「図書館と公共サービスの在り方に関する事項」に

「図書館と公共サービスの在り方に関する事項」に係るまとめへの意見
一般社団法人
意見
日本映像ソフト協会
◆ 2.[1]国会図書館からの送信サービスについて【1 頁∼5 頁】
当協会は、「電子書籍の流通と利用の円滑化に関する検討会議」(以下「本検討会議」
といいます。)において、図書館関係者と書籍関係者とが合意形成のために真摯かつ誠実
な協議をなされたことに心より敬意を表するものであり、その合意に沿ってより良い図書
館サービスが推進されることを期待するものです。
ところで、「「デジタル・ネットワーク社会における図書館と公共サービスの在り方に
関する事項」に係るまとめ」(以下「本まとめ」といいます。)3ページでは、国立国会
図書館から公立図書館等へのデジタル化資料の送信サービスに関して、
「図書館法(昭和25年法律第148号)第2条に定められている私立図書館なども存在
し、公立図書館や大学図書館等の各図書館においては設置趣旨や目的等に相違点も存在す
るため、全ての図書館を一律に同等と見做すことは適切ではないと思われる。したがって、
具体的に送信先を定める際には、こうした点を踏まえ、著作権法第31条の適用がある図
書館の定義等を参照した上で整理することが必要であると考えられる。」
としていますが、適切だと考えます。
なお、その整理にあたっては、平成 18 年の「一般社団法人及び一般財団法人に関する
法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整
備等に関する法律」(以下「法人法整備法」といいます。)によって、図書館法2条1項
の図書館の概念が大きく変貌していることに留意いただきたいと考えます。
従来、図書館法2条1項の図書館は以下の3種の図書館が定められていました。
1.公立図書館
地方公共団体が設置する図書館
2.日本赤十字社が設置する図書館
3.民法 34 条の法人が設置する図書館
ところが、法人法整備法では、民法 34 条の法人に代えて一般社団法人若しくは一般財
団法人の設置する図書館としました。
民法 34 条の法人は、許可主義によって主務官庁の許可がなければ設立することができ
ず、設立後も主務官庁の監督を受ける公益法人であったのに対し、一般社団法人や一般財
団法人は公益を目的とする法人である必要はなく、準則主義により自由に設立できる法人
であり、設立後も主務官庁の監督を受けることはありません。
このように一般社団法人及び一般財団法人は、従来の民法 34 条の法人とは性格の異な
る法人であり、一般社団法人及び一般財団法人が設置する図書館の著作物の利用に関し著
作権を制限するべきかどうか、慎重に検討されるべきであると考えます。
法人法整備法は、多数の法律が定めているそれまでの民法法人に関する規定を一般社団
法人及び一般財団法人に一括して改正しており、その中には図書館法だけでなく、著作権
法も含まれています。
その際の改正により権利制限が拡張された著作権法の規定は、「本まとめ」の示す考え
方により、見直しされる必要があることを付言いたします。
以上