展示用ポスター(PDF)

木 の エ ネ ル ギ ー
Ⅱ.木は燃やしていいの?
地球は,二酸化炭素やメタン,
フロンなどの温室効果ガスでお
おわれています。この温室効果
ガスは,太陽の光をよく通します
が,赤外線を吸収するので,地
球の気温は年平均15℃に保た
れてきました。しかし,人間が石
油・石炭・ガスをどんどん燃やし
た結果,地球をおおう温室効果
ガスが増え,吸収する赤外線も
増えたので,気温が上がってき
ています。これを地球温暖化とい
います。
≪地球温暖化で引き起こる現象≫
●南極の氷や氷河が解け,島の多くが,海に沈む。
●農作物の収穫が減り,食料不足になる。
●伝染病が流行する。
など
比較
燃料 形状
の 発熱量
特性 燃焼装置
燃焼制御
生産と 製造工程
供給 生産時間
コスト
環境負荷
チップ
ペレット
かさが大きい
粒状
低い
高い
大きい
小型化が可能
制御しにくい
制御しやすい
チッパー加工
工場で加工
短い
長い
5円/kwhぐらい 5.55円/kwhぐらい
低い
高い
「木質ペレット」
おがくずをドッグフードのような形に圧縮・成形し,今の生活におい
て便利に使えるように加工した新しい燃料です。木材の中にあるリ
グニンという物質の特性を使って固めているため、接着剤などの添
加物は一切使いません。
「チップ」
木材を幅2cm長さ3〜7cmぐらいにうすく丸太などからカットした燃
料です。「チップ」は、伐採された木材をチッパーで機械的に加工す
るだけでよく、環境負荷も少なく、コストも日本では重油並みに安価
です。
木質燃料形状
〈伝統的加工〉
・薪
・木炭
〈破砕加工〉
・オガ粉
・チップ
エネルギー変換方式
〈成形加工〉
・ペレット
・ブリケット等
使用機器/システム
エネルギー利用形態
ストーブ
温
直接燃焼
ガス化
(実証試験段階)
熱
・暖房
・給湯
ボイラー
改質
蒸気タービン
冷
熱
電
気
ガスエンジン/
ガスタービン
燃料電池
液 化
(研究段階)
石油と同様に利用
赤字・・・中津川で検討されているもの
地球温暖化の原因の一つとして大気中の二酸化炭素濃度が上昇し
ていることが挙げられています。二酸化炭素は植物の光合成により植
物体内に取り込むことができます。特に,樹木は幹に大量の二酸化
炭素を保持することができます。
木材は燃やすと二酸化炭素を発生しますが,燃料として使用すると化
石燃料(石油・石炭)の消費を減らすことができます。化石燃料は再生
することは不可能ですが,木材では,二酸化炭素を森林が吸収し,新
たな木材として利用が可能になります。
煙突があれば簡単に
Ⅳ.木質ペレット?
Ⅲ.木のエネルギーってなに?
木のエネルギー利用方法は,大きく分けて2種類の方法があります。
①一つは直接燃焼による方法です。具体的には,古くから利用されていた
「薪」があります。薪は利用するのに一番加工が容易で,特別な設備もいり
ません。さらに加工したものとして「チップ」や「木炭」などがありますが,近年
注目を浴びているのは「ペレット」です。
②もう一つは化学変化させることで,木材からガスを抽出したり,エタノール
などの液体燃料を取り出し,これを利用する方法です。この方法は利用効率
が高くなる等のメリットがありますが,いまだ実験段階で実用化には若干の
年数を必要とします。
Ⅴ.飯豊町での活用事例
ペレットストーブ
(フォレスト いいで)
・
・
・
Ⅰ.地球温暖化ってなに?
「ペレットストーブ」とは,「木質ペレット」を燃料としたストー
ブです。「木質ペレット」の供給や温度調節も含め自動運転
が可能であり,石油ストーブに引けを取らない利用性があ
ります。
●良い点
〔低公害〕石油ストーブよりも排気ガスがクリーンで臭いもほと
んどない。
〔耐久性〕
石油ストーブよりも構造が単純で耐久性が高く,維持
管理費が少なくてすむ。
〔いやし〕
じんわりとした暖かさが得られ,炎が見れるタイプは
安らぎ効果が期待できる。
ペレットボイラー
(道の駅 イチゴハウス)
●悪い点
〔価 格〕現状では大半が輸入品であるため,石油ストーブと比
べ高い(20〜40万円程度)。ただし国産品の開発も盛
んであり,今後,価格の低下が期待できる。
〔燃 渣〕
燃焼後に少量の灰が発生するため処分が必要。
(肥料として利用可)
木質バイオマス企業化研究会,日本大学 建築・地域共生デザイン研究室
飯豊町(中津川)での木のエネルギーを使う動き
Ⅰ.木質バイオマスによるエネルギー利活用の起業化
飯豊町では,昭和47年に策定した第一次飯豊町総合計画“手作りのまちいいで”以来,“住民参加のまちづくり”を標榜し,常
に行政と住民の連携を基本として各種計画の策定や施策の展開を進めてきました。第三次飯豊町総合計画では,地域住民が
主体となって策定された各地区ごとの土地利用計画を具体化するため,主要な構想や事業について重点化をはかり,総合計
画・基本計画として位置づけてきました。平成12年度には,地球規模での温暖化防止や環境問題への取り組みを目的として,
飯豊町地域新エネルギービジョンを策定しました。このなかでも,当町の豊かな森林資源を活用した,木質バイオマスによるエ
ネルギー利活用に向けた起業化が重点的な取り組みと位置づけられています。そこで,本町の山林を抱える中津川地区を実
施対象地区として,木質バイオマス企業化研究会を立ち上げ検討をすすめていきます。
ペレット生産
燃料流通・集客機能
燃渣活用
【里山活用区域・
森林生産区域】
【ペレット工場】
【中津川地区燃料流通】
【燃渣
処理】
針葉樹
広葉樹
ペレット
【ダム流木】
公共交流施設燃料
おが粉
広葉樹
チップ化︵移動式チッパー︶
針葉樹
ストーブモニター
イチゴハウス燃料
町内ハウス燃料
蕨の灰汁抜き・
土壌改良剤等の利用
里山・森林管理
Ⅱ.中津川木質バイオマス資源利活用構想
チップ
おが粉
キノコ栽培
ペレット
ペレット・ストーブ
ハウス栽培での
燃渣(灰)
木材の伐採
【おが粉販売・菌床回収】
キノコ栽培
ペレット活用
中津川木質系バイオマス資源利活用構想
中津川地区は,豊かな森林資源に恵まれて
いるものの,近年の林業構造の変化に伴う木
材や間伐材の価格低下等を背景として,人工
林の適切な保育作業がなかなか進まない状況
にあります。また,かつて薪炭林として用いら
れた雑木林も,現在ではほとんど活用されて
おらず,その管理と有効利用が課題となってい
ます。そこで,中津川地区の森林資源を活用し
た,木質バイオマスによるエネルギー利活用
に 注 目 す る に 至 り ま し た 。
ペレットの生産は,広葉樹と針葉樹に分けてお
こないます。針葉樹は良質のペレットに加工し,
公共施設や家庭の燃料として供給します。。広
葉樹はまず,おが粉に加工しキノコ栽培に利
用します。使用済みのおが粉を回収し,ペレッ
トに加工し,ハウスの燃料として利用します。
両樹種の燃渣は,蕨の灰汁抜きや土壌改良剤
等に利用します。
Ⅲ.地域への効果
間伐材をはじめとする森林資源から木質バイオマス燃料を製造することにより,林産
物の付加価値を高めるとともに,林業の活性化,さらには森林の管理充実による環境
保全機能の向上が期待できます。また,木質バイオマス燃料を使うことで,木の伐採,
運搬,燃料への加工,それらの燃料や機器の販売,燃渣(灰)の回収や活用・販売な
どに関わる新たな産業,それにともなう雇用の創出が期待できます。
さらに広い範囲でみれば,エネルギーは,中山間地域のみならず都会の生産活動に
も不可欠です。ましてや,地球環境時代といわれる現代に注目を集めている,木質バ
イマスをはじめとする自然エネルギー利用は,自然環境と密接な関係にあります。そ
のため,エネルギーの供給や森林による大気中の二酸化炭素の呼吸・固定という面
おいて,中津川地区のような中山間地区の重要性が高まることが予想されます。また
将来的には,中津川地区がエネルギー供給システムに参画することによる都会から
資金環流や,新たな地区の基幹産業としての可能性を示しています。
地域でエネルギーを生産すると・・・
木質バイオマス企業化研究会,日本大学 建築・地域共生デザイン研究室