2014〜2016年度 特集 中期経営計画 当社グループは、2014 年度より3カ年の中期経営計画を遂行中です。 その具体的取り組みについてご紹介します。 経営環境 基本方針 □ 国内セメント需要は比較的高水準で推移 企 業 理 念 : 豊かな社 会 の 維 持 発 展 □ 将来的には減少も見込まれる □ 補修市場や海外市場には成長分野も存在する セメント内需推移予測 (単位:万 t ) 6,000 5,000 国内セメント事業の競争力強化 セメント国内需要が高水準で推移するなかで、 グループ力の結集により、収益の極大化を目指す セメントの 安定供給のための取り組み 5,009 4,771 4,800 4,800 4,800 4,273 4,161 4,265 成長分野の拡充と安定的収益確保 4,434 国内需要減少時においても 「全社的な安定収益構造を確立する」ために、 成長分野の拡充を積極的に進める 4,000 成長市場である補修事業の拡充 3,000 海外セメント事業の基盤確立 0 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016(年度) 6000 横バイ 5000 4000 3000 2000 2008 年2009 年2010 年2011 年2012 年2013 年2014 年2015 年2016 年2017 年 新規事業 選択と集中 1 国内セメント事業の競争力強化 セメントの 安定供給のための取り組み 高効率クリンカクーラーの導入 当社では 2013 年度に、更なる省エネルギー化を図るため、主 今年度は栃木工場及び八戸セメントに高効率クリンカクーラーの 力臨海工場の赤穂工場 3 号キルンと高知工場 6 号キルンに高効 導入を予定しており、当社(八戸セメント含む)所有の 8 キルンの 率クリンカクーラーを導入しました。 うち、5 キルンに高効率クリンカクーラが導入されることになりま クリンカクーラーはキルンで焼成されたクリンカの冷却に加え、 す。中期経営計画では来年度以降も導入を計画しており、省エ 高温クリンカの熱量をクリンカ焼成炉に回収する機能を担ってい ネルギー化推進による低炭素社会への貢献に加えて、今後継続 ます。クリンカクーラーの高効率化により、クリンカ冷却能力の が見込まれるセメント需要増に着実に対応できる生産体制の構築 改善と焼成炉への熱回収量増加によって、クリンカ焼成用熱エネ に一層努めてまいります。 ルギー原単位は導入前と比較して約 6% 低減することができま した。 また、熱エネルギー原単位低減によってプレヒーター排ガス量も 低減し、従来より生産量を上げることが可能となっております。 1 国内セメント事業の競争力強化 セメント輸送能力の強化 海上輸送能力の増強による物流体制の強化にも取り組んでい ます。 2013年度には、 セメントタンカー『第二十二すみせ丸』 を建造し、 2014 年 2 月に就航しました。セメント積載量は 8,000トンで、 当社では最大級のタンカーとなります。 第二十二すみせ丸の就航により、当社のセメント輸送能力は約 10% 増強されました。また中期計画では、更なるセメントタン カーの建造も予定しています。消費地に対して、主力臨海工場か ら確実に運搬できる体制を整えてまいります。 セメント系固化材供給体制の増強 東日本大震災で注目を集めた液状化被害への対策に大きな効 果を発揮するセメント系固化材は、2013 年度に過去最高の 702 万トンの国内需要を記録しました。 当社におきましても、東日本大震災後、東北地区太平洋側での 旺盛な需要に対応するため、仙台港 SS 構内(宮城県)にセメン ト系固化材の製造設備を新設(2013 年 7 月稼働)、また、出荷 能力が小さい小名浜 SS(福島県)に出荷サイロを新設すること により出荷能力の増強を図りました(2013 年 3月)。今後とも、 震災復興需要や全国で広がる防災、減災需要に対して、安定供 給で応えるために、供給体制の増強を進めてまいります。 安定供給を担う人材育成 ベテランの技術を若手社員に確実に伝承するなど、安全で安定 したセメント生産を持続的に行うための人材育成にも注力して います。 2013 年にはセメント工場の技術部門を統括する本社生産技術 部内に『教育推進グループ』を発足しました。研修担当専任者を 配置し、各セメント工場の若手技術者を対象に研修を行ってい ます。 また、従来からセメント工場単位による小集団活動『FSO(フレッ シュ住友大阪)活動』にも力を入れています。これは、職場ごとに 10 人前後のグループを組織し、安全、環境、品質などの向上の ため、現場レベルでの課題解決を行っていくものです。技術やノ ウハウの共有に繋がり、若手社員の学びの場としても効果的な取 り組みとなっています。 2 成長分野の拡充と安定的収益確保 補修事業の拡充 当社では、従来より、セメントコンクリート分野の独自技術を活かし、コンクリート構造物の維持補修に寄与する材料や工法を開発してい ます。 昨今、老朽化したインフラの維持補修は、社会的にも緊急の課題として認識されています。中期経営計画では、生産販売体制や社外と の連携強化により、この社会的課題に対応していくため、事業の拡充を図っていく方針です。 東京オリンピック・パラリンピックを見据えた対応 “材工一体” となったサービスの提供 2020 年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに備え、 コンクリート構造物の補修や補強のニーズに対して、当社が開発 特に首都圏においては老朽化したインフラの整備が進むものと した材料をより効率的に活用頂くために、グループ内外との連携 想定されます。当社では、道路や橋梁などの土木分野や建築分 を強化し、材工一体となった製品サービスの提供を進めていま 野において、確実にニーズを取り込み、国家的プロジェクトの成 す。 功に貢献することが出来るよう情報収集並びに営業展開を進めて 例えば、発塵を抑えたコンクリート構造物の乾式断面修復材料で いきます。 あるリフレドライショット。橋梁や桟橋、トンネル、上下水道など の補修・補強工事に対して経済性、耐久性に優れた材料として高 い評価を得てきました。2013 年には『リフレドライショット工法 協会』 を設立。当社グループ会社をはじめ、 施工会社と一体となっ てサービスを提供しています。優れた技術の更なる普及促進に 努めていきます。 補修材料生産能力増強 補修材料の生産を委託するグループ会社の泉工業(栃木県佐野 市) において、生産設備を増強し、生産能力を拡充する予定です。 前述の東京オリンピック・パラリンピックに伴う需要増加に対応し ていきます。 2 成長分野の拡充と安定的収益確保 海外セメント事業の基盤確立 当社は、2007 年から香港の出資パートナーであ る嘉華建材との合弁会社を通じて、中国雲南省に てセメント事業を手がける昆鋼嘉華水泥グループ へ間接投資をしており、当該グループの工場数は 4 工場まで拡大しております。また、5 工場目を 建設しています。雲南省では、活発なインフラ投 資により、セメントの需要が拡大しており、5 工場 トータルの生産能力は 1,000 万トンを超える規 模となります。 また、東南アジア地域では引き続きセメント需要 の増加が見込まれており、技術力を背景に、海外 におけるセメント事業の基盤を確立するべく調査・ 検討を進めています。 2 成長分野の拡充と安定的収益確保 新規事業 選択と集中 光通信用デバイスである光電子事業、新材料事業、電池材料事 2012 年に製造子会社の SOC ベトナムにて量産体制を確立し、 業では選択と集中により、収益の拡大を図っていきます。 今後拡大が期待される車載用電池材料への用途展開を図ってい 光電子事業では LN 変調器、新材料事業では半導体製造装置向 ます。 け部品が主力製品となっており、独自の技術による高機能な製品 各事業において成長市場を見極め、成長分野における設備の増 はユーザーから高い評価を受けています。また電池材料事業は 強等、ターゲットを絞った経営資源の投入を行ってまいります。
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