ワールド・コール・レポート Vol.4 ワールド・コール・レポート Vol.4 平成 24 年 3 月 31 日 財団法人石炭エネルギーセンター アジア太平洋コールフローセンター 技術・情報委員会 2012 ワールド・コール・レポート Vol.4 技術・情報委員会メンバー 主査 主査代行 副主査 副主査 委員 委員 委員 委員 委員 委員 委員 委員 藤井 大内 藤原 四方 渡辺 長野 岩崎 橋本 尾崎 杉山 児玉 橋本 敏道 辰夫 伸公 哲夫 修三 研一 豪徳 貴雄 和弘 好隆 秀夫 修一 三菱マテリアル株式会社 三菱マテリアル株式会社 出光興産株式会社 バブコック日立株式会社 株式会社 IHI 新日本製鐵株式会社 電源開発株式会社(J-POWER) 三菱重工業株式会社 電気事業連合会 双日株式会社 鉱山エンジニアリング株式会社 株式会社自己啓発協会 事務局 松田 原田 桐部 村上 冨田 牧野 岡本 岡部 俊郎 道昭 仁志 一幸 新二 啓二 法子 修平 掲載記事は編集者がまとめたものであり、記事内容の利用から生じた如何なる損害につ いても責任を負いません。あくまで自己責任において判断をお願いいたします。 2012 ワールド・コール・レポート Vol.4 ワールド・コール・レポート Vol.4 2012 目次 特集 東日本大震災による石炭分野への影響・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 第 1 章 石炭の需給・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 1.1 石炭資源と政策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 1.1.1 石炭資源・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 1.1.2 エネルギー・石炭資源政策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 (1)豪州・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 (2)中国・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 (3)インド・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7 (4)インドネシア・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 (5)ベトナム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9 (6)米国・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9 1 . 1 . 3 主 要石 炭 サ プ ライ ヤ ー ・ ・・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・1 0 1.1.4 日本のエネルギー基本計画の動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・11 1.2 石炭需給と石炭価格・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14 1.2.1 生産・消費・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14 1.2.2 石炭需給見通し・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15 1.2.3 石炭事情・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19 (1)豪州・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19 (2)中国・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24 (3)インド・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27 (4)インドネシア・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30 (5)ベトナム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31 (6)米国・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33 (7)カナダ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35 (8)モンゴル・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・37 (9)ロシア・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38 (10)ポーランド・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40 (11)EU・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・42 (12)モザンビーク・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45 (13)南アフリカ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・46 (14)コロンビア・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・48 1.2.4 石炭貿易・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50 1.2.5 石炭価格・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・52 1.3 石炭輸送インフラ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・53 ワールド・コール・レポート Vol.4 1.3.1 豪州・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・53 1.3.2 中国・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・56 1.3.3 インド・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・57 1.3.4 インドネシア・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・57 1.3.5 北米・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・58 1.3.6 モンゴル・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・58 1.3.7 ロシア・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・59 1.3.8 南アフリカ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・59 1.4 一般炭・原料炭資源・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・60 1.4.1 一般炭・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・60 1.4.2 原料炭・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・61 1.5 中国、インドネシア及びベトナムにおける炭鉱災害状況・・・・・・・・・・・63 1.5.1 中国・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・63 1.5.2 インドネシア・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・64 1.5.3 ベトナム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・64 第 2 章 石炭利用の最新動向と地球環境問題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・66 2.1石炭火力の最新動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・66 2.1.1 世界の高効率石炭火力発電の実績と計画・・・・・・・・・・・・・・・・・66 2.1.2 日本企業の海外石炭火力ビジネスの最新動向・・・・・・・・・・・・・・・81 2.2 地球環境問題への取り組み・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・85 2.2.1 地球温暖化問題をめぐる政治的な状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・85 2.2.2 各国の温室効果ガス削減目標ならびに温暖化対策に関連する主な税制・・・・88 2.3 二酸化炭素回収・貯留(CCS)に関する動向・・・・・・・・・・・・・・・・91 2.3.1 CCS についての IEA の見解・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・91 2.3.2 世界の CCS プロジェクト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・93 2.3.3 各国の CCS に関する技術開発動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・97 2.3.4 2010 Global CCS Institute 動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・109 2.4 最新の国際会議の報告・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・111 2.4.1 IEA GHC 酸素燃焼国際会議報告・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・111 2.4.2 ケミカルルーピング国際会議報告・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・114 第 3 章 石炭利用プロジェクト動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・118 3.1 低品位炭利用プロジェクト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・118 3.1.1 二塔式ガス化炉プロジェクト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・118 3.1.2 褐炭熱水処理技術・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・119 2012 ワールド・コール・レポート Vol.4 3.1.3 褐炭コークス化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・120 3.1.4 IGCC 輸出インフラ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・120 3.1.5 ECOPRO・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・121 3.1.6 褐炭乾燥システム研究開発・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・123 3.1.7 褐炭熱分解利用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・123 3.1.8 褐炭ガス化水素製造・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・124 3.2 リノベーション事業(インド、インドネシア)・・・・・・・・・・・・・・125 3.3 エコ・コール・タウン事業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・128 3.4 石炭転換技術(石炭ガス化・液化技術動向)・・・・・・・・・・・・・・・131 第4章 石炭分野における国際協力・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・136 4.1 多国間協力・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・136 4.2 二国間協力・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・138 4.2.1 豪州・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・138 4.2.2 中国・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・140 4.2.3 インド・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・142 4.2.4 インドネシア・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・142 4.2.5 ベトナム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・145 4.2.6 カナダ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・146 4.2.7 モンゴル・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・147 4.2.8 ポーランド・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・148 4.2.9 モザンビーク・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・149 4.3 主要企業の国際展開・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・150 2012 ワールド・コール・レポート Vol.4 特集 JCOAL 技術・情報委員会 東日本大震災による石炭火力発電所・受入港の被災状況 平成 23 年 3 月 11 日、宮城県牡鹿半島沖を震源として発生した東日本大震災は、東北地 方から関東地方にかけて沿岸部を中心に壊滅的な被害をもたらした。原子力発電所の問題 が大きく取り上げられているが、石炭に関連するものについても、石炭火力発電所や港を はじめとして多くの施設が影響を受けた。ここでは震災による被害と現時点での状況につ いてとりまとめる。 図 1 に茨城県から東北地方にかけて稼働している主な石炭火力発電所(小規模のものは 除く)と石炭受入港を示す。今回の震災は地震よりも津波による被害が深刻であるが、発 電所は沿岸部に位置しており、津波による影響を大きく受けることとなった。 図 1 に示す発電所の中で、日本海側に位置する東北電力能代火力と酒田共同火力の被害 は軽微であり、早期に通常運転に復帰している。太平洋側に位置する発電所では、住友金 属鹿島火力発電所が 3 月 26 日に運転を再開したものの、その他の各発電所はいずれも設備 の損壊に加え土砂や瓦礫の堆積、冠水などにより甚大な被害を受けた。しかしながら、各 発電所の懸命な努力により、現在ほとんどの発電所が運転を再開している。 青森港 東北電力能代火力 (1号60万kW、2号60万kW) 八戸港 酒田共同火力酒田 (1号35万KW、2号35万kW) 釜石港 大船渡港 新日鐵釜石火力 (13.6万kW) 相馬共同火力新地 (1号100万kW、2号100万kW) 石巻港 仙台塩釜港 東北電力原町火力 (1号100万kW、2号100万kW) 相馬港 東京電力広野火力 (5号60万kW) 常磐共同火力勿来 クリーンコールパワー研究所(7号25万kW、8号60万kW、 IGCC(25万kW) 9号60万kW) 小名浜港 東京電力常陸那珂火力 (1号100万kW) 日立港 鹿島港 住友金属鹿島火力 (50.7万kW) 図 1 北関東~東北地方の主な石炭火力発電所と石炭受入港 東京電力常陸那珂火力 1 号機は、揚炭設備等が被害を受けたものの発電設備には大きな 問題がなく、5 月 15 日に運転を再開した。同じく東京電力の広野火力発電所は発電設備が 5 基あり、5 号機が石炭火力である。津波により事務所などが土砂や瓦礫で埋まり、道路な ども崩壊したが、所内にいた約 1,400 人は無事に避難した。復旧は急ピッチで進められ、6 月 15 日に 5 号機石炭火力がまず連続運転に入り、7 月 16 日に 5 基全てが運転再開を果た した。 常磐共同火力勿来火力発電所は 4 基中 3 基(7、8、9 号機)が石炭火力である。7 号機 は沿岸に位置しており、津波により 1 階部分が冠水、停電により通常の停止動作ができず、 1 ワールド・コール・レポート Vol.4 JCOAL 技術・情報委員会 ポンプ場も水没したが、8、9 号機の冠水被害は少なく、9 号機は 6 月 30 日に運転を再開、 8 号機は 7 月 17 日に運転を再開した。7 号機も復旧作業が進められ、12 月 21 日に再開、 全ての発電設備が復旧した(重油焚きの 6 号機は長期停止中であるが平成 24 年 3 月頃稼働 見込み)。また、同発電所構内に建設されているクリーンコールパワー研究所 IGCC 実証機 も津波の影響を受けたが、ガス化炉やボイラなど主要機器の倒壊はなく、7 月 28 日に運転 を再開した。 新日鐵釜石製鉄所の石炭火力設備も地震・津波で影響を受けたが 6 月 23 日より試運転 を開始、7 月 1 日に完全復旧した。発電量は 13.6 万 kW であるが、岩手県内の一般家庭電 力需要の 4 割に相当するとのことであり、復興に向けて貴重な電力になると思われる。 相馬共同火力新地発電所には震災後 10m 近い津波が押し寄せ、排水処理設備、受電盤を はじめ多くの機器が冠水した。震災翌日から瓦礫・車両の撤去、設備の撤去・修理が進め られた。その結果、12 月 7 日にボイラ点火、19 日に発電を再開した。また、1 号機も 12 月 26 日にボイラ点火、翌 27 日に発電を再開した。平成 24 年夏に 1・2 号機ともフル出力 (100 万 kW×2)で稼働させることを目標にしている。 最も被害が大きかったのが東北電力原町火力発電所である。原町火力発電所は事務所の 3 階近くに達する約 13m の津波に襲われ、事務所と地表にある設備の大半が壊滅的被害を 受けた。また、港の設備も破壊され、破損タンクから重油が漏洩した。高台にある貯炭場 は無事であった。東北電力の平成 24 年 1 月 27 日定例会見資料によると、運転再開は平成 25 年夏前になる見込みである。 石炭火力発電所は基本的に揚炭できる港に隣接して建設されているが、今回の震災では この石炭受入港の被害もまた極めて深刻である。 被災地域にある石炭受入港は青森、八戸、釜石、大船渡、石巻、仙台塩釜、小名浜、相 馬、鹿島、日立の 10 港であるが、これらの港の多くにおいて、岸壁や揚炭設備が破壊され た。地震により岸壁が損傷し、また、津波により流されたものが海面下に沈み、石炭運搬 船が入港できない状態となった。さらに、津波によるアンローダの倒壊が相次ぎ、電気系 統が冠水するなどしてほとんどの港が揚炭不能に陥った。 青森港は大きな被害がなかった模様であり、4 月に石炭を受け入れている。住友金属工 業鹿島製鉄所の受入埠頭では移設クレーン導入などで対処し、石炭受入が可能となった。 その他の港では、5 月 27 日、仙台塩釜港向洋埠頭に石炭運搬船が入港、6 月には釜石港、 小名浜港においても受入が再開された。当初は内航船での荷揚げ作業であったが、徐徐に 外航船の入着も可能になっている模様である。プレス発表などによると、9 月にインドネ シアからの外航船が仙台へ 20,000 トン、石巻へ 24,000 トンを荷揚げ、10 月には大船渡港 にロシア炭 18,000 トンが入着、11 月末には石巻へ外航船が直接 55,705 トン積みで入港し た。相馬港にも 12 月 1 日、豪州 Abbot Point からの石炭 27,000 トンを積んだ外航船が入 港、2 月 13 日には New Castle 港からの石炭 63,000 トンを積んだ石炭専用船が入港してい る。 表 1 に被災地域の通関港における、平成 23 年の石炭通関統計を示す。震災後 4~6 月の 入着炭は 1,611,355 トンであったが、7~9 月は 3,823,865 トン、10~12 月は 4,222,220 トンと順調に回復しており、平成 24 年度は多くの港でほぼ復旧することが期待される。 原子力発電停止を補うため、当面既設火力発電所の稼働率向上が重要となるが、石炭火 力発電所はすでにベース電源として用いられており稼働率が高い。例えば平成 20 年度の実 績をみると、石炭火力発電所の設備利用率は 76.3%であり、石油火力の 22.6%、LNG 火力の 54.2%よりかなり高い数値である。そのため、稼働率の大幅な向上は見込めず、石炭需要の 増加も小幅なものにとどまると思われる。 2 ワールド・コール・レポート Vol.4 JCOAL 技術・情報委員会 表 1 通関港別石炭輸入量(平成 23 年) 税関 年計 1月 2月 3月 4月 5月 6月 青森 43,669 0 0 5,505 20,313 0 3,538 八戸 597,685 65,300 57,328 15,222 0 0 68,256 釜石 49,474 0 49,474 0 0 0 0 大船渡 72,423 18,702 32,190 0 0 0 0 石巻 152,691 52,443 50,497 0 0 0 0 仙台塩釜 290,373 46,932 230 38 0 0 0 小名浜 3,234,049 481,358 297,864 129,744 0 0 140,820 相馬 2,104,814 921,008 706,248 394,857 0 28,290 0 鹿島 6,490,911 468,139 625,257 362,453 90,418 466,073 704,205 日立 1,924,419 283,872 74,456 163,951 0 0 89,442 14,960,508 2,337,754 1,893,544 1,071,770 110,731 合計 税関 7月 8月 9月 10 月 494,363 1,006,261 11 月 12 月 青森 3,693 0 0 7,045 3,575 0 八戸 39,326 97,225 22,000 96,921 79,071 57,036 釜石 0 0 0 0 0 0 大船渡 0 0 0 18,080 3,451 0 石巻 0 0 0 0 49,751 0 46,815 0 89,392 22 59,357 47,587 128,739 431,523 383,558 439,911 291,640 508,892 相馬 0 0 0 0 27,167 27,244 鹿島 500,958 776,645 587,065 609,102 883,849 416,747 日立 228,572 235,994 252,360 250,853 168,857 176,062 合計 948,103 1,541,387 1,334,375 1,421,934 仙台塩釜 小名浜 1,566,718 1,233,568 今回の震災では、事業用石炭火力発電所の他、製紙工場(日本製紙石巻・岩沼・名越・ 秋田・いわき大王、三菱製紙八戸など)、精錬所(小名浜精錬、八戸精錬)、セメント工場 (三菱マテリアル岩手、太平洋セメント大船渡)なども被害を受け、そこに設置されてい る自家発や IPP 石炭発電設備についても被害が出ている。震災当初多くの設備が操業不能 となり、長期停止を余儀なくされると思われていたが、各社の努力によりほとんどの設備 で操業が再開されたか、もしくは復旧の見込みが立っている。 3 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 第1章 石炭の需給 1.1 石炭資源と政策 1.1.1 石炭資源 世界エネルギー会議(WEC)は、世界エネルギー資源量調査(Survey of Energy Resources 2010)を 2010 年 11 月に公表した。 石炭の確認可採埋蔵量(Proved Recoverable Reserves)は、2009 年中間報告の 8,260 億トンから 349 億トン(4.2%)上方修正され 8,609 億トンとなった。上位 20 ヶ国の数値を 表 1.1-1 に示す。インドまでの上位 5 ヶ国で世界の 4 分の 3 を占めている。 IEA によると世界の石炭生産量は 2009 年 68 億 2,268 万トン、2010 年推計 72 億 2,871 万トンである。これらを用いて R/P を計算すると、2009 年 126.2 年、2010 年 119.1 年とな る。 表 1.1-1 世界の石炭確認可採埋蔵量 瀝青炭/ 無煙炭 亜瀝青炭 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 米国 108,501 ロシア 49,088 中国 62,200 豪州 37,100 インド 56,100 ドイツ 99 ウクライナ 15,351 カザフスタン 21,500 南アフリカ 30,156 セルビア 9 コロンビア 6,366 カナダ 3,474 ポーランド 4,338 インドネシア 1,520 ブラジル ギリシャ ボスニア・ヘルツェゴビナ 484 モンゴル 1,170 ブルガリア 2 トルコ 529 その他 6,775 世界計 404,762 出典:Survey of Energy Resources 2010, 単位 100 万トン 98,618 97,472 33,700 2,100 16,577 361 380 872 2,904 4,559 190 3,056 260,789 WEC 褐炭 30,176 10,450 18,600 37,200 4,500 40,600 1,945 12,100 13,400 2,236 1,371 1,105 3,020 2,369 1,350 2,174 1,814 10,977 195,387 合計 割合 237,295 27.6% 157,010 18.2% 114,500 13.3% 76,400 8.9% 60,600 7.0% 40,699 4.7% 33,873 3.9% 33,600 3.9% 30,156 3.5% 13,770 1.6% 6,746 0.8% 6,582 0.8% 5,709 0.7% 5,529 0.6% 4,559 0.5% 3,020 0.4% 2,853 0.3% 2,520 0.3% 2,366 0.3% 2,343 0.3% 20,808 2.4% 860,938 100.0% 2009 年報告と 2010 年報告を比較して、10 億トン以上確認可採埋蔵量の変化があった国 を表 1.1-2 に示す。ドイツの報告値が約 340 億トン増加しており、これが世界全体の増加 分(349 億トン)に大きく寄与している。その他、ボスニア・ヘルツェゴビナおよびモン ゴルが今回初めて数値を報告し、この両国で 50 億トン以上の増加となった。一方、チェコ 4 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 やブラジルなどの報告値が大きく減少している。なお、表 1.1-1 にある上位国において、 中国、ロシア、ウクライナは前回と全く同じ数値を報告している。特に中国とロシアにつ いては 10 年以上数値が変わっていない。 表 1.1-2 2009 年・2010 年で 10 億トン以上石炭確認可採埋蔵量が変化した国 瀝青炭/ 無煙炭 増加した国 ドイツ ボスニア・ヘルツェゴビナ モンゴル カザフスタン インド インドネシア 減少した国 チェコ ブラジル ポーランド ハンガリー ウズベキスタン 米国 世界計の増減 亜瀝青炭 褐炭 合計 備考 -53 484 1,170 -6,670 2,100 -201 0 0 0 0 0 1,095 34,044 2,369 1,350 8,970 -100 307 33,991 2,853 2010 年 初報告 2,520 2010 年 初報告 2,300 2,000 1,201 -1,481 0 -1,674 -186 -953 -449 -6,559 -2,617 -2,500 0 269 0 -501 -4,029 697 0 -119 -1,725 -147 -63 45,525 -3,401 -2,500 -1,793 -1,642 -1,100 -1,013 34,937 出典:Survey of Energy Resources 2010, WEC より JCOAL 作成 単位 100 万トン 1.1.2 エネルギー・石炭資源政策 (1)豪州 豪州においては石炭が最大の外貨獲得輸出産品である。15 万人規模の労働者を抱え、国 内電力の 8 割近くが石炭で賄われており、今後も同国にとって石炭は極めて重要なエネル ギー資源であることは疑いないところである。 図 1.1-1 に豪州政府の石炭輸出見込みを示す。豪州は 2010 年度の輸出量が 3 億トンを超 える世界最大の石炭輸出国であるが、今後も順調に輸出を伸ばし、2015 年度には約 4 億 5,000 万トンの輸出が見込まれている。 インフラについても、2015 年までに新規港湾設備建設により 2 億 3,000 万トン/年の能 力アップを図り、鉱山業におけるインフラ建設支援として A$60 億の予算を確保している。 現在の豪州のエネルギー政策は、2004 年 6 月の自由党政権下で連邦政府が発表し た”Security Australia’s and Resources”が、自由党政権に替わって 2007 年 11 月に発 足した労働党政権でも踏襲されており、このエネルギー政策中の石炭に係わる政策として、 石炭産業の持続的な成長と環境対策がうたわれ、その具体策として①クリーン・コール・ テクノロジーの研究開発促進、②政府と産業界、豪州と他国の関係強化、③国際競争力強 化を視野に入れた政策が展開されている。 5 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 100万トン 500 原料炭 一般炭 400 300 200 100 0 08/09 09/10 10/11* 11*/12* 12*/13* 13*/14* 14*/15* 15*/16* 年度 出典:APEC Clean Fossil Energy Technical and Policy Seminar 2012 資料 図 1.1-1 豪州の石炭輸出実績と見込み(*見込み) 環境対策の一環として、2011 年 7 月 10 日に政府は炭素価格制度(炭素税)の草案を発 表した。温暖化ガスである二酸化炭素の排出量が多い企業 500 社から、導入時で排出量 1 トン当たり A$23(約 2,000 円)を徴収するものである。この法案は 10 月に下院、11 月に 上院で可決され、2012 年 7 月からの導入が決定した。 炭素税による負担額は 2.5%ずつ引き上げ、2015 年以降は制度自体を ETS(Emission Trading Scheme:温暖化ガス排出権取引制度)に移行する計画である。政府は 2020 年まで に二酸化炭素排出量を 1 億 6,000 万トン削減することを見込んでいる。 また政府は、鉱物資源利用税(Minerals Resource Rent Tax;MRRT)の導入を目指して いる。これは鉄鉱石及び石炭鉱山からの利益に 30%の課税を行うものである(石油・ガス 事業は対象外)。利益が年間 A$5,000 万以上の企業が対象となり、これに該当するのは 320 社程度とみられる。実際の税率は特別控除により 22.5%になり、ロイヤルティについても 控除対象になる模様である。同法案は 2011 年 11 月に下院を通過、2012 年 3 月に上院でも 可決され、2012 年 7 月から導入されることになった。 (2)中国 2011~2015 年を対象とした第十二次五ヶ年規画(十二五規画)が策定されている。現在 のところ石炭工業発展十二五規画はまだ正式発表されていないが、関係者からの情報によ ると、2015 年の石炭生産量計画は 39 億トン(2010 年比 6.6 億トン増)であり、十一五規 画期間における増加量 8.9 億トンと比べて増加量をやや抑制する政策になっている。炭鉱 の効率化を目指しており、現在 13 ある大型石炭基地(神東、晋北、晋中、陝北、黄隴、魯 西、両淮、河南、雲貴、蒙東、冀中、寧東)に新彊を加えた 14 大型石炭基地を重点的に発 展させ、小規模炭鉱の閉鎖と大規模企業への集約化を図る。インフラについては、開発を 促進する西部からの鉄道建設に重点が置かれている。2015 年における鉄道輸送需要は 26 億トンと見込まれているが、鉄道輸送能力は 30 億トン程度に達し、ニーズは満たせると政 府はみている。 また、炭層ガス開発利用十二五規画は正式に公布された。この中で 2015 年における全 炭鉱ガス回収量は 300 億 m3 を目標としている。このうち 160 億 m3 を地表から回収して全量 6 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 利用、坑内ガス抜きにより 140 億 m3 を回収し利用率 60%を達成するとしている。2010 年に おける地表からのガス回収量は 15 億 m3、坑内からの回収量は 75m3(うち利用量 23 億 m3、 利用率 30.7%)であるので、非常に高い目標値設定であるといえる。 十二五規画の主な数値目標について表 1.1-3 に示す。 石炭生産量 機械化採炭率 選炭率 坑内水利用率 鉄道輸送能力 船舶積出能力 企業規模 CBM/CMM 回収量 CBM/CMM 利用量 表 1.1-3 十二五規画の主な数値目標 十一五期間実績(2010 年) 十二五期間目標(2015 年) 39 億トン(生産能力 41 億トン) 32.4 億トン 東部 4.6 億トン、中部 13.5 億トン、西部 20.9 億トン 65% 75% 51%(16.5 億トン) 75%(29 億トン) 59% 75% 30 億トン(需要見込み 26 億トン) 8.3 億トン(需要見込み 7.5 億トン) 1 億トン級 10 社、5,000 万トン級 10 社。 この 20 社で全国の 60%を生産 全国炭鉱企業数 4,000 社以内とする 90 億 m3 300 億 m3(地表 160m3、坑内 140m3) 35 億 m3 180 億 m3(60%)以上 (3)インド インドでは第 12 次 5 カ年計画(2012-2017)を策定中である。現在までに得られた石炭 に関する情報を以下にとりまとめる。 商業エネルギー需要は、GDP 成長率を 9%とすると、年率 7%の増加となる。これを達成す るには供給サイドの対応と需要サイドの管理が必要となる。エネルギー価格は特に重要な 課題である。国内の石油・石炭価格は軟化傾向の見られない国際価格に比べかなり低く抑 えられている。 インドは一次エネルギー構成の 53%、電力構成の 70%を石炭に依存しており、この傾向は 今後も続くと予想される。 電力分野においては、11 次 5 ヶ年計画において 50,000MW の発電容量増加を達成したが、 12 次 5 ヶ年計画においては 100,000MW 増を目標にしている。輸入炭の導入によりコストが 増加しているが、それが電力料金に反映されていないことが問題である。 発電容量の大幅増加に伴い、石炭需要も大きく増加することになる。表 1.1-4 に政府の 石炭生産計画を示すが、2016 年度には 2011 年度比 2 億 4,100 万トン増の 7 億 9,500 万ト ンの生産を見込んでいる。CIL(Coal India)の生産量に占める割合は 81%から 77%に低下 する。 国内生産の大幅増加を計画しているものの、需要の増加はそれを上回るとみられる。表 1.1-5 に石炭需要見込みを示す。2016 年度の石炭需要は 9 億 8,050 万トン(2011 年度比 2 億 8,447 万トン増)となり、1 億 8,500 万トンの石炭を海外から輸入することになる。な お、石炭需要は 2021 年度には 13 億 7,300 万トン、2031 年度には 23 億 4,300 万トンにま で増加すると政府は予測している。一方で国内生産はこの需要増においつかず、2031 年度 の輸入量は 9 億 4,300 万トンに達し、石炭需要における輸入炭の割合は、2011 年度の 20% から 40%に倍増するとみられる。 7 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 石炭生産・輸入の増加においては、インフラの建設も合わせて行う必要がある。 表 1.1-4 インドの石炭生産計画 4 次計画 5 次計画 6 次計画 7 次計画 8 次計画 (2001 年度) (2006 年度) (2011 年度) (2016 年度) (2021 年度) (2031 年度) CIL SCCL Others 279.65 30.81 17.33 360.91 37.71 25.65 447 51 56 615 57 123 650 63 237 Total 327.79 424.27 554 795 950 出典:APEC Clean Fossil Energy Technical and Policy Seminar 2012 資料 表 1.1-5 1,400 単位 100 万トン インドの石炭需要見込み 4 次計画 5 次計画 6 次計画 7 次計画 8 次計画 (2001 年度) (2006 年度) (2011 年度) (2016 年度) (2021 年度) (2031 年度) 石炭需要 国内生産 輸入 351.71 327.79 23.92 463.87 424.27 39.6 696.03 554 142.03 980.5 795 185.5 出典:APEC Clean Fossil Energy Technical and Policy Seminar 2012 資料 1,373 950 423 2,343 1,400 943 単位 100 万トン (4)インドネシア 国内産業への供給確保、外資を含む投資促進による炭鉱開発、違法採掘や炭鉱開発に 伴う腐敗一掃等を主目的として、新鉱業法(鉱物石炭法)が 2009 年 1 月大統領令として公 布された。主な内容は以下のとおりである。 • • • • • • 国家利益を最優先する 鉱業地域(WP)の設定 鉱業事業許可(IUP)の設定(探鉱、生産の 2 段階制)、鉱業事業契約(CCOW)の廃止 ロイヤリティを純利益の 10%に設定 政府に生産量・輸出量を管理する権限を付与 生産物の高付加価値化 詳細については別途政府規制が定められつつある。石炭の国内供給・海外輸出に関して は、国内供給義務(Domestic Market Obligation;DMO)に関する大臣規制 2009 年 34 号に おいて、国内供給の優先と石炭販売価格の国家管理が規定された。2010 年は生産量の 24.75%、2011 年は 24.17%を国内に供給することが義務づけられた。 高付加価値化義務化について、インドネシア政府は、鉱物資源高付加価値義務に関する エネルギー・鉱物資源大臣令(2012 年同大臣令第 7 号)を 2 月 6 日付けで正式に発行した。 この中で、2014 年 1 月以降、高付加価値化が義務付けられる対象鉱物、製錬・加工等の具 体的な内容、違反者への罰則などが規定された。石炭においても低品位炭の輸出を制限す るという検討がなされていたが、この大臣令に石炭に関する規制は含まれなかった。これ は対象から外すということではなく、協議が難航していることが理由であり、いずれ石炭 についても同様の大臣令が出るものと思われる。 8 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 (5)ベトナム 2011 年の GDP 成長率は 5.9%と順調に経済発展しているベトナムは、今後もエネルギー需 要の増加が見込まれる。石炭も発電用を中心として需要が増加する。ベトナムの国営企業 である VINACOMIN(Vietman National Coal-Mineral Industries Holding Corporation) によると精炭ベースで 2015 年 5,500 万トン、2020 年 6,000 万トンの生産計画を立ててい るが、需要はこれを大幅に上回り、2020 年には数千万トン規模での輸入が必要になると思 われる。一方、既存炭鉱は坑内掘比率が上昇し、採掘条件は悪くなっていくことが確実で あるため、VINACOMIN としては調査・探査を積極的に実施していく計画である。紅河デル タ地域は地質条件が悪く採掘には困難が予想される。 (6)米国 オバマ政権は「グリーン・ニューディール」政策により、省エネルギーや原子力やクリ ーンコールを含むクリーンエネルギーを推進し、エネルギー安全保障を強化するとともに 環境問題対策を行い、米国経済振興を進める計画である。京都議定書は批准していないが、 COP15 においては国内法の成立を条件としているものの、2020 年までに温室効果ガスを 2005 年比で 17%削減する方針を表明した。特に、原子力発電やクリーンコールを含むクリ ーンエネルギーを重視しており、クリーンエネルギー経済を作り、将来の雇用を創出する ことを目指している。具体的には、2035 年までに米国における電力の 80%をクリーンエネ ルギー由来とする等の目標を掲げている。 再生エネルギーに関しては、30 の州・特別区において法律が制定され、導入が促進され ている。米国は世界最大の原子力発電所保有国であるが、東日本大震災後も原子力重要視 の政策は変更されていない。 石炭については環境規制の強化、再生エネルギー導入促進により需要は低下していく見 込みである。図 1.1-2 は米国における発電量の実績と見込みを示している。2010 年に 45% を占めていた石炭は、2035 年にはその割合を 39%に減らし、再生エネルギーの割合を増や す意向である。天然ガスも低価格シェールガスの登場でシェアを伸ばすとみられる。 石炭液化(Coal to Liquid;CTL)の計画もあるが、導入は 2015 年以降になる見込みで ある。 electricity net generation trillion kilowatt hours per year 6 2010 Projections History 5 27% Natural gas 4 24% 3 10% 2 45% Renewables 16% Coal 39% Nuclear 18% 1 Oil and other liquids 0 1990 1995 2000 2005 20% 1% 2010 1% 2015 2020 2025 出典:EIA, Annual Energy Outlook 2012 Early Release 図 1.1-2 米国の発電量実績と見込み 9 2030 2035 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 1.1.3 主要石炭サプライヤー 現在国際的に石炭事業展開を行っている石炭メジャーとしては、BHP Billiton、Anglo American、Rio Tinto、Xstrata が 4 大メジャーと呼ばれている。また、生産量の多い企業 としては Peabody Energy、Coal India、神華集団などが挙げられる。主要企業について以 下にとりまとめる。 (1)BHP Billiton 石炭の他金属資源において世界的展開を行っている。銅鉱石生産世界第 3 位、銀、鉄鋼、 ニッケル生産も世界トップクラスである。石炭については、2010 年度において、1 億 217 万 8,000 トン(うち原料炭 3,267 万 8,000 トン)を生産、売上は US$130 億 8,000 万である。 石炭の売上はグループ総売上の 18%を占めている。豪州において第 2 位の生産量である。 原料炭の権益はすべて豪州であり、一般炭については南ア(49%)、豪州(20%)、米国(17%) コロンビア(14%)に権益を持っている。豪州 Qld 州の原料炭については三菱商事との JV (BHP Billiton Mitsubishi Alliance)により経営を行っている。また、三井物産との JV もある。現在 Qld 州 Daunia、Broadmeadow 拡張などのプロジェクトがある。インドネシア 中央カリマンタンにおいても原料炭プロジェクトが進行中である。 (2)Rio Tinto アルミニウム、ダイヤモンド、ウラン、鉄鉱石の世界的生産企業である。石炭生産は 7,255 万 5,000 トン(2010 年、うち原料炭 1,204 万 2,000 トン)であり、石炭の売上は US$5 億 6,520 万でグループ総売上の 9%を占める。豪州における石炭生産量は第 3 位である。 石炭権益は原料炭についてはすべて豪州であり、一般炭は米国(70%)、豪州(30%)に所 有している。 2011 年 8 月、モザンビークの Benga プロジェクトの Riversdale 社分の権益の 65%を取得 した(残る 35%は Tata Steel が所有)。 (3)Xstrata グループ売上の 46%は銅鉱石生産である。亜鉛・フェロクロム生産は世界 1 位である。 豪州最大の石炭生産量を誇る。2010 年の石炭生産は 7,406 万 5,000 トンであるが、うち原 料炭は 678 万 2,000 トンにすぎず、生産量の大部分は一般炭である。石炭による売上は US$77 億 8,800 万(グループ売上の 26%)である。 一般炭の権益を豪州の他南アフリカ、コロンビアに所有している。原料炭権益はすべて 豪州である。豪州では Mangoola、Ravensworth North、Newland 拡張などのプロジェクトな どがある。 (4)Anglo American 白金、ダイヤモンド、鉄鉱石の生産量は世界トップクラスである。豪州における石炭生 産量は第 4 位である。2010 年の石炭生産は 9,767 万 4,000 トン(うち原料炭は 1,470 万 2,000 トン)であり、石炭による売上は US$62 億 4,300 万であり、総売上の 19%を占める。 原料炭権益はすべて豪州に所有、一般炭は 7 割が南アフリカ、次いで豪州、コロンビア に所有している。2015 年に 2010 年比 50%増の事業拡張を目標にしている。豪州 Qld 州の Grosvenor 原料炭プロジェクト、NSW 州 Drayton South 一般炭プロジェクト、南アフリカ New Largo 一般炭プロジェクトなどが進行中である。 (5)Peabody Energy Corporation 石炭専業企業であり、豪州第 5 位の生産企業である。2010 年の生産量は 2 億 2,000 万ト 10 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 ン、うち原料炭は 980 万トンであり、生産のほとんどは一般炭である。生産主体は米国で あり、一部豪州に権益を持つ。豪州の Wilpingjong、Wambo 拡張による増産計画がある。 (6)中國神華能源股份有限公司(中国神華) 神華集団有限責任公司(神華集団)が 2004 年に設立した中国最大の石炭企業である。香 港、上海に上場しており、神華集団が 72.96%の権益を所有している。 2010 年の石炭生産量は 2 億 2,480 万トン、1,030 万トンを輸出している。売上高は 1,520 億 6,300 万元、うち石炭関連は 3 分の 2 を占める。中国国内では内蒙古、陝西省、山西省 に炭鉱を所有している。 モンゴルのタバントルゴイ入札に際しては三井物産と提携している。海外では、豪州 NSW 州の Watermark プロジェクト、インドネシア南スマトラの石炭採掘・発電プロジェクトが 進行中である。 (7)Coal India Limited インドの国営石炭企業である。2010 年度の生産量は 4 億 3,126 万トンであり、一企業と しては世界最大の生産量を誇る。インド国内の 8 州、21 の主要炭田に 471 の炭鉱を操業し ている。 直轄子会社の CIAL はモザンビークにおいて 2 鉱区の探査権を得ている。 (8)PT. BUMI Resources Tbk インドネシアの資源企業である。1990 年に上場、1997 年に Bakrie グループが買収した。 Arutmin の 70%、Kaltim Prima Coal の 65%権益を所有している。石炭以外ではモーリタニ アの鉄鉱山、イエメンの油田、インドネシア国内の金属鉱山において事業を実施している。 Coal Bed Methane 事業展開もしており、KPC、Arutmin の他豪州においても権益を所有して いる。 (9)PT. Adaro Energy Tbk インドネシアを代表する石炭企業である。子会社の PT Adaro Indonesia が採掘を行って いる。2010 年の石炭生産量は 4,220 万トン、売上高は 24 兆 6,893 億 3,300 万ルピアであ る。Adaro の鉱区は南カリマンタンであるが、中央カリマンタンにおいて BHP Billiton が 進めているプロジェクトに参画し、25%権益を BHPB より取得した。中期的生産目標を年産 8,000 万トンとしている。 1.1.4 日本のエネルギー基本計画の動向 平成 22 年 6 月に改定された現行のエネルギー基本計画においては、2030 年の発電電力 量の約 50%を原子力発電により供給する計画であり、今年から 2030 年までに新たに 14 基 の原子力発電所を建設することが想定されていた。しかし、平成 23 年 3 月 11 日の東日本 大震災を受け、政府はこの基本計画をゼロベースで見直すこととなった。 経済産業省の審議会である総合資源エネルギー調査会の基本問題委員会が、新たなエネ ルギーミックスとその実現のための方策を含む新しいエネルギー基本計画について、平成 23 年 10 月から議論を行っている。来年夏の完成を目指しているが、12 月末に論点整理が 行われたのでその中身を要約する。 まず、基本計画見直しに際して、今後のエネルギー政策は「国民の安全確保」を最優先 とした上で、以下の視点を重視することが指摘された。 11 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 ① 国民が安心できる持続可能なエネルギー政策 国民の信頼を回復し、持続可能性のあるエネルギー政策構築 ② 需要サイドを重視したエネルギー政策 需要家への電源等の選択肢や省エネ・節電等の適切なインセンティブの付与 ③ 消費者・生活者や地域を重視したエネルギー政策 エネルギー創造・消費削減への主体的参加、地域特性に応じた未利用エネルギーの 活用による地域活性化に資する施策拡充 ④ 国力を支え、世界に貢献するエネルギー政策 産業競争力の維持強化のためのエネルギー安全保障確保・国際的責任遂行・成長戦 略の観点からの技術開発強化 ⑤ 多様な電源・エネルギー源を活用するエネルギー政策 多様な電源の活用、電力に加えて熱・ガス・水素・バイオ等のエネルギー源の適切 な組み合わせ 上記の視点を踏まえ、委員会では望ましいエネルギーミックスとエネルギー政策の改革 の検討に着手した。原子力に過半を依存するとしていた現行のエネルギー基本計画の抜本 的見直しに際して、 A) 需要家の行動様式や社会インフラの変革をも視野に入れ、省エネルギー・節電政策 を抜本的に強化すること B) 再生可能エネルギーの開発・利用を最大限加速化させること C) 天然ガスシフトを始め、環境負荷に最大限考慮しながら、化石燃料を有効活用する こと(化石燃料のクリーン利用) D) 原子力発電への依存度をできる限り低減させること の 4 点を基本的方向として議論を進めることになった。特に D)については原子力の一定量 維持と早期撤退で委員の間でも意見が割れている。当面は、上記 A)~C)の検証を十分行っ た上で D)を決める方向で検討が行われる見込みである。 現行のエネルギー政策の改革に際して、議論の中で概ね共通認識が得られている事項は 以下の 2 点である。 ・ 最先端の省エネ社会の実現 使用最大時の電力需要抑制(ピークカット) 民生部門についてのより踏み込んだ対応 ・ 分散型の次世代エネルギーシステムの実現 需要家への多様な選択肢提供 多様な供給力(再生可能エネルギー、コジェネ、自家発電等) 電気事業体制についての検証 リスク分散のための電力・天然ガスの国際的ネットワーク構築 上述したエネルギーミックス転換や需給構造改革の実現には、全てのエネルギー源を最 も効率的、安定的に活用できる世界最先端のエネルギー技術を維持・強化していくことが 重要であり、技術革新加速化に官民を挙げて取り組むことが必要である。 基本問題委員会では、2012 年春を目途として望ましいエネルギーミックスの選択肢を提 12 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 示し、2012 年夏を目途に策定される新しいエネルギー基本計画に検討成果を反映させるこ とを目指している。 なお、国家戦略室に設けられた、各省大臣で構成されるエネルギー・環境会議において 革新的エネルギー・環境戦略について議論が行われているが、この会議内にコスト検証委 員会が設けられ、エネルギー源別の発電コストなどが再検討された。この結果は総合資源 エネルギー調査会基本問題委員会においても検討材料とされる。 13 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 1.2 石炭需給と石炭価格 1.2.1 生産・消費 IEA によると、2000 年~2010 年の 10 年間におけるエネルギー消費増加分の半分近くが石 炭によるものであった。その多くは発電部門に由来している。 図 1.2-1 に世界の石炭生産量の推移を示す。2010 年の世界の石炭生産量推計値は約 72 億 2,900 万トンであり、2000 年比 27 億トン増、2005 年比でも 14 億トン弱の増加となった。 この増加分の 7 割以上を中国が占めている。その他の上位生産国では、インド、豪州、イ ンドネシアが生産量を伸ばしている。日本の石炭生産量は池島・太平洋の両炭鉱が閉山し た後は、年産 100 万トン強で推移している。2010 年度の生産量は 114 万 5,000 トンであり、 稼働炭鉱は北海道の坑内掘 1 鉱、露天掘 7 鉱である。 図 1.2-2 に世界の石炭消費量推移を示す。2010 年世界の石炭消費量推計値は約 72 億 3,800 万トンであり、その 45%以上を中国が占めている。2000 年比で約 26 億トン、2005 年比で 約 14 億トンの増加であるが、中国における増加がそれらの 8 割以上を占める。中国以外に 消費量が著しく伸びているのがインドであり、2000 年比約 3 億トン、2005 年比約 2 億トン 消費量が増加している。日本の石炭消費量はここ数年概ね 1 億 7,000 万~1 億 8,000 万ト ン台で推移している。2010 年の消費量は約 1 億 8,700 万トンであり、世界第 6 位の消費国 である。 2010 年の世界の石炭生産量約 72 億 2,900 万トンのうち、海外貿易量は約 10 億 8,300 万 トン(約 15%)であった。貿易量のうち Hard Coal が約 9 億 5,500 万トンを占める。また、 Hard Coal 貿易量のうち一般炭は約 6 億 8,400 万トン、原料炭は約 2 億 7,100 万トンであ り、それぞれ生産量の 12.9%、30.4%を占めている。 (100万トン) 8,000 7,229 6,729 7,000 6,384 その他 5,856 6,000 5,000 6,823 カザフスタン ポーランド 4,521 南アフリカ ロシア 4,000 インドネシア 3,000 豪州 インド 2,000 米国 1,000 中国 0 2000 2005 2007 2008 2009 出典:IEA Coal Information 2011(2010年は推計値) 図 1.2-1 世界の石炭生産量推移 14 2010 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 (100万トン) 8,000 7,238 7,000 その他 6,613 カザフスタン 5,825 6,000 5,000 6,619 6,360 韓国 豪州 4,633 ポーランド 4,000 日本 南アフリカ 3,000 ロシア 2,000 インド 米国 1,000 中国 0 2000 2005 2007 2008 2009 2010 出典: IEA Coal Information 2011(2010年は推計値) 図 1.2-2 世界の石炭消費量推移 1.2.2 石炭需給見通し 世界の一次エネルギー需給に関する見通しについて、IEA World Energy Outlook 2011、 米国 EIA International Energy Outlook 2011、財団法人日本エネルギー経済研究所(IEEJ) 世界/アジアエネルギーアウトルック 2011 の内容を以下に簡単にまとめる。 現状の政策のまま特に追加政策のない場合の予測(IEA は Current Policies Scenario、 EIA と IEEJ は Reference Case)について、一次エネルギー消費の予測結果の比較を表 1.2-1 に示す。いずれに予測においても一次エネルギー消費は引き続き大きく伸び、2035 年にお ける一次エネルギー消費は 2009 年実績の 1.4~1.7 倍という結果になっている。 表 1.2-1 石炭 石油 ガス 原子力 その他 合計 2035 年における世界の一次エネルギー消費見通しの比較 実績(IEA) 1980 2009 1,792 3,294 3,097 3,987 1,234 2,589 186 703 910 1,559 7,219 12,132 IEA 予測 2035 5,419 4,992 4,206 1,054 2,631 18,302 EIA 予測 IEEJ 予測 2035 2035 5,269 4,776 5,675 5,436 4,402 4,513 1,290 1,069 2,762 1,543 19,399 17,337 出典:IEA World Energy Outlook 2011、EIA International Energy Outlook 2011、IEEJ 世界/アジア エネルギーアウトルック 2011 ※IEA は Current Policies Scenario、EIA と IEEJ は Reference Case 15 単位 Mtoe ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 石炭についての伸びを最も大きく予測しているのは IEA であり、IEA 予測によると 2035 年には石油に代わり石炭が一次エネルギー消費の最大のシェアを占める結果になっており、 シェアは 2009 年の 27.2%から 2035 年には 29.6%になる。EIA と IEEJ は現在とほぼ同じシ ェアと保つと予測している。東京電力福島第一原子力発電所事故を踏まえた原子力政策の 見直しは今のところ不透明であるが、3 者とも予測においては微増としている。IEEJ は再 生エネルギーの普及があまり進まず、石炭の割合は低下するものの石油は微減、ガスの割 合が上昇し、化石燃料の割合は 2009 年度よりも高くなると予測している。石炭についての み取り出した 3 機関の予測結果は図 1.2-3 のとおりである。 (Mtoe) 6,000 5,500 5,000 4,500 4,000 3,500 実績(IEA) 3,000 IEA予測 2,500 EIA予測 2,000 IEEJ予測 1,500 1,000 1980 1990 2000 2010 2020 2030 2040 出典:IEA World Energy Outlook、EIA International Energy Outlook、IEEJ 世界/アジアエネルギー アウトルックより JCOAL 作成 ※IEA は Current Policies Scenario、EIA と IEEJ は Reference Case 図 1.2-3 世界の石炭消費予測 図 1.2-4 は IEA による石炭消費予測である。IEA は Current Policies Scenario(現在の 実施政策以外に新しい政策が実行されない)、New Policies Scenario(現時点で政府が発 表している政策が実行される)、450 Scenario(産業革命以後の世界平均気温上昇を 2℃以 内に抑える;大気中温室効果ガス濃度を CO2 換算 450ppm に抑える)の 3 ケースについて予 測している。予測結果を見ると、Current Policies Scenario では 2035 年までに石炭消費 量が 2009 年比で 65%増加、New Policies Scenario においても 25%増加するとみている。 450 Scenario の実現には 2015 年過ぎの消費をピークとし、2035 年には 2000 年レベルにま で消費量を減少させなければならない。現時点でこの予測は非現実的と言わざるを得ず、 これを達成するには CCS が実用化し、世界的に普及する必要があると思われる。 16 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 Mtoe 6,000 5,500 5,000 4,500 実績 Current Policies Scenario New Policies Scenario 450 Scenario 4,000 3,500 3,000 2,500 2,000 1,500 1,000 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 2035 出典:IEA World Energy Outlook 2011 図 1.2-4 IEA による世界の石炭消費予測 IEA は 2011 年に 2011~16 年の中期的な石炭市場予測を発表した。現在中国は 30 億トン 以上の石炭を生産・消費しており、これは海外石炭貿易市場規模の 3 倍以上である。その ため、中国の国内における石炭生産と需要のバランスが崩れると、世界の石炭市場に大き く影響を与えることが予想される。そのため、IEA では中国の石炭生産が多い場合(high Chinese production scenario;HPS)と少ない場合(Low Chinese production scenario; LPS)を考慮して予測を行った。 表 1.2-2 に 2016 年までの石炭需要予測を示す。OECD 諸国は全体的にみてほぼ横ばいで あり、中国とインドが需要を各々1.2 倍、1.4 倍に増加する見込みである。世界全体での需 要増加は 1.2 倍弱であり、増加のペースは多少緩やかになると思われる。 表 1.2-2 OECD 北中南米 欧州 太平洋 Non-OECD 中国 インド アフリカ 旧ソ連 他アジア その他 合計 IEA による 2016 年までの石炭需要予測 2009 1,473 745 400 328 3,241 2,187 406 151 237 152 107 4,714 2010 1,562 787 419 355 3,664 2,517 434 152 282 209 70 5,225 出典:IEA Coal Midium-Term Market Report 2011 2012 1,570 751 449 371 4,063 2,787 491 166 294 241 84 5,634 単位 Mtce ※2009 年は実績、2010 年は推定実績、2012~16 は予測 17 2014 1,565 752 441 372 4,362 2,988 543 170 302 273 87 5,927 2016 1,576 775 432 370 4,608 3,123 610 179 299 308 88 6,184 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 中国の 2016 年の石炭生産量は、LPS で 2,913Mtce、HPS で 3,054Mtce に設定されている。 その他は 141Mtce であり、LPS においては、これに相当する石炭の輸入量が増加すること となる。 表 1.2-3 に LPS における石炭純輸入量予測を示す。LPS においては中国の石炭輸入量が 2010 年の 1.8 倍近くに達し、海外市場において需給が逼迫する恐れがある。この状況にお いて、IEA は需要を満たすために高生産・輸送コストの炭鉱からの石炭が市場に出てくる と予想している。特に米国の一般炭・原料炭、カナダの原料炭が輸出されると思われる。 IEA は LPS における石炭価格(FOB)は、HPS と比較して一般炭で US$10/トン、原料炭で US$15/ トン増加すると予測している。 新規サプライヤ(モンゴルやモザンビークなど)による供給も重要になる。特にモンゴ ルの石炭は生産を減らした中国に多く供給されることになると考えられる。 表 1.2-3 2016 年までの石炭純輸入量予測(Low Chinese Productino Scenario) 2009 OECD 北中南米 欧州 太平洋 Non-OECD 中国 インド インドネシア アフリカ 旧ソ連 他アジア その他 2010 2012 2014 2016 162 -35 194 3 141 -59 198 1 74 -130 219 -15 94 -103 224 -26 87 -88 220 -45 -162 76 66 -195 -62 -87 63 -22 -141 118 81 -236 -65 -84 71 -26 -74 178 130 -254 -74 -92 70 -32 -94 196 150 -267 -87 -100 74 -62 -87 210 174 -275 -102 -113 79 -60 出典:IEA Coal Midium-Term Market Report 2011 単位 Mtce ※2009 年は実績、2010 年は推定実績、2012~16 は予測 表 1.2-4 は HPS における石炭純輸入量予測である。中国の生産量が高水準で推移するこ の条件においては、中国の輸入減少分をインドが吸収し、インドが世界最大の輸入国にな ると予想されている。 輸出能力の強化においては、インフラ建設が不可欠である。輸出港の能力については、 2010 年の 12 億 8,800 万トン/年が、2016 年までに 15 億 2,800 万トン/年に増加すると IEA は予測している。 18 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 表 1.2-4 2016 年までの石炭純輸入量予測(High Chinese Productino Scenario) OECD 北中南米 欧州 太平洋 Non-OECD 中国 インド インドネシア アフリカ 旧ソ連 他アジア その他 2009 162 -35 194 3 2010 141 -59 198 1 2012 122 -98 222 -2 2014 158 -61 225 -6 2016 153 -45 222 -24 -162 76 66 -195 -62 -87 63 -22 -141 118 81 -236 -65 -84 71 -26 -122 116 135 -251 -74 -85 70 -32 -158 87 171 -253 -87 -90 74 -61 -153 69 203 -258 -89 -98 79 -58 出典:IEA Coal Midium-Term Market Report 2011 単位 Mtce ※2009 年は実績、2010 年は推定実績、2012~16 は予測 1.2.3 石炭事情 (1)豪州 石炭需給 豪州の可採埋蔵量は 764 億トンと世界第 4 位である。その中で無煙炭、瀝青炭、亜瀝青 炭の合計は世界の 5.9%に相当する 392 億トンであり、賦存地域は、Qld 州と NSW 州に集中 している。可採年数は 100 年以上である。日本の求める高品質一般炭・強粘結原料炭を多 く生産している一方、褐炭資源も豊富である。褐炭は大部分が Vic 州のラトロブバレー地 区に賦存し、埋蔵量は世界最大規模の 372 億トン、可採年数は 500 年以上と言われている。 豪州の石炭需給統計を表 1.2-5 に示す。豪州の 2010 年生産量は 4 億 2,030 万トン、うち Hard Coal 生産量は 3 億 5,310 万トンであり、世界第 4 位の生産国である。輸出量は 2010 年 2 億 9,770 万トンであり、生産量の 71%(Hard Coal に限れば 84%)を占める。 表 1.2-5 豪州の石炭需給統計 暦年 2000 年 2005 年 2007 年 2008 年 2009 年 生産量 306.7 367.3 390.2 391.4 402.9 原料炭 103.8 128.3 142.6 140.1 130.0 一般炭 135.7 171.9 181.9 185.3 204.6 褐炭 67.3 67.2 65.6 66.0 68.3 輸出量 187.0 231.3 243.6 252.2 261.7 原料炭 99.2 123.9 131.2 136.9 125.2 一般炭 87.8 107.4 112.4 115.3 136.5 出典:IEA Coal Information 2011(単位 100 万トン、2010 年は推計値) 2010 年 420.3 152.1 200.9 67.2 297.7 154.6 143.1 採掘方法別・州別の石炭生産量推移(Hard Coal のみ、年度集計)を表 1.2-6 に示す。 2010 年末~2011 年初頭に Qld 州で洪水による生産障害が発生したため、2010 年度集計で は NSW の生産量が Qld 州を逆転している。また、同様の理由により、露天掘比率がわずか 19 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 ながら減少している。豪州の炭鉱災害による死亡者は非常に少ないが、2010 年度において は NSW 州で 1 名、Qld 州で 2 名の死亡者が発生している。 表 1.2-6 年度 坑内掘 露天掘 露天掘比率 2005 豪州の石炭生産量推移 2006 2007 2008 2009 2010 67.08 73.64 83.78 82.70 88.95 79.76 239.83 251.78 242.44 256.95 276.91 246.37 78.3% 77.5% 75.2% 76.5% 76.3% 75.7% WA SA Tas 124.61 130.88 34.98 137.80 147.30 156.55 40.2% 40.7% 41.9% 40.8% 40.5% 50.6% 171.69 184.08 180.52 190.45 207.39 158.41 56.5% 56.1% 55.0% 56.0% 56.8% 46.2% 6.70 6.02 6.23 7.00 6.71 6.71 3.48 3.88 3.87 3.79 3.84 3.84 0.44 0.56 0.62 0.62 0.62 0.62 豪州計 306.92 325.43 326.22 339.65 365.86 326.13 NSW Qld 出典:Bureau of Resources and Energy Economics 単位 100 万トン 表 1.2-7 は、炭種別・輸出先別の石炭輸出量推移である。一般炭・原料炭とも上昇傾向 である。日本は豪州最大の輸入相手国であり、毎年 1 億トン以上を輸入している。次いで 韓国の輸入量が多いが、インドは原料炭を多く輸入している。また、中国の輸入量が近年 急激に増加している。 表 1.2-7 豪州の石炭輸出推移(炭種・輸出先別) 年度 2005 年度 2006 年度 2007 年度 2008 年度 2009 年度 一般炭 日本 59.33 58.64 66.92 62.58 66.41 韓国 20.24 15.06 18.55 30.14 24.84 台湾 13.21 16.23 18.56 20.30 19.55 中国 3.99 3.22 1.48 8.40 13.92 その他 14.06 18.47 9.56 14.94 10.26 計 110.82 111.62 115.07 136.36 134.98 原料炭 日本 44.22 48.86 50.20 42.22 48.46 インド 16.39 19.61 24.23 24.28 31.38 中国 2.22 2.41 1.37 9.81 15.52 韓国 6.58 6.25 6.57 5.47 6.89 台湾 3.31 3.47 3.43 2.66 3.49 その他 47.76 51.36 51.12 40.81 51.53 計 120.48 131.97 136.92 125.24 157.26 出典:Bureau of Resources and Energy Economics 単位 100 万トン 2010 年度 66.96 28.19 20.12 16.67 11.38 143.32 42.60 30.91 9.64 8.10 4.06 45.13 140.45 石炭価格 図 1.2-5 に豪州 NSW 一般炭の価格指標 API6 の推移を示す。豪州炭一般炭価格は 2008 年 に豪雨と需給逼迫による価格高騰後、世界的景気低迷により 2009 年に急落したが、2010 年末から 2011 年初にかけて豪州で再び豪雨により供給力が低下したため、一時$140/t 付 20 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 近まで価格が上昇した。3 月の東日本大震災後は、日本の需要低下予測等に伴い価格はや や下降気味である。2011 年末は US$110/t 前後、現在はさらに下降し US$100~105/t で推 移している。 US$ 200 Benchmark 180 API6 160 140 120 100 80 60 40 20 0 Jan-2005 Jan-2006 Jan-2007 Jan-2008 Jan-2009 Jan-2010 Jan-2011 Jan-2012 出典:Argus 図 1.2-5 豪州 NSW 一般炭価格推移 図 1.2-6 に豪州原料炭スポット価格推移を示す。2011 年初頭に 3 年ぶりに$300 を超える 高騰となったが、日本の震災、中国の生産過剰、欧州金融危機などに伴い価格は大きく下 落している。現在のスポット価格は US$220/t を下回っており、四半期毎の日豪原料炭契約 価格についても、2011 年度第四四半期価格は US$230/t と高騰前の水準近くまで低下して いる。 US$ 350 スポット価格 Bench Mark 330 310 290 270 250 230 210 190 170 150 Apr-2010 Jul-2010 Oct-2010 Jan-2011 Apr-2011 Jul-2011 出典:Argus 図 1.2-6 豪州原料炭価格推移 21 Oct-2011 Jan-2012 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 企業の動向 豪州ではいわゆる 4 大メジャー(BHP Billiton、Xstrata、Rio Tinto、Anglo)が生産量 の大部分を占めている。表 1.2-8 に示すとおり、2010 年の 4 大メジャー権益分生産量は豪 州 Hard Coal 生産の 44.3%を占める。なお、4 大メジャーが最大権益を占める炭鉱生産量を、 権益分以外も含めて合計すると豪州生産量の 61.2%になる。 表 1.2-8 豪州における 4 大メジャーによる石炭生産(2010 年) BHP Rio 4 大メジャー Xstrata Anglo 豪州合計 Billiton Tinto 合計 2010 年権益分生産量 48.244 49.537 30.470 29.162 157.413 355.68 豪州合計に占める割合 13.6% 13.9% 8.6% 8.2% 44.3% 出典:各社報告書等より JCOAL 作成 単位 100 万トン 主な日本企業による豪州炭鉱の権益保有状況を表 1.2-9 に示す。 表 1.2-9 企業名 三菱商事 州名 炭鉱名 Blackwater/Broadmeadow Qld (UG)/Crinum(UG) 〃 Goonyella/Riverside 〃 Gregory 〃 Norwich Park 〃 Peak Downs 〃 Saraji 生産 権益 権益比 炭種 量 分 率 パートナー 10.9 5.5 原/一 50% BHP Billiton(50%) 13.1 5.1 2.9 8.9 7.2 6.6 原 2.5 原 1.4 原 4.4 原 3.6 原 50% 50% 50% 50% 50% Clermont 3.8 1.2 一 NSW Mount Thorley 3.0 0.2 原/一 〃 5.9 1.7 原/一 〃 三井物産 我が国主要企業の豪州炭鉱権益保有状況 Warkworth 〃 Ulan/Ulan(UG) 〃 小計 Qld Dawson German Creek 〃 Grasstree(U/G) 〃 Kestral(U/G) 4.8 0.5 一 65.5 27.7 7.0 3.4 一 原/一 7.8 2.3 原 4.6 0.9 原 〃 〃 〃 〃 〃 Rio Tinto(50.1%),J-POWER(15%), 31.4% JCD(3.5%) Rio Tinto(80.9%),POSCO(5.2%),双 8.2% 日(5.7%) Rio Tinto(55.57%),新日鐵 28.9% (9.53%),三菱マテ(6%) 10% Xstrata(90%) 49% Anglo(51%) 30% Anglo(70%) 30% Anglo(70%) 20% Rio Tinto(80%) Anglo(88%),新日鐵(5%), 日鐵商事 (1.25%), 神鋼商(0.5%), JFE ミネ(0.5%) 〃 Moranbah North(U/G) 4.5 0.2 原/一 4.75% 〃 〃 NSW 〃 〃 South Walker Creek Poitrel Bengalla Drayton 小計 3.5 2.8 5.5 4.8 40.5 0.7 原 0.6 原 0.5 原/一 0.4 一 9.1 20% BHPB(80%) 20% BHPB(80%) 10% C&A(40%),Wesfarmer(40%) 8.83% Anglo(88.17%),日本コークス(3%) 新日本製鐵 Qld Hail Creek 7.2 0.6 原 8% Rio Tinto(82%),丸紅(6.67%),住商 (3.33%) 5% Anglo(88%),三井(4.75%) ,日鐵商 (1.25%), 神鋼商(0.5%), JFE ミネ(0.5%) 〃 Moranbah North(U/G) 4.5 0.2 原/一 〃 Carborough Downs 1.2 0.1 原 〃 Foxleigh 2.4 0.2 原/一 NSW Warkworth 5.9 0.6 原/一 〃 Integra(Cambe.+Glenn.) 2.6 0.2 原/一 〃 Bulga 9.6 1.2 原/一 小計 33.4 3.0 22 Vale(80%),JFE(5%),POSCO(5%),Ta ta Steel(5%) 10% Anglo(70%),POSCO(20%) Rio Tinto(55.57%),三菱(28.9%), 9.53% 三マテ(6%) Vale(61.2%),豊田通商(15%), 5.95% JFE(5.95),中部 EP(5.95) 5% 12.5% Xstrata(68.25%),JX 日石(13.3%), 豊 田通商(4.375%), JFE 商事(1.575%) ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 石炭の需給 表 1.2-9 企業名 J-POWER 出光興産 丸紅 住友商事 州名 炭鉱名 生産 権益 権益比 炭種 量 分 率 6.8 0.7 一 〃 Clermont 3.8 0.6 一 NSW Narabrai(U/G) 6.0 0.5 原/一 小計 Boggabri Tarrawonga Muswellbrook Ensham 小計 Qld Coppabella NSW 〃 〃 Qld 16.6 1.8 3.0 3.0 一 1.5 0.5 一 1.5 1.5 一 6.0 5.1 一 12.0 10.1 4.0 0.3 原/一 〃 Hail Creek 7.2 0.5 原 〃 〃 Jellibah East Moorvale 3.7 2.0 0.6 原/一 0.1 原 〃 Lake Vermont 2.0 0.2 原 NSW West Wallsend 〃 Westside 小計 Qld Collinsville 2.2 0.8 21.9 3.3 0.4 一 0.1 一 2.2 0.3 原/一 〃 Hail Creek 7.2 〃 〃 〃 Newlands Oaky Creek Rolleston 9.4 10.1 5.8 0.9 原/一 2.5 原 0.7 一 〃 Baal Bone 1.3 0.1 原/一 37.1 3.3 9.4 5.8 10.1 3.0 31.6 4.8 1.2 原/一 3.3 原/一 1.2 一 2.0 原 0.3 原/一 7.9 9.6 1.3 原/一 Baal Bone 1.3 0.2 原/一 小計 Qld Jellibah East 11.0 4.0 1.5 0.6 原/一 小計 Collinsville Newlands Rolleston Oaky Creek Ashton 小計 NSW Bulga 日石エネルギー 〃 双日 我が国主要企業の豪州炭鉱権益保有状況(続き) Qld Blair Athol 伊藤忠商事 Qld 〃 〃 〃 NSW JX 日鉱 JCOAL 技術・情報委員会 0.2 原 〃 Coppabella 5.0 0.4 原/一 〃 Moorvale 3.5 0.3 原 〃 Lake Vermont 3.5 0.3 原 〃 Minerva NSW Moolarben 小計 2.8 5.3 24.1 2.7 一 0.5 一 4.8 三菱マテリアル NSW Warkworth 5.9 0.4 原/一 JCD 6.8 0.2 一 3.8 0.1 一 Qld Blair Athol Clermont 小計 10.6 0.4 23 パートナー Rio Tinto(71.2%), UniSuper(15%), JCD(3.4%) Rio Tinto(50.1%), 三菱商事 15% (31.4%) ,JCD(3.5%) Whitehaven(77.5%),EDF(7.5%),広 7.5% 東配電(7.5%) 10.4% 100% 30% Whitehaven(70%) 100% 85% LG(15%) 7% Macarthur(73.3%),双日(7%) Rio Tinto(82%),新日鐵(8%), 住 6.67% 商(3.33%) 15% QCMM(70%),双日(15%) 7% Macarthur(73.3%),双日(7%) Jellibah Group (70%), 双 日 10% (10%),AMCI(10%) 17% Xstrata(80%),JFE(3%) 17% Xstrata(80%),JFE(3%) 10% Xstrata(55%),伊藤忠(35%) Rio Tinto(82%),新日鐵(8%),丸 3.3% 紅(6.7%) 10% Xstrata(55%),伊藤忠(35%) 25% Xstrata(55%),伊藤忠(20%) 12.5% Xstrata(75%),伊藤忠(12.5%) Xstrata(74.1%),JX 日石(14.4 %), 5% 豊田通商(4.75%),JFE 商事(1.71%) 35% Xstrata(55%),住友商事(10%) 35% Xstrata(55%),住友商事(10%) 20% Xstrata(75%),住友商事(12.5%) 20% Xstrata(55%),住友商事(25%) 10% Yancoal(90%) Xstrata(68.3%),新日鐵(12.5%), 豊田 通商(4.375%), JFE 商事(1.575%) Xstrata(74.1%), 住 友 商 事 (5.00%), 豊 14.4% 田通商(4.75%),JFE 商事(1.71%) 13.3% 15% QCMM(70%),丸紅(15%) Macarthur(73.3%), 丸 紅 (7%), CITIC (7%), JFE 商事(3.7%), 日鐵商事(2%) Macarthur(73.3%), 丸 紅 (7%), CITIC 7% (7%), JFE 商事(3.7%), 日鐵商事(2%) 7% Jellibah Group (70%), 丸 紅 (10%),AMCI(10%) 96% Kores(4%) 10% Yancoal(80%),Kores(10%) 10% Rio Tinto(55.57%),三 菱 (28.9%), 新日鐵(9.53%) Rio Tinto(71.2%), UniSuper 3.4% (15%), JPower(10.4%) Rio Tinto(50.1%),J-POWER(15%), 3.5% 三菱(31.4%) 6% ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 表 1.2-9 企業名 JFE 州名 我が国主要企業の豪州炭鉱権益保有状況(続き) 炭鉱名 パートナー 3.0 0.2 一 〃 Baralaba NSW West Wallsend 〃 Westside 0.5 2.2 0.8 0.2 原 0.1 一 0.0 一 Vale(80%), 新 日 鐵 (5%), POSCO 5% (5%),Tata(5%) Qcoal(45%),CliffsN(45%),China 5% Steel(5%) 37.5% Cocktoo (62.5%) 3% Xstrata(80%),丸紅(17%) 3% Xstrata(80%),丸紅(17%) 〃 2.6 0.2 原/一 5.95% 0.6 1.2 一 0.1 一 1.4 一 25% Peabody(75%) 3% Anglo(88.17%),三井(8.83%) 32.5% Xstrata(67.5%) 0.2 原/一 5.95% Qld Carborough Downs 1.2 0.1 原 〃 Sonoma Integra(Cambe.+Glenn.) 小計 住石マテリアル NSW Wambo 日本コークス NSW Drayton 三井松島 NSW Liddel 中部電力 生産 権益 権益比 炭種 量 分 率 10.3 4.7 4.8 4.2 NSW Integra(Cambe.+Glenn.) 17 社 合 計 出典:各種資料より JCOAL 作成 2.6 Vale(61.2%),豊田通商(15%), 新日鐵 (5.95),中部電力(5.95%), POSCO(5.95) Vale(61.2%), 豊 田 通 商 (15%), JFE (5.95%) ,新日鐵(5.95), POSCO(5.95) 358.5 78.8 2011 年 12 月時点 ※単位 100 万トン、原:原料炭、一:一般炭 日豪協力 JCOAL は Brown Coal Innovation Australia と 2011 年 11 月に MOU を締結、相互に会員 となり、情報交換を行いながら共同事業の可能性を追求していくこととなった。 また、西オーストラリア州鉱山石油省、NSW 州貿易・投資・地域インフラ・サービス省 と、CCT・CCS に関する研究、開発に関する情報交換及び共同商用プロジェクト実現に向け て協力していくことになった。 (2)中国 石炭需給 中国は世界一の石炭生産・消費国であるが、石炭埋蔵量もまた豊富である。主な賦存地 域は華北・西北地域であり、炭化度の低い褐炭から高炭化度の瀝青炭・無煙炭まですべて 賦存している。全国の平均石炭硫黄分は 1.1%程度、灰分は平均 15~20%程度である。 表 1.2-10 に、IEA による中国の石炭需給関連統計を示す。2000 年以降中国における石 炭生産・消費の伸びは極めて著しく、生産量・消費量はこの 10 年間で 3 倍近くにまで増加 した。2010 年の生産推計値は約 31 億 6,200 万トンとなっており(なお、中国国家統計局 による報告値は約 32 億 4,000 万トン、国家煤砿安全監察局による報告値は約 34 億 1,000 万トンである。)。世界の 4 割以上を占める大生産・消費国である。2011 年の生産量は、国 家統計局が 35 億 2,000 万トンと報告しているが、これは製品炭としての数値と思われる。 中国煤炭運銷協会のデータによれば 2011 年 1~11 月の石炭生産量は約 34 億 6,200 万トン と既に昨年の値を超えており、最終的に年間生産量は原炭ベースでは 38 億トン前後になる とみられる。生産量の約半分を国有重点炭鉱が占めるが、郷鎮炭鉱による出炭も 3 分の 1 以上ある。 経済成長に伴い、中国国内の石炭需要も急増し、需給が逼迫しており、輸出量は 2003 年を境に減少、輸入量は増加を続けている。2009 年には輸出量 2,239 万トン、輸入量 1 億 2,583 万トンで 1 億 344 万トンの輸入超過となり、純輸入国となった。国家統計局のデー タによると、2010 年の輸出量は 1,903 万トン、輸入量は 1 億 6,478 万トンであり、輸入超 過は 1 億 4,575 万トンとさらに拡大している。2011 年は年初に輸入量が減少し、輸入増加 24 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 は落ち着くものとみられていたが、下半期になり再び増加し、結局年間輸入量は 1 億 8,240 万トンとなった。これは 2010 年比 10%以上の増加である。一方 2011 年の輸出量は合計 1,466 万トンと 2010 年比 23%減と落ち込んだ。財務省貿易統計によると日本の 2011 年石炭輸入 量は 1 億 7,522 万トンであり、中国がついに日本に代わり輸入第一位になった。 表 1.2-10 中国石炭需給推移 2000 年 2005 年 2007 年 2008 年 生産量 1,231.1 2,158.9 2,466.4 2,734.4 〃原料炭 123.7 280.6 379.1 385.0 〃一般炭 1,107.3 1,878.3 2,087.3 2,349.5 消費量 1,214.8 2,098.8 2,454.3 2,683.2 輸出量 55.1 71.7 53.1 45.3 輸入量 2.2 26.2 51.0 40.3 出典: IEA Coal Information 2011、 単位:百万トン 2009 年 2,895.3 416.5 2,478.9 2,833.7 22.3 125.8 2010 年推計 3,162.2 454.8 2,707.4 3,319.1 20.1 177.0 炭鉱災害は依然として深刻な問題ではあるが、状況は改善しつつある。2011 年の炭鉱災 害死亡者数は 1,973 人であり、2010 年の 2,433 人から 460 人の大幅減少を達成、初めて 2,000 人を下回った。 石炭価格 中国国内の石炭価格よりも海外市場価格の方が安い状態が続いているため、ユーザーが 輸入量を増やしていることが考えられる。2011 年の年初は中国国内価格の方がやや低い状 況がみられたが、4 月頃を境に価格は再び上昇し、豪州・インドネシア炭価格を上回る状 況になっている(図 1.2-7)。2011 年下半期の海外炭輸入量は昨年を上回る水準で推移した。 輸入先は従来の豪州に加え、インドネシア、モンゴル、ロシアからの調達が増えている。 (US$/t) 150 140 130 120 110 秦皇島FOB 5,800kcal/kg 秦皇島FOB 中国国内向け 5,500kcal/kg FOB Newcastle 6,000kcal/kg FOB Indonesia 6,500kcal/kg 100 2010/12/31 2011/2/28 2011/4/30 2011/6/30 2011/8/31 2011/10/31 2011/12/31 出典:ARGUS 図 1.2-7 中国・豪州・インドネシアの石炭価格推移 25 2012/2/29 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 石炭企業動向 第十一次五ヶ年規画の 5 年間は、炭鉱合弁や再編による企業の集団化、大型化が推進さ れた期間でもあった。表 1.2-11 に石炭企業の売上高上位 10 社を、表 1.2-12 に生産量上位 10 社を示す。 表 1.2-11 2009 年・2010 年石炭企業売上高上位 10 社 順位 2010 年(万元) 2009 年(万元) 1 神華集団 21,963,390 神華集団 16,124,950 2 河南煤業化工集団 14,699,085 河南煤業化工集団 10,409,527 3 冀中能源集団 14,388,048 平煤神馬能源化工集団 8,016,013 4 山西煤炭運銷集団 11,588,080 山西焦煤集団 7,747,769 5 平煤神馬能源化工集団 10,662,320 山西煤炭運銷集団 7,243,878 6 山西焦煤集団 10,572,890 中煤能源集団 7,017,192 7 中煤能源集団 9,601,682 冀中能源集団 5,808,577 8 開滦集団 9,326,836 開滦集団 5,593,860 9 潞安集団 8,500,830 晋城集団 5,543,456 10 陽泉集団 7,555,878 兖砿集団 5,261,887 出典:中国煤炭工業協会 順位 1 2 3 4 5 中国煤炭煤炭企業 100 強名単 2010、2011 表 1.2-12 2009 年・2010 年石炭企業生産量上位 10 社 2010 年(万トン) 2009 年(万トン) 神華集団 35,696 神華集団 32,780 中煤能源集団 15,370 中煤能源集団 12,505 山西焦煤集団 10,214 山西焦煤集団 8,079 大同集団 10,118 大同集団 7,450 陕西煤業化工集団 10,039 陕西煤業化工集団 6 河南煤業化工集団 7,401 淮南集団 7 冀中能源集団 7,332 河南煤業化工集団 8 潞安集団 7,098 潞安集団 9 淮南集団 6,619 龍煤集団 10 開滦集団 6,087 兖砿集団 出典:中国煤炭工業協会 中国煤炭企業煤炭産量 50 強名単 2010、2011 7,100 6,715 5,698 5,509 5,494 4,970 2009 年と 2010 年を比較すると、売上高、生産量ともに上位の数値が大きく伸びている ことが分かる。売上高では 1,000 億元以上の企業が 2009 年の 2 社から 2010 年は 6 社にな り、生産量では 1 億トン以上の企業が 2009 年の 2 社から 2010 年には 5 社に増加した。地 域別では、8 地域で年産 1 億トンを超えている。第十二次五ヶ年規画期間において中国政 府は、1 億トン級企業を 10 社、5,000 万トン級企業を 10 社設立することを計画している。 山西省は特に企業再編を進めている省であり、10,000 以上あった炭鉱は 2011 年 4 月末 時点で 1,053 箇所に減少、30 万トン以下の小規模炭鉱は全て閉鎖された。2008 年における 山西省の 1 炭鉱あたり平均年産能力は約 90 万トンであったが、これを十二次五ヶ年規画期 間中に 120 万トンに引き上げる計画である。 26 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 日中協力 現在 JCOAL は、会員企業と協力して、中国において開発から利用まで様々な事業展開を 行っている。産炭国石炭産業高度化事業(派遣研修)では保安技術協力を行っており、炭 鉱メタンガス関連の協力事業を陝西省、黒龍江省、貴州省、雲南省等と実施している。陝 西省では陝西煤業化工集団彬長集団大佛寺炭鉱における炭鉱メタンガス増進回収 (Enhanced CMM)の Pre-F/S を実施した。また、石炭火力発電所の設備診断事業を展開し ており、炭鉱地域を中心とした低炭素社会(エコ・コール・タウン;ECT)推進事業を陝西 省で実施している。 また、JCOAL は 2011 年 11 月に開催された第 6 回日中省エネルギー・環境総合フォーラ ムにおいて、中国の企業・政府機関と 6 つの MOU を締結し、協力の推進を確認した。主な 締結先と内容を以下に示す。 中国電力企業聯合会:既存石炭火力発電所設備診断・運用診断実施、日中企業協 力を進めるためのプラットフォーム構築 中国電力(日本)、神華能源国華電力分公司:日本の CCT 導入に関する技術協力、 中国電力の持つ脱硝装置管理技術に関するコンサルティング等の技術協力 西安熱工研究院:中国の石炭火力発電効率向上促進のための技術協力 陝西煤業化工集団:エコ・コール・タウン事業協力 山西省投資諮詢・発展規画院:低炭素社会構築を目指した企業間技術協力推進を 主旨とした協力 日本テピア、雲南省煤田地質局:保安・環境・石炭クリーン利用等に関する企業 間協力推進 (3)インド 石炭需給 インドの確定埋蔵量は BP 統計によれば総埋蔵量 606 億トン、うち褐炭は 45 億トンであ り、世界第 5 位の埋蔵量を有する。表 1.2-13 にインドの石炭需給推移を示す。石炭生産は 着実に増えているものの、国内需要を賄えず、輸入は年々増加傾向にある。分野別の石炭 需要実績・見通しを表 1.2-14 に示すが、2011 年度の需要見通しは 7 億トンを超えており、 この表からも輸入の増加傾向が見てとれる。石炭供給不足が深刻化しており、大規模停電 の不安をかかえている。 生産量 原料炭 一般炭 褐炭 消費量 輸入量 原料炭 一般炭 出典:IEA Coal 2000 年 335.7 22.1 289.3 24.2 357.0 20.9 11.1 9.9 表 1.2-13 インド石炭需給推移 2005 年 2007 年 2008 年 434.7 488.3 521.0 23.6 25.6 25.3 380.9 428.8 463.2 30.2 34.0 32.4 460.9 534.7 569.7 38.6 49.8 59.0 16.9 22.0 21.1 21.7 27.8 37.9 Information 2011 2009 年 562.5 34.8 493.6 34.1 623.6 73.3 24.7 48.6 (単位:百万トン、2010 年は推計値) 27 2010 年 570.7 35.4 502.2 33.1 658.7 90.1 30.4 59.8 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 表 1.2-14 分野別石炭需要実績と見通し 2008-09 2009-10 2010-11 Actual Actual BE 2010-11 2011-12 2011-12 RE Original Revised 原料炭 鉄鋼 輸入 16.58 21.08 15.92 23.47 17.92 32.59 16.80 23.20 23.78 44.72 26.02 42.48 原料炭小計 37.66 39.39 50.51 40.00 68.50 68.50 非原料炭 発電 自家発 セメント 鉄鋼 その他 362.93 33.74 18.85 19.78 77.07 380.13 38.47 20.80 22.89 88.82 442.00 44.00 30.00 28.80 61.00 405.00 40.00 25.98 28.80 85.00 483.00 57.06 31.90 28.96 61.58 473.00 47.06 33.35 28.96 62.43 非原料炭小計 511.37 542.86 605.80 584.78 662.50 644.74 合計 549.03 582.25 656.31 624.78 731.00 713.24 出典:インド石炭省年次報告 2010-11 ※BE:Budget Estimate、RE:Revised Estimate 単位 100 万トン 表 1.2-15 に炭種別の生産量推移を示す。インドの石炭の多くは高灰分の一般炭であり、 原料炭の産出は少ない。 表 1.2-15 炭種別生産量 単位:100 万トン 2000 年度 2001 年度 2002 年度 2003 年度 2004 年度 2005 年度 2006 年度 2007 年度 2008 年度 2009 年度 瀝青炭 原料炭 一般炭 30.900 282.796 28.668 299.119 30.195 311.077 29.401 331.845 30.224 352.391 31.511 375.528 32.097 398.735 34.455 422.627 34.809 457.948 44.256 487.806 褐炭 24.247 24.813 26.018 27.958 30.411 30.228 31.285 33.980 32.421 34.071 合計 337.943 352.600 367.290 389.204 413.026 437.267 462.117 491.062 525.178 566.133 出典:Provisional Coal Statistics 2009-10, Coal Controller's organisation & Ministry of Coal 表 1.2-16 は州別の石炭生産量推移である。Chhattisgarh 州、Jharkhand 州、Orissa 州、 Madhya Pradesh 州の 4 州で全国生産の 7 割を占める。 28 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 表 1.2-16 州別石炭生産量 単位:100 万トン Andhra Pradesh Assam Chhattisgarh Jammu & Kashmir Jharkhand Madhya Pradesh Maharashtra Meghalaya Orissa Uttar Pradesh West Bengal Arunachal Pradesh 2005 年度 2006 年度 2007 年度 2008 年度 2009 年度 36.138 1.101 76.358 0.019 85.423 55.579 36.119 5.566 70.540 15.721 24.475 37.707 1.050 83.241 0.016 88.764 59.726 36.215 5.787 81.160 12.228 24.938 40.604 1.101 90.172 0.017 90.895 67.841 36.403 6.541 89.482 11.426 22.521 0.079 44.546 1.009 101.922 0.011 96.272 71.325 38.705 5.489 98.402 12.029 22.905 0.142 50.425 1.113 109.959 0.023 105.933 74.074 41.005 5.767 106.409 13.969 23.135 0.250 瀝青炭計 407.039 430.832 457.082 492.757 532.062 Tamilnadu Gujarat Rajasthan 20.435 8.944 0.687 21.014 9.808 0.463 21.586 11.788 0.606 21.308 10.114 0.999 22.338 10.526 1.207 褐炭計 30.066 31.285 33.980 32.421 34.071 437.105 462.117 491.062 525.178 566.133 合計 出典:Provisional Coal Statistics 2009-10, Coal Controller's organisation & Ministry of Coal 表 1.2-17 に企業別の石炭生産量推移を示す。インドの石炭生産は、大別して石炭省直 轄の国営炭鉱、州営等の公営炭鉱、および自家消費用の石炭を生産する民間炭鉱(Captive Mine)により行われている。褐炭を除く石炭(瀝青炭他)の生産では、生産量の 8 割以上 が国営の CIL(Coal India Limited)によるもので、次いで国と州政府の合弁である SCCL (Singareni Collieries Company Limited)が約 1 割を、民間炭鉱が約 1 割を占める。一 方、褐炭の生産は、生産量のほとんどが国営の NLC(Neiveli Lignite Company Limited) と公営企業によるものである。 表 1.2-17 企業別石炭生産量 単位:100 万トン CIL SCCL その他国営・公営 民間 瀝青炭計 NCL その他国営・公営 民間 褐炭計 合計 2005 年度 2006 年度 2007 年度 2008 年度 2009 年度 343.389 360.913 379.459 403.730 431.266 36.138 37.707 40.604 44.546 50.425 1.807 1.773 2.103 1.839 2.362 25.705 30.439 34.916 42.642 48.009 407.039 430.832 457.082 492.757 532.062 20.435 21.014 21.586 21.308 22.338 9.631 10.112 12.303 10.114 11.417 0.162 0.159 0.091 0.999 0.316 30.228 31.285 33.980 32.421 34.071 437.267 462.117 491.062 525.178 566.133 出典:Provisional Coal Statistics 2009-10, Coal Controller's organisation & Ministry of Coal 29 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 (4)インドネシア 石炭需給 インドネシアの石炭は、主にスマトラ・カリマンタンに賦存している。2010 年時点にお ける総資源量は 1,052 億トン、埋蔵量は 211 億トン(うち確認埋蔵量 55 億トン)であるが、 今後探査の進行により埋蔵量は増加していくものと思われる。灰分と硫黄分が少ないとい う環境面で有利な特徴があるが、一方で発熱量は低く大部分は亜瀝青炭~褐炭に属する。 ほとんどが一般炭であるが、最近カリマンタン中央部において原料炭の開発が進みつつあ る。 表 1.2-18 にインドネシアの石炭生産実績を示す。また、表 1.2-19 に石炭需給予測を示 す。2000 年代に入りインドネシアの石炭生産量は飛躍的に増加し、その大部分は海外へ輸 出されてきた。しかし、今後は生産量を増加させるものの輸出量はやや減少する見込みで ある。これは政府の発表した国内需要を優先するという政策を反映していると思われる。 表 1.2-18 インドネシアの石炭生産実績 単位:1,000 トン 2006 2007 2008 2009 2010 162,295 188,663 178,930 228,807 325,326 出典:Statistical Yearbook of Indonesia 2011, Statistics Indonesia 表 1.2-19 インドネシアの石炭需給予測 単位:100 万トン 年 2011 2012 生産量 327 332 国内消費 79 87 輸出 248 245 出典:2011CCD 資料より JCOAL 作成 2013 337 95 242 2014 342 104 238 表 1.2-20 はインドネシア中央統計庁の集計によるインドネシアの石炭輸出実績である。 2010 年の石炭輸出量は約 2 億 9,900 万トンであり、豪州に次いで世界第 2 位の輸出国にな っている(一般炭に限れば世界 1 位である)。日本はここ数年 3,500 万トン前後をインド ネシアから輸入しているが、近年中国・インド・韓国が急激にインドネシア炭の輸入を増 やしており、現在日本はこれら 3 国に取引量で抜かれ、インドネシアの輸出相手国として は第 4 位になっている。 30 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 表 1.2-20 2006 中国 インド 韓国 日本 台湾 マレーシア タイ フィリピン 香港 イタリア オランダ 米国 スペイン その他 合計 インドネシアの石炭輸出実績 単位:1,000 トン 2007 6,656.5 20,742.4 21,314.1 35,295.7 26,723.8 8,782.6 8,475.1 5,818.2 10,985.2 7,637.8 5,690.9 3,740.8 4,444.9 17,701.0 2008 14,122.3 25,179.1 27,371.5 35,198.5 24,863.1 9,376.5 11,963.2 6,023.5 11,235.5 6,193.8 1,266.9 4,557.7 4,308.6 14,125.7 2009 15,673.7 26,327.5 26,286.8 36,259.8 24,669.4 11,104.3 12,822.8 6,338.0 10,497.1 5,592.8 3,740.7 3,993.8 4,387.4 13,327.6 2010 39,330.8 39,108.9 33,418.4 32,217.7 24,723.4 12,483.3 11,229.7 7,518.1 10,714.2 5,797.0 3,384.8 2,081.6 4,808.4 7,976.8 74,805.0 51,254.3 43,275.6 35,266.7 25,002.2 15,535.7 13,081.8 11,110.9 9,706.2 6,306.3 2,719.1 1,936.5 1,564.3 7,279.8 184,009.0 195,785.9 201,021.7 234,793.1 298,844.4 出典:Statistical Yearbook of Indonesia 2011, Statistics Indonesia (5)ベトナム 石炭需給 ベトナムの石炭資源は主に北東部に賦存する。WEC での可採埋蔵量は 1.5 億トンである が、VINACOMIN の調査結果によると、2008 年 1 月現在で確定埋蔵量(A+B)3 億 5,700 万ト ン、確認埋蔵量(A+B+C1)26 億 2,100 万トンである(表 1.2-21)。埋蔵量の大半は無煙炭 に属するが、紅河デルタ流域には亜瀝青炭が賦存している。 表 1.2-21 ベトナムの石炭埋蔵量 埋蔵量区分 No 地域 1 Quang Ninh area 4,121,745 301,335 1,508,643 2,311,767 0 2 Khoai Chau area 1,580,956 0 524,871 563,610 492,475 3 Inland 165,110 55,454 91,901 17,755 0 4 Others 37,434 0 10,238 8,240 18,956 5 Scattered Peat 235,438 0 128,827 106,611 0 6,140,683 356,789 2,264,480 3,007,983 511,431 合計 Total 出典:VINACOMIN、Institute of Energy (C2 は予想埋蔵量、P は未発見埋蔵量) A+B C1 C2 P 単位 1,000 トン 表 1.2-22 に石炭需給の実績と予測を示す。石炭生産量は増加を見込んでいるが、今後 は坑内掘比率が大きくなり採掘条件は悪化していくことが予想される。政府関係者によれ ば、2015 年からベトナムは石炭を輸入することを計画している。2011 年 7 月に VINACOMIN は試験として、初めてインドネシアから 9,500 トンの石炭を輸入した。これから石炭の受 31 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 入港湾やコールセンターの整備が必要になる。 2010 年 9 月の VINACOMIN 総裁発表資料によると、2020 年の生産計画は 9,240 万トン、2025 年は 1 億 1,930 万トンとなっている。このうち紅河デルタ堆積盆地からの生産量がそれぞ れ 1,350 万トン、2,500 万トンとなっているが、地質条件などの問題があり、計画通りの 出炭は困難が予想される。 表 1.2-22 2008 原炭 露天掘 坑内掘 露天掘比率 精炭 輸出量 出典:VINACOMIN 44.72 25.33 17.55 56.6% 38.61 17.26 実績 2009 45.95 25.76 18.17 56.1% 43.05 24.30 ベトナムの石炭需給 2010 2011 46.80 26.80 20.00 57.3% 43.00 19.00 計画 2013 2012 47.06 25.07 21.58 53.3% 44.00 16.50 48.07 23.43 24.64 48.7% 45.00 13.50 50.01 21.62 28.39 43.2% 46.00 6.50 2014 55.19 21.61 33.58 39.2% 50.50 6.00 2015 60.35 20.90 39.45 34.6% 55.00 3.00 単位 1,000 トン 表 1.2-23 に産業別の石炭需要見通しを示す。需要量は 2006 年度の 1,800 万トンから急 増し、2015 年度には 2.6 倍の 4,700 万トン、2025 年度には 6.1 倍の 1.12 億トンに達する 見込みである。特に、電力用炭の急増が顕著であり 2006 年度の 500 万トンの需要が、2025 年度には 15 倍の 7,600 万トンにも達すると予測されている。 表 1.2-23 2006 電力 セメント 建材 肥料・化学薬品 紙・パ、硝石 繊維 冶金 その他工業 暖厨房、その他 泥炭需要 計 産業別石炭需要見通し 2010 2015 2020 5,080 3,650 4,590 766 220 193 338 230 2,613 760 11,735 5,296 4,917 1,142 294 269 1,556 310 2,926 950 22,620 6,400 5,645 1,840 413 399 4,380 433 3,791 1,425 40,040 7,066 6,449 1,915 579 590 7,053 606 4,792 2,375 76,250 7,335 7,297 2,330 739 828 7,980 773 5,421 3,325 18,440 29,395 47,346 71,465 112,278 出典:Institute of Energy, Vietnam Electricity 2025 単位 1,000 トン 表 1.2-24 はベトナムエネルギー研究所による、第 7 次電源開発計画案における発電電力 量の予測である。石炭火力がベース電源として期待されており、石炭火力発電による電力 量は、2011 年の 25,172GWh から 2030 年には 428,695GWh と 17 倍もの増加が見込まれてい る。総発電量に占める割合も、2011 年の 22%から 2030 年には 62%を担うことが期待されて いる。 32 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 表 1.2-24 第 7 次電源開発計画案による発電電力量推移 2011 水力 石炭火力 ガス/石油火力 小規模水力+新エネ 原子力 輸入電力 合計 2015 2020 2025 2030 37,553 25,172 48,420 1,970 0 2,662 54,381 71,055 58,683 5,325 0 4,860 59,989 174,615 73,177 8,894 4,879 7,858 59,833 265,248 93,512 12,976 40,197 17,856 57,572 428,695 91,528 13,343 75,235 28,775 115,777 194,303 329,412 489,612 695,147 出典:Institute of Energy 単位 GWh (6)米国 石炭需給 米国は石炭の生産、消費量ともに、世界第 2 位の石炭大国であり、石炭は一次エネルギ ー供給の 4 分の 1 を占めている。石炭火力による発電電力量は総発電量の約 5 割である。 オバマ政権のエネルギー政策においては、国産エネルギー及び石油代替エネルギーとして の石炭の重要性を踏まえ、CCT 及び CCS の開発・実証を推進している。米国の石炭需給推 移・見通しについて表 1.2-25 に示す。 2011 年の生産量は 9 億 8,290 万トン(世界 2 位)である。東部には高品質の石炭が賦存 する。一般炭生産の中心はワイオミング州からモンタナ州に広がるパウダーリバー炭田 (PRB)で全米の石炭生産量の約 4 割を生産している。PRB の石炭は比較的発熱量の低い亜 瀝青炭であり、硫黄分は平均 0.3%、灰分は平均 5%程度である。 2011 年の石炭消費は前年より 2,800 万トン減少し 9 億 2,560 万トンであった。電力向け の消費は 2,700 万トン減少しているが、依然全石炭消費の 9 割以上を占めている。2012 年 は天然ガス・原子力による発電量を増やしてさらに石炭消費量を減少させる計画である。 2012~2013 年に向けて、生産量は西部地域でやや増加するものの、中央・アパラチア地 域では減少し、全体としてもやや減少する見込みである。2011 年の石炭輸出は 9,690 万ト ンで 1991 年以来最も多くなったが、生産減により 2012~2013 年はやや減少する見込みで ある。 石炭生産 (Mt) 石炭消費 (Mt) 輸入 (Mt) 輸出 (Mt) 原料炭 (Mt) 一般炭 (Mt) 表 1.2-25 米国の石炭需給推移・見通し 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 1,063.0 975.2 983.7 982.9 963.1 949.8 1,016.5 904.9 953.7 925.6 908.7 895.2 31.0 20.5 17.6 12.5 14.0 14.3 74.0 53.6 74.1 96.9 88.5 89.2 38.6 33.8 50.9 63.3 59.9 60.7 35.4 19.8 23.2 33.6 28.6 28.6 電力向消費(Mt) 944.0 847.0 884.6 857.2 839.2 825.0 生産能率(t/man・hour) 5.4 5.1 5.0 4.7 4.6 4.5 出典:EIA Short-Term Energy Outlook, Jan 2012(2012、2013 年は予測値)単位:百万トン 33 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 2011 年における米国炭鉱災害死亡者は 21 名であった。過去 5 年間の災害統計を表 1.2-26 に示す。 表 1.2-26 米国の炭鉱災害統計 2007 年 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 災害死亡者数(人) 34 30 18 48 21 石炭生産 (Mt) 1,063.0 975.2 983.7 982.9 963.1 生産 100 万トンあたり死亡率 0.03 0.03 0.02 0.05 0.02 出典:MSHA 石炭価格 図 1.2-8 と図 1.2-9 に米国炭の国内販売価格ならびに輸出/輸入価格を示す。国内炭販 売価格については、低品位の褐炭・亜瀝青炭の価格変動額は緩やかであるものの、瀝青炭・ 無煙炭はここ数年価格がかなり上昇している。2010 年の 2005 年比価格上昇割合で見ると、 瀝青炭国内販売価格は 1.65 倍、亜瀝青炭は 1.61 倍となっている。輸出/輸入価格におい ても上昇傾向は同じである。図 2.3-5 で最も新しい数値である 2011 年第三四半期の値を 2005 年第一四半期の値と比べてみると、輸出価格は 2.52 倍、輸入価格は 2.74 倍に上昇し ている。 (US$/t) 70 60 50 無煙炭 40 瀝青炭 亜瀝青炭 30 褐炭 20 全石炭平均 10 0 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 出典:EIA ※亜瀝青炭価格の方が褐炭よりも安くなっているが、これは生産規模に起因するものと思われる。 図 1.2-8 米国炭販売価格(FOB rail/barge) 34 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 (US$/t) 200 180 輸出価格 160 輸入価格 140 120 100 80 60 40 20 '05Q1 Q2 Q3 Q4 '06Q1 Q2 Q3 Q4 '07Q1 Q2 Q3 Q4 '08Q1 Q2 Q3 Q4 '09Q1 Q2 Q3 Q4 '10Q1 Q2 Q3 Q4 '11Q1 Q2 Q3 0 出典:EIA Quaterly Coal Report July-September 2011 ※輸出は FAS(本船船側渡し条件)、輸入価格は石炭購入価格(運賃、保険、税金等含まず) 図 1.2-9 米国炭輸出/輸入価格 (7)カナダ 石炭需給 2010 年の WEC 報告によると、カナダの 2008 年末石炭可採埋蔵量は、65 億 8,200 万トン (瀝青炭・無煙炭 34 億 7,400 万トン、亜瀝青炭 8 億 7,200 万トン、褐炭 22 億 3,600 万ト ン)である。西部に瀝青炭が賦存し、内陸側へ向けて炭化度の低い亜瀝青炭~褐炭が賦存 する。一般炭の品質は灰分 5~15%、硫黄分 0.5%程度であり、強粘炭は灰分 7~10%、硫黄 分 0.5%程度、CSN は 7~8 程度のものが多い。 図 1.2-10 に生産量の推移を示す。カナダの石炭生産量はここ数年 7,000 万トン前後で推 移しており、2010 年の生産量は 6,788 万トンであった。また、輸出量は 2,500 万~3,000 万トン程度で推移しており、2010 年の輸出量は 3,297 万トン、2011 年は 3,029 万トンであ った。 (100万トン) 80 生産量 輸出量 70 60 50 40 30 20 10 0 2004 2005 2006 2007 2008 2009 出典:Natural Resources Canada, Statistics Canada 図 1.2-10 カナダの石炭生産量・輸出量 35 2010 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 2011 年の輸出相手先を図 1.2-11 に示す。日本は 827 万トンを輸入しており、カナダに とって最大の石炭輸出相手国であるが、近年韓国が輸入量を伸ばしてきている。中国は 2010 年に 576 万トンを輸入したが、2011 年は 373 万トンに減少した。 図 1.2-12 にカナダの一次エネルギー構成を示す。石炭は全体の約 9%を占めている。 ドイツ 639,723 イタリア トルコ 2.1% 940,440 684,920 2.3% 3.1% その他 2,336,815 台湾 7.7% 980,517 オランダ 3.2% 2011年カナダ石炭輸出量 30,293,536トン 1,324,462 4.4% 日本 8,270,928 27.3% 米国 1,306,422 4.3% ブラジル 2,127,607 7.0% 韓国 7,952,053 26.2% 中国 3,729,649 12.3% 出典:Statistics Canada 図 1.2-11 2011 年のカナダの石炭輸出先 水力・原子 力 10.7% 石炭 8.9% 石油 35.5% ガス 44.8% 出典:Statistics Canada 図 1.2-12 カナダの一次エネルギー構成(2009 年) 36 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 (8)モンゴル 石炭需給 図 1.2-13 にモンゴルの石炭需給の推移を示す。近年、モンゴルの石炭生産は飛躍的に 増加している。2004 年約 690 万トンであった生産量は、2009 年には 1,400 万トンと 2 倍に なった。さらに、2010 年は 2,530 万トンと大きく数値を伸ばしている。この間国内消費量 は微増にとどまっており、増産分の大半は輸出されている。2004 年の輸出量は 156 万トン (生産量の 23%)に過ぎなかったが、2009 年の輸出量は 711 万トンと生産量の約半分とな り、2010 年の輸出量は 1,824 万トンで生産量の 7 割強を占めるまでになった。輸出のほと んどは中国向けである(中国の統計によると 2010 年のモンゴル炭輸入量は 1,660 万トン)。 (1,000トン) 30,000 生産量 消費量 輸出量 25,000 20,000 15,000 10,000 5,000 0 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 出典:Mongolian Statistical Yearbook ※2010 年の生産量・輸出量は JCOAL 調査、消費量は生産-輸出で算出 図 1.2-13 モンゴルの石炭需給推移 モンゴルの主な炭鉱位置を図 1.2-14 に示す。モンゴルでの炭鉱開発はウランバートル 東部 Baganuur 炭鉱(生産量 2009 年 300 万トン、2010 年 340 万トン)と南部の Shivee ovoo 炭鉱(生産量 2009 年 140 万トン、2010 年 180 万トン)の褐炭生産を中心に行われてきた が、近年南ゴビの Tavan tolgoi 地域での開発が進んでいる。Tavan tolgoi 地域には原料 炭を産する大規模鉱床がある。この地域の鉱区において炭鉱開発の国際入札が実施され、 現在審査が行われている。2010 年の Tavan Tolgoi 炭鉱生産量は約 520 万トンと前年の 270 万トンの 2 倍近くになった。 その他、南ゴビではモンゴル企業 MAK 社の Nariyn sukhait 炭鉱も生産が開始され、開 発が進んでいる周辺の MAK 社と中国神華集団の合弁による神華・Nariyn sukhait 炭鉱の生 産量と併せると 2009 年には約 200 万トン、2010 年には 720 万トン強の石炭が生産されて いる。また、Ovoot tolgoi 炭鉱はカナダの資源企業 Ivanhoe Mines Ltd が開発を行ってお り、2010 年は原炭で 280 万トンを生産した。Ukhaa khudag 炭鉱も 2010 年に約 390 万トン の生産量を記録した。 37 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 褐炭では Tugrugnuur 炭鉱が今後生産を伸ばしていくと見られている。 北部の Ovoot 地域にも原料炭資源が確認されている。この地域は豪州資源会社の Aspire Mining Ltd が探査を進めている。 Tavan tolgoi 地域における石炭生産が本格化すると、モンゴルの年間石炭生産量は 4,000 万トン規模になると予測されている。 Ulaan ovoo Nuursthotgor Mogoyngol Ovoot Sharyn gol Aduunchuluun Hartarvagatay Sayhan ovoo Baganuur Nalayh Chandgantal Tsaidamnuur Khushuut Bayanteeg Tugrugnuur Talbulag Eldev Zeegt Tevshiyn govi Nariyn sukhait Ovoot tolgoi Shivee ovoo Ukhaa khudag Baruun naran Tavan tolgoi 瀝青炭~亜瀝青炭 出典:鉱物資源エネルギー省 図 1.2-14 亜瀝青炭~褐炭 モンゴルの炭鉱位置 最近の動き 2011 年 12 月 15 日に、東京において第 5 回日本・モンゴル貿易投資官民協議会・鉱物資 源官民合同協議会が開催された。鉱物資源官民合同協議会には双方の官民関係者約 120 名 が参加し、石炭・レアアース等に関する資源開発および利用に関する現状と今後の展開に ついて意見交換を行った。石炭関連では、特に日本側から Tavan tolgoi 開発に対する期待、 ならびにブリケット事業等の協力事業について説明を行い、モンゴル側からは開発の現状 と今後の展望等について説明が行われた。次回は 2012 年にモンゴルで開催されることとな った。 2011 年 7 月 27 日、国営企業エルデネス・タバントルゴイ社は、東ツァンキ鉱区で産出 する石炭を中国アルミニウム(Chalco)に供給する契約を結び、この契約により、Chalco は購入石炭の 30%を Korea Resources、伊藤忠商事、三井物産に転売することを発表した。 10 月 18 日には Chalco がタバントルゴイより初めて石炭を輸入するに当たって記念式典が 行われた。 (9)ロシア 石炭需給 ロシアは1991年末のソ連崩壊後、経済停滞により石炭需要も低迷していたが、2000年に 入って経済状態の回復とともに生産量も順調に増加を続けている。表1.2-27に石炭生産量 38 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 の推移を示すが、2010年の生産量は3億2,390万トンと2000年に比べて8,000万トン以上の大 幅な増加となっている。ロシアは一般炭・原料炭とも豊富に賦存しており、褐炭も生産さ れている。 表1.2-27 ロシアの石炭生産推移 2000 2005 2006 Hard Coal 原料炭 一般炭 褐炭 152,538 51,035 101,503 87,786 209,213 210,418 217,878 55,505 54,027 57,441 153,708 156,391 160,437 73,668 74,148 71,143 222,432 206,980 247,935 54,402 59,854 71,697 168,030 147,126 176,238 82,530 69,011 75,969 合計 240,324 282,881 284,566 289,021 304,962 275,991 323,904 出典:IEA Coal Information 2011 2007 2008 2009 2010e 単位1,000トン 表1.2-28に石炭消費の推移を示す。ロシアの年間石炭消費量は近年は2億トン前後で推移 しており、大きな変化はない。 表 1.2-28 2000 2005 石炭消費実績推移 2006 2007 2008 2009 2010e Hard Coal 原料炭 一般炭 褐炭 142,222 141,438 145,771 142,034 148,763 116,437 158,479 43,938 44,991 44,622 46,529 42,200 46,807 58,196 98,284 96,447 101,149 95,505 106,563 69,630 100,283 88,257 73,156 73,929 70,147 80,769 70,225 75,891 合計 230,479 214,594 219,700 212,181 229,532 186,662 234,370 出典:IEA Coal Information 2011 単位 1,000 トン ロシアの石炭輸出量推移を表1.2-29に示す。2010年の輸出量は1億1,000万トン弱であり、 相手国はウクライナ(1,330万トン)、中国(1,070万トン)、トルコ(1,060万トン)、日 本(1,010万トン)、英国(950万トン)等となっている。 表1.2-29 2000 ロシアの石炭輸出量推移 2005 2006 2007 2008 2009 2010e Hard Coal 原料炭 一般炭 褐炭 36,737 86,006 91,391 98,054 97,470 105,552 108,796 7,300 9,983 10,007 10,019 13,614 13,276 13,684 29,437 76,023 81,384 88,035 83,856 92,276 95,112 1,592 552 539 584 649 893 167 合計 38,329 86,558 91,930 98,638 98,119 106,445 108,963 出典:IEA Coal Information 2011 単位 1,000 トン 図1.2-15はロシアの主要炭鉱の生産比率を示したものである。現在ロシア最大の石炭企 業はSUEK(Siberian Coal Energy Company)であり、2010年は8,910万トンを生産、2,910 39 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 万トンを輸出した。次いでKuzbassrazrezugolが4,970万トン、Mechelが2,160万トンを生産 している。 100% 90% 80% その他 70% OAO Raspadskaya 60% OAO Severstal 50% Evraz Group S.A. 40% Mechel OAO 30% Kuzbassrazrezugol 20% SUEK 10% 0% 2008 2009 2010 出典:石炭年鑑、IEA Coal Information 図1.2-15 ロシアの主要炭鉱別石炭生産推移 最近の動き Mechel Mining OAOは、高品質の原料炭を含む埋蔵量22億トンと推定されるエリガ炭の 開発を発表した。エリガ炭はアジア太平洋のマーケットを想定しており、鉄道輸送により 極東の港まで輸送する計画である。生産量は、現在は30万トン程度であるが、2012年200 万トン、2015年900万トン、2018年1,800万トン、2021年には2,700万トンにする計画である。 エリガ炭の輸送については、エリガからVanino港までの1,585km、あるいはエリガから Posiet港までの2,116kmを鉄道輸送し、そこから船舶輸送によりインド、中国、日本、韓国、 台湾等に運ぶ予定である。 (10)ポーランド 石炭需給 表 1.2-30 にポーランドの石炭生産の推移を示す。政府は少なくとも 2030 年までは石炭 を重要なエネルギー資源と位置付けており、多少の減少はあってもある程度の生産規模は 今後も維持されると思われる。2011 年の生産量は 1 億 3,900 万トンであった。Hard Coal は南部の Lower/Upper Silesia Basin 及び東部の Lubelskie basin に賦存し、Lignite は 中部~西部に賦存する。 表 1.2-30 ポーランドの石炭生産推移 2009 2010 2011 Hard Coal 77,478 76,172 76,269 褐炭 57,108 56,510 62,782 合計 134,586 132,682 139,051 出典:Central Statistical Office 単位 1,000 トン 40 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 石炭企業の多くは国有企業であるが、政府は民営化を推進していく計画である。最近原 料炭生産企業である Jastrzębska Spółka Węglowa が上場され、2012 年にもこれに続く企 業が出ると期待されている。 世界銀行による最近の報告書によれば、EU の環境政策により、ポーランドは 2030 年ま で毎年 GDP の 1%、その後の 10 年間には GDP の 2%のコストを負担することになり、この政 策により、2015 年から 2030 年の間に 7.4%の雇用が失われるとされている。 石炭の輸出入量統計を表 1.2-31 に示す。 表 1.2-31 ポーランドの石炭輸出入量 2009 2010 Hard Coal 10,792 13,603 輸入量 褐炭 30 24 合計 10,822 13,627 Hard Coal 8,935 9,965 輸出量 褐炭 68 115 合計 9,003 10,080 出典:Central Statistical Office 単位 1,000 トン 一次エネルギーの需要見通しおよび発電における燃料構成の見通しを図 1.2-16 および 図 1.2-17 に示す。一次エネルギーに占める石炭(Hard Coal+褐炭)の割合は、2009 年の 58.6%から 2030 年には 39.2%に、発電に占める石炭の割合は 91%から 57%へと大きく減少す る見込みとなっているが、それでも全体に占める割合は大きく、今後もポーランドにおい て石炭は重要な役割を期待されている。 100% 90% 2.2% 4.0% 1.3% 13.1% 12.4% 6.3% 80% 70% 14.5% 22.0% 60% 26.2% 12.9% 50% 40% 8.2% 30% 45.7% 20% 31.0% 10% 0% 2009 その他 原子力 出典:2011CCD 講演資料 図 1.2-16 再生エネルギー 2030 天然ガス 石油 Lignite Hard Coal ポーランドの一次エネルギー需要見通し 41 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 100% 90% 2% 2% 4% 3% 16% 33% 19% 80% 70% 7% 60% 50% 21% 40% 30% 58% 20% 36% 10% 0% 2009 その他 原子力 2030 再生エネルギー 天然ガス Lignite Hard Coal 出典:2011CCD 講演資料 図 1.2-17 ポーランドの電力構成見通し (11)EU 石炭需給 表 1.2-32 は WEC の 2010 年報告による EU 各国の石炭可採埋蔵量である。前回報告(2007 年)と比較すると、チェコが 34 億トン、ポーランドが 18 億トン、ハンガリーが 16 億トン の減少となっている。一方、ドイツは褐炭可採埋蔵量が大幅に増加し、全体で 340 億トン の増加となっている。 表 1.2-32 EU の石炭可採埋蔵量 瀝青炭・無煙炭 亜瀝青炭 褐炭 合計 ブルガリア 2 190 2,174 2,366 チェコ 192 908 1,100 ドイツ 99 40,600 40,699 スペイン 200 300 30 530 ギリシャ 3,020 3,020 ハンガリー 13 439 1,208 1,660 アイルランド 14 14 イタリア 10 10 ポーランド 4,338 1,371 5,709 ポルトガル 3 33 36 ルーマニア 10 1 280 291 スロバキア 2 260 262 スロベニア 24 199 223 イギリス 228 228 合計 5,101 964 50,083 56,148 出典:2010 Survey of Energy Resources, WEC 単位 100 万トン ※EU 加盟 27 ヶ国のうち報告している国のみ掲載 表 1.2-33 に EU 各国の石炭生産量の実績を示す。2010 年の生産量は 5 億 6,100 万トンあ 42 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 まりであり、2005 年と比較すると 7,600 万トン近く減少している。ドイツ・ポーランドの 2 国の生産量が多く、ギリシャとルーマニアも 5,000 万トン以上の生産量がある。 ドイツ ポーランド ギリシャ チェコ ルーマニア ブルガリア エストニア 英国 ハンガリー スペイン フィンランド アイルランド スロベニア スロバキア その他 合計 出典:Eurostat 表 1.2-33 EU の石炭生産量 2005 2006 2007 2008 206,054 200,184 204,594 194,381 158,746 155,251 144,944 143,329 69,398 64,787 66,308 65,720 62,026 62,903 62,626 60,200 31,106 34,932 35,781 35,871 24,695 25,678 28,453 28,789 14,969 14,602 17,019 16,331 20,008 18,079 16,540 17,605 9,570 9,952 9,818 9,404 19,481 18,447 17,182 10,187 8,928 13,235 4,466 4,300 3,956 3,694 2,772 3,089 4,540 4,522 4,535 4,520 2,511 2,201 2,111 2,423 886 712 743 1,033 636,874 629,179 617,892 597,182 単位 1,000 トン 2009 183,623 134,586 64,893 56,417 33,970 27,186 15,267 17,374 8,986 9,445 8,965 2,771 4,429 2,573 853 571,338 2010 182,303 132,682 56,520 55,209 31,130 29,405 18,294 17,816 9,113 8,430 7,421 5,057 4,430 2,378 940 561,128 なお、生産量 5 億 6,112 万 8,000 トンのうち、Hard Coal は 1 億 2,695 万トンと 22.6% に過ぎず、4 億 3,417 万 8,000 トンは褐炭である。 表 1.2-34 は石炭輸出量の推移である。2010 年における EU の石炭輸出量は 3,900 万トン あまりであり、生産量の 7%程度である。 表 1.2-34 EU の石炭輸出量 2005 2006 2007 2008 2009 2010 ポーランド チェコ オランダ スペイン ドイツ 英国 ベルギー その他 24,328 7,556 7,742 610 1,157 670 1,264 2,331 23,412 9,085 10,758 1,047 1,265 623 1,277 2,529 18,581 8,939 12,463 2,027 1,370 808 1,589 2,804 14,906 8,531 7,764 2,453 1,825 810 1,336 2,671 13,579 8,361 4,892 1,573 1,580 824 1,304 2,097 16,844 8,284 6,030 1,858 1,694 1,233 1,080 2,005 合計 45,658 49,996 48,581 40,296 34,210 39,028 出典:Eurostat 単位 1,000 トン 表 1.2-35 に EU の石炭輸入量の推移を示す。2010 年の総輸入量は 2 億 1,258 万トンであ り、うちドイツの輸入量が 5,048 万トンと 4 分の 1 近くを占めている。英国やスペインが 輸入量を減らしている一方、自国生産の減少しているポーランドは輸入量が増加している。 43 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 ドイツ 英国 イタリア オランダ フランス ポーランド スペイン フィンランド ベルギー スロバキア デンマーク オーストリア スウェーデン チェコ その他 合計 出典:Eurostat 表 1.2-35 EU の石炭輸入量 2005 2006 2007 2008 41,012 46,037 51,136 49,921 44,883 51,547 44,446 44,614 25,006 25,355 25,383 25,331 20,894 23,487 26,722 21,516 21,530 22,010 20,195 22,778 3,520 5,422 6,092 10,464 24,892 23,859 24,575 21,171 5,249 7,209 7,297 6,412 9,190 8,453 7,979 8,603 6,273 6,124 6,670 6,064 6,067 8,727 8,157 7,609 5,904 5,601 6,032 5,728 3,908 3,544 3,826 3,540 2,046 2,988 3,567 3,137 21,900 21,631 23,201 21,476 242,274 261,994 265,278 258,364 単位 1,000 トン 2009 41,828 38,351 19,499 20,098 16,616 10,889 17,159 6,312 5,180 5,424 6,733 4,094 2,479 2,890 14,943 212,495 2010 50,484 26,644 22,130 20,824 18,957 13,779 13,021 6,368 6,001 4,707 4,594 4,443 3,897 3,377 13,356 212,582 なお、オランダとベルギーの 2 国についてみると、生産量がゼロにもかかわらず輸出量 が 711 万トンとなっている(輸入量は 2,683 万トン)。両国はアムステルダム・ロッテル ダム・アントワープという石炭受入港を持っているので、他国から輸入した石炭をさらに 別の国へ輸出していることが考えられる。 図 1.2-18 に EU の燃料別発電量推移を示す。2009 年の総発電量は 3,210TWh であり、石 炭の占める割合は 26.1%であった。その他の燃料では、原子力が 28.4%、ガスが 23.8%、再 生エネルギーが 18.6%である。石炭の割合は 2005 年の 29.7%から減少しており、ガスと再 生エネルギーの割合が近年増加している。 TWh 3,500 3,000 2,500 2,000 1,500 1,000 500 0 2005 2006 再生エネ 2007 原子力 ガス 2008 石油 出典:Eurostat 図 1.2-18 EU の燃料別発電量 44 2009 石炭 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 (12)モザンビーク 石炭需給 モザンビークの 6 つの主要炭田の位置を図 1.2-19 に示す。最も重要な夾炭層が集中する のはザンベジ(Zambezi)地溝帯であり、ザンベジ(Zambezi)川沿いの長さ 350km にわたって 分布する。現在、Vale 社を中心に開発が進んでいるのは Moatize-Minjova 炭田である。各 炭田の特徴を表 1.2-36 に示す。 図 1.2-19 モザンビークの炭田分布 表 1.2-36 炭田別埋蔵量と特徴 埋蔵量(100 万 t) 炭層数 特徴 Chipanga を含めた 5 層が採掘可能。走向 NW-SE 経済的炭量: 87 7 20km×6km 傾斜は急なところで 17°。Dyke の 準経済的炭量:737 1a 貫入で 20-30m の厚さのコークス用炭が生成。 予想炭量: 1,145 Minjova 炭田面積:3,000km2 (1993 年) 7 走向 WNW-ESE 20km×6km 傾斜は 15°S。 1b Mucanha-Zuli 予想炭量:1,735 走向 E-W 傾斜は 5-15°S(ときに 30°) 7 層群 南西部の石炭はダム下に位置 1c Sanangoe 砂層、沖積層が厚く、試錐少ない。ダム下の炭 6 -Merfideze 量あり。 2 Maniamba 予想炭量:233 炭田面積 720km2 上層群 8 上下層群中の炭層は薄層が多い 下層群? 走向 NE-SW 傾斜は 5-10° N-S 方向の断裂で Subblock に。 3 Luangu(Macaa 予想炭量:40 狭い凹地に形成されているため炭量は期待でき -Itura) ない。 6 Espungabera Zimbabwe との国境に位置。炭田の面積 80km2。 断裂で subblock に。薄層でもあり、採掘できる 石炭は少ない。 No 炭田名 Moatize 45 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 モザンビークの石炭生産・消費の推移を表 1.2-37 に示す。モザンビークの石炭生産は、 かつて Moatize 地域を主として行なわれてきたが(1969 年生産高 28 万トン)、1980 年代 の内紛により Sena 鉄道線が破損されたことで、海外市場への出荷に制限を受け、生産量が 減少した。 現在稼動している炭鉱は ChipangaXI(シパンガイレブン)のみである。この炭鉱も設備 の老朽化で 2002 年以降生産が低下したが、2005 年に設備の改修を実施、2006 年は月産 6,000 トンベースで生産している。 現在の主な開発プロジェクトを表 1.2-38 に示す。これらのプロジェクト開始により、 石炭生産は大幅に増加することを見込んでいる。生産量予測を表 1.2-39 に示す。Revuboe プロジェクトには新日鐵が 23.3%、日鐵商事が 10%の権益を保有しており、優良強粘結炭の 新たな供給源として期待されている。2011 年 12 月企業化調査完了、採掘権申請、2012 年 前半採掘権取得の予定である。 表 1.2-37 年 生産量 消費量 1985 35 106 1990 40 58 モザンビークの石炭生産・消費推移 1995 38 56 2000 16 0 2005 3 0 2007 24 9 2008 38 10 2009 2010 38 10 38 768 出典:IEA Coal Information 2011、単位 1,000 トン 表 1.2-38 モザンビークの石炭開発プロジェクト プロジェクト名 参加企業 現状 Zambeze プロジェクト Riversdale 探査段階 Benga プロジェクト Riversdale 65% 2011 年秋出荷開始予定 Tata 35% 2015 年強粘結炭年産 600 万トン体制予定 発電プラント 2,000MW Revuboe プロジェクト Talbot Group 58.9% 2014~15 年出炭開始予定 新日鐵 23.3% フル生産規模は強粘結炭 500 万トン/年 日鐵商事 10.0% POSCO 7.8% Moatize プロジェクト Vale 2011 年秋出荷開始予定(4 月に開山式実施) 2014 年、強粘結炭年産 850 万トン体制予定 発電プラント 2,400MW 出典:2011CCD 資料等より JCOAL 作成 表 1.2-39 モザンビークの石炭生産予測 年 2011 2012 2015-17 2025 以降 生産予測 2,250 8,050 51,400 90,500 出典:2011CCD 資料等より JCOAL 作成 単位 1,000 トン (13)南アフリカ 石炭需給 南アフリカの可採埋蔵量は無煙炭および瀝青炭が主で、WEC 報告値によると 301 億トン である。世界の可採埋蔵量 8,609 億トン(この内、無煙炭・瀝青炭は 4,047 億トン)の 3.5% を占める世界第 9 位(無煙炭・瀝青炭だけでは 7.4%で第 6 位)の石炭資源保有国である。 46 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 炭田・炭鉱位置図を図 1.2-20 に示す。 ジンバブエ ボツワナ モザンビーク ナミビア スワジランド 南アフリカ 図 1.2-20 レソト 南アの炭田位置図と炭鉱位置図 表 1.2-40 に、南アフリカの石炭生産量と販売量の推移を示す。南アフリカの 2009 年の 石炭生産量は 2 億 5,059 万トンで、世界の第 7 位であった。原料炭はかつて 1,000 万トン 以上生産していたが、現在は弱粘炭を 260 万程度生産するのみになっている。輸出用一般 炭の平均品質は灰分 13%、硫黄分 7%前後である。 採掘は坑内掘と露天掘があり、出炭量ベースでは坑内掘が若干多くなっている。生産の 中心となっている Witbank や Highveld 炭田では、緩傾斜、浅部採掘、堅固な上下盤、比較 的厚層と採掘条件に恵まれている。ただし、貫入岩の多さ、累層、浅部採掘のために、高 効率のロングウォール採炭(出炭量ベースで全体の約 6%)は普及していない。 47 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 表 1.2-40 南アフリカの石炭生産量と販売量の推移 生産量 国内販売 輸出 販売量合計 2000 224,907 155,532 69,955 225,487 2001 223,495 152,162 69,304 221,466 2002 220,270 157,614 69,438 227,052 2003 237,872 168,942 71,556 240,499 2004 243,372 178,675 67,947 246,621 2005 244,988 173,437 71,442 244,879 2006 244,832 177,049 68,747 245,796 2007 247,666 182,770 67,675 250,445 2008 252,699 197,033 60,631 257,664 2009 250,582 184,709 60,464 245,173 出典:Department of Mineral Resources、単位 1,000 トン 図 1.2-21 に企業別の石炭生産割合を示す。Anglo、Sasol、BHP-Billiton、Kumba Resoruces、 Eyesizwe、Xstrata の 6 社の生産量が圧倒的に多く、この 6 社で全南アフリカの石炭生産 のおよそ 77%を占めている。 南アフリカの電力庁は、温暖化ガス削減のため、石炭の一次エネルギーに占める割合を 現在の 88%から 2012 年までに 78%、2025 年までに 70%までに減らす計画である。 出典:Department of Mineral Resources, Chamber of Mines 図 1.2-21 大手鉱山会社 9 社のシェア (14)コロンビア 石炭需給 表 1.2-41 にコロンビアの石炭埋蔵量を示す。コロンビアの石炭資源量は約 165 億トン、 確認埋蔵量は約 70 億トンである。北部の La Guajira、Cesar 地域に大部分が賦存してお り、生産もこの地域で行われている。USGS のデータによると、コロンビア炭の灰分は 6% 48 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 程度、硫黄分は 1%程度となっている。内陸部には一部原料炭も賦存しているとみられる。 表 1.2-41 コロンビアの石炭埋蔵量 Measured Indicated Inferred Hypothetical 計 La Guajira Cesar Córdoba - Norte de Antioquia Antioquia- Antiguo Caldas Boyacá Cundinamarca Norte de Santander Antioquia Antiguo Caldas 3,933 2,035 381 90 170 236 120 41 449 1,564 341 226 683 645 314 92 128 1,963 27 994 132 867 539 361 98 26 0 62 0 11 4,537 6,556 722 475 1,720 1,482 795 242 合計 7,008 4,314 4,088 1,120 16,529 出典:Colombian Coal an Energy Source for the World, Ministry of Mines and Energy を基に JCOAL 作成 単位 100 万トン コロンビアの石炭需給について表 1.2-42 に示す。コロンビアの石炭消費は 2010 年わず か 586 万トンであり、生産量の 9 割以上は輸出されている。 表 1.2-42 生産量 原料炭 一般炭 計 消費量 輸出量 コロンビアの石炭需給 2007 2008 2009 522 69,380 69,902 3,697 64,575 541 72,961 73,502 4,351 67,761 1,115 71,692 72,807 5,399 66,756 出典:IEA Coal Information 2011 2010e 1,139 73,211 74,350 5,859 68,491 単位 1,000 トン コロンビアの輸出相手国を表 1.2-43 に示す。距離的にも近い北米・欧州への輸出が多 くなっているが、2010 年は中国、台湾、韓国がコロンビアから石炭を輸入するようになっ た。日本は財務省貿易統計によると 2009 年 29,821 トン、2010 年 60,355 トンを輸入して いる。 表 1.2-43 相手国 米国 オランダ 英国 中国 トルコ スペイン コロンビアの輸出相手国(2010 年) 輸出量 相手国 12,973 10,419 5,417 3,961 2,738 台湾 カナダ イタリア フランス その他 2,667 合計 出典:IEA Coal Information 2011 49 輸出量 2,099 2,096 1,960 1,934 22,227 68,491 単位 1,000 トン ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 2008 年のコロンビアの石炭生産量 7,350 万トンのうち約 9 割は外資系企業が投資してい る北部地域において生産されている。表 1.2-44 にその状況をまとめた。BHPB、Anglo、 Xstrata が 1/3 ずつを所有する Cerrejon 炭鉱が最大の炭鉱であり、年間 3,000 万トン以上 を生産している。それに次ぐ炭鉱が La Loma 炭鉱であり、この炭鉱は Drummond が所有し ていたが、2011 年 6 月に伊藤忠商事が 20%権益を獲得し、また、同炭鉱から産出される一 般炭の日本向け独占販売権も獲得した。 表 1.2-44 コロンビア北部地域の石炭生産 県 炭鉱 資本 2008 年生産量 BHP Billiton 33.3% La Guajira Cerrejon Anglo American 33.3% 31,939 Xstrata 33.3% Drummond 80% 21,397 La Loma 伊藤忠商事 20% Calenturitas 4,698 La Jagua 2,517 Xstrata 100% Cesar El Tesoro 1,849 El Hatillo 1,560 Vale 100% CerrolargoErrolargo Norte 356 La Francia Coalcorp 1,299 出典:NEDO 平成 21 年度海外炭開発高度化等調査報告書を一部修正 単位 1,000 トン 1.2.4 石炭貿易 表 1.2-45 および表 1.2-46 に、主な Hard Coal 輸出国と輸入国を示す。輸出量世界第 1 位の豪州と 2 位のインドネシアは着実に輸出量を伸ばしている。日本は依然として世界第 1 位の輸入国であり、2010 年は景気回復もあり輸入量は増加した。しかし、中国の輸入量 が急激に増加し、2010 年の日本と中国の輸入量の差は 1,000 万トン未満まで小さくなって いる。韓国、インド、台湾なども輸入量が増加している。 表 1.2-45 主な Hard Coal 輸出国 2009 2010e 豪州 インドネシア ロシア 米国 南アフリカ コロンビア カナダ カザフスタン ベトナム 中国 その他 261.7 149.4 105.6 53.4 67.5 66.8 28.5 29.1 25.0 22.3 55.7 297.7 161.9 108.8 73.9 69.6 68.5 33.3 32.8 22.4 20.1 66.1 31.2% 17.0% 11.4% 7.7% 7.3% 7.2% 3.5% 3.4% 2.3% 2.1% 6.9% 合計 865.0 955.1 100.0% 出典:IEA Coal Information 2011 50 単位 100 万トン ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 表 1.2-46 主な Hard Coal 輸入国 2009 2010e 日本 中国 韓国 インド 台湾 ドイツ トルコ 英国 イタリア オランダ ロシア マレーシア フランス 米国 ブラジル その他 164.1 125.8 103.0 73.3 52.7 38.5 20.4 38.2 18.9 19.9 23.8 17.0 15.4 20.4 12.7 171.4 186.6 177.0 118.6 90.1 63.2 45.7 26.9 26.5 21.5 20.4 19.3 19.1 17.5 17.4 17.3 180.7 17.8% 16.9% 11.3% 8.6% 6.0% 4.4% 2.6% 2.5% 2.1% 1.9% 1.8% 1.8% 1.7% 1.7% 1.7% 17.2% 合計 915.4 1,048.1 100.0% 出典:IEA Coal Information 2011 単位 100 万トン 2010 年(推計値)の世界の Hard Coal のコールフローを図 1.2-22 に示す。 その他欧州 22.8Mt 他OECD欧州 76.3Mt 5.6Mt 英国 26.5Mt 21.4Mt ポーランド 10.0Mt 8.8Mt 11.1Mt ドイツ 45.7Mt オランダ 20.4Mt イタリア 21.5Mt アフリカ中東 21.7Mt ロシア 108.8Mt 9.8Mt 5.8Mt 10.3Mt トルコ 26.9Mt 8.6Mt インド 90.1Mt 7.2Mt 19.0Mt ベトナム 22.4Mt 67.3Mt 26.8Mt41.6Mt 40.5Mt 7.0Mt 5.7Mt 日本 186.6Mt 台湾 63.2Mt 輸入国 輸入量 4.5Mt 5.7Mt 8.9Mt 4.4Mt 米国 73.9Mt 9.5Mt 7.4Mt 43.0Mt 34.5Mt 6.4Mt 7.9Mt 13.2Mt 8.7Mt 118.6Mt 22.6Mt 28.8Mt 37.0Mt 18.5Mt コロンビア 68.5Mt その他アジア 164.6Mt インドネシア 161.9Mt 4.9Mt カナダ 33.3Mt 9.9Mt 7.3Mt 7.5Mt 輸出国 輸出量 12.1Mt 韓国 118.6Mt 中国 177.0Mt 4.2Mt 4.1Mt 南アフリカ 69.6Mt 12.4Mt 32.5Mt カザフスタン 32.8Mt 4.0Mt 8.8Mt 15.9Mt 5.9Mt 豪州 297.7Mt 4.7Mt 6.4Mt その他南米 11.7Mt ※貿易量400万トン未満は省略 出典:IEA Coal Information 2011 をもとに JCOAL 作成 図 1.2-22 Hard Coal のコールフロー(2010 年推計値による) 51 ブラジル 17.3Mt ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 1.2.5 石炭価格 図 1.2-23 に豪州 Newcastle 港における一般炭と原料炭の価格を示す(ベンチマークにつ いては、一般炭は 1 年毎、原料炭は四半期毎に契約される参考価格を示す)。2009 年は世 界的景気低迷から需要が落ち込み価格も下落していたが、2010 年に入り経済回復とともに 価格は上昇に転じ、2010 年末に発生した洪水被害により需給が逼迫、価格が急騰した。2011 年 4 月のベンチマークは原料炭で$330/t にまで上昇し、一般炭も$129.85/t と過去最高値 となった。ただし、その後は日本の震災や欧州の経済危機などに伴う需要低下を受け、価 格は下落している。原料炭のベンチマークは 2012 年 1 月には$235/t となり、1 年前の$225/t に近い水準まで低下した。 US$/t 350 300 250 200 一般炭ベンチマーク 一般炭API6 原料炭スポット価格 原料炭ベンチマーク 150 100 50 Apr-2010 Jul-2010 Oct-2010 Jan-2011 Apr-2011 Jul-2011 Oct-2011 Jan-2012 出典:Argus 図 1.2-23 豪州 Newcastle 港一般炭・原料炭 FOB 価格(2010 年 4 月~2012 年 1 月) 日本の一般炭 CIF 価格推移を図 1.2-24 に示す。豪州の洪水の影響を受けて 2011 年 1 月 に$146.5/t まで上昇したが、その後は下降気味であり、2011 年 12 月には$123.95/t まで 低下した。ただし 2008 年以前の価格と比較すると高い水準が続いている。 US$/t 250 200 150 100 50 0 Jan-2005 Jan-2006 Jan-2007 Jan-2008 Jan-2009 Jan-2010 Jan-2011 出典:International Coal Report 図 1.2-24 日本の一般炭 CIF 価格推移 52 Jan-2012 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 1.3 石炭輸送インフラ 1.3.1 豪州 豪州では石炭輸出量増大に伴い輸送インフラ不足問題が顕在化している。現在港・鉄道 の拡張プロジェクトが進行中である。インフラの概要について、NSW 州のものを図 1.3-1 に、Qld 州のものを図 1.3-2 に示す。また、最近のプロジェクトについて以下に述べる。 <NSW 州> 港湾 • Nercastle 港 Port Waratah Coal Services(PWCS) 2009 年時点の出荷能力は Kooragang8,800 万トン/年、Carrrington2,500 万トン /年の合計 1 億 1,300 万トンであった。 現在 Kooragang Terminal において 3 つのプロジェクトがある。 Kooragang Island Coal Terminal Expansion:出荷能力 2,000 万トン/年増 強 → PWCS 総出荷能力 1 億 3,300 万トン/年 Kooragang Island Project 145:出荷能力 1,200 万トン/年増強 → PWCS 総出荷能力 1 億 4,500 万トン/年 この 2 つのプロジェクトは 2012 年中に完了、稼働する見込みである。 Kooragang Terminal 4:2015 年稼働を目指しプロジェクトが進行している。 完成すると約 1 億トンの出荷能力拡大となる。2011 年末に環境影響評価報告 書を政府に提出した。 PWCS の 2012 年出荷目標値は 1 億 2,450 万トン。 • Port Kembla Coal Terminal(能力 1,500 万トン/年)は現在拡張計画はない。 • Newcastle Coal Infrastructure Group(NCIG) 2010 年 5 月操業開始。現在の出荷能力は 3,000 万トン/年。 現在拡張プロジェクト Stage 2 が進行中、2013 年には完了する見込みである。こ の拡張により出荷能力は 5,300 万トン/年となる。 鉄道 • Hunter Valley においては、Nundah Bank、Minimbah Bank、Minimbah-Mailland の 3 線化による輸送力強化プロジェクトが進行中である。 • Gunnedah Basin における線路は単線であり、運営企業の Australian Rail Truck Corporation(ARTC)は多くの離合線と一部複線化による輸送力強化を検討している。 • Muswellbrook~Gulgong の Ulan Line においても、基本的には離合線と一部複線化に よる輸送力強化が検討されている。 53 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 Narrabri Gunnedah Coalfield GUNNEDAH BASIN Gunnedah Hunter Coalfield Dunedoo Ulan GLOUCESTER BASIN Muswellbrook Bylong Singleton Newcastle Coalfield Kandos Western Coalfield Newcastle SYDNEY BASIN Lithgow PWCS T4 NCIG PWCS Kooragang PWCS Carrington Central Coalfield Sydney Southern Coalfield Mossvale Goulburn Wollongong Port Kembla Bomaderry 積出港 積出港(計画) 鉄道 出典:NSW 州政府資料より JCOAL 作成 図 1.3-1 豪州 NSW 州の石炭輸送インフラ <QLD> 港湾 • Abbot Point X25 拡張プロジェクトが 2009 年に完了、出荷能力は 2,500 万トン/年となった。 その後 X50 拡張プロジェクトが実施され、2011 年に完了、現在の出荷能力は 5,000 万トン/年である。 インド Adani グループが 2010 年に 99 年間のリース権を獲得した。 現在、Terminal 2~7 を新規に建設するプロジェクトがある。 Terminal 2、Terminal 3 は BHP Billiton と Hancock Coal が各々3,000 万ト ン/年能力の港を建設する計画である。この計画が完了すると、Abbot Point の出荷能力は 1 億 1,000 万トン/年になる。なお、BHP、Hancock は最終的に 5,000 万トン/年、6,000 万トン/年にまで能力を増強する計画である。 Terminal 4~7 の増設についても Qld 州政府が計画している。事業実施者は 競争入札により決定される。 54 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 • • • • JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 Hay Point Hay Point Coal Terminal(HPCT;4,400 万トン/年)、Dalrymple Bay Coal Terminal (DBCT;8,500 万トン/年)が現在稼働中である。 HPCT は BHP Billion Mitsubishi Alliance(BMA)が保有する専用石炭積出港であ る。現在拡張プロジェクト Stage 3 を実施中であり、これが完了すれば出荷能力 は 5,500 万トン/年になる。 DBCT は拡張プロジェクト Stage 7 Phase 2/3 が 2010 年に完了、8,500 万トン/年 能力になった。今後は Stage 8 の計画がある(2018 年完成予定)。 HPCT、DBCT の北東約 4km にある Dudgeon Point にターミナルを新設する計画があ る。港を管理している North Queensland Bulk Ports Corporation(NQBP)は、 DBCT Management とインド Adani グループの 2 社を提案者として選定している。 出荷能力は 1 億 5,000 万~8,000 万トン/程度とみられる。 Gladstone RG Tanna Coal Terminal(7,500 万トン/年)と Barney Point Coal Terminal(700 万トン/年)が稼働中である。 RG Tanna の西にある Wiggins Island に新規港湾 Wigging Island Coal Terminal を建設するプロジェクトが進んでいる。建設・運営するのは Wiggins Island Coal Export Terminal Pty Ltd(WICET)であり、BMA(BHP Billiton Mitsubishi Alliance)、 Anglo、Rio tinto、Xstrata など Qld 州の石炭輸出関連事業 18 社の共同出資で設 立された企業である。Stage 1 は 2014 年に完了、2,700 万トン/年の設備が稼働 する予定である。その後 Stage 2 の拡張で 5,000 万トン/年、Stage 3 の拡張で 8,000 万トン/年に増強を行う計画になっている。 Balaclava Island Project Xstrata が Surat Basin の Wandoan 炭鉱の石炭などを輸出するために計画してい るプロジェクトである。Gladstone の北約 40km に位置する Balaclava Island に ターミナルを建設する。出荷能力は 3,500 万トン/年、現在環境影響評価が行わ れている。 Brisbane Brisbane Coal Terminal(BCT)が New Hope Coal の子会社により運営されている。 拡張工事が 2010 年に完了し、現在の出荷能力は 1,000 万トン/年になった。 鉄道 • Qld 州営鉄道企業 QR が、2010 年 7 月に Queensland Rail(乗客輸送)と QR National (貨物輸送)に分割され、QR National は 2010 年 11 月に豪州証券取引所に上場、民 営化された(63.3%民間放出、33.7%は Qld 政府が保有)。 • Goonyella to Abbot Point Expansion Project:Abbot Point~Boggie River 拡張、 Boggie River~Newlands 拡張、Northern Missing Link(NML)建設からなるプロジェ クト。NML は North Goonyella~Newlands 間を結ぶ 69km の鉄道建設であり、2011 年 12 月に完成した。このプロジェクトにより輸送能力は 5,000 万トン/年に増強される。 • Surat Basin Railway Project:Surat Basin の Wandoan と Bowen Basin の Banana 間 (Southern Missing Link)を結ぶ 214km の鉄道を敷設する計画。現在州政府との契約 交渉中であり、2012 年に建設開始、2015 年第一四半期に完成を予定している。完成す ると 4,200 万トン/年の輸送が可能になる。 • その他各路線において複線化、電化、留置線設置などの拡張計画がある。 55 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 Townsville Newlands System Goonyella System Blackwater System Moura System Western System Northern Missing Link Surat Basin Railway (Southern Missing Link;計画) Abbot Point Bowen Collinsville Hughenden Newlands Hail Creek Mackay Dalrymple Bay Hay Point North Goonyella GALILEE BASIN Coppabella 積出港 Dysart 積出港(計画) Clermont Gregory Longreach Jericho Alpha Emerald Minerva Rolleston Blackall Rockhampton Balaclava Island Wiggins Island RG Tanna Gladstone Barney Point Laleham Banana MARYBOROUGH Moura Blackwater BOWEN BASIN BASIN Theodore SURAT BASIN Maryborough Wandoan Charleville Mitchell Roma Brigalow Nanango Miles Brisbane Millmerran Cunnamulla Ipswich CLARENCE-MORETON BASIN 出典:Qld 州政府、QR National 資料より JCOAL 作成 図 1.3-2 豪州 Qld 州の石炭輸送インフラ 1.3.2 中国 中国は石炭埋蔵の多くが華北・西北部にあり、消費地が東南の沿岸部に位置するため、 「北煤南運」、「西煤東運」のインフラが重要である。2011 年 7 月に温州で高速鉄道事故 が発生した影響により、中国政府は 2012 年における鉄道整備予算を 2011 年比 14.7%減の 4,000 億元にすると発表した。しかし、石炭を中心とする貨物輸送用鉄道整備については 重要視されているという報道が多い。 十二五規画においては三西(山西、陝西、内蒙古西部)ならびに内蒙古東部、新彊東部 の石炭輸送鉄道建設による輸送能力強化が検討されている。 2011 年の鉄道による石炭輸送量は 22 億 7,000 万トンであり、2010 年に比較して 13.4% の増加となった。また、2011 年の港湾における石炭取扱量は 6 億 5,333 万トンであり、う ち国内貿易が 6 億 3,931 万トンと約 98%を占め、海外貿易はわずか 1,402 万トンであった。 図 1.3-3 に中国北部の主要石炭取扱港を示す。 56 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 遼寧 北京 秦皇島港 天津 山西 唐山港 天津港 河北 黄驊港 青島港 日照港 山東 連雲港港 河南 江蘇 上海 安徽 湖北 図 1.3-3 中国の主要港 1.3.3 インド 主な輸送手段は鉄道であり、石炭総輸送量の 5 割を占める。ただし、輸送単価が高く、 また灰分 34%以上の石炭は 1,000km 以上の輸送が禁止されているなどの要因により、国内 の高灰分炭の長距離輸送はあまり行われていない。 近年は複線化、電化が進みつつあり、2008 年度における電化率は 29%、電化路線のうち 複線化率は 75%となっている。 東部と北部を接続する鉄道については、Sonnagar~Dadri~Ludhiana を結ぶ Eastern Corridor ならびに Mumbai~Dadri を結ぶ Western Corridor が事業認可を受けており、2017 年の完成を目指している。既存路線では複線化(3 線化、4 線化含む)が進められている。 港湾とインド国営鉄道を連結するための新線建設も行われている。 港湾は中央政府の管轄する主要港が中心であるものの、近年は Mundra 港など非主要港の 取扱も増加しつつある。 1.3.4 インドネシア インドネシアにおける石炭輸送インフラはまだ十分な整備がなされていない。現在、山 元からの出荷はトラックあるいはバージ輸送が主であり、また、外航船への積み込みも良 質な港がほとんどないため、沖合でフローティングクレーンなどにより行われているのが 現状である。河川は雨季・乾季で水位が変化するため、バージ輸送は雨季においては水位 増による橋への衝突、乾季においては水位不足の問題があるため航行に影響が出る。 新規のインフラ建設計画について以下に述べる。 • 南スマトラ Tanjung Enim~Tanjung Api-Api 鉄道建設計画 港湾・工業設備建設計画が進む Tanjung Api-Api へ、PTBA の Tanjung Enim から 270km の鉄道を建設する計画。計画を進めているのはインドの Adani グループで あり、2010 年に覚書を交わしている。輸送能力は 3,500 万トン/年である。 57 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 • • • JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 南スマトラ Tanjung Enim~Bandar Lampung 鉄道計画 PTBA Trabspacific Railway(BATR)の計画。BATR は PTBA が 30%、Rajawali Asia Resources が 60%、China Railway が 10%保有している。307km の鉄道建設計画で あり、2015 年の完成を予定している。また、積出港 Tarahan の近くに新たに港を 建設する計画もある。 東カリマンタン Miang Besar Coal Terminal 建設計画 東カリマンタン州の東クタイ県にある Miang Besar 島に積出港を建設する計画が 進行中である。水深 35m、バース長 450m、最大積載量 400,000dwt、貯炭量 720 万 トン。出荷能力は Stage1:4,000 万トン/年から 4,000 万トンずつ増強し最終的 に 1 億 6,000 万トン/年を計画している。2014 年後半の操業開始を目指している。 東カリマンタン鉄道計画 MEC Coal が進めている計画で、Muara Wahau から Bengalon までの 130km の鉄道を 建設する計画がある。Bengalon には港湾を建設する。同社は Muara Wahau に子会 社 PT Tekno Orbit Persada が鉱区を所有しており、この石炭を輸出するための設 備である。 1.3.5 北米 海外市場における石炭価格の上昇を受けて、米国では近年石炭輸出が増加している。国 内ではシェールガスの台頭などから石炭消費の減少、石炭価格の下落も予想されており、 パウダーリバー炭(PRB 炭)の輸出の動きが見られる。 ワシントン州 Cherry Point に Gateway Pacific Terminal の建設が計画されており、順 調にいけば数年後に完成すると思われる。Peabody Energy は 2011 年 3 月、同港を通じて 2,400 万トン/年の PRB 炭を輸出する契約をターミナルオペレータ・荷役会社である SSA Marine と結んだ。山元から同港までは BNSF Railway の鉄道で輸送される。 また、Ambre Energy の採掘する PRB 炭を輸出する計画として、Morrow Pacific Project が進行している。これは PRB 炭をオレゴン州の Morrow まで鉄道輸送し、バージに積み込ん でコロンビア川を下り、St. Helen’s 港でパナマックス船に積み替えてアジア太平洋市場 へ輸出しようというプロジェクトである。出荷量はまず 350 万トン/年、最終的に 800 万 トン/年を計画している。 カナダにおいては、Ridley Terminal(1,200 万トン/年)の拡張計画があり、拡張され ると出荷能力は 2,400 万トン/年になる。Arch Coal が PRB 炭輸出に向け同港と 5 年契約 を交わしている。 1.3.6 モンゴル モンゴルはタバントルゴイをはじめとしてこれから大規模な石炭開発が見込まれる。 2009 年の石炭輸出量 710 万トンのうち 540 万トンはトラックによるものであり、今後石炭 輸出を伸ばしていくには鉄道建設が必要になると思われる。図 1.3-4 にモンゴルの既存鉄 道ならびに鉄道建設計画を示す。計画路線においては、まずタバントルゴイからの輸送鉄 道が建設されると思われる。西部にも鉄道建設計画はあるが、計画の実行は今後の資源開 発、地域開発の進展に左右されると予想される。 モンゴルは内陸国であり海外へ石炭を輸出するためには、中国あるいはロシアを経由す る必要がある。中国ルートはモンゴルと軌間が異なるという問題があり、ロシアルートは 輸送距離が長くなるという問題がある。 58 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 エレンツァブ ダルハン チョイバルサン シャリンゴル エルデネット ウランバートル ヌムルグ バガヌール フート バガハンガル ボルウンドゥル バルンウルト チョイル ビチグト アイラグ ナリンスハイト ズーンバヤン ツァガーンスブラガ タバントルゴイ オユトルゴイ シベーフレン 図 1.3-4 サインシャンド ザミンウード 既存路線 計画路線 モンゴルの既存鉄道路線と計画路線 1.3.7 ロシア ロシアは広大な国土を持ち、石炭輸送には鉄道が不可欠である。日本に近い東側地域に おいて重要な鉄道路線はシベリア鉄道、東シベリア鉄道、バイカル・アムール鉄道(バム 鉄道)である。 日本向けの石炭輸出炭鉱として期待されるのが、サハ共和国のエリガ炭鉱(原料炭)、 ハバロフスク州のウルガル炭鉱(一般炭)、トゥバ共和国のエレゲスト炭鉱(原料炭)で ある。このうちウルガル炭鉱(SUEK 所有)はバム鉄道路線近郊にあり輸送に問題はない。 エリガ炭鉱は最も近い駅がバム鉄道のウラク駅であるが、操業者の Mechel は炭鉱からウラ ク駅までの 321km の鉄道路線建設を 2008 年に開始し、2011 年 12 月に鉄道敷設を完了した (2012 年 1 月 11 日プレス発表)。エレゲスト炭鉱は OPK 傘下の Enisey Production Company が所有している。同炭鉱はシベリア鉄道のクラギノ駅までの新規鉄道建設を計画しており、 完成は 2015 年を見込んでいる。 1.3.8 南アフリカ Richards Bay Coal Terminal(RBCT)の拡張工事 Phase 5 が 2010 年 5 月に完了、出荷能 力は 9,100 万トン/年になった。 Jacob Zuma 大統領は、2012 年 2 月の国会演説において、国営鉄道企業 Transnet のイン フラ増強計画を発表した。これによると、Durban~Gauteng 州の鉄道増強、石炭採掘を行 っている Limpopo 州~Mpumalanga 州インフラ開発等、総額 3,000 億ランド(約 3 兆 1,200 億円)の投資となる。また、港湾使用料の引き下げも計画されている模様である。 59 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 1.4 一般炭・原料炭資源 1.4.1 一般炭 表 1.4-1 に 2010 年(推計)に主な国の一般炭生産量、消費量ならびに輸出量をまとめた。 2010 年に 500 万トン以上の一般炭を生産した国は 21 ヶ国である。第 1 位の中国から第 5 位の豪州までで世界の 85%以上、第 10 位のポーランドまでで世界の 95%以上を生産してい る。 上位 3 ヶ国のうち中国とインドは石炭輸入国でありほとんど輸出は行われていない。米 国についても一般炭輸出量は生産量の 3%弱にとどまっている。生産量第 4 位の南アフリカ から 9 位のコロンビアまでは生産量の多くを輸出している国々である。特にインドネシア とコロンビアについては生産量の 9 割以上を輸出している。その他ベトナム、ベネズエラ なども輸出量の割合が高い。 表 1.4-1 世界の主な国における一般炭生産量・消費量・輸出量(2010 年推計) 生産量順位 生産量 1 中国 2 3 消費量 輸出量 2,707,352 2,816,428 19,484 米国 インド 863,634 502,187 876,366 560,098 23,023 1,846 4 5 南アフリカ 豪州 252,129 200,898 183,961 61,445 68,168 143,053 6 7 ロシア インドネシア 176,238 171,087 100,283 11,372 95,112 159,715 8 9 カザフスタン コロンビア 93,129 73,211 60,903 4,720 32,460 67,259 10 11 ポーランド ベトナム 65,052 44,663 72,185 23,242 8,150 22,346 12 13 ウクライナ 北朝鮮 35,387 24,602 34,848 20,004 5,551 na 14 15 英国 ベネズエラ 17,805 8,792 45,232 2,635 602 6,182 16 17 メキシコ スペイン 8,493 5,987 16,470 12,421 18 19 ドイツ モンゴル 5,753 5,579 43,475 247 na 20 21 カナダ チェコ 5,550 5,412 5,529 4,107 5,744 2,945 その他 21,814 481,541 291,938 5,294,754 5,437,265 953,825 合計 出典:IEA Coal Information 2011 単位 1,000 トン ※生産量 500 万トン以上の国を抜き出している ※コロンビアの数値は全体表では一般炭 68,491 千トンとなっているが、国別表では一般炭 67,259 千トン、原料炭 1,232 千トンとありこちらの数値を採用した 60 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 1.4.2 原料炭 表 1.4-2 に 2010 年(推計)に主な国の原料炭生産量、消費量ならびに輸出量を示す。第 1 位の中国から第 5 位のインドまでで世界の 88%、第 10 位のモンゴルまでで世界の 97%を 生産している。 輸出量が多いのは豪州、米国、カナダ、ロシアである。2010 年はモンゴルが第 5 位の輸 出国となり、今後の輸出量増加が期待されている。 豪州においては、特に Qld 州において原料炭の拡張・新規プロジェクトが多く進行して いる。既に建設中、あるいは政府承認済みのプロジェクトを表 1.4-3 に示す。 その他の国における主な原料炭プロジェクトを表 1.4-4 に示す。モンゴルのタバントル ゴイ地域は国際入札の結果がまだ出ていないが、日本企業も多く入札に参加しており、開 発が始まれば日本への供給が期待できる。モザンビーク、ロシア、インドネシアのプロジ ェクトについても既存原料炭供給国以外の新規ソースとして期待が大きい。カナダは一時 生産停止していた炭鉱が最近開発を再開するケースがいくつか見られる。 表 1.4-2 世界の主な国における原料炭生産量・消費量・輸出量(2010 年推計) 生産量順位 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 生産量 消費量 輸出量 中国 豪州 ロシア 米国 インド カナダ ウクライナ カザフスタン ポーランド モンゴル ドイツ チェコ 南アフリカ インドネシア ニュージーランド トルコ メキシコ コロンビア その他 454,841 152,136 71,697 68,645 35,403 28,153 19,057 12,086 11,658 10,980 7,147 6,023 2,598 2,364 2,341 1,515 1,482 1,139 1,827 502,668 3,013 58,196 19,152 65,556 3,747 29,085 11,749 13,078 77 15,114 2,978 3,094 144 66 8,328 1,793 1,139 140,490 571 154,623 13,684 50,906 227 27,528 520 337 1,815 10,900 6 3,766 1,398 2,221 2,301 合計 891,092 879,467 272,163 出典:IEA Coal Information 2011 1,232 128 単位 1,000 トン ※生産量 100 万トン以上の国を抜き出している ※コロンビアの数値は全体表では一般炭 68,491 千トンとなっているが、国別表では一般炭 67,259 千トン、原料炭 1,232 千トンとありこちらの数値を採用した。また、同国は生産量= 消費量となっているが消費量統計が間違っている可能性がある 61 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 表 1.4-3 豪州の政府承認済み・建設中原料炭プロジェクト プロジェクト 名 企業 Broadmeadow BMA Burton Peabody Daunia BMA 場所 状況 Moranbah の北 拡張(政府承認 30km 済み) Mackay の南西 拡張;建設中 150km Moranbah の南 政府承認済み 東 25km 操業開始 予定 2013 年 2012 年 2013 年 生産能力 40 万トン Coking 200~300 万トン Hard coking 450 万トン Coking Integrated Mackay の南西 160 万トン Aquila /Vale 拡張;建設中 2011 年 Isaac Plains 180km Coking/Thermal Emerald の北 170 万トン Kestrel Rio Tinto 拡張;建設中 2012-13 年 東 51km Coking Middlemount (stage 1) Oaky Creek (phase 1) Macarthur / Gloucester Xstrata Middlemount の南西 6km Emerald の北 東 90km 新規;建設中 2012 年 拡張;建設中 2011 年 180 万トン Coking 100 万トン Coking 出典:ABARE Minerals and energy: major development projects - April 2011 Listing ※BMA: BHP Billiton Mitsubishi Alliance 表 1.4-3 豪州以外の主な国の原料炭開発計画 国 プロジェクト名 企業 ロシア ロシア モンゴル インドネシア モザンビーク Elga Elegest Tavan tolgoi IndoMet Coal Benga モザンビーク Revuboe モザンビーク Moatize Quintette(再 開) Mechel OPK 未定 BHPB/Adaro Riversdale/Tata Talbot/新日鐵/ 日鐵商事/POSCO Vale カナダ カナダ Raven カナダ Donkin Teck Resources 場所 サハ共和国 トゥバ共和国 南ゴビ 中央カリマンタン テテ州 テテ州 テテ州 ブリティッシュコロンビア州 Compriance Energy/ ブリティッシュコロンビア州 伊藤忠/LG Int. Xstrata/ ノバスコシア州 Erdene Resource 出典:各種資料より JCOAL 作成 62 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 1.5 中国、インドネシア及びベトナムにおける炭鉱災害状況 1.5.1 中国 中国全国安全生産業務会議が 2012 年 1 月 14 日に開催され、2011 年における中国炭鉱保 安の状況が報告された。 2011 年の炭鉱災害死亡者数は 1,973 人であり、初めて 2,000 人を下回った。生産 100 万 トンあたりの死亡率は 0.564 となり、前年より約 25%改善された。 特別重大事故(死亡者 30 人以上の事故)の発生は 1 件だけだった(2010 年は 7 件)。安 全条件を備えていない小規模炭鉱の閉鎖も進め、小規模炭鉱の生産 100 万トンあたり死亡 率は 1.104 となり、前年から 22%改善された。 表 1.5-1 に 2011 年に発生した重大事故および特別重大事故を示す。また、図 1.5-1 に 2005 年以降の中国炭鉱災害による死亡者数・生産 100 万トンあたり死亡率の推移を示す。 表 1.5-1 月日 死亡 者数 2011 年における中国炭鉱の重大事故および特別重大事故 事故原因 場所 会社名 炭鉱名 炭鉱 種別 備考 1 11/03/12 19 ガス爆発 貴州省盤県 松河新成煤業 私営 30 万トン/年 2 11/03/24 13 ガス突出 吉林省白山市 通溝煤礦 私営 4 万トン/年 3 11/04/02 10 2130 炭鉱 国有 建設中炭鉱 4 11/08/14 10 ガス爆発 貴州省盤県 過河口煤礦 私営 15 万トン/年 5 11/08/29 12 出水 四川省大竹県 曾家溝煤礦 6 11/09/16 11 出水 山西省朔州市 7 11/10/14 17 8 9 石炭と ガス突出 新疆 新疆焦煤集団 艾維爾溝焦煤公司 元宝湾煤礦 90 万トン/年 ガス突出 貴州省茘波県 安平煤礦 改造中炭鉱 11/10/11 13 出水 金地煤礦 個人 9 万トン/年 11/10/16 11 ガス爆発 陝西省銅川市 田玉煤礦 地方 15 万トン/年 ガス爆発 重慶市 富発煤礦 地方 10 11/10/17 13 11 11/10/27 18 石炭と ガス突出 黒龍江省鶏東県 河南省焦作市 12 11/10/29 29 ガス爆発 湖南省衡陽市 13 11/11/03 10 山はね 14 11/11/10 43 石炭と ガス突出 中煤集団 河南省義馬市 焦作煤業集団 九里山煤礦 国有 重点 霞流村煤礦 河南義煤集団 雲南省師宗県 千秋煤礦 私庄煤礦 国有 重点 私営 出典:国家煤礦安全監察局 ※重大事故:死亡者数 10~29 人の事故、特別重大事故:死亡者 30 人以上の事故 63 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 (人) (人/100万t) 3 7,000 死亡者数 6,000 100万トンあたり死亡率 5,000 2.5 2 4,000 1.5 3,000 1 2,000 0.5 1,000 0 0 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 出典:国家煤礦安全監察局 図 1.5-1 中国の炭鉱災害統計 1.5.2 インドネシア 表 1.5-2 に 2000 年~2011 年のインドネシアの炭鉱災害による負傷者、死亡者を示す。 インドネシアはほぼ全ての炭鉱が露天掘であり、死亡者はおおむね年間 10~20 名程度で ある。2009 年は西スマトラにおいて違法操業を行っていた坑内掘炭鉱でガス爆発が発生し て 32 名が死亡するなど年間で 40 名の死亡者が発生した。 表 1.5-2 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 インドネシアの炭鉱災害統計 軽傷(人) 重傷(人) 死亡(人) 合計(人) 77 26 6 109 55 25 10 90 17 25 17 59 45 27 13 85 54 25 12 91 18 21 19 58 69 32 19 120 32 35 6 73 117 46 9 172 135 53 40 228 56 49 13 118 60 58 14 132 1.5.3 ベトナム 図 1.5-2 に 1995 年から 2011 年までのベトナムの炭鉱災害死亡者数の推移を示す。2004 64 ワールド・コール・レポート Vol.4 第1章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭の需給 年以降増産に伴い死亡者数も増加、2006 年には 49 名の死亡者が発生しているが、2011 年 の死亡者は 16 名と大きく減少した。 表 1.5-3 は 2007 年以降の事故種別死亡者数の推移である。ベトナムの炭鉱災害におい ては、落盤(落石等も含む)による災害が極めて多いことが特徴として挙げられる。一回 の事故による死亡者は 1 名~数名であるが、日常的に発生する頻発災害である。次いで多 いのが運搬、電気による事故であり、電気事故のほとんどが感電事故である。 50 45 40 35 30 25 20 15 10 5 0 1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009 2011 出典:VINACOMIN 図 1.5-2 表 1.5-3 ベトナムの炭鉱災害死亡者数推移 2007~2011 年におけるベトナムの事象別炭鉱災害統計 2007 坑内 落盤・崩落・滑り 2008 坑外 坑内 坑外 15 1 10 運搬 1 2 3 機械 1 転倒 1 2 電気 4 1 3 1 坑内 1 坑外 3 坑内 坑外 6 1 2 1 1 2 1 1 1 1 2 1 2 2011 20 3 1 1 1 2 3 1 4 3 1 3 1 19 5 35 11 出水 4 その他 2 1 3 30 7 31 合計 坑外 1 ガス爆発 計 坑内 2010 7 1 機材倒壊 発破 2009 37 4 35 24 出典:VINACOMIN 65 37 2 2 2 11 5 16 ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 第2章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用の最新動向と地球環境問題 石炭利用の最新動向と地球環境問題 2.1 石炭火力の最新動向 2.1.1 世界の高効率石炭火力発電の実績と計画 (1)世界の USC の実績と計画 ①日本の状況 2010 年 12 月末時点で、運転中の総石炭火力は 36,717MW であるが、このうち運転中の USC は 18,360MW(出力比で 50.0%に相当)と、約半分は USC である。このように日本の発 電技術は、世界のトップランナーであり、その効率も下記のように世界トップの数値を実現 している。 新磯子 2 号 600MW 蒸気温度 600/620℃ プラント効率:44~46%(LHV)程度 (新磯子 1 号 600MW は蒸気温度 600/610℃) 表 2.1-1 に示すように、日本には 23 基の USC があり、更に 2 基の USC が 2013 年度運転開 始の計画である。 発電所名 碧南3号 能代2号 七尾大田 1 号 原町 1 号 松浦 2 号 三隅 1 号 七尾大田 2 号 原町 2 号 橘湾 橘湾 1 号 敦賀 2 号 橘湾 2 号 苅田新1号 碧南 4 号 苫東厚真 4 号 碧南 5 号 磯子新1号 苓北 2 号 常陸那珂 1 号 表 2.1-1 日本の USC 火力実績及び計画予定 蒸気温度 会社名 定格出力 主蒸気圧力 ℃ MW MPa 中部電力 700 24.1 538 / 593 東北電力 600 24.1 566 / 593 北陸電力 500 24.1 566 / 593 東北電力 1,000 24.5 566 / 593 J-POWER 1,000 24.1 593 / 593 中国電力 1,000 24.5 600 / 600 北陸電力 700 24.1 593 / 593 東北電力 1,000 24.5 600 / 600 四国電力 700 24.1 566 / 593 J-POWER 1,050 25.0 600 / 610 北陸電力 700 24.1 593 / 593 J-POWER 1,050 25.0 600 / 610 九州電力 360 24.1 566 / 593 中部電力 1,000 24.1 566 / 593 北海道電力 700 25.0 600 / 600 中部電力 1,000 24.1 566 / 593 J-POWER 600 25.0 600 / 610 九州電力 700 24.1 593 / 593 東京電力 1,000 24.5 600 / 600 広野5号 東京電力 600 24.5 舞鶴 1 号 関西電力 900 24.5 磯子新 2 号 J-POWER 600 25.0 舞鶴 2 号 関西電力 900 24.5 広野 6 号 東京電力 600 24.5 常陸那珂 2 号 東京電力 1,000 24.5 (JCOAL にて調査作表。着色部は今後の運開である。 ) 600 595 600 595 600 600 / / / / / / 600 595 620 595 600 600 運転開始 年 / 月 ’93/4 ’94/12 ’95/3 ’97/7 ’97/7 ’98/6 ’98/7 ’98/7 ’00/6 ’00/7 ’00/9 ’00/12 ’01/7 ’01/11 ’02/6 ’02/11 ’02/4 ’03/6 ’03/12 ’04/7 ’04/8 ’09/7 ’10/8 ’13 ’13 更なる石炭火力の高効率を目指して、図 2.1-1 に示すように次世代の高効率発電が検討さ れ、実証されつつある。IGCC はガス化技術とガスタービンの高効率化を組み合わせたクリ 66 ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用の最新動向と地球環境問題 ーンで高効率な石炭火力であり、燃料電池と組み合わせた IGFC により更なる効率向上が期 待されている。 (出典 クリーンコール部会) 図 2.1-1 次世代高効率発電 EU では既に 1998 年より 700℃級の次世代型超々臨界圧石炭火力(A-USC)の研究開発が進め られているが、我が国でも A-USC の研究開発が 2008 年からスタートした。経済産業省の下 に重電メーカー6 社、材料メーカー1 社、制御システムメーカー1社ならびに電中研、物質 材料研究機構が開発体制を組み、研究期間は 9 年間で、前半の 5 年間にてシステム全体の基 本設計関連、後半の 4 年間でボイラの実缶実験を実施する予定である。目標とする送電端効 率は 46%以上(高位発熱量ベース)を見据えている。 プラント基本設計条件ならびにプラント基本構成図を表 2.1-2 と図 2.1-2 に示すが、ヒー トバランスのパラメータースタディーを実施するとともにこのヒートバランスを基に主配 管等の検討を行っている。今後は弁、ポンプといった機器についても開発の重点を移すこと としている。 プラント出力 蒸気条件 燃料 ボイラ形式 タービン形式 抽気段数 回転数 真空度 送電端効率 タービン発電端効率 (出典 三菱重工技報 Vol.48 表 2.1-2 プラント基本設計条件 700MW 35MPa 700℃/720℃/720℃ 石炭(瀝青炭)、軽油(30%ECR) 超臨界圧変圧貫流型二段再燃式 串形四流排気式二段再燃復水形(TC4F-40) 8段 3,600rpm (60Hz) 5.07kPa (722mmHg) 46%以上(高位発熱量基準) 53%以上 No.3 2011) 67 ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 石炭利用の最新動向と地球環境問題 (出典 三菱重工技報 図 2.1-2 Vol.48 No.3 JCOAL 技術・情報委員会 プラント基本構成図 2011) なお、図 2.1-3 には日本の総発電量ならびに、このうちの石炭発電量の推移を示す。総発 電量は 2007 年をピークに減少傾向となっているが、2010 年にはやや増加した。石炭発電量 はぼ一定となっている。ここには参考までに天然ガス発電量も示しているが、石炭、天然ガ スの発電量がほぼ同じになっている。 TWh 発電量 年 図 2.1-3 日本の総発電量ならびに石炭発電量の推移 (IEA Electric Information 2011 より JCOAL にて作成) 図 2.1-4 には、日本の石炭火力ならびに天然ガス火力の比率を示す。2005 年以降は両者 とも 25~30%の間でほぼ一定になっている。 % 30 25 20 発電割合 石炭発電割合 15 天然ガス発電割合 10 5 0 年 図 2.1-4 日本の石炭発電比率および天然ガス発電比率の推移 (IEA Electric Information 2011 より JCOAL にて作成) 68 ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用の最新動向と地球環境問題 ②EU の状況 EU では現在は USC の導入時期であると言える。 イタリア、スペイン、ポーランドに 2008 年から運転中の USC が 7 基、2010 年に運 転開始予定が 2 基、その他計画中は 21 基 ドイツでは 2011 年、2012 年の運転開始に向けて数プロジェクトが建設中である。 なお、2014 年建設を目指して A-USC700℃石炭火力を開発中 開発目標:デモプラント 540MW 主蒸気温度 700℃ プラント効率 50%(LHV) NRW PP700 計画、EON 社 Wilhelmshaven 計画(ドイツ) 表 2.1-3 国名 発電所名 ドイツ Niederaussen Boxberg R Datteln #4 Moorburg# 3 Moorburg# 4 Neurath F Neurath G Walsum#10 Lünen ポーラ ンド UK オラン ダ オース トリア スペイ ン イタリ ア Wilhelmshaven Lubmin Karlsruhe (RDK 8) Hamm WESTFALEN D #2 WESTFALEN E MANNHEIM 9/CHP Lagisza Belchatow Ⅱ Patnow Ⅱ Drakelow C12 Maasvlakte#3 EU の USC 火力実績及び計画予定 会社名 主蒸気/再熱蒸 気温度 ℃ 565/600 600/600 600/620 600/610 運転開始 年 975 670 1,100 820 主蒸気圧 力 MPa 26.5 31.5 28.5 30.5 820 30.5 600/610 ’12 1,100 1,100 750 813 27.2 27.2 25.8 28.8 600/605 600/605 600/620 600/610 ’11 ’10 ’10 ’12 定格出力 MW Vattenfall EU E.ON kraftwerke Vattenfall EU Vattenfall EU RWE Power AG RWE Power AG STEAG Trianel Power Electrabel Dong Energy EnBW RWE RWE Power RWE Power GKM PKE Elektrownia ,Belchatow PAK E.ON UK PLC E.ON BENELUX ’02 ’11 ’11 ’12 800 2x800 910 600 600 600 ’11 ’12 ’11 2x820 820 820 910 460 858 600 600 600 ’12 ’12 ’12 ’13 ’09 ’11 460 375 1,100 600 593/565 600/620 ’08 ’67 ’12 800 600 ’12 24.7 28.5 Centrale,Rotterda m Eemshaven Dumrohr Elektrabel RWE 2x800 800 600 600 ’12 ’16 As Endesa 2x350 600 ’08 Pontes Torrevaldaliga Nord #1 Torrevaldaliga Nord #2 Torrevaldaliga Nord #3 Torrevaldaliga ENEL 660 ’08 ENEL 660 ’08 ENEL 660 ’09 ENELSPA 660 69 25.2 604/612 ’08 ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用の最新動向と地球環境問題 Nord #5 チェコ スロベ ニア Torrevaldaliga Nord #6 Torrevaldaliga Nord #7 PORTO TOLLE 1/REPLACEMENT PORTO TOLLE 2/REPLACEMENT PORTO TOLLE 3/REPLACEMENT Ledvice5 ENELSPA 660 25.2 604/612 ’09 ENEL PA 660 25.2 604/612 ’09 ENEL PRODUZINE ENEL PRODUZINE ENEL PRODUZINE CEZ 660 ’13 660 ’13 660 ’13 660 ’12 SOSTANJ TERMOELEKTR ARNA SOSTANJ (TES) 600 ’14 (JCOAL にて調査作成) 図 2.1-5 には EU の総発電量ならびに石炭発電量の推移を示す。2008 年をピークにやや減 少しており、石炭火力発電も 2007 年から減少傾向であったが、2010 年にはやや増加に転じ ている。参考までに天然ガス発電量も示しているが、近年は殆ど一定で推移している。 TWh 発電量 年 図 2.1-5 EU の総発電量ならびに石炭発電量の推移 (IEA Electric Information 2011 より JCOAL にて作成) 図 2.1-6 には石炭発電割合と天然ガス発電割合の推移を示すが、石炭発電割合は 1980 年 以降減少の一途をたどり、逆に天然ガス割合は 1990 年以降増加している。近年では両者の 割合はほぼ同一で 25%程度になっている。 70 ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用の最新動向と地球環境問題 % 発 電 割 合 年 図 2.1-6 EU の石炭発電比率および天然ガス発電比率の推移 (IEA Electric Information 2011 より JCOAL にて作成) ③中国の状況 (この項は清華大学 2011 年 7 月第 7 回 ISCC の発表から引用) 中国の 2010 年における発電内訳は図 2.1-7 のとおりであり、石炭火力が全体の 71%を占 めている。 太陽光・バイオマス 風力 3.12% 水力 原子力 1.12% 22.2% 石炭火力 71% 図 2.1-7 中国の 2010 年における発電内訳 また 2001 年からの 10 年で建設された発電量を図 2.1-8 に示すが、この 10 年間において は総発電量で 284%、火力発電で 279%とめざましい増加を示している。 71 ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用の最新動向と地球環境問題 総建設容量 火力発電容量 図 2.1-8 中国の 2001 年~2010 年までの 10 年間に建設された発電設備 中国としてもこの発電量の伸びに伴う温暖化ガスの上昇には気を使っており、効率向上、 低炭素燃料との混焼ならびに CCS を視野に入れている。このうち、石炭火力からの CO2 削減 の、最善で最も経済的な方法は USC であるとして、積極的にその建設を促進している。USC に関しては、当初は日本の技術支援を受けたものの最近では自国の 3 大メーカー(ハルピン ボイラ、東方ボイラ、上海ボイラ)で USC の建設を推進している。今や中国の石炭火力は急 激に USC の時代となった。 中国に適用されている最新の USC 技術は、2000 年の以前の中国国家電力公司の R&D から 始まったが、それは 2002 年の国家科技研究計画にとりこまれていた。そこでは 600MW と 1,000MW ユニットを導入することとし、蒸気条件は 25~28MPa、600℃/600℃(LHV ベースの 発電効率は 44.63%以上、発電端石炭消費率は 275g/kWh 以下)と設定された。 日本、あるいはヨーロッパとの国際協力による開発活動で、最初の華能玉環発電所と闞山 発電所に中国のデモプラントとして 1,000MW ならびに 600MW ユニットが建設され、2006 年 11 月と 2007 年 10 月に商用運転が開始された。表 2.1-4 には 2007 年から 2010 年までに発 注された事業用ボイラの種別を示す。USC が 1,000MW、660MW の合計で 193 基 142,540MWe あ り、発電出力ベースで全体の 37%にもなり、さらに USC、SC との合計では 81.5%にもなる。 従来型の亜臨界ユニットは出力ベースで 18.5%と減少している。日本の USC は 23 基である ことを考えるといかに中国の USC が発展しているかが分かる。 表 2.1-4 2007 年から 2010 年までの事業用ボイラの実績 72 ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用の最新動向と地球環境問題 中国の USC は 1,000MWe ならびに 660MWe の 2 種類に統一されているが、その基本的計画数 値は次の通りである。 主蒸気 再熱蒸気 表 2.1-5 中国の USC 基本計画数値 計画数値 1,000MWe 温度(℃) 605 圧力(Mpa) 26.25 温度(℃) 603 圧力(Mpa) 4.79 660MWe 605 26.15 603 4.64 図 2.1-9 中国における USC 初号機の華能玉環発電所 (1,000MWe×4 ユニット) 中国ではさらに主蒸気温度を 700℃とし、2 段再熱を採用した A-USC の開発が 2020 年の実 用化を目標にスタートしている。効率は 52%程度(低発熱量ベース)で、そこに使用する 材料開発も進められているが、A-USC のボトルネックは高温に対応した主蒸気管や再熱蒸気 管が高コストであることであり、この克服が成功のカギであるとしている。 これらの開発により将来の CO2 排出量の予測を行っているが、その見通しを図 2.1-10 に 示す。USC、、A-USC、IGCC と CCS を組み合わせることにより、2014 年くらいから CO2 排出は 減少に転じ、2030 年には 2002 年レベルまで削減出来るとの予測である。 73 ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用の最新動向と地球環境問題 図 2.1-10 中国の今後の CO2 排出の見通し なお、表 2.1-6 には、2050 年までの発電計画を示すが、2050 年には石炭火力の比率を 48.3%まで落とし、原子力比率を 10.3%まで増加させ、再生可能エネルギーも 24.3%まで 高めることとしている。 表 2.1-6 中国の 2050 年までの発電設備構成計画 74 ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用の最新動向と地球環境問題 ④韓国の状況 (Asia-Pacific Economic Cooperation、福岡 2010 年 10 月の発表から引用) 韓国では 2001 年に KEPCO から分離した KOSEP(Korea South East Power Co.,Ltd.)が USC を含む将来の電力業界の技術開発を担当している。韓国ではナショナルビジョンとして、 2020 年までに 3 つの目標を掲げている。 3 つの目標 ・地球気候変化の緩和 ・経済成長の新たなエンジンの創出 ・生活の質の向上と国際的な標準までの高度化 具体的には地球温暖化緩和のためのグリーン技術の開発も入れられ、 これに沿って USC が最 も経済的なアプローチと判断され、開発が進められている。 韓国の石炭火力発電の蒸気条件の向上の歴史を図 2.1-11 に示すが、1990 年代から超臨 界圧発電(蒸気温度 538℃クラス)が導入され、2000 年代中ごろから USC フェーズ 1(蒸気 温度 593℃クラス)が導入開始されている。さらに 2010 年代中頃からフェーズ 2(蒸気温度 610~620℃クラス)が導入予定となっている。 (出典 2010APEC KOSEP 発表資料) 図 2.1-11 韓国の石炭火力での蒸気条件の変遷 今後の石炭使用について、新設火力では低発熱量炭を 50%以上混焼することとしている が、石炭混焼技術や強いスラギング性のある石炭の使用等も検討されている。これらの技術 を適用する事により瀝青炭で設計された 500MW、800MW ユニットボイラで低発熱量炭を 30% 混焼する運転が行われている。また瀝青炭+亜瀝青炭で設計されたボイラで亜瀝青炭混焼率 を 30~70%まで増加した運転もなされている。具体的には表 2.1-7 の計画が示されている。 75 ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用の最新動向と地球環境問題 表 2.1-7 韓国の石炭火力における低品位炭混焼率 石炭火力発電所 使用石炭種類 最大亜瀝青炭混焼率 Young Hung #3,4 瀝青炭と亜瀝青炭の混焼 50% Dang Jin #5,6 瀝青炭と亜瀝青炭の混焼 30% Samchunpo#5,6 瀝青炭と亜瀝青炭の混焼 70% (出典 2010APEC KOSEP 発表資料) この混焼率を達成するために、石炭の混焼方法の改善、スートブロワーの追加とスートブ ロワーの運転頻度などの改善、強スラギング性の石炭の燃焼時間の調製等を行っていると報 告されている。(KOSEP 発表資料) 韓国では生活水準を向上してゆく事でエネルギー使用量が 2~3%増加すると予測されて いるが、この増加を原子力や大容量 USC でカバーする計画である。韓国としてはここに述べ たように USC にも低発熱量炭を使用する事で発電コストの上昇を抑えようとしている。 表 2.1-8 にはこれまでの韓国の USC 実績を示す。 表 2.1-8 韓国の USC 実績 国名 韓国 韓国 韓国 韓国 韓国 韓国 韓国 発電所名 唐津#5,6 唐津#7,8 唐津#9,10 泰安#7,8 泰安#9,10 霊興島#1,2 霊興島#3,4 会社名 東西発電 東西発電 東西発電 西部発電 西部発電 南東発電 南東発電 定格出 力 主蒸気圧 力 蒸気温度 ℃ 運転開始 年 MW MPa 500 500 1,000 550 1,050 800 870 25.0 25.0 566/593 566/593 25.0 566/593 25.0 25.0 566/593 566/593 ’02 ’07 ’15 ’07 ’16 ’04 ’08 (JCOAL にて調査作成) なお、日立製作所は上記の泰安発電所 9、10 号機向けに 1,050MW 石炭焚 USC を 2 基受注し たと発表している。(2112 年 2 月日立ホームページ) 図 2.1-12 には韓国の総発電量ならびに石炭発電量の推移を示す。総発電量は 2008 年以降 ほぼ一定の発電量となっているが、2010 年には伸びがやや大きくなっている。一方で石炭 発電量は増加してきているが、2010 年には前年とほぼ同等の値であった。なお参考として 天然ガス発電量も示すが、2007 年をピークに近年は減少してきたが、2010 年には増加した。 76 ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用の最新動向と地球環境問題 TWh 発電量 図 2.1-12 韓国の総発電量ならびに石炭発電量の推移 (IEA Electric Information 2011 より JCOAL にて作成) 図 2.1-13 には石炭発電割合と天然ガス発電割合の推移を示すが、2010 年には石炭割合の 伸びが減って、反対にガスの比率が高まっている。 % 発電割合 年 図 2.1-13 韓国の石炭発電比率および天然ガス発電比率の推移 (IEA Electric Information 2011 より JCOAL にて作成) ⑤米国の状況 米国に関しては 1960 年代に超高温の Eddystone#1 ユニットが世界に先駆けて建設された が、技術的理由により失敗に帰し、その後は超高温ユニットの開発はなされなかった。その 後は今日まで超臨界及び亜臨界の計画が先行しているが、 最近わずかながらも USC 火力の計 画が出てきている。 77 ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用の最新動向と地球環境問題 表.2.1-9 米国の USC 火力実績及び計画予定 国名 発電所名 会社名 定格出力 MW 主蒸気圧力 MPa 蒸気温度 ℃ 353.6 34.5 649 / 566 米国 Eddystone#1 Exelon Power 米国 Walter Scott Jr Energy Center # 4 MidAmeric an Energy 870 米国 TURK 1 SWEPCO 600 米国 Sandy Creek Energy Station #1 Sandy Creek Energy Associates 運転開始 年 ’60 ’07 25.3 566/593 ’12 ’12 1000 26.9 586/584 1000 26.9 586/584 , L.P 米国 Holcomb # 2 Tri-State ’17 (JCOAL にて調査作成) また極く最近、National Energy Technology Laboratory(NETL)は米国の A‐USC プロジ ェクトとして 760℃、35MPa の蒸気条件を選択し、ボイラとタービンの材料開発の研究を実 施している。 図 2.1-14 には EPRI 資料に示されている米国の高温プラントの実績ならびに開 発目標を示す。 (出典 2011CCD 国際会議資料) 図 2.1-14 米国の高温プラントの実績ならびに開発目標 図 2.1-15 には米国の総発電量ならびに石炭での発電量の推移を示す。総発電量は 2007 年をピークに減少の方向に向かっているが、2010 年には増加に転じている。石炭火力も 2005 年以降ほぼ一定の発電量となっているが、2009 年では減少し、2010 年には反転してやや増 加している。なお参考として天然ガスの場合も示すが、2000 年代から天然ガス発電量は増 加の一途を辿っている。 78 ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用の最新動向と地球環境問題 TWh 発電量 年 図 2.1-15 米国の発電量の推移 (EIA データ 2011 年から JCOAL にて作成) 図 2.1-16 には米国の石炭火力と天然ガス火力の割合を示すが、石炭火力は減少傾向であ ったが、2010 年には前年と同様で減少が止まっている。一方、天然ガスはシェールガスが 増産されており価格が下がってきていることから、天然ガスを使用した発電が徐々に増加し ている。 % 発電割合 年 図 2.1-16 米国の石炭発電、天然ガス発電の割合 (EIA データ 2011 年から JCOAL にて作成) (2)世界の IGCC の実績と計画 表 2.1-10 に世界の IGCC の稼働状況と計画を示す 1)2)3)。IGCC は 1990 年代に 250~350MW の実証プラントがオランダ、スペイン、米国 2 カ所で建設された(同表、No.1~4)。ガス化 炉はどれも噴流層式であるが、ガス化方式(ライセンサー)は全て異なっている。どのプロ ジェクトも試運転から 3~4 年間は様々な障害に遭遇し、定格運転ができなかったが、近年 79 ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用の最新動向と地球環境問題 は商用的な運用をしている。2003~2004 年に米国で 600MW 級 IGCC 商用機の構想が相次いだ が、どれも延期された。税優遇や補助金の不確定性、及び近年の設備価格高騰が原因と思わ れる。現在は表の No.11 に示す Duke Energy 社の IGCC が 2012 年運転開始の予定で、現在 確実に実行される世界唯一の商用 IGCC である。Texaco ガス化炉と GE の 1,300℃級 GT と古 典的なプロセスである。発電効率は 38%程度と低い。No.18 のオランダ Nuon 発電所は上述 250MWIGCC を経験し、これを発展させようと Magnum 計画をスタートさせたが、コスト高で 中断している。No.26 Sweeny 社は E-gas ガス化炉による IGCC の環境評価を推進している。 中国初の IGCC は計画が遅れ気味であったが、2012 年初めには試運転に着手すると言われて いる(No.10)。ガス化炉は中国独自の西安熱工院が開発した酸素吹き 2 段ガス化法である。 我が国ではクリーンコールパワー研究所が三菱重工の空気吹きガス化炉を採用した 250MW IGCC で実証に成功した(No.9)。運転開始後1年で総合 2,000 時間連続運転を達成し、 3 年目に年間 5,000 時間の耐久テストも完了した 4)。この実績は、上記 1990 年代欧米の 4 つの IGCC の試験開始後の実績をはるかに上回るもので、我が国 IGCC 稼働機能の優秀性を示 すものである。J-POWER と中国電力は 170MW 酸素吹き IGCC の環境報告書を準備中である (N0.30)。 2012 以降の IGCC の計画は同表のようであるが、微粉炭火力に対する競争力は狙ったよう には強くはなく、経済性、信頼性の一層の進歩が必要なので、実施されるプロジェクトは限 られると思われる。米国エネルギー省(DOE : Department of Energy)の最新の評価では、IGCC の設備費(Total Overnight Cost)は 2,351~2,716$/kW で、SC の 2,024$/kW より 16~34%(平 均 23%)高い 5)。この評価はここ 5 年間であまり変わってない。 乾式石炭供給方式の IGCC 設備の中で、石炭前処理、ASU、ガス精製、コンバインド設備、 電気系は全体コストの約 57%を占めるが 5)、これらは概ね既存技術で、今後大幅なコストダ ウンは望めない。従って、微粉炭火力並みにするには石炭加圧供給、ガス化設備、熱回収系 統の大幅なコスト低減が必要であるが、非常にハードルが高いと思われる。IGCC 設備は本 質的に微粉炭火力よりコスト高になると考えられるので、発電効率面、環境面及び適用石炭 種での優位性を生かすことが重要である。 表 2.1-10 運転中ならびに計画中の各国の主要 IGCC No 国 名 プロジェクト名 出力 ガス化炉 (MW-net) 運転 状 況 原 料 開始 1 オランダ Buggenum 253 Shell 1994 運転中(商用) 石炭 2 米国 Wabash River 262 E-Gas 1995 運転中(商用) 石炭/ペトロコークス 3 米国 Polk County 315 GE 1996 運転中(商用) 石炭 4 スペイン Puertollano 335 Prenflo 1998 運転中(商用) 石炭 5 イタリア ISAB Energy 512 1999 運転中(商用) 石油残渣 6 イタリア SARLUX 551 2000 運転中(商用) 石油残渣 7 イタリア api 287 2001 運転中(商用) 石油残渣 Energia S.p.A. 8 日本 根岸 342 GE 2003 運転中(商用) 石油残渣 9 日本 勿来 250 三菱重工 2007 運転中(実証) 石炭 10 中国 GreenGen 250 TPRI 2012 試運転(実証) 石炭 11 米国 Edwardsport 630 GE 2012 建設中(商用) 石炭 12 米国 BP 630 GE 2012 計画 石炭 Hydrogen Power 13 米国 Lima Energy 540 E-gas 2013 計画 ペトロコークス 14 米国 Mesaba Energy 530 E-gas 2013 計画 石炭 15 米国 Taylorvill 602 Siemens 2013 計画 石炭 80 ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用の最新動向と地球環境問題 Energye 16 韓国 17 英国 実証機 300 Shell Powerfull/Hatf 900 Shell ield 2014 建設中(実証) 2012 石炭 石炭 2014 18 オランダ Magnum 1200 Shell 2013 19 米国 Taylorville 630 GE 2014 20 米国 Cash 630 GE 2014 建設中 石炭 21 ドイツ RWE 450 未定 2014 中止 褐炭 22 米国 Clean Hydrogen 500 23 米国 PA Energy 900 Prenflo 2015 計画 石炭 24 米国 Texas 400 Siemense 2015 計画 石炭 石炭 Creek Clean 石炭/天燃ガス 石炭 2014 石炭 Energy 25 韓国 Taejan#1 300 Shell 2016 計画 26 米国 Sweeny 680 E-gas 2016 環境評価中 ペトロコークス 27 米国 Kemper County 583 KBR 2016 計画 褐炭 28 米国 HydrogenEnergy 390 三菱重工 2015 FS 石炭 29 豪州 Wandoan 400 GE 2015 30 日本 大崎クールジェ 170 日立 2017 石炭 環境評価 石炭 ン (出典 下記を引用し JCOAL にて調査作表) 1)The Gasification Technologies Council, World Gasification Database, http://www.gasification.org/database1/search.aspx?a=66&b=3&c=85 2) Ashitani.S., Osaki CoolGen Project, Clean Coal Day in Japan 2011,International Symposium, September, 2011 3)林,華能集団グリーンジェン計画の進展,JCOAL Magazine,No.68,平成 23 年 1 月 21 日 Yang.Z., Sustainable Coal Utilization Summit 2011 for Coal Conversion and Polygeneration, No.2-3,Beijin,2011 4)長井,パネルディカッション「火力発電の最新技術」”IGCC 技術”,火力原子力発電,Vol.62, No.4, Aril,2011 5)US DOE/NETL Report 2010/1037, Cost and Performance Baseline for Fossil Energy Plants, Vol1:Bituminous Coal and Natural Gas to Electficity-Revision2,November 2010 2.1.2 日本企業の海外石炭火力ビジネスの最新動向 McCoy Power Reports 2010 のデータから見られる、日本メーカーの海外での石炭火力ビ ジネスの状況について、ボイラ図タービンに分けてまとめた。状況は次の通りである。 (1)石炭ボイラの場合(McCoy Power Reports 2010 による) 過去 10 年を見ると、世界のボイラの発注は 2007 年 179,209MWe がピークであった。また 2008 年は 167,665MWe、2009 年の発注は前年の 2008 年から 53%ダウンの 92,279MWe、更に 2010 年は過去 10 年間で 4 番目に高い発注であった。(図 2.1-17) 2010 年の世界の総発注数は 260 基、99,237MWe であったが、このうち 33%の 86 基の 49,160MWe が超臨界ユニットであった。86 基の超臨界ユニットのうち、42 基が中国、36 基 がインド、残る 8 基はインドネシア、ベトナム、韓国、エジプトがそれぞれ 2 基ずつの発注 があった。 81 ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用の最新動向と地球環境問題 USC は 23 基、19,940MWe であった。23 基のうち 21 基が中国、残る 2 基は韓国での発注で あった。 ボイラ発注量(MWe) 200000 180000 35579 160000 29722 10203 6621 140000 30143 34972 120000 その他の国 100000 80000 60000 40000 20000 19721 23505 13785 15041 141026 8144 13648 11338 126997 32861 5776 110801 31862 5908 8356 1225 64078 53206 60021 2074 46655 33177 31960 23755 インド 中国 0 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 図 2.1-17 2001 年から 2010 年までの世界のボイラ発注量の推移 (2011 McCoy Power Reports による) 165014 24415 17074 12514 11887 11455 9600 5847 4569 4146 3955 3792 3536 3119 3024 2823 2800 2695 2667 2520 2360 2329 1980 1882 1833 1593 1260 17749 世界の2001年~2010年のボイラ発注量 (MWe) 中国 インド 米国 ドイツ ベトナム サウジアラビア 韓国 南アフリカ 日本 イタリア エジプト トルコ オランダ マレーシア ロシア ブラジル チリ リビヤ フィリピン ポーランド イラク チェコ タイ ラオス カナダ 台湾 オーストラリア ボツワナ その他 800000 700000 600000 500000 400000 300000 200000 100000 0 691674 また、図 2.1-18 には過去 10 年間の国別のボイラ発注量を示すが、中国が断然トップ、次 いでインドとなっている。その他の多くの国は、この発注量に比較すると圧倒的に少ない。 日本は第 9 位に位置しているが、中国の発注量 691,674MW の 0.8%、5847MWe、インドの発 注量は 165,014MWe であったので、日本はその 3.5%であった。 図 2.1-18 2001 年から 2010 年までの国別ボイラ発注量 (2011 McCoy Power Reports による) 82 ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用の最新動向と地球環境問題 図 2.1-19 には 2010 年のボイラメーカー別の受注量を示すが、中国のビッグスリーである 上海、東方、ハルピンが 62%と過半数を占めている。なお、2009 年の 1 位はインドの BHEL であったが、2010 年には 5 位に後退している。逆に 2009 年には 10 位であった Doosan 重工 が 2010 年には 4 位に躍進している。 図 2.1-20 には中国ならびにインド市場を除いたマーケットでのメーカー別受注量を示す。 Alstom、Doosan 重工、日立ヨーロッパ等が上位を占めているが、日本メーカーの名前も出 てくる。 2010年の受注容量(MWe) 1300 2000 1496 1665 3873.4 上海ボイラ 1800 東方ボイラ 2300 ハルピンボイラ 3380 26875 4613 Doosan重工 BHEL B&W 6987 L&T-MHI 8390 18660 BHEL-Alstom バブ日立 ハルピン/Doosan 15970 Foster Wheeler 図 2.1-19 2010 年の世界のボイラメーカ受注量 (2011 McCoy Power Reports による) 世界全体での過去10年間の受注量 (中国、インドを除く)(MWe) Alstom Doosan重工 20420 日立ヨーロッパ 43541 19980 ハルピンボイラ Foster Wheeler 8120 19975 8470 B&W IHI 東方ボイラ 9435 9918 12950 11149 11514 三菱重工 図 2.1-20 中国とインドを除く市場でのボイラメーカ受注量 (2011 McCoy Power Reports による) 83 ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用の最新動向と地球環境問題 (2)蒸気タービンの場合 図 2.1-21 には 2010 年における世界の国別蒸気タービン受注量を示す。ボイラの場合と同 様に中国、インドが 1、2 位を占めている。アラブ首長国連合やサウジアラビアといった中 近東の国々も上位であるが、これらは油焚きユニット、海水淡水化コンバインド(IWPP)な らびにコンバインドサイクルなどに用いられているのであろう。 9804 1106 1310 1399 1980 20000 4232 6160 30000 3542 40000 4103 50000 4216 37005 60000 54776 2010年における世界の国別蒸気タービン受注量(MWe) 10000 0 図 2.1-21 2010 年における世界の国別蒸気タービン受注量 (2011 McCoy Power Reports による) 図 2.1-22 には 2010 年における世界の蒸気タービンメーカーの受注実績を示す。ボイラの 場合と同様に中国のビッグスリーが上位を占めているが、日本メーカーも健闘している。 2010年における世界の蒸気タービンメーカーによる受注実 績(MWe) 2114 3016 上海タービン 2080 2592 東方タービン 9229 ハルピンタービン 3380 33787 4500 Doosan重工 BHEL 4697 6175 Siemens Oil&Gas 19040 10613 三菱重工 東方-Alstom 10930 L&T-MHI 17480 東芝 図 2.1-22 2010 年における世界の蒸気タービンメーカーの受注実績 (2011 McCoy Power Reports による) 84 ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用の最新動向と地球環境問題 2.2 地球環境問題への取り組み 2.2.1 地球温暖化問題をめぐる政治的な状況 これまでの地球温暖化に係る政治的な動きの変遷を以下に示す。 ①G8 エネルギー大臣会合(2008) 2008 年 6 月に開催され、洞爺湖サミットの成果を反映し多くの国が参加しての CO2 排出 量削減検討が本格的に開始されている。G8 諸国は 2020 年までの CCS の幅広い普及の開始に 向けた技術開発を支援することを念頭に、各国の国情を考慮しつつ、2010 年までに 20 の大 規模な実証プロジェクトを立ち上げる必要があるという IEA および CSLF(炭素貯留隔離リ ーダーフォーラム)の勧告を強く支持した。 ②“低炭素社会・日本”をめざして(福田ビジョン 2008) 2008 年 6 月 9 日に発表され、日本における 2050 年までの長期目標として、温暖化ガスの 60~80%の削減を掲げて世界に誇れるような低炭素社会の実現に向け、基本的な方針が示さ れた。 ③ G8 洞爺湖サミット(2008) 2008 年 7 月に、低炭素社会を目指し 2050 年までに世界全体で温室効果ガス排出量の半減 を実現するために、主要経済国はもちろん世界の全ての国々がこの問題に取り組む必要が あるといった提言を行った。 ④ 低炭素社会づくり行動計画(2008) 2008 年 7 月 29 日に閣議決定され、革新的技術開発については今後 5 年間で 300 億ドル 程度を投入して推進し、CCS 技術は 2009 年度以降、早期に大規模実証に着手して 2020 年 までに実用化、また石炭のクリーン燃焼技術に関しては 2015 年にガス化複合発電の発電効 率を 48%とすることを目指すとともに、CCS 技術とあわせて石炭火力発電のゼロ・エミッシ ョン化を目指すとしている。 ⑤ METI 低炭素社会づくり行動計画(2008) 2008 年7月に METI から発表され、石炭利用の高度化についての方針が、発電効率を高め 排出量を削減できるクリーン燃焼技術や、排出された CO2 を大気中に出さずに地中に埋め戻 す CCS(Carbon Dioxide Capture and Storage : 二酸化炭素回収貯留)技術の開発を推進す ることが示された。また、クリーン燃焼技術については、IGCC(石炭ガス化複合発電)の発電 効率について 2015 年頃に 48%、長期的には 57%の達成、IGFC(石炭ガス化燃料電池複合発電) の発電効率について 2025 年頃に 55%、長期的に 65%の達成を目指すのに必要な技術開発、実 証試験等を進めることも示された。 一方、CCS については、我が国の CO2 排出量の約 3 割を占める火力発電や約 1 割を占める 製鉄プロセスの大幅削減につながり得る技術である。その分離・回収コストを 2015 年頃に トン当り 2,000 円台、2020 年代に 1,000 円台に低減することを目指して技術開発を進める とともに、2009 年度以降早期に大規模実証に着手し、2020 年までの実用化を目指す。実用 化に当たっては、環境影響評価及びモニタリングの高度化、法令等の整備、社会受容性の確 保などの課題の解決を図るとしている。これらの技術を併せ、最終的には CO2 の排出をほぼ ゼロにするために、石炭火力発電等からの CO2 を分解し、回収し、輸送、貯留する一貫した システムの本格実証実験を実施し、 ゼロエミッション石炭火力発電の実現を目指すことが示 された。 85 ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用の最新動向と地球環境問題 ⑥ COP14(2008) 2008 年 12 月 1 日から 12 月 12 日まで、ポーランドのポズナニにて気候変動枠組み条約第 14 回締約国会議(COP14)および京都議定書第 4 回締約国会合(COP/CMP4)が開催された。 COP14 の位置付けとしては、 “将来の枠組みの合意”が期待されている 2009 年開催のコペ ンハーゲンでの COP15 に向けた交渉の中間地点とした。 (a)将来枠組みのたたき台作成 (b)2009 年作業計画への合意 なお、ポズナニでの会議の各国のスタンスには、 新興国と先進国とで大きな開きがあったが、 COP15 での合意に向けた政治的メッセージの合意がなされた。 日本政府の評価としては、国際的金融危機の中にあっても気候変動問題に積極的に取り 組んでゆくとの各国の強い決意の下で議論が行われ、我国は洞爺湖サミットの議長国として その成果を国連における成果につなげるべくセクター別アプローチの考えなどについて議 論に積極的に参加した。今回の会合で来年の交渉の道筋を示すことができたこと、2013 年 以降の国際枠組みに対する各国の見解についての幅広い議論が真剣に行われたことは来年 の COP15 での交渉の準備としても有益であった。 ⑦ G8 首脳会合ラクイラ会議の結果(2009 年 7 月 8~10 日開催、外務省ホームページより 抜粋) 首脳宣言として、次のような内容が合意された。 ・2009 年 12 月の COP15 に向けてすべての主要排出国が責任ある形で次期枠組みに参加す ることを確保することの重要性を再認識。工業化以前の水準から世界全体の平均気温が 2℃を超えないようにすべきとする広範な科学的見地を認識。 ・洞爺湖において合意した世界全体の温室効果ガス排出量を 2050 年までに少なくとも 50% 削減するとの目標を再認識し、先進国全体で 1990 年、またはより最近の複数の年と比し て 50 年までに 80%、またはそれ以上削減するとの目標を支持する。 ・低炭素技術の開発・普及を促進し、もって低炭素社会への移行を更に推進することの重 要性を強調。 ・途上国の緩和・適応支援、技術の開発・普及のため、官民を問わずにすべての資金を活 用することの重要性を確認。 なお麻生総理は、主要排出国の参加、環境と経済の両立、長期目標の実現を前提に、日本 は 2020 年に 2005 年比 15%の温暖化ガス削減の中期目標を発表した。 ⑧ COP15(2009 年 12 月 20 日 外務省ホームページより引用) ・2009 年 12 月 7 日から 19 日まで、デンマークのコペンハーゲンにおいて、気候変動 枠組条約第 15 回締約国会議(COP15)、京都議定書第 5 回締約国会合(CMP5)などが行 われた。 ・30 近くの国・機関の首脳レベルの協議・交渉の結果、 「コペンハーゲン合意」が作成 され、COP 全体会合でほぼ全ての国が賛同し、採択を求めたが、数カ国が採択に反対し たため、条約締約国会議として「同合意に留意する」と決定された。 ・コペンハーゲン合意の主たる内容は次の通りである。 1)世界全体としての長期目標として産業化以前からの気温上昇を 2 度以内に抑える。 2)先進国は 2020 年の削減目標を途上国は削減行動を、それぞれ付表に記載する。各国 は 2010 年 1 月 31 日までに記載事項を提出する。 3)締約国の行動は測定/報告/検証可能なものとされなければならない。 4)先進国は 2010~2012 年の間に 300 億ドルの新規かつ追加的な資金による支援を共同 で行い、また 2020 年までには共同して年間 1,000 億ドルの資金動員目標を約束する。 86 ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用の最新動向と地球環境問題 5)2015 年までに合意の実施状況を評価する。 ・日本政府の対応は次のようにする。 日本は全ての主要排出国が参加する公平で実効性のある枠組みの構築と野心的な目 標合意を前提に、2020 年までに 90 年比 25%の削減を目指すことを改めて表明した。 また、鳩山イニシャティブの具体化として、COP15 における政治合意の成立の際には、 温室効果ガスの排出削減など気候変動対策に積極的に取り組む途上国や、気候変動の 悪影響に脆弱な状況にある途上国を広く対象として、2012 年までの 3 年間で1兆 7,500 億円(概ね 150 億ドル)、そのうち公的資金は1兆 3,000 億円(概ね 110 億ド ル)の支援を実施してゆくことを決定した旨発表し、各国から歓迎されると共に交渉 の進展に弾みをつけた。 ⑨ COP16(2010 年 外務省ホームページからの抜粋) 2010 年 11 月 29 日から 12 月 10 日までメキシコのカンクンにおいて、気候変動枠組条 約第 16 回締約国会議(COP16)、京都議定書第 6 回締約国会合(CMP6)が開催された。 日本からは松本環境大臣ほかが出席した。 ・日本政府の対応 日本政府は COP15 で作成された「コペンハーゲン合意」を踏まえ、米国・中国を含むす べての主要排出国が参加する公平かつ実効的な国際枠組みを構築する新しい 1 つの包 括的な法的文書の早急な採択を目標とし、先進国と途上国の排出削減と資金等の支援と の間のバランスのとれた COP 決定の作成を目指した。 ・COP16 の成果 1)「コペンハーゲン合意」に基づく 2013 年以降の国際的な法的枠組みの基礎になり得 る、包括的でバランスのとれた決定が採択された。 2)その一部として、同合意の下に先進国及び途上国が提出した排出権削減目標等を国 連の文書としてまとめた上でこれらの目標等を COP として留意することとなった。これ により我が国が目指すすべての主要排出国が参加する公平かつ実効的な国際枠組みの 構築に向けて交渉を前進させることとなった。 3)今後は 2011 年末に南アフリカにて開催される COP17 に向け、作業部会において COP16/CMP6 での合意内容を基礎とした交渉を続けることとなる。 4)市場メカニズムに関する項目として、CO2 回収・貯留を CDM プロジェクトとして適用 することについて、これまではブラジル等から強硬な反対がなされていたが、条件付き ながらも CDM として認める決定文案が締約国会合に提案され、政治的判断を求めること になった。次回の京都議定書第 7 回締約国会合に本案が提案される。 ⑩ COP17(2011 年 外務省ホームページからの抜粋) 2011 年 11 月 28 日から 12 月 11 日まで南アフリカのダーバンにて、気候変動枠組条約第 17 回締約国会議(COP17)、京都議定書第 7 回締約国会合(CMP7)等が行われた。日本から は細野境大臣等が出席した。会期を 1 日半延長し、最終的には COP 及び CMP の一連の決定が 採択された。 ・日本政府の主要な対応 1) COP16 で合意されたカンクン合意を踏まえ、すべての主要排出国が参加する公平か つ実効性のある国際枠組みを構築する新しい 1 つの包括的な法的文書の早急な採択と いう目標に向けて、交渉に臨んだ。途上国が求めていた京都議定書の第二約束期間につ いては将来の包括的な枠組みの構築に資さないため、日本は参加しないとの立場を貫い た。 2) 東日本大震災という困難にあっても日本国民は気候変動問題に積極的に取り組んで いること、現在新しいエネルギーベストミックス戦略・計画に向けた検討と、今後の温 87 ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用の最新動向と地球環境問題 暖化対策の検討を進めている事を説明した。 「世界低炭素成長ビジョン-日本の提言」の 公表や 150 億ドルの短期資金を今後も着実に実施することも表明した。 ・COP17 の主要な成果 将来の枠組みへの道筋、京都議定書第二約束期間に向けた合意、緑の気候基金、カンク ン合意の実施のための一連の決定において 4 つの大きな成果があった。 1)将来の枠組みへの道筋 法的文書を作成するための新しいプロセスである「強化された行動のためのダーバ ン・ププラットフォーム特別作業部会」を立上げ、遅くとも 2015 年中に作業を終え て、議定書、法的文書または法的効力を有する合意成果を 2020 年から発効させ、実 施に移すとの道筋に合意した。 2)京都議定書 第二約束期間の設定に向けた合意が採択された。日本ならびロシア、カナダなどはは 第二約束期間に参加しないことを明らかにした。 なお、森林吸収源等については、各国の状況を反映した算定方式が適用されることに なり、日本のこれまでの主張が大筋で反映された形で合意した。 3)緑の気候基金の基本設計に合意するとともに、削減目標・行動推進のための仕組み、 MRV(測定・報告・検証)の仕組みのガイドラインなどに合意した。新たな市場メカ ニズムについては国連が管理を行うメカニズムの方法・手続野開発、各国の国情に応 じた様々な手法の実施に向けて検討を進めることで合意した。 4)次回の COP18 はカタールのドーハで開催されることになった。 なお、COP17 の速報がなされた IGES 地球環境セミナーでは、CDM としての CCS の扱いに ついて次のように報告された。 1)2007 年の COP12 にて CCS が CDM として適格か否かの議論が開始されたが、賛成国と 反対国が激しく対立し、結論を出すことが出来ず、議論は数年間にわたって平行線を たどったが、COP16 において、CCS に付随するさまざまな課題の解決を条件として「適 格である」と決定された。この決定を受けて、COP17 では CCS を CDM として実施する 場合の手続きと手順について検討が行われ、決定されたので、その主要項目を示す。 通常の CDM での諸事項に加えて CDM 理事会は、CCS の計画書、貯留サイトの選定、リ スク評価、環境へのインパクト、モニタリング要件、資金的要件などについての文書 を整備することを義務づけた。さらに、 検証機関(DOE)は、貯留サイトの適格性、リスク評価・環境影響評価の結果と有効 性、プロジェクト参加者の資金的状況などを確認しなければならない。 DOE は、炭素漏洩が発生した場合にその対策とリスク・環境評価が効果的に実施さ れたか、漏洩により排出された量などを確認しなければならない。 クレジット期間終了後 20 年間はモニタリングを継続しなければならない。過去 10 年間に漏洩が発生せず、炭素が長期にわたって完全に大気と隔離されたことが示 された時にモニタリングを終了して良い。 としている。 なお、今回決定した手続きは今後定期的に見直す手続きが改訂されても既に登録済 みのプロジェクトには影響を与えない、国境をまたぐ CCS プロジェクトの適格性と紛 争解決策については、COP18 にて検討するとされている。 2.2.2 各国の温室効果ガス削減目標ならびに温暖化対策に関連する主な税制 国連環境計画(United Nations Environment Program、UNEP)公式サイトに掲載されて いる、最新(2012 年 1 月時点)の主要各国の温室効果ガス削減目標を示す。 88 ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用の最新動向と地球環境問題 図 2.2-1 国連環境計画公式サイトに掲載されている温室ガス削減目標(2012 年 1 月) 国名 項目 内 容 日本 目標 2020 年にて 1990 年レベルの-25% 2050 年にて 1990 年レベルの-60%~-80% コメント 公正で効果的な国際フレームワークがすべての主要国が参加 しこれらの国が合意することが条件 米国 目標 2020 年にて 2005 年レベルの-17% 2050 年にて 2005 年レベルの-83% コメント 最終的な米国のエネルギー気候変動法案制度と整合が取れる ことを前提 EU―27 目標 2020 年に 1990 年レベルの-20%~-30% 2050 年に 1990 年レベルの-80%~-95% コメント 2012 年以降の期間でグローバルで包括的なアグリーメントの 一部として EU は 2020 年に 1990 年レベルで 30%削減に踏み切 ることも可能である。ただし、他の先進国が更なる排出削減を コミットし、途上国が自身の責任において削減に貢献するとの 条件付きで 中国 目標 2020 年の BAU ベースの値に比較し-8.5% コメント 中国は 2005 年レベルに比べ 2020 年までに 40~45%GDP あたり の CO2 排出を低減する努力を行う。そのために、2020 年までに およそ 15%まで一次エネルギー消費における非化石燃料割合 を増加する。また 2005 年レベルに比べ 2020 年までに 4,000 万 ヘクタールまで森林を増加し、13 億立方メートルまで森林ス トック容量を増加する。 ロシア 目標 2020 年に-15%~-25% 1990 年レベルで 2050 年には-50% コメント GHG 排出量の削減は次の条件である。 ・人為行為から発生した温暖化ガス削減にロシアの森林のポテ ンシャルが正しく算定されること。 ・人為的な GHG 排出を低減するために、主要な排出者に低減義 務を与えること。 豪州 目標 2000 年レベルで 2020 年には低めで-5%、高めで-25%削減 1990 年レベルで 2020 年には 73%から 36%とする。 コメント ラッド前首相は、もし世界が CO2 濃度を 450ppm あるいはそれ 以下に安定化するとの意欲的なゴールに合意するなら、豪州は 2020 年には 2000 年レベルの 25%まで削減するとコミットし た。 インド 目標 目標設定なく、自身の努力として示している。 インドは 2020 年に 2005 年レベルに比較して GDP インテンシティー(GDP あ たりの排出量)を 20~25%削減する努力をする。 コメント 計画部門は 2005 年~2020 年で GDP インテンシティーを 20~ 25%削減することが可能と結論つけた。 なお各国の温暖化対策に関連する主な税制について、表 2.2-2 に示す。ここに示すように、 1990 年のフィンランドでの炭素税導入を皮切りに、EU 各国で導入が進められている。豪州 でも 2012 年から二酸化炭素に関する課税がスタートすることになっている。 89 ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用の最新動向と地球環境問題 表 2.2-2 主要国の温暖化対策に関連する主な税制 (環境省税制のグリーン化資料 H23 年度税制改正参考資料 H22 年 11 月 9 日 税制改正参 考資料より抜粋し JCOAL にて一部追加。) 年 国 名 温暖化対策関連税制状況 石炭に対する 課税 (円/石炭1トン) 1990 年 1991 年 1991 年 1992 年 1992 年 1993 年 1996 年 1999 年 1999 年 2001 年 2001 年 フィンランド スエーデン ノルウエー デンマーク オランダ イギリス オランダ ドイツ イタリア イギリス ドイツ 2004 年 オランダ 2005 年 EU 2006 年 ドイツ 2007 年 2008 年 2012 年 7 月 から予定 2011 年 10 月から実 施 フランス スイス 豪州 日本 炭素税導入 二酸化炭素税導入 二酸化炭素税導入 二酸化炭素税導入 一般燃料税導入 炭化水素油税 規制エネルギー税 鉱油税の段階的引き上げ 鉱油税の改正 気候変動税導入 再生可能エネルギー法による固定 買取制度開始(FIT) 一般燃料税を既存のエネルギー税 制に統合(石炭のみ燃料税として存 続) EU 域内排出量取引制度開始 2,982 15,997 792 887 501 228(EU 最 低 税 率の場合を示 す) 鉱油税をエネルギー税に改組(石炭 を追加) 石炭税導入 二酸化炭素税導入 二酸化炭素に対する課税 地球温暖化対策のための課税の特 例・・・・CO2 排出量に応じた上乗せを 行なう。 502 現行 :700 2011 年 10 月 1 日: 920 2013 年 4 月 1 日: 1140 2015 年 4 月 1 日: 1370 注:フィンランドは付加税 2,912 円、戦略備蓄料 70 円の合計 デンマークは石炭税 12,720 円、CO2 税 3,277 円の合計 参考までに、日本の場合、上記上乗せが実施されない場合の石油石炭税としては、石炭 1 トンあたり 301 円である。 また、各国の石炭に関する課税の税率も表 2.2-2 に示したが、これによると、フィンラン ドやデンマークでの課税が他の各国の中で高い数字となっている。 IEA Electricity Information 2011 によると、フィンランドでの石炭火力発電の割合は 2009 年に約 26%あり、またデンマークでは約 80%もあるが、VGB 資料によると両国で今後 計画されている石炭火力は示されておらず、石炭への課税が大きいことも理由の 1 つかも知 90 ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用の最新動向と地球環境問題 れない。なお、石炭については事業用を前提としており、また、国によっては各種減免措置 もある。 豪州については、議会はギラード首相提出の 2011 年 7 月 10 日に CO2 に対する課税を行う 法案を可決した。この課税は 2012 年 7 月 1 日から開始されるが、炭素税額は当初は CO2 ト ン当たり 23 豪ドルからスタートし、その後実質 2.5%/年で増額される。また、2015 年には 排出権取引に移行するものであり、2020 年には温暖化ガスの 1 億 6,000 万トンの削減が期 待されるとしている。ギラード首相は、豪州は石炭火力に多く依存しており、1 人当たりの 炭素排出は世界の先進国の中でも最も高い数字であるので、多くの議論の末に歴史を作るこ とができた。 また、温暖化ガスの大量排出者には削減努力をもたらすものであるとしている。 2.3 二酸化炭素回収・貯留(CCS)に関する動向 2.3.1 CCS についての IEA の見解 IEA Energy Outlook 2011に記載されている、新たに導入されたNew Policy Scenarioによ る2009年から2035年における世界の燃料別の需要量を、表2.3-1示す。New Policy Scenario は、世界の国々により、これまで環境やエネルギーや関連でアナウンスされた約束や計画を 勘定にいれたシナリオである。このシナリオでは温暖化ガス低減のためのコペンハーゲン協 定も考慮しており、これまでの“Current Policy Scenario(これはレファレンスシナリオ と呼ばれてきた)“と比較する事によりエネルギーマーケットへの潜在的なインパクトを定 量的に考えるのに役立つものである。 これによると石炭は次のように予測されており、2009年から2035年までの石炭需要絶対 量の伸びは24.5%にも達する。 全エネルギー需要量(Mtoe) 年 2009 12132 2035 16961 石炭の需要量(Mtoe) 3294 4101 表2.3-1 世界の燃料別の需要量予測(New 石炭の割合(%) 27.2 24.2 Policy Scenario) (出典 World Energy Outlook 2011) New Policy Scenarioでは次の想定をしている。 ・ 石油価格はこれまでのシナリオより早く上昇し、2020年には$99/バレル、2035年には $113/バレルになるとしている。 ・ 天然ガス価格は石油価格より安く保たれる。 91 ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用の最新動向と地球環境問題 ・ 石炭価格上昇は石油や天然ガス価格よりかなり低く、450ppmシナリオより低く抑えられ る。 ・ 石炭取引は更に広くなり、CO2価格はこのNew Policyと450ppmシナリオ下では徐々に上 昇する。 また、図2.3-1には2020年まで、ならびにその先の2035年までに追加されるであろう石炭 火力発電技術を示す。中国が特別に取り上げられ、他はOECDと非OECDの別となっている。 中国は2020年まではAdvanced、ここではUSCとIGCCを指しているが、これらが主流となって 行くが、2021年以降にはCCSも採用されると予測している。一方、OECD諸国も同様なトレン ドを辿るように予測されているが、2021年以降のCCS導入量が中国より多いとされている。 (出典 World Energy Outlook 2011) 図2.3-1 石炭発電での将来の導入技術予測 図2.3-2には、IEA World Energy Outlook 2011示されているCO2低減技術である。New Policy Scenarioと450 ppm ScenarioでのCO2削減量は2020年に2.5GtCO2であり、2035年には総排出 量で14.8 GtCO2 削減することが必要とされ、この削減量のうち、CCSでは2035年には3.3 GtCO2 これは22%に相当する数字であり、非常に厳しいことになる。 92 ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 石炭利用の最新動向と地球環境問題 (出典 IEA World Energy Outlook 2011) 図2.3-2 JCOAL 技術・情報委員会 New Policy Scenarioと450ppm Scenarioに向けての低減 IEAはCCSロードマップの目標を達成するためには、図2.3-3に示すようになCCSのプロジ ェクト数が必要としている。2020年には100プロジェクトが、2050年には3,400プロジェク トが必要とされている。内訳はOECD諸国で35%、非OECD諸国で65%であり、非OECD諸国がよ り多くのCCSを期待されている。 (出典 IEA Energy Technology Perspectives 2010) 図2.3-3 2050年までに必要とされるCCSプロジェクト数 (2050年にCCSにて19%のCO2削減を図る場合) 2.3.2 世界の CCS プロジェクト CCS を促進させる国際組織である GCCSI(Global Carbon Capture and Storage Institute) がに発表した最新の The Global Status of CCS 2011 では、世界全体で 74 の大規模総合的 な CCS 計画があり、このうち 14 プロジェクトが運転中あるいは建設中である。 その次に続くプロジェクトとして、米国の Kemper County が現在建設中であり、またカナ 93 ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用の最新動向と地球環境問題 ダの Boundary Dam がある。また米国では高深度の帯水層に貯留する Illinois Carbon Capture and Sequestration プロジェクトが建設中である。 図 2.3-4 には大容量の総合プロジェクト 74 件の内訳は運転中 8 件、建設中 6 件、その他 60 件となっている。。 (出典 GCCSI The Global Status of CCS 2011) 図 2.3-4 大容量の総合プロジェクト 74 件の内訳 GCCSI The Global Status of CCS 2011 では、運転中のプロジェクトは全部で 8 件あり、 アフリカで1件、カナダ・米国で 1 件、、EU で 2 件、米国が 4 件となっている。 また建設段階(Excecute stage)のプロジェクとは 6 件あり、米国 3 件、カナダ 2 件、豪州 1 件となっている。米国の Kemper County IGCC やカナダの Boundary Dam、豪州の Gorgon などがここに入る。 94 ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用の最新動向と地球環境問題 表 2.3-2 名称 運転中あるいは建設段階の CCS プロジェクト CO2 量(MT/年) 貯留 地点 CO2 分離種別 運 転 開始 運転中プロジェクト Shute Creek Gas Processing 米国 Facility Sleipner CO2 Injection Val Verde Natural Gas Plants Great Plains Synfuels Plant and Weyburn-Midale Project Enid Fertilizer Plant In Salah CO2 Storage Snovit CO2 Injection Century Plant ノルウエ ー 米国 米国 / カ ナ ダ 米国 アルジ ェリア ノルウエ ー 米国 プレ(天然ガスか らの随伴 CO2 分離) プレ(天然ガスか らの随伴 CO2 分離) プレ(天然ガスか らの随伴 CO2 分離) プレ(石炭ガス化 からの CO2 分離) 7 EOR 1986 1 帯水層 1996 1.3 EOR 1972 3 EOR 2000 EOR 帯水層 1982 2004 帯水層 2008 EOR 2010 プレ(肥料生産) 0.7 1 プレ(天然ガスか らの随伴 CO2 分離) 0.7 プレ(天然ガスか らの随伴 CO2 分離) プレ(天然ガスか 5(他に 3.5 が らの随伴 CO2 分離) 建設中) 建設段階プロジェクト 米国 Lost Cabin Gas Plant Illinois Industrial Carbon 米国 Capture and Sequestration (ICCS) プレ(天然ガスか らの随伴 CO2 分離) 産業用(エタノー ル生産) 1 EOR 2012 1 帯水層 2013 ポスト(発電) 1 EOR 2014 Project Boundary Dam with CCS カナダ Demonstration プレ(肥料生産) 0.6 EOR 2014 プレ(発電) 3.5 EOR 2014 Gorgon Carbon Dioxide Injection 3.4-4 帯水層 2015 プレ(天然ガスか Project らの随伴 CO2 分離) 注:ここでプレと記されているプロジェクトには、石炭ガス化からの CO2 分離、天然ガス井 からの随伴 CO2 分離を含んでいる。 Agrium CO2 Capture with ACTL Kemper County IGCC Project (出典 カナダ 米国 豪州 GCCSI The Global Status of CCS 2011) 図 2.3-5、2.3-6 には米国とヨーロッパの CCS 計画地点のマップを示すが、米国では EOR が 多く、その他の貯留は少ないが、ヨーロッパでは EOR は殆どなく、帯水層への貯留が多い。 95 ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 石炭利用の最新動向と地球環境問題 (出典 GCCSI JCOAL 技術・情報委員会 The Global Status of CCS 2011) 図 2.3-5 米国での CCS 計画地点 (出典 GCCSI The Global Status of CCS 2011) 図 2.3-6 ヨーロッパでの CCS 計画地点 なお、図 2.3-7 には地域別、年度別大容量 CCS プロジェクトを示すが、米国でのプロジェ クト数が最も多く、次いでヨーロッパとなっている。なお全体では 2010 年より 3 件少なく なっている。 96 ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用の最新動向と地球環境問題 (出典 GCCSI The Global Status of CCS 2011) 図 2.3-7 地域と年度ごとの大規模プロジェクト数の動き 2.3.3 各国の CCS に関する技術開発動向 各国の CCS に関する取り組みとしては、分離技術の開発に加えて貯留の安全面及び環境面 の遵守すべき法的基準の確立が各国とも重要なテーマとなってきている。また CCS 導入は多 くの場合コストが増加し効率が低下するが、その費用を賄うために様々な政策支援の検討が 必須である。 このような中で、各国で様々な CCS プロジェクトが計画され政府による実証支援が具体化 し、各国とも 2020~2030 年頃には CCS 商用機の本格的普及実現を目指している。 以下に各国、地域での技術開発動向を示す。 (1)EU EU では CCS に関する EU 指令を出して CCS の法的枠組みを規定しているが、2015 年ま でに最大 12 の実証プロジェクトを推進することとしている。ZEP(European Technology Platform for Zero Emission Fossil Fuel Power Plants)を設置し、2020 年までに EU 内の化石燃料火力における CO2排出ゼロを目標としている。主要電力会社を中心に、EU の研究資金をベースに産業界、国研や大学がコンソーシャムを組み技術開発に注力して いる。2008 年 12 月には発電所への CCS 設備の導入を促す内容を含む一括法案を採択し た。CCS 参入者には数十億ユーロ相当の供与を目指す。 EUではプレコンバッションを志向しており、プロジェクト計画が発表されていたが、 いずれも中止されたと伝えられている。 RWE社のCCS計画 450MW IGCC+CCS 建設コスト(ガス化設備、発電設備、パイプライン、貯留設備): 21億2,000万ユーロ(2010年11月末時点の換算では2,360億円程度)±25%の精度 建設サイト:ゴールドバーグ(ドイツ) 運転開始:2014年末を予定 NUON社のCCS計画 1,300MW IGCC+CCS 建設コスト:開示なし 建設サイト:イームシャーベン(北オランダ) 運転開始:IGCC設備は2011年、地中貯留は2013年 97 ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用の最新動向と地球環境問題 近年ではポストコンバッション、オキシフュエルの開発に力を入れているように見える。 EU における CCS 実証プロジェクトとしては、以下に示す 6 つのプロジェクトが実施あるいは 計画されており、2015 年までに CO2 の注入が行われる予定で進められている。ここに示す 6 件のプロジェクトは、EU の補助金による大規模 CCS 実証プロジェクトとしてコミットされた ものである。 図 2.3-8 EU における CCS 実証プロジェクト ①ポーランドBelchatowプロジェクト プロジェクト実施者:PGE パートナー:Alstom, Dow Chemical, PIG, Gazoprojekt, Schlumberger 回収:260MWe 褐炭火力、ポストコンバッション 輸送:パイプライン 60-140km 貯留:内陸深層塩水帯水層 1.8MtCO2/yr ② スペインCompostillaプロジェクト プロジェクト実施者:Endesa パートナー:CIUDEN, Foster Wheeler 回収:330MWe 酸素燃焼 輸送:パイプライン 150km 貯留:内陸深層塩水帯水層 1.6MtCO2/yr ③ ドイツJanschwaldeプロジェクト プロジェクト実施者:Vattenfall 回収:褐炭火力 250MWe ポストコンバッション 50MWe 酸素燃焼 輸送:パイプライン 50-100km 98 ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用の最新動向と地球環境問題 貯留:内陸深層塩水帯水層(またはガス田) 1.7MtCO2/yr ④ イタリアPorto Tolleプロジェクト プロジェクト実施者:ENEL 回収:264MWe ポストコンバッション 輸送:パイプライン 100km 貯留:沖合 20km 深層塩水帯水層 ~1MtCO2/yr ⑤ オランダROAD, Rotterdamプロジェクト プロジェクト実施者:Maasvlakte CCS プロジェクト パートナー:E.ON Benelux, GdF Suez 回収:250MWe ポストコンバッション(90%回収) 輸送:パイプライン 25km 貯留:沖合枯渇ガス田 1.1MtCO2/yr ⑥ イギリスHatfieldプロジェクト プロジェクト実施者:Powerfuel 回収:900MWe プレコンバッション 輸送:パイプライン 175km 貯留:沖合枯渇ガス田または深層塩水帯水層 5MtCO2/yr 英国について注目すると、政府が 2007 年 11 月に、2014 年までに CO2 約 200 万トン/年以 上で約 90%CO2 回収貯蔵を可能とする化学吸収法実用化プロジェクトを発表した。また、化 学吸収法に加えて IGCC+CCS の実証プロジェクトを 3 件まで実施、また CCS 技術が確立され その商業性が確認されたら 5 年以内に英国内のすべての 300MW 以上の火力発電に CCS を導入 するとしている。 なお、EU のファンドで実施されている英国での最新の CCS 関連エネルギープロジェクト 状況を、上記の Hatfield プロジェクトを含め、まとめて以下に示す。(出典:IEA GHG Greenhouse News June 2011 Issue 102) ここで、CCS 支援のため新たな約 45 億ユーロの資金を準備している新ヨーロッパ投資銀 行(EIB)への 12 の申請(期限は 5 月 9 日であった)のうち、7 つは CCS 関連であり、5 つ は革新的再生可能エネルギープロジェクトである。 ① Alstom コンソーシャム 北ヨークシャの Drax サイトに計画の新設酸素燃焼超臨界石炭火力発電所 ② C.GEN ヨークシャ州 Killingholme に計画の CCS 付き新設 IGCC 発電所 ③ Peel Energy CCS 社 スコットランドの Ayrshire にポストコンバッション(アミン吸収)を 新設超臨界石炭火力発電所 ④ Don Valley Power Project(以前は Hatfield Project と呼ばれていた) ヨークシャ州 Stainforth に計画の新設 IGCC 発電所 ⑤ Progressive Energy 社のコンソーシャム 北東イングランド Teesside に計画の石炭ガス化プロジェクト+CCS ⑥ Sottish Paper Generation 社 スコットランド Lomgannet の既設の亜臨界石炭火力発電所のポストコンバッシ ョン(アミン吸収)への改造 ⑦ SSE Generation 社 99 ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用の最新動向と地球環境問題 スコットランド Peterhead の既設ガスタービンコンバインド発電所のポストコ ンバッション (2)米国 米国では Carbon Sequestration Program として、DOE が中心になって CCS 開発を進めて いる。DOE では効率向上、コスト低減、低炭素化、CCS の 4 つのキーワードの下にプロ グラムを実施している。 既設石炭火力:効率改善ならびに CO2 分離回収設備の追加 新設火力 :高効率微粉炭火力ならびに IGCC CCS 実証プロジェクトに関し、米国では CCS 開発・実証に積極的に対応していると言え る。 DOE の CCS に対する考え方は、以下のようである。 ・すでに CCS 技術は実用可能の段階である。しかし非常にコストが高く、大量のエネ ルギーを消費する一方で、まだ完全には実証されていない。 ・地下貯留は更に広い範囲でデモ試験を行う必要があるが、特に大深度の帯水層への 帯容量貯留については考えなければならない。 ・DOE の R&D プログラムはキーとなる項目を明確にすることに注力している。 ・規制関連を明確にすることは、商用化についての必須条件である。 米国内の主要 CCS 実証プロジェクを図 2.3-9 に示す。また、それらの各プロジェクトについ ての内容について以下に示す。 (出典 2011CCD 国際会議) 図 2.3-9 米国の主要な CCS デモ試験 100 ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用の最新動向と地球環境問題 ① FutureGen2.0 ・方式 :酸素燃焼 ・予算 :5 億 9,000 万ドル-Ameron 社、B&W 社、Air Liquide 社 :酸素燃焼発電設備 4 億 5,900 万ドル-FutureGen Alliance :CO2 の輸送、貯留 ・試験場所: Meredosia 発電所(米国イリノイ州) ・試験容量:200MWe(PRB 炭あるいはその混炭) ・今後の基本スケジュール 2012年秋 :エンジニアリングならびに環境調査終了 2012年末 :主要設置工事開始 2015年末 :建設完了 2016年中間 :発電設備ならびにCO2貯留設備オンライン ② Archer Daniels Midland Ilinnois州にて計画されているCCSプロジェクトで、トウモロコシ工場から排出され るCO2を地中貯留する計画である。2013年に1000トン/日のCO2貯留を総計100万トンに なるまで継続する。技術はDow Chemicalが開発した化学吸収液でAlstomがプラント を計画している。 ③ AEP 商用規模のポストコンバッションの実証計画であり、AEP社のMountaineer Plant(ウ エストバージニア州ニューハーベン)で実施する。プラント出力は1300MWeであるが、 そのうちの235MWe分のCO2をCCS設備に導入し、帯水層に年間150万トン貯留する。プ ロジェクトは2010年1月に決定され、2013年1月に建設開始、2015年12月に運転開始 予定である。総予算は$668million(6.68億ドル)でDOE予算は$334million(3.34億 ドル)である。 ④ Southern Company 発電端出力 582MWe トランスポートガス化炉プロジェクトは 2006 年 1 月に決定され、 ミシシッピー州ケンパーに建設される。建設は 2010 年 6 月に開始され、運転は 2014 年 5 月からとなっているが、遅れているものと推察される。67%の CO2 が回収され、 EOR に販売される。 予算総額は$2.69billion(26.9 億ドル)、DOE 予算は$293million(2.93 億ドル)で ある。 ⑤ Leucadia Energy Innovative Concepts for Beneficial CO2 Use(ICCS)と称されている本プロジェクト はLake Charles周辺の産業群からのCO2によりEORを実施する内容である。CO2はLake Charles Cogenerationにて石油コークスのガス化により生産されたシンガスから分 離されるものであり、物理法を使用する。 ⑥ NRG 商用規模のポストコンバッションで、テキサス州トンプソンのW.A.Parish発電所で 実施される。年間40万トンのCO2が回収されEORに使われる。プロジェクトは2010年5 月に決定され、建設は2012年12月、運転は2014年12月となっている。総予算は $334million(3.34億ドル)、DOE予算は$167million(1.67億ドル)である。 ⑦ Air Products EOR用として、産業関連から排出されたCO2の回収・濃縮・精製に関するエンジニアリ ングプランとプロジェクトプランに関わる内容である。設置場所はテキサス州の Port Arthurの製油所であり、Air Products社のSteam Methane Reformer(SMR)を使 用する。第2フェーズではCO2分離回収の最新技術をプロポーズするもので、テキサス のEORパイプラインの計画も含んでいる。 101 ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用の最新動向と地球環境問題 ⑧ Summit TX Clean Energy 商用規模の IGCC+CCS 計画で、回収された CO2 は EOR 用である。発電容量は 400MWe で、排出された CO2 は 90%が回収され、年間 300 万トンが EOR に使われる。プロジ ェクトは 2010 年 1 月に決定され、建設はテキサス州オデッサ/ミッドランドで、2010 年 10 月から建設開始、運転は 2014 年 7 月となっている。総予算は$1726million(17.26 億ドル)、DOE 予算は$350million(3.5 億ドル)である。 ⑨ HECA Hydrogen Energy California Project(HECA Project)として、IGCC から CO2 を 90% 分離貯留(年間 200 万トン)し、EOR に利用されるするプロジェクトで、容量は約 257MW(送電端)である。設備はカリフォルニア州カーンに建設される。プロジェク トは 2009 年 9 月にサインされ、建設開始は 2012 年 2 月、2016 年 11 月に運転開始と している。総予算は$2.84billion(28.4 億ドル)で、DOE 予算は$308million(3.08 億ドル)である。 ⑩ Basin Electric North DakotaのAntelope Valley発電所に設置される450MW発電設備から120MW分のガ スを取り出して、年間100万トンのCO2を貯留する計画である。CO2の分離はアンモニ アでのポストコンバッションで、分離されたCO2は純度を上げ圧縮されて330km離れた Dakota Gasification Synfuel Plantに送られ、EORに使われる。 (3)カナダ ①SaskPower Boundary Dam CCS プロジェクト ・110MW の褐炭焚発電所を改造して実施する世界で最初の石炭火力による CCS 実証プロ ジェクト。 ・現在改造中で 2014 年に運転開始予定。CO2 回収は、Cansolv 社(Shell 傘下)のアミン 法を採用。年間 100 万トン回収し、EOR に使う予定。 ・予算は 12.4 億 CAD ドル、政府から 2.4 億 CAD ドル。 ②Weyburn-Midale プロジェクト ・2000 年から実施しているプロジェクトで、米国の化学会社の石炭ガス化ガスから CO2 を分離回収して、パイプラインで約 320km 輸送し、EOR に使っている。 ・8,000 トン/日で回収し、これまで 2,000 万トン注入したが、漏えいはない。 ・予算は 4,100 万 CAD ドルで、政府から 3,400 万 CAD ドル。 ③Swan Hills 合成ガスプロジェクト ・地下 1,400m で石炭の地下ガス化を行い、合成ガスを製造し CO2 を分離回収する。 ・合成ガスは、300MW のガスコンバインドサイクルで使用。 ・プロジェクトは 2015 年にスタートし、年間 130 万トンの CO2 が EOR に使われる予定。 ・予算は、15 億 CAD ドルで、政府から 2.85 億 CAD ドル。 ④TransAlta Project Pioneer ・2011 年に運転開始した Keephills 発電所 3 号機 450MW で、ポストコンバッションに より年間 100 万トンの CO2 を回収する計画。 ・回収した CO2 は、深さ 2,800m の帯水槽に貯留、あるいは EOR に使われる。 ・予算は、10 億 CAD ドル、政府から 7.78CAD 億ドルである。 ⑤Enhance Energy-Alberta Trunk Line プロジェクト ・アルバータ州中部に 240km の CO2 パイプラインを建設。 102 ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用の最新動向と地球環境問題 ・既存のパイプライン技術で CO2 を加圧し EOR サイトまで輸送する。 ・年間最大 190 万トンで、長期的には年間 1500 万トン輸送する計画。 ・2012~2013 年で建設し、最初は肥料工場とオイルサンド工場からの CO2 を輸送する。 ・予算は、12 億 CAD ドルで、政府から 5.58 億ドル。 ⑥Shell Quest CCS プロジェクト ・2015 年から Shell Scotford のオイルサンド工場からの CO2 を回収、輸送、貯留プロ ジェクト。 ・Shell カナダ(60%)、Chevron カナダ(20%)及び Marathon オイルサンド(20%)の JV。 ・メタンリフォーム設備からアミン法により CO2 を年間 110 万トン回収し、帯水層に貯 留する。 ・予算は、13.5 億 CAD ドルで、政府から 8.65 億 CAD ドル。 ⑦Spectra Energy Fort Nelson CCS プロジェクト ・シェールガス処理プラントからの CO2 回収、貯留プロジェクト。 ・アミン法により年間 220 万トンの CO2 を分離、回収し、帯水槽に貯留する。 ・予算は、政府から 1080 万 CAD ドルである。 Large Integrated Demonstration Projects (> 1 Mt / yr) $7 billion total investments >$3 billion in public funding Spectra Energy Fort Nelson TransAlta Pioneer BC Swan Hills Shell Quest MB Enhance - Alberta Carbon Trunk Line AB ON SK Weyburn-Midale Project SaskPower Boundary Dam –9– 図 2.3-10 各プロジェクトのサイト (4)豪州 豪州の地球環境問題対応の中心はCCSプロジェクトであり、連邦政府、州政府及びCO2CRC 等の機関が先導して進めている。全体のプロジェクトマップを図2.3-11に示すが、数多 くのプロジェクトが実行中あるいは計画中であり、いくつかは商用プロジェクトとして 提案されている。 103 ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用の最新動向と地球環境問題 図2.3-11 豪州のCCSプロジェクト(出典 CO2CRCホームページより) 具体的に進行中のプロジェクトは、次の通りである。 ・Queensland州 Callide Oxyfuel Project Tarong PCC Project Wandoan Project (CCS Flagship Project ) ・Victoria州 CarbonNet Project CO2CRC Otway Project International Power Capture Plant Latrobe Valley Post Combustion Capture Project (LVPCC) Loy Yang Project CO2CRC/HRL Mulgrave Capture Project ・Western Australia Collie South West Hub Project Coolimba Power Project Gorgon Project ・New South Wales Munmorah PCC Project ・その他 Galilee Power Project CO2CRC Uno Mk3 Project Australian Government offshore acreage for CO2 storage これらのうちCallide Oxyfuel Projectは日本企業も参加しているプロジェクトである。プ ロジェクトは豪州政府、クイーンズランド政府ならびに日本政府から財政支援を受けている が、プロジェクト概要は次の通りである。 104 ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用の最新動向と地球環境問題 ・2010年10月時点で、ほとんどの主要設備は現地に据え付け完了 ・酸素燃焼開始は2012年に予定 ・今後のスケジュール 2012年~2015年 酸素燃焼運転 2012年~2015年 CO2注入ならびに監視 ・The Callide Oxyfuel Projectメンバーは次のとおり 豪州側:CS Energy、Australian Coal Association、Xstrata Coal、 Schlumberger 日本側:J-POWER、三井物産、IHI ・支援 豪州政府、クイーンズランド政府ならびに日本政府から財政支援 なお、2012年3月15日付けのCallide Oxyfuel Projectのメディアレリーズによると、同 プロジェクトのダイレクターのDr.Chris Speroの話として、プラント試運転の第1段階、 すなわち酸素製造と石炭ボイラの統合に成功し、酸素燃焼が開始されたと発表されている。 (5)中国 中国における CCS に関する最近の活動を、中国にて発表された最新の情報をベースに JCOAL にてまとめて表 2.3-3 に示す。 分 類 実 証 試 験 番 号 1 2 3 4 5 6 研 究 開 発 1 項目 表 2.3-3 中国における CCS に関する最近の活動 内容 日付、関連機関 CO2 圧入、石油増産 (EOR)プロジェク ト 石炭火力発電所か らの CO2 回収プロジ ェクト 石炭火力発電所か らの CO2 回収プロジ ェクト グリーンジェン (IGCC ゼロエミッ ション)プロジェク ト 石炭直接液化に伴 う CCS プロジェクト 石炭火力発電所か ら CO2 回 収 に 伴 う CCS プロジェクト 973 プロジェクト、 EOR 関連課題 吉林油田の 10 号採掘井戸に CO2 圧入、石油回収研究を実施して いる。現在も順調に進んでい る。 北京電熱所で CO2 回収実証試験 を実施している。 2006 から、中石化 2008.7.16 から、華能 上海、石洞口第 2 発電所で CO2 回収実証プラント(10 万 t-CO2/ 年)を建設中。 天津 IGCC ゼロエミッション石 炭利用技術の研究開発、実証。 現在 2000t/d 国産ガス化炉 IGCC 実証プラントを建設中。 オルドス 10 万 t-CO2/年地下貯 留の実証試験プラント 天津、大港発電所の 40 万トン CO 2/年実証プラント 2010.8.27 建設開始、神 華 2008.8 から段階的に建 設、華北電力 ①中国に相応しい CO 2 貯留及 び高効率技術体系の確立 ②CO 2 削減の社会利益及び CO 2 利用の経済利益の実現 2006 から、中石油科学技 術研究院、中国科学院、 北京大学、石油大学、華 中科学技術大学、清華大 105 2009.7 から、華能 2004 から、華能ほか ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用の最新動向と地球環境問題 学、中石油吉林油田公司 国 際 協 力 2 973 プロジェクト、 ガス化関連課題 3 863 プロジェクト 1 国際協力プロジェ クト ① ガ ス 化 と COG ガ ス に よ る H2, CO 組成の調整及び CO 2 削 減基礎研究 ①吸着、吸収による CO 2 回収 2008.5 から 技術 ②CO2 隔離・貯留技術 ①中国―イギリスの NZEC プ ロジェクト ②中国―EU の COACH プロジェ クト、STARCO 2 プロジェクト、 MOVECBM プ ロ ジ ェ ク ト 、 GeoCapacity プロジェクト、 アミン CO2 回収プロジェクト、 ③中国―オーストラリアの CAGS プロジェクト ④多国国際協力の CAPRICE プ ロジェクト ⑤中国―EU クリーンエネルギ ーセンターの CCS 研究 ⑥中国―米国クリーンエネル ギーセンターの CCS 研究 (出典:李宏軍*、黄盛初**、“中国 CCS の発展見通し及び最近の活動”および中国石炭 Vol.36,No.1, 2010 から JCOAL にて整理。*中国鉱業大学管理学院 ** 国家安全生産管理総局情報研究院) ①GreenGen Program 天津石炭発電所にて、250MW 容量 IGCC であるGreenGen Program を実施している。2009 年 6 月に建設が開始され、2011 年の運転開始を目指している。(後記の様に現在は一部機 器の試運転中と思われる。)同 Program は石炭ガス化・水素製造、水素発電、CO2 隔離貯留 の統合システムの確立としており、2020 年までに発電効率 55~60%、400MW の大型実証プ ラントを完成させることとしている。 (出典 清華大学 毛教授資料) 図 2.3-12 GreenGen IGCC のガス化炉据付状況ならびに完成予想図 106 ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用の最新動向と地球環境問題 目的 ・石炭ガス化・水素製造、水素発電、CO2 隔離貯留の統合システムの確立 内容 ・中国はイギリスのサポート(nZEC)を受けながらGreenGen Programを実施。 イギリスは350万ポンドを出資。 ・2020年までに発電効率55~60%、20mg/Nm3未満のSOx、NOx排出を可能とする400MW の大型実証プラントを完成させることとしている。 ・参加企業は、華能集団、神華集団や電力から4集団、石炭エネルギー集団も入って いる。 計画 Phase Ⅰ:2000-2010 IGCC建設が 2,000t/dの250MWのIGCCを天津臨港地区に建設 ・2008/11にプロジェクト正式発足し2009/6月建設開始計画なるも実際には2009/7/6 に着工、公表されていないが現在試運転中と推察される。 ・ガス化炉は西安熱工研究院で開発。同院では36t/dのテストプラントから2000t/dの テストプラントに拡大。 ・いずれは油田開発でEORも検討している。 ・全体設計は中国西北設計院で化学部分は寧波設計院。タービンはシーメンスで、こ れが唯一の輸入機器。プラント全体は上海電気集団が供給。 ・計画している石炭は瀝青炭、発熱量5,500Kcal/kg、硫黄0.5%以下の高品位炭。灰 の融点は1,100~1,150℃と低い。 Phase Ⅱ:IGCC技術向上革新 400MW IGCCの建設、水素/CO2分離研究 ・2011年~2015年(第12次5ヶ年計画):3,000t/d級大規模ガス化炉を用いたガス製 造、ガス精製等のシステムの達成。100MW級の新型石炭ガス化水素製造、燃料電池発 電テクノロジー、CO2隔離の検証を実施。 Phase Ⅲ:ゼロエミッションを目標としたIGCC+CCS ・2016~2020年(第13次5ヶ年):水素製造、燃料電池発電テクノロジー、CO2隔離技 術のスケールアップを実施。300~400MWのGreenGen実証プラントの建設およびシステ ムと主要設備の設計統合を行う。 表2.3-4 (出典 清華大学 GreenGen IGCC 毛教授資料) 107 Project 計画数値 ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用の最新動向と地球環境問題 なおJCOALが入手した試運転内容の情報では、2011年8月に空気分離装置が完成し、ガス化 炉、11月には発電アイランド完成、ガスタービンを液体燃料で運転し発電にも成功しグリッ ドに電気を流した。12月中旬にはガス化炉に燃料を投入し、ガス化炉からシンガスを得られ る見込みとなっている。 ②化学原料生産用のガス化技術開発 経済成長に伴い化学原料の需要も高まっている。そのため、石炭ガス化炉により得られた シンガスから化学原料に利用する商用機の開発・普及が急速に進んでいる。中国においては 古くから石炭を小型固定床ガス化炉でガス化して、燃料ガス、アンモンニア、尿素等が生産 されていたが、1993 年に GE、2006 年に Shell、2009 年に GSP、2011 年に KBR ガス化炉と次々 と海外の大型ガス化炉が導入された。海外産ガス化炉導入に伴い、中国国産技術としてのガ ス化炉開発・普及も進み、商業機として、2004 年に灰溶融ガス化炉(山西煤炭化学研究所)、 2005 年に OMB ガス化炉(華東理工大学)、2006 年に清華大学ガス化炉、2008 年に HT ガス化 炉、2011 年に西安熱工院ガス化炉が導入され、既に 100 基近く導入されている。最大のガ ス化炉は 2500t/d である。 図 2.3-12 には中国における化学原料生産用石炭ガス化炉普及状況を示す。 (JCOAL にて調査) 図 2.3-12 中国における化学原料生産用石炭ガス化炉普及状況 (6)日本 日本では日本 CCS 調査による CO2 の分離、回収、輸送、地中貯留の実証プロジェクト調査 と大崎クールジェン㈱による石炭ガス化からの CO2 分離回収実証計画が進められている。 電力会社としてもコスト低減やエネルギーロス低減に向けた改良・開発を実施すると共に、 CO2 貯留技術については国内外の技術動向調査・評価を進めている。(2009 年度版 電気事 業における環境行動計画から抜粋) ① 日本 CCS 調査による実証プロジェクト調査 CO2 の分離、回収、輸送、地中貯留の実証プロジェクト調査や CCS に関わる諸活動を行う ために、関連する 37 社にて、2008 年 5 月に日本 CCS 株式会社が立ち上げられ、福島県いわ 108 ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用の最新動向と地球環境問題 き市にある石炭ガス化複合発電(IGCC)実証機から排出される CO2 を、磐城沖廃ガス田に貯 留するなどトータルシステムとしてのフィージビリティースタディー(FS)が 2009 年度から 3 地点で実施された。 同社は、既に、経済産業省からの「二酸化炭素地中貯留技術研究開発(実証試験に適 する地下帯水層等にかかる評価技術開発)」、「平成20年度二酸化炭素削減技術実証試 験委託費」及び「平成21年度二酸化炭素削減技術実証試験委託費」並びに、独立行政法 人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの「発電からCO2貯留に至るトータ ルシステムのフィジビリティー・スタディー」を受託し、CCS実証試験に向けた調査事 業を実施してきている。 同社ホームページによると、苫小牧沖地点にて、平成 21 年度及び 22 年度に地質構造を調 査するために 3 次元弾性波探査を実施し、また、平成 22 年度及び 23 年度には地質評価を行 うために、調査井を掘削し、貯留層として有望な地層の岩石資料を採取し、地質評価を実施 している。また平成 20 年度からは実証試験に必要となる CO2 分離回収設備、輸送設備、圧 入設備の概念設計や基本設計を実施している。 また、苫小牧地点における大規模実証試験の受託に向けて組織の改編も行っている。 ② 大崎クールジェン㈱による石炭ガス化からの CCS プロジェクト EAGLE 技術の商用化に向け、中国電力と J-POWER は共同で、石炭量 1,100t/日級(電気 出力 17 万kW 級)の大崎 CoolGen プロジェクトがスタートした。試験内容は、IGCC 発電 システムでの EAGLE スケールアップ検証と CO2 回収技術の検証である。 大崎クールジェン㈱は国の CoolGen 計画に沿って中国電力と J-POWER の共同出資により 設立され、酸素吹石炭ガス化技術大型実証試験を進めてきているが、酸素吹石炭ガス化複合 発電設備を建設し、システムとしての信頼性、経済性、運用性等を検証し、その後引き続き 最新の CO2 分離回収技術の適用試験による検証を行ってゆくとしている。この実証を確実に 前進させることで、将来的に燃料電池との組み合わせにより、さらに高い効率が可能となる 石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)と CO2 分離回収技術の早期実用化を目指す。 事業工程は次のように計画している。 2009.8~ 環境アセスメント実施 2013.3~ 建設工事開始 2017.3~ 実証試験開始 第 1 段階酸素吹 IGCC 実証事業費補助金が決定し、平成 24 年度から着工に向けて大きく足を 踏み出すことになっている。 2.3.4 2011 Global CCS Institute 動向 2010 年 7 月に豪州連邦政府により GCCSI(Global CCS Institute)が設立されたが、2011 年開催の CCD 国際会議にて、GCCSI より最新の状況が報告された。 これまでは GCCSI のキャンベラ以外の事務所として、ヨーロッパにパリ事務所、北米にワシ ントン及びオタワ事務所ができていたが、日本事務所が 2011 年 9 月 5 日に西新橋に開設さ れた。日本は GCCSI での重要な役割が期待されることになる。 また日本メンバーは、日本政府を初め大学、民間会社など合計 33 になっており、世界で 最も多いメンバーを擁していることになる。 なお、これまでに GCCSI が支援しているプロジェクトは図 2.3-13 の通りである。 109 ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 石炭利用の最新動向と地球環境問題 (出典 2011 JCOAL 技術・情報委員会 CCD 国際債会議) 図 2.3-13 GCCSI が支援して入るプロジェクト (1)豪州プロジェクト ①CarbonNet(Latrobe Valley, Victoria) CO2 注入の商業化モデルの推進に、2.3 百万豪ドル。クリントンファンデーション とのパートナーシップで実施。また、CarbonNet は、CO2 貯留のモニタリング、 検証を 220,000 豪ドルで実施する。 ②Callide Oxyfuel Project(South East Queensland) カライド酸素燃焼プロジェクトの CO2 注入を実施するステップ 2 に、1.83 百万豪 ドル。 (Collie-South West CO2 Geosequestration Hub) 各種の石炭使用の工場から排出される CO2 を回収しするためのパイプラインネット ワークが CO2 排出向上を繋ぐ構想である。 本プロジェクトは 2011 年に豪州連邦政府からフラグシッププロジェクトとして 5200 万ドルの支援を受けているが、GCCSI も支援。 (2)EU プロジェクト ①Rotterdam CCS Network(Rotterdum, Netherlands) 北海の CO2 貯留サイトの評価、輸送の FS 等に 2.2 百万豪ドル ②Romanian CCS Demonstration Project(Oltenia, Romania) CO2 の回収、輸送、貯留の実証プロジェクトの FS に 2.55 百万豪ドル。技術、コ スト、スケジュール等をフルチェーンで評価。既設石炭火力から年間 150 万トン の CO2 を回収し、陸上の天然ガスパイプラインで輸送し、帯水層に貯留するプロ ジェクト。 ③ROAD Project, Maasvlakte CCS 本デモ試験は新技術、経済性、社会的容認清などを検討する内容であり、国際的に これらの知識や経験を発展させる意味合いが大きく、500 万豪ドルを支援する。 110 ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用の最新動向と地球環境問題 (3)米国プロジェクト ①Tenaska Trailbiazer Energy Center(Sweetwater, Texas) 新設 600MW 石炭火力から 85~90%CO2 を回収するプロジェクトの調査に対して、 82.56 万豪ドルを支援。 ②Tenaska New Technologies/Entergy Corporation(estlake, Louisiana) 既設石炭火力のレトロフィットにおける CO2 回収に関する調査に、825,600 豪ドル を支援。 ③American Electric Power, Mountaineer 大規模プロジェクトとである本研究の CCS チェインの研究に 400 万豪ドルを支援。 ④Project Pioneer, TRansALta 本プロジェクトの CCS バリューチェインのすべてのケースをカバーするための研 究費用として 500 万豪ドルを支援。 (4)日本プロジェクト ①Chiyoda Project, Chiyoda/Tokyo University CO2 のシャトルシッピングコンセプトについての更なる技術検討のために 47.4 万ド ルを支援。 2.4 国際会議における CCT/CCS 動向 2.4.1 2011 年酸素燃焼国際会議(IEAGHG 主催) IEA Greenhouse Gas R&D Programme(IEAGHG)は、温暖化ガスの削減に関しての各種国際協 力プログラムを行ってきており、日本を含めた 19 カ国がメンバーになっている。IEAGHG の 酸素燃焼の取り組みとしては、2005 年 11 月にドイツの Cottbus(Vattenfall 社が酸素燃焼 試験を実施している地点)にて第1回酸素燃焼ワークショップを開催したが、その時は 1 件の日本からの基調講演と 11 件のプレゼンだけであった。その後、米国、日本で第 2 回、 第 3 回のワークショップを開催してきたが、年々参加人数が増加して、2009 年には「会議」 に格上され、再び Cottbus で第 1 回酸素燃焼会議が開催された。この時は Vattenfall 社の Schwarze Pumpe 発電所の酸素燃焼試験見学が会議後に実施された。 今回は、この第 2 回会議として、酸素燃焼実施開始直前となった日豪プロジェクトの豪州 カライド発電所を見学場所として、 その近くのリゾート地である Yepoon にて開催されたが、 前述のように IEAGHG 主催の酸素燃焼会議は発展を重ねて、数えて 5 回目となる。 (1)会議概要 会議は 2011 年 9 月 13 日~15 日で開催され、16 日にはカライド酸素燃焼サイトの見学会 が催された。出席者は 205 人(23 カ国)、発表は基調講演 6 件、一般発表 103 件、ポスター セッション 29 件であった。 図 2.4-1 開会式風景 会議のセッションンは、大規模デモ試験、酸素製造、商用化、地下注入での CO2 性状、ボ 111 ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用の最新動向と地球環境問題 イラ材料関連、CFD などの基礎解析、バーナーデザイン、リスク評価など広い範囲にわたっ て酸素燃焼技術全体を網羅し、この技術を推進している世界各国の主だった方々が一堂に会 した会議となった。 なお、会議のまとめとして、主催者から下記のメッセージが示され、次回開催は 2013 年 にスペインの酸素燃焼の開発基地である CIUDEN で実施されることが発表された。 ・IEA 主催の酸素燃焼会議が開催されてきたこの6年間で、酸素燃焼に関し大きな技術 的進展が見られた。 ・既に実証試験である Schwarze Pumpe, TOTAL の 2 プロジェクトが成功裏に進行して おり Callide と CIUDEN プロジェクトが酸素燃焼開始直前である。 ・今後は開発資金の準備、規制関連、パブリックアクセプタンスの取得が進み、大規模 CO2 地下貯留試験を開始することが CCS の商用化にとって重要である。 (2)会議の内容 以下に基調講演の中から注目される発表について記す。 ① 酸素燃焼の道は遠いが、しかし…。 Vattenfall 社 副社長 Dr. Lars Stromberg Vattenfall 社の Schwarze Pumpe 酸素燃焼実証プラントは 2011 年 5 月までに 14,200 時間運 転し、CO2 分離は 11,500 トンに達した。CO2 回収率は 93%以上、CO2 純度は 99.7%以上であ る。この間、酸素燃焼は極めて安定しており、ボイラ、ASU、CO2 回収プラントなどを主に 50 回以上の試験を行っているが、プラントの稼働率は非常に高いものがある。 この実績を背景に次の商用デモプラントとして、Janschwalde 酸素燃焼ユニットの建設を 計画している。その計画内容は次の通りである。 容量 :250MW 送電端効率(LHV ベース) :36% 回収 CO2 :134 万トン/年 CO2 排出 :78g/kWh ここに示したように、送電端効率が 36%と高く、これは 2001 年に Vattenfall 社が検討 した Lippendorf 酸素燃焼プラントの 34.5%より改善されている。この理由は、最新の検討 で、CO2 液化設備のエネルギー消費が 30~50%削減されることなど Schwarze Pumpe での経 験による技術開発が進んだことによる。 Janschwalde 酸素燃焼ユニット計画に当たっては、社会的に認知してもらうために、公開 ヒアリングその他多くの情報公開を行っているが、残念ながら CCS についての理解はまだ得 られていない。政治家は CCS が必要と言うが、実際に CO2 貯留を行う場所が無い。 ② 酸素燃焼の将来の研究開発の必要性 東京工業大学教授 岡崎 健 基調講演を予定されていた岡崎教授はやむを得ない用向きのために急遽欠席となり、IHI の氣駕氏が代理発表されたが、岡崎教授はこれまでにも酸素燃焼の重要性を主張され、ご自 身の研究室で酸素燃焼に関する各種の基礎研究を実施されている。本プレゼンでも最近の学 会での酸素燃焼論文数の急激な伸びに触れられ、また米国 FutureGen が石炭ガス化から酸素 燃焼に変更になったことも例にとられて、今後の酸素燃焼の発展に期待を示された。特に、 酸素燃焼では NOx 排出量が燃焼反応上 1/5~1/7 程度に低減されることなどを、ご自身の研 究結果から示された。 ③ Callide 酸素燃焼プロジェクトの最新状況 CS Energy 社 Dr. Chris Spero 発表者は Callide 酸素燃焼プロジェクトの責任者であるが、まず、プロジェクトの立ち上 げから現在までの歴史について述べられた。本プロジェクトは日豪両政府からの支援を受け た国際プロジェクトである。対象設備は CS Energy 社が所有し、近年は休眠状態であった既 112 ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用の最新動向と地球環境問題 設石炭火力を酸素燃焼に改造し、分離回収された CO2 を実際に地下貯留する世界で初めての トータルの CCS プロジェクトである。参加企業は豪州から CS Energy、石炭協会、日本から J-POWER、IHI、三井物産であり、JCOAL もサポーティングメンバーとして参加している。現 在はボイラ改造工事が終了し、2012 年からの酸素燃焼試験に備えている。 プロジェクトでは初めての経験が多く、エンジニアリング的な困難に直面することもあっ たが、これまで実施してきた工場試験に立ち返ってその解決に努めたとの発表であった。 2012 年春に酸素燃焼が開始される予定である。 ④FutureGen プロジェクトの最新状況の紹介 FutureGen Alliance CEO Mr. Ken Humphreys FutureGen では、コストと性能を重視した CO2 のニアゼロエミッション石炭火力を目指し ているが、コスト圧縮を考慮して、2010 年 8 月に酸素燃焼に変更になったことが説明され た。酸素燃焼は既設と新設の両方に適用可能との説明もなされた。 FutureGen の計画概要は次の通りである。 ・容量 :202MWe(発電端) :90%以上 ・CO2 回収率 :100 万トン CO2/年 ・CO2 貯留量 :パイプライン ・CO2 輸送 ・CO2 貯留場所 :Mt.Simon 帯水層 プロジェクトの実施場所として Illinois 州の Morgan County が選択されたが、その理由 は良好な砂岩層の存在、 地質学的ならびに環境上の適性、経済とビジネス展開に適した場所、 などがある。またサイトは農業地域であり、CO2 地中貯留は農業や他の土地利用に全く影響 を与えないことを実証するものでもある。 本プロジェクトのゴールは次のように設定している。 ・高い回収効率での CO2 分離回収 ・既設改造のコストの確認 ・今後に建設されるプラントコスト低減の検討 ・将来の商用機での性能とエミッションデータの取得 プロジェクトのスケジュールとしては次のようである。 ・2011 年 9 月 設計開始 ・2013 年 建設開始 ・2016 年 デモ試験開始 ・2020 年 商用運転開始 ・2045 年 発電ならびに CO2 注入終了 ・2095 年 注入後のモニタリングと閉鎖終了 図 2.4-2 Callide 発電所 酸素燃焼改造ボイラ 113 ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用の最新動向と地球環境問題 本発電所はレイアウトに余裕があり、ASU や CO2 液化設備もゆったりと配置されているが、 商用プラントでは更なるコンパクト性が要求されるだろう。 図 2.4-3 Callide 発電所 ASU ならびに CO2 液化設備 図 2.4-4 据え付け中の CO2 コンプレッサー (4)まとめ 酸素燃焼技術については、コストダウンは重要である。しかしボイラ、ASU、CO2 液化等の いわゆる“上物”は技術的にも確立されて来たが、発電所で分離回収された CO2 の大規模貯 留による CCS が、世界のいずれでも行われていないことが問題であると、多くの参加者が言 っていた。今後は CO2 の大規模地下注入を早期に実施し、ここで多くの経験を積み、さらな る技術的進歩を図ることが重要であると共に、CCS 全般に共通な課題である社会からの容認 をいかに得るかに注力が必要である。 2.4.2 催) 3rd Network Meeting for High Temperature Solid Looping Cycles 報告(IEA 主 (1)開催日、場所 2011 年 8 月 29 日-9 月 1 日 ウイーン工科大学 (2)概要 本会議の目的は、Ca 系固体媒体のサイクルを用いて、化石燃料の利用とともに高効率 CO2 を回収するケミカルルーピング技術に関して、国際交流を促進するものであり、これまでに 表 2.4-2 に示す会議の歴史がある。 今回は従来の反応場での CO2 吸収により反応促進の目的から高効率 CO2 回収に重点を移し、 また、本大会は金属系ケミカルルーピングの研究も応募しているため、発表件数は比較的に 多く、約 66 件があった。 114 ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 No JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用の最新動向と地球環境問題 時期 1 2004.9 2 3 2005.9 2007.6 4 2008.7 5 2009.9 6 2010.9 7 2011.8-9 8 2012 表 2.4-1 これまでの会議の歴史 場所 会議名 In-Situ CO2 removal gasification 産総研お台場、東京 (ICRG) Stuttgart 大学、ドイツ In-Situ CO2 removal (ISCR) CANMET、カナダ 3rd ISCR (2007) Imperial College ISCR-4 、イギリス High temperature solid looping CSIC、スペイン Oviedo cycles IEA-GHG network 2nd High temperature solid looping ECN、オランダ Alkmaar cycles IEA-GHG network オ ース トリア ウイ ーン 3rd High temperature solid looping 工科大学 cycles IEA-GHG network 北京清華大学 予定 今回は第 3 回 IEA ネットワーク(通算第 7 回ワークショップ)であり、オーストリアウイー ン工科大学で開催された。日本、カナダ、アメリカ、スペイン、ニュージーランド、ノルウ ェー、イギリス、ギリシャ、オランダ、オーストリア、オーストラリア、ドイツ及び中国か らの研究者約 106 人とウイーン工科大学の研究者数名が参加した。日本からは JCOAL の林石 英、新潟大学の清水先生が参加した。林が石炭ケミカルルーピング二塔 CFB の同圧高圧運転 条件についての研究結果を発表した。また、9 月 1 日の午前にウイーンバイオマス利用 CFB 発電所の見学会が行なわれた。 尚、次回は来年中国の北京清華大学で開催する予定である。 (3)プログラム プログラムは次のようであった。 表 2.4-2 ケミカルルーピング国際会議プログラム 115 ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用の最新動向と地球環境問題 . 116 ワールド・コール・レポート Vol.4 第2章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用の最新動向と地球環境問題 図 2.4-5 会議風景 (4)ワークショップ概要 ①EU CaOling プロジェクトに関する研究 もっとも研究発表が多かった分野である。CaOling プロジェクトの目的は 1.7MWCa ケミ カルルーピング CO2 回収パイロット試験を実施することであるが、建設遅延により試験 結果は発表されなかった。 しかし、関連するベンチスケール研究や実験室レベル研究として、長時間循環運転(10 日間)、粒子摩耗粉化、粒子反応性、共存ガス(水蒸気)の影響、粒子活性アップ(水 蒸気水酸化による)などの発表が行われた。 ②Ca ケミカルルーピングによる石炭など固体燃料のガス化 JCOAL、Stuttgart 大学、ウイーン工科大学、Cambridge 大学、スペインの CSIC から基 礎研究、Alstom からパイロット研究の発表があった。 ③CO2 吸収剤 天然石灰石の性能、水蒸気による活性復活および高活性で繰返し使用できる吸収剤の開 発について、カナダの CANMET、オランダの ECN、中国の清華大学等から発表があった。 ④Ca 系の変圧吸収法(Pressure Swing Cycling) オーストラリアの Queensland 大学、カナダの Columbia 大学、オーストラリア国立大学 などから発表があった。 117 ワールド・コール・レポート Vol.4 第3章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用プロジェクト動向 第 3 章石炭利用プロジェクト動向 3.1 低品位炭利用プロジェクト 3.1.1 二塔式ガス化炉(Twin IHI Gasifier, TIGAR) 二塔式ガス化炉プロジェクトは(株)IHI が進めている褐炭ガス化技術開発で、2004 年 度から基礎試験が開始された。図 3.1-1 に二塔式ガス化炉の開発経緯を示す。IHI 横浜工 場の 6t/日パイロット試験からインドネシアにおける 50t/日の実証プラントへ開発が進み、 現在プラントの建設が行われてる。 図 3.1-1 二塔式ガス化炉の開発スケジュール 図 3.1-2 二塔式ガス化炉の模式図 図 3.1-2 にガス化炉の模式図を示す。このプロセスは二段の流動床炉を持ち、前段が 118 ワールド・コール・レポート Vol.4 第3章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用プロジェクト動向 Steam 改質によるガス化炉、後段が燃焼炉となっている。本ガス化炉の特徴は、粒子が熱 媒体となること、常圧運転であること(フィードの昇圧が不要)、比較的低温の反応となる こと、総熱量が少なく済む事等で、燃料の汎用性が高く、特にバイオマスが利用しやすい ことがあげられる。実用機は 300~1,000 トン/日の規模となる。2014 年度にインドネシア で実用化を目指す。ガス化炉の水素濃度は約 50%であり、アンモニア(肥料)製造に向い ている。インドネシアの LNG の 7%がアンモニア製造に使用されており、その代替としての 用途が期待される。 3.1.2 褐炭熱水処理技術(Hot Water Treating, HWT) 褐炭の熱水処理技術 HWT(=Hot Water Treating)は日揮(株)で開発中の褐炭処理シス テムで、低品位炭を原料とすることが特徴で、低価格、低硫黄、低灰分褐炭が利用でき、 かつ低品位炭の欠点であった低発熱量、自然発火、低密度が克服できる有望な技術である。 図 3.1-3 に示す 300℃、12MPa の高温高圧下で熱水処理することで、褐炭を改質し、スラ リー化する技術である。技術のキーは流動性維持とスラリー安定性で、前者は粒度分布と 水分配合量、後者は添加剤を加えることにより達成される。 図 3.1-3 HWT 反応領域(左)、JCF(右)(出典:CCT ワークショップ 2011) 製品は密度が 1.2kg/L、動粘度が1Pas と重油なみの性状で流体燃料としての取り扱いが 可能。また発熱量は HHV で 4,000~5,000kcal/kg と原炭同等以上である。 褐炭埋蔵量が多いインドネシアに於いて NEDO 補助事業として、2011 年 11 月に 1000 ト ン/年のデモプラント完成予定、平成 26 年までの予定で実証試験を行う。現地パートナー は Sinarmas。商業化規模は年産 100 万トン規模としている。 図 3.1-4 HWT プロセスの商業化イメージ (出典:CCT ワークショップ 2011) 119 ワールド・コール・レポート Vol.4 第3章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用プロジェクト動向 3.1.3 褐炭コークス化 主要産炭国であるインドネシアでは石炭資源の約 6 割が未利用の低品位炭であり、石 油・天然ガスの国内生産減少を背景に、低品位炭の活用が課題になっている。NEDO(新エ ネルギー・産業技術総合開発機構)は、産炭国石炭開発・利用協力事業「産炭国共同基礎 調査コークス製造適用性評価(インドネシア)」を新日本製鉄、新日鉄化学、伊藤忠商事、 九州大学、新日鉄エンジニアリングに委託している。 委託内容は、インドネシア炭からのコークス製造技術の今後の見通しを把握し、コーク ス製造技術開発の可能性を検討することである。インドネシア炭からのコークス製造技術 開発の事業化に向けた可能性を検討するため、現状の鋳物用コークス製造技術の改善可能 性、インドネシア炭からの高炉用コークス製造及び周辺国を含めたコークス需要等の調査 を行っている。 低品位炭からの鋳物用コークス(成形コークス)製造技術の開発は、インドネシア政府エ ネルギー鉱物資源省の鉱物石炭技術研究開発センター(tekMIRA)等において研究レベルで 実施されている。我が国においても、成形コークス製造に関する知見(バインダー添加、連 続成形コークス製造等)を有する企業の知見を活かし、現状の品質面で問題のあるインドネ シアの成形コークスの品質改善の可能性を調査されている。調査項目は、 ・tekMIRA プロセスによる成形コークスの品質改善 -成形コークス用バインダーの選定 -評価用成形コークスの製造及び評価 ・成形コークスの用途開発 -鋳物コークス以外の用途に使用するコークスに必要とされる性状の調査 -各種用途のコークス製造プロセスに関する基礎的な検討 となっている。 また、インドネシアにおける原料炭の品質、資源量に関する情報収集を行い、高炉用コ ークス製造に適用し得る粘結炭性状及びその資源量が調査され、コークス製造用に適する と見られる石炭については、サンプル採取・性状分析が行われている。日本の高炉用コー クスを製造に関する技術・知見を活用し、入手した原料炭情報から、使用可能なインドネ シア原料炭を選定し、高炉用コークスの製造可能性を調査する。製造コスト目標値は、成 型コークスで4万円/t-coke 以下 (2009 年コークス市況価格)、バインダーで4万円/ t-binder 以下 (2009 年タール市況価格)としている。 3.1.4 IGCC 輸出インフラ ① 低品位炭による IGCC 事業化の展開 図 3.1-5 に示す通り、低品位炭では USC よりむしろ IGCC を使用したほうが発電コストが 安くなるという試算もあり、IGCC を安価な低品位炭利用で商業化を実現するための FS が 実施されている。 120 ワールド・コール・レポート Vol.4 第3章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用プロジェクト動向 図 3.1-5 炭種の違いによる発電コストの試算(出典:CCT ワークショップ 2011) その主な理由は、ガス化反応炉と通常の発電用燃焼ボイラを同じ発電容量で比較した場 合、瀝青炭と褐炭の炭種によるボイラ容積の差が、燃焼用ボイラでは 2 倍となるところが、 IGCC ガス化炉では 1.06 倍で済むと試算されているためである。また、低品位炭をガス化 することにより、発電だけでなく化学原料を製造できるというメリットがあり、化学工業 分野への展開も考えられるからである。 3.1.5 ECOPRO ECOPRO ( Efficient Co-Production with Coal Flash Partial Hydro-pyrolysis Technology ,ECOPRO)とは、適度な加圧(2~3MPa)かつ水素雰囲気下で微粉炭を瞬時に反 応させ、化学原料および燃料としての軽質オイルを併産しつつ、発電や化学原料等への展 開が容易な合成ガスを一つの炉から高効率に得ることを目的とした新しい石炭転換技術で ある。 従来の水素化熱分解技術である石炭水添ガス化技術のように極めて厳しい反応条件(高 圧、高温、高水素濃度)を必要としないため、設備の簡素化および水素使用量削減による 省コスト、高効率化が実現可能である。 また、石炭急速熱分解技術(多目的石炭転換技術=通称 CPX)は主として製鉄所への適 用(COG 代替ガス、タール、チャーの生産)を想定した低圧プロセスであったが、本技術 は高圧プロセスであることから、製品として回収されるガスの使用用途拡大、タールの軽 質化による付加価値向上が期待できる。 図 3.1-6 ECOPRO システム概要 121 ワールド・コール・レポート Vol.4 第3章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用プロジェクト動向 図 3.1-6 に本技術のプロセスフローを示す。石炭部分水素化熱分解炉は、スロートで直 結した 2 つの反応部(部分酸化部と改質部)からなり、各々の反応部に石炭を吹き込みそ れぞれ部分酸化反応と熱分解・改質反応を行わせる。下段の部分酸化部では、微粉炭およ びリサイクルチャーを酸素、スチームによって圧力 2~3MPa、温度 1,500~1,600℃でガス 化し、CO および H2 を主成分とする高温ガスを発生させる。部分酸化部とスロートで直結し た改質部には、微粉炭をリサイクル H2 と共に部分酸化部からの高温ガス流に吹き込み、圧 力 2~3MPa、温度 700~1,100℃、水素濃度 30~50%程度(高温ガス中 H2 とリサイクル H2 を合わせた値)、ガス滞留時間 1~2sec の条件下で改質反応(部分水素化熱分解反応)を瞬 時に完了させる。 また、部分酸化部からの高温ガスは改質部における所要反応熱の供給源としても機能す るため、改質部出口ガス温度は部分酸化部出口ガスより 500~800℃低下する。改質部では 微粉炭から放出された熱分解一次生成物に水素を移行させる水素化反応が in-situ で進行 し、油分は重質なタール状物質を形成せず軽質オイルが得られる。部分水素化熱分解炉に おいて生成したガス、軽質オイル、チャーはサイクロンにおいてチャーを分離後、顕熱回 収し、オイル回収および脱硫等のガス精製を経て、合成ガス(Syngas)となる。合成ガス の一部はシフト反応、脱炭酸(CO2 回収)によって H2 リッチガスへ転換され、生成合成ガ スとの熱交換による予熱後、部分水素化熱分解炉の改質部へリサイクルされる。最終的な 製品合成ガスは、H2、CO、CH4 を主成分とす H2/CO≒1 程度の高水素含有ガスであり、発電 (IGCC)や燃料ガス、燃料合成(GTL 等)や化学(メタノールやアンモニア合成等)原料 等の原料ガスとして利用される。また、軽オイルはベンゼン、ナフタレン等の 1~2 環の芳 香族化合物を主成分とし、化学原料あるいは発電燃料として利用される。 現在、経産省補助事業として、新日鉄エンジニアリング(株) 、千代田化工建設(株)の体 制で開発が進められており、H22 年度から豪州 VIC 州での実証事業化を図るため、同州政 府・連邦政府と共同で Pre-FS を実施中である。2011 年の CCT ワークショップでの発表に よると、2012 年度までに FS 及び設計を行い、2013 年度から 200~300 トン/日の建設に着 手の予定となっている。 図 3.1-7 ECOPRO システム実用化までのスケジュール 122 ワールド・コール・レポート Vol.4 第3章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用プロジェクト動向 3.1.6 褐炭乾燥システム研究開発 低品位炭は水分含有量が多いことから(褐炭で 50%超) 、その乾燥に伴う熱損失により、 発電プラントの効率は 30%程度と低く、CO2 発生量も排出原単位 1.2~1.6 kg-CO2/kWh(瀝 青炭焚の約 1.5~2 倍相当)と高い状況にあり、有効活用に際して克服すべき大きな課題 となっている。 従来の褐炭焚き火力発電プラントでは、褐炭の前処理として、ボイラ燃焼ガスを一部抜 き出して褐炭と混合させ、ビーター・ミルで破砕及び乾燥する方法を採用している。この 方式では、ボイラの高温ガスの利用により、高水分炭を乾燥することは可能であるが、排 ガスによるエネルギー損失増加によりボイラ効率が低下する。 本研究では経産省の補助事業として三菱重工/JCOAL で実施しているもので、瀝青炭・亜 瀝青炭焚きで確立した IGCC 技術に、高効率の褐炭乾燥技術を組合せることで、超高効率 褐炭焚きプラントを実現し、IGCC をはじめ他のガス化技術へも応用することを目指してい る。褐炭の高効率乾燥システムを図 3-1-8 に示す。 図 3.1-8 褐炭乾燥システム想定図 本システムの実用化に向けて、①ベンチスケール試験装置による乾燥技術の開発、およ び②褐炭性状と高効率乾燥システムへの適用性調査、を実施している。 平成 24 年度は、10t/d のベンチスケール試験装置による試験が実施されている。 3.1.7 褐炭熱分解利用 ビクトリア州褐炭のガス化を基幹とする高度利用技術国際連携研究(平成 22、23 年 度)(九州電力(株)、九州大学、 [再委託先]JCOAL)(共同研究相手国/相手先:豪州/モナッ シュ大学)として、豪州ビクトリア州に大量に賦存する褐炭の高度利用を図るため、乾燥、 燃焼、ガス化/発電技術に対して、褐炭の高反応性を有効に利用する流動層ガス化の技術的、 経済的可能性、褐炭エネルギー・化学コンプレックス事業の可能性について CCS を含めて 評価することを目的として、以下の調査が実施されている。 ①褐炭の基本特性の把握・プロセス開発 褐炭の乾燥特性、チャーガス化特性の取得。プロセスシートの原案作成。 123 ワールド・コール・レポート Vol.4 第3章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用プロジェクト動向 ②CCS レディー褐炭ガス化/発電技術における可能性評価 褐炭乾燥及び流動層ガス化/発電プロセスの概念設計。現地調査による褐炭利用状況等調 査。 3.1.8 褐炭ガス化水素製造 図 3.1-10 CO2 フリー水素チェーンコンセプト(出典:川崎重工業ウェブサイト) 低品位炭起源の炭素フリー燃料による将来エネルギーシステムの実現化に関する調査研 究(平成 22、23 年度)(川崎重工業(株))(共同研究相手国/相手先:豪州/HRL、CSIRO、 CO2CRC)は、石炭ガス化技術や CCS 関連の知見等を活用した日豪共同研究を行うことによ り、石炭火力を発生源とした日本型 CCS の早期確立への寄与を目指すとともに、炭素フリ ーのクリーン燃料である水素利用による将来エネルギーシステムの実用化を目指すことを 目的としている。 褐炭ガス化要素試験及び CO2 分離・回収試験の各種要素試験と全体システムの最適化検 討に基づき、2017 年までに実証試験、2025 年の運用開始を目指している。 124 ワールド・コール・レポート Vol.4 第3章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用プロジェクト動向 3.2 リノベーション事業(インド、インドネシア) リノベーション(Renovation)事業とは、海外の既設石炭火力発電所に対し日本の優れ たクリーンコール技術を導入し、効率改善、環境負荷改善を図ることで低炭素化に寄与す ることを目的としている CCfE(Clean Coal for the Earth)事業の一環である。本事業は 2009 年度に石炭火力発電の容量・比率ともに高い中国にて開始した。中国事業については 専門家を派遣、設備診断を行い、結果のフォローアップの段階に移行しているため、本項 では、現在事業が進行中のインドおよびインドネシアでの活動を取り上げる。 (1)インド事業 2011 年 8 月現在のインド国内の発電容量は 181,558.12MW で、そのうち 65.2%に当たる 118,409.48MW が火力である。火力 65.2%の内訳は石炭 54.8%、ガス 9.8%、ディーゼル 0.77% となる。火力以外では水力 38,206.4MW(21.1%)、原子力 4,780MW (2.6%)、再生可能エネル ギー20,162.24 (11.1%)であり、石炭火力が電力供給の中心である。 2010-2011 年の総発電量は 811,430MWh であり、 火力 81.95%(石炭火力 66%)、水力 14.08%、 原子力 3.23%、ブータンからの輸入 0.69%となっている。設備容量以上に火力、とりわけ石 炭火力の依存度が高い。このような現状に鑑み、インドでは設備容量を 2030 年までに 700,000MW まで増設する計画を立てている。特に 660MW/800MW ユニットで建設されるウル トラメガパワープロジェクト(UMPP)に期待されているが、一方既設の石炭火力ユニット は 210MW および 500MW クラスが多く、ベースロードとなるこれら既設ユニットの R&M(Renovation and Modernization)による延命対策も容量増と並んで重要な施策と位置付 けられており、今後 5 年間で約 30,000MW の設備が改造・延命化が必要とされている。 ①インド設備診断事業の経緯 2010 年度事業は、インドの既設石炭火力発電設備の効率・環境負荷改善に対して中国で 実施してきた設備診断活動手法の適用性を確認するとともに、その手法により予備的な診 断を行うためにインド国内における石炭火力発電所の R&M,LE(Life Extension)計画を統括 するインド中央電力庁(Central Electricity Authority, CEA)と、予備調査事業に関す る MOU を締結した。 ②インド設備診断事業の実施状況 CEA が策定した第 11 次及び第 12 次 R&M 計画ロングリストの中から、 1)NTPC Andhra Pradesh 州 Ramagundam 発電所(2,600MW、NTPC)ユニット 5 2)APGENCO Andhra Pradesh 州 Vijayawada 発電所(1,760MW、APGENCO)ユニット1 3)GSECL Gujarat 州 Wanakbori 発電所(1,470MW、GSECL)ユニット を予備診断ユニットとし、2010 年 11 月~12 月にかけて日本専門家診断チームを派遣し予 備診断を行った。並行して発電所で採取したサンプルおよび、訪問聞き取り調査により、 インド高灰分炭の品質動向分析を行った。 ③成果 本予備診断により、中国事業における設備診断手法がインドにおいても有効に機能する ことを確認できた。また、予備診断における改善提案としては、予防保全・目標管理等日 本型 O&M 技術の導入による計画外停止の低減、エアヒータエレメント改良による熱回収効 率改善、LMZ 製タービンを使用している Vijayawada、Wanakbori 両発電所のタービン改造 による蒸気使用効率向上及び出力増加、移動式電極方式の電気集塵機導入による集塵効率 向上等があげられる。特に後者 2 点は日本の優れた CCT 技術をインド市場に展開する緒と 125 ワールド・コール・レポート Vol.4 第3章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用プロジェクト動向 なる可能性が開けた点で本予備診断事業の大きな成果と考えられる。これらは発電所及び 発電所所有電力公社側でも強い関心を示している(図 3.2-1、図 3.2-2 参照)。 図 3.2-1 石炭及び CO2 削減 期待効果 図 3.2-2 煤塵濃度改善 期待効果 ④2011 年度の実施内容 2011 年度は昨年度結果に基づく本格診断を実施中であり、インド側と協議の結果、昨年 度からの継続診断 2 か所、新規発電所の診断1か所、合計 3 箇所で合意している。特に継 続診断を行う 2 発電所は先方の定期開放点検に併せて診断専門家を送り詳細診断を実施す る。本年 5 月に CEA と合意した以下の対象発電所 3 ヶ所で実施中である。 1) NTPC Bihar 州 Kahalgaon 発電所 新規 2) APGENCO Andhra Pradesh 州 Vijayawada 発電所 継続 3) GSECL Gujarat 州 Wanakbori 発電所 継続 (2)インドネシア事業 インドネシア共和国は人口約 2.3 億人(2009 年度インドネシア政府推計)で GDP の成長 率は 2003 年から 2008 年までは 4~6%、2009 年度は世界金融・経済危機があったにもかか わらず 4.5%、2010 年度も堅調な成長を維持し、6.1%の成長を達成した。今後も毎年 6% 程度の経済成長が予想されている。これに伴いエネルギー需要も急激に伸び電力需要は毎 年 9%程度で増加するものと推定されている。電力不足が顕在化しているインドネシアで は、政府が 2006 年 7 月に第一次クラッシュプログラムを、2010 年 1 月には第 2 次クラッ シュプログラムを策定した。第 1 次はすべて石炭火力であり、総計約 10,000MW、35 の発電 所を計画。緊急電源開発及び脱石油政策を目的とした。第 2 次クラッシュプログラムは総 計 10,547MW、石炭火力は 40%(4,164MW)である。緊急電源開発、電源の多様化、再生可能 エネルギー導入を目的としている。本計画では、国内の総発電容量を 2010 年の 34,476MW から 2019 年には 85,804MW まで増加させる計画を有しており、その中でも石炭火力発電の 伸びは高く、結果、総発電容量に占める石炭火力発電の発電容量のシェアは 2010 年の 44% から 2019 年には 52%と増加する見込みである。第一次クラッシュプログラムでは、資金的 あるいは技術的トラブルのため、現在においても十分に稼働していない発電所が多いため、 第 2 次クラッシュプログラムにおいてはインフラ全般の民間投資を促進するため PPP (Public Private Partnership)事業を推進している。この政策のもと、発電量に占める 石炭の割合は表 3.2-1 に示す通り、2010 年の 50%に対し、2020 年には 64%まで上昇する見 込みである。 126 ワールド・コール・レポート Vol.4 第3章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用プロジェクト動向 表 3.2-1 燃料別発電量構成の予測(出典:RUPTL2011-2020 ) 註:Batubara=石炭 このような背景の中で、インドネシア政府は、新たな石炭火力発電所の建設のみならず、 低効率で運転されている既設発電所の高効率化及び環境改善も重視しており、本設備診断 事業の実施により、我が国から関連の技術・知識が移転され、インドネシアの既設石炭火 力発電所の効率向上および環境改善に繋がることが期待されている。 ①インドネシア設備診断事業の概要 日本にとっての主要産炭国であり、石炭火力発電関連企業(電力、重電)からの関心が 高いインドネシアにおいて、本年度より中国、インドの診断事業の知見を生かした展開を 開始した。開始に先立ち、カウンターパートして PLN、インドネシア・パワーと本年7月 に其々MOU を調印し事業を進めた。本格診断と併せてこれらの結果に基づく改造を実現さ せるための日本側クリーン・コール技術の紹介を行うワークショップ、成果報告会、日尼 共同年次会議を年度後半に実施している。 ②インドネシア設備診断事業の実施状況 予備調査は、当初インドネシアパワースララヤ発電所と PJB パイトン発電所を候補とし、 最終的にインドネシア・パワーのスララヤ発電所を対象とすることを決定し予備調査を実 施した。調査結果を基に診断ユニットをユニット#5 に絞り込み、10 月に日本より専門家設 備診断チームを派遣した。 診断は設備の効率改善、環境負荷低減と設備の延命更には将来の設備の運用性を検討評 価するために、設計仕様を示す設計図書資料を入手し現状の運転・管理・保守の状況を資 料入手とヒアリングにより調査するとともに性能試験を実施した。運用性の向上のための 高硫黄石炭使用対策を含めた脱硫設備の設置、脱硝設備及び排ガス中の有害微量成分(水 銀等)対策についても検討、計画外停止を最少化するための改善等が提案されている。 127 ワールド・コール・レポート Vol.4 第3章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用プロジェクト動向 3.3 エコ・コール・タウン事業 ①エコ・コール・タウン(ECT)とは エコ・コール・タウン(ECT)は低炭素・資源循環型炭鉱地域の形成を目指したマスター プラン作りを我が国の様々なクリーン・コール技術(CCT)を適用して作成することを支援 しようとするもので、マスタープランの作成を通して、日中双方の企業の Win-Win の協力 を後押しすることを意図している。JCOAL としては、本事業を通して、日本の CCT に係る メーカの設備製造技術、及び運用システム技術等を海外に普及することを促進し、環境改 善、低炭素社会の推進に寄与する旨である。図 3.3-1 にエコ・コール・タウンの概念図を 示す。 図 3.3-1 エコ・コール・タウン概念図 また、ECT を構成する技術は、図 3.3-2 に示すように、エネルギー供給、コークス関連、 石炭化工、再資源化、の 4 分野から成っている。 128 ワールド・コール・レポート Vol.4 第3章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用プロジェクト動向 図 3.3-2 ECT を構成する日本の技術 これらの技術群の中から、各炭鉱地域のニーズにマッチングした技術を最適に組み合わ せる必要がある。電力、ガス、熱等のエネルギー供給では、特に炭鉱メタンガスの増進回 収(ECMM)や、メタン濃縮、発電利用を検討中である。コークス関連では、CDQ、CMC、ACCS 等の日本の優れた省エネ技術の適用が考えられる。ガス化を核とする石炭化工では、クリ ーン燃料製造や省エネ技術、再資源化では、石炭灰やスラグの有効利用や、ボタ・選炭ス ラッジ等による廃棄物発電、石炭生産・利用工程で発生する排水処理技術を対象としてい る。ECT 事業を構成する省エネ・環境・再資源化・運用管理等の日本技術の更なる構築が 必要であるが、中国国内でも類似技術を保有しているケースがあり、日本技術の優位性の 見極めと知財保護が重要課題である。 中国の炭鉱地域の現状をエネルギー消費や環境負荷の観点から把握し、省エネや GHG 排 出削減等を含む全体目標を設定する。炭鉱地域のニーズに合った日本のどの技術をどのタ イミングで導入していくか、また導入した場合の省エネ効果や CO2 排出削減効果などを積 算していき、全体目標を達成するためのマスタープランを策定していく予定である。 ③陝西煤業化工集団公司におけるマスタープラン 同集団は、省内の石炭資源の優位性を発揮し、スクラップ&ビルドによる産業構造の高 度化調整を推進し、石炭採掘から化工・転換利用までを一体化するため、2004 年 2 月に陝 西省政府が許可のもと設立された大型石炭企業で、事業は、石炭採掘、石炭販売、石炭加 工と総合利用、石炭研究等である。2010 年の石炭生産量は1億トンを超え、中国炭鉱企業 トップ 100 社の5位である。同年の売上げは 321 億元で、石炭企業トップ 100 社の 17 位で ある。石炭は一般炭と原料炭であり、埋蔵量は約 34 億トンである。石炭化工・高度化利用 については、 「十二・5」期間中に 1,456 億元の投資を予定しており、循環経済理念に基づ き、大型化・効率化によって企業発展を目指している。 図 3.3-3 に陝西煤業化工集団公司の主要炭鉱地域(彬長、神木、韓城、黄陵)の位置関係 129 ワールド・コール・レポート Vol.4 第3章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用プロジェクト動向 を示した。西安の最北から神木、黄陵、西北に彬長、東北に韓城の各炭鉱地域が位置して いる。 図 3.3-3 陝西煤業化工集団公司の主要炭鉱地域(彬長、神木、韓城、黄陵) JCOAL は一昨年及び昨年の第 5 回日中省エネルギー環境総合フォーラムで締結した中国 煤炭工業協会(CNCA)との協力覚書(MOU)をもとに、本事業を実施しており、昨年来、中 国の石炭大手会社 3 社に対して現地調査を行った結果をもとに諸要素を検討比較し、陝西 煤業化工集団をマスタープラン作成の最初の対象地域とすることで合意した。 具体的には、 ①窒素注入によるマ炭ガス増進回収(ECBM) ②セミコークス用 CDQ への改造や COG 脱硫の設置、及び余剰 COG の用途開拓 等について検討される予定である。 130 ワールド・コール・レポート Vol.4 第3章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用プロジェクト動向 3.4 石炭転換技術(石炭ガス化、液化技術動向) (1)石炭ガス化技術動向 ①中国石炭化学工業の現状 豊富な石炭資源を利用し、中国では以前から小規模でアンモニア等化学製品を製造して いた。1990 年代の Lurgi と GE ガス化炉、2000 年代の Shell ガス化炉等海外大型ガス化技 術の導入をきっかけに、石炭から化学製品を製造するプラントの規模は大型化した。 また、海外ガス化技術の輸入を起爆剤として、国産の大型ガス化技術の開発も 2000 年以 後に急ピッチで実施してきた。表 1 は 2009 年に中国における石炭から主な化学製品の生産 能力及び生産量を示す。表中のアンモニア、コークス、カーバイド、メタノール及び酢酸 の五つ化学製品の製造は中国で伝統石炭化学工業である。海外などの大型ガス化技術を採 用した 2000 以降から伝統石炭化学製品の生産能力が急速に増加した。しかし、2008 年の 国際金融危機、消費低迷の影響を受け、アンモニアを除いて他化学製品製造プラントの稼 働率が低くなり、2009 年のメタノールプラントの稼働率は約 35.4%に過ぎなかった。 表 3.4-1中の DME、石炭直接/間接液化、MTO/MTP、SNG、エチレングリコール等 6-11 項 目の化学製品の製造は中国で新型石炭化学工業である。これら製品の製造は従来石油系原 料を採用するものが多かったが、近年の国際石油価格の高騰及び 2008 年金融危機の影響を 受け、自国の安価な石炭資源を利用し、より低コストで化学製品を生産する新型石炭化学 工業が発展している。 図 3.4-1は最近、実証あるいは建設されている新型石炭化学工業プラントの位置関係及 び規模を示す。神華集団の石炭直接液化プラント、神華集団の石炭ガス化間接液化プラン ト、神華集団包頭の石炭ガス化 MTO プラント、神華寧煤の石炭ガス化 MTO プラント、大唐 集団の石炭ガス化 MTP プラント、大唐集団の赤峰及び阜新石炭ガス化 SNG プラントなど、 神華集団と大唐集団のプラントが新型石炭化学工業実証プラントの大半を占める。そのほ かに、中石化集団及びエン鉱集団の石炭ガス化 MTO、中電投集団、新紋鉱業集団及び慶華 集団の石炭ガス化 SNG、伊泰集団及び潞安集団の石炭間接液化等の実証プラントがある。 表 3.4-1 2009 年、中国石炭による化学製品製造の生産能力、生産量及び稼働率 1,2 生産能力 生産量 稼働率 No. 分類 製品名 [万 t] [万 t] [%] 1 2 3 4 5 6 従来 型 石炭 化学 工業 7 8 9 10 11 新型 石炭 化学 工業 コークス カーバイド アンモニア メタノール 酢酸 DME 45,000 2,200 5,959 3,200 450 823 35,300 1,503 5,136 1,133 272 230 78.4 68.3 86.3 35.4 60.4 27.9 直接液化油 100(実証) 約 10 - 間接液化油 55(実証) 約7 - MTO/MTP 158(建設) 0 - SNG 96 億 m3(建設) 0 - エチレングリコール 120(建設) 0 - 131 ワールド・コール・レポート Vol.4 第3章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用プロジェクト動向 中 電投 集? 伊犁 石 炭ガ ス化 S N G プロ ジェク ト 2 0億 m 3 /y (試 運転 2014 ) 新 ? 鉱 業集 ? 伊 犁 石 炭ガ ス化 S N G プロ ジェ クト 1 00億 m 3/y (試 運転 201 3) 慶華 集団伊 犁 石炭 ガス化 SN G プロ ジェ クト 55億 m 3/y (試運 転201 2) 神 華寧 煤集 団銀 川 石 炭ガ ス化 M TPプ ロジ ェク ト P P 5 0万t/y (試 運転 2010 .12 ) エン 鉱集団 オル ドス 石炭 ガス化 M TO プ ロジェ クト (PP + PE) 6 0万t/y, 神華 集団 オルド ス (試運 転20 12) 大 唐集団 多倫 石炭 直接 液化1 00万 t/y 石 炭ガス 化 (試運 転20 09) M TP プロ ジェ クト P P 46 万t/y 神 華集 団包 頭 (試 運転2 011.6) 石 炭ガ ス化 M TOプ ロジ ェク ト P E 30 万t/y, PP 30 万t/y (試 運転 2010 .8) 大 唐集 団阜新 石 炭ガ ス化 SNG 40 億 m 3 /y (試 運転 2013) 大唐 集団 赤峰 石炭 ガス 化 S NG 40億 m 3/y (試運 転2 012) 神 華集 団オ ルドス 石 炭間 接液 化18万 t/y (試 運転 2009 ) 伊泰 集団 オル ドス 石炭 間接 液化 16万 t/y (試 運転2 009) ? 安 集団 ? 安 石炭 間接 液化 21万 t/y (試運 転2 009) 中石 化集 団濮 陽 石炭 ガス 化 (P P+P E) 60万 t/y, (試運 転2 012) 図 3.4-1 2011 年 6 月まで試運転、建設している新型石炭化学工業プラント ③中国「十二次五カ年計画」の石炭化学工業の発展動向 「国民経済と社会発展第十二次五カ年計画要綱」には、化学製品製造原料の多様化、下 流化学製品製造の展開、石炭 SNG、石炭液化及び石炭併産技術を開発と実証、資源が多く 環境容量が大きい中西部への大型プロジェクトの優先建設等の項目が書き込まれている。 今後、新型石炭化学工業の普及、古い中小技術の廃止によって、石炭化学工業の省エネ、 環境保全、水資源節約、廃棄物総合利用及び CO2 排出削減等の技術力をアップし、競争力 を強化する。化学製品別の技術動向は以下のように予測されている。 ・コークス:生産量を制限しながら、新技術を導入し、コークス炭産地及び鉄鋼メーカ地 域に大型環境保全タイプのコークス生産基地を建設する。 ・カーバイド:生産量を制限、技術革新を行い、資源地にカーバイド生産基地を建設す る。 ・メタノール:生産量を制限、生産技術革新を行い、中西部にメタノール及び下流化学 製品事業の展開を奨励する。 ・DME:DME の輸送問題を考慮し、華東、華南等市場のある地域に立地する。 ・石炭 MTO/MTP:いくつ実証プラントの運転を実施し、安定運転、設備の国産化、分離 技術の産業化、高効率、省エネ、水節約、環境保全などを考慮した新型石炭化学プラ ントの開発を行う。 ・石炭液化:実証プラント成果を十分に評価した上、国産技術のある間接液化技術の大 型実証試験と反応器の開発を実施する。 ・石炭 SNG:石炭ガス化 SNG プラントの建設を加速し、他の大型石炭化学プラントの実 証経験を生かして SNG プラントの実証試験を実施する。石炭の輸出が困難、又はパイ プライン整備のある地域に優先的に SNG プラントを建設する。 132 ワールド・コール・レポート Vol.4 第3章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用プロジェクト動向 ・石炭エチレングリコール:現在の 20 万 t/y 実証プラントの長時間安定運転を目指し て試験を実施し、成果を得て経済性及び環境性を評価する。 ・石炭化学併産及び石炭ガス化併産:海岸近く経済が発達地域に石炭化学併産及び石炭 ガス化併産プロジェクトを実施し、水素、CO、合成ガス、電力、化学製品などのコン ビナートを建設する。 一方、石炭化学製品製造工業の発展に伴い、石炭化学工業の中核技術とした石炭ガス化 の技術更新も加速されると予測される。2010 年のガス化炉の総容量は約 421 kt/d であり、 その大半は間歇式固定層など旧式ガス化炉(290 kt/d)であるが、予測として 2020 年にその ほとんどが噴流層等大型ガス化技術に更新される。また、新型石炭化学工業が順調に伸び れば、新設ガス化炉を含めて、2020 年の大型ガス化炉の総容量は約 1,527 kt/d になる。 (参考文献) 1.「中国石炭化工業“十二五”―低炭素発展戦略研究」、熊志建ら、河南化工、Vol.27, No.9, 2010 2. 「石炭化工業“十二五”発展分析」、劉延偉、化学工業、Vol.28, No.10, 2010 3. 「“十二五”石炭化学工業の構造調整及び助言」、劉延偉、化学工業、Vol.29, No.6, 2011 4. 「現代石炭化学工業の発展モデル」、張愛英、河北化工、Vol.34, No. 5, 2011 5. 「現代石炭化学工業基地の発展モデル及び実例分析」、周麗ら、現代化工、Vol.27, 2007.11 6. Proceeding of second international symposium on gasification and its application、 ISGA 2010.12 (2)石炭液化技術動向 ①直接液化 神華集団石炭直接液化の実証設備は 2005 年 4 月から建設し始め、2008 年 5 月にすべて の工事(54 ユニット)建設が終了した。2008 年 12 月 30 日から液化実証試験が開始し、2010 年 6 月 30 日まで 5 回の運転を実施し、計 4182 時間の実証試験を実施した。5 回の実証試 験から計 44 万トンの油製品等化工製品を製造し、ほぼ設計値に近い運転指標を得た。 図 3.4-2 設備全景 (出典:Sustainable Coal Utilization Summit 2011、新華資料) 神華集団の石炭水添直接液化においては、北京石炭化学研究院によって開発されたナノ 133 ワールド・コール・レポート Vol.4 第3章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用プロジェクト動向 水和鉄(FeOOH)石炭液化触媒が使用されている。また、設備として、強制循環ポンプ付懸濁 層直接液化反応器(φ4.8m)、水素製造のための石炭ガス化は Shell ガス化炉が採用されて いる。 表 3.4-3 に試運転の経過を示す。試運転のデータから経済性を試算した結果、液化油の 生産コストは約 47.85 ドル/バレルと報告されている。また、2010 年度の運転実績は、石 炭転換率 90.94%、液化油収率 56%、累計生産量 38 万トン、売上 23 億元であった。製品と しては、軽油、ナフサ、LPG、等で国内規格に合致した製品の出荷がなされている。 時間 2008/12/30 -2009/1/12 実証 1 回 目 2009/8/31 -2010/6/30 2-5 回目 2010/7/15 ~ 6 回 目 表 3.4-3 神華石炭直接液化実証運転経過 試運転経過 負荷 生産品 スタート 1/3 約 3 時間後から 2/3 9 時間後から 3/3 石炭スラリー 420t/h 24 時間からフル運転 3/3 ナフサ、軽油等 303 時間に計画停止 この期間に 4 回の試運 転を実施した。 累計運転 3865 時間、 2010 年上半期に軽 最大連続運転 1501 時間 油 11.3 万トン、ナ 石炭転換率 91%、 フサ 5.7 万トン、 製品収率約 57% LPG 2.1 万トン、フ 2010 年上半期運転 2702 ェノー ル類など合 時間、稼働率約 72.63% わせて計 20 万トン 触 媒 添 加 を生産した。 Fe/Coal=0.01wt/wt 売上 10 億元以上 液化装置の安定運転を 実施 トラブル 減圧塔熱量 不足、微粉炭 オンライン 計量困難、 触媒脱水能 力不足 Shell ガス化 装置の長時 間運転がで きず、負荷は 設計の 90% ②間接液化 表 3.4-4 に中国における石炭間接液化プラントの建設及び計画状況を示す。試運転をす でに開始した 4 か所以外に、エン鉱集団の間接液化及び神華寧煤/Sasol 間接液化の計画が ある。 2009 年に中国では 4 件の石炭間接液化プラントが運転開始した。内モンゴルにある神華 集団の油製品 18 万トン/y 間接液化プラント、内モンゴルオルドス市にある伊泰煤制油有 限責任公司の油製品 18 万トン/y 間接液化プラント、山西長冶にある潞安煤鉱集団の油製 品 16 万トン/y 間接液化プラント及び山西晋城にある晋城煤業集団のメタノールからガソ リン合成プラントがある。 伊泰間接液化プラントは 2009 年 3 月 15 日から試運転を開始し、3 月 27 日に油製品を製 造した。その後、8 月 21 日から第 2 回目の試運転を開始し、9 月 17 日に油製品の生産に成 功した。現在はほぼ全負荷で運転し、油の生産量は約 500 トン/d になっている。伊泰間接 液化は山西煤炭化学研究所のスラリー床 FT 合成技術及びスラリー石炭ガス化炉を採用し ている。この実証試験が成功すれば、伊泰煤制油有限責任公司は、油製品 500 万トン/y に 生産を拡大する計画がある。 134 ワールド・コール・レポート Vol.4 第3章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭利用プロジェクト動向 潞安間接液化プロジェクトは山西煤炭化学研究所のスラリー床 FT 合成技術及び加圧ル ルギガス化技術を採用している。2009 年 7 月 7 日から試運転を開始し、7 月 10 日に油製品 の生産に成功した。潞安煤鉱集団は今後 300 万トン/y 油製品に拡大したいと考えている。 また、晋城煤業集団は高灰融点炭の無煙炭を山西煤炭研究所の灰溶聚流動層ガス化炉で まずガス化し、メタノールを合成してから、さらにメタノールからガソリンを合成すると いう液化方法を採用しており、2009 年 6 月に石炭ガス化ガスからメタノール、メタノール からガソリンへの合成を成功した。 企業 神華集団 伊泰集団 潞安集団 晋煤集団 エン鉱集団 神 華 寧 煤 /Sasol 表 3.4-4 中国における石炭液化プロジェクトの進捗状況 場所 直接液化/ 技術提供 規模 ガス化技 間接液化 術 内モンゴル 間接液化 山 西 煤 炭 化 学 18 万トン/年 不明 研究所 内モンゴル 間接液化 山 西 煤 炭 化 学 16 万トン/年 GE スラリ 研究所 ー 山西 間接液化 山 西 煤 炭 化 学 16 万トン/年 ルルギ 研究所 山西 間接液化 山 西 煤 炭 化 学 10 万トン/年 灰溶聚 メ タ ノ ー 研究所 ル/ガソリ ン 陝西楡林 間接液化 エン鉱集団 100 万トン/年 不明 寧下 間接液化 Sasol 300 万トン/年 不明 運開 2009.12 2009.3 2009.7 2009.6 FS 完成 FS 参考文献:The 6th Clean Energy Forum: Clean Coal 2010, 2010.1, Tianjin China. 他 135 ワールド・コール・レポート Vol.4 第4章 第4章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭分野における国際協力 石炭分野における国際展開 4.1 多国間協力 ① アジア太平洋石炭セミナー(APEC 石炭セミナー) APEC(アジア太平洋経済協力会議)の EWG(エネルギー作業部会)の下に位置する 5 つの 専門家会合グループの 1 つである EGCFE(化石エネルギー専門家会合(議長:米国)の主 要な国際会議である APEC 石炭セミナー(APEC Clean Fossil Energy Technical and Policy Seminar)が、APEC 域内の主要石炭生産地域及び消費地域の官民関係者を集め、 石炭政策と需給及び CCT 等について情報交換を行い、石炭需給の安定化及び CCT 普及 促進を図ることを目的として実施されている。 最初の具体的な活動は、1994 年にアジア太平洋石炭セミナー(当初は APEC コールフ ローセミナー)が東京で開催され、その後毎年 APEC 域内の国・地域で開催されている。 <APEC 石炭セミナー2012:2012 年 2 月 22 日~24 日、豪州ゴールドコースト> 平成 24 年 2 月 22 日(水)~24 日(金)の 3 日間に亘り、平成 23 年度 APEC 石炭セ ミナーが開催され、JCOAL は APEC EGCFE の公式事務局として、経産省石炭課のもと、 豪州連邦政府の開催支援を行った。 セミナーは、2 日間の会議と最終日の見学会(参加者 61 名、見学先 CSIRO QLD セン ター)である。参加者は総勢 140 名、国際機関として、IEA、GCCSI の2機関、14 カ国 (米国、豪州、日本、インドネシア、フィリピン、タイ、マレーシア、中国、韓国、 台湾、パプアニューギニア、インド、オランダ、南アフリカ)が参加した。 内容は、APEC 加盟国地域の石炭需給動向及び石炭政策、また、最新の技術の情報交 換(CCS、LOW RANK COAL、CCT)であった。後半は分科会形式で会場が二つに分かれた が、それぞれの会場にて活発な議論が行われた。 ② 東アジア・ASEAN 経済研究センター(ERIA)の活動 東アジア・ASEAN 経済研究センター(ERIA)は、2006 年 8 月に日本から「東アジア 版 OECD 構想」として提唱され、設立された。2007 年 11 月の第 3 回東アジアサミット の議長声明等を受け、2008 年 6 月 3 日に ASEAN 事務局における ERIA 設立総会にて設立。 ERIA は、東アジア経済統合推進に向けた政策研究・政策提言を行う国際的機関として、 政策研究の成果を東アジアサミット、大臣会合等に報告する。 関係国等へ我が国の優れた CCT を普及することを目的として、ERIA 関係国の CCT の 普及の阻害要因となっている障壁・課題への対応状況の調査及び ERIA 関係国間での CCT や低品位炭の性状に係る情報共有体制の整備について検討するとともに、各国の状況 に応じた CCT の開発及び普及のロードマップの作成及び今後の技術普及の可能性を検 討することとしている。 現在、低品位炭利用技術及び高効率発電技術の普及に関する情報整理として、現状 の取組み、障壁・課題、今後の必要とされる対応策が抽出され、専門家による検討が なされているところである。 ③ 豪州連邦政府による Global CCS Institute(GCCSI)日本事務所設立 2008 年 9 月に豪州ラッド首相が、CCS が商業化されることを促進するための機関を 設立すること、そのために、豪州政府は毎年1億豪ドルを 10 年間用意すると発表した ことにより、2009 年 7 月に GCCSI (Global Carbon Capture and Storage Institute) が発足した。 136 ワールド・コール・レポート Vol.4 第4章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭分野における国際協力 豪州連邦政府は、温室効果ガスを大幅に削減するためには、CCS 技術を使わざるを得 ないと考えており、今後 10 年間に世界中で CCS 技術の商業化が加速されるようイニシ アチブをとることを目的として、GCCSI を設立するに至った。 GCCSI は、具体的には 2020 年までに 20 件の CCS 実証プロジェクトの立ち上げ、工業 化を支援するとしており、国際的なコーディネートや各種支援(法的、技術的)等の立上 げを促進する事業を実施している。 CSLF や IEA GHG は、CCS に係る R&D への協力、キャパシティビルディング、あるい はポリシーメイキング等を促進しているが、GCCSI はそれらの機関とも協力して、実証 プロジェクトを推進していく計画である。 2011 年 9 月 5 日に、わが国からの参加メンバーが提案していた日本事務所が東京に 設立された。現在、牧野所長以下 5 名が勤務しており、今後わが国を中心とした CCS 関連活動が活発化するものと思われる。現時点での日本企業・機関メンバーは 33 機関 である(世界のメンバー数は 336 機関)。 <第 6 回メンバーズ会議開催:2011 年 11 月 4~5 日、メルボルン> 第 6 回メンバーズ会議が 2011 年 11 月 4~5 日に豪州メルボルン市のコンベンション センターで開催された。本会議へは、世界 14 ヶ国から総勢 140 名強、日本から資源エネ ルギー庁、NEDO、大学の CCS 関係者並びに重工業エンジニアリング各社から 27 名が出席 した。日本からの出席者は豪州 83 名の次に多かった。会議は豪州連邦政府ファーガソン 資源エネルギー観光大臣、並びにビクトリア州政府オブライエン-エネルギー資源大臣の 基調講演を得て活発な討議のもとに進行した。 豪州連邦政府ファーガソン資源エネルギー観光大臣スピーチ要旨は以下の通り。 ・Global CCS Institute の活動の進展を喜ばしく思っている。GCCSI を 2009 年に設立 して、メンバー数が今、320 以上に増加したことを頼もしく感じている。 ・今年、豪州政府は 17 億 A$ CCS のフラグシッププログラムの第1号 PJ を選んだ。 ① WA 州の Collie South West Hub PJ 第1ステージに 52 百万 A$をコミットした。 ② 本 PJ は、地元石炭火力を含む産業からの CO2 を 2.4 百万 t/年貯留する計画であ る。 ・今連邦政府が意図している炭素税(それに続くカーボン・プライシング制度)の導 入は、産業界に CCS 導入をもたらすであろう。 ・CCS は、数々の新技術への挑戦、世界の技術変革をもたらす可能性を秘めている。 ビクトリア州政府オブライエン-エネルギー資源大臣スピーチ要旨は以下の通り。 ・VIC 州政府は GCCSI 設立メンバーの 1 人である。VIC 州南西部において 61,000 tonCO2 注入実証を実施した CRC のメンバーでもある。 ・30 百万 A$の投資を伴う CarbonNet PJ を GCCSI と CSIRO と共同で進めている。 ・CCS を進める上で地元対策(Public Acceptance)が大変重要である。 ・VIC 州の膨大な褐炭の有効利用について多角的な検討を進めていく。CCD 国際会議 で訪日し、日本の企業各社、経済産業省と有益な意見交換ができた。 ・GREEN House Gas Technology に関する Geological Carbon Storage Center の設立 に向け VIC 州政府として 500 千 A$を拠出することを発表する。 ・エネルギー安定供給と継続的な経済発展のためには、CCS が大変重要であることを 再度申しあげたい。 137 ワールド・コール・レポート Vol.4 第4章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭分野における国際協力 4.2 二国間協力 石炭分野における主な 2 国間協力は、以下のとおりである。 ① 石炭資源確保の観点での二国間協力 オーストラリア:日豪エネルギーHLG インドネシア:日尼石炭政策対話 ベトナム:日越石炭・鉱物資源政策対話 モンゴル:日モンゴル鉱物資源開発官民合同協議会 モザンビーク: 2012 年 2 月 16 日日モザンビーク資源分野での協力推進 MOC (Memorandum of Cooperation)締結。署名者は枝野幸男経済産業大臣とビアス鉱 物資源大臣。また、それを受けて、JCOAL とモザンビーク鉱物探査公社(EMEM)は、 翌 2 月 17 日に両者の協力協定(MOC)締結に向けたミニッツにサインをした。 ② クリーンな石炭利用の観点での二国間協力 オーストラリア:日豪石炭技術ワークショップ 中国:日中省エネ・環境総合フォーラム インド:日印エネルギー政策対話、日印エネルギーフォーラム ポーランド:日ポーランド技術交流会 台湾:日台 CCT 情報交換ワークショップ ③ CCS の観点での二国間協力 オーストラリア:日豪石炭技術ワークショップ 米国:日米クリーンコール及び CCS 協力会議 カナダ:日加クリーンコール及び CCS 協力会議 4.2.1 豪州 (1)低品位炭有効利用に関する政府間会議 ①VBC(Victorian Brown Coal)ロードマップワークショップ開催(2011年6月21-22日、メル ボルン) ビクトリア州政府は、褐炭の有効利用と CO2 排出削減を同時に達成すべく、ビクトリ ア褐炭利用の再構築を模索している。また、わが国は石炭の安定供給をエネルギー基本 計画の一つの柱にしており、石炭資源の約 4 分の 1 を占める褐炭の有効利用を進め、わ が国への石炭の安定供給を図ろうとしている。 2011 年 3 月の日豪石炭政策対話の中で、ビクトリア褐炭ロードマップの作成がビクト リア州側から提案され、日豪協力のもと作成することとなり、その一環として本ワーク ショップが開催された。その概要を、以下に示す。 <VBC(Victorian Brown Coal)ロードマップワークショップ概要> 1)日時及び場所 2011 年 6 月 21-22 日、メルボルンクリケットグランド会議室 2)参加者 豪州:DPI(Department of Primary Industry)をはじめ、DPI 関連機関、連邦政府、CSIRO、 モナッシュ大学、メルボルン大学、HRL、ロイヤンパワー等電力会社、リオティント 等石炭会社、ギプスランド地域関係者及び企業、GCCSI、CO2CRC 等、70 名程度。 138 ワールド・コール・レポート Vol.4 第4章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭分野における国際協力 豪州以外:John Topper(IEACCC, Managing Director)、Jeffrey Phillips(EPRI, Senior Program Manager)、Dale Simbeck(SFA Pacific) 持田勲(九州大学特命教授)、名久井恒司(METI 石炭課国際石炭分析官)、矢内俊一(NEDO 主任研究員) 、原田道昭(JCOAL 参事) 3)概要 全体会議で、7名の講演者からワークショップの目的、IEAの石炭ロードマップ会議 の報告、ビクトリア州の褐炭資源の状況、ワークショップの進め方、プレインタビュ ーの概要、個別グループディスカッションのやり方について発表があった。その後、 7つの個別グループ(1グループ10人程度)によるディスカッションが2日間行われた。 まとめの全体会議では、 ・ビクトリア褐炭は、ブラックコールに比べて、4.7豪ドル/GJのアドバンテージが ある。 ・電力を作る基本条件は、250g/kWh CO2 30%減、水分 60%減。 ・ガス化して電力を作る(IGCC)、ガス化して化学品、肥料等を作る。 ・CO2 を隔離する。 についてディスカッションが行われたが、結論には至らなかった。今後日豪関係者が、 さらに深く議論をしていくことが必要であろう。 ③ 日豪ビクトリア褐炭ロードマップ会議開催(2011 年 7 月 29 日、駐日オーストラリア大使 館) 1)日時、場所 2011 年 7 月 29 日(金)10:00~16:00 駐日オーストラリア大使館 2)出席者 オーストラリア連邦政府 ・ Mr Claude Morson ; CCS Major Projects, Clean Energy Division, DRET ・ Mr Sean Hannan ; International CCS Section, Clean Energy Division, DRET VIC 州政府 ・ Dr Michael Hollitt, Executive Director, Earth Resources Development Division, DPI ・ Dr Peter Redlich, Director, Energy Technology Innovation, DPI ・ Mr Charlie Speirs, Director, Clean Coal Victoria, Earth Resources Division, DPI 等 10 名 日本政府資源エネ庁、NEDO、九州大学、九州電力、新日鉄エンジ、三菱重工、川崎重 工、千代田化工、三菱商事、JCOAL 等 34 名 3)概要 VIC 州政府 Hollitt局長の挨拶、資源エネ庁石炭課の挨拶に続いて、連邦政府 Mr Claude Morson、VIC 州政府 Dr Michael Hollitt 及び石炭課名久井氏より発表があり、 質疑応答、意見交換が行われた。 ・Australia’s Low Emission Coal Policies(連邦政府 Mr Claude Morson) ・VICTORIA BROWN COAL ROADMAP(VIC 州政府 Dr Michael Hollitt) ・Utilization of Low Rank Coal_(石炭課名久井分析官) 139 ワールド・コール・レポート Vol.4 第4章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭分野における国際協力 ③2011 年度新たに豪州機関と JCOAL の間で MOU 締結 ・相互会員協定:JCOAL-Brown Coal Innovation Australia(2011 年 11 月 11 日) ・CCT と CCS に関する協定:JCOAL-ニューサウスウェールズ州政府(2012 年 3 月予定) ・CCT と CCS に関する協定:JCOAL-西豪州政府 (2012 年 3 月予定) 4.2.2 中国 (1)第 6 回 日中省エネルギー・環境総合フォーラム(2011 年 11 月 26 日(土)、北京(人民 大公堂、国家会議中心) ) 経済産業省、日中経済協会、中国国家発展改革委員会および中国商務部の主催で第6回 日中省エネルギー・環境総合フォーラムが開催された。参加者は、日中両国の政府関係者、 企業・研究機関代表等合わせて約 1,000 名(日中双方約 500 名)を超えた。午後の全体会 議は人民大会堂で開催され、李克強国務院副総理が開会挨拶を行い、日本側は、枝野幸男 経済産業大臣、張富士夫日中経済協会会長(代読:岡本巖日中経済協会理事長) 、高原一郎 経済産業省資源エネルギー庁長官が講演を行い、中国側は、張平国家発展改革委員会主任、 李栄璨中国商務部部長助理、趙家栄国家発展改革委員会副秘書長兼資源節約・環境保護司 司長が講演を行った。 李克強副総理は、欧米の金融危機とソブリン危機の中で、激しいインフレが起こり、長 期に渡って経済が低迷する可能性が大きい。その中で、省エネ・環境分野は差し迫った課 題であると同時に成長のパラダイムシフトが狙える分野。日中は一衣帯水の経済大国。市 場規模は 4.5 兆元あり、良いプロジェクトについては、北東アジア経済圏の中で資金のサ ポートしていきたい。より多くの技術協力を推進するため、知財を守り、技術分野での研 究開発、省エネ・環境の現地化、人材教育を進めると挨拶された。次に、枝野大臣は、東 日本大震災での電力不足に対応した節電の経験をベースに需要構造を見直し、省エネルギ ー法を見直すことも視野に入れている。この経験を中国におけるエネルギー・環境分野の 課題解決にも応用したいと講演された。 <石炭分科会> 中国側代表李豪峰処長は、中国は省エネ、環境保全、資源の総合利用の面において、依 然、課題があり発展の空間がある。両国の政府、企業、研究機関等と一緒に両国の石炭分 野の協力を推進し、両国の石炭協力の新しい見地を切り開いていきたいと述べた。 日本側代表橋口石炭課長は、①石炭は今後とも重要なベースエネルギー。復興にむけて 鉄、原料炭、無煙炭等の原料も非常に重要になる。②中国自身が、いかに早く循環型経済 システムを作り上げていくかが喫緊の課題。そういった意味で、今回のエココールタウン のプレゼンは、非常に重要な意味がある。中国が石炭をライフサイクルで考えていくとい う構想を推進しているのは非常に時宜にかなった重要なこと。③低品位炭の利用は、日本 と中国が一緒になって考えていけるテーマ。今後の技術開発を狙って研究者ベースでの積 極的な意見交換等が行われることを期待していると述べた。 <火力発電分科会> 日本側代表橋口石炭課長は、①冬場の電力調達に向けた石炭の調達が課題。②省エネ・ 環境対策の技術について、IGCC が大きなテーマ。NOx、SOx 対策の従来型の展開も合わせて 対策を練っていかなければならない。CCS については、国際ルール化の面で日中協力作業も 視野に入れたい。③CCT の世界展開において、中国との関係で高効率化をどうして行くかが 極めて重要。今後、石炭火力を軸として更に中国、日本が発展することを祈念する、と述 べた。 140 ワールド・コール・レポート Vol.4 第4章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭分野における国際協力 中国側代表趙所長はフォーラムは短かったが内容が非常に充実していた。今後も協力の 空間が広々としており、互恵、WIN-WIN を踏まえた CCS、CCT の2つの分野での協力の見通 しが明るい。共に協力し企業と手を携えて石炭焚き発電所の発展においてトップランナー の役割を果たしたいと述べた。 全体会議後、日中間の省エネルギー・環境関連プロジェクト契約文書の交換式が行われ、 上記両国大臣の覚書を含め過去最大となる 51 件の協力プロジェクトが披露された。このう ち JCOAL 関連では、下記の 6 件の調印プロジェクトが紹介された。 ①中国石炭火力発電所の効率向上及び環境改善に関する協議書 日本側:石炭エネルギーセンター 中国側:中国電力企業聯合会 ・中国の既設石炭火力発電所の設備診断・運用診断を実施し、設備改造、運用改善を提 案し効率向上により石炭消費量と CO2 排出量の削減に資する。 ・日中双方の企業の協力を進めるためのプラットフォームを構築し、双方の企業にとり メリットのある協力を推進する。 ②石炭火力発電技術の相互協力に関する覚書 日本側:中国電力株式会社、石炭エネルギーセンター 中国側:中国神華能源(株)国華電力分公司 ・石炭火力発電所の環境保全,資源リサイクル等に関する日本の CCT の導入に関して技 術協力する。 ・中国電力株式会社が長年にわたる運用を通じて培った脱硝装置の管理技術に関するコ ンサルティング等について技術協力する。 ③石炭火力発電設備の高効率化と環境改善に向けた協力覚書 日本側:石炭エネルギーセンター 中国側:西安熱工研究院 ・中国の石炭火力発電の効率向上を促進し、より早く省エネルギー・排出削減の目標を 実現するために、ESCO 事業、新規設備の最適化、既稼働設備の運転、保守および点検 に係る管理、省エネルギー・環境改善に係る特有技術等について技術協力する。 ④エコ・コール・タウン(ECT)事業の協力に係る覚書 日本側:石炭エネルギーセンター 中国側:陝西省煤業化工集団有限責任公司 ・陝煤化集団の第十二次五ヵ年計画の産業建設状況を踏まえ、石炭の採掘、転換利用に 日本が保持している CCT を結合させ、ECT マスタープランを共同で策定し、陝煤化集団 の ECT の建設支援に協力する。 ⑤日本石炭エネルギーセンターと山西省投資諮詢・発展規劃院協力覚書 日本側:石炭エネルギーセンター 中国側:山西省投資諮詢・発展規画院 ・省エネ、環境保全及び低炭素社会の構築を目指し、企業間の技術協力の推進を主旨と した協力を行う。 ⑥石炭・環境保全に関する技術交流を促進する協力覚書 日本側:石炭エネルギーセンター、日本テピア 141 ワールド・コール・レポート Vol.4 第4章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭分野における国際協力 中国側:雲南省煤田地質局 ・炭鉱保安や低炭素環境保全鉱区の建設、石炭のクリーン利用かつ高付加価値化を目指 し、企業間が Win‐Win の関係となる協力を推進する。 4.2.3 インド (1)インド中央電力庁(CEA)と JCOAL の間で「石炭火力発電所の環境・効率改善予備調査 に関する日印協力覚書」に調印(2010 年 4 月)。 2010 年度は、予備調査を 3 発電設備で実施。 2011 年度は継続診断 2 ヶ所、新規診断 1 ヶ所について本格診断を実施している。 (2)2008 年 10 月、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とインド財務省(MOF)、 石炭省(MOC)、モネットイスパット社(MIEL)間で締結された「基本締結書」に基づき、 JCOAL、MIEL 社、永田エンジニアリング株式会社との間で「高効率選炭技術実証事業」 を行うことを決定。 本事業は新設される発電所に合せて建設される選炭工場に対して、日本が開発した高 効率の選炭技術を採用し、インドで実証することにより、インドへの本モデル事業の普 及を図る事業である。2011 年度末設備完成予定。 (3)インド中央電力庁(CEA)-JCOAL ワークショップ 2011(2011 年 9 月、デリー) 現在インドの発電容量は 180GW(日本の 2009 年総発電容量の約 1.8 倍)で、その内 55% が石炭火力を占め、電力需要は増加の一途で電力不足はピーク時 8~10%に達している。こ うした背景から、インドでは電力不足対策として新規発電設備の設置に加え、既設設備の 改造(Renovation & Modernization : R&M)及び寿命延期(Life Extension:LE)に注力 している。 このような状況を踏まえて、ワークショップは、11 月 9 日にデリー市内のホテル・ル・ メリディアンにおいて CEA、JCOAL の主催により開催された。 日本側参加者として在インド大使館から三宅一等書記官、日本電機工業会からインフラ システム輸出推進検討 WG 岡部主査、JBIC インドから木村所長、NEDO インドから宮本所長、 JICA インドから山中所長、日本企業インド現地法人の三菱重工業、富士電機、日立、東芝 他多数の企業に参加頂き、開催側の講演者と JCOAL 並木理事長以下を加え約 50 名の参加と なった。 インド側参加者は CEA の Sharma R&M 部門長、NTPC の Srivastava R&M 部門長、GSECL、APGENCO 等の州発電公社や STEAG 等の事業参加企業からの参加、その他 BHEL、Energo 等多数の企業 から約 80 名の参加者となった。日印合計で 130 名強と予想を超える規模の参加者となった。 ワークショップのオープニングの最後に、Singh 部長からインドの火力発電、特に石炭火 力発電の現状の紹介がなされ、電力不足対策の方向性と、その具体的改善項目として LMZ の設備改善(R&M/LE)では出力増:4~8%、ヒートレート改善:10~15%、寿命延期:15 ~20%が期待されていることが述べられた。 4.2.4 インドネシア (1)日尼石炭政策対話及び日尼エネルギー政策対話 ①日尼石炭政策対話(2011 年 5 月 30 日、インドネシアクタ) 第 3 回日尼石炭政策対話が 2011 年 5 月 30 日にインドネシアのクタで行われた。本石炭 政策対話は日本とインドネシアとの石炭に関する相互理解を深め、両国が共に発展するこ 142 ワールド・コール・レポート Vol.4 第4章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭分野における国際協力 とを目指して開催される政府間の会議である。 日本側、インドネシア側合わせて約 60 名が参加した。なお、今回は昨年度から始まった 日尼エネルギー政策対話と合わせての開催となり、石炭政策対話の結果はエネルギー政策 対話で報告された。 <会議概要> 日尼石炭政策対話への日本側からの参加者は日本側窓口である資源エネルギー庁石炭課 を始め、貿易経済協力局資金協力課、在インドネシア日本大使館、NEXI(日本貿易保険) シンガポール事務所、JBIC ジャカルタ事務所、NEDO 本部、NEDO インドネシア事務所、JICA 本部、JICA ジャカルタ事務所、JCOAL など 20 名近くが参加した。インドネシア側からはエ ネルギー鉱物資源省、財務省、PTBA などの政府機関を始め、アダロ炭鉱、KPC 炭鉱などの 民間企業など 40 程度が参加した。 会議ではまず、インドネシア側よりエネルギー鉱物資源省鉱物石炭総局の Dr. Ir. Thamrin Sihite(タムリン・シヒテ)総局長が挨拶(代読)し、続いて資源エネルギー庁 石炭課橋口課長の挨拶が行われた。 会議のアンカーマンはホスト国であるインドネシア国側から Hadiyanto(ハディアント) 大臣補佐官が務めた。会議ではセッションごとの話し合いがもたれ、セッション 1【石炭政 策】、セッション 2【石炭資源開発】、セッション 3【人材育成】 、セッション 4【技術開発】、 セッション 5【高効率石炭火力発電】 、セッション 6【民間交流】と順に活発な討議がなさ れた。 セッション 1 の石炭政策・石炭需給貿易では、尼国側から石炭政策、新鉱物石炭法、イ ンドネシアを 6 つの回廊に分けた尼国経済発展マスタープラン(MP3EI)などについての説 明があった。日本側からは石炭政策の現状、日尼協力事業の紹介、福島第 2 原子力発電事 故伴う石炭の需給動向、地震、津波による石炭火力発電所の被害などが述べられた。 セッション 2 の石炭資源開発では、尼国側から中央カリマンタンで検討が行われていた 探査事業の報告と新規案件として南部地域も含めた広範囲での石炭探査事業の提案がなさ れた。日本側(NEDO)からは、新規提案に対する早期話し合いが約束された。また、JCOAL から洋上貯炭設備とプッシャーバージの調査内容について説明した。 セッション 3 の人材育成では、尼国側からこれまで実施されてきた研修事業の概要につ いての説明があり、大きな成果が上がっているとの報告があった。日本側(NEDO)からも 研修事業の成果についての発表がなされた。 セッション 4 の技術開発では、尼国からこれまでの事業として、石炭スラリー事業(日 揮)、石炭ガス化事業(IHI)、UBC 事業(神戸製鋼所)などについて、結果と評価がなされ た。一連の NEDO 事業の成果も報告された。 セッション 5 の高効率石炭火力発電では尼国からインドネシアの電力事情についての説 明があり、今後の協力関係の要望が延べられた。日本側からは JICA による CCT 技術移転事 業の報告が行われた。 セッション 6 の民間交流では、日本側からはインドネシアで活発に実施されている石炭 ビジネス、民間ベースでの CCT 技術の利用状況が紹介された。 最後の総括では、キーワードとして、低品位炭の有効活用、石炭の高付加価値化、クリ ーンコールテクノロジー(CCT)、石炭資源探査、人材育成、インフラの整備などが上げら れた。 また、インフラ整備ではインドネシア経済促進マスタープラン(MP3EI)が初めて紹介さ れ、スマトラ、カリマンタン、ジャワなどの 6 つの経済回廊への投資への期待が表明され た。 143 ワールド・コール・レポート Vol.4 第4章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭分野における国際協力 ② エネルギー政策対話(2011 年 5 月 31 日、インドネシアクタ) 第 2 回日尼エネルギー政策対話が 2011 年 5 月 31 日に開催された。日尼エネルギー政策 対話は昨年1月の直嶋元経済産業大臣とダルウィン・エネルギー鉱物資源大臣との会談で の資源・エネルギー行政における局長級対話を設置するという合意に基づいたものであり、 大臣同士の合意を受け、第1回政策対話は 2010 年 5 月に東京で開催されている。今年はイ ンドネシアでの開催で、インドネシア側議長は Dr. Evita Herawati Legowo(エフィータ・ ヘルワティ・レゴウオ)石油・ガス総局長であり、日本側の議長は朝日弘資源エネルギー 庁審議官であった。 本会議は石炭も含めたすべてのエネルギーを対象とした会議であり、石油ガス、電力、 新エネルギー、地熱エネルギーなどその対象は多岐にわたっている。本会議はインドネシ アとの資源エネルギー分野における関係強化を目的として行われており、今回の会議では、 今後のアジアにおけるエネルギー協力の在り方について議論を深めていくこと、地熱を含 む再生可能エネルギーやスマート・コミュニティといったクリーンエネルギー分野の重要 性を確認すること、日尼両国の取組は二国間のみならず、APEC(アジア太平洋経済協力)、 CEM(クリーンエネルギー大臣会合)など多国間の枠組みでの連携も深めていくこと、両国 の資源・エネルギー分野において特に関係が緊密化している石油・天然ガス、電力、石炭・ 鉱物資源、省エネ・新エネの各分野で、資源開発、事業環境の整備、技術協力を一層進め ていくことが確認された。 ③ 日尼エネルギー・ラウンド・テーブル(2011 年 10 月 17 日、東京) 2011 年 10 月 17 日、東京において、日本とインドネシアの円滑なエネルギー協力を推進 し、両国の相互理解を深め両国が共に発展することを目的として、日尼エネルギー・ラウ ンド・テーブルが開催された。 <会議概要> これまでジャカルタで実施されてきたが、今年は東京での開催となった。本会議は今年 で 12 回目を迎える。会議はエネルギー全般を議論する会議で、毎回インドネシア側、日本 側から多数の参加者があり、両国のエネルギーに関する貴重な情報交換の場となっている。 今回のインドネシア側は Evita H. Legowo 石油ガス総局長、Thamrin Sihite 鉱物石炭総 局長、Bangbang Dwiyanto 研究開発庁長官、Priyono BPMIGAS 総裁、Haryono BPHMIGAS 総裁 などエネルギー鉱物資源省関連機関の幹部を中心に 43 名の参加であった。 総局長クラスが 3 人も同時に本国を離れ同じ会議に出席することは稀で、日本とインド ネシアのエネルギー関係が如何に重視されているかが伺えた。 日本側は松下忠洋経済産業省副大臣、近藤洋介民主党議員、朝日弘資源エネルギー庁審 議官、橋口昌道石炭課長、安永裕幸鉱物資源課長の政府関係者を始め、電力会社、ガス会 社、商社、重機メーカー、プラント会社、銀行などの民間企業、JCOAL、産総研などの政府 関連機関から総勢 80 名近くの出席があった。JCOAL からは並木理事長、櫻井専務理事他 2 名が参加した。 日本側の議長はアジア太平洋エネルギーフォーラムの末次代表幹事、インドネシア側議 長は石油ガス総局の Evita 総局長であった。本会議では我が国のアジアを中心にした新成 長戦略に深く係るエネルギー資源、温暖化対策の具体的推進について意見が交わされた。 特に今年は 3 月 11 日に発生した東日本大震災の影響もあり、新しいエネルギーの供給の あり方についても議論が深められた。会議では両国の代表スピーチによるオープニング Session、フォト Session で始まり、5 つの Session において、プレゼンテーションと質疑 応答が行われた。 144 ワールド・コール・レポート Vol.4 第4章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭分野における国際協力 会議は早朝から終日実施され、最後に両議長の全体まとめと、クロージング Session で 閉会した。発表講演は総計で 21 件、このうち日本側講演は 10 件、インドネシア側講演は 11 件であった。 (3) 第 1 回 CCT 研修フォローアップセミナー・研修生同窓会(2011 年 11 月 4 日インドネシ アジャカルタ) 2011 年 11 月 4 日インドネシア国ジャカルタのホテルにて、第 1 回 CCT 研修フォローアッ プセミナー・研修生同窓会が開催された。本セミナーはこれまで日本で開催された CCT 研修 へ参加した研修生を対象にして開かれたフォローアップセミナーであり、総勢 200 名を越 える研修生の中から約 50 名程度が集まった。これまで個別には研修生と日本側との繫がり はあったものの、研修生 OB 全体を対象にした会合は初めてであり、研修生と日本側との親 密なプラットホーム形成に大いに役立った。 インドネシア側参加者の内訳は、政府関係者はもちろん、PLN、インドネシアパワー本社、 パイトン発電所、スララヤ発電所、バンドンの繊維会社、各地のセメント会社など多岐に わたり、遠くはスラヴェシ島の南スラヴェシ州、スマトラ島のリアウ州からの参加もあっ た。セミナーは主催者である教育訓練庁電気・新エネ・省エネ教育訓練センターのムニー ル・アハマド所長と JCOAL 櫻井専務理事の挨拶で始まり、続いて 3 件の発表が行われた。 発表は、JCOAL から伊介国際部長による「Japanese latest Clean Coal Technology 」、元 研修生からは電力利用総局のフェリー・テゥリアンシャー氏による「Present situation & future plan of coal-fired thermal power plants 」、研究開発庁 鉱物・石炭研究開発セ ンター(tekMIRA)のダティン・ファティア・ウマル氏による「Case study of the results of CCT Transfer Training」であった。 4.2.5 ベトナム (1) 高効率発電技術に関する技術交流会(2011 年 8 月、ベトナムハノイ) 日本の高効率発電技術導入促進を目的とする技術交流会をPVN本社会議室にて8月10・11 日の2日間開催、PVN、EVN、VINACOMIN電力会社から118名の参加を得た。 窓口政府機関であるMOIT国際部のTung副部長が開会挨拶をし、下記のプログラムで実施 し、意見交換を行った。 ・ 昨年の技術交流会レビュー(JCOAL) ・ USC以降の最新CCT動向(JCOAL) ・ PVN、EVN、VINACOMIN-Powerの各社から電源開発の現状、石炭調達について ・ USCの優位性、低品炭燃焼技術、石炭燃焼試験装置の概要(IHI) ・ プロジェクトマネージメント(日揮、IHI) また、ハノイ工科大学熱工学研究所を訪問し、技術交流会で取り上げられた無煙炭と瀝 青炭の混焼等、幾つかのトピックについて意見交換した。特に無煙炭混焼技術の開発、産 業分野でのセメント工場を対象とする廃熱回収技術交流に関心があった。 (2)第 1 回 CCT 研修フォローアップセミナー・研修生同窓会(2011 年 9 月、ベトナムハロン 湾) 平成 23 年 9 月 16 日ベトナム国ハロン湾のホテルにて研修フォローアップセミナー及び JCOAL 研修同窓会を開催した。ベトナムでの研修事業のカウンターパートである VINACOMIN、 MOIT の協力もと、炭鉱研修 1,026 名、CCT 研修 155 名の全研修生に招待状を送付し、当日 は商工業省、EVN、PVN、VINACOMINN、化学肥料会社、製紙企業から 68 名の参加者を得た。 145 ワールド・コール・レポート Vol.4 第4章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭分野における国際協力 昨年度まで、炭鉱研修及び CCT 研修でベトナムから 1,180 人以上の研修生が来日して、 研修を受けている。現在、参加した研修生のほとんどが昇格、昇進しており、政府機関の 中枢、各企業の役員、企業グループの副総裁クラス、炭鉱・電力会社の社長・副社長・部長 クラス等数多くを占めるに至っている。 JCOAL は同窓会開催によって、各国との研修生の ネットワークを強化し、交流をより深め、確固たる協力関係を構築することで、実施事業 の円滑な運営及び新規事業の案件形成を期待している。 フォローアップセミナーでは、JCOAL を代表して櫻井専務理事が開催挨拶を行った後、 JCOAL 技術開発部 大島部長が、 「日本のクリーンコールテクノロジーの技術動向」と題し基 調講演を行った。また、エコ・コール・タウン等のベトナムに対する新規事業提案につい て説明した。VINACOMIN のフン・マイン・ダック副総裁及びブ・タイン・ラム副総裁等はエコ・ コール・タウンについて強い関心を表明し、この提案について、日本政府および JCOAL の 支援を求め、VINACOMIN との協力で調査し、実現を図る要望が表明された。 次にダック副総裁の講演が行われ、日本とこれまで行なってきた炭鉱研修、地質調査な どの協力事業は、ベトナム石炭産業の発展・向上に大きく貢献してきたことを高く評価され た。10 年間にわたって設計・安全・ガス管理など JCOAL は多くの貢献をしてきた。石炭生 産量は開始当初の 10 倍以上の増産となっている。今後もベトナム経済の発展により、さら なる石炭の増産が求められる状況である。炭鉱地域であるクアンニン省では今後、露天堀 の割合が減少し、坑内掘の割合が増える状況となっており、また、既存炭鉱では坑内掘区 域の深部化・奥部化などの坑内拡大が求められ、炭鉱の新規開発も、安全性、効率性が求め られていることから、研修事業での探査技術・生産保安技術等について、引続き JCOAL へ の協力を要請された。 最後にペトロベトナム(PVN)を代表しフオン電力本部副部長の講演があり、CCT 研修につ いて高く評価された。PVN は石油ガス関係の事業者で、これまで石炭に関する知見がなかっ たため、JCOAL 事業である CCT 研修を通じて、PVN の電力事業に携わる幹部や技術者は日本 の CCT を理解し、新規石炭火力発電所の建設計画作成では本研修を通じて得た情報や知見 を参考にしている。ベトナムにおいて石炭をクリーンかつ高効率で発電に利用するために、 引続き JCOAL への支援と協力を要請した。また、フオン副部長はベトナムの第 7 次電力開 発基本計画に盛り込む PVN のロンフ 3 発電プロジェクト(1,000MW 級 USC×2 基)のコンサ ルタント業務について JCOAL への検討を要請した。 4.2.6 カナダ ① アルバータ州とのCCT/CCSワークショップ(2011年8月29日、カルガリー) ・参加者 (アルバータ州) Alberta Innovates Climate Change and Emissions Management Corporation Canadian Clean Power Coalition Carbon Management Canada TransAlta University of Calgary (日本) IHI 山田主査 東芝斎藤参事 日立製作所河崎本部長、佐野主任 双日田鎖トロント支店長 146 ワールド・コール・レポート Vol.4 第4章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭分野における国際協力 JCOAL 原田 ・検討結果 双方の参加者の発表の後、今後の共同研究開発プロジェクトについて意見交換した結果、 以下のテーマについて検討することとなった。 ・ソリッドソルベント ・トランスアルタプロジェクト関連 ・バイオマス混焼 ・ガスクリーンナップ-メンブラン ・貯留層バリデーション ②サスカチワン州との CCT/CCS ワークショップ(2012 年 8 月 30 日、レジャイナ) ・参加者 (サスカチワン州) サスカチワン州エネルギー資源局 IPAC CO2(International Performance Assessment Centre for Geologic Storage of Carbon Dioxide) PTRC(Petroleum Technology Research Centre) SaskPower Stantec Crown Investments Corporation of Saskatchewan (日本) IHI 山田主査 東芝斎藤参事 日立製作所河崎本部長、佐野主任 双日田鎖トロント支店長 JCOAL 原田 ・検討結果 双方の参加者の発表の後、今後の共同研究開発プロジェクトについて意見交換した結 果、以下のテーマが候補として挙げられた。 ・アミンリーケッジ問題 ・塩水帯水層に関する研究 ・CCSトピックスにおける情報交換 ・CO2貯留の規制 ・MMVとリスク評価 ・日本の企業のCCS R&Dとサスカチワンの大学との共同研究(例えば、異なったタイプ のCO2ソルベントに関する研究をシェアする) ・SaskPower BD3プロジェクトへの参加 ・IPAC CO2は日本CCS調査の海底下貯留に興味がある アルバータ州及びサスカチワン州との MOU に基づくワークショップによる双方の情報交 換の結果を踏まえて、協力プロジェクトを見出していく予定である。 4.2.7 モンゴル (1)日本・モンゴル貿易投資官民協議会及び鉱物資源官民合同協議会(2011 年 12 月 15 日、 東京) 147 ワールド・コール・レポート Vol.4 第4章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭分野における国際協力 2011 年 12 月 15 日に、東京において第 5 回日本・モンゴル貿易投資官民協議会及び鉱物 資源官民合同協議会が開催された。 鉱物資源官民合同協議会には双方の官民関係者約 120 名が参加し、石炭・レアアース等 に関する資源開発および利用に関する現状と今後の展開について意見交換を行った。 石炭関連では、特に日本側から Tavan tolgoi 開発に対する期待、ならびにブリケット事 業等の協力事業について説明を行い、モンゴル側からは石炭開発の現状と今後の展望等に ついて説明が行われた。次回は 2012 年にモンゴルで開催されることとなった。 4.2.8 ポーランド (1)第 2 回技術交流会(2011 年 11 月 17、18 日、クラコフ) 2011年11月17日、18日の2日間においてAGH科学技術大学において、第2回CCT技術交流会 を開催した。主要テーマは、高効率石炭火力、IGCC、CCS技術ほか先進技術とし、日本側参 加企業4社、ポーランド側からはAGH大学が講演した。 開会挨拶は、T. Szmuc AGH大学副学長、在ポーランド日本大使館松本参事官、METI本間 課長補佐、E. Sloma経済省次官、Kracik知事が行った。セミナー参加者数は192名に及び日 本側からは、IGCC、低品位炭利用、USC、石炭ガス化技術、酸素燃焼・ポストコンバッショ ン・炭素分離回収などCCS中心であるが、現地要望に応え、水素ガスタービン、水銀除去技 術、褐炭改質技術(UBC等)はじめとしてCCT関連の技術を紹介した。 基調講演は、 「低炭素社会における技術の挑戦」として、久留島東洋大教授が行った。主 要な講演項目は以下の通りである。 ① 三菱重工:ポストコンバッション技術、IGCC商業化、米国におけるCCS、低品位炭利 用、GT、水銀処理 ② 日立製作所:Preventive Maintenance、先進タービン技術、タワー型ボイラ、CCS ③ IHI:USCボイラ、Callide酸素燃焼実証プロジェクト、大型燃焼試験設備 ④ 神戸製鋼:UBC、ハイパーコール、ITMkⅢ、実証プラント ⑤ AGH科学技術大学:CO2リッチ雰囲気での石炭ガス化、地下ガス化、石炭ガス化技術研 究の現状、CCS政策 ポーランドは、炭鉱メタンガス問題・保安問題が顕在化。また、EU規制の中で、高効率 化、褐炭火力発電の高効率化、低品位炭利用に関心が高い。 (2)2012 年度ポーランド招聘技術交流会 R&D グループ(2012 年 2 月 5~11 日、日本) ポーランドとの CCT 移転事業・招聘技術交流・研究開発グループ 9 名が、国内各社にお いて技術交流した。7 大学と 2 研究機関からの技術者は、石炭ガス化、燃焼工学、機械工学、 CCS などの専門家である。 日本において、二塔式石炭ガス化 TIGAR、VAM 利用、ハイパーコール・石炭ガス化・CCS、 IGCC、低品位炭・褐炭利用、UBC 等の研究機関、会社を訪問し、活発に意見交換が行われた。 ポーランド側からは石炭関連研究の現状、課題が報告された。訪問先は、IHI 横浜事業所、 RITE、川崎重工東京本社、産業技術総合研究所、クリーンコールパワー研究所、東京大学 生産研究所、神戸製鋼所東京本社及び METI、JCOAL である。 (3)2012 年度ポーランド招聘技術交流会発電グループ(2012 年 2 月 5~11 日、日本) ポーランド発電グループ招聘者 13 名(団長:ポーランド経済省エネルギー局 Sloma 副局 長)が、以下の各社、機関を訪問しわが国の CCT について技術交流をした。訪問先は、IHI 148 ワールド・コール・レポート Vol.4 第4章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭分野における国際協力 相生工場、RITE、中部電力碧南火力発電所、クリーンコールパワー研究所、日立製作所日立 事業所及び METI、JCOAL である。 4.2.9 モザンビーク (1) 日モザンビーク資源分野での協力推進 MOC(Memorandum of Cooperation)締結(2012 年 2 月 16 日) 署名者は枝野幸男経済産業大臣とビアス鉱物資源大臣で、日本とモザンビーク両国間の 資源分野(鉱物資源、石炭、石油・天然ガス)における関係協力の発展を目指すもので、 本 MOC 締結によって、資源分野における互恵的かつ戦略的パートナーシップ構築のための 具体的な活動や方向性の枠組みを目指すことが確認された。 (2) JCOAL とモザンビーク鉱物探査公社(EMEM)による協力協定(MOC)締結に向けたミニッ ツ締結(2012 年 2 月 17 日) JCOAL とモザンビーク鉱物探査公社(EMEM)は、政府間の MOC 締結を受けて両者の協力協 定(MOC)締結に向けたミニッツ締結を行った。このミニッツは今後の MOC 締結とそれに伴 う JCOAL とモザンビークとの多くの事業形成に繫がるものである。 (3)モザンビーク・エネルギー・鉱物資源セミナー(2012 年 2 月 17 日、東京) モザンビークには良質な原料炭が多く賦存していることから、また、世界的な原料炭の 逼迫情況もあってモザンビーク政府は積極的な石炭開発に大きく舵を切る政策に転じてい る。現在多くの石炭プロジェクトが進行中で 2011 年は 220 万トンの石炭が生産されたと見 込まれているが、2015 年~17 年にかけては年間 5,000 万トン以上の石炭の生産が予想され ている。今回の訪日目的はエネルギー・鉱物資源分野での協力を促進する意味合いがある。 ミッションにはビアス大臣の他にモザンビーク鉱物探査公社(EMEM)のアントニオ・マニ ッサ局長(Mr.Antóno MANHIÇA)、国家石油院(INP)のアルセニオ・マボテ総裁(Mr.Arsenio Mabote)、モザンビーク炭化水素公社(ENH)のネルソン・オクアネ総裁(Mr.Nelson OCUANE)、 さらには、鉱物資源省の大臣室のペトロ・ランガ室長(Mr.Pedro LANGA)も参加し、来日 直後からハードな日程をこなし大きな成果と共に帰国した。滞在期間中は精力的に日本政 府、日本企業との個別面談の他、製鉄所への視察も行われた。 そのような中、2012 年 2 月 17 日(金)にモザンビークとのエネルギー・鉱物資源セミナ ーが都内のホテルで開催された。日本側は柳澤光美経済産業省副大臣、安藤久佳経済産業 省資源・燃料部長、橋口昌道石炭課長、安永裕幸鉱物資源課長、河野博文 JOGMEC 理事長等 の政府関係者を始め、電力会社、商社、重機メーカー、製造メーカー、プラント会社など 民間企業から約 200 名が出席した。 モザンビークからはビアス大臣を筆頭に 5 人の来日者を始め、モザンビーク日本大使館 のマラテ(Mr.Malate)大使も参加した。JCOAL からは中垣会長、桜井専務理事等が参加し た。セミナーではまず両国からの代表挨拶の後、第一部の政府からのプレゼンテーション として、モザンビーク側のビアス大臣による「モザンビークにおけるエネルギー・鉱物資 源開発の現状と未来」と題する講演が、日本側の安藤部長による「モザンビークにおける エネルギー・鉱物資源開発への期待」と題する講演が行われた。その後、第 2 部の専門機 関からのプレゼンテーションとしてモザンビークから来日された ENH、INP、EMEM の 3 者か らの講演が行われた。 149 ワールド・コール・レポート Vol.4 第4章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭分野における国際協力 4.3 主要企業の国際展開 (1)日本企業 ・石炭権益に関連する動き 2010 年 10 月日鐵商事株式會社と新日本製鐵株式會社とは、日鉄商事が 33.3%の権益を 保有する「Revuboe 炭鉱開発プロジェクト」のうち、23.3%分の権益に新日鉄が参入す ることに合意し、今後、同プロジェクトの本格開発に向けた事業化調査を進める。同 プロジェクトはモザンビーク共和国 Tete 州に位置する未開発の原料炭炭鉱で、世界的 に稀有な未開発の大規模優良強粘結炭資源として注目されている。2011 年 12 月企業化 調査完了、採掘権申請、2012 年前半採掘権取得の予定。 2011 年 6 月、JX 日鉱日石エネルギーの子会社である JX Nippon Oil & Energy (AUSTRALIA) 社は、インドネシア西パプア州に炭鉱を保有する PT.Horna Inti Mandiri 社(本社:ジ ャカルタ)の株式を 5%取得し、同時にホルナ社の保有する炭鉱から産出する石炭の日 本向け販売権を獲得した。Horna 社の保有する炭鉱は、インドネシアのパプア地域で最 初に開発される炭鉱で、高カロリー(熱量 7,500kcal/kg)かつ低灰分(含有量 3~4%) の極めて高品位な石炭の産出が見込まれている。出荷開始時期は 2012 年の予定。 2011 年 6 月、伊藤忠商事株式会社は、米国 Drummond Company Inc.及びグループ会社 との間で、現在 Drummond 社及びグループ会社が 100%保有しているコロンビアで操業中 の炭鉱及び輸送インフラ資産を、Drummond 社 80%、伊藤忠商事 20%で共同保有すること に合意し、契約を締結した。新たに設立する 100%子会社の ITOCHU Coal Americas Inc. を通じ、コロンビア資産の 20%権益を約 15.235 億米ドル(約 1,265 億円)で取得する と共に、同炭鉱から産出される一般炭の日本向け独占販売権を獲得し、電力会社を始 めとする日本・アジア需要家向け販売する。同炭鉱は 1995 年に生産を開始、確定及び 推定含め約 20 億トンの埋蔵量を有し、現在は年間 25 百万トンを生産している。 2011 年 10 月、三井物産株式会社は、Rio Tinto 社と豪州クイーンズランド州にて共同 で運営する Kestrel J/V(Rio Tinto 社 80%・三井物産 20%)による新規石炭鉱区の開 発に関して追加投資を決定した。追加総投資額は、最大で 6 億 3,100 万豪ドルを見込 んでおり、三井物産は 100%子会社の豪ミツイ・コール・ホールディングスを通じて 1 億 2,600 万豪ドル(約 96 億円)の追加投資を行う。新規鉱区開発の操業開始は 2013 年を予定、生産量は約 650 万トン/年の見込み。 2011 年 11 月、三菱商事は子会社の三菱デベロップメント社を通じ、同社と BHP Billiton 社が各々50%の権益を保有する豪州 Qld 州 BMA 原料炭事業の大規模拡張に関する投資 を決定した。内容は豪州 Qld 州中央部の Bowen 炭田北部に位置する Caval Ridge 炭鉱 の新規開発および Peak Downs 炭鉱の拡張で、投資総額は約 21 億豪ドル。2014 年から 合計で年間 800 万トンの輸出用高品位原料炭を増産する計画としている。 2011 年 11 月、丸紅株式会社は、中国の Winsway Coking Coal Holdings Limited と共 同で、カナダ炭鉱運営会社の Grande Cache Coal(GCC)社の全株式を、丸紅が 40%、 Winsway 社が 60%出資し設立する新会社を通じて、取得することで GCC 社と合意した。 ・石炭火力発電に関連する動き 2011 年 6 月に J-POWER・伊藤忠商事・Adaro 社の 3 社グループは中部 Jawa 州に合計出 力 2,000MW の石炭火力発電所を建設し、インドネシア国有電力会社(PLN)との間で 25 年間の長期売電契約(PPA)を締結するアジア最大規模の IPP 事業の優先交渉権を獲得し た。今後は、長期売電契約(PPA)を締結し、その後 EPC 契約、インドネシア政府から の許認可取得、融資銀行団との融資契約等の手続きを進め、平成 29 年 2 月の商業運転 開始を目指す。本プロジェクトは、発電燃料にインドネシア国産の亜瀝青炭を活用し、 環境負荷が少ない超々臨界圧技術を使った大型ボイラー(1,000MW×2)をインドネシ 150 ワールド・コール・レポート Vol.4 第4章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭分野における国際協力 アにおいて初めて導入するものである。 2011 年 10 月、富士電機株式会社は、富士電機インドネシア社(PT Fuji Electric Indonesia)の設立を発表。インドネシア市場を海外事業戦略における最重要エリアの 一つと位置づけ、火力・地熱発電などのプラント機器の輸出、販売を強化する。 2011 年 12 月、三井物産株式会社、J-POWER、株式会社日本政策投資銀行は共同で、華 潤電力控股有限公司が開発する賀州発電所プロジェクト(以下「本事業」)に事業参画 すると発表した。中国広西チワン族自治区賀州市で、同自治区初の超々臨界(USC)石 炭火力発電所(1,000MW x 2 基)を新設する IPP 事業で、日系 3 社共同で、2012 年 8 月の 1 号機、11 月の 2 号機の運転開始に向けて取組む。 2011 年 12 月、同国 Punjab 州にて超臨界圧石炭火力発電所を建設・運営する Nabha Power Limited 向けに、丸紅株式会社が販売、三菱重工業株式会社・Larsen & Toubro Limited が製造する高効率・高性能超臨界圧発電用ボイラー及びタービンの主要機器を輸出す る。国際協力銀行及び三菱東京 UFJ 銀行の協調融資総額は約 105 億円。 2012 年 1 月、株式会社 IHI は米国 Tri-State 電力組合(Colorado コロラド州 Denver) からカンザス州ホルコム発電所 2 号機向け超臨界圧石炭焚きボイラ設備(出力 1,000MW × 1 基)を受注したと発表した。IHI はボイラ本体機器の供給,指導員(据付・試運転指 導)派遣等を担当,2017 年に運転開始予定。 2012 年 2 月、日立製作所は、韓国の大林産業株式会社と共同で、韓国西部発電株式会 社より、泰安(テアン)火力発電所 9 号機および 10 号機向け 1,050MW 級超々臨界圧石炭 火力発電用ボイラを、日立単独で蒸気タービン発電機をそれぞれ受注した。 2012 年 2 月、東芝と JSW グループの合弁会社「東芝 JSW タービン発電機(東芝 JSW)」 が Tamil Nadu 州 Chennai 近郊 Manali に建設した火力発電所向け蒸気タービンと発電 機を製造する新工場が竣工した。同工場は主に超臨界圧方式の大規模(600-1,000MW) 蒸気タービン発電機を生産する。製品は当面の間、インド国内でのみ販売するが、将 来的にはアジア地域へも輸出する計画。またインド現地法人である東芝 JSW は、イン ド火力発電公社から、Karnataka 州 Kudgi の超臨界石炭火力発電所向け出力 800MW の超 臨界圧方式の蒸気タービン発電機設備 3 プラント分の発電設備を受注した。 2012 年 2 月、住友商事株式会社、株式会社東芝、三井造船株式会社および三菱重工業 株式会社などが建設工事を進めてきたインドネシア共和国 Tanjung Jati-B 石炭火力発 電所の 3、4 号機拡張工事(660MW 2 基、計 1,320MW)の建設および試運転が完了し、 インドネシア電力会社 PT. PLN への電力供給が開始された。 (2)海外企業 BHP Billiton、Rio Tinto、Xstrata、Anglo American は石炭 4 大メジャーと呼ばれ、 石炭だけでなく、鉄鉱石を含む金属鉱山を持つ総合鉱山会社である。石炭生産量では、 BHP Billiton(1 億トン/年超)、Xstrata、Anglo American、 Rio Tinto の順である。 4 社の売上高は、30,000~50,000M$、営業利益は 4,000~12,000M$であり、BHP Billiton がトップで、次いで Rio Tinto、Anglo American、Xstrata の順である。 151 ワールド・コール・レポート Vol.4 第4章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭分野における国際協力 企業名 BHP Billiton Rio Tinto Anglo American Xstrata 表 4.3-1 4 大メジャーの概要 年間生産量 特徴 約 1 億トン 石炭のほか、銅、鉄鉱石、天然ガスを扱っており、 石炭は売上の約 30%(豪州 1 位) 原料炭生産は豪州のみ 37,381 千 t(2010) 一般炭はコロンビア、米国、南アで 66,131 千 t(2010) 41,820 M$ 約 3,000 万 アルミ、ウラン、ダイヤモンド、鉄鉱石の大手、 トン 石炭売上は 12% 米国と豪州に生産拠点、約 70%が米国 原料炭 8,967 千 t(2010)、一般炭 21,505 千 t(2010) 32,929 M$ 石炭、鉄鉱石、マンガン、ダイヤモンドで、石炭 は 20% 石炭は 49%が豪州、次いで南ア 35%。 27,952 M$ 6,800 万ト 石炭のほか、銅、鉛、亜鉛。石炭は約 30%。 ン 石炭は 55%が豪州で、コロンビア、南アが半々。 売上 52,798 M$ 表 4.3-2 に中国企業による海外炭鉱権益取得状況を示す。地理的な関係から、インド ネシア、豪州が主要進出先であるが、ロシアやモンゴル等、新規開発地域にも積極的に 活動を広げている。石炭大手は主に豪州炭鉱が中心であり、下流企業である華能(電力) や宝鋼(鉄鋼)はそれぞれ海外電力、および原料炭権益確保に動いていることが読み取 れる。 表 4.3-2 最近の中国企業による海外進出例 企業名 相手国 概要 中國神華 豪州 中國神華は Watermark 鉱区における石炭探査権の対価 能源股份 として、NSW 州政府に 2 億 9,990 万 AUD を支払 有限公司 〃 インドネシア インドネシアにおいて 150 万~200 万トンの石炭採掘 と 150MW×2 ユニットの火力発電プロジェクトが進行 中 〃 インドネシア 2009 年7月、インドネシアにて 70%出資の子会社によ って着手。石炭埋蔵量 6,000 万トン、年産 150 万トン。 〃 モンゴル Tavan Tolgoi 炭田の開発権入札に参加 〃 ロシア シベリアと極東における石炭開発について交渉中 中国中煤 豪州 100%子会社である CCIEC は、2010 年 4 月 9 日に豪州 能源集団 の MetroCoal Limited と、QLD 州 Columboola 鉱区を開 有限公司 発するための J/V 協約 〃 ベトナム 2009 年 2 月、河林炭鉱で中煤能源集団第 5 建設公司が 炭鉱建設プロジェクトを落札。設計生産能力は 240 万 トン/年 〃 ロシア 2010 年 9 月 21 日に Mechel と戦略的な相互協力関係を 築くための意思確認書に調印 兖州煤業 豪州 豪州法人 Yancoal Australia Pty Ltd が炭鉱権益獲得 股份有限 を進め、2009 年 12 月には Felix Resources Ltd を買 公司 収 中国華能 豪州 豪州(その他シンガポール、ミャンマー等)にも発電 集団公司 所を有しており、その設備容量は 327 万 kW 152 ワールド・コール・レポート Vol.4 第4章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭分野における国際協力 〃 インド 〃 〃 米国 ブラジル 宝鋼集団 有限公司 〃 中国煤炭 地質局 豪州 モンゴル インドネシア インドのインフラ大手 GMR Infrastructure から INTERGEN の株式 50%分を買い取る 米発電会社のインタージェンに 50%出資 国有送電最大手はブラジルの送電網を買収。アルゼン チンなどでも投資機会を探している 宝鋼は Aquila Resources が保有する炭鉱権益を間接的 に保有することとなる 香港の Mongolia Energy Corporation Limited(MEC) の炭鉱開発プロジェクト向けの鋼材入札 1996 年にインドネシア地質探鉱に参入して以来、イン ドネシア企業と地質探鉱協力を実施。2009 年7月に中 国煤地(インドネシア)鉱業有限公司を設立。 表 4.3-3 にインド企業による海外炭鉱権益取得状況を示す。インドは太平洋、アフリ カ両面にアクセスし易い地理的関係にあり、インドネシア、豪州が主要進出先ではある ものの、南アフリカ、モザンビーク等、アフリカにも権益を求めている事がわかる。ま た石炭大手との提携など、今後の石炭供給不足を補う手段として海外炭の輸入確保に力 を入れている。 企業名 Coal India Limited 〃 Gujarat NRE Coking Coal Limited NTPC Tata Steel Limited 〃 表 4.3-3 インド企業の他国進出 相手国 概要 米国 2010 年 4 月 12 日に Peabody と長期的な石炭調達など の共同事業を構築するための協議 モザンビーク 直轄子会社のうち、Coal India Africana Limitada. (CIAL)は 2 つの鉱区の探査権 豪州 豪州 NSW 州の NRE No.1 炭鉱と NRE Wongawilli 炭鉱の 権益を 100%保有 2004 年 12 月に NSW 州の強粘結・一般炭炭鉱である NRE No.1 炭鉱を買収 インドネシア 2007 年に KPC 及び AritominIndonesia という 2 大石炭 会社の株式を 30%獲得(11 億 USD 相当) 豪州 豪州 QLD 州の Carborough Downs 炭鉱権益を 5%保有 モザンビーク Adani グル ープ 〃 豪州 Lanco Infratech 豪州 インドネシア Tete 州の新規プロジェクト(Benga プロジェクト)の 権益を豪州 Riversdale Mining Limited とJVを組ん で保有 Galilee 炭田鉱区を 28 億 US ドルで獲得 タンジェンニムニ地域に 16 億 5,100 万 USD を投入し港湾設備 及び鉄道建設を実施する計画で、PTBA 社から毎年 3,500 万トンの石炭を確保 Griffin Coal の統合入札。推定 AUD8~10 億ドル。一 般炭 5 百万トン(過去実績) 153 ワールド・コール・レポート Vol.4 第4章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭分野における国際協力 中国神華集団は、モンゴル、ロシア、で炭鉱を開発する計画であり、また、豪州 NSW 州における探査権の獲得、インドネシアでの露天掘炭鉱開発と 150MW×2 基の発電所操 業プロジェクトを実施している。 中国華能集団公司は 2007 年 9 月、豪州 CSIRO とクリーン石炭発電、CCS 等研究開発協 力合意文書に署名。 2008 年 9 月、中国電力と石炭火力発電所リノベーション(効率向上、環境改善)等に 関する覚書締結。 2009 年に中煤集団と海外合作投資合意書に署名。 米国 Duke Energy 社とクリーンエネルギー関連技術開発提携で合意(2009 年)、米国 AEP(American Electric Power Company, Inc.)と石炭火力発電所省エネ・消費削減・ CO2 排出削減技術に関する協力契約を締結(2011 年)。 Peabody Energy 社は、全米一の生産量を誇る石炭会社である。2010 年の生産量は 2.23 億トン、売上高は 68.6 億 USD、利益は 13.257 億 USD である。 豪州において 9 炭鉱を操業しており、ベネズエラ、モンゴル、中国などへ進出してい る。2010 年の豪州における生産量は 2,700 万トンで、2014 年には 3,500~4,000 万ト ンに拡大する計画である。 中国では、内蒙古自治区政府と石炭化学プロジェクトに関する協定を締結し、また、 2011 年 7 月には新疆ウイグル族自治区政府と大型炭鉱開発プロジェクトを立ち上げる と発表した。 中国の Greengen PJ で唯一の非中国企業として権益を持っている。 豪州の COAL21 基金の設立メンバーである。 豪州の Global Carbon Capture and Strage Institute のメンバーである。 モンゴル南ゴビの Tavan Tolgoi 炭鉱は新しい原料炭ソースとして期待が高まっている。 開発に際して国際入札が行われ、15 陣営が応募した。2011 年 3 月に 6 つの候補に絞り 込みが行われ、Arcelor Mittal、Xstrata、Vale、Peabody Energy、三井物産&神華能 源、日本・ロシア・韓国連合が残った。日露韓連合には日本から伊藤忠商事、住友商 事、丸紅、双日が参加している。現在最終決定に向けてモンゴル政府・議会で審議が 行われている。 Coal India(CIL)は豪州・米国・インドネシア等の海外石炭資産の買収を検討、直轄 子会社の CIAL はモザンビークにおいて 2 つの鉱区の探査権を得ている NTPC との間で、2010 年 J/V が設立、インド国内や海外における石炭鉱区(褐炭を含む) の取得や石炭開発 米国 Peabody Energy と 2010 年、両社が長期的な石炭調達などの共同事業を構築する ための協議に入っている インドの Adani Enterprises が、Linc Energy の所有する炭田の一部を買収し、20 年 間の生産のロイヤリティを取得したと発表。 PT Bumi Resources Tbk はモーリタニアの鉄鉱山、イエメンの油田、インドネシア国内 の金属鉱山を所有している。 CBM についても事業展開をしており、PT KPC CBM、PT Arutmin CBM の権益を 99%、豪州 Westside Corporation Ltd の権益を 20.2%所有。 154 ワールド・コール・レポート Vol.4 第4章 JCOAL 技術・情報委員会 石炭分野における国際協力 豪州 Herald Resources Pty Ltd の権益を 100%所有(金属鉱山操業・CBM 採掘目的の模 様)。 PT Adaro Energy Tbk は中央カリマンタンで BHP Billiton が進めているプロジェクト に参画、権益の 25%を BHP より取得した。 2011 年 6 月に J パワー・伊藤忠商事・Adaro 社の 3 社グループは中部ジャワ州に合計 出力 200 万 kW の石炭火力発電所を建設し、インドネシア国有電力会社(PLN)との間で 25 年間の長期売電契約(PPA)を締結するアジア最大規模の IPP 事業の優先交渉権を獲得。 Vinacomin は 2011 年 2 月丸紅株式会社と Vinacomin-Power Holding Corporation がベ トナム Nghe An(ゲアン)省にて開発権を保有する IPP 事業(クインラップ 1 石炭火 力 IPP:1,200MW の発電所)に関し、Vinacomin-Power 社との共同事業参画に向けての 検討を合意する覚書を締結 Mechel OAO は 2009 年、三井物産と石炭・鉄鋼製品生産販売で提携することに合意。 2011 年、韓国 POSCO と資源開発・ステンレス事業の合弁会社設立で合意。ベラルーシ のベラルーシ製鉄所・土木機械大手 BeLAZ との協力関係拡大の意向を表明。 155
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