2級販売士事前演習 - 経営教育総合研究所

2級販売士事前演習
【販売・経営管理】
<解答解説>
問1
顧客が「クレーム」(苦情)を言うときは、商品やサービス、販売員の接客などに対
して何らかの不満を抱いているからです。
【解説】
販売員が顧客のクレームに対応する際には「言いにくいことを言ってくださる」「店
舗のことを思って言ってくださる」「ありがたいことだ」と謙虚な気持ちで接すること
が大切です。顧客満足度を高め、主要顧客の高頻度な来店や購買金額の増加を図るため
にも、顧客の不満を改善し、迅速にクレームに対応することが重要となります。
問2
売買後に顧客から小売店に商品が返されることを「返品」といいます。
【解説】
販売管理者は、パートタイマーやアルバイトもあわせ全ての従業員に返品対応などの
具体的な方法を教育・訓練することが必要です。
問3
債権や債務を発生させる原因となる約束を「契約」といいます。
【解説】
債権とは、特定の人に特定の行為をさせる権利のことをいい、債務とは、債権に対応
して、特定の人に対して特定の行為をしなければいけない義務のことをいいます。
例えば、A社がB社に商品を注文したとき、A社はB社から商品を貰う権利を持ちま
す(債権)。また、A社は商品の代金を払う義務があるということになります(債務)。
B社は商品をA社に渡す義務がある一方(債務)、A社から商品代金を受け取る権利が
あります(債権)。このような債権、債務を発生させる原因となる約束を契約といいま
す。
問4
契約どおりの行為をしないことを「債務不履行」といいます。
【解説】
契約どおりの行為をすることを履行(りこう)といい、契約どおりの行為をしないこと
を債務不履行(さいむふりこう)といいます。債務不履行には下記の3類型があります。
①履行遅滞
約束の期日までに履行をしないこと。
例:月末までに納品されるべき商品が納品されない。
②履行不能
履行ができなくなること。
例:1点ものの芸術作品を壊してしまった。
③不完全履行
外見上履行があったようにみえても、契約内容どおりの履行とはいえず不完全である
こと。
例:商品の納品が 10 個であるところ8個しかなかった。
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【販売・経営管理】
<解答解説>
問5
発行者が、銀行に自己の口座から一定金額を支払うことを委託する形式の証券を「小
切手」といいます。
【解説】
商品の仕入代金の支払いなどは現金によるものが原則ですが、特約により現金以外の方
法で決済することも可能です。店舗販売以外ではむしろ現金決済の方が例外であり、小切
手や約束手形が使われることがあります。約束手形とは、発行者が一定の金額を支払うべ
きことを約束する形式の有価証券です。
問6
「プリペイドカード」とは、現金と同じように使える代金前払方式の磁気カードのこ
とです。
【解説】
クレジットカードが代金後払いであるのに対し、プリペイドカードは代金前払いのカ
ードです。また、デビットカードとは、金融機関で発行されたキャッシュカードを、買
物や飲食の支払いに利用するサービスであり、銀行預金の口座から即時直接決済します。
問7
サプライヤー(供給業者)が小売業に商品の販売を委託し、小売業は販売業務を行う
ことによって販売手数料の支払いを受ける契約による仕入方法を「委託販売」といいま
す。
【解説】
委託販売以外の仕入方法に売上仕入と買取仕入があります。
①売上仕入
小売店(発注者)は売れた商品分だけの代金をサプライヤー支払う仕入方法。
②買取仕入
注文した商品を全て買い取る一般的な仕入方法。
問8
サプライヤーと小売業間で、流通支配のために行われる不公正な取引は「独占禁止法」
によって禁止されています。
【解説】
独占禁止法により、自由で公正な競争原理が働くよう適切な処理がなされています。
問9
従来は消費者を保護するという趣旨の消費者保護基本法が消費者行政の根幹でした
が、単なる消費者の保護にとどまらず、積極的に消費者の自立を促すことに重点が移り、
「消費者基本法」に改正されました。
【解説】
消費者基本法では、消費者を守るために事業者が行うべき義務を定めている一方、消
費者に対しても自ら進んで消費生活に対して情報を集め、行動するよう定めています。
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【販売・経営管理】
<解答解説>
問 10 「特定商取引法」とは、訪問販売など消費者にトラブルを生じやすい特定の取引類型
を対象にトラブル防止のルールを定め、事業者による不公正な勧誘行為等を取り締まる
ことにより、消費者取引の公正を確保するための法律です。
【解説】
特定商取引法の対象となる取引には以下のようなものがあります。
①訪問販売
自宅への訪問販売、キャッチセールス等
②通信販売
③電話勧誘販売
④連鎖販売取引
個人を販売員として勧誘し、さらに次の販売員を勧誘させる形で販売組織を連鎖的
に拡大して行う商品・サービス(役務)の販売。
⑤特定継続的役務提供
長期・継続的なサービス(役務)の提供とこれに対する高額の対価を契約する取引。
(エステ、語学教室など)
⑥業務提携誘因販売取引
「仕事を提供するので、収入が得られる」と誘因し、仕事に必要であるとして商品
等を売って金銭負担を負わせる取引。
問 11
「割賦販売」とは、分割払いによる販売のことです。
問 12
商人が自己を表示し他と識別するための名称を「商号」と呼び、特定の商品や役務(サ
ービス)について他の商品やサービスと識別するための営業標識を「商標」と呼びます。
【解説】
商号とは、企業名、会社名のことをいいます。
商標とは、商品のネーミング、マーク、立体的形状、またはその組み合わせをいいま
す。商品の名前だけでなく、例えばケンタッキーのカーネルおじさんなど、立体物も立
体商標とよばれます。
問 13
中心市街地活性化法、大規模小売店舗立地法、改正都市計画法の3法を「まちづくり
3法」といいます。
問 14
収益から費用を差し引いた金額がゼロとなる操業度のことを「損益分岐点」といいま
す。
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【販売・経営管理】
<解答解説>
問 15
商品の販売から得られる利益で、売上高から売上原価(商品の仕入金額)を引いて求
めることができる利益を「売上総利益」といいます。
【解説】
企業の収益、費用、利益を示す書類として損益計算書があります。
損益計算書では、利益を大きく5つに分けています。
①売上総利益:売上高-売上原価(商品の仕入金額)
商品の販売から得られる利益のことであり、小売業の業務活動においては粗利益と
も呼ぶ。
②営業利益:売上総利益-販売費及び一般管理費
本業で獲得した利益のこと。
③経常利益:営業利益+営業外収益-営業外費用
本業によるもうけである営業利益に営業外収益と営業外費用を加減したもの。
④税引前当期純利益:経常利益+特別利益-特別損失
経常利益に特別損益を加減して求める。税金を引く前の利益。
⑤当期純利益:税引前当期純利益-法人税等
納付する税金を差し引いた最終的な利益。
問 16
組織の協働体制をつくりあげるためには、「共通の目標」「意思伝達(コミュニケー
ション)」「協力・協働の意欲」が必要です。
【解説】
組織をつくりあげるためには、組織の方針にもとづく、従業員全員の共通目標を明確
にし(共通の目標)、相互の報告・連絡・相談によって意思疎通を円滑にすること(意
思伝達)が必要です。また、一人ひとりの従業員が仕事に協力または協働してやろうと
いう意欲を高める必要があります(協力・協働の意欲)。
問 17
開発、生産、販売、管理など経営機能ごとに編成された組織形態のことを「機能別組
織」といいます。
【解説】
機能別組織とは、機能ごとの専門性を高めるのに適しており、「営業担当者は販売部
門に、研究員は開発部門に」と、機能ごとに専門化した人材を同一部門に集めることが
できます。
【機能別組織】
社長
開発部門
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商品部門
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販売部門
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財務部門
総務部門
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機能別組織以外の組織形態に①事業部制、②カンパニー制、③マトリックス組織があ
ります。
①事業部制
柱となる事業ごとに編成された事業部が本社のもとに配置された組織形態。
【事業部制】
社長(本部)
A事業部
B事業部
C事業部
D事業部
E事業部
②カンパニー制
本社(本部)のもとに、事業部よりも組織ごとの独立性、自立性を高めた組織(カ
ンパニー)を配置した組織形態。
【カンパニー制】
社長(本部)
Aカンパニー
Bカンパニー
Cカンパニー
Dカンパニー
Eカンパニー
③マトリックス組織
機能別組織、商品別組織、顧客別組織など異なる複数の組織形態の利点を効果的に
組み合わせた組織形態。
問 18 「指令系統の統一化の原則」とは、組織のなかの任意の一人を取り出した場合、その
人間に指令を発する人物はただ一人でなければならないという原則であり、この原則に
より組織の混乱を防ぐことができます。
【解説】
指令系統の統一化とは、各人が職務を遂行する場合に、具体的な指令の伝達を単一の
人物から伝達することす。二人以上からの指令があると、組織は混乱しやすくなります。
組織の基本原則には、「指令系統の統一化の原則」以外に下記のようなものがありま
す。
①三面等価の原則
職務を明確にするためには、各職務の責任・権限・義務の三者がひとしくならなけ
ればならないとするもの。たとえば、たくさんの仕事の責任をおっているが、その仕
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【販売・経営管理】
<解答解説>
事の内容について決定する権限が少なければ効率的な仕事はできない。
③統制の範囲の原則(スパン・オブ・コントロール)
組織の秩序をたもつためには、一人の管理監督者の統制できる部下の人数には限り
があり、組織の上層部の場合は5~6名、末端では 20 名をもって限度とする。
④専門化の原則
仕事全体を関連する事項ごとにまとめて分業することがより効率的であるという
こと。
⑤権限委譲の原則
上司が職務の1部を部下に委任する場合、委任した職務をするのに必要な権限も委
譲しなければならない。
問 19
各従業員が身につけなければならない業務遂行上の技術や能力を現場の上司が実際
に作業をしてみせて、試行錯誤しながら従業員に伝えていく方法を「OJT」といいま
す。
【解説】
従業員教育として、仕事を教える際に先輩社員がついて、実際に仕事をしながら教え
ていく方法をOJT(On The Job Training)といいます。
一方、職場から離れ、外部の講師などから講義などの訓練をうけることをOff-JT
(Off The Job Training)といいます。
問 20
アメリカの心理学者アブラハム・マズローによると、人間の基本的欲求は「5」つの
段階に分けられます。
【解説】
マズローの人間の5つの基本的欲求とは下記のようになります。①が満たされると②
へ、②が満たされると③へと移ります。
①生理的欲求
飲食や休息、睡眠などのように生命を維持していくうえで欠かせない欲求
②安全・安定の欲求
身体的な危険や経済的な不安から免れたいという欲求
③社会的・親和の欲求
人々との間に親密な関係をつくりたいという欲求
④自我・自尊の欲求
他人からみて認められ、尊敬されたいという欲求
⑤自己実現の欲求
自分自身を精一杯生かしたいという欲求
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