ではな
た。
いが高級コーヒーとしてコクがあり深い味わいの
今回の旅行のメインは「すばる望遠鏡」見学で
ある「ハワイ・コナコーヒー」が誕生する過程を目に
あったが、その前々日に行った「ドトールコーヒー」
することが出来て、なかなかこれまた味わい深い
が運営するマウカメドウズ・コーヒー農園もなかな
経験であった。
か面白いものであった。コーヒーの栽培に適した
海抜 700 メートル程のコーヒーベルト地帯に点在
する小規模農園の中に、企業として見事な観光農
園を併設した農園を見学するチャンスを得た。
マウカメドウズ農園内のコーヒーの木
ブーゲンビリアなどハワイアンフラワーが咲き誇る「フラ
ワーガーデン」を通り抜けると、マウカメドウズオーシャ
ンの前で最高のコナコーヒーの試飲ができる
5
高めるのかも知れません。ビーチでの気功や太極
拳はとても気分よくできました。
元気になる島 ― ハワイ島
このホテルのビーチは、マウナ・ケア山からのエ
ネルギーと、海からのエネルギーが交じり合う場
所と言われていますので、それもあるのでしょう。
菅野 妙子
ハワイ島は二度目の訪問でした。
前回(2003 年)のハワイ島旅行で、ハワイ島は
溶岩台地があったかと思うと緑豊かな広大な牧場
や渓谷があったり、山ではスキーを楽しみ、海で
は水泳やスキューバダイビングも楽しめるという、
環境に恵まれたフェアモントホテル前のビーチ
島内だけでいろいろな楽しみ方ができる魅力的な
島だと思ったからです。その上、私が気に入った
次に、ドトールコーヒーのコーヒー農園の山の中
のは、何よりも「気場」を強く感じられたことでした。
腹に不思議な場所がありました。火山でできた溶
それでもう一度訪ねたく、ハワイ島旅行を企画い
岩穴のようなところに「ティ(Ti)の木」(ハワイの「幸
たしました。
福の木」「魔よけの木」とも言われているとか)が
青々と生えており、そこからすごいエネルギーが
「気場」は“パワースポット”などとも言われ、宇宙
放出されていたのです。掌をあてるだけでピリピリ
からの目にみえない力、地球のエネルギー(火山
と電磁波のようなエネルギーが伝わってきました。
や海洋)などが高い地点とされています。日本で
ここでとれたコーヒーを飲むときっと元気になるに
は昔からこのような「気場」の高いところに神社や
違いない、と冗談を言い合ったほどです。
寺院が多く建てられていますので、神社などにお
参りに行くのも、そこからエネルギーをもらい元気
が出るからかも知れません。
今回のハワイ島旅行で感じた「気」(元気)にまつ
わる体験を紹介します。
まずは、宿泊したフェアモントホテルは、ホテル
のビーチや庭を散策するだけで、掌に「気」を感じ
ました。広々とした芝生、真っ青な海、澄んだ空気、
そのような環境がいい気分にさせ、気のレベルを
すごいエネルギーが放出されている Ti の木
6
最後に訪れたすばる望遠鏡はマウナ・ケア山頂
4 泊 6 日の旅から、計画停電がまだ続き、ちょっ
(標高 4,200 メートル)にあります。この山は富士山
と暗いがそれでもハワイ島の夜よりは明るい東京
のように神聖な山だそうです。マウナ・ケアに入る
に戻りました。そして翌日気がついたのは、全然
前に太公望のツアー・ガイド、タカさんが、山に宿
疲れが出ず、いつもより元気で肩こりもすっかりと
っている“雪の女神様 ポリアフ”を祭っている祭
れていたことでした。やっぱりハワイ島で元気をい
壇(ハワイ語では、AHU<アフ>)の前でハワイア
ただいてきたな、と感じました。このエネルギーは
ンチャント(祈り)をあげました。祈りの内容は「皆
約 1 カ月間持ちこたえました。
様に幸せ・健康・良き精神・悪ごとに捕らわれな
い・永遠にやさしい心が宿り、他の人々にもやさし
い心を授けられるように」という意味だそうです。
疲れがたまったら、またハワイ島に充電しに行き
たいと思います。次はマウナ・ケア山頂からのサン
ライズに挑戦し、もっと強いパワーをいただきたい
ものです。
“雪の女神”が祭られているアフ
山頂でのすばる望遠鏡見学、そしてサンセット
を眺め、オニズカセンターからの星空観望は、何
か宇宙に近づいたような、宇宙からの気(エネル
ギー)を直接受けた気分になりました。
GPS内臓コンピュータ制御の大型天体望遠鏡で目指
す星座をすぐ見られたのには感激。シリウスはダイヤ
モンドのような輝きだった(写真は太公望HPから)
雲海の上から夕日を受ける天文台
マウナ・ケア山頂にて
☆ ☆ ☆
7